JP2019137011A - 積層チューブ - Google Patents

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Abstract

【課題】初期の薬液バリア性、低温耐衝撃性、耐薬品性、及びモノマー、オリゴマーの耐溶出性といった諸特性を維持しつつ、環境応力負荷後の低温耐衝撃性、層間接着性、及びその耐久性に優れた積層チューブを提供する。【解決手段】積層チューブは、特定の構造単位を有するビニルアルコール系重合体、並びにカルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体を含有する組成物を含む層と、特定の官能基を有する化合物から誘導される構成単位を含有する接着用含フッ素系重合体組成物を含む層とを有し、該ビニルアルコール系重合体組成物を含む層と該接着用含フッ素系重合体組成物を含む層が隣接して配置されている。【選択図】なし

Description

本発明は、積層チューブに関する。
自動車配管用チューブにおいては、古くは道路の凍結防止剤による発錆の問題、地球温暖化防止や省エネルギー化の要請を受けて、その主要素材は、金属から、防錆性に優れ、軽量な樹脂への代替が進みつつある。通常、配管用チューブとして使用される樹脂は、ポリアミド系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂等が挙げられるが、これらを使用した単層チューブの場合、耐熱性、耐薬品性等が不十分なことから、適用可能な範囲が限定されていた。
また、自動車配管用チューブでは、ガソリンの消費節約、高性能化の観点から、メタノール、エタノール等の沸点の低いアルコール類、あるいはエチル−t−ブチルエーテル(ETBE)等のエーテル類をブレンドした含酸素ガソリン等が移送される。更に、環境汚染防止の観点から、配管用チューブ隔壁を通じての揮発性炭化水素等の拡散による大気中への漏洩防止を含めた厳しい排ガス規制が実施されている。かかる厳しい規制に対して、従来から使用されている、ポリアミド系樹脂、特に、強度、靭性、耐薬品性、柔軟性等に優れるポリアミド11又はポリアミド12を単独で使用した単層チューブは、前記の薬液に対するバリア性は十分でなく、特に含アルコールガソリンバリア性に対する改良が求められている。
この問題を解決する方法として、薬液バリア性の良好な樹脂、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EFEP)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE/HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(TFE/HFP/VDF,THV)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(TFE/HFP/VDF/PAVE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(TFE/PAVE,PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(TFE/HFP/PAVE)、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体(CTFE/PAVE/TFE,CPT)が配置された積層チューブが提案されてきた(特許文献1参照)。
更に、近年、ガソリン資源の枯渇や環境保全の観点から、ガソリンにバイオマス由来のエタノール(バイオエタノール)等のアルコール類を添加した含アルコールガソリン(バイオ燃料)の利用検討が推進されつつある。例えば、バイオ燃料としては、バイオエタノールを含有させたガソリン、バイオエタノール10%混合ガソリン(E10)、バイオエタノール85%混合ガソリン(E85)、バイオエタノール100%(E100)がブラジル、北米、中国等で標準化されつつあり、これらバイオエタノール混合ガソリンとガソリンの両方に対して、使用可能なフレックスフューエル車用配管システムの開発が急務となっている。
しかしながら、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)をはじめとするポリアミドやエチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)は炭化水素に対するバリア性は満足するものの、エタノール等高濃度アルコール含有ガソリンでは、アルコールに対するバリア性が不十分であるため、今後益々強化される規制に十分に応えていくことが困難であり、よりアルコールバリア性能を高めた材料の開発が望まれている。その中でエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂については、炭化水素に対するバリア性はそれほど優れていないものの、アルコールに対するバリア性は卓越して優れており、高濃度アルコール含有ガソリンに対して優れたバリア性能を有する材料部材の一つとして考えられる。
そこで、内層にフッ素系樹脂、これに対して外側にエチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)が配置された層とを有する低濃度から高濃度アルコール含有ガソリンに対するバリア性に優れる燃料移送用チューブや積層体が提案されている(特許文献2、3参照)。内層にフッ素系樹脂、バリア層としてエチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、外層にポリオレィンが配置され、内層のフッ素系樹脂、バリア層のエチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物が直接接着されている積層体が提案されている(特許文献4参照)。また、脂肪族ポリアミドからなる外層、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)よりなるバリア層、フッ素系樹脂からなる内層に配置された積層体が提案されている(特許文献5参照)。
また、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリオレフィンとカルボジイミド基含有化合物とを反応させて得られる接着用組成物と特定の単量体として、テトラフルオロエチレンやビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレンからなるフッ素系共重合体が直接接着する積層体が提案されている(特許文献6参照)。また、イミノ基又はカルボジイミド基を有する変性ポリオレフィン樹脂からなる層、変性ポリオレフィンの有する官能基に対して反応性を示す接着性官能基を、主鎖末端及び/又は側鎖末端に有する接着性含有フッ素樹脂からなる層を有することを特徴とする積層体が提案されている(特許文献7参照)。
更に、側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物及び水酸基と反応又は水素結合を形成する極性官能基を有するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する高圧ガス用ホース又は貯蔵容器(特許文献8参照)や、脂肪族ポリアミドからなる層、特定の側鎖1,2−ジオール単位を含有するビニルアルコール系重合体からなる層、及びアミノ基又はヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基が分子鎖中に導入されたフッ素系重合体からなる層を含む、少なくとも3層からなる積層チューブが提案されている(特許文献9参照)。
米国特許第5554425号明細書 特開平5−247478号公報 特表2008−515658号公報 国際公開第2001−014141号 国際公開第2004−069534号 国際公開第2007−086434号 特開2012−106494号公報 特開2014−058659号公報 特開2014−240132号公報
特許文献2や3において、フッ素系樹脂からなる層と、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる層間に介在させる接着性樹脂として、変性ポリオレフィン樹脂やポリアミドとポリアミド/ポリアミングラフト共重合体、及び変性フッ素系樹脂又は変性ポリオレフィン樹脂の混合物が配置されることが提案されている。これらの積層体や燃料チューブにおいて、初期の接着性は優れるものの、熱処理後の層間接着性(層間接着性の耐久性)の更なる改良が望まれる。
特許文献4や5において、特定の官能基を有するフッ素系樹脂からなる層と、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる層が直接接着する積層体が提案されているが、同技術においても初期の層間接着性はある程度優れるものの、熱処理後の層間接着性(層間接着性の耐久性)の更なる改良が望まれる。
特許文献6や7において、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリオレフィンとカルボジイミド基含有化合物とを反応させて得られる接着用組成物が開示されているが、本発明の特定の官能基を有する化合物から誘導される構成単位を含有する接着用含フッ素系重合体組成物に関する開示はない。
特許文献8において、初期や熱処理後の層間接着性(層間接着性の耐久性)に関して、具体的な技術データの開示や技術的示唆は無い。特許文献9においても、初期の層間接着性はある程度優れるものの、熱処理後の層間接着性(層間接着性の耐久性)の更なる改良が望まれる。
更に、これら燃料移送用チューブをはじめとする積層体は、一般に、曲げ応力を加えた状態で配管される場合が多く、長期に亘り実使用されている条件下においても、チューブ性能の保持することが求められる。特に、ヒートショックと言われる、低温と高温という急激な温度変化を受けた後においても、良好な低温衝撃性を有することが求められている。
本発明の目的は、前記問題点を解決し、環境応力負荷後の低温耐衝撃性、層間接着性、及びその耐久性に優れた積層チューブを提供することにある。
本発明者らは、前記問題点を解決するために、鋭意検討した結果、特定の構造単位を有するビニルアルコール系重合体、並びにカルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体を含有する組成物を含む層と、特定の官能基を有する化合物から誘導される構成単位を含有する接着用含フッ素系重合体組成物を含む層を有し、該ビニルアルコール系重合体組成物を含む層と該接着用含フッ素系重合体組成物を含む層が隣接して配置される積層チューブが、環境応力負荷後の低温耐衝撃性、層間接着性、及びその耐久性等の諸特性に優れることを見出した。
即ち、本発明は、
(a)層と(b)層とを含む2層以上の積層チューブであって、
前記(a)層と前記(b)層とは隣接して配置され、
前記(a)層は、ビニルアルコール系重合体組成物(A)を含み、
前記(b)層は、接着用含フッ素系重合体組成物(B)を含み、
前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)は、ビニルアルコール系重合体(A1)及びエラストマー重合体(A2)を含み、
前記ビニルアルコール系重合体(A1)は、前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)中に、60質量%以上95質量%以下含まれ、
前記エラストマー重合体(A2)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有し、前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)中に、5質量%以上40質量%以下含まれ、
前記ビニルアルコール系重合体(A1)は、エチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A11)、下記(1)式で表わされる側鎖1,2−ジオール単位を含有するポリビニルアルコール系重合体(A12)、及び下記(1)式で表わされる側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記接着用含フッ素系重合体組成物(B)は、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)と、カルボジイミド基含有化合物(B2)とを反応させることにより得られ、前記カルボジイミド基を有する化合物から誘導される構成単位を含有する積層チューブである。
Figure 2019137011
[一般式(1)において、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は有機基を示し、Xは、単結合又は結合鎖を示し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は有機基を示す。]
積層チューブの好ましい態様を以下に示す。好ましい態様は複数組み合わせることができる。
[1]前記側鎖1,2−ジオール単位を含有するポリビニルアルコール系重合体(A12)又は側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)中の上記(1)式で表される側鎖1,2−ジオール単位の含有量は、側鎖1,2−ジオール単位を含有するポリビニルアルコール系重合体(A12)又は側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)の全単量体単位100モル%に対して、0.1モル%以上30モル%以下である積層チューブ。
[2]前記側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)中のエチレン単位の含有量は、側鎖1,2−ジオール単位を含有する含有エチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)の全単量体単位100モル%に対して、10モル%以上40モル%以下である積層チューブ。
[3]前記(b)層が、前記(a)層に対して内側に隣接して配置される積層チューブ。
[4]更に(c)層を含み、前記(c)層が、前記(a)層に対して外側に配置され、前記(c)層は、脂肪族ポリアミド組成物(C)を含み、前記脂肪族ポリアミド組成物(C)は、ポリアミド(C1)及びエラストマー重合体(C3)を含み、前記ポリアミド(C1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比が8.0以上の脂肪族ポリアミドであり、前記脂肪族ポリアミド組成物(C)中に、75質量%以上95質量%以下含まれ、前記エラストマー重合体(C3)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有し、前記脂肪族ポリアミド組成物(C)中に、5質量%以上25質量%以下含まる積層チューブ。
[5]前記ポリアミド(C1)が、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、及びポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた少なくとも1種の共重合体である積層チューブ。
[6]前記ポリアミド(C1)の1gあたりの末端アミノ基濃度を[A1](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B1](μeq/g)とした時、[A1]>[B1]+5である請求項3又は4のいずれか1項に記載の積層チューブ。
[7]前記脂肪族ポリアミド組成物(C)は、更にポリアミド(C2)を含み、前記ポリアミド(C2)は、前記ポリアミド(C1)以外のポリアミドであり、前記ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)の合計量100質量%に対して、ポリアミド(C1)は55質量%以上90質量%以下含まれ、ポリアミド(C2)は10質量%以上45質量%以下含まれ、前記ポリアミド(C1)と前記ポリアミド(C2)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値[|(ポリアミド(C1)のSP値)−(ポリアミド(C2)のSP値)|]は、1.8以上5.5以下(MPa)1/2である積層チューブ。
[8]更に(d)層を含み、前記(d)層が、前記(a)層に対して外側に配置され、前記(d)層は、半芳香族ポリアミド組成物(D)を含み、前記半芳香族ポリアミド組成物(D)は、半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は半芳香族ポリアミド(D2)を含み、前記半芳香族ポリアミド組成物(D)中に、前記半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は前記半芳香族ポリアミド(D2)が60質量%以上含まれ、前記半芳香族ポリアミド(D1)は、前記半芳香族ポリアミド(D1)の全ジアミン単位に対して、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位を50モル%以上含み、前記半芳香族ポリアミド(D1)の全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位、及びナフタレンジカルボン酸単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むジカルボン酸単位を50モル%以上含み、前記半芳香族ポリアミド(D2)は、前記半芳香族ポリアミド(D2)の全ジアミン単位に対して、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位を50モル%以上含み、前記半芳香族ポリアミド(D2)の全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含む積層チューブ。
[9]前記半芳香族ポリアミド組成物(D)が、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を有するエラストマー重合体(D3)を含む積層チューブ。
[10]最内層が、導電性フィラーを含有させた熱可塑性樹脂組成物を含む導電層である積層チューブ。
[11]共押出成形法により製造される積層チューブ。
[12]燃料チューブとして使用される積層チューブ。
本発明によれば、初期の薬液バリア性、低温耐衝撃性、耐薬品性、及びモノマー、オリゴマーの耐溶出性といった諸特性を維持しつつ、環境応力負荷後の低温耐衝撃性、層間接着性、及びその耐久性に優れた積層チューブを提供することができる。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
積層チューブは、(a)層と(b)層とを含む。
1.(a)層
積層チューブの(a)層は、ビニルアルコール系重合体組成物(A)を含む。
[ビニルアルコール系重合体組成物(A)]
ビニルアルコール系重合体組成物(A)は、ビニルアルコール系重合体(A1)とエラストマー重合体(A2)を含み、ビニルアルコール系重合体(A1)は、エチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A11)、下記(1)式で表わされる側鎖1,2−ジオール単位を含有するポリビニルアルコール系重合体(A12)、及び下記(1)式で表わされる側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、ビニルアルコール系重合体(A1)は、ビニルアルコール系重合体組成物(A)中に、60質量%以上95質量%以下含まれ、エラストマー重合体(A2)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有し、ビニルアルコール系重合体組成物(A)中に、5質量%以上40質量%以下含まれる(以下、それぞれビニルアルコール系重合体(A1)、ビニルアルコール系重合体組成物(A)と称する場合がある。)。
Figure 2019137011
[一般式(1)において、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は有機基を示し、Xは、単結合又は結合鎖を示し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は有機基を示す。]
[エチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A11)]
エチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A11)は、通常、エチレン及びビニルエステル系単量体との共重合体(エチレン/ビニルエステル系共重合体)をケン化させることにより得られる。エチレン/ビニルエステル系共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等により製造され、一般的にはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン/ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行うことができる。以下、エチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A11)を、未変性EVOH系重合体(A11)と称する場合がある。
このようにして製造される未変性EVOH系重合体(A11)は、エチレン単位及びビニルアルコール単位を主とし、場合により、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル単位を含む。未変性EVOH系重合体(A11)は、エチレン単位を含有するので、エチレン単位を含有していないポリビニルアルコール系重合体(以下、未変性PVA系重合体と称する場合がある。)よりも融点と分解温度の差が大きく、溶融成形が可能である。
前記ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、イタコン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、酢酸1−ブテニル、クロロ酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、アジピン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル;安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、アセチルサリチル酸ビニル、桂皮酸ビニル等の芳香族ビニルエステルが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、入手の容易さ及び製造時の不純物処理効率の観点から、酢酸ビニルが好ましい。
未変性EVOH系重合体(A11)中のエチレン単位の含有量は、ISO14663に基づいて測定し、未変性EVOH系重合体(A11)の全単量体単位100モル%に対して、15モル%以上60モル%以下であることが好ましく、18モル%以上38モル%以下であることがより好ましく、18モル%以上34モル%以下であることが更に好ましい。エチレン単位の含有量が前記の値未満であると、溶融成形性が低下する傾向があり、一方、前記の値を超えると、薬液バリア性が低下する傾向がある。
また、未変性EVOH系重合体(A11)は、エチレン単位、ビニルアルコール単位(場合により、未ケン化の前記ビニルエステル単位を含む)の他、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、前記以外のビニルエステル系単量体を含む他の単量体を共重合することも可能である。他の単量体としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン、1−オクタデセン等のα−オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類又はその塩の不飽和酸類又はその塩、又は炭素原子数1以上18以下のモノ又はジアルキルエステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド等の炭素原子数1以上18以下のN−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸又はその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミン又はその酸塩又はその4級塩等の(メタ)アクリルアミド類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−プロピル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−アリル−2−ピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチロール(メタ)アクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等メチロール基含有不飽和単量体;アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等の炭素原子数1以上18以下のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルオキシエチレン、ジアリルマレアート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、ジアリルシアナミド等のアリル化合物類;2−プロペン−1−オール(アリルアルコール)、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、6−ヘプテン−1−オール、7−オクテン−1−オール、8−ノネン−1−オール、9−デセン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、10−ドデセン−1−オール、12−トリデセン−2−オール、2−メチル−2−プロペン−1−オール(イソプロペニルアリルアルコール)、1,1−ジメチル−2−プロペン−1−オール(ジメチルアリルアルコール)、3−メチル−3−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、1−フェニルエテン−1−オール、2−メチレンプロパン−1,3−ジオール、3−メチレンペンタン−2,4−ジオール、3−メチレン−2,4−ジメチルペンタン−2,4−ジオール、3−メチレン−2,4−ジエチルペンタン−2,4−ジオール、4−メチレンヘプタン−3,5−ジオール、4−メチレン−3,5−ジメチルヘプタン−3,5−ジオール、4−メチレン−3,5−ジエチルヘプタン−3,5−ジオール、5−メチレンノナン−4,6−ジオール、5−メチレン−4,6−ジメチルノナン−4,6−ジオール、5−メチレン−4,6−ジエチルノナン−4,6−ジオール、ヒドロキシメチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロビルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有不飽和単量体;アリルアセテート、ジメチルアリルアセテート、イソプロペニルアリルアセテート等のアセチル基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアリルアミン、N−アリルプペラジン、3−ピペリジンアクリル酸エチルエステル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、5−ブテニルピリジン、4−ペンテニルピリジン、2−(4−ピリジル)アリルアルコール等のアミン系不飽和単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジブトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン等のビニルシラン類;N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド等のカチオン基含有不飽和化合物類;アセト酢酸ビニルエステル、アセト酢酸アリルエステル、ジアセト酢酸アリルエステル、(メタ)アクリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート等のアセトアセチル基含有不飽和化合物類;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−シアノアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート類;アセトアセトキシエチルクロトナート、アセトアセトキシプロピルクロトナート等のアセトアセトキシアルキルクロトナート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルメタアリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル等のグリシジル基含有不飽和単量体;1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン(2−メチレン−1,3−プロパンジオールジアセテート)、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン(2−メチレン−1,3−プロパンジオールジプロピオネート)、1,3−ジブチロニルオキシ−2―メチレンプロパン(2−メチレン−1,3−プロパンジオールジブチレート)、2,4−ジアセトキシ−3−メチレンペンタン(3−メチレン−2,4−ペンタンジオールジアセテート)、2,4−ジプロピオニルオキシ−3−メチレンペンタン(3−メチレン−2,4−ペンタンジオールジプロピオネート)、2,4−ジブチロニルオキシ−3−メチレンペンタン(3−メチレン−2,4−ペンタンジオールジブチレート)、3,5−ジアセトキシ−4−メチレンヘプタン(4−メチレン−3,5−ヘプタンジオールジアセテート)、3,5−ジプロピオニルオキシ−4−メチレンヘプタン(4−メチレン−3,5−ヘプタンジオールジプロピオネート)、3,5−ジブチロニルオキシ−4−メチレンヘプタン(4−メチレン−3,5−ヘプタンジオールジブチレート)、4,6−−ジアセトキシ−5−メチレンノナン(5−メチレン−4,6−ノナンジオールジアセテート)、4,6−ジプロピオニルオキシ−5−メチレンノナン(4−メチレン−4,6−ノナンジオールジプロピオネート)、4,6−ジブチロニルオキシ−5−メチレンノナン(4−メチレン−4,6−ノナンジオールジブチレート)等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート類;2,3−ジアセトキシ−1−ビニルオキシプロパン、2,3−ジプロピオニルオキシ−1−ビニルオキシ−プロパン、2−アセトキシ−3−プロピオニルオキシ−1−ビニルオキシプロパン、3−アセトキシ−2−プロピオニルオキシ−1−ビニルオキシプロパン、1,2−アセトキシ−4−ビニルオキシブタン、2,3−ジプロピオニルオキシ−1−ビニルオキシ−プロパン、2−アセトキシ−3−プロピオニルオキシ−1−ビニルオキシプロパン、3−アセトキシ−2−プロピオニルオキシ−1−ビニルオキシプロパン等のビニルオキシアルカンジオールジエステル類;1−アリルオキシ−2,3−ジプロピオニルオキシ−プロパン、2−アセトキシ−1−アリルオキシ−3−プロピオニルオキシプロパン、1−アリルオキシ−3−アセトキシ−2−プロピオニルオキシプロパン、1,2−アセトキシ−4−アリルオキシ−ブタン等のアリルオキシアルカンジオールジエステル類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら他の単量体単位の含有量は、未変性EVOH系重合体(A11)の全単量体単位100モル%に対して、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、2モル%以下であることが更に好ましい。
未変性EVOH系重合体(A11)の重合は、公知の任意の重合方式、例えば、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合等により行うことができる。重合方法としては、公知の任意の重合方法、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法を採用できる。無溶媒又はアルコール等の溶媒中で重合を進行させる塊状重合法又は溶液重合法が、通常採用される。
未変性EVOH系重合体(A11)の場合、エチレンガス加圧下において、ビニルエステル系単量体と前記の方法にて重合する。溶液重合法において用いられる溶媒は、特に限定されないが、アルコールが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールがより好ましい。重合反応液における溶媒の使用量は、目的とする未変性EVOH系重合体(A11)の重合度及び溶媒の連鎖移動を考慮して選択すればよい。
未変性EVOH系重合体(A11)の重合する際に使用される重合開始剤は、公知の重合開始剤、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤等が挙げられる。重合開始剤は、重合方法に応じて選択される。アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、過酸化物系開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシ−ジ−カーボネート等のパーカーボネート系化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物;イソブチラルパーオキサイド、アセチルパーオキシド、ジ−ラウロイルパーオキシド、ジ−デカノイルパーオキシド、ジ−オクタノイルパーオキシド、ジ−プロピルパーオキシド、ベンゾイルパーオキサイド等のパーオキシド化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシ、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を上記開始剤に組み合わせて使用してもよい。レドックス系開始剤は、例えば、上記の過酸化物系開始剤と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤とを組み合わせた重合開始剤である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
重合開始剤の使用量は、重合触媒により異なるために一概には決められないが、重合速度に応じて調整され、その使用量は、ビニルエステル系単量体に対して、0.01モル%以上0.2モル%以下であることが好ましく、0.02モル%以上0.15モル%以下であることがより好ましい。重合温度は、特に限定されないが、室温以上150℃以下であることが好ましく、30℃以上使用する溶媒の沸点以下であることがより好ましい。
未変性EVOH系重合体(A11)の重合する際には、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、連鎖移動剤の存在下で共重合してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;2−ヒドロキシエタンチオール等のメルカプタン類;ホスフィン酸ナトリウム一水和物等のホスフィン酸塩類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アルデヒド類及び/又はケトン類が好ましい。重合反応液への連鎖移動剤の添加量は、連鎖移動剤の連鎖移動係数及び目的とする未変性EVOH系重合体(A11)の重合度に応じて決定されるが、一般に、ビニルエステル系単量体100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい
得られたビニルエステル系共重合体のケン化についても、公知のケン化方法を採用することができる。ケン化反応は、通常、アルコール又は含水アルコールの溶液中で行われる。この際に使用されるアルコールは、メタノール、エタノール等の低級アルコールが好ましく、メタノールがより好ましい。ケン化反応に使用されるアルコール又は含水アルコールは、その質量の40質量%以下であれば、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼン等の他の溶媒を含んでもよい。ケン化に使用される触媒としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物、アルコラート等のアルカリ触媒;硫酸、塩酸、硝酸、鉱酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記アルカリ触媒を使用する際、ケン化を行う温度は、特に限定されないが、20℃以上120℃以下であることが好ましい。
未変性EVOH系重合体(A11)のケン化度(未変性EVOH系重合体(A11)中のビニルエステル単位のうち、ケン化によりビニルアルコール単位となっているものの含有量)は、JIS K 6726(但し、未変性EVOH系重合体(A11)は、水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて測定し、90モル%以上100モル%以下であることが好ましく、95モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、99モル%以上100モル%以下であることが更に好ましい。ケン化度が前記の値未満であると、薬液バリア性等が低下する傾向にある。
未変性EVOH系重合体(A11)の210℃、荷重2160gにおけるメルトフローレート(MFR)は、溶融時の粘度を適正範囲にして望ましい成形性を確保し、溶融張力を過度に低下させず、成形時にドローダウン等の問題の発生を防止する観点から、0.1g/10分以上200g/10分以下であることが好ましく、1g/10分以上100g/10分以下であることがより好ましく、2g/10分以上50g/10分以下であることが更に好ましい。
未変性EVOH系重合体(A11)は、1種類だけでなく、ケン化度が異なる未変性EVOH系重合体(A11)、分子量が異なる未変性EVOH系重合体(A11)、他の共重合単量体の種類が異なっている未変性EVOH系重合体(A11)等、2種類以上の未変性EVOH系重合体(A11)を組み合わせて用いてもよい。
未変性EVOH系重合体(A11)は、エチレン単位の含有量が異なるものを併せて用いてもよい。エチレン単位の含有量が異なるものを併せて用いる場合、その他の単位は同じであっても異なっていてもよいが、そのエチレン含有量差は、1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましく、2モル%以上20モル%以下であることが更に好ましい。
異なる2種以上の未変性EVOH系重合体(A11)をブレンドして用いる場合、そのブレンド物の製造方法は、特に限定されない。例えば、ケン化前のエチレン/ビニルエステル系共重合体の各ペーストを混合後ケン化する方法、ケン化後の各未変性EVOH系重合体(A11)をアルコール又は水とアルコールの混合溶媒に溶解させた溶液を混合する方法、各未変性EVOH系重合体(A11)のペレット又は粉体を混合した後、溶融混練する方法等が挙げられる。
[側鎖1,2−ジオール単位を含有するポリビニルアルコール系重合体(A12)、側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)]
側鎖1,2−ジオール単位を含有するポリビニルアルコール系重合体(A12)は、下記(1)式で示される側鎖1,2−ジオール単位を含有する(以下、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)と称する場合がある。)。側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)は、下記(1)式で示される側鎖1,2−ジオール単位を含有する(以下、側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)と称する場合がある。)。これらの重合体は、必要に応じてその他の共重合単量体に由来する単位を含有してもよい。
Figure 2019137011
[一般式(1)において、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は有機基を示し、Xは、単結合又は結合鎖を示し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は有機基を示す。]
(1)式において、RからRは、それぞれ独立して水素原子又は有機基を表す。前記有機基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の飽和炭化水素基、フェニル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基が挙げられ、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。これらの中でも、炭素原子数1以上30以下の飽和炭化水素基又は水素原子が好ましく、炭素原子数1以上15以下の飽和炭化水素基又は水素原子がより好ましく、炭素原子数1以上4以下の飽和炭化水素基又は水素原子が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。RからRのすべてが水素原子であることが最も好ましい。
(1)式において、Xは、単結合又は結合鎖であり、薬液バリア性を好適に維持する観点等から、単結合であることが好ましい。前記結合鎖としては、特に限定されないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素鎖(これらの炭化水素は、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い。)の他、−O−、−(CHO)−、−(OCH−、−(CHO)CH−等のエーテル結合部位を含む単位;−CO−、−COCO−、−CO(CHmCO−、−CO(C)CO−等のカルボニル基を含む単位;−S−、−CS−、−SO−、−SO−等の硫黄原子を含む単位;−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−等の窒素原子を含む単位;−HPO−等のリン原子を含む単位等のヘテロ原子を含む単位;−Si(OR)−、−OSi(OR)−、−OSi(OR)O−等の珪素原子を含む単位;−Ti(OR)−、−OTi(OR)−、−OTi(OR)O−等のチタン原子を含む単位;−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等のアルミニウム原子等の金属原子を含む単位等が挙げられる(これらの単位中、Rは、各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましい。また、mは、自然数であり、通常、1以上30以下であり、1以上15以下であることが好ましく、1以上10以下であることがより好ましい。)。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、製造時あるいは使用時の安定性の観点から、炭素原子数1以上10以下の炭化水素鎖がより好ましく、炭素原子数1以上6以下の炭化水素鎖が更に好ましく、炭素原子数1の炭化水素鎖が特に好ましい。
前記(1)式で表される側鎖1,2−ジオール単位における最も好ましい構造は、RからRのすべてが水素原子であり、Xが単結合である構造単位である。即ち、下記式(1a)で示される構造単位が最も好ましい。
Figure 2019137011
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)中の側鎖1,2−ジオール単位の含有量は、良好な低温耐衝撃性及び溶融成形性を確保する観点から、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の全単量体単位100モル%に対して、0.1モル%以上30モル%以下であることが好ましく、0.5モル%以上20モル%以下であることがより好ましく、1モル%以上15モル%以下であることが更に好ましい。ここで、側鎖1、2−ジオール単位の含有量は、H−NMRの測定結果より算出することができる。
ここで、側鎖1,2−ジオール単位を含有していないPVA系重合体を側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)と区別するため、未変性PVA系重合体と称する場合があり、側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)は、側鎖1,2−ジオール単位を含有していないEVOH系重合体(未変性EVOH系重合体(A11))と区別される。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)は、未変性PVA系重合体と比較して融点が低く、熱分解開始温度との差が大きく、溶融成形可能温度範囲が広くなり、溶融成形可能という利点がある。
また、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)は、ビニルエステル系単量体、側鎖1,2−ジオール単位となる単量体、及びPVA系重合体としての特性を損なわない範囲で含まれ得るビニルエステル系単量体と共重合可能な単量体との重合体のケン化物であり、ビニルアルコール単位、側鎖1,2−ジオール単位、共重合可能な単量体に由来する単位、及び残存したビニルエステル単位を有する。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)中のビニルアルコール単位及び側鎖1,2−ジオール単位の合計含有量は、薬液バリア性を好適に維持する観点から、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)の全単量体単位100モル%に対して、60モル%以上100モル%以下であることが好ましく、80モル%以上100モル%以下であることがより好ましい。
前記側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)は、エチレン、ビニルエステル系単量体、側鎖1,2−ジオール単位となる単量体、及びEVOH系重合体としての特性を損なわない範囲で含まれ得るビニルエステル系単量体及び/又はエチレンと共重合可能な単量体との共重合体のケン化物であり、エチレン単位、ビニルアルコール単位、側鎖1,2−ジオール単位、共重合可能な単量体に由来する単位、及び残存したビニルエステル単位を有する。
側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)中のエチレン単位の含有量は、薬液バリア性を好適に維持する観点から、側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の全単量体単位100モル%に対して、10モル%以上40モル%以下であることが好ましく、12モル%以上35モル%以下であることがより好ましく、15モル%以上30モル%以下であることが更に好ましい。ここで、エチレン単位の含有量は、前記ISO14663に基づいて測定でき、また、H−NMRの測定結果より算出することができる。
また、側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)中のビニルアルコール単位及び側鎖1,2−ジオール単位の合計含有量は、薬液バリア性を好適に維持する観点から、側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体の全単量体単位100モル%に対して、60モル%以上90モル%以下であることが好ましく、65モル%以上88モル%以下であることがより好ましく、70モル%以上85モル%以下であることが更に好ましい。
前記ビニルエステル系単量体としては、前記未変性EVOH系重合体(A11)の説明で記載した脂肪族ビニルエステル及び/又は芳香族ビニルエステルが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、入手の容易さ及び製造時の不純物処理効率の観点から、酢酸ビニルが好ましい。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)には、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、他の単量体を共重合することも可能である。他の単量体としては、前記未変性EVOH系重合体(A11)の説明で記載した単量体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら他の単量体単位の含有量は、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の全単量体単位100モル%に対して、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、2モル%以下であることが更に好ましい。
このような側鎖1,2−ジオール単位は、特に限定されないが、[1]下記一般式(2)で示される単量体及びビニルエステル系単量体(側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の場合には更にエチレン)と共重合して共重合体を得た後、次いでこれをケン化する方法、[2]側鎖1,2−ジオール単位を供給できる単量体として、下記一般式(3)で示されるビニルエチレンカーボネート等、及びビニルエステル系単量体(側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の場合には更にエチレン)と共重合して共重合体を得た後、次いでこれをケン化、脱炭酸する方法、[3]側鎖1,2−ジオール単位を供給できる単量体として、下記一般式(4)で示される2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン等、及びビニルエステル系単量体(側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の場合には更にエチレン)と共重合して共重合体を得た後、次いでケン化、脱アセタール化する方法等により製造することができる。
Figure 2019137011
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前記(2)、(3)、(4)式中、RからR、及びXは、いずれも前記(1)式の場合と同様であり、RからRは、それぞれ独立して水素原子又は有機基を示し、Xは、単結合又は結合鎖を示す。R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はR−CO−(式中、Rは、炭素原子数1以上20以下アルキル基)である。R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子又は有機基を示す。
一般式(2)で示される化合物において、RからR、及びXは、いずれも前記(1)式の場合と同様であり、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はR−CO−(式中、Rは、アルキル基)であり、該アルキル基としては、特に限定されず、通常、炭素原子数1以上20以下であり、メチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等の炭素原子数1以上8以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。かかるアルキル基は、共重合反応性等を阻害しない範囲内において、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
一般式(2)で表される化合物としては、Xが単結合である場合、3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン等が挙げられ、Xがアルキレン基である場合、4,5−ジオール−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−エチル−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−3−エチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン、5,6−ジオール−3−メチル−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−3−メチル−1−ヘキセン、5,6−ジオール−4−メチル−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−4−メチル−1−ヘキセン等が挙げられ、Xが−CHOCH−又は−OCH−である場合、グリセリンモノアリルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、2−アセトキシ−1−アリルオキシ−3−ヒドロキシプロパン、3−アセトキシ−1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、グリセリンモノビニルエーテル、グリセリンモノイソプロペニルエーテル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、共重合反応性及び工業的な取り扱いに優れるという点で、Xが単結合であり、3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテンが好ましく、RからRが水素原子、Xが単結合、R及びRがR−CO−であり、Rがアルキル基である3,4−ジアシロキシ−1−ブテンがより好ましく、Rがメチル基である3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが更に好ましい。
一般式(3)で示される化合物において、RからR、及びXは、いずれも前記(1)式の場合と同様である。これらの中でも、入手の容易さ及び良好な共重合性を有する点で、RからRが水素原子で、RからRが水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基で、Xが単結合であるビニルエチレンカーボネート(4−ビニルエチレンカーボネート,4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、5−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジメチル−4−ビニルエチレンカーボネート、5,5−ジメチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5,5−トリメチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−エチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−n−プロピル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−ブチル−4−ビニルエチレンカーボネートが好ましく、RからRが水素原子で、Xが単結合であるビニルエチレンカーボネートがより好ましい。
一般式(4)で示される化合物において、RからR、及びXは、いずれも前記(1)式の場合と同様であり、R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり、該アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましい。かかるアルキル基は、共重合反応性等を阻害しない範囲内において、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。これらの中でも、入手の容易さ及び良好な共重合性を有する点で、RからRが水素原子で、Xが単結合、R10及びR11がアルキル基である2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランが好ましく、RからRが水素原子で、Xが単結合、R10及びR11がメチル基である2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランがより好ましい。
[1]、[2]、及び[3]の方法については、例えば、特開2004−359965号公報、特開2006−096815号公報等に記載の方法を採用できる。これらの製造方法のうち、[1]の方法を採用することが好ましく、共重合反応性を考慮すると、式(2)中のR及びRは、それぞれR−CO−であることが好ましい。R−CO−は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基であり、工業生産性の観点から炭素原子数1以上10以下のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1以上5以下のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
即ち、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン及びビニルエステル系単量体(側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の場合には更にエチレン)を共重合して得られた共重合体をケン化する方法が好ましく、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとして、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン及びビニルエステル系単量体(側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の場合には更にエチレン)を共重合して得られた共重合体をケン化する方法がより好ましい。かかる製造方法によれば、重合が良好に進行し、側鎖1,2−ジオール単位を重合体の主鎖中に均一に導入しやすく、結果として未反応モノマーが少なくなり、不純物を減らすことができるという利点がある。
