JP2019142049A - 熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムの製造方法とロケットモータの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムの製造方法とロケットモータの製造方法 Download PDF

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淳史 高田
Atsushi Takada
淳史 高田
宮川 清
Kiyoshi Miyagawa
清 宮川
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Abstract

【課題】樹脂フィラーの分散性を高めて断熱性を向上させる熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムの製造方法を提供する。また断熱性が高い断熱層を形成することによって従来のロケットモータよりも性能を高めるロケットモータの製造方法を安定して提供する。【解決手段】ゴム4に熱可塑性樹脂フィラー2を混練する混練工程S2を含む。混練工程S2において、ゴム4の表面温度を60℃以下に保って熱可塑性樹脂フィラー2とゴム4とを混練する。ゴム4は、常温で固体の固形ゴム4Aと、常温で液状又は水あめ状の液状ゴム4Bと、を有する。液状ゴム4Bと、熱可塑性樹脂フィラー2とを混練して組成ゴム4Cを製造する。次いで組成ゴム4Cと固形ゴム4Aとを混練する。【選択図】図1

Description

本発明は、高温の燃焼ガスからの伝熱を抑える熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムの製造方法とロケットモータの製造方法に関する。
ロケットモータは、固体推進薬の燃焼ガスを発生して噴出し、その噴出する燃焼ガスによりロケットを推進させる。このようなロケットモータは、防衛用ロケット弾、ミサイル、人工衛星打ち上げ用ロケットの推進機関、観測用ロケット、あるいは姿勢制御用ロケット等として広く利用されている。
ロケットモータは、固体推進薬が設けられる内部空間を有するモーターケースを有する。固体推進薬は、点火されると高温で高圧の燃焼ガスを発生する。この燃焼ガスが、モーターケースに設けられたノズルから外部に噴出する。
燃焼ガスが発生し又は流れる空間は、高温(例えば1000℃以上あるいは3000℃以上)になる。そのため、燃焼ガスからモーターケースへの伝熱を抑え、その内壁面を熱的に保護するためには、モーターケースと固体推進薬との間に例えばインシュレーション等の断熱層を設ける必要がある。
このようなロケットモータの断熱層は、例えば特許文献1に開示されている。
また、従来のゴムの製造方法は、例えば特許文献2に開示されている。
特開2011−38456号公報 特開平11−116693号公報
ロケットモータの性能を向上させるには、固体推進薬の燃焼によって発生する高熱がモーターケースに熱伝導するのを出来る限り遅延させ、又はモーターケースに伝導する熱容量を低減させる必要がある。
一般に熱伝導しやすい材料は、熱容量が小さく比熱は低い。言い換えると比熱が低い材料は、自らに蓄熱できる熱容量が低いため、その材料を挟んだ反対側に伝導する熱容量が高くなる。断熱層の主な材料はゴムである。そのためロケットモータの性能を向上させるには、従来の断熱層よりも比熱が高い断熱層を形成する必要があった。
例えば断熱層を構成するゴムに比熱の高い樹脂フィラーを出来るだけ多く混練することで、樹脂フィラーの含有率が低い従来のゴム混合物よりも比熱の高い断熱層を得ることが考えられる。通常、樹脂フィラーは、ニーダーの充填率や回転数を大きくし力強く混練することで分散性が向上すると考えられる。また樹脂フィラーを入れる量が多く、樹脂フィラーが均一に分散するほど、断熱層の断熱性は向上することが期待できる。なお、樹脂フィラーは、例えばポリアミド等の球形の粒子である。
