JP2019148870A - 移動体管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】移動体と、移動体に指令を送る運行管理装置との通信を維持するための技術を提供する。【解決手段】移動体管理システム(100、200)は、各々が、誘導指令に従って移動する複数の移動体(10)と、各移動体に誘導指令を送信する運行管理装置(50)と、各移動体と無線によって接続され、かつ、運行管理装置と無線または有線によって接続されて、各移動体と運行管理装置との間の通信を中継する少なくとも1台のワイヤレスアクセスポイント(2)とを有する。各移動体は、所定のワイヤレスアクセスポイントと通信することによって通信状態を示す状態データ(32)を生成して、所定のワイヤレスアクセスポイントを介して外部に送信する。運行管理装置は、各移動体から取得した状態データを利用して、第1誘導指令が、通信の維持が困難であることを示す条件に合致する場合には、第1誘導指令を第2誘導指令に変更する。【選択図】図1

Description

本開示は、移動体管理システムに関する。
無人搬送車(無人搬送台車)および移動ロボットのように自律移動可能な移動体の開発が進められている。
タスク実行命令信号を発行して無線で移動ロボットに送信し、当該移動ロボットにタスクを実行させる技術が提案されている。特開2008−090575号公報および特開2004−260769号公報は、無線基地局と移動ロボットとの通信切断を防ぐための技術を開示する。
特開2008−090575号公報 特開2004−260769号公報
本開示は、移動体と、移動体に指令を送る運行管理装置との通信を維持するための技術を提供する。
本開示による例示的な移動体管理システムは、各々が、誘導指令に従って移動する複数の移動体と、各移動体に前記誘導指令を送信する運行管理装置と、前記各移動体と無線によって接続され、かつ、前記運行管理装置と無線または有線によって接続されて、前記各移動体と前記運行管理装置との間の通信を中継する少なくとも1台のワイヤレスアクセスポイントとを備え、前記各移動体は、所定のワイヤレスアクセスポイントと通信することによって通信状態を示す状態データを生成して、前記所定のワイヤレスアクセスポイントを介して外部に送信し、前記運行管理装置は、前記各移動体から取得した前記状態データを利用して、前記第1誘導指令が、通信の維持が困難であることを示す条件に合致する場合には、前記第1誘導指令を第2誘導指令に変更する。
本発明の例示的な実施形態にかかる移動体管理システムでは、移動体は運行管理装置から受信した誘導指令に従って移動する。運行管理装置は、各移動体から取得した通信状態を表す状態データを利用して、ある移動体への当初の誘導指令(第1誘導指令)が通信の維持が困難であることを示す条件に合致する場合には、第1誘導指令を第2誘導指令に変更して移動体に送信する。たとえば、状態データが通信状態の悪化を示している場合には、第1誘導指令を第2誘導指令に変更することにより、通信状態が悪化した第1誘導指令に従った移動を回避できる。
図1は、本開示の例示的な実施形態にかかる移動体管理システムの概要を説明するための俯瞰図である。 図2は、複数のAGVが、状態データを生成し運行管理装置に送信する様子を示す俯瞰図である。 図3は、電波環境地図の一例を示す図である。 図4は、本開示による例示的な移動体管理システムの基本構成例を示す図である。 図5は、ワイヤレスAPと通信可能に接続されたAGVを示す図である。 図6は、ワイヤレスAPと通信可能に接続されたAGVを示す図である。 図7は、運行管理装置の誘導指令の送信処理の手順を示すフローチャートである。 図8は、アクセスポイント制御装置が設けられた移動体管理システムの基本構成例を示す図である。 図9は、3台のAGVが存在する移動空間の一例を示す図である。 図10Aは接続される前のAGVおよび牽引台車を示す図である。 図10Bは、接続されたAGVおよび牽引台車を示す図である。 図11は、本実施形態にかかる例示的なAGVの外観図である。 図12Aは、AGVの第1のハードウェア構成例を示す図である。 図12Bは、AGVの第2のハードウェア構成例を示す図である。 図13Aは、センサデータを取得しながら移動するAGVを模式的に示す図である。 図13Bは、センサデータを取得しながら移動するAGVを模式的に示す図である。 図13Cは、センサデータを取得しながら移動するAGVを模式的に示す図である。 図13Dは、センサデータを取得しながら移動するAGVを模式的に示す図である。 図13Eは、センサデータを取得しながら移動するAGVを模式的に示す図である。 図13Fは、完成した地図の一部を模式的に示す図である。 図14は、4つの部分地図データM1、M2、M3、M4の組み合わせによって1つの工場の1フロアの全域がカバーされる例を示す図である。 図15は、運行管理装置のハードウェア構成例を示す図である。 図16は、運行管理装置によって決定されたAGVの移動経路の一例を模式的に示す図である。
<用語>
本開示の実施形態を説明する前に、本明細書において使用する用語の定義を説明する。
「無人搬送車」(AGV)とは、本体に人手または自動で荷物を積み込み、指示された場所まで自動走行し、人手または自動で荷卸しをする無軌道車両を意味する。「無人搬送車」は、無人牽引車および無人フォークリフトを含む。
「無人」の用語は、車両の操舵に人を必要としないことを意味しており、無人搬送車が「人(たとえば荷物の積み下ろしを行う者)」を搬送することは除外しない。
「無人牽引車」とは、人手または自動で荷物の積み込み荷卸しをする台車を牽引して、指示された場所まで自動走行する無軌道車両である。
「無人フォークリフト」とは、荷物移載用のフォークなどを上下させるマストを備え、フォークなどに荷物を自動移載し指示された場所まで自動走行し、自動荷役作業をする無軌道車両である。
「無軌道車両」とは、車輪と、車輪を回転させる電気モータまたはエンジンを備える移動体(vehicle)である。
「移動体」とは、人または荷物を載せて移動する装置であり、移動のための駆動力(traction)を発生させる車輪、二足または多足歩行装置、プロペラなどの駆動装置を備える。本開示における「移動体」の用語は、狭義の無人搬送車のみならず、モバイルロボットおよびドローンを含む。
「自動走行」は、無人搬送車が通信によって接続されるコンピュータの運行管理システムの指令に基づく走行と、無人搬送車が備える制御装置による自律的走行とを含む。自律的走行には、無人搬送車が所定の経路に沿って目的地に向かう走行のみならず、追尾目標に追従する走行も含まれる。また、無人搬送車は、一時的に作業者の指示に基づくマニュアル走行を行ってもよい。「自動走行」は、一般には「ガイド式」の走行および「ガイドレス式」の走行の両方を含むが、本開示では「ガイドレス式」の走行を意味する。
「ガイド式」とは、誘導体を連続的または断続的に設置し、誘導体を利用して無人搬送車を誘導する方式である。
「ガイドレス式」とは、誘導体を設置せずに誘導する方式である。本開示の実施形態における無人搬送車は、自己位置推定装置を備え、ガイドレス式で走行することができる。
「自己位置推定装置」は、レーザレンジファインダなどの外界センサによって取得されたセンサデータに基づいて環境地図上における自己位置を推定する装置である。
「外界センサ」は、移動体の外部の状態をセンシングするセンサである。外界センサには、たとえば、レーザレンジファインダ(測域センサともいう)、カメラ(またはイメージセンサ)、LIDAR(Light Detection and Ranging)、ミリ波レーダ、および磁気センサがある。
「内界センサ」は、移動体の内部の状態をセンシングするセンサである。内界センサには、たとえばロータリエンコーダ(以下、単に「エンコーダ」と称することがある)、加速度センサ、および角加速度センサ(たとえばジャイロセンサ)がある。
「SLAM(スラム)」とは、Simultaneous Localization and Mappingの略語であり、自己位置推定と環境地図作成を同時に行うことを意味する。
<本発明者が本開示にかかる技術に想到した背景>
運行管理装置が発した指令によってAGVなどの移動体を運行させる場合、当該指令は、無線LAN等の無線通信を利用して運行管理装置から移動体に送信され得る。無線通信の品質は、通信が行われる環境および時間によって変動する。無線通信の品質が悪化すると、移動体が指令を受信できず、移動体の運行に支障が出ることがあり得る。
