JP2019189767A - 熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物及び熱伝導性粘着シート - Google Patents

熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物及び熱伝導性粘着シート Download PDF

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雅樹 西田
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滋呂 清水
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睦之 加嶋
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【課題】本発明は、熱伝導性を有する粘着シートであって、優れた粘着力と再剥離性(リワーク性)を兼ね備えた熱伝導性粘着シートを提供することを課題とする。【解決手段】A成分として窒素含有モノマー、B成分として、カルボキシル基含有モノマー及びカルボキシル基含有モノマー由来単位から選択される少なくとも1種、C成分として、単官能アクリル酸エステルモノマー及び単官能アクリル酸エステル由来単位から選択される少なくとも1種、D成分として多官能アクリル酸エステルモノマー、金属元素の単体又は金属化合物を含む熱伝導性粒子、及び分散剤、を含む粘着剤組成物であって、A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、A成分を2〜20質量部、B成分を3〜30質量部、C成分を50〜95質量部、D成分を0.1〜1.8質量部、熱伝導性粒子を40〜400質量部、分散剤を0.1〜13質量部含む、熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物及び熱伝導性粘着シートに関する。
パーソナルコンピューターや発熱性電子デバイスは発熱体を内蔵している。このようなデバイスを使用する際には内蔵される発熱体から熱が発せられるため、熱を逃出させるために、例えばヒートシンクなどの放熱体がデバイスに取り付けられている。そして、デバイスに内蔵される発熱体と放熱体は粘着シートで接合されている。このような場合、発熱体から発せられた熱を放熱体に伝熱させるべく、粘着シートには熱伝導性が求められる。
粘着シートに熱伝導性を付与するために、粘着シートに熱伝導性粒子を添加する手法が知られている。例えば、特許文献1には、アクリル系ポリマーと、該ポリマー中に分散せしめられた熱伝導性粒子を含む熱伝導性シートが開示されている。ここでは、アクリル系ポリマーを、分子中にエーテル結合を有するアクリル系モノマーから誘導し、該ポリマー中に熱伝導性粒子を分散させることで、接着力、再剥離性及び熱伝導率に優れた熱伝導性シートが得られるとされている。
特開平11−292998号公報
発熱体と放熱体の間に介在する粘着シートには、当然ながら優れた熱伝導性が求められる。それに加えて、デバイスを修理する際などには、粘着シートが発熱体及び放熱体から容易に剥離することも求められる。また、発熱体と放熱体を強固に接合するために、粘着シートには優れた粘着力も求められている。
しかしながら、従来の熱伝導性粘着シートにおいては、粘着力が高い場合は再剥離が困難であり、再剥離性に優れている場合は粘着シートの粘着力が弱く、この場合発熱体と放熱体の接合をねじ止めなどで補強しなければならないといった問題があった。すなわち、従来の熱伝導性粘着シートは、粘着力と再剥離性の両立に課題が残るものであった。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、熱伝導性を有する粘着シートであって、優れた粘着力と再剥離性(リワーク性)を兼ね備えた熱伝導性粘着シートを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物に、窒素含有モノマーを含む各種モノマー成分、カルボキシル基含有モノマー由来単位及び/又は単官能アクリル酸エステルモノマー由来単位を含むプレポリマー、熱伝導性粒子及び分散剤を、特定の割合で配合することにより、熱伝導性を有する粘着シートであって、優れた粘着力と再剥離性(リワーク性)を兼ね備えた粘着シートが得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] A成分として窒素含有モノマー、
B成分として、カルボキシル基含有モノマー及びカルボキシル基含有モノマー由来単位から選択される少なくとも1種、
C成分として、単官能アクリル酸エステルモノマー及び単官能アクリル酸エステルモノマー由来単位から選択される少なくとも1種、
D成分として多官能アクリル酸エステルモノマー、
金属元素の単体又は金属化合物を含む熱伝導性粒子、及び
分散剤、を含む粘着剤組成物であって、
A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、
A成分を2〜20質量部、
B成分を3〜30質量部、
C成分を50〜95質量部、
D成分を0.1〜1.8質量部、
熱伝導性粒子を40〜400質量部、
分散剤を0.1〜13質量部含む、熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
[2] A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、A成分を3〜10質量部含む、[1]に記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
[3] A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、B成分を6〜15質量部含む、[1]又は[2]に記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
