JP2019155474A - 圧延用ロール、表面処理鋼板、冷延鋼板およびそれらの製造方法 - Google Patents

圧延用ロール、表面処理鋼板、冷延鋼板およびそれらの製造方法 Download PDF

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Takuro Yazaki
拓郎 矢▲崎▼
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行宏 松原
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幸雄 木村
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勝 三宅
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Abstract

【課題】表面処理鋼板を調質圧延して、非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを同時に兼ね備えた表面処理鋼板を製造することができる調質圧延用ロールおよび/または冷間圧延用ロールとして使用できる圧延用ロール、およびその製造方法ならびに表面処理鋼板の調質圧延方法を提供し、非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを兼ね備えた表面処理鋼板を提供する。【解決手段】本発明の圧延用ロール10は、ロールの表面(外周面11)の算術平均粗さRa、算術平均うねりWa、1インチ当たりのピーク数PPIがそれぞれ、Ra:1〜10μm、Wa:0.01〜0.10μm、PPI:300〜2000である。【選択図】図1

Description

本発明は、圧延用ロール、表面処理鋼板、冷延鋼板およびそれらの製造方法に関し、詳しくは、表面処理鋼板や冷延鋼板の調質圧延に好適に用いることができる圧延用ロール、その製造方法、表面処理鋼板の製造方法、プレス成形性と塗装後鮮映性に優れる表面処理鋼板、冷延鋼板の製造方法、およびプレス成形性と塗装後鮮映性に優れる冷延鋼板に関する。
一般的に鋼板に求められる特性として、最終的には、外観が優れていることと、成形加工性に優れていることの2つが挙げられる。
鋼板の外観に重大な影響を及ぼす指標として、鋼板の塗装後鮮映性(単に、「鮮映性」と称することもある。)が従来から注目されている。塗装後鮮映性は、鋼板に塗料等で塗装をした後の、鋼板の表面における鮮明さを評価するものである。特に自動車の外板用や電化製品用に鋼板を用いる場合、塗装後の鋼板の外観は直接ユーザーに品質を訴える要素の一つであるので、良好な塗装後鮮映性を確保することが望まれている。
また、自動車等の製品の耐食性を改善する方法として、めっき処理等を施した表面処理鋼板の使用比率が増加している。よって、表面処理鋼板の塗装後鮮映性を改善する技術も、その重要性が益々増加している。特に、耐食性重視の設計の観点から、溶融めっき鋼板のような厚めっき鋼板が要求されている今日、このような厚めっきの表面処理鋼板を用いる場合においても、塗装後鮮映性がより重要になると考えられている。
なお、鋼板に求められるもう一つの特性である成形加工性の具体例としては、プレス成形性が挙げられる。より詳しくは、プレス成形時において金型と鋼板(プレス原板)との凝着を防ぐことが重要である。特に、自動車用の鋼板では、各種の形状にプレス成形した後に使用されることを前提としているので、優れたプレス成形性を有することが望まれる。
ところで、塗装後鮮映性の改善は、従来は、主に塗装技術の課題とされ、そのため、塗装方法や、塗料の改善技術が盛んに検討されてきた。近年では、塗装の多層塗りが普及し、自動車製造のラインでは工程数が増えコスト上昇の一因となっている。そのため、より塗装後鮮映性の技術的な解明が求められている。一方で、従来は影響が小さいと考えられていた鋼板の表面粗さによる塗装後鮮映性への影響が、特に高品質の鋼板において明らかとなってきた。鋼板の表面粗さと塗装後鮮映性との関係を示した文献として、以下の非特許文献1および2が挙げられる。
非特許文献1には、鋼板の中心線平均粗さと塗装後鮮映性との関係が報告されている。しかし、非特許文献1では、鮮映性を改善するには鋼板の表面粗さをできる限り小さくする必要があることを述べているにすぎない。すなわち、塗装後鮮映性のみを考慮すると、鋼板の表面をブライト面(表面粗さが極めて小さい面)とすることが最適ということになる。
しかし、ブライト面を有する表面処理鋼板は、プレス成形性や加工時におけるハンドリング性等が極めて悪いことから、自動車用鋼板等のプレス成形を行う鋼板として用いることは不可能である。実際には、特にプレス成形を行う鋼板の場合、プレス成形性やハンドリング性等を向上させる目的で、鋼板の表面において微細な凹凸を設けるダル目付けが行われている。ダル目付けを行うと、鋼板は、表面粗さが大きくなるので、当然に鮮映性も良好ではなくなってしまう。
