JP2019133788A - ニッケル金属水素化物電池用負極及びニッケル金属水素化物電池 - Google Patents

ニッケル金属水素化物電池用負極及びニッケル金属水素化物電池 Download PDF

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Abstract

【課題】集電体塗工型の電極を有するニッケル金属水素化物電池の電池特性を向上させ得る技術を提供すること。【解決手段】 箔状の負極集電体と、水素吸蔵合金及び直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を含有し前記負極集電体の表面に形成された負極活物質層と、を有する、ニッケル金属水素化物電池用負極。【選択図】なし

Description

本発明は、ニッケル金属水素化物電池用負極、及び当該負極を用いたニッケル金属水素化物電池に関する。
ニッケル金属水素化物電池は、正極活物質としてニッケル水酸化物を有する正極と、負極活物質として水素吸蔵合金を有する負極と、アルカリ金属水溶液からなる電解液とを具備する二次電池である。以下、必要に応じて、正極と負極とを総称して電極という。例えば、電極活物質とは正極活物質と負極活物質との総称を意味し、電極活物質層とは正極活物質層と負極活物質層との総称を意味する。
ニッケル金属水素化物電池の性能を向上させるべく、種々の検討が行われている。ニッケル金属水素化物電池の性能を向上させるための方策の一つとして、電極活物質と集電体との距離を近づけることが考えられる。
ニッケル金属水素化物電池の電極用集電体として、多孔質のものを用いる技術が知られている。
特許文献1には、多孔質の発泡ニッケル基板に、ニッケル水酸化物を主成分とするペースト状混練物を充填し、乾燥後に加圧成形した、ニッケル金属水素化物電池用の正極板が開示されている。特許文献1には、板状の発泡心材にニッケルメッキを施した後、さらに加熱等して当該発泡心材を除去することで、当該発泡ニッケル基板が得られる旨が開示されている。
また、例えば、特許文献2の〔0039〕段落には、負極芯体、つまり負極集電体としてパンチングメタルを使用できる旨、及び、負極合剤は負極芯体の貫通孔内に充填されかつ負極芯体の両面上にも層状をなす旨が記載されている。
特許文献3の〔0012〕段落には、負極用の公知の導電性支持体、つまり負極集電体として、繊維状ニッケル、発泡ニッケルなどの三次元導電性支持体、パンチングメタル、エキスパンドメタル、金属ネットなどの二次元導電性支持体が例示されている。
この種の電極において、電極活物質は導電性に優れる集電体の細孔に充填される。したがってこの種の電極においては、集電体自体が電極の厚さ方向に三次元的に分布して電極活物質の導電パスを形成するため、電極活物質と集電体との距離は近い。このため、この種の集電体は、電極に優れた導電性を付与すると考えられる。
特開2001−35500号公報 特開2017−182926号公報 特開2017−134893号公報
ところで、上記した多孔質の集電体にかえて、一般的なリチウムイオン二次電池の電極のように、金属箔等の集電体を用いる場合には、電極活物質を含むスラリーを集電体上に塗工して、電極活物質層を形成することが想定される。以下、必要に応じて、この種の電極の製造様式を集電体塗工型と称する。
本発明の発明者は、集電体塗工型の電極を使用し電池性能に優れるニッケル金属水素化物電池を製造することを志向した。そして、集電体塗工型の電極は、従来の多孔質の集電体を用いた電極とは、電極活物質と集電体との位置関係の点で大きく異なることに着目した。
既述したように、多孔質の集電体を用いた電極においては、集電体は電極の厚さ方向に三次元的に分布するために、電極活物質層の表面から集電体までの距離は比較的近い。これに対して、集電体塗工型の電極においては、電極活物質層は平たい集電体上に積層された状態にあるため、電極活物質層の表面の大部分は、電極の厚さ方向において、集電体と遠く離れた位置にあるといえる。このため、集電体塗工型の電極において、電極活物質層に含まれる電極活物質には、集電体との距離が近いものと遠いものとがあるといえる。
本発明者は、このような電極活物質と集電体との位置関係に因り、従来の集電体塗工型の電極においては、電極活物質層の部分毎に、電極活物質の電池反応に偏りが生じると考えた。そして、当該電極活物質層における電池反応の偏りを低減することで、集電体塗工型のニッケル金属水素化物電池の電池特性を向上させることを志向した。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、集電体塗工型の電極を有するニッケル金属水素化物電池の電池特性を向上させ得る技術を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、電極活物質層における電池反応の偏りには、上記した電極活物質と集電体との位置関係以外にも、電極活物質層への電解液の浸透性が関与するという着想を得た。電極活物質層に供給される電解液が電極活物質層の部分毎に偏っていると、電極活物質層のうち電解液が充分に供給された部分ではイオンが移動し易いために電池反応が進行し、電解液の供給が不足した部分では逆に電池反応の進行が阻害されると考えられる。この場合、ニッケル金属水素化物電池の電池反応は、電極活物質層全体で均一に行われるのではなく、電極活物質層の部分毎に偏って行われ、電極活物質層のうち電池反応が過剰に進行する部分が生じる可能性がある。そして当該電池反応が過剰に進行した部分においては、電極活物質が破損してしまう可能性もある。
電極活物質層のうち電解液が充分に供給される部分としては、集電体との界面付近が挙げられる。集電体との界面付近の電極活物質は、電子の授受を円滑に行うことができるため、電解液との静電的相互作用に因る親和性に優れると考えられるためである。集電体塗工型の電極においては、電極活物質層と集電体との界面は平面状であり、その面積も比較的小さいために、電極活物質層への電解液の供給量に上記した偏りが生じる可能性がある。従来のように多孔質の集電体を用いる場合には、当該界面が電極活物質層の内部に三次元的に延び、また、当該界面の面積も大きいために、電極活物質層への電解液の供給は比較的均一に為されると考えられる。
