JP2019154331A - 人工血島 - Google Patents

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Hiroshi Ishikawa
博 石川
順子 豊村
Junko Toyomura
順子 豊村
晃弘 大山
Akihiro Oyama
晃弘 大山
美穂 渡邊
Yoshio Watanabe
美穂 渡邊
寛樹 武川
Hiroki Takekawa
寛樹 武川
美隆 渡邊
Yoshitaka Watanabe
美隆 渡邊
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Abstract

【課題】組織の修復等において適切に利用可能な、血管網を有する人工組織、及び製造方法の提供。【解決手段】血管内皮細胞を含み、血管内皮細胞が塊状混合物の表面に接着している、足場材料を含む塊状混合物を含む人工血島、人工血島が適用された細胞シート、細胞シートの積層体、及び人工細胞ビーズと人工血島を含む組成物、並びに人工細胞ビーズと人工血島を培養し、細胞シート上または組成物中に血管網を形成させる工程、を含む血管網を有する人工組織の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、人工的に製造された血島、および、当該人工血島を用いた血管網を有する人工組織の製造方法に関する。
生体内の臓器は、高密度な細胞の三次元的な集合体である。その内部には、三次元的な(毛細)血管網が張り巡らされており、この血管網を介した、ガス交換、栄養供給、老廃物の代謝等により、臓器は、高密度な細胞集団であるにも関わらず、維持され、かつ機能している。そのため、再生医療の分野においては、組織の修復等において利用可能な、血管網を有する人工組織の製造方法が求められている。
これまでに、生体内損傷部位の再生のために、細胞シートを積層化(多層化)して移植させる技術が報告されている。非特許文献1は、心筋組織の損傷部位の治療において、外科的にアクセスが可能な血管の近くに、3層以上の心筋細胞シートの積層を行っても、再生される心筋組織の厚みは変化しなかったことを報告する一方で、前記血管の近くに、第1の1層の心筋細胞シートを移植し、前記血管が当該細胞シート内へ侵入して十分な血管系が形成される期間を待ってから、第2の1層の細胞シートを第1の細胞シート上に移植するといった態様で、血管新生の期間を置きながら、細胞シートの積層を複数回行うことにより、従来よりも厚い心筋組織を構築することができたことを報告している。しかしながら、当該文献の技術では、損傷組織の回復に、複数回の手術が必要となり、実用性に乏しい。
非特許文献2は、移植した心筋細胞の層状シート内の血管新生を促進するために、内皮細胞を混入させた心筋細胞シートを作製したところ、当該細胞シート内で内皮細胞のネットワークの形成が認められたこと、当該細胞シートを移植することで、心筋細胞のみの細胞シートと比較して、心筋組織の再生が促進されたことを報告している。しかしながら、当該文献の技術では、細胞シートという、平面(2次元的な)構造のシートを用いた、2次元的な血管網構築に留まり、血管網を有する人工組織の効率的な提供には至っていない。
また、非特許文献3は、心筋細胞シートを、ラットから切除した大動脈外周に巻きつけることで、三次元的な管状の心筋組織をin vitroで構築し、次いで、異なるラット個体の大動脈との置換移植を行ったところ、ホスト心臓の自律拍動とは異なる、移植心筋組織独自の自律拍動が確認できたことを報告している。しかしながら、当該文献の技術は、単に、既存の生体血管に臓器機能の一部を付与することを意図したものであり、血管網を有する人工組織を構築する技術ではない。
非特許文献4は、ヒト間葉系幹細胞(hMSC)とヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)をコラーゲンゲルに混入させ、次いで、hMSC‐HUVEC混入コラーゲンゲルを、重症複合型免疫不全症(SCID)マウスの頭蓋冠に移植したところ、hMSCとHUVECに由来する血管が、長期間、in vivoで安定し、かつ、機能的であったことを報告している。しかしながら、当該文献の技術では、レシピエント(移植を受ける対象)由来の様々な細胞(例えば、間葉系細胞等)が、移植部分の周辺組織から混入する。また、周辺組織からの血管誘導を制御していないので、あらゆる所から新生血管が移植細胞中に侵入する。したがって、当該文献の技術を用いても、形成される血管網を摘出および移植することはできない。