非特許文献2では、鋼板の表面粗さが塗装後の鮮映性に及ぼす影響についてより詳細な検討がなされている。具体的には、ショットブラスト加工、放電加工およびレーザ加工によりダル加工を施したロールを用いて調質圧延し、種々の算術平均粗さRaおよびPPI(peak per inch)を備えた鋼板を作製し、55〜80μmの厚さの塗装を施した後の鮮映性を調査した結果、以下のことが明らかにされている。
(1)鋼板のRaが小さくなるほど鮮映性が向上する。
(2)鋼板のPPIは鮮映性に影響しない。
(3)鋼板の粗度パターンのうち、うねり(波長や周期の長い表面凹凸)成分は塗装後にも残存し、それが鮮映性に大きく影響する。
(4)ショットブラスト加工のシミュレーション結果から、ショットブラスト加工を用いた方法では、うねりの発生の抑制は困難であり、鋼板表面に残存したうねりが鮮映性の向上を阻害することが推察される。
(5)レーザダル加工(レーザ加工によるダル目付けのことである。)では、マイクロクレーター(レーザによって生じる凹部)の大きさ、間隔によってうねりの波長が決まるので、鮮映性を阻害しない程度にうねりの波長を制御することによって、プレス加工に必要な表面粗さを維持しつつ、鮮映性の向上を図ることができる。また、レーザダル加工では平坦部が多いことも鮮映性の向上に寄与している。
以上のように、鋼板のプレス成形性や鮮映性は、鋼板の表面性状(特にRa等を含む表面の微視的凹凸の形態)によって大きく変化するので、適切に表面性状を制御することが重要である。
例えば、プレス成形では、金型と鋼板との凝着を防止するために、金型と鋼板との界面における保油性を高める必要がある。保油性を高めるためには、一定値以上の算術平均粗さRaを鋼板表面に付与する必要がある。また、ピークカウント(PPI)も大きければ大きいほど、保油性を向上させる効果があると考えられる。
一方で、塗装後鮮映性を向上させるためには、塗装後においても鋼板表面に残留して鮮映性に悪影響を及ぼす長周期の表面凹凸(以下、単に凹凸という場合もある。)を小さくすることが必要である。
すなわち、優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを両立させるためには、RaやPPI等の指標で示される短周期の表面凹凸の大きさおよび数を大きくし、Wa等の指標で示される長周期の表面凹凸の大きさおよび数を小さくすることが求められる。しかしながら、鋼板表面の短周期の凹凸と長周期の凹凸とは正の相関関係があることから、いずれか一方のみを大きく又は小さくなるように制御することは難しい。
また、非特許文献1および2の他に、塗装後鮮映性を向上させる技術が特許文献1に開示されている。特許文献1では、高鮮映性鋼板を製造するための調質圧延用ロールとして、放電加工によってろ波中心線うねりWcaを1.1μm以下、Raを1.0μm以上に加工したロールを使用する方法が開示されている。しかしながら、放電加工では原理的にランダムな凹凸を形成するため、短周期成分の平均高さで定義されるRaが2.0μmを超える場合は、長周期成分の平均高さで定義されるWcaも必然的に大きくなり、Wcaを1.1μm以下に制御することは容易ではない等、特許文献1の技術では、優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを両立することはできない。
特公平6−23409号公報
T.G.NILAN, B.M.PERFETTI and B.J. SCIALABBA: SAE Tech. Paper Ser., No.800208(1980) 角山浩三、外4名「塗装後の鮮映性に及ぼす鋼板表面粗度の影響」、鉄と鋼、一般社団法人日本鉄鋼協会、1989年、vol.75、No.11、P2090−2097
ここで、非特許文献2に記載のレーザダル加工によれば、短周期の凹凸と長周期の凹凸をある程度個別に制御可能だが、加工発熱による熱影響により、長周期の凹凸を小さくできないという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、表面処理鋼板を調質圧延して、非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを同時に兼ね備えた表面処理鋼板を製造するための調質圧延用ロール、および/または冷間圧延用ロールとして使用できる圧延用ロール、およびその製造方法、ならびに表面処理鋼板および冷延鋼板の製造方法を提供し、非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを兼ね備えた表面処理鋼板(プレス原板としての表面処理鋼板)および冷延鋼板を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するためになされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1] 圧延用ロールであって、該ロールの表面の算術平均粗さRa、算術平均うねりWa、および1インチ当たりのピーク数PPIがそれぞれ、Ra:1〜10μm、Wa:0.01〜0.10μm、およびPPI:300〜2000であることを特徴とする圧延用ロール。