本発明者は、上記の仮定に基づいて更なる検討を進め、本発明を完成した。
すなわち、上記課題を解決する本発明のニッケル金属水素化物電池用負極は、
箔状の負極集電体と、
水素吸蔵合金及び直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を含有し前記負極集電体の表面に形成された負極活物質層と、を有する。
また、上記課題を解決する本発明のニッケル金属水素化物電池は、
本発明の負極と、
箔状の正極集電体と、ニッケル水酸化物を含有し前記正極集電体の表面に形成された正極活物質層と、を有する正極と、
強塩基水溶液を含有する電解液と、有する。
本発明のニッケル金属水素化物電池用負極は、集電体塗工型であり、かつ、ニッケル金属水素化物電池の電池特性を向上させ得る。また、本発明のニッケル金属水素化物電池は集電体塗工型の負極を有し、かつ、電池特性の向上したものである。
以下、本発明のニッケル金属水素化物電池用負極及びニッケル金属水素化物電池について詳細に説明する。
なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限x及び上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、並びに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで新たな数値範囲を構成し得る。更に、上記の何れかの数値範囲内から任意に選択した数値を新たな数値範囲の上限、下限の数値とすることができる。
本発明のニッケル金属水素化物電池用負極は、
箔状の負極集電体と、
水素吸蔵合金及び直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を含有し前記負極集電体の表面に形成された負極活物質層と、を有する。
本発明のニッケル金属水素化物電池用負極は、上記した集電体塗工型の負極であって、負極活物質層に直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を含有させることで負極活物質層への電解液の浸透性が向上すると考えられる。負極活物質層の全体に電解液が充分に浸透すれば、電池反応は負極活物質層の全体で同程度に進行すると考えられ、上記した負極活物質層の部分毎の電池反応の偏りや負極活物質の微粉化等が緩和されると考えられる。そしてその結果、集電体塗工型のニッケル金属水素化物電池用負極の電池特性を向上させ得ると考えられる。
以下、必要に応じて、本発明のニッケル金属水素化物電池用負極を本発明の負極、或いは単に負極と称する場合がある。
集電体は、ニッケル金属水素化物電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。負極集電体の材料は、使用する活物質すなわち水素吸蔵合金に適した電圧に耐え得る金属であれば特に制限はない。負極集電体の材料としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。負極集電体は上記の材料を箔状にしたものを用いても良いし、当該箔を公知の保護層で被覆したり、当該箔の表面を公知の方法で処理したりして、負極集電体として良い。負極集電体の材料としては、ニッケル、又は、ニッケルメッキを施した金属材料が好ましい。
なお、ここでいう箔状とは、表面が平坦面となった平たい形状を指し、所謂シート状、フィルム状、平板状等の形態を含む概念である。負極集電体の厚みは1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。負極集電体の幅及び長さは、負極集電体の厚みよりも大きく、負極集電体の厚みの10倍以上であるのが好ましく、100倍以上であるのがより好ましい。なお、本発明の負極における負極集電体は、多孔質の集電体とは異なり、細孔を有さないものとする。
負極活物質層は、水素吸蔵合金及び直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を含有し、必要に応じて負極添加剤、結着剤及び導電助剤を含み得る。水素吸蔵合金は負極活物質であり、そのまま用いても良いし、導電性のメッキを施して用いても良い。以下、特に断りのない場合、水素吸蔵合金そのもの、及び、導電性のメッキを施した水素吸蔵合金を総称して単に水素吸蔵合金と称する。
水素吸蔵合金とは、基本的に、容易に水素と反応するものの、水素の放出能力に劣る金属Aと、水素と反応しにくいものの、水素の放出能力に優れる金属Bとの合金である。Aとしては、Mgなどの第2族元素、Sc、ランタノイドなどの第3族元素、Ti、Zrなどの第4族元素、V、Taなどの第5族元素、複数の希土類元素を含有するミッシュメタル(以下、Mmと略すことがある。)、Pdなどを例示できる。また、Bとしては、Fe、Co、Ni、Cr、Pt、Cu、Ag、Mn、Zn、Alなどを例示できる。
具体的な水素吸蔵合金として、六方晶CaCu型結晶構造を示すAB型、六方晶MgZn型若しくは立方晶MgCu型結晶構造を示すAB型、立方晶CsCl型結晶構造を示すAB型、六方晶MgNi型結晶構造を示すAB型、体心立方晶構造を示す固溶体型、並びに、AB型及びAB型の結晶構造が組み合わされたAB型、A型及びA19型のものを例示できる。水素吸蔵合金は、以上の結晶構造のうち、1種類を有するものでもよいし、また、以上の結晶構造の複数を有するものでもよい。