具体的に説明すると、酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合させた際の各単量体の反応性比は、r(酢酸ビニル)=0.71、r(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.70である。これは[2]のビニルエチレンカーボネートを用いた場合の各単量体の反応性比、r(酢酸ビニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート)=5.4と比較すると、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの方が酢酸ビニルとの共重合反応性に優れている。
また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの連鎖移動定数は、Cx(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.003(65℃)である。[2]の方法で用いるビニルエチレンカーボネートのCx(ビニルエチレンカーボネート)=0.005(65℃)や、[3]の方法で用いる2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランのCx(2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン)=0.023(65℃)と比較すると、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの連鎖移動定数が小さく、重合度が上がり易く、重合速度低下の原因となりにくい。
更に、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを用いた場合、得られる共重合体をケン化したときに生成される副生物は、ビニルエステル系単量体として多用される酢酸ビニル単位に由来する副生物と同一である。従って、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを用いる[1]の方法では、後処理に特別な装置や工程を設ける必要がないという工業的利点もある。
尚、上記の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、例えば、国際公開第2000/24702号、米国特許第5623086号明細書、米国特許第6072079号明細書等に記載されたエポキシブテン誘導体を経由する合成方法や、1,4−ブタンジオール製造工程の中間生成物である1,4−ジアセトキシ−1−ブテンを塩化パラジウム等の金属触媒を用いて異性化する反応によって製造することができる。
尚、[1]の方法の原料として用いる3,4−ジオール−1−ブテンは、イーストマンケミカル社から、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは工業生産用ではイーストマンケミカル社、試薬レベルではアクロス社の製品を市場から入手することができる。1,4−ブタンジオール製造工程中の副生成物として得られる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを利用することも出来る。原料として用いられる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンには、少量の不純物として、3,4−ジアセトキシ−1−ブタン、1,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−1−ブタン等を含んでいても良い。
一方、[2]の製法により製造された側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)は、ケン化度が低い場合や、脱炭酸が不充分な場合には、側鎖にカーボネート環が残存し、溶融成形時に脱炭酸され、樹脂が発泡する原因となる傾向がある。また、[3]により製造された側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)も、製造方法[2]によるものと同様に、側鎖に残存した単量体由来の官能基(アセタール環)が溶融成形時に脱離して、臭気が発生する傾向があるため、これに留意して使用する必要がある。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の重合は、前記未変性EVOH系重合体(A11)の説明で記載した公知の方法が挙げられる。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の重合する際に使用される重合開始剤としては、前記未変性EVOH系重合体(A11)の説明で記載した公知の重合開始剤が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。重合開始剤の使用量は、重合触媒により異なるために一概には決められないが、重合速度に応じて調整され、その使用量は、ビニルエステル系単量体に対して、0.01モル%以上0.2モル%以下であることが好ましく、0.02モル%以上0.15モル%以下であることがより好ましい。重合温度は、特に限定されないが、室温以上150℃以下であることが好ましく、30℃以上使用する溶媒の沸点以下であることがより好ましい。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の重合する際には、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、連鎖移動剤の存在下で共重合してもよく、連鎖移動剤としては、前記未変性EVOH系重合体(A11)の説明で記載した化合物が好ましい挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。重合反応液への連鎖移動剤の添加量は、連鎖移動剤の連鎖移動係数及び目的とする重合度に応じて決定されるが、一般に、ビニルエステル系単量体100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい
得られた側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)のケン化についても、前記未変性EVOH系重合体(A11)の説明で記載した公知のケン化方法を採用することができる。ケン化時に使用される溶媒及び触媒は、前記未変性EVOH系重合体(A11)の説明で記載した通りである。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)のケン化度(側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)中のビニルエステル単位のうち、ケン化によりビニルアルコール単位となっているものの含有量)は、薬液バリア性を好適に維持する観点から、90モル%以上100モル%以下であることが好ましく、95モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、99モル%以上100モル%以下であることが更に好ましい。ここで、ケン化度は、H−NMRの測定結果や、JIS K 6726に準拠して、前記一般式(2)から(4)で示される単量体、ビニルエステル系単量体等の残存したビニルエステル系単量体の加水分解に要するアルカリ消費量より算出することができる。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の融点は、100℃以上220℃以下であることが好ましく、130℃以上200℃以下であることがより好ましく、150℃以上190℃以下であることが更に好ましい。
更に、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)の210℃、荷重2160gにおけるメルトフローレート(MFR)は、溶融時の粘度を適正範囲にして望ましい成形性を確保し、溶融張力を過度に低下させず、成形時にドローダウン等の問題の発生を防止する観点から、0.1g/10分以上200g/10分以下であることが好ましく、1g/10分以上100g/10分以下であることがより好ましく、2g/10分以上50g/10分以下であることが更に好ましい。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び/又は側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)は、1種類だけでなく、ケン化度が異なる側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び/又は側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)、分子量が異なる側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び/又は側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)、他の共重合単量体の種類が異なっている側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び/又は側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)等、2種類以上の側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び/又は側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)を組み合わせて用いてもよい。
側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)を用いる場合、エチレン単位の含有量が異なるものを併せて用いてもよい。エチレン単位の含有量が異なるものを併せて用いる場合、その他の単位は同じであっても異なっていてもよいが、そのエチレン含有量差は1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましく、2モル%以上20モル%以下であることが更に好ましい。
更に、側鎖1,2−ジオール単位を含有していないPVA系重合体(未変性PVA系重合体)及び/又は側鎖1,2−ジオール単位を含有していないEVOH系重合体(未変性EVOH系重合体(A11))が混合されていてもよい。側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び/又は側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)、並びに未変性PVA系重合体及び/又は未変性EVOH系重合体(A11)との混合物の場合、混合物中の側鎖1,2−ジオール単位の含有量は、混合質量比から算出される値として、混合物の全単量体単位100モル%に対して、0.1モル%以上30モル%以下であることが好ましく、0.5モル%以上25モル%以下であることがより好ましく、0.75モル%以上20モル%以下であることが更に好ましい。
また、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)を組み合わせて用いてもよい。
異なる2種以上の側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び/又は側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)をブレンドして用いる場合、並びに側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12)及び/又は側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13)、並びに未変性PVA系重合体及び/又は未変性EVOH系重合体(A11)をブレンドして用いる場合、そのブレンド物の製造方法は、特に限定されない。例えば、ケン化前のビニルエステル系共重合体の各ペーストを混合後ケン化する方法、ケン化後の各ビニルアルコール系重合体をアルコール又は水とアルコールの混合溶媒に溶解させた溶液を混合する方法、各ビニルアルコール系重合体のペレット又は粉体を混合した後、溶融混練する方法等が挙げられる。
[エラストマー重合体(A2)]
ビニルアルコール系重合体組成物(A)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体(A2)を含有する(以下、エラストマー重合体(A2)と称する場合がある。)。
エラストマー重合体(A2)としては、(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体、(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸エステル)系共重合体、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンと炭素原子数3以上のα−オレフィンを共重合した重合体であり、炭素原子数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエン等の非共役ジエンのポリエンを共重合してもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸エステル)系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンとα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体を共重合した重合体であり、α,β−不飽和カルボン酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、前記芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン化合物系重合体ブロックからなるブロック共重合体であり、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックを少なくとも1個と、共役ジエン化合物系重合体ブロックを少なくとも1個有するブロック共重合体が用いられる。前記ブロック共重合体では、共役ジエン化合物系重合体ブロックにおける不飽和結合が水素添加されていてもよい。
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、芳香族ビニル化合物に由来する単位から主としてなる重合体ブロックである。その場合の芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,5−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、場合により少量の他の不飽和単量体からなる単位を有していてもよい。
共役ジエン化合物系重合体ブロックは、1,3−ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン系化合物の1種又は2種以上から形成された重合体ブロックであり、水素添加した芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体では、その共役ジエン化合物系重合体ブロックにおける不飽和結合部分の一部又は全部が水素添加により飽和結合になっている。
芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体及びその水素添加物の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状、又はそれら任意の組み合わせのいずれであってもよい。これらの中でも、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体及び/又はその水素添加物として、1個の芳香族ビニル化合物重合体ブロックと1個の共役ジエン化合物系重合体ブロックが直鎖状に結合したジブロック共重合体、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック−共役ジエン化合物系重合体ブロック−芳香族ビニル化合物系重合体ブロックの順に3つの重合体ブロックが直鎖状に結合しているトリブロック共重合体、及びそれらの水素添加物の1種又は2種以上が好ましく用いられ、未水添又は水添スチレン/ブタジエンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/イソプレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/(イソプレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
エラストマー重合体(A2)の構成単位を形成するカルボキシル基を有する不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、及びこれらカルボン酸の金属塩等のα,β−不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。エラストマー重合体(A2)の構成単位を形成する酸無水物基を有する不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等のα,β−不飽和結合を有するジカルボン酸無水物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、α,β−不飽和結合を有するジカルボン酸無水物が好ましく、無水マレイン酸、無水イタコン酸がより好ましい。
エラストマー重合体(A2)におけるカルボキシル基及び/又は酸無水物基濃度は、低温耐衝撃性の改良効果、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性を十分に得るとともに、得られるビニルアルコール系重合体組成物(A)の流動性の観点から、25μeq/g以上200μeq/g以下であることが好ましく、50μeq/g以上150μeq/g以下であることがより好ましい。
尚、エラストマー重合体(A2)におけるカルボキシル基及び/又は酸無水物基濃度は、該エラストマー重合体をトルエン溶液に溶解し、更に、エタノールを加えて調製した試料溶液を用いて、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定して測定することができる。
ビニルアルコール系重合体組成物(A)中のビニルアルコール系重合体(A1)の含有量は、ビニルアルコール系重合体組成物(A)100質量%に対して、60質量%以上95質量%以下であり、65質量%以上93質量%以下であることが好ましく、70質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。ビニルアルコール系重合体(A1)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層チューブの薬液バリア性が劣り、一方、前記の値を超えると、得られる積層チューブの低温衝撃性が劣る。
ビニルアルコール系重合体組成物(A)中のエラストマー重合体(A2)の含有量は、ビニルアルコール系重合体組成物(A)100質量%に対して、5質量%以上40質量%以下であり、7質量%以上35質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。エラストマー重合体(A2)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層チューブの低温耐衝撃性、層間接着性、及びその耐久性が劣り、一方、前記の値を超えると、得られる積層チューブの機械的特性、薬液バリア性、及び得られるビニルアルコール系重合体組成物(A)の流動性が劣る。
ビニルアルコール系重合体(A1)とエラストマー重合体(A2)を混合する方法は、特に制限されず、必要に応じて各種添加剤を配合し、従来から知られている各種の方法を採用することができる。例えば、両者をタンブラー及び/又はミキサーを用いて、ビニルアルコール系重合体(A1)及びエラストマー重合体(A2)のペレット同士を前記の混合割合になるように均一にドライブレンドする方法、両者を必要に応じて添加される他の成分と共に、成形時に使用する濃度で予めドライブレンドし、溶融混練する方法等により製造することができる。溶融混練は、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を使用して行うことができる。
ビニルアルコール系重合体組成物(A)には、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、ビニルアルコール系重合体(A1)及びエラストマー重合体(A2)以外の他の熱可塑性樹脂、各種添加剤、更に、不可避的に含有されるビニルアルコール系重合体製造のためのモノマー残渣、モノマーのケン化物等、いわゆる不純物が含まれていてもよい。
不可避的不純物としては、具体的には、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−アセトキシ−4−オール−1−ブテン、4−アセトキシ−3−オール−1−ブテン等が挙げられる。
添加剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、リン酸エステル等の可塑剤;ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類;エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコール類等の帯電防止剤;ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;オレイン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;エチレンビスステアリン酸アミド等のビス脂肪酸アミド;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩;ワックス、流動パラフィン、分子量500以上10,000以下程度の低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等低分子量ポリオレフィン等の滑剤;酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸等の有機酸;ホウ酸化合物、リン酸化合物等の無機酸系化合物;ハイドロタルサイト類の金属塩等の安定剤;還元鉄粉類、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、ハイドロキノン、没食子酸等の酸素吸収剤;カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等の着色剤;グラスファイバー、アスベスト、バラストナイト、マイカ、セリサイト、タルク、シリカ、カオリン、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト等の充填剤;2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−β−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ベンゼンエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリストール−ジホスファイト等の酸化防止剤;エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記添加剤以外に、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させるために、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、ハイドロタルサイト類の金属塩等の安定剤、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤の1種又は2種以上を、ビニルアルコール系重合体(A1)100質量部に対して、0.01質量部以上1質量部以下添加することが好ましい。
更に、前記添加剤以外に、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させるために、酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸類、又はこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)等の塩;硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸類、又はこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)等の塩等を添加してもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、酢酸、ホウ酸及びその塩を含むホウ素化合物、酢酸塩、及びリン酸塩を添加することが好ましい。
酢酸の含有量は、その含有効果を十分に確保し、均一な肉厚を有する積層チューブを得る観点から、ビニルアルコール系重合体(A1)100質量部に対して、0.001質量部以上1質量部以下であることが好ましく、0.005質量部以上0.2質量部以下であることがより好ましく、0.01質量部以上0.1質量部以下であることが更に好ましい。
ホウ素化合物の含有量は、その含有効果を十分に確保し、均一な肉厚を有する積層チューブを得る観点から、ビニルアルコール系重合体(A1)100質量部に対して、ホウ素元素換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で0.001質量部以上1質量部以下であることが好ましく、0.002質量部以上0.2質量部以下であることがより好ましく、0.005質量部以上0.1質量部以下であることが更に好ましい。
また、酢酸塩、リン酸塩(リン酸水素塩を含む)の含有量は、その含有効果を十分に確保し、均一な肉厚を有する積層チューブを得る観点から、ビニルアルコール系重合体(A1)100質量部に対して、金属元素換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で、0.0005質量部以上0.1質量部以下であることが好ましく、0.001質量部以上0.05質量部以下であることがより好ましく、0.002質量部以上0.03質量部以下であることが更に好ましい。尚、ビニルアルコール系重合体組成物(A)に2種以上の塩を添加する場合は、その総計が前記の含有量の範囲であることが好ましい。
ビニルアルコール系重合体(A1)にホウ素化合物、酢酸塩、及びリン酸塩を添加する方法については、特に限定されず、i)含水率20質量%以上80質量%以下のビニルアルコール系重合体(A1)の多孔性析出物を、添加物の水溶液と接触させて、添加物を含有させてから乾燥する方法、ii)ビニルアルコール系重合体(A1)の均一溶液(水/アルコール溶液等)に添加物を含有させた後、凝固液中にストランド状に押し出し、次いで得られたストランドを切断してペレットとして、更に、乾燥処理をする方法、iii)ビニルアルコール系重合体(A1)、エラストマー重合体(A2)、及び添加物を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法、iv)ビニルアルコール系重合体(A1)の製造時において、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を酢酸等の有機酸類で中和して、残存する酢酸等の有機酸類や副生成する塩の量を水洗処理により調整する方法等が挙げられる。本発明の効果をより顕著に得るためには、添加物の分散性に優れるi)、ii)の方法、有機酸及びその塩を含有させる場合はiv)の方法が好ましい。
以上のように、ビニルアルコール系重合体組成物(A)は、必要に応じて添加される他のポリマー、添加剤等を更に添加し、溶融混練することにより調製できるが、ビニルアルコール系重合体組成物(A)の特性を十分に確保する観点から、ビニルアルコール系重合体組成物(A)中におけるビニルアルコール系重合体(A1)及びエラストマー重合体(A2)の合計含有量は、全組成物に対して、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。従って、前記添加剤の含有量は、総量で30質量%未満であることが好ましく、20質量%未満であることがより好ましく、10質量%未満であることが更に好ましい。
ビニルアルコール系重合体組成物(A)は、他の熱可塑性樹脂との混合物であってもよい。他の熱可塑性樹脂としては、後記脂肪族ポリアミド組成物(C)の場合と同様の樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。更に、得られる積層チューブの柔軟性及び伸びを十分に確保する観点から、後記脂肪族ポリアミド組成物(C)に含まれるポリアミド(C1)及び/又はポリアミド(C2)の説明で記載したポリアミドとの混合物であることも好ましい。また、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー等のポリアミド系エラストマー、ポリエステルエラストマーを含むことも好ましい。ビニルアルコール系重合体組成物(A)中のビニルアルコール系重合体(A1)及びエラストマー重合体(A2)の合計含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。従って、他の熱可塑性樹脂の含有量は、総量で30質量%未満であることが好ましく、20質量%未満であることがより好ましい。
2.(b)層
積層チューブの(b)層は、接着用含フッ素系重合体組成物(B)を含む。
[接着用含フッ素系重合体組成物(B)]
接着用含フッ素系重合体組成物(B)は、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)と、カルボジイミド基含有化合物(B2)とを反応させることにより得られ、カルボジイミド基を有する化合物から誘導される構成単位を含有する(以下、接着用含フッ素系重合体組成物(B)と称する場合がある。)。カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)とカルボジイミド基含有化合物(B2)は、共に固体であることが好ましい。
[カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)]
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)は、含フッ素系重合体に、カルボジイミド基と反応する官能基を有する化合物を導入することにより得られる(以下、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)と称する場合がある。)。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)は、少なくとも1種の含フッ素単量体から誘導される繰り返し単位を有する重合体(単独重合体又は共重合体)である。熱溶融加工可能な含フッ素系重合体であれば特に限定されるものではない。
ここで含フッ素単量体としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリクロロフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)、CF=CF−OCH−Rf2(ここで、Rf2は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキレン基を表す。)、CF=CF(CFOCF=CF(ここで、pは、1又は2である。)、CH=CX(CF(ここで、X及びXは、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記一般式CF=CFORf1の具体例としては、CF=CFOCF(パーフルオロ(メチルビニルエーテル):PMVE)、CF=CFOCFCF(パーフルオロ(エチルビニルエーテル):PEVE)、CF=CFOCFCFCF(パーフルオロ(プロピルビニルエーテル):PPVE)、CF=CFOCFCFCFCF(パーフルオロ(ブチルビニルエーテル):PBVE)、CF=CFO(CFF(パーフルオロ(オクチルビニルエーテル):POVE)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、PAVEと称する場合がある。)が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、CF=CFOCF、CF=CFOCFCFCFが好ましい。
また、前記一般式CH=CX(CF(ここで、X及びXは、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)で表される化合物中のnは、含フッ素系重合体の改質(例えば、共重合体の成形時及び成形品のクラック発生の抑制)効果に確保し、十分な重合反応性を得る観点から、2以上10以下の整数である。具体的には、CH=CF(CFF、CH=CF(CFF、CH=CF(CFF、CH=CF(CFF、CH=CF(CFF、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFH、CH=CH(CFH、CH=CH(CFH、CH=CH(CFH、CH=CH(CFH等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)の薬液バリア性と耐環境応力亀裂性のバランスの観点から、CH=CH(CFF又はCH=CF(CFHで表される化合物が好ましく、式中のnは、2以上4以下であることがより好ましい。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)は、前記含フッ素単量体に加えて、更に、非フッ素含有単量体に基づく重合単位を含有してもよい。非フッ素含有単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭素原子数2以上4以下のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、クロトン酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、クロトン酸メチル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル(MVE)、エチルビニルエーテル(EVE)、ブチルビニルエーテル(BVE)、イソブチルビニルエーテル(IBVE)、シクロへキシルビニルエーテル(CHVE)、グリシジルビニルエーテル等のビニルエーテル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルが好ましく、エチレンがより好ましい。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)の中でも、耐熱性、耐薬品性、及び薬液バリア性の観点から、カルボジイミド基と反応する官能基を有する少なくともフッ化ビニリデン単位(VDF単位)からなる重合体(B11)、カルボジイミド基と反応する官能基を有する少なくともテトラフルオロエチレン単位(TFE単位)及びエチレン単位(E単位)からなる共重合体(B12)、カルボジイミド基と反応する官能基を有する少なくともテトラフルオロエチレン単位(TFE単位)、ヘキサフルオロプロピレン単位(HFP単位)、及び/又は前記一般式CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来するPAVE単位からなる共重合体(B13)、カルボジイミド基と反応する官能基を有する少なくともクロロトリフルオロエチレン単位(CTFE単位)からなる共重合体(B14)、カルボジイミド基と反応する官能基を有する少なくともクロロトリフルオロエチレン単位(CTFE単位)及びテトラフルオロエチレン単位(TFE単位)からなる共重合体(B15)であることが好ましい。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する少なくともフッ化ビニリデン単位(VDF単位)からなる重合体(B11)(以下、VDF共重合体(B11)と称する場合がある。)としては、例えば、フッ化ビニリデン単独重合体(ポリフッ化ビニリデン(PVDF))(E1−1)、
VDF単位及びTFE単位とからなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、VDF単位の含有量が30モル%以上99モル%以下、及びTFE単位の含有量が1モル%以上70モル%以下である共重合体(E1−2)、
VDF単位、TFE単位、及びトリクロロフルオロエチレン単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、VDF単位の含有量が10モル%以上90モル%以下、TFE単位の含有量が0モル%以上90モル%以下、及びトリクロロフルオロエチレン単位の含有量が0モル%以上30モル%以下である共重合体(E1−3)、
VDF単位、TFE単位、及びHFP単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、VDF単位の含有量が10モル%以上90モル%以下、TFE単位の含有量が0モル%以上90モル%以下、及びHFP単位の含有量が0モル%以上30モル%以下である共重合体(E1−4)等が挙げられる。
前記共重合体(E1−4)において、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、VDF単位の含有量は、15モル%以上84モル%以下、TFE単位の含有量は、15モル%以上84モル%以下、及びHFP単位の含有量は、0モル%以上30モル%以下であることが好ましい。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する少なくともテトラフルオロエチレン単位(TFE単位)及びエチレン単位(E単位)からなる共重合体(B12)としては(以下、TFE共重合体(B12)と称する場合がある。)、例えば、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が20モル%以上である重合体が挙げられ、更には、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が20モル%以上80モル%以下、E単位の含有量が20モル%以上80モル%以下、及びこれらと共重合可能な単量体に由来する単位の含有量が0モル%以上60モル%以下である共重合体等が挙げられる。
前記共重合可能な単量体としては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、前記一般式CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)、前記一般式CH=CX(CF(ここで、X及びXは、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
TFE共重合体(B12)としては、例えば、
TFE単位、E単位、及び前記一般式CH=CX(CF(ここで、X及びXは、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)で表されるフルオロオレフィンに由来するフルオロオレフィン単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が30モル%以上70モル%以下、E単位の含有量が20モル%以上55モル%以下、及び前記一般式CH=CX(CF(ここで、X及びXは、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)で表されるフルオロオレフィンに由来するフルオロオレフィン単位の含有量が0モル%以上10モル%以下である共重合体(B12−1)、
TFE単位、E単位、HFP単位、及びこれらと共重合可能な単量体に由来する単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が30モル%以上70モル%以下、E単位の含有量が20モル%以上55モル%以下、HFP単位の含有量が1モル%以上30モル%以下、及びこれらと共重合可能な単量体に由来する単位の含有量が0モル%以上10モル%以下である共重合体(B12−2)、
TFE単位、E単位、及び前記一般式CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来するPAVE単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が30モル%以上70モル%以下、E単位の含有量が20モル%以上55モル%以下、及び前記一般式CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来するPAVE単位の含有量が0モル%以上10モル%以下である共重合体(B12−3)等が挙げられる。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する少なくともテトラフルオロエチレン単位(TFE単位)、ヘキサフルオロプロピレン単位(HFP単位)、及び/又は前記一般式CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来するPAVE単位からなる共重合体(B13)(以下、TFE共重合体(B13)と称する場合がある。)としては、例えば、
TFE単位及びHFP単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が70モル%以上95モル%以下であり、好ましくは85モル%以上93モル%以下であり、HFP単位の含有量が5モル%以上30モル%以下であり、好ましくは7モル%以上15モル%以下である共重合体(B13−1)、
TFE単位及び前記一般式CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来する1種又は2種以上のPAVE単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が70モル%以上95モル%以下、及び前記一般式CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来する1種又は2種以上のPAVE単位の含有量が5モル%以上30モル%以下である共重合体(B13−2)、
TFE単位、HFP単位、及び前記一般式CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来する1種又は2種以上のPAVE単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が70モル%以上95モル%以下、HFP単位及び前記一般式CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来する1種又は2種以上のPAVE単位の合計含有量が5モル%以上30モル%以下である共重合体(B13−3)等が挙げられる。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する少なくともクロロトリフルオロエチレン単位(CTFE単位)からなる共重合体とは、CTFE単位[−CFCl−CF−]、更に、エチレン単位(E単位)及び/又は含フッ素単量体単位から構成されるクロロトリフルオロエチレン共重合体(B14)である(以下、CTFE共重合体(B14)と称する場合がある。)。
前記CTFE共重合体(B14)における含フッ素単量体としては、CTFE以外のものであれば特に限定されないが、フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、前記一般式CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVE、前記一般式CH=CX(CF(ここで、X及びXは、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)で表されるフルオロオレフィン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
CTFE共重合体(B14)としては、特に限定されず、例えば、CTFE/PAVE共重合体、CTFE/VDF共重合体、CTFE/HFP共重合体、CTFE/E共重合体、CTFE/PAVE/E共重合体、CTFE/VDF/E共重合体、CTFE/HFP/E共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
CTFE共重合体(B14)におけるCTFE単位の含有量は、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、15モル%以上70モル%以下であることが好ましく、18モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。一方、E単位及び/又は含フッ素単量体単位の含有量は、30モル%以上85モル%以下であることが好ましく、35モル%以上82モル%以下であることがより好ましい。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する少なくともクロロトリフルオロエチレン単位(CTFE単位)及びテトラフルオロエチレン単位(TFE単位)からなる共重合体(B15)は、CTFE単位[−CFCl−CF−]、TFE単位[−CF−CF−]、並びにCTFE及びTFEと共重合可能な単量体単位から構成されるクロロトリフルオロエチレン共重合体である(以下、CTFE/TFE共重合体(B15)と称する場合がある。)。
前記CTFE/TFE共重合体(B15)における共重合可能な単量体としては、CTFE及びTFE以外のものであれば特に限定されないが、フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、前記一般式CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVE、前記一般式CH=CX(CF(ここで、X及びXは、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)で表されるフルオロオレフィン等の含フッ素単量体;エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭素原子数2以上4以下のオレフィン;酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル(MVE)、エチルビニルエーテル(EVE)、ブチルビニルエーテル(BVE)等のビニルエーテル等の非フッ素含有単量体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、前記一般式CF=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEであることが好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(プロビルビニルエーテル)(PPVE)がより好ましく、耐熱性の観点から、PPVEが更に好ましい。
CTFE/TFE共重合体(B15)としては、特に限定されず、例えば、CTFE/TFE共重合体、CTFE/TFE/HFP共重合体、CTFE/TFE/VDF共重合体、CTFE/TFE/PAVE共重合体、CTFE/TFE/E共重合体、CTFE/TFE/HFP/PAVE共重合体、CTFE/TFE/VDF/PAVE共重合体等が挙げられる。、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、CTFE/TFE/PAVE共重合体、CTFE/TFE/HFP/PAVE共重合体が好ましい。
CTFE/TFE共重合体(B15)中におけるCTFE単位及びTFE単位の合計含有量は、良好な成形性、耐環境応力亀裂性、薬液バリア性、耐熱性、及び機械特性を確保する観点から、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、90モル%以上99.9モル%以下であることが好ましく、前記CTFE及びTFEと共重合可能な単量体単位の含有量は、0.1モル%以上10モル%以下であることが好ましい。
CTFE/TFE共重合体(B15)中のおけるCTFE単位の含有量は、良好な成形性、耐環境応力亀裂性、及び薬液バリア性を確保する観点から、前記CTFE単位及びTFE単位の合計量100モル%に対して、15モル%以上80モル%以下であることが好ましく、17モル%以上70モル%以下であることがより好ましく、19モル%以上65モル%以下であることが更に好ましい。
CTFE/TFE共重合体(B15)において、前記CTFE及びTFEと共重合可能な単量体がPAVEである場合、PAVE単位の含有量は、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、0.5モル%以上7モル%以下であることが好ましく、1モル%以上5モル%以下であることがより好ましい。
CTFE/TFE共重合体(B15)において、前記CTFE及びTFEと共重合可能な単量体がHFP及びPAVEである場合、HFP単位及びPAVE単位の合計含有量は、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、0.5モル%以上7モル%以下であることが好ましく、1モル%以上5モル%以下であることがより好ましい。
TFE共重合体(B13)、CTFE共重合体(B14)、及びCTFE/TFE共重合体(B15)は、薬液バリア性、特に含アルコールガソリンに対するバリア性に卓越して優れる。含アルコールガソリン透過係数は、イソオクタン、トルエン、及びエタノールを45:45:10の容積比で混合したイソオクタン/トルエン/エタノール混合溶媒を投入した透過係数測定用カップに測定対象樹脂から得たシートを入れ、60℃において測定した質量変化から算出される値である。TFE共重合体(B13)、CTFE共重合体(B14)、及びCTFE/TFE共重合体(B15)の前記含アルコールガソリン透過係数は、1.5g・mm/(m・day)以下であることが好ましく、0.01g・mm/(m・day)以上1g・mm/(m・day)以下であることがより好ましく、0.02g・mm/(m・day)以上0.8g・mm/(m・day)以下であることが更に好ましい。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)は、重合体を構成する単量体を使用し、従来からの重合方法で(共)重合することによって得ることができる。その中でも、主としてラジカル重合による方法が用いられる。即ち、重合を開始するには、ラジカル的に進行するものであれば手段は何ら制限されないが、例えば、有機、無機ラジカル重合開始剤、熱、光、電離放射線等によって開始される。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)の製造方法は、特に制限はなく、一般に用いられているラジカル重合開始剤を使用する重合方法が用いられる。重合方法としては、塊状重合、フッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等の有機溶媒を使用する溶液重合、水性媒体及び必要に応じて適当な有機溶剤を使用する懸濁重合、水性媒体及び乳化剤を使用する乳化重合等、公知の方法を採用できる。
また、重合は、一槽ないし多槽式の攪拌型重合装置、管型重合装置等を使用して、回分式又は連続式操作として実施することができる。
ラジカル重合開始剤としては、半減期が10時間である分解温度が0℃以上100℃以下であることが好ましく、20℃以上90℃以下であることがより好ましい。具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、4,4’−アゾビス(4−シアノペンテン酸)等のアゾ化合物;過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の非フッ素系ジアシルパーオキサイド;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル;(Z(CFCOO)(ここで、Zは、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子であり、pは、1以上10以下の整数である。)で表される化合物等の含フッ素ジアシルパーオキサイド;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)の製造に際しては、分子量調整のために、通常の連鎖移動剤を使用することも好ましい。連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール;1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン等のクロロフルオロハイドロカーボン;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等のハイドロカーボン;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のクロロハイドロカーボンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
重合条件については、特に限定されず、重合温度は、0℃以上100℃以下であることが好ましく、20℃以上90℃以下であることがより好ましい。重合体中のエチレン−エチレン連鎖生成による耐熱性の低下を避けるためには、一般に、低温が好ましい。重合圧力は、用いる溶媒の種類、量、蒸気圧、重合温度等の他の重合条件に応じて適宜定められるが、0.1MPa以上10MPa以下であることが好ましく、0.5MPa以上3MPa以下であることがより好ましい。重合時間は、1時間以上30時間以下であることが好ましい。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)の分子量は、特に限定されないが、室温で固体の重合体であり、それ自体、熱可塑性樹脂、エラストマー等として使用できるものが好ましい。また、分子量は、重合に用いる単量体の濃度、重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度等によって制御される。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)は、含フッ素単量体及びその他の単量体の種類、組成比等を選ぶ事によって、重合体の融点、ガラス転移点等を調節することができる。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)の融点は、目的、用途、使用方法等により適宜選択されるが、前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)との共押出時の熱溶融安定性、連続成形性、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)の耐熱性、耐薬品性、及び薬液バリア性を十分に確保する観点から、150℃以上230℃以下であることが好ましい。そのため、前記含フッ素単量体、その他の単量体、及び後記の官能基含有単量体の割合を適宜調節し、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)の融点を最適化することが好ましい。
ここで、融点とは、示差走査熱量測定装置を用いて、試料を予想される融点以上の温度に加熱し、次に、この試料を1分間あたり10℃の速度で降温し、30℃まで冷却、そのまま約1分間放置したのち、1分間あたり10℃の速度で昇温することにより測定される融解曲線のピーク値の温度を融点と定義するものとする。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)は、カルボジイミド基に対して反応性を有する官能基が分子構造内に導入されており、その官能基は、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)の分子末端、側鎖又は主鎖のいずれに含有されていても構わない。また、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)中に、その官能基は、1種又は2種以上を用いることができる。
カルボジイミド基と反応する官能基としては、カルボキシル基、酸無水物基又はカルボン酸塩、スルホ基又はスルホン酸塩、エポキシ基、シアノ基、カーボネート基、及びハロホルミル基から群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基、酸無水物基又はカルボン酸塩、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)に、カルボジイミド基と反応する官能基を導入する方法としては、(i)重合時、官能基を有する共重合可能な単量体を共重合する方法、(ii)重合開始剤、連鎖移動剤等により、重合時に分子末端に官能基を導入する方法、(iii)反応性を有する官能基をグラフト化が可能な官能基とを有する化合物(グラフト化合物)を含フッ素系重合体にグラフトさせる方法等が挙げられる。これらの導入方法は、単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。得られる積層チューブにおける層間接着性を考慮した場合、前記(i)から製造されるカルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)が好ましい。(ii)については、国際公開第1998−58973号、国際公開第1999−451号、国際公開第1999−45044号、国際公開第2001−14141号、国際公開第2001−18142号、国際公開第2001−58686号、国際公開第2001−60606号、国際公開第2001−60606号、(iii)については、特開平7−18035号公報、特開平7−25952号公報、特開平7−25954号公報、特開平7−173230号公報、特開平7−173446号公報、特開平7−173447号公報、特表平10−503236号公報による製造法を参照されたい。以下、(i)含フッ素系重合体の重合時、官能基を有する共重合可能な単量体を共重合する方法について説明する。
(i)カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)の製造時、官能基を有する共重合可能な単量体(以下、官能基含有単量体と略記する場合がある。)を共重合する方法において、カルボキシル基、酸無水物基又はカルボン酸塩、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基含有単量体を重合単量体として用いる。官能基含有単量体としては、官能基含有非フッ素単量体、官能基含有含フッ素単量体等が挙げられる。