現状では、人手によって無線通信の品質を一定以上に維持している。たとえば、技術者が無線環境の電波強度等を測定し、測定で得られたデータに基づき、あるワイヤレスアクセスポイント(以下「ワイヤレスAP」と略記する。)のレイアウト、電波出力およびアンテナ角度を決定する。他のワイヤレスAPについても同様の作業を繰り返す。全てのワイヤレスAPについて上記作業が終わると、移動体と運行管理装置との間で一定以上の品質でデータが送受信可能になる。
しかしながら、技術者が上述の作業を行った場合でも、通信品質が時間によって変化する場合がある。たとえば、多くの移動体を運行させる時間帯では通信が混雑し、通信品質が低下する場合があるが、数台程度の移動体を運行させる時間帯では通信品質の低下は実質的に生じない。また、移動体が存在する環境で複数人の作業者が携帯端末等を用いて移動体と同じ周波数帯域の無線通信を利用する場合には、作業者の人数、通信量等に応じて、通信の混雑がランダムなタイミングで発生し得る。上述の例のような通信の混雑は、ワイヤレスAPのレイアウト、電波出力およびアンテナ角度等を静的な条件下で測定することのみでは回避できない。
本発明者は、人手ではなく、機器が自動的に無線通信環境の品質を一定の基準以上に維持することができないか、検討を重ねた。併せて、通信品質が時間毎に変化した場合でも通信品質が維持されるようにできないかについても検討を重ねた。
通信環境の品質の向上・維持を自動で行う技術が存在することは知られている。たとえば、ある電波帯域でワイヤレスAPと接続している端末が、他の周波数帯域も利用可能である場合、通信が混雑すると、ワイヤレスAPは、通信に用いる帯域を空いている帯域に自動的に移動させる。これにより、帯域の混雑を回避できる。
また、複数のワイヤレスAP間で相互の電波干渉を測定しあい、ワイヤレスAP自ら、または、複数のワイヤレスAPを管理するアクセスポイント制御装置が、ワイヤレスAPの出力電力を下げさせ、電波干渉を低減する技術も知られている。
上述の技術はいずれも、ワイヤレスAPまたはアクセスポイント制御装置が通信環境を変更し、通信品質の向上・維持を実現している。
本発明者は、ワイヤレスAPと通信する移動体または端末から、通信状態を示す状態データを収集し、当該状態データを利用すれば、通信品質の向上・維持をより適切に実現することができるとの結論に至った。
<例示的な実施形態>
以下、添付の図面を参照しながら、本開示による移動体管理システムの一例を説明する。なお、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。たとえば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。本発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供する。これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
以下では、移動体として「AGV」を例示して説明する。
図1は、本開示の例示的な実施形態にかかる移動体管理システム100の概要を説明するための俯瞰図である。
移動体管理システム100は、1台以上のワイヤレスアクセスポイント(ワイヤレスAP)2と、AGV10と、運行管理装置50とを有している。図1には、AGV10を示す図記号が複数の位置に示されているが、これらは、図1の右上に示されている1台のAGV10が異なる位置に移動したことを表している。ただし、AGV10は複数存在し得る。
ワイヤレスAP2は、各AGV10と無線によって接続され、かつ、運行管理装置50と無線または有線によって接続されて、各AGV10と運行管理装置50との間の通信を中継する。無線による通信は、たとえばWi−Fi(登録商標)規格に準拠して行われる。本実施形態では、ワイヤレスAP2と運行管理装置50とは有線によって接続されているとする。
以下では、ワイヤレスAP2が、AGV10と運行管理装置50との通信に介在していることを明示しないことがある。たとえば、AGV10が運行管理装置50にデータを送信する、と記述することがある。これは、実際にはAGV10が無線通信によってワイヤレスAP2にデータを送信し、ワイヤレスAP2は受信したデータを有線通信によって運行管理装置50に送信することを意味している。
AGV10は、走行に磁気テープなどの誘導体が不要な「ガイドレス式」走行が可能な無人搬送台車である。AGV10は、さらに、人または他の移動体に追従して移動する「追尾モード」を備えていても良い。
AGV10は、運行管理装置からの誘導指令に従って移動空間S内を自動走行することが可能である。AGV10は、自己位置を推定しながら、誘導指令に従って適切に移動することができる。AGV10は、推定の結果を運行管理装置に送信することもできる。AGV10は、定期的に、たとえば100ミリ秒ごとに自身の位置および姿勢(orientation)を示すデータを運行管理装置50に送信する。
運行管理装置50は各AGV10の位置をトラッキングし、各AGV10の移動(走行)を管理するコンピュータシステムである。運行管理装置50は、デスクトップ型PC、ノート型PC、および/または、サーバコンピュータであり得る。運行管理装置50は、1台以上のワイヤレスAP2を介して、各AGV10と通信する。
運行管理装置50は、各AGVに誘導指令を送信する。「誘導指令」とは、AGV10が移動可能な空間(移動空間)S内で、AGV10の移動経路を指定する指令である。移動経路は、たとえばAGV10が通過すべき位置の座標値を順に並べることによって表され得る。本実施形態では、位置の座標値は、移動空間S内に仮想的に設定された直交座標系の座標値である。ただし、極座標系の座標値を採用してもよい。具体的には、ある位置を基準としたときの、次の位置への向き(角度)および距離の値の組を位置の座標値として採用して、移動経路を指定してもよい。
運行管理装置50は、AGV10から受信した位置および姿勢を示すデータに基づいて、指示した移動経路に沿ってAGV10が移動を完了したかどうかを判定する。移動を完了したと判定すると、運行管理装置50は、必要に応じてさらに次の誘導指令を送信する。
図1の例において、運行管理装置50は、第1誘導指令をAGV10に送信している。第1誘導指令は、位置P0を起点として、位置P11を経由して図1の左方向に向かう移動経路R1を指定する。移動経路R1は、移動体管理システム100の運用に依存して決定され得る。
移動体管理システム100に複数のワイヤレスAP2が設けられている場合、AGV10を含む各AGVは、たとえば接続試行時に最も信号強度が大きいワイヤレスAP2と接続する。各AGVは、ワイヤレスAP2と通信することによって、通信状態を示す状態データを生成して、外部に、たとえば運行管理装置50に、状態データを送信する。「通信状態を示す状態データ」は、たとえば、受信した電波の強度や信号のS/N比、および/または、信号品質を表す数値である。信号品質は、復調品質、上位通信のエラー回数、エラー発生に伴うデータの再送回数などの数値によって定量的に表現され得る。
各AGVは、「通信状態を示す状態データ」とは別に、各AGVは、接続先のワイヤレスAP2を一意に識別する識別データ(後述のSSID)を外部に送信してもよい。各ワイヤレスAP2の設置位置は予め分かっているため、どの位置のワイヤレスAP2との関係で生成された状態データかを識別できる。各AGVは、識別データに代えて、推定した自己位置を示す座標値を送信してもよい。
運行管理装置50は、各AGVから状態データを取得して記憶する。その結果、各AGVが移動している移動空間Sの通信状態を示す状態データが蓄積される。
運行管理装置50は、蓄積した状態データを利用して、AGV10に送信済みの第1誘導指令が、通信の維持が困難であることを示す条件に合致するか否かを判定する。「通信の維持が困難であることを示す条件」の一例は、第1誘導指令によって指定された移動経路R1上に、通信状態が予め定められた基準未満である領域(「第1種領域」と呼ぶ。)が存在すること、である。より簡単に言えば、運行管理装置50は、移動経路R1が、通信状態が悪化している領域、つまり第1種領域、を通過するか否かを判定する。
図1には、通信状態が悪化している第1種領域A1を横切る移動経路R1が示されている。たとえば、1台のワイヤレスAP2に接続しているAGV10等の子機の数が設計値よりも多くなった場合、または、ワイヤレスAP2が故障した場合には、ワイヤレスAP2の近傍の領域が第1種領域になり得る。
