JP2019194534A - 検知部材、ロボットハンド、検知方法 - Google Patents

検知部材、ロボットハンド、検知方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019194534A
JP2019194534A JP2018088227A JP2018088227A JP2019194534A JP 2019194534 A JP2019194534 A JP 2019194534A JP 2018088227 A JP2018088227 A JP 2018088227A JP 2018088227 A JP2018088227 A JP 2018088227A JP 2019194534 A JP2019194534 A JP 2019194534A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
detection member
shear force
detection
polyurethane resin
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018088227A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6968370B2 (ja
Inventor
雅彦 三塚
Masahiko Mitsuzuka
雅彦 三塚
吉田 光伸
Mitsunobu Yoshida
光伸 吉田
正和 景岡
Masakazu Kageoka
正和 景岡
佳郎 田實
Yoshiro Tanuki
佳郎 田實
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Kansai University
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Kansai University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc, Kansai University filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2018088227A priority Critical patent/JP6968370B2/ja
Publication of JP2019194534A publication Critical patent/JP2019194534A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6968370B2 publication Critical patent/JP6968370B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Force Measurement Appropriate To Specific Purposes (AREA)

Abstract

【課題】板状の光弾性ポリウレタン樹脂の板面に対して垂直方向の力と、板状の光弾性ポリウレタン樹脂の板面に沿った方向の力(ずり力)とを検知することができる検知部材、ロボットハンド、及び検知方法を得る。【解決手段】光弾性ポリウレタン樹脂を用いて板状に形成された圧力検知部材を通過した光を受光部材が受光し、受光した光の強度に基づいて板面に対して垂直方向の力を検知する。また、圧力検知部材の板面に沿って配置された張力検知部材に張力が印加され、張力検知部材によって検出された検出信号に基づいて板面に沿った方向の力(ずり力)を検知する。【選択図】図1

