JP2019167317A - L−カルノシン誘導体及びl−カルノシンの製造方法 - Google Patents

L−カルノシン誘導体及びl−カルノシンの製造方法 Download PDF

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雅彦 関
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Abstract

【課題】高純度のN−保護L−カルノシン誘導体、及びL−カルノシンの簡便な製造方法の提供。【解決手段】酸ハロゲン化物(1)と、L−ヒスチジン誘導体(2)とを反応させることを含む製造方法。(R1、R2は、H又はアミノ基の保護基;Xはハロゲン原子を表す)(TMS基はトリメチルシリル基を表す)【選択図】なし

Description

本発明は、L−カルノシン誘導体及びL−カルノシンの新規な製造方法に関する。詳しくは、安全かつ簡便な方法で高純度かつ安価なL−カルノシン誘導体及びL−カルノシンを製造する方法に関する。
下記式(1)
Figure 2019167317
で示されるL−カルノシンは、組織修復促進作用、免疫調整作用、抗炎症作用を有していることから、医薬品や健康食品などの需要が高まっている。また、該L−カルノシンは、容易に金属とキレート結合をつくることから、亜鉛と錯形成したポラプレジンクなどの抗潰瘍薬、味覚障害治療薬へ応用されている。
L−カルノシンは、通常、以下の方法で合成されている。具体的には、L−ヒスチジン又はその誘導体と、シアノ酢酸エステルとを反応させる方法(例えば、特許文献1参照)、L−ヒスチジン又はその誘導体とN−トリフルオロアセチル―β―アラニン誘導体とを反応させる方法(例えば、非特許文献1参照)、又は、L−ヒスチジン誘導体とN−フタロイル―β―アラニルクロリト誘導体とを反応させる方法(特許文献2参照)が知られている。その他、N−保護−カルボキシ無水物とL−ヒスチジンメチルエステルとをカップリングする方法(非特許文献2参照)、N−保護−カルボキシ無水物とL−ヒスチジンとを反応させる方法(特許文献3参照)、L−ヒスチジンとN−保護―β―アラニルピバリン酸無水物誘導体を反応させる方法(特許文献4)等も知られている。
しかしながら、前記従来法では、以下の点で改善の余地があった。例えば、特許文献1に記載の方法では、反応を進行させるためには高温(例えば、120℃)を必要とし、収率が低いという点で改善の余地があった。また、この方法では、シアノ基で保護されたL−カルノシン誘導体を、水素還元によって該シアノ基をアミノ基にするため、オートクレーブなど高圧設備が必要なうえ触媒コストなど製造コストが高い点で改善の余地があった。
また、非特許文献1に記載の方法では、活性化剤としてニトロフェノールを使用しなければならず、コスト高となるとともに脱離機の除去等、後処理工程が煩雑になるという点で改善の余地があった。さらに、原料となるN−トリフルオロアセチル誘導体が高価であり、工業的な生産を考えると他原料での製造が望まれていた。
さらに、非特許文献2の方法では、N−カルバメート保護−カルボキシ無水物を合成するために多くの工程が必要であった。そのため、経済的な観点で改善の余地があった。
また、特許文献2の方法は、具体的には、N−フタロイル誘導体としてN−フタロイル−β−アラニルクロリドと、保護基としてトリメチルシリル基を有するL−ヒスチジン誘導体とを反応させるものである。しかしながら該方法で必要なフタロイル保護基の製造には高温を要すること、該保護基の脱保護工程において、危険な抱水ヒドラジンを用いていること、さらに、該脱保護工程において、脱離基として分子量が大きく完全に除去することが難しいフタラジン誘導体を副生し、目的物の精製が難しくなるという問題点があり改善の余地があった。
また、特許文献3記載の方法は、高収率でL−カルノシンが得られるものの、アミン成分であるL−ヒスチジンが2個縮合した下記副生物(すなわち、N−Cbz−β―Ala−L−His-L−HisOH)が副生し反応生成物から該副生物の除去が困難であることから、この副生が最少になる製法が望まれていた。
Figure 2019167317
さらにまた、非特許文献3、特許文献4では、L−カルノシンを含むペプチド合成において、ピバロイルクロリドと反応させこれにより生じた酸無水物とL−ヒスチジン誘導体、又はL−ヒスチジンとを反応させているが、反応の位置選択性が十分でなく、副生物として、ピバロイル基で反応した下記式で示される生成物(副生物1)を多量に与え、目的物の収率を著しく低下させるという問題点があった。また、本法では、強烈な悪臭を有するピバリン酸(下記式、副生物2)が脱離基として排出されることから、環境衛生面においても課題があった。
Figure 2019167317
国際公開WO2001/1064638号パンフレット 中国公開公報CN101284862 国際公開WO099/05164号パンフレット KR10−2007−0050319
Russ.J.General Chem. 2007,77(9), 1576 J.Org.Chem. 2010,75,7107. Collect.Czech.Chem.Commun.1962,27,1273