Shimizu et al.: The FASEB Journal 2006, pp. 1‐20 Sekine et al.: Circulation 2008, 118 [suppl 1], pp. S145‐S152 Sekine et al.: Circulation 2006, 114 [suppl 1]: pp. I−87‐I−93 Patrick Au et al.: Blood, 2008 111: pp. 4551−4558
本発明は、組織の修復等において適切に利用可能な、血管網を有する人工組織、および、その製造方法を提供することを課題とした。
本発明者らは、上記の課題について鋭意検討を行ったところ、生体において血管形成の基礎となる「血島」様の構造を人工的に作製し、これを用いることで血管網を有する人工組織を製造し得ることを見出し、本発明を完成させるに到った。
すなわち本発明は、足場材料を含む塊状混合物を含む、人工血島であって、
前記人工血島は、血管内皮細胞を含み、
前記血管内皮細胞は、前記塊状混合物の表面に接着していることを特徴とする、
人工血島に関する。
本発明の一実施形態においては、前記人工血島は、組織の血管形成において使用されることを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、前記塊状混合物は、血球成分をさらに含むことを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、前記血球成分は、赤血球であることを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、前記塊状混合物は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を含むことを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、前記血管内皮細胞増殖因子は、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、PlGF−1、および、PlGF−2からなる群から選択される1または2以上の因子であることを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、前記塊状混合物は、上皮成長因子(EGF)、および/または、肝細胞増殖因子(HGF)をさらに含むことを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、前記足場材料が、コラーゲン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、および、ゼラチンからなる群から選択される1または2以上の材料を含むことを特徴とする。
本発明の他の実施形態は、1または2以上の種類の細胞を含む細胞シートに関し、前記細胞シート上には、前記の複数の人工血島が適用されていることを特徴とする。
本発明の他の実施形態は、複数の細胞シートの積層体に関し、積層された前記細胞シートの1層または2以上の層が、前記の人工血島が適用された細胞シートであることを特徴とする。
本発明の他の実施形態は、人工細胞ビーズと、前記の人工血島とを含む組成物に関し、前記人工細胞ビーズは、足場材料を含む塊状混合物、および、1または2以上の種類の細胞を含み、前記1または2以上の種類の細胞は、前記塊状混合物の表面に接着していることを特徴とする。
本発明の他の実施態様は、血管網を有する人工組織の製造方法に関し、前記方法は、前記の本発明の一態様の細胞シート、前記の本発明の一態様の積層体、または、前記の本発明の一態様の組成物を培養し、前記細胞シート上または前記組成物中に血管網を形成させる工程、を含むことを特徴とする。
本発明の一実施態様においては、前記人工組織が人工骨組織であり、前記細胞シートが、骨芽細胞を含む1または2以上の種類の細胞を含む、骨芽細胞シートである、および/または、前記人工細胞ビーズが、骨芽細胞を含む1または2以上の種類の細胞を含む、骨芽細胞ビーズであることを特徴とする。
本発明の一実施態様においては、前記人工組織が人工神経組織であり、前記細胞シートが、神経細胞を含む1または2以上の種類の細胞を含む、神経細胞シートである、および/または、前記人工細胞ビーズが、神経細胞を含む1または2以上の種類の細胞を含む、神経細胞ビーズであることを特徴とする。
本発明の他の実施形態は、上記のいずれかの方法で製造される、血管網を有する人工組織に関する。