AB型水素吸蔵合金として、LaNi、CaCu、MmNiを例示できる。AB型水素吸蔵合金として、MgZn、ZrNi、ZrCrを例示できる。AB型水素吸蔵合金として、TiFe、TiCoを例示できる。AB型水素吸蔵合金として、MgNi、MgCuを例示できる。固溶体型水素吸蔵合金として、Ti−V、V−Nb、Ti−Crを例示できる。AB型水素吸蔵合金として、CeNiを例示できる。A型水素吸蔵合金として、CeNiを例示できる。A19型水素吸蔵合金として、CeCo19、PrCo19を例示できる。上記の各結晶構造において、一部の金属を、他の1種類若しくは複数種類の金属又は元素で置換してもよい。
また、ニッケル金属水素化物電池用の負極活物質として、希土類−Mg−Ni系の水素吸蔵合金が知られている。この種の水素吸蔵合金は、希土類元素、Mg及びNiを含むものであり、A型の水素吸蔵合金、A19型の水素吸蔵合金、AB型の水素吸蔵合金と呼ばれるものの総称である。
水素吸蔵合金の形状は特に問わないが、粒子状であるのが好ましい。水素吸蔵合金の粒子の粒径や形状は特に問わないが、負極活物質として使用することを考慮すると、充分に小さいものであるのが好ましい。具体的には、水素吸蔵合金の粒子の平均粒子径は、1〜100μmの範囲内が好ましく、3〜50μmの範囲内がより好ましく、5〜30μmの範囲内がさらに好ましい。更には、水素吸蔵合金の粒子の平均粒子径は27μm以下であるのが好ましく、20μm以下であるのがより好ましく、15μm以下であるのが更に好ましく、10μm以下であるのが特に好ましい。
なお、本明細書で単に平均粒子径と言う場合には、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置で試料を測定した場合におけるD50を意味する。
水素吸蔵合金は、負極活物質層全体の質量に対して、85〜99質量%で含まれるのが好ましく、90〜98質量%で含まれるのがより好ましい。
直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤は、具体的には、1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム、1−オクタンスルホン酸ナトリウム、1−デカンスルホン酸ナトリウム、1−ドデカンスルホン酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及び、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸型界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸ナトリウム、及び、ラウリル硫酸アンモニウム等の硫酸エステル型界面活性剤、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩等の脂肪酸エステル型界面活性剤が例示される。
当該直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤はフッ素を含まないものであることが好ましい。上記の直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤のうち、1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム、1−オクタンスルホン酸ナトリウム、1−デカンスルホン酸ナトリウム、1−ドデカンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、及び、ラウリル硫酸アンモニウム等の、炭化水素基が直鎖アルキル基のみで構成されるものを選択するのがより好ましく、直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤はナトリウム塩であるのが特に好ましい。
直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤は、単独で用いても良いし2種以上を併用しても良い。負極活物質層は、直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤以外の界面活性剤を含んでも良いが、界面活性剤として直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤のみを含むのが好ましい。
負極活物質層への直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤の好ましい添加量として、負極活物質100質量部に対して、0.005質量部以上、0.01質量部以上、0.02質量部以上、0.025質量部以上、0.03質量部以上、及び、0.04質量部以上の各範囲が挙げられる。直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤の添加量の上限を含めた範囲としては、負極活物質100質量部に対して、1質量部以下、0.5質量部以下、0.1質量部以下、0.08質量部以下、及び、0.06質量部以下の各範囲が挙げられる。
また、負極活物質層100質量部に対する直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤の添加量としては、0.004質量部以上、0.009質量部以上、0.017質量部以上、0.021質量部以上、0.026質量部以上、及び、0.034質量部以上の各範囲が挙げられる。負極活物質層100質量部に対する直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤の添加量の上限を含めた範囲としては、0.99質量部以下、0.495質量部以下、0.099質量部以下、0.792質量部以下、及び、0.059質量部以下の各範囲が挙げられる。
なお、ここでいう負極活物質層100質量部は、後述する、負極用スラリーの固形分100質量部と読み替えることもできる。
負極添加剤は、ニッケル金属水素化物電池の電池特性を向上させるために負極に添加されるものである。負極添加剤としては、ニッケル金属水素化物電池の負極添加剤として用いられるものであれば限定されない。具体的な負極添加剤として、CeF及びYFなどの希土類元素のフッ化物、Bi及びBiFなどのビスマス化合物、In及びInFなどのインジウム化合物、並びに、正極添加剤として後述する化合物を挙げることができる。
