JP2019145343A - 非水電解質、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法 - Google Patents

非水電解質、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フッ素化環状カーボネートを含む非水電解質であって、非水電解質蓄電素子を高温環境下で保存した後の直流抵抗の増加率を低減できる非水電解質、並びにこのような非水電解質を備える非水電解質蓄電素子、及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の一態様は、フッ素化環状カーボネート及び環状ホウ素化合物を含有し、上記環状ホウ素化合物が、六員環構造を有するホウ素化合物、又は五員環構造を有し、1のホウ素原子に結合する、電気陰性度が酸素原子の電気陰性度以上である原子の数が2以下であるホウ素化合物である蓄電素子用の非水電解質である。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極と、この電極間に介在する非水電解質とを有し、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
一般的に、上記非水電解質蓄電素子の非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解する電解質塩とを含む。この非水電解質においては、性能改善のために、各種添加剤や溶媒が選択されて用いられている。例えば、フッ素化エチレンカーボネート等のフッ素化環状カーボネートを含有する非水電解質を用いた二次電池が知られている(特許文献1、2参照)。
特開2008−243810号公報 国際公開第2013/100081号
上記のようなフッ素化環状カーボネートを含有する非水電解質を用いた蓄電素子は、高温環境下(例えば、45℃)での高電圧(例えば、充電終止時の正極電位として4.4V(vs.Li/Li))の充放電サイクルにおける容量維持率が改善される。しかし、フッ素化環状カーボネートを含有する非水電解質を用いた蓄電素子は、高温環境下で保存した後の直流抵抗の増加率が高いという不都合を有する。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、フッ素化環状カーボネートを含む非水電解質であって、非水電解質蓄電素子を高温環境下で保存した後の直流抵抗の増加率を低減できる非水電解質、並びにこのような非水電解質を備える非水電解質蓄電素子、及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、フッ素化環状カーボネート及び環状ホウ素化合物を含有し、上記環状ホウ素化合物が、六員環構造を有するホウ素化合物、又は五員環構造を有し、1のホウ素原子に結合する、電気陰性度が酸素原子の電気陰性度以上である原子の数が2以下であるホウ素化合物である蓄電素子用の非水電解質である。
本発明の他の一態様は、当該非水電解質を備える非水電解質蓄電素子である。
本発明の他の一態様は、当該非水電解質を容器に注入することを備える非水電解質蓄電素子の製造方法である。
本発明によれば、フッ素化環状カーボネートを含む非水電解質であって、非水電解質蓄電素子を高温環境下で保存した後の直流抵抗の増加率を低減できる非水電解質、並びにこのような非水電解質を備える非水電解質蓄電素子、及びその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子を示す外観斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図である。
本発明の一態様に係る非水電解質は、フッ素化環状カーボネート及び環状ホウ素化合物を含有し、上記環状ホウ素化合物が、六員環構造を有するホウ素化合物(a)、又は五員環構造を有し、1のホウ素原子に結合する、電気陰性度が酸素原子の電気陰性度以上である原子の数が2以下であるホウ素化合物(b)である蓄電素子用の非水電解質である。
当該非水電解質は、フッ素化環状カーボネートを含む非水電解質でありながら、非水電解質蓄電素子を高温環境下で保存した後の直流抵抗の増加率を低減することができる。この理由は定かでは無いが、以下の理由が推測される。当該非水電解質に含有される環状ホウ素化合物は、六員環又は五員環構造を有する。環状ホウ素化合物がこのような環状構造を有することで、環状構造の分解に伴う重合等の反応による電極表面への皮膜形成が進行しやすい。なお、上記環状ホウ素化合物が五員環構造を有する場合、六員環構造を有するものと比べて安定性が低い。このような五員環構造を有する環状ホウ素化合物において、1のホウ素原子に結合する、電気陰性度が酸素原子の電気陰性度以上である原子の数が2より多い場合、このホウ素原子が大きく電子求引された状態となるため、より不安定になる。このような安定性の低い環状ホウ素化合物の場合、過剰に皮膜が形成されると推測される。すなわち、当該非水電解質においては、六員環構造を有するホウ素化合物(a)、又は五員環構造を有し、かつ特定の構造を有するホウ素化合物(b)により、電極表面に皮膜が適度に形成され、この皮膜により、非水電解質蓄電素子を高温環境下で保存した後の直流抵抗の増加率が低くなるものと推測される。また、当該非水電解質はフッ素化環状カーボネートを含有するため、当該非水電解質を用いることで、非水電解質蓄電素子の高温環境下での高電圧の充放電サイクルにおける容量維持率が高くなる。上記環状ホウ素化合物は、フッ素化環状カーボネートが容量維持率を改善する作用を阻害し難いと推測される。
