JP2019183127A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 記録した当初だけでなく保存した後にも優れた光沢性を有する画像を記録することができる水性インクなどの提供。【解決手段】 銀粒子、第1還元剤、及び第2還元剤を含有する水性インクであって、前記第1還元剤が、その酸化還元電位R1(mV)がR1<0の化合物であり、前記第2還元剤が、その酸化還元電位R2(mV)がR2≧0であるとともに、第3級アミン類、及び、分子中の最長の炭素鎖のうち隣接する2つの炭素原子間のいずれかを基準として二分した構造の一方に複数のヒドロキシ基を有する多価アルコール類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする水性インク。【選択図】 なし

Description

本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
金属粒子を含有するインクは、用いる金属粒子の導電性を利用して、電気回路の形成に使用されてきたが、近年では、クリスマスカードなどのメタリック感を表現する用途においても使用されるようになってきている。このような用途では、画像の装飾性を高めるために、メタリック感のある画像(以下、「メタリック画像」と記載することがある)を記録することが求められている。メタリック画像を記録するために、アルミニウム顔料を含有するインクが提案されている(特許文献1参照)。さらに、銀粒子を含有する水性インクが提案されている(特許文献2及び3参照)。
特開2013−064053号公報 特開2011−241242号公報 特開2011−140635号公報
本発明者らは、金属粒子を色材として含有する従来のインクについて検討を行った。その結果、メタリック画像として要求される光沢感を表現するためには、銀粒子を色材として用いる必要があることを見出した。すなわち、特許文献1に記載されているような、アルミニウムを色材とした水性インクにより記録された画像の光沢性は、銀粒子の場合と比較して劣ることがわかった。
また、特許文献2や3に記載されているような、銀粒子を色材として用いたインクによれば、光沢性が良好なメタリック画像を記録し得る。しかし、この画像を保存すると、記録した当初の光沢性(初期の光沢性)が徐々に損なわれていくことがわかった。
したがって、本発明の目的は、記録した当初だけでなく保存した後にも優れた光沢性を有する画像を記録することができる水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかる水性インクは、銀粒子、第1還元剤、及び第2還元剤を含有する水性インクであって、前記第1還元剤が、その酸化還元電位R(mV)がR<0の化合物であり、前記第2還元剤が、その酸化還元電位R(mV)がR≧0であるとともに、第3級アミン類、及び、分子中の最長の炭素鎖のうち隣接する2つの炭素原子間のいずれかを基準として二分した構造の一方に複数のヒドロキシ基を有する多価アルコール類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明によれば、記録した当初だけでなく保存した後にも優れた光沢性を有する画像を記録することができる水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
アルミニウムではなく銀粒子を色材として含有する水性インクにより、光沢性(初期)が良好な画像を記録し得る。しかし、本発明者らの検討の結果、銀粒子を含有する水性インクを用いて記録した画像は、長期間保存すると光沢性が低下する場合があることがわかった。記録直後の光沢性が良好な画像と、保存により光沢性が低下した画像と、を分析したところ、画像を構成する銀層に塩化銀の結晶が生成し、保存後の画像にはより成長した状態の結晶が生成していた。塩化銀の生成と結晶成長は以下のようにして起こると考えられる。
画像の記録に利用される記録媒体には、一般に、塩化物イオン(Cl)が含まれる。例えば、普通紙などのインク受容層を有しない記録媒体には、パルプの漂白剤に由来する塩化物イオンが含まれる。また、インク受容層を有する記録媒体には、カウンターイオンが塩化物イオンである樹脂などのカチオン性化合物が含まれる。このような記録媒体に銀粒子を含有する水性インクが付与されると、インク中の水分子を構成する水素原子はδに分極しているので、塩化物イオンを引き寄せられ、この水を介して、記録媒体の表面近傍に塩化物イオンが滲み出てくる。塩化物イオンは、記録媒体に付着された銀と反応して塩化銀を生成する。塩化銀は水難溶性であるため、結晶を形成する。その後、画像が保存されている間にも、記録媒体の吸湿により水分子が供給され続ける。このため、上記と同様の反応が生じ、塩化銀の結晶が成長していくので、画像を保存すると光沢性が低下したと考えられる。