Description

本発明は、検知部材、ロボットハンド、及びこの検知部材を用いた検知方法に関する。具体的には、光弾性ポリウレタン(圧力検知部材)と、有機圧電材料を有する圧電ライン(ずり力検知部材)とを備える検知部材と、この検知部材を用いた検知方法に関する。
従来、光弾性を有するポリウレタン樹脂を感圧センサとして用いることが提案されている。例えば、特許文献1では、ポリウレタン樹脂からなる感圧センサ用ポリウレタン成形体と、感圧センサ用ポリウレタン成形体を挟むように設けられる発光部及び受光部とを備えているタッチパネルが提案されている。
また、特許文献2では、特に寒冷地における応答性が優れた検知部材を得ることができる光弾性ポリウレタン樹脂が提案されている。
特開2012−193293号公報 国際公開第2016/125905号パンフレット
前述した文献1には、板状の光弾性ポリウレタン樹脂の内部に光を通過させて、光弾性ポリウレタン樹脂の表面に付加された垂直方向の力を感知するのを利用した圧力の測定技術が提案されている。しかし、検知されるのは、板状の光弾性ポリウレタン樹脂の板面に対して垂直方向の力であり、板面に沿った方向の力(ずり力)を検知する手段についてはこれまで提案されていなかった。
本発明の課題は、板状の光弾性ポリウレタン樹脂の板面に対して垂直方向の力と、板状の光弾性ポリウレタン樹脂の板面に沿った方向の力(ずり力)とを検知することである。
本発明の第一態様による検知部材によれば、光弾性ポリウレタン樹脂を用いて板状に形成された圧力検知部材と、前記圧力検知部材の端面に対向して配置され、前記圧力検知部材に向けて光を出射する発光部材と、前記発光部材によって出射されて前記圧力検知部材を通過した光を受光する受光部材と、前記圧力検知部材と前記受光部材の間で、前記圧力検知部材を通過した光の光路上に配置された偏光部材と、前記圧力検知部材の板面に沿って配置され、前記圧力検知部材に作用したずり力に応じた検出信号を出力するずり力検知部材と、を備えている。
本発明の第二態様による検知部材によれば、前記ずり力検知部材は、前記圧力検知部材の内部に埋設されている。
本発明の第三態様による検知部材によれば、前記圧力検知部材の板面に接触し、弾性材料を用いて形成されている緩衝部材を備え、前記ずり力検知部材は、前記緩衝部材の内部に埋設されている。
本発明の第四態様による検知部材によれば、前記圧力検知部材と前記発光部材との間に配置され、偏光方向が前記偏光部材の偏光方向に対して90°の角度を成している他の偏光部材を備えている。
本発明の第五態様による検知部材によれば、前記ずり力検知部材は、長尺状の導体と、前記導体に対して一方向に螺旋状に巻回され、有機圧電材料を含む圧電体とを含んで形成されている。
本発明の第六態様による検知部材によれば、前記ずり力検知部材は、棒形状に形成されている。
本発明の第七態様による検知部材によれば、前記圧力検知部材を形成する光弾性ポリウレタン樹脂は、25℃におけるヤング率が2MPa以上、5MPa以下であり、25℃における光弾性定数は、1000×10−12Pa−1以上、100000×10−12Pa−1以下であり、かつ、ガラス転移温度が−60℃以上、−21℃以下である。
本発明の第八態様によるロボットハンドによれば、把持対象物を両側から挟み込んで把持する一対の指部と、前記把持対象物と接触するように一方の前記指部に取り付けられた検知部材と、を備えている。
本発明の第九態様による検知方法によれば、ロボットハンドを用いて、前記把持対象物を把持して前記把持対象物を持ち上げる場合の把持状態を検知する検知方法であって、前記受光部材によって検出された検出値に基づいて、前記把持対象物を挟み込む力を検知し、かつ、前記ずり力検知部材によって検出された検出値に基づいて、前記把持対象物と前記ロボットハンドとの間で生じるずり力を検知する。
本発明によれば、板状の光弾性ポリウレタン樹脂の板面に対して垂直方向の力と、板状の光弾性ポリウレタン樹脂の板面に沿った方向の力(ずり力)とを検知することができる。
本発明の実施形態に係る第1具体例の検知部材を示した構成図である。 本発明の実施形態に係る第2具体例の検知部材を示した構成図である。 本発明の実施形態に係る第3具体例の検知部材を示した構成図である。 本発明の実施形態に係る第4具体例の検知部材を示した構成図である。 本発明の実施形態に係る第5具体例の検知部材を示した構成図である。 本発明の実施形態に係る第6具体例の検知部材を示した構成図である。 (A)(B)(C)(D)(E)本発明の実施形態に係るずり力検知部材の形状を示した平面図である。 (A)(B)本発明の実施形態に係る第6具体例に係る検知部材をさらに具体的に示し、長手方向に沿った方向に切断した断面図、及び長手方向に対して直交する方向に切断した断面図である。 本発明の実施形態に係る検知部材に備えられた受光部材による出力をグラフで示した図面である。 本発明の実施形態に係るロボットハンドを示した構成図である。 本発明の実施形態に係るロボットハンドを示した構成図である。 (A)(B)(C)(D)(E)(F)本発明の実施形態に係る把持状態検知方法によって把持対象物を把持する工程を示した工程図である。 本発明の実施形態に係る把持状態検知方法によって把持対象物を把持する工程の中で、受光部材による出力、及びずり力検知部材による出力をグラフで示した図面である。 本発明の実施形態に係る把持状態検知方法によって把持対象物を把持する工程の中で、受光部材による出力、及びずり力検知部材による出力をグラフで示した図面である。 本発明の実施形態に係る把持状態検知方法によって把持対象物を把持する工程を説明するためのフロー図である。 本発明の実施形態に係る把持状態検知方法によって把持対象物を把持する工程を説明するためのフロー図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中において、部材の「面」は、特に断りが無い限り、部材の「主面」を意味する。
本明細書において、2つの線分のなす角度は、0°以上90°以下の範囲で表す。
本明細書において、「フィルム」は、一般的に「フィルム」と呼ばれているものだけでなく、一般的に「シート」と呼ばれているものをも包含する概念である。
本明細書において、「MD方向」とはフィルムの流れる方向(Machine Direction)、すなわち、延伸方向である。
〔検知部材〕
本実施形態の検知部材は、光弾性ポリウレタン樹脂を含む板状の圧力検知部材と、前記圧力検知部材に向けて光を出射する、第1位置に配置された発光部材と、好ましくは圧力検知部材と発光部材の間に配置された第一偏光部材と、発光部材から出射され、かつ圧力検知部材を通過した光を受光する、前記第1位置と異なる第2位置に配置された受光部材と、圧力検知部材と受光部材の間に配置された第二偏光部材と、圧力検知部材の内部に、又は圧力検知部材の側面に隣接して配置され、圧力検知部材の板面に沿って配置されたずり力検知部材と、を備える。
本実施形態の検知部材によれば、光弾性ポリウレタン樹脂を感圧センサとして用いつつ、検知部材に作用するずりの力を同時に検出することができる。
ここで、「ずり力(ずり応力)」とは、せん断力(せん断応力)のことであって、物体内部のある面の平行方向に、すべらせるように作用する力(応力)である。本実施形態では、板状に形成された圧力検知部材の板面に沿った方向の力である。
以下、本実施形態の検知部材の各構成について詳細に説明する。
<圧力検知部材>
本実施形態の検知部材は圧力検知部材を備える。圧力検知部材は、光弾性ポリウレタン樹脂を含む。
光弾性とは、外力を受けた弾性体が複屈折を生じさせる性質をいう。すなわち、本実施形態でいう光弾性ポリウレタン樹脂とは、ポリウレタン樹脂のうち、光弾性を有するポリウレタン樹脂をいう。
圧力検知部材の材質としては、光弾性ポリウレタン樹脂を含み、透明でかつ光弾性の性質を発現するものであれば特に限定されない。
圧力検知部材の形状としては板状のものやシート状のものが好ましい。圧力検知部材は、例えば、所定形状の成形型(注形型)により板状やシートに形成されるか、あるいは、脱型後の裁断によって形成される。
(光弾性ポリウレタン樹脂)
光弾性ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを含有するポリウレタン樹脂組成物を、反応および硬化させることにより、得ることができる。
ポリイソシアネート成分は、芳香環含有ポリイソシアネートを含む。芳香環含有ポリイソシアネートは、1,4−フェニレン基(但し、1,4−フェニレン基における一部の水素原子が、メチル基および/またはメトキシ基で置換されていてもよい。)、および/または、1,5−ナフチレン基を含有している。
1,4−フェニレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの重合物(カルボジイミド変性MDI、ウレトンイミン変性MDI、アシル尿素変性MDIなど)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、1,4−キシリレンジイソシアネート(1,4−XDI)などのベンゼン環含有ポリイソシアネート(具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネート)などが挙げられる。
また、1,5−ナフチレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートとしては、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート(1,5−NDI)などのナフタレン環含有ポリイソシアネート(具体的には、ナフタレン環含有ジイソシアネート)などが挙げられる。
1,4−フェニレン基および/または1,5−ナフチレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートのうち、好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(1,5−NDI)が挙げられる。
ポリイソシアネート成分は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、4,4’−MDIとTODIとを併用する。
また、ポリイソシアネート成分は、芳香環含有ポリイソシアネート以外のその他のポリイソシアネートを任意成分として含有することもできる。
その他のポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート(上記した芳香環含有ポリイソシアネートを除く)、芳香脂肪族ポリイソシアネート、(上記した芳香環含有ポリイソシアネートを除く)、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,2’−MDI、2,6−TDI、m−フェニレンジイソシアネート、2,6−NDIなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネート(1,3−XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添キシリレンジイソシアネート、H6XDI)、2,5−または2,6−ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナンもしくはその混合物(NBDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−または1,3−シクロヘキサンジイソシアネートもしくはその混合物、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
ポリイソシアネート成分のうち、1,4−フェニレン基および/または1,5−ナフチレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートの配合割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、30質量%以上、さらに好ましくは、50質量%以上、とりわけ好ましくは、90質量%以上である。
ポリイソシアネート成分の芳香環濃度は、ポリウレタン樹脂組成物に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、12質量%以上であり、通常、例えば、30質量%以下、好ましくは、26質量%以下、さらに好ましくは、16質量%以下である。
ポリイソシアネート成分の芳香環濃度が上記した下限以上であれば、優れた光弾性を得ることができる。
ポリイソシアネート成分の芳香環濃度が上記した上限以下であれば、優れた光弾性を得ることができる。
ポリイソシアネート成分の芳香環濃度は、ポリイソシアネート成分に由来する芳香環の、ポリウレタン樹脂組成物における質量割合であって、後述するシアノ化合物に由来する芳香環を含まない。
また、芳香環濃度は、ポリイソシアネート成分が1,4−フェニレン基を含有する場合には、そのポリイソシアネートの分子量を78(g/モル)とし、また、ポリイソシアネート成分が1,5−ナフチレン基を含有する場合には、そのポリイソシアネートの分子量を128(g/モル)として算出される。
活性水素基含有成分は、活性水素基(例えば、水酸基、アミノ基など)を有する化合物であって、例えば、ポリオール、ポリアミンなどが挙げられ、好ましくは、ポリオールが挙げられる。
ポリオールは、好ましくは、高分子量ポリオールを含有している。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有し、平均水酸基価(後述)が20mgKOH/g〜500mgKOH/gの化合物であり、かつ、平均官能基数(後述)が2の場合には、数平均分子量が225以上の化合物であり、あるいは、平均官能基数が3の場合には、数平均分子量337以上の化合物である。
そのような高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ダイマーポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレン(C2〜C3)ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなどのポリオキシアルキレンポリオールなどが挙げられる。
ポリアルキレン(C2〜C3)ポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールを開始剤とする、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む)が挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(ランダムおよび/またはブロック共重合体)などが挙げられる。
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有し、平均水酸基価(後述)が500mgKOH/gを超過する化合物であり、かつ、官能基数(後述)が2の場合には、分子量が40以上225未満のジオールであり、あるいは、官能基数が3の場合には、分子量40以上337未満のトリオールである。
そのような低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)、1,4−ブチレングリコール(1,4−ブタンジオール)、1,3−ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、1,2−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、アルカン(炭素数7〜13)ジオールや、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオールなどアルケン(炭素数4〜13)ジオールなどの脂肪族ジオール(炭素数2〜13)や、例えば、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール(炭素数6〜13)、さらには、例えば、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、キシレングリコールなどの芳香族ジオール(芳香環を含有する炭素数6〜13の芳香環含有ジオール)、さらにまた、ジエチレングリコール、トリオキシエチレングリコール、テトラオキシエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリオキシプロピレングリコールなどのオキシアルキレンアルコールなどのジオール(炭素数2〜9)(2価アルコール)、例えば、グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノールなどの炭素数3〜6の脂肪族トリオール、および、その他の脂肪族トリオール(炭素数7〜20)などのトリオール(3価アルコール)、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリン(ジグリセロール)などのテトラオール(4価アルコール)(炭素数5〜27)、例えば、キシリトールなどのペンタオール(5価アルコール)(炭素数5〜33)、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどのヘキサオール(6価アルコール)(炭素数6〜40)、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール(ヘプタオール)(炭素数7〜47)、例えば、ショ糖などのオクタオール(8価アルコール)(炭素数8〜54)などが挙げられる。
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物、例えば、テトラヒドロフランの重合単位に上記したジオールなどを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール、例えば、テトラヒドロフランの重合単位に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロヒドリンおよび/またはベンジルグリシジルエーテルなどを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
また、ポリエーテルポリオールとして、例えば、上記した炭素数6〜13の芳香環含有ジオール(具体的には、ビスヒドロキシエトキシベンゼンなど)、水酸基価が500mgKOH/g以下の芳香環含有ジオール(具体的には、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノールAなど)などの芳香族ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはテトラヒドロフランなどを付加重合した芳香環含有ポリオールも挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと、多塩基酸またはその酸無水物あるいはその酸ハライドとの反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
多塩基酸およびその酸無水物またはその酸ハライドとしては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバチン酸、その他の脂肪族ジカルボン酸(C11〜C13)、水添ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ダイマー酸、ヘット酸などのカルボン酸(ジカルボン酸)、および、これらのカルボン酸などから誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらの無水カルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバチン酸ジクロライドなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオールなどのラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
さらに、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールと、水酸基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸とを、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、触媒の存在下または不在下に、ホスゲン、ジアルキルカーボネート、ジアリルカーボネート、アルキレンカーボネートなどを反応させることにより、得ることができる。ポリカーボネートポリオールは、好ましくは、ジオールを開始剤とするポリカーボネートジオールが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ブタジエン、イソプレンなどの共役二重結合含有モノマーの重合体の末端に水酸基を付加した、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンジオールなどが挙げられる。
ダイマーポリオールとしては、通常、工業用原料として入手し得る、主成分が炭素数18の不飽和脂肪酸の2量体を還元して得られるダイマージオールなどが挙げられる。
ポリウレタンポリオールとしては、上記により得られたポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、上記したポリイソシアネート成分と反応させることによって得られる、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオールとしては、例えば、特公昭48−10078号公報に記載されているように、ポリオキシアルキレンポリオールにポリエステル鎖をブロックした構造のもの、すなわち、ポリオキシアルキレンポリオールまたは水酸基を有するその誘導体の各ヒドロキシ基の水素原子と置換する部分が、一般式(A)
(−CO−R−COO−R−O−) (A)
(式中、RおよびRはそれぞれ2価の炭化水素基であり、nは平均1より大きい数を示す。)で表されるものが含まれる。
