JP2019177623A - 印画物の製造方法及びプリントシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】染料同士の相互作用を抑制することができ、耐光性、経時保存安定性に優れた画像を形成することができる印画物の製造方法を提供する。【解決手段】熱転写シートのイエロー、マゼンタ及びシアンの各色材層から被転写体受容層へ染料を熱転写することによって画像を形成する印画物の製造方法において、3色材層のうち、イエロー色材層の染料を最後に被転写体受容層へ熱転写し、好ましくは前記イエロー色材層の染料を熱転写する前に、少なくとも先に染料が熱転写された領域部分を加熱する。【選択図】図1

Description

本発明は印画物の製造方法に関するものであり、詳しくは、熱転写シートのイエロー、マゼンタ、およびシアンの各色材層から被転写体受容層へ染料を熱転写することによって画像を形成する印画物の製造方法に関する。また、本発明はプリントシステムに関する。
熱転写を利用した画像の形成方法として、例えば図2(a)に示すように記録材としての昇華型染料を紙やプラスチックフィルム等の基材上に担持させた熱転写シート11と、紙やプラスチックフィルム上に該染料の受容層を設けた熱転写受像シート又はカードなどの被転写体14とを互いに重ね合わせてサーマルヘッド12で熱転写シートを加熱し画像13を形成するダイレクト印画方式が知られている。
また、図2(a)に示すダイレクト印画方式の他、中間転写媒体を用いた方式もある。中間転写媒体方式の熱転写記録方法は、昇華再転写方法とも呼ばれ、図2(b)に示すように、インクリボン21から供給される熱転写シート22と中間転写媒体供給ローラー25から供給される中間転写媒体23とを重ね合わせ、サーマルヘッド24の加熱により、熱転写シート22から染料を中間転写媒体23の受容層へ印画することにより、一旦、中間転写媒体23に印画画像26を形成する。印画画像26が形成された中間転写媒体23を、被転写体27と重ね合わせ、中間転写媒体23の基材側からヒートローラー28により加熱して、印画画像26が形成された受容層を含む中間転写媒体の転写層を、被転写体27、例えばカードに転写する。
このような昇華型熱転写記録では、一般的には3原色(イエロー(以下「Y」と略す)、マゼンタ(以下「M」と略す)、シアン(以下「C」と略す)の3色、必要に応じて黒を加えてもよい)をサーマルヘッドで順次重ねて階調印画することによってフルカラーの画像を形成している。形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明であり、かつ透明性に優れているために、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れ、従来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同様の画質を備え、かつフルカラー写真画像に匹敵する高品質の画像が形成可能である。
しかしながら、従来の方法で形成された画像は、経時保存安定性や耐光性が十分とは言えず、画質および画像が劣化してしまうことがある。特にレッド(Y+M)、グリーン(Y+C)、ブルー(M+C)の2次色および3次色であるブラック(Y+M+C)については、構成している染料の相互作用によってそれぞれの単色の耐光性よりも更に耐光性が低下する「染料の触媒褪色(キャタリティックフェイディング)」という現象が起こることが知られており、その中でも特にグリーンを構成するイエローとシアンの相互作用が顕著である。
特許文献1には、この染料同士の相互作用に基づく悪影響を抑制した熱転写記録方法として、イエロー、マゼンタ、シアンの色材層のうち、シアン色材層を最後に被転写体受容層へ熱転写し、該シアン色材層を熱転写する前に、少なくとも先に染料が熱転写された領域部分を加熱することを特徴とする熱転写記録方法が提案されている。
特許文献1の熱転写記録方法では、具体的にはイエロー色材層→マゼンタ色材層→シアン色材層の順で熱転写が行われている。
特開2005−96181号公報
特許文献1の熱転写記録方法により、染料同士の相互作用に基づく悪影響はある程度抑制され、経時保存安定性、耐光性に優れた画像を形成することができるが、更なる改善が望まれる。
本発明は、この特許文献1の熱転写記録方法よりも更に染料同士の相互作用を抑制することができ、耐光性、経時保存安定性により一層優れた画像を形成することができる印画物の製造方法及びプリントシステムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、イエロー、マゼンタ、シアンの色材層のうち、イエロー色材層を最後に被転写体受容層へ熱転写し、好ましくは該イエロー色材層を熱転写する前に少なくとも先に染料が熱転写された領域部分を加熱することで、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 熱転写シートのイエロー、マゼンタ及びシアンの各色材層から被転写体受容層へ染料を熱転写することによって画像を形成する印画物の製造方法において、3色材層のうち、イエロー色材層の染料を最後に被転写体受容層へ熱転写することを特徴とする、印画物の製造方法。
[2] シアン色材層、マゼンタ色材層、イエロー色材層の順で染料を被転写体受容層へ熱転写することを特徴とする、[1]に記載の印画物の製造方法。
[3] 前記イエロー色材層の染料を熱転写する前に、少なくとも先に染料が熱転写された領域部分を加熱することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の印画物の製造方法。
[4] イエロー色材層の染料が熱転写された後にさらに、少なくとも先に染料が熱転写された領域部分を加熱することを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の印画物の製造方法。
[5] 画像形成後に、被転写体の最表面に転写型保護層を転写することを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の印画物の製造方法。
[6] イエロー色材層が、下記一般式(Y1)、(Y2)、(Y3)、又は(Y4)で表される染料の1種又は2種以上を含むことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載の印画物の製造方法。
Figure 2019177623
(一般式(Y1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜8のシクロアルキル基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルキルチオ基、或いは置換又は非置換のアリールチオ基を表し、Rは、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基、或いはハロゲン原子を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(Y2)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアリール基、或いは置換又は非置換のシクロアルキル基を表し、R13は、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、ハロゲン原子、或いはアリールオキシ基を表し、R14は、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアリール基、−NR(R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)、或いは−C(=O)NR(R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)を表し、R15は、置換又は非置換のアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(Y3)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表し、R23及びR24は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(Y4)中、R31は、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアルケニル基、或いは置換又は非置換のアルキル基を表し、R32は、置換又は非置換のアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表し、AはCH、CHCH、CHCHO、CHCHOCH、又はCHCHOCHCHを表し、R33は、置換又は非置換のアルキル基を表す。)
