JP2019170356A - 爽快な青葉の香りを有する緑茶の製造方法 - Google Patents

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雅和 南口
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Abstract

【課題】緑茶における爽快な青葉の香りは、ドリンク製造におけるレトルト殺菌工程で著しく減少し、失われてしまう。本発明の課題は、レトルト殺菌後も緑茶浸出液に残存する爽快な青葉の香りを有する緑茶の製造方法を提供することにある。【解決手段】室温且つ通風環境下で、茶生葉の湿量基準含水率を70%以下まで減少させる萎凋工程と、萎凋工程後の茶葉を20秒以内で殺青する殺青工程と、殺青工程後の茶葉を、熱風によって湿量基準含水率5%以下まで減少させる熱風乾燥工程とを含む製造方法を提供する。本発明により、爽快な青葉の香りを有する緑茶を提供することができる。

Description

本発明は緑茶の製造方法に関する。
緑茶は生葉(一部茎を含む)を蒸熱または釜炒り等によって茶葉中の酸化酵素を不活化させた後(この工程を殺青と言う)、乾燥して製造される。日本で緑茶と呼ばれる茶には、煎茶、番茶、碾茶、玉緑茶等があり、このうち最も生産量が多い煎茶は、一般的に蒸熱、粗揉、揉捻、中揉、精揉、乾燥工程を経て製造される。また、抹茶の原料である碾茶は、蒸熱、冷却散茶、碾茶炉による乾燥、木茎分離、仕上乾燥工程を経て、製造される。
緑茶には、(2E)−hexenalや(3Z)−hexenol、3−metyl nonane−2,4−dione、(E,E)−2,4−nonadienal、(E)−2−nonenalなど、青葉様の香りを感じられる成分が含まれており、特に、(2E)−hexenalと(3Z)−hexenolは、それぞれ、青葉アルデヒド、青葉アルコールと呼ばれ、みどりの香りの代表的な成分として知られている。両成分は、茶葉中で、リノール酸やリノレン酸などの遊離脂肪酸を前駆体として、摘採などにより茶葉が傷つけられると、急速に生成される。また、紅茶製造における萎凋や発酵段階で、両成分が著しく増加することが明らかになっている。これらの香気成分は、緑茶に感じられる爽快な青葉の香りを構成する成分であるが、揮発性が高く、緑茶製造における加熱工程、特に蒸熱工程において著しく減少する。
緑茶ドリンクにおいて、爽快な青葉の香りは、飲み心地やドリンカビリティの向上のために、有用な香味要素の一つとして利用されている。しかし、前記の通り、加熱によって揮発してしまうため、レトルト殺菌工程で著しく減少し、失われてしまう。レトルト殺菌後も、爽快な青葉の香りを残すためには、原料茶葉に青葉香成分が十分に含まれている必要がある。
一般的に、爽快な青葉の香りを有する緑茶を製造するには、蒸熱時間を30秒程度に短くした浅蒸しの製造方法が取られている。また、碾茶では、茶葉の青みを保つために、揉み茶製造に使用する蒸し機に比べて、攪拌軸が大きく、短胴で、より傾斜角度をつけられる蒸し機を用い、蒸し時間をさらに短時間に抑えて製造される。これらの緑茶は、通常の煎茶に比べ、青葉の香りを強く感じることが出来るが、レトルト殺菌工程後の浸出液には、その香りはほとんど残らない。