本発明の一実施形態においては、前記人工組織が、血管網を有する人工骨組織であることを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、前記人工組織が、骨疾患の治療において使用されることを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、前記骨疾患が、骨欠損または骨変性であることを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、前記人工組織が、血管網を有する人工神経組織であることを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、前記人工組織が、神経疾患の治療において使用されることを特徴とする。
本発明の一実施形態においては、前記神経疾患が、脳梗塞、脳軟化症、脳挫傷、脊髄損傷、外傷性の神経損傷、手術による神経損傷、神経の壊死、および、パーキンソン病からなる群から選択されることを特徴とする。
なお、上記に挙げた本発明の一または複数の特徴を任意に組み合わせた発明も本発明の範囲に含まれる。
図1は、本発明の一実施形態である人工血島の製造例を示す。 図2は、本発明の人工血島と骨芽細胞シートを用いた、血管網を有する人工組織シートの作製方法の模式図である。 図3は、骨芽細胞シート上に形成された血管網の組織像を示す。 図4は、本発明の人工血島、骨芽細胞シート、骨芽細胞ビーズを用いて、緻密骨様組織、および/または、海綿骨様組織を製造する方法の模式図である。
ヒトにおける循環器系の発生は、発生第3週の中ごろ、FGF2の誘導により中胚葉の細胞が凝集し、卵黄嚢壁を囲む胚外中胚葉中に血島と呼ばれる特殊な細胞塊が出現することからはじまる。血島はさらに臓側中胚葉などにも出現する。血島を構成する細胞は血管芽細胞と呼ばれる。VEGF(血管内皮増殖因子)の誘導により、血管芽細胞は内皮細胞に分化する。その後、VEGFの誘導によって血島の中心部にある細胞は造血幹細胞、つまりすべての血球のもととなる細胞となり、また血島の辺縁の細胞は扁平化して血管の前駆細胞となり、これらにより原始的な血管系が形成されるのである。
図1に、本発明の「人工血島」の代表的な構造例を示す。本発明の「人工血島」は、生体の血島の構造を模して作製される人工の構造物であり、複数の人工血島を集合させて灌流培養することにより、人工血島どうしが融合して毛細血管用構造を形成する性質を有するものである。図1に示されるように、本発明の人工血島は、足場材料を含む塊状混合物、および、血管内皮細胞を含み、前記血管内皮細胞が前記塊状混合物の表面に接着している構造を有する。
本発明の人工血島の製造に使用される血管内皮細胞は、生体の組織から採取した血管内皮細胞であってよく、幹細胞(例えば、iPS細胞、ES細胞、各種組織幹細胞)から誘導された血管内皮細胞であってもよい。生体の組織から血管内皮細胞を採取する方法は限定されず、血管内皮細胞を含む様々な組織から、当業者が本分野において公知の方法で血管内皮細胞を採取してよい。また、各種幹細胞から血管内皮細胞を誘導する方法も限定されず、当業者が本分野において公知の方法を用いてよい。
本発明の人工血島の製造に使用される足場材料は、その材料上あるいは材料内で細胞と材料が接することにより、細胞の接着、増殖、分化、活性化、移動、遊走、形態変化など様々な細胞機能を発現、促進されるような材料全般を指す。本発明に使用可能な具体的な足場材料としては、コラーゲン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ゼラチンを挙げることができるが、特にコラーゲン(例えば、I型コラーゲンゲル、II型コラーゲンゲル、III型コラーゲンゲル、IV型コラーゲンゲル、マトリゲル、アテロコラーゲン)を好適に用いることができる。本発明の人工血島を生体へ適用するための人工組織の作製に使用する場合には、生体への抗原性が低減されたコラーゲンであるアテロコラーゲンを用いることが特に好ましい。
本発明の人工血島の製造方法は特定の方法に限定されないが、代表的には、まず足場材料と細胞培養液を混合してビーズ状の塊状混合物を作製し、非接着性のシャーレ内で当該塊状混合物と単一化された血管内皮細胞とを培養することにより、当該塊状混合物の表面に血管内皮細胞を接着させることができる。塊状混合物の作製に使用する細胞培養液の種類は限定されず、本分野において一般的に使用される細胞培養液(例えば、BME培地、BGJb培地、Glasgow MEM培地、Improved MEM Zinc Option培地、IMDM培地、Eagle MEM培地、αMEM培地、DMEM培地、advanced DMEM/F12培地、ハム培地、Ham’s F−12培地)を用いてよい。