[7] 前記一般式(Y1)で表されるイエロー染料が、下記構造式(Y1−1)で表される化合物であり、前記一般式(Y2)で表されるイエロー染料が、下記構造式(Y2−1)で表される化合物であり、前記一般式(Y3)で表されるイエロー染料が、下記構造式(Y3−1)で表される化合物であり、前記一般式(Y4)で表されるイエロー染料が、下記構造式(Y4−1)で表される化合物であることを特徴とする、[6]に記載の印画物の製造方法。
Figure 2019177623
[8] 前記シアン色材層が、下記一般式(C1)、(C2)、又は(C3)で表される染料の1種又は2種以上を含むことを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載の印画物の製造方法。
Figure 2019177623
(一般式(C1)中、R71及びR72は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換の複素環基、或いは置換又は非置換のアルケニル基を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(C2)中、R81は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基であるか或いはXと結合して5員環又は6員環を形成する原子又は原子団を表し、R82は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表すが、R81とR82とは互いに結合して酸素原子又は窒素原子を含有してもよい5員環又は6員環を形成してもよい。R83は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリール基、アシル基、置換又は非置換のアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、又はスルファモイル基を表し、R84は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアルコキシ基、或いは置換又は非置換のアリールオキシ基を表し、R85及びR86は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアミノ基或いはウレイド基を表し、Zは水素原子又はR81と結合して5員環又は6員環を形成する原子又は原子団を表す。nは1又は2を表す。nが2の場合、2つのR83は同一であってもよく、異なるものであってもよい。)
Figure 2019177623
(一般式(C3)中、R91及びR92は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアリ−ル基、或いは置換又は非置換のシクロアルキル基を表し、R93は、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、或いはハロゲン原子を表し、R94は水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)
[9] 前記一般式(C1)で表されるシアン染料が、下記構造式(C1−1)で表される化合物であり、前記一般式(C2)で表されるシアン染料が、下記構造式(C2−1)で表される化合物及び/又は下記構造式(C2−2)で表される化合物であり、前記一般式(C3)で表されるシアン染料が、下記構造式(C3−1)で表される化合物であることを特徴とする、[8]に記載の印画物の製造方法。
Figure 2019177623
[10] 前記マゼンタ色材層が、下記一般式(M1)、(M2)、(M3)、又は(M4)で表される染料の1種又は2種以上を含むことを特徴とする、[1]〜[9]のいずれかに記載の印画物の製造方法。
Figure 2019177623
(一般式(M1)中、Xは、S、O又はSOを表し、R41は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、或いは置換又は非置換のアルケニル基を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(M2)中、X及びYは、それぞれ独立に、S、O又はSOを表し、R41及びR42は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、或いは置換又は非置換のアルケニル基を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(M3)中、R51及びR52は、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表し、R51とR52とは互いに結合して環を形成してもよい。R53は水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基、或いはウレイド基を表し、R54及びR55は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアリール基、カルボモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニル基、置換又は非置換のアミノ基、置換又は非置換の複素環基、置換又は非置換のシクロアルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、或いはアルキルスルホニル基を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(M4)中、R61及びR62は、それぞれ独立に、アリル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のアルコキシアルキル基、アラルキル基、又はヒドロキシアルキル基を表し、R63は、水素原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、メチル基、又はハロゲン原子を表し、R64は、メチル基、メトキシ基、ホルミルアミノ基、炭素数1〜8のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数1〜8のアルキルスルホニルアミノ基、又は炭素数1〜8のアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R65は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜8のアルコキシアルキル基、又はハロゲン原子を表す。)
[11] 前記一般式(M1)で表されるマゼンタ染料が、下記構造式(M−1)で表される化合物であり、前記一般式(M2)で表されるマゼンタ染料が、下記構造式(M2−1)で表される化合物であり、前記一般式(M3)で表されるマゼンタ染料が、下記構造式(M3−1)で表される化合物であり、前記一般式(M4)で表されるマゼンタ染料が、下記構造式(M4−1)で表される化合物及び/又は下記構造式(M4−2)で表される化合物であることを特徴とする、[10]に記載の印画物の製造方法。
Figure 2019177623
[12] 熱転写シートを加熱し、前記熱転写シートのイエロー、マゼンタ及びシアンの各色材層から被転写体受容層へ染料を熱転写することによって画像を形成して印画物を製造するプリントシステムであって、[1]〜[11]のいずれかに記載の印画物の製造方法によって前記印画物を製造することを特徴とするプリントシステム。
本発明によれば、染料同士の相互作用を抑制することができ、耐光性、経時保存安定性に非常に優れた画像を形成することができる。
本発明の熱転写シートの一実施形態の模式的断面図である。 図2(a)は一般的なダイレクト印画方式の印画物の製造方法を示す模式的構成図であり、図2(b)は一般的な中間転写媒体方式の印画物の製造方法を示す模式的構成図である。
以下に本発明の印画物の製造方法を詳細に説明する。
本発明の印画物の製造方法は、熱転写シートのイエロー、マゼンタ、およびシアンの各色材層から被転写体受容層へ染料を熱転写することによって画像を形成する印画物の製造方法において、3色材層の中、イエロー色材層の染料を最後に被転写体受容層へ熱転写し、好ましくは該イエロー色材層の染料を熱転写する前に、少なくとも先に染料が熱転写された領域部分を加熱することを特徴とする。
前述の通り、被転写体に重ねて印画した染料が同一の層(受容層)内で混ざり合うと、イエロー、マゼンタ、シアン単色の耐光性よりも、混色の耐光性が悪くなるキャタリティックフェイディング(触媒性光褪色)が生じる。これは、各染料間の相互作用によるものと考えられている。このようなキャタリティックフェイディングが生じると画質の劣化、画像保存性に問題が生じる。キャタリティックフェイディングが生じる程度は、染料の組み合わせにもよるが、既存の主流染料においては特にシアン染料とイエロー染料又はマゼンタ染料との相互作用によりシアン染料の褪色が起こることが多い。そのようなキャタリティックフェイディングが生じる組み合わせの染料の一方の染料を熱転写し、その転写領域を加熱し、その後に他方の染料を熱転写するようにすると、キャタリティックフェイディングを抑制できる。例えば、シアン染料とイエロー染料が、キャタリティックフェイディングする場合、シアン染料を先に熱転写し、その転写領域を加熱し、その後にイエロー染料を熱転写するようにする。このようなメカニズムに基づき、本発明では、シアン、マゼンタ、イエロー染料のうち、イエロー染料を最後に熱転写するようにする。