特許文献1では、任意に萎凋した茶生葉を、変色をもたらすために十分な好気条件下で粉砕後、乾燥させることで内在性酵素を不活化して得られる緑茶製造方法を開示している。該文献の製造方法は、内在性酵素の不活性化に、蒸し又は釜炒りなどの工程を必要としないため、殺青時の青葉香成分の減少を避けることが出来ると考えられる。しかし、乾燥により内在性酵素を完全に不活化するためには、蒸熱や釜炒り等の不活化方法に比べて、不活化に要する時間が長いことや、葉や茎など、水分含量や乾燥程度が異なる部位が混在している場合、部位によっては内在性酵素の不活化が十分ではなく、乾燥工程に移した際に、発酵が進み、最終製品の品質に影響を及ぼす可能性があること、これらのことから、より効率的且つ安定的に青葉の香りを有する緑茶を製造するには、従来の殺青方法を用いた製造方法を開発する必要がある。
特許文献2では、省コスト化、省力化の観点から、緑茶への熱負荷を抑えた製造方法として、茶生葉に含まれる水分を、透気乾燥により、乾量基準含水率100%以下まで減少させた後、粉砕し、使用目的によっては殺青を行い、さらに熱処理をかけ、茶を製造する方法を開示している。しかし、該文献は安価に大量の茶葉乾燥品を製造することを目的しており、萎凋による青葉香成分の増加を意図した萎凋方法や、青葉香成分の減少を抑えるための殺青方法は開示されていない。
以上のように、レトルト殺菌後も緑茶浸出液に残存する爽快な青葉の香りを有する緑茶の製造方法は見当たらない。
特開2012−80877号
特開平6−125708号
緑茶における爽快な青葉の香りは、ドリンク製造におけるレトルト殺菌工程で著しく減少し、失われてしまう。本発明の課題は、レトルト殺菌後も緑茶浸出液に残存する爽快な青葉の香りを有する緑茶の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、爽快な青葉の香りを有する緑茶製造の方法を鋭意検討するなかで、茶生葉を、室温且つ通風環境下で萎凋させ、蒸熱、釜炒り、又はマイクロ波加熱により、短時間殺青し、乾燥して得られた緑茶が、爽快な青葉の香りを十分に有していること、さらに、その緑茶の浸出液がレトルト殺菌工程後も同様の香りを有していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、青葉香を増強するために、茶生葉を萎凋する工程と、青葉香を十分に残すために、萎凋した茶生葉を短時間で殺青する工程と、殺青後の茶葉を、保存に適する水分含量まで熱風で乾燥する熱風乾燥工程とを含む緑茶の製造方法、および該製造方法で製造された緑茶からなる。
具体的には、本発明は、[1]室温且つ通風環境下で、茶生葉の湿量基準含水率を70%以下まで減少させる萎凋工程と、萎凋工程後の茶葉を20秒以内で殺青する殺青工程と、殺青工程後の茶葉を、熱風によって湿量基準含水率5%以下まで減少させる熱風乾燥工程とを含む緑茶の製造方法、[2]萎凋工程後の茶生葉の湿量基準含水率が70%以下、好ましくは60%以下である[1]に記載の緑茶の製造方法、[3]茶生葉が一番茶期及び秋冬番茶期に収穫された茶生葉を用いる[1]又は[2]に記載の緑茶の製造方法、[4]萎凋工程における温度が10〜35℃、好ましくは10〜20℃である[1]〜[3]のいずれかに記載の緑茶の製造方法、[5]殺青工程が20秒以内、好ましくは10秒以内の蒸熱、釜炒り、又はマイクロ波加熱による殺青工程である[1]〜[4]のいずれかに記載の緑茶の製造方法、[6]熱風乾燥工程における熱風温度が40〜100℃、好ましくは70〜80℃である[1]〜[5]のいずれかに記載の緑茶の製造方法、[7][1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法により製造された緑茶からなる。
本発明は、レトルト殺菌後においても緑茶浸出液に残存する爽快な青葉の香りを有する緑茶、及び、その製造方法を提供することができる。