負極活物質層には、負極添加剤が負極活物質層全体の質量に対して、0.1〜10質量%で含まれるのが好ましく、0.5〜5質量%で含まれるのがより好ましい。
結着剤は水素吸蔵合金などを負極集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。結着剤としては、ニッケル金属水素化物電池の電極用結着剤として用いられるものであれば限定されない。具体的な結着剤として、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン及びフッ素ゴムなどの含フッ素樹脂、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリイミド及びポリアミドイミドなどのイミド系樹脂、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、スチレンブタジエンゴムなどの共重合体、並びに、(メタ)アクリル酸誘導体をモノマー単位として含有する、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸及びポリメタクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系樹脂を例示できる。
負極活物質層には、結着剤が負極活物質層全体の質量に対して、0.1〜15質量%で含まれるのが好ましく、1〜10質量%で含まれるのがより好ましく、2〜7質量%で含まれるのがさらに好ましい。結着剤が少なすぎると負極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると負極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤は、粉末状態で負極活物質層に添加しても良いし、水素吸蔵合金の粒子の表面を被覆した状態で用いても良い。導電助剤は、化学的に不活性な電子伝導体であれば良い。具体的な導電助剤としては、コバルト、ニッケル、銅などの金属、コバルト酸化物などの金属酸化物、コバルト水酸化物などの金属水酸化物、カルボニルニッケルなどの金属の一酸化炭素錯体、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維などの炭素材料が例示される。これらは単独で用いても良いし2種以上を併用しても良い。
負極活物質層は導電助剤を含み得る。負極活物質層には、導電助剤が負極活物質層全体の質量に対して、0.1〜5質量%で含まれるのが好ましく、0.2〜3質量%で含まれるのがより好ましく、0.3〜1質量%で含まれるのが更に好ましい。導電助剤が少なすぎると効率の良い導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
負極集電体の表面に負極活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、負極集電体の表面に水素吸蔵合金や直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤等を含有する負極用スラリーを塗布すればよい。具体的には、水素吸蔵合金、直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤、溶剤、並びに必要に応じて結着剤、導電助剤及び添加剤を混合してスラリーとし、当該スラリーを負極集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
本発明のニッケル金属水素化物電池は、上記したニッケル金属水素化物電池用負極以外に、正極、電解液及びセパレータを具備する。以下、本発明のニッケル金属水素化物電池について説明する。
正極は、正極集電体と正極集電体の表面に形成された正極活物質層とを含む。正極活物質層は、正極活物質であるニッケル水酸化物を含み、必要に応じて正極添加剤、結着剤及び導電助剤を含む。
正極集電体としては、負極集電体と同様の材料を用いた負極集電体と同様の形状のものを用い得る。なお、正極集電体に関しては、従来型の多孔質の集電体を選択しても良い。
正極活物質としては、ニッケル金属水素化物電池の正極活物質として用いられるニッケル水酸化物であれば良く、その一部に他の金属がドープされていても良い。具体的な正極活物質として、水酸化ニッケル、金属をドープした水酸化ニッケルを例示できる。水酸化ニッケルにドープする金属として、マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素、コバルト、ロジウム、イリジウムなどの第9族元素、亜鉛、カドミウムなどの第12族元素を例示できる。
正極活物質の表面は公知の方法で処理されてもよい。以下、特に説明のない場合には、正極活物質とは、表面処理を行った正極活物質と未処理の正極活物質とを総称したものとする。正極活物質は粉末状態が好ましく、また、その平均粒子径としては1〜100μmの範囲内が好ましく、3〜50μmの範囲内がより好ましく、5〜30μmの範囲内が更に好ましい。
正極活物質層には、正極活物質が正極活物質層全体の質量に対して、75〜99質量%で含まれるのが好ましく、80〜97質量%で含まれるのがより好ましく、82〜95質量%で含まれるのが更に好ましい。
正極活物質層は、導電助剤を含み得る。導電助剤は、負極の項で説明したものから適宜選択し使用すれば良い。
正極活物質層には、導電助剤が正極活物質層全体の質量に対して、0.5〜15質量%で含まれるのが好ましく、1〜12質量%で含まれるのがより好ましく、3〜10質量%で含まれるのが更に好ましい。
