JP2019131508A - ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤による組み合わせ癌療法 - Google Patents

ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤による組み合わせ癌療法 Download PDF

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Abstract

【課題】抗癌剤に対する応答性を高める癌の治療方法の提供。【解決手段】癌に罹っている哺乳類における癌の治療方法であって:治療上の有効量の白金を基にした抗癌剤を前記対象に投与し;治療上の有効量の下式のペンタアザ大環状環複合体を、前記抗癌剤の投与前、投与時、又は投与後に対象に投与する方法。【選択図】なし

Description

本開示は、一般に、ペンタアザ大環状環複合体を白金を基にした抗癌剤と組み合わせて投与することを含む癌治療のための組み合わせ療法に関する。
式Aに相当する大環状環基を有する遷移金属含有ペンタアザ大環状環複合体は、ヒト疾患の多くの動物および細胞モデル、ならびに疾患に罹っているヒト患者の治療に有効であることが示されている。
Figure 2019131508
例えば、大腸炎のげっ歯類モデルにおいて、1つのこのような化合物、GC4403は、大腸炎の実験モデルに施されたラット大腸に対する傷害を極めて減少させることが報告されている(Cuzzocrea et al., Europ. J. Pharmacol., 432, 79-89 (2001)を参照)。
Figure 2019131508
GC4403は、急性の放射線で誘発された口腔粘膜炎の臨床的に関連するハムスターモデル(Murphy et al., Clin. Can. Res., 14(13), 4292 (2008))、ならびに成体マウスの致命的な全身照射(Thompson et al., Free Radical Res., 44(5), 529-40 (2010))の両方で生じる放射線損傷を弱めることが報告されている。同様に、別のこのような化合物であるGC4419は、モデルラットにおけるVEGFr阻害剤誘発性の肺疾患を弱めることが示されている(Tuder, et al., , Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., 29, 88-97 (2003))。また、別のこのような化合物であるGC4401は、敗血症ショック(S. Cuzzocrea, et.al., Crit. Care Med., 32(1), 157 (2004))および膵炎(S. Cuzzocrea, et.al., Shock, 22(3), 254-61 (2004))の動物モデルにおいて保護効果を生じることが示されている。
Figure 2019131508
一定のこれらの化合物はまた、強力な抗炎症活性を有し、インビボで酸化損傷を抑制することが示されている。例えば、GC4403は、炎症モデルラットにおける炎症を阻害し(Salvemini, et.al., Science, 286, 304 (1999))、コラーゲン誘発性関節炎のモデルラットにおける関節疾患を予防することが報告されている(Salvemini et al., Arthritis & Rheumatism, 44(12), 2009-2021 (2001))。更に他のこれらの化合物、MdPAMおよびMnBAMは、結腸組織傷害および結腸組織への好中球蓄積の阻害におけるインビボ活性が示されている(Weiss et al., The Journal of Biological Chemistry, 271(42), 26149-26156 (1996))。さらに、これらの化合物は、鎮痛作用を有し、ラット足カラゲニン痛覚過敏モデルにおける炎症および浮腫を減少させることが報告されている(例えば、米国特許第6,180,620号を参照のこと)。
このクラスの化合物はまた、ヒト対象における疾患の予防および治療において安全でかつ有効であることが示されている。例えば、GC4419は、放射線化学療法を受けている頭頚部癌患者における経口粘膜炎を減少させることが示されている(Anderson, C., Phase 1 Trial of Superoxide Dismutase (SOD) Mimetic GC4419 to Reduce Chemoradiotherapy (CRT)-Induced Mucositis (OM) in 患者s (pts) with Mouth or Oropharyngeal Carcinoma (OCC), Oral Mucositis Research Workshop, MASCC/ISOO Annual Meeting on Supportive Care in Cancer, Copenhagen, Denmark (June 25, 2015))。
さらに、このクラスに相当する遷移金属を含有するペンタアザ大環状環複合体は、様々な癌の治療に有効性を示している。例えば、このクラスに相当する一定の化合物は、癌治療、例えば、結腸直腸癌および肺癌(非小細胞肺癌)の治療を高めるためにパクリタキセルおよびゲムシタビンなどの薬剤と組み合わせて提供されている(例えば、米国特許番号第9,998,893号を参照)。上記の4403化合物はまた、Meth A紡錘細胞扁平上皮癌およびRENCA腎癌のインビボモデルにおける治療に用いられ(Samlowski et al., Nature Medicine, 9(6), 750-755 (2003))、紡錘細胞扁平上皮癌転移における治療で用いられる(Samlowski et al., Madame Curie Bioscience Database (Internet), 230-249 (2006))。上記の4419化合物はまた、インビボモデルの治療を高めるために、シスプラチンおよび放射線の投与に関する治療との組み合わせなどの癌治療と組み合わせて用いられる(Sishc et al., poster for Radiation Research Society (2015))。
白金を基にした抗癌剤(例えば、シスプラチンおよびオキサリプラチン)は、癌細胞におけるDNA損傷の誘発によって作用し(Cruet-Hennequart et al, DNA Repair, 7(4): 582-596 (2008))、癌治療において極めて有効であることが示されている(Kellan et al, J. Inorg Biochem, 77(1-2); 121-124 (1999); Wang X, Anticancer Agents Med Chem, 10(5): 396-411 (2010); Dilruba et al, Cancer Chemother Pharmacol, 77(6): 1103-1124 (2016))。しかしながら、白金を基にした抗癌剤(例えば、シスプラチン)が化学療法薬として広く用いられる一方で、このような薬剤はまた、その投与に伴う毒性(例えば、腎毒性、中毒性難聴、胃毒性、および骨髄毒性)を有することが多い(Miller et al., Toxins (Basel), 2(11): 2490-2518 (2010))。従って、このような白金を基にした抗癌剤の使用は、それに伴う毒性効果を最少にする必要性によって制限されうる。
従って、癌細胞の死滅に改善された有効性を提供しつつ、正常な細胞と比較して癌細胞の死滅に良好な選択性も供する高められた癌の治療法に対して必要性は存在する。これらの治療を受ける患者の予後を改善する高められた治療方法もまた必要とされている。白金を基にした抗癌剤(例えば、シスプラチン)に伴う毒性効果を減らす治療方法もまた必要とされている。
よって、簡単に説明すると、本開示の態様は、癌に罹っている哺乳類対象における癌の治療方法であって、治療上の有効量の白金を基にした抗癌剤を前記対象に投与することを特徴とし、ならびに治療上の有効量の下記の式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、投与後に前記対象に投与して、前記白金を基にした抗癌剤に対する前記癌の応答性を高めることを特徴とする方法に関するものである。
Figure 2019131508
(I)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
Zは、対イオンであり;
nは、0〜3の整数であり;ならびに
点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]
本開示の別の態様は、感受性を高めることを必要とする対象における白金を基にした抗癌剤による治療に対する哺乳類対象の感受性を高める方法であって、治療上の有効量の下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与して、前記白金を基にした抗癌剤に対する治療応答性を高めることを特徴とする方法に関するものである。
Figure 2019131508
(I)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
Zは、対イオンであり;
nは、0〜3の整数であり;ならびに
点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]
本開示の別の態様は、治療を必要とする哺乳類対象における白金を基にした抗癌剤による治療に伴う哺乳類対象に対する毒性効果を減少させる方法であって、
治療上の有効量の白金を基にした抗癌剤を前記対象に投与し;次いで
治療上の有効量の下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与して、前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させることを特徴とする方法に関するものである。