なお、電気陰性度は、オールレッド・ロコウの電気陰性度によるものとする。
上記環状ホウ素化合物が有する1の環構造に含まれるホウ素原子の数が1以下であることが好ましい。このような場合、非水電解質蓄電素子を高温環境下で保存した後の直流抵抗の増加率をより低くすることができる。この理由も定かではないが、上記環状ホウ素化合物がこのような環構造を有する場合、環構造の安定性、すなわち反応性がより適度な状態となり、形成される皮膜の状態が好適化されるためと推測される。
上記環状ホウ素化合物が有する環構造が、ホウ素原子、及びこのホウ素原子に結合する2の酸素原子を含むことが好ましい。このような場合、非水電解質蓄電素子を高温環境下で保存した後の直流抵抗の増加率をより低くすることができる。この理由も定かではないが、上記環状ホウ素化合物がこのような環構造を有する場合、環構造の安定性、すなわち反応性がより適度な状態となり、形成される皮膜の状態が好適化されるためと推測される。
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子は、非水電解質を備える非水電解質蓄電素子(以下、単に「蓄電素子」ともいう。)である。当該蓄電素子は、高温環境下での高電圧の充放電サイクルにおける容量維持率が高く、かつ、高温環境下で保存した後の直流抵抗の増加率が低い。
当該蓄電素子における通常使用時の充電終止電圧における正極電位が、4.4V(vs.Li/Li)以上であることが好ましい。当該蓄電素子は、高温環境下での高電圧での充放電サイクルにおける容量維持率が高いため、このように通常使用時の充電終止電圧における正極電位が比較的高い充電条件で用いられる蓄電素子である場合に、この効果を特に十分に発揮することができる。ここで、通常使用時とは、当該蓄電素子について推奨され、又は指定される充電条件を採用して当該蓄電素子を使用する場合であり、当該蓄電素子のための充電器が用意されている場合は、その充電器を適用して当該蓄電素子を使用する場合をいう。なお、例えば、黒鉛を負極活物質とする蓄電素子では、設計にもよるが、充電終止電圧が5.0Vのとき、正極電位は約5.1V(vs.Li/Li)である。
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、当該非水電解質を容器に注入することを備える非水電解質蓄電素子の製造方法である。
当該製造方法によれば、高温環境下での高電圧の充放電サイクルにおける容量維持率が高く、かつ、高温環境下で保存した後の直流抵抗の増加率が低い非水電解質蓄電素子を製造することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る非水電解質、非水電解質蓄電素子、及び非水電解質蓄電素子の製造方法について詳説する。
<非水電解質>
本発明の一実施形態に係る非水電解質は、蓄電素子の非水電解質として用いられる。当該非水電解質は、フッ素化環状カーボネート及び環状ホウ素化合物を含有する。
(フッ素化環状カーボネート)
上記フッ素化環状カーボネートは、当該非水電解質における非水溶媒である。フッ素化環状カーボネートとは、環状カーボネートが有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された化合物をいう。
上記フッ素化環状カーボネートとしては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネート、テトラフルオロエチレンカーボネート、(フルオロメチル)エチレンカーボネート、(ジフルオロメチル)エチレンカーボネート、(トリフルオロメチル)エチレンカーボネート、ビス(フルオロメチル)エチレンカーボネート、ビス(ジフルオロメチル)エチレンカーボネート、ビス(トリフルオロメチル)エチレンカーボネート、(フルオロエチル)エチレンカーボネート、(ジフルオロエチル)エチレンカーボネート、(トリフルオロエチル)エチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート等を挙げることができる。フッ素化環状カーボネートとしては、FECが好ましい。上記フッ素化環状カーボネートは、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
上記非水電解質の非水溶媒に占めるフッ素化環状カーボネートの含有量の下限としては、1体積%が好ましく、3体積%がより好ましく、5体積%がさらに好ましい。フッ素化環状カーボネートの含有量を上記下限以上とすることで、蓄電素子の高温環境下での高電圧の充放電サイクルにおける容量維持率をより高めることができる。一方、この含有量の上限としては、例えば50体積%が好ましく、30体積%がより好ましく、20体積%がさらに好ましく、15体積%がよりさらに好ましい。フッ素化環状カーボネートの含有量を上記上限以下とすることで、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル性能をより十分なものとすることができると共に、高価なフッ素化環状カーボネートの使用量を抑え、当該非水電解質自体のコストの上昇を抑えることもできる。