第1誘導指令が上述した「条件」に合致する場合、運行管理装置50は、第1誘導指令を第2誘導指令に変更する。第2誘導指令は、移動経路に沿ってAGV10が移動を完了した際に発行される指令ではなく、第1誘導指令を置き換えて採用される新たな指令である。
第1誘導指令から変更された第2誘導指令は、位置P0を起点として、位置P21およびP22を経由して図1の左方向に向かう移動経路R2を指定する。運行管理装置50は、通信状態が予め定められた基準以上である領域(「第2種領域」と呼ぶ。)のみを通過する経路を設定することができる。
図1には、第1種領域A1を避けて第2種領域A2のみを通過する移動経路R2が示されている。AGV10は、第2誘導指令に従い、通信状態が良好な第2種領域A2のみを移動するため、AGV10と運行管理装置50との通信がAGV10の移動中も継続して維持される。
図2は、複数のAGV10a〜10eが、状態データ32を生成し運行管理装置50に送信する様子を示す俯瞰図である。図2には、複数のワイヤレスAP2a〜2fが模式的に示されている。隣接する2つのワイヤレスAPの間隔は、例えば20メートルである。
AGV10a〜10eはそれぞれ、すでに受信した誘導指令に従って移動を行っている。図2では、AGV10a〜10e各々の移動方向を矢印によって示している。各AGVは、移動しながら、周期的または断続的に状態データ32を生成して運行管理装置50に送信する。これにより、運行管理装置50は、各AGVが移動する移動空間S内の通信状態をリアルタイムで、または、僅かな遅延の後に知ることができる。
運行管理装置50は、AGV10a〜10eのそれぞれから取得した状態データ32を蓄積し、電波環境地図52を作成する。本実施形態における電波環境地図52は移動空間Sの通信状態を場所ごとに数値によって表現した地図である。
図3は、電波環境地図52の一例を示している。電波環境地図52は複数の矩形ブロックの集合として表現されている。この例では、図中の矩形ブロックの濃淡が通信状態に関連づけられている。電波環境地図52の全体は移動空間Sに対応し、電波環境地図52の1つの矩形ブロックは、移動空間S内の一定の広さの矩形領域に対応している。電波環境地図52では、通信状態の良好さの程度を4階調の濃淡で表現している。通信状態が良好な領域は相対的に濃いブロックで示されており、通信状態が悪い領域ほど相対的に薄いブロックで示される。濃淡は、ブロック毎に、4階調のうちのいずれかを示す数値で表現し得る。
再び図2を参照する。いま、図2右下の、AGV10cおよびワイヤレスAP2d周辺の領域A3に注目する。領域A3では、AGV10cはワイヤレスAP2dと接続されているが、通信状態は悪化しているとする。図中の記号「×」は、通信状態が予め定められた基準未満であることを示している。
運行管理装置50は、AGV10cから受信した状態データ32に基づいて、領域A3を、通信状態が予め定められた基準未満である第1種領域であると判定する。判定結果に基づいて、運行管理装置50は、図3に示す電波環境地図52の右下の破線で囲んだ領域A3’に2番目に薄い色を付す。なお、最も薄い色は、AGV10が走行したことのない領域であり、たとえば壁で囲まれた室内、柱が存在する領域に付される。本実施形態では、最も薄い色および2番目に薄い色が付された領域が第1種領域であるとする。
一方、運行管理装置50は、通信状態が予め定められた基準以上の領域を第2種領域として、3番目または4番目の濃い色を付す。
なお、4段階の濃淡で表現した電波環境地図52は一例である。濃淡の段階はより多くても良いし少なくても良い。濃淡に代えて、通信状態に応じて異なる色を付してもよい。
運行管理装置50は、上述の手順で電波環境地図52上に第1種領域および第2種領域を設定する。これにより運行管理装置50は、各AGV10a〜10eに送信した第1誘導指令で指定した移動経路が、電波環境地図52内の第1種領域を通過するかを判定することができる。
ここで、移動するAGVと、そのようなAGVと通信するワイヤレスAPとの関係を説明する。本実施形態では、各ワイヤレスAP2には、各々を一意に識別する固有のサービスセット識別子(Service Set Identifier;SSID)が予め設定されている。また、各ワイヤレスAP2と各AGV10とは、予め認証/暗号化方式、暗号化キー等も設定されているとする。
一般に、ワイヤレスAPは、「ビーコン」と呼ばれる信号を定期的に送信する。ビーコンを受信すると、AGV等のクライアントはワイヤレスAPにプローブ要求を送信する。「プローブ要求」とは、ワイヤレスAPのSSIDが、クライアント端末に設定されているSSIDと一致するかどうかの問い合わせである。同じSSIDであれば、ワイヤレスAPは「プローブ応答」を送信する。これにより、ワイヤレスAPとクライアント端末とが接続可能な状態に遷移する。
その後、上述した認証/暗号化方式、暗号化キーが利用され、ワイヤレスAP2がクライアント端末を認証する。正しいクライアントだと判断されると、クライアント端末はアクセスポイントに接続要求を行う。この要求を、「アソシエーション要求」と呼ぶ。アソシエーション要求に対してワイヤレスAPが許可の応答である「アソシエーション応答」を行うと、ワイヤレスAPとクライアント端末との接続が完了し、通信を行うことが可能になる。
ワイヤレスAP2と各AGV10との間でも上述の手続きで接続が確立されて通信が行われる。
移動体管理システム100に複数のワイヤレスAP2が設けられている場合、各AGV10は、どのワイヤレスAP2と接続するかを選択することができる。たとえば各AGV10は、上述の手順で、信号強度が最も大きいワイヤレスAPと接続する。
図4は、本開示による例示的な移動体管理システム100の基本構成例を示している。移動体管理システム100は、運行管理装置50により、少なくとも1台のAGV10の運行を制御する。図4には、ユーザ1によって操作される端末装置20も記載されている。
図5は、ワイヤレスAP2aと通信可能に接続されたAGV10を示している。AGV10は走行しながら状態データ32をワイヤレスAP2aに無線で送信する。ワイヤレスAP2aは受信した状態データ32を有線でスイッチングハブ3を介して運行管理装置50に送信する。
AGV10が誘導指令に従って矢印の方向に移動すると、接続が確立されていたワイヤレスAP2aとAGV10との間隔が広がり、ワイヤレスAP2aの信号強度が徐々に小さくなる。
一方、AGV10がワイヤレスAP2bに近付くことにより、ワイヤレスAP2bの信号強度が徐々に大きくなる。AGV10が移動し続けると、ワイヤレスAP2aの信号強度よりもワイヤレスAP2bの信号強度の方が大きくなる。
するとAGV10は、ワイヤレスAP2bにプローブ要求を送信する。そして上述の手順を経てワイヤレスAP2bとの接続が確立されると、AGV10と接続されていたワイヤレスAP2aがワイヤレスAP2bに切り替わる。
図6は、ワイヤレスAP2bと通信可能に接続されたAGV10を示している。AGV10がワイヤレスAP2bと接続されることにより、AGV10aは運行管理装置50との間で、引き続き誘導指令を受信することができる。またAGV10は、ワイヤレスAP2bとの接続状態について状態データ32を送信することができる。
上述のAGV10の移動に伴って接続先ワイヤレスAPを切り替える動作を「ローミング」という。移動空間Sを移動する他のAGVも同様にローミングを行うことができる。
AGV10は、状態データ32以外のデータを運行管理装置50に送信することもできる。
本実施形態では、ワイヤレスAP2の各々には固有のSSIDが付与されているため、ワイヤレスAP2のSSIDと、そのワイヤレスAP2が設置された位置の情報とを対応付けたテーブルを予め用意しておくことができる。各AGV10が、状態データ32に加えて接続先ワイヤレスAP2のSSIDを運行管理装置50に送信すると、運行管理装置50は当該テーブルを参照することにより、現在のAGV10が存在する領域を推定できる。これにより、電波環境地図52を作成することができる。
なお、AGV10が接続先ワイヤレスAP2のSSIDを送信することは必須ではない。運行管理装置50は、状態データ32のみにより、AGV10とどのワイヤレスAP2との通信状態であるかを判別することもできる。具体的に説明すると、運行管理装置50は、ワイヤレスAP2から状態データ32を受信する際、送信元として、ワイヤレスAP2のMACアドレスを知ることができる。MACアドレスは、ネットワーク内で各ワイヤレスAP2を一意に特定することができる識別子である。運行管理装置50は、状態データ32が、AGV10と送信元のワイヤレスAP2との間の通信状態を示していると認識できる。