Figure 2019131508
(I)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
Zは、対イオンであり;
nは、0〜3の整数であり;ならびに
点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]
本開示の別の態様は、治療を必要とする哺乳類対象における白金を基にした抗癌剤による治療に伴う毒性効果を治療し、および/または前記毒性効果のリスクを減少させる方法であって、治療上の有効量の下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与して、前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させることを特徴とする方法に関するものである。
Figure 2019131508
(I)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
Zは、対イオンであり;
nは、0〜3の整数であり;ならびに
点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]
他の対象および特徴は一部明らかであり、一部下記に示されている。
図1は、培地中のH460細胞の生存におけるGC4419の効果を示す。 図2は、培地中のH1299CAT細胞の生存におけるGC4419、シスプラチンおよびカタラーゼ過剰発現の効果を示す。 図3は、H460細胞中のPARP活性化におけるGC4419およびシスプラチンの効果を示す。 図4は、H1299細胞中のPARP活性化におけるGC4419およびシスプラチンの効果を示す。 図5は、H460細胞中のPARP活性化におけるGC4419、シスプラチンおよび放射線の効果を示す。 図6Aは、H1299細胞中のPARP活性化におけるGC4419、シスプラチンおよび放射線の効果を示す。 図6Bは、シスプラチンおよびGC4419によるH1299CAT細胞の処理を示す。 図6Cは、シスプラチン、IRおよびGC4419によるH1299CAT細胞の処理を示す。 図7Aは、シスプラチンおよびGC4419処理による癌細胞株における総活性酸素種を示す。 図7Bは、シスプラチンおよびGC4419処理による癌細胞株における総活性酸素種を示す。 図7Cは、シスプラチンおよびGC4419処理による癌細胞株における総活性酸素種を示す。 図7Dは、シスプラチンおよびGC4419処理による癌細胞株における総活性酸素種を示す。 図8Aは、シスプラチンおよびGC4419処理による癌細胞におけるミトコンドリアのスーパーオキシドを示す。 図8Bは、シスプラチンおよびGC4419処理による癌細胞におけるミトコンドリアのスーパーオキシドを示す。 図8Cは、シスプラチンおよびGC4419処理による癌細胞におけるミトコンドリアのスーパーオキシドを示す。 図8Dは、シスプラチンおよびGC4419処理による癌細胞におけるミトコンドリアのスーパーオキシドを示す。 図9Aは、シスプラチンおよびGC4419処理による癌細胞における過酸化水素を示す。 図9Bは、シスプラチンおよびGC4419処理による癌細胞における過酸化水素を示す。 図9Cは、シスプラチンおよびGC4419処理による癌細胞における過酸化水素を示す。 図9Dは、シスプラチンおよびGC4419処理による癌細胞における過酸化水素を示す。 図10Aは、シスプラチンで処理したマウスにおけるBUNおよびクレアチニンレベルを示す。 図10Bは、シスプラチンで処理したマウスにおけるKIM1およびNGALバイオマーカーを示す。 図10Cは、シスプラチンで誘発された体重減少を示す。 図10Dは、シスプラチンで処理したマウスにおける生存率を示す。 図11Aは、シスプラチンで誘発された血小板減少を示す。 図11Bは、GC4419および白血球数を示す。 図11Cは、シスプラチンで誘発された好中球減少を示す。 図11Dは、シスプラチンで誘発された好酸球増加を示す。
略語および定義
下記の定義および方法は、本発明をより明確にし、当業者が本発明の実施を可能とするために提供される。特に示されていない限り、用語は、当業者によって慣用的な使用によって理解されるべきである。
「アシル」は、−COR部分(式中、Rは、本明細書で定義されるように、アルキル、ハロアルキル、適宜置換されていてもよいアリール、または適宜置換されていてもよいヘテロアリールである)を意味し、例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルなどである。
「アシルオキシ」は、−OCOR部分(式中、Rは、本明細書で定義されるように、アルキル、ハロアルキル、適宜置換されていてもよいアリール、または適宜置換されていてもよいヘテロアリールである)を意味し、例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルなどである。
「アルコキシ」は、−OR部分(式中、Rは、本明細書で定義されるように、アルキルである)を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、n−、イソ−、またはtert−ブトキシなどである。
「アルキル」は、直鎖飽和一価炭化水素部分(例えば、1〜6個の炭素原子)または分岐鎖飽和一価炭化水素部分(例えば、3〜6個の炭素原子)を意味し、例えば、C−Cアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、ブチル(全ての異性体形態を含む)、ペンチル(全ての異性体形態を含む)などである。
さらに、他に示されていない限り、本明細書で用いられる用語「アルキル」は、「無置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含むものとされ、これらのうちの後者は、炭化水素骨格の1つまたはそれ以上の炭素において水素を置換する置換基を有するアルキル部分を意味する。実際、他に示されていない限り、本明細書に記載の全ての基は、置換および無置換の両方の選択肢を含むものとされる。
用語「Cx−y」は、化合物部分(例えば、アルキルおよびアラルキル)と一緒に用いられる場合、前記鎖中にxからy個の炭素を含有する基を含むものとされる。例えば、用語「Cx−yアルキル」は、置換もしくは無置換の飽和炭化水素基を意味し、前記鎖中にxからy個の炭素原子を含有する直鎖アルキルおよび分岐鎖アルキル基が含まれる。
「アルキレン」は、特に示されていなければ、直鎖飽和二価炭化水素部分(例えば、1〜6個の炭素原子)または分岐鎖飽和二価炭化水素部分(例えば、3〜6個の炭素原子)を意味し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、1−メチルプロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレンなどである。
「アルケニル」は、直鎖不飽和一価炭化水素部分(例えば、2〜6個の炭素原子)または分岐鎖飽和一価炭化水素部分(例えば、3〜6個の炭素原子)を意味し、例えば、エテニル(ビニル)、プロペニル、2−プロペニル、ブテニル(全ての異性体形態を含む)、ペンテニル(全ての異性体形態を含む)などである。
「アルカリル」は、1つまたはそれ以上の水素原子をアルキル基で置換することによってアリール部分から派生した一価の部分を意味する。
「アルケニルシクロアルケニル」は、1つまたはそれ以上の水素原子をシクロアルケニル基で置換することによってアルケニル部分から派生した一価の部分を意味する。
「アルケニルシクロアルキル」は、1つまたはそれ以上の水素原子をアルケニル基で置換することによってシクロアルキル部分から派生した一価の部分を意味する。
「アルキルシクロアルケニル」は、1つまたはそれ以上の水素原子をアルキル基で置換することによってシクロアルケニル部分から派生した一価の部分を意味する。
「アルキルシクロアルキル」は、1つまたはそれ以上の水素原子をアルキル基で置換することによってシクロアルキル部分から派生した一価の部分を意味する。
「アルキニル」は、直鎖不飽和一価炭化水素部分(例えば、2〜6個の炭素原子)または分岐鎖飽和一価炭化水素部分(例えば、3〜6個の炭素原子)を意味し、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどである。
「アルコキシ」は、1つまたはそれ以上の水素原子をヒドロキシ基で置換することによってアルキル部分から派生した一価の部分を意味する。
「アミノ」は、−NR基(RおよびRは、独立して、水素、アルキルまたはアリールである)を意味する。
「アラルキル」は、1つまたはそれ以上の水素原子をアリール基で置換することによってアルキル部分から派生した一価の部分を意味する。
「アリール」は、6〜10個の環原子の一価の単環式または二環式芳香族炭化水素部分を意味し、例えば、フェニルまたはナフチルである。
「環」は、3〜10個の炭素原子の炭素環状飽和一価炭化水素部分を意味する。
「シクロアルキル」は、3〜10個の炭素原子の環状飽和一価炭化水素部分を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルなどである。
「シクロアルキルアルキル」は、1つまたはそれ以上の水素原子をシクロアルキル基で置換することによってアルキル部分から派生した一価の部分を意味し、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルエチル、またはシクロヘキシルエチルなどである。
「シクロアルキルシクロアルキル」は、1つまたはそれ以上の水素原子をシクロアルキル基で置換することによってシクロアルキル部分から派生した一価の部分を意味する。