一般式(A)中、Rで示される2価の炭化水素基としては、例えば、飽和脂肪族または芳香族ポリカルボン酸残基、Rで示される2価の炭化水素基としては、例えば、環状エーテル基をもつ化合物が開裂した残基が挙げられ、nは、好ましくは1〜20の整数である。
このポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオールは、上記したポリオキシアルキレンポリオール(ポリエーテルポリオール)に、ポリカルボン酸無水物とアルキレンオキシドを反応させることにより得られる。
高分子量ポリオールの平均水酸基価は、20mgKOH/g〜500mgKOH/gであり、好ましくは、80mgKOH/g〜300mgKOH/g、さらに好ましくは、100mgKOH/g〜250mgKOH/gである。
高分子量ポリオールの水酸基価(単位:mgKOH/g)は、JIS K 1557−1のA法またはB法に準拠するアセチル化法またはフタル化法などから求めることができる。
そして、高分子量ポリオールの平均水酸基価(単位:mgKOH/g)は、高分子量ポリオールが単独使用される場合には、その高分子量ポリオールの水酸基価と同一である。一方、高分子量ポリオールの平均水酸基価は、高分子量ポリオールが併用される場合には、それらの平均値である。
高分子量ポリオールの平均水酸基価が上記した範囲を超過すると、光弾性ポリウレタン樹脂において、ヤング率が高くなり過ぎ、所望の光弾性定数を得ることができない場合がある。一方、平均水酸基価が上記した範囲未満であると、ガラス転移温度が過度に低くなり、加工性や耐傷付き性が低下する場合がある。
高分子量ポリオールの平均官能基数は、例えば、1.9〜3、好ましくは、1.9〜2.5、さらに好ましくは、2.0〜2.2である。
高分子量ポリオールの官能基数は、高分子量ポリオールの水酸基数であって、具体的には、1分子当たりの活性な水酸基の数である。
そして、高分子量ポリオールの平均官能基数は、高分子量ポリオール1分子当たりの活性な水酸基の平均値である。つまり、異なる官能基数を有する高分子量ポリオールが混合(併用)される場合は、その高分子量ポリオールの混合物の分子数に対する混合物の活性な水酸基の数の割合を示した数値が、高分子量ポリオールの平均官能基数である。
なお、高分子量ポリオールの平均官能基数は、次式(B)から求めることもできる。
平均官能基数=(各高分子量ポリオールの官能基数×当量数)の総和/各高分子量ポリオールの当量数の総和 (B)
高分子量ポリオールの数平均分子量は、例えば、225〜20,000、好ましくは、500〜15,000である。
数平均分子量は、次式(C)から求めることができる。
数平均分子量=56100×平均官能基数/平均水酸基価 (C)
高分子量ポリオールの平均官能基数が上記した範囲を超過すると、光弾性ポリウレタン樹脂において、所望の光弾性定数を得にくい場合がある。一方、平均官能基数が上記した範囲未満であると、ヤング率が低くなり過ぎ、加工性や耐傷付き性が低下する場合がある。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオールが挙げられる。
さらに好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール(具体的には、ポリカーボネートジオール)が挙げられる。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールの平均水酸基価は、100mgKOH/g〜250mgKOH/g、好ましくは、100mgKOH/g〜220mgKOH/gである。ポリテトラメチレンエーテルグリコールの平均水酸基価が上記した範囲内にあれば、高い光弾性と高い剛性とを両立することができる。
ポリカーボネートジオールの平均水酸基価は、100mgKOH/g〜250mgKOH/g、好ましくは、150mgKOH/g〜250mgKOH/gである。ポリカーボネートジオールの平均水酸基価が上記した範囲内にあれば、高い光弾性と高い剛性とを両立することができる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
また、ポリオールは、上記した高分子量ポリオールに加え、上記した低分子量ポリオールを含有することもできる。
ポリオールが低分子量ポリオールを含有することにより、ポリオールの平均水酸基価を増大させて、その分、イソシアネートインデックス(後述)を所望の値に調整すべく、上記したポリイソシアネート成分(好ましくは、芳香環含有ポリイソシアネート)をポリウレタン樹脂組成物に多く配合することができる。そのため、光弾性ポリウレタン樹脂の光弾性定数を高めることができる。
低分子量ポリオールとしては、好ましくは、ジオール、トリオール、テトラオールが挙げられ、具体的には、炭素数2〜10のジオール、炭素数3〜10のトリオール、炭素数5〜10のテトラオールが挙げられる。
炭素数2〜10のジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、アルカン(炭素数7〜10)ジオールや、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオールなどアルケン(炭素数4〜10)ジオール、などの脂肪族ジオール(炭素数2〜10)や、例えば、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール(炭素数6〜10)、例えば、キシレングリコールなどの芳香族ジオール(炭素数6〜10の芳香環含有ジオール)、さらにまた、ジエチレングリコール、トリオキシエチレングリコール、テトラオキシエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリオキシプロピレングリコールなどのオキシアルキレンアルコールなどのジオール(炭素数2〜10)などが挙げられる。
炭素数3〜10のトリオールとしては、例えば、グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノールなどの炭素数3〜6の脂肪族トリオール、および、その他の脂肪族トリオール(炭素数7〜10)などのトリオールなどが挙げられる。
炭素数5〜10のテトラオールとしては、例えば、テトラメチロールメタン、ジグリセリンなどのテトラオールなどが挙げられる。
また、低分子量ポリオールとしては、例えば、数平均分子量400以下のポリアルキレンオキサイドなども挙げられる。そのようなポリアルキレンオキサイドは、例えば、上記した低分子量ポリオール(ジオール、トリオールなど)を開始剤として、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加反応させることによって、ポリエチレングリコール(ポリオキシエチレンエーテルグリコール)、ポリプロピレングリコール(ポリオキシプロピレンエーテルグリコール)、ポリエチレンポリプロピレングリコール(ランダムまたはブロック共重合体)などとして得ることができる。
低分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
好ましくは、トリオールが少なくとも用いられ、具体的には、炭素数3〜10のトリオールの単独使用、炭素数3〜10のトリオールおよび炭素数2〜10のジオールの併用が挙げられる。
低分子量ポリオールの配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、0.1質量部〜30質量部、好ましくは、0.5質量部〜25質量部である。
炭素数3〜10のトリオールが単独使用される場合には、炭素数3〜10のトリオールの配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、10質量部以下、好ましくは、9質量部以下、さらに好ましくは、0.5質量部〜6質量部である。
炭素数3〜10のトリオールの配合割合が上記した範囲を超える場合は、光弾性ポリウレタン樹脂が不透明になり、光が光弾性ポリウレタン樹脂を透過しない場合や、光弾性ポリウレタン樹脂のヤング率が高くなり過ぎる場合がある。
炭素数3〜10のトリオールおよび炭素数2〜10のジオールが併用される場合において、炭素数3〜10のトリオールの配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、0.5質量部〜10質量部、好ましくは、0.6質量部〜6質量部であり、炭素数2〜10のジオールの配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、25質量部以下、好ましくは、0.1質量部〜10質量部である。炭素数3〜10のトリオールおよび炭素数2〜10のジオールの配合割合が上記した範囲内にあれば、高い光弾性と高い剛性とを両立することができる。
また、炭素数3〜10のトリオールおよび炭素数2〜10のジオールが併用される場合において、それらの総量の配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、0.1質量部〜30質量部、好ましくは、0.5質量部〜25質量部、さらに好ましくは、0.7質量部〜6質量部である。
トリオールおよびジオールの総量が上記した範囲未満であると、ヤング率が過度に低下して、成形性や耐傷付性が低下したり、光弾性定数が低下する場合がある。トリオールおよびジオールの総量が上記した範囲を超過すると、ヤング率が過度に高くなる場合がある。
そして、活性水素基含有成分の配合割合としては、ポリイソシアネート成分100質量部に対して、活性水素基含有成分中の高分子量ポリオールが、例えば、120質量部〜400質量部、好ましくは、125質量部〜333質量部である。
換言すれば、ポリイソシアネート成分の含有割合が、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、25質量部〜85質量部、好ましくは、30質量部〜80質量部である。ポリイソシアネート成分の含有割合が上記した範囲内にあれば、高い剛性と高い剛性とを両立することができる。
ポリイソシアネート成分の含有割合が上記した範囲を超過する場合には、ヤング率が過度に高くなり、光弾性ポリウレタン樹脂における所望の光弾性定数を得られない場合がある。
ポリイソシアネート成分の含有割合が上記した範囲未満である場合には、光弾性ポリウレタン樹脂における所望の光弾性定数を得られない場合がある。
また、本発明のポリウレタン樹脂組成物には、可塑剤を含有させることができる。
可塑剤は、光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度を低下させるべく、ポリウレタン樹脂組成物に必要により配合され、例えば、シアノ化合物、フタル酸エステル(例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル(DINP))、例えば、アジピン酸エステル(例えば、アジピン酸ジオクチル)、例えば、セバシン酸エステル(例えば、セバシン酸ジオクチル)、リン酸トリグリシジル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、アルキルベンゼン、アルキルビフェニル(例えば、4−ペンチルビフェニル)、塩素化パラフィン、高沸点溶剤、イオン液体(例えば、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、ポリステル系可塑剤などが挙げられる。好ましくは、シアノ化合物が挙げられる。
シアノ化合物をポリウレタン樹脂組成物に配合すれば、成形体のヤング率を低減することができ、それによって、光弾性ポリウレタン樹脂の加工性を向上することができるとともに、光弾性定数を増大させることもできる。
シアノ化合物は、例えば、炭素数が14〜24であり、4−シアノフェニル基(但し、4−シアノフェニル基における一部の水素原子が、フッ素原子で置換されていてもよい。)を有している。
シアノ化合物が、4−シアノフェニル基を有することによって、光弾性定数をより一層増大させることができる。
4−シアノフェニル基において、フッ素原子が置換する水素原子としては、例えば、2位〜6位の水素原子であって、好ましくは、2位の水素原子である。
シアノ化合物としては、具体的には、下記式(1)で示されるビフェニル化合物、
(式中、Rは、炭素数が1〜11のアルキル基、炭素数が7〜11の4−アルキルフェニル基、または、炭素数が7〜11の4−アルキルシクロヘキシル基を示す。)
下記式(2)で示されるエーテル化合物、
シアノ化合物としては、具体的には、下記式(1)で示されるビフェニル化合物、
(式中、Rは、炭素数が1〜11のアルキル基、炭素数が7〜11の4−アルキルフェニル基、または、炭素数が7〜11の4−アルキルシクロヘキシル基を示す。)
(式中、Rは、炭素数が1〜11のアルキル基を示す。)
下記式(3)で示されるシクロヘキシル化合物、
(Rは、炭素数が1〜11のアルキル基、または、炭素数が5〜11のアルケニル基を示す。)
下記式(4)で示されるフェニルエステル化合物が挙げられる。
(Rは、水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基を示す。)
上記式(1)中、Rとして示される炭素数1〜11のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシルなどの直鎖または分岐のアルキル基が挙げられる。好ましくは、炭素数2〜7のアルキル基が挙げられる。
上記式(1)中、Rとして示される炭素数7〜11の4−アルキルフェニル基としては、例えば、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−プロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ペンチルフェニル、4−イソペンチルフェニル、4−tertペンチルフェニルなどの、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル部分を有する、4−アルキルフェニル基が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜5のアルキル部分を有する、炭素数9〜11の4−アルキルフェニル基が挙げられる。
炭素数7〜11の4−アルキルシクロヘキシル基としては、例えば、4−メチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、4−プロピルシクロヘキシル、4−イソイプロピルシクロヘキシル、4−ペンチルシクロヘキシル、4−イソペンチルシクロヘキシル、4−tertペンチルシクロヘキシル、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル部分を有する、4−アルキルシクロヘキシル基が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜5のアルキル部分を有する、炭素数9〜11の4−アルキルシクロヘキシル基が挙げられる。
上記式(1)で示されるRとして、好ましくは、炭素数1〜11のアルキル基、炭素数7〜11の4−アルキルシクロヘキシル基が挙げられる。
上記式(1)で示されるビフェニル化合物として、具体的には、4−シアノ−4´−メチルビフェニル、4−シアノ−4´−ペンチルビフェニル、4−シアノ−4´−(4−ペンチルシクロヘキシル)ビフェニルなどが挙げられる。
上記式(2)中、Rで示される炭素数1〜11のアルキル基としては、上記式(1)のRで示される炭素数1〜11のアルキル基と同様のアルキル基が挙げられる。
上記式(2)で示されるエーテル化合物としては、具体的には、4−シアノ−4´−ペンチルオキシビフェニルなどが挙げられる。
上記式(3)中、Rで示される炭素数が1〜11のアルキル基としては、上記式(1)のRで示される炭素数1〜11のアルキル基と同様のアルキル基が挙げられる。
上記式(3)中、Rで示される炭素数が5〜11のアルケニル基としては、例えば、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デシニル、ドデシニルなどが挙げられる。
上記式(3)中、Rとして、好ましくは、炭素数が1〜11のアルキル基が挙げられる。
上記式(3)で示されるシクロヘキシル化合物としては、具体的には、4−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾニトリル、4−((3−ペンテニル)−4−シクロヘキシル)ベンゾニトリル、2−フルオロ−4−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾニトリルなどが挙げられる。
上記式(4)中、Rで示される炭素数が1〜10のアルキル基は、上記式(1)のRで示される炭素数1〜11のアルキル基として例示したアルキル基のうち、炭素数1〜10のアルキル基と同様のアルキル基が挙げられる。
上記式(4)で示されるフェニルエステル化合物としては、例えば、4−プロピル安息香酸4−シアノフェニル、4−ヘプチル安息香酸4−シアノフェニル、4−ペンチル安息香酸4−シアノ−3,5−ジフルロオフェニルなどが挙げられる。
また、シアノ化合物として、例えば、シアノベンゼン、4−メトキシベンゼンなども挙げられる。
シアノ化合物は、単独使用または2種以上併用することができる。
シアノ化合物のうち、好ましくは、ビフェニル化合物が挙げられる。
可塑剤の配合割合は、高分子量ポリオール100質量部に対して、例えば、100質量部以下、好ましくは、1質量部〜60質量部、さらに好ましくは、5質量部〜30質量部である。
可塑剤の配合割合が上記した範囲を超過する場合には、光弾性ポリウレタン樹脂のヤング率が過度に低下して、光弾性ポリウレタン樹脂の外観が不透明となる場合がある。
そして、上記したポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分と必要により可塑剤とを処方(配合)することにより、ポリウレタン樹脂組成物を得る。
ポリウレタン樹脂組成物に配合される各成分の好適な組合せとして、例えば、1,4−フェニレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオールと、炭素数3〜10のトリオールとの組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールとの組合せが挙げられ、好ましくは、ベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールとの組合せのみからなる。
また、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、1,4−フェニレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオールと、炭素数2〜10のジオールと、炭素数3〜10のトリオールとの組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールとの組合せが挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、複数種類の芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオールと、炭素数2〜10のジオールと、炭素数3〜10のトリオールとの組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネートおよびナフタレン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールとの組合せ、あるいは、異なる2種類のベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールとの組合せが挙げられる。
さらに、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、1,4−フェニレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオールと、炭素数2〜10のジオールと、炭素数3〜10のトリオールと、可塑剤との組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールと、ビフェニル化合物との組合せが挙げられる。
さらにまた、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、1,4−フェニレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリカーボネートポリオールと、炭素数3〜10のトリオールと、可塑剤との組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリカーボネートジオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールと、ビフェニル化合物との組合せが挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、1,4−フェニレン基を含有する複数種類の芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオールと、炭素数2〜10のジオールと、炭素数3〜10のトリオールと、可塑剤との組合せが挙げられ、具体的には、異なる2種類のベンゼン環含有ジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールと、炭素数2〜10の脂肪族ジオールと、炭素数3〜6の脂肪族トリオールと、ビフェニル化合物またはエーテル化合物との組合せが挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、複数種類の芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリカーボネートポリオールと、炭素数3〜10のトリオールとの組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ジイソシアネートおよびナフタレン環含有ジイソシアネートと、ポリカーボネートジオールと、炭素数3〜10の脂肪族トリオールとの組合せが挙げられる。