官能基含有非フッ素単量体としては、アクリル酸、ハロゲン化アクリル酸(但し、フッ素は除く)、メタクリル酸、ハロゲン化メタクリル酸(但し、フッ素は除く)、マレイン酸、ハロゲン化マレイン酸(但し、フッ素は除く)、フマル酸、ハロゲン化フマル酸(但し、フッ素は除く)、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル等誘導体;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等のカルボキシル基含有単量体;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノグリシジル、マレイン酸ジグリシジル、フマル酸モノグリジル、フマル酸ジグリシジル、クロトン酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジル、イタコン酸ジグリシジル、シトラコン酸モノグリシジル、シトラコン酸ジグリシジル、グルタコン酸モノグリシジルエステル、グルタコン酸ジグリシジルエステル、メサコン酸モノグリシジルエステル、メサコン酸ジグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、イソプロペニルグリシジルエーテル、1−ブテニルグリシジルエーテル、2−ブテニルグリシジルエーテル、2−ペンテニルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。官能基含有非フッ素単量体は、使用する含フッ素単量体との共重合反応性を考慮して決定される。適当な官能基含有非フッ素単量体を選択することにより、重合が良好に進行し、官能基含有非フッ素単量体の主鎖中に均一に導入しやすく、結果として、未反応モノマーが少なくなり、不純物を減らすことができるという利点がある。
官能基含有含フッ素単量体としては、一般式CX=CX−(R−Y(ここで、Yは、−COOM(Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。)、カルボキシル基由来基、及びエポキシ基からなる群より選択される官能基を表し、X、X、及びXは、同一又は異なって、水素原子又はフッ素原子を表し(但し、X、X、及びXが同一に水素原子の場合、n=1であり、Rにフッ素原子を含む。)、Rは、炭素原子数1以上40以下のアルキレン基、炭素原子数1以上40以下の含フッ素オキシアルキレン基、エーテル結合を有する炭素原子数1以上40以下の含フッ素アルキレン基、又はエーテル結合を有する炭素原子数1以上40以下の含フッ素オキシアルキレン基を表し、nは、0又は1である。)で表される不飽和化合物等が挙げられる。
前記一般式におけるYであるカルボキシル基由来基としては、例えば、一般式−C(=O)Q(式中、Qは、−OR、−NH、F、Cl、Br、又はIを表し、Rは、炭素原子数1以上20以下のアルキル基又は炭素原子数6以上22以下のアリール基を表す。)で表される官能基等が挙げられる。
官能基含有含フッ素単量体としては、例えば、カルボニル基を有する官能基である場合、パーフルオロアクリル酸フルオライド、1−フルオロアクリル酸フルオライド、アクリル酸フルオライド、1−トリフルオロメタクリル酸フルオライド、パーフルオロブテン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)中の官能基含有単量体の含有量は、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)の全重合単位に対して、0.01モル%以上5モル%以下であることが好ましく、0.015モル%以上4モル%以下であることがより好ましく、0.02モル%以上3モル%以下であることが更に好ましい。カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)中の官能基含有単量体の含有量が前記の値未満であると、官能基が少なすぎるため、後記カルボジイミド基含有化合物(B2)との十分な反応性が期待できない場合があり、一方、前記の値を超えると、製造時の重合速度が低下、着色、発泡、高温での使用時、分解による着色、発泡、溶出等の発生してしまう場合がある。
前記含有量を満たす限りにおいて、官能基が導入された含フッ素系重合体と、官能基が導入されていない含フッ素系重合体の混合物であっても構わない。
官能基含有単量体の添加法は、特に限定されず、重合開始時に一括添加してもよいし、重合中に連続添加してもよい。添加方法は、重合開始剤の分解反応性と重合温度により適宜選択されるが、重合中に、官能基含有単量体が重合で消費されるに従って、消費された量を連続的又は断続的に重合槽内に供給し、当該官能基含有単量体の濃度をこの範囲に維持することが好ましい。
[カルボジイミド基含有化合物(B2)]
カルボジイミド基含有化合物(B2)は、カルボジイミド基(R−N=C=N−)で示される繰り返し単位を有するポリカルボジイミドである。ここで、Rは、炭素原子数2以上40以下の2価の有機基を表す。
カルボジイミド基含有化合物(B2)としては、ポリ(1,6−ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、経済性及び入手の容易さの観点から、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン及び/又は1,5−ジイソプロピルフェニレン)カルボジイミドが好ましく、市販品として、日清紡製カルボジライト、ラインケミー製スタバクゾール等が挙げられる。
カルボジイミド基含有化合物(B2)は、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には、従来のポリカルボジイミドの製造方法(米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.Org.Chem.28、2069−2075(1963)、Chemcal Review 1981,Vo1.81 No.4 p.619−621)により製造したものを用いることができる。一般的には、有機ジイソシアネートの脱カルボキシル基を伴う縮合反応により、イソシアネート末端を有するカルボジイミドが製造される。イソシアネート基含有率は、0.1%以上5%以下であることが好ましく、1%以上3%以下であることがより好ましい。
尚、カルボジイミド基含有化合物(B2)を製造する際に合成原料として使用可能なジイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等が挙げられ、具体的には、1,6−へキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、2,7−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
尚、前記ジイソシアネートの内、芳香族イソシアネートを用いたカルボジイミド化合物は、一般的に熱硬化性樹脂であるため、溶融混練を行うと、自己架橋が起こり、樹脂内部にカルボジイミド化合物の固まりが残存し、混練が不十分となって好ましくない。従って、押出し時等における溶融混練性の面から、カルボジイミド基含有化合物(B2)は、脂肪族及び/又は脂環式イソシアネート由来のカルボジイミド化合物が好ましい。
また、カルボジイミド基含有化合物(B2)の製造方法において、脱炭酸縮合反応の際に、カルボジイミドの末端イソシアネートと反応して封止する化合物、例えば、モノイソシアネート等を用いることにより、ポリカルボジイミドの重合度を適切に制御することができる。モノイソシアネートの具体例としては、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
尚、ポリカルボジイミドの末端を封止してその重合度を制御するための末端封止剤としては、前記モノイソシアネートに限定されることはなく、イソシアネート基と反応し得る活性水素を有する活性水素化合物を使用することができる。このような活性水素化合物としては、活性水素を有する脂肪族、芳香族、脂環式の広範囲の化合物を使用でき、具体的には、メタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等の水酸基を有する化合物;ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の2級アミン;ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級アミン;コハク酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等のカルボン酸;エチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール等のチオール類;エポキシ基を有する化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
カルボジイミド基含有化合物(B2)をジイソシアネート化合物の脱炭酸縮合反応により製造する際に使用するカルボジイミド化触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、これらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド、チタン酸テトラブチル等の金属触媒等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性の観点から3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好ましい。
カルボジイミド基含有化合物(B2)のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、400以上500,000以下であることが好ましく、700以上10,000以下であることがより好ましく、1,000以上8,000以下であることが更に好ましく、1,000以上4,000以下であることが特に好ましい。数平均分子量(Mn)が前記の範囲にあることにより、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)との反応性に優れる。これらカルボジイミド基含有化合物(B2)は、ポリカルボジイミド中にモノカルボジイミドを含んでもよい。
また、カルボジイミド基含有化合物(B2)1分子におけるカルボジイミド基数が多くなるほど、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)との反応性を高めることができる。このことから、カルボジイミド基含有化合物(B2)1分子中のカルボジイミド基数は、5個以上30個以下であることが好ましく、10個以上30個以下であることがより好ましい。1分子中のカルボジイミド基数が前記の範囲にあることにより、架橋構造が形成されにくくなり、成形性が良好となる。
カルボジイミド基含有化合物(B2)におけるカルボジイミド基の含有量は、13C−NMR、IR、滴定法等により測定でき、カルボジイミド基当量として把握することが可能である。13C−NMRでは130〜142ppm、IRでは2130〜2140cm−1にピークを観察することが可能である。
13C−NMR測定は、試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させる。この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mmのNMRチューブに装入する。そして日本電子(株)社製GX−500型NMR測定装置を用い、120℃で13C−NMR測定を行う。積算回数は、10,000回以上とする。
接着用含フッ素系重合体組成物(B)は、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)及びカルボジイミド基含有化合物(B2)とを、200℃以上にて反応させることにより得られる。具体的には、溶融変性等のように溶融混練することにより得ることが可能であるが、この方法に限定されるものではない。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)及びカルボジイミド基含有化合物(B2)の溶融混練の方法は、特に限定はされないが、例えば、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー等に装入して混練した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法が挙げられる。これらの中でも、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練性能に優れた装置を使用すると、各成分がより均一に分散・反応された接着用含フッ素系重合体組成物(B)を得ることができるため好ましい。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)とカルボジイミド基含有化合物(B2)は、予め混合した後にホッパーから供給する方法、一部の成分をホッパーから供給し、ホッパー部付近から押出機先端の間の任意の部分に設置した供給口よりその他の成分を供給する方法のいずれの方法を取ることも可能である。
前記各成分を溶融混練する際の温度は、混合する各成分の融点の内、最も高い融点以上で反応させることができるが、200℃以上320℃以下であることが好ましく、220℃以上310℃以下であることがより好ましく、230℃以上300℃以下であることが更に好ましい。
接着用含フッ素系重合体組成物(B)中のカルボジイミド基の含有量は、接着用含フッ素系重合体組成物(B)100g当たり、0.1mmol以上50mmol以下であることが好ましく、0.2mmol以上40mmol以下であることがより好ましく、0.5mmol以上30mmol以下であることが更に好ましい。カルボジイミド基の含有量が前記の範囲にあることにより、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性に優れるとともに、カルボジイミド基含有化合物(B2)を介したカルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)の反応を抑制することができる。
接着用含フッ素系重合体組成物(B)中のカルボジイミド基の含有量は、カルボジイミド基含有化合物(B2)の仕込み量から算出することができ、また、13C−NMR、IR、滴定法等により測定することもでき、カルボジイミド基当量として把握することが可能である。13C−NMRでは130〜142ppm、IRでは2130〜2140cm−1にピークを観察することが可能である。
接着用含フッ素系重合体組成物(B)は、前記のようにカルボジイミド基含有化合物(B2)のカルボジイミド基(NCN)が、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)のカルボジイミド基と反応する官能基と反応することで製造されるが、反応の過程である程度のカルボジイミド基が消費され、含フッ素系重合体の分子鎖として繋がっているカルボジイミド基の残基が前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)等との接着性に寄与する。カルボジイミド基の含有量が前記の値を超えると、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)に対して、接着用含フッ素系重合体組成物(B)中に過剰の遊離カルボジイミド基が存在することになり、得られる積層チューブの層間接着性及び成形加工性が低下する場合がある。
また、後記の方法により、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)とカルボジイミド基含有化合物(B2)との反応率を評価することができる。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)がカルボキシル基含有含フッ素系重合体(B1)である場合、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)(リファレンス)と接着用含フッ素系重合体組成物(B)とに対して、各々の熱プレスシートを作成した後に、赤外吸収分析装置を用いて赤外線吸収を測定する。得られたチャートから、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度と、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度と接着用含フッ素系重合体組成物(B)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度との差を比較して、下記式(α1)を用いて反応率を計算できる。尚、カルボジイミド基と反応する官能基として無水イタコン酸に由来する官能基を用いた場合は、1870cm−1付近の吸光度を用いることができる。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)がエポキシ基含有含フッ素系重合体(B1)である場合、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)(リファレンス)と接着用含フッ素系重合体組成物(B)とに対して、溶融19F−NMR及びH−NMRにて測定したエポキシ基含有単位の含有量(接着用含フッ素系重合体組成物(B)中のエポキシ基含有単位の含有量と、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)中のエポキシ基含有単位の含有量)を用いて、下記式(α1)を用いて反応率を計算できる。
反応率(%)={X/Y}×100・・・式(α1)
X=カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度と、接着用含フッ素系重合体組成物(B)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度との差
(カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)中のエポキシ基含有単位の含有量と、接着用含フッ素系重合体組成物(B)中のエポキシ基含有単位の含有量との差)
Y=カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度
(カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)中のエポキシ基含有単位の含有量)
接着用含フッ素系重合体組成物(B)における前記方法で求めた反応率は、40%以上100%以下であることが好ましく、60%以上100%以下であることがより好ましく、80%以上100%以下であることが更に好ましい。
更に、接着用含フッ素系重合体組成物(B)の融点より50℃高い温度及び5kg荷重におけるMFR(メルトフローレート)は、0.5g/10分以上200g/10分以下であることが好ましく、1g/10分以上100g/10分以下であることがより好ましい。MFRが前記の値を超えると、溶融張力が小さ過ぎて成形時にドローダウン等の問題が発生する場合がある。一方、前記の値未満であると、流動性が不足し、成形性が悪化する場合があるとともに、前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)等と共押出する場合、これらの著しい劣化を伴わない成形温度範囲で、充分な溶融流動性を確保できないことがある。
尚、カルボジイミド基は、吸水によってウレア基へ変わるが、ウレア基でも前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)等との高い反応性を発揮する。従って、接着用含フッ素系重合体組成物(B)中には、カルボジイミド基が、例えば、大気中の水等によりウレア基へ変換されている含フッ素系重合体が含まれていても構わない。
接着用含フッ素系重合体組成物(B)は、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)及びカルボジイミド基含有化合物(B2)とが反応した含フッ素系重合体を含むが、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)及びカルボジイミド基を好ましくは有する含フッ素系重合体と異なる樹脂を含んでも構わない。このような樹脂としては、例えば、未変性含フッ素系重合体の他、カルボジイミド基と反応する官能基を有する変性された樹脂等が挙げられ、例えば、カルボン酸、カルボン酸無水物、エポキシ変性された樹脂、イミン変性された樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、接着用含フッ素系重合体組成物(B)は、未反応の含フッ素系重合体を含んでもよい。
接着性を更に向上させるために、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、フェニルスチレン、o−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−クロロスチレン、o−クロロメチルスチレン等のビニル芳香族単量体等を変性助剤として添加することもできる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。例えば、粘着付与剤の含有量は、接着用含フッ素系重合体組成物(B)100質量%に対して、0質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
接着用含フッ素系重合体組成物(B)には、目的に応じて任意の成分を添加することができる。具体的には、無機質粉末、ガラス繊維、炭素繊維、金属酸化物、カーボン等の種々の充填剤を添加できる。また、充填剤以外に、顔料、紫外線吸収剤、その他任意の添加剤を混合できる。添加剤以外に、他のフッ素系樹脂、他の熱可塑性樹脂等の樹脂、合成ゴム等を添加することもでき、機械特性の改善、耐候性の改善、意匠性の付与、静電防止、成形性改善等が可能となる。
3.(c)層
積層チューブは、更に(c)層を有することが好ましい。
積層チューブの(c)層は、脂肪族ポリアミド組成物(C)を含む。
[脂肪族ポリアミド組成物(C)]
脂肪族ポリアミド組成物(C)は、ポリアミド(C1)及びエラストマー重合体(C3)を含み、ポリアミド(C1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比が8.0以上の脂肪族ポリアミドであり、脂肪族ポリアミド組成物(C)中に、75質量%以上95質量%以下含まれ、エラストマー重合体(C3)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有し、脂肪族ポリアミド組成物(C)中に、5質量%以上25質量%以下含まれる(以下、脂肪族ポリアミド組成物(C)と称する場合がある。)。
また、脂肪族ポリアミド組成物(C)は、長時間燃料に接触・浸漬した後及び/又は短時間の熱処理後における層間接着性の耐久性の観点から可塑剤を含有しないことが好ましい。
[ポリアミド(C1)]
ポリアミド(C1)は、脂肪族基を繰り返し単位中に含み、主鎖中にアミド結合(−CONH−)を有し、メチレン基数([CH])のアミド基数([NHCO])に対する比[CH]/[NHCO](以下、メチレン基数のアミド基数に対する比を[CH]/[NHCO]と称する場合がある。)が8.0以上である(以下、ポリアミド(C1)と称する場合がある。)。
メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上のポリアミド(C1)としては、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11):[CH]/[NHCO]=10.0、ポリドデカンアミド(ポリアミド12):[CH]/[NHCO]=11.0、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612):[CH2]/[NHCO]=8.0、ポリヘキサメチレンテトラデカミド(ポリアミド614):[CH]/[NHCO]=9.0、ポリヘキサメチレンヘキサデカミド(ポリアミド616):[CH]/[NHCO]=10.0、ポリヘキサメチレンオクタデカミド(ポリアミド618):[CH]/[NHCO]=11.0、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99):[CH]/[NHCO]=8.0、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910):[CH]/[NHCO]=8.5、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912):[CH]/[NHCO]=9.5、ポリデカメチレンスベラミド(ポリアミド108):[CH]/[NHCO]=8.0、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109):[CH]/[NHCO]=8.5、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010):[CH]/[NHCO]=9.0、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012):[CH]/[NHCO]=10.0、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126):[CH]/[NHCO]=8.0、ポリドデカメチレンスベラミド(ポリアミド128):[CH]/[NHCO]=9.0、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129):[CH]/[NHCO]=9.5、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210):[CH]/[NHCO]=10.0、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212):[CH]/[NHCO]=11.0等が挙げられる。これらポリアミド(C1)は、前記の少なくとも1種の単独重合体のみならず、これらを形成する原料単量体を数種用いた少なくとも1種の共重合体も挙げられる。
例えば、ポリ(ドデカンアミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12/1212)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)とポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は11.0であることから、構成繰り返し単位のモル比にかかわらず、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は11.0である。
また、ポリ(ドデカンアミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12/612)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。ポリドデカンアミド(ポリアミド12)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は11.0であり、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は8.0であることから、構成単位の繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(ドデカンアミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12/612)のドデカンアミド単位/ヘキサメチレンドデカミド単位が80:20(モル比)の場合、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、11.0×0.80+8.0×0.20=10.4となる。ヘキサメチレンドデカミド単位のモル比が増加すれば、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は減少するが、少なくともメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は8.0を下回ることはない。即ち、ポリ(ドデカンアミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12/1212)やポリ(ドデカンアミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12/612)のように、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を数種用いた共重合体は、構成繰り返し単位のモル比によらず、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は8.0以上となり、本願のポリアミド(C1)に包含される。
一方、ポリアミド(C1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を一成分とし、以下の通りのメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を共重合することも可能で、得られた共重合体は、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上である限り、本願のポリアミド(C1)に包含される。
メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドとしては、ポリカプロアミド(ポリアミド6):[CH]/[NHCO]=5.0、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26):[CH]/[NHCO]=3.0、ポリテトラメチレンスクシナミド(ポリアミド44):[CH]/[NHCO]=3.0、ポリテトラメチレングルタミド(ポリアミド45):[CH]/[NHCO]=3.5、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46):[CH]/[NHCO]=4.0、ポリテトラメチレンスベラミド(ポリアミド48):[CH]/[NHCO]=5.0、ポリテトラメチレンアゼラミド(ポリアミド49):[CH]/[NHCO]=5.5、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410):[CH]/[NHCO]=6.0、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412):[CH]/[NHCO]=7.0、ポリペンタメチレンスクシナミド(ポリアミド54):[CH]/[NHCO]=3.5、ポリペンタメチレングルタミド(ポリアミド55):[CH]/[NHCO]=4.0、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56):[CH]/[NHCO]=4.5、ポリペンタメチレンスベラミド(ポリアミド58):[CH]/[NHCO]=5.5、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59):[CH]/[NHCO]=6.0、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510):[CH]/[NHCO]=6.5、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512):[CH]/[NHCO]=7.5、ポリヘキサメチレンスクシナミド(ポリアミド64):[CH]/[NHCO]=4.0、ポリヘキサメチレングルタミド(ポリアミド65):[CH]/[NHCO]=4.5、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66):[CH]/[NHCO]=5.5、ポリヘキサメチレンスベラミド(ポリアミド68):[CH]/[NHCO]=6.0、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69):[CH]/[NHCO]=6.5、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610):[CH]/[NHCO]=7.0、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96):[CH]/[NHCO]=6.5、ポリノナメチレンスベラミド(ポリアミド98):[CH]/[NHCO]=7.5、ポリデカメチレングルタミド(ポリアミド105):[CH]/[NHCO]=6.5、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106):[CH]/[NHCO]=7.0、ポリドデカメチレングルタミド(ポリアミド125):[CH]/[NHCO]=7.5等が挙げられる。これらは、前記の少なくとも1種の単独重合体のみならず、これらを形成する原料単量体を数種用いた少なくとも1種の共重合体も挙げられる。
例えば、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。ポリドデカンアミド(ポリアミド12)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は11.0であり、ポリカプロアミド(ポリアミド6)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は5.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)のドデカンアミド単位/カプロアミド単位が50.0:50.0〜99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体は、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上であるため、本願のポリアミド(C1)に包含される。但し、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)とポリドデカンアミド(ポリアミド12)を区別するため、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)のドデカンアミド単位/カプロアミド単位が99.5:0.5(モル比)よりも、ドデカンアミド単位の割合が高い場合、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)として取り扱う。以下、単独重合体と共重合体は同様の扱いとする。
一方、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)のドデカンアミド単位/カプロアミド単位が0.5:99.5モ〜49.9:50.1(モル比)であるポリアミド共重合体は、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満であるため、本願のポリアミド(C1)に包含されない。
このように、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(繰り返し単位)を一成分とし、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(繰り返し単位)を数種用いた共重合体におけるメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、構成繰り返し単位のモル比と各ポリアミドのメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]とにより計算可能で、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上を満たす該共重合体は本願のポリアミド(C1)に包含される。
これらの中でも、得られる積層チューブの機械的特性、耐熱性、耐薬品性等の諸物性を十分に確保し、経済性及び入手の容易さの観点から、ポリアミド(C1)は、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンデカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、及びポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料を数種用いた少なくとも1種の共重合体等が好ましく、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、及びポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた少なくとも1種の共重合体がより好ましい。
[ポリアミド(C2)]
前記脂肪族ポリアミド組成物(C)は、更にポリアミド(C2)を含み、前記ポリアミド(C2)は、ポリアミド(C2)は、ポリアミド(C1)以外のポリアミドであって、主鎖中にアミド結合(−CONH−)を有し、ポリアミドを形成する原料単量体(繰り返し単位)であるラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸を重合又は共重合することにより得られ(以下、ポリアミド(C2)と称する場合がある。)、前記ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)の合計量100質量%に対して、ポリアミド(C1)は55質量%以上90質量%以下含まれ、ポリアミド(C2)は10質量%以上45質量%以下含まれる。
更に、ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値[|(ポリアミド(C1)のSP値)−(ポリアミド(C2)のSP値)|]は、1.8以上5.5以下(MPa)1/2であり、2.0以上5.3以下(MPa)1/2であることが好ましく、2.2以上5.0以下(MPa)1/2であることがより好ましい。ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値が前記の値未満であると、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性が劣ることがあり、一方、前記の値を超えると、得られる積層チューブの機械的特性及び耐薬品性が劣ることがある。
尚、溶解性パラメーターSP値は、下記に示すFedorsの式より求められる値であり、分子凝集エネルギー密度の平方根で表される値で、単位は(MPa)1/2、25℃における値である(以下、溶解性パラメーターをSP値と称する場合がある。)。
δ=[ΔEv/ΔV]1/2=[ΣΔe/ΣΔv1/2
δ:溶解性パラメーターSP値
ΔEv:凝集エネルギー
ΔV:モル分子容
Δe:i成分の原子又は原子団のモル凝集エネルギー
Δv:i成分の原子又は原子団の分子容
ここで、ΔEv及びΔVは、それぞれΔEv=ΣΔe及びΔV=ΣΔvで表され、e及びvは、POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE(1974年発刊、第14巻、NO.2、147〜154頁)より求めた値である。以下、本明細書中において記載されるSP値は、単位を(MPa)1/2とした値である。
好ましい例として挙げられている夫々のポリアミド(C1)の溶解性パラメーターSP値は(単位は(MPa)1/2)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11,SP値:22.9)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612,SP値:24.1)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99,SP値:24.1)、ポリノナメチレンデカミド(ポリアミド910,SP値:23.8)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912,SP値:23.2)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010,SP値:23.5)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012,SP値:22.9)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)となる。
ポリアミド(C2)は、前記ポリアミド(C1)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値が1.8以上5.5以下(MPa)1/2であればよく、これを満たすように適宜選択される。尚、ポリアミド(C2)は、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドとしては(SP値の単位は(MPa)1/2)、ポリカプロアミド(ポリアミド6,SP値:26.9)、ポリテトラメチレングルタミド(ポリアミド45,SP値:29.2)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46,SP値:28.3)、ポリテトラメチレンスベラミド(ポリアミド48,SP値:26.9)、ポリテトラメチレンアゼラミド(ポリアミド49,SP値:26.3)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410,SP値:25.7)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412,SP値:24.9)、ポリペンタメチレンスクシナミド(ポリアミド54,SP値:29.2)、ポリペンタメチレングルタミド(ポリアミド55,SP値:28.3)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56,SP値:27.5)、ポリペンタメチレンスベラミド(ポリアミド58,SP値:26.3)、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59,SP値:25.7)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510,SP値:25.3)、ポリヘキサメチレンスクシナミド(ポリアミド64,SP値:28.3)、ポリヘキサメチレングルタミド(ポリアミド65,SP値:27.5)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66,SP値:26.9)、ポリヘキサメチレンスベラミド(ポリアミド68,SP値:25.7)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69,SP値:25.3)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610,SP値:24.9)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96,SP値:25.3)、ポリデカメチレングルタミド(ポリアミド105,SP値:25.3)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106,SP値:24.9)等の単独重合体、及びこれらポリアミドの原料単量体を数種用いた共重合体、並びに/又は前記ポリアミド(C1)中に説明した原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記ポリアミド(C1)の中でも最低の溶解性パラメーターSP値を有するポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)やポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)が選択される場合、前記ポリアミド(C2)の中でも最低の溶解性パラメーターSP値を有するポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512,SP値:24.5)やポリドデカメチレングルタミド(ポリアミド125,SP値:24.5)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値は2.0(MPa)1/2となり、本願の規定範囲内である。従って、ポリアミド(C1)として、ポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)やポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)とポリアミド(C2)として、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512,SP値:24.5)やポリドデカメチレングルタミド(ポリアミド125,SP値:24.5)の組み合わせは本願の規定範囲内である。
一方、前記ポリアミド(C1)の中でも最高の溶解性パラメーターSP値を有するポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612,SP値:24.1)やポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99,SP値:24.1)が選択される場合、前記ポリアミド(C2)の中でも最低の溶解性パラメーターSP値を有するポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512,SP値:24.5)やポリドデカメチレングルタミド(ポリアミド125,SP値:24.5)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値は0.4(MPa)1/2となり、本願の規定範囲外である。従って、ポリアミド(C1)として、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612,SP値:24.1)やポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99,SP値:24.1)とポリアミド(C2)として、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512,SP値:24.5)やポリドデカメチレングルタミド(ポリアミド125,SP値:24.5)の組み合わせは本願の規定範囲外であり、ポリアミド(C1)として、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612,SP値:24.1)やポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99,SP値:24.1)が選択される場合、溶解性パラメーターSP値の差の絶対値が1.8(MPa)1/2以上となるためには、溶解性パラメーターSP値が25.9(MPa)1/2以上のポリアミド(C2)を選択する必要がある。
また、前記ポリアミド(C1)の中でも最低の溶解性パラメーターSP値を有するポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)やポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)が選択される場合、前記ポリアミド(C2)の中でも最高の溶解性パラメーターSP値を有するポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46,SP値:28.3)の溶解性パラメーターSP値の差の絶対値は5.8(MPa)1/2となり、本願の規定範囲外である。従って、ポリアミド(C1)として、ポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)やポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)とポリアミド(C2)として、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46,SP値:28.3)の組み合わせは本願の規定範囲外であり、ポリアミド(C1)として、ポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)やポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)が選択される場合、溶解性パラメーターSP値の差の絶対値が5.5(MPa)1/2以下となるためには、溶解性パラメーターSP値が28.0(MPa)1/2以下のポリアミド(C2)を選択する必要がある。
一方、前記ポリアミド(C1)の中でも最高の溶解性パラメーターSP値を有するポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612,SP値:24.1)やポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99,SP値:24.1)が選択される場合、前記ポリアミド(C2)の中でも最高の溶解性パラメーターSP値を有するポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46,SP値:28.3)の溶解性パラメーターSP値の差の絶対値は4.2(MPa)1/2となり、本願の規定範囲内である。従って、ポリアミド(C1)として、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612,SP値:24.1)やポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99,SP値:24.1)とポリアミド(C2)として、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46,SP値:28.3)の組み合わせは本願の規定範囲内である。
入手の容易さ、経済性、前記ポリアミド(C1)との相溶性、得られる積層チューブの機械的特性、耐薬品性、柔軟性等の諸物性を十分に確保することと、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性を十分に得る観点から、ポリアミド(C2)は、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドであって、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、及びポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/若しくはこれらを形成する原料単量体を数種用いた少なくとも1種の共重合体、又は、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、及びポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)からなる群より選ばれる少なくとも1種を形成する原料単量体を主成分とし、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、及びポリドデカンアミド(ポリアミド12)からなる群より選ばれる少なくとも1種を形成する原料単量体を数種用いた少なくとも1種の共重合体であることがより好ましい。
これらの中でも、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドであって、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6/66)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアゼラミド)共重合体(ポリアミド6/69)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6/612)、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/66/610)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6/66/612)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/66/12)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/610/12)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンドデカミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/612/12)、及びこれらの混合物が更に好ましく、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドであって、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6/66)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6/612)、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/66/610)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6/66/612)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/66/12)、及びこれらの混合物が特に好ましい。
例えば、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6/66)の溶解性パラメーターSP値は、ポリカプロアミド(ポリアミド6)とポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)の溶解性パラメーターSP値は26.9(MPa)1/2であることから、構成繰り返し単位のモル比にかかわらず、溶解性パラメーターSP値は26.9(MPa)1/2である。
前記ポリアミド(C1)の中でも最高の溶解性パラメーターSP値を有するポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612,SP値:24.1)やポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99,SP値:24.1)が選択される場合、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6/66)の構成繰り返し単位のモル比にかかわらず、SP値は26.9(MPa)1/2であることから、溶解性パラメーターSP値の差の絶対値は2.8(MPa)1/2となり、本願の規定範囲内である。従って、ポリアミド(C1)として、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612,SP値:24.1)やポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99,SP値:24.1)とポリアミド(C2)として、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6/66,SP値:26.9)の組み合わせは本願の規定範囲内である。
一方、前記ポリアミド(C1)の中でも最低の溶解性パラメーターSP値を有するポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)やポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)が選択される場合、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6/66)の構成繰り返し単位のモル比にかかわらず、SP値は26.9(MPa)1/2であることから、溶解性パラメーターSP値の差の絶対値は4.4(MPa)1/2となり、本願の規定範囲内である。従って、ポリアミド(C1)として、ポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)やポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)とポリアミド(C2)として、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6/66,SP値:26.9)の組み合わせは本願の規定範囲内である。
尚、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6/66)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、ポリカプロアミド(ポリアミド6)とポリキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は5.0であることから、構成繰り返し単位のモル比にかかわらず、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は5.0である。即ち、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6/66)のように、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を数種用いた共重合体は、構成繰り返し単位のモル比によらず、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は8.0未満となる。
