JP2019137575A - カバー部材及びその製造方法 - Google Patents

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Masaaki Imura
正明 伊村
雄亮 山崎
Yusuke Yamazaki
雄亮 山崎
仁 高村
Hitoshi Takamura
仁 高村
暁大 石井
Akihiro Ishii
暁大 石井
アダム・ユージン・シマブクロ
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Abstract

【課題】好適な光学特性を発揮させることを可能にしたカバー部材及びその製造方法を提供する。【解決手段】カバー部材11は、光源を含む部品(部品E1等)を覆う用途に用いられる。カバー部材11は、光透過性を有する基材12と、基材12に設けられた光学膜13とを有する。カバー部材11の光学膜13は、Ti−Nb系複合酸化物成分を含有する。カバー部材11の吸収係数は、波長380nm以上、780nm以下の可視光領域の全領域において、5μm−1以上、30μm−1以下の範囲内である。カバー部材11において、波長380nm以上、波長780nm以下の可視光領域における吸収係数の最大値と最小値との差は、7μm−1以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、カバー部材及びその製造方法に関する。
機器の部品を覆うカバー部材には、部品を視認し難くするために遮光層が設けられる場合がある。特許文献1に開示される調理器用トッププレートは、遮光層として、チタン(Ti)又はニオブ(Nb)からなる金属膜を備えている。
特開2010−159171号公報
上記のようなカバー部材で覆われる部品としては、カバー部材を視認した際に機器の状態等を知らせるための光源が用いられる場合がある。この場合、カバー部材には、光源の非作動時に光源を視認し難くする光学特性と、光源からの照射光を透過させる光学特性との両者の光学特性が求められる。ここで、光源として、例えば、赤色光源、青色光源等の異なる色の光源が用いられる場合がある。この場合、カバー部材には、互いに色の異なる複数の照射光をより均一に透過させる光学特性が求められる。
本発明の目的は、好適な光学特性を発揮させることを可能にしたカバー部材及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するカバー部材は、光源を含む部品を覆う用途に用いられるカバー部材であって、光透過性を有する基材と、前記基材に設けられた光学膜とを有し、前記光学膜は、Ti−Nb系複合酸化物成分を含有し、波長380nm以上、780nm以下の可視光領域の全領域において、吸収係数は5μm−1以上、30μm−1以下の範囲内であり、かつ、波長380nm以上、波長780nm以下の可視光領域における吸収係数の最大値と最小値との差は、7μm−1以下である。
上記カバー部材において、前記光学膜中におけるTi及びNbの合計量に対するNbの原子数比は、0.1以上、0.9以下の範囲内であることが好ましい。
上記カバー部材において、前記基材は、絶縁性を有し、前記光学膜は、絶縁性成分を含有することが好ましい。
上記カバー部材において、前記絶縁性成分は、SiOを含むことが好ましい。
上記カバー部材において、前記光学膜中におけるTi、Nb、及びSiの合計量に対するSiの原子数比は、0.05以上であることが好ましい。
上記カバー部材において、前記基材は、ガラス基材であることが好ましい。
上記カバー部材において、前記部品は、タッチセンサをさらに含むことが好ましい。
上記カバー部材において、前記光源は、青色光源及び赤色光源を含むことが好ましい。
上記カバー部材の製造方法は、前記光学膜を物理的堆積法により前記基材上に成膜する工程を備えることが好ましい。
上記カバー部材の製造方法において、前記物理的堆積法は、パルスレーザー堆積法であることが好ましい。
本発明によれば、好適な光学特性を発揮させることが可能となる。
実施形態におけるカバー部材の断面図である。 波長と吸収係数との関係を示すグラフである。 波長と吸収係数との関係を示すグラフである。 原子数比とシート抵抗との関係を示すグラフである。