[4] A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、C成分を75〜91質量部含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
[5] A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、D成分を0.5〜1.5質量部含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
[6] A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、熱伝導性粒子を200〜300質量部含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
[7] A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、分散剤を1〜5質量部含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
[8] 熱伝導性粒子が金属酸化物の粒子である、[1]〜[7]のいずれかに記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を含む、熱伝導性粘着シート。
本発明によれば、熱伝導性を有する粘着シートであって、優れた粘着力と再剥離性(リワーク性)を兼ね備えた熱伝導性粘着シートを得ることができる。
図1は、剥離シート付き熱伝導性粘着シートの構成の一例を表す断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、“(メタ)アクリル酸”はアクリル酸およびメタクリル酸の双方、または、いずれかを表す。また、本明細書において、“モノマー”と“単量体”は同義であり、“ポリマー”と“重合体”は同義である。
(熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物)
本発明は、A成分として窒素含有モノマー、B成分としてカルボキシル基含有モノマー及びカルボキシル基含有モノマー由来単位から選択される少なくとも1種、C成分として単官能アクリル酸エステルモノマー及び単官能アクリル酸エステルモノマー由来単位から選択される少なくとも1種、D成分として多官能アクリル酸エステルモノマー、金属元素の単体又は金属化合物を含む熱伝導性粒子、及び分散剤、を含む粘着剤組成物に関する。ここで、本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、A成分を2〜20質量部、B成分を3〜30質量部、C成分を50〜95質量部、D成分を0.1〜1.8質量部、熱伝導性粒子を40〜400質量部、分散剤を0.26〜13質量部含む。
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、上記構成を有するため、熱伝導性に優れた熱伝導性粘着シートを形成することができる。さらに、本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、優れた粘着力と再剥離性(リワーク性)を兼ね備えた熱伝導性粘着シートを形成することができる。
一般的な粘着シートにおいては、強粘着性と再剥離性はトレードオフの関係にあり、特に熱伝導性粘着シートにおいては、強粘着性と再剥離性を両立させることが困難であった。しかし、本発明者らは、熱伝導性粘着シートにおいて、強粘着性と再剥離性を両立させる粘着因子を明らかにすることに成功した。具体的には、本発明者らは、上記のA〜D成分を特定の割合で配合することにより、熱伝導性粘着シートにおいて、高い凝集力と適度な濡れ性能のバランスをとり、これにより強粘着性と再剥離性が両立され得ることを見出した。特に、粘着剤組成物に窒素含有モノマーを添加すると、粘着剤層における凝集力のバランスが取れ、強粘着でありながら再剥離性が発揮されることを見出した。
<A成分>
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、A成分として窒素含有モノマーを含む。窒素含有モノマーは、1分子内に窒素元素を含有するモノマーである。窒素含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド等を挙げることができる。中でも、窒素含有単量体は、アクリルアミド誘導体、アミノ基含有モノマー及び含窒素複素環含有モノマーから選択される少なくとも1種であることが好ましく、アクリルアミド誘導体であることがより好ましい。アクリルアミド誘導体は、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド及びアクリロイルモルホリンから選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、ジエチルアクリルアミド及びアクリロイルモルホリンから選択される少なくとも1種であることが特に好ましい。
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、A成分を2〜20質量部含有する。A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対するA成分の含有量は、2.5〜15質量部であることが好ましく、3〜10質量部であることがより好ましい。A成分の含有量を上記範囲内とすることにより、熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物から形成される熱伝導性粘着シートの粘着力とリワーク性の両方をより効果的に高めることができる。
熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物中におけるA成分の含有量は、粘着剤組成物を作製する際の窒素含有モノマーの添加量と同一である。熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物中におけるA成分の含有量は、例えば、赤外分光法、核磁気共鳴法及び元素分析から選択されるいずれかの方法で測定することができる。