キャタリティックフェイディングを生じる染料であるか否かは、熱転写記録に採用される熱転写シートと被転写体受容層との組み合わせにおいて、例えばイエロー染料とシアン染料を被転写体受容層上の同一箇所に転写し、イエロー画像、シアン画像(単色)の光照射前後による褪色度を残存率によって規定し、同様にグリーン画像(混色)中のイエロー成分、シアン成分の残存率を評価した際に、混色中のイエロー成分もしくはシアン成分が単色の際の残存率と比較して著しく低い場合、キャタリティックフェイディングが生じる組み合わせであると判断できる。同様にイエロー染料とマゼンタ染料、マゼンタ染料とシアン染料についても同様にキャタリティックフェイディングが生じるかどうか判断できる。特にキャタリティックフェイディングが顕著に生じる具体的染料の組み合わせはイエロー染料とシアン染料であり、例えばイエロー染料としてDisperse Yellow 201と、シアン染料がDisperse Blue 354の組み合わせが挙げられる。
本発明における加熱による効果の詳細は明らかではないが、現象論的に推察すると、受容層へ熱転写された染料の色材層領域を加熱することにより、染料が受容層表面からさらに内部へ移動しているものと考えられる。そのため、受容層内における染料と染料の混ざり合う部分を少なくすることができ、染料同士の混合による悪影響、例えばキャタリティックフェイディングが抑制されるものと考えられる。
本発明の印画物の製造方法において、各色材層の熱転写順序は、イエロー色材層の熱転写が最後であればよく、マゼンタ色材層、シアン色材層についてはどちらを先に熱転写してもよい。従って、シアン色材層→マゼンタ色材層→イエロー色材層の順で熱転写してもよく、マゼンタ色材層→シアン色材層→イエロー色材層の順で熱転写してもよい。
ただし、通常用いられる染料系ではシアン染料はマゼンタ染料よりもイエロー染料と触媒退色を起こしやすい傾向があるため、シアン色材層→マゼンタ色材層→イエロー色材層の順で熱転写することが、染料の相互作用をより一層高度に抑制して耐光性に優れた画像を得る上で好ましい。
また、本発明の印画物の製造方法では、該イエロー色材層を熱転写する前に、先に染料が熱転写された領域部分を加熱することが好ましい。加熱の段階は、シアン染料およびマゼンタ染料(この順序はどちらでもよい)を熱転写した後、イエロー色材層を熱転写する直前であってもよいし、シアン色材層あるいはマゼンタ色材層のどちらか一色を転写した後でもよい。後者の場合、加熱の後にマゼンタ色材層→イエロー色材層の順で、またはシアン色材層→イエロー色材層の順に熱転写が行われることになる。好ましくは、少なくともイエロー色材層を熱転写する直前に先に熱転写された領域を加熱することが染料の相互作用の抑制の面では有利であり、特に好ましくは、各色材層の熱転写間で各々加熱を行うことが好ましい。
また、本発明においては、更にイエロー色材層を熱転写した後にも、少なくとも先に染料が熱転写された領域部分を加熱することが好ましく、これにより、より一層染料の相互作用を抑制することができる。
イエロー色材層の熱転写前の加熱においても、イエロー色材層の熱転写後の加熱においても、加熱条件は、印画品質に影響を与えない範囲であればどのような条件(温度、速度、エネルギー等)であってもよいが、一例としては、直前に印画した色材層を転写した場合、光学濃度(OD値)が0.5以上となるような条件であることが好ましく、0.7以上となるような条件であることがより好ましい。加熱熱量が上記条件であれば、加熱による染料の相互作用の抑制効果を十分発揮できる。
加熱は、被転写体受容層のうち、少なくとも先に染料が転写された染料領域部分が加熱されるように行うが、染料転写領域部分以外を含め被転写体受容層の全部或いは一部に対して行ってもよい。
加熱手段は、特に限定されるものではなく、画像形成の際に使用するサーマルヘッドを利用してもよいし、別途ヒートローラーを利用してもよい。或いは、画像形成の際に使用されるサーマルヘッドとは別に加熱専用のサーマルヘッドを設けてもよい。
また、本発明においては、各色の染料の熱転写による画像形成後に、被転写体の最表面に転写型保護層を転写することで、形成された画像の耐光性、経時保存安定性をより一層向上させることができる。
[染料]
以下に、本発明の印画物の製造方法において、イエロー、マゼンタ、シアンの各色材層の染料として好適な各色の染料について説明する。
<イエロー色材層の染料>
本発明に係るイエロー色材層は、下記一般式(Y1)、(Y2)、(Y3)、又は(Y4)で表される染料の1種又は2種以上を含むことが好ましい。
Figure 2019177623
(一般式(Y1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜8のシクロアルキル基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルキルチオ基、或いは置換又は非置換のアリールチオ基を表し、Rは、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基、或いはハロゲン原子を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(Y2)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアリール基、或いは置換又は非置換のシクロアルキル基を表し、R13は、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、ハロゲン原子、或いはアリールオキシ基を表し、R14は、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアリール基、−NR(R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)、或いは−C(=O)NR(R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)を表し、R15は、置換又は非置換のアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(Y3)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表し、R23及びR24は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(Y4)中、R31は、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアルケニル基、或いは置換又は非置換のアルキル基を表し、R32は、置換又は非置換のアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表し、AはCH、CHCH、CHCHO、CHCHOCH、又はCHCHOCHCHを表し、R33は、置換又は非置換のアルキル基を表す。)
一般式(Y1)において、Rは好ましくは水素原子、又はイソプロピル基、メチル基等の炭素数1〜8のアルキル基であり、キノリン環の6位に置換していることが好ましい。
は好ましくは水素原子、ハロゲン原子である。
は好ましくは水素原子、炭素数2〜9のアルキルアミノカルボニル基である。
一般式(Y1)で表されるイエロー染料の化合物の好適な具体例としては、下記構造式(Y1−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019177623
イエロー(Y2)において、R11,R12は好ましくはそれぞれ独立に、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル基である。R13は好ましくは水素原子である。R14は好ましくはエトキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシ基、−NR(R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基である。R15は好ましくはフェニル基等のアリール基である。
一般式(Y2)で表されるイエロー染料の化合物の好適な具体例としては、下記構造式(Y2−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019177623
イエロー(Y3)において、R21,R22は好ましくはそれぞれ独立に、炭素数6〜10の置換されてもよいアリール基である。R23,R24は好ましくはそれぞれ独立に、メチル基等の炭素数1〜10のアルキル基である。