(他の非水溶媒)
当該非水電解質は、上記フッ素化環状カーボネート以外の非水溶媒を含むことができる他の非水溶媒としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の非水溶媒として通常用いられる公知の非水溶媒を用いることができる。上記非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、フッ素化鎖状カーボネート、エステル、エーテル、アミド、スルホン、ラクトン、ニトリル等を挙げることができる。これらの中でも、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを少なくとも用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。
上記環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、スチレンカーボネート、1−フェニルビニレンカーボネート、1,2−ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。環状カーボネートは、水素原子の一部又は全部がフッ素原子以外の原子又は置換基で置換されたものであってもよいが、置換されていないものが好ましい。環状カーボネートとしては、EC、PC及びBCが好ましく、PC及びBCがより好ましく、PCがさらに好ましい。
上記非水溶媒に占める環状カーボネートの含有量の下限としては、1体積%が好ましく、5体積%がより好ましい。一方、この含有量の上限としては、40体積%が好ましく、20体積%がより好ましい。
上記鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート等を挙げることができる。鎖状カーボネートは、水素原子の一部又は全部が他の原子又は置換基で置換されたものであってもよいが、置換されていないものが好ましい。鎖状カーボネートとしては、DEC、DMC及びEMCが好ましく、EMCがより好ましい。
上記非水溶媒に占める鎖状カーボネートの含有量の下限としては、50体積%が好ましく、70体積%がより好ましい。一方、この含有量の上限としては、95体積%が好ましく、90体積%がより好ましい。
上記非水溶媒におけるフッ素化環状カーボネート、環状カーボネート及び鎖状カーボネートの合計含有量の下限は、80体積%が好ましく、95体積%がより好ましく、99体積%がより好ましい。この合計含有量の上限は、100体積%であってよい。
上記非水溶媒の組成を上記のようにすることで、誘電率、粘度等が適度になることなどにより、蓄電素子の容量維持率等をさらに改善することなどができる。
(環状ホウ素化合物)
上記環状ホウ素化合物は、六員環構造を有するホウ素化合物(a)、又は五員環構造を有するホウ素化合物(b)である。但し、五員環構造を有するホウ素化合物(b)においては、1のホウ素原子に結合する、電気陰性度が酸素原子の電気陰性度以上である原子の数が2以下である。ホウ素化合物(b)のホウ素原子に結合する原子としては、炭素、酸素及びホウ素を挙げることができる。ホウ素化合物(b)において、1のホウ素原子に結合する酸素は2以下であることが好ましく、2であることがより好ましい。
環状ホウ素化合物とは、環構造を有し、かつホウ素原子を含む化合物である。上記環状ホウ素化合物において、ホウ素原子は、環構造に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよいが、ホウ素原子は環構造に含まれていることが好ましい。上記環状ホウ素化合物のうち、環構造にホウ素原子が含まれない化合物としては、シクロヘキシルボロン酸、ホウ酸トリフェニルなどが挙げられる。上記環状ホウ素化合物が有する1の環構造に含まれるホウ素原子の数は、1以下であることが好ましく、1であることがより好ましい。
上記環状ホウ素化合物が有する環構造は、ホウ素原子、及びこのホウ素原子に結合する2の酸素原子を含むことが好ましい。このような環構造を有する化合物としては、ホウ酸エステル、ボロン酸エステル及びジボロン酸エステルが挙げられる。また、このような好適な環状ホウ素化合物としては、下記式(1)又は式(2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2019145343
式(1)中、Rは、炭化水素基、アルコキシ基又は−B(ORで表される基である。上記炭化水素基及びアルコキシ基が有する水素原子の一部又は全部は、上記−B(ORで表される基で置換されていてもよい。Rは、それぞれ独立して、炭化水素基である。2つのRは、互いに結合して、これらと連結する原子と共に、五員環又は六員環の環構造を形成してもよい。
〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。
式(2)中、Rは、炭化水素基又は−B(ORで表される基である。上記炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、上記−B(ORで表される基で置換されていてもよい。Rは、それぞれ独立して、炭化水素基である。2つのRは、互いに結合して、これらと連結する原子と共に、五員環又は六員環の環構造を形成してもよい。