さらに、ポリウレタン樹脂組成物に処方される各成分の好適な組合せとして、例えば、1,4−フェニレン基を含有する芳香環含有ポリイソシアネートと、ポリエステルポリオールと、炭素数3〜10のトリオールとの組合せが挙げられ、具体的には、ベンゼン環含有ポリイソシアネートと、ジカルボン酸およびジオールの重縮合物であるポリエステルジオールと、炭素数3〜10の脂肪族トリオールとの組合せが挙げられる。
そして、光弾性ポリウレタン樹脂は、このようにして得られるポリウレタン樹脂組成物から、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて、ポリウレタン樹脂組成物を硬化および成形することにより、得ることができる。
ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させるには、例えば、ワンショット法やプレポリマー法などの公知の成形方法に準拠することができる。
ワンショット法では、例えば、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを、イソシアネートインデックス(水酸基濃度に対するイソシアネート基濃度の比に100を乗じた値、NCO濃度/水酸基濃度×100)が、例えば、70〜400、好ましくは、80〜150となるように処方(混合)して、それらを成形型に注入して、例えば、0℃〜250℃、好ましくは、室温(20℃)〜150℃で、例えば、1分間〜7日間、好ましくは、10分間〜2日間、硬化反応させる。
なお、ポリイソシアネート成分として、4,4’−MDIとTODIとを併用する場合、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させるには、まず、高分子量ポリオールとTODIとを反応させて、高分子量ポリオールとTODIとの反応物(水酸基末端)を得る。このとき、高分子量ポリオールとTODIとのイソシアネートインデックスは、例えば、1以上であり、例えば、100未満、好ましくは、50以下である。
次に、高分子量ポリオールとTODIとの反応物(水酸基末端)に、低分子量ポリオールを配合し、高分子量ポリオールとTODIとの反応物(水酸基末端)、および、低分子量ポリオールと、4,4’−MDIとを処方(混合)する。このとき、高分子量ポリオールとTODIとの反応物(水酸基末端)、および、低分子量ポリオールと、4,4’−MDIとのイソシアネートインデックスは、例えば、100を超過、好ましくは、100.1以上であり、例えば、110以下である。
硬化反応では、ウレタン化触媒を添加することができる。ウレタン化触媒としては、例えば、錫系触媒(例えば、オクチル酸錫など)、鉛系触媒(例えば、オクチル酸鉛など)、ビスマス系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒、有機金属系触媒、アミン系触媒などが挙げられる。
ウレタン化触媒の配合割合は、ポリイソシアネート成分100質量部に対して、例えば、0.0001質量部〜2.0質量部、好ましくは、0.0005質量部〜1.0質量部である。
また、上記した硬化反応は、公知の溶媒の存在下で実施することもできる。
そして、成形型に注入して硬化反応させた後、脱型すれば、所定形状に成形された光弾性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
プレポリマー法は、例えば、まず、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分の一部(例えば、高分子量ポリオール)とを反応させて、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端プレポリマーを合成する。次に、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素基含有成分の残部(鎖伸長剤:例えば、低分子量ポリオール(および必要により高分子量ポリオール、モノオール))とを反応(鎖伸長)させて、硬化反応させる。
イソシアネート基末端プレポリマーを合成するには、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分の一部とを、イソシアネートインデックス(NCO濃度/水酸基濃度×100)が、例えば、110〜2,000、好ましくは、150〜1,000となるように処方(混合)し、反応容器中にて、例えば、室温〜150℃、好ましくは、40℃〜120℃で、例えば、0.5時間〜18時間、好ましくは、2時間〜10時間、反応させる。
上記したイソシアネート基末端プレポリマーは、公知の溶媒の存在下で、合成することができる。
また、上記したイソシアネート基末端プレポリマーの合成後に、例えば、薄膜蒸留法などの蒸留法、例えば、液−液抽出法などの抽出法などの除去方法によって、溶媒および未反応のポリイソシアネート成分を除去することもできる。
得られたイソシアネート基末端プレポリマーは、そのイソシアネート当量が、例えば、80〜2,000、好ましくは、100〜1,000である。
次に、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素基含有成分の残部とを反応させるには、イソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素基含有成分の残部とを、イソシアネートインデックス(NCO濃度/水酸基濃度×100)が、例えば、50〜200、好ましくは、75〜125となるように処方(混合)し、成形型に注入して、例えば、0℃〜250℃、好ましくは、室温(20℃)〜150℃で、例えば、1分間〜7日間、好ましくは、10分間〜2日間、硬化反応させる。
この硬化反応においても、上記と同様のウレタン化触媒を、上記と同様の配合割合で添加することができる。また、この硬化反応は、公知の溶媒の存在下で実施することもできる。
そして、成形型に注入して硬化反応させた後、脱型すれば、所定形状に成形された光弾性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
このような光弾性ポリウレタン樹脂は、光弾性、つまり、応力の発生により、成形体の内部を通過する光(例えば、レーザ光など)に複屈折を生じさせることができる。そのため、センサとして好適に用いることができる。
また、上記のポリウレタン樹脂組成物または光弾性ポリウレタン樹脂には、必要に応じて、例えば、消泡剤、可塑剤、レベリング剤、艶消し剤、難燃剤、揺変剤、粘着付与剤、増粘剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、反応遅延剤、脱水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、耐候安定剤などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
光弾性ポリウレタン樹脂の25℃における光弾性定数は、例えば、1000×10−12Pa−1以上、好ましくは、2000×10−12Pa−1以上、より好ましくは、3000×10−12Pa−1以上、より一層好ましくは、3500×10−12Pa−1以上であり、さらに好ましくは、4000×10−12Pa−1以上であり、例えば、100000×10−12Pa−1以下、好ましくは、10000×10−12Pa−1以下、より好ましくは、6000×10−12Pa−1以下、より一層好ましくは、5500×10−12Pa−1以下である。
すなわち、光弾性ポリウレタン樹脂の25℃における光弾性定数は、1000×10−12Pa−1以上、100000×10−12Pa−1以下であることが好ましい。
光弾性定数が上記した下限を超過することにより、優れた光弾性を確保することができる。
光弾性ポリウレタン樹脂の光弾性定数は、「築地光雄、高和宏行、田實佳郎著“光学フィルム用・光弾性定数測定システムの開発”、精密学会誌73、253−258(2007)」の「光弾性定数測定方法」の記載に準拠して測定することができる。
また、光弾性定数の測定とともに、光弾性ポリウレタン樹脂の歪光学定数とヤング率とが求められる。
光弾性ポリウレタン樹脂の歪光学定数は、光弾性ポリウレタン樹脂の変形量に対する、かかる変形によって発生する複屈折の強さの割合を示す。
光弾性定数、歪光学定数およびヤング率は、下記式(5)を満足する。
光弾性定数=歪光学定数÷ヤング率 (5)
従って、光弾性ポリウレタン樹脂の光弾性定数を上記した所望の範囲に設定するには、歪光学定数およびヤング率を調整することが好ましい。
具体的には、歪光学定数が高いほど、また、ヤング率が低いほど、光弾性定数が高くなるが、ヤング率が過度に低いと、成形性が低下する場合がある。
そのため、光弾性ポリウレタン樹脂の25℃におけるヤング率は、例えば、2MPa以上、好ましくは、3MPa以上であり、例えば、5MPa以下である。
すなわち、光弾性ポリウレタン樹脂の25℃におけるヤング率は、2MPa以上5MPa以下であることが好ましい。
光弾性ポリウレタン樹脂のヤング率が上記した範囲未満である場合には、光弾性ポリウレタン樹脂が軟らか過ぎて傷付き易く、加工性が低下する場合がある。光弾性ポリウレタン樹脂のヤング率が上記した範囲を超過する場合には、光弾性ポリウレタン樹脂が硬すぎるため、光弾性が低下する場合がある。
好ましくは、上記した所望の光弾性定数を得るには、光弾性ポリウレタン樹脂の25℃におけるヤング率が2MPa以上、3MPa以下の場合には、25℃の歪光学定数が、例えば、6000×10−6以上(通常、10000×10−6以下)であり、光弾性ポリウレタン樹脂の25℃のヤング率が3MPaを超過し5MPa以下の場合には、25℃の歪光学定数は、例えば、10000×10−6以上(通常、20000×10−6以下)である。
光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、例えば、−60℃以上、好ましくは、−40℃以上、より好ましくは、−35℃以上、より一層好ましくは、−30℃以上であり、例えば、−21℃以下、好ましくは、−25℃以下である。
すなわち、光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、−60℃〜−21℃であることが好ましい。
光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が上記した下限未満である場合には、光弾性ポリウレタン樹脂の加工性および耐傷付き性が低下する場合がある。
また、光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が、上記した上限以上である場合には、上記した所望の光弾性定数を得にくくなる場合がある。
光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置を用いて、周波数10Hzで、温度分散モード(昇温速度5℃/min)の測定により、得ることができる。
また、上記したガラス転移温度の測定では、同時に、貯蔵伸長弾性率E’、損失伸長弾性率E’’および損失正接tanδが得られる。
光弾性ポリウレタン樹脂の25℃における貯蔵伸長弾性率E’は、例えば、1×10Pa〜1×10Paであり、25℃における損失伸長弾性率E’’は、例えば、1×10Pa〜1×10Paであり、25℃における損失正接tanδは、例えば、0.01〜0.2である。
また、光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が、上記した上限以上である場合には、低温でのセンサの応答時間が長くなる(応答速度が遅くなる)場合がある。
なお、センサの応答時間は、好ましくは、100ミリ秒以内、より好ましくは10ミリ秒以内、さらに好ましくは1ミリ秒以内である。センサの応答時間が上記範囲内であると、対象物との接触を検知して確実にロボットを制御できる。
また、センサの使用環境の温度は、例えば、−10℃以上であり、例えば、40℃以下である。
ここで、センサの使用環境の温度が低下し、センサの使用環境の温度と、光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度とが近似すると、光弾性ポリウレタン樹脂の損失伸長弾性率E’’が上昇し、外力に対する応答速度が遅くなる傾向がある。
光弾性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が、上記した上限以下である場合には、使用環境の温度が−10℃であっても、外力に対する応答速度を確保することができる。
<発光部材>
本実施形態の検知部材は発光部材を備える。発光部材は圧力検知部材に向けて光を出射する部材である。
発光部材としては、例えば、発光ダイオード(LED)を挙げることができる。LEDとしては、赤色LED、白色LED、赤外線LED、緑色LED、青色LEDなどの各種LEDを用いることができる。LEDの他には、例えば半導体レーザ(波長405nm〜1064nm)、蛍光灯、ハロゲンランプ、タングステンランプなども用いることができる。
本実施形態の検知部材において、発光部材は第1位置に配置される。第1位置は、圧力検知部材に向けて光を出射して、出射した光が圧力検知部材に入射できる位置であれば特に限定されない。また、発光部材の数も限定されない。
<受光部材>
本実施形態の検知部材は受光部材を備える。受光部材は、発光部材から出射され、かつ圧力検知部材を通過した光を受光する部材である。
受光部材としては、例えば、フォトダイオードを使用することができる。また、通常のフォトダイオードの他、フォトICダイオードを用いることもできる。フォトICダイオードは、通常のフォトダイオードの内部に、光電流の増幅回路が内蔵され、フォトダイオードで発生した光電流を1000倍〜数1000倍に増幅し、外部に出力する。なお、通常のフォトダイオードを用いる場合、フォトダイオードに公知の増幅回路を接続し、光電流を1000倍〜10000倍程度に増幅することが好ましい。
また、フォトダイオード以外の受光部材として、公知の検知器を用いてもよい。公知の検知器として、例えばフォトトランジスター、CdSセルなどの光導電型の検知器や、ボロメータなどの感熱型の光検知器などを用いることもできる。
本実施形態の検知部材において、受光部材は第1位置と異なる第2位置に配置される。第2位置は、発光部材からの光を、圧力検知部材を経て受光できる位置であれば特に限定されない。また、受光部材の数も限定されない。
また、図5、図6に示されるように、発光部材(符号18)と受光部材(符号20)とが近接している場合には、フォトリフレクタやフォトインタプラタと呼ばれる、発光部材(発光素子)と受光部材(受光素子)とが一体化した素子を用いてもよい。
<第一偏光部材>
本実施形態の検知部材は第一偏光部材を備える。第一偏光部材は、発光部材から出射され、圧力検知部材に入射される光(光線)を、直線偏光光線、又は円偏光光線に変換する部材である。第一偏光部材には、ガラス製や樹脂製の直線偏光板ないし円偏光板を用いることができる。
第一偏光部材の偏光方向は、圧力検知部材の上面とおよそ45°の角度をなすことが好ましい。なお、発光部材に偏光面が一定のレーザ光を用いる場合には、レーザ光が既に偏光しているため、第一偏光部材を用いなくてもよい。
<第二偏光部材>
本実施形態の検知部材は第二偏光部材を備える。第二偏光部材は、圧力検知部材を通過した光(光線)を、受光部材の手前で直線偏光光線ないし円偏光光線に変換する部材である。第二偏光部材には、ガラス製や樹脂製の直線偏光板ないし円偏光板を用いることができるが、第一偏光部材が直線偏光板の場合には、第二偏光部材も直線偏光板を用いるのが好ましい。第二偏光部材の偏光方向は、第一偏光部材の偏光方向に対して90°の角度を成すことが好ましい。
また、第一偏光部材が円偏光板の場合には、第二偏光部材も円偏光板を用いるのが好ましい。円偏光板には右円偏光板と左円偏光板があるが、一方が右偏光板である場合には、他方は左偏光板であることが好ましい。
<反射部材>
本実施形態の検知部材は反射部材を備えることがある。具体的には、図5、図6に示されるように、発光部材(符号18)と受光部材(符号20)とが近接している場合には、検知部材は反射部材を備える。反射部材(符号72)は、発光部材から出射され、圧力検知部材を通過した光を、圧力検知部材側に反射し、再度圧力検知部材を通過させ、受光部材に受光させる部品である。反射部材は、光を散乱せずに反射する材料で形成されることが好ましく、反射部材には、金属の板、ガラス板に金属薄膜をコーティングしたもの、樹脂フィルムに金属薄膜をコーティングしたもの、再帰性反射部材などが用いられる。
反射部材を用いた場合には、図5、図6に示されるように、偏光部材は、一個(一種類)でよい。反射部材により反射した偏光の位相差が180°変化する。具体的には、直線偏光の場合には、偏光の角度が90°回転する。また、円偏光の場合には、円偏光の回転方向が反転する。このため、圧力検知部材に入射した入射光は、圧力検知部材の内部で複屈折が生じなければ、受光部材へ戻ることが出来ず、圧力に応じて受光量が増加することになる。
<第一導光部材、第二導光部材>
本実施形態の検知部材は第一導光部材、第二導光部材を備えることがある。具体的には、図6に示されるように、発光部材と受光部材とが近接している場合には、検知部材は第一導光部材(符号82)、第二導光部材(符号84)を備える。
第一導光部材(光ファイバ)は、発光部材から出射された光を、偏光部材まで導く部材である。また、第二導光部材(光ファイバ)は、偏光部材を通過した光を、受光部品まで導く部材である。第一導光部材、第二導光部材は、光ファイバであれば特に限定されず、第一導光部材、第二導光部材には、ガラス製ないし樹脂製の光ファイバなどを用いることができる。
<接触部材>
本実施形態の検知部材は接触部材を備えることがある。接触部材は、圧力検知部材へ、均一な圧力を伝達する部材である。さらに、図2、図4に示されるように、接触部材(符号42)は、計測対象部品である把持対象物(図10、図11の符号200参照)が接触部材のどの部分に接触しても圧力検知部材へ力が伝達されるように配置されている。
また、図11に示されるように、把持対象物が圧力検知部材(符号54)に直接接触することがないため、圧力検知部材の破損や汚れを抑制することができる。
しかし、接触部材を用いることなく、把持対象物が直接圧力検知部材に接触するようにしてもよい。これにより、把持対象物との接触が、高感度に検知されることがある。また、接触部材を用いない場合には、圧力検知部材の板面を平面ではなく、圧力検知部材の中央部分が把持対象物に接触するように、圧力検知部材の板面を曲面にすることができる。圧力検知部材の板面が曲面であっても、発光部材からの光は圧力検知部材の曲面に沿って受光部材まで伝搬し、圧力を検知することができる。
<ずり力検知部材>
本実施形態の検知部材はずり力検知部材を備える。ずり力検知部材は、圧力検知部材に生じたずり応力を検出する部材である。ずり力検知部材は圧力検知部材の内部に埋設してもよく、または、圧力検知部材に接触した緩衝部材(図3〜図6の符号56参照)の内部に埋設してもよい。
ずり力検知部材は、圧力検知部材に加えられたずり応力(図1のX軸方向、又はY軸方向に負荷されたせん断力)を検知できるように配置されればよく、特に形状は限定されない。しかし、配置のし易さの観点から、ずり力検知部材は、長尺状(例えば、リボン状、線状、薄膜状)であることが好ましい。
ずり力検知部材として、長尺状の導体と、導体に対して一方向に螺旋状に巻回された長尺状の圧電体とを備えている棒形状の部材を用いることが好ましい。
以下、好ましい形態のずり力検知部材に含まれる長尺状の導体(以下「導体」)と、長尺状の圧電体(以下「圧電体」)とについて説明する。
(導体)
導体(例えば内部導体)は、信号線導体であることが好ましい。
信号線導体とは、圧電体から効率的に電気的信号を検出するための導体をいう。具体的には、ずり力検知部材に張力が作用したときに、作用した張力に応じた電圧信号(電荷信号)を検出するための導体である。
導体としては、電気的な良導体であることが好ましく、例えば、銅線、アルミ線、SUS線、絶縁皮膜被覆された金属線、カーボンファイバ、カーボンファイバと一体化した樹脂繊維、錦糸線、有機導電材料等を用いることが可能である。錦糸線とは、繊維に銅箔がスパイラルに巻回されたものをいう。
(圧電体)
圧電体は、有機圧電材料を含むことが好ましい。
有機圧電材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、光学活性を有するヘリカルキラル高分子、シルク繊維等を挙げることができる。中でも、光学活性を有するヘリカルキラル高分子が好ましく、特にポリ乳酸(PLA)が好ましい。
以下では、光学活性を有するヘリカルキラル高分子を、ヘリカルキラル高分子(A)と称する。
圧電体が、有機圧電材料として光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)含む場合、ヘリカルキラル高分子(A)は、圧電性をより向上させる観点から、光学純度が95.00%ee以上であることが好ましい。
また、ヘリカルキラル高分子(A)は、圧電性をより向上させる観点から、D体又はL体からなることが好ましい。
ヘリカルキラル高分子(A)の含有量は、圧電性をより向上させる観点から、圧電体の全量に対し、80質量%以上であることが好ましい。
(ずり力検知部材の好ましい態様)
ずり力検知部材は、長尺状の導体と、導体に対して一方向に螺旋状に巻回された長尺状の圧電体とを備え、かつ圧電体が有機圧電材料を含むことが好ましい。
ずり力検知部材の好ましい態様としては、具体的には、以下の態様A〜Tが挙げられる。
−態様A−
ずり力検知部材が、長尺状の導体と、前記導体に対して一方向に螺旋状に巻回された長尺状の第1の圧電体と、を備え、
前記第1の圧電体が、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、
