(実施形態1)
以下、実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る空調機1の一構成例(温水回路)を示す模式図である。図1において、紙面上右側が室内を示し、左側が室外を示す。RA(return air)は、室内の空気からの還気を示し、EA(exhaust air)は、この還気による排気を示す。OA(out air)は、外気を示し、SA(service air)は、この外気による給気を示す。
空調機1は、顕熱交換器2、第1加湿器3、第2加湿器4、デシカント部6、第1熱交換器7、第2熱交換器8、及び第3熱交換器9を含む。空調機1は、被空調空間である室内と、室外との間において、室内の空気(内気)からの還気を室外に排気する排気経路13及び室外の空気(外気)を室内に給気する給気経路14を含む。
顕熱交換器2は、給気経路14及び排気経路13の双方に跨っても設けられており、室内からの還気が通過する経路となる還気パス21と、室外からの外気が通過する経路となる外気パス22とを含む。還気パス21の入口は、排気経路13の室内側(入口側)に位置して、外気経路と連通している。還気パス21の出口は、排気経路13の室外側(出口側)に位置して、外気経路と連通している。入口及び出口の近傍の還気パス21の延伸方向は、排気経路13における還気の排気方向に対し交差するように、還気パス21は設けられており、これら入口及び出口は、排気経路13の内周面の側を向くように設けられている。
外気パス22の入口は、給気経路14の室外側(入口側)に位置して、給気経路14と連通している。外気パス22の出口は、給気経路14の室外側(出口側)に位置して、給気経路14と連通している。入口及び出口の近傍の外気パス22の延伸方向は、外気経路
の延伸方向と略平行となるように外気パス22は設けられている。
還気パス21及び外気パス22夫々のパス数は複数個あり、還気パス21及び外気パス22は、紙面上垂直方向(給排気の方向に対し垂直方向)に互いに交互となるように積層されて設けられ、顕熱交換器2内において、還気と外気とが混合しないようにしてある。還気パス21及び外気パス22夫々における空気(還気及び外気)の流れは、逆方向となる対交流を形成している。還気パス21と外気パス22とは積層されている部位間等において、還気パス21を通過する還気と外気パス22を通過する外気との間で、顕熱が交換される。還気パス21及び外気パス22は、例えば伝熱性の良い金属製(例えば、アルミ、銅などの金属、または、これらを主成分とする合金)とすることで、顕熱交換の効率を向上させることができる。
顕熱交換器2の内部には、還気パス21を迂回させて外気パス22に近接させるための迂回壁部23が設けられている。迂回壁部23は、顕熱交換器2の上方に設けられた還気パス21の入口と出口となる2つの開口部の間において、上下方向に所定の長さで形成された壁部である。換言すれば、迂回壁部23は、顕熱交換器2の上方に設けられた開口部を入口と出口の2つの開口部に分ける壁部である。
還気パス21は、この迂回壁部23によって、U字状に迂回するように形成されており、U字状の頂点を基準に還気パス21の形状が湾曲する所定範囲内において、外気パス22と近接するように設けられている。還気パス21の形状が湾曲する所定範囲内において、直線状の外気パス22との間で、還気パス21と外気パス22とが交差する直交流が形成されている。迂回壁部23によって還気パス21を外気パス22に近接させ、また直交流を形成することにより、更に顕熱交換の効率を向上させることができる。更に迂回壁部23によって、還気パス21を迂回させ、還気パス21の有効長さ、すなわち還気パス21の入口から出口までの長さを、外気パス22よりも長くすることができる。従って、排気する還気から回収する顕熱量を増加させ、顕熱交換の効率を向上させることができる。
第1加湿器3は、第1加湿部31、第1加湿弁32を含み、後述する加湿水容器5から供給された水を第1加湿部31から空気中に放出して、周辺空気の加湿を行うものである。例えば、第1加湿器3は、気化式(滴下浸透気化式又は透湿膜式)又は水噴霧方式の加湿器である。
第1加湿部31は、上述のごとく気化式又は水噴霧方式等の加湿器の形式に応じて、その形態は適宜決定される。つまり、この第1加湿部31から、空気中に気化した水分が放出される、又は霧状にて放出される。霧状にて放出された場合であっても、霧状の水分は、周辺空気の飽和水蒸気圧に応じて気化し、この空気を加湿、すなわち絶対湿度を増加させると共に、気化する際に発生する気化熱によって、当該空気の温度、すなわち雰囲気温度を低下させる。第1加湿部31と第1加湿弁32とは、加湿水配管によって接続されている。第1加湿弁32は、例えば電動弁又は電磁弁によって構成され、後述するコントローラ15によって、その開閉が制御される。
第2加湿器4は、第2加湿部41、第2加湿弁42を含む。第2加湿器4は、第1加湿器3と同様の構成をなし、例えば、気化式(滴下浸透気化式又は透湿膜式)又は水噴霧方式の加湿器である。第2加湿部41は、第1加湿部31と同様の構成をなし、第2加湿弁42も、第1加湿弁32と同様の構成をなす。
第1加湿弁32と第2加湿弁42とは、加湿水を供給するためのポンプ51から2つに分岐された加湿水配管夫々に接続されている。ポンプ51は、加湿水容器5と加湿水配管によって接続されており、ポンプ51を駆動することより、加湿水容器5内の水は、第1加湿弁32及び第2加湿弁42を介して、第1加湿部31及び第2加湿部41に供給される。すなわち、第1加湿器3及び第2加湿器4は、加湿水容器5を共用している。第1加湿器3及び第2加湿器4が加湿水容器5を共用することでスライムの発生源となりやすい水の貯留場所を減らすことができる。
加湿水容器5は、給水配管及び給水弁54を介して給水源(図示せず)に接続されている。加湿水容器5には、貯留されている加湿水の水位を検出するため、フロート等を用いた水位センサ52が設けられており、水位が所定以上となった場合、排水するための排水配管、排水弁53、及び排水弁53をバイパスするバイパス経路が設けられている。
第1加湿器3及び第2加湿器4は、その間に顕熱交換器2を介在させて、排気経路13に設けられている。すなわち、第1加湿器3によって加湿された還気は、顕熱交換器2の還気パス21を通過し、還気パス21の出口から流出する。還気パス21の出口から流出した還気は、第2加湿器4によって加湿される。