本明細書に記載する「茶生葉」とは、収穫後、加熱処理を行われていない茶葉をいう。即ち、茶生葉は収穫直後の茶葉のみならず、収穫後、生葉管理機や冷蔵庫で保管された茶葉、及び萎凋処理後の茶葉も含む。また、茶生葉には、新芽、成葉、茎などのいずれの部位が、含まれていてもよく、収穫部位や各部位の含有割合について、限定を受けない。本発明に使用される茶生葉は、発酵茶、半発酵茶、又は不発酵茶のいずれかに使用される茶生葉であればどれを用いても良く、特に限定されない。即ち、Camellia sinensisvar.sinensis、Camellia sinensis var.as samica、及びそれらの近縁種から収穫された葉であれば、いずれも利用できる。また、例えば、やぶきた、さやまかおり、又はさえみどりなど、種苗法に基づく品種分類においても、限定を受けず、品種登録されていない在来種も含めて、任意の品種を使用することができる。
茶の新芽は、品種や産地によって異なるが、一般的に秋期から初冬期にかけて休眠に入り、翌年の二月から四月の間に休眠覚醒し、萌芽期に移行する。萌芽期後、幼葉はおよそ五日に一枚の割合で開葉し、五〜七枚程度開葉したら、出開きと呼ばれる状態になり、新芽の生育が止まる。一定面積内における全芽数に対する出開き芽の割合を出開き度というが、一番茶は出開き度がおよそ50〜80%の時期に摘採される。一番茶芽は出開き後、一旦生長を停止するが、再度生長を開始し、同時に腋芽の生育が始まり、これが二番茶芽となる。夏期になるにつれて、気温も上昇するため、二番茶芽はおよそ四日に一枚程度の割合で開葉する。二番茶芽以後、三番茶芽や秋芽も二番茶芽と同様に生長する。本明細書に記載する「一番茶期」とは、休眠覚醒後の萌芽期から、二番茶芽収穫までの期間を指し、本明細書に記載する「秋冬番茶期」は、秋芽収穫から翌年の萌芽期までの期間を指す。
本発明の緑茶の製造方法は、室温且つ通風環境下で湿量基準含水率を70%以下まで減少させる萎凋工程と、蒸熱、釜炒り、又はマイクロ波加熱による短時間の殺青を行う殺青工程と、熱風によって湿量基準含水率5%以下まで減少させる熱風乾燥工程とを含む。
本発明における萎凋工程、殺青工程、熱風乾燥工程、および粉砕工程について、詳細を以下に説明する。
(萎凋工程)
萎凋工程では、室温、通風環境下で茶生葉を湿量基準含水率70%以下になるまで萎凋させる工程である。本工程における室温は10〜35℃、好ましくは10〜20℃である。通風は連続的、又は断続的、いずれか、又は両方を組み合わせても良く、呼吸熱による茶温上昇を防ぎながら、前記目標の含水率になるように、適宜調整することができる。本工程に用いる生葉は、生葉カッターやフードスライサー、飼料用カッターなど、茶生葉を所定の長さに切断する切断機や破砕機を用いて、適宜切断を加えてもよい。本工程では、前記環境下で、茶生葉の湿量基準含水率が70%以下、好ましくは60%以下になるまで萎凋する。本工程の萎凋は、茶生葉コンテナや恒温通風乾燥機、棚式乾燥機、平型乾燥機、コンテナ式乾燥機を用いても良く、通風は任意の方向から行うことが出来る。また、室温が低い場合は35℃以下の温風を通風しても良い。
(殺青工程)