前記第1の圧電体の長さ方向と、前記第1の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であり、
X線回折測定から下記式(a)によって求められる前記第1の圧電体の配向度Fが0.5以上1.0未満の範囲である態様。
配向度F=(180°―α)/180°・・(a)
αは配向由来のピークの半値幅(単位:°)を表す。
−態様B−
態様Aのずり力検知部材において、
前記導体が内部導体であり、
前記第1の圧電体が、前記内部導体の外周面に沿って一方向に螺旋状に巻回されている態様。
−態様C−
態様Bのずり力検知部材において、
さらに、前記一方向とは異なる方向に螺旋状に巻回された長尺状の第2の圧電体を備え、
前記第2の圧電体が、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、
前記第2の圧電体の長さ方向と、前記第2の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であり、
X線回折測定から前記式(a)によって求められる前記第2の圧電体の配向度Fが0.5以上1.0未満の範囲であり、
前記第1の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティと、前記第2の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティと、が互いに異なる態様。
−態様D−
態様Bのずり力検知部材において、
さらに、前記内部導体の外周面に沿って螺旋状に巻回された第1の絶縁体を備え、
前記第1の絶縁体が、前記第1の圧電体から見て、前記内部導体とは反対側に配置されている態様。
−態様E−
態様Bのずり力検知部材において、
さらに、前記内部導体の外周面に沿って螺旋状に巻回された第1の絶縁体を備え、
前記第1の絶縁体が、前記内部導体と前記第1の圧電体との間に配置されている態様。
−態様F−
態様Bのずり力検知部材において、
さらに、前記一方向とは異なる方向に巻回された長尺状の第2の圧電体を備え、
前記第2の圧電体が、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、
前記第2の圧電体の長さ方向と、前記第2の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であり、
X線回折測定から前記式(a)によって求められる前記第2の圧電体の配向度Fが0.5以上1.0未満の範囲であり、
前記第1の圧電体と前記第2の圧電体とは交互に交差された組紐構造をなし、
前記第1の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティと、前記第2の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティと、が互いに異なる態様。
−態様G−
態様Bのずり力検知部材において、
さらに、前記内部導体の外周面に沿って巻回された第1の絶縁体を備え、
前記第1の圧電体と前記第1の絶縁体とは交互に交差された組紐構造をなす態様。
−態様H−
態様B〜Gの何れか1つのずり力検知部材において、
前記第1の圧電体が、前記内部導体の軸方向に対して、15°〜75°の角度を保持して巻回されている態様。
−態様I−
態様B〜Hの何れか1つのずり力検知部材において、
前記第1の圧電体が、単数又は複数の束からなる繊維形状を有し、
前記第1の圧電体の断面の長軸径が、0.0001mm〜10mmである態様。
−態様J−
態様A〜Hの何れか1つのずり力検知部材において、
前記第1の圧電体が長尺平板形状を有し、
前記第1の圧電体の厚さが0.001mm〜0.2mmであり、
前記第1の圧電体の幅が0.1mm〜30mmであり、
前記第1の圧電体の厚さに対する前記第1の圧電体の幅の比が2以上である態様。
なお、態様Jにおける第1の圧電体は、長尺平板形状を有することが好ましい。
長尺平板状の圧電体の「主面」とは、長尺平板状の圧電体の厚さ方向に直交する面(言い換えれば、長さ方向及び幅方向を含む面)を意味する。
−態様K−
態様A〜Jの何れか1つのずり力検知部材において、
前記第1の圧電体は、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の安定化剤(B)を、前記ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対して0.01質量部〜10質量部含む態様。
−態様L−
態様Kのずり力検知部材において、
さらに、前記第1の圧電体の少なくとも一方の主面の側に配置された機能層を備える態様。
−態様M−
態様Lのずり力検知部材において、
前記機能層が、易接着層、ハードコート層、帯電防止層、アンチブロック層、保護層、及び電極層のうちの少なくとも一つを含む態様。
−態様N−
態様L又は態様Mのずり力検知部材において、
前記機能層が、電極層を含む態様。
−態様O−
態様Nのずり力検知部材において、
前記第1の圧電体と、前記機能層と、を含む積層体の表面層の少なくとも一方が、前記電極層である態様。
−態様P−
態様Aのずり力検知部材において、
前記導体と前記第1の圧電体とが、互いに捩り合わされている態様。
−態様Q−
態様Pのずり力検知部材において、
前記第1の圧電体が、単数又は複数の束からなる繊維形状を有し、
前記第1の圧電体の断面の長軸径が、0.0001mm〜2mmである態様。
−態様R−
態様A〜Qの何れか1つのずり力検知部材において、
前記導体が錦糸線である態様。
−態様S−
態様A〜Rの何れか1つのずり力検知部材において、
前記導体及び前記第1の圧電体の間に接着層を備える態様。
−態様T−
態様A〜Sの何れか1つのずり力検知部材において、
前記第1の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)が、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である態様。
上記好ましい態様(態様A〜T)のずり力検知部材において、第1の圧電体及び第2の圧電体は、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含む圧電体である。第1の圧電体と第2の圧電体とは同一であっても異なるものであってもよい。ただし、第1の圧電体及び第2の圧電体にそれぞれ含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティは、圧電感度及び圧電出力を向上させる観点から、適宜選択することが好ましい。
また、第1の絶縁体としては特に限定されない。第1の絶縁体の形状は、導体に対する巻回のし易さの観点から、長尺形状であることが好ましい。
上記好ましい態様のずり力検知部材では、第1の圧電体がヘリカルキラル高分子(A)を含むこと、第1の圧電体の長さ方向とヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向とが略平行であること、及び、第1の圧電体の配向度Fが0.5以上1.0未満であることにより圧電性が発現される。
その上で、上記好ましい態様のずり力検知部材は、上記第1の圧電体が、導体に対して一方向に螺旋状に巻回された構成をなす。
上記好ましい態様のずり力検知部材では、第1の圧電体を上記のように配置することにより、ずり力検知部材の長さ方向に張力(応力)が作用したときに、ヘリカルキラル高分子(A)にずり力が加わり、ずり力検知部材の径方向にヘリカルキラル高分子(A)の分極が生じる。その分極方向は、螺旋状に巻回された第一の圧電体を、その長さ方向に対して平面と見做せる程度の微小領域の集合体とみなした場合、その構成する微小領域の平面に、張力(応力)に起因したずり力がヘリカルキラル高分子に作用した場合、圧電応力定数d14に起因して発生する電界の方向と略一致する。
具体的には、例えばポリ乳酸においては、分子構造が左巻き螺旋構造からなるL−乳酸のホモポリマー(PLLA)の場合、PLLAの主配向方向と長さ方向が略平行な第1の圧電体を、導体に対して、左巻きに螺旋状に巻回した構造体に、張力(応力)が作用すると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。また、これとは逆にPLLAの主配向方向と長さ方向が略平行な第1の圧電体を、導体に対して、右巻きに螺旋状に巻回した構造体に、張力(応力)が作用した場合、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。
また、例えば、分子構造が右巻き螺旋構造からなるD−乳酸のホモポリマー(PDLA)の場合、PDLAの主配向方向と長さ方向が略平行な第1の圧電体を、導体に対して、左巻きに螺旋状に巻回した構造体に、張力(応力)が作用すると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。また、これとは逆にPDLAの主配向方向と長さ方向が略平行な第1の圧電体を、導体に対して、右巻きに螺旋状に巻回した構造体に、張力(応力)が作用すると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。
これにより、ずり力検知部材の長さ方向に張力が作用した場合に、螺旋状に配置された第1の圧電体の各部位において、張力に比例した電位差が位相の揃った状態で発生するため、効果的に張力に比例した電圧信号が検出されると考えられる。
従って、上記好ましい態様のずり力検知部材によれば、圧電感度に優れ、圧電出力の安定性にも優れたずり力検知部材が得られる。
特に、ヘリカルキラル高分子(A)として、非焦電性のポリ乳酸系高分子を用いたずり力検知部材は、焦電性のPVDFを用いたずり力検知部材に比べ、圧電感度の安定性、及び圧電出力の安定性(経時又は温度変化に対する安定性)がより向上する。
ここで、第1の圧電体の長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であることは、第1の圧電体が長さ方向への引張に強い(即ち、長さ方向の引張強度に優れる)という利点を有する。従って、第1の圧電体を、導体に対して一方向に螺旋状に巻回しても破断しにくくなる。
更に、第1の圧電体の長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であることは、例えば、延伸された圧電フィルムをスリットして第1の圧電体(例えばスリットリボン)を得る場合の生産性の面でも有利である。
「略平行」とは、2つの線分のなす角度が、0°以上30°未満(好ましくは0°以上22.5°以下、より好ましくは0°以上10°以下、更に好ましくは0°以上5°以下、特に好ましくは0°以上3°以下)であることを指す。
また、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向とは、ヘリカルキラル高分子(A)の主たる配向方向を意味する。ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、第1の圧電体の配向度Fを測定することによって確認できる。
また、原料を溶融紡糸した後にこれを延伸して、第1の圧電体を製造する場合、製造された第1の圧電体におけるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、主延伸方向を意味する。主延伸方向とは、延伸方向を指す。
同様に、フィルムの延伸及び延伸されたフィルムのスリットを形成して第1の圧電体を製造する場合、製造された第1の圧電体におけるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、主延伸方向を意味する。ここで、主延伸方向とは、一軸延伸の場合には延伸方向を指し、二軸延伸の場合には、延伸倍率が高い方の延伸方向を指す。
上記好ましい態様のずり力検知部材は、長尺状の導体が内部導体であり、長尺状の第1の圧電体が、内部導体の外周面に沿って一方向に螺旋状に巻回されていることが好ましい。
導体として、内部導体を用いることにより、内部導体の軸方向に対して、第1の圧電体が螺旋角度βを保持して一方向に螺旋状に配置されやすくなる。
「螺旋角度β」とは、導体の軸方向と、導体の軸方向に対して第1の圧電体が配置される方向(第1の圧電体の長さ方向)とがなす角度を意味する。
これにより、例えば、ずり力検知部材の長さ方向に張力が作用したときに、ヘリカルキラル高分子(A)の分極が、ずり力検知部材の径方向に発生しやすくなる。この結果、効果的に張力に比例した電圧信号(電荷信号)が検出される。
さらに、上記好ましい態様のずり力検知部材(但し、態様B〜O、態様R〜T)は、同軸ケーブルに備えられる内部構造(内部導体及び誘電体)と同一の構造となり得るため、例えば、上記ずり力検知部材を同軸ケーブルに適用した場合、電磁シールド性が高く、ノイズに強い構造となり得る。
(ずり力検知部材の配置)
長尺状とされたずり力検知部材は、図1〜図6に示されるように、圧力検知部材の板面に沿って配置されていれば、ずり力検知部材の形状には、特に限定は無い。例として、図7には、Z軸方向から見たずり力検知部材の配置を示す。
<緩衝部材>
本実施形態の検知部材は緩衝部材を備えることがある。緩衝部材は、弾性材料で形成されており、圧力検知部材に生じたずり応力をずり力検知部材に伝達させる部材である。図3〜図6に示されるように、緩衝部材(符号56)は、ずり力検知部材が圧力検知部材の内部に埋設されていない場合に用いられる。ここで、「弾性材料」とは、アスカー硬度で50度以下の材料である。
具体的には、緩衝部材は、圧力検知部材に形成された板面(XY平面)に、面接触するように配置されており、ずり力検知部材は、緩衝部材の内部に埋設されている。これにより、緩衝部材は、圧力検知部材に生じたXY平面に対して平行なずり力をずり力検知部材に伝搬させることができる。
なお、緩衝部材の材料については特に限定されず、ゲル状、あるいはスポンジ状の材料などが用いられる。緩衝部材の材料については 圧力検知部材に生じたずりの力を受けてずり方向へ自ら変形し、ずり力検知部材にずりの力を伝搬させることができる材料であればよい。また、緩衝部材を用いる場合には、圧力検知部材の作製をずり力検知部材とは別に行うことができるため、製造上の利点がある。
〔検知部材の具体例〕
検知部材の具体例について、図1〜図6に従って説明する。なお、図中に示す矢印Xは部材の上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Yは部材の幅方向(水平方向)を示し、矢印Zは部材の奥行方向(水平方向)を示す。また、本実施形態は、以下の具体例に限定されることはない。
<第1具体例に係る検知部材>
先ず、第1具体例に係る検知部材10について説明する。検知部材10は、図1に示されるように、板状の基材12の上面に載せされた圧力検知部材14と、発光部材18と、受光部材20と、第一偏光部材24と、第二偏光部材26と、ずり力検知部材32とを備えている。
圧力検知部材14は、板面が奥行方向を向く厚板状とされており、幅方向に延びている。発光部材18と受光部材20とは、幅方向から圧力検知部材14を挟むように配置されている。そして、発光部材18が、圧力検知部材14に対して幅方向の一方側(図中左側)に配置され、受光部材20が、圧力検知部材14に対して幅方向の他方側(図中右側)に配置されている。さらに、第一偏光部材24は、幅方向において、発光部材18と圧力検知部材14との間に配置されており、第二偏光部材26は、幅方向において、受光部材20と圧力検知部材14との間に配置されている。また、ずり力検知部材32は、幅方向に延びる長尺状とされている。さらに、ずり力検知部材32は、圧力検知部材14の内部で、かつ、圧力検知部材14の板面に沿って配置されており、ずり力検知部材32の一部は、圧力検知部材14の幅方向の他端から突出している。
ずり力検知部材32は、図7(A)、(B)、(C)、(D)、(E)に示されるように、奥行方向(Z軸方向)から見て、種々の配置が可能であるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
この構成において、発光部材18から出射された光は、第一偏光部材24、圧力検知部材14、及び第二偏光部材26をこの順番で通過して、受光部材20によって受光される。
<第2具体例に係る検知部材>
次に、第2具体例に係る検知部材40について説明する。なお、検知部材40については、検知部材10と異なる部分を主に説明する。検知部材40は、図2に示されるように、接触部材42を備えている。
接触部材42は、圧力検知部材14の板面14aに面接触するように配置されている。具体的には、接触部材42は、圧力検知部材14の板面14aに接触する板面42a、及び反対側を向いた板面42bを有している。
<第3具体例に係る検知部材>
次に、第3具体例に係る検知部材50について説明する。なお、検知部材50については、検知部材10と異なる部分を主に説明する。検知部材50は、図3に示されるように、圧力検知部材54と、緩衝部材56とを備えている。
圧力検知部材54は、検知部材10の圧力検知部材14(図1参照)と比して、奥行方向の厚さが薄くされている。そして、緩衝部材56は、板面が奥行方向を向く板状とされており、奥行方向において、基材12と圧力検知部材54との間に配置されている。
また、ずり力検知部材32は、緩衝部材56の内部に埋設されており、ずり力検知部材32の一部は、緩衝部材56の幅方向の他端から突出している。
<第4具体例に係る検知部材>
次に、第4具体例に係る検知部材60について説明する。なお、検知部材60については、検知部材50と異なる部分を主に説明する。検知部材60は、図4に示されるように、接触部材42を備えている。
接触部材42は、圧力検知部材54の板面54aに接触するように配置されている。具体的には、接触部材42は、圧力検知部材54の板面54aに接触する板面42a、及び反対側を向いた板面42bを有している。
<第5具体例に係る検知部材>
次に、第5具体例に係る検知部材70について説明する。なお、検知部材70については、検知部材10と異なる部分を主に説明する。検知部材70は、図5に示されるように、緩衝部材56と、反射部材72と、偏光部材74とを備えている。
緩衝部材56は、板面が奥行方向を向く板状とされており、奥行方向において、基材12と圧力検知部材14との間に配置されている。また、ずり力検知部材32は、緩衝部材56の内部に埋設されており、ずり力検知部材32の一部は、緩衝部材56の幅方向の他端から突出している。
発光部材18及び受光部材20は、圧力検知部材14に対して幅方向の他端側に配置されている。さらに、発光部材18及び受光部材20は、奥行方向に並んで配置されている。
反射部材72は、圧力検知部材14を挟んで、発光部材18及び受光部材20の反対側に配置されている。また、偏光部材74は、幅方向において、発光部材18及び受光部材20と、圧力検知部材14との間に配置されている。
この構成において、発光部材18から出射された光は、偏光部材74及び圧力検知部材14を通過して、反射部材72によって反射され、再度圧力検知部材14及び偏光部材74を通過して、受光部材20によって受光される。これにより、光の光路Lは、V字状となる。
<第6具体例に係る検知部材>
次に、第6具体例に係る検知部材80について説明する。なお、検知部材80については、検知部材70と異なる部分を主に説明する。検知部材80は、図6に示されるように、第一導光部材82と、第二導光部材84とを備えている。第一導光部材82は、幅方向において、偏光部材74と発光部材18との間に配置されており、第二導光部材84は、幅方向において、偏光部材74と受光部材20との間に配置されている。
〔検知部材の作用〕
次に、検知部材10、40、50、60、70、80(以下「検知部材10〜80」)の作用について説明する。検知部材10〜80では、以下の作用1、2が生じる。
<作用1>
検知部材10〜80の圧力検知部材14、54に、圧力検知部材14、54の板面に対して垂直方向の力が負荷されると、圧力検知部材14、54の光弾性ウレタン樹脂の内部で光弾性による複屈折が生じる。そして、発光部材18から出射された光は、圧力検知部材14、54に入射する。圧力検知部材14、54に入射して幅方向(Y軸方向)に進む光(光線)としての偏光(直線偏光又は円偏光)は、光弾性ウレタン樹脂の内部で、伝搬速度に差が生じる。そして、Z軸成分の電気ベクトルの波と、X軸成分の電気ベクトルの波との間の位相差が変化する。その結果、第二偏光部材26又は偏光部材74を通過できる光の量が変化し、受光部材20で検知される光の強度が変化する。
<作用2>
検知部材10〜80の圧力検知部材14、54に、圧力検知部材14、54の板面に沿った力が負荷されると、負荷された力がずり力検知部材32に伝達され、ずり力検知部材32に張力が生じる。そうすると、ずり力検知部材32に含まれる有機圧電材料(例えばヘリカルキラル高分子)にずり力が付与され、このずり力によってずり力検知部材32の径方向に有機圧電材料の分極が生じる。さらに、有機圧電材料の分極が生じることで、圧電効果によって張力に比例した電荷(電界)が発生する。これ電圧信号として取り出すことにより、ずり力が検知される。
<具体的構成>
次に、検知部材の具体的構成について、図8(A)(B)に従って説明する。なお、本具体的構成については、第4具体例に係る検知部材60(図4参照)を具体化したものである。
図8(A)(B)に示されるように、樹脂製の検知部材ケース100の内部には、発光部材18としての赤外線レーザと、第一偏光部材24としての直線偏光子と、圧力検知部材54としての光弾性ウレタンと、第二偏光部材26としての直線偏光子とが配置されている。さらに、検知部材ケース100(以下「ケース100」)の内部には、受光部材20としてのフォトダイオードと、ずり力検知部材32としての圧電ラインと、緩衝部材56としての弾性接着剤の層とが配置されている。
また、一部がケース100の外部に配置された接触部材42が設けられている。接触部材42は、圧力検知部材54としての光弾性ウレタン樹脂と接触する板状の接触部42cと、ケース100の外部に配置された板状の支持部42dと、接触部42cと支持部42dとを連結する連結部42eとを有している。そして、接触部42cの板面、及び支持部42dの板面は、奥行方向を向いている。