しかし、実際、従来の混合方法で樹脂フィラーの割合を増やすと、樹脂フィラーが集塊を形成して分散不良となり、結果として断熱層の比熱が落ちてしまう。樹脂フィラーは、直径が10μm〜13μmの粒子であるが、集塊化すると直径が2〜3mm以上になる。集塊化した樹脂フィラーは、ゴムの中で均一に分散されないため、結局成形されたゴム混合物の断熱性が低下する。そのため従来の混合方法では、樹脂フィラーの割合を単に増やすだけでは断熱層の高比熱化を実現できなかった。
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の第1の目的は、樹脂フィラーの分散性を高めて断熱性を向上させる熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムの製造方法を提供することにある。また本発明の第2の目的は、断熱性が高い断熱層を形成することによって従来のロケットモータよりも性能を高めるロケットモータの製造方法を安定して提供することにある。
本発明によれば、常温で固体の固形ゴムと、常温で液状又は水あめ状の液状ゴムとの混合物であるゴムに熱可塑性樹脂フィラーを混練する混練工程を含み、
前記混練工程は、
(A)前記液状ゴムと、前記熱可塑性樹脂フィラーとを混練して組成ゴムを製造する予備練り工程と、
(B)次いで組成ゴムと前記固形ゴムとを混練する本練り工程とを含み、
前記混練工程において、ゴムの表面温度を60℃以下に保って熱可塑性樹脂フィラーとゴムとを混練する、熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムの製造方法が提供される。
本発明によれば、上述の熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムの製造方法で製造された熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムと、
強化繊維を含むインシュレーションと、
内部空間を有するモーターケースと、
燃焼ガスを発生する固体推進薬と、を準備し、
前記熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムと前記インシュレーションとを層状に重ね合わせて断熱層を形成し、
前記熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムが前記インシュレーションよりも前記モーターケースの半径方向外側に位置するように前記モーターケースの内壁面を前記断熱層で覆い、
前記断熱層よりも前記モーターケースの半径方向内側の前記内部空間に前記固体推進薬を設ける、ロケットモータの製造方法が提供される。
上述した本発明によれば、原料のゴムと熱可塑性樹脂フィラーを、表面温度を60℃以下に保ちつつ混練するので、熱可塑性樹脂フィラー同士を互いに付着しにくい状態を保ったままゴムと混練することができる。そのため、熱可塑性樹脂フィラーが集塊を形成するのを抑制することができる。
従って、熱可塑性樹脂フィラー配合ゴム内に熱可塑性樹脂フィラーを均一に分散させることができるため、熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムの断熱性を従来のゴム混合物よりも向上させることができる。
また、断熱性が高い熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムを得ることができるので、断熱性の高い断熱層を製造することができる。それにより従来のロケットモータより性能が高いロケットモータを安定して製造できる。
本実施形態の配合ゴムの製造方法と従来の混合方法の説明図である。 本実施形態の配合ゴムの製造方法のフローチャートである。 従来のゴム混合物と本実施形態の配合ゴムの外観写真である。 本実施形態のロケットモータの製造方法で製造するロケットモータの説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
本発明の発明者は、混練するゴム4の表面温度が60℃より高くなったときに、樹脂フィラー2が集塊となることを発見した。
そこで本発明の発明者は、この発見から、熱可塑性樹脂フィラー配合ゴム1(以下、配合ゴム1)の製造方法を発明した。