以下、カバー部材及びその製造方法の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、カバー部材11は、光透過性を有する基材12と、基材12に設けられた光学膜13とを有している。カバー部材11は、部品E1,E2,E3を覆う用途に用いられる。本実施形態の部品E1,E2は、光源であり、部品E3は、タッチセンサである。
部品E1,E2,E3が搭載される機器としては、例えば、表示機器、入力機器等が挙げられる。機器の用途としては、例えば、車両用途、家電用途、調理機器等が挙げられる。カバー部材11は、例えば、車両用計器や表示機器用のカバー部材、加熱調理器(電磁加熱調理器、赤外線加熱調理器、又はガス調理器)用のカバー部材(トッププレート)として好適に用いることができる。
カバー部材11の基材12は、光透過性を有している。基材12としては、例えば、樹脂基材、及びガラス基材が挙げられる。基材12は、耐熱性や擦傷性に優れるという観点から、ガラス基材であることが好ましい。基材12の形状は、平板状や曲板状等の板状に限らず、例えば、柱状等の形状であってもよい。
基材12の光透過性は、例えば、380nm以上、780nm以下の波長の光の平均透過率が80%以上であることが好ましい。
カバー部材11を調理器用のトッププレートとして用いる場合、基材12は、耐熱衝撃性を有するガラス基板であることが好ましい。このガラス基板は、例えば、30〜500℃における平均熱膨張係数が50×10−7/℃以下の熱膨張係数を有するガラス基板であることがより好ましく、30〜500℃における平均熱膨張係数が−10×10−7〜+30×10−7/℃であるガラス基板であることがさらに好ましく、30〜500℃における平均熱膨張係数が−10×10−7〜+20×10−7/℃であるガラス基板であることが特に好ましい。このような低熱膨張性を有するガラス基板としては、例えば、低熱膨張のホウケイ酸ガラス基板、石英ガラス基板、β−石英固溶体を主結晶とする低膨張結晶化ガラス基板が挙げられる。
カバー部材11を表示機器又は入力機器に用いる場合、基材12は、耐衝撃性を有するガラス基板であることが好ましい。このガラス基板は、例えば、化学強化したガラス基板が好ましい。このようなガラス基板としては、例えば、アルミノシリケートガラス基板が挙げられる。
基材12として、ガラス基板を用いた場合、カバー部材11の絶縁性も確保することが可能となる。
光学膜13は、Ti−Nb系複合酸化物成分を含有する。
光学膜13中のTi−Nb系複合酸化物成分は、可視光を吸収する光学特性を有しているため、カバー部材11で覆われる部品E1,E2,E3が視認され難くなる。また、光学膜13中のTi−Nb系複合酸化物成分は、可視光を適度に透過させる光学特性も有しているため、光源(部品E1,E2)からの照射光を透過させることが可能である。
Ti−Nb系複合酸化物成分を含む光学膜13の有する光学特性は、ランベルト・ベールの法則に基づく吸収係数αで表すことができる。吸収係数α[μm−1]は、下記式(1)によって求められる。
α=−ln(Tint)/t・・・(1)
式(1)中、Tintは、光学膜13の内部透過率であり、tは、光学膜13の膜厚(nm)である。
光学膜13の吸収係数αは、380nm以上、780nm以下の可視光の全領域において、5μm−1以上、30μm−1以下の範囲内である。光学膜13の吸収係数αが大きすぎると、部品E1,E2,E3からの照射光が透過し難くなる。光学膜13の吸収係数αが小さすぎると、部品E1,E2,E3が視認され易くなる。なお、光学膜13の吸収係数αは、1nm毎に測定を行うものとする。
ここで、光学膜13がTi−Nb系複合酸化物成分を含有することで、可視光領域における短波長側から長波長側にわたって吸収係数の差を小さくすることができる。これにより、可視光領域における光学膜13の光透過率をより均一に(波長による透過率の差を小さくする)することができる。光学膜13において、波長380nm以上、780nm以下の可視光領域における吸収係数の最大値α1と最小値α2との差(α1−α2)は、7μm−1以下であり、好ましくは5μm−1以下であり、より好ましくは3μm−1以下である。
光学膜13中におけるTi及びNbの合計量に対するNbの原子数比R1(R1=Nb/(Ti+Nb))は、0.1以上、0.9以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.2以上、0.8以下の範囲内である。原子数比R1を高めることで、長波長側の可視光の吸収を抑えることができる。原子数比R1を低めることで、短波長側の可視光の吸収を抑えることができる。