本発明の人工血島の製造に使用される、足場材料を含む塊状混合物は、血球成分をさらに含んでよい。本発明の人工血島に血球成分を含むことにより、当該血球成分から血管内皮細胞へ酸素や各種因子が供給され、細胞の成長が促され得る。本発明の人工血島を用いて製造する人工組織のレシピエント自身の血液の血球成分を用いる場合には、血球成分は、赤血球をはじめとする様々な成分を含んでよい。本発明の人工血島を用いて製造する人工組織のレシピエント以外の血球成分を用いる場合には、移植後の拒絶反応を回避するため、核のない赤血球のみを分離して用いることが好ましい。
本発明の人工血島の製造に使用される、足場材料を含む塊状混合物は、血管の形成に関係する生体因子をさらに含んでいてよい。例えば、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)をさらに含むことにより、血管内皮細胞の成長促進が期待できる。本発明に使用し得る具体的なVEGFとしては、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、PlGF−1、PlGF−2を挙げることができる。
本発明の人工血島の製造に使用してよい他の生体因子としては、例えば、細胞の増殖を促進しうる、上皮成長因子(EGF)や肝細胞増殖因子(HGF)を挙げることができる。
本発明は、一実施形態において、1または2以上の種類の細胞を含む細胞シート上に人工血島が適用された組成物に関し、当該組成物は、血管網を有する人工組織の製造のための中間体となる。
また、本発明は、一実施形態において、(1)1または2以上の種類の細胞を、足場材料を含む塊状混合物の表面に接着させた人工細胞ビーズと、(2)人工血島とを含む、組成物に関する。当該組成物も、血管網を有する人工組織の製造のための中間体となる。
本発明に用い得る人工細胞ビーズの製造方法は限定されないが、例えば、人工血島の製造方法と同様の要領で、まず足場材料と細胞培養液を混合してビーズ状の塊状混合物を作製し、非接着性のシャーレ内で当該塊状混合物と単一化された所望の細胞(例えば、骨芽細胞や神経細胞)とを培養することにより、当該塊状混合物の表面に所望の細胞が接着した細胞ビーズを製造することができる。
本発明に用い得る細胞シートの製造方法は限定されないが、例えば、細胞接着性のシャーレで細胞をコンフルエントになるまで培養し、シート状となった細胞をシャーレから剥離することによって細胞シートを製造することができる。また、上述の方法によって作製された複数の人工細胞ビーズを静置培養することによっても、細胞シートを製造することができる。
上記の本発明の細胞シートを含む組成物、および/または、本発明の人工細胞ビーズを含む組成物を、単独で、あるいは組み合わせて灌流培養することにより、血管網を有する人工組織を製造することができる。
本発明の細胞シート、および、人工細胞ビーズに用いる細胞の種類は、製造目的とする人工組織の種類によって適宜変更し得る。例えば、製造目的とする人工組織の種類が骨組織であれば、骨組織を構成する細胞(例えば、骨芽細胞)を主に用いて細胞シート、および/または、人工細胞ビーズを作製してよく、製造目的とする人工組織の種類が神経組織であれば、神経組織を構成する細胞(例えば、神経細胞)を主に用いて細胞シート、および/または、人工細胞ビーズを作製してよい。
本発明を用いて人工骨組織を製造する場合、当該人工骨組織は、骨疾疾患の治療に用いることができる。本発明の人工骨組織を用いて治療可能な疾患としては、例えば、骨欠損、骨変性を挙げることができる。
本発明を用いて人工神経組織を製造する場合、当該人工神経組織は、神経疾患の治療に用いることができる。本発明の人工神経組織を用いて治療可能な疾患としては、例えば、脳梗塞、脳軟化症、脳挫傷、脊髄損傷、外傷性の神経損傷、手術による神経損傷、神経の壊死、パーキンソン病を挙げることができる。
本発明を利用する疾患の治療は、どのような動物に対しても用いることができるが、例えば、哺乳動物(マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、サル、ヒト等)であってよい。なお、好ましくない場合は、ヒトを対象から除くことができる。
本明細書において用いられる用語は、特に定義されたものを除き、特定の実施態様を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