一般式(Y3)で表されるイエロー染料の化合物の好適な具体例としては、下記構造式(Y3−1)で表されるSolvent Yellow 93が挙げられる。
Figure 2019177623
一般式(Y4)において、R31としてはエチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、AとしてはCHCHO、CHCHが好ましく、R32としては、p−シクロヘキシルフェニル基,フェニル基等が好ましく、R33としてはメチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
一般式(Y4)で表されるイエロー染料の化合物の好適な具体例としては、下記構造式(Y4−1)で表されるDisperse Yellow 201が挙げられる。
Figure 2019177623
<マゼンタ色材層の染料>
本発明に係るマゼンタ色材層は、下記一般式(M1)、(M2)、(M3)、又は(M4)で表される染料の1種又は2種以上を含むことが好ましい。
Figure 2019177623
(一般式(M1)中、Xは、S、O又はSOを表し、R41は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、或いは置換又は非置換のアルケニル基を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(M2)中、X及びYは、それぞれ独立に、S、O又はSOを表し、R41及びR42は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、或いは置換又は非置換のアルケニル基を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(M3)中、R51及びR52は、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表し、R51とR52とは互いに結合して環を形成してもよい。R53は水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基、或いはウレイド基を表し、R54及びR55は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアリール基、カルボモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニル基、置換又は非置換のアミノ基、置換又は非置換の複素環基、置換又は非置換のシクロアルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、或いはアルキルスルホニル基を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(M4)中、R61及びR62は、それぞれ独立に、アリル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のアルコキシアルキル基、アラルキル基、又はヒドロキシアルキル基を表し、R63は、水素原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、メチル基、又はハロゲン原子を表し、R64は、メチル基、メトキシ基、ホルミルアミノ基、炭素数1〜8のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数1〜8のアルキルスルホニルアミノ基、又は炭素数1〜8のアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R65は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜8のアルコキシアルキル基、又はハロゲン原子を表す。)
一般式(M1)において、XとしてはOが好ましく、R41としては置換してもよいアリール基、アルキル基等(直鎖、分岐のアルキルおよびヒドロキシアルキル基を含む)が好ましい。
一般式(M1)で表されるマゼンタ染料の化合物の好適な具体例としては、下記構造式(M−1)で表されるDisperse Red 60が挙げられる。
Figure 2019177623
一般式(M2)において、X、Yとしては、共にOであることが好ましく、R41,R42としては共に置換してもよいアリール基、アルキル基等(直鎖、分岐のアルキルおよびヒドロキシアルキル基を含む)であることが好ましい。
一般式(M2)で表されるマゼンタ染料の化合物の好適な具体例としては、下記構造式(M2−1)で表されるDisperse Violet 26が挙げられる。
Figure 2019177623
一般式(M3)において、R51,R52としてはエチル基等の炭素数1〜6のアルキル基等が好ましく、R53としてはメチル基等の炭素数1〜6のアルキル基等が好ましい。R54としてはt−ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基等が好ましく、R55としてはメチル基等の炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
一般式(M3)で表されるマゼンタ染料の化合物の好適な具体例としては、下記構造式(M3−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019177623
一般式(M4)において、R61,R62としてはプロピル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基等が好ましく、R63としては水素原子等が好ましく、R64としてはメチルスルホニルアミノ基等が好ましく、R65としてはメチル基等の炭素数1〜6のアルキル基等が好ましい。
一般式(M4)で表されるマゼンタ染料の化合物の好適な具体例としては、下記構造式(M4−1)で表される化合物及び/又は下記構造式(M4−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019177623
<シアン色材層の染料>
本発明に係るシアン色材層は、下記一般式(C1)、(C2)、又は(C3)で表される染料の1種又は2種以上を含むことが好ましい。
Figure 2019177623
(一般式(C1)中、R71及びR72は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換の複素環基、或いは置換又は非置換のアルケニル基を表す。)
Figure 2019177623
(一般式(C2)中、R81は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基であるか或いはXと結合して5員環又は6員環を形成する原子又は原子団を表し、R82は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表すが、R81とR82とは互いに結合して酸素原子又は窒素原子を含有してもよい5員環又は6員環を形成してもよい。R83は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリール基、アシル基、置換又は非置換のアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、又はスルファモイル基を表し、R84は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアルコキシ基、或いは置換又は非置換のアリールオキシ基を表し、R85及びR86は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアミノ基或いはウレイド基を表し、Zは水素原子又はR81と結合して5員環又は6員環を形成する原子又は原子団を表す。nは1又は2を表す。nが2の場合、2つのR83は同一であってもよく、異なるものであってもよい。)
Figure 2019177623
(一般式(C3)中、R91及びR92は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアリ−ル基、或いは置換又は非置換のシクロアルキル基を表し、R93は、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、或いはハロゲン原子を表し、R94は水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)
一般式(C1)において、R71としては置換してもよい直鎖または分岐のアルキル基(ヒドロキシアルキル基を含む)、置換または非置換のアリール基等が好ましく、R72としては置換してもよい直鎖または分岐のアルキル基(ヒドロキシアルキル基を含む)、置換または非置換のアリール基(m−メチルフェニル基、フェニル−NH−CO−CH等を含む)等が好ましい。
一般式(C1)で表されるシアン染料の化合物の好適な具体例としては、下記構造式(C1−1)で表されるSolvent Blue 63が挙げられる。