「シクロアルケニル」は、3〜10個の炭素原子の環状単不飽和一価炭化水素部分を意味し、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、またはシクロヘキセニルなどである。
「シクロアルケニルアルキル」は、1つまたはそれ以上の水素原子をシクロアルケニル基で置換することによってアルキル部分から派生した一価の部分を意味し、例えば、シクロプロペニルメチル、シクロブテニルメチル、シクロペンテニルエチル、またはシクロヘキセニルエチルなどである。
「エーテル」は、1つまたはそれ以上の水素原子をアルコキシ基で置換することによってアルキル部分から派生した一価の部分を意味する。
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味し、好ましくは、フルオロまたはクロロである。
「ヘテロ環」または「ヘテロサイクリル」は、4〜8個の環原子の飽和もしくは不飽和一価単環式基であって、1または2個の環原子は、N、O、またはS(O)(nは、0〜2の整数である)から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は、Cである基を意味する。前記ヘテロサイクリル環は、適宜、本明細書に定義されるように(1つの)アリールまたはヘテロアリール環に縮合されていてもよいが、前記アリールおよびヘテロアリール環は、単環式であるものとする。単環式アリールまたはヘテロアリール環に縮合されるヘテロサイクリル環はまた、本明細書では、「二環式ヘテロサイクリル」環と記載される。また、ヘテロサイクリル環における1または2個の環炭素原子は、適宜、−CO−基によって置換されていてもよい。より具体的には、用語ヘテロサイクリルとしては、下記に限定されないが、ピロリジノ、ピペリジノ、ホモピペリジノ、2−オキソピロリジニル、2−オキソピペリジニル、モルホリノ、ピペラジノ、テトラヒドロピラニル、チオモルホリノなどが挙げられる。ヘテロサイクリル環が不飽和である場合、1または2個の環二重結合を含有しうるが、前記環は芳香族ではないものとする。ヘテロサイクリル基が飽和環であり、上記のようにアリールもしくはヘテロアリール環に縮合されていない場合、本明細書では、飽和単環式ヘテロサイクリルと記載される。
「ヘテロアリール」は、5〜10個の環原子の一価の単環式または二環式芳香族部分であって、1つまたはより好ましくは、1、2、または3個の環原子が、N、O、またはSから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素である部分を意味する。代表的な例としては、以下に限定されないが、ピロリル、ピラゾリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、イソインドリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリルなどが挙げられる。
「ニトロ」は、−NOを意味する。
「有機硫黄」は、一価の部分−SR基(式中、Rは、水素、アルキルまたはアリールである)を意味する。
「白金を基にした抗癌剤」は、白金の配位錯体であり、プラチン(platin)、プラチネート(platinate)、および白金を基にした抗悪性腫瘍薬とも呼ばれうる抗癌効果を有する化合物クラスを意味する。化学療法で用いられる白金を基にした抗癌剤の例としては、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ロバプラチン、ヘプタプラチン、ジシクロプラチン、リポプラチン、LA−12、ホスファプラチン、フェナントリプラチン(phenanthriplatin)、プロリンダク(ProLindac)、トリプラチンテトラニトレート(triplatin tetranitrate)、ピコプラチン、サトラプラチンおよび/またはこれらの医薬的に許容される塩が挙げられる。
「置換アルキル」、「置換された環」、「置換フェニル」、「置換アリール」、「置換ヘテロ環」、および「置換窒素ヘテロ環」は、それぞれ、アルキル、環、アリール、フェニル、ヘテロ環、または窒素含有ヘテロ環を意味し、これらは、1、2、または3個の置換基、例えば、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、または有機硫黄から独立して選択されるもので適宜置換されていてもよい。一般に、用語「置換」には、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、ハロゲン、アルコールおよび/またはアミンのうちのいずれか1つまたはそれ以上で置換されている基が含まれる。
「チオエーテル」は、1つまたはそれ以上の水素原子を−SR基(Rは、アルキルである)で置換することによってアルキル部分から派生した一価の部分を意味する。
本明細書で用いられるように、(i)化合物401、4401またはGC4401として本明細書及び図面に記載の化合物は同一化合物として記載され、(ii)化合物403、4403またはGC4403として本明細書及び図面に記載の化合物は同一化合物として記載され、(iii)化合物419、4419またはGC4419として本明細書及び図面に記載の化合物は同一化合物として記載され、ならびに(iv)化合物444、4444またはGC4444として本明細書及び図面に記載の化合物は同一化合物として記載される。
詳細な説明
1の実施態様において、本開示の態様は、治療上の有効量の下記に記載される式(I)によるペンタアザ大環状環複合体を、治療上の有効量の白金を基にした抗癌剤と組み合わせて癌に罹っている対象に投与して癌の治療を提供することによる癌の治療に関するものである。ペンタアザ大環状環複合体は、白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に投与されて、前記癌の前記白金を基にした抗癌剤への応答性を高められ得る。特に、予想外なことに、式(I)によるペンタアザ大環状環複合体は、白金を基にした抗癌剤と組み合わせて投与される場合、相乗効果を示して、白金を基にした抗癌剤および/または式(I)によるペンタアザ大環状環複合体のいずれかの単独での投与と比較して相加効果以上を生じることが示された。いずれの特定の理論に限られることなく、式(I)によるペンタアザ大環状環複合体は、白金を基にした抗癌剤による治療に対する癌細胞を感作するように作用し、癌細胞が白金を基にした抗癌剤の抗癌効果に極めて応答性が高くなりうることが考えられる。さらに、いずれの特定の理論に限られることなく、白金を基にした抗癌剤は、過酸化水素に関するこれまで知られていない作用メカニズムを介して、式(I)によるペンタアザ大環状環複合体と組み合わされて癌細胞を死滅させるように作用することができ、このメカニズムは当該組み合わせによって相乗的に高められ得ることが知見された。式(I)によるペンタアザ大環状環複合体と白金を基にした抗癌剤との相乗効果のさらなる説明は、本明細書に記載の実施例で供される。
よって、本開示の1の態様において、治療を必要とする哺乳類対象における白金を基にした抗癌剤による治療に対する哺乳類対象の感受性を高める方法が提供される。前記方法は、治療上の有効量の下記の式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与して、前記白金を基にした抗癌剤に対する治療応答性を高めることを特徴とすることができる。
本開示のさらなる別の態様は、下記の式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体の投与が、白金を基にした抗癌剤の毒性効果(例えば、腎毒性および骨髄毒性)を減少させることができるという知見に関する。従って、1の実施態様において、治療を必要とする哺乳類対象における白金を基にした抗癌剤による治療に伴う哺乳類対象に対する毒性効果を減少させる方法は、治療上の有効量の白金を基にした抗癌剤を前記対象に投与すること、ならびに治療上の有効量の下記の式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に投与して、前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させることを含む。さらに別の実施態様において、治療および/減少を必要とする哺乳類対象における白金を基にした抗癌剤による治療に伴う毒性効果を治療し、および/または前記毒性効果のリスクを減少させる方法であって、下記の式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与して、前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させることを特徴とする方法が提供される。
1の実施態様において、前記対象は、白金を基にした抗癌剤を治療計画の一部として受けることにより、白金を基にした抗癌剤による治療に伴う毒性効果のリスクを有する対象であってもよい。例えば、前記対象は、前記白金を基にした抗癌剤を癌治療のための計画の一部として受けていてもよく、それにより癌治療を受ける一方で前記白金を基にした抗癌剤に伴う毒性効果の発生のリスクを有していてもよい。別の態様において、前記対象は、白金を基にした抗癌剤に伴う毒性効果(例えば、腎毒性、骨髄毒性および/または他の毒性)に患いうるか、および/または現在患っているものであってもよい。ある実施態様において、式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体の投与は、白金を基にした抗癌剤の毒性に伴う病気を軽減し、緩和し、および/または治療することができ、前記対象のこのような毒性に伴う病気の発症のリスクを減少させることができうることが知見された。よって、下記の式(I)によるペンタアザ大環状環複合体は、ある実施態様において、白金を基にした抗癌剤の有効性を実質的に減少させることなく、白金を基にした抗癌剤の毒性を減少させることができうる。さらに、ある実施態様において、前記組み合わせによって供される毒性の減少は、前記白金を基にした抗癌剤に対する癌の治療応答性の亢進を同時に生じ得る。すなわち、前記組み合わせは、前記白金を基にした抗癌剤の正常細胞(非癌性細胞)に対する毒性効果を減少させつつ、前記白金を基にした抗癌剤による死滅に対する癌細胞を同時にかつ相乗的に感作することができうる。