以下において、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明はいろいろな態様により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
実施例1:人工血島の作製方法
以下の手順により、本発明に係る人工血島を作製した。
血管内皮細胞の分離
治療により抜去された智歯から歯髄を取り出し、細切後、コラーゲナーゼ・ディスパーゼ溶液を添加し、37℃で30分間処理した。細胞をシャーレに播種し同種の細胞が集まる性質を利用して、colonial cloning法を用いて血管内皮細胞を分離し、培養液にて静置培養を行った。
人工血島の作製
コラーゲン溶液I−PC 5mg/mL(高研社製) 0.9mLに、10倍濃度に調製した培養液(DMEM/F12 10%FBS)を0.1mLとVEGFを500ng添加して室温にて混合した。別途血液から分離した血球成分を前述のコラーゲン溶液に入れ、混合した。60mmシャーレに3mLのミネラルオイル(シグマアルドリッチ社製)を入れ、37℃に暖めたヒートブロック上に置き、ピペットを用いてコラーゲン溶液をミネラルオイル中に1μLずつ滴下し、ビーズを作製した。ビーズが固まった後に、パスツールピペットを用いて回収し、Hanks’溶液に添加し、撹拌してビーズからオイルを取り除いた。ビーズをパスツールピペットにて回収し、培養液のはいった細胞非接着性のシャーレに添加した。そのシャーレに前記分離された血管内皮細胞を添加し、COインキュベータ内に設置した回転撹拌装置でシャーレを一晩撹拌培養した。翌日、ビーズの表面に血管内皮細胞が接着した人工血島(模擬血島)を回収した。
実施例2:血管網を有する人工組織シートの作製
本発明の人工血島を用いて、以下の手順により、血管網を有する人工組織シートを作製した。
誘導骨芽細胞の作製
抜去歯から取り出した歯髄を細切して培養を行い、歯髄幹細胞を得た。その歯髄幹細胞を0.1mM アスコルビン酸、10mM β−グリセロホスフェイト、10nM デキサメサゾンが含まれる培養液で1ヶ月間培養して、分化誘導骨芽細胞を得た。
骨芽細胞シートの作製
誘導骨芽細胞を培養液のはいった細胞接着性のシャーレに添加し、培養する。数日間培養して、細胞がコンフルエントになった時にシャーレの縁からピンセット等を用いて細胞をはがすと、細胞がシート状にはがれるので、これを骨芽細胞シートとした。なお、細胞接着性のシャーレは温度感受性シャーレを用いてもよい。
骨芽細胞ビーズの作製
コラーゲン溶液I−PC 5mg/mL(高研社製) 0.9mLに、10倍濃度に調製した培養液0.1mLを室温にて混合した。60mmシャーレに3mLのミネラルオイルを入れ、37℃に暖めたヒートブロック上に置き、ピペットを用いてコラーゲン溶液をミネラルオイル中に1μLずつ滴下し、ビーズを作製した。ビーズが固まった後に、パスツールピペットを用いて回収し、Hanks’溶液に添加し、撹拌してビーズからオイルを取り除いた。ビーズをパスツールピペットにて回収し、培養液のはいった細胞非接着性のシャーレに添加した。そのシャーレに誘導骨芽細胞を添加し、CO2インキュベータ内に設置した回転撹拌装置でシャーレを一晩撹拌培養した。翌日、誘導骨芽細胞が接着した骨芽細胞ビーズが作製された。その後、撹拌を止めて、そのまま3時間静置培養を行うと、細胞ビーズ同士が結合した骨芽細胞シートが得られた。
血管網を有する人工組織シートの作製
骨芽細胞シートの上に、本発明の人工血島を播種し、COインキュベータ内で静置培養を行うことによって、16時間後に骨芽細胞シート上に微細血管網を観察することができた(図2)。骨芽細胞シート上に形成された血管網の組織像を図3に示す。
さらに、図4に示すように、上記方法によって作製した人工組織シートを複数層重ね、灌流培養することで、血管網を有する緻密骨様組織を製造することができた。また、上記の方法によって作製した人工血島と骨芽細胞ビーズとを混合して灌流培養することにより、血管網を有する海綿骨様組織を製造することができた(データ図示せず)。


Claims (21)

  1. 足場材料を含む塊状混合物を含む、人工血島であって、
    前記人工血島は、血管内皮細胞を含み、
    前記血管内皮細胞は、前記塊状混合物の表面に接着していることを特徴とする、
    人工血島。
  2. 請求項1に記載の人工血島であって、
    前記人工血島は、組織の血管形成において使用されることを特徴とする、
    人工血島。
  3. 請求項1または2に記載の人工血島であって、
    前記塊状混合物は、血球成分をさらに含むことを特徴とする、
    人工血島。
  4. 請求項3に記載の人工血島であって、
    前記血球成分は、赤血球であることを特徴とする、