配合ゴム1は、ゴム4と熱可塑性樹脂フィラー2(以下、樹脂フィラー2)を有する。ゴム4は、常温で固体の固形ゴム4Aと、常温で液状又は水あめ状の液状ゴム4Bとを有することが好ましい。液状ゴム4Bは、配合ゴム1の重量の3〜6%を占め、好ましくは5%を占める。また樹脂フィラー2は、配合ゴム1の体積の40〜60%を占め、好ましくは50%を占める。
配合ゴム1は、基材であるゴム4に樹脂フィラー2を含む。ゴム4は、樹脂フィラー2と混練されることで、その内部に樹脂フィラー2を含む。
ゴム4は、固形ゴム4Aと液状ゴム4Bの混合物である。またゴム4は、天然ゴム、合成ゴム、または両者の混合物であってもよい。
例えば固形ゴム4Aは、加硫可能な固形のゴムである。固形ゴム4Aとして、エチレンとプロピレンの共重合体(EPM)に、5‐エチリデン‐2‐ノルボルネン、1,4‐ヘキサジエン、もしくはジシクロペンタジエンなどの第三成分を添加して側鎖として結合させたエチレン‐プロピレン系のゴムが使用されてもよい。例えば固形ゴム4Aは、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)が好ましい。
もしくは固形ゴム4Aは、ポリイソプレン構造をもつ天然ゴム(以下、NR)やイソプレンゴム(以下、IR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体であるアクリロニトリルブタジエンゴム(以下、NBR)であってもよい。
また、本実施形態の固形ゴム4Aは、これらの複数の種類を組み合わせて使用してもよく、また、単独で使用してもよい。
液状ゴム4Bは、常温で流動性のある液状もしくは水あめ状のゴムのことである。液状ゴム4Bは、液状ブタジエンゴム(以下、BR)(1,2‐BR、1,4‐BR)、液状IR(1,4‐IR)、液状NBRゴム、液状ブタジエンスチレンゴム(以下、SBR)、液状ポリブテン、液状ウレタンゴムであることが好ましい。液状ゴム4Bは、これらのうち複数の種類を組み合わせて使用してもよく、単独で使用してもよい。
また配合ゴム1は、カーボンブラックや軟化剤や可塑剤、老化防止剤、加工助剤、粘着付与剤、等の添加剤を含んでいても良い。さらに固形ゴム4Aと液状ゴム4Bを加硫させるために使用される加硫剤と加硫促進剤を含んでもよい。
樹脂フィラー2は、熱可塑性のある樹脂の粒子であり、例えばポリアミド等の球形の粒子である。粒子の大きさは、直径が10μm〜13μmであることが好ましい。しかし、これに限らず、樹脂フィラー2の粒子の大きさは、これよりも大きくても小さくてもよい。
樹脂フィラー2が球形の粒子であることから、配合ゴム1の内部に空隙ができるのを防ぐことができる。それにより空隙により配合ゴム1の熱容量が低下するのを防ぐことができる。
なお配合ゴム1は、後述するロケットモータ8の他にも、断熱材として様々な用途に使用することができる。
本発明は、この配合ゴム1の製造方法である。
図1は、本実施形態の配合ゴム1の製造方法と従来の混合方法の説明図である。図1(A)は従来の混合方法の説明図であり、図1(B)は、本実施形態の配合ゴム1の製造方法の説明図である。
図2は、本実施形態の配合ゴム1の製造方法のフローチャートである。
図1(A)に示すように、従来の混合方法で樹脂フィラー2の割合を単に増やすと、樹脂フィラー2が軟化し、集塊する。
そのため、図1(B)と図2に示すように、本実施形態の配合ゴム1の製造方法で配合ゴム1を製造する必要がある。
本実施形態の配合ゴム1の製造方法は、配合工程S1、混練工程S2、加硫練り工程S3、成形工程S4を含む。
本実施形態の配合ゴム1の製造には、ゴム4と樹脂フィラー2、及び上述の添加剤や加硫剤等を使用する。
配合工程S1では、原料ゴムとなるゴム4を選択し、各種添加剤や樹脂フィラー2の種類および量を決定する。
混練工程S2は、樹脂フィラー2をゴム4と混練する工程であり、例えば予備練り工程S2aと本練り工程S2bに分かれる。混練とは、ゴム4に樹脂フィラー2及び添加剤を混合し、機械的なせん断力を加えてゴム4に可塑性を与え、また同時に樹脂フィラー2や添加剤をゴム中に分散させることである。本実施形態の配合ゴム1の製造方法では、混練工程S2の間中、混練しているゴム4の表面温度を60℃以下に保つ。なお、一般に、混練工程S2の間中のゴム4の表面温度は、混練時のせん断によって常温より上昇する傾向がある。