例えば、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)の溶解性パラメーターSP値は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。ポリカプロアミド(ポリアミド6)の溶解性パラメーターSP値は26.9(MPa)1/2であり、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)の溶解性パラメーターSP値は24.9(MPa)1/2であることから、構成単位の繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)のカプロアミド単位/ヘキサメチレンセバカミド単位が0.5:99.5〜99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体の溶解性パラメーターSP値は、24.9(MPa)1/2以上26.9(MPa)1/2以下となる。
このポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)に対して、前記ポリアミド(C1)の中でも最高の溶解性パラメーターSP値を有するポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612,SP値:24.1)やポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99,SP値:24.1)が選択される場合、溶解性パラメーターSP値の差の絶対値は、0.8(MPa)1/2以上2.8(MPa)1/2以下となる。溶解性パラメーターSP値の差の絶対値が1.8(MPa)1/2以上4.5(MPa)1/2以下を満たすためには、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)のカプロアミド単位/ヘキサメチレンセバカミド単位が50.0:50.0〜99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体が選択される。従って、ポリアミド(C1)として、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612,SP値:24.1)やポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99,SP値:24.1)とポリアミド(C1)として、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)のカプロアミド単位/ヘキサメチレンセバカミド単位が50.0:50.0〜99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体の組み合わせは本願の規定範囲内である。
一方、このポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)に対して、前記ポリアミド(C1)の中でも最低の溶解性パラメーターSP値を有するポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)やポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)が選択される場合、溶解性パラメーターSP値の差の絶対値は、2.4(MPa)1/2以上4.4(MPa)1/2以下となり、カプロアミド単位/ヘキサメチレンセバカミド単位が0.5:99.5〜99.5:0.5(モル比)であるポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)の全ての範囲で、溶解性パラメーターSP値の差の絶対値が1.8(MPa)1/2以上4.5以下(MPa)1/2を満たす。従って、ポリアミド(C1)として、ポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)やポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)とポリアミド(C2)として、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)のカプロアミド単位/ヘキサメチレンセバカミド単位が0.5:99.5〜99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体の組み合わせは本願の規定範囲内である。尚、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。ポリカプロアミド(ポリアミド6)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は5.0であり、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は7.0であることから、構成単位の繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)のカプロアミド単位/ヘキサメチレンセバカミド単位が80:20(モル比)の場合、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、5.0×0.80+7.0×0.20=5.4となる。ヘキサメチレンセバカミド単位のモル比が増加すれば、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は増加するが、少なくともメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は8.0以上となることはない。即ち、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)のように、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を数種用いた共重合体は、構成繰り返し単位のモル比によらず、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は8.0未満となる。
ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)の溶解性パラメーターSP値は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。ポリカプロアミド(ポリアミド6)の溶解性パラメーターSP値は26.9(MPa)1/2であり、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)の溶解性パラメーターSP値は22.5(MPa)1/2であることから、構成単位の繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)のカプロアミド単位/ドデカンアミド単位が0.5:99.5〜99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体の溶解性パラメーターSP値は、22.5(MPa)1/2以上26.9(MPa)1/2以下となる。
このポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)に対して、前記ポリアミド(C1)の中でも最高の溶解性パラメーターSP値を有するポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612,SP値:24.1)やポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99,SP値:24.1)が選択される場合、溶解性パラメーターSP値の差の絶対値は、0(MPa)1/2以上2.8(MPa)1/2以下となる。溶解性パラメーターSP値の差の絶対値が1.8(MPa)1/2以上4.5(MPa)1/2以下を満たすためには、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)のカプロアミド単位/ドデカンアミド単位が77.28:22.72〜99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体が選択される。従って、ポリアミド(C1)として、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612,SP値:24.1)やポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99,SP値:24.1)とポリアミド(C2)として、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)のカプロアミド単位/ドデカンアミド単位が77.28:22.72〜99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体の組み合わせは本願の規定範囲内である。
一方、このポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)に対して、前記ポリアミド(C1)の中でも最低の溶解性パラメーターSP値を有するポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)やポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)が選択される場合、溶解性パラメーターSP値の差の絶対値は、0(MPa)1/2以上4.4(MPa)1/2以下となる。溶解性パラメーターSP値の差の絶対値が1.8(MPa)1/2以上4.5(MPa)1/2以下を満たすためには、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)のカプロアミド単位/ドデカンアミド単位が40.9:50.1〜99.5:0.5(モル比)であるであるポリアミド共重合体が選択される。従って、ポリアミド(C1)として、ポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)やポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)とポリアミド(C2)として、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)のカプロアミド単位/ドデカンアミド単位が40.9:50.1〜99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体の組み合わせは本願の規定範囲内である。
尚、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。ポリカプロアミド(ポリアミド6)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は5.0であり、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は11.0であることから、構成単位の繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)のカプロアミド単位/ドデカンアミド単位が50.1:49.9〜99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体は、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満であり、前記ポリアミド(C1)の中でも最低の溶解性パラメーターSP値を有するポリドデカンアミド(ポリアミド12,SP値:22.5)やポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212,SP値:22.5)が選択される場合、ポリアミド(C2)として、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)のカプロアミド単位/ドデカンアミド単位が50.1:49.9〜99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体が好ましい。
ポリアミド(C1)及びポリアミド(C2)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は、単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
JIS K−6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定したポリアミド(C1)及びポリアミド(C2)の相対粘度は、得られる積層チューブの機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして積層チューブの望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上5.0以下であることが好ましく、1.8以上4.5以下であることがより好ましい。
ポリアミド(C1)1gあたりの末端アミノ基濃度を[A1](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B1](μeq/g)とした時、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性を十分に確保する観点から、[A1]>[B1]+5であることが好ましく、[A1]>[B1]+10であることがより好ましく、[A1]>[B1]+15であることが更に好ましい。更に、ポリアミドの溶融安定性及びゲル状物発生抑制の観点から、[A1]>20であることが好ましく、30<[A1]<120であることがより好ましい。
また、ポリアミド(C2)1gあたりの末端アミノ基濃度を[A2](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B2](μeq/g)とした時、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性を十分に確保する観点から、[A2]>[B2]+5であることがより好ましく、[A2]>[B1]+10であることが更に好ましく、[A2]>[B2]+15であることが特に好ましい。更に、ポリアミドの溶融安定性及びゲル状物発生抑制の観点から、[A2]>20であることがより好ましく、30<[A2]<120であることが更に好ましい。
ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)を併用する場合、脂肪族ポリアミド組成物(C)の1gあたりの末端アミノ基濃度を[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B](μeq/g)とした時、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性を十分に得る観点から、[A]>[B]+5であることがより好ましく、[A]>[B]+10であることが更に好ましく、[A]>[B]+15であることが特に好ましい。更に、ポリアミドの溶融安定性及びゲル状物発生抑制の観点から、[A]>30であることがより好ましく、30<[A]<140であることが更に好ましい。
ここで、脂肪族ポリアミド組成物(C)の1gあたりの末端アミノ基濃度を[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B](μeq/g)は、ポリアミド(C1)及びポリアミド(C2)のそれぞれの末端アミノ基濃度(μeq/g)、末端カルボキシル基濃度(μeq/g)にそれぞれの混合質量比を乗じ、両者を加えた値とする。 尚、末端アミノ基濃度(μeq/g)は、該ポリアミドをフェノール/メタノール混合溶液に溶解し、0.05Nの塩酸で滴定して測定することができる。末端カルボキシル基濃度(μeq/g)は、該ポリアミドをベンジルアルコールに溶解し、0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定することができる。
ポリアミド(C1)及びポリアミド(C2)は、前記ポリアミド原料を、アミン類の存在下に、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法で、重合又は共重合することにより製造される。あるいは、重合後、アミン類の存在下に、溶融混練することにより製造される。このように、アミン類は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、得られる積層チューブの層間接着性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。
前記アミン類としては、モノアミン、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、及びポリアミンが挙げられる。また、アミン類の他に、前記の末端基濃度条件の範囲を外れない限り、必要に応じて、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等のカルボン酸類を添加しても良い。これら、アミン類、カルボン酸類は、同時に添加しても、別々に添加しても良い。また、後記例示のアミン類、カルボン酸類は、1種又は2種以上を用いることができる。
添加するモノアミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシレンアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;ベンジルアミン、β−フエニルメチルアミン等の芳香族モノアミン;N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジヘキシルアミン、N,N−ジオクチルアミン等の対称第二アミン;N−メチル−N−エチルアミン、N−メチル−N−ブチルアミン、N−メチル−N−ドデシルアミン、N−メチル−N−オクタデシルアミン、N−エチル−N−ヘキサデシルアミン、N−エチル−N−オクタデシルアミン、N−プロピル−N−ヘキサデシルアミン、N−プロピル−N−ベンジルアミン等の混成第二アミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
添加するジアミンの具体例としては、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,15−ペンタデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、1,17−ヘプタデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5−ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン;m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
添加するトリアミン及びテトラアミンの具体例としては、1,2,3−トリアミノプロパン、1,2,3−トリアミノ−2−メチルプロパン、1,2,4−トリアミノブタン、1,2,3,4−テトラミノブタン、1,3,5−トリアミノシクロヘキサン、1,2,4−トリアミノシクロヘキサン、1,2,3−トリアミノシクロヘキサン、1,2,4,5−テトラミノシクロヘキサン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、1,2,3−トリアミノベンゼン、1,2,4,5−テトラミノベンゼン、1,2,4−トリアミノナフタレン、2,5,7−トリアミノナフタレン、2,4,6−トリアミノピリジン、1,2,7,8−テトラミノナフタレン、1,4,5,8−テトラミノナフタレン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
添加するポリアミンは、第1級アミノ基(−NH)及び/又は第2級アミノ基(−NH−)を複数有する化合物であればよく、例えば、ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。活性水素を備えたアミノ基は、ポリアミンの反応点である。
ポリアルキレンイミンは、エチレンイミン、プロピレンイミン等のアルキレンイミンをイオン重合させる方法、或いは、アルキルオキサゾリンを重合させた後、該重合体を部分加水分解又は完全加水分解させる方法等で製造される。ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、或いは、エチレンジアミンと多官能化合物との反応物等が挙げられる。ポリビニルアミンは、例えば、N−ビニルホルムアミドを重合させてポリ(N−ビニルホルムアミド)とした後、該重合体を塩酸等の酸で部分加水分解又は完全加水分解することにより得られる。ポリアリルアミンは、一般に、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合させた後、塩酸を除去することにより得られる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリアルキレンイミンが好ましい。
ポリアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2−ブチレンイミン、2,3−ブチレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン等の炭素原子数2以上8以下のアルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる単独重合体及び/又は共重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンイミンがより好ましい。ポリアルキレンイミンは、アルキレンイミンを原料として、これを開環重合させて得られる1級アミン、2級アミン、及び3級アミンを含む分岐型ポリアルキレンイミン、あるいはアルキルオキサゾリンを原料とし、これを重合させて得られる1級アミンと2級アミンのみを含む直鎖型ポリアルキレンイミン、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。更に、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、ビスアミノプロピルエチレンジアミン等を含むものであってもよい。ポリアルキレンイミンは、通常、含まれる窒素原子上の活性水素原子の反応性に由来して、第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基(イミノ基)を有する。
ポリアルキレンイミン中の窒素原子数は特に制限されず、4以上3,000であることが好ましく、8以上1,500以下であることがより好ましく、11以上500以下であることが更に好ましい。また、ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、100以上20,000以下であることが好ましく、200以上10,000以下であることがより好ましく、500以上8,000以下であることが更に好ましい。
一方、添加するカルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイン酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカン二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセン二酸、ドコサン二酸、ジグリコール酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、2,4,4−トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、m−キシリレンジカルボン酸、p−キシリレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,6−ヘキサントリカルボン酸、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、トリメシン酸等のトリカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
添加されるアミン類の使用量は、製造しようとするポリアミド(C1)及びポリアミド(C2)の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、及び相対粘度を考慮して、公知の方法により適宜決められる。通常、ポリアミド原料1モルに対して(繰り返し単位を構成する単量体又は単量体ユニット1モル)、アミン類の添加量は、十分な反応性を得ることと、所望の粘度を有するポリアミドの製造を容易とする観点から、0.5meq/モル以上20meq/モル以下であることが好ましく、1meq/モル以上10meq/モル以下であることがより好ましい(アミノ基の当量(eq)は、カルボキシル基と1:1(モル比)で反応してアミド基を形成するアミノ基の量を1当量とする。)。
ポリアミド(C1)及びポリアミド(C2)において、前記例示のアミン類のうち、末端基濃度の条件を満たすために、ジアミン及び/又はポリアミンを重合時に添加することが好ましく、ゲル発生抑制という観点から、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、及びポリアルキレンイミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を重合時に添加することがより好ましい。
[エラストマー重合体(C3)]
エラストマー重合体(C3)は、前記エラストマー重合体(A2)で説明したものと同様であるので、説明を省略するが、エラストマー重合体(C3)として、エラストマー重合体(A2)と同じ種類であってもよいし、異なっていてもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
脂肪族ポリアミド組成物(C)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体(C3)を含有する。エラストマー重合体(C3)は、前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)に含まれるエラストマー重合体(A2)の説明で記載した通りである。エラストマー重合体(C3)として、エラストマー重合体(A2)と同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
脂肪族ポリアミド組成物(C)中のポリアミド(C1)の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(C)100質量%に対して、75質量%以上95質量%以下であることが好ましく、78質量%以上93質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。ポリアミド(C1)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層チューブの機械的特性が劣る場合があり、一方、前記の値を超えると、得られる積層チューブの低温耐衝撃性、層間接着性、及びその耐久性が劣る場合がある。
脂肪族ポリアミド組成物(C)中のエラストマー重合体(C3)の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(C)100質量%に対して、5質量%以上25質量%以下であることが好ましく、8質量%以上23質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。エラストマー重合体(C3)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層チューブの低温耐衝撃性、層間接着性、及びその耐久性が劣る場合があり、一方、前記の値を超えると、得られる積層チューブの機械的特性及び得られる脂肪族ポリアミド組成物(C)の流動性が劣る場合がある。
脂肪族ポリアミド組成物(C)には、更にポリアミド(C2)を含むことが好ましく、ポリアミド(C1)の含有量は、前記ポリアミド(C1)と前記ポリアミド(C2)の合計量100質量%に対して、55質量%以上90質量%以下であることが好ましく、57質量%以上87質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上85質量%以下であることが更に好ましい。ポリアミド(C1)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層チューブの機械的特性及び耐薬品が劣る場合があり、一方、前記の値を超えると、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性が劣る場合がある。ポリアミド(C2)の含有量は、前記ポリアミド(C1)と前記ポリアミド(C2)の合計量100質量%に対して、10質量%以上45質量%以下であることが好ましく、12質量%以上43質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上40質量%以下であることが更に好ましい。ポリアミド(C2)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性が劣る場合があり、一方、前記の値を超えると、得られる積層チューブの機械的特性及び耐薬品が劣る場合がある。
ポリアミド(C1)及びエラストマー重合体(C3)、又はポリアミド(C1)、ポリアミド(C2)、及びエラストマー重合体(C3)を混合する方法は、前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)の説明で記載した公知の方法が挙げられる。
脂肪族ポリアミド組成物(C)は、他のポリアミド系樹脂又はその他の熱可塑性樹脂との混合物であってもよい。混合物である脂肪族ポリアミド組成物(C)中のポリアミド(C1)及びエラストマー重合体(C3)、又はポリアミド(C1)、ポリアミド(C2)、及びエラストマー重合体(C3)の合計含有量は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましい。
混合するその他の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリメチルペンテン(TPX)、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MS)、メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)等のポリスチレン系樹脂;カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基等の官能基が含有された前記ポリオレフィン系樹脂及びポリスチレン系樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体(PET/PEI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPO)等のポリエーテル系樹脂;ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等のポリサルホン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂;ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンケトンケトン(PEKKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリケトン系樹脂;ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(NBR)等のポリニトリル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/アクリル酸メチル共重合体等のポリビニル系樹脂;酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂;熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエステルアミドイミド等のポリイミド系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられ、場合により、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体(CPT)等のフッ素系樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
更に、脂肪族ポリアミド組成物(C)には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機充填剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、着色剤等を添加してもよい。
4.(d)層
積層チューブは、更に(d)層を有することが好ましい。
積層チューブの(d)層は、半芳香族ポリアミド組成物(D)を含む。
[半芳香族ポリアミド組成物(D)]
半芳香族ポリアミド組成物(D)は、半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は半芳香族ポリアミド(D2)を含み、前記半芳香族ポリアミド組成物(D)中に、前記半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は前記半芳香族ポリアミド(D2)が60質量%以上含まれ、半芳香族ポリアミド(D1)は、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジアミン単位に対して、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位を50モル%以上含み、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位、及びナフタレンジカルボン酸単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むジカルボン酸単位を50モル%以上含み、半芳香族ポリアミド(D2)は、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジアミン単位に対して、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位を50モル%以上含み、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含む(以下、半芳香族ポリアミド組成物(D)と称する場合がある。)。
[半芳香族ポリアミド(D1)]
半芳香族ポリアミド組成物(D)は、半芳香族ポリアミド(D1)を含む態様があり(以下、半芳香族ポリアミド(D1)と称する場合がある。)、半芳香族ポリアミド(D1)は、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジアミン単位に対して、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位を50モル%以上含むジアミン単位と、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位、及びナフタレンジカルボン酸単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位を含有する。
半芳香族ポリアミド(D1)中の炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジアミン単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位としては、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−へプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等から誘導される単位が挙げられる。炭素原子数が前記を満たす限り、1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミンから誘導される単位を含有していても構わない。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位の中でも、入手の容易さ及び経済性の観点から、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンから誘導される単位が好ましい。更に、1,6−ヘキサンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを併用する場合、1,6−ヘキサンジアミン単位と2−メチル−1,5−ペンタンジアミン単位のモル比は、成形性と耐衝撃性のバランスの観点から、30:70〜98:2(モル比)であることが好ましく、40:60〜95:5(モル比)であることがより好ましく、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンを併用する場合、1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比は、成形性と耐衝撃性のバランスの観点から、30:70〜98:2(モル比)であることが好ましく、40:60〜95:5(モル比)であることがより好ましい。
半芳香族ポリアミド(D1)中のジアミン単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位以外の他のジアミン単位を含んでいてもよい。他のジアミン単位としては、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,13−トリデカンジアミン等の脂肪族ジアミンから誘導される単位;1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5−ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミンから誘導される単位;m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)ナフタレン、1,5−ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,6−ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,7−ビス(アミノメチル)ナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンから誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら他のジアミン単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジアミン単位に対して、50モル%未満であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。
また、半芳香族ポリアミド(D1)中のテレフタル酸単位、イソフタル酸単位、及びナフタレンジカルボン酸単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むジカルボン酸単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
ナフタレンジカルボン酸単位としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸等から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記ナフタレンジカルボン酸単位の中でも、経済性及び入手の容易さを考慮して、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸から誘導される単位が好ましい。
半芳香族ポリアミド(D1)中のジカルボン酸単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位、及びナフタレンジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。他のジカルボン酸単位としては、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、スベリン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、2,4,4−トリメチルアジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸から誘導される単位;フタル酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルプロパン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−トリフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が好ましい。これら他のジカルボン酸単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%未満であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。更に、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
半芳香族ポリアミド(D1)には、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、ジカルボン酸単位及びジアミン単位以外のその他の単位を含んでいてもよい。その他の単位としては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等のラクタムから誘導される単位;6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸;p−アミノメチル安息香酸等の芳香族アミノカルボン酸のアミノカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。その他の単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(D1)の全重合単位に基づいて、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、35モル%以下であることが更に好ましい。
半芳香族ポリアミド(D1)の具体例としては、ポリテトラメチレンテレフタラミド(ポリアミド4T)、ポリテトラメチレンイソフタラミド(ポリアミド4I)、ポリテトラメチレンナフタラミド(ポリアミド4N)、ポリペンタメチレンテレフタラミド(ポリアミド5T)、ポリペンタメチレンイソフタラミド(ポリアミド5I)、ポリペンタメチレンナフタラミド(ポリアミド5N)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンナフタラミド(ポリアミド6N)、ポリ(2−メチルペンタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM5T)、ポリ(2−メチルペンタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM5I)、ポリ(2−メチルペンタメチレンナフタラミド(ポリアミドM5N)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリノナメチレンイソフタラミド(ポリアミド9I)、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリ(2−メチルオクタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM8T)、ポリ(2−メチルオクタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM8I)、ポリ(2−メチルオクタメチレンナフタラミド)(ポリアミドM8N)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリトリメチルヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミドTMHI)、ポリトリメチルヘキサメチレンナフタラミド(ポリアミドTMHN)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド10I)、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリウンデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド11I)、ポリウンデカメチレンナフタラミド(ポリアミド11N)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド12I)、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)等の単独重合体、及び/又はこれらポリアミドの原料単量体、並びに/若しくは前記ポリアミド(C1)及びポリアミド(C2)の原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、入手の容易さ、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(D1)としては、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミド6T/6I)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/2−メチルペンタメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド6T/M5T)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド6T/6)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6T/66)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6T/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6T/612)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6T/6I/66)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6T/6I/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6T/6I/612)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリ(ノナメチレンテレフタラミド/2−メチルオクタメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド9T/M8T)、ポリ(ノナメチレンテレフタラミド/2−メチルオクタメチレンテレフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド9T/M8T/11)、ポリ(ノナメチレンテレフタラミド/2−メチルオクタメチレンテレフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド9T/M8T/12)、ポリ(ノナメチレンテレフタラミド/2−メチルオクタメチレンテレフタラミド/ノナメチレンイソフタラミド/2−メチルオクタメチレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミド9T/M8T/9I/M8I)、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリ(ノナメチレンナフタラミド/2−メチルオクタメチレンナフタラミド)共重合体(ポリアミド9N/M8N)、ポリ(ノナメチレンナフタラミド/2−メチルオクタメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド9N/M8N/11)、ポリ(ノナメチレンナフタラミド/2−メチルオクタメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド9N/M8N/12)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/11)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/12)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10T/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10T/1012)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/11)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/12)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/1012)、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10N/11)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10N/12)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10N/1010)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10N/1012)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/11)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/12)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/1012)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/11)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/12)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド12T/1210)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12T/1212)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンイソフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/12I/11)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンイソフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/12I/12)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンイソフタラミド/ドデカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド12T/12I/1210)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンイソフタラミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12T/12I/1212)、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12N/11)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド12N/12)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ドデカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド12N/1210)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12N/1212)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/12N/11)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/12N/12)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンナフタラミド/ドデカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド12T/12N/1210)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンナフタラミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12T/12N/1212)、及びこれらの混合物が好ましく、
ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミド6T/6I)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/2−メチルペンタメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド6T/M5T)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド6T/6)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6T/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6T/612)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6T/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6T/612)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6T/6I/66)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6T/6I/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6T/6I/612)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリ(ノナメチレンテレフタラミド/2−メチルオクタメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド9T/M8T)、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリ(ノナメチレンナフタラミド/2−メチルオクタメチレンナフタラミド)共重合体(ポリアミド9N/M8N)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/11)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/12)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10T/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10T/1012)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/11)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/12)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/1012)、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10N/11)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10N/12)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10N/1010)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10N/1012)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/11)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/12)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/1012)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/11)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/12)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12T/1212)、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12N/11)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド12N/12)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12N/1212)、及びこれらの混合物がより好ましい。
更に、半芳香族ポリアミド(D1)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は、単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