[2] 前記ロールの表面に、間隔5〜20μmで配列した直径10〜40μmの半球状の複数の突起を有することを特徴とする[1]に記載の圧延用ロール。
[3] 前記ロールが、ロール基材と該ロール基材を被覆した皮膜層とからなり、該皮膜層は、前記ロール基材よりも硬度が高い表面を有することを特徴とする[1]または[2]に記載の圧延用ロール。
[4] 前記皮膜層がダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする[3]に記載の圧延用ロール。
[5] 前記ロールが、冷間圧延用ロールであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一つに記載の圧延用ロール。
[6] 前記ロールが、調質圧延用ロールであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一つに記載の圧延用ロール。
[7] [1]〜[6]のいずれか一つに記載の圧延用ロールを製造する方法であって、円筒状のロール素材の表面に、パルス幅が100フェムト秒〜10ピコ秒の超短パルスレーザを照射する工程を有することを特徴とする圧延用ロールの製造方法。
[8] [1]〜[6]のいずれか一つに記載の圧延用ロールを用いて、表面処理鋼板に対して伸長率0.1〜2.0%の調質圧延を行うことを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
[9] 調質圧延を施された表面処理鋼板であって、該鋼板の表面の算術平均粗さRa、算術平均うねりWa、1インチ当たりのピーク数PPIがそれぞれ、Ra:0.5〜10μm、Wa:0.01〜0.6μm、PPI:300〜2000であることを特徴とする表面処理鋼板。
[10] 前記鋼板の表面に、間隔5〜20μmで配列した直径10〜40μmの半球状の複数の窪みを有することを特徴とする[9]に記載の表面処理鋼板。
[11] [1]〜[6]のいずれか一つに記載の圧延用ロールを用いて、鋼板に対して圧下率5〜30%の冷間圧延を行うことを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
[12] 表面の算術平均粗さRa、算術平均うねりWa、1インチ当たりのピーク数PPIがそれぞれ、Ra:0.5〜5μm、Wa:0.01〜1μm、PPI:300〜2000であることを特徴とする冷延鋼板。
[13] 前記鋼板の表面に、間隔5〜20μmで配列した直径10〜40μmの半球状の複数の窪みを有することを特徴とする[12]に記載の冷延鋼板。
本発明によると、非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを兼ね備えた表面処理鋼板または冷延鋼板の製造に好適な圧延用ロールを提供することができる。そして本発明の圧延用ロールを調質圧延用ロールとして用いて表面処理鋼板の未調質圧延材を調質圧延すると、非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを兼ね備えた表面処理鋼板を得ることができ、また、本発明の圧延用ロールを冷間圧延用ロールとし用いて冷延鋼板の未調質圧延材を調質圧延すると、非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを兼ね備えた冷延鋼板を得ることができる。
本発明に係る圧延用ロールの一例を示す模式図である。 図1の圧延用ロールの表面形状の例を示す(a)拡大平面図および(b)拡大断面図である。 調質圧延機の一例を示す模式図である。 プレス成形性評価のための摺動試験の模式図である。 実施例1において、プレス成形性を評価した例を示す図である。 実施例1において、塗装後鮮映性を評価した例を示す図である。 実施例2において、プレス成形性を評価した例を示す図である。 実施例2において、塗装後鮮映性を評価した例を示す図である。
本発明の圧延用ロールは、冷間圧延および/または調質圧延に用いられ、ロールの表面が、算術平均粗さRa(以下単に「Ra」とも記載する):1〜10μm、算術平均うねりWa(以下単に「Wa」とも記載する):0.01〜0.1μm、1インチ当たりのピーク数PPI(以下単に「PPI」とも記載する):300〜2000を満たす凹凸(これらRa、Wa、PPIの範囲を満たす凹凸を、以下、「所定の凹凸」ともいう。)を有する表面であることを特徴とする。本発明の圧延用ロールは、Ra、Wa、PPIの各値が上記のとおり限定された凹凸を表面(外周面)に有するため、例えば調質圧延する前の表面処理鋼板を調質圧延するのに用いることにより、調質圧延後の表面処理鋼板に、非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを付与すること、すなわち、調質圧延によって非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性を兼ね備えた表面処理鋼板を製造することができる。ここで、表面処理鋼板とは、防食性を高めるために表面にめっき処理等を施した鋼板であり、具体例としては亜鉛めっき鋼板、錫めっき鋼板、アルミめっき鋼板、および複数金属による合金めっき鋼板等を挙げることができる。