図1に示すごとく、第1加湿器3の第1加湿部31及び第2加湿器4の第2加湿部41は、排気経路13において、顕熱交換器2の外周面と排気経路13の内周面との間に設けられている。この顕熱交換器2の外周面と排気経路13の内周面との間には、仕切板141が設けられており、第1加湿部31及び第2加湿部41と、顕熱交換器2の外周面及び排気経路13の内周面との間における隙間から、還気がバイパスすることを防止している。この仕切板141は、顕熱交換器2における排気方向の略中央に設けられており、側面視にて上述した迂回壁部23の延設方向に一致するように設けられている。仕切板141によるシール性を担保するにあたり、例えば、この仕切板141に、第1加湿部31及び第2加湿部41に対応した孔部が設け、第1加湿部31及び第2加湿部41をこの孔部に篏合してシールするものであってもよい。
第1加湿部31は、仕切板141を基準に、排気方向にて上流側、すなわち排気経路13の入口に向かって、水分を放出する方向(噴霧方向)が設定されている。第2加湿部41は、仕切板141を基準に、排気方向にて下流側、すなわち排気経路13の出口に向かって、水分を放出する方向(噴霧方向)が設定されている。従って、第1加湿部31から放出された水分によって、還気パス21に流入する還気は、加湿される。第2加湿部41から放出された水分によって、還気パス21から流出する還気は、加湿される。
このように第1加湿部31及び第2加湿部41を配置することにより、第1加湿部31及び第2加湿部41によって顕熱交換器2を排気経路13において挟み込むことができる。第1加湿器3及び第2加湿器4の間に顕熱交換器2を介在させるとは、第1加湿器3の第1加湿部31及び第2加湿器4の第2加湿部41の間に顕熱交換器2を介在させることを含む。
本実施形態において、第1加湿器3が第1加湿部31を含み、かつ、第2加湿器4が第2加湿部41を含み、加湿水容器5を共用する形態として記載したが、これに限定されない。第1加湿器3は、第1加湿部31及び加湿水容器5等が一体化された加湿ユニットとして構成されていてもよく、第2加湿器4は、第2加湿部41及び加湿水容器5等が一体化された加湿ユニットとして構成されていてもよい。または、第1加湿器3及び第2加湿器4は、夫々が別個の加湿水容器5を備えるものであってもよい。
本実施形態において、顕熱交換器2、第1加湿部31、第2加湿部41及び加湿水容器5等を別体とする形態として記載したが、これに限定されない。顕熱交換器2、第1加湿部31、第2加湿部41及び加湿水容器5等は、例えば、これらが一体化された加湿機能付き顕熱交換ユニットとして構成されているものであってもよい。一体化された加湿機能付き顕熱交換ユニットとすることで、当該ユニットを排気経路13及び給気経路14に載置するための工事を簡略化することができる。
排気方向にて第2加湿器4の第2加湿部41の下流側には、デシカント部6が設けられている。デシカント部6は、顕熱交換器2と同様に排気経路13と給気経路14とに跨るように設けられている。デシカント部6は、相補的に移動させることにより一方が排気経路13に位置する際、他方は給気経路14に位置する2つの吸脱着部61と、これら2つの吸脱着部61を相補的に移動し吸脱着部61夫々における吸脱着を切替える切替部62を含む。
吸脱着部61夫々は、例えばハニカム状の微細な複数の経路を有する経路部材の表面にシリカゲル等の吸着材を塗布又は、しみこませたデシカント部材である。吸脱着部61は、低温になると空気中の水分を吸着し、高温になると吸着した水分を空気中に脱着(放出)する。
吸脱着部61夫々は、吸排気方向にて並設されており、モータ等によって構成される切替部62によって、給気経路14と排気経路13との間で移動するように設けられている。上述のごとく、吸脱着部61夫々は、給気経路14と排気経路13との間を相補的に移動するにようしてあり、例えば図1に示すごとく、排気方向にて下流側にある一方の吸脱着部61が排気経路13に位置する際、他方の吸脱着部61は給気経路14に位置する。
本実施形態において、デシカント部6は、相補的に移動される2つの吸脱着部61による構成として記載したが、これに限定されない。デシカント部6の吸脱着部61は、例えば円盤状のローターからなるデシカントローターであってもよい。このデシカントローターを回転させ、排気経路13に位置する部位と、給気経路14に位置する部位とを所定の周期にて切替えるものであってもよい。吸脱着部61自体は固定とし、デシカント部6に対し給気経路14及び排気経路13の前後に設けたダンバーによってこれら経路を切替えることにより、吸脱着部61における吸着と脱着とを切替えるものであってもよい。
給気経路14において、デシカント部6に対し上流側には、第1熱交換器7が設けられている。第1熱交換器7は、熱源ユニット10から供給される温水が流れる複数の伝熱管と、この伝熱管の軸方向に交差するように設けられた伝熱フィンを含む。この伝熱管と、熱源ユニット10から温水配管とは、連通している。後述するコントローラ15が、伝熱管の入口側の温水配管に設けられた第1温水入口弁71が開閉することにより、熱源ユニット10からの温水の給断が行われる。
給気経路14において、顕熱交換器2に対し下流側には、第2熱交換器8が設けられている。第2熱交換器8は、熱源ユニット10から供給される温水が流れる複数の伝熱管と、この伝熱管の軸方向に交差するように設けられた伝熱フィンを含む。この伝熱管と、熱源ユニット10から温水配管とは、連通している。後述するコントローラ15が、伝熱管の入口側の温水配管に設けられた第2温水入口弁81が開閉することにより、熱源ユニット10からの温水の給断が行われる。
排気経路13において、顕熱交換器2とデシカント部6との間には、第3熱交換器9が設けられている。第3熱交換器9は、熱源ユニット10から供給される温水が流れる複数の伝熱管と、この伝熱管の軸方向に交差するように設けられた伝熱フィンを含む。この伝熱管と、熱源ユニット10から温水配管とは、連通している。後述するコントローラ15が、伝熱管の入口側の温水配管に設けられた第3温水入口弁91が開閉することにより、熱源ユニット10からの温水の給断が行われる。