L−カルノシンは、前記の通り、医薬品にも使用されており、その適用範囲は広い。そのため、なるべく安全かつ簡便な方法で、高純度かつ安価なL−カルノシンを収率よく製造することができれば、その工業的利用価値はさらに高くなる。したがって、本発明の目的は、安全かつ簡便な方法で高純度かつ安価なL−カルノシンを製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った。N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニルクロリドと、保護基としてトリメチルシリル基を有するL−ヒスチジン誘導体とを反応させることにより、副反応によるL−ヒスチジンの損失を最小限にして、高純度のN−保護―L−カルノシン誘導体、又はその塩を高収率に単離・製造することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。L−カルノシンは、既知の方法に従い該保護基の脱保護を行うことにより製造できる。また、該酸塩化物の製造方法を検討し、触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドの存在下、β―アラニン誘導体と塩化チオニルを反応させることにより、基本的に酸に弱いベンジルオキシカルボニル保護基(J.Org.Chem. 1952、17、1564−1570)の脱保護を伴わず、酸塩化物を得、これと上記のL―ヒスチジン誘導体を反応させることにより、L−カルノシン誘導体を高収率に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記式(4)
Figure 2019167317
(式中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、アミノ基の保護基であり、R、Rの少なくとも一つはアミノ基の保護基であり、Xはハロゲン原子である。)
で示される酸ハロゲン化物と、
下記式(5)
Figure 2019167317
(式中、TMS基はトリメチルシリル基である。)で示されるL−ヒスチジン誘導体とを反応させることにより、
下記式(6)
Figure 2019167317
(式中、R、Rは、前記式(4)と同義である。)
で示される保護L−カルノシン誘導体を製造する方法である。
本発明は、以下の態様をとることができる。
(2)前記RおよびRのアミノ基の保護基が、置換基を有していてもよいベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基、t−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ホルミル基、又は置換ベンジル基のいずれかであること。
(3)塩基の存在下で反応を行うこと。
(4)上記いずれかの方法により前記式(6)で示される保護L−カルノシン誘導体を製造した後、得られた該保護L−カルノシン誘導体の脱保護反応を行うことにより、下記式(7)
Figure 2019167317
で示されるL−カルノシンを製造すること。
(5)前記式(6)で示される保護L−カルノシン誘導体におけるトリメチルシリル基の脱保護を行い、下記式(8)
Figure 2019167317
(式中、R、Rは、前記式(4)と同義である。)
で示されるN−保護―L−カルノシン誘導体を得、次いで該N−保護―L−カルノシン誘導体の脱保護反応を行いL−カルノシンを製造すること。
(6)前記式(8)で示されるN−保護―L−カルノシン誘導体を、該誘導体、又はその塩として単離すること。
また、第2の本発明は、下記式(9)
Figure 2019167317
(式中、RおよびRは、前記式(4)と同義である。)
で示されるN−保護−β−アラニン誘導体を、N,N−ジメチルホルムアミド存在下、塩化チオニルハロゲン化剤と反応させることを特徴とする前記式(4)で示される酸ハロゲン化物を製造する方法である。
本発明の方法によれば、特定の原料、すなわち、前記酸ハロゲン化物を原料とすることにより、簡便な方法で保護L−カルノシン誘導体を製造できる。そして、該保護L−カルノシン誘導体を脱保護することにより、容易にL−カルノシンを製造できる。
以上の通り、前記酸ハロゲン化物を使用することにより、副生物が少なくより簡便かつ環境負荷の少ない方法で高収率にN−保護L−カルノシン誘導体、およびL−カルノシンを製造できるため、本発明の工業的利用価値は高い。
本発明は、特定の原料、すなわち、前記式(4)で示される酸ハロゲン化物(以下、単に「酸ハロゲン化物」とも言う)と、前記式(5)で示されるL−ヒスチジン誘導体(以下、単に「L−ヒスチジン誘導体」とも言う)とを反応させることにより、前記式(6)で示される保護L−カルノシン誘導体(以下、単に「保護L−カルノシン誘導体」とも言う)を製造する方法である。そして、該方法で得られた保護L−カルノシン誘導体(6)の脱保護反応を行うことにより、L−カルノシン(1)を製造する方法である。以下、順を追って説明する。
<酸ハロゲン化物>