Raはその値の限定範囲1〜10μmのなかでも1.0〜3.0μmが好ましい。また、Waはその値の限定範囲0.01〜0.10μmのなかでも0.04〜0.07μmが好ましい。また、PPIはその値の限定範囲300〜2000のなかでも350〜1300が好ましい。
本発明の圧延用ロールは、従来のショットブラスト加工や放電加工により表面に凹凸が付与されたダルロールよりも、超短パルスレーザ加工により表面に凹凸が付与されたダルロールであることが好ましい。
超短パルスレーザ加工(光アブレーションともいう。)とは、パルス幅が数ピコ秒(ps)〜数フェムト秒(fs)あるいはそれ以下のパルスレーザを用いたレーザ加工のことである。超短パルスレーザ加工は、材料を結合構成している分子または原子レベルの結合を直接破壊するため、単なる熱加工(レーザ光が固体材料の表面で吸収されて熱に変換され、その熱エネルギーで 材料を溶融しながら行う加工のことである。)では無い。さらに、超短パルスを使用すると、そのレーザが照射した箇所は極めて短時間に除去されるため、熱エネルギーがその材料周囲に広がる時間もなく、その大半が材料の除去に使用される。結果的にこれらが総合的に作用して熱影響層が著しく減少することから、超短パルスレーザ加工は、非常にクリーンな加工であり、材料を変質させないため、厄介な後処理の必要も無い。よって、超短パルスレーザ加工では、微細な所定の凹凸(以下、「凹凸」は「凹凸パターン」ともいう。)を形成することができる。すなわち、ロール表面に、Raが1〜10μm、Waが0.01〜0.10μmかつPPIが300〜2000を満たす凹凸パターンを形成することができる。また、さらに、超短パルスレーザ加工では、凹凸分布を規則的かつ均一なものとすることができる。
一方、ショットブラスト加工により表面に凹凸が付与されたダルロールのRaの範囲は0.5〜3.6μm程度であり、PPIの範囲は150〜500程度である。なお、ショットブラスト加工により表面に凹凸が付与されたダルロールの凹凸分布は、ランダムであり不規則な凹凸分布である。そして、放電加工により表面に凹凸が付与されたダルロールのRaの範囲は0.5〜7.2μm程度であり、PPIの範囲は100〜600程度である。また、放電加工により表面に凹凸を付与させることができるが付与されたダルロールの凹凸分布は、ランダムであり不規則な凹凸分布である。
このように、超短パルスレーザ加工では、ショットブラストや放電加工に比べ、短周期の凹凸を示すRaの値やPPIの値を高くすることができ、プレス成形性を向上することができるようになると共に、同時に長周期の凹凸を示すWaの値を低くして塗装後鮮映性を向上することができるようになる。この理由は、ショットブラストや放電加工では、Raの値を高くしようとすると、WaおよびPPIの各値も高くなってしまうのに対して、超短パルスレーザ加工では、テクスチャの模様パターンがミクロンオーダーで自由に設計できるため、Ra、WaおよびPPIの各値を互いに独立的に制御できるからである。
さらに、従来のダルロールに施されているレーザ加工は、YAGレーザやCOレーザ一などがあるが、これら従来のレーザ加工は加工部に熱影響があるためロール表面上に加工時に発生した残骸や熱で溶けて再凝固した変質部分が発生してしまうため、これら従来のレーザ加工では、本発明のように表面形状がRa:1〜10μm、Wa:0.01〜0.10μmおよびPPI:300〜2000の各条件を全て満たす圧延用ロールを製造することは難しい。さらには、ショットブラスト加工、放電加工や、従来のダルロールに施されているレーザ加工では、Ra:1〜10μm、Wa:0.01〜0.10μmおよびPPI:300〜2000の全てを満たし、かつ、ロール表面の凹凸が規則的で均一である圧延用ロールを製造することはできなかった。
ここで、Raは、JIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さである。
PPIは、SAE911規格で規定されるものであり、単位長(1インチ(2.54cm))あたりの凹凸ピーク数であり、カウントレベルが±0.63μmにおける値である。
Waは、JIS B 0601−1994に規定される算術平均うねりであり、鋼板の表面の凹凸のうち、波長が0.8mm〜8mmなる長周期成分(λc=0.8mm、λf=8mm)を抽出したうねり曲線について求める。
Ra、PPI、Waは、例えばサーフコム1500SD3(東京精密製)を用いて測定することができる。