半芳香族ポリアミド(D1)を製造する際、触媒として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩又はエステル等を添加することができる。リン酸、亜リン酸、次亜リン酸の塩又はエステルとしては、例えば、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属塩、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸のアンモニウム塩、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、へキシルエステル、イソデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
[半芳香族ポリアミド(D2)]
半芳香族ポリアミド組成物(D)は、半芳香族ポリアミド(D2)を含む態様があり(以下、半芳香族ポリアミド(D2)と称する場合がある。)、半芳香族ポリアミド(D2)は、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジアミン単位に対して、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位を50モル%以上含むジアミン単位と、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位を含有する。
半芳香族ポリアミド(D2)中のキシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジアミン単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
キシリレンジアミン単位としては、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンから誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記キシリレンジアミン単位の中でも、経済性及び入手の容易さを考慮して、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンから誘導される単位が好ましい。
m−キシリレンジアミンとp−キシリレンジアミンを併用する場合、m−キシリレンジアミン単位とp−キシリレンジアミン単位のモル比は、成形性と耐衝撃性のバランスの観点から、10:90〜99:1(モル比)であることが好ましく、50:50〜99:1(モル比)であることがより好ましく、65:35〜99:1(モル比)であることが更に好ましい。
ビス(アミノメチル)ナフタレン単位としては、1,4−ビス(アミノメチル)ナフタレン、1,5−ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,6−ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,7−ビス(アミノメチル)ナフタレン等から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記ビス(アミノメチル)ナフタレン単位の中でも、経済性及び入手の容易さを考慮して、1,5−ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,6−ビス(アミノメチル)ナフタレンから誘導される単位が好ましい。
半芳香族ポリアミド(D2)中のジアミン単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位以外の他のジアミン単位を含んでいてもよい。他のジアミン単位としては、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,15−ペンタデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、1,17−ヘプタデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、1,19−ノナデカンジアミン、1,20−エイコサンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミンから誘導される単位;1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5−ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミンから誘導される単位;m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンから誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、芳香族ジアミンから誘導される単位が好ましい。これら他のジアミン単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジアミン単位に対して、50モル%未満であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。
炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等から誘導される単位が挙げられる。炭素原子数が前記を満たす限り、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、メチルエチルマロン酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2−メチルアジピン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、2,4,4−トリメチルアジピン酸、2−ブチルスベリン酸等の分岐鎖状脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位を含有していても構わない。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位の中でも、入手の容易さ及び経済性の観点から、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸から誘導される単位が好ましく、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸から誘導される単位がより好ましく、アジピン酸、セバシン酸から誘導される単位が更に好ましい。
アジピン酸とセバシン酸を併用する場合、アジピン酸単位とセバシン酸単位のモル比は、成形性と耐衝撃性のバランスの観点から、60:40〜90:10(モル比)であることが好ましく、65:30〜85:15(モル比)であることがより好ましく、70:30〜85:15(モル比)であることが更に好ましい。
また、半芳香族ポリアミド(D2)中の炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
半芳香族ポリアミド(D2)中のジカルボン酸単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。他のジカルボン酸単位としては、シュウ酸、マロン酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸から誘導される単位;テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルプロパン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−トリフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら他のジカルボン酸単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%未満であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。更に、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
半芳香族ポリアミド(D2)には、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、ジカルボン酸単位及びジアミン単位以外のその他の単位を含んでいてもよい。その他の単位としては、半芳香族ポリアミド(D1)の説明で記載したラクタムから誘導される単位及び/又はアミノカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。その他の単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(D2)の全重合単位に基づいて、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、35モル%以下であることが更に好ましい。
半芳香族ポリアミド(D2)の具体例としては、ポリメタキシリレンスクシナミド(ポリアミドMXD4)、ポリメタキシリレングルタミド(ポリアミドMXD5)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ポリアミドMXD8)、ポリメタキシリレンアゼラミド(ポリアミドMXD9)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカミド(ポリアミドMXD12)、ポリパラキシリレンスクシナミド(ポリアミドPXD4)、ポリパラキシリレングルタミド(ポリアミドPXD5)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリパラキシリレンスベラミド(ポリアミドPXD8)、ポリパラキシリレンアゼラミド(ポリアミドPXD9)、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD10)、ポリパラキシリレンドデカミド(ポリアミドPXD12)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンスクシナミド)(ポリアミド2,6−BAN4)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレングルタミド)(ポリアミド2,6−BAN5)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンアジパミド)(ポリアミド2,6−BAN6)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンスベラミド)(ポリアミド2,6−BAN8)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド2,6−BAN9)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンセバカミド)(ポリアミド2,6−BAN10)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンドデカミド)(ポリアミド2,6−BAN12)等の単独重合体、及び/又はこれらポリアミドの原料単量体を数種用いた共重合体、並びに/若しくはポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリパラキシリレンテレフタラミド(ポリアミドPXDT)、ポリパラキシリレンイソフタラミド(ポリアミドPXDI)、ポリパラキシリレンナフタラミド(ポリアミドPXDN)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド2,6−BANT)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド2,6−BANI)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド2,6−BANN)等を形成する原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、入手の容易さ、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(D2)としては、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/メタキシリレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/MXDT)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/メタキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/MXDI)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/メタキシリレンテレフタラミド/メタキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/MXDT/MXDI)、ポリ(パラキシリレンアジパミド/パラキシリレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD6/PXDT)、ポリ(パラキシリレンアジパミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD6/PXDI)、ポリ(パラキシリレンアジパミド/パラキシリレンテレフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD6/PXDT/PXDI)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド/メタキシリレンテレフタラミド/パラキシリレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6/MXDT/PXDT)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド/メタキシリレンイソフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6/MXDI/PXDI)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド/メタキシリレンテレフタラミド/パラキシリレンテレフタラミド/メタキシリレンイソフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6/MXDT/PXDT/MXDI/PXDI)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD10)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/メタキシリレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/MXDT)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/メタキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/MXDI)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/メタキシリレンテレフタラミド/メタキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/MXDT/MXDI)、ポリ(パラキシリレンセバカミド/パラキシリレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD10/PXDT)、ポリ(パラキシリレンセバカミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD10/PXDI)、ポリ(パラキシリレンセバカミド/パラキシリレンテレフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD10/PXDT/PXDI)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド/メタキシリレンテレフタラミド/パラキシリレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10/MXDT/PXDT)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド/メタキシリレンイソフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10/MXDI/PXDI)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド/メタキシリレンテレフタラミド/パラキシリレンテレフタラミド/メタキシリレンイソフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10/MXDT/PXDT/MXDI/PXDI)、及びこれらの混合物が好ましく、
ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/メタキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/MXDI)、ポリ(パラキシリレンアジパミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD6/PXDI)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド/メタキシリレンイソフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6/MXDI/PXDI)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD10)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/メタキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/MXDI)、ポリ(パラキシリレンセバカミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD10/PXDI)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド/メタキシリレンイソフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10/MXDI/PXDI)、及びこれらの混合物がより好ましく、
ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10)、及びこれらの混合物が更に好ましい。
ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)及び/又はポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6)とポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)及び/又はポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10)の混合物である場合、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)及び/又はポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6)とポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)及び/又はポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10)の質量比は、55:45〜85:15(質量比)であることが好ましく、60:40〜80:20(質量比)であることがより好ましく、65:35〜75:25(質量比)であることが更に好ましい。
半芳香族ポリアミド(D2)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。半芳香族ポリアミド(D2)の製造方法としては、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法があり、これらの方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して半芳香族ポリアミド(D2)を製造することができる。これらの製造方法は、単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができ、これらの中でも、溶融重合法が好ましい。例えば、キシリレンジアミン及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレンと炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸からなるナイロン塩を水の存在下で、加圧、昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、キシリレンジアミン及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレンを溶融状態の炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、キシリレンジアミン及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレンを炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸に連続的に加え、その間、反応系の温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点以上になるように反応系を昇温しつつ、重合が進められる。半芳香族ポリアミド(D2)は、溶融重合法により製造された後に、固相重合を行ってもよい。
半芳香族ポリアミド(D2)には、触媒として、あるいは溶融成形時の加工安定性を高め、及び着色を防止するために、リン原子含有化合物を添加することができる。リン原子含有化合物としては、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、亜ホスホン酸、及びこれらの誘導体、即ち、次亜リン酸のアルカリ土類金属塩、亜リン酸のアルカリ金属塩、亜リン酸のアルカリ土類金属塩、リン酸のアルカリ金属塩、リン酸のアルカリ土類金属塩、ピロリン酸のアルカリ金属塩、ピロリン酸のアルカリ土類金属塩、メタリン酸のアルカリ金属塩、メタリン酸のアルカリ土類金属塩、亜ホスホン酸のアルカリ金属塩、亜ホスホン酸のアルカリ土類金属塩、ホスホン酸のアルカリ金属塩、ホスホン酸のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
リン原子含有化合物の具体例としては、ホスフィン酸(次亜リン酸)、次亜リン酸エチル、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、亜リン酸、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸水素リチウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸水素マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸水素カルシウム、ピロ亜リン酸、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素二マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸二水素リチウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸リチウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸マグネシウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸リチウム、亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸エチル、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸水素リチウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸水素マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸水素カルシウムが好ましく、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウムがより好ましい。尚、これらのリン原子含有化合物は水和物であってもよい。
リン原子含有化合物の含有量は、重合時の触媒効果、着色防止効果の十分な確保、及びゲルの発生を抑制の観点から、半芳香族ポリアミド(D2)100質量部に対して、リン原子濃度換算で0.03質量部以上0.3質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.2質量部以下であることがより好ましく、0.07質量部以上0.15質量部以下であることが更に好ましい。
これらのリン原子含有化合物の添加方法は、半芳香族ポリアミド(D2)の原料であるナイロン塩水溶液、ジアミン、又はジカルボン酸に添加する方法、溶融状態にあるジカルボン酸に添加する方法、溶融重合中に添加する方法等が挙げられるが、半芳香族ポリアミド(D2)中に均一に分散させることが可能であれば、いかなる方法でも良く、これらに限定されるものではない。
半芳香族ポリアミド(D2)には、リン原子含有化合物と併用して、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を添加することができる。尚、このアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩は、上記リン酸化合物以外の化合物をいう。重縮合中のポリアミドの着色を防止するため、リン原子含有化合物を十分な量存在させる必要があるが、場合によっては、ポリアミドのゲル化を招く恐れがあるため、アミド化反応速度を調整するためにも、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を共存させることが好ましい。アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ土類金属酢酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属酢酸塩がより好ましい。
アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の水酸化物;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウムのアルカリ金属/アルカリ土類金属の酢酸塩;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の炭酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、カルシウムメトキシド等のアルカリ金属/アルカリ土類金属のアルコキシド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、経済性の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが好ましい。
半芳香族ポリアミド(D2)の重縮合系内にアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を添加する場合、該化合物のモル数を前記リン原子含有化合物のリン原子換算モル数で除した値は、アミド化反応の促進と抑制のバランスの観点から、0.3以上2以下であることが好ましく、0.4以上1.9以下であることがより好ましく、0.5以上1.8以下であることが更に好ましい。
これらのアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加方法は、半芳香族ポリアミド(D2)の原料であるナイロン塩水溶液、ジアミン、又はジカルボン酸に添加する方法、溶融状態にあるジカルボン酸に添加する方法、溶融重合中に添加する方法等が挙げられるが、半芳香族ポリアミド(D2)中に均一に分散させることが可能であればいかなる方法でも良く、これらに限定されるものではない。
JIS K−6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定した半芳香族ポリアミド(D1)及び半芳香族ポリアミド(D2)の相対粘度は、得られる積層チューブの機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして積層チューブの望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上4.0以下であることが好ましく、1.6以上3.5以下であることがより好ましく、1.8以上3.0以下であることが更に好ましい。
尚、半芳香族ポリアミド(D1)及び半芳香族ポリアミド(D2)の末端基の種類、末端基濃度、及び分子量分布に特別の制約は無い。分子量調節及び成形加工時の溶融安定化のため、モノアミン、ジアミン、ポリアミン、モノカルボン酸、ジカルボン酸のうちの1種あるいは2種以上を適宜組合せて添加することができる。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,13−トリデカンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン等の脂環式ジアミン;m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等のポリアミン;酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら分子量調節剤の使用量は、分子量調節剤の反応性及び重合条件により異なるが、最終的に得ようとするポリアミドの相対粘度が前記の範囲になるように適宜決められる。
溶融安定性を考慮すると、半芳香族ポリアミド(D1)及び半芳香族ポリアミド(D2)の分子鎖の末端が末端封止剤により封止されていることが好ましく、末端基の10%以上が封止されていることがより好ましく、末端基の20%以上が封止されていることが更に好ましい。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基又はカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性、封止末端の安定性等の観点から、モノカルボン酸又はモノアミンが好ましく、取扱いの容易さ等の観点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等も使用できる。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、前記脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格等の観点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、前記脂肪族モノアミン、脂環式モノアミン、芳香族モノアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性、価格等の観点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
末端封止剤の使用量は、用いる末端封止剤の反応性、沸点、反応装置、反応条件等を考慮して、適宜選択することができる。重合度の調整の観点から、原料成分であるジカルボン酸とジアミンの総モル数に対して、0.1モル%以上15モル%以下であることが好ましい。
半芳香族ポリアミド組成物(D)には、半芳香族ポリアミド(D1)及び半芳香族ポリアミド(D2)の低温耐衝撃性を改良するために、衝撃改良材を添加することが好ましく、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体(D3)を添加することがより好ましい。
エラストマー重合体(D3)は、前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)に含まれるエラストマー重合体(A2)の説明で記載した通りである。エラストマー重合体(D3)としては、エラストマー重合体(A2)と同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記エラストマー重合体(D3)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有していないと、衝撃改良効果が不十分となる場合がある。
衝撃改良材の含有量は、得られる積層チューブの機械的強度及び低温耐衝撃性を十分に確保する観点から、主成分の半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は半芳香族ポリアミド(D2)100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、3質量部以上25質量部以下であることがより好ましい。
半芳香族ポリアミド組成物(D)には、半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は半芳香族ポリアミド(D2)とともに、他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、前記脂肪族ポリアミド組成物(C)の場合と同様の樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。更に、得られる積層チューブの層間接着性、柔軟性、及び溶融加工安定性の観点から、前記脂肪族ポリアミド組成物(C)に含まれるポリアミド(C1)及び/又はポリアミド(C2)の説明で記載したポリアミドとの混合物であることも好ましい。半芳香族ポリアミド組成物(D)中の半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は半芳香族ポリアミド(D2)の含有量は、60質量%以上であり、70質量%以上であることが好ましい。
更に、半芳香族ポリアミド組成物(D)には、必要に応じて、導電性フィラー、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機充填剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、着色剤、潤滑剤等を添加してもよい。
[積層チューブ]
積層チューブの第一態様は、(a)層及び(b)層の少なくとも2層を含み、少なくとも1組の(a)層と(b)層とが隣接して配置される。
第一態様の積層チューブにおいて、(a)層を含むことは必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特に炭化水素バリア性が良好となる。また、(b)層を含むことも必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特にアルコールバリア性及び高濃度アルコール含有ガソリンに対するバリア性が良好となる。更に、(a)層と(b)層とが隣接して配置されることにより、層間接着性及びその耐久性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
好ましい実施態様としては、(b)層は、(a)層に対して内側に配置される。
積層チューブの第二態様は、第一態様に、更に(c)層を有する、少なくとも3層を含み、(c)層は、(a)層に対して外側に配置される。
第二態様の積層チューブにおいて、(a)層を含むことは必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特に炭化水素バリア性が良好となる。また、(b)層を含むことも必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特にアルコールバリア性及び高濃度アルコール含有ガソリンに対するバリア性が良好となる。更に、(a)層と(b)層とが隣接して配置されることにより、層間接着性及びその耐久性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。また、(c)層を含むことも必須であり、(c)層が(a)層に対して外側に配置されることにより、機械的物性及び低温耐衝撃性が良好な積層チューブを得ることが可能となる。この場合、(c)層は、(a)層と接するように配置されていてもよく、(a)層と(c)層の間に他の層が配置されていてもよい。
好ましい実施態様としては、(c)層は、積層チューブの最外層に配置される。(c)層が最外層に配置されることにより、耐薬品性及び柔軟性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
より好ましい実施態様としては、(b)層は、積層チューブの最内層に配置される。(b)層が最内層に配置されることにより、耐劣化燃料性に優れる積層チューブが得られるとともに、含アルコールガソリンとの接触によるモノマー、オリゴマー等低分子量成分の溶出を抑制することが可能となる。
即ち、(c)層が最外層に配置され、(a)層が中間層に配置され、(b)層が最内層に配置される積層チューブが更に好ましい。尚、本実施態様において、(a)層と(c)層との間に(e)層が配置されていてもよい。ここで、(e)層は、(a)層及び(c)層に対して接着性を有するポリアミド組成物を含む層である。該ポリアミド組成物は、前記脂肪族ポリアミド組成物(C)の説明で記載したポリアミド(C2)及びエラストマー重合体(C3)を含むことが好ましく、ポリアミド(C2)としては、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドであって、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6/66)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアゼラミド)共重合体(ポリアミド6/69)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6/612)、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/66/610)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6/66/612)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/66/12)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/610/12)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンドデカミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/612/12)、及びこれらの混合物が好ましく、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドであって、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6/66)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/610)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6/612)、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6/66/610)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6/66/612)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/66/12)、及びこれらの混合物がより好ましい。
また、第二態様の積層チューブにおいて、導電性フィラーを含有させた含フッ素系重合体組成物を含む導電層が、積層チューブの最内層に配置されると、薬液バリア性、耐劣化燃料性、及びモノマー、オリゴマーの耐溶出性に優れるとともに、燃料配管チューブとして使用された場合、配管内を循環する燃料の内部摩擦あるいは管壁との摩擦によって発生したスパークが燃料に引火することを防止することが可能となる。その際、導電性を有しない含フッ素系重合体を含む層が、前記導電層に対して外側に配置されることにより、低温耐衝撃性と導電性を両立することが可能であり、また、経済的にも有利である。更に、ここでいう、含フッ素系重合体は、接着用含フッ素系重合体組成物(B)及び/又はカルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)も包含し、後記アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基を含有しない含フッ素系重合体も指す。
導電性とは、例えば、ガソリンのような引火性の流体が樹脂のような絶縁体に連続的に接触した場合、静電気が蓄積して引火する可能性があるが、この静電気が蓄積しない程度の電気特性を有することを言う。これにより、燃料等の流体の搬送時に発生する静電気による爆発防止が可能となる。
導電性フィラーは、樹脂に導電性能を付与するために添加されるすべての充填剤が包含され、粒状、フレーク状、繊維状フィラー等が挙げられる。
粒状フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。フレーク状フィラーとしては、アルミフレーク、ニッケルフレーク、ニッケルコートマイカ等が挙げられる。また、繊維状フィラーとしては、炭素繊維、炭素被覆セラミック繊維、カーボンウィスカー、カーボンナノチューブ、アルミ繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維等の金属繊維等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、カーボンナノチューブ、カーボンブラックが好ましい。
カーボンナノチューブは、中空炭素フィブリルと称されるものであり、該フィブリルは、規則的に配列した炭素原子の本質的に連続的な多数層からなる外側領域と、内部中空領域とを有し、各層と中空領域とが該フィブリルの円柱軸の周囲に実質的に同心に配置されている本質的に円柱状のフィブリルである。更に、前記外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状であり、前記中空領域の直径が2nm以上20nm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの外径は、樹脂中への十分な分散性及び得られる樹脂成形体の良好な導電性を付与する観点から、3.5nm以上70nm以下であることが好ましく、4nm以上60nm以下であることがより好ましい。カーボンナノチューブのアスペクト比(長さ/外径の比)は、5以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、500以上であることがさ更に好ましい。該アスペクト比を満たすことにより、導電性ネットワークを形成しやすく、少量添加で優れた導電性を発現することができる。
カーボンブラックは、導電性付与に一般的に使用されているカーボンブラックがすべて包含され、好ましいカーボンブラックとしては、アセチレンガスを不完全燃焼して得られるアセチレンブラック、原油を原料にファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラック等のファーネスブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アセチレンブラック、ファーネスブラックがより好ましい。
また、カーボンブラックは、その粒子径、表面積、DBP吸油量、灰分等の特性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。該カーボンブラックの特性に制限は無いが、良好な鎖状構造を有し、凝集密度の大きいものが好ましい。カーボンブラックの多量配合は、耐衝撃性の観点から好ましくなく、より少量で優れた電気伝導度を得る観点から、平均粒径は、500nm以下であることが好ましく、5nm以上100nm以下であることがより好ましく、10nm以上70nm以下であることが更に好ましく、表面積(BET法)は10m/g以上であることが好ましく、30m/g以上であることがより好ましく、50m/g以上であることが更に好ましく、更に、DBP(ジブチルフタレート)吸油量は、50ml/100g以上であることが好ましく、100ml/100gであることがより好ましく、150ml/100g以上であることが更に好ましい。また、灰分は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。ここでいうDBP吸油量は、ASTM D−2414に定められた方法で測定した値である。カーボンブラックの揮発分含量は、1質量%未満であることが好ましい。
これら、導電性フィラーはチタネート系、アルミ系、シラン系等の表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。更に、溶融混練作業性を向上させるために造粒されたものを用いることも可能である。
導電性フィラーの含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性、流動性、機械的強度等とのバランスの観点から、含フッ素系重合体100質量部に対して、一般に、3質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
また、かかる導電性フィラーは、十分な帯電防止性能を得る観点から、溶融押出物の表面固有抵抗値が10Ω/square以下であることが好ましく、10Ω/square以下であることがより好ましい。但し、前記導電性フィラーの添加は、強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため、目標とする導電レベルが得られれば、前記導電性フィラーの含有量はできるだけ少ない方が望ましい。
第二態様の積層チューブでは、各層の厚みは、特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層チューブにおける全体の層数、用途等に応じて調節し得るが、それぞれの層の厚みは、積層チューブの薬液バリア性、低温耐衝撃性、柔軟性等の特性を考慮して決定される。一般には、(a)層、(b)層、及び(c)層又は(a)層、(b)層、(c)層、及び(e)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ3%以上90%以下であることが好ましい。低温耐衝撃性と薬液バリア性のバランスを考慮して、(a)層及び(b)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ5%以上50%以下であることがより好ましく、7%以上35%以下であることが更に好ましい。
また、第二態様の積層チューブにおける全体の層数は、(a)層、(b)層、及び(c)層を有する、少なくとも3層である限り、特に限定されない。更に、第二態様の積層チューブは、(a)層、(b)層、及び(c)層の3層以外、又は(a)層、(b)層、(c)層、及び(e)層の4層以外に、更なる機能を付与、あるいは経済的に有利な積層チューブを得るために、他の熱可塑性樹脂を含む層を1層又は2層以上を有していてもよい。第二態様の積層チューブの層数は3層又は4層以上であるが、チューブ製造装置の機構から判断して8層以下であることが好ましく、3層以上7層以下であることがより好ましい。
積層チューブの第三態様は、第二態様に、更に(d)層を有する、少なくとも4層を含み、(d)層は、(a)層に対して外側に配置される。
第三態様の積層チューブにおいて、(a)層及び(d)層を含むことは必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特に炭化水素バリア性が良好となる。また、(b)層を含むことも必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特にアルコールバリア性及び高濃度アルコール含有ガソリンに対するバリア性が良好となる。更に、(a)層と(b)層とが隣接して配置されることにより、層間接着性及びその耐久性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。また、(d)層が(a)層に対して外側に配置されることにより、積層チューブの耐薬品性がより良好となる。この場合、(d)層は、(a)層と接するように配置されていてもよく、(a)層と(d)層の間に他の層が配置されていてもよい。
好ましい実施態様としては、(c)層は、積層チューブの最外層に配置される。(a)層が最外層に配置されることにより、耐薬品性及び柔軟性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
より好ましい実施態様としては、(b)層は、最内層に配置される。(b)層が最内層に配置されることにより、耐劣化燃料性に優れる積層チューブが得られるとともに、含アルコールガソリンとの接触によるモノマー、オリゴマー等低分子量成分の溶出を抑制することが可能となる。
更に好ましい実施態様としては、(a)層と(d)層の間に、最外層の(c)層とは別の他の(c)層及び/又は(e)層が配置される。これにより、(a)層及び/又は(d)層との共押出時における熱溶融安定性、連続成形性に優れる。即ち、(c)層が最外層に配置され、(d)層が外層に配置され、(c)層が中間層に配置され、(a)層が内層に配置され、(b)層が最内層に配置される積層チューブ、(c)層が最外層に配置され、(d)層が外層に配置され、(e)層が中間層に配置され、(a)層が内層に配置され、(b)層が最内層に配置される積層チューブ、(c)層が最外層に配置され、(e)層が外層に配置され、(d)層が中間層に配置され、(c)層が内層1に配置され、(a)層が内層2に配置され、(b)層が最内層に配置される積層チューブ、(c)層が最外層に配置され、(e)層が外層に配置され、(d)層が中間層に配置され、(e)層が中間層に配置され、(a)層が内層に配置され、(b)層が最内層に配置される積層チューブが更に好ましい。ここで、(e)層は、(a)層及び(c)層に対して接着性を有するポリアミド組成物を含む層であり、該ポリアミド組成物については、前記の説明通りである。
また、第三態様の積層チューブにおいて、導電性フィラーを含有させた含フッ素系重合体組成物を含む導電層が、積層チューブの最内層に配置されると、薬液バリア性、耐劣化燃料性、及びモノマー、オリゴマーの耐溶出性に優れるとともに、燃料配管チューブとして使用された場合、配管内を循環する燃料の内部摩擦あるいは管壁との摩擦によって発生したスパークが燃料に引火することを防止することが可能となる。その際、導電性を有しない含フッ素系重合体を含む層が、前記導電層に対して外側に配置されることにより、低温耐衝撃性と導電性を両立することが可能であり、また、経済的にも有利である。更に、ここでいう、含フッ素系重合体は、接着用含フッ素系重合体組成物(B)及び/又はカルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)も包含し、後記アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基を含有しない含フッ素系重合体も指す。
導電性及び導電性フィラーの詳細は、第二態様の積層チューブと同様である。
導電性フィラーの含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性、流動性、機械的強度等とのバランスの観点から、含フッ素系重合体100質量部に対して、一般に、3質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
また、かかる導電性フィラーは、十分な帯電防止性能を得る観点から、溶融押出物の表面固有抵抗値が10Ω/square以下であることが好ましく、10Ω/square以下であることがより好ましい。但し、前記導電性フィラーの添加は、強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため、目標とする導電レベルが得られれば、前記導電性フィラーの含有量はできるだけ少ない方が望ましい。
第三態様の積層チューブでは、各層の厚みは、特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層チューブにおける全体の層数、用途等に応じて調節し得るが、それぞれの層の厚みは、積層チューブの薬液バリア性、低温耐衝撃性、柔軟性等の特性を考慮して決定される。一般には、(a)層、(b)層、(c)層、及び(d)層又は(a)層、(b)層、(c)層、(d)層、及び(e)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ3%以上90%以下であることが好ましい。低温耐衝撃性と薬液バリア性のバランスを考慮して、(a)層、(b)層、及び(d)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ5%以上50%以下であることがより好ましく、7%以上40%以下であることが更に好ましい。
また、第三態様の積層チューブにおける全体の層数は、(a)層、(b)層、(c)層、及び(d)層を有する、少なくとも4層である限り、特に限定されない。更に、第三態様の積層チューブは、(a)層、(b)層、(c)層、及び(d)層の4層以外、又は(a)層、(b)層、(c)層、(d)層、及び(e)層の5層以外に、更なる機能を付与、あるいは経済的に有利な積層チューブを得るために、他の熱可塑性樹脂を含む層を1層又は2層以上を有していてもよい。第三態様の積層チューブの層数は4層以上又は5層以上であるが、チューブ製造装置の機構から判断して8層以下であることが好ましく、5層以上7層以下であることがより好ましい。