銀と塩化物イオンとが反応して塩化銀を生ずる過程で、銀原子は酸化される。そこで、本発明者らは、銀粒子を含有するインクに、第1還元剤を添加することとした。記録媒体にインクが付与され、塩化銀が生成しても、第1還元剤の作用により塩化銀が銀に還元されることで、画像の光沢性(初期)を向上し得る。第1還元剤としては、その酸化還元電位R(mV)が、R<0である化合物を用いる。
ここで、ある物質の酸化還元電位(mV)は、当該物質を含む溶液に参照電極(白金電極)及び比較電極を入れて測定する。酸化還元電位(mV)は、電極への電子の移りやすさを示す指標であり、酸化還元電位(mV)の値が小さいほど、電極へ電子が移りやすいことになり、測定対象の物質の還元力が大きいことを意味する。本発明においては、上記比較電極として、銀−塩化銀電極を用いる。銀−塩化銀電極の表面では、Ag+Cl⇔AgCl+eの可逆的な酸化還元反応が生ずる。銀−塩化銀電極を用いて測定した酸化還元電位R(mV)が小さい化合物、特にR<0を満たす化合物は、電子を放出しやすく、放出された電子は電極へと移動して、電極の表面で、AgCl+e→Ag+Clの反応を生じさせ得る。
つまり、第1還元剤として、その酸化還元電位R(mV)がR<0の化合物を用いると、塩化銀を銀に還元する反応を効率よく生じさせことができる。これにより、画像の光沢性(初期)を向上させることができる。
但し、第1還元剤が塩化銀を還元すると、第1還元剤は酸化される。このようにして生成した第1還元剤の酸化物は、まだ還元されていない塩化銀の結晶に付着し、これが立体障害となって、以降の還元が妨げられることがわかった。つまり、画像を保存する場合の光沢性の低下は、第1還元剤のみでは抑制することができない。
そこで、本発明者らは、銀粒子を含有するインクに、第1還元剤に加えて、第2還元剤を添加することとした。塩化銀の結晶に付着した第1還元剤の酸化物を第2還元剤により還元することによって、第1還元剤の作用を継続的に発揮させるためには、以下の2つの条件を満たす必要がある。すなわち、第2還元剤の還元力が第1還元剤よりも小さいとともに、第2還元剤が塩化銀の結晶に対して適切な距離を保って存在する必要がある。これらの条件を満足する第2還元剤として、その酸化還元電位R(mV)がR≧0である、特定の化合物を用いる。以下、第2還元剤の酸化還元電位と化合物の種類についてそれぞれ説明する。
第2還元剤としては、第1還元剤よりも還元力が小さい化合物、すなわち、酸化還元電位R(mV)がR≧0である化合物を用いる。酸化還元電位R(mV)がR≧0である化合物を第1還元剤と併用する場合、還元力のより大きい第1還元剤が優先的に塩化銀に対して作用する。このため、第2還元剤は、塩化銀に対して直接的に作用するのではなく、第1還元剤の酸化物を還元する反応に優先的に利用される。
さらに、上記の還元力の関係を満足したうえで、第2還元剤が塩化銀の結晶に対して適切な距離を保って存在する必要がある。第2還元剤と塩化銀の結晶との距離が近すぎる場合、第1還元剤が塩化銀に接近して作用するのが妨げられるし、第2還元剤と塩化銀の結晶との距離が遠すぎる場合、塩化銀の結晶に付着した第1還元剤の酸化物を還元するのが困難となるからである。このような観点から、第2還元剤としては、特定の化合物を用いる必要がある。この特定の化合物は、(1)第3級アミン類、及び、(2)分子中の最長の炭素鎖のうち隣接する2つの炭素原子間のいずれかを基準として二分した構造の一方に複数のヒドロキシ基を有する多価アルコール類、からなる群より選択される少なくとも1種である。以下、各化合物について説明する。
(1)第3級アミン類
有機アミン類は銀粒子の保護剤として汎用であることから理解されるように、銀に吸着しやすい特性を持ち、この特性は立体障害の影響を受ける。第3級アミン類は、第1級や第2級のアミン類に比べて立体障害が大きいため、銀粒子との親和性は高いものの、塩化銀の結晶に対して一定の距離を保ちながら存在する。そのため、第1還元剤を塩化銀の結晶に接近しやすくさせるとともに、塩化銀の結晶に付着した第1還元剤の酸化物を効率的に還元することができ、画像を保存した後の光沢性の低下を抑制することができる。一方、第1級や第2級のアミン類は立体障害が小さいため、銀に近づきやすく、塩化銀の結晶に優先的に付着しやすい。このため、上述の第1還元剤の作用が生じにくくなり、画像を保存した後の光沢性の低下を抑制することができない。
(2)特定の多価アルコール類