また、本発明の圧延用ロールは、ロール表面が、上述したようにRa:1〜10μm、Wa:0.01〜0.10μmかつPPI:300〜2000を満たすことに加えて、ロール表面の凹凸が規則的で均一であること、すなわち、同一形状の溝や窪みあるいは突起が、間隔をあけずに連続してまたは同一間隔で、所定の方向例えばロール軸方向および/またはロール円周方向に配列していることが好ましい。なお、ここでいう同一形状や、同一間隔は、必ずしも厳密に同一な形状や間隔でなくてもよい。例えば溝の幅や深さ、窪みの径や深さ、突起の径や高さが、それぞれ目標値との誤差で±10%以内である溝同士、窪み同士、突起同士はそれぞれ同一形状であるとみなしてもよい。このように本発明の圧延用ロールのロール表面の所定の凹凸が規則的で均一であるようにすることで、該圧延用ロールを用いた冷間圧延によって鋼板の表面に規則的で均一な凹凸を付与することができ、非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性を鋼板全体に亘って均一に付与することができる。特に、本発明の圧延用ロールを用いて、調質圧延前の表面処理鋼板を調質圧延すると、調質圧延後の表面処理鋼板の全体に亘って、非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性を均一に付与することができる。なお、冷間圧延用とした本発明の圧延用ロールを、以下、「本発明の冷間圧延用ロール」という場合があり、調質圧延用とした本発明の圧延用ロールを、以下、「本発明の調質圧延用ロール」という場合がある。
本発明においては、超短パルスレーザ加工で表面に凹凸を付与することにより、ロール表面上に、加工時に発生する残骸や熱で溶けて再凝固した変質部分を実質的に存在しないようにできるため、Ra:1〜10μm、Wa:0.01〜0.10μmかつPPI:300〜2000という微細な凹凸であっても、規則的で均一な凹凸パターンにすることができる。
本発明の圧延用ロールの表面の凹凸パターンの具体例について以下に説明する。
上記具体例に係る本発明の圧延用ロールは、ロール表面(外周面)に、複数の突起が所定の間隔で設けられている。
具体的には例えば、上記具体例に係る本発明の圧延用ロールのロール表面には、微細な所定の凹凸を形成する半球状の突起が複数設けられていてよい。ロール表面に、半球状の突起が複数設けられている圧延用ロールを、図2を用いて説明する。図2は、圧延用ロールの表面形状の例を示す拡大平面図および拡大断面図であり、図2(a)は図1の圧延用ロールの外周面の拡大平面図であり、図2(b)は図2(a)のC−C断面図である。
図2に示されるように、円筒状の圧延用ロール10のロール表面(外周面11)には、複数の突起12が、ロール表面全体に設けられている。該複数の突起12は、半球状であり、直径yがy=10〜40μm、好ましくはy=10〜20μmであり、突起12の間隔zがz=5〜20μmとなるように設けられている。なお、突起12の間隔zは、隣り合う突起同士の最短距離である。
このように、表面(外周面)に、直径y=10〜40μm、好ましくはy=10〜20μmの半球状の複数の突起が間隔5〜20μmで設けられている圧延用ロールとすることにより、プレス成形時の潤滑油の保油性や摩耗粉の堆積に対する抵抗性を向上することができ、また、等方性を高くすることができる。また、このように、所定の直径y=10〜40μm、好ましくはy=10〜20μmの半球状の突起が所定の間隔z=5〜20μmで並んだ構造であるため、規則的で均一な凹凸を表面に有する圧延用ロールとなり、この圧延用ロールを用いた冷間圧延によって、あるいはこの圧延用ロールを用いた調質圧延によって、鋼板(表面処理鋼板も含む)の表面に規則的で均一な凹凸を付与することができる。ここで、図2のようなロール表面において、突起12の領域が凹凸パターンの凸部になり、突起12以外の領域が前記凹凸パターンの凹部になるのであるが、このような凹凸パターンは、超短パルスレーザ加工による加工条件(被加工面内の局所ごとに変更する超短パルスレーザの照射条件)を、被加工材である円筒状のロール素材の材料表層部から、凹部にする部分が除去され凸部にする部分のみが残るような条件範囲内に収まるように調整することによって実現できる。
なお、上記半球状の突起は、高さが球の半径未満である球欠状の突起を含む。また、上記具体例では、突起が半球状の突起である場合について述べたが、突起の形状は半球状に限定されず、例えば、円錐状の突起でもよい。
また、本発明の圧延用ロールは、冷間圧延用ロールおよび調質圧延用ロールも含めて、ロール基材と該ロール基材を被覆した皮膜層とからなり、該皮膜層は、ロール基材よりも硬度が高い表面を有する硬質皮膜層であることを特徴とする圧延用ロールとしてもよい。前記硬質皮膜層がない場合の本発明の圧延用ロールを用いて行われる表面処理鋼板の調質圧延時に、圧延距離が長くなるにつれて、ロールの表面が摩耗し上記所定の凹凸の範囲を維持できなくなり、その結果、所望の凹凸パターンを表面処理鋼板へ付与できない場合がある。しかしながら、ロール基材の表面に硬質皮膜層を有する圧延用ロールとすることにより、ロールの摩耗を抑制することができる。硬質皮膜層の硬さは、例えば、ビッカース硬度で1000HV以上7000HV以下である。硬質皮膜層の形成材料の具体例としては、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCともいう。)等が挙げられる。硬質皮膜層の厚さは、例えば1〜3μmである。硬質皮膜層の厚さが1〜3μmであれば、圧延用ロールのロール基材に設けた上記所定の凹凸に対して十分に厚みが薄いため、硬質皮膜層の形成により上記所定の凹凸は目つぶれすることなく、この所定の凹凸を冷間圧延用ロールのロール表面に維持できる。具体的には、例えば、ロール基材の表面の硬度は冷間工具鋼のショア硬度90Hs(ビッカース硬度820HV)程度が一般的であるが、ロール基材の表面に膜厚1〜3μm程度のDLCの硬質皮膜層を設けておけば、テクスチャ面はビッカース硬度1000HV〜7000HVの硬質皮膜層で覆われるため、圧延距離が長くなることによる摩耗の可能性は無い。なお、ビッカース硬度は、ビッカース硬度計を用いて試験力=0.5〜10Nの条件で測定することができる。