光学膜13は、絶縁性成分を含有してもよい。光学膜13中の絶縁性成分としては、例えば、SiO(シリカ成分)又はAl(アルミナ成分)が挙げられる。絶縁性成分としては、複数の成分を併用してもよい。光学膜13中の絶縁性成分は、光学膜13のシート抵抗Rが、例えば、2×10Ω・sq−1以上となるように含有されることが好ましく、5×10Ω・sq−1以上となるように含有されることがより好ましい。
光学膜13の絶縁性成分としてSiOを含む場合、光学膜13中におけるTi、Nb、及びSiの合計量に対するSiの原子数比R2(R2=Si/(Ti+Nb+Si))は、0.05以上であることが好ましく、より好ましくは0.1以上である。原子数比R2を高めることで、光学膜13の絶縁性を高めることができる。原子数比R2は、0.7以下であることが好ましく、より好ましくは0.5以下である。原子数比R2を低めることで、光学膜13の可視光の吸収率が高くなり、部品E1,E2,E3が視認され難くなる。
光学膜13の厚さは、例えば、5〜1000nmの範囲内である。
カバー部材11の光学膜13は、基板の両主面に設けてもよいし、いずれか一方の主面に設けてもよい。本実施形態のように部品E1,E2,E3側の主面(カバー部材11の内側となる基板の裏面)に設けることで、基材12によって光学膜13を保護することができる。なお、カバー部材11は、上記光学膜13からなる層以外の機能層(例えば、保護層、電極層、反射防止層等)をさらに有していてもよい。光学膜13を部品E1,E2,E3とは反対側の主面(カバー部材11の外側となる基板の表面)に設ける場合、光学膜13を保護するという観点から、光学膜13上に機能層をさらに設けることが好ましい。また、基板の上に機能層を設け、その上に光学膜13を設けてもよい。さらに、基板の上に機能層を設け、その上に光学膜13を設け、さらに光学膜13の上に機能層を設けてもよい。なお、光学膜13を部品E1,E2,E3とは反対側の主面(カバー部材11の外側となる基板の表面)に設ける場合、光学膜13上に機能層を設けなくてもよい。
次に、カバー部材11の使用状態及び主な作用について説明する。
カバー部材11は、機器の筐体に取り付けて用いることができる。部品E1,E2の光源としては、例えば、点光源、面光源、ライン光源等が挙げられる。光源は、LED光源であることが好ましい。光源は、機器の各種表示に用いられる。本実施形態の部品E1,E2は、互いに色の異なる光源(赤色光源及び青色光源)である。部品E3のタッチセンサは、例えば、静電容量方式タッチセンサである。
本実施形態のカバー部材11では、光学膜13がTi−Nb系複合酸化物成分を含有することで、可視光領域における吸収係数の最大値α1と最小値α2との差を小さくすることができる。このため、カバー部材11は、互いに色の異なる光源(赤色光源及び青色光源)からの照射光をより均一に透過させることが可能となる。
カバー部材11の基材12が絶縁性を有し、カバー部材11の光学膜13が絶縁性成分を含有する場合、部品E3であるタッチセンサの動作を保証する電気的な絶縁性を発揮させることが可能となる。
次に、カバー部材11の製造方法について説明する。
カバー部材11は、基材12上に光学膜13を物理的堆積法により成膜することで得られる。物理的堆積法は、例えば、基材12の温度を50℃以上、650℃以下の範囲内とし、酸素分圧を0.1Pa以上、5.0Pa以下の範囲内とした条件で行われる。物理的堆積法としては、例えば、パルスレーザー堆積法(PLD法)、スパッタリング法、及び電子ビーム蒸着法が挙げられる。物理的堆積法の中でも、パルスレーザー堆積法が好適である。また、大きな面積に均一に成膜し易いという観点からは、スパッタリング法も好適である。
次に、光学膜13の性能についての試験例を説明する。
<Ti−Nb系複合酸化物成分の光学特性>
TiO(株式会社高純度化学研究所製、純度99.9%)とNb(株式会社高純度化学研究所製、純度99.95%)とを混合して酸化物粉末10gを得た。酸化物粉末10gと2−プロパノール30ccとを部分安定化ジルコニア製の容器に入れ、遊星型ボールミル装置を用いて1時間混合し、酸化物のスラリーを調製した。スラリーを乾燥し、80MPaで一軸プレスした後、200MPaの圧力で静水圧プレスし、1250℃、12時間、大気雰囲気下の条件で焼成してターゲットA1を得た。