第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9の熱源となる熱源ユニット10は、第1熱交換器7等に温水(例えば、水、エチレングリコールなどの不凍液)を供給するための温水配管及び温熱源(図示せず)によって構成される温水回路を含む。
温水配管は、上述のごとく第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9との間で温水を循環させる回路を形成し、第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9を並列に接続するために分岐する分岐管を含む。第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9の入口側の温水配管夫々には、これら熱交換器夫々に対応した第1温水入口弁71、第2温水入口弁81及び第3温水入口弁91が設けられている。
温熱源は、例えばボイラ又はヒートポンプを含み、空調機1が据付けられた建造物内において利用できる排熱を発生させる熱源であってもよい。別の例では、太陽熱パネルを含み、空調機1が据付けられた建造物外において利用できる排熱を発生させる熱源であってもよい。または、温熱源は、優先的にこの排熱による熱源を利用しつつ、熱量が不足する際に補間的にボイラ又はヒートポンプを駆動させるハイブリット型熱源であってもよい。本実施形態において、熱源ユニット10は第1熱交換器7等に温水を供給するとしたが、これに限定されない。熱源ユニット10が圧縮機を含むヒートポンプユニットからなり、圧縮した冷媒を第1熱交換器7等に流し、第1熱交換器7等にて圧縮した冷媒を凝縮させることにより放熱器として機能させるものであってもよい。
排気経路13及び給気経路14は、例えばダクトによって構成され、当該ダクトの外周面には断熱部材が設けられ、ダクトの外の空気との間での断熱性が確保されている態様であってもよい。本実施形態において、顕熱交換器2は排気経路13及び給気経路14を構成するダクト内に設ける態様にて記載しているが、これに限定されない。上述のごとく、例えば顕熱交換器2と第1加湿器3及び第2加湿器4とを一体化させた加湿機能付き顕熱交換ユニットとし、当該ユニットをダクトの端部に設けるものであってもよい。この場合、当該ユニット(顕熱交換器2)の還気パス21及び外気パス22は、排気経路13及び給気経路14の一部を構成する。
排気経路13において、デシカント部6の下流には、排気ファン11が設けられている。排気ファン11は、例えばターボファン、シロッコファンまたはプロペラファンであり、排気ファン11を回転することにより、室内からの還気が室外に排気される。給気経路14において、第1熱交換器7の上流には、給気ファン12が設けられている。給気ファン12は、例えばターボファン、シロッコファンまたはプロペラファンであり、給気ファン12を回転することにより、室外からの外気が室内に給気される。給気ファン12及び排気ファン11夫々のファン形状及びファンの回転数によって、給気及び排気における体積流量(風量)が決定される。この風量は、例えば、還気及び外気との間で交換させる顕熱量又は潜熱量に応じて、後述するコントローラ15が可変するものであってもよく、または風量を一定とするものであってよい。更に、排気経路13における排気ファン11、及び、給気経路14における給気ファン12の配置は、適宜変更可能である。更に、ファン11,12の個数は、排気経路13、及び、給気経路14に複数備えられていてもよい。
排気経路13及び給気経路14の入口には、フィルタ(図示せず)が設けられており、外気または内気に浮遊する塵埃をこのフィルタによって捕獲する。
排気経路13及び給気経路14において、複数の温度センサまたは湿度センサ(図示せず)を設けてあってもよい。排気経路13の入口、すなわち顕熱交換器2に対し排気方向にて上流に温度センサまたは湿度センサを設けることにより、室内の空気(内気)の温度または湿度を検出することができる。給気経路14の入口、すなわち第1熱交換器7に対し給気方向にて上流に温度センサまたは湿度センサを設けることにより、室外の空気(外気)の温度または湿度を検出することができる。更に、給気経路14におけるデシカント部6と顕熱交換器2との間に温度センサまたは湿度センサを設けることにより、デシカント部6にて調湿された外気の温度または湿度を検出することができる。これらセンサは、後述するコントローラ15と通信可能に接続されている。
このように構成された空調機1は、冷房、暖房、除湿及び加湿を含む複数の運転モードで運転することができ、当該運転モードを制御するコントローラ15を含む。コントローラ15は、制御信号を出力することにより、デシカント部6、第1加湿器3又は第2加湿器4夫々を駆動させ、第1熱交換器7、第2熱交換器8又は第3熱交換器9を放熱器として動作させる。すなわち、コントローラ15からの制御信号に基づいて、デシカント部6の切替部62が駆動、第1加湿弁32又は第2加湿弁42の開閉、第1温水入口弁71、第2温水入口弁81又は第3温水入口弁91の開閉が行われる。コントローラ15の構成等の詳細は、後述する。
図2は、顕熱交換器2の一構成を示す模式図である。顕熱交換器2は、排気経路13を上方に、給気経路14を下方に接続した状態において、側面視にて矩形をなし、長手方向を給気方向に対し平行となるように設けられている。顕熱交換器2は、上述のごとく、U字状をなす還気パス21と、直線状をなす外気パス22、及び還気パス21を迂回させるための迂回壁部23を含む。
還気パス21の入口及び出口は、排気経路13の内周面側に向いており、排気経路13と入口近傍の還気パス21とは、略90°屈曲している。同様に、出口近傍の還気パス21と排気経路13とは、略90°屈曲している。
還気パス21の入口近傍の排気経路13には、第1加湿部31が設けられており、還気パス21の出口近傍の排気経路13には、第2加湿部41が設けられている。排気経路13において、顕熱交換器2の上流には第1加湿部31が設けられ、顕熱交換器2の下流には第2加湿部41が設けられている。すなわち、顕熱交換器2は、第1加湿部31及び第2加湿部41の間に介在している。排気経路13における第1加湿部31と第2加湿部41との間には、仕切板141が設けられており、排気経路13において、還気が顕熱交換器2を通過することなくバイパスすることを防止している。