Figure 2019177623
一般式(C2)において、R81,R82としては共にエチル基等の炭素数1〜6のアルキル基等が好ましい。R83としてはメチル基等の炭素数1〜6のアルキル基等が好ましく、nは1が好ましい。Zは水素原子が好ましい。R84としてはメチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換してもよいアリール基等が好ましい。R86としてはメチル基等の炭素数1〜6のアルキル基等が好ましい。R85としては塩素原子等のハロゲン原子、水素原子等が好ましい。
一般式(C2)で表されるシアン染料の化合物の好適な具体例としては、下記構造式(C2−1)で表される化合物や下記構造式(C2−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019177623
一般式(C3)において、R91,R92としては共にn−ヘキシル基、が好ましい。R93としてはメチル基等の炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。R94としては水素原子等が好ましい。
一般式(C3)で表されるシアン染料の化合物の好適な具体例としては、下記構造式(C3−1)で表されるDisperse Blue 354が挙げられる。
Figure 2019177623
<染料の組み合わせ>
本発明の印画物の製造方法における染料の相互作用の抑制効果は、特に、相互作用の大きい染料同士を組み合わせ用いる場合に有効に発揮される。
例えば、Disperse Yellow201を含む一般式(Y4)で表されるイエロー染料系がほぼすべてのシアン染料と大きな触媒退色を起こす。特にDisperse Blue 354との相互作用が大きいことから、特にイエロー染料としてDisperse Yellow201を用いる場合、とりわけDisperse Yellow201とシアン染料としてDisperse Blue 354を組み合わせて用いる場合に有効である。
[熱転写シート]
本発明の印画物の製造方法が適用可能な熱転写シート(以下、「本発明の熱転写シート」と称す場合がある。)の一例の模式的断面図を図1に示すが、本発明が適用可能な熱転写シートは、図1に例示のものに限定されるものではなく、他の公知の熱転写シートを同様に適用できる。
図1において、熱転写シート1は、基材2の一方の面に、シアン色材層C、マゼンタ色材層M、イエロー色材層Yおよび転写性保護層6が順次形成され、マゼンタ色材層Mとイエロー色材層Yとの間に、色材層が存在しない領域(本発明においては「加熱域」という)を形成している。この加熱域を通して、先に染料が熱転写された領域部分を加熱することができる。基材2の他方の面に背面層7が形成されている。転写性保護層6は、例えば剥離層3及び接着層5からなっている。必要に応じて中間層4を設けてもよい。画像形成後、被転写体の最表面に転写型保護層を転写することにより、さらなる耐光性等の向上を図れる。
図1における加熱域は、シアン色材層Cとマゼンタ色材層Mとの間、マゼンタ色材層Mとイエロー色材層Yとの間およびイエロー色材層Yの右側の2箇所、シアン色材層Cとマゼンタ色材層Mとの間およびマゼンタ色材層Mとイエロー色材層Yとの間の2箇所、シアン色材層Cとマゼンタ色材層Mとの間およびマゼンタ色材層Mとイエロー色材層Yとの間に加えさらにイエロー色材層Yの右側の3箇所に形成してもよい。またシアン、マゼンタ、イエローの各色材層のみを設けた熱転写シートを予め作成し、該熱転写シートとは別に加熱専用のシートを設けてもよい。
以下に本発明の熱転写シートを構成する各層毎に詳述する。
<基材>
本発明における基材としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであれば何れのものでもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルム;等が挙げられる。
上記基材の厚さは通常約0.5μm以上50μm以下であり、好ましくは約3μm以上10μm以下である。
上記基材は、必要に応じ、その一方の面又は両面に接着層(プライマー層)を設ける等、接着処理を行ったものであってもよい。この接着処理としては、コロナ放電処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、グラフト化処理等、公知の表面改質方法が挙げられる。
<色材層>
シアン色材層、マゼンタ色材層、イエロー色材層は、前述した各色材層に用いられる染料化合物を含むものであり、更にバインダー樹脂を含有するものであってよい。
バインダー樹脂としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールやポリビニルアセトアセタール等のポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル樹脂;ポリエステル;フェノキシ樹脂;等が挙げられる。中でもポリビニルアセタールが好適に使用できる。これらのバインダー樹脂は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明の熱転写シートにおける各色材層は、所望により、離型剤、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤を含有してもよい。
離型剤としては、上述の離型性グラフトコポリマー、シリコーンオイル、リン酸エステル等が挙げられる。
無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられる。有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
本発明の熱転写シートにおける各色材層は、各色の染料と、バインダー樹脂、及び所望により添加される添加剤を、水、有機溶剤等の溶媒に溶解或いは分散する事で各色の色材層用塗工液とし、基材、あるいは基材上に設けられる任意の層上に塗布、乾燥することにより形成できる。色材層用塗工液の塗布方法について特に限定は無く、例えば、ワイヤーバーコーティング法、グラビア印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来公知の方法を使用できる。このことは、後述する各種塗工液についても同様である。
有機溶剤としては、色材層用塗工液の材料として従来公知のものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メタノール、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、これらを2種以上含んだ混合溶剤等が使用できる。
尚、各色の色材層用塗工液において、各染料の割合は、バインダー樹脂100質量部に対し、通常50質量部以上300質量部以下、好ましくは100質量部以上200質量部以下である。
各色材層の厚さは、好ましくは0.2μm以上3.0μm以下、より好ましくは0.4μm以上1.0μm以下である。
<溶融転写型インク層(溶融層)>
本発明の熱転写シートは、カーボンブラックなどの顔料とワックスからなる溶融転写型インク層(溶融層)を更に有していてもよい。
<プライマー層>
本発明の熱転写シートは、基材と上述の色材層との間にプライマー層を有することが好ましい。プライマー層は、印画時の色材層からプライマー層への染料の移行を防止し、受像シートの受容層側への染料拡散を有効に行なうことにより、印画における転写感度を向上させる目的で設けるものである。プライマー層は、通常、バインダー樹脂、あるいは無機粒子、あるいはバインダー樹脂と無機粒子を用いて形成される。プライマー層の構成材料は、プライマー層の要求性能に応じて適宜決定され、バインダー樹脂と無機粒子とを併用する場合の配合比も必要な性能に応じて決定される。
プライマー層に含まれるバインダー樹脂としては、親水性の熱可塑性樹脂が用いられ、例えば、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、スチレンアクリレート樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらバインダー樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。特に、上記の親水性熱可塑性樹脂の中で、ポリビニルピロリドン、またはポリビニルアルコールが、基材と色材層との接着性の向上効果が高く、また染料による染着性が低いことから好ましく、特にポリビニルピロリドンが好ましい。
プライマー層に含まれる無機粒子として、従来公知のものが使用できる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。特に、コロイダルシリカまたはアルミナゾル由来の粒子、とりわけアルミナゾル由来の粒子が好ましく用いられる。プライマー層には、これらの無機粒子を、同一種類の条件で使用するだけでなく、コロイダルシリカとアルミナゾルのように、異なる種類のものを混合してもよい。