正極添加剤は、ニッケル金属水素化物電池の電池特性を向上させるために正極に添加されるものである。正極添加剤としては、ニッケル金属水素化物電池の正極添加剤として用いられるものであれば限定されない。具体的な正極添加剤として、Nbなどのニオブ化合物、WO、WO、LiWO、NaWO及びKWOなどのタングステン化合物、Ybなどのイッテルビウム化合物、TiOなどのチタン化合物、Yなどのイットリウム化合物、ZnOなどの亜鉛化合物、CaO、Ca(OH)及びCaFなどのカルシウム化合物、並びに、その他の希土類酸化物を例示できる。
正極活物質層には、正極添加剤が正極活物質層全体の質量に対して、0.1〜10質量%で含まれるのが好ましく、0.5〜5質量%で含まれるのがより好ましい。
結着剤については負極と同様である。
正極集電体の表面に正極活物質層を形成する方法としては負極と同様の方法を用いれば良い。
セパレータは、正極と負極とを隔離して、両極の接触による短絡を防止しつつ、電解液の貯留空間及び通路を提供するものである。セパレータとしては、公知のものを採用すればよく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
セパレータは、表面に親水化処理が施されていることが好ましい。親水化処理としては、スルホン化処理、コロナ処理、フッ素ガス処理、プラズマ処理を例示できる。
電解液は、ニッケル金属水素化物電池用の電解液として一般に用いられる強塩基水溶液を用いれば良い。強塩基水溶液として、具体的には、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液が挙げられる。電解液としては、一種のみの強塩基水溶液を用いても良いし、複数種の強塩基水溶液を混合して用いても良い。
また、電解液には、ニッケル金属水素化物電池用電解液に採用される公知の添加剤が添加されていてもよい。
ニッケル金属水素化物電池の製造方法としては、正極及び負極に必要に応じてセパレータを挟装させ電極体とし、正極の集電体及び負極の集電体から外部に通ずる正極端子及び負極端子までを集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてニッケル金属水素化物電池とするとよい。
ニッケル金属水素化物電池の形状は特に限定されるものでなく、角型、円筒型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
以上、本発明の負極及びニッケル金属水素化物電池を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
(実施例1)
<負極>
負極活物質として、ニッケルでメッキされた水素吸蔵合金を用いた。水素吸蔵合金としては、(La,Sm,Mg)(Ni,Al)で表されるA型の希土類−Mg−Ni系の水素吸蔵合金の粒子を用いた。当該水素吸蔵合金粒子の平均粒子径は25μmであった。
水素吸蔵合金のメッキは以下の方法で行った。
<メッキ溶液調製工程>
先ず、NiSO・6HOを3.0g、マロン酸を1.5gずつ計り取り、75gの蒸留水を加えた。これを90℃に加熱して溶液とし、更にこの溶液を80℃に保ちつつpH4〜5となるようにNaOHを添加して、メッキ溶液を得た。
<メッキ工程>
還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを1.0g計り取り、100mlになるまで蒸留水を加えて、還元剤溶液を得た。
水素吸蔵合金粒子として、(La,Sm,Mg)(Ni,Al)で表されるA型水素吸蔵合金の粒子を用いた。
容積1Lのガラス製反応槽に、上記の水素吸蔵合金粒子を60g添加し、反応槽内の液量が400mlになるように蒸留水を加えて、スラリー状の水素吸蔵合金粒子分散液とした。
パドル型撹拌羽根を用いて反応槽内の水素吸蔵合金粒子分散液を撹拌した。この反応槽に有機化合物系分散剤として0.03gのポリビニルピロリドンを添加し攪拌した後、更に、メッキ溶液と還元剤溶液とを滴下した。このメッキ混合液を一時間程度攪拌した。この工程により、水素吸蔵合金の表面にメッキ層を形成した。
その後速やかに、メッキ層を有する水素吸蔵合金を濾別し、濾別した固形分、つまり負極活物質を純水で洗浄した。洗浄後の負極活物質を真空乾燥した。この工程により乾燥した粉末状の負極活物質を得た。
<加熱工程>
上記したメッキ工程後、真空乾燥を経た負極活物質を加熱炉に入れ、アルゴン雰囲気下にて室温から325℃に昇温して加熱した。
当該加熱工程後の負極活物質を用いて、以下のように負極を製造した。
上記の負極活物質を96.85質量部、直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム(SDS)を0.05質量部、導電助剤としてカーボンブラックを0.4質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルション(ジョンクリルPDX7341、BASF社)を固形分として2質量部、結着剤としてカルボキシメチルセルロースを0.7質量部、及び、適量のイオン交換水を混合して、スラリーを製造した。なお、実施例1において、SDSの添加量は負極活物質の0.05質量%であった。
なお、上記した負極用スラリーの固形分の配合比を基に算出される、負極活物質層における直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤の割合は0.05質量%であった。
負極集電体として厚み10μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、ニッケル箔をプレスし、接合物を得た。得られた接合物を乾燥機で70℃、1時間加熱乾燥して、集電体上に負極活物質層が形成された実施例1の負極を製造した。
<正極>
正極活物質として水酸化コバルトがコートされた水酸化ニッケル粉末を92.8質量部、導電助剤としてコバルト金属粒子を3質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルション(ジョンクリルPDX7341、BASF社)を固形分として3.5質量部、結着剤としてカルボキシメチルセルロースを0.7質量部、及び、適量のイオン交換水を混合して、スラリーを製造した。ここで用いた正極活物質の平均粒子径は10μmであった。