本発明の発明者は、樹脂フィラー2の集塊が生じ分散不良となるのは、60℃より高い温度で混練したことが原因であることを明らかにした。多量の樹脂フィラー2をゴム4に混練させると、樹脂フィラー同士の摩擦で摩擦熱を生じ、ゴム混合物が高温となる。例えば樹脂フィラー2の一例であるポリアミドの融点は、176℃〜265℃であるが、その融点よりはるかに低くても、60℃を超えれば樹脂フィラー2が軟化し、互いに付着しやすくなると考えられる。
そのため、本実施形態の配合ゴム1の製造方法では、混練工程S2の際に、ゴム4の表面温度を60℃以下に保ちながら混練する必要がある。一般に、ニーダー等の混練機の内部には、内部の材料温度を知り、混練状態を管理するために、内壁の温度を計測することで混練しているゴム4の表面温度を測ることができる温度計が搭載されている。混練工程S2の際は、この温度計でゴム4の表面温度を計りながら、ゴム4と樹脂フィラー2とを混練する。
ゴム4の表面温度を制御する方法は、例えばニーダーの回転数や回転速度を調節して摩擦熱の発生を抑えたり、ニーダーに入れる原材料の量を増減したり、少量ずつ段階的に樹脂フィラー2を入れたりすることによって行ってもよい。もしくは、ゴム4の表面温度が上昇したときにニーダーの回転を止めたり、ニーダーを冷却したりしてもよい。
予備練り工程S2aでは、まず液状ゴム4Bに樹脂フィラー2を加えて混練し、組成ゴム4Cを製造する。この工程により、液状ゴム4Bに樹脂フィラー2を行き渡らせて、樹脂フィラー2を分散させることができる。液状ゴム4Bは、言わば樹脂フィラー2の分散剤としての役割を有する。加えて樹脂フィラー2を液状ゴム4Bでコーティングすることとなるため、樹脂フィラー同士の摩擦を抑え、摩擦熱の発生をさらに抑制できる。
本練り工程S2bでは、例えば予備練り工程S2aを経た組成ゴム4Cに固形ゴム4Aを加えて混練する。混練は、バンバリー型混合機等で行ってもよい。
なお、固形ゴム4Aの可塑性や流動性を向上させるため、予備練り工程S2aの前に、固形ゴム4Aを素練りしてもよい。
次いで、加硫練り工程S3を行う。
加硫練り工程S3は、固形の添加剤や加硫剤を加え、それに熱を加えてオープンロールを用いて混練する工程である。
この加硫練り工程S3では、樹脂フィラー2の分散を目的とする温度制御は行わない。加硫練り工程S3の前(本練り工程S2b)までに、樹脂フィラー2は十分に分散されており、一度ゴム中に分散してしまえば、軟化、集塊することは無いため、加硫練りの温度が60℃以上でも問題はないからである。
なお、樹脂フィラー2の分散ではなく、ゴムの劣化を防ぐ目的で行われる範疇での温度制御は、従来と同様に行う。
その後、成形工程S4を行う。
成形工程S4は、加硫された配合ゴム1を成形する工程である。例えば、ロケットモータ8に用いる断熱層11を製造するときは、混練工程S2又は加硫練り工程S3を経た配合ゴム1をシート状に圧延する。例えばカレンダーロール機に通すことで配合ゴム1をシート状に成形してもよい。
このように本実施形態の製造方法は、樹脂フィラー2が互いに付着する特性を示さない60℃以下にゴム4の表面温度を保ちつつ、ゴム4と樹脂フィラー2を混練するので、樹脂フィラー2が集塊を形成するのを抑制することができる。
従って、配合ゴム内に樹脂フィラー2を均一に分散させることができるため、配合ゴム1の断熱性を従来のゴム混合物よりも向上させることができる。
例えば固形ゴム4Aに直接樹脂フィラー2を入れた場合、強い力が樹脂フィラー2に加わることで樹脂フィラー2が押し固まり、多量の集塊を発生させてしまう。
しかし本実施形態の製造方法では、上述したように樹脂フィラー2の集塊が出来る前に、分散剤(液状ゴム4B)に樹脂フィラー2を入れて分散させ、その後、固形ゴム4Aと混練するので、樹脂フィラー2の集塊が出来にくい。樹脂フィラー2を液状ゴム4Bに入れた後に固形ゴム4Aと練り合わせることで、樹脂フィラー2を先に液状ゴム内で分散させておくことができ、樹脂フィラー2を配合ゴム内に均一に分散させることができる。