アルコール類のヒドロキシ基は銀への配向性を持つものの、その親和性はアミン類と比較すると小さい。このため、アルコール類のなかでも、立体的な原子配置を考慮したときに、銀への配向に2つ以上のヒドロキシ基が作用し得るような構造を有する化合物を用いる必要がある。このための条件として、分子中の最長の炭素鎖のうち隣接する2つの炭素原子間のいずれかを基準として二分した構造の一方に複数のヒドロキシ基を有する多価アルコール類を用いる必要がある。この条件を満たさない化合物、例えば、直鎖状の炭化水素鎖の両末端に1つずつヒドロキシ基を有するような化合物(エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール)や1価アルコール類を用いても、画像を保存した後の光沢性の低下を抑制することはできない。これは、立体的な原子配置を考慮した場合に、銀への配向に有効に作用するヒドロキシ基が1つのみであるため、銀への配向性が不足するので、塩化銀の結晶に対して適切な距離を保って存在することができないからであると考えられる。このため、第1還元剤の酸化物を還元することができず、画像を保存した後の光沢性の低下を抑制することができない。
<水性インク>
本発明のインクは、銀粒子、第1還元剤、及び第2還元剤を含有する水性インクである。この水性インクは、インクジェット用として好適に用いることができる。但し、本発明のインクは、活性エネルギー線硬化型である必要はないので、重合性基を有するモノマーなどを含有させる必要もない。以下、水性インクを構成する成分について説明する。なお、mmol/gの単位で示した各成分の含有量は、インク1g当たりの成分のミリモル数である。
(銀粒子)
銀粒子は、銀原子で構成されている。銀粒子は、銀原子以外にも、他の金属原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子などを含んで構成されていてもよい。但し、銀粒子中の銀原子の割合(%)は、50.0質量%以上であることが好ましい。動的光散乱法により測定される、銀粒子の体積基準の累積50%粒子径は、10nm以上150nm以下であることが好ましい。
水性インク中の銀粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、2.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることがさらに好ましい。前記含有量が2.0質量%未満であると、銀粒子が少なすぎるため、画像の光沢性(初期)が十分に得られない場合がある。前記含有量が15.0質量%超であると、熱エネルギーを利用した吐出方式に適用する場合に、インクの吐出安定性がやや低下する場合がある。これは、記録ヘッドのヒータに付着した銀粒子により、インクに付与される熱エネルギーがより多くなって、発泡が安定しづらくなるためである。なお、水性インク中の銀粒子の含有量(mmol/g)は、15.0mmol/g以上150.0mmol/g以下であることが好ましく、15.0mmol/g以上80.0mmol/g以下であることが好ましい。
銀粒子の製造方法としては、例えば、銀の塊をボールミルやジェットミルなどの粉砕機で粉砕する方法(粉砕法)、銀イオン又は銀錯体を汎用の還元剤により還元して凝集させる方法(還元法)などが挙げられる。本発明においては、銀粒子の粒径制御のしやすさ、及び銀粒子の分散安定性の観点から、還元法により製造された銀粒子を用いることが好ましい。
銀粒子は、界面活性剤や樹脂などの分散剤を用いて分散されたものを用いることが好ましい。水性インク中の分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の分散剤の含有量(質量%)は、銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上1.5倍以下であることが好ましい。前記質量比率が0.2倍未満であると、銀粒子に対して分散剤が少なすぎるため、記録媒体に付着した銀粒子が分散剤により十分に覆われず、銀粒子の表面の露出が多くなりやすい。これにより、銀と塩化物イオンが反応しやすく、塩化銀が生成しやすいため、画像を保存した後の光沢性の低下を十分に抑制できない場合がある。前記質量比率が1.5倍超であると、銀粒子に対して分散剤が多すぎるため、記録媒体に付着した銀粒子が分散剤により過剰に覆われるので、銀粒子の表面の露出が少なくなりやすい。これにより、インクが記録媒体に付与された後に銀粒子が凝集しにくくなるため、画像の光沢性(初期)が十分に得られない場合がある。
銀粒子の分散剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの各種の界面活性剤を用いることができる。アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステルなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系化合物、シリコーン系化合物などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド、ホスファチジルコリンなどが挙げられる。なかでも、アニオン性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤を分散剤として用いることが好ましい。アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を用いることが好ましい。また、ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることが好ましい。