<B成分>
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、B成分として、カルボキシル基含有モノマー及びカルボキシル基含有モノマー由来単位から選択される少なくとも1種を含む。ここで、本明細書において、「単位」とはポリマー(重合体)を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。すなわち、カルボキシル基含有モノマー由来単位とは、カルボキシル基含有モノマーを含むモノマー成分を重合して得られるポリマー中のカルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位をいう。このようなポリマーは、例えば、カルボキシル基含有モノマーを含むモノマー成分を重合して得られるプレポリマーに含まれるものであることが好ましい。
カルボキシル基含有モノマー由来単位は、カルボキシル基含有モノマーのみを重合して得られるホモポリマー中における構成単位であってもよく、カルボキシル基含有モノマーと他種のモノマーを含むモノマー成分を重合して得られるヘテロポリマー中における構成単位であってもよい。なお、本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、B成分に含まれるカルボキシル基含有モノマーと、後述するC成分に含まれる単官能アクリル酸エステルモノマーを重合して得られるポリマーを含むことが好ましい。中でも、本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、B成分に含まれるカルボキシル基含有モノマーと、C成分に含まれる単官能アクリル酸エステルモノマーの一部を重合させることで得られるプレポリマーを含むことが好ましく、このようなプレポリマーは、カルボキシル基含有モノマーと単官能アクリル酸エステルモノマーを重合して得られるヘテロポリマーと、重合せずに残ったカルボキシル基含有モノマー及び単官能アクリル酸エステルモノマーを含む。このため、B成分におけるカルボキシル基含有モノマー由来単位は、カルボキシル基含有モノマーと単官能アクリル酸エステルモノマーから構成されるヘテロポリマー中におけるカルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位であることが好ましい。
カルボキシル基含有モノマーは、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸であることが好ましい。中でも、カルボキシル基含有モノマーはアクリル酸であることが好ましい。
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、B成分を3〜30質量部含有する。A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対するB成分の含有量は、5〜27質量部であることが好ましく、6〜20質量部であることがより好ましく、6〜15質量部であることが特に好ましい。B成分の含有量を上記範囲内とすることにより、熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物から形成される熱伝導性粘着シートの粘着力とリワーク性の両方をより効果的に高めることができる。
熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物中におけるB成分の含有量は、プレポリマーを作製する際のカルボキシル基含有モノマーの添加量と、プレポリマーの作製とは別にモノマーとして添加する場合のカルボキシル基含有モノマーの添加量の合計量として算出することができる。熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物中におけるB成分の含有量は、例えば、酸価滴定法により測定することが可能である。
<C成分>
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、C成分として、単官能アクリル酸エステルモノマー及び単官能アクリル酸エステルモノマー由来単位から選択される少なくとも1種を含む。単官能アクリル酸エステルモノマー由来単位とは、単官能アクリル酸エステルモノマーを含むモノマー成分を重合して得られるポリマー中の単官能アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位をいう。このようなポリマーは、例えば、単官能アクリル酸エステルモノマーを含むモノマー成分を重合して得られるプレポリマーに含まれるものであることが好ましい。
単官能アクリル酸エステルモノマー由来単位は、単官能アクリル酸エステルモノマーのみを重合して得られるホモポリマー中における構成単位であってもよく、単官能アクリル酸エステルモノマーと他種のモノマーを含むモノマー成分を重合して得られるヘテロポリマー中における構成単位であってもよい。なお、本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、上述したB成分に含まれるカルボキシル基含有モノマーと、C成分に含まれる単官能アクリル酸エステルモノマーを重合して得られるポリマーを含むことが好ましい。中でも、本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、B成分に含まれるカルボキシル基含有モノマーと、C成分に含まれる単官能アクリル酸エステルモノマーの一部を重合させることで得られるプレポリマーを含むことが好ましく、このようなプレポリマーは、カルボキシル基含有モノマーと単官能アクリル酸エステルモノマーのヘテロポリマーと、重合せずに残ったカルボキシル基含有モノマー及び単官能アクリル酸エステルモノマーを含む。このため、C成分における単官能アクリル酸エステルモノマー由来単位は、カルボキシル基含有モノマーと単官能アクリル酸エステルモノマーから構成されるヘテロポリマー中における単官能アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位であることが好ましい。