本発明においては、前記式(4)で示される酸ハロゲン化物を原料とする。なお、本発明において、アミノ基の保護基とは、アミノ基に置換して所定反応中に不活性化する基であり、所定反応後、脱保護によりアミノ基が形成される基を示す。前記式(4)のRおよびRにおけるアミノ基の保護基としては、公知の保護基が挙げられる。中でも、酸ハロゲン化物のコスト、安定性、および最終工程での脱保護反応を考慮すると、置換基を有していてもよいベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基、t−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシキカルボニル基、又はホルミル基であることが好ましく、特に脱保護反応の容易性およびコストの観点から、置換基を有してもよいベンジルオキシカルボニル基が好ましい。ベンジルオキシカルボニル基が有する置換基とは、ベンジルオキシカルボニル基のフェニル基が有する置換基である。該置換基としては、メチル基、メトキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ジメチルアミノ基が挙げられる。中でも、最も好ましい保護アミノ基としては、非置換の、単なるベンジルオキシカルボニル基であることが好ましい。RおよびRの少なくとも一つは上記アミノ基の保護基である。
前記式中、Xはハロゲン原子である。酸ハロゲン化物の生産性、および反応時における安定性等を考慮すると、前記ハロゲン化物は、酸クロリド、酸ブロミドであることが好ましく、酸クロリドであることが最も好ましい。 上記酸ハロゲン化物は、特に制限されるものではなく、例えば前記式(9)で表わされるN−保護―β―アラニン誘導体(以下、単に「N−保護―β―アラニン誘導体」とも言う)を、塩化チオニル、臭化チオニルなどハロゲン化剤と反応させることにより製造できる。特にアミノ基の保護基としてベンジルオキシカルボニル保護基を用いる場合には、上記ハロゲン化剤との反応により副生する酸によってベンジルオキシカルボニル基の脱保護が生じるため、かかる脱保護反応を抑制し、高収率で目的の酸ハロゲン化物を得る観点から、N,N−ジメチルホルムアミドの存在下で上記ハロゲン化剤と反応させ低温かつ短時間に酸ハロゲン化物を製造することが好ましい。以下、N,N−ジメチルホルムアミドの存在下で上記ハロゲン化剤と反応させて酸ハロゲン化物を製造する方法について説明する。
<酸ハロゲン化物の製造方法>
前記N−保護−β−アラニン誘導体は、公知の化合物であり、例えば、国際公開WO1998019705号に記載の方法で製造することができる。この中でも、酸ハロゲン化物の生産性、反応時における安定性、および脱保護の容易性等を考慮すると、前記N−保護−β−アラニン誘導体は、N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニンであることが最も好ましい。
塩化チオニル、臭化チオニルなどハロゲン化剤は、前記N−保護−β−アラニン誘導体1モルに対して、1〜5モル使用することが好ましく、さらに1〜2モル使用することが好ましい。なお、本反応では、前記N−保護−β−アラニン誘導体と前記ハロゲン化剤とをN,N−ジメチルホルムアミドの存在下ハロゲン化剤を作用させる。
N,N−ジメチルホルムアミドは、前記N−保護−β−アラニン誘導体1モルに対して、0.005〜0.1モル使用することが好ましく、さらに0.01〜0.05モル使用することが好ましい。
前記酸ハロゲン化物の製造方法において、有機溶媒を使用する場合、該有機溶媒は、前記N−保護−β−アラニン誘導体と前記ハロゲン化物との反応を阻害しないものであれば、特に制限されるものではない。好適な有機溶媒を例示すると、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒等が挙げられる。これら有機溶媒は、単独種でも複数種であってもよい。これら有機溶媒の中でも、特に、塩化メチレン、クロロホルムが好ましい。
前記有機溶媒の使用量は、特に制限されるものではなく、各成分を有機溶媒中で十分に攪拌混合できる量であればよい。具体的には、前記N−保護−β−アラニン誘導体1gに対して、0.5〜100mlとすることが好ましく、1〜20mlとすることがより好ましい。
N、N−ジメチルホルムアミドの存在下、前記N−保護−β−アラニン誘導体とハロゲン化剤とを反応させるには、各成分を攪拌混合して接触させればよい。各成分を反応器中で攪拌するに際し、該反応器中に各成分を導入する手順は特に制限されるものではない。例えば、必要に応じて有機溶媒で希釈したN−保護−β−アラニン誘導体、N,N−ジメチルホルムアミド、およびハロゲン化剤を反応器内に同時に導入し攪拌混合することができる。また、必要に応じて有機溶媒で希釈した2成分を先に反応器内に導入しておき、他成分を後から導入し攪拌混合することもできる。さらには、必要に応じて有機溶媒で希釈した1成分を予め反応器内に導入しておき、他に2成分を同時に反応器に導入して攪拌混合する方法等を採用することができる。
前記N−保護−β−アラニン誘導体と前記ハロゲン化剤とを反応させる際の反応温度は、特に制限されるものではないが、−30〜60℃であることが好ましく、5〜40℃であることがより好ましい。
反応時間は、原料の消費量、酸ハロゲン化物の生成量等を確認しながら、適宜決定すればよい。上記条件であれば、通常、0.1〜10時間あれば十分であり、好ましくは0.5〜5時間である。
反応雰囲気も、特に制限されるものではなく、乾燥空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、通常の空気雰囲気下で実施することができる。また、大気圧下、減圧下、加圧下の何れの圧力下で反応を実施してもよい。そのため、操作性を考慮すると、空気雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、大気圧下で反応を実施することが好ましい。