第一偏光部材24は、第一偏光部材24の偏光方向が、xy平面に配して45°傾くように配置されている。また、第二偏光部材26は、第二偏光部材26の偏光方向が、第一偏光部材24の偏光方向に対して90°傾くように配置されている。
また、圧力検知部材54としての光弾性ウレタン樹脂の幅方向の長さ(図中L1)は、30mmとされ、この光弾性ウレタン樹脂の奥行方向の長さ(図中L2)は、3mmとされ、この光弾性ウレタン樹脂の上下方向の長さ(図中L3)は、10mmとされている。さらに、ケース100の幅方向の長さ(図中L4)は、60mmとされ、ケース100の奥行方向の長さ(図中L5)は、15mmとされ、ケース100の上下方向の長さ(図中L6)は、20mmとされている。また、ケース100の端部から接触部材42の端部までの、奥行方向の距離(図中L7)は、22mmとされている。
この具体的構成の検知部材を実験に用いる場合には、発光部材18としての赤外線レーザの配線に直流電源を接続し、受光部材20としてのフォトダイオードの配線に検出回路を接続し、ずり力検知部材32としての圧電ラインの配線に増幅回路を接続する。
<ロボットハンド>
次に、第4具体例に係る検知部材60(図4参照)を備えたロボットハンドについて、図10、図11に従って説明する。
ロボットハンド150は、図10に示されるように、奥行方向に離間する一対の指部152、154と、一対の指部152、154を支持すると共に一対の指部152、154を近接離間させるジョイント部158とを備えている。さらに、ロボットハンド150は、ジョイント部158に一端が連結されたアーム部160を備えている。
指部152、154は、幅方向に延びており、ジョイント部158は、一端で指部152を支持し、他端で指部154を支持している。そして、ジョイント部158は、図示せぬ駆動機構を備えており、一対の指部152、154を近接離間させるようになっている。さらに、アーム部160は、図示せぬ駆動機構を備えており、一対の指部152、154、及びジョイント部158を、移動させるようになっている。
また、検知部材60は、検知部材60の接触部材42と指部152が奥行方向で離間するように、指部154に取り付けられている。
そして、ペットボトルである把持対象物200をフロアーF(図12参照)に載せた状態で、図10、図11に示されるように、一対の指部152、154を近接させることで、ロボットハンド150は、把持対象物200を把持するようになっている。また、ロボットハンド150が把持対象物200を把持すると、奥行方向(Z軸方向)の力が検知部材60に負荷され、検知部材60は、圧力検知部材54を用いて把持対象物200に負荷された力を検出するようになっている。
さらに、ロボットハンド150が把持対象物200を持ち上げようとすると、上下方向(X軸方向)又は幅方向(Y軸方向)の力(ずりの力)が、検知部材60に負荷され、検知部材60は、ずり力検知部材32を用いて把持対象物200に負荷された力を検出するようになっている。
ここで、ロボットハンド150による把持対象物200の把持が不完全であると、ロボットハンド150から把持対象物200が滑り落ちる場合がある。このような場合には、検知部材60によって検出される上下方向、又は幅方向の力が、時間の経過に対して断続的に変動する。換言すれば、ずり力(ずり応力)が、時間の経過に対して断続的に変動する。検知部材60は、ずり力検知部材32を用いてこのずり力の断続的な変動を、連続的に検出するようになっている。
このように、圧力検知部材54による検出(計測)と、ずり力検知部材32による検出(計測)とをほぼ同時に行うことで、ロボットハンド150が把持対象物200を把持できているか否かを、ロボットハンド150自身が判断することができるようになっている。
<検知部材の用途>
次に、検知部材の用途について説明する。本実施形態の検知部材は、計測対象物(把持対象物200)に負荷される力(圧力、衝撃)、及び計測対象物と検知部材と間の動摩擦によって生じる微小振動を同時に検出できる感圧センサとして利用することができる。
例えば、前述したロボットハンド150によって把持対象物200を把持し、持ち上げ、別の場所に移動させる場合に、検知部材は、把持対象物200の把持状態を検出するセンサとして利用することができる。
また、本実施形態の検知部材は、クッション材と組み合わせて、ロボットなどの衝突検知センサが付いたバンパーとして利用することができる。さらに、ベッドの内部、又は自動車等の座席の内部に本実施形態の検知部材を設置することで、検知部材は、人体の体重移動と呼吸との生体反応を同時に検出するセンサとして利用することができる。
<実施例>
次に、本実施形態に係る実施例について説明する。なお、本実施形態の実施例は、以下に記載する実施例に限定されるものではない。また、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
(圧力検知部材としての光弾性ポリウレタン樹脂の原料)
先ず、圧力検知部材としての光弾性ポリウレタン樹脂の原料について説明する。
A.高分子量ポリオール
PTG−1000(ポリテトラメチレンエーテルグリコール、水酸基価111.5mgKOH/g、保土谷化学社製)
B.低分子量ポリオール
トリメチロールプロパン(純正化学試薬)
C.イソシアネート
(1)3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI、日本曹達社製)
(2)4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI−PH、三井化学社製)
D.添加剤
酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)
(圧力検知部材としての光弾性ポリウレタン樹脂の作製)
次に、圧力検知部材としての光弾性ポリウレタン樹脂の作製について説明する。
ガラス製フラスコに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG−1000)を100質量部および酸化防止剤0.2質量部仕込み、減圧下、120℃で2時間乾燥し、温度を80℃に下げ、窒素で常圧に戻した。
次に、撹拌しながら3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネートを9.2質量部投入し、4時間反応させた。
次に、撹拌しながらトリメチロールプロパンを1質量部加え、温度を70℃に調整した。
次に、消泡剤を数滴加え、70℃で溶解した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを20.3質量部投入し、撹拌混合した。
その後、減圧下で30秒間脱泡し、窒素で常圧に戻した後、フラスコから取り出し、ポリウレタン組成物を得た。
次に、得られたポリウレタン組成物を、成形型(30cm×10cm×3mm)に流し込み、50℃で48時間硬化させることにより、厚さ3mmの光弾性ポリウレタン樹脂シートを得た。
これを縦30mm、横10mmの長さに切断して圧力検知部材としての光弾性ポリウレタン樹脂を得た。この光弾性ポリウレタン樹脂のシート材の25℃における光弾性定数及びヤング率を測定したところ、各々5000×10−12Pa−1、5.0MPaであった。また動的粘弾性測定(振動数10Hz)によりガラス転移温度を測定したところ、−30℃であった。
(ずり力検知部材に用いられるリボン状圧電体(スリットリボン)の作製)
次に、ずり力検知部材に用いられるリボン状圧電体(スリットリボン)の作製について説明する。
ヘリカルキラル高分子(有機圧電材料の一例)としてのNatureWorks LLC社製ポリ乳酸(品名:IngeoTM biopolymer、銘柄:4032D)100質量部に対して、安定化剤〔ラインケミー社製Stabaxol P400(10質量部)、ラインケミー社製Stabaxol I(70質量部)、及び日清紡ケミカル社製カルボジライトLA−1(20質量部)の混合物〕1.0質量部を添加し、ドライブレンドして原料を作製した。
作製した原料を押出成形機ホッパーに入れて、210℃に加熱しながらTダイから押し出し、50℃のキャストロールに0.3分間接触させて、厚さ150μmの予備結晶化シートを製膜した(予備結晶化工程)。前記予備結晶化シートの結晶化度を測定したところ6%であった。
得られた予備結晶化シートを70℃に加熱しながらロールツーロールで、延伸速度10m/分で延伸を開始し、3.5倍までMD方向に一軸延伸した(延伸工程)。得られたフィルムの厚さは49.2μmであった。
その後、前記一軸延伸フィルムを、ロールツーロールで、145℃に加熱したロール上に15秒間接触させアニール処理し、その後急冷を行って、圧電フィルムを作製した(アニール処理工程)。
その後、さらに圧電フィルムをスリット加工機を用いて、スリットする方向と圧電フィルムの延伸方向とが略平行となるように幅0.6mmでスリットした。これにより、リボン状圧電体として、幅0.6mm、厚さ49.2μmのスリットリボンを得て、これをリボン状圧電体とした。なお、得られたスリットリボンの断面形状は矩形であった。
(ずり力検知部材としての圧電ラインの作製)
次に、ずり力検知部材としての圧電ラインの作製について説明する。
先ず、内部導体(信号線導体)として、明清産業社製の錦糸線U24−01−00(線径0.26mm、長さ250mm)を準備した。
次に、前述した幅0.6mm、厚さ49.2μmのリボン状圧電体(スリットリボン)を錦糸線の周りに左巻きに、錦糸線の長軸方向に対して45°の方向を向くように(螺旋角度45°)、錦糸線が露出して見えないよう隙間なく、螺旋状に巻回し、錦糸線を包んだ。なお、「左巻き」とは、錦糸線(内部導体)の軸方向の一端から見たときに、錦糸線の手前側から奥側に向かってリボン状圧電体が左巻きで巻回していることをいう。
次に、幅0.6mmにスリットカットした接着剤付の銅箔リボンを準備した。この銅箔リボンを、前述したリボン状圧電体と同様の方法により、リボン状圧電体の周りに、リボン状圧電体が露出しないよう隙間なく巻回し、リボン状圧電体を包んだ。
以上のようにして、圧電ライン(ずり力検知部材の一例)を作製した。
(検知部材の作製)
次に、図8(A)(B)に示す検知部材と同様の構成の検知部材の作製について説明する。
先ず、ケース100に、発光部材18としての赤外線レーザ、第一偏光部材24、第二偏光部材26、及び受光部材20としてのフォトダイオードを配置した(取り付けた)。
さらに、前述した方法で作製されたずり力検知部材32としての圧電ラインをケース100の底部に、厚さ1mmに塗布した弾性接着剤(セメダインスーパーX(登録商標(セメダイン株式会社製)))を用いて固定した。なお、弾性接着剤は、緩衝部材56である。
また、前述した方法で作製された圧力検知部材としての30mm×10mm×3mmの光弾性ポリウレタン樹脂のシート材(以下「光弾性シート」)を、十分に固化した弾性接着剤の上に載せた。
発光部材18としての赤色レーザに電源ケーブル(配線)を繋ぎ、電源(DC3V)から電力を印加した。さらに、受光部材20としてのフォトダイオードに信号ケーブル(配線)を繋ぎ、オペアンプを用いた一般的な検出回路に、この信号ケーブルを繋いだ。また、オペアンプを用いた一般的な増幅回路に、ずり力検知部材32としての圧電ラインを繋いだ。
次に、図8(A)(B)に示す金属製の接触部材42を設置した。このようにして、検知部材を作製した。
(評価1)
次に、製作された検知部材を用いて評価を行った。接触部材42が上方になるように机上に検知部材を載せ、上方から下方へ力を負荷した。負荷した力(N)と、受光部材から検出された電圧(V)との関係については、図9のグラフに示す。力を強くすると、検出される電圧が増加することが分かる。具体的には、グラフの横軸が、圧力検知部材54に負荷された力であって、グラフの縦軸が、フォトダイオードに検出された電圧である。なお、グラフの縦軸の電圧の値は測定に用いた検出回路の構成により異なるため、後述する図13、図14のグラフの縦軸の出力とは、絶対値で直接比較することはできない。
(評価2)
次に、作製された検知部材を備えたロボットハンド150(図10参照)を用いて評価を行った。
図10、図11に示すように、ロボットハンド150は、把持対象物200を把持した。把持対象物200として、液体が入った内容積450mLのPETボトル(400g)を用いた。検知部材からの出力を制御部(マイクロコントローラ)に入力し、図15、図16に示すフロー図のステップS300、S500、S700で制御部による判断が実施され、その判定結果に基づいて制御部からロボットハンド150のコントローラ(駆動系)へ命令の信号を送信する。
−動作の一例−
以下、図15、図16に示すフロー図を用いて、ロボットハンド150を用いて実行される検知方法の一例を説明する。先ず、初期状態(把持回数が0回)では、図10に示されるように、ロボットハンド150の指部152及び検知部材60と、把持対象物200とは奥行方向で離間している。この状態で、指部152と検知部材60との距離(図10のL10)は、100mmとされている。また、把持対象物200は、フロアーFに載せられている(図12参照)。
動作が開始されると、発光部材18としての赤色レーザによって光が出射される。そして、図15に示すフロー図のステップS100で、制御部は、一対の指部152、154を移動させ、ロボットハンド150に把持対象物200を把持させる(図12(A)(B)参照)。具体的には、制御部は、一対の指部152、154の間隔が予め決められた規定間隔になるまで、一対の指部152、154を移動させる。一対の指部152、154の間隔が規定間隔になると、ステップS200へ移行する。
ステップS200では、制御部は、一対の指部152、154を1秒間停止させる。指部152、154が1秒経停止すると、ステップS300へ移行する。
ステップS300では、制御部は、受光部材20としてのフォトダイオードによって検出された電圧を取得する。さらに、制御部は、取得した電圧が、閾値(本実施例は、0.5V)以上か否かを判断する。閾値以上の場合は、ステップS400へ移行し、閾値未満の場合は、ステップS410に移行する。
換言すれば、ロボットハンド150による把持対象物200の把持が十分であると、制御部が判断すると、ステップS400へ移行し、ロボットハンド150による把持対象物200の把持が不十分であると、制御部が判断すると、ステップS410へ移行する。
ステップS400では、制御部は、ロボットハンド150を上方へ移動させる(図12(B)(C)参照)。ロボットハンド150の上方への移動が開始すると、ステップS500へ移行する。
ステップS500では、制御部は、ロボットハンド150を上方へ移動させている最中に、ずり力検知部材32としての圧電ラインによって出力された電圧を取得する。さらに、制御部は、取得した電圧が、閾値(本実施例では、中央値である2.15Vから±0.75Vの範囲)以内か、閾値より大きいか、又は閾値より小さいかを判断する。なお、圧電ラインは正負両方向の出力があるが、制御部(マイクロコントローラ)が0V未満のデータを扱えないことがある。この場合には、これを考慮して、制御部が、取得した電圧が、閾値以内か、閾値より大きいか、又は閾値より小さいかを判断する。閾値以内の場合は、ステップS600へ移行し、閾値より大きいか、又は閾値より小さい場合は、ステップS610へ移行する。
具体的には、ロボットハンド150による把持対象物200の把持状態が不十分な場合は、ロボットハンド150が上方へ移動している間に把持対象物200がロボットハンド150からずり落ちる。把持対象物200がロボットハンド150からずり落ちると、検知部材60に負荷されるずりの力が断続的に変動する。そして、ずり力検知部材32としての圧電ラインが、この断続的に変動する電圧を取得する。この変動の振幅が閾値を超えた場合に、制御部が、把持対象物200がロボットハンド150からずり落ちと判断して、後述するステップS610で、制御部は、ロボットハンド150を下方へ移動させて把持対象物200をフロアーFに載せる。
図13には、この一連の動作におけるずり力検知部材の出力(図中実線)の経時変化と、圧力検知部材の出力(図中点線)の経時変化とがグラフで示されている。このグラフの縦軸が、出力された電圧〔V〕であり、横軸が経過した時間〔S〕である。
ロボットハンド150によって把持されている把持対象物200が滑っていないと、制御部が判断すると、ステップS600へ移行する。一方、ロボットハンド150によって把持されている把持対象物200が滑っていると(ずり落ちていると)、制御部が判断すると、ステップS610へ移行する。
ステップS600では、制御部は、ロボットハンド150の上方への移動を維持し、ロボットハンド150が規定の高さ(本実施例では、200mm)まで移動すると、ロボットハンド150を停止させる。ロボットハンド150が停止するとステップS700へ移行する。
ステップS700では、制御部は、受光部材20としてのフォトダイオードによって検出された電圧を取得する。さらに、制御部は、取得した電圧が、閾値(本実施例では、0.5V)以上か否かを判断する。閾値以上の場合は、ステップS800へ移行し、閾値未満の場合は、ステップS610に移行する。
換言すれば、ロボットハンド150による把持対象物200の把持が十分であると、制御部が判断すると、ステップS800へ移行し、ロボットハンド150による把持対象物200の把持が不十分であると、制御部が判断すると、ステップS610へ移行する。
ステップS800では、制御部は、ロボットハンド150を規定の距離だけ、水平方向に移動させ、その後、ロボットハンド150を下方へ移動させて把持対象物200をフロアーFの目的の位置に載せる。これにより、一連の動作を終了する。
図14には、この一連の動作におけるずり力検知部材の出力(図中実線)の経時変化と、圧力検知部材の出力(図中点線)の経時変化とがグラフで示されている。このグラフの縦軸が、出力された電圧〔V〕であり、横軸が経過した時間〔S〕である。
これに対して、ステップS300で取得した電圧が閾値未満の場合は、ステップS410に移行する。ステップS410では、制御部は、一対の指部152、154の間の距離が狭くなるように、一対の指部152、154をさらに移動させる。具体的には、制御部は、一対の指部152、154の間隔(距離)を規定量(本実施例では、1mm)だけ狭くさせる。つまり、制御部は、ロボットハンド150によって把持対象物200を強く把持させる。ロボットハンド150が把持対象物200を強く把持するとステップS200へ移行して前述した工程を繰り返す。
また、ステップS500で取得した電圧が閾値より大きいか、又は閾値より小さい場合は、及びステップS700で取得した電圧が閾値未満の場合は、ステップS610に移行する。ステップS610では、制御部は、ロボットハンド150を水平方向に移動させることなく、ロボットハンド150を下方へ移動させて把持対象物200をフロアーFに載せる(図12(D)(E)参照)。さらに、一対の指部152、154の間隔(距離)を初状態に復帰させる(図12(E)(F)参照)。換言すれば、制御部は、一対の指部152、154による把持対象物200の把持状態を解除させる。一対の指部152、154の間隔(距離)が初状態に復帰すると、ステップS710へ移行する。
ステップS710では、制御部は、一対の指部152、154を移動させ、ロボットハンド150に把持対象物200を把持させる。具体的には、制御部は、直前に把持対象物200を把持していた状態における一対の指部152、154の間隔(距離)に対して、この間隔を規定量(本実施例では、1mm)だけ狭くして、ロボットハンド150に把持対象物200を把持させる。このようにして、ロボットハンド150に把持対象物200を強く把持させる。ロボットハンド150が把持対象物200を強く把持するとステップS200へ移行して前述した工程を繰り返す。そして、ステップS800で把持対象物200をフロアーFの目的の位置に載せて、一連の動作を終了する。
(まとめ)
以上説明したように、検知部材60においては、板状の圧力検知部材の板面に対して垂直方向の力と、板状の圧力検知部材の板面に沿った方向の力(ずり力)とを検知することができる。換言すれば、検知部材60においては、板状の圧力検知部材に対して異なる2方向の力を検知することができる。
また、検知部材10、40においては、ずり力検知部材32は、圧力検知部材14の内部に埋設されている。このため、ずり力検知部材が圧力検知部材の板面に取り付けられている場合と比して、圧力検知部材14に生じたずり力を効果的に検知することができる。
また、検知部材50、60、70、80においては、ずり力検知部材32は、圧力検知部材14と接するように配置されている緩衝部材56の内部に埋設されている。このため、板状の圧力検知部材14の板厚が薄い場合であっても、緩衝部材56を用いることでずり力検知部材32を配置することができる。
また、第一偏光部材24の偏光方向は、第二偏光部材26の偏光方向に対して90°の角度を成している。これにより、受光部材20によって受光される光の強度を、圧力検知部材に負荷された力に応じて敏感に変化させることができる。
また、ロボットハンド150においては、ロボットハンド150を用いることで、把持対象物200を把持して目的の位置まで移動させることができる。
また、把持状態の検知方法においては、ロボットハンド150を用いて把持対象物200を挟み込む力と、把持対象物200とロボットハンド150との間で生じるずり力とを検知することができる。
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、ロボットハンド150に検知部材60を取り付けたが、検知部材10、40、50、70、80を取り付けてもよい。
10 検知部材
14 圧力検知部材
18 発光部材
20 受光部材
24 第一偏光部材(他の偏光部材の一例)
26 第二偏光部材(偏光部材の一例)
32 ずり力検知部材
40 検知部材
50 検知部材
54 圧力検知部材
56 緩衝部材
60 検知部材
70 検知部材
74 偏光部材
80 検知部材
150 ロボットハンド
152 指部
154 指部
200 把持対象物