単官能アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸n−ウンデシル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジ等が挙げられる。中でも、単官能アクリル酸エステルモノマーは、アクリル酸−2−エチルヘキシルであることが好ましい。
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、C成分を50〜95質量部含有する。A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対するC成分の含有量は、65〜92質量部であることが好ましく、70〜92質量部であることがより好ましく75〜91質量部であることが特に好ましい。C成分の含有量を上記範囲内とすることにより、熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物から形成される熱伝導性粘着シートの粘着力とリワーク性の両方をより効果的に高めることができる。
熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物中におけるC成分の含有量は、プレポリマーを作製する際の単官能アクリル酸エステルモノマーの添加量と、プレポリマーの作製とは別にモノマーとして添加する場合の単官能アクリル酸エステルモノマーの添加量の合計量として算出することができる。熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物中におけるC成分の含有量は、例えば、核磁気共鳴法により測定することができる。
<D成分>
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、D成分として多官能アクリル酸エステルモノマーを含む。多官能アクリル酸エステルモノマーは、反応性二重結合を2つ以上有するものである。多官能アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸トリエチレングリコール、ジアクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジアクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジアクリル酸1,9−ノナンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸ポリブチレングリコール、ジアクリル酸ネオペンチルグリコール、ジアクリル酸テトラエチレングリコール、ジアクリル酸トリプロピレングリコール、ジアクリル酸ポリプロピレングリコール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、テトラアクリル酸ペンタエリスリトール等の多価アルコールのアクリル酸エステル類、メタクリル酸ビニル等が挙げられる。中でも、多官能アクリル酸エステルモノマーは、ジアクリル酸ポリプロピレングリコールであることが好ましい。
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、D成分を0.1〜1.8質量部含有する。A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対するD成分の含有量は、0.2〜1.7質量部であることが好ましく、0.5〜1.5質量部であることがより好ましい。D成分の含有量を上記範囲内とすることにより、熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物から形成される熱伝導性粘着シートの凝集力を高めつつ、リワーク性を高めることができる。
熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物中におけるD成分の含有量は、粘着剤組成物を作製する際の多官能アクリル酸エステルモノマーの添加量と同一である。熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物中におけるD成分の含有量は、例えば、核磁気共鳴法により測定することができる。
<熱伝導性粒子>
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、熱伝導性粒子を含有する。熱伝導性粒子は、金属元素の単体又は金属化合物を含むものである。なお、金属化合物には、金属合金も含まれる。
熱伝導性粒子としては、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ガリウム、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化銅、酸化ニッケル、アンチモン酸ドープ酸化スズ、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、銅、銀、金、ニッケル、アルミニウム、白金などが挙げられる。これらの熱伝導性粒子は、単独(1種類のみ)で使用することもでき、2種以上を併用することもできる。
熱伝導性粒子は金属酸化物の粒子であることが好ましい。中でも、熱伝導性粒子は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化チタンから選択される少なくとも1種であることが好ましく、酸化アルミニウムであることが特に好ましい。
熱伝導性粒子の形状は特に限定されず、バルク形状、針形状、板形状、層状であってもよい。バルク形状には、例えば、球形状、直方体形状、破砕状またはそれらの異形形状が含まれる。