遷移金属ペンタアザ大環状環複合体
1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体は、式(I):
Figure 2019131508
(I)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的に飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的に飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、結合している前記大環状環の窒素および前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的に飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが縮合された芳香族ヘテロ環である場合、前記ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびに前記ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、存在しないものとし;
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
Zは、対イオンであり;
nは、0〜3の整数であり;ならびに
前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]
の複合体に相当する。
式(I)のペンタアザ大環状環複合体について上記に記載されるように、Mは、Mn2+またはMn3+である。ペンタアザ大環状環複合体が式(I)に相当するある特定の実施態様において、Mは、Mn2+である。ペンタアザ大環状環複合体が式(I)に相当する別の特定の実施態様において、Mは、Mn3+である。
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10のうちの1つまたはそれ以上がヒドロカルビルである実施態様において、例えば、適切なヒドロカルビル部分としては、下記に限定されないが、アルケニル、アルケニルシクロアルケニル、アルケニルシクロアルキル、アルキル、アルキルシクロアルケニル、アルキルシクロアルキル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルシクロアルキル、シクロアルケニルアルキル、およびアラルキルが挙げられる。1の実施態様において、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、またはヘテロサイクリルである。より好ましくは、この実施態様において、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素または低級アルキル(例えば、C−Cアルキル、より典型的には、C−Cアルキル)である。よって、例えば、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、またはブチル(直鎖、分岐、または環状)であってもよい。
1の好ましい実施態様において、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素またはメチルである。ペンタアザ大環状環複合体が式(I)に相当する1の好ましい実施態様において、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、各々、水素であり、RおよびR’のうちの1つは、水素であり、RおよびR’のもう一方は、メチルである。この実施態様において、例えば、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R、R、R、R’、およびR10は、各々、水素であってもよく、R’は、メチルである。あるいは、例えば、R、R、R’、R、R、R、R’、R’、R、R、R、R’、およびR10は、各々、水素であってもよく、Rは、メチルである。ペンタアザ大環状環複合体が式(I)に相当する別の好ましい実施態様において、R、R、R、R、R’、R’、R、R、およびR10は、各々、水素であり、RおよびR’のうちの1つは、水素であり、RおよびR’のもう一方は、メチルであり、ならびにRおよびR’のうちの1つは、水素であり、RおよびR’のもう一方は、メチルである。この実施態様において、例えば、R、R’、R、R、R、R’、R、R、R、およびR10は、各々、水素であってもよく、RおよびR’は、メチルである。あるいは、例えば、R、R、R、R、R、R’、R、R、R’、およびR10は、各々、水素であってもよく、R’およびRは、メチルである。ペンタアザ大環状環複合体が式(I)に相当する別の実施態様において、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、各々、水素である。
ある実施態様において、UおよびV部分は、独立して、3〜20個の環炭素原子、より好ましくは、4〜10個の環炭素原子を有する置換もしくは無置換の縮合シクロアルキル部分である。特定の実施態様において、前記UおよびV部分は、各々、トランス−シクロヘキサニル縮合環である。
ある実施態様において、前記W部分は、置換または無置換縮合ヘテロ芳香族部分である。特定の実施態様において、前記W部分は、置換もしくは無置換縮合ピリジノ部分である。Wが置換縮合ピリジノ部分である場合、前記W部分は、典型的に、ヘテロ環の窒素原子に対してパラ位に位置する環炭素原子において、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビル部分(例えば、アルキル、置換アルキル)で置換されている。1の好ましい実施態様において、前記W部分は、無置換縮合ピリジノ部分である。
上記に記載されるように、XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはこれらの相当するアニオンを表す(例えば、安息香酸もしくはベンゾエートアニオン、フェノールもしくはフェノキシドアニオン、アルコールもしくはアルコキシドアニオン)。例えば、XおよびYは、特に、ハロ、オキソ、アコ、ヒドロキソ、アルコール、フェノール、二酸素、ペルオキソ、ヒドロペルオキソ、アルキルペルオキソ、アリールペルオキソ、アンモニア、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアリールアミノ、アミンオキシド、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、アリールヒドラジン、酸化窒素、シアニド、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、アルキルニトリル、アリールニトリル、アルキルイソニトリル、アリールイソニトリル、硝酸、亜硝酸、アジド、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルアリールスルホキシド、アルキルスルフェン酸、アリールスルフェン酸、アルキルスルフィン酸、アリールスルフィン酸、アルキルチオールカルボン酸、アリールチオールカルボン酸、アルキルチオールチオカルボン酸、アリールチオールチオカルボン酸、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、尿素、アルキル尿素、アリール尿素、アルキルアリール尿素、チオ尿素、アルキルチオ尿素、アリールチオ尿素、アルキルアリールチオ尿素、硫酸、亜硫酸、重硫酸、重亜硫酸、チオ硫酸、チオ亜硫酸、ヒドロ亜硫酸、アルキルホスフィン、アリールホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アリールホスフィンオキシド、アルキルアリールホスフィンオキシド、アルキルホスフィンスルフィド、アリールホスフィンスルフィド、アルキルアリールホスフィンスルフィド、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、アルキルホスフィン酸、アリールホスフィン酸、アルキル亜ホスフィン酸、アリール亜ホスフィン酸、リン酸、チオリン酸、亜リン酸、ピロ亜リン酸、三リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、アルキルグアニジノ、アリールグアニジノ、アルキルアリールグアニジノ、アルキルカルバメート、アリールカルバメート、アルキルアリールカルバメート、アルキルチオカルバメート、アリールチオカルバメート、アルキルアリールチオカルバメート、アルキルジチオカルバメート、アリールジチオカルバメート、アルキルアリールジチオカルバメート、重炭酸、炭酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過臭素酸、臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、テトラハロマンガネート、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、次亜リン酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、メタホウ酸、テトラアリールホウ酸、テトラアルキルホウ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、サッカリン酸、アミノ酸、ヒドロキサム酸、チオトシル酸、ならびにイオン交換樹脂のアニオン、またはこれらの相当するアニオンからなる群から選択されてもよい。1の実施態様において、XおよびYは、存在すれば、独立して、ハロ、硝酸、および重炭酸配位子からなる群から選択されてもよい。例えば、この実施態様において、XおよびYは、存在すれば、ハロ配位子、例えば、クロロ配位子である。