また、銀粒子の分散剤としては、アニオン性基を有するユニットとアニオン性基を有しないユニットとを持つ樹脂を用いることができる。樹脂の骨格としては、ビニル系樹脂、エステル系樹脂、アミノ系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、エーテル系樹脂、アミド系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
(還元剤)
インクは、第1還元剤、及び第2還元剤を含有する。第1還元剤は、その酸化還元電位R(mV)がR<0の化合物である。また、第2還元剤は、その酸化還元電位R(mV)がR≧0であるとともに、第3級アミン類、及び、特定の多価アルコール類からなる群より選択される少なくとも1種である。還元剤は、他の物質を還元させる作用を持つ物質であり、自身は電子を放出して酸化される。
各還元剤の酸化還元電位(mV)は、pH9の条件で、銀−塩化銀電極を用いて測定する。この電極の選択理由はインクの色材が銀であることとは関係せず、測定が簡便であるとともに、測定値の精度が良好であるためである。酸化還元電位はpHに依存するので、一般的な水性インクのpHに近く、測定値が安定していることから、本発明においては、pH9における酸化還元電位(mV)の値を利用する。
具体的には、pH標準液としてのホウ酸塩標準液に、含有量が0.1質量%となるように測定対象の物質を溶解させ、必要に応じて液体のpHを9に調整して、酸化還元電位を測定する。液体のpHが9未満である場合は、水酸化カリウムなどの塩基(水溶液でもよい)を用いてpHを上昇させればよく、また、液体のpHが9超である場合は、硫酸などの酸を用いてpHを低下させればよい。
〔第1還元剤〕
第1還元剤は、その酸化還元電位R(mV)がゼロ未満、すなわち、R<0の化合物である。第1還元剤としては、その定義を満たせばどのようなものを用いてもよいが、例えば、ラクトン構造を有する糖類、フェノール類、ピラゾリドン類などが挙げられる。これらの第1還元剤は、塩化銀を効率良く銀に還元させることができる。
ラクトン構造を有する糖類としては、アスコルビン酸などが挙げられる。フェノール類としては、N−メチル−p−アミノフェノール硫酸塩(商品名「メトール」)、ヒドロキノンなどが挙げられる。ピラゾリドン類としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン(商品名「フェニドン」)、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−エチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドンなどが挙げられる。アスコルビン酸などの化合物における酸基は塩を形成していてもよい。塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどのアルカリ金属イオンが好ましい。
なかでも、第1還元剤は、ラクトン構造を有する糖類であることが好ましく、アスコルビン酸であることがさらに好ましい。第1還元剤のなかでもアスコルビン酸は、その酸化物が第2還元剤によって還元されやすく、第1還元剤としての作用が復活しやすいので、塩化銀を効率よく還元し続けることができる。これにより、画像を保存した後の光沢性の低下をより有効に抑制することができる。
水性インク中の、第1還元剤の含有量(mmol/g)は、0.1mmol/g以上50.0mmol/g以下であることが好ましく、1.0mmol/g以上30.0mmol/g以下であることがさらに好ましい。また、水性インク中の、第1還元剤の含有量(mmol/g)は、銀粒子の含有量(mmol/g)に対するモル比率で、0.1倍以上であることが好ましい。前記モル比率が0.1倍未満であると、銀粒子に対して第1還元剤が少ないため、画像の光沢性(初期)が低下する場合があるとともに、画像を保存した後の光沢性の低下を十分に抑制できない場合がある。前記モル比率は、0.9倍以下であることが好ましい。
〔第2還元剤〕
第2還元剤は、その酸化還元電位R(mV)が第1還元剤よりも大きい、すなわち、R≧0であるとともに、第3級アミン類、及び、特定の多価アルコール類からなる群より選択される少なくとも1種である。多価アルコール類は、分子中の最長の炭素鎖のうち隣接する2つの炭素原子間のいずれかを基準として二分した構造の一方に複数のヒドロキシ基を有する化合物である。