熱伝導性粒子の平均1次粒子径は、0.1〜1000μmであることが好ましく、0.5〜500μmであることがより好ましく、1〜100μmであることがさらに好ましい。
熱伝導性粒子としては、市販品を用いることができる。例えば、デンカ社製のDAW−05、DAW−03、DAW−07等を用いることができる。
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、熱伝導性粒子を40〜400質量部含有する。A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対する熱伝導性粒子の含有量は、50〜350質量部であることが好ましく、100〜300質量部であることがより好ましく、200〜300質量部であることがさらに好ましい。熱伝導性粒子の含有量を上記範囲内とすることにより、粘着剤層に高い熱伝導率と付与しつつ、高い粘着力も維持することができる。
<分散剤>
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、分散剤を含む。分散剤は熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物において熱伝導性粒子の分散性を向上させ得る。
分散剤としては、例えば、塩基系分散剤、酸系分散剤が挙げられる。中でも、本発明では、分散剤として、酸系分散剤を用いることが好ましい。これにより、熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物における熱伝導性粒子の分散性をより向上させることができる。これらの分散剤は、単独(1種類のみ)で使用することもでき、2種以上を併用することもできる。
分散剤としては、市販品を用いることができる。例えば、ビックケミ−・ジャパン社製のDISPERBYK−102やDISPERBYK−103等を用いることができる。
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、分散剤を0.1〜13質量部含有する。A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対する分散剤の含有量は、0.26〜13質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。分散剤の含有量を上記範囲内とすることにより、熱伝導性粒子の分散性を高めつつ、高い粘着力も維持することができる。
<重合開始剤>
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤が挙げられる。中でも、重合開始剤は、活性エネルギー線の照射によりモノマー成分の重合反応を開始させる光重合開始剤であることが好ましい。ここで、「活性エネルギー線」とは電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられる。中でも、汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
重合開始剤としては、例えばアセトフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤、チオキサントン系開始剤、アミン系開始剤等が挙げられる。
アセトフェノン系開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系開始剤として具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系開始剤として具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤として具体的には、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等が挙げられる。
チオキサントン系開始剤として具体的には、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等が挙げられる。
アミン系開始剤として具体的には、トリエタノールアミン、4−ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、単独(1種類のみ)で使用することもでき、2種以上を併用することもできる。
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、A成分、B成分、C成分の合計100質量部に対して、重合開始剤を0.01〜10質量部含有することが好ましく、0.1〜5質量部含有することがより好ましい。重合開始剤の含有量を上記範囲内とすることにより、粘着剤層の凝集力を高め、粘着力もより向上させることができる。
<任意成分>
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、上述した成分に加えてさらに任意成分を含んでもよい。任意成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分、例えば酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
金属腐食防止剤としては、ベンゾリアゾール系樹脂を挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。ただし、完全硬化時の活性エネルギー線に紫外線を用いる場合は、重合反応を阻害しない範囲で添加する必要がある。
(熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物の製造方法)
本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物の製造方法は、カルボキシル基含有モノマー及び単官能アクリル酸エステルモノマーを混合してプレポリマー溶液を得る工程と、プレポリマー溶液に、カルボキシル基含有モノマー及び単官能アクリル酸エステルモノマーから選択される少なくとも一種と、窒素含有モノマーと、多官能アクリル酸エステルモノマーと、熱伝導性粒子と、分散剤と、を混合する工程を含むことが好ましい。なお、プレポリマー溶液にはさらに重合開始剤を混合することが好ましい。