なお、後述するように、本実施形態では、AGV10は、予め移動空間Sの地図データを保持しており、レーザレンジファインダを用いて現在の自己位置を推定し、出力することができる。各AGV10は、SSIDの情報に代えて、推定した自己位置を示す座標値を運行管理装置50に送信しても良い。推定された座標値を利用することにより、より正確な電波環境地図52の作成が可能になる。
接続先のワイヤレスAP2の故障または過負荷により、AGV10が運行管理装置50に状態データ32を送信できない場合がある。そのような場合、一定時間経過後、または一定回数の試行後依然として不通であれば、AGV10は他のワイヤレスAP2にローミングを行ってもよい。このときAGV10は、不通であったワイヤレスAP2の識別子を状態データ32とともに送信する。これにより、不通であったワイヤレスAP2の位置を電波環境地図52に確実に反映することができる。なお、AGV10が運行管理装置50に状態データ32を送信できない場合には、移動速度を増加させ、そのような通信状態が良好ではない領域から早急に離脱してもよい。
以上のとおり、AGV10は、少なくとも、接続したワイヤレスAP2との間の通信状態を示す状態データ32を運行管理装置50に送信する。これにより運行管理装置50は電波環境地図52を作成または更新することができる。その結果、既に発効した誘導指令を変更する必要の有無を判断できる。AGV10を、移動空間Sを移動しながら状態データを収集するセンサまたはプローブとして活用することにより、正確な通信状況を把握することができる。
移動体管理システム100では、各AGV10は運行管理装置50に直接状態データ32を送信する。しかしながら、他の装置に状態データ32を集約し、運行管理装置50が当該機器から集約された状態データ32を受信するシステムでも上述の移動体管理システム100と同じ機能および効果を得ることができる。
図7は、運行管理装置50の誘導指令の送信処理の手順を示すフローチャートである。当該フローチャートは、運行管理装置50に実装された信号処理回路(CPU)によって実行されるが、以下では運行管理装置50の動作として説明する。
ステップS10において、運行管理装置50は、各AGV10に第1誘導指令を送信する。
ステップS11において、運行管理装置50は、各AGV10から状態データを受信する。なお、ステップS11の処理は、各AGV10から状態データを受信すると、都度割り込み処理として実行され得る。
ステップS12において、運行管理装置50は、各AGV10について、状態データを利用して、第1誘導指令で指定された移動経路が第1種領域を通過するか否かを判定する。なお、第1種領域を通過するかは一例である。より一般的には、運行管理装置50は、第1誘導指令が通信の維持が困難であることを示す条件に合致するか否かを判定する。
ステップS13において、移動経路が第1種領域を通過する場合には、処理はステップS14に進み、そうでない場合には処理は終了する。後者の場合、各AGV10は第1誘導指令に従って移動を行う。
ステップS14において、運行管理装置50は、第2種領域を通過する移動経路を決定する。
ステップS15において、運行管理装置50は、対象となるAGV10に決定した移動経路を指定する第2誘導指令を送信する。これにより、第2誘導指令を受信したAGV10は、当該第2誘導指令に従って移動経路を変更して移動する。
なお、各AGV10から送信された状態データは、移動空間S内の最新の通信状態を示しているため、運行管理装置50は、ステップS11に示す状態データを受信すると、都度、ステップS12以降の処理を実行すればよい。
図8は、アクセスポイント制御装置105が設けられた移動体管理システム200の基本構成例を示している。以下、アクセスポイント制御装置を「AP制御装置」と略記する。
AP制御装置105は、各ワイヤレスAP2と通信可能に接続されており、複数のワイヤレスAP2を一括して制御する。AP制御装置105は、たとえば任意のワイヤレスAP2の使用チャンネル、電波強度等の複数のパラメータを制御することができる。AP制御装置105は、複数のワイヤレスAP2の複数のパラメータを同時に制御することもできる。また、AP制御装置105は、AGV10との接続時の認証、セキュリティ管理を一括して行うこともできる。これにより、各ワイヤレスAP2において認証を行う必要がなくなる。AP制御装置105は「無線LANコントローラ」と呼ばれることもある。
本実施形態にかかるアクセスポイント制御装置105は記憶装置30を有しており、各AGV10から状態データ32を受信して記憶装置30に蓄積する。AP制御装置105は、運行管理装置50から周期的またはランダムなタイミングで状態データ32の取得要求を受信する。状態データ32の取得要求の受信に応答して、AP制御装置105は、運行管理装置50に1または複数の未送信の状態データ32を送信する。特定の状態データ32が指定された取得要求を受信したときは、AP制御装置105は、指定された特定の状態データ32を記憶装置30から読み出して運行管理装置50に送信する。
なお、AP制御装置105の構成のうち、本実施形態に特に関連する構成は、AP制御装置105が通信回路を有すること、記憶装置30を有すること、上述の状態データに関する処理を行う信号処理回路を有すること、および、信号処理回路のワークメモリを有すること、である。このような構成は、たとえば図15を参照しながら後述する運行管理装置50の構成要素に含まれ得る。よって、本明細書ではAP制御装置105の図示は省略する。
次に、移動体管理システムの他の動作例を説明する。
運行管理装置50は、移動経路を指定する誘導指令に代えて、目的地のみを指定する誘導指令を送信してもよい。誘導指令を受信した各AGV10は、誘導指令で指定された目的地に到達するための移動経路を自律的に決定する。
各AGV10が移動経路を決定する際、各AGV10は、内部に保持した地図データと、電波環境地図52とを参照して、第1種領域を避ける経路を決定する。運行管理装置50は、最初の誘導指令の送信時に、各AGV10に電波環境地図52も送信する。そして、運行管理装置50が電波環境地図52を更新する度に、各AGV10は、運行管理装置50から更新された電波環境地図52を受信する。各AGV10は、更新された電波環境地図52を受信すると、決定した移動経路上に第1種領域が存在するか否かを判定し、存在する場合には、第2種領域を通過するよう移動経路を変更する。
以上、例示的な実施形態を説明した。以下では、より具体的かつ詳細な構成例を挙げて説明する。
(1)システムの具体例
図9は、3台のAGV10a、10bおよび10cが存在する移動空間Sの一例を示している。いずれのAGVも図中の奥行き方向に走行しているとする。AGV10aおよび10bは天板に載置された荷物を搬送中である。AGV10cは、前方のAGV10bに追従して走行している。なお、説明の便宜のため、図9では参照符号10a、10bおよび10cを付したが、以下では、「AGV10」と記述する。
AGV10は、天板に載置された荷物を搬送する方法以外に、自身と接続された牽引台車を利用して荷物を搬送することも可能である。図10Aは接続される前のAGV10および牽引台車5を示している。牽引台車5の各足にはキャスターが設けられている。AGV10は牽引台車5と機械的に接続される。図10Bは、接続されたAGV10および牽引台車5を示している。AGV10が走行すると、牽引台車5はAGV10に牽引される。牽引台車5を牽引することにより、AGV10は、牽引台車5に載置された荷物を搬送できる。
AGV10と牽引台車5との接続方法は任意である。ここでは一例を説明する。AGV10の天板にはプレート6が固定されている。牽引台車5には、スリットを有するガイド7が設けられている。AGV10は牽引台車5に接近し、プレート6をガイド7のスリットに差し込む。差し込みが完了すると、AGV10は、図示されない電磁ロック式ピンをプレート6およびガイド7に貫通させ、電磁ロックをかける。これにより、AGV10と牽引台車5とが物理的に接続される。
(2)環境地図の作成
自己位置を推定しながらAGV10が走行できるようにするため、移動空間S内の地図が作成される。AGV10には位置推定装置およびレーザレンジファインダが搭載されており、レーザレンジファインダの出力を利用して地図を作成できる。