〜R12は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。
(上記式(1)で表される化合物)
上記式(1)で表される化合物は、六員環構造を有するホウ素化合物(a)の好ましい形態である。上記式(1)におけるRが炭化水素基の場合、この化合物はボロン酸エステルである。Rがアルコキシ基の場合、この化合物はホウ酸エステルである。Rが−B(ORで表される基である場合、この化合物はジボロン酸エステルである。
上記Rにおける炭化水素基としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などの1価の脂肪族鎖状炭化水素基;
シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、
シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基などの1価の脂環式炭化水素基;及び
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ベンジル等の1価の芳香族炭化水素基を挙げることができる。
上記炭化水素基の炭素数の上限としては、例えば12であり、6が好ましく、3がより好ましい。この炭素数の下限は1である。
上記Rにおけるアルコキシ基は、炭化水素基が酸素原子に結合した構造を有する。このアルコキシ基が有する炭化水素基としては、Rにおける炭化水素基として上述したものを挙げることができる。
上記Rにおける炭化水素基としては、Rにおける炭化水素基として上述したものを挙げることができる。
上記−B(ORで表される基において、2つのRが、互いに結合して、これらと連結する原子と共に、五員環又は六員環の環構造を形成した基としては、下記式(3)で表される基を挙げることができる。
Figure 2019145343
式(3)中、R13〜R18は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。nは、0又は1である。*は、結合箇所を示す。
上記R13〜R18におけるアルキル基としては、Rにおけるアルキル基として上述したものを挙げることができる。
上記Rとしては、アルコキシ基及び−B(ORで表される基が好ましい。アルコキシ基としては、アルキル基が酸素原子に結合した構造を有する基が好ましい。このアルキル基の炭素数の上限としては、6が好ましく、3がより好ましい。上記アルコキシ基の中でも、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基が好ましく、エトキシ基がより好ましい。−B(ORで表される基の中では、上記式(3)で表される基が好ましい。このとき、式(3)のR13〜R18としては、水素原子及び炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。また、R13、R14、R17及びR18のうちの少なくとも1つが、アルキル基であることが好ましい。nは、1であることが好ましい。
上記R〜Rとしては、水素原子及び炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。また、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つが、アルキル基であることが好ましい。
(上記式(2)で表される化合物)
上記式(2)で表される化合物は、五員環構造を有するホウ素化合物(b)の好ましい形態である。上記式(2)におけるRが炭化水素基の場合、この化合物はボロン酸エステルである。Rが−B(ORで表される基である場合、この化合物はジボロン酸エステルである。
上記R及びRにおける炭化水素基としては、Rにおける炭化水素基として上述したものを挙げることができる。
上記−B(ORで表される基において、2つのRが、互いに結合して、これらと連結する原子と共に、五員環又は六員環の環構造を形成した基としては、上記式(3)で表される基を挙げることができる。
上記Rで表される炭化水素基の炭素数の上限としては、6が好ましく、3がより好ましい。また、この炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基及びプロピル基が好ましく、エチル基がより好ましい。−B(ORで表される基の中では、上記式(3)で表される基が好ましい。このとき、式(3)のR13〜R18としては、水素原子及び炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。また、R13、R14、R17及びR18のうちの少なくとも1つが、アルキル基であることが好ましく、これらの全てがアルキル基であることがより好ましい。nは、0であることが好ましい。
上記R〜R12としては、水素原子及び炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