還気パス21は、そのU字状の経路の頂点付近に設けられ、還気パス21夫々を通過した還気が混合する還気ミキシング流路24を含む。還気ミキシング流路24は、外気パス22の外側に位置するように設けられている。還気パス21の入口から流入した還気は、U字状の経路の頂点付近に位置する還気ミキシング流路24を通過した後、再度、後半の還気パス21にて分流されて、還気パス21の出口から流出する。
還気パス21の有効長は、還気パス21の入口から還気ミキシング流路24と、還気ミキシング流路24から還気パス21の出口までの夫々の流路長さの合算値であり、直線上の外気パス22の有効長(流路長さ)よりも、長くなるようにしてある。このように還気パス21をU字状にして有効長を外気パス22の有効長よりも長くすることにより、還気と外気との間での顕熱交換の効率を向上させることができ、また還気パス21の入口又は出口の近傍における第1加湿部31及び第2加湿部41の配置の自由度を向上させることができる。
第1加湿部31から放出された水分によって、還気は加湿されて絶対湿度が増加すると共に、当該放出された水分が気化する際に発生する気化熱により、還気の温度が低下する。気化熱により温度が低下した還気は、還気パス21の入口から顕熱交換器2内に流入し、外気パス22から流入した外気との間で、顕熱が交換される。
顕熱交換器2内にて還気と外気との間で顕熱が交換されることにより、外気の温度は低下し、還気の温度は上昇する。還気の温度は上昇するため、還気の飽和水蒸気圧も上昇し、相対湿度が低下する。従って、還気パス21内において、結露が発生することを抑制することができる。
還気パス21の出口から流出した還気は、第2加湿部41によって加湿される。すなわち、第2加湿部41によって加湿された還気は、顕熱交換器2を通過した後の還気であるため、この還気が気化熱により温度が低下しても、顕熱交換器2に流れる外気との間での熱交換が生じないようにすることができる。
図3は、空調機1の運転モード(温水回路時)に関する説明図(表)である。上述のごとく、空調機1は、被空調空間にて空調された内気(還気)を、室外に排気しつつ、室外から外気を室内に供給する換気装置として機能する。さらに空調機1は、冷房、除湿、加湿及び暖房を含む複数の運転モードによって運転されるようにしてあり、これら運転モードは、後述するコントローラ15によって制御される。
空調機1の運転モードが冷房の場合、コントローラ15は、第1加湿器3を駆動する。第1加湿器3を駆動することにより、顕熱交換器2を通過する前の還気は加湿され、加湿された水分による気化熱によって、この還気の温度は低下する。温度が低下した還気は、還気パス21にて顕熱交換器2内に流入し、外気パス22にて顕熱交換器2内に流入した外気との間で顕熱を交換する。還気パス21と外気パス22とは対交流となるように設けられており、外気パス22から流出した外気の温度は、還気パス21に流入する際の還気と略同じ温度に低下する。このように冷却された外気を被空調空間である室内に給気することによって、空調機1は冷房運転を行う。
空調機1の運転モードが除湿の場合、コントローラ15は、第3熱交換器9を放熱器として動作させ、デシカント部6を駆動する。第3熱交換器9を放熱器として動作させることにより、第3熱交換器9を通過する還気が加熱され、還気の温度が上昇する。加熱された還気は、排気経路13側に位置するデシカント部6の吸脱着部61を通過する。排気経路13側に位置する吸脱着部61は、加熱された還気によって温度が上昇し、吸収した水分を脱着(放出)する。脱着した水分は、還気に含まれて室外に排気される。外気は、給気経路14側に位置する吸脱着部61を通過する。この外気の温度は、第3熱交換器9によって加熱された還気の温度よりも低い。従って、給気経路14側に位置する吸脱着部61は、外気から水分を吸着し、この外気の絶対湿度は低下する。このように絶対湿度が低下した外気を居室内に給気することによって、空調機1は除湿運転を行う。
空調機1の運転モードが加湿の場合、コントローラ15は、第1熱交換器7を放熱器として動作させ、第2加湿器4及びデシカント部6を駆動する。第2加湿器4を駆動させることにより、顕熱交換器2を通過した後の還気は、加湿され、絶対湿度が増加する。絶対湿度が増加した還気は、排気経路13側にある吸脱着部61を通過する。通過する際、この還気に含まれる水分は、排気経路13側にある吸脱着部61によって吸着される。給気経路14に流入した外気は、第1熱交換器7によって加熱され、加熱された外気は、給気側にある吸脱着部61を通過する。通過する際、給気側にある吸脱着部61は、排気側に位置した時に還気から吸収した水部を、外気に脱着(放出)する。すなわち、排気経路13において第2加湿部41によって還気に加湿された水分は、デシカント部6によって吸収され、デシカント部6は、還気から吸収した水分を外気経路に流れる外気に脱着して外気の絶対湿度を増加させる。このように絶対湿度が増加した外気を居室内に給気することによって、空調機1は加湿運転を行う。
空調機1の運転モードが暖房の場合、コントローラ15は、第2熱交換器8を放熱器として動作させる。第2熱交換器8によって加熱された外気を居室内に給気することによって、空調機1は暖房運転を行う。
上述のごとく、運転モードは、調温を行う暖房又は冷房と、調湿を行う除湿又は加湿とに大別される。空調機1が含む第1加湿器3、第2加湿器4、デシカント部6の駆動、第1熱交換器7、第2熱交換器8、及び第3熱交換器9の放熱器としての動作は、調温を行う暖房又は冷房と、調湿を行う除湿又は加湿との間で相反しないように制御してある。
運転モードが暖房加湿の場合、コントローラ15は、第1熱交換器7及び第2熱交換器8を放熱器として動作させ、第2加湿部41及びデシカント部6を駆動する。運転モードが暖房除湿の場合、コントローラ15は、第2熱交換器8及び第3熱交換器9を放熱器として動作させ、デシカント部6を駆動する。運転モードが冷房加湿の場合、コントローラ15は、第1熱交換器7を放熱器として動作させ、第1加湿部31、第2加湿部41及びデシカント部6を駆動する。運転モードが冷房除湿の場合、コントローラ15は、第3熱交換器9を放熱器として動作させ、第1加湿部31及びデシカント部6を駆動する。すなわち、空調機1は、調温を行う暖房又は冷房と、調湿を行う除湿又は加湿とを組み合わせた運転をすることができ、暖房加湿、暖房除湿、冷房加湿、及び冷房除湿を行うことができる。