プレポリマー溶液を得る工程では、カルボキシル基含有モノマー及び単官能アクリル酸エステルモノマーの一部を重合させる。すなわち、プレポリマー溶液には、カルボキシル基含有モノマーと単官能アクリル酸エステルモノマーを重合して得られるポリマーと、カルボキシル基含有モノマー、単官能アクリル酸エステルモノマーがそれぞれ含まれている。
プレポリマー溶液を得る工程では、カルボキシル基含有モノマー及び単官能アクリル酸エステルモノマーの一部を重合させるために、さらに重合開始剤を混合することが好ましい。重合開始剤としては、上述した重合開始剤を挙げることができる。
プレポリマー溶液を得る工程では、活性エネルギー線を照射することによってカルボキシル基含有モノマー及び単官能アクリル酸エステルモノマーの一部を重合させることが好ましい。光源としては、ケミカルランプやブラックランプ等の紫外線蛍光ランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等が用いられる。電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線を使用できる。中でも、活性エネルギー線としては、紫外線を用いることが好ましく、波長が250〜400nmの紫外線を用いることが特に好ましい。
プレポリマー溶液を得る工程では、プレポリマー溶液の粘度が5,000〜100,000cpsとなり、固形分濃度が10〜50質量%となるように活性エネルギー線を照射することが好ましい。
(熱伝導性粘着シート)
本発明は、上述した熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物を硬化させてなる粘着剤層を含む熱伝導性粘着シートに関するものでもある。具体的には、熱伝導性粘着シートは、熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物を活性エネルギー線で硬化させてなる粘着剤層を含むものであることが好ましい。
本発明の熱伝導性粘着シートは、粘着剤層のみから構成される単層の粘着シートであってもよい。また、本発明の熱伝導性粘着シートは、片面粘着シートでも両面粘着シートでもよい。
片面粘着シートとしては、支持体上に粘着剤層が積層した多層シートが挙げられる。また、支持体と粘着剤層との間には他の層が設けられていてもよい。
両面粘着シートとしては、粘着剤層からなる単層の粘着シート、粘着剤層を複数積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に他の粘着剤層を積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に支持体を積層した多層の粘着シートが挙げられる。両面粘着シートが支持体を有する場合、支持体として透明な支持体を用いたものが好ましい。このような両面粘着シートは、粘着シート全体としての透明性にも優れることから、光学部材同士の接着に好適に用いることができる。
本発明の粘着シートは上述した中でも、支持体を有さないシートであることが好ましく、粘着剤層からなる単層の粘着シート、又は粘着剤層を複数積層した多層の粘着シートが好ましく、粘着剤層からなる単層の両面粘着シートが特に好ましい。
粘着剤層の表面は剥離シートによって覆われていることが好ましい。すなわち、熱伝導性粘着シートは、剥離シート付き熱伝導性粘着シートであってもよい。
図1は、剥離シート付き熱伝導性粘着シートの構成の一例を表す断面図である。図1に示された熱伝導性粘着シート11は剥離シート(12a、12b)を有している。なお、図1の熱伝導性粘着シート11は、基材レスタイプの単層の粘着シートであり、両面粘着シートである。
剥離シートとしては、剥離シート用基材とこの剥離シート用基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する剥離性積層シート、あるいは、低極性基材としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−4527、SD−7220等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO2単位と(CH33SiO1/2単位あるいはCH2=CH(CH3)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
剥離シート付き熱伝導性粘着シートにおいては、粘着剤層の一方の表面に第1の剥離シートを備え、粘着剤層の他方の表面に第2の剥離シートを備え、第1の剥離シート及び第2の剥離シートの剥離力が異なることが好ましい。図1の例では、剥離シート12においては、剥離しやすくするために、剥離シート12aと剥離シート12bとの剥離性を異なるものとすることが好ましい。つまり、一方からの剥離性と他方からの剥離性とが異なると、剥離性が高い方の剥離シート12だけを先に剥離することが容易となる。その場合、貼合方法や貼合順序に応じて剥離シート12aと剥離シート12bの剥離シート12の剥離性を調整すればよい。
粘着剤層の厚みは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上450μm以下であることがより好ましく、30μm以上450μm以下であることがさらに好ましく、40μm以上400μm以下であることが一層好ましく、40μm以上350μm以下であることがより一層好ましく、40μm以上300μm以下であることが特に好ましい。
本発明の熱伝導性粘着シートの熱伝導率は、0.3W/m・k以上であることが好ましく、0.5W/m・k以上であることがより好ましく、0.8W/m・k以上であることがさらに好ましく、1.0W/m・k以上であることが特に好ましい。なお、熱伝導性粘着シートの熱伝導率の上限は特に限定されるものではないが、例えば、5.0W/m・kとすることが好ましい。なお、熱伝導性粘着シートの熱伝導率は、例えば、迅速熱伝導率計QTM500(京都電子工業社製)を用いて測定することができる。