第一態様、第二態様、及び第三態様の積層チューブにおける他の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド(C1)、ポリアミド(C2)、半芳香族ポリアミド(D1)、及び半芳香族ポリアミド(D2)以外のポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドMXDT(H))、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリパラキシリレンテレフタラミド(ポリアミドPXDT)、ポリパラキシリレンイソフタラミド(ポリアミドPXDI)、ポリパラキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドPXDT(H))、ポリパラキシリレンナフタラミド(ポリアミドPXDN)、ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)、ポリパラフェニレンイソフタラミド(PPIA)、ポリメタフェニレンテレフタラミド(PMTA)、ポリメタフェニレンイソフタラミド(PMIA)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド2,6−BANT)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド2,6−BANI)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド2,6−BANT(H))、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド2,6−BANN)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,3−BAC6)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンスベラミド(ポリアミド1,3−BAC8)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,3−BAC9)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,3−BAC10)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,3−BAC12)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,3−BACT)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,3−BACI)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,3−BACT(H))、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,3−BACN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,4−BAC6)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンスベラミド)(ポリアミド1,4−BAC8)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,4−BAC9)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,4−BAC10)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,4−BAC12)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,4−BACT)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,4−BACI)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,4−BACT(H))、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,4−BACN)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACM6)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACM8)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACM9)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACM10)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACM12)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACM14)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACM16)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACM18)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACMT)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACMI)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACMT(H))、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACMN)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)アジパミド)(ポリアミドMACM6)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)スベラミド)(ポリアミドMACM8)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)アゼラミド)(ポリアミドMACM9)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)セバカミド)(ポリアミドMACM10)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)ドデカミド)(ポリアミドMACM12)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)テトラデカミド)(ポリアミドMACM14)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)ヘキサデカミド)(ポリアミドMACM16)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)オクタデカミド)(ポリアミドMACM18)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)テレフタラミド)(ポリアミドMACMT)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)イソフタラミド)(ポリアミドMACMI)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)ヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドMACMT(H))、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)ナフタラミド)(ポリアミドMACMN)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACP6)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACP8)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACP9)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACP10)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACP12)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACP14)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACP16)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACP18)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACPT)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACPI)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACPT(H))、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACPN)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンスベラミド(ポリアミドIPD8)、ポリイソホロンアゼラミド(ポリアミドIPD9)、ポリイソホロンセバカミド(ポリアミドIPD10)、ポリイソホロンドデカミド(ポリアミドIPD12)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)、ポリイソホロンイソフタラミド(ポリアミドIPDI)、ポリイソホロンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドIPDT(H))、ポリイソホロンナフタラミド(ポリアミドIPDN)、ポリテトラメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド4T(H))、ポリペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド5T(H))、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリ(2−メチルペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM5T(H))、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリ(2−メチルオクタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM8T(H))、ポリトリメチルヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドTMHT(H))、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド11T(H))、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))等の単独重合体、及びこれらポリアミドの原料単量体、並びに/又は前記ポリアミド(C1)及びポリアミド(C2)の原料単量体を数種用いた共重合体等のポリアミド系樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EFEP)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(THV)、フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体(CPT)、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のアミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基を含有しない含フッ素系重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
積層チューブは、(b)層に対して、アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基を含有しない含フッ素系重合体を含む層が内側に配置されることにより、低温耐衝撃性、薬液バリア性、及び耐環境応力亀裂性を両立することが可能であり、また、経済的にも有利である。
更に、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリメチルペンテン(TPX)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MS)、メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)、スチレン/ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン/イソプレン共重合体(SIR)、スチレン/イソプレン/ブタジエン共重合体(SIBR)、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン共重合体(SIS)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン共重合体(SEPS)等のポリスチレン系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等のカルボキシル基、及びその金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等の酸無水物基;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等のエポキシ基等の官能基が含有された前記ポリオレフィン系樹脂及びポリスチレン系樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体(PET/PEI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPO)等のポリエーテル系樹脂;ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等のポリサルホン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂;ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンケトンケトン(PEKKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリケトン系樹脂;ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(NBR)等のポリニトリル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂;ポリ酢酸ビニル(PVAc)等のポリビニルエステル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/アクリル酸メチル共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂;酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂;熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエステルアミドイミド等のポリイミド系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
尚、第一態様、第二態様、及び第三態様の積層チューブにおいて 、溶融安定性及び成形安定性の観点から、前記例示の熱可塑性樹脂のうち、融点が290℃以下のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリチオエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びアミノ基又はカルボジイミド基、並びに/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基を含有しない含フッ素系重合体を使用することが好ましい。
また、熱可塑性樹脂以外の任意の基材、例えば、紙、金属系材料、無延伸、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシート、織布、不織布、金属綿、木材等を積層することも可能である。金属系材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、金、銀、チタン、モリブデン、マグネシウム、マンガン、鉛、錫、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルト等の金属、金属化合物、及びこれら2種類以上からなるステンレス鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、黄銅、青銅等の銅合金、ニッケル合金等の合金類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
積層チューブ製造法としては、層の数又は材料の数に対応する押出機を用いて、溶融押出し、ダイ内あるいは外において、同時に積層する方法(共押出成形法)、あるいは、一旦、単層チューブあるいは、前記の方法により製造された積層チューブを予め製造しておき、外側に順次、必要に応じては接着剤を使用し、樹脂を一体化せしめ積層する方法(コーティング法)が挙げられる。積層チューブは、各種材料を溶融状態で共押出し、両者を熱融着(溶融接着)し、一段階で積層構造のチューブを製造する共押出成形法により製造されることが好ましい。即ち、積層チューブの製造方法は、共押出成形することを含むことが好ましい。
また、得られる積層チューブが複雑な形状である場合や、成形後に加熱曲げ加工を施して、成形品とする場合は、成形品の残留歪みを除去するために、前記の積層チューブを形成した後、前記チューブを構成する樹脂の融点のうち最も低い融点未満の温度で、0.01時間以上10時間以下熱処理して、目的の成形品を得る事も可能である。
積層チューブにおいて、波形領域を有するものであってもよい。波形領域とは、波形形状、蛇腹形状、アコーディオン形状、又はコルゲート形状等に形成した領域である。波形領域は、積層チューブ全長にわたり有するものだけではなく、途中の適宜の領域に部分的に有するものであってもよい。波形領域は、まず直管状のチューブを成形した後に、引き続いてモールド成形し、所定の波形形状等とすることにより容易に形成することができる。かかる波形領域を有することにより、衝撃吸収性を有し、取り付け性が容易となる。更に、例えば、コネクタ等の必要な部品を付加したり、曲げ加工したりすることによりL字、U字の形状等にすることが可能である。
このように成形した積層チューブの外周の全部又は一部には、石ハネ、他部品との摩耗、及び耐炎性を考慮して、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、カルボキシル化ブタジエンゴム(XBR)、カルボキシル化クロロプレンゴム(XCR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、NBRとポリ塩化ビニルの混合物、アクリロニトリルイソプレンゴム(NIR)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレン酢酸ビニルゴム(EVM)、NBRとEPDMの混合物ゴム、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシル化スチレンブタジエンゴム(XSBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、ウレタンゴム、シリコーンゴム(MQ,VMQ)、フッ素ゴム(FKM,FEPM,FFKM)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)、塩化ビニル系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、アミド系等の熱可塑性エラストマー等から構成するソリッド又はスポンジ状の保護部材(プロテクタ)を配設することができる。保護部材は、既知の手法によりスポンジ状の多孔体としてもよい。多孔体とすることにより、軽量で断熱性に優れた保護部を形成できる。また、材料コストも低減できる。あるいは、ガラス繊維等を添加して、その強度を改善してもよい。保護部材の形状は、特に限定されないが、通常は、筒状部材又は積層チューブを受け入れる凹部を有するブロック状部材である。筒状部材の場合は、予め作製した筒状部材に積層チューブを後で挿入したり、あるいは積層チューブの上に筒状部材を被覆押出しし、両者を密着して作ることができる。両者を接着させるには、保護部材内面あるいは前記凹面に必要に応じ接着剤を塗布し、これに積層チューブを挿入又は嵌着し、両者を密着することにより、積層チューブと保護部材の一体化された構造体を形成する。また、金属等で補強することも可能である。
積層チューブの外径は、薬液(例えば、含アルコールガソリン等の燃料)等の流量を考慮し、肉厚は薬液の透過性が増大せず、また、通常のチューブの破壊圧力を維持できる厚みで、かつ、チューブの組み付け作業容易性及び使用時の耐振動性が良好な程度の柔軟性を維持することができる厚みに設計されるが、限定されるものではない。外径は4mm以上300mm以下、内径は3mm以上250mm以下、肉厚は0.5mm以上25mm以下であることが好ましい。
本実施形態の積層チューブは、自動車部品、内燃機関用途、電動工具ハウジング類等の機械部品を始め、工業材料、産業資材、電気・電子部品、医療、食品、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品等各種用途に使用することが可能である。
また、積層チューブは、薬液バリア性に優れるため、薬液搬送チューブとして好適である。薬液としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン類等の芳香族炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレングリコ−ル等のアルコール;フェノール溶媒;ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、エチル−t−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ポリオ−ルエステル類、ポリビニルエ−テル類等のエーテル溶媒;HFC−23(トリフルオロメタン)、HFC−32(ジフルオロメタン)、HFC−41(フルオロメタン)、HFC−123(2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン)、HFC−125(1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン)、HFC−134(1,1,2,2−テトラフルオロエタン)、HFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、HFC−143(1,1,2−トリフルオロエタン)、HFC−143a(1,1,1−トリフルオロエタン)、HFC−152(1,2−ジフルオロエタン)、HFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)、HFC−161(フルオロエタン)、HFC−227ea(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)、HFC−227ca(1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)、HFC−236fa(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)、HFC−236ea(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン)、HFC−236cb(1,1,1,2,2,3−ヘキサフルオロプロパン)、HFC−236ca(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン)、HFC−245ca(1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン)、HFC−245ea(1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン)、HFC−245eb(1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン)、HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン)、HFC−245cb(1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン)、HFC−254eb(1,1,1,2−テトラフルオロプロパン)、HFC−254cb(1,1,2,2−テトラフルオロプロパン)、HFC−254ca(1,2,2,3−テトラフルオロプロパン)、HFC−263fb(1,1,1−トリフルオロプロパン)、HFC−263ca(1,2,2−トリフルオロプロパン)、HFC−272fb(1,1−ジフルオロプロパン)、HFC−272ea(1,2−ジフルオロプロパン)、HFC−272fa(1,3−ジフルオロプロパン)、HFC−272ca(2,2−ジフルオロプロパン)、HFC−281fa(1−フルオロプロパン)、HFC−281ea(2−フルオロプロパン)、HFC−329p(1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロブタン)、HFC−329mmz(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(トリフルオロ)プロパン)、HFC−338mf(1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロブタン)、HFC−338mcc(1,1,1,2,2,3,4,4−オクタフルオロブタン)、HFC−338pcc(1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン)、HFC−347s(1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブタン)、HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)、HFC−4310mee(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン)、HFC−1123(トリフルオロエチレン)、HFC−1132a(1,2−ジフルオロエチレン)、FC−1216(ヘキサフルオロ−1−プロペン)、HFC−1223(3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン)、HFC−1225zc(1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロペン)、HFC−1225ye(1,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロペン)、HFC−1225yc(1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−1−プロペン)、HFC−1232xf(3,3−ジフルオロ−1−プロペン)、HFC−1234ye(1,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン)、HFC−1234ze(1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン)、HFC−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン)、HFC−1234yc(1,1,2,3−テトラフルオロ−1−プロペン)、HFC−1234zc(1,1,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン)、HFC−1243yf(2,3,3−トリフルオロ−1−プロペン)、HFC−1243zc(1,1,3−トリフルオロ−1−プロペン)、HFC−1243ye(1,2,3−トリフルオロ−1−プロペン)、HFC−1243ze(1,3,3−トリフルオロ−1−プロペン)、HFC−1243zf(3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン)、HFC−1243yc(1,1,2−トリフルオロ−1−プロペン)、HFC−1261yf(2−フルオロプロペン)、FC−1318my(1,1,1,2,3,4,4,4−オクタフルオロ−2−ブテン)、FC−1318cy(1,1,2,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1327my(1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテン)、HFC−1327ye(1,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1327py(1,1,1,2,3,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテン)、HFC−1327et(1,3,3,3−テトラフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−プロペン)、HFC−1327cz(1,1,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1327cye(1,1,2,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1327cyc(1,1,2,3,3,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1336yf(2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン)、HFC−1336ze(1,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン)、HFC−1336eye(1,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン)、HFC−1336eyc(1,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン)、HFC−1336pyy(1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン)、HFC−1336pz(1,1,1,2,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン)、HFC−1336mzy(1,1,1,3,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン)、HFC−1336mzz(1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン)、HFC−1336qc(1,1,2,3,3,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン)、HFC−1336pe(1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン)、HFC−1336ft(3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−プロペン)、HFC−1345qz(1,1,1,2,4−ペンタフルオロ−2−ブテン)、HFC−1345mzy(1,1,1,3,4−ペンタフルオロ−2−ブテン)、HFC−1345fz(3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1345mzz(1,1,1,4,4−ペンタフルオロ−2−ブテン)、HFC−1345sy(1,1,1,2,3−ペンタフルオロ−2−ブテン)、HFC−1345fyc(2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1345pyz(1,1,2,4,4−ペンタフルオロ−2−ブテン)、HFC−1345cyc(1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1345pyy(1,1,2,3,4−ペンタフルオロ−2−ブテン)、HFC−1345eyc(1,2,3,3,4−ペンタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1345ctm(1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−メチル−1−プロペン)、HFC−1345ftp(2−(ジフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン)、HFC1345fye(2,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1345eyf(1,2,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1345eze(1,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1345ezc(1,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1345eye(1,2,3,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン)、HFC−1354fzc(3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン)、HFC−1354ctp(1,1,3,3−テトラフルオロ−2−メチル−1−プロペン)、HFC−1354etm(1,3,3,3−テトラフルオロ−2−メチル−1−プロペン)、HFC−1354tfp(2−(ジフルオロメチル)−3,3−ジフルオロ−1−プロペン)、HFC−1354my(1,1,1,2−テトラフルオロ−2−ブテン)、HFC−1354mzy(1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン)、FC−141−10myy(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−2−ペンテン)、FC−141−10cy(1,1,2,3,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−1−ペンテン)HFC−1429mzt(1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ブテン)、HFC−1429myz(1,1,1,2,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン)、HFC−1429mzy(1,1,1,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン)、HFC−1429eyc(1,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−1−ペンテン)、HFC−1429czc(1,1,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−1−ペンテン)、HFC−1429cycc(1,1,2,3,3,4,4,5,5−ノナフルオロ−1−ペンテン)、HFC−1429pyy(1,1,2,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン)、HFC−1429myyc(1,1,1,2,3,4,4,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン)、HFC−1429myye(1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン)、HFC−1429eyym(1,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン)、HFC−1429cyzm(1,1,2,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン)、HFC−1429mzt(1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ブテン)、HFC−1429czym(1,1,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン)、HFC−1438fy(2,3,3,4,4,5,5,5−オクタフルオロ−1−ペンテン)、HFC−1438eycc(1,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンテン)、HFC−1438ftmc(3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−ブテン)、HFC−1438czzm(1,1,4,4,4−ペンタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン)、HFC−1438ezym(1,3,4,4,4−ペンタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン)、HFC−1438ctmf(1,1,4,4,4−ペンタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−ブテン)、HFC−1447fzy(3,4,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン)、HFC−1447fz(3,3,4,4,5,5,5−プタフルオロ−1−ペンテン)、HFC−1447fycc(2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン)、HFC−1447cz(1,1,3,3,5,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン)、HFC−1447mytm(1,1,1,2,4,4,4ヘプタフルオロ−3−メチル−
2−ブテン)、HFC−1447fyz(2,4,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン)、HFC−1447ezz(1,4,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン)、HFC−1447qzt(1,4,4,4−テトラフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ブテン)、HFC−1447syt(2,4,4,4−テトラフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ブテン)、HFC−1456szt(3−(トリフルオロメチル)−4,4,4−トリフルオロ−2−ブテン)、HFC−1456szy(3,4,4,5,5,5ヘキサフルオロ−2−ペンテン)、HFC−1456mstz(1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−ブテン)、HFC−1456fzce(3,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−1−ペンテン)、HFC−1456ftmf(4,4,4−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−ブテン)、FC−151−12c(1,1,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ドデカ−1−ヘキセン、ペルフルオロ−1−ヘキセン)、FC−151−12mcy(1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,6−ドデカ−3−ヘキセン、ペルフルオロ−3−ヘキセン)、FC−151−12mmtt(1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)−2−ブテン)、FC−151−12mmzz(1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン)、HFC−152−11mmtz(1,1,1,4,4,5,5,5−オクタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン)、HFC−152−11mmyyz(1,1,1,3,4,5,5,5−オクタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン)、HFC−152−11mmyyz(1,1,1,3,4,5,5,5−オクタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン)、HFC−1549fz(PFBE)(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセン、パ−フルオロブチル)、HFC−1549fztmm(4,4,4−トリフルオロ−3,3−ビス(トリフルオロメチル)−1−ブテン)、HFC−1549mmtts(1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−メチル−2−(トリフルオロメチル)−2−ブテン)、HFC−1549fycz(2,3,3,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−1−ペンテン)、HFC−1549myts(1,1,1,2,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−3−メチル−2−ペンテン)、HFC−1549mzzz(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン)、HFC−1558szy(3,4,4,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2−ヘキセン)、HFC−1558fzccc(3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロ−2−ヘキセン)、HFC−1558mmtzc(1,1,1,4,4−ペンタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン)、HFC−1558ftmf(4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−ペンテン)、HFC−1567fts(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−メチル−1−ペンテン)、HFC−1567szz(4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−ヘキセン)、HFC−1567fzfc(4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−1−ヘキセン)、HFC−1567sfyy(1,1,1,2,2,3,4−ヘプタフルオロ−3−ヘキセン)、HFC−1567fzfy(4,5,5,5−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−1−ペンテン)、HFC−1567myzzm(1,1,1,2,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−メチル−2−ペンテン)、HFC−1567mmtyf(1,1,1,3−テトラフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン)、FC−161−14myy(1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−テトラデカフルオロ−2−ヘプテン)、FC−161−14mcyy(1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7−テトラデカフルオロ−2−ヘプテン)、HFC−162−13mzy(1,1,1,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロ−2−ヘプテン)、HFC162−13myz(1,1,1,2,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロ−2−ヘプテン)、HFC−162−13mczy(1,1,1,2,2,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロ−3−ヘプテン)、HFC−162−13mcyz(1,1,1,2,2,3,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロ−3−ヘプテン)、CFC−11(フルオロトリクロロメタン)、CFC−12(ジクロロジフルオロメタン)、CFC−114(1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−ジクロロエタン)、CFC−114a(1,1,1,2−テトラフルオロ−2,2−ジクロロエタン)、CFC−115(1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−2−ジクロロエタン)、HCFC−21(ジクロロフルオロメタン)、HCFC−22(クロロジフルオロメタン)、HCFC−122(1,1,2−トリクロロ−2,2−ジフルオロエタン)、HCFC−123(1,1,1−トリフルオロ−2,2−ジクロロエタン)、HCFC−124(1,1,1,2−テトラフルオロ−2−クロロエタン)、HCFC−124a(1,1,2,2−テトラフルオロ−2−クロロエタン)、HCFC−132(ジクロロジフルオロエタン)、HCFC−133a(1,1,1−トリフルオロ−2−クロロエタン)、HCFC−141b(1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン)、HCFC−142(1,1−ジフルオロ−2−クロロエタン)、HCFC−142b(1,1−ジフルオロ−1−クロロエタン)、HCFC−225ca(3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン)、HCFC−225cb(1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン)、HCFC−240db(1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン)、HCFC−243db(1,1,1−トリフルオロ−2,3−ジクロロプロパン)、HCFC−243ab(1,1,1−トリフルオロ−2,2−ジクロロプロパン)、HCFC−244eb(1,1,1,2−テトラフルオロ−3−クロロプロパン)、HCFC−244bb(1,1,1,2−テトラフルオロ−2−クロロプロパン)、HCFC−244db(1,1,1,3−テトラフルオロ−2−クロロプロパン)、HCFC−1111(1,1,2−トリクロロ−2−フルオロエチレン)、HCFC−1113(1,1,2−トリフルオロ−2−クロロエチレン)、HCFC−1223xd(3,3,3−トリフルオロ−1,2−ジクロロプロペン)、HCFC−1224xe(1,3,3,3−テトラフルオロ−2−クロロプロペン)、HCFC−1232xf(3,3−ジフルオロ−1,3−ジクロロプロペン)、HCFC−1233xf(3,3,3−トリフルオロ−2−クロロプロペン)、HCFC−1233zd(3,3,3−トリフルオロ−1−クロロプロペン)、及びこれらの混合物等のハロオレフィン類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン等のケトン溶媒;鉱油類、シリコ−ン油類、天然パラフィン類、ナフテン類、合成パラフィン類、ポリアルファオレフィン類等、ガソリン、灯油、ディーゼルガソリン、菜種油メチルエステル、大豆油メチルエステル、パ−ム油メチルエステル、ココナツ油メチルエステル、ガス液化油(Gas To Liquid:GTL)、石炭液化油(Coal To Liquid:CTL)、バイオマス液化油(Biomass To Liquid: BTL)、含アルコールガソリン、エチル−t−ブチルエーテルブレンド含酸素ガソリン、含アミンガソリン、サワーガソリン、圧縮天然ガス(CNG)、液化石油ガス(LPG)、液化炭化水素ガス(LHG)、液化天然ガス(LNG)、燃料用ジメチルエーテル(DME)、ひまし油ベースブレーキ液、グリコールエーテル系ブレーキ液、ホウ酸エステル系ブレーキ液、極寒地用ブレーキ液、シリコーン油系ブレーキ液、鉱油系ブレーキ液、パワーステアリングオイル、含硫化水素オイル、ウインドウオッシャー液、エンジン冷却液、尿素溶液、医薬剤、インク、塗料等が挙げられる。積層チューブは、前記薬液を搬送するチューブとして好適であり、具体的には、フィードチューブ、リターンチューブ、エバポチューブ、フューエルフィラーチューブ、ORVRチューブ、リザーブチューブ、ベントチューブ等の燃料チューブ、燃料電池用水素搬送チュ−ブ、オイルチューブ、石油掘削チューブ、空圧、油圧チューブ、クラッチチューブ、ブレーキチューブ、ブレーキ負圧チューブ、サスペンションチューブ、エアーチューブ、ターボエアーチューブ、エアーダクトチューブ、ブローバイチューブ、EGRバルブコントロールチューブ、ウインドウオッシャー液用チューブ、エンジン冷却液(LLC)チューブ、リザーバータンクチューブ、尿素溶液搬送チューブ、冷却水、冷媒等用クーラーチューブ、エアコン冷媒用チューブ、ヒーターチューブ、ラジエータチューブ、ロードヒーティングチューブ、床暖房チューブ、インフラ供給用チューブ、消火器及び消火設備用チューブ、医療用冷却機材用チューブ、インク、塗料散布チューブ、その他薬液チューブが挙げられる。特に、燃料チューブとして好適である。即ち、本発明は、前記積層チューブの燃料チューブとしての使用を包含する。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。尚、実施例及び比較例における分析及び物性の測定方法、及び実施例及び比較例に用いた材料を示す。
ビニルアルコール系重合体の特性は、以下の方法で測定した。
[エチレン含有量及びケン化度]
内部標準物質としてテトラメチルシランを含む重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、H−NMR(核磁気共鳴)測定(ブルカー・バイオスピン社製 AVANCE500)により得られたスペクトルから算出した。
[側鎖1,2−ジオール単位の含有量]
側鎖1,2−ジオール単位含有ビニルアルコール系重合体を使用して、テトラメチルシランを内部標準物質、重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とし、H−NMR(核磁気共鳴)測定(ブルカー・バイオスピン社製 AVANCE500)により得られたスペクトルから1,2−ジオール単位の含有量を算出した。
[エラストマー重合体(A2)のカルボキシル基及び酸無水物基の合計濃度]
三つ口ナシ型フラスコに所定量のエラストマー重合体試料を入れ、トルエン170mLに溶解し、更に、エタノールを30mL加えて調製した試料溶液を用いて、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定を行い、カルボキシル基及び酸無水物基の合計濃度を求めた。
また、含フッ素系重合体の特性は、以下の方法で測定した。
[含フッ素系重合体の各構成単位含有量]
溶融NMR(核磁気共鳴)分析、フッ素含有量分析により、各構成単位の割合(モル%)を求めた。
[無水イタコン酸(IAH)に基づく構成単位の含有量]
含フッ素系重合体をプレス成形して、200μmのフィルムを得た。赤外吸収スペクトルにおいて、含フッ素系重合体中のIAHに基づく構成単位に由来する吸収ピークは1870cm−1に現れる。該吸収ピークの吸光度を測定し、モデル化合物から求めたIAHのモル吸光係数237L/(mol・cm)を用いて、IAHに基づく構成単位の割合(モル%)を求めた。
[エポキシ基含有単位の含有量]
溶融下、300MHzの19F−NMRを用い、得られたチャートよりエチレンと含フッ素単量体の組成比率を算出した。一方、含フッ素系重合体オイルを溶媒として用いて高温下、十分に膨潤させた状態で300MHzのH−NMRを用いて測定し、得られたチャートより、エチレンとエポキシ基含有単位の組成比率を算出した。両結果から、エポキシ基含有単位の組成(モル%)を求めた。
[カルボジイミド基含有量]
カルボジイミド基含有化合物の仕込み量から算出した。
[反応率]
接着用含フッ素系重合体組成物(B)及びカルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)に対して、赤外吸収スペクトル分析にて測定した無水イタコン酸(IAH)に基づく構成単位の含有量(接着用含フッ素系重合体組成物(B)中の無水イタコン酸(IAH)基に由来する吸光度と、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)中の無水イタコン酸(IAH)基に由来する吸光度)を用いて、前記式(α1)により算出した。
接着用含フッ素系重合体組成物(B)及びカルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)に対して、溶融19F−NMR及びH−NMRにて測定したエポキシ基含有単位の含有量(接着用含フッ素系重合体組成物(B)中のエポキシ基含有単位の含有量と、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)中のエポキシ基含有単位の含有量)を用いて、前記式(α1)により算出した。
ポリアミドの特性は、以下の方法で測定した。
[相対粘度]
JIS K−6920に準じて、96%の硫酸中、ポリアミド濃度1%、温度25℃の条件下で測定した。
[ポリアミド(C1)、ポリアミド(C2)の末端アミノ基濃度]
活栓付三角フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、あらかじめ調整しておいた溶媒フェノール/メタノール(体積比9/1)の40mLを加えた後、マグネットスターラで攪拌溶解し、指示薬にチモールブルーを用いて0.05Nの塩酸で滴定を行い、末端アミノ基濃度を求めた。
[ポリアミド(C1)、ポリアミド(C2)の末端カルボキシル基濃度]
三つ口ナシ型フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、ベンジルアルコール40mLを加えた後、窒素気流下、180℃に設定したオイルバスに浸漬する。上部に取り付けた攪拌モータにより攪拌溶解し、指示薬にフェノールフタレインを用いて0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定を行い、末端カルボキシル基濃度を求めた。
また、ポリアミド及び含フッ素系重合体の融点は、以下の方法で測定した。
[融点]
示差走査熱量測定装置を用いて、試料を予想される融点以上の温度に加熱し、次に、この試料を1分間あたり10℃の速度で降温し、30℃まで冷却、そのまま約1分間放置したのち、1分間あたり10℃の速度で昇温することにより測定される融解曲線のピーク値の温度を融点とした。
積層チューブの各物性は、以下の方法で測定した。
[環境応力負荷後の低温衝撃性]
500mmにカットしたチューブをR50の状態に曲げ加工し、をヒートショック試験機(エスペック(株)製、型式:TSA−203EL)を使用して、−40℃で8時間放置した後、100℃ まで昇温して16時間放置した後、−40℃まで降温するというサイクルを20サイクル繰り返した後、同処理チューブを使用し、SAE J−2260 7.5に記載の方法で、−40℃にて衝撃試験を実施した。
[層間接着性(初期剥離強度)]
200mmにカットしたチューブを更に、縦方向に半分にカットし、テストピースを作成した。万能材料試験機(オリエンテック社製、テンシロンUTM III−200)を用い、50mm/minの引張速度にて180°剥離試験を実施した。S−Sカーブの極大点から剥離強度を読み取り、層間接着性を評価した。
[層間接着性の耐久性(熱処理後剥離強度)]
200mmにカットしたチューブを160℃のオーブンに入れ、12分処理した。取り出したチューブの層間接着性を前記の方法に従い評価した。熱処理後の剥離強度が2.0N/mm以上の場合、層間接着性の耐久性に優れていると判断した。
[実施例及び比較例で用いた材料]
ビニルアルコール系重合体(A1)
未変性EVOH系重合体(A11−1)の製造
冷却コイルを備えた重合缶に酢酸ビニル330.0kg、メタノール60.0kg、アセチルパーオキシド500ppm(対酢酸ビニル)を仕込み、系を窒素ガスで一旦置換した後、次いでエチレンで置換して、エチレン圧が3.6MPaとなるまでエチレンを圧入した。その後、攪拌しながら、68℃まで昇温し、酢酸ビニルの重合率が50質量%になるまで6時間重合した。その後、重合反応を停止して、エチレン含有量29.0モル%のエチレン/酢酸ビニル共重合体を得た。次いで、エチレン/酢酸ビニル/ジアセトキシブテン共重合体を含有する反応液を蒸留塔に供給し、塔下部からメタノール蒸気を導入することで未反応酢酸ビニルを除去し、エチレン/酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を得た。
該エチレン/酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を棚段塔(ケン化塔)の塔上部より供給し、同時に該共重合体中の残存酢酸基に対して、6.0mmol当量の水酸化ナトリウムを含むメタノール溶液を塔上部より供給することによりケン化を行い、未変性EVOH系重合体のメタノール溶液(未変性EVOH系重合体30.0%、メタノール70.0%)を得た。かかる未変性EVOH系重合体の酢酸ビニル成分のケン化度は、99.7モル%であった。
次いで、得られた未変性EVOH系重合体のメタノール溶液をメタノール/水溶液調整塔の塔上部から供給し、120℃のメタノール蒸気を塔下部から仕込み、塔頂部よりメタノールを留出させると同時に、ケン化で用いた水酸化ナトリウム量に対して、6当量の酢酸メチルを塔内温95℃から110℃の塔中部から仕込んで塔底部から未変性EVOH系重合体の水/アルコール溶液(樹脂濃度35%)を得た。
得られた未変性EVOH系重合体の水/アルコール溶液を、孔径4mmのノズルより、冷水槽にストランド状に押し出して、凝固終了後、ストランド状物をカッターで切断し、直径3.8mm、長さ4mmの樹脂分35%の未変性EVOH系重合体の多孔性ペレットを得た。
該多孔性ペレット100部に対して、ナトリウム分0.08部となるまで水洗した後、未変性EVOH系重合体100質量部に対して、酢酸0.5部、リン酸カルシウム0.004部(リン換算)、ホウ酸0.025部(ホウ素換算)を含有する水500部に4時間浸漬させた。更に、かかる多孔性ペレットを回分式通気箱型乾燥器にて、温度110℃、水分含有率0.6%の窒素気流下で乾燥を行って目的とする未変性EVOH系重合体のペレットを得た(以下、この未変性EVOH系重合体を(A11−1)という。)。かかるペレットは、未変性EVOH系重合体100質量部に対して、ナトリウム分0.03部、リン酸根0.0005部(リン換算)、ホウ酸0.02部(ホウ素換算)を含有していた。得られた未変性EVOH系重合体(A11−1)のMFRは、3.2g/10分(210℃、2160g荷重下)であり、側鎖1,2−ジオール単位の含有量は、0モル%であった。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−2)の製造
還流冷却器、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル68.0kg、メタノール23.38kg、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン8.2kgを仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.3モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が90%となった時点で、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン10ppm(対仕込み酢酸ビニル)を加え、重合を終了した。続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該メタノール溶液を更に、メタノールで希釈し、濃度45%に調整して、ニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの合計量1.0モルに対して、11.5ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別し、メタノールで十分い洗浄して、熱風乾燥機中で乾燥し、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体を得た。
この造粒物を、二軸溶融混練機を用いて、200℃、滞留時間2分で溶融し、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体のペレットを得た(以下、この側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体を(A12−2)という。)。得られた側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−2)のMFRは、3.5g/10分(210℃、2160g荷重下)であり、側鎖1,2−ジオール単位の含有量は、6.0モル%、ケン化度は、98.9モル%であった。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−3)の製造