AGV10は、ユーザの操作によってデータ取得モードに遷移する。データ取得モードにおいて、AGV10はレーザレンジファインダを用いたセンサデータの取得を開始する。レーザレンジファインダは周期的にたとえば赤外線または可視光のレーザビームを周囲に放射して周囲の空間Sをスキャンする。レーザビームは、たとえば、壁、柱等の構造物、床の上に置かれた物体等の表面で反射される。レーザレンジファインダは、レーザビームの反射光を受けて各反射点までの距離を計算し、各反射点の位置が示された測定結果のデータを出力する。各反射点の位置には、反射光の到来方向および距離が反映されている。1回のスキャンによって得られた測定結果のデータは「計測データ」または「センサデータ」と呼ばれることがある。
位置推定装置は、センサデータを記憶装置に蓄積する。移動空間S内のセンサデータの取得が完了すると、記憶装置に蓄積されたセンサデータが外部装置に送信される。外部装置は、たとえば信号処理プロセッサを有し、かつ、地図作成プログラムがインストールされたコンピュータである。
外部装置の信号処理プロセッサは、スキャンごとに得られたセンサデータ同士を重ね合わせる。信号処理プロセッサが重ね合わせる処理を繰り返し行うことにより、空間Sの地図を作成することができる。外部装置は、作成した地図のデータをAGV10に送信する。AGV10は、作成した地図のデータを内部の記憶装置に保存する。外部装置は、運行管理装置50であってもよいし、他の装置であってもよい。
外部装置ではなくAGV10が地図の作成を行ってもよい。上述した外部装置の信号処理プロセッサが行った処理を、AGV10のマイクロコントローラユニット(マイコン)などの回路が行えばよい。AGV10内で地図を作成する場合には、蓄積されたセンサデータを外部装置に送信する必要が無くなる。センサデータのデータ容量は一般には大きいと考えられる。センサデータを外部装置に送信する必要がないため、通信回線の占有を回避できる。
なお、センサデータを取得するための移動空間S内の移動は、ユーザの操作に従ってAGV10が走行することによって実現し得る。たとえば、AGV10は、端末装置20(図4)を介して無線でユーザから前後左右の各方向への移動を指示する誘導指令を受け取る。AGV10は誘導指令にしたがって移動空間S内を前後左右に走行し、地図を作成する。AGV10がジョイスティック等の操縦装置と有線によって接続されている場合には、当該操縦装置からの制御信号にしたがって移動空間S内を前後左右に走行し、地図を作成してもよい。レーザレンジファインダを搭載した計測台車を人が押し歩くことによってセンサデータを取得してもよい。
なお、図4、図9等には複数台のAGV10が示されているが、AGVは1台であってもよい。複数台のAGV10が存在する場合、ユーザ1は端末装置20を利用して、登録された複数のAGVのうちから一台のAGV10を選択して、移動空間Sの地図を作成させることができる。
地図が作成されると、以後、各AGV10は当該地図を利用して自己位置を推定しながら自動走行することができる。自己位置を推定する処理の説明は後述する。
(3)AGVの構成
図11は、本実施形態にかかる例示的なAGV10の外観図である。AGV10は、2つの駆動輪11aおよび11bと、4つのキャスター11c、11d、11eおよび11fと、フレーム12と、搬送テーブル13と、走行制御装置14と、レーザレンジファインダ15とを有する。2つの駆動輪11aおよび11bは、AGV10の右側および左側にそれぞれ設けられている。4つのキャスター11c、11d、11eおよび11fは、AGV10の4隅に配置されている。なお、AGV10は、2つの駆動輪11aおよび11bに接続される複数のモータも有するが、複数のモータは図11には示されていない。また、図11には、AGV10の右側に位置する1つの駆動輪11aおよび2つのキャスター11cおよび11eと、左後部に位置するキャスター11fとが示されているが、左側の駆動輪11bおよび左前部のキャスター11dはフレーム12の蔭に隠れているため明示されていない。4つのキャスター11c、11d、11eおよび11fは、自由に旋回することができる。以下の説明では、駆動輪11aおよび駆動輪11bを、それぞれ車輪11aおよび車輪11bとも称する。
走行制御装置14は、AGV10の動作を制御する装置であり、主としてマイコン(後述)を含む集積回路、電子部品およびそれらが搭載された基板を含む。走行制御装置14は、上述した、端末装置20とのデータの送受信、および前処理演算を行う。
レーザレンジファインダ15は、たとえば赤外線または可視光のレーザビーム15aを放射し、当該レーザビーム15aの反射光を検出することにより、反射点までの距離を測定する光学機器である。本実施形態では、AGV10のレーザレンジファインダ15は、たとえばAGV10の正面を基準として左右135度(合計270度)の範囲の空間に、0.25度ごとに方向を変化させながらパルス状のレーザビーム15aを放射し、各レーザビーム15aの反射光を検出する。これにより、0.25度ごと、合計1081ステップ分の角度で決まる方向における反射点までの距離のデータを得ることができる。なお、本実施形態では、レーザレンジファインダ15が行う周囲の空間のスキャンは実質的に床面に平行であり、平面的(二次元的)である。しかしながら、レーザレンジファインダ15は高さ方向のスキャンを行ってもよい。
AGV10の位置および姿勢(向き)と、レーザレンジファインダ15のスキャン結果とにより、AGV10は、空間Sの地図を作成することができる。地図には、AGVの周囲の壁、柱等の構造物、床の上に載置された物体の配置が反映され得る。地図のデータは、AGV10内に設けられた記憶装置に格納される。
一般に、移動体の位置および姿勢は、ポーズ(pose)と呼ばれる。二次元面内における移動体の位置および姿勢は、XY直交座標系における位置座標(x, y)と、X軸に対する角度θによって表現される。AGV10の位置および姿勢、すなわちポーズ(x, y, θ)を、以下、単に「位置」と呼ぶことがある。
レーザビーム15aの放射位置から見た反射点の位置は、角度および距離によって決定される極座標を用いて表現され得る。本実施形態では、レーザレンジファインダ15は極座標で表現されたセンサデータを出力する。ただし、レーザレンジファインダ15は、極座標で表現された位置を直交座標に変換して出力してもよい。
レーザレンジファインダの構造および動作原理は公知であるため、本明細書ではこれ以上の詳細な説明は省略する。レーザレンジファインダ15によって検出され得る物体の例は、人、荷物、棚、壁である。
レーザレンジファインダ15は、周囲の空間をセンシングしてセンサデータを取得するための外界センサの一例である。そのような外界センサの他の例としては、イメージセンサおよび超音波センサが考えられる。
走行制御装置14は、レーザレンジファインダ15の測定結果と、自身が保持する地図データとを比較して、自身の現在位置を推定することができる。なお、保持されている地図データは、他のAGV10が作成した地図データであってもよい。
図12Aは、AGV10の第1のハードウェア構成例を示している。また図12Aは、走行制御装置14の具体的な構成も示している。
AGV10は、走行制御装置14と、レーザレンジファインダ15と、2台のモータ16aおよび16bと、駆動装置17と、車輪11aおよび11bと、2つのロータリエンコーダ18aおよび18bとを備えている。
走行制御装置14は、マイコン14aと、メモリ14bと、記憶装置14cと、通信回路14dと、位置推定装置14eとを有している。マイコン14a、メモリ14b、記憶装置14c、通信回路14dおよび位置推定装置14eは通信バス14fで接続されており、相互にデータを授受することが可能である。レーザレンジファインダ15もまた通信インタフェース(図示せず)を介して通信バス14fに接続されており、計測結果である計測データを、マイコン14a、位置推定装置14eおよび/またはメモリ14bに送信する。
マイコン14aは、走行制御装置14を含むAGV10の全体を制御するための演算を行うプロセッサまたは制御回路(コンピュータ)である。典型的にはマイコン14aは半導体集積回路である。マイコン14aは、制御信号であるPWM(Pulse Width Modulation)信号を駆動装置17に送信して駆動装置17を制御し、モータに印加する電圧を調整させる。これによりモータ16aおよび16bの各々が所望の回転速度で回転する。