正極集電体として厚み10μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、ニッケル箔をプレスし、接合物を得た。得られた接合物を乾燥機で70℃、1時間加熱乾燥して、集電体上に正極活物質層が形成された正極を製造した。
<電解液>
水酸化カリウムの濃度が5.5mol/Lであり、水酸化ナトリウムの濃度が0.5mol/Lであり、かつ、水酸化リチウムの濃度が0.5mol/Lである水溶液を調製し、電解液とした。
<電池>
セパレータとして、スルホン化処理が施された厚さ120μmのポリプロピレン繊維製不織布を準備した。正極と負極とでセパレータを挟持し、極板群とした。樹脂製の筐体に、極板群を配置して、更に電解液を注入し、筐体を密閉することで、実施例1のニッケル金属水素化物電池を製造した。
(比較例1)
負極活物質層に直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を添加しなかったこと以外は、実施例1の負極と同様に、比較例1の負極を製造した。
実施例1と同じニッケルメッキされた水素吸蔵合金を負極活物質として用い、負極活物質層用のスラリーを製造した。具体的には、比較例1における負極活物質層用のスラリーの組成は、負極活物質を96.9質量部、導電助剤としてカーボンブラックを0.4質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルション(ジョンクリルPDX7341、BASF社)を固形分として2質量部、結着剤としてカルボキシメチルセルロースを0.7質量部、及び、適量のイオン交換水であった。それ以外は実施例1と同様に、比較例1の負極及び比較例1のニッケル金属水素化物電池を製造した。
(評価1 容量利用率)
先ず、未充電の実施例1及び比較例1のニッケル金属水素化物電池に対して、以下の表1に示す活性化処理を行った。
Figure 2019133788
上記の活性化処理における2〜4サイクル目における容量利用率を算出した。容量利用率は、放電容量を充電容量で除した値である。結果を表2に示す。
Figure 2019133788
表2に示すように、活性化2サイクル目、3サイクル目及び4サイクル目の全てにおいて、実施例1のニッケル金属水素化物電池の容量利用率は比較例1のニッケル金属水素化物電池の容量利用率よりも高い値を示した。実施例1のニッケル金属水素化物電池と比較例1のニッケル金属水素化物電池との違いは、負極活物質層に直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を添加したか否かという点のみであるため、負極活物質層への直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤の添加が、ニッケル金属水素化物電池の容量利用率向上に有効であるといえる。
(評価2 エージング評価)
上記の活性化処理後、実施例1及び比較例1のニッケル金属水素化物電池について、SOC100%に調整した。その後、各ニッケル金属水素化物電池についてSOC100%の状態を維持しつつ、50℃で加熱することで、各ニッケル金属水素化物電池をエージングした。なお、ここでいうSOC100%の状態とは、各ニッケル金属水素化物電池が1.40Vとなった状態を意味する。
上記のエージングを開始してから4日後に、50Cで0.88V付近まで各ニッケル金属水素化物電池を放電し、放電開始から放電完了までの放電秒数を測定した。当該放電秒数の長いニッケル金属水素化物電池は、放電性能に優れるといえる。結果を表3に示す。
Figure 2019133788
エージングを開始してから4日後の放電秒数は、比較例1のニッケル金属水素化物電池では14.5秒であったのに対し、実施例1のニッケル金属水素化物電池では15.8秒と比較例1のニッケル金属水素化物電池よりも長くなっていた。
上記したように放電秒数が長いニッケル金属水素化物電池は放電性能に優れるといえるため、放電秒数の長い実施例1のニッケル金属水素化物電池は、比較例1のニッケル金属水素化物電池に比べて放電性能に優れるといえる。
実施例1と比較例1との結果の違いは、負極活物質の破損にその一因があると推測される。負極活物質に破損が生じるということは、電極活物質層の部分毎に、電極活物質の電池反応に偏りが生じている可能性がある。当該電池反応の偏りは、負極活物質層への電解液の浸透ムラにその一因があると推測される。
評価2において、実施例1のニッケル金属水素化物電池の放電性能が比較例1のニッケル金属水素化物電池の放電性能に比べて優れていたことから、負極活物質層に直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を添加したことで、負極活物質層と電解液との親和性が高まり、負極活物質層に充分な量の電解液が供給されたものと考えられる。
(評価3 DC−IR〔1〕)
評価2におけるエージング開始4日後、8日後及び12日後の実施例1及び比較例1の各ニッケル金属水素化物電池につき、以下の方法で内部直流抵抗(DC−IR)を測定した。
各ニッケル金属水素化物電池について、SOC60%に調整し、25℃、50Cレートで放電し、放電の際の電圧の変化量を測定した。オームの法則により、50Cレートによる放電開始から5秒間の電圧変化量を電流値で除して、抵抗値(DC−IR)を算出した。この値を、SOC60%、50C、5秒間でのDC−IRとした。結果を表4に示す。
Figure 2019133788
表4に示すように、実施例1のニッケル金属水素化物電池では、比較例1のニッケル金属水素化物電池に比べて、エージング開始後4日後、8日後、12日後の何れの時点においてもDC−IRが低減した。