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−2)の製造において、酢酸ビニル68.0kg、メタノール23.4kg、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン8.2kgを酢酸ビニル68.5k、メタノール20.5kg、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン11.0kgに変更した以外は、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−2)の製造と同様の方法にて、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体のペレットを得た(以下、この側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体を(A12−3)という。)。得られた側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−3)のMFRは、4.0g/10分(210℃、2160g荷重下)であり、側鎖1,2−ジオール単位の含有量は、8.0モル%、ケン化度は、98.5モル%であった。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−4)の製造
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−2)の製造において、酢酸ビニル68.0kg、メタノール23.4kg、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン8.2kgを酢酸ビニル68.6k、メタノール13.7kg、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン4.0kgに変更した以外は、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−2)の製造と同様の方法にて、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体のペレットを得た(以下、この側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体を(A12−4)という。)。得られた側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−4)のMFRは、3.8g/10分(210℃、2160g荷重下)であり、側鎖1,2−ジオール単位の含有量は、4.0モル%、ケン化度は、98.7モル%であった。
側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13−5)の製造
未変性EVOH系重合体(A11−1)の製造において、酢酸ビニル330.0kg、メタノール60.0kg、アセチルパーオキシド500ppm(対酢酸ビニル)を酢酸ビニル500.0kg、メタノール135.0kg、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン45.0kg、t−ブチルパーオキシネオデカネート344ppm(対酢酸ビニル)に変え、エチレン圧が2.0MPaとなるまで圧入した以外は、未変性EVOH系重合体(A11−1)と同様の方法にて、エチレン含有量16.7モル%の側鎖1,2−ジオール単位含有EVOHのペレットを得た(以下、この側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体を(A13−5)という。)。かかるペレットは、側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体100質量部に対して、ナトリウム分0.03部、リン酸根0.0005部(リン換算)、ホウ酸0.02部(ホウ素換算)を含有していた。得られた側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13−5)のMFRは、4.0g/10分(210℃、2160g荷重下)、側鎖1,2−ジオール単位の含有量は、3.7モル%、ケン化度は、99.7モル%であった。
であった。
カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体(A2)
無水マレイン酸変性水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体(A2−1)(旭化成(株)製、タフマーMH1911、酸無水物基濃度:30μeq/g)
無水マレイン酸変性水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体(A2−2)(旭化成(株)製、タフマーMH1913、酸無水物基濃度:200μeq/g)
無水マレイン酸変性エチレン/1−ブテン共重合体(A2−3)(三井化学(株)製、タフマーMH5010、酸無水物基濃度:50μeq/g)
無水マレイン酸変性エチレン/1−ブテン共重合体(A2−4)(三井化学(株)製、タフマーMH5020、酸無水物基濃度:100μeq/g)
エラストマー重合体(A3)
水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体(A3−1)(旭化成(株)製、タフテックH1041)
水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体(A3−2)(旭化成(株)製、タフテックH1141)
ビニルアルコール系重合体組成物(A)
未変性EVOH系重合体組成物(A−1)の製造
未変性EVOH系重合体(A11−1)に、衝撃改良材として無水マレイン酸変性水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体(A2−1)、水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体(A3−1)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度200℃から220℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、未変性EVOH系重合体(A11−1)/エラストマー重合体(A2−1)/エラストマー重合体(A3−1)=85.0/7.5/7.5(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体組成物のペレットを得た(以下、この未変性EVOH系重合体組成物を(A−1)という。)。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体組成物(A−2)の製造
未変性EVOH系重合体組成物(A−1)の製造において、未変性EVOH系重合体(A11−1)を側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−2)、無水マレイン酸変性水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体(A2−1)を(A2−2)、水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体(A3−1)を(A3−2)に変え、その添加量を変更した以外は、未変性EVOH系重合体組成物(A−1)の製造と同様の方法にて、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−2)/エラストマー重合体(A2−2)/エラストマー重合体(A3−2)=80.0/10.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体組成物のペレットを得た(以下、この側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体組成物を(A−2)という。)。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体組成物(A−3)の製造
未変性EVOH系重合体組成物(A−1)の製造において、未変性EVOH系重合体(A11−1)を側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−3)、無水マレイン酸変性水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体(A2−1)を(A2−2)、水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体(A3−1)を(A3−2)に変え、その添加量を変更した以外は、未変性EVOH系重合体組成物(A−1)の製造と同様の方法にて、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−3)/エラストマー重合体(A2−2)/エラストマー重合体(A3−2)=80.0/10.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体組成物のペレットを得た(以下、この側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体組成物を(A−3)という。)。
側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体組成物(A−4)の製造
未変性EVOH系重合体組成物(A−1)の製造において、未変性EVOH系重合体(A11−1)を側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−4)、無水マレイン酸変性水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体(A2−1)を(A2−2)、水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体(A3−1)を(A3−2)に変え、その添加量を変更した以外は、未変性EVOH系重合体組成物(A−1)の製造と同様の方法にて、側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A12−4)/エラストマー重合体(A2−2)/エラストマー重合体(A3−2)=70.0/15.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体組成物のペレットを得た(以下、この側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体組成物を(A−4)という。)。
側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体組成物(A−5)の製造
未変性EVOH系重合体組成物(A−1)の製造において、未変性EVOH系重合体(A11−1)を側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13−5)に変更した以外は、未変性EVOH系重合体組成物(A−1)の製造と同様の方法にて、側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A13−5)/エラストマー重合体(A2−1)/エラストマー重合体(A3−1)=80.0/7.5/7.5(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体組成物のペレットを得た(以下、この側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体組成物を(A−5)という。)。
接着用含フッ素系重合体組成物(B)
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1−1)の製造
内容積が94リットルの攪拌機付き重合槽を脱気し、1−ヒドロトリデカフルオロヘキサン48.5kg、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン12.1kg、CH=CH(CFFの0.24kgを仕込み、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)25.4kg、テトラフルオロエチレン(TFE)8.0kg、エチレン(E)0.25kgを圧入し、重合槽内を66℃に昇温し、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレートの5質量%1−ヒドロトリデカフルオロヘキサン溶液の484mLを仕込み、重合を開始させた。重合中圧力が一定になるように組成TFE/E=54/46(モル比)のモノマー混合ガスを連続的に仕込み、TFE/Eのモノマー混合ガスに対して、1.0モル%となるようにCH=CH(CFFを、0.25モル%となるように無水イタコン酸をそれぞれ連続的に仕込んだ。重合開始3.6時間後、モノマー混合ガス5.06kgを仕込んだ時点で、重合槽内温を室温まで降温するとともに常圧までパージした。得られたスラリ状の含フッ素系重合体をガラスフィルターで吸引ろ過し、分離した当該含フッ素系重合体を120℃で15時間乾燥することにより、含フッ素系重合体の造粒物5.6kgが得られた。
当該含フッ素系重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/HFPに基づく重合単位/CH=CH(CFFに基づく重合単位/無水イタコン酸に基づく重合単位のモル比で48.1/42.7/8.2/0.8/0.2であった。また、融点は175℃であった。
この造粒物を、押出機を用いて、230℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この無水イタコン酸基含有含フッ素系重合体を(B1−1)という。)。
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1−2)の製造
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1−1)の製造において、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)25.4kgを20.5kg、モノマー混合ガスTFE/E=54/46(モル比)を57/43(モル比)、0.25モル%に相当する量の無水イタコン酸を1.4(モル%)に相当する量のアリルグリシジルエーテルに変更した以外は、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1−1)の製造と同様の方法にて、5.7kgの含フッ素系重合体の造粒物を得た。
当該含フッ素系重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/HFPに基づく重合単位/CH=CH(CFFに基づく重合単位/アリルグリシジルエーテルに基づく重合単位のモル比で49.4/40.6/7.6/1.0/1.4であった。また、融点は188℃であった。
この造粒物を、押出機を用いて、230℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、このエポキシ基含有含フッ素系重合体を(B1−2)という。)。
未変性含フッ素系重合体(B1−3)の製造
カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1−1)の製造において、無水イタコン酸(IAH)を仕込まない以外は、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1−1)の製造と同様の方法にて、5.7kgの含フッ素系重合体の造粒物を得た。
当該含フッ素系重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/HFPに基づく重合単位/CH=CH(CFFに基づく重合単位に基づく重合単位のモル比で48.2/42.8/8.2/0.8であった。また、融点は176℃であった。
この造粒物を、押出機を用いて、230℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この未変性含フッ素系重合体を(B1−3)という。)。
未変性含フッ素系重合体(B1−4)の製造
内容積が100Lの撹拌機付き重合槽を脱気し、1−ヒドロトリデカフルオロヘキサンの92.1kg、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン16.3kg、(パーフルオロエチル)エチレンCH=CH(CFF73gを仕込み、テトラフルオロエチレン(TFE)9.6kg、エチレン(E)0.7kgを圧入し、重合槽内を66℃に昇温し、重合開始剤としてt−ブチルペルオキシピバレート1質量%1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン溶液の433cmを仕込み、重合を開始させた。重合中圧力が一定になるようにTFE/E:60/40(モル比)のモノマー混合ガスを連続的に仕込んだ。また、重合中に仕込むTFEとEの合計モル数に対して、2.0モル%に相当する量の(パーフルオロエチル)エチレンを連続的に仕込んだ。重合開始5.5時間後、モノマー混合ガス8.0kgを仕込んだ時点で、重合槽内温を室温まで降温し、パージして圧力を常圧とした。得られたスラリ状の含フッ素系重合体を、水75.0kgを仕込んだ200Lの造粒槽に投入し、次いで撹拌しながら105℃まで昇温し溶媒を留出除去しながら造粒した。得られた造粒物を150℃で5時間乾燥することにより、8.3kgの含フッ素系重合体が得られた。
当該含フッ素系重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/CH=CH(CFFに基づく重合単位=58.8/39.2/2.0(モル%)であり、融点は242℃であった。
この造粒物を、押出機を用いて、280℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この未変性含フッ素系重合体を(B1−4)という。)。
接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)の製造
前記で製造した無水イタコン酸基含有含フッ素系重合体(B1−1)を100部と、カルボジイミド基含有化合物(B2−1)(日清紡ケミカル(株)社製、カルボジライトHMV−8CA、カルボジイミド基当量278、数平均分子量2,100、1分子中のカルボジイミド基数が9個)を1.7部とをそれぞれ混合し、二軸混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度220から250℃で溶融混練し、接着用含フッ素系重合体組成物のペレットを得た(以下、この接着用含フッ素系重合体組成物を(B−1)という。)。該接着用含フッ素系重合体組成物のカルボジイミド基含有化合物の仕込み量から算出したカルボジイミド基含有量は、6.0mmol/100gであった。尚、FT−IR分析によれば、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)からは無水イタコン酸のピーク(1870cm−1)が消失していたことから、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1−1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度及び接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度の差(X)と、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1−1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度(Y)との比が1であるため、反応率は100.0%であった。
接着用含フッ素系重合体組成物(B−2)の製造
接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)の製造において、無水イタコン酸基含有含フッ素系重合体(B1−1)をエポキシ基含有含フッ素系重合体(B1−2)、カルボジイミド基含有化合物(B2−1)を(B2−2)(日清紡ケミカル(株)社製、カルボジライトHMV−15CA、カルボジイミド基当量262、数平均分子量3050、1分子中のカルボジイミド基数が12個)に変更した以外は、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)の製造と同様の方法にて、接着用含フッ素系重合体組成物のペレットを得た(以下、この接着用含フッ素系重合体組成物を(B−2)という。)。該接着用含フッ素系重合体組成物のカルボジイミド基含有化合物の仕込み量から算出したカルボジイミド基含有量は、6.4mmol/100gであった。尚、H−NMR分析によれば、接着用含フッ素系重合体組成物(B−2)のアリルグリシジルエーテルに基づく重合単位が0モル%であったことから、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1−1)中のエポキシ基含有単位の含有量及び接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)中のエポキシ基含有単位の含有量の差(X)と、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1−1)中のエポキシ基含有単位の含有量(Y)との比が1であるため、反応率は100.0%であった。
導電性接着用含フッ素系重合体組成物(B−3)の製造
接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)100質量部及びカーボンブラック(電気化学(株)製)13質量部をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機(東芝機械(株)製、型式:TEM−48S)に供給し、シリンダ温度220℃から260℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、吐出したストランドを水冷し、ペレタイザーでストランドを切断し、水分除去のために120℃の乾燥機で10時間乾燥し、導電性含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この導電性接着用含フッ素系重合体を(B−3)という。)。
導電性含フッ素系重合体組成物(B−4)の製造
導電性接着用含フッ素系重合体組成物(B−3)の製造において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を未変性含フッ素系重合体(B1−3)に変更した以外は、導電性接着用含フッ素系重合体組成物(B−3)の製造と同様の方法にて、導電性含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この導電性含フッ素系重合体を(B−4)という。)。
導電性含フッ素系重合体組成物(B−5)の製造
導電性接着用含フッ素系重合体組成物(B−3)の製造において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を未変性含フッ素系重合体(B1−4)に変え、シリンダ温度260℃から300℃に変更した以外は、導電性接着用含フッ素系重合体組成物(B−3)の製造と同様の方法にて、導電性含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この導電性含フッ素系重合体を(B−5)という。)。
ポリアミド(C1)
ポリアミド12(C1−1)の製造
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に、ドデカンラクタム19.73kg(100.0モル)、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン45.0g(0.264モル)、及び蒸留水0.5Lを仕込み、重合槽内を窒素置換した後、180℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで重合槽内温度を270℃まで昇温させ、槽内圧力を3.5MPaに調圧しながら、2時間攪拌下に重合した。その後、約2時間かけて常圧に放圧し、次いで、53kPaまで減圧し、減圧下において5時間重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを減圧乾燥し、相対粘度2.10、末端アミノ基濃度48μeq/g、末端カルボキシル基濃度24μeq/gのポリアミド12を得た(以下、このポリアミド12を(C1−1)という。)。また、ポリアミド12(C1−1)の末端アミノ基濃度[A1](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B1](μeq/g)は、[A1]>[B1]+5を満たす。ポリアミド12(C1−1)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は11.0であり、8.0以上を満たす。ポリアミド12(C1−1)の溶解性パラメーターSP値は22.5(MPa)1/2である。
ポリアミド1010(C1−2)の製造
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に、1,10−デカンジアミンとセバシン酸の等モル塩17.82kg(50.0モル)、1,10−デカンジアミン29.3g(0.17モル)、及び蒸留水5.0Lを仕込み、重合槽内を窒素置換した後、220℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで、重合槽内温度を270℃まで昇温させ、槽内圧力を1.7MPaに調圧しながら、2時間攪拌下に重合した。その後、約2時間かけて常圧に放圧し、次いで、53kPaまで減圧し、減圧下において4時間重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを減圧乾燥し、相対粘度2.22、末端アミノ基濃度45μeq/g、末端カルボキシル基濃度28μeq/gのポリアミド1010を得た(以下、このポリアミド1010を(C1−2)という。)。ポリアミド1010(C1−2)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は9.0であり、8.0以上を満たす。ポリアミド1010(C1−2)の溶解性パラメーターSP値は23.5(MPa)1/2である。また、ポリアミド1010(C1−2)の末端アミノ基濃度[A1](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B1](μeq/g)は、[A1]>[B1]+5を満たす。
ポリアミド612(C1−3)の製造
ポリアミド1010(C1−2)の製造において、1,10−デカンジアミンとセバシン酸の等モル塩17.82kg(50.0モル)を1,6−ヘキサンジアミンとセバシン酸の等モル塩16.42kg(50.0モル)、1,10−デカンジアミン29.3g(0.17モル)を1,6−ヘキサンジアミン16.3g(0.14モル)に変更した以外は、ポリアミド1010(C1−2)の製造と同様の方法にて、に変更した以外は、ポリアミド1010(C1−2)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.48、末端アミノ基濃度50μeq/g、末端カルボキシル基濃度35μeq/gのポリアミド612を得た(以下、このポリアミド612を(C1−3)という。)。ポリアミド612(C1−3)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は8.0であり、8.0以上を満たす。ポリアミド612(C1−3)の溶解性パラメーターSP値は24.1(MPa)1/2である。また、ポリアミド612(C1−3)の末端アミノ基濃度[A1](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B1](μeq/g)は、[A1]>[B1]+5を満たす。
ポリアミド(C2)
ポリアミド6/12(C2−1)の製造
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に、カプロラクタム9.90kg(87.5モル)、12−アミノドデカン酸2.69kg(12.5モル)、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン20.0g(0.12モル)、及び蒸留水2.0Lを入れ、100℃に加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。引き続き、更に、温度を260℃まで昇温させ、2.5MPaの圧力下で1時間攪拌した。その後、放圧して水分を反応容器から揮散させながら、常圧下、260℃で2時間重合反応を行い、更に、260℃、53kPaの減圧下で2時間重合反応させた。反応終了後、反応容器の下部ノズルからストランド状に取り出した反応物を水槽に導入して冷却し、カッティングして、ペレットを得た。このペレットを熱水中に浸漬し、未反応モノマーを抽出して除去した後、減圧乾燥し、相対粘度2.63、末端アミノ基濃度54μeq/g、末端カルボキシル基濃度40μeq/gのポリアミド6/12(カプロアミド単位/ドデカンアミド単位=87.5/12.5モル%)を得た(以下、このポリアミド6/12を(C2−1)という。)。ポリアミド6/12(C2−1)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は5.8であり、8.0未満である。ポリアミド6/12(C2−1)の溶解性パラメーターSP値は26.4(MPa)1/2である。また、ポリアミド6/12(C2−1)の末端アミノ基濃度[A2](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B2](μeq/g)は、[A2]>[B2]+5を満たす。
ポリアミド6(C2−2)の製造
ポリアミド6/12(C2−1)の製造において、カプロラクタム9.90kg(87.5モル)、12−アミノドデカン酸2.69kg(12.5モル)をカプロラクタム11.32kg(100.0モル)に変更し、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン20.0g(0.12モル)を80.0g(0.47モル)に変更した以外は、ポリアミド6/12(C2−1)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.50、末端アミノ基濃度112μeq/g、末端カルボキシル基濃度33μeq/gのポリアミド6を得た(以下、このポリアミド6を(C2−2)という。)。ポリアミド6(C2−2)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は5.0であり、8.0未満である。ポリアミド6(C2−2)の溶解性パラメーターSP値は26.9(MPa)1/2である。また、ポリアミド6(C2−2)の末端アミノ基濃度[A2](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B2](μeq/g)は、[A2]>[B2]+5を満たす。
ポリアミド6(C2−3)の製造
ポリアミド6(C2−2)の製造において、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン80.0g(0.47モル)を使用しない以外は、ポリアミド6(C2−2)の製造と同様の方法にて、相対粘度3.50、末端アミノ基濃度38μeq/g、末端カルボキシル基濃度40μeq/gのポリアミド6を得た(以下、このポリアミド6を(C2−3)という。)。ポリアミド6(C2−3)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は5.0であり、8.0未満である。ポリアミド6(C2−3)の溶解性パラメーターSP値は26.9(MPa)1/2である。また、ポリアミド6(C2−3)の末端アミノ基濃度[A2](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B2](μeq/g)は、[A2]>[B2]+5を満たさない。
ポリアミド610(C2−4)の製造
ポリアミド1010(C1−2)の製造において、1,10−デカンジアミンとセバシン酸の等モル塩17.82kg(50.0モル)を1,6−ヘキサンジアミンとセバシン酸の等モル塩15.02kg(50.0モル)、1,10−デカンジアミン29.3g(0.17モル)を1,6−ヘキサンジアミン15.1g(0.13モル)に変更した以外は、ポリアミド1010(C1−2)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.58、末端アミノ基濃度53μeq/g、末端カルボキシル基濃度33μeq/gのポリアミド610を得た(以下、このポリアミド610を(C2−4)という。)。ポリアミド610(C2−4)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は7.0であり、8.0未満である。ポリアミド610(C2−4)の溶解性パラメーターSP値は24.9(MPa)1/2である。また、ポリアミド610(C2−4)の末端アミノ基濃度[A2](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B2](μeq/g)は、[A2]>[B2]+5を満たす。
ポリアミド6/66/12(C2−5)の製造
ポリアミド6/12(C2−1)の製造において、カプロラクタム9.90kg(87.5モル)、12−アミノドデカン酸2.69kg(12.5モル)をカプロラクタム9.93kg(87.7モル)、1,6−ヘキサンジアミンとアジピン酸の等モル塩1.39kg(5.7モル)、及び12−アミノドデカン酸1.42kg(6.6モル)に変え、後重合時間を2時間から4時間に変更した以外は、ポリアミド6/12(C2−1)の製造と同様の方法にて、相対粘度3.53、末端アミノ基濃度42μeq/g、末端カルボキシル基濃度20μeq/gのポリアミド6/66/12(カプロアミド単位/ヘキサメチレンアジパミド単位/ドデカンアミド単位=87.7/5.7/6.6モル%)を得た(以下、このポリアミド6/66/12を(C2−5)という。)。ポリアミド6/66/12(C2−5)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は5.4であり、8.0未満である。ポリアミド6/66/12(C2−5)の溶解性パラメーターSP値は26.6(MPa)1/2である。また、ポリアミド6/66/12(C2−5)の末端アミノ基濃度[A2](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B2](μeq/g)は、[A2]>[B2]+5を満たす。
脂肪族ポリアミド組成物(C)
ポリアミド12組成物(C−1)の製造
ポリアミド12(C1−1)に、無水マレイン酸変性エチレン/1−ブテン共重合体(A2−3)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度180℃から270℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、ポリアミド12(C1−1)/エラストマー重合体(A2−3)=80.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(C−1)という。)。
ポリアミド12組成物(C−2)の製造
ポリアミド12組成物(C−1)の製造において、無水マレイン酸変性エチレン/1−ブテン共重合体(A2−3)の添加量を変更した以外は、ポリアミド12組成物(C−1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(C1−1)/エラストマー重合体(A2−3)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(C−2)という。)。
ポリアミド1010組成物(C−3)の製造
ポリアミド12組成物(C−1)の製造において、ポリアミド12(C1−1)をポリアミド1010(C1−2)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(C−1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド1010(C1−2)/エラストマー重合体(A2−3)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド1010組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド1010組成物を(C−3)という。)。
ポリアミド612組成物(C−4)の製造
ポリアミド12組成物(C−1)の製造において、ポリアミド12(C1−1)をポリアミド612(C1−3)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(C−1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド612(C1−3)/エラストマー重合体(A2−3)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド612組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド612組成物を(C−4)という。)。
ポリアミド12組成物(C−5)の製造
ポリアミド12組成物(C−1)の製造において、ポリアミド12(C1−1)とポリアミド6/12(C2−1)を併用した以外は、ポリアミド12組成物(C−1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(C1−1)/ポリアミド6/12(C2−1)/エラストマー重合体(A2−3)=55.0/25.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(C−5)という。)。ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値[|(ポリアミド12(C1−1)のSP値)−(ポリアミド6/12(C2−1)のSP値)|]は、|22.5−26.4|=3.9(MPa)1/2であり、1.8以上5.5以下(MPa)1/2を満たす。また、ポリアミド12組成物(C−5)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+10を満たす。
ポリアミド12組成物(C−6)の製造
ポリアミド12組成物(C−5)の製造において、ポリアミド12(C1−1)及びポリアミド6/12(C2−1)の添加量を変更した以外は、ポリアミド12組成物(C−5)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(C1−1)/ポリアミド6/12(C2−1)/エラストマー重合体(A2−3)=65.0/15.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(C−6)という。)。ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値[|(ポリアミド12(C1−1)のSP値)−(ポリアミド6/12(C2−1)のSP値)|]は、|22.5−26.4|=3.9(MPa)1/2であり、1.8以上5.5以下(MPa)1/2を満たす。また、ポリアミド12組成物(C−6)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+10を満たす。
ポリアミド12組成物(C−7)の製造
ポリアミド12組成物(C−5)の製造において、ポリアミド12(C1−1)及びポリアミド6/12(C2−1)の添加量を変更した以外は、ポリアミド12組成物(C−5)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(C1−1)/ポリアミド6/12(C2−1)/エラストマー重合体(A2−3)=60.0/20.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(C−7)という。)。ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値[|(ポリアミド12(C1−1)のSP値)−(ポリアミド6/12(C2−1)のSP値)|]は、|22.5−26.4|=3.9(MPa)1/2であり、1.8以上5.5以下(MPa)1/2を満たす。また、ポリアミド12組成物(C−7)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+10を満たす。
ポリアミド12組成物(C−8)の製造
ポリアミド12組成物(C−5)の製造において、ポリアミド6/12(C2−1)をポリアミド6(C2−2)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(C−5)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(C1−1)/ポリアミド6(C2−2)/エラストマー重合体(A2−3)=55.0/25.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(C−8)という。)。ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値[|(ポリアミド12(C1−1)のSP値)−(ポリアミド6(C2−2)のSP値)|]は、|22.5−26.9|=4.4(MPa)1/2であり、1.8以上5.5以下(MPa)1/2を満たす。また、ポリアミド12組成物(C−8)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+10を満たす。
ポリアミド12組成物(C−9)の製造
ポリアミド12組成物(C−5)の製造において、ポリアミド6/12(C2−1)をポリアミド610(C2−4)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(C−5)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(C1−1)/ポリアミド610(C2−4)/エラストマー重合体(A2−3)=50.0/30.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(C−9)という。)。ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値[|(ポリアミド12(C1−1)のSP値)−(ポリアミド610(C2−4)のSP値)|]は、|22.5−24.9|=2.4(MPa)1/2であり、1.8以上5.5以下(MPa)1/2を満たす。また、ポリアミド12組成物(C−9)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+10を満たす。
ポリアミド12組成物(C−10)の製造
ポリアミド12組成物(C−5)の製造において、無水マレイン酸変性エチレン/1−ブテン共重合体(A2−3)を(A2−4)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(C−5)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(C1−1)/ポリアミド6/12(C2−1)/エラストマー重合体(A2−4)=55.0/25.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(C−10)という。)。ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値[|(ポリアミド12(C1−1)のSP値)−(ポリアミド6/12(C2−1)のSP値)|]は、|22.5−26.4|=3.9(MPa)1/2であり、1.8以上5.5以下(MPa)1/2を満たす。また、ポリアミド12組成物(C−10)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+10を満たす。
ポリアミド1010組成物(C−11)の製造
ポリアミド12組成物(C−5)の製造において、ポリアミド12(C1−1)をポリアミド1010(C1−2)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(C−5)の製造と同様の方法にて、ポリアミド1010(C1−2)/ポリアミド6/12(C2−1)/エラストマー重合体(A2−3)=60.0/20.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド1010組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド1010組成物を(C−11)という。)。ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値[|(ポリアミド1010(C1−2)のSP値)−(ポリアミド6/12(C2−1)のSP値)|]は、|23.5−26.4|=2.9(MPa)1/2であり、1.8以上5.5以下(MPa)1/2を満たす。また、ポリアミド1010組成物(C−11)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+10を満たす。
半芳香族ポリアミド(D1)
半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造
1,9−ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、テレフタル酸4.939kg(29.7モル)、安息香酸65.9g(0.54モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物9.8g(原料に対して、0.1質量%)、及び蒸留水6.0Lをオートクレーブに入れ、窒素置換した。100℃で30分間攪拌し、2時間かけて内部温度を190℃に昇温した。この時、オートクレーブは2.0MPaまで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.0MPaに保ちながら重合させた。次に、30分かけて圧力を1.0MPaまで下げ、更に、1時間反応させて、プレポリマーを得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕し、210℃、0.013kPa下にて、8時間固相重合し、融点265℃、相対粘度2.38の半芳香族ポリアミド(ポリアミド9T/M8T=50.0/50.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1−1)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1−2)の製造
半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造において、1,9−ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)を1,9−ノナンジアミン4.036kg(25.5モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン0.712kg(4.5モル)に変え、固相重合温度を210℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造と同様の方法にて、融点305℃、相対粘度2.34の半芳香族ポリアミド(ポリアミド9T/M8T=85.0/15.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1−2)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1−3)の製造
半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造において、テレフタル酸4.939kg(29.7モル)を2,6−ナフタレンジカルボン酸6.427kg(29.7モル)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造と同様の方法にて、融点275℃、相対粘度2.37の半芳香族ポリアミド(ポリアミド9N/M8N=50.0/50.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1−3)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1−4)の製造
半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造において、1,9−ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)を1,10−デカンジアミン5.169kg(30.0モル)に変え、重合温度を230℃から270℃、固相重合温度を230℃から260℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造と同様の方法にて、融点315℃、相対粘度2.33の半芳香族ポリアミド(ポリアミド10T=100.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1−4)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1−5)の製造
半芳香族ポリアミド(D1−4)の製造において、1,10−デカンジアミン5.169kg(30.0モル)とテレフタル酸4.984kg(30.0モル)を1,10−デカンジアミン3.101kg(18.0モル)、テレフタル酸2.990kg(18.0モル)、及び11−アミノウンデカン酸2.416kg(12.0モル)に変え、重合温度を270℃から220℃、固相重合温度を260℃から200℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1−4)の製造と同様の方法にて、融点255℃、相対粘度2.34の半芳香族ポリアミド(ポリアミド10T/11=60.0/40.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1−5)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1−6)の製造
半芳香族ポリアミド(D1−4)の製造において、テレフタル酸4.984kg(30.0モル)をテレフタル酸3.324kg(20.0モル)とセバシン酸2.020kg(9.99モル)に変え、重合温度を270℃から240℃、固相重合温度を260℃から220℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1−4)の製造と同様の方法にて、融点279℃、相対粘度2.37の半芳香族ポリアミド(ポリアミド10T/1010=67.0/33.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1−6)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1−7)の製造
半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造において、1,9−ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、及びテレフタル酸4.939kg(29.7モル)を1,6−ヘキサンジアミン3.602kg(31.0モル)、テレフタル酸2.483kg(15.0モル)、イソフタル酸1.738kg(10.5モル)、及びアジピン酸0.655kg(4.5モル)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造と同様の方法にて、融点266℃、相対粘度2.28の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/6I/66=50.0/35.0/15.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1−7)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1−8)の製造
半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造において、1,9−ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、及びテレフタル酸4.939kg(29.7モル)を1,6−ヘキサンジアミン1.801kg(15.5モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン1.801kg(15.5モル)、及びテレフタル酸4.983kg(30.0モル)に変え、重合温度を230℃から260℃、固相重合温度を210℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造と同様の方法にて、融点301℃、相対粘度2.35の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/M5T=50.0/50.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1−8)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1−9)の製造
半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造において、1,9−ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、及びテレフタル酸4.939kg(29.7モル)を1,6−ヘキサンジアミン2.522kg(21.7モル)、テレフタル酸3.489kg(21.0モル)、及びカプロラクタム1.018kg(9.0モル)に変え、重合温度を230℃から260℃、固相重合温度を210℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造と同様の方法にて、融点295℃、相対粘度2.34の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/6=70.0/30.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1−9)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1−10)の製造
半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造において、1,9−ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、及びテレフタル酸4.939kg(29.7モル)を1,6−ヘキサンジアミン2.522kg(21.7モル)、1,10−デカンジアミン1.602kg(9.3モル)、テレフタル酸4.135kg(24.0モル)、及びイソフタル酸1.034kg(6.0モル)に変え、重合温度を230℃から260℃、固相重合温度を210℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造と同様の方法にて、融点302℃、相対粘度2.32の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/6I/10T/10I=56.0/24.0/14.0/6.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1−10)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1−11)の製造
半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造において、1,9−ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、及びテレフタル酸4.939kg(29.7モル)を1,6−ヘキサンジアミン3.66kg(31.5モル)、テレフタル酸2.392kg(14.4モル)、イソフタル酸1.595kg(9.6モル)、及びセバシン酸1.213kg(6.0モル)に変え、重合温度を230℃から260℃、固相重合温度を210℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造と同様の方法にて、融点289℃、相対粘度2.20の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/6I/610=48.0/32.0/20.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1−11)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1−12)の製造