本発明における殺青工程とは、緑茶を製造するため、酸化酵素の働きを不活化させ、茶葉の発酵を止めることを目的とした工程である。殺青方法は、蒸熱による殺青と釜炒りによる殺青が一般的であるが、本工程では、蒸熱、釜炒り、又はマイクロ波加熱による殺青方法を利用することができる。蒸熱は、飽和水蒸気から放出された凝縮潜熱により、茶生葉を加熱して、酸化酵素を不活化させる殺青方法である。蒸熱は蒸し機を使用して行われるが、蒸し機には送帯式蒸し機と網胴回転撹拌式蒸し機の2種類があり、本工程では、どちらも利用することが出来る。一般的な煎茶は、蒸し時間、即ち、茶生葉の蒸機通過時間が30〜40秒程度で製造される。碾茶は、色沢に鮮やかな青みを残すために、より浅蒸しで製造する必要があるため、揉み茶製造に使用するものに比べて、短胴で、より傾斜角度をつけられるように工夫された網胴回転攪拌式蒸し機を用いて殺青する。本発明における殺青工程を蒸熱で行う場合、爽快な青葉の香りを十分に残すため、蒸熱時間は20秒以下、好ましくは10秒以下で行う。
釜炒りでは、茶生葉を高温で炒って、殺青を行うが、350〜400℃に熱した円筒釜内で茶生葉を加熱することで、茶葉中の水分が気化し、円筒釜内には飽和水蒸気が満たされる。釜からの伝導熱に加えて、その飽和水蒸気から放出された凝縮潜熱により、茶生葉を加熱して、酸化酵素を不活化させる。炒り葉機は、連続式、1円筒2固定釜式など、いくつかあるが、本工程では、前記原理を用いて、殺青を行う機械であれば、いずれを利用することができる。酵素失活のための炒り葉時間は、使用する炒り機によっても異なるが、一般的に、60〜120秒程度である。本発明における殺青工程を釜炒りで行う場合、爽快な青葉の香りを十分に残すため、炒り時間は20秒以下、好ましくは10秒以下で行う。
マイクロ波加熱による殺青は、茶生葉へマイクロ波を照射し、茶生葉中の水分を加熱することで酸化酵素を不活化させる殺青方法である。本発明における殺青工程をマイクロ波加熱で行う場合、爽快な青葉の香りを十分に残すため、マイクロ波出力は7.2kW以上、マイクロ波照射時間は20秒、好ましくは10秒以下で行う。
本発明における殺青方法は前記のいずれの方法を利用することが出来る。
(熱風乾燥工程)
熱風乾燥工程は前記殺青工程後の茶葉を、熱風にさらすことで加熱し、茶葉に含まれる水分を、湿量基準含水率5%以下まで乾燥する工程である。本工程における熱風温度は40〜100℃、好ましくは70〜80℃に調整する。本工程は、茶葉中の水分を加熱により、蒸発させることで乾燥を行うことが出来れば、乾燥方法の限定を受けず、例えば、恒温通風乾燥機、棚式乾燥機、平型乾燥機、コンテナ式乾燥機、流動床乾燥機、ネット型乾燥機などを用いて行うことが出来る。また、本工程における通風は任意の方向から行うことが出来る。或いは、本工程では、乾燥手段として、レンガ積み上げ式碾茶炉、据え付け型碾茶炉を利用することも出来る。また、ムレ臭の発生を防ぐため、殺青工程後の茶葉の含水量に応じて、本工程の前に、粗揉機、蒸葉処理機、葉打ち機、または、揉捻機等を用いて、茶葉含水量や茶葉各部位の水分分布を調整することが出来る。
実施例1
実施例1では、一番茶期で収穫された茶生葉を用いて、爽快な青葉の香りを十分に残した緑茶を製造し、その浸出液で製造した緑茶ドリンクが、レトルト後にも爽快な青葉香を有しているかを検証した。
(材料)
表1に示される試料は全て、福寿園CHA遊学パーク内で採取した″さみどり″の一番茶を使用して製造した。
(萎凋工程)
試料2〜5の萎凋工程は、茶生葉を、適当な大きさに切断後、生葉コンテナ100K(カワサキ機工社製)内で、室温且つ常時通風環境下で萎凋させた。その際、水分補給は行わなかった。生葉コンテナ内温度は平均22℃であった。殺青工程直前の茶葉の湿量基準含水率を、赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて測定した。
(殺青工程)
試料1は、茶生葉を、適当な大きさに切断後、速やかに蒸熱による殺青を行った。試料2〜5は、萎凋工程後に蒸熱による殺青を行った。蒸熱は、送帯式蒸機2K(カワサキ機工株式会社製)を用いて、5〜30秒間行い、蒸熱後は速やかに冷却した。蒸気圧は20〜30kg/hに調整した。