DC−IRが小さければ、エージングによって負極活物質層が好適化されたと考えられ、ニッケル金属水素化物電池の出力特性が向上すると推測される。したがって、この結果から、負極活物質層に直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を含む本発明のニッケル金属水素化物電池においては、エージングの効果がより良好に得られるといい得る。
(評価4 断面分析)
エージング12日後の実施例1及び比較例1の各ニッケル金属水素化物電池の負極を取り出し、エネルギー分散型X線分析(Energy Dispersive X−ray spectrometry)にて各負極の断面におけるNi、Mg及びLaの分布を分析した。その結果、エージング12日後の比較例1のニッケル金属水素化物電池の負極活物質層ではNi及びLaの偏析がみられた。これに対し、エージング12日後の実施例1のニッケル金属水素化物電池の負極活物質層ではNi及びLaが均一に分散していた。
この結果は、比較例1のニッケル金属水素化物電池においては、負極活物質の破損が進行し、負極活物質すなわち水素吸蔵合金に含まれるLaやMgが溶出したことを裏付ける。そして、実施例1のニッケル金属水素化物電池においては、負極活物質の破損が抑制されたことを裏付ける。これらの結果から、実施例1のニッケル金属水素化物電池用負極においては、負極活物質の破損が抑制されたということができる。そして、実施例1と比較例1との相違点が負極活物質層への直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤の添加の有無であることから、直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を負極活物質層に添加することで負極活物質の破損を抑制できるといい得る。
以下の比較例により、正極活物質層に直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を添加することによる、ニッケル金属水素化物電池の電池特性への効果を検討した。
(参考例1)
正極以外は実施例1のニッケル金属水素化物電池と同様に、参考例1のニッケル金属水素化物電池を製造した。
<正極>
正極活物質として水酸化コバルトがコートされた水酸化ニッケル粉末を92.75質量部、直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤としてSDSを0.05質量部、導電助剤としてコバルト金属粒子を3質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルション(ジョンクリルPDX7341、BASF社)を固形分として3.5質量部、結着剤としてカルボキシメチルセルロースを0.7質量部、及び、適量のイオン交換水を混合して、スラリーを製造した。ここで用いた正極活物質の平均粒子径は10μmであった。
なお、参考例1において、SDSの添加量は、正極活物質の0.05質量%であった。また、正極用スラリーの配合比を基に算出される、正極活物質層における直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤の割合は0.05質量%であった。
正極集電体として厚み10μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、ニッケル箔をプレスし、接合物を得た。得られた接合物を乾燥機で70℃、1時間加熱乾燥して、集電体上に正極活物質層が形成された参考例1の正極を製造した。
(比較例2)
加熱工程における加熱温度を350℃としたこと以外は参考例1の負極と同様に、比較例2の負極を製造した。
また、正極活物質層に直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を添加しなかったこと以外は参考例1の正極と同様に、比較例2の正極を製造した。
具体的には、比較例2における正極活物質層のスラリーの組成は、正極活物質を92.8質量部、導電助剤としてコバルト金属粒子を3質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルション(ジョンクリルPDX7341、BASF社)を固形分として3.5質量部、結着剤としてカルボキシメチルセルロースを0.7質量部、及び、適量のイオン交換水であった。
比較例2の負極及び正極を用い、参考例1と同様に、比較例2のニッケル金属水素化物電池を製造した。
(評価5 エージング評価)
未充電の参考例1及び比較例2のニッケル金属水素化物電池に対して、上記表1の活性化処理を行い、その後、評価2と同様のエージング評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2019133788
エージングを開始してから4日後の放電秒数は、正極活物質層に直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を添加しなかった比較例23のニッケル金属水素化物電池では19.1秒であったのに対し、正極活物質層に直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を添加した参考例1のニッケル金属水素化物電池では12.8秒と、悪化していた。
この結果から、正極活物質層に所定量以上の直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を添加すると、直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を添加しない場合よりも、エージングの際のニッケル金属水素化物電池の放電性能の低下が促進されるといえる。つまり、エージングによる放電性能への影響を考慮すると、正極活物質層への直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤の添加量には、好ましい範囲があると考えられる。上記評価5の結果から、正極活物質層への直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤の添加量は、0.04質量%以下であるのが好ましく、0.025質量%以下であるのが更に好ましく、0.01質量%以下であるのが特に好ましいといえる。更には、直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤は負極活物質層のみに添加するのがなお好ましいといえる。