ターゲットA1は、Ti及びNbの合計量に対するNbの原子数比R1が0.25(25/(75+25))となるように酸化物の混合比を設定したものである。
また、Ti及びNiの合計量に対するNbの原子数比R1が0.67となるように酸化物の混合比を変更した以外は、ターゲットA1と同様にしてターゲットA2を得た。
次に、上記ターゲットA1を用いたパルスレーザー堆積(PLD)法により、基材(無アルカリガラス基板、日本電気硝子株式会社製、OA−10G、15mm角、0.5mm厚)の上に光学膜を成膜することでサンプルA1を得た。また、上記ターゲットA1をターゲットA2に変更した以外は、サンプルA1と同様にしてサンプルA2を得た。
PLD法の成膜条件を以下に示す。
雰囲気:高真空(8×10−5Pa以下)
ターゲットと基板との距離:50mm
成膜時の基板の温度:600℃
レーザー:波長248nmのKrFエキシマレーザー(レーザーパワー:300mJ/パルス、レーザーの周波数:5Hz)
成膜時間:30分
上記の条件で得られたサンプルA1,A2の各光学膜の膜厚は、それぞれ44nm及び59nmであった。
サンプルA1,A2の各光学膜の組成とターゲットA1,A2の組成を、EDX(エネルギー分散型X線分光法)により測定した。その結果、サンプルA1の光学膜及びターゲットA1では、Ti及びNbの合計量に対するNbの原子数比R1が0.25であり、サンプルA2の光学膜及びターゲットA2では、Tiに対するNbの原子数比R1が0.67であった。
次に、サンプルA1,A2の吸収係数αを1nm毎に測定した。
図2のグラフは、サンプルA1,A2に照射した可視光の波長λと、吸収係数αとの関係を示す。なお、図2のグラフのサンプルB1は、TiOからなるターゲットB1を用いた以外は、サンプルA1と同様に基材に光学膜を成膜したものである。また、図2のグラフのサンプルB2は、NbからなるターゲットB2を用いた以外は、サンプルA1と同様に基材に光学膜を成膜したものである。
図2に示すように、サンプルA1,A2の各光学膜では、サンプルB1,B2の各光学膜よりも、可視光領域における吸収係数の最大値と最小値との差が小さく、また、吸収係数は5μm−1以上、30μm−1以下の範囲内であることが分かる。
以下に各サンプルの可視光領域における吸収係数の測定結果を示す。
・サンプルA1
380nm:15.7μm−1
780nm:15.2μm−1
最大値と最小値との差:2.4μm−1
・サンプルA2
380nm:19.9μm−1
780nm:15.3μm−1
最大値と最小値との差:4.6μm−1
・サンプルB1
380nm:4.8μm−1
780nm:14.5μm−1
最大値と最小値との差:9.7μm−1
・サンプルB2
380nm:17.2μm−1
780nm:9.9μm−1
最大値と最小値との差:7.3μm−1
<光学膜の絶縁性>
TiO(株式会社高純度化学研究所製、純度99.9%)とNb(株式会社高純度化学研究所製、純度99.95%)とSiO(アモルファス、株式会社高純度化学研究所製、純度99.9%)と混合して酸化物粉末10gを得た。酸化物粉末10gと2−プロパノール30ccとを部分安定化ジルコニア製の容器に入れ、遊星型ボールミル装置を用いて1時間混合し、酸化物のスラリーを調製した。スラリーを乾燥し、80MPaで一軸プレスした後、200MPaの圧力で静水圧プレスし、1400℃、12時間、大気雰囲気下の条件で焼成してターゲットA11を得た。
ターゲットA11におけるTi及びNbに対するNbの原子数比R1は0.25であり、Ti、Nb、及びSiの合計量に対するSiの原子数比R2は0.15である。
また、Ti、Nb、及びSiの合計量に対するSiの原子数比R2が0.3である以外は、ターゲットA11と同様にしてターゲットA12を得た。
次に、上記ターゲットA11を用いたパルスレーザー堆積(PLD)法により、基材(無アルカリガラス基板、日本電気硝子株式会社製、OA−10G、15mm角、0.7mm厚)の上に光学膜を成膜することでサンプルA11を得た。
また、上記ターゲットA11をターゲットA12に変更した以外は、サンプルA11と同様にしてサンプルA12を得た。
PLD法の成膜条件を以下に示す。
雰囲気:高真空(8×10−5Pa以下)
ターゲットと基板との距離:50mm
成膜時の基板の温度:300℃
レーザー:波長248nmのKrFエキシマレーザー(レーザーパワー:200mJ/パルス、レーザーの周波数:5Hz)
成膜時間:30分