当該非水電解質における上記環状ホウ素化合物の含有量の下限としては、0.01質量%が好ましく、0.05質量%がより好ましく、0.1質量%がさらに好ましく、0.3質量%がよりさらに好ましく、0.7質量%がよりさらに好ましいこともある。環状ホウ素化合物の含有量を上記下限以上とすることで、蓄電素子を高温環境下で保存した後の直流抵抗の増加率をより低くすることができる。一方、この含有量の上限としては、5質量%が好ましく、3質量%がより好ましく、2質量%がさらに好ましく、1質量%がよりさらに好ましく、0.8質量%が特に好ましいことがある。環状ホウ素化合物の含有量を上記上限以下とすることで、蓄電素子の高温環境下での高電圧の充放電サイクルにおける容量維持率がより高まる傾向にある。
(電解質塩)
当該非水電解質は、通常、非水溶媒に溶解している電解質塩を含有する。上記電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができるが、リチウム塩が好ましい。上記リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiPF(C、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のフッ化炭化水素基を有するリチウム塩などを挙げることができる。
上記リチウム塩の中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
当該非水電解質における上記電解質塩の含有量の下限としては、0.1mol/dmが好ましく、0.3mol/dmがより好ましく、0.5mol/dmがさらに好ましく、0.8mol/dmが特に好ましい。一方、この上限としては、特に限定されないが、2.5mol/dmが好ましく、2mol/dmがより好ましく、1.5mol/dmがさらに好ましい。
当該非水電解質には、その他の添加剤が添加されていてもよい。但し、当該非水電解質における非水溶媒(フッ素化環状カーボネートを含む)、環状ホウ素化合物及び電解質塩以外の成分の含有量の上限としては、5質量%が好ましい場合があり、1質量%がより好ましい場合があり、0.1質量%がさらに好ましい場合がある。
<非水電解質蓄電素子>
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正極、負極及び非水電解質を有する。以下、蓄電素子の一例として、二次電池について説明する。上記正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回により交互に重畳された電極体を形成する。この電極体は容器に収納され、この容器内に非水電解質が充填される。上記非水電解質は、正極と負極との間に介在する。また、上記容器としては、二次電池の容器として通常用いられる公知の金属容器、樹脂容器等を用いることができる。
(正極)
上記正極は、正極基材、及びこの正極基材に直接又は中間層を介して配される正極合材層を有する。
上記正極基材は、導電性を有する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形成形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS−H−4000(2014年)に規定されるA1085P、A3003P等が例示できる。
上記中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極合材層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダ及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。なお、「導電性」を有するとは、JIS−H−0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が10Ω・cm超であることを意味する。
上記正極合材層は、正極活物質を含むいわゆる正極合材から形成される層である。この正極合材は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
上記正極活物質は、通常、金属酸化物が使用される。具体的な正極活物質としては、例えばLiMO(Mは少なくとも一種の遷移金属を表す)で表される複合酸化物(層状のα―NaFeO型結晶構造を有するLiCoO,LiNiO,LiMnO,LiNiαCo(1−α),LiNiαMnβCo(1−α−β)等、スピネル型結晶構造を有するLiMn,LiNiαMn(2−α)等)、LiMe(XO(Meは少なくとも一種の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、V等を表す)で表されるポリアニオン化合物(LiFePO,LiMnPO,LiNiPO,LiCoPO,Li(PO,LiMnSiO,LiCoPOF等)が挙げられる。これらの化合物中の元素又はポリアニオンは、他の元素又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。正極合材層においては、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記導電剤としては、蓄電素子性能に悪影響を与えない導電性材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、天然又は人造の黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、金属、導電性セラミックス等が挙げられ、アセチレンブラックが好ましい。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。