第3級アミン類としては、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンなどのトリアルカノールアミン類;トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミンなどのトリアルキルアミン類などが挙げられる。なかでも、アルカノールアミン類が好ましい。アルカノールアミン類は、銀に吸着しやすいという特性に加えて、その分子構造中に存在するヒドロキシ基による銀への配向性も併せ持つ。したがって、アルカノールアミン類は、第1還元剤の酸化物を効率よく還元するのに特に適切な位置に存在することができるので、画像を保存した後の光沢性の低下をより有効に抑制することができる。アルカノールアミン類のなかでも、トリエタノールアミンが特に好ましい。
多価アルコール類は、分子中の最長の炭素鎖のうち隣接する2つの炭素原子間のいずれかを基準として二分した構造の一方に複数のヒドロキシ基を有する化合物である。「分子中の最長の炭素鎖」は、IUPAC命名法において鎖を構成する炭素原子が最も多くなるような鎖を「主鎖」とする定義に即している。本発明における定義を満足する多価アルコール類は、立体的な原子配置を考慮したときに、銀への配向に2つ以上のヒドロキシ基が作用し得るような構造を持つものである。
多価アルコール類としては、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ヘプタンジオールなどの炭素数3以上7以下の2価アルコール類;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類;キシリトール、D−グルコース、ソルビトールなどの糖アルコール類などが挙げられる。なかでも、糖アルコール類が好ましく、3つ以上のヒドロキシ基を有するものがさらに好ましい。これらの糖アルコール類は、立体的に好適な位置に存在する複数のヒドロキシ基により銀に配向することができる。したがって、これらの糖アルコール類は、第1還元剤の酸化物を効率よく還元するのに特に適切な位置に存在することができるので、画像を保存した後の光沢性の低下をより有効に抑制することができる。糖アルコール類のなかでも、ソルビトールが特に好ましい。
第2還元剤としては、アルカノールアミン類が好ましい。なかでも、トリエタノールアミンが特に好ましい。
水性インク中の、第2還元剤の含有量(mmol/g)は、0.1mmol/g以上200.0mmol/g以下であることが好ましく、1.0mmol/g以上150.0mmol/g以下であることがさらに好ましい。また、水性インク中の、第2還元剤の含有量(mmol/g)は、第1還元剤の含有量(mmol/g)に対するモル比率で、0.1倍以上であることが好ましい。前記モル比率が0.1倍未満であると、第1還元剤に対して第2還元剤が少ないため、第1還元剤の酸化物を還元しにくく、画像を保存した後の光沢性の低下を十分に抑制することができない場合がある。前記モル比率は、20.0倍以下であることが好ましく、10.0倍以下であることがさらに好ましい。
なお、第2還元剤による作用を効率よく発揮させるため、第1級又は第2級のアミン類をインクに含有させる場合は、その含有量はあまり多くしないことが好ましい。具体的には、水性インク中の第1級又は第2級のアミン類の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以下であることが好ましい。
(水性媒体)
インクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、1価アルコール類、その他の多価アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性溶媒類、含硫黄極性溶媒類などをいずれも用いることができる。通常「水溶性有機溶剤」とは液体を指すものであるが、本発明においては、25℃で固体であるものも水溶性有機溶剤に含めることとする。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。この含有量は、第2還元剤として特定の化合物を用いる場合は、それを含む含有量である。インクジェット記録方法に適用する際に、水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲を外れると、耐固着性や吐出安定性などの信頼性がやや低下する場合がある。
(界面活性剤)