さらに、1の実施態様において、XおよびYは、−O−C(O)−Xに相当するものであって、各Xは、−C(X)(X)(X)であり、ならびに各Xは、独立して、置換もしくは無置換フェニルまたは−C(−X)(−X)(−X)であり;各Xは、独立して、置換もしくは無置換フェニル、メチル、エチルまたはプロピルであり;各Xは、独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、アミノ、−XC(=O)R13[式中、Xは、NHまたはOであり、ならびにR13は、C−C18アルキル、置換もしくは無置換アリール、またはC−C18アラルキルである]、または−OR14[式中、R14は、C−C18アルキル、置換もしくは無置換アリール、またはC−C18アラルキルである]であるか、あるいはXと一緒になって(=O)であり;ならびに各Xは、独立して、水素であるか、あるいはXと一緒になって(=O)である。
さらに別の実施態様において、XおよびYは、独立して、単座もしくは多座配位子に由来する荷電中和アニオン、ならびに配位子系およびこれらの相当するアニオンからなる群から選択されるか;あるいは、XおよびYは、独立して、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10のうちの1つまたはそれ以上に結合している。
式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体において、Zは、対イオンであり(例えば、荷電中和アニオン)、nは、0〜3の整数である。一般に、Zは、XおよびYについて上記に記載の部分の対イオンに相当するものであってもよい。
組み合わせにおいて、ある好ましい実施態様は、式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体であって、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素または低級アルキルであり;
UおよびVは、各々、トランス−シクロヘキサニル縮合環であり;
Wは、置換もしくは無置換縮合ピリジノ部分であり;
XおよびYは、配位子であり;ならびに
Zは、存在すれば、荷電中和アニオンである、前記複合体である。
より好ましくは、これらの実施態様において、Mは、Mn2+であり;R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素またはメチルであり;UおよびVは、各々、トランス−シクロヘキサニル縮合環であり;Wは、無置換縮合ピリジノ部分であり;ならびにXおよびYは、独立して、ハロ配位子(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)である。Zは、存在すれば、ハライドアニオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)であってもよい。
さらに別の実施態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体は、下記の式(II):
Figure 2019131508
(II)
[式中、
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはこれらの相当するアニオンを表し;ならびに
、R、R、およびRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルである]
によって表される。
さらに、1の実施態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体は、式(III)または式(IV):
Figure 2019131508
[式中、
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはこれらの相当するアニオンを表し;ならびに
、R、R、およびRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルである]
によって表される。
さらに別の実施態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体は、式(V)〜(XVI):
Figure 2019131508
Figure 2019131508
からなる群から選択される式によって表される化合物である。
1の実施態様において、本明細書の式のいずれにおけるXおよびYは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードアニオンからなる群から選択される。さらに別の実施態様において、本明細書の式のいずれかにおけるXおよびYは、独立して、アルキルカルボキシレート、アリールカルボキシレートおよびアリールアルキルカルボキシレートからなる群から選択される。さらに別の実施態様において、本明細書の式のいずれかにおけるXおよびYは、独立して、アミノ酸である。
1の実施態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体は、下記の式(IA):
Figure 2019131508
(IA)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
1A、R1B、R、R、R4A、R4B、R、R、R7A、R7B、R、R、R10A、およびR10Bは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−C(=O)NR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(=O)(OR11)(OR12)、−P(=O)(OR11)(R12)、および−OP(=O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的に飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的に飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的に飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが縮合された芳香族ヘテロ環である場合、前記ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびに前記ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分であるRおよびRは、存在しないものとし;
各Xは、独立して、置換もしくは無置換フェニル、または−C(−X)(−X)(−X)であり;
各Xは、独立して、置換もしくは無置換フェニル、またはアルキルであり;
各Xは、独立して、水素、ヒドロキシル、アルキル、アミノ、−XC(=O)R13[式中、Xは、NHまたはOであり、ならびにR13は、C−C18アルキル、置換もしくは無置換アリール、またはC−C18アラルキルである]、または−OR14[式中、R14は、C−C18アルキル、置換もしくは無置換アリール、またはC−C18アラルキルである]であるか、あるいはXと一緒になって(=O)であり;
各Xは、独立して、水素であるか、あるいはXと一緒になって(=O)であり;ならびに
遷移金属Mと大環状環の窒素原子との結合、ならびに遷移金属Mと軸配位子−OC(=O)Xの酸素原子との結合は、配位共有結合である]
で示される。
1の実施態様において、式(IA)およびそこに含まれる基内では、化合物の1つの基において、Xは、−C(−X)(−X)(−X)であり、各X、X、およびXは、組み合わせにおいて、下記表で同定される組み合わせのいずれかに相当する:
Figure 2019131508
さらに、実施態様(IA)およびそこに含まれる基内では、化合物の1つの基において、Xは、C(−X)(−X)(−X)であり、Xは、−XC(=O)R13であり、X、XおよびXの組み合わせには、下記の表に同定される組み合わせのいずれかが含まれる:
Figure 2019131508
[式中、R13は、C−C18アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはC−C18アラルキル、または−OR14(式中、R14は、C−C18アルキル、置換もしくは無置換アリール、またはC−C18アラルキルである)である]
1の実施態様において、式(IA)に相当するペンタアザ大環状環複合体は、複合体式(IE)、例えば、(IER1)、(IES1)、(IER2)、(IES2)、(IER3)、または(IES3):
Figure 2019131508
Figure 2019131508
Figure 2019131508
[式中、
Mは、Mn+2またはMn+3であり;
各Xは、独立して、置換もしくは無置換フェニルまたは−C(X)(X)(X)であり;
各Xは、独立して、置換もしくは無置換フェニル、メチル、エチル、またはプロピルであり;
各Xは、独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、アミノ、あるいはXと一緒になって=Oであり;