Claims (9)

  1. 光弾性ポリウレタン樹脂を用いて板状に形成された圧力検知部材と、
    前記圧力検知部材の端面に対向して配置され、前記圧力検知部材に向けて光を出射する発光部材と、
    前記発光部材によって出射されて前記圧力検知部材を通過した光を受光する受光部材と、
    前記圧力検知部材と前記受光部材の間で、前記圧力検知部材を通過した光の光路上に配置された偏光部材と、
    前記圧力検知部材の板面に沿って配置され、前記圧力検知部材に作用したずり力に応じた検出信号を出力するずり力検知部材と、
    を備えている検知部材。
  2. 前記ずり力検知部材は、前記圧力検知部材の内部に埋設されている請求項1に記載の検知部材。
  3. 前記圧力検知部材の板面に接触し、弾性材料を用いて形成されている緩衝部材を備え、
    前記ずり力検知部材は、前記緩衝部材の内部に埋設されている請求項1に記載の検知部材。
  4. 前記圧力検知部材と前記発光部材との間に配置され、偏光方向が前記偏光部材の偏光方向に対して90°の角度を成している他の偏光部材を備えている請求項1〜3の何れか1項に記載の検知部材。
  5. 前記ずり力検知部材は、長尺状の導体と、前記導体に対して一方向に螺旋状に巻回され、有機圧電材料を含む圧電体とを含んで形成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の検知部材。
  6. 前記ずり力検知部材は、棒形状に形成されている請求項5項に記載の検知部材。
  7. 前記圧力検知部材を形成する光弾性ポリウレタン樹脂は、25℃におけるヤング率が2MPa以上、5MPa以下であり、25℃における光弾性定数は、1000×10−12Pa−1以上、100000×10−12Pa−1以下であり、かつ、ガラス転移温度が−60℃以上、−21℃以下である請求項1〜6の何れか1項に記載の検知部材。
  8. 把持対象物を両側から挟み込んで把持する一対の指部と、
    前記把持対象物と接触するように一方の前記指部に取り付けられた請求項1〜7の何れか1項に記載の検知部材と、
    を備えているロボットハンド。
  9. 請求項8に記載のロボットハンドを用いて、前記把持対象物を把持して前記把持対象物を持ち上げる場合の把持状態を検知する検知方法であって、
    前記受光部材によって検出された検出値に基づいて、前記把持対象物を挟み込む力を検知し、かつ、前記ずり力検知部材によって検出された検出値に基づいて、前記把持対象物と前記ロボットハンドとの間で生じるずり力を検知する検知方法。
JP2018088227A 2018-05-01 2018-05-01 検知部材、ロボットハンド、検知方法 Active JP6968370B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018088227A JP6968370B2 (ja) 2018-05-01 2018-05-01 検知部材、ロボットハンド、検知方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018088227A JP6968370B2 (ja) 2018-05-01 2018-05-01 検知部材、ロボットハンド、検知方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019194534A true JP2019194534A (ja) 2019-11-07
JP6968370B2 JP6968370B2 (ja) 2021-11-17