インクは、銀粒子の分散剤として用い得る界面活性剤とは別に、さらに界面活性剤を含有することが好ましい。水性インク中の、銀粒子の分散剤として用いる界面活性剤以外の、界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。なかでも、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤のグリフィン法により求められるHLB値は10以上であることが好ましい。HLB値が10未満であると、疎水性が高いため、水性インクに溶解した状態を維持しづらい場合がある。グリフィン法により求められるHLB値は、界面活性剤のエチレンオキサイド基の式量と界面活性剤の分子量から、HLB値=20×(界面活性剤のエチレンオキサイド基の式量)/(界面活性剤の分子量)の式に基づいて算出される。グリフィン法により求められるHLB値は、ノニオン性界面活性剤の親水性や親油性の程度を0乃至20の範囲で表す物性値であり、HLB値が小さいほど親油性が高く、HLB値が大きいほど親水性が高いことを示す。
(その他の添加剤)
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、その他の樹脂、酸化防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。なかでも、インクは、酸化防止剤を含有することが好ましい。上述の通り、インクは還元力の大きい第1還元剤を含有する。還元力の大きい化合物は必然的に酸化されやすいので、インクにごくわずかに混入するような量の酸素であっても、第1還元剤の酸化を引き起こしやすい。インクに酸化防止剤を含有させれば、第1還元剤の酸化を抑制することができる。酸化防止剤としては、汎用の化合物を用いることができ、例えば、亜硫酸ナトリウム、4−メトキシフェノール、タウリン、葉酸、メルカプトピリジン、p−トルエンスルフィン酸などが挙げられ、なかでも、亜硫酸ナトリウムが好ましい。水性インク中の酸化防止剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。なお、亜硫酸ナトリウムなどの汎用の酸化防止剤のなかには、酸化還元電位がゼロ以上であり、還元剤としての作用を持つものもあるが、いわゆる「酸化防止剤」は、その構造や官能基に起因して、上述した第2還元剤としての作用は示さないと言える。
(インクの物性)
インクの25℃における粘度(mPa・s)は、1mPa・s以上6mPa・s以下であることが好ましく、1mPa・s以上4mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、インクの25℃における表面張力(mN/m)は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上50mN/m以下であることがより好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。インクの表面張力は、界面活性剤の種類や含有量により調整できる。インクの25℃におけるpHは7以上10以下であることが好ましく、この範囲内であれば、各還元剤による作用が効率よく発揮される。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、記録ヘッドが、熱エネルギーの作用によりインクを吐出することが好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。本発明のインクを用いて記録する対象の記録媒体としては、どのようなものを用いてもよいが、普通紙や、インク受容層を有する記録媒体(光沢紙やアート紙)などの、浸透性を有するような、紙ベースの記録媒体を用いることが好ましい。なかでも、記録される画像のメタリック感に優れるため、光沢紙などのインク受容層を有する記録媒体を用いることが好ましい。インクジェット記録方法で用いられる光沢紙などの記録媒体は、通常、塩化物イオンを含有するインク受容層を具備する。塩化物イオンは、例えば、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ塩化アルミニウムなどのカチオン性化合物に含まれている。銀粒子を含有するインクで記録した画像の光沢性(初期)の低下や画像を保存した後の光沢性の低下といった課題は、このような塩化物イオンに起因して生ずる。
以下、実施例、及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」、及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。銀粒子の体積基準の累積50%粒子径は、動的光散乱法による粒度分析計(商品名「UPA−EX150」、日機装製)を用いて体積基準で測定した。
<金属粒子の分散液の調製>
(分散液1、3〜6)
特開2004−285106号公報の実施例2−2の記載を参考にして、分散液1、3〜6を調製した。具体的には、硝酸銀、及び分散剤を含む水溶液に、クエン酸ナトリウム(還元剤)を添加して銀イオンを還元することで、銀ナノコロイド(80℃)を調製した。この際、分散剤としては、アニオン性界面活性剤であるドデカンスルホン酸ナトリウム、ノニオン性界面活性剤であるオクタエチレングリコールモノ−n−ドデシルエーテルの混合物(モル比率4.0:0.1)を用いた。そして、硝酸銀及び分散剤のモル比率を適宜に変化させて、銀粒子及び分散剤の含有量が表1に示す値となるように調整した。その後、15℃に冷却することによって銀粒子の体積基準の累積50%粒子径を約20nmに調整して、分散液1、3〜6を調製した。なお、後述する条件と同様にして測定した、クエン酸ナトリウムの酸化還元電位は216mVである。