(熱風乾燥工程)
熱風乾燥工程は熱風乾燥機(クアナ技研株式会社製)を用いて行った。熱風温度は80℃に設定し、茶葉の湿量基準含水率が5〜1%になるまで乾燥を行った。
(リーフの官能審査)
茶葉2gを、沸騰させた脱イオン水200mlで5分間抽出して抽出液を得た。試料1を標準として、香気、滋味を評価した。標準を5点として、爽快な青葉の香りを強く感じるものは加点し、弱く感じるものは減点した。
(ドリンクの製造方法)
茶葉10gを70℃の脱イオン水1000mlで5分間抽出して抽出液を得た。抽出中、2.5分経過時に撹拌を加えた。抽出液のBrix値が0.200%になるように、脱イオン水を加えて希釈を行った。希釈液にアスコルビン酸ナトリウムを0.03重量体積%、重炭酸ナトリウムを0.005重量体積%添加した。添加後の溶液を、200ml容量飲料用スチール缶に充填し、105℃で10分間レトルト殺菌を行った。
(ドリンクの官能評価)
製造した茶ドリンクの香味について、試料1を用いて製造したドリンクを標準として、官能評価を行った。標準を5点として、爽快な青葉の香りを強く感じるものは加点し、弱く感じるものは減点した。
実施例1から以下のことが明らかになった。
試料1は目的の青葉香を感じられず、一方で同じ蒸熱時間である試料5には弱いながらも、青葉香を感じることが出来た。したがって、萎凋工程により、青葉香を強化することが出来る。
また、試料2〜5では、全て目的とする青葉香を有していたが、青葉香の強度は蒸熱時間が延びるにつれて減少し、十分に青葉香を残すためには、蒸熱時間を20秒以内にするのが望ましい。
さらに、ドリンクの官能評価をしたところ、リーフに比べれば、弱く感じられたが、試料2〜4で、青葉香を感じることが出来、リーフ同様に青葉香の強度は蒸熱時間が延びるにつれて減少した。
したがって、爽快な青葉の香りを十分に残した緑茶を製造するには、一番茶において、茶生葉の湿量基準含水率が70%以下になるまで室温で萎凋させた後、20秒以内、好ましくは10秒以内に殺青し、熱風により、さらに乾燥させて製造するのが望ましい。
Figure 2019170356
実施例2
実施例2では、秋冬番茶期で収穫された茶生葉を用いて、爽快な青葉の香りを十分に残した緑茶を製造し、その浸出液で製造した緑茶ドリンクが、レトルト後にも爽快な青葉香を有しているかを検証した。
(摘採)
表2に示される試料は全て、京都府産″ごこう″の秋冬番茶を使用して製造した。
(萎凋工程)
試料 6〜15の萎凋工程は、茶生葉を、適当な大きさに切断後、生葉コンテナ100K(カワサキ機工株式会社製)内で、室温且つ断続の通風環境(15分通風、30分休止)下で萎凋させた。その際、水分補給は行わなかった。生葉コンテナ内温度は平均10℃であった。殺青工程直前の茶葉の湿量基準含水率は、実施例1と同様の方法で測定した。
(殺青工程)
試料6〜9は、蒸熱による殺青を、実施例1と同様の方法で行った。試料10〜12は、釜炒りによる殺青を行った。釜炒りは、釜温度が300℃になるように加熱した炒葉機に、茶生葉を投入し、投入後すぐに投入口を閉めて、10〜30秒、炒り蒸しして行った。試料13〜15は、マイクロ葉加熱による殺青を行った。マイクロ波加熱は、茶葉用マイクロ波乾燥火入機(新日本無線株式会社製)を用いて、出力7.2kWのマイクロ波(周波数2450±30MHz)を、茶生葉に、10〜30秒間照射して行った。
(製茶工程)
殺青工程後、試料6は普通煎茶と同様に、粗揉、揉捻、中揉、精揉の順に、製茶工程を経て、熱風乾燥工程に移した。試料7〜15は、殺青工程後、揉捻工程のみを経て、熱風乾燥工程に移した。