図4は、運転モードが暖房加湿(加湿及び加熱)の際の外気及び還気の状態に関する説明図(空気線図)である。図4において、空調機1の運転条件の一例として、外気の温度が7℃、相対湿度が85%とし、内気の温度が21℃、相対湿度が54%としている。図4は、空気線図を示すものである。図4においてその中央部に、図1にて記載した空調機1の模式図における給気経路14及び排気経路13における8箇所を(1)から(8)までの番号を付して記載してある。この(1)から(3)の還気と、(4)から(8)までの外気との状態(乾球温度及び絶対湿度)についても、その一例として表にて図3に示す。
空調機1の運転モードは、暖房加湿(加湿及び加熱)であり、図3での説明のごとく、コントローラ15は、第1熱交換器7及び第2熱交換器8を放熱器として動作させ、第2加湿部41及びデシカント部6を駆動している。
排気経路13の入口から流入した還気(1)は、顕熱交換器2によって外気(6)と顕熱交換され温度が低下した後、第2加湿器4によって加湿され絶対湿度が増加し、還気(2)の状態となる。この還気(2)は、排気経路13側にある吸脱着部61によって、水分を吸着されて絶対湿度が低下し、還気(3)の状態となって、室外に排気される。なお、排気経路13側にある吸脱着部61を通過する際、この吸脱着部61が保有する熱量によって、還気(3)は加熱される。
給気経路14の入口から流入した外気(4)は、第1熱交換器7によって加熱され温度が上昇して、外気(5)の状態となる。外気(5)が給気経路14側に位置する吸脱着部61を通過する際、当該吸脱着部61が排気経路13側に位置していた時に還気(2)から吸着した水分は、脱着され、外気(5)は加湿され絶対湿度が増加する。この吸着した水分が脱着する際に発生する気化熱によって、外気(5)の温度は低下し、外気(6)の状態となる。外気(6)は、顕熱交換器2を通過することより、還気(1)と顕熱交換して温度が上昇し、外気(7)の状態となる。外気(7)は、第2熱交換器8によって加熱されて温度が上昇し、外気(8)の状態となって、室内に給気される。
本実施形態において、運転モードが暖房加湿の場合にて説明したが、運転モードが暖房除湿、冷房加湿、又は冷房除湿の場合においても、コントローラ15は、図3に示すように制御し、外気と還気との間での顕熱又は潜熱の交換、及び外気の温調を行うことができる。
図5は、コントローラ15の一構成を示すブロック図である。図6は、制御部151の処理手順(温水回路時)を示すフローチャートである。
空調機1の運転モードを制御するコントローラ15は、制御部151、記憶部152及び入出力I/F153を含み、例えばリモコンである。このコントローラ15は、当該空調機1を操作等するための専用に構成されたリモコンに限定されず、例えば、空調機1が据え付けられた建物において、当該建物に据え付けられた他の空調機又はエレベータ等を制御するための集中制御装置の一機能に含まれるものであってもよい。
コントローラ15は、入出力I/F153を介して、第1加湿弁32、第2加湿弁42、デシカント部6(切替部62)、第1温入口弁、第2温入口弁、及び第3温入口弁等のアクチュエータ、水位センサ52、温度センサ(図示せず)又は湿度センサ(図示せず)等の各種センサ、及び熱源ユニット10と接続されている。
制御部151は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、記憶部152に予め記憶されたプログラム及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。
記憶部152は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してあり、制御プログラム及び処理時に参照するデータがあらかじめ記憶してある。記憶部152には、図3に示すごとく、空調機1が行う複数の運転モード、及び運転モード夫々に対応して駆動すべきアクチュエータの動作態様が記憶されている。
入出力I/F153は、上述のアクチュエータ、センサ等からのシリアルケーブル等を接続するためのインターフェイス群であり、コントローラ15内の内部バスを介して、制御部151と、これらアクチュエータ、センサ等とを接続する。
コントローラ15の制御部151は、例えば入出力I/F153を介して入力部(図示せず)から、運転モードに関する情報が入力された場合、以下の処理を実行する。なお、還気ファン及び給気ファン12は、コントローラ15による制御に基づいて回転している。または、還気ファン及び給気ファン12は、コントローラ15による制御に対し、独立して回転してあってもよい。以下、図6を参照して説明する。
制御部151は、運転モードを取得する(S10)。制御部151は、入力部(図示せず)から入力された運転モードに関する情報を取得する。制御部151は、運転モードは暖房又は冷房であるかを判定する(S11)。制御部151は、取得した運転モードに関する情報を参照し、当該情報に暖房又は冷房を指示する内容が含まれているか否かを判定する。
運転モードが暖房の場合(S11:暖房)、制御部151は、第2熱交換器8を放熱器として動作させる(S111)。第2熱交換器8は、温水を供給する熱源ユニット10と温水配管によって接続されており、制御部151は、温水配管に設けられた第2温水入口弁81を開くように制御信号を出力する。第2温水入口弁81が開くことにより、第2熱交換器8に温水が流入し、第2熱交換器8は放熱器として動作し、第2熱交換器8を通過した外気は加熱される。
運転モードが冷房の場合(S11:冷房)、制御部151は、第1加湿器3を駆動する(S12)。制御部151は、第1加湿器3の第1加湿弁32を開くように制御信号を出力する。第1加湿弁32が開くことにより、第1加湿器3の第1加湿部31から水が放出して加湿が行われると共に、放出した水による気化熱によって、還気が冷却される。