したがって、本実施形態の配合ゴム1の製造方法を使用することにより、ゴム4に樹脂フィラー2をより多く入れても均一に分散させることができるので、従来のゴム混合物よりも比熱が高く、高い断熱性を有する配合ゴム1を得ることができる。
(実施例)
図3は、従来のゴム混合物と本実施形態の配合ゴム1の外観写真である。
図3(A)は、従来のゴム混合物のゴムシートの外観写真である。このゴム混合物は、温度制御を行わずに混練工程S2を行うことで製造したものである。
一方、図3(B)は、本実施形態の配合ゴム1のゴムシートの外観写真である。この配合ゴム1は、上述した本実施形態の配合ゴム1の製造方法により、混練工程S2でゴム4の表面温度を60℃以下に制御して製造したものである。
具体的には、図3(A)のゴムシートの混練時のゴム表面温度は、98℃であった。一方、図3(B)の本実施形態の配合ゴム1のゴムシートの混練時のゴム表面温度は、54℃であった。
この実施例において、従来のゴム混合物(図3(A))と本実施形態の配合ゴム1(図3(B))の樹脂フィラー2の配合量は、同一である。
なお、図3(A)(B)の白い斑点は、集塊した樹脂フィラー2を表している。
この図からわかるように、温度制御を行わなかった図3(A)のゴムシートでは、樹脂フィラー2の様々な大きさの集塊(白い斑点)が多数散見される。これは、配合ゴム1が、樹脂フィラー2の集塊を発生し分散不良を起こしていることを示している。
一方、本実施形態の製造方法で製造した配合ゴム1には、樹脂フィラー2の集塊(白い斑点)がほとんど見られない。
このように、ゴム4と樹脂フィラー2を混練する際に、ゴム4の表面温度を60℃以下に温度制御することで、樹脂フィラー2が集塊となるのを抑制し、配合ゴム内に樹脂フィラー2を均一に分散させることができることが明らかになった。
図4は、本実施形態のロケットモータ8の製造方法で製造するロケットモータ8の説明図である。図4(A)はロケットモータ8の縦断面図であり、図4(B)は、図4(A)の部分Pの拡大図である。
ロケットモータ8は、固体推進薬7の燃焼ガスを発生して噴出し、その噴出する燃焼ガスによりロケットを推進させ、その姿勢を変更させる。このようなロケットモータ8は、防衛用ロケット弾、ミサイル、人工衛星打ち上げ用ロケットの推進機関、観測用ロケット、あるいは姿勢制御用ロケット等として広く利用されている。
この図においてロケットモータ8は、モーターケース6、固体推進薬7、断熱層11、点火装置12、ノズル13を備える。
モーターケース6は、内部空間5を有する容器である。
固体推進薬7は、モーターケース6の内部空間5に収容され、点火されると高温高圧の燃焼ガスを発生する。点火装置12が固体推進薬7を点火すると、燃焼ガスが、モーターケース6に設けられたノズル13から外部に噴出される。
本実施形態の断熱層11は、モーターケース6と固体推進薬7との間に位置し、図4(A)のようにモーターケース6の内壁面6aにシート状に設けられる。断熱層11は、固体推進薬7の燃焼による内部空間5の高温(一例では約3000℃)からモーターケース6を保護するために設けられる。
断熱層11は、配合ゴム1とインシュレーション9を有する。配合ゴム1がモーターケース6の内壁面側(半径方向外側)に設けられ、インシュレーション9が固体推進薬側(モーターケース6の半径方向内側)に設けられる。
配合ゴム1は、上述した製造方法で製造されているため、図4(B)に示すように、内部に樹脂フィラー2を含む。そのため配合ゴム1は、従来のゴム混合物よりも比熱が高くヒートシンクとなるため、従来のゴム混合物よりも高断熱性を発現する。
配合ゴム1は、シート状に設けられ、モーターケース6の内壁面6aを覆う。配合ゴム1は、樹脂フィラー2を有するため、樹脂フィラー2を含まないインシュレーション9よりも熱容量が大きい。これは、単位体積と全体の少なくともいずれかについての熱容量が、インシュレーション9よりも樹脂フィラー2の方が大きいことを意味する。また配合ゴム1は、密度がインシュレーション9よりも低く構成される。