上記の条件で得られたサンプルA11,A12の各光学膜の膜厚は、それぞれ40nm、48nmであった。
次に、サンプルA11,A12の各光学膜の組成とターゲットA11,A12の組成を、EDX(エネルギー分散型X線分光法)により測定した。その結果、サンプルA11の光学膜及びターゲットA11では、Ti及びNiの合計量に対するNbの原子数比R1が0.25であり、Ti、Nb、及びSiの合計量に対するSiの原子数比R2が0.15であった。また、サンプルA12の光学膜及びターゲットA12では、Ti及びNiの合計量に対するNbの原子数比R1が0.25であり、Ti、Nb、及びSiの合計量に対するSiの原子数比R2が0.3であった。
次に、サンプルA11,A12の吸収係数αを測定した。
図3のグラフは、サンプルA11,A12に照射した可視光の波長λと、吸収係数αとの関係を示す。
図3に示すように、サンプルA11,A12の各光学膜では、図2に示すサンプルA1の光学膜と同様に、可視光領域における吸収係数の最大値と最小値との差が小さく、また、吸収係数は5μm−1以上、30μm−1以下の範囲内であることが分かる。
以下に各サンプルの可視光領域における吸収係数の測定結果を示す。
・サンプルA11
380nm:13.3μm−1
780nm:10.5μm−1
最大値と最小値との差:2.8μm−1
・サンプルA12
380nm:13.7μm−1
780nm:7.9μm−1
最大値と最小値との差:5.8μm−1
次に、サンプルA1,A11,A12のシート抵抗Rをサブフェムトアンペア・リモート・ソースメータ(MODEL6430、KEITHLEY INSTRUMENTS LLC)を用いた定電圧直流4端子法により測定した。その結果を図4のグラフに示す。
図4に示すように、光学膜中におけるTi、Nb、及びSiの合計量に対するSiの原子数比R2を高めることで、シート抵抗Rの値を高めることができる。これにより、所望の絶縁性を発揮させることができることが分かる。
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)カバー部材11は、部品E1,E2,E3を覆う用途に用いられる。カバー部材11は、光透過性を有する基材12と、基材12に設けられた光学膜13とを有している。カバー部材11の光学膜13は、Ti−Nb系複合酸化物成分を含有する。カバー部材11の吸収係数は、波長380nm以上、780nm以下の可視光領域の全領域において、5μm−1以上、30μm−1以下の範囲内である。また、カバー部材11において、波長380nm以上、波長780nm以下の可視光領域における吸収係数の最大値と最小値との差は、7μm−1以下である。
この構成によれば、光学膜13に含有されるTi−Nb系複合酸化物成分は、光学膜13に可視光を吸収する光学特性を付与する。こうしたTi−Nb系複合酸化物成分を含有する光学膜13では、可視光領域における吸収係数の最大値と最小値との差が比較的小さい。従って、好適な光学特性を発揮させることが可能となる。
(2)カバー部材11において、光学膜13中におけるTi及びNbの合計量に対するNbの原子数比R1は、0.1以上、0.9以下の範囲内であることが好ましい。この場合、光学膜13において、可視光領域における短波長側の吸収係数と長波長側の吸収係数との差をより小さくすることができる。従って、より好適な光学特性を発揮させることができる。
(3)カバー部材11において、基材12は、絶縁性を有し、光学膜13は、絶縁性成分を含有することが好ましい。この場合、カバー部材11の絶縁性を確保することができる。
(4)カバー部材11の光学膜13における絶縁性成分は、SiOを含むことが好ましい。この場合、カバー部材11の絶縁性を容易に高めることができる。
(5)カバー部材11の光学膜13における絶縁性成分は、SiOを含み、光学膜13中におけるTi、Nb、及びSiの合計量に対するSiの原子数比R2は、0.05以上であることが好ましい。この場合、カバー部材11の絶縁性をより高めることができる。
(6)カバー部材11の基材12は、ガラス基材であることが好ましい。この場合、例えば、カバー部材11の耐熱性を高めることが容易となる。
(7)カバー部材11は、光源及びタッチセンサを含む部品E1,E2,E3を覆う用途に好適に用いることができる。この場合、光源(部品E1,E2)からの照射光の視認性と、タッチセンサ(部品E3)の動作の安定性とのいずれも確保することができる。