S11、S12の処理の実行後、又は取得した情報に暖房又は冷房を指示する内容が含まれていない場合(S11:暖房又は冷房の指定無し)、制御部151は、運転モードは除湿又は加湿であるかを判定する(S13)。制御部151は、取得した運転モードに関する情報を参照し、当該情報に除湿又は加湿を指示する内容が含まれているか否かを判定する。
運転モードが除湿の場合(S13:除湿)、制御部151は、第3熱交換器9を放熱器として動作させる(S131)。制御部151は、温水配管に設けられた第3温水入口弁91を開くように制御信号を出力する。第3温水入口弁91が開くことにより、第3熱交換器9に温水が流入し、第3熱交換器9は放熱器として動作し、第3熱交換器9を通過した還気は加熱される。
運転モードが加湿の場合(S13:加湿)、制御部151は、第2加湿器4の第2加湿弁42を開くように制御信号を出力する(S14)。第2加湿器4の第2加湿部41から水が放出して加湿が行われ、還気の絶対湿度が上昇する。制御部151は、第1熱交換器7を放熱器として動作させる(S15)。制御部151は、温水配管に設けられた第1温水入口弁71を開くように制御信号を出力する。第1温水入口弁71が開くことにより、第1熱交換器7に温水が流入し、第1熱交換器7は放熱器として動作し、第1熱交換器7を通過した外気は加熱される。
S131又はS15の処理の実行後、制御部151は、デシカント部6を駆動する(S16)。制御部151は、デシカント部6の切替部62を駆動させて、夫々の吸脱着部61が給気経路14と排気経路13との間で相補的に移動するように制御信号を出力する。
S16の処理の実行後、又は取得した情報に除湿又は加湿を指示する内容が含まれていない場合(S13:除湿又は加湿の指定無し)、制御部151は処理を終了する。S13において、除湿又は加湿の指定無しの場合に、S16を実行してデシカント部6を駆動させてもよい。
このように、制御部151は、入力された運転モードに基づいて、暖房、冷房、除湿、又は加湿運転を行うことができる。暖房又は冷房を行う調温運転と、除湿又は加湿を行う調湿運転との間において、駆動又は動作させる第1熱交換器7、第2熱交換器8、第3熱交換器9、第1加湿器3、第2加湿器4、及びデシカント部6の制御が相反しないように、制御部151は、これら第1熱交換器7等を駆動又は動作させる。従って、調温運転と調湿運転とを任意に組み合わせた運転を行うことができる。従って、制御部151によって空調機1は、暖房運転、冷房運転、加湿運転、除湿運転、暖房加湿運転、暖房除湿運転、冷房加湿運転、冷房除湿運転、及び給気ファン12と排気ファン11のみを駆動した換気運転を行うことができる。
第1加湿器及び第2加湿器は、排気経路において、顕熱交換器の少なくとも一部を介在させて設けられている。従って、第1加湿器又は第2加湿器のいずれかにより加湿を行いつつ、顕熱交換器によって外気と顕熱交換される還気の顕熱量を可変させることができる。
デシカント部は、第2加湿器よりも、排気方向にて下流側に設けられている。従って、デシカント部は、還気から第2加湿器によって放出された水分を吸着し、外気に当前記水分を脱着させて、被空調空間に当前記水分を効率的に供給することができる。
暖房運転時に第2加湿器によって加湿した場合であっても、第2加湿器は排気経路に設けられているため、加湿に伴う気化熱によって、被空調空間に給気される外気の温度が低下することを抑制することができる。
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係る空調機1の一構成例(冷温水回路)を示す模式図である。図8は、空調機1の運転モード(冷水回路時)に関する説明図(表)である。実施形態2に係る空調機1は、熱源ユニット10が、温水を供給するための温熱源と、冷水を供給するための冷熱源を含み、第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9には、温水配管と冷水配管が接続されている点で、実施形態1とは異なる。
熱源ユニット10は、第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9に、温水を供給するための温水配管及び温熱源(図示せず)によって構成される温水回路と、冷水を供給するための冷水配管及び冷熱源(図示せず)によって構成される冷水回路とを含む。
温熱源は、実施形態1と同様にボイラ、ヒートポンプ、排熱による熱源、又はこれらの組合せによるハイブリット型熱源であってもよい。冷熱源は、ヒートポンプを含む。または、熱源ユニット10は、温熱源及び冷熱源が一体に構成された冷温水同時取出型のヒートポンプチラーであってもよい。また、温熱源は、ペルチェ素子を用いた冷温水同時取出型ユニットであってもよい。熱源ユニット10が、温水回路に流れる(循環する)温水と、冷水回路に流れる(循環する)冷水との間で熱交換させ、温水と冷水との間のエンタルピーの差分を回収し、利用できるようにしてあってもよい。
熱源ユニット10の温熱源からは、実施形態1と同様に第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9への往路及び復路となる2本の温水配管が延設されている。第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9は、温水配管に設けられた分岐管によって、熱源ユニット10の温熱源に対し並列に接続されている。
第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9の夫々の入口側の温水配管には、実施形態1と同様に第1温水入口弁71、第2温水入口弁81及び第3温水入口弁91が設けられている。第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9の夫々の出口側の温水配管には、第1温水出口弁72、第2温水出口弁82及び第3温水出口弁92が設けられている。これら温水入口弁、温水出口弁の開閉によって、これら熱交換器への温水の給断が行われる。
熱源ユニット10の冷熱源からは、第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9への往路及び復路となる2本の冷水配管が延設されている。第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9は、冷水配管に設けられた分岐管によって、熱源ユニット10の冷熱源に対し並列に接続されている。