(熱風乾燥工程)
表2に示される試料は全て、熱風乾燥を行った。本工程は実施例1と同様の方法で行った。
(切断工程)
熱風乾燥工程後の茶葉は、切断機(株式会社ホーライ製)を用いて、切断した。切断機スクリーンはパンチ径5mmのものを用いた。
(リーフの官能審査)
リーフの官能審査は、試料6を標準として、実施例1と同様の方法で行った。
(ドリンクの官能評価)
ドリンクの官能審査は、試料6を標準として、実施例1と同様の方法で行った。
実施例2から以下のことが明らかになった。
試料6は番茶臭が強く、目的とする爽快な青葉の香りを感じることは出来なかった。一方で同じ蒸熱時間である試料7では、目的の青葉香を感じることが出来、秋冬番茶においても、萎凋工程により、青葉香を強化することが出来る。
萎凋工程後、蒸熱による殺青を行った試料7〜9は、殺青時間を短縮するにつれて、目的の青葉香を強く感じられた。釜炒りによる殺青を行った試料10〜12は、殺青時間30秒の試料10に比べ、殺青時間の短い試料11〜12で、目的の青葉香が強く感じられたが、釜香も感じられたため、その他の殺青方法に比べて、青葉香が劣るように感じた。マイクロ波加熱による殺青を行った試料13〜15では、殺青時間10秒の試料15で最も強く目的の青葉香を感じることが出来た。
また、ドリンクの官能評価をしたところ、リーフの官能評価で青葉香が少なく感じられた試料7、10、13、即ち殺青時間30秒の試料から製造したドリンクからは青葉香を感じることは出来なかった。しかし、前記以外の試料、即ち殺青時間が20秒、又は、10秒の試料から製造したドリンクからは青葉香を感じることが出来た。さらに、蒸熱、又は、マイクロ波で殺青した試料から製造したドリンクの青葉香の強度については、殺青時間が20秒のものに比べて、10秒のもののほうが強かった。
したがって、爽快な青葉の香りを十分に残した緑茶は一番茶と同様に、秋冬番茶でも製造することが出来、室温で、茶生葉の湿量基準含水率が70%以下になるまで萎凋後、蒸熱、釜炒り、又はマイクロ波加熱のいずれかの方法で、20秒以内、好ましくは10秒以内で殺青し、熱風により、さらに乾燥させて製造するのが望ましい。
Figure 2019170356
以上のように、本発明は、レトルト殺菌後も緑茶浸出液に残存する爽快な青葉の香りを有する緑茶の製造を可能にし、その緑茶の提供を可能にする。

Claims (7)

  1. 室温且つ通風環境下で、茶生葉の湿量基準含水率を70%以下まで減少させる萎凋工程と、萎凋工程後の茶葉を20秒以内で殺青する殺青工程と、殺青工程後の茶葉を、熱風によって湿量基準含水率5%以下まで減少させる熱風乾燥工程とを含む緑茶の製造方法。
  2. 萎凋工程後の茶生葉の湿量基準含水率が70%以下、好ましくは60%以下である1に記載の緑茶の製造方法。
  3. 茶生葉が一番茶期及び秋冬番茶期に収穫された茶生葉を用いる1又は2に記載の緑茶の製造方法。
  4. 萎凋工程における温度が10〜35℃、好ましくは10〜20℃である1〜3のいずれかに記載の緑茶の製造方法。
  5. 殺青工程が20秒以内、好ましくは10秒以内の蒸熱、釜炒り、又はマイクロ波加熱による殺青工程である1〜4のいずれかに記載の緑茶の製造方法。
  6. 熱風乾燥工程における熱風温度が40〜100℃、好ましくは70〜80℃である1〜5のいずれかに記載の緑茶の製造方法。
  7. 1〜6のいずれかに記載の製造方法により製造された緑茶。
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