以上のような方法で前記酸ハロゲン化物を製造することができる。得られた酸ハロゲン化物は、反応終了後そのまま、次の反応に供することもできるし、反応液を室温で濃縮して、濃縮残渣として取り出すこともできる。
<L−ヒスチジン誘導体>
本発明おいては、前記式(5)で示されるL−ヒスチジン誘導体を使用する。該L−ヒスチジン誘導体は、公知の化合物であり、例えば、CN101284862に記載の方法で製造することができるが、シリル化剤であるヘキサメチルジシラザンは、原料コストを考慮に入れると、L−ヒスチジンに対して、3〜5当量、好ましくは3〜4当量用いることが望ましい。
上記のL−ヒスチジンのトリメチルシリル保護の反応温度は、80〜160℃、好ましくは、110〜135℃で実施することが望ましい。また、反応時間は長すぎると反応液が着色するため、20〜120分、好ましくは、30〜60分で実施することが好ましい。
反応後、有機溶媒を減圧留去することにより、上記L−ヒスチジン誘導体を単離することができるが、後述の酸ハロゲン化物とL−ヒスチジン誘導体との反応において塩基を存在させることが好ましく、L−ヒスチジン誘導体の製造時に用いた過剰のヘキサメチルジシラザン、および生成したトリメチルシリルアミドが塩基として使用できることから、反応液をそのまま次工程に用いることが好ましい。
<保護L−カルノシン誘導体の製造方法>
本発明の製造方法では、上記酸ハロゲン化物と前記式(5)で示されるL−ヒスチジン誘導体とを反応させることにより、前記式(6)で示される保護L−カルノシン誘導体を製造する。
前記酸ハロゲン化物としては、ハロゲン化剤が安価かつ容易に入手できる点、適度な反応性と安定性を有する点、アトムエコノミーが高い点などの理由からを用いる酸塩化物を用いることが好ましい。
該反応は、有機溶媒中で実施することが好ましい。好適に使用できる有機溶媒としては、前記<酸ハロゲン物の製造方法>で説明した有機溶媒が挙げられ、好適な有機溶媒も同じである。また、有機溶媒の使用量は、前記酸塩化物1gに対して、0.5〜100mlであることが好ましく、5〜20mlであることが好ましい。
本発明の製造方法では、さらに塩基の存在下で上記反応を行うことが好ましい。塩基を存在させることにより、アミン成分であるL−ヒスチジンが2個縮合した副生物(すなわち、前記式(2)で示されるN−Cbz−β―Ala−L−His-L−HisOH)の副生が抑制できる。用いられる塩基として具体的には、ヘキサメチルジシラザン((TMS)NH)、トリメチルシリルアミド(TMSNH)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、4−N−モルホリノピリジン、ピリジン、ルチジンなどが挙げられる。なお、塩基としてトリエチルアミンのような比較的強い塩基を用いると、酸塩化物の脱塩化水素反応が進行し、下記式
Figure 2019167317
で示される、酸クロリドと比べて反応性の低いケテン誘導体を生じる傾向がある。従って、上記塩基の中でもヘキサメチルジシラザン(TMS)NH)、または、トリメチルシリルアミド(TMSNH)を用いることが好ましい。
前記酸ハロゲン化物と前記L−ヒスチジン誘導体とを反応させる方法は特に制限されず、具体的には、有機溶媒中で前記酸塩ハロゲン化物、塩基、および前記L−ヒスチジン誘導体を攪拌混合することにより、実施することができる。特に前記酸塩化物を有機溶媒に希釈した溶液を、前記L−ヒスチジン誘導体と塩基を有機溶媒に希釈した溶液に滴下する方法が望ましい。
反応温度は、特に制限されるものではないが、−20〜70℃であることが好ましく、0〜40℃であることがより好ましい。
反応時間は、原料の消費量、保護L−カルノシン誘導体の生成量等を確認しながら、適宜決定すればよい。上記条件であれば、通常、0.1〜48時間あれば十分であり、好ましくは0.5〜24時間である。
反応雰囲気も、特に制限されるものではなく、乾燥空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、通常の空気雰囲気下で実施することができる。また、大気圧下、減圧下、加圧下の何れの圧力下で反応を実施してもよい。そのため、操作性を考慮すると、空気雰囲気下、大気圧下で反応を実施することが好ましい。以上のような方法で反応を行うことにより、保護L−カルノシン誘導体を製造することができる。
<L−カルノシンの製造方法>
上記本発明の製造方法によって得られた該保護L−カルノシン誘導体は、トリメチルシリル基、およびR、R基の除去反応を行うことにより、L−カルノシンを製造することができる。脱保護条件は、R、Rに用いた保護基の種類に応じて適宜選択すれば良く、トリメチルシリル基、およびR、R基を一気に脱保護しても良く、トリメチルシリル基を脱保護し、次いでR、R基を脱保護しても良い、特にアミノ基の保護基としてN−ベンジルオキシカルボニル基を用いた場合には、上記保護L−カルノシン誘導体を製造した反応液へ水を加えることにより、トリメチルシリル基が除去され、得られた水層を濃縮することにより、下記式(11)
Figure 2019167317