    人工血島。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の人工血島であって、
    前記塊状混合物は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を含むことを特徴とする、
    人工血島。
  6. 請求項5に記載の人工血島であって、
    前記血管内皮細胞増殖因子は、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、PlGF−1、および、PlGF−2からなる群から選択される1または2以上の因子であることを特徴とする、
    人工血島。
  7. 請求項5または6に記載の人工血島であって、
    前記塊状混合物は、上皮成長因子(EGF)、および/または、肝細胞増殖因子(HGF)をさらに含むことを特徴とする、
    人工血島。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の人工血島であって、
    前記足場材料が、コラーゲン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、および、ゼラチンからなる群から選択される1または2以上の材料を含むことを特徴とする、
    人工血島。
  9. 1または2以上の種類の細胞を含む細胞シートであって、
    前記細胞シート上に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複数の人工血島が適用されていることを特徴とする、
    細胞シート。
  10. 複数の細胞シートの積層体であって、
    積層された前記細胞シートの1層または2以上の層が、請求項9に記載の人工血島が適用された細胞シートであることを特徴とする、
    積層体。
  11. 人工細胞ビーズと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の人工血島とを含む組成物であって、
    前記人工細胞ビーズは、足場材料を含む塊状混合物、および、1または2以上の種類の細胞を含み、
    前記1または2以上の種類の細胞は、前記塊状混合物の表面に接着していることを特徴とする、
    組成物。
  12. 血管網を有する人工組織の製造方法であって、
    請求項9に記載の細胞シート、請求項10に記載の積層体、または、請求項11に記載の組成物を培養し、前記細胞シート上または前記組成物中に血管網を形成させる工程、を含むことを特徴とする、
    方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、
    前記人工組織が人工骨組織であり、
    前記細胞シートが、骨芽細胞を含む1または2以上の種類の細胞を含む、骨芽細胞シートである、および/または、前記人工細胞ビーズが、骨芽細胞を含む1または2以上の種類の細胞を含む、骨芽細胞ビーズであることを特徴とする、
    方法。
  14. 請求項12に記載の方法であって、
    前記人工組織が人工神経組織であり、
    前記細胞シートが、神経細胞を含む1または2以上の種類の細胞を含む、神経細胞シートである、および/または、前記人工細胞ビーズが、神経細胞を含む1または2以上の種類の細胞を含む、神経細胞ビーズであることを特徴とする、
    方法。
  15. 請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法で製造される、血管網を有する人工組織。
  16. 血管網を有する人工骨組織であることを特徴とする、請求項15に記載の人工組織。
  17. 骨疾患の治療における使用のための、請求項16に記載の人工組織。
  18. 請求項17に記載の人工組織であって、
    前記骨疾患が、骨欠損または骨変性であることを特徴とする、
    人工組織。
  19. 血管網を有する人工神経組織であることを特徴とする、請求項15に記載の人工組織。
  20. 神経疾患の治療における使用のための、請求項19に記載の人工組織。
  21. 請求項20に記載の人工組織であって、
    前記神経疾患が、脳梗塞、脳軟化症、脳挫傷、脊髄損傷、外傷性の神経損傷、手術による神経損傷、神経の壊死、および、パーキンソン病からなる群から選択されることを特徴とする、
    人工組織。
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