Family

ID=68469589

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018088227A Active JP6968370B2 (ja) 2018-05-01 2018-05-01 検知部材、ロボットハンド、検知方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6968370B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022039058A1 (ja) * 2020-08-20 2022-02-24 ソニーグループ株式会社 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
CN116642612A (zh) * 2023-07-27 2023-08-25 之江实验室 传感器及其制备方法、机械手和机器人

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0158058B2 (ja) * 1988-08-10 1989-12-08 Tekunopurasu Kk
JPH0449000B2 (ja) * 1984-05-12 1992-08-10 Taisei Corp
JP5592821B2 (ja) * 2011-03-17 2014-09-17 三井化学株式会社 ポリウレタン樹脂組成物、ポリウレタン成形体、感圧センサおよびタッチパネル
JP6462009B2 (ja) * 2015-02-05 2019-01-30 三井化学株式会社 光弾性ポリウレタン樹脂、検知部材、ロボット、および、光弾性ポリウレタン樹脂の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0449000B2 (ja) * 1984-05-12 1992-08-10 Taisei Corp
JPH0158058B2 (ja) * 1988-08-10 1989-12-08 Tekunopurasu Kk
JP5592821B2 (ja) * 2011-03-17 2014-09-17 三井化学株式会社 ポリウレタン樹脂組成物、ポリウレタン成形体、感圧センサおよびタッチパネル
JP6462009B2 (ja) * 2015-02-05 2019-01-30 三井化学株式会社 光弾性ポリウレタン樹脂、検知部材、ロボット、および、光弾性ポリウレタン樹脂の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022039058A1 (ja) * 2020-08-20 2022-02-24 ソニーグループ株式会社 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
CN116642612A (zh) * 2023-07-27 2023-08-25 之江实验室 传感器及其制备方法、机械手和机器人
CN116642612B (zh) * 2023-07-27 2024-01-09 之江实验室 传感器及其制备方法、机械手和机器人

Also Published As

Publication number Publication date
JP6968370B2 (ja) 2021-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5592821B2 (ja) ポリウレタン樹脂組成物、ポリウレタン成形体、感圧センサおよびタッチパネル
JP6462009B2 (ja) 光弾性ポリウレタン樹脂、検知部材、ロボット、および、光弾性ポリウレタン樹脂の製造方法
JP6458058B2 (ja) センサ付きクッション材およびベッド
US10113060B2 (en) Biobased rubber modified biodegradable polymer blends
TW202039729A (zh) 表面保護膜
JP6968370B2 (ja) 検知部材、ロボットハンド、検知方法
JPWO2019230541A1 (ja) 熱可塑性ポリウレタン樹脂、光学用ポリウレタン樹脂、ディスプレイパネル用カバー板、アイウェア材料、アイウェアレンズ、アイウェアフレーム、自動車内外装材用部品、および、熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法
JP5985744B2 (ja) 押圧検出装置及びタッチパネル
JP5210274B2 (ja) 感圧センサ用ポリウレタン樹脂組成物、感圧センサ用ポリウレタン成形体、感圧センサおよびタッチパネル
JP5718821B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン製の光伝導体
JP2016166280A (ja) 光学透明粘着シート、及び、光学透明粘着シートの製造方法
JP2016141687A (ja) 光学透明粘着シート
JP6749000B2 (ja) 検知部材
JP6408124B2 (ja) フィルム巻層体及びその製造方法
JP2016141688A (ja) 光学透明粘着シート
CN114375312A (zh) 热塑性聚氨酯树脂及膜
KR20200006442A (ko) 광학표시장치의 보호 필름, 이를 포함하는 광학 부재 및 이를 포함하는 광학표시장치
JP2015017183A (ja) ポリエーテル・ポリカーボネートポリオール組成物、該組成物の製造方法、該組成物を使用した光学部材用熱可塑性ポリウレタン樹脂、該樹脂を使用した光学成形体、光学シート、光学フィルム及び発光素子封止材
JP7280954B2 (ja) ポリウレタン樹脂組成物および成形品
JP6256729B2 (ja) 積層体
KR20210057011A (ko) 공중합 폴리에스테르 필름
JP2011256235A (ja) 脂肪族ポリエステルフィルム
CN110662811B (zh) 显示器用表面保护膜及其制造方法、显示器用表面保护膜层叠体
KR20230083614A (ko) 폴리에스테르계 필름 및 이의 제조 방법
JP2020012739A (ja) 電子回路システムおよび電子回路システムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210921

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211018

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6968370

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150