に示されるN−ベンジルオキシカルボニル−L−カルノシン塩酸塩が析出する。次いで、析出した結晶を濾過・乾燥することにより、高純度の保護L−カルノシン誘導体を塩酸塩として得ることができるため好ましい。この時使用する水の量は、保護L−カルノシン誘導体1gに対して、0.1〜50ml使用することが好ましい。
得られたN−ベンジルオキシカルボニル−L−カルノシン塩酸塩は、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド(トリトンB)と接触させることにより脱塩化水素が進行し、フリー体のN−保護L−カルノシン誘導体を得ることができる。
反応液に水を加えてトリメチルシリル基を除去後、分液し水層を分取することにより脱保護体を水溶液として得ることもできる。
なお、L−ヒスチジン誘導体を調製後、反応液を減圧濃縮しない場合、又は本カップリング反応で塩基を加えた場合は、カップリング生成物として、フリー体の保護L−カルノシン誘導体が直接得られる。
<L−カルノシンの製造;N−保護L−カルノシン誘導体の脱保護反応>
前記N−保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩からL−カルノシンを製造するためには、アミノ基の保護基であるベンジルオキシカルボニル基を除去すればよい。本脱保護反応は、特に制限されるものではなく、公知の方法が採用できる。
ベンジルオキシカルボニル基を除去するためには、酸処理を行う方法、パラジウム触媒存在下、水素、又は水素源を存在させる方法が挙げられる。
使用する酸は、特に制限されるものではなく、塩化水素、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸が好ましい。また、これら酸は、水溶液、又は酢酸溶液の状態で反応系内に導入することができる。
酸の使用量は、特に制限されるものではないが、前記N−保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩1モルに対して、酸を0.1〜100モル使用することが好ましい。中でも、前記N−保護L-カルノシン誘導体、又はその塩酸塩と酸とを接触させる反応系内のpHが−1以上4未満となる範囲の使用量とすることが好ましい。このような条件で脱保護反応を実施するのが好ましい。前記反応系内pHは、使用する酸全量を反応系内に導入した際のpHの範囲である。
<酸を使用してRを脱保護する場合;溶媒>
脱保護反応は、溶媒中で実施することができる。前記L−カルノシン誘導体を取り出した後、脱保護反応を実施する場合には、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;t−ブチルメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒;等が挙げられる。これら有機溶媒は、単独種でも複数種であってもよい。この中でも、好ましい溶媒としては、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒、トルエン等の芳香族系溶媒、ジオキサン等のエーテル系溶媒である。
上記有機溶媒と水とを含む溶媒中で酸処理を行うことが好ましい。水を含む溶媒中で行う場合には、特に制限されるものではないが、有機溶媒/水の体積比が0.01/1〜1000/1となることが好ましい。また、溶媒の使用量も、特に制限されるものではなく、前記N−保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩と酸とが十分に接触混合できるような量であればよい。通常であれば、前記N−保護L−カルノシン誘導体1gに対して、該媒体を1〜100ml使用することが好ましい。
<酸を使用してベンジルオキシカルボニル基を除去する場合;その他条件>
酸を使用してRの脱保護反応を行うに際し、反応系内へ前記保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩、及び酸を導入する手順は、特に制限されるものではない。例えば、必要に応じて溶媒で希釈した前記保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩、必要に応じて希釈した前記酸を同時に反応系内に導入し、攪拌混合する方法を採用できる。また、何れか一方を必要に応じて溶媒で希釈して先ず反応系内へ入れておき、必要に応じて溶媒で希釈したもう一方を反応系内へ添加して攪拌混合することもできる。中でも、不純物を低減するという点では、必要に応じて前記溶媒で希釈した前記N−保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩を先に反応系内に導入し、それに、必要に応じて前記溶媒で希釈した前記酸を添加して、攪拌混合する方法を採用することが好ましい。
脱保護反応を行う際の反応温度は、特に制限されるものではなく、反応時間、収量、不純物副生の抑制等を考慮すると、−10〜200℃とすることが好ましく、さらには10〜120℃とすることが好ましい。
脱保護反応の反応時間は、特に制限されるものではないが、原料の消費量、L−カルノシンの生成量等を確認しながら、適宜決定すればよい。上記条件であれば、通常、0.1〜96時間あれば十分であり、好ましくは0.5〜24時間である。