このような本発明の圧延用ロールは、上述したように、超短パルスレーザ加工でロール表面に所定の凹凸を付与することにより製造することができる。すなわち、本発明の圧延用ロールの製造方法は、円筒状のロール素材をなすロール基材の表面に、パルス幅が100フェムト秒〜10ピコ秒の超短パルスレーザを照射する工程を有することを特徴とする。この100フェムト秒〜10ピコ秒のパルス幅範囲は、前記ロール基材の表面に前記所定の凹凸を付与するのに好適なパルス幅範囲である。また、ロール基材の表面に硬質皮膜層を有する圧延用ロールを製造する場合は、ロール基材の表面に超短パルスレーザを照射する工程の後に、気相成長法等により硬質皮膜層をロール基材の表面に形成すればよい。
上記本発明の圧延用ロールは調質圧延用ロールとして表面処理鋼板の調質圧延に好適に用いることができる。すなわち、本発明の表面処理鋼板の調質圧延による製造方法(以下単に「本発明の調質圧延方法」とも称する。)は、本発明の調質圧延用ロールを用いて、表面処理鋼板に対して伸長率0.1〜2.0%の調質圧延を行うことを特徴とする。
調質圧延とは、硬度調整などを目的として鋼板に施される伸長率の小さい冷間圧延である。調質圧延の伸長率は例えば0.1〜2.0%である。
そして、本発明の調質圧延方法では、表面処理鋼板を調質圧延の対象とする。表面処理鋼板とは、前述のとおり、防食性を高めるために表面にめっき処理等を施した鋼板であり、具体例としては亜鉛めっき鋼板、錫めっき鋼板、アルミめっき鋼板、および複数金属による合金めっき鋼板等を挙げることができる。
このようなめっき等の表面処理が施された表面処理鋼板を、本発明の調質圧延用ロールを用いて調質圧延する。具体的には、例えば、調質圧延機の一例を示す模式図である図3に示すように、表面処理鋼板101を、スプレーノズル102aおよび102bから潤滑油を塗布しウェット状態とした後に、もしくは、潤滑油を塗布せずにドライ状態として、調質圧延機に供給し、上下一対のワークロール103aおよび103bによって挟圧することで、伸長率0.1〜2.0%の調質圧延を施す。なお、図3の直線状左向きの矢印は表面処理鋼板101の通板方向である。そして、本発明の調質圧延方法においては、ワークロール103aおよび103bとして、上記本発明の調質圧延用ロール(例えば図1の圧延用ロール10からなる。)を用いる。本発明の調質圧延用ロールは、ロールの表面(外周面11)に本発明による所定の凹凸を有するため、調質圧延時に、該調質圧延用ロールの所定の凹凸に応じた凹凸を表面処理鋼板に付与(転写)することができ、調質圧延後の表面処理鋼板を非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを兼ね備えたものとすることができる。
ここで、調質圧延後の表面処理鋼板は、前記[9]に記載のとおり、鋼板の表面のRa、Wa、PPIがそれぞれ、Ra:0.5〜10μm、Wa:0.01〜0.6μm、PPI:300〜2000であることを特徴としている。また、この特徴を有する表面処理鋼板は、好ましくは、例えば、前記[10]に記載のとおり、鋼板の表面に間隔5〜20μmで配列した直径10〜40μmの半球状の複数の窪み(前記[2]に記載の「突起」に対応する窪み)を有することを特徴としている。なお、該半球状の窪みは、深さが球の半径未満である球欠状の窪みを含む。調質圧延後の表面処理鋼板は、プレス成形や塗装等を施されて、自動車用の外板や電化製品等として使用される。
なお、上記では、本発明の圧延用ロールを本発明の調質圧延用ロールとして、表面処理鋼板の調質圧延に用いた例について記載したが、本発明の調質圧延用ロールは、後述するその他の調質圧延に用いてもよい。ここで、その他の調質圧延としては、例えば、表面処理が施されていない鋼板の調質圧延が挙げられる。
また、本発明の圧延用ロールは、冷間圧延用ロールとして、冷延鋼板の冷間圧延にも好適に用いることもできる。
すなわち、本発明の冷延鋼板の冷間圧延による製造方法(以下単に「本発明の冷間圧延方法」とも称する。)は、前記[11]に記載のとおり、本発明の冷間圧延用ロールを用いて、鋼板に対して圧下率5〜30%の冷間圧延を行うことを特徴とする。
本発明の冷間圧延方法は、複数の圧延スタンドを有するタンデム式冷間圧延機において、最終スタンドの冷間圧延機の冷間圧延用ロールの表面(外周面11)に本発明による所定の凹凸を有するため、冷間圧延時に、該冷間圧延用ロールの所定の凹凸に応じた凹凸を冷延鋼板に付与(転写)することができ、冷間圧延後の冷延鋼板を非常に優れたプレス成形性と良好な塗装後鮮映性とを兼ね備えたものとすることができる。