左右のモータ16aおよび16bの駆動を制御する1つ以上の制御回路(たとえばマイコン)を、マイコン14aとは独立して設けてもよい。たとえば、モータ駆動装置17が、モータ16aおよび16bの駆動をそれぞれ制御する2つのマイコンを備えていてもよい。それらの2つのマイコンは、エンコーダ18aおよび18bから出力されたエンコーダ情報を用いた座標計算をそれぞれ行い、所与の初期位置からのAGV10の移動距離を推定してもよい。また、当該2つのマイコンは、エンコーダ情報を利用してモータ駆動回路17aおよび17bを制御してもよい。
メモリ14bは、マイコン14aが実行するコンピュータプログラムを記憶する揮発性の記憶装置である。メモリ14bは、マイコン14aおよび位置推定装置14eが演算を行う際のワークメモリとしても利用され得る。
記憶装置14cは、不揮発性の半導体メモリ装置である。ただし、記憶装置14cは、ハードディスクに代表される磁気記録媒体、または、光ディスクに代表される光学式記録媒体であってもよい。さらに、記憶装置14cは、いずれかの記録媒体にデータを書き込みおよび/または読み出すためのヘッド装置および当該ヘッド装置の制御装置を含んでもよい。
記憶装置14cは、走行する空間Sの地図データM、および、1または複数の移動経路のデータ(移動経路データ)Rを記憶する。地図データMは、AGV10が地図作成モードで動作することによって作成され記憶装置14cに記憶される。移動経路データRは、地図データMが作成された後に外部から送信される。本実施形態では、地図データMおよび移動経路データRは同じ記憶装置14cに記憶されているが、異なる記憶装置に記憶されてもよい。
移動経路データRの例を説明する。
上述したように、運行管理装置50は、誘導指令によって移動経路を指定する。移動経路は、順に並べられた、AGV10が通過すべき位置の座標値の集合によって決定される。このような座標値の集合が、移動経路データRに相当する。端末装置20がタブレットコンピュータである場合には、AGV10はタブレットコンピュータから移動経路を示す移動経路データRを受信してもよい。
通過すべき位置は「マーカ」とも呼ばれる。移動経路データRは、走行開始位置を示す開始マーカおよび走行終了位置を示す終了マーカの位置情報、すなわち座標値、を少なくとも含む。移動経路データRは、さらに、1以上の中間経由点のマーカの位置情報を含んでもよい。移動経路が1以上の中間経由点を含む場合には、開始マーカから、当該走行経由点を順に経由して終了マーカに至る経路が、移動経路として定義される。各マーカのデータは、そのマーカの座標値に加えて、次のマーカに移動するまでのAGV10の向き(角度)および走行速度のデータを含み得る。AGV10が各マーカの位置で一旦停止し、自己位置推定および端末装置20への通知などを行う場合には、各マーカのデータは、当該走行速度に達するまでの加速に要する加速時間、および/または、当該走行速度から次のマーカの位置で停止するまでの減速に要する減速時間のデータを含み得る。
端末装置20ではなく運行管理装置50(たとえば、PCおよび/またはサーバコンピュータ)がAGV10の移動を制御してもよい。その場合には、運行管理装置50は、AGV10がマーカに到達する度に、次のマーカへの移動をAGV10に指示してもよい。たとえば、AGV10は、運行管理装置50から、次に向かうべき目的位置の座標値、または、当該目的位置までの距離および進むべき角度のデータを、移動経路を示す移動経路データRとして受信する。
AGV10は、作成された地図と走行中に取得されたレーザレンジファインダ15が出力したセンサデータとを利用して自己位置を推定しながら、記憶された移動経路に沿って走行することができる。
通信回路14dは、たとえば、Bluetooth(登録商標)および/またはWi−Fi(登録商標)規格に準拠した無線通信を行う無線通信回路である。いずれの規格も、2.4GHz帯の周波数を利用した無線通信規格を含む。たとえばAGV10を走行させて地図を作成するモードでは、通信回路14dは、Bluetooth(登録商標)規格に準拠した無線通信を行い、1対1で端末装置20と通信する。
位置推定装置14eは、地図の作成処理、および、走行時には自己位置の推定処理を行う。位置推定装置14eは、AGV10の位置および姿勢とレーザレンジファインダのスキャン結果とにより、移動空間Sの地図を作成する。走行時には、位置推定装置14eは、レーザレンジファインダ15からセンサデータを受け取り、また、記憶装置14cに記憶された地図データMを読み出す。レーザレンジファインダ15のスキャン結果から作成された局所的地図データ(センサデータ)を、より広範囲の地図データMとのマッチングを行うことにより、地図データM上における自己位置(x, y, θ)を同定する。位置推定装置14eは、局所的地図データが地図データMに一致した程度を表す「信頼度」のデータを生成する。自己位置(x, y, θ)、および、信頼度の各データは、AGV10から端末装置20または運行管理装置50に送信され得る。端末装置20または運行管理装置50は、自己位置(x, y, θ)、および、信頼度の各データを受信して、内蔵または接続された表示装置に表示することができる。
本実施形態では、マイコン14aと位置推定装置14eとは別個の構成要素であるとしているが、これは一例である。マイコン14aおよび位置推定装置14eの各動作を独立して行うことが可能な1つのチップ回路または半導体集積回路であってもよい。図12Aには、マイコン14aおよび位置推定装置14eを包括するチップ回路14gが示されている。以下では、マイコン14aおよび位置推定装置14eが別個独立に設けられている例を説明する。
2台のモータ16aおよび16bは、それぞれ2つの車輪11aおよび11bに取り付けられ、各車輪を回転させる。つまり、2つの車輪11aおよび11bはそれぞれ駆動輪である。本明細書では、モータ16aおよびモータ16bは、それぞれAGV10の右輪および左輪を駆動するモータであるとして説明する。
移動体10は、さらに、車輪11aおよび11bの回転位置または回転速度を測定するエンコーダユニット18をさらに備えている。エンコーダユニット18は、第1ロータリエンコーダ18aおよび第2ロータリエンコーダ18bを含む。第1ロータリエンコーダ18aは、モータ16aから車輪11aまでの動力伝達機構のいずれかの位置における回転を計測する。第2ロータリエンコーダ18bは、モータ16bから車輪11bまでの動力伝達機構のいずれかの位置における回転を計測する。エンコーダユニット18は、ロータリエンコーダ18aおよび18bによって取得された信号を、マイコン14aに送信する。マイコン14aは、位置推定装置14eから受信した信号だけでなく、エンコーダユニット18から受信した信号を利用して、移動体10の移動を制御してもよい。
駆動装置17は、2台のモータ16aおよび16bの各々に印加される電圧を調整するためのモータ駆動回路17aおよび17bを有する。モータ駆動回路17aおよび17bの各々はいわゆるインバータ回路を含む。モータ駆動回路17aおよび17bは、マイコン14aまたはモータ駆動回路17a内のマイコンから送信されたPWM信号によって各モータに流れる電流をオンまたはオフし、それによりモータに印加される電圧を調整する。
図12Bは、AGV10の第2のハードウェア構成例を示している。第2のハードウェア構成例は、レーザ測位システム14hを有する点、および、マイコン14aが各構成要素と1対1で接続されている点において、第1のハードウェア構成例(図12A)と相違する。
レーザ測位システム14hは、位置推定装置14eおよびレーザレンジファインダ15を有する。位置推定装置14eおよびレーザレンジファインダ15は、たとえばイーサネット(登録商標)ケーブルで接続されている。位置推定装置14eおよびレーザレンジファインダ15の各動作は上述した通りである。レーザ測位システム14hは、AGV10のポーズ(x, y, θ)を示す情報をマイコン14aに出力する。
マイコン14aは、種々の汎用I/Oインタフェースまたは汎用入出力ポート(図示せず)を有している。マイコン14aは、通信回路14d、レーザ測位システム14h等の、走行制御装置14内の他の構成要素と、当該汎用入出力ポートを介して直接接続されている。
図12Bに関して上述した構成以外は、図12Aの構成と共通である。よって共通の構成の説明は省略する。
本開示の実施形態におけるAGV10は、図示されていないバンパースイッチなどのセーフティセンサを備えていてもよい。AGV10は、ジャイロセンサなどの慣性計測装置を備えていてもよい。ロータリエンコーダ18aおよび18bまたは慣性計測装置などの内界センサによる測定データを利用すれば、AGV10の移動距離および姿勢の変化量(角度)を推定することができる。これらの距離および角度の推定値は、オドメトリデータと呼ばれ、位置推定装置14eによって得られる位置および姿勢の情報を補助する機能を発揮し得る。