上記バインダー(結着剤)としては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。
上記フィラーとしては、電池性能に悪影響を与えないものであれば特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス等が挙げられる。
(負極)
上記負極は、負極基材、及びこの負極基材に直接又は中間層を介して配される負極合材層を有する。上記中間層は正極の中間層と同様の構成とすることができる。
上記負極基材は、正極基材と同様の構成とすることができるが、材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はそれらの合金が用いられ、銅又は銅合金が好ましい。つまり、負極基材としては銅箔が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。
上記負極合材層は、負極活物質を含むいわゆる負極合材から形成される。また、負極合材層を形成する負極合材は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等の任意成分は、正極合材層と同様のものを用いることができる。
上記負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材質が用いられる。具体的な負極活物質としては、例えばSi、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;ポリリン酸化合物;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。
さらに、負極合材(負極合材層)は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を含有してもよい。
(セパレータ)
上記セパレータの材質としては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。上記セパレータの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。
なお、セパレータと電極(通常、正極)との間に、無機層が配設されていても良い。この無機層は、耐熱層等とも呼ばれる多孔質の層である。また、多孔質樹脂フィルムの一方の面に無機層が形成されたセパレータを用いることもできる。上記無機層は、通常、無機粒子及びバインダとで構成され、その他の成分が含有されていてもよい。無機粒子としては、Al、SiO、アルミノシリケート等が好ましい。
(非水電解質)
当該二次電池(蓄電素子)に用いられる非水電解質は、上述した本発明の一実施形態に係る非水電解質である。
当該二次電池(蓄電素子)は、高温環境下での高電圧の充放電サイクルにおける容量維持率が高いため、高い作動電圧で用いることができる。例えば、当該二次電池の通常使用時の充電終止電圧における正極電位は、例えば4.0V(vs.Li/Li)以上であってもよいが、4.4V(vs.Li/Li)以上が好ましい。一方、この通常使用時の充電終止電圧における正極電位の上限は、例えば5.1V(vs.Li/Li)であり、5.0V(vs.Li/Li)であってもよい。
<非水電解質蓄電素子の製造方法>
当該蓄電素子は、以下の方法により製造することが好ましい。すなわち、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、非水電解質を容器に注入すること(非水電解質注入工程)を備える。
(非水電解質注入工程)
上記非水電解質注入工程は、非水電解質として、上述した本発明の一実施形態に係る非水電解質を用いること以外は、公知の方法により行うことができる。すなわち、当該非水電解質を調製し、調製した非水電解質を容器に注入すればよい。
当該製造方法は、上記非水電解質注入工程の他、以下の工程等を有していてもよい。すなわち、当該製造方法は、例えば、正極を作製する工程、負極を作製する工程、正極及び負極を、セパレータを介して積層又は巻回することにより交互に重畳された電極体を形成する工程、並びに正極及び負極(電極体)を容器に収容する工程を備えることができる。通常、電極体を容器に収容した後、非水電解質を容器に注入するが、この順番は逆であってもよい。これらの工程の後、注入口を封止することにより二次電池(非水電解質蓄電素子)を得ることができる。
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、上記正極又は負極において、中間層を設けなくてもよい。また、当該非水電解質蓄電素子の正極及び負極は、明確な層構造を有していなくてもよい。例えば上記正極は、メッシュ状の正極基材に正極合材が担持された構造などであってもよい。
また、上記実施の形態においては、非水電解質蓄電素子が非水電解質二次電池である形態を中心に説明したが、その他の非水電解質蓄電素子であってもよい。その他の非水電解質蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等が挙げられる。