本発明の熱伝導性粘着シートの対アルミ粘着力は、1N/inch以上であることが好ましく、5N/inch以上であることがより好ましく、10N/inch以上であることがさらに好ましく、20N/inch以上であることが特に好ましい。なお、熱伝導性粘着シートの対アルミ粘着力の上限は特に限定されるものではないが、例えば、50N/inchとすることが好ましい。ここで、熱伝導性粘着シートの対アルミ粘着力は、以下のようにして測定することができる。まず、熱伝導性粘着シートの粘着剤層に厚さ0.1mmの易接着処理したアルミ板を裏打ちする。その後、粘着剤層の他方の面をアルミ板(JIS H 4000 A1050P)に2kgロ−ラ−で1往復して加圧貼合し、室温で1時間放置する。その後、180°方向に剥離速度300mm/minで熱伝導性粘着シートをアルミ板から引き剥がし、その際の剥離強度を粘着力として測定する。
本発明の熱伝導性粘着シートはリワーク性にも優れている。本明細書において、リワーク性とは、熱伝導性粘着シートの再剥離性を評価したものであり、被着体から粘着剤層を糊残りなく剥離できるか否かで評価することができる。例えば、粘着剤層の一方の面にアルミ板を貼合し、所定時間放置後に粘着剤層を被着体から糊残りなく剥離できるか否かでリワーク性を評価することができる。具体的には、粘着剤層が断裂することなく被着体からに糊残りなく剥離できるか、もしくは、粘着剤層の一部が断裂し糊が被着体に若干残った場合であっても粘着剤層を容易に剥離できるものはリワーク性に優れていると言える。
(熱伝導性粘着シートの製造方法)
熱伝導性粘着シートの製造方法は、剥離シート上に熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、該塗膜に光照射して硬化させる工程を含むことが好ましい。熱伝導性粘着シートの製造方法においては、剥離シート上に熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成した後、さらにもう一方に別の剥離シートを貼合した状態で光照射を行うことが好ましい。
熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
硬化させる工程で用いられる活性エネルギー線や光源としては上述したものを採用することができる。中でも、活性エネルギー線としては、紫外線を用いることが好ましく、波長が250〜400nmの紫外線を用いることが特に好ましい。この場合、紫外線を積算光量が500〜5000mJ/cm2となるように照射することが好ましく、1000〜3000mJ/cm2となるように照射することがより好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
<プレポリマーの重合>
アクリル酸−2−エチルヘキシル(2EHA)90質量部と、アクリル酸(AA)10質量部に対して、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(イルガキュア184(IRG184)、BASFジャパン社製、光重合開始剤)を0.05質量部添加し、高圧水銀ランプを用いて所定の積算露光量で紫外線照射を行い、粘度が60,000cps、固形分濃度が22質量%となるように調製したプレポリマーを得た。
<粘着剤組成物の調製>
プレポリマー70質量部に、モノマーとして2EHAとN−アクリロイルモルホリン(ACMO)を2EHA/ACMO=27/3(質量比)の割合で混合した混合モノマーを30質量部添加し、攪拌することでプレミックス(A成分+B成分+C成分)を得た。
このプレミックス100質量部に、多官能アクリル酸エステルモノマー(架橋性モノマー)としてジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(東亞合成(株)製、アロニックスM−270)0.4質量部、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(イルガキュア184(IRG184)、BASF社製、光重合開始剤)0.3質量部及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシド(イルガキュアTPO(TPO)、BASF社製、光重合開始剤)0.125質量部、分散剤としてDISPERBYK−103(ビックケミ−・ジャパン社製)2.6質量部、熱伝導性粒子として酸化アルミニウム(DAW−05、デンカ社製、熱伝導性粒子)260質量部を添加し、充分攪拌して粘着剤組成物を調製した。得られた粘着剤組成物を実施例1の粘着剤組成物とした。
<熱伝導性粘着シートの作製>
実施例1の粘着剤組成物を脱泡処理後、厚み100μmのPET重剥離フィルム(A71、帝人デュポン社製)の離型層側に塗布し、続いて厚み75μmのPET軽剥離フィルム(A38、帝人デュポン社製)の剥離層側を粘着剤組成物の塗膜上に貼合した。その後、高圧水銀ランプを用いて積算露光量1500mJ/cm2の条件で紫外線照射を行って実施例1の粘着剤組成物を硬化させて粘着剤層を形成し、熱伝導性粘着シートを作製した。得られた熱伝導性粘着シートの粘着剤層の厚みは75μmであった。得られた熱伝導性粘着シートを実施例1の熱伝導性粘着シートとした。
[実施例2〜12、比較例1〜10]
<プレポリマーの重合>及び<粘着剤組成物の調製>において、各成分を下記表1及び表2に示す組成となるように変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び熱伝導性粘着シートを作製した。
なお、下記表1及び表2におけるDEAAは、N,N−ジエチルアクリルアミドである。
[評価]
<粘着力>
熱伝導性粘着シートの一方の軽剥離フィルムを剥がして粘着剤層の粘着面を露出させ、厚さ0.1mmの易接着処理したアルミ板で裏打ちし、25mm×100mmの試験片とした。試験片をアルミ板(JIS H 4000 A1050P)に2kgロ−ラ−で1往復して加圧貼合し、室温で1時間放置した。その後、180°方向に剥離速度300mm/minで熱伝導性粘着シートをアルミ板から引き剥がし、粘着力を測定し、以下の評価基準で評価した。