各Xは、独立して、水素であるか、あるいはXと一緒になって=Oであり;ならびに
マンガンと大環状環の窒素原子との結合およびマンガンと軸配位子−OC(O)Xの酸素原子との結合は、配位共有結合である]
のうちの1つである。
1の実施態様において、各Xは、−C(X)(X)(X)であり、各−C(X)(X)(X)は、上記式(IA)について表で示される組み合わせ1〜9のいずれかに相当する。
さらに別の実施態様において、式(I)のペンタアザ大環状環複合体におけるXおよびYは、式(IA)または(IE)における配位子に相当する。例えば、式(I)の前記複合体におけるXおよびYは、−O−C(O)−Xに相当するものであってもよく、Xは、上記式(IA)および(IE)の複合体について定義されるとおりである。
1の実施態様において、式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体(例えば、式(I)または式(II)−(XIV)、(IA)および(IE)に相当する式(I)の部分セットのいずれか)には、下記構造:
Figure 2019131508
Figure 2019131508
Figure 2019131508
Figure 2019131508
Figure 2019131508
Figure 2019131508
のいずれかが含まれうる。
1の実施態様において、本明細書に記載の方法および組成物に使用するためのペンタアザ大環状環複合体には、式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、および(7):
Figure 2019131508
[式中、式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、および(7)の各々におけるXおよびYは、独立して、配位子である]
に相当するものが含まれる。例えば、1の実施態様によれば、本明細書に記載の方法および組成物に使用するためのペンタアザ大環状環複合体には、式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、および(7)[これらの式の各々におけるXおよびYがハロ(例えば、クロロ)である]に相当するものが含まれる。あるいは、XおよびYは、クロロ以外の配位子、例えば、上記に記載の配位子のいずれかであってもよい。
別の態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体は、式(6)または式(7):
Figure 2019131508
に相当する。
本明細書に記載の6(例えば、Riley, D.P., Schall, O.F., 2007, Advances in Inorganic Chemistry, 59: 233-263に記載のジクロロ複合体形態など)および7(例えば、7のジクロロ複合体構造)の化学構造は、それらが鏡像キラリティーを有する(すなわち、エナンチオマー構造が重ね合わせることができない)ことを除いて同一である。
例えば、前記ペンタアザ大環状環複合体は、下記複合体:
Figure 2019131508
のうちの少なくとも1つに相当しうる。
さらに別の実施態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体は、下記複合体:
Figure 2019131508
Figure 2019131508
および/またはこれらのエナンチオマーのうちの少なくとも1つに相当しうる。
1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体のエナンチオマー純度は、95%以上、より好ましくは、98%以上、より好ましくは、99%以上、最も好ましくは、99.5%以上である。本明細書で用いられるように、用語「エナンチオマー純度」は、示される化合物およびそのエナンチオマーの合計量の割合として表された示される絶対立体化学を有する化合物の量を意味する。1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体のジアステレオマー純度は、98%以上、より好ましくは、99%以上、最も好ましくは、99.5%以上である。本明細書で用いられるように、用語「ジアステレオマー純度」は、示される化合物およびそのジアステレオマーの合計量の割合として表された示される絶対立体化学を有する化合物の量を意味する。ジアステレオマーおよびエナンチオマー純度を調べる方法は、当該技術分野で周知である。ジアステレオマー純度は、化合物とそのジアステレオマーとを定量的に区別することができる分析方法のいずれか、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって調べることができる。同様に、エナンチオマー純度は、化合物とそのエナンチオマーとを定量的に区別することができる分析方法のいずれかによって調べることができる。エナンチオマー純度を調べるための適する分析方法の例として、限定するものではないが、旋光計を用いる平面偏光の旋光度、およびキラルカラム充填物質を用いるHPLCが挙げられる。
1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体の治療上の有効量は、患者に投与される場合に、少なくとも0.1μMのピーク血漿濃度を提供するのに十分な量でありうる。例えば、1の実施態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体は、患者に投与される場合に、少なくとも1μMのピーク血漿濃度を提供するのに十分な量でありうる。さらに別の実施態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体は、患者に投与される場合に、少なくとも10μMのピーク血漿濃度を提供するのに十分な量でありうる。一般に、前記ペンタアザ大環状環複合体は、患者に投与される場合に、40μM以上のピーク血漿濃度を提供するであろう量で投与されない。例えば、前記ペンタアザ大環状環複合体は、患者において0.1μM〜40μMの範囲のピーク血漿濃度を提供するのに十分な量で投与されうる。別の例として、前記ペンタアザ大環状環複合体は、患者において0.5μM〜20μMの範囲のピーク血漿濃度を提供するのに十分な量で投与されうる。別の例として、前記ペンタアザ大環状環複合体は、患者において1μM〜10μMの範囲のピーク血漿濃度を提供するのに十分な量で投与されうる。
さらに別の実施態様において、患者の1kg体重あたりに投与されるペンタアザ大環状環複合体の用量は、少なくとも0.1mg/kg、例えば、少なくとも0.2mg/kgでありうる。例えば、患者の1kg体重あたりに投与されるペンタアザ大環状環複合体の用量は、少なくとも0.5mg/kgでありうる。別の例として、患者の1kg体重あたりに投与されるペンタアザ大環状環複合体の用量は、少なくとも1mg/kgでありうる。別の例において、1kg体重あたりに投与されるペンタアザ大環状化合物の用量は、少なくとも2mg/kg、例えば、少なくとも3mg/kg、さらに少なくとも約15mg/kg、例えば、少なくとも24mg/kg、さらに少なくとも40mg/kgでありうる。一般に、患者の1kg体重あたりに投与されるペンタアザ大環状環複合体の用量は、1000mg/kgを超えない。例えば、患者の1kg体重あたりに投与されるペンタアザ大環状環複合体の用量は、0.1〜1000mg/kgの範囲内、例えば、0.2mg/kg〜40mg/kg、例えば、0.2mg/kg〜24mg/kg、さらに0.2mg/kg〜10mg/kgでありうる。別の例として、1kg体重あたりに投与されるペンタアザ大環状環複合体の用量は、1mg/kg〜1000mg/kgの範囲内、例えば、3mg/kg〜1000mg/kg、さらに5mg/kg〜1000mg/kg、例えば、10mg/kg〜1000mg/kgでありうる。別の例として、1kg体重あたりに投与されるペンタアザ大環状環複合体の用量は、2mg/kg〜15mg/kgの範囲内でありうる。さらに別の例として、1kg体重あたりに投与されるペンタアザ大環状環複合体の用量は、3mg/kg〜10mg/kgの範囲内でありうる。別の例として、患者の1kg体重あたりに投与されるペンタアザ大環状環複合体の用量は、0.5〜5mg/kgの範囲内でありうる。なおさらなる例として、患者の1kg体重あたりに投与されるペンタアザ大環状環複合体の用量は、1〜5mg/kgの範囲内でありうる。
1の実施態様において、上記に記載の用量および/または血漿濃度は、GC4419に相当するペンタアザ大環状環複合体に特に適しうるが、それらはまた、他のペンタアザ大環状環複合体に適しうる。さらに、当業者は、用いられる特定の化合物の分子量および/または活性などの因子に基づいて、用量および/または血漿濃度を調整する方法を理解しうる。例えば、GC4419の2倍の活性を有するペンタアザ大環状環複合体について、用量および/または血漿濃度が半分にされてもよく、あるいはGC4419より高い分子量を有するペンタアザ大環状環複合体について、それに相当した高い用量が用いられてもよい。
ペンタアザ大環状環複合体の投薬計画は、目的の治療に応じて同様に選択することができる。例えば、1の実施態様において、適する投薬計画には、患者に、治療期間中、少なくとも1週間に1回、例えば、少なくとも1週間に2、3、4、5、6または7日(例えば、毎日)投薬することが含まれうる。別の例として、1の実施態様において、前記投薬は、少なくとも1日1回(qd)、または少なくとも1日2回(bid)であってもよい。1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体による治療期間は、白金を基にした抗癌剤(例えば、シスプラチン)による治療期間と少なくとも同一期間続けられてもよく、白金を基にした抗癌剤が供される期間を超えてもよい。ペンタアザ大環状環複合体による治療期間はまた、白金を基にした抗癌剤による治療と同日に開始してもよく、あるいは下記でより詳細に記載されるように、白金を基にした抗癌剤による投薬開始後しばらくして開始してもよい。例えば、1の実施態様において、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月続く治療期間で投与される白金を基にした抗癌剤について、ペンタアザ大環状環複合体は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月まで続ける治療期間で投与されてもよい。