図1に、本発明に係る非水電解質蓄電素子の一実施形態である矩形状の非水電解質蓄電素子1(非水電解質二次電池)の概略図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図1に示す非水電解質蓄電素子1は、電極体2が容器3に収納されている。電極体2は、正極合材を備える正極と、負極合材を備える負極とが、セパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。また、容器3には、本発明の一実施形態に係る非水電解質が注入されている。
本発明に係る非水電解質蓄電素子の構成については特に限定されるものではなく、円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。本発明は、上記の非水電解質蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。蓄電装置の一実施形態を図2に示す。図2において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解質蓄電素子1を備えている。上記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例及び参考例で用いた非水溶媒の略称、及びホウ素化合物を以下に示す。
EC :エチレンカーボネート
EMC:エチルメチルカーボネート
FEC:フルオロエチレンカーボネート
PC :プロピレンカーボネート
Figure 2019145343
[実施例1]
(非水電解質の調製)
FECとPCとEMCとを体積比10:10:80で混合し、非水溶媒とした。この非水溶媒に、電解質塩としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を1.2mol/dmの含有量となるように、また、添加剤として上記式(A1)で表される化合物(A1)を0.2質量%の含有量となるようにそれぞれ溶解させ、非水電解質を調製した。
(正極の作製)
正極活物質として、LiNi1/3Mn1/3Co1/3を用いた。質量比で、正極活物質:ポリフッ化ビニリデン(PVdF):アセチレンブラック(AB)=94:3:3の割合(固形物換算)で含み、N−メチルピロリドンを分散媒とする正極ペーストを作製した。この正極ペーストを正極活物質が単位電極面積あたり18.6mg/cm含まれるように、正極基材としての帯状のアルミニウム箔の両面に塗布した。これをローラープレス機により加圧して正極合材層を成型した後、100℃で14時間減圧乾燥して、極板中の液分を除去した。このようにして正極を得た。
(負極の作製)
負極活物質として、黒鉛を用いた。質量比で、負極活物質(黒鉛):スチレンブタジエンゴム(SBR):カルボキシメチルセルロース(CMC)=97:2:1の割合(固形分換算)で含み、水を分散媒とする負極ペーストを作製した。この負極ペーストを、負極活物質が単位電極面積あたり9.9mg/cm含まれるように、負極基材としての帯状の銅箔集電体の両面に塗布した。これをローラープレス機により加圧して負極合材層を成型した後、100℃で12時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去した。このようにして負極を得た。
(非水電解質蓄電素子の作製)
セパレータとして、無機層が塗工されたポリオレフィン製微多孔膜を用いた。このセパレータを介して、上記正極と上記負極とを積層することにより電極体を作製した。この電極体をアルミニウム製の角形電槽缶に収納し、正極端子及び負極端子を取り付けた。この容器(角形電槽缶)内部に上記非水電解質を注入した後、封口し、実施例1の非水電解質蓄電素子(二次電池)を得た。
[実施例2〜8、比較例1〜3、参考例1〜2]
非水溶媒の種類及び体積比、電解質塩の含有量、並びに添加剤の種類及び含有量を表1、2に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜8、比較例1〜3及び参考例1〜2の各非水電解質及び非水電解質蓄電素子を得た。なお、表の添加剤の欄中の「−」は相当する添加剤を用いていないことを示す。また、比較例1については、表1、2の双方に記載している。
[評価]
(初期充放電)
得られた各非水電解質蓄電素子について、以下の条件にて初期充放電を行った。25℃で4.30Vまで充電電流0.2Cの定電流にて充電したのちに、4.30Vで定電圧充電(CCCV)した。充電の終了条件は、8時間とした。その後、25℃で2.75Vまで0.2Cの定電流で放電した。2サイクル目は、25℃で4.30Vまで1Cの定電流充電したのちに、4.30Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、3時間とした。その後、25℃で2.75Vまで1Cの定電流で放電した。全てのサイクルにおいて、充電後及び放電後に、10分間の休止時間を設定した。
(45℃充放電サイクル試験:容量維持率)