(分散液2)
特表2010−507727号公報の実施例2の記載を参考にして、分散液2を調製した。具体的には、硝酸銀水溶液に、水酸化ナトリウム水溶液、及びアクリル系樹脂の水溶液(商品名「Disperbyk190」、ビックケミー製)の混合物を撹拌下で添加して、酸化銀ナノゾルを調製した。この際、アクリル系樹脂の水溶液の使用量は、銀粒子及び分散剤の含有量が表1に示す値となるように調整した。ここに、ホルムアルデヒド水溶液(還元剤)を、銀イオンと還元剤とのモル比率が1.0:10.0となるように添加した後、60℃で30分間加熱し、冷却した。その後、限外ろ過により不要物を除去して、固形分の濃度を調整し、銀粒子の体積基準の累積50%粒子径が約80nmである、分散液2を調製した。
(分散液7)
特許文献1の実施例1の記載に準じて、耐水化アルミニウム顔料分散液Aを調製し、アルミニウム粒子の含有量が20.0%となるように濃縮することで、分散液7を得た。分散液7には、水性の液媒体中にマレイン酸に由来するユニットを有するアクリル系樹脂により分散されたアルミニウム粒子が含まれている。
<酸化還元電位>
インクの調製に用いる成分について、pHメータ(商品名「ポータブルpHメータD−74」、堀場製作所製)を用いて、25℃、pH9の条件で酸化還元電位(mV)を測定した。測定には、内部液として3.33mol/Lの塩化カリウム水溶液が利用されている、ORP電極(商品名「防水白金複合形ORP電極9300−10D」、堀場製作所製))を用いた。この電極は、参照電極としての白金電極、及び比較電極としての銀−塩化銀電極が一体に構成されている。ホウ酸塩標準液(pH標準液)に、含有量が0.1質量%となるように測定対象の物質を溶解させ、必要に応じて液体のpHを9に調整して、酸化還元電位を測定した。pH調整には水酸化カリウム水溶液又は硫酸を用いた。測定した酸化還元電位を表2に示す。
<インクの調製>
(実施例1〜35、比較例1〜10)
表3〜5の上段に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液(含有量はイオン交換水に含めて表記)を用いて、インクのpHを8に調整した。インクのpHは、pHメータ(商品名「ポータブル型pHメータD−74」、堀場製作所製)を用いて測定した。その後、ポアサイズ1.2μmのフィルターにて加圧ろ過して、実施例1〜35、及び比較例1〜10の各インクを調製した。表3〜5の下段にインクの特性を示す。
表3〜5中に商品名で示した各種のノニオン性界面活性剤の詳細とグリフィン法により算出されるHLB値は以下の通りである。
・オルフィンE1010(日信化学工業製)、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、HLB値13
・NIKKOL BL−9EX(日光ケミカルズ製)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB値14
・アセチレノールE100(川研ファインケミカル製)、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、HLB値13
(比較例11)
特許文献3の実施例5の記載に準じて、比較例11のインクを調製した。当該文献の記載にしたがって調製した銀ナノ粒子1.00g、ナフテン系非水系溶媒(商品名「AFソルベント4号」、新日本石油製)1.00g、及び乳化剤(商品名「ヘキサグリン5−O」、日光ケミカルズ製)0.13gを混合し、油性の分散液を調製した。これとは別に、エチレングリコール1.05g、アスコルビン酸0.05g、及びイオン交換水3.38gを混合し、先に調製した油性の分散液の全量に添加して、十分に撹拌することで、比較例11のインクを調製した。インク中の銀粒子の含有量Pは15.1%、乳化剤(分散剤)の含有量Dは1.9%、D/Pの値は0.1倍であった。また、インク中の銀粒子の含有量Sは140.0mmol/g、第1還元剤の含有量Rは4.0mmol/g、R/Sの値は0.03倍であった。
<評価>