(8)カバー部材11で覆われる光源が青色光源及び赤色光源を含む場合であっても、カバー部材11は、青色光源から照射される青色光及び赤色光源から照射される赤色光をバランスよく透過させることが可能となる。
(9)カバー部材11は、光学膜13を物理的堆積法により基材12上に成膜する工程によって容易に得ることができる。さらに、物理的堆積法の中でも、パルスレーザー堆積法を用いることで、安定した組成の光学膜13を有するカバー部材11を得ることが容易となる。
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・カバー部材11で覆われる部品E1,E2,E3は、それぞれ単数であってもよいし、複数であってもよい。
・カバー部材11で覆われる部品E1,E2を赤色光源と青色光源との組み合わせ以外の異なる色の組み合わせに変更してもよい。また、カバー部材11は、三種以上の異なる色の光源を覆う用途に用いてもよい。
・カバー部材11で覆われる部品は、バックライト(光源)を備えた液晶表示部であってもよい。上記実施形態のカバー部材11は、液晶表示部が複数の表示色を有する場合、これら複数の表示色をより均一に透過させることが可能となる。
・カバー部材11が適用される機器は、例えば、部品E1,E3を備える第1の機器であってもよいし、部品E2,E3を備える第2の機器であってもよい。この場合、カバー部材11は、第1の電子機器において好適な光学特性を発揮させることができ、また第2の電子機器においても好適な光学特性を発揮させることもできる。
・カバー部材11は、部品E3(タッチセンサ)以外の電気的な絶縁性が要求される部品(各種スイッチ類や電極等)を覆う用途に好適に用いることもできる。
・カバー部材11は、電気的な絶縁性が要求されない部品を覆う用途に用いることもできる。
・カバー部材11の光学膜13は、基材12の一主面の全体に設けてもよいし、部品E1,E2,E3に対応して基材12の一主面に部分的に設けてもよい。
11…カバー部材、12…基材、13…光学膜、E1,E2,E3…部品。

Claims (10)

  1. 光源を含む部品を覆う用途に用いられるカバー部材であって、
    光透過性を有する基材と、前記基材に設けられた光学膜とを有し、
    前記光学膜は、Ti−Nb系複合酸化物成分を含有し、
    波長380nm以上、780nm以下の可視光領域の全領域において、吸収係数は5μm−1以上、30μm−1以下の範囲内であり、かつ、波長380nm以上、波長780nm以下の可視光領域における吸収係数の最大値と最小値との差は、7μm−1以下であることを特徴とするカバー部材。
  2. 前記光学膜中におけるTi及びNbの合計量に対するNbの原子数比は、0.1以上、0.9以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のカバー部材。
  3. 前記基材は、絶縁性を有し、前記光学膜は、絶縁性成分を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカバー部材。
  4. 前記絶縁性成分は、SiOを含むことを特徴とする請求項3に記載のカバー部材。
  5. 前記光学膜中におけるTi、Nb、及びSiの合計量に対するSiの原子数比は、0.05以上であることを特徴とする請求項4に記載のカバー部材。
  6. 前記基材は、ガラス基材であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のカバー部材。
  7. 前記部品は、タッチセンサをさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のカバー部材。
  8. 前記光源は、青色光源及び赤色光源を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のカバー部材。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のカバー部材の製造方法であって、
    前記光学膜を物理的堆積法により前記基材上に成膜する工程を備えることを特徴とするカバー部材の製造方法。
  10. 前記物理的堆積法は、パルスレーザー堆積法であることを特徴とする請求項9に記載のカバー部材の製造方法。
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