さらに上述したように、樹脂フィラー2は球形の粒子であるため、配合ゴム1は内部に空隙を有しない。それにより、配合ゴム1の熱容量が空隙により低下するのを防ぐことができる。
インシュレーション9は、モーターケース6の内壁面6aを覆い、配合ゴム1と固体推進薬7との間に位置する。つまり具体的には、インシュレーション9は、モーターケース6の内壁面6aを覆った配合ゴム1を更に覆う。インシュレーション9は、アラミド繊維等の強化繊維を含むゴム材である。
図4(B)に示すようにロケットモータ8は、断熱のため、インシュレーション9と配合ゴム1の2種類の断熱層11を有する。断熱層11は、燃焼ガスの流れによって削られる。インシュレーション9にはアラミド繊維のような強い繊維が入っているが、配合ゴム1には入っていない。そのため配合ゴム1は、燃焼ガスの流れによって削られやすいため、燃焼ガスに曝される断熱層11の表面を構成するのには向かない。
一方、インシュレーション9が自らに蓄熱できる熱容量は配合ゴム1よりも小さいため、インシュレーション9のみで断熱層11を形成しようとすると、断熱層11を厚くしなければならない。その分ロケットモータ8が重くなるため、全体としてロケットモータ8の性能が下がってしまう。
上述したように本実施形態の配合ゴム1の製造方法で製造した配合ゴム1は、従来のゴム混合物よりも比熱が高く、高い断熱性を有する。これは配合ゴム1が比熱の高いゴム材であるため、自身に蓄熱する熱容量が高いからである。したがって配合ゴム1が蓄熱層となって、モーターケース6への熱伝導14が遅くなるからである。つまり配合ゴム1がヒートシンクとなって、モーターケース6には熱が伝わりにくくなる。このように断熱性が高い配合ゴム1を断熱層11に使用することにより断熱層11の断熱性を向上させることができる。
したがって、高性能なロケットモータ8を製造するには、本実施形態のロケットモータ8の構成のように燃焼ガスに曝される断熱層11の表面には強靭なインシュレーション9を使いつつ、その内側に比熱が高い配合ゴム1を使用する必要がある。その内側とは、インシュレーション9よりもモーターケース6の半径方向外側のことである。
これにより本実施形態のロケットモータ8は、インシュレーション9で断熱層11の強靭さを保持しつつ、比熱が高い配合ゴム1を使用することで断熱層11を薄くしても必要な断熱性を獲得できる。したがって従来のロケットモータよりもロケットモータ8を軽量に製造することができる。もしくは、従来の断熱層よりも薄くても必要な断熱性を得られるので、モーターケース6に詰める固体推進薬7の量を増やすことができる。
このように、断熱層11に配合ゴム1を使用することにより、従来のロケットモータよりもロケットモータ8の性能を向上させることができる。
次に本実施形態のロケットモータ8の製造方法について説明する。
まず、上述した配合ゴム1、インシュレーション9、モーターケース6、及び固体推進薬7を準備する。配合ゴム1とインシュレーション9は、シート状に成形しておく。
次いでモーターケース6の内壁面6aを配合ゴム1で覆う。さらに、モーターケース6の内壁面6aを覆った配合ゴム1をさらにインシュレーション9で覆う。
その後、インシュレーション9の内側(モーターケース6の半径方向内側)に固体推進薬7を設ける。
これにより上述したロケットモータ8を製造することができる。
もしくは、モーターケース6の内部空間5に配合ゴム1とインシュレーション9を入れる前に、配合ゴム1とインシュレーション9で断熱層11を形成してもよい。この場合、配合ゴム1とインシュレーション9とを層状に重ね合わせて断熱層11を形成する。これにより、断熱層11は、配合ゴム1とインシュレーション9の二層構造となる。
次いで、配合ゴム1がインシュレーション9よりもモーターケース6の半径方向外側に位置するように内部空間5を断熱層11で覆い、その断熱層11よりもモーターケース6の半径方向内側の内部空間5に固体推進薬7を設ける。
この方法によっても、上述したロケットモータ8を製造することができる。
本実施形態のロケットモータ8の製造方法は、固体推進薬7とモーターケース6との間に配合ゴム1で形成された断熱層11を設けることができる。