上記で調製した各インクをインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS MG3630」、キヤノン製)にセットした。本実施例では、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、約11.2ngのインク滴を2滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。前記インクジェット記録装置を用いて、記録媒体(光沢紙、商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]」、キヤノン製)に、記録デューティが100%であるベタ画像を記録した。得られたベタ画像について、下記の評価を行った。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、AA、A、及びBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。評価結果を表6に示す。
(光沢性(初期))
上記で得られた画像を、常温常圧(温度25℃、相対湿度50%)の環境に1時間載置した後、光沢度計(商品名「表面反射アナライザーRA−532H」、キヤノン製)を用いて、ベタ画像の20°鏡面光沢度を測定した。得られた光沢度(「光沢度」とする)から、以下に示す評価基準にしたがって光沢性(初期)を評価した。
A:光沢度が650以上だった
B:光沢度が350以上650未満だった
C:光沢度が350未満だった。
(光沢性の低下抑制)
上記で得られた画像を、温度30℃、相対湿度80%の環境に1週間載置した後、「光沢性(初期)」の評価の場合と同様にして20°鏡面光沢度を測定した。温度30℃、相対湿度80%という条件は、画像を長期間保存することを想定した加速試験である。得られた光沢度(「光沢度」とする)、及び、先に測定した「光沢度」から、光沢度の残存率(%)={(光沢度)/(光沢度)}×100の値を算出した。得られた残存率から、以下に示す評価基準にしたがって、光沢性の低下抑制を評価した。残存率が高いほど、画像を保存した後にも光沢性の低下が抑制されていることを意味する。
AA:残存率が70%以上だった
A:残存率が60%以上70%未満だった
B:残存率が50%以上60%未満だった
C:残存率が50%未満だった。

Claims (12)

  1. 銀粒子、第1還元剤、及び第2還元剤を含有する水性インクであって、
    前記第1還元剤が、その酸化還元電位R(mV)がR<0の化合物であり、
    前記第2還元剤が、その酸化還元電位R(mV)がR≧0であるとともに、第3級アミン類、及び、分子中の最長の炭素鎖のうち隣接する2つの炭素原子間のいずれかを基準として二分した構造の一方に複数のヒドロキシ基を有する多価アルコール類からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする水性インク。
  2. 前記第1還元剤が、ラクトン構造を有する糖類、フェノール類、及びピラゾリドン類からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記第1還元剤が、アスコルビン酸である請求項1に記載の水性インク。
  4. 前記第2還元剤が、アルカノールアミン類である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
  5. 前記第2還元剤が、トリエタノールアミンである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
  6. 前記水性インク中の、前記第1還元剤の含有量(mmol/g)が、前記銀粒子の含有量(mmol/g)に対するモル比率で、0.1倍以上である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
  7. 前記水性インク中の、前記第2還元剤の含有量(mmol/g)が、前記第1還元剤の含有量(mmol/g)に対するモル比率で、0.1倍以上である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
  8. 前記水性インクが、前記銀粒子を分散させるための分散剤を含有し、
    前記水性インク中の、前記分散剤の含有量(質量%)が、前記銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上1.5倍以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水性インク。
  9. 前記水性インクが、インクジェット用である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水性インク。
  10. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  11. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  12. 前記記録媒体が、塩化物イオンを含有するインク受容層を具備する請求項11に記載のインクジェット記録方法。
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