第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9の夫々の入口側の冷水配管には、第1冷水入口弁73、第2冷水入口弁83及び第3冷水入口弁93が設けられている。第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9の夫々の出口側の冷水配管には、第1冷水出口弁74、第2冷水出口弁84及び第3冷水出口弁94が設けられている。これら冷水入口弁、冷水出口弁の開閉によって、これら熱交換器への冷水の給断が行われる。
実施形態1と同様に、第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9は、夫々の温水入口弁及び温水出口弁が開かれることにより、加熱器として動作する。なお、これら熱交換器が、加熱器として動作する際、これら熱交換器の冷水入口弁及び冷水出口弁が、閉じられていることは、言うまでもない。第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9は、夫々の冷水入口弁及び冷水出口弁が開かれることにより、吸熱器として動作する。なお、これら熱交換器が、吸熱器として動作する際、これら熱交換器の温水入口弁及び温水出口弁が、閉じられていることは、言うまでもない。
第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9を加熱器又は吸熱器として動作させるにあたり、熱交換夫々に対応するこれら弁を開閉することよって、いずれかの熱交換器を加熱器として動作させ、他の熱交換器を吸熱器として動作させることができる。
本実施形態において、これら熱交換器を加熱器又は吸熱器として動作させるため、これら熱交換器の入口及び出口における温水配管及び冷水配管夫々に弁を設ける形態としたが、これに限定されない。これら熱交換器の入口及び出口において、温水配管と冷水配管とが接合される箇所に三方弁を設け、三方弁を切換えることにより、これら熱交換器を加熱器又は吸熱器とするものであってもよい。
実施形態2においては、図8に示すごとく、実施形態1と比較して、第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9を吸熱器として動作させるため、冷水入口弁及び冷水出口弁を開(ON)とする態様が追加してある。
空調機1の運転モードが冷房の場合、コントローラ15は、第1加湿器3を駆動し、更に第2熱交換器8を吸熱器として動作させる。実施形態1と同様に第1加湿器3を駆動することに加え、第2熱交換器8を吸熱器として動作させることにより、顕熱交換器2で冷却された外気は、更に第2熱交換器8によって冷却される。従って、冷房能力を向上させることができる。
空調機1の運転モードが除湿の場合、コントローラ15は、第3熱交換器9を放熱器として動作させ、デシカント部6を駆動させ、更に第1熱交換器7を吸熱器として動作させる。第1熱交換器7を吸熱器として動作させることにより、給気経路14に流入した外気は冷却され、低温となった外気によって、デシカント部6の吸脱着部61による水分の吸着を促進させることができる。従って、この吸脱着部61を通過した外気の絶対湿度を更に低減させ、除湿能力を向上させることができる。
空調機1の運転モードが加湿の場合、コントローラ15は、第1熱交換器7を放熱器として動作させ、第2加湿器4及びデシカント部6を駆動させ、更に第3熱交換器9を吸熱器として動作させる。第3熱交換器9に冷水を流すことで回収した熱を用いて、熱源ユニット10からの温水を第1熱交換器7に流すことで、加湿能力を向上させることができる。空調機1の運転モードが暖房の場合、実施形態1と同様である。
実施形態2においては、第1熱交換器7、第2熱交換器8及び第3熱交換器9夫々を独立して放熱器又は吸熱器として動作できるようにしてある。従って、運転モードに応じて、第1熱交換器7、第2熱交換器8又は第3熱交換器9を吸熱器として動作させることにより、上述のごとく空調能力を向上させることができる。
実施形態1と同様に、第1加湿器3、第2加湿器4、デシカント部6の駆動、第1熱交換器7、第2熱交換器8、及び第3熱交換器9の放熱器又は吸熱器としての動作は、調温を行う暖房又は冷房と、調湿を行う除湿又は加湿との間で相反しないように制御してある。従って、実施形態1と同様に、空調機1は、調温を行う暖房又は冷房と、調湿を行う除湿又は加湿とを組み合わせた運転をすることができ、暖房加湿、暖房除湿、冷房加湿、及び冷房除湿を行うことができる。
(変形例1)
図9は、変形例1(第1加湿部31が中間)に係る顕熱交換器2の一構成を示す模式図である。変形例1の第1加湿器3は、第1加湿部31が還気ミキシング流路24に設けられている点で、実施形態1と異なる。
変形例1の顕熱交換器2には、実施形態1と同様に、還気パス21におけるU字状の経路の頂点付近に還気ミキシング流路24が設けられている。第1加湿器3の第1加湿部31は、この還気ミキシング流路24に設けられている。すなわち、第1加湿器3の第1加湿部31は、排気経路13の一部となる還気パス21の途中(顕熱交換器2の内部)に設けられている。第1加湿部31は、その噴霧方向を還気パス21の入口に向けて、設けられている。
第1加湿部31を還気ミキシング流路24に設けることにより、第1加湿部31と排気経路13の入口との距離を大きくすることができ、第1加湿部31から噴霧した水分が、排気経路13の入口を越えて室内に入り込むことを防止することができる。
第1加湿部31の噴霧方向は、還気パス21の入口に向けられているので、還気パス21の入口から流入した還気に対し効率的に加湿し、加湿した水分によって発生する気化熱により、この還気の温度を低下させることができる。
このように第1加湿部31を還気ミキシング流路24に設けた場合であっても、第1加湿部31及び第2加湿部41により顕熱交換器2の一部を介在させるものとなり、第1加湿部31及び第2加湿部41夫々の駆動を制御することによって、効率的に加湿及び冷房を行うことができる。
(変形例2)