そのため、配合ゴム1がヒートシンクとなって、モーターケース6を燃焼ガスの高熱から保護することができる。このように、比熱が高い配合ゴム1を安定して得ることができるので、高性能のロケットモータ8を安定して製造することができる。
上述した本発明によれば、原料のゴム4と熱可塑性樹脂フィラー2を、その表面温度を60℃以下に保ちつつ混練するので、熱可塑性樹脂フィラー同士を互いに付着しにくい状態を保ったままゴム4と混練することができる。そのため、熱可塑性樹脂フィラー2が集塊を形成するのを抑制することができる。
従って、熱可塑性樹脂フィラー配合ゴム内に熱可塑性樹脂フィラー2を均一に分散させることができるため、熱可塑性樹脂フィラー配合ゴム1の断熱性を従来のゴム混合物よりも向上させることができる。
また、断熱性が高い配合ゴム1を得ることができるので、断熱性の高い断熱層11を製造することができる。従来のロケットモータより性能が高いロケットモータ8を安定して製造できる。
1 熱可塑性樹脂フィラー配合ゴム(配合ゴム)、
2 熱可塑性樹脂フィラー(樹脂フィラー)、
4 ゴム、4A 固形ゴム、
4B 液状ゴム、4C 組成ゴム、
5 内部空間、6 モーターケース、
6a 内壁面、7 固体推進薬、
8 ロケットモータ、9 インシュレーション、
11 断熱層、12 点火装置、13 ノズル、
14 熱伝導、S1 配合工程、
S2 混練工程、S2a 予備練り工程、S2b 本練り工程、
S3 加硫練り工程、S4 成形工程

Claims (3)

  1. 常温で固体の固形ゴムと、常温で液状又は水あめ状の液状ゴムとの混合物であるゴムに熱可塑性樹脂フィラーを混練する混練工程を含み、
    前記混練工程は、
    (A)前記液状ゴムと、前記熱可塑性樹脂フィラーとを混練して組成ゴムを製造する予備練り工程と、
    (B)次いで組成ゴムと前記固形ゴムとを混練する本練り工程とを含み、
    前記混練工程において、ゴムの表面温度を60℃以下に保って熱可塑性樹脂フィラーとゴムとを混練する、熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムの製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂フィラーは、ポリアミドの粒子である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムの製造方法。
  3. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムの製造方法で製造された熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムと、
    強化繊維を含むインシュレーションと、
    内部空間を有するモーターケースと、
    燃焼ガスを発生する固体推進薬と、を準備し、
    前記熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムと前記インシュレーションとを層状に重ね合わせて断熱層を形成し、
    前記熱可塑性樹脂フィラー配合ゴムが前記インシュレーションよりも前記モーターケースの半径方向外側に位置するように前記モーターケースの内壁面を前記断熱層で覆い、
    前記断熱層よりも前記モーターケースの半径方向内側の前記内部空間に前記固体推進薬を設ける、ロケットモータの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003091327A1 (en) * 2002-04-25 2003-11-06 Asahi Kasei Chemicals Corporation Rubber composition and process for production thereof
JP2006111750A (ja) * 2004-10-15 2006-04-27 Ihi Aerospace Co Ltd インシュレーション材及びその製造方法

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