(4)地図データ
図13A〜図13Fは、センサデータを取得しながら移動するAGV10を模式的に示している。ユーザ1は、端末装置20を操作しながらマニュアルでAGV10を移動させてもよい。あるいは、図12Aおよび図12Bに示される走行制御装置14を備えるユニット、または、AGV10そのものを台車に載置し、台車をユーザ1が手で押す、または牽くことによってセンサデータを取得してもよい。
図13Aには、レーザレンジファインダ15を用いて周囲の空間をスキャンするAGV10が示されている。所定のステップ角毎にレーザビームが放射され、スキャンが行われる。なお、図示されたスキャン範囲は模式的に示した例であり、上述した合計270度のスキャン範囲とは異なっている。
図13A〜図13Fの各々では、レーザビームの反射点の位置が、記号「・」で表される複数の黒点4を用いて模式的に示されている。レーザビームのスキャンは、レーザレンジファインダ15の位置および姿勢が変化する間に短い周期で実行される。このため、現実の反射点の個数は、図示されている反射点4の個数よも遥かに多い。位置推定装置14eは、走行に伴って得られる黒点4の位置を、たとえばメモリ14bに蓄積する。AGV10が走行しながらスキャンを継続して行うことにより、地図データが徐々に完成されてゆく。図13Bから図13Eでは、簡略化のためスキャン範囲のみが示されている。当該スキャン範囲は例示であり、上述した合計270度の例とは異なる。
地図は、地図作成に必要な量のセンサデータを取得した後、そのセンサデータに基づいて、このAGV10内のマイコン14aまたは外部のコンピュータを用いて作成してもよい。あるいは、移動しつつあるAGV10が取得したセンサデータに基づいてリアルタイムで地図を作成してもよい。
図13Fは、完成した地図40の一部を模式的に示している。図13Fに示される地図では、レーザビームの反射点の集まりに相当する点群(Point Cloud)によって自由空間が仕切られている。地図の他の例は、物体が占有している空間と自由空間とをグリッド単位で区別する占有格子地図である。位置推定装置14eは、地図のデータ(地図データM)をメモリ14bまたは記憶装置14cに蓄積する。なお図示されている黒点の数または密度は一例である。
こうして得られた地図データは、複数のAGV10によって共有され得る。
AGV10が地図データに基づいて自己位置を推定するアルゴリズムの典型例は、ICP(Iterative Closest Point)マッチングである。前述したように、レーザレンジファインダ15のスキャン結果から作成された局所的地図データ(センサデータ)を、より広範囲の地図データMとのマッチングを行うことにより、地図データM上における自己位置(x, y, θ)を推定することができる。
AGV10が走行するエリアが広い場合、地図データMのデータ量が多くなる。そのため、地図の作成時間が増大したり、自己位置推定に多大な時間を要するなどの不都合が生じる可能性がある。そのような不都合が生じる場合には、地図データMを、複数の部分地図のデータに分けて作成および記録してもよい。
図14は、4つの部分地図データM1、M2、M3、M4の組み合わせによって1つの工場の1フロアの全域がカバーされる例を示している。この例では、1つの部分地図データは50m×50mの領域をカバーしている。X方向およびY方向のそれぞれにおいて隣接する2つの地図の境界部分に、幅5mの矩形の重複領域が設けられている。この重複領域を「地図切替エリア」と呼ぶ。1つの部分地図を参照しながら走行しているAGV10が地図切替エリアに到達すると、隣接する他の部分地図を参照する走行に切り替える。部分地図の枚数は4枚に限らず、AGV10が走行するフロアの面積、地図作成および自己位置推定を実行するコンピュータの性能に応じて適宜設定してよい。部分地図データのサイズおよび重複領域の幅も、上記の例に限定されず、任意に設定してよい。
(5)運行管理装置の構成例
図15は、運行管理装置50のハードウェア構成例を示している。運行管理装置50は、CPU51と、メモリ52と、位置データベース(位置DB)53と、通信回路54と、地図データベース(地図DB)55と、画像処理回路56と、電波環境地図データベース(DB)57とを有する。
CPU51、メモリ52、位置DB53、通信回路54、地図DB55および画像処理回路56は通信バス58で接続されており、相互にデータを授受することが可能である。
CPU51は、運行管理装置50の動作を制御する信号処理回路(コンピュータ)である。典型的にはCPU51は半導体集積回路である。
メモリ52は、CPU51が実行するコンピュータプログラムを記憶する、揮発性の記憶装置である。メモリ52は、CPU51が演算を行う際のワークメモリとしても利用され得る。
位置DB53は、各AGV10の行き先となり得る各位置を示す位置データを格納する。位置データは、たとえば管理者によって工場内に仮想的に設定された座標によって表され得る。位置データは管理者によって決定される。
通信回路54は、たとえばイーサネット(登録商標)規格に準拠した有線通信を行う。通信回路54はワイヤレスAP2と有線によって接続されており、ワイヤレスAP2を介して、AGV10と通信することができる。通信回路54は、AGV10に送信すべきデータを、バス58を介してCPU51から受信する。また通信回路54は、AGV10から受信したデータ(通知)を、バス58を介してCPU51および/またはメモリ52に送信する。
地図DB55は、AGV10が走行する工場等の内部の地図のデータを格納する。当該地図は、地図40(図13F)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。各AGV10の位置と1対1で対応関係を有する地図であれば、データの形式は問わない。たとえば地図DB55に格納される地図は、CADによって作成された地図であってもよい。
位置DB53および地図DB55は、不揮発性の半導体メモリ上に構築されてもよいし、ハードディスクに代表される磁気記録媒体、または光ディスクに代表される光学式記録媒体上に構築されてもよい。
画像処理回路56はモニタ59に表示される映像のデータを生成する回路である。画像処理回路56は、専ら、管理者が運行管理装置50を操作する際に動作する。本実施形態では特にこれ以上の詳細な説明は省略する。なお、モニタ59は運行管理装置50と一体化されていてもよい。また画像処理回路56の処理をCPU51が行ってもよい。
電波環境地図DB57は、最新の電波環境地図52を格納する。CPU51は、AGV10から状態データを受信すると、状態データに基づいて、当該AGV10の位置または当該AGV10と通信したワイヤレスAP2の位置を含む領域が、第1種領域に該当するか、第2種領域に該当するかを判定する。判定結果を電波環境地図52に反映することにより、CPU51は電波環境地図52を最新の状態に更新できる。
(6)運行管理装置の動作
図16を参照しながら、運行管理装置50の基本的な動作を説明する。図16は、運行管理装置50によって決定されたAGV10の移動経路の一例を模式的に示す図である。
AGV10および運行管理装置50の一般的な動作の概要は以下のとおりである。以下では、あるAGV10が現在、位置Mにおり、幾つかの位置を通過して、最終的な目的地である位置Mn+1(n:1以上の正の整数)まで走行する例を説明する。なお、位置DB53には位置Mの次に通過すべき位置M、位置Mの次に通過すべき位置M等の各位置を示す座標値が記録されている。
運行管理装置50のCPU51は、位置DB53を参照して位置MからMn+1までの座標値を読み出して、各座標値を通過すべき順に並べた誘導指令を生成する。通信回路54は、ワイヤレスAP2を介して誘導指令をAGV10に送信する。
CPU51は、AGV10から、ワイヤレスAP2を介して、定期的に現在位置および姿勢を示すデータを受信する。こうして運行管理装置50は、各AGV10の位置をトラッキングすることができる。CPU51は、AGV10の現在位置が位置Mn+1に一致したと判定するまでトラッキングを継続する。AGV10がMn+1に到達すると、トラッキングを終了する。