これらの無機粒子の大きさは、平均粒径で100nm以下、好ましくは50nm以下であり、特に3nm以上30nm以下であることが好ましい。粒径がこの範囲であると、プライマー層の機能を充分に発揮できる。
プライマー層は、上述するバインダー樹脂、及び所望により添加される無機粒子などの添加剤を、水、有機溶剤等の溶媒に溶解或いは分散する事でプライマー層用塗工液とし、当該塗工液を基材上に塗布、乾燥することにより形成できる。プライマー層の厚さは、好ましくは0.02μm以上1μm以下、より好ましくは0.03μm以上0.15μm以下である。
<背面層>
本発明の熱転写シートは、更に、上述の色材層を形成する面と反対側の基材面上に、背面層を設けてなるものであってもよい。背面層は、スティッキングや印画シワ等、熱転写時にサーマルヘッドの熱が原因で生じる問題を防止するために設けるものである。
背面層は、主に耐熱性樹脂から構成される。耐熱性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート−ヒドロジエンフタレート、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、塩素化ポリオレフィン等の1種又は2種以上が挙げられる。
背面層は、上記の耐熱性樹脂に加え、滑り性付与剤、架橋剤、離型剤、有機粒子、無機粒子等の添加剤を含有するものであってもよい。
背面層は、通常上述の耐熱性樹脂と、所望により添加される上記滑り性付与剤等の添加剤を溶剤に加え、各成分を溶解又は分散させて背面層用塗工液を調製し、この背面層用塗工液を、基材に塗布し、乾燥することにより形成される。
背面層の厚さは、好ましくは0.1μm以上3μm以下、より好ましくは0.1μm以上1.5μm以下である。
<転写性保護層>
本発明の熱転写シートは、図1に示されるように、上述の色材層と面順次に転写性保護層6を形成したものであることが好ましい。画像形成後に、被転写体の最表面に転写性保護層6を転写することで、より一層耐光性、経時保存安定性を向上させることができる。転写性保護層6は、単層構造を呈していてもよく、2つ以上の層が積層されてなる積層構造を呈していてもよい。例えば、剥離層3及び接着層5からなる積層構造としてもよい。必要に応じて中間層4を設けてもよい。
[被転写体受容層]
本発明の印画物の製造方法は、図2(a)に示すダイレクト印画方式にも、図2(b)に示す中間転写媒体方式にも適用可能である。
従って、本発明に係る被転写体受容層は、ダイレクト印画方式では、被転写体である熱転写受像シートが有する受容層であり、或いは中間転写媒体方式では、中間転写媒体が有する受容層である。
熱転写受像シートは、少なくとも紙やプラスチックフィルム等の支持体上に受容層が形成されてなる。
支持体の具体例としては、コンデンサー紙、グラシン紙、パラフィン紙などの薄紙、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンナフタレートなどの耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマーなどの各種プラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムまたはシートが使用でき、またこれらの材料の複合化・積層体が挙げられる。これらの材料の表面に接着処理を施しても良い。支持体の厚さは、強度及び耐熱性が適正になるように材料によって適宜選択することができる。
受容層を構成する、染料を受容可能なバインダー樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等のビニル樹脂、およびその共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、アイオノマー、セルロール誘導体の単体、または混合物を用いることができる。
受容層には、画像形成時に熱転写シートとの熱融着を防ぐために離型剤を配合することもできる。離型剤は、シリコーンオイル、リン酸エステル系可塑剤、フッ素系化合物等を用いることができるが、中でもシリコーンオイルが好ましく用いられる。シリコーンオイルとしては、エポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、フッ素変性、フェニル変性、エポキシ・ポリエーテル変性等の変性シリコーンが好ましく用いられる。
受容層は、上述するバインダー樹脂、及び所望により添加される離型剤などの添加剤を、水、有機溶剤等の溶媒に溶解或いは分散する事で受容層用塗工液とし、当該塗工液を基材上に塗布、乾燥することにより形成できる。受容層の厚さは通常0.5μm以上10μm以下である。
中間転写媒体方式における中間転写媒体は、基材上に、少なくとも受容層、必要により離型層、剥離層、プライマー層、および受容層が設けられた基材表面とは反対側の面に背面層等が設けられてなる従来の各種中間転写媒体を使用できる。各層は、後述の熱転写シート及び上述の熱転写受像シートで説明したものと同様の構成とされる。
以下、本発明の実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準とする。
[実施例1〜4、比較例1〜4]
<熱転写シートの作製>
基材(東レ(株)製ポリエチレンテレフタレートフィルム 5AF56、厚さ4.5μm)の一方の面上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥後の厚さが0.5μmになるようにグラビアコーティング法にて塗布し、乾燥して背面層を形成した。更に、上記基材の、背面層と反対側の面上に、下記組成のプライマー層用塗工液を、乾燥後の厚さが0.50μmになるように塗布し、乾燥してプライマー層を形成した。
このプライマー層上に、下記組成のイエロー色材層用塗工液、マゼンタ色材層用塗工液、シアン色材層用塗工液を、それぞれ乾燥後の厚さが0.6μmになるように塗布し、乾燥してイエロー色材層、マゼンタ色材層、シアン色材層を形成して熱転写シートを作製した。
また、色材層用塗工液を塗布しないこと以外は、熱転写シートと同様にして加熱用シートを作製した。
<背面層用塗工液>
・ポリアミドイミド(HR−15ET、東洋紡(株)製) :50.0部
・ポリアミドイミドシリコーン樹脂(HR−14ET、東洋紡(株)製) :50.0部
・ステアリル燐酸亜鉛(LBT−1830精製、堺化学工業(株)製) :10.0部
・ステアリン酸亜鉛(GF−200、日油(株)製) :10.0部
・ポリエステル樹脂(バイロン(登録商標)220、東洋紡(株)製) :3.0部
・無機フィラー(ミクロエース(登録商標)P3、日本タルク(株)製) :10.0部
<プライマー層用塗工液>
・アルミナゾル(アルミナゾル200、羽毛状形態、日産化学工業(株)製、固形分10%)(固形分として) :5.0部
・水 :47.5部
・イソプロピルアルコール :47.5部
<イエロー色材層用塗工液>
・イエロー染料(前記構造式(Y1−1)で表される化合物) :6.0部
・イエロー染料(前記構造式(Y4−1)で表される化合物) :1.0部
・ポリビニルアセタール(エスレック(登録商標)KS−5、積水化学工業(株)製)
:3.5部
・トルエン :44.75部
・メチルエチルケトン :44.75部
<マゼンタ色材層用塗工液>
・マゼンタ染料(前記構造式(M3−1)で表される化合物) :2.0部
・マゼンタ染料(前記構造式(M2−1)で表される化合物) :3.0部
・マゼンタ染料(前記構造式(M1−1)で表される化合物) :2.0部
・ポリビニルアセタール(エスレック(登録商標)KS−5、積水化学工業(株)製)
:3.5部
・トルエン :44.75部
・メチルエチルケトン :44.75部
<シアン色材層用塗工液>
・シアン染料(前記構造式(C2−1)で表される化合物) :2.5部
・シアン染料(前記構造式(C1−1)で表される化合物) :3.5部
・ポリビニルアセタール(エスレック(登録商標)KS−5、積水化学工業(株)製)
:3.5部
・トルエン :45.25部
・メチルエチルケトン :45.25部
<階調画像印画物の作製>
作製された熱転写シート、および加熱用シートを使用し、下記評価プリンタにて、大日本印刷(株)のDS40用ポストカードサイズメディアの受像シートへ、下記条件でイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)、ブラック(Black)、レッド(Red)、グリーン(Green)、ブルー(Blue)の階調画像の印画および加熱を行った。ただし、印画及び加熱は、各例毎に下記表1に示す手順で行った。
なお、表1及び後掲の表3,5,7中「Cy」は「シアン」を、「Mg」は「マゼンタ」を、「Ye」は「イエロー」を、「OP」は後述する「保護層」の転写をそれぞれ示す。
≪熱転写受像シートの加熱≫