半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造において、1,9−ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、及びテレフタル酸4.939kg(29.7モル)を1,6−ヘキサンジアミン3.66kg(31.5モル)、ドデカン二酸3.45kg(15.0モル)、及びテレフタル酸2.49kg(15.0モル)に変え、重合温度を230℃から250℃、固相重合温度を210℃から230℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1−1)の製造と同様の方法にて、融点292℃、相対粘度2.20の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/612=55.0/45.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1−12)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2)
半芳香族ポリアミド(D2−1)の製造
攪拌機、温度計、トルクメータ、圧力計、ダイアフラムポンプを直結した原料投入口、窒素ガス導入口、放圧口、圧力調整装置、及びポリマー放出口を備えた内容積が70リットルの圧力容器に、セバシン酸6.068kg(30.0モル)、次亜リン酸カルシウム8.50g(0.049モル)、及び酢酸ナトリウム2.19g(0.025モル)を仕込み、圧力容器の内部の純度が99.9999%の窒素ガスで0.3MPaに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出する操作を5回繰返し、窒素置換を行った後、封圧下、攪拌しながら系内を昇温した。更に、少量の窒素気流下で、190℃まで昇温した後、m−キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)を撹拌下で160分を要して滴下した。この間、反応系内圧は0.5MPaに制御し、内温を連続的に295℃まで昇温させた。また、m−キシリレンジアミンの滴下とともに留出する水は、分縮器及び冷却器を通して系外に除いた。m−キシリレンジアミン滴下終了後、60分間かけて常圧まで降圧し、この間に、容器内の温度を250℃に保持して、10分間反応を継続した。その後、反応系内圧を79kPaまで減圧し、40分間溶融重合反応を継続した。その後、攪拌を止めて系内を窒素で0.2MPaに加圧して、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重縮合物は直ちに冷却し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化し、その後、減圧乾燥を行い融点191℃、相対粘度2.46の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10=100.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2−1)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2−2)の製造
半芳香族ポリアミド(D2−1)の製造において、m−キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)をm−キシリレンジアミンとp−キシリレンジアミンの7:3(モル比)の混合ジアミン4.086kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から260℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D2−1)の製造と同様の方法にて、融点213℃、相対粘度2.40の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10/PXD10=70.0/30.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2−2)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2−3)の製造
半芳香族ポリアミド(D2−1)の製造において、m−キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)をp−キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から300℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D2−1)の製造と同様の方法にて、融点281、291℃(融点を2つ有する)、相対粘度2.42の半芳香族ポリアミド(ポリアミドPXD10=100.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2−3)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2−4)の製造
半芳香族ポリアミド(D2−1)の製造において、セバシン酸6.068kg(30.0モル)をアジピン酸4.384kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から275℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D2−1)の製造と同様の方法にて、融点243℃、相対粘度2.42の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD6=100.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2−4)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2−5)の製造
半芳香族ポリアミド(D2−2)の製造において、セバシン酸6.068kg(30.0モル)をアジピン酸4.384kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から290℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D2−2)の製造と同様の方法にて、融点264℃、相対粘度2.32の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD6/PXD6=70.0/30.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2−5)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2−6)の製造
半芳香族ポリアミド(D2−1)の製造において、m−キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)を2,6−ビス(アミノメチル)ナフタレン5.588kg(30.0モル)に変え、重合温度を240℃から300℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D2−1)の製造と同様の方法にて、融点286℃、相対粘度2.25の半芳香族ポリアミド(ポリアミド2,6−BAN10=100.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2−6)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D)
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造
半芳香族ポリアミド(D1−1)に、衝撃改良材として無水マレイン酸変性エチレン/1−ブテン共重合体(A2−3)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度220℃から300℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、半芳香族ポリアミド(D1−1)/エラストマー重合体(A2−3)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−1)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−2)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D1−2)に変え、シリンダ温度を300℃から340℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−2)/エラストマー重合体(A2−3)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−2)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−3)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D1−3)に変え、シリンダ温度を300℃から310℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−3)/エラストマー重合体(A2−3)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−3)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−4)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D1−4)に変え、シリンダ温度を300℃から340℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−4)/エラストマー重合体(A2−3)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−4)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−5)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D1−5)に変え、シリンダ温度を300℃から290℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−5)/エラストマー重合体(A2−3)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−5)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−6)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D1−6)に変え、シリンダ温度を300℃から310℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−6)/エラストマー重合体(A2−3)=90.0/10.0(質量%)10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−6)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−7)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D1−7)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−7)/エラストマー重合体(A2−3)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−7)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−8)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D1−8)に変え、シリンダ温度を300℃から330℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−8)/エラストマー重合体(A2−3)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−8)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−9)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D1−9)に変え、シリンダ温度を300℃から330℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−9)/エラストマー重合体(A2−3)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−9)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−10)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D1−10)に変え、シリンダ温度を300℃から340℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−10)/エラストマー重合体(A2−3)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−10)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−11)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D1−11)に変え、シリンダ温度を300℃から330℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−11)/エラストマー重合体(A2−3)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−11)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−12)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D1−12)に変え、シリンダ温度を300℃から330℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−12)/エラストマー重合体(A2−3)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−12)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−13)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)と(D1−7)を併用した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−7)/半芳香族ポリアミド(D1−1)/エラストマー重合体(A2−3)=59.5/25.5/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−13)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−14)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−13)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D1−5)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−13)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1−7)/半芳香族ポリアミド(D1−5)/エラストマー重合体(A2−3)=59.5/25.5/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−14)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1−1)を(D2−1)に変え、シリンダ温度を300℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2−1)/エラストマー重合体(A2−3)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−15)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−16)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2−1)を(D2−2)に変え、シリンダ温度を240℃から250℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2−2)/エラストマー重合体(A2−3)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−16)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−17)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2−1)を(D2−3)に変え、シリンダ温度を240℃から320℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2−3)/エラストマー重合体(A2−3)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−17)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−18)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2−1)を(D2−4)に変え、シリンダ温度を240℃から280℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2−4)/エラストマー重合体(A2−3)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−18)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−19)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2−1)を(D2−5)に変え、シリンダ温度を240℃から300℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2−5)/エラストマー重合体(A2−3)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−19)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−20)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2−1)を(D2−6)に変え、シリンダ温度を240℃から320℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2−6)/エラストマー重合体(A2−3)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−20)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−21)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2−1)と(D2−1)、(D2−4)を併用し、シリンダ温度を240℃から280℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−15)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2−4)/半芳香族ポリアミド(D2−1)/エラストマー重合体(A2−3)=59.5/25.5/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−21)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−22)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−21)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2−1)を(D2−2)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−21)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2−4)/半芳香族ポリアミド(D2−2)/エラストマー重合体(A2−3)=59.5/25.5/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−22)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D−23)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D−21)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2−1)を(D2−3)に変え、シリンダ温度を280℃から320℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D−21)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2−4)/半芳香族ポリアミド(D2−3)/エラストマー重合体(A2−3)=59.5/25.5/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D−23)という。)。
接着用ポリアミド組成物(E)
ポリアミド6/66/12組成物(E−1)の製造
ポリアミド12組成物(C−9)の製造において、ポリアミド12(C1−1)をポリアミド6/66/12(C2−5)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(C−9)の製造と同様の方法にて、ポリアミド6/66/12(C2−5)/ポリアミド610(C2−4)/エラストマー重合体(A2−3)=55.0/25.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6/66/12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド6/66/12組成物を(E−1)という。)。
ポリアミド6組成物(E−2)の製造
ポリアミド12組成物(C−8)の製造において、ポリアミド12(C1−1)をポリアミド6(C2−3)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(C−8)の製造と同様の方法にて、ポリアミド6(C2−3)/ポリアミド6(C2−2)/無水マレイン酸変性エラストマー重合体(A3−1)=55.0/25.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド6組成物を(E−2)という。)。
実施例1
前記に示す未変性EVOH系重合体組成物(A−1)、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)、ポリアミド12組成物(C−1)、接着用ポリアミド組成物(E−1)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)4層チューブ成形機にて、(A−1)を押出温度210℃、(B−1)を押出温度270℃、(C−1)を押出温度270℃、(E−1)を押出温度250℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(C−1)からなる(c)層(最外層)、(E−1)からなる(e)層(外層)、(A−1)からなる(a)層(中間層)、(B−1)からなる(b)層(最内層)としたとき、層構成が(c)/(e)/(a)/(b)=0.60/0.15/0.10/0.15mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、未変性EVOH系重合体組成物(A−1)を側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体組成物(A−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、未変性EVOH系重合体組成物(A−1)を側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体組成物(A−3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、未変性EVOH系重合体組成物(A−1)を側鎖1,2−ジオール単位含有PVA系重合体(A−4)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、未変性EVOH系重合体組成物(A−1)を側鎖1,2−ジオール単位含有EVOH系重合体(A−5)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例6
実施例1において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を(B−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例7
実施例1において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を導電性接着用含フッ素系重合体組成物(B−3)に変え、(B−3)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例8
前記に示す未変性EVOH系重合体組成物(A−1)、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)、未変性含フッ素系重合体(B1−3)、ポリアミド12組成物(C−1)、接着用ポリアミド組成物(E−1)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)5層チューブ成形機にて、(A−1)を押出温度210℃、(B−1)を押出温度270℃、(B1−3)を押出温度270℃、(C−1)を押出温度270℃、(E−1)を押出温度250℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(C−1)からなる(c)層(最外層)、(E−1)からなる(e)層(外層)、(A−1)からなる(a)層(中間層)、(B−1)からなる(b)層(内層)、(B1−3)からなる(b’)層(最内層)、としたとき、層構成が(c)/(e)/(a)/(b)/(b’)=0.55/0.15/0.10/0.10/0.10mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例9
実施例8において、未変性含フッ素系重合体(B1−3)を(B1−4)に変え、(B1−4)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例8と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例10
実施例8において、未変性含フッ素系重合体(B1−3)を導電性含フッ素系重合体組成物(B−4)に変え、(B−4)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例8と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例11
実施例8において、未変性含フッ素系重合体(B1−3)を導電性含フッ素系重合体組成物(B−5)に変え、(B−5)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例8と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例12
実施例1において、ポリアミド12組成物(C−1)を(C−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例13
実施例1において、ポリアミド12組成物(C−1)を(C−3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例14
実施例1において、ポリアミド12組成物(C−1)を(C−4)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例15
前記に示す未変性EVOH系重合体組成物(A−1)、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)、ポリアミド12組成物(C−5)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)3層チューブ成形機にて、(A−1)を押出温度210℃、(B−1)を押出温度270℃、(C−5)を押出温度270℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(C−5)からなる(c)層(最外層)、(A−1)からなる(a)層(中間層)、(B−1)からなる(b)層(最内層)としたとき、層構成が(c)/(a)/(b)=0.75/0.10/0.15mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例16
実施例15において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を導電性接着用含フッ素系重合体組成物(B−3)に変え、(B−3)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例15と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例17
実施例15において、ポリアミド12組成物(C−5)を(C−6)に変更した以外は、実施例15と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例18
実施例15において、ポリアミド12組成物(C−5)を(C−7)に変更した以外は、実施例15と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例19
実施例15において、ポリアミド12組成物(C−5)を(C−8)に変更した以外は、実施例15と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例20
実施例15において、ポリアミド12組成物(C−5)を(C−9)に変更した以外は、実施例15と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例21
実施例15において、ポリアミド12組成物(C−5)を(C−10)に変更した以外は、実施例15と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積9
実施例22
実施例15において、ポリアミド12組成物(C−5)をポリアミド1010組成物(C−11)に変更した以外は、実施例15と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例23
前記に示す未変性EVOH系重合体組成物(A−1)、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)、ポリアミド12組成物(C−5)、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)5層チューブ成形機にて、(A−1)を押出温度210℃、(B−1)を押出温度270℃、(C−5)を押出温度270℃、(D−1)を押出温度300℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(C−5)からなる(c)層(最外層、中間層)、(D−1)からなる(c)層(外層)、(A−1)からなる(a)層(内層)、(B−1)からなる(b)層(最内層)としたとき、層構成が(c)/(d)/(c)/(a)/(b)=0.40/0.10/0.30/0.10/0.10mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例24
実施例23において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を導電性接着用含フッ素系重合体組成物(B−3)に変え、(B−3)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例25
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−2)に変え、(D−2)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例26
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−3)に変え、(D−3)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例27
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−4)に変え、(D−4)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例28
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−5)に変え、(D−5)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例29
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−6)に変え、(D−6)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例30
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−7)に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例31
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−8)に変え、(D−8)の押出温度を330℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例32
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−9)に変え、(D−9)の押出温度を330℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例33
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−10)に変え、(D−10)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例34
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−11)に変え、(D−11)の押出温度を330℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例35
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−12)に変え、(D−12)の押出温度を330℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例36
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−13)に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例37
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−14)に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例38
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−15)に変え、(D−15)の押出温度を240℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例39
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−16)に変え、(D−16)の押出温度を250℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例40
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−17)に変え、(D−17)の押出温度を320℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例41
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−18)に変え、(D−18)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例42
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−19)に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例43
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−20)に変え、(D−20)の押出温度を320℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例44
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−21)に変え、(D−21)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例45
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−22)に変え、(D−22)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例46
実施例23において、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を(D−23)に変え、(D−23)の押出温度を320℃に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例47
実施例23において、中間層に使用したポリアミド12組成物(C−5)をポリアミド6/66/12組成物(E−1)に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例48
実施例23において、中間層に使用したポリアミド12組成物(C−5)をポリアミド6組成物(E−2)に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例49
前記に示す未変性EVOH系重合体組成物(A−1)、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)、未変性含フッ素系重合体(B1−3)、ポリアミド12組成物(C−5)、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)6層チューブ成形機にて、(A−1)を押出温度210℃、(B−1)を押出温度270℃、(B1−3)を押出温度270℃、(C−5)を押出温度270℃、(D−1)を押出温度300℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(C−5)からなる(c)層(最外層、中間層)、(D−1)からなる(d)層(外層)、(A−1)からなる(a)層(内層1)、(B−1)からなる(b)層(内層2)、(B1−3)からなる(b)層(最内層)としたとき、層構成が(c)/(d)/(c)/(a)/(b)/(b’)=0.40/0.10/0.20/0.10/0.10/0.10mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表3に示す。
実施例50
実施例49において、未変性含フッ素系重合体(B1−3)を(B1−4)に変え、(B1−4)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例49と同様の方法にて、表3に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表3に示す。
実施例51
実施例49において、未変性含フッ素系重合体(B1−3)を導電性含フッ素系重合体組成物(B−4)に変え、(B−4)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例49と同様の方法にて、表3に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表3に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例52
実施例49において、未変性含フッ素系重合体(B1−3)を導電性含フッ素系重合体組成物(B−5)に変え、(B−5)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例49と同様の方法にて、表3に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表3に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例53
実施例51において、中間層に使用したポリアミド12組成物(C−5)をポリアミド6/66/12組成物(E−1)に変更した以外は、実施例51と同様の方法にて、表3に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表3に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例54
実施例51において、中間層に使用したポリアミド12組成物(C−5)をポリアミド6組成物(E−2)に変更した以外は、実施例51と同様の方法にて、表3に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表3に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例55
前記に示す未変性EVOH系重合体組成物(A−1)、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)、ポリアミド12組成物(C−1)、(C−5)、半芳香族ポリアミド組成物(D−1)、ポリアミド6/66/12組成物(E−1)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)6層チューブ成形機にて、(A−1)を押出温度210℃、(B−1)を押出温度270℃、(C−1)と(C−5)を押出温度270℃、(D−1)を押出温度300℃、(E−1)を押出温度250℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(C−1)からなる(c)層(最外層)、(E−1)からなる(e)層(外層)、(D−1)からなる(d)層(中間層)、(C−5)からなる(c’)層(内層1)、(A−1)からなる(a)層(内層2)、(B−1)からなる(b)層(最内層)としたとき、層構成が(c)/(e)/(d)/(c’)/(a)/(b)=0.35/0.15/0.10/0.20/0.10/0.10mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表3に示す。
実施例56
実施例55において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を導電性接着用含フッ素系重合体組成物(B−3)に変え、(B−3)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例55と同様の方法にて、表3に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表3に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例57
実施例56において、内層1に使用したポリアミド12組成物(C−5)をポリアミド6/66/12組成物(E−1)に変更した以外は、実施例56と同様の方法にて、表3に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表3に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例58
実施例56において、内層1に使用したポリアミド12組成物(C−5)をポリアミド6組成物(E−2)に変更した以外は、実施例56と同様の方法にて、表3に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表3に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
比較例1
実施例1において、未変性EVOH系重合体組成物(A−1)を未変性EVOH系重合体(A11−1)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を無水イタコン酸基含有含フッ素系重合体(B1−1)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)をエポキシ基含有含フッ素系重合体(B1−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例4
実施例1において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を未変性含フッ素系重合体(B1−3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例5
実施例1において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を導電性含フッ素系重合体(B−4)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
比較例6
実施例8において、未変性EVOH系重合体組成物(A−1)を未変性EVOH系重合体(A11−1)に変更した以外は、実施例8と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例7
実施例8において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を無水イタコン酸基含有含フッ素系重合体(B1−1)に変更した以外は、実施例8と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例8
実施例8において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)をエポキシ基含有含フッ素系重合体(B1−2)に変更した以外は、実施例8と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例9
実施例10において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を未変性含フッ素系重合体(B1−3)に変更した以外は、実施例10と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
比較例10
実施例23において、未変性EVOH系重合体組成物(A−1)を未変性EVOH系重合体(A11−1)に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例11
実施例23において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を無水イタコン酸基含有含フッ素系重合体(B1−1)に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例12
実施例23において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)をエポキシ基含有含フッ素系重合体(B1−2)に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例13
実施例23において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を未変性含フッ素系重合体(B1−3)に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例14
実施例23において、接着用含フッ素系重合体組成物(B−1)を導電性含フッ素系重合体(B−4)に変更した以外は、実施例23と同様の方法にて、表7に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
Figure 2019137011
Figure 2019137011
Figure 2019137011
表1、2、及び3から明らかなように、本発明に規定以外のビニルアルコール系重合体組成物(A)を含む(a)層を有する比較例1、6、及び10の積層チューブは、ヒートショック後の低温耐衝撃性に劣っていた。本発明に規定以外の接着用含フッ素系重合体組成物(B)を含む(b)層を有する比較例2から5、7から9、及び11から14の積層チューブは、ヒートショック後の低温耐衝撃性、初期の層間接着性、及びその耐久性に劣っていた。
一方、本発明に規定されている条件を満たす実施例1から58の積層チューブは、環境応力負荷後の低温耐衝撃性、層間接着性及びその耐久性等の諸特性が良好であることは明らかである。

Claims (13)

  1. (a)層と(b)層とを含む2層以上の積層チューブであって、
    前記(a)層と前記(b)層とは隣接して配置され、
    前記(a)層は、ビニルアルコール系重合体組成物(A)を含み、
    前記(b)層は、接着用含フッ素系重合体組成物(B)を含み、
    前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)は、ビニルアルコール系重合体(A1)とエラストマー重合体(A2)とを含み、
    前記ビニルアルコール系重合体(A1)は、前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)中に、60質量%以上95質量%以下含まれ、
    前記エラストマー重合体(A2)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有し、前記ビニルアルコール系重合体組成物(A)中に、5質量%以上40質量%以下含まれ、
    前記ビニルアルコール系重合体(A1)は、エチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A11)、下記(1)式で表わされる側鎖1,2−ジオール単位を含有するポリビニルアルコール系重合体(A12)、及び下記(1)式で表わされる側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記接着用含フッ素系重合体組成物(B)は、カルボジイミド基と反応する官能基を有する含フッ素系重合体(B1)と、カルボジイミド基含有化合物(B2)とを反応させることにより得られ、前記カルボジイミド基を有する化合物から誘導される構成単位を含有する積層チューブ。
    Figure 2019137011
    [一般式(1)において、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は有機基を示し、Xは、単結合又は結合鎖を示し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は有機基を示す。]
  2. 前記側鎖1,2−ジオール単位を含有するポリビニルアルコール系重合体(A12)又は側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)中の上記(1)式で表される側鎖1,2−ジオール単位の含有量は、側鎖1,2−ジオール単位を含有するポリビニルアルコール系重合体(A12)又は側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)の全単量体単位100モル%に対し、0.1モル%以上30モル%以下である請求項1に記載の積層チューブ。
  3. 前記側鎖1,2−ジオール単位を含有するエチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)中のエチレン単位の含有量は、側鎖1,2−ジオール単位を含有する含有エチレン/ビニルエステル系共重合体ケン化物(A13)の全単量体単位100モル%に対し、10モル%以上40モル%以下である請求項1又は2のいずれかに記載の積層チューブ。
  4. 前記(b)層が、前記(a)層に対して内側に隣接して配置される請求項1から3のいずれか1項に記載の積層チューブ。
  5. 更に(c)層を含み、
    前記(c)層が、前記(a)層に対して外側に配置され、
    前記(c)層は、脂肪族ポリアミド組成物(C)を含み、
    前記脂肪族ポリアミド組成物(C)は、ポリアミド(C1)及びエラストマー重合体(C3)を含み、
    前記ポリアミド(C1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比が8.0以上の脂肪族ポリアミドであり、前記脂肪族ポリアミド組成物(C)中に、75質量%以上95質量%以下含まれ、
    前記エラストマー重合体(C3)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有し、前記脂肪族ポリアミド組成物(C)中に、5質量%以上25質量%以下含まる請求項1から4のいずれか1項に記載の積層チューブ。
  6. 前記ポリアミド(C1)が、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、及びポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた少なくとも1種の共重合体である請求項5に記載の積層チューブ。
  7. 前記ポリアミド(C1)の1gあたりの末端アミノ基濃度を[A1](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B1](μeq/g)とした時、[A1]>[B1]+5である請求項5又は6のいずれか1項に記載の積層チューブ。
  8. 前記脂肪族ポリアミド組成物(C)は、更にポリアミド(C2)を含み、
    前記ポリアミド(C2)は、前記ポリアミド(C1)以外のポリアミドであり、前記ポリアミド(C1)とポリアミド(C2)の合計量100質量%に対して、ポリアミド(C1)は55質量%以上90質量%以下含まれ、ポリアミド(C2)は10質量%以上45質量%以下含まれ、
    前記ポリアミド(C1)と前記ポリアミド(C2)との溶解性パラメーターSP値の差の絶対値[|(ポリアミド(C1)のSP値)−(ポリアミド(C2)のSP値)|]は、1.8以上5.5以下(MPa)1/2である請求項5から7のいずれか1項に記載の積層チューブ。
  9. 更に(d)層を含み、
    前記(d)層が、前記(a)層に対して外側に配置され、
    前記(d)層は、半芳香族ポリアミド組成物(D)を含み、
    前記半芳香族ポリアミド組成物(D)は、半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は半芳香族ポリアミド(D2)を含み、
    前記半芳香族ポリアミド組成物(D)中に、前記半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は前記半芳香族ポリアミド(D2)が60質量%以上含まれ、
    前記半芳香族ポリアミド(D1)は、前記半芳香族ポリアミド(D1)の全ジアミン単位に対して、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位を50モル%以上含み、前記半芳香族ポリアミド(D1)の全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位、及びナフタレンジカルボン酸単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むジカルボン酸単位を50モル%以上含み、
    前記半芳香族ポリアミド(D2)は、前記半芳香族ポリアミド(D2)の全ジアミン単位に対して、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位を50モル%以上含み、前記半芳香族ポリアミド(D2)の全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含む請求項1から8のいずれか1項に記載の積層チューブ。
  10. 前記半芳香族ポリアミド組成物(D)が、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を有するエラストマー重合体(D3)を含む請求項9に記載の積層チューブ。
  11. 最内層が、導電性フィラーを含有させた熱可塑性樹脂組成物を含む導電層である請求項1から10のいずれか1項に記載の積層チューブ。
  12. 共押出成形により製造される請求項1から11のいずれか1項に記載の積層チューブ。
  13. 燃料チューブとして使用される請求項1から12のいずれか1項に記載の積層チューブ。

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