反応雰囲気も、特に制限されるものではなく、乾燥空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、通常の空気雰囲気下で実施することができる。また、大気圧下、減圧下、加圧下の何れの圧力下で反応を実施してもよい。そのため、操作性を考慮すると、空気雰囲気下、大気圧下で反応を実施することが好ましい。
<L−カルノシンの製造;パラジウム系触媒/水素源を使用してベンジルオキシカルボニル基を除去する場合>
本発明においては、脱ベンジル化等が実施できる、公知のパラジウム系触媒を使用することができる。具体的には、1〜30質量%(好ましくは1〜20質量%)のパラジウムが担持したパラジウム炭素触媒、パラジウム硫酸バリウム触媒、パラジウム炭酸カルシウム触媒、パラジウムブラック触媒が挙げられる。
該パラジウム系触媒の使用量は、特に制限されるものではいが、前記保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩100質量部に対して0.001〜20質量部(金属量換算)であれば十分である。
<パラジウム系触媒/水素源を使用してR、及びRを脱保護する場合;水素>
本脱保護反応は、水素の存在下で実施することが好ましい。水素の存在下とする際し水素ガスを使用する場合には、反応系内を水素圧0.5〜50気圧とすることが好ましく、1〜30気圧とすることがさらに好ましく、1〜10気圧とすることが特に好ましい。
<パラジウム系触媒/水素源を使用してR、及びRを脱保護する場合;溶媒>
パラジウム系触媒を使用する場合、水素ガス存在下、溶媒中で前記N−保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩とパラジウム触媒とを攪拌混合することが好ましい。
溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール溶媒;酢酸等の酸溶媒;水等を使用することができる。これら溶媒は、単独で使用しようすることもできるし、複数種類の混合溶媒として使用することもできる。以上の溶媒の中も、操作性等を考慮すると、アルコール、水、またはアルコールと水との混合溶媒を使用することが好ましい。混合溶媒を使用する場合には、特に制限されるものではないが、アルコールと水との体積比(アルコール/水)は、23℃において、0.01/1〜1000/1の範囲とすることが好ましい。なお、水単独で反応を行っても良い。
また、溶媒の使用量も、特に制限されるものではなく、前記N−保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩とパラジウム触媒とが十分に接触混合できるような量であればよい。通常であれば、前記N−保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩1gに対して、該媒体を1〜100ml使用することが好ましい。
さらに、添加物として、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、蟻酸、酢酸、クエン酸などの有機酸を加える場合がある。これらの添加量は、N−保護L−カルノシン誘導体(13)、又はその塩酸塩に対して、0.01〜100当量使用することが好ましい。
<パラジウム系触媒/水素源を使用してR、及びRを脱保護する場合;その他条件>
パラジウム系触媒を使用してRの脱保護反応を行うに際し、反応系内へ前記N−保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩、パラジウム系触媒、および水素を導入する手順は、特に制限されるものではない。例えば、必要に応じて溶媒で希釈した前記N−保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩、必要に応じて該溶媒に分散させたパラジウム系触媒を同時に反応系内に導入し、さらに、水素ガスを反応系内に導入して攪拌混合する方法が挙げられる。また、何れか一方を必要に応じて溶媒で希釈(分散)して先ず反応系内へ入れておき、必要に応じて溶媒で希釈(分散)したもう一方を反応系内へ添加して、水素ガスを反応系内に導入して攪拌混合する方法が挙げられる。なお、前記方法においては、前記N−保護L−カルノシン誘導体、又はその塩酸塩、およびパラジウム系触媒を反応系内に導入した後、水素ガスを反応系内に導入する方法を示したが、当然のことながら、予め反応系内に水素ガスを導入し、反応系内を水素雰囲気下とした後、各成分を反応系内に導入することもできる。また、前記には、水素ガスを使用した場合の例を示したが、蟻酸、蟻酸塩など水素ガスを発生する化合物を使用することもできる。
該脱保護反応を行う際の反応温度は、特に制限されるものではなく、反応時間、収量、不純物副生の抑制等を考慮すると、5〜150℃とすることが好ましく、さらには10〜100℃とすることが好ましい。
脱保護反応の反応時間は、特に制限されるものではないが、原料の消費量、L−カルノシンの生成量等を確認しながら、適宜決定すればよい。上記条件であれば、通常、0.1〜72時間あれば十分であり、好ましくは0.2〜48時間である。
反応雰囲気も、特に制限されるものではなく、乾燥空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、通常の空気雰囲気下で実施することができる。また、大気圧下、減圧下、加圧下の何れの圧力下で反応を実施してもよい。そのため、操作性を考慮すると、空気雰囲気下、大気圧下で反応を実施することが好ましい。