運行管理装置50は、他の方法によって各AGV10を誘導することもできる。具体的には、運行管理装置50は、AGV10が指定した地点に到着すると、次の地点を指定する誘導指令を送信してもよい。つまり、一連の通過地点を指定した移動経路ではなく、都度通過始点を指定する誘導指令を生成してもよい。AGV10が位置Mに存在するとき、運行管理装置50は、位置Mの座標値を読み出し、位置Mに向かわせる誘導指令を生成してAGV10に送信する。位置Mに到着すると、次に運行管理装置50は位置Mの座標値を読み出し、位置Mに向かわせる誘導指令を生成してAGV10に送信する。上述の処理を、最終地点である位置Mn+1に到着するまで継続する。
上述の方法によって運行管理装置50が誘導指令を送信する場合には、AGV10とワイヤレスAP2との間の通信が切断されても、運行管理装置50はAGV10のおおよその位置を把握することができる。例えば運行管理装置50は、AGV10が、直前の誘導指令に基づく移動完了後の位置と、現在の誘導指令に基づく移動先の位置との間に存在していると推定することができる。これにより、AGV10から受信されるはずの状態データ32を取得できなくなった場合でも、運行管理装置50は各AGV10のおおよその位置を取得できる。直前の誘導指令に基づく移動完了後の位置に代えて、状態データ32が最後に取得されていた位置を用いると、AGV10の位置精度をより高めることができる。これにより、通信ができない領域をより精度良く特定することが可能になる。
運行管理装置50が通過地点を都度指定する誘導指令を生成する場合であっても、誘導指令生成時点の最新の電波環境地図52を参照することにより、第1種領域を避け、第2種領域内の位置を指定してもよい。
上述の実施形態の説明では、一例として二次元空間(床面)を走行するAGVを挙げた。しかしながら本開示は三次元空間を移動する移動体、たとえば飛行体(ドローン)、にも適用され得る。ドローンが飛行しながら三次元空間地図を作成する場合には、二次元空間を三次元空間に拡張することができる。
上記の包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または記録媒体によって実現されてもよい。あるいは、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、および記録媒体の任意な組み合わせによって実現されてもよい。
本開示の移動体管理システムは、工場、倉庫、建設現場、物流、病院などで荷物、部品、完成品などの物の移動および搬送に好適に利用され得る。
1 ユーザ、 2a、2b アクセスポイント、 10 AGV(移動体)、 11a、11b 駆動輪(車輪)、 11c、11d、11e、11f キャスター、 12 フレーム、 13 搬送テーブル、 14 走行制御装置、 14a マイコン、 14b メモリ、 14c 記憶装置、 14d 通信回路、 14e 測位装置、 16a、16b モータ、 15 レーザレンジファインダ、 17a、17b モータ駆動回路、 20 端末装置(タブレットコンピュータなどのモバイルコンピュータ)、 21 CPU、 22 メモリ、 23 通信回路、 24 画像処理回路、 25 ディスプレイ、 26 タッチスクリーンセンサ、 50 運行管理装置、 51 CPU、 52 メモリ、 53 位置データベース(位置DB)、 54 通信回路、 55 地図データベース(地図DB)、 56 画像処理回路、 57 電波環境地図データベース(電波環境地図DB)、 100、200 移動体管理システム、 105 AP制御装置105、 A1 通信状態が悪化している領域(第1種領域)、 A2 通信状態が良好な領域(第2種領域)、 R1 第1誘導指令で指定された移動経路、 R2 第2誘導指令で指定された移動経路、 M 移動空間の全体地図

Claims (11)

  1. 各々が、誘導指令に従って移動する複数の移動体と、
    各移動体に前記誘導指令を送信する運行管理装置と、
    前記各移動体と無線によって接続され、かつ、前記運行管理装置と無線または有線によって接続されて、前記各移動体と前記運行管理装置との間の通信を中継する少なくとも1台のワイヤレスアクセスポイントと
    を備え、
    前記各移動体は、所定のワイヤレスアクセスポイントと通信することによって通信状態を示す状態データを生成して、前記所定のワイヤレスアクセスポイントを介して外部に送信し、
    前記運行管理装置は、前記各移動体から取得した前記状態データを利用して、前記第1誘導指令が、通信の維持が困難であることを示す条件に合致する場合には、前記第1誘導指令を第2誘導指令に変更する、移動体管理システム。
  2. 前記誘導指令は前記移動体の移動経路を指定する指令であり、
    前記第1誘導指令が第1移動経路を指定し、前記第2誘導指令が前記第1移動経路とは異なる第2移動経路を指定するときにおいて、
    前記運行管理装置は、前記第1移動経路が、前記通信状態が予め定められた基準未満である第1種領域を通過する経路である場合には、前記第1誘導指令を前記第2誘導指令に変更する、請求項1に記載の移動体管理システム。
  3. 前記第2移動経路は、前記通信状態が予め定められた前記基準以上の第2種領域のみを通過する経路である、請求項1に記載の移動体管理システム。
  4. 前記各移動体は、現在の誘導指令に従って移動しながら、周期的または断続的に前記状態データを生成して外部に送信する、請求項1から3のいずれかに記載の移動体管理システム。
  5. 前記運行管理装置は、
    前記各移動体から前記状態データを受信し、前記各移動体へ誘導指令を送信する第1通信回路と、
    前記各移動体から受信した前記状態データに基づいて、前記各移動体の前記第1誘導指令ごとに、前記第1移動経路が前記第1種領域を通過するか否かを判定し、通過する場合には前記第2移動経路を決定して、前記第1誘導指令を前記第2誘導指令に変更する信号処理回路と
    を備える請求項1から4のいずれかに記載の移動体管理システム。
  6. 前記各移動体は、
    モータと、
    前記モータを制御して前記移動体を移動させる駆動装置と、
    前記少なくとも1台のワイヤレスアクセスポイントと無線によって接続し、前記運行管理装置と通信する第2通信回路と、
    前記駆動装置および前記第2通信回路を制御する制御回路とを有し、
    前記第2通信回路は、
    前記所定のワイヤレスアクセスポイントとの間で接続を確立して、前記所定のワイヤレスアクセスポイントとの間で無線信号を送信し、または受信し、
    前記無線信号を利用して前記状態データを取得し、
    取得した前記状態データを、前記所定のワイヤレスアクセスポイントを介して外部に送信する、
    請求項5に記載の移動体管理システム。
  7. 前記移動体は、
    移動する空間の地図データを記憶するメモリと、
    周囲の空間をセンシングしてセンサデータを出力するセンサと、
    前記センサデータを前記地図データと照合し、少なくとも現在の自己位置を示す位置データを出力する測位装置と
    をさらに備え、
    前記第2通信回路は前記位置データをさらに送信し、
    前記運行管理装置の前記信号処理回路は、前記各移動体から受信した前記位置データおよび前記状態データに基づいて、前記各移動体が移動した空間内の前記通信状態を反映した通信環境地図を作成する、請求項6に記載の移動体管理システム。
  8. 前記運行管理装置の前記信号処理回路は、前記第1種領域および前記第2種領域を識別可能に分類した、前記通信環境地図を作成する、請求項7に記載の移動体管理システム。
  9. 前記第2通信回路が前記少なくとも1台のワイヤレスアクセスポイントと通信できないときは、前記移動体は移動を継続し、前記少なくとも1台のワイヤレスアクセスポイントと通信が可能になった後に、前記状態データおよび前記位置データを送信する、請求項7または8に記載の移動体管理システム。
  10. 前記通信状態は、無線信号の受信レベルおよび信号品質の少なくとも1つである、請求項1から9のいずれかに記載の移動体管理システム。
  11. 前記少なくとも1台のワイヤレスアクセスポイントの動作を制御するアクセスポイント制御装置をさらに備え、
    前記アクセスポイント制御装置は前記各移動体から前記状態データを受信し、
    前記運行管理装置は、前記アクセスポイント制御装置から前記各移動体の前記状態データを取得する、請求項1から10のいずれかに記載の移動体管理システム。
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