下記評価プリンターを使用し、印字電力:0.12(W/dot)にて受像シート上の階調画像全体を加熱した。
≪評価プリンタ≫
・サーマルヘッド:F3598(東芝ホクト電子(株)製)
・発熱体平均抵抗値:5176(Ω)
・主走査方向印字密度:300(dpi)
・副走査方向印字密度:300(dpi)
・印字電力:0.21(W/dot)
・ライン周期:2(msec./line)
・パルスDuty:85%
次いで、上記評価プリンタ(ただし印字電力:0.12(W/dot))にて、階調画像上に、大日本印刷(株)のDS40用ポストカードサイズメディアを用いて保護層の転写を行い、階調画像印画物を作製した。
Figure 2019177623
<光学濃度測定>
各実施例・比較例で得られた階調画像印画物について、光学濃度(OD)、色相を下記条件で測定した。
≪測色条件≫
・測色器:分光測定器i1Pro2(X−Rite社製)
・光源:D65
・視野角:2°
・濃度測定用フィルター:ANSI Status A
<耐光性試験>
各実施例・比較例で得られた階調画像印画物の色相L*、a*およびb*を測定した(L*、a*およびb*は、CIE1976L*a*b*表色系(JIS Z 8729(1980年発行))に基づくものであり、L*は明度を、a*及びb*は、知覚色度指数を表す)。
次いで、キセノンウェザーメーター(Ci4000、アトラス社製)にて、下記照射条件で96時間照射を行い、再び同一領域の光学濃度と色相を測定することで、色相変化(照射前OD=1.0±10%(2次色の濃度は構成する色の平均値を用いた。例=レッドの濃度はレッドを構成するイエロー成分とマゼンタ成分の濃度を平均)のΔE*ab(=〔照射後L*−照射前L*)+(照射後a*−照射前a*)+(照射後b*−照射前b*)1/2)を算出した。
結果を表2に示す。
≪照射条件≫
・ブラックパネル温度:45℃
・フィルター:(Inner)石英、(Outer)SodaLime+CIRA
・試験機内環境:温度30℃、湿度30%
・照射制御:波長420nmの紫外線を1.2W/m(一定)にて照射
Figure 2019177623
[実施例5,6、比較例5〜7]
イエロー色材層用塗工液を下記組成へと変更し、印画及び加熱の手順を下記表3に示す通りとしたこと以外は、実施例1と同様に熱転写シートの作製、階調画像印画物の作製及び耐光性の評価を行い、結果を表4に示した。
<イエロー色材層用塗工液>
・イエロー染料(前記構造式(Y3−1)で表される化合物) :2.0部
・イエロー染料(前記構造式(Y2−1)で表される化合物) :2.0部
・ポリビニルアセタール(エスレック(登録商標)KS−5、積水化学工業(株)製)
:3.5部
・トルエン :46.25部
・メチルエチルケトン :46.25部
Figure 2019177623
Figure 2019177623
[実施例7、比較例8,9]
イエロー色材層用塗工液、マゼンタ色材層用塗工液、シアン色材層用塗工液を、下記組成へと変更し、印画及び加熱の手順を下記表5に示す通りとしたこと以外は、実施例1と同様に熱転写シートの作製、階調画像印画物の作製及び耐光性の評価を行い、結果を表6に示した。
<イエロー色材層用塗工液>
・イエロー染料(前記構造式(Y3−1)で表される化合物) :2.0部
・イエロー染料(前記構造式(Y4−1)で表される化合物) :2.0部
・ポリビニルアセタール(エスレック(登録商標)KS−5、積水化学工業(株)製)
:3.5部
・トルエン :46.25部
・メチルエチルケトン :46.25部
<マゼンタ色材層用塗工液>
・マゼンタ染料(前記構造式(M4−1)で表される化合物) :2.0部
・マゼンタ染料(前記構造式(M2−1)で表される化合物) :2.5部
・マゼンタ染料(前記構造式(M1−1)で表される化合物) :2.0部
・ポリビニルアセタール(エスレック(登録商標)KS−5、積水化学工業(株)製)
:3.5部
・トルエン :45.0部
・メチルエチルケトン :45.0部
<シアン色材層用塗工液>
・シアン染料(前記構造式(C2−1)で表される化合物) :1.5部
・シアン染料(前記構造式(C1−1)で表される化合物) :2.5部
・シアン染料(前記構造式(C3−1)で表される化合物) :0.5部
・ポリビニルアセタール(エスレック(登録商標)KS−5、積水化学工業(株)製)
:3.5部
・トルエン :46.0部
・メチルエチルケトン :46.0部
Figure 2019177623
Figure 2019177623
[実施例8、比較例10,11]
イエロー色材層用塗工液を、下記組成へと変更した以外は、実施例1と同様に熱転写シートを作製した。
<イエロー色材層用塗工液>
・イエロー染料(前記構造式(Y3−1)で表される化合物) :2.0部
・イエロー染料(前記構造式(Y2−1)で表される化合物) :2.0部
・ポリビニルアセタール(エスレック(登録商標)KS−5、積水化学工業(株)製)
:3.5部
・トルエン :46.25部
・メチルエチルケトン :46.25部
次いで受像シートとしてFargo社のHDP820純正品の中間転写媒体を用いて、下記表7に示す手順で実施例1と同様に階調画像の印画を行った。画像形成済みの中間転写媒体の転写層を、ヒートローラーにて175℃、2inch/sec.の条件で塩ビカード上に再転写することで、階調画像印画物を得た。得られた階調画像印画物について、実施例1と同様に耐光性の評価を行い、結果を表8に示した。
Figure 2019177623
Figure 2019177623
以上の結果より、イエロー色材層を最後に被転写体受容層へ熱転写し、イエロー色材層を熱転写する前に、少なくとも先に染料が熱転写された領域部分を加熱することにより、更にはイエロー色材層が熱転写された後に、少なくとも先に染料が熱転写された領域部分を加熱することにより、印画物の耐光性が向上することが明らかである。
1 熱転写シート
2 基材
3 剥離層
4 中間層
5 接着層
6 転写性保護層
7 背面層
11 熱転写シート
12 サーマルヘッド
13 画像
14 被転写体
21 インクリボン
22 熱転写シート
23 中間転写媒体
24 サーマルヘッド
25 中間転写媒体供給ローラー
26 印画画像
27 被転写体
28 ヒートローラー

Claims (12)

  1. 熱転写シートのイエロー、マゼンタ及びシアンの各色材層から被転写体受容層へ染料を熱転写することによって画像を形成する印画物の製造方法において、3色材層のうち、イエロー色材層の染料を最後に被転写体受容層へ熱転写することを特徴とする、印画物の製造方法。
  2. シアン色材層、マゼンタ色材層、イエロー色材層の順で染料を被転写体受容層へ熱転写することを特徴とする、請求項1に記載の印画物の製造方法。
  3. 前記イエロー色材層の染料を熱転写する前に、少なくとも先に染料が熱転写された領域部分を加熱することを特徴とする、請求項1又は2に記載の印画物の製造方法。
  4. 前記イエロー色材層の染料が熱転写された後にさらに、少なくとも先に染料が熱転写された領域部分を加熱することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の印画物の製造方法。
  5. 前記画像形成後に、被転写体の最表面に転写型保護層を転写することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の印画物の製造方法。
  6. 前記イエロー色材層が、下記一般式(Y1)、(Y2)、(Y3)、又は(Y4)で表される染料の1種又は2種以上を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の印画物の製造方法。
    Figure 2019177623
    (一般式(Y1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜8のシクロアルキル基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルキルチオ基、或いは置換又は非置換のアリールチオ基を表し、Rは、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基、或いはハロゲン原子を表す。)
    Figure 2019177623
    (一般式(Y2)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアリール基、或いは置換又は非置換のシクロアルキル基を表し、R13は、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、ハロゲン原子、或いはアリールオキシ基を表し、R14は、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアリール基、−NR(R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)、或いは−C(=O)NR(R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)を表し、R15は、置換又は非置換のアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)