初期充放電後の各非水電解質蓄電素子を、45℃の恒温槽内に5時間保管した後、4.30Vまで充電電流1Cの定電流にて充電したのちに、4.30Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、3時間とした。その後、2.75Vまで1.0Cの定電流で放電した。全てのサイクルにおいて、充電後及び放電後に、10分間の休止時間を設定した。これら充電及び放電の工程を1サイクルとして、このサイクルを200サイクル繰り返した。充電、放電及び休止ともに、45℃の恒温槽内で行った。1サイクル目の放電容量に対する200サイクル目の放電容量を容量維持率(%)として表1、2に示す。なお、この試験における容量維持率が80%以上である場合、高温環境下での高電圧の充放電サイクルにおける容量維持率が高いと判断できる。また、参考例1については、180サイクルによる評価である。
(DCR増加率)
得られた各非水電解質蓄電素子について、上記と同様に初期充放電を行った。その後、25℃にて、電流1Cの定電流充電を行い、SOC(State of Charge)を50%にした後、25℃にて電流0.2C、0.5C、1.0Cの順で、30秒間ずつ放電した。各放電電流における電流と放電開始後10秒目の電圧との関係をプロットし、3点のプロットから得られた直線の傾きから直流抵抗を初期DCRとして求めた。
次いで、25℃にて、電流1.0C、電圧4.30V、3時間の定電流定電圧充電を行った。次に、電池を開回路状態とし、45℃の恒温槽中に15日間保存した。その後、初期DCRと同様の手法により、15日後の直流抵抗(DCR)を求めた。初期DCRと、45℃で15日保存後のDCRとから求めたDCR増加率を表1、2に示す。なお、この試験におけるDCR増加率が18.0%以下である場合、高温環境下で保存した後の直流抵抗の増加率が低いと判断できる。
(ACR増加率)
参考評価として、上記初期充放電後の1kHzの交流抵抗(初期ACR)と、上記DCR増加率の試験と同様に45℃の恒温槽中に15日保存した後の1kHzのACRとを求めた。初期ACRと45℃で15日保存後のACRとから求めたACR増加率を表1、2に示す。
Figure 2019145343
Figure 2019145343
上記表1から以下のことがわかる。参考例1と比較例1とを比較すると、非水溶媒にフッ素化環状カーボネートであるFECを用いることで、高電圧での充放電サイクル後の容量維持率が改善されるが、高温下で保管後のDCR増加率が高くなる。フッ素化環状カーボネートを含む非水溶媒に、環構造を有さないホウ素化合物(x)を添加した比較例2においても、上記DCR増加率は改善されない。これに対し、フッ素化環状カーボネートを含む非水溶媒に、五員環構造を有するホウ素化合物(A1、A2、A3)を添加した実施例1〜5においては、十分に高い容量維持率を維持したまま、DCR増加率が低下していることがわかる。なお、参考例2で示されるように、フッ素化環状カーボネートを含まない非水溶媒に五員環構造を有するホウ素化合物(A3)を添加した場合は、DCR増加率を低減する効果が表れないことがわかる。さらに、比較例1と実施例1〜5のACR増加率に着目すると、五員環構造を有するホウ素化合物の添加によるACR増加率を改善する効果は、必ずしも生じないことがわかる。DCR増加率が抑制されることと、ACR増加率が抑制されることとは、関連性が無いと言える。
また、上記表2から以下のことがわかる。フッ素化環状カーボネートを含む非水溶媒に、五員環構造を有し、1のホウ素原子に結合する、電気陰性度が酸素原子の電気陰性度以上である原子の数が2以下であるホウ素化合物(B1、B2)を添加した実施例6〜8においては、十分に高い容量維持率を維持したまま、DCR増加率が低下している。これに対し、五員環構造を有し、1のホウ素原子に結合する、電気陰性度が酸素原子の電気陰性度以上である原子の数が3であるホウ素化合物(y)を添加した比較例3の場合は、DCR増加率を低減する効果が表れないことがわかる。また、表2からも、DCR増加率が抑制されることと、ACR増加率が抑制されることとは、関連性が無いと言える。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等の電源として使用される非水電解質蓄電素子等に適用できる。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (6)

  1. フッ素化環状カーボネート及び環状ホウ素化合物を含有し、
    上記環状ホウ素化合物が、
    六員環構造を有するホウ素化合物、又は
    五員環構造を有し、1のホウ素原子に結合する、電気陰性度が酸素原子の電気陰性度以上である原子の数が2以下であるホウ素化合物である蓄電素子用の非水電解質。
  2. 上記環状ホウ素化合物が有する1の環構造に含まれるホウ素原子の数が1以下である請求項1の非水電解質。
  3. 上記環状ホウ素化合物が有する環構造が、ホウ素原子、及びこのホウ素原子に結合する2の酸素原子を含む請求項1又は請求項2の非水電解質。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3の非水電解質を備える非水電解質蓄電素子。
  5. 通常使用時の充電終止電圧における正極電位が、4.4V(vs.Li/Li)以上である請求項4の非水電解質蓄電素子。
  6. 請求項1、請求項2又は請求項3の非水電解質を容器に注入することを備える非水電解質蓄電素子の製造方法。
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