<L−カルノシンの精製方法>
以上のような方法により、L−カルノシンが製造できる。塩酸塩の保護L−カルノシンを用いた場合、又は塩酸を加えて脱保護した場合は、
L−カルノシン塩酸塩が得られる。
この場合、本化合物のエタノール、又はメタノール溶液に、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド(トリトンB)を接触させることにより、L−カルノシンのフリー体を得ることができる。トリトンBは、L−カルノシン塩酸塩と等モル、又は反応液のpHがL−カルノシンの等電点である8.2になる量、添加する。また、溶媒は、L−カルノシン塩酸塩に対して、3〜15倍量使用する。反応温度は、0〜80℃で行う。
このようにして得られたフリー体のL−カルノシンを精製する場合には、以下の方法を採用することが好ましい。具体的には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール)溶媒で再結晶することが好ましい。該アルコールは、水を含んでいてもよい。L−カルノシンを該再結晶溶媒で溶解させる際の温度は、特に制限されるものではないが、20〜120℃で行うことが好ましく、さらに30〜80℃で行うことが好ましい。この際、再結晶溶媒の使用量は、溶解させる対象物(L−カルノシンを含む対象物)1gに対して、1〜50mlとすることが好ましく、さらに5〜20mlとすることが好ましい。また、結晶を析出させる際の温度は、−10〜100℃が好ましく、さらに−5〜50℃が好ましい。得られた結晶は、公知の方法で乾燥すればよい。
以上のような方法に従えば、比較的緩和な条件下、純度の高いL−カルノシンを容易に得ることができる。
以下、本発明を、実施例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。HPLCでの分析方法は下記条件にて行った。
サンプル濃度:0.05%
注入量:5.0μL
波長:210nm
流速:0.5mL/min
移動相:0〜5min(0.1%リン酸)
5〜20min(0.1%リン酸〜100%CHCN)
20〜30min(100%CHCN)
カラム温度:30℃
充填剤:X Bridge C18 5μm(4.6×150)
実施例1<酸塩化物の製造例>
N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニン(3.0g、13.4mmol)のクロロホルム(10mL)溶液に室温で塩化チオニル(3.2g、26.9mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミドを一滴加え同温で2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し濃縮残渣にクロロホルム(5mL)を加えて酸塩化物のクロロホルム溶液を得た。
実施例2<保護L−カルノシン誘導体塩酸塩の製造>
Figure 2019167317
硫酸(0.005g、0.05mmol)にヘキサメチルジシラザン(5.0g、31mmol)を加え5分間攪拌した後、L−ヒスチジン(1.6g、10.3mmol)を加え還流下で40分間攪拌した。反応液を減圧濃縮しクロロホルム(10mL)に溶解することにより、L−ヒスチジン誘導体のクロロホルム溶液を得た。
得られたL−ヒスチジン誘導体のクロロホルム溶液に上記実施例1で合成した酸塩化物のクロロホルム溶液を10℃以下で1時間かけて滴下し、さらに同温で1時間撹拌した。
反応液に水20mLを室温で加え15分激しく攪拌を行った後クロロホルム層を除去した。再度クロロホルム(10mL)を加え洗浄し水層、クロロホルム層(2回分混合)についてHPLC測定を行った。
その結果、目的物であるN−ベンジルオキシカルボニル―L−カルノシン塩酸塩が、水層に、3.96g(収率97%)、有機層に0.082g(収率2%)存在することが分かった。水層に含まれるN−ベンジルオキシカルボニル―β―アラニル―L−ヒスチジル―L−ヒスチジンは、HPLC単純面積比で1.46%であった。
得られた保護L−カルノシン誘導体塩酸塩の水溶液を減圧濃縮し、濃縮残渣にアセトン(30mL)加えて室温、17時間撹拌した。析出した結晶を濾過後、アセトン洗浄、室温で減圧乾燥することにより、保護L−カルノシン誘導体塩酸塩を3.50g(L−ヒスチジンからの収率86%)得た。本品に含まれるN−ベンジルオキシカルボニル―β―アラニル−L−ヒスチジル−L−ヒスチジンは、HPLC単純面積比で0.3%であった。得られた保護L−カルノシン誘導体塩酸塩の分析値は以下の通りであった。
mp85〜120℃
IR(KBr)2817、1700、1653cm−1
1H−NMR(DMSOd6) δ 2.00−3.25(m、4H),4.25−4.80(m,1H),5.00(s,2H),7.20−7.75(m,6H),8.20−8.75(m,1H),9.00(s,1H)
実施例3<フリー体の保護L−カルノシン誘導体の製造>
実施例2で得られた保護L−カルノシン誘導体塩酸塩(1.0g、2.5mmol)に水(5mL)を加え得られた溶液に、40%トリトンBメタノール溶液(1.13g、2.7mmol))を加えることによりpH:6.4に調整した。得られた溶液を減圧濃縮し、濃縮残渣にエタノール(10mL)を加えて50℃で撹拌晶析した。得られた懸濁液を10℃以下で2時間撹拌後、濾過、エタノール洗浄、乾燥することにより保護L−カルノシン誘導体を得た(0.82g、収率:90%)。得られた保護L−カルノシン誘導体の分析値は以下の通りであった。