図10は、変形例2(第1加湿部31が2つ)に係る顕熱交換器2の一構成を示す模式図である。変形例2の第1加湿器3は2つの第1加湿部31を含む点で、実施形態1と異なる。
第1加湿器3は2つの第1加湿部31を含む。これら2つの第1加湿部31のうち、排気方向にて上流側にある第1加湿部31は、実施形態1と同様の位置に設けられている。排気方向にて下流側にある他方の第1加湿部31は、変形例1と同様に還気ミキシング流路24が設けられている。
上流側にある第1加湿部31によって加湿され絶対湿度が増加した還気は、還気パス21の前半部分にて、外気と顕熱交換されて温度が上昇し、これに伴い飽和水蒸気圧が上昇することにより相対湿度が低下する。この状態において、下流側にある第1加湿部31によって更に加湿することにより、加湿された水分による気化熱によって、還気の温度を下げ、冷房能力を向上させることができる。
(変形例3)
図11は、変形例3(直交流)に係る顕熱交換器2の一構成を示す模式図である。変形例3の顕熱交換器2は、直線状の還気パス21と外気パス22とによって対交流を形成する点で、実施形態1と異なる。
顕熱交換器2は、側面視にて略正方形をなし、対向する面同士間を結ぶように直線状の還気パス21及び外気パス22が設けられている。還気パス21及び外気パス22は、略90°に交差するように設けられており、これにより、還気パス21と外気パス22との間で還気と外気による直交流が形成される。
給気経路14及び排気経路13は、還気パス21及び外気パス22の入口及び出口に対応して配置されており、顕熱交換器2を境にして、給気経路14及び排気経路13の位置関係が入れ替わるように構成されている。顕熱交換器2における対向する二つの角部は、排気経路13及び給気経路14の内壁面に当接してシールしており、排気経路13と給気経路14との間にて還気及び外気が混合することを防止している。
紙面上、右上に位置する還気パス21の入口から流入した還気は、左下に位置する還気パス21の出口から流出する。左上に位置する外気パス22の入口から流入した外気は、右下に位置する外気パス22の出口から流出する。第1加湿器3の第1加湿部31は、還気パス21の入口の近傍に設けられており、第2加湿器4の第2加湿部41は、還気パス21の出口の近傍に設けられている。
このように、直線状の還気パス21と外気パス22とによって対交流を形成する顕熱交換器2を用いることにより、還気と外気との間での顕熱交換の効率を向上させることができる。
(変形例4)
図12は、変形例4(直交流を2つ)に係る顕熱交換器2の一構成を示す模式図である。変形例4の顕熱交換器2は、還気パス21及び外気パス22において、これらパスの有効長の半分となる位置に還気ミキシング流路24及び外気ミキシング流路25が設けられている点で、変形例3と異なる。
変形例4の顕熱交換器2は、変形例3の顕熱交換器2と実質的に同様の顕熱交換器2を吸排気方向に沿って2つ並設することにより構成されている。変形例3の顕熱交換器2と同様に対向する二つの角部を排気経路13及び給気経路14の内壁面に当接してシールしており、排気経路13と給気経路14との間にて還気及び外気が混合することを防止している。
還気パス21及び外気パス22は、変形例3と同様に直線状に設けられている。還気パス21の前半部と後半部との間には、還気ミキシング流路24が設けられており、還気パス21は、その前半部及び後半部とによってV字状をなしている。外気パス22の前半部と後半部との間には、外気ミキシング流路25が設けられており、外気パス22は、その前半部及び後半部とによって逆V字状をなしている。還気パス21の前半部と外気パス22の後半部とによって、対交流が形成されている。還気パス21の後半部と外気パス22の前半部とによって、対交流が形成されている。
紙面上、右上に位置する還気パス21の入口から流入した還気は、中央下に位置する還気ミキシング流路24を通過し、左上に位置する還気パス21の出口から流出する。紙面上、左下に位置する外気パス22の入口から流入した外気は、中央上に位置する外気ミキシング流路25を通過し、右下に位置する外気パス22の出口から流出する。第1加湿器3の第1加湿部31は、還気ミキシング流路24に設けられている。第2加湿器4の第2加湿部41は、還気パス21の出口の近傍に設けられている。
このように還気ミキシング流路24及び外気ミキシング流路25を介して、還気パス21及び外気パス22を形成することにより、顕熱交換器2に対する給気経路14及び排気経路13の位置関係を同じにすることができる。
(変形例5)
図13は、変形例5(直交流を2つ、第1加湿部31が中間)に係る顕熱交換器2の一構成を示す模式図である。変形例5の第1加湿器3は、第一加湿部が還気パス21の入口の近傍に設けられている点で、変形例4と異なる。変形例5の顕熱交換器2は、変形例4の顕熱交換器2と同様の構成である。
変形例5の第1加湿器3の第1加湿部31は、還気パス21の入口の近傍に設けられている。還気パス21の入口の近傍に第1加湿部31を設けることにより、第1加湿部31によって加湿され温度が低下した還気が還気パス21に流入されるので、外気との顕熱交換を効率的に行うことができる。
(変形例6)
図14は、変形例6(直交流を2つ、第1加湿部31が2つ)に係る顕熱交換器2の一構成を示す模式図である。変形例6の第1加湿器3は、第1加湿部31を2つ含む点で、変形例4と異なる。変形例6の顕熱交換器2は、変形例4の顕熱交換器2と同様の構成である。
変形例6の第1加湿器3は、2つの第1加湿部31を含む。排気方向にて上流に位置する第1加湿部31は、還気パス21の入口近傍に設けられている。排気方向にて下流に位置する第1加湿部31は、還気ミキシング流路24に設けられている。このように2つの第1加湿部31を還気パス21の入口近傍と還気ミキシング流路24に設けることにより、図10にて示した変形例2と同様に、冷房能力を向上させることができる。
(変形例7)
図1、又は、図7に示す空調機1は、排気経路13にのみ水を貯留する構成を備える。換言すると、スライムの発生可能性の高い構成を全て排気経路13に備えるため、給気経路14にスライムの発生する可能性を低減できる。そのため、スライムによる被空調空間への影響を、低減することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。