(参考例2)
正極活物質層に、SDSにかえてベンゼンスルホン酸(BS)を添加したこと以外は参考例1と同様に、参考例2の正極及びニッケル金属水素化物電池を製造した。なお、BSは直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤ではないが、界面活性剤として機能する。
(評価6 エージング評価)
未充電の参考例2のニッケル金属水素化物電池に対して、上記表1の活性化処理を行い、その後、評価2及び評価5と同様のエージング評価を行った。結果を表6に示す。なお、表6には、評価5における比較例2の結果も併記した。
Figure 2019133788
表6に示すように、参考例2のニッケル金属水素化物電池においても、エージングを開始してから4日後の放電秒数は15.7秒と、比較例2のニッケル金属水素化物電池に比べて悪化していた。この結果及び既述した評価2及び評価5の結果を勘案すると、正極活物質層への直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤の添加量は上記の範囲内とするのが好ましく、更には、正極活物質層には界面活性剤を添加せず、界面活性剤は負極のみに添加するのがより好ましいといえる。
(比較例3)
正極活物質層に、SDSにかえてオクチルフェノールエトキシレート(所謂トリトンX)を添加したこと以外は参考例1と同様に、比較例3の正極を製造した。なお、トリトンXは直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤ではないが、界面活性剤として機能する。
(評価7 電解液に対する正極活物質層の親和性)
参考例1、比較例2、参考例2、及び比較例3の各正極における正極活物質層に、各々一滴の電解液を滴下した。各正極活物質層への電解液の滴下量は、各々等量とした。滴下後の各正極を12時間静置した後に、各正極活物質層における電解液の滲みた部分の直径を測定した。当該直径が大きい程、多くの電解液が正極活物質層に滲みたとみなすことができ、電解液に対する正極活物質層の親和性が向上したとみなすことができる。
電解液に対する正極活物質層の親和性は、参考例1(SDS含有)>参考例2(BS含有)>比較例3(トリトンX含有)>比較例2(界面活性剤無し)であった。この結果から、直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤であるSDSを含有する電極活物質層は、他の界面活性剤を含有する電極活物質層や界面活性剤を含有しない電極活物質層に比べて、電解液に対する親和性が向上するといえる。
(評価8 電解液に対する負極活物質層の親和性)
実施例1及び比較例1の負極につき、上記の評価7と同様の方法で電解液に対する親和性を評価した。
その結果、電解液に対する負極活物質層の親和性もまた、実施例1(SDS含有)>比較例1(界面活性剤無し)となった。この結果から、直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤であるSDSを負極活物質層に配合することで、電解液に対する負極活物質層の親和性を向上させ得ることが裏付けられる。

Claims (8)

  1. 箔状の負極集電体と、
    水素吸蔵合金及び直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を含有し前記負極集電体の表面に形成された負極活物質層と、を有する、ニッケル金属水素化物電池用負極。
  2. 前記水素吸蔵合金は希土類−Mg−Ni系の水素吸蔵合金である、請求項1に記載の負極。
  3. 前記負極活物質層は、0.02質量%以上の前記直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を含有する、請求項1又は請求項2に記載の負極。
  4. 前記直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤は、スルホン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、又は脂肪酸エステル型界面活性剤から選択される、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の負極。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の負極と、
    箔状の正極集電体と、ニッケル水酸化物を含有し前記正極集電体の表面に形成された正極活物質層と、を有する正極と、
    強塩基水溶液を含有する電解液と、を有するニッケル金属水素化物電池。
  6. 前記正極活物質層は前記直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を含まない、請求項5に記載のニッケル金属水素化物電池。
  7. 水素吸蔵合金及び直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤を含有し、固形分100質量部に対する前記直鎖アルキル含有アニオン系界面活性剤の含有量が0.02質量部以上であるスラリーを製造する工程と、
    前記スラリーを箔状の負極集電体に塗布し乾燥して負極活物質層を形成する工程と、を具備する、負極の製造方法。
  8. 請求項7に記載の方法により負極を製造する工程を有する、ニッケル金属水素化物電池の製造方法。
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