◎:20N/inch以上。
○:10N/inch以上20N/inch未満。
△:1.0N/inch以上10N/inch未満。
×:1.0N/inch未満。
<熱伝導率>
熱伝導性粘着シートを60mm×125mmの大きさに切断し、試験片とした。熱伝導性粘着シートの両面の剥離フィルムを剥離し、常温環境下で迅速熱伝導率計QTM500(京都電子工業社製)を使用して粘着剤層の熱伝導率を測定した。
<リワ−ク性評価>
熱伝導性粘着シートを25mm×50mmの大きさに切断し、片面の軽剥離フィルムを剥がした粘着面を、被着体であるアルミ板に2kgロ−ラ−で2往復して加圧貼合し、室温で1時間放置した。その後、貼合された熱伝導性粘着シートから重剥離フィルムを剥がしたものを評価サンプルとした。リワ−ク性評価は、アルミ板に貼合された粘着剤層をピンセットで摘み剥がした際の様子で評価した。
◎:粘着剤層が切れずに被着体から糊残りなく再剥離できる。
○:一部の粘着剤層が切れるが被着体から糊残りなく再剥離できる。
△:断続的に粘着剤層が切れるが、被着体から糊残りなく再剥離できる。
×:粘着剤層が剥がれず、被着体の全面に糊が残り再剥離できない。
Figure 2019189767
Figure 2019189767
上記表1及び表2より、本発明の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物は、熱伝導率を十分に得られる範囲で熱伝導性粒子を含む場合であっても、粘着力及びリワーク性を両立する熱伝導性粘着シートを形成できることがわかった。
比較例1によれば、分散剤が少な過ぎる場合はリワーク性が劣ることがわかった。
比較例2によれば、分散剤が多過ぎる場合はリワーク性が劣ることがわかった。
比較例3によれば、熱伝導性粒子が少な過ぎる場合は、熱伝導率を十分に得られず、リワーク性が劣ることがわかった。
比較例4によれば、熱伝導性粒子が多過ぎる場合は粘着力が劣ることがわかった。
比較例5によれば、窒素含有モノマーが少な過ぎる場合はリワーク性が劣ることがわかった。
比較例6によれば、窒素含有モノマーが多過ぎる場合は粘着力が劣ることがわかった。
比較例7によれば、多官能アクリル酸エステル構造含有モノマーが少な過ぎる場合はリワーク性が劣ることがわかった。
比較例8によれば、多官能アクリル酸エステル構造含有モノマーが多過ぎる場合は粘着力が劣ることがわかった。
比較例9によれば、カルボキシル基含有のプレポリマー又はモノマーが少な過ぎ、かつ、単官能 アクリル酸エステル構造含有のプレポリマー又はモノマーが少な過ぎる場合は粘着力が劣ることがわかった。
比較例10によれば、カルボキシル基含有のプレポリマー又はモノマーが多過ぎる場合は粘着力が劣ることがわかった。
1 剥離シート付き熱伝導性粘着シート
11 熱伝導性粘着シート(粘着剤層)
12a、12b 剥離シート

Claims (9)

  1. A成分として窒素含有モノマー、
    B成分として、カルボキシル基含有モノマー及びカルボキシル基含有モノマー由来単位から選択される少なくとも1種、
    C成分として、単官能アクリル酸エステルモノマー及び単官能アクリル酸エステルモノマー由来単位から選択される少なくとも1種、
    D成分として多官能アクリル酸エステルモノマー、
    金属元素の単体又は金属化合物を含む熱伝導性粒子、及び
    分散剤、を含む粘着剤組成物であって、
    前記A成分、前記B成分、前記C成分の合計100質量部に対して、
    前記A成分を2〜20質量部、
    前記B成分を3〜30質量部、
    前記C成分を50〜95質量部、
    前記D成分を0.1〜1.8質量部、
    前記熱伝導性粒子を40〜400質量部、
    前記分散剤を0.1〜13質量部含む、熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
  2. 前記A成分、前記B成分、前記C成分の合計100質量部に対して、前記A成分を3〜10質量部含む、請求項1に記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
  3. 前記A成分、前記B成分、前記C成分の合計100質量部に対して、前記B成分を6〜15質量部含む、請求項1又は2に記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
  4. 前記A成分、前記B成分、前記C成分の合計100質量部に対して、前記C成分を75〜91質量部含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
  5. 前記A成分、前記B成分、前記C成分の合計100質量部に対して、前記D成分を0.5〜1.5質量部含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
  6. 前記A成分、前記B成分、前記C成分の合計100質量部に対して、前記熱伝導性粒子を200〜300質量部含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
  7. 前記A成分、前記B成分、前記C成分の合計100質量部に対して、前記分散剤を1〜5質量部含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
  8. 前記熱伝導性粒子が金属酸化物の粒子である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱伝導性粘着シート形成用粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を含む、熱伝導性粘着シート。
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