mp:160−164℃
IR(KBr)3303、1686、1642cm−1
1H−NMR(DMSOd6) δ 2.00−3.45(m、2H)、4.20−4.70(m、1H)、5.00(s、2H)、6.75(s、1H)、7.00−7.75(m,5H),7.60(s,1H),8.00−8.40(m, 1H)
実施例4
実施例2において、L−ヒスチジンをヘキサメチルジシラザンでトリメチルシリル化した後、反応液を濃縮しない以外は、実施例2と同様の操作を行い、フリーの保護L−カルノシン誘導体を得た。得られた保護L−カルノシン誘導体のアッセイ収率は99.4%であった。また、本品に含まれるN−ベンジルオキシカルボニル―β―アラニル−L−ヒスチジル−L−ヒスチジンは、HPLC単純面積比で0.75%であった。
実施例5
実施例2において、L−ヒスチジンをヘキサメチルジシラザンでトリメチルシリル化した後、反応液を濃縮しこれにトリエチルアミンをL−ヒスチジンに対して1当量加えた以外は、実施例2と同様の操作を行った。得られた保護L−カルノシン誘導体のアッセイ収率は65.8%であった。また、本品に含まれるN−ベンジルオキシカルボニル―β―アラニル−L−ヒスチジル−L−ヒスチジン(11)は、HPLC単純面積比で0.56%であった。
実施例6<L−カルノシンの製造>
実施例2で得られたN−保護L−カルノシン誘導体塩酸塩(5.51g、13.9mmol)、メタノール(15mL)、純水(35mL)を撹拌混合して溶液を得た。次いで、市販の5質量%パラジウムカーボン(50%ウェット、30mg、0.05mol%)を該溶液に加え、水素雰囲気下(1気圧)で24時間撹拌した。反応後、反応液を濾過した。得られた濾液を減圧濃縮し、メタノールを留去後、トリトンBを加えて、溶液のpHを8.2に合した後、さらに、減圧濃縮した。得られた濃縮残渣に、水(3mL)次いで、エタノール(15mL)を加えた後、5℃に冷却して2時間撹拌した。析出した結晶を濾過後、エタノール(5mL)で2回洗浄した。
得られた固体を40℃で12時間減圧乾燥したところ、L−カルノシン(2.9g、収率:92.3%)の白色固体を得た。

Claims (8)

  1. 下記式(1)
    Figure 2019167317
    (式中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、アミノ基の保護基であり、R、Rの少なくとも一つはアミノ基の保護基であり、Xはハロゲン原子である。)
    で示される酸ハロゲン化物と、
    下記式(2)
    Figure 2019167317
    (式中、TMS基はトリメチルシリル基である。)で示されるL−ヒスチジン誘導体とを反応させることにより、
    下記式(3)
    Figure 2019167317
    (式中、R、Rは、前記式(1)と同義である。)
    で示される保護L−カルノシン誘導体を製造する方法。
  2. 前記RおよびRのアミノ基の保護基が、置換基を有していてもよいベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基、t−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ホルミル基、又は置換ベンジル基のいずれかである、請求項1記載の保護L−カルノシン誘導体を製造する方法
  3. 塩基の存在下で反応を行う請求項1又は2記載の保護L−カルノシン誘導体を製造する方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の方法により前記式(3)で示される保護L−カルノシン誘導体を製造した後、
    得られた該保護L−カルノシン誘導体の脱保護反応を行うことにより、下記式(4)
    Figure 2019167317
    で示されるL−カルノシンを製造する方法。
  5. 前記式(3)で示される保護L−カルノシン誘導体におけるトリメチルシリル基の脱保護を行い、下記式(5)
    Figure 2019167317
    (式中、R、Rは、前記式(1)と同義である。)
    で示されるN−保護―L−カルノシン誘導体を得、次いで該N−保護―L−カルノシン誘導体の脱保護反応を行う請求項4記載のL−カルノシンを製造する方法。
  6. 前記式(5)で示されるN−保護―L−カルノシン誘導体を、該誘導体、又はその塩として単離する請求項5記載のL−カルノシンを製造する方法。
  7. 下記式(6)
    Figure 2019167317
    (式中、RおよびRは、前記式(1)と同義である。)
    で示されるN−保護−β−アラニン誘導体を、N,N−ジメチルホルムアミド存在下、ハロゲン化剤と反応させることを特徴とする前記式(1)で示される酸ハロゲン化物を製造する方法。
  8. 化合物(9)で示されるN−ベンジルオキシカルボニルーL−カルノシン塩酸塩。
    Figure 2019167317
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