    Figure 2019177623
    (一般式(Y3)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表し、R23及びR24は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)
    Figure 2019177623
    (一般式(Y4)中、R31は、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアルケニル基、或いは置換又は非置換のアルキル基を表し、R32は、置換又は非置換のアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表し、AはCH、CHCH、CHCHO、CHCHOCH、又はCHCHOCHCHを表し、R33は、置換又は非置換のアルキル基を表す。)
  7. 前記一般式(Y1)で表されるイエロー染料が、下記構造式(Y1−1)で表される化合物であり、前記一般式(Y2)で表されるイエロー染料が、下記構造式(Y2−1)で表される化合物であり、前記一般式(Y3)で表されるイエロー染料が、下記構造式(Y3−1)で表される化合物であり、前記一般式(Y4)で表されるイエロー染料が、下記構造式(Y4−1)で表される化合物であることを特徴とする、請求項6に記載の印画物の製造方法。
    Figure 2019177623
  8. 前記シアン色材層が、下記一般式(C1)、(C2)、又は(C3)で表される染料の1種又は2種以上を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の印画物の製造方法。
    Figure 2019177623
    (一般式(C1)中、R71及びR72は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換の複素環基、或いは置換又は非置換のアルケニル基を表す。)
    Figure 2019177623
    (一般式(C2)中、R81は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基であるか或いはXと結合して5員環又は6員環を形成する原子又は原子団を表し、R82は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表すが、R81とR82とは互いに結合して酸素原子又は窒素原子を含有してもよい5員環又は6員環を形成してもよい。R83は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリール基、アシル基、置換又は非置換のアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、又はスルファモイル基を表し、R84は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアルコキシ基、或いは置換又は非置換のアリールオキシ基を表し、R85及びR86は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアミノ基或いはウレイド基を表し、Zは水素原子又はR81と結合して5員環又は6員環を形成する原子又は原子団を表す。nは1又は2を表す。nが2の場合、2つのR83は同一であってもよく、異なるものであってもよい。)
    Figure 2019177623
    (一般式(C3)中、R91及びR92は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアリ−ル基、或いは置換又は非置換のシクロアルキル基を表し、R93は、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、或いはハロゲン原子を表し、R94は水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、或いは置換又は非置換のアリール基を表す。)
  9. 前記一般式(C1)で表されるシアン染料が、下記構造式(C1−1)で表される化合物であり、前記一般式(C2)で表されるシアン染料が、下記構造式(C2−1)で表される化合物及び/又は下記構造式(C2−2)で表される化合物であり、前記一般式(C3)で表されるシアン染料が、下記構造式(C3−1)で表される化合物であることを特徴とする、請求項8に記載の印画物の製造方法。
    Figure 2019177623
  10. 前記マゼンタ色材層が、下記一般式(M1)、(M2)、(M3)、又は(M4)で表される染料の1種又は2種以上を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の印画物の製造方法。
    Figure 2019177623
    (一般式(M1)中、Xは、S、O又はSOを表し、R41は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、或いは置換又は非置換のアルケニル基を表す。)
    Figure 2019177623
    (一般式(M2)中、X及びYは、それぞれ独立に、S、O又はSOを表し、R41及びR42は、それぞれ独立に、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、或いは置換又は非置換のアルケニル基を表す。)
    Figure 2019177623
    (一般式(M3)中、R51及びR52は、それぞれ独立に、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、或いは置換又は非置換のアリール基を表し、R51とR52とは互いに結合して環を形成してもよい。R53は水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基、或いはウレイド基を表し、R54及びR55は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアリール基、カルボモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニル基、置換又は非置換のアミノ基、置換又は非置換の複素環基、置換又は非置換のシクロアルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、或いはアルキルスルホニル基を表す。)
    Figure 2019177623
    (一般式(M4)中、R61及びR62は、それぞれ独立に、アリル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のアルコキシアルキル基、アラルキル基、又はヒドロキシアルキル基を表し、R63は、水素原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、メチル基、又はハロゲン原子を表し、R64は、メチル基、メトキシ基、ホルミルアミノ基、炭素数1〜8のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数1〜8のアルキルスルホニルアミノ基、又は炭素数1〜8のアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R65は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜8のアルコキシアルキル基、又はハロゲン原子を表す。)
  11. 前記一般式(M1)で表されるマゼンタ染料が、下記構造式(M−1)で表される化合物であり、前記一般式(M2)で表されるマゼンタ染料が、下記構造式(M2−1)で表される化合物であり、前記一般式(M3)で表されるマゼンタ染料が、下記構造式(M3−1)で表される化合物であり、前記一般式(M4)で表されるマゼンタ染料が、下記構造式(M4−1)で表される化合物及び/又は下記構造式(M4−2)で表される化合物であることを特徴とする、請求項10に記載の印画物の製造方法。
    Figure 2019177623
  12. 熱転写シートを加熱し、前記熱転写シートのイエロー、マゼンタ及びシアンの各色材層から被転写体受容層へ染料を熱転写することによって画像を形成して印画物を製造するプリントシステムであって、
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の印画物の製造方法によって前記印画物を製造することを特徴とするプリントシステム。
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