ここで、冷間圧延後の冷延鋼板は、前記[13]に記載のとおり、表面に、間隔5〜20μmで配列した直径10〜40μmの半球状の複数の窪みを有し、かつ、前記[12]に記載のとおり、該表面の算術平均粗さRa、算術平均うねりWa、1インチ当たりのピーク数PPIがそれぞれ、Ra:0.5〜5μm、Wa:0.01〜1μm、PPI:300〜2000であることが好ましい。冷間圧延後の冷延鋼板は、プレス成形や塗装等を施されて、自動車用の部材や電化製品等として使用される。
以下に、本発明の更なる理解のために実施例を用いて説明するが、実施例はなんら本発明を限定するものではない。
[実施例1]
実施例1では、図3に示すような実験用の圧延機で調質圧延を行なった。圧延対象材として、冷延鋼板を溶融亜鉛めっき処理した後の状態であって調質圧延が施されていない表面処理鋼板を用いた。また、調質圧延用ロールとしてのワークロール103a、103bは、直径が500mmで、材質が冷間工具鋼SUJ2(JIS G4805)の円筒状のロール外周面に、テクスチャの形式を異ならせた凹凸を付与する加工を行なったものを用いた。具体的には、比較例1ではショットブラストでロール外周面全体に凹凸を付与したロール、比較例2では放電加工でロール外周面全体に凹凸を付与したロールを、調質圧延用ロールとして用いた。また、本発明の実施例である本発明例1では、パルス幅180〜190fsの超短パルスレーザ加工で、ロール外周面に、直径y=40μmの半球状の突起を間隔z=20μmでロール外周面全体に設けた圧延用ロールを、調質圧延用ロールとして用いた。各調質圧延用ロールについて、Ra、PPI、Waを、上述の測定方法でそれぞれ測定した。半球状の突起を設けた本発明例1ではPPIは突起を通る方向(図2のC−C線の延在方向)に測定した。結果を表1に示す。なお、調質圧延機の直前では、鋼板の表裏面に潤滑用水を噴霧し、調質圧延機で伸長率1%の調質圧延を行った。
また、調質圧延後の表面処理鋼板のRa、PPI、Waを、上述の測定方法でそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明例1の圧延用ロールは、Raが1〜10μm、Waが0.01〜0.10μmかつPPIが300〜2000であった。具体的には、本発明例1では、Raが3.68μm、Waが0.06μm、PPIが610であった。また、本発明例1の凹凸分布は規則的で均一であった。
一方、表1に示すように、ショットブラストの比較例1ではRaが1.76μm、Waが0.98μm、PPIが229であり、放電加工の比較例2ではRaが1.79μm、Waが1.06μm、PPIが203であった。また、比較例1および比較例2の凹凸分布はランダムで不規則であった。
そして、調質圧延した後の表面処理鋼板は、本発明例1では、Raが2.67μm、Waが0.56μm、PPIが610であった。また、本発明例1の表面処理鋼板の凹凸分布は、規則的で均一であった。
さらに、調質圧延後の表面処理鋼板のプレス成形性の評価として摺動試験を図4に示すような試験機で試験した。摺動試験は、曲率半径RがR=20mmの上下押付片40a、40bに押付力Pを加え、幅20mm、長さ300mmの試験片41を矢印方向に引抜き、そのときの引抜力Dを測定するものである。試験片の引抜き速度は100mm/sec、移動距離は80mm、面圧は300MPaである。40℃における粘度が16.3cStのプレス油を試験片に塗布して引抜きを行った。摩擦係数μをμ=引抜力D/(2×押付力P)によって求めた。結果を図5に示す。図5に示すとおり、比較例1では摩擦係数0.16であり、比較例2では摩擦係数0.15であり、本発明例1では摩擦係数0.11であった。
塗装後鮮映性試験は、調質圧延後の表面処理鋼板に、リン酸塩処理、電着塗装(20μm)、中塗り塗装(35μm)、上塗り塗装(35μm)、クリアー塗装(25μm)を順に施して作製した塗装板を用い、スガ試験機(株)製の「写像鮮明度測定装置NSIC型」を使用して測定したNSIC値で評価した。その結果を図6に示す。なお、NSIC値は黒板研磨ガラスを100とし、その値が100に近いほど良好な鮮映性となる。図6に示すとおり、比較例1ではNSIC値が28であり、比較例2ではNSIC値が45であり、本発明例1ではNSIC値が75であった。
このように、本発明例1は、比較例1,2に対し、PPIが顕著に大きいことから、プレス成形性については非常に優れていることが分かる。また、本発明例1はWaが顕著に小さいことから、塗装後鮮映性についても非常に優れていることが分かる。したがって、本発明例1は、非常に優れたプレス成形性と塗装後鮮映性の向上を両立可能となったと言える。
また、本発明例1と同様にして作成した各調質圧延用ロールのロール基材表面に、DLCからなる硬質皮膜層(以下、「DLC硬質皮膜層」という。)を生成させて得られたロールを調質圧延用ロールとして用いて、圧延距離3kmの実操業試験を実施したところ、DLC硬質皮膜層により、ロール表面の凹凸は摩耗せずに、調質圧延前の凹凸を維持していることが確認された。一方、本発明例1のDLC硬質皮膜層を有さない調質圧延用ロールを用いて、圧延距離1kmの実操業試験を実施したところ、調質圧延に問題がない程度ではあるが、圧延距離1km付近で凹凸の初期摩耗が生じた。
Figure 2019155474
[実施例2]
実施例2では、実験用の冷間圧延機(図示せず)で圧下率20%の冷間圧延を行なった。圧延対象材として、鋼板表面の算術平均粗さRaが0.1μmの冷延鋼板を用い、本発明例2、比較例3、比較例4の計3例の圧延を行なった。ここで、本発明例2、比較例3、比較例4では、それぞれ、本発明例1、比較例1、比較例2の圧延用ロールを、冷間圧延用ロールとして前記実験用の冷間圧延機(図示せず)のワークロールに充当した。
本発明例2、比較例3、比較例4の各冷間圧延後の冷延鋼板のRa、PPI、Waを、実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
表2に示すように、本発明例2の冷延鋼板は、比較例3,4の冷延鋼板と比べて、PPIが顕著に大きく、かつ、Waが顕著に小さいことがわかる。よって、PPIが顕著に大きいがゆえに本発明例1と同様、プレス成形性に非常に優れ、かつ、Waが顕著に小さいがゆえに本発明例1と同様、塗装後鮮映性に非常に優れる。
実施例1と同様の摺動試験により、摩擦係数μを求めた。その結果、図7に示すとおり、比較例3、比較例4ではそれぞれ0.21、0.20であったのに対し、本発明例2では、より低い0.13であり、プレス成形性に優れた冷延鋼板であることが分かった。
また、実施例1と同様の塗装後鮮映性試験によって、NSIC値を測定した。その結果、図8に示すとおり、比較例3、比較例4ではそれぞれ22、34であったのに対し、本発明例2では、格段に高い67であり、塗装後鮮鋭性に優れた冷延鋼板であることが分かった。
Figure 2019155474
10 圧延用ロール
11 外周面
12 突起
40a、40b 押付片(aは上、bは下)
41 試験片
101 表面処理鋼板
102a、102b スプレーノズル(aは上、bは下)
103a、103b ワークロール(aは上、bは下)

Claims (10)

  1. 圧延用ロールであって、該ロールの表面に、間隔5〜20μmで配列した直径10〜40μmの半球状の複数の突起を有し、該ロールの表面の算術平均粗さRa、算術平均うねりWa、および1インチ当たりのピーク数PPIがそれぞれ、Ra:1〜10μm、Wa:0.01〜0.10μm、およびPPI:300〜2000であることを特徴とする圧延用ロール。
  2. 前記ロールが、ロール基材と該ロール基材を被覆した皮膜層とからなり、該皮膜層は、前記ロール基材よりも硬度が高い表面を有することを特徴とする請求項1に記載の圧延用ロール。
  3. 前記皮膜層がダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする請求項2に記載の圧延用ロール。
  4. 前記ロールが、冷間圧延用ロールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧延用ロール。
  5. 前記ロールが、調質圧延用ロールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧延用ロール。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧延用ロールを製造する方法であって、円筒状のロール素材の表面に、パルス幅が100フェムト秒〜10ピコ秒の超短パルスレーザを照射する工程を有することを特徴とする圧延用ロールの製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧延用ロールを用いて、表面処理鋼板に対して伸長率0.1〜2.0%の調質圧延を行うことを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
  8. 調質圧延を施された表面処理鋼板であって、該鋼板の表面に、間隔5〜20μmで配列した直径10〜40μmの半球状の複数の窪みを有し、該鋼板の表面の算術平均粗さRa、算術平均うねりWa、1インチ当たりのピーク数PPIがそれぞれ、Ra:0.5〜10μm、Wa:0.01〜0.6μm、PPI:300〜2000であることを特徴とする表面処理鋼板。
  9. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧延用ロールを用いて、鋼板に対して圧下率5〜30%の冷間圧延を行うことを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
  10. 表面に、間隔5〜20μmで配列した直径10〜40μmの半球状の複数の窪みを有し、該表面の算術平均粗さRa、算術平均うねりWa、1インチ当たりのピーク数PPIがそれぞれ、Ra:0.5〜5μm、Wa:0.01〜1μm、PPI:300〜2000であることを特徴とする冷延鋼板。
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