白金を基にした抗癌剤
1の実施態様によれば、白金を基にした抗癌剤は、ペンタアザ大環状環化合物と組み合わせて、本明細書に記載の治療方法の一部として提供される。白金を基にした抗癌剤には、白金の配位錯体であり、抗癌効果を有する化合物クラスが含まれる。白金を基にした抗癌剤(例えば、シスプラチンおよびオキサリプラチン)は、癌細胞におけるDNA損傷の誘導による抗癌効果を供することが理解されており(Cruet-Hennequart et al, DNA Repair, 7(4): 582-596 (2008))、癌治療に極めて有効であることが示された(Kelland et al, J. Inorg Biochem, 77(1-2); 121-124 (1999); Wang X, Anticancer Agents Med Chem, 10(5): 396-411 (2010); Dilruba et al, Cancer Chemother Pharmacol, 77(6): 1103-1124 (2016); Johnstone et al., Anticancer Res, 34(1): 471-476 (2014))。白金を基にした抗癌化合物には、白金(II)錯体(例えば、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチン)が含まれてもよく、また、白金(IV)錯体(例えば、サトラプラチンおよびLA−12)も含まれうる(例えば、Bouchal et al. Proteome Science, 9:68 (2011)を参照のこと)。前記白金を基にした抗癌剤は、様々な製剤中で提供されてもよく、また、25kDaポリマー送達ベヒクルをヒドロキシプロピルメタクリルアミド(HPMA)に基づいて用いて、オキサリプラチンを腫瘍に対する標的とする、DACH(ジアミノシクロヘキサン)白金ポリマープロドラッグである白金を基にした抗癌剤プロリンダク(ProLindac)(AP5346)による、腫瘍および/または癌細胞を標的とするための送達ベシクルまたは他の標的部分の一部として提供されてもよい(例えば、Nowotnik et al., Advanced Drug Delivery Reviews, 61(13): 1214-1219 (2009)を参照)。白金を基にした抗癌剤の腫瘍および/または癌細胞への送達を標的とし、および/または高めるための他の標的メカニズムとしては、例えば、ペプチド、ポリマー担体、ミセル、放射線および/または光活性化プロドラッグ、官能化カーボンナノチューブおよび/またはナノロッド、中空プルシアンブルー(hollow Prussian Blue)、磁性酸化鉄、および/または金ナノ粒子、ならびにナノゲルを挙げることができる(例えば、Butler et al., Current Opinion in Chemical Biology, 17(2): 175-188 (2013)を参照のこと)。
1の実施態様において、適する白金を基にした抗癌剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ロバプラチン、ヘプタプラチン、ジシクロプラチン、リポプラチン、LA−12((OC−6−43)−ビス(アセタト)(1−アダマンチルアミン)アンミンジクロロ白金(IV))、ホスファプラチン、フェナントリプラチン(phenanthriplatin)、プロリンダク(ProLindac)(AP5346)、トリプラチンテトラニトレート(triplatin tetranitrate)、ピコプラチン、サトラプラチン、ピリプラチン(pyriplatin)および/またはこれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択することができる。
白金を基にした抗癌剤の用量は、提供される治療および用いられる特定の白金を基にした抗癌剤によって選択することができる。例えば、白金を基にした抗癌剤(例えば、シスプラチン)の適する用量は、10mg/m〜200mg/m、例えば、20mg/m〜100mg/mの範囲内でありうる。
白金を基にした抗癌剤の投薬スケジュールは、同様に、目的とする治療および提供される白金を基にした抗癌剤によって選択することができる。例えば、1の実施態様において、適する投薬スケジュールには、1日、2日、3日、4日、5日、6日あたり、1週間あたり、2週間あたり、3週間あたり、または1ヶ月あたり1回または2回の頻度で患者に投薬することを含んでいてもよい。
投与時期
1の実施態様において、白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体による治療過程は、提供される治療によって、前記薬および/または複合体の1回またはそれ以上の投薬を含むことができる。1の実施態様において、1回またはそれ以上の投薬を含む治療過程は、ペンタアザ大環状複合体の投薬を、白金を基にした抗癌剤の投与前所定期間に投与することを含むことができる。例えば、前記治療過程は、最初の白金を基にした抗癌剤の投薬前所定期間に行われるペンタアザ大環状環複合体による投薬開始とともに、、白金を基にした抗癌剤の最初の用量、適宜、1回またはそれ以上の後の用量を投与することを含むことができる。別の態様において、1回またはそれ以上の投薬を含む治療過程は、白金を基にした抗癌剤の用量の投与から所定期間が経過した後にペンタアザ大環状環複合体の用量を投与することを含むことができる。すなわち、前記治療過程は、最初の白金を基にした抗癌剤の投薬後所定期間遅延されるペンタアザ大環状環複合体による投薬開始とともに、白金を基にした抗癌剤の最初の用量、適宜、1回またはそれ以上の後の用量を投与することを含むことができる。
1の実施態様において、前記治療過程中のペンタアザ大環状環複合体の投薬の少なくとも1回は、白金を基にした抗癌剤の投与少なくとも1週間前、少なくとも5日前、少なくとも3日前、少なくとも2日前、少なくとも1日前、少なくとも12時間前、少なくとも8時間前、少なくとも4時間前、少なくとも2時間前、少なくとも1時間前、および/または少なくとも30分前に投与される。別の態様において、前記治療過程中のペンタアザ大環状環複合体の投薬の少なくとも1回は、白金を基にした抗癌剤の投与少なくとも1週間後、少なくとも5日後、少なくとも3日後、少なくとも2日後、少なくとも1日後、少なくとも12時間後、少なくとも8時間後、少なくとも4時間後、少なくとも2時間後、少なくとも1時間後、および/または少なくとも30分後に投与される。さらに、ペンタアザ大環状環複合体の少なくとも1回の投薬の時期はまた、前記治療過程中に供される複数の用量、例えば、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%の用量、さらに前記治療過程中に供される実質的に全ての用量に適用されてもよい。
他の癌治療
1の実施態様において、本明細書で提供される治療は、上記に具体的に記載される治療以外の別の治療(例えば、放射線療法および/または別の化学治療療法のうちの1つのまたはそれ以上)による治療をさらに含みうる。さらに別の例として、治療には、PARP阻害剤(ポリADPリボースポリメラーゼ阻害剤)、例えば、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、イニパリブ、タラゾパリブ、およびベリパリブのうちのいずれか1つまたはそれ以上などの別の抗癌剤を、白金を基にした抗癌化合物およびペンタアザ大環状複合体のうちの1つまたはそれ以上の投与前、投与と同時、または投与後に投与することが含まれ得る。他の抗癌剤もまた供されうる。例えば、1の実施態様において、放射線療法は、白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体のうちの1つまたはそれ以上の投与前、投与と同時、または投与後に対象に投与されてもよい。癌治療に適する放射線療法および他の化学療法のさらに詳細な説明が以下に記載される。
1の実施態様において、放射線療法は、白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体のうちの1つまたはそれ以上の投与と同時に投与することができる。例えば、前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体のうちの1つまたはそれ以上は、放射線療法過程中、例えば、対象が白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体のうちの1つまたはそれ以上の投与と同時に放射線療法を受けているように、放射線療法の投与の間、前もしくは後、または投与と同日に投与されてもよい。
さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤(例えば、シスプラチン)の組み合わせ療法は、いずれの他の癌治療なしで投与することができる。下記の実施例でさらに示されるように、予想外なことに、ペンタアザ大環状環複合体は、放射線療法なしで投与された場合であっても、白金を基にした抗癌剤(例えば、シスプラチン)への応答性および/または有効性を高めることができる。従って、1の実施態様において、対象に供される癌治療は、放射線曝露の投与なし(すなわち、放射線用量または用量フラクションを投与することなし)で、必須として、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤からなっていてもよい。例えば、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の組み合わせは、放射線療法を受けていない対象に投与されてもよい。すなわち、1の実施態様において、前記治療には、ペンタアザ大環状環複合体を、放射線療法を受けていない対象に投与することが含まれる。なお別の実施態様において、前記治療には、白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を、放射線療法を受けていない対象に投与することが含まれる。なお別の実施態様において、治療過程がペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の投与を含む場合、それらは、治療過程の期間中に放射線療法を受けていない対象に投与される。
1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤(例えば、シスプラチン)の組み合わせを受ける対象は、放射線(すなわち、受けた放射線用量もしくは用量フラクション)に少なくとも1日、例えば、少なくとも1週間、さらに少なくとも1ヶ月、さらに少なくとも6ヶ月曝露されていないか、および/またはペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの1つまたはそれ以上による最初の治療前に一切このような治療を受けていないものであってもよい。さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤による組み合わせ療法後に対象に投与される放射線療法は、前記組み合わせ療法過程中に供されるペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの1つまたはそれ以上の最終投与後少なくとも1日、例えば、少なくとも1週間、さらに少なくとも1ヶ月、例えば、少なくとも6ヶ月まで遅延される。すなわち、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の組み合わせ療法は、放射線療法を一度も受けていないが、またはこのような治療を遠い過去にのみ受けている対象に投与することができる。さらに、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の組み合わせ療法は、放射線への曝露を全く含まない治療過程を提供するように投与することができる。なおさらなる実施態様として、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の組み合わせ療法は、療法過程中もしくは終了後に放射線療法を実質的に行うことなく、またはこのような放射線が組み合わせ療法過程終了後に長期間が経過した後にのみ行われる治療過程とするように提供することができる。1の実施態様において、前記治療には、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの1つまたはそれ以上を対象が放射線療法を受けている日以外の日に対象に投与することが含まれる。
投与方法
1の実施態様によれば、白金を基にした抗癌剤(例えば、シスプラチン)は、ペンタアザ大環状環複合体との共療法または組み合わせ療法として投与される。本明細書の方法に記載の共療法または組み合わせ療法は、薬物併用の有効な効果を供する計画で連続した各化合物の投与を包含するものとされ、連続して同時に、例えば、これらの活性薬剤を固定した割合で含む単一カプセル剤において、または各薬剤の複数の別々のカプセル剤において、または単回もしくは複数回の非経口投与において、または他の投与経路および製剤におけるこれらの薬剤の共投与を包含するものともされる。それゆえ、組み合わせて投与される場合、前記治療剤(すなわち、ペンタアザ大環状環複合体および/または白金を基にした抗癌剤)は、同時にまたは異なる時に順次投与される別個の組成物として製剤化することができるか、あるいは前記治療剤は、単一の組成物として付与することができる。医薬組成物および製剤は、本明細書内に記載されている。
ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、同時に、または実質的に同時に投与されることは必要でなく;前記薬剤および化合物は、順次投与されてもよい。同時もしくは実質的な同時投与、または順次投与の有利な点は、熟練した臨床医の決定の十分な範囲内である。例えば、白金を基にした抗癌剤を含む医薬組成物または製剤は、ペンタアザ大環状環複合体の投与前にある特定の治療に対して組み合わせて最初に投与するために有利でありうる一方で、ペンタアザ大環状環複合体の前投与は、別の治療において有利でありうる。ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の本組み合わせは、癌(典型的に、癌性腫瘍)の他の治療方法(以下に限定されないが、放射線療法および外科手術、または他の化学療法を含む)と組み合わせて用いられてもよいことも理解される。別の活性薬剤(例えば、細胞***停止もしく静止剤、または制吐薬)は、ある場合には、他の同時治療のいずれかまたは全てと連続して、または同時に投与されてもよいことがさらに理解される。
よって、治療方法の実施態様には、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤が同時にまたは順次投与されることが含まれる。例えば、本開示の態様には、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤が同時にまたは順次投与される癌の治療方法が包含される。他の活性薬剤はまた、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤と同時にまたは順次投与することができる。
上記に記載されるように、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤が、同時にまたは実質的に同時に投与されない場合、構成成分の投与の最初の順番は変更されてもよい。よって、例えば、前記白金を基にした抗癌剤が最初に投与され、続いてペンタアザ大環状環複合体の投与;あるいはペンタアザ大環状環複合体が最初に投与され、続いて白金を基にした抗癌剤の投与であってもよい。この代替的な投与は、単一治療プロトコール期間中に繰り返されてもよい。本明細書に記載の効果を引き出すための他の投与の連続が含まれ、他の活性薬剤の他の投与の連続もまた供することができる。
1の実施態様において、前記対象は、白金を基にした抗癌剤で前もって治療され、続いてペンタアザ大環状環複合体が投与されるか、その逆である。このような実施態様に従って、ペンタアザ大環状環複合体は、白金を基にした抗癌剤の投与後少なくとも1時間、少なくとも3日で投与されてもよく、あるいはその逆であってもよい。例えば、1の実施態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体は、白金を基にした抗癌剤の投与後1時間から3日の間に投与されてもよく、あるいはその逆であってもよい。別の態様において、例えば、前記ペンタアザ大環状環複合体は、白金を基にした抗癌剤の投与後1時間から1日の間に投与されるか、あるいはその逆であってもよい。例えば、前記ペンタアザ大環状環複合体は、白金を基にした抗癌剤の投与後1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、9週間、10週間または12週間以内に投与されてもよく、あるいはその逆であってもよい。これらの他の実施態様において、前記白金を基にした抗癌剤が複数回の投薬で投与されてペンタアザ大環状環複合体の投与を行ってもよく、あるいはその逆であってもよい。
あるいは、前記対象は、ペンタアザ大環状環複合体で前もって治療され、続いて白金を基にした抗癌剤が投与されてもよく、あるいはその逆であってもよい。このような実施態様によれば、前記ペンタアザ大環状環複合体は、白金を基にした抗癌剤の少なくとも1血中半減期内、例えば、白金を基にした抗癌剤の4血中半減期内に投与されてもよく、あるいはその逆であってもよい。例えば、前記ペンタアザ大環状環複合体は、他の白金を基にした抗癌剤の1、2、または3血中半減期内に投与されてもよく、あるいはその逆であってもよい。
他の別の実施態様において、前記対象は、白金を基にした抗癌剤で前もって治療され、続いてペンタアザ大環状環複合体が投与され、さらに、白金を基にした抗癌剤の1回またはそれ以上のさらなる投与が行われてもよく、その逆であってもよい。例えば、前記対象は、白金を基にした抗癌剤の1回投与で前もって治療され、続いてペンタアザ大環状環複合体の1回投与、さらにさらなる(または部分)用量の同一のまたは異なる白金を基にした抗癌剤が投与され、さらにさらなる用量のペンタアザ大環状環複合体が投与されうる。さらに、前記対象は、ペンタアザ大環状環複合体の一部または全部の用量で前もって治療され、続いて白金を基にした抗癌剤が投与され、続いてさらなる(または部分)用量のペンタアザ大環状複合体が投与されうる。
下記でさらに詳細に記載されるように、本開示の組み合わせはまた、治療されている状態に対する特定の有用性のために選択される他の周知な治療剤と共投与されてもよい。あるいは、複数の組み合わせ製剤が適合しない場合、組み合わせは、公知の医薬的に許容される薬剤とともに連続して用いられてもよい。
1の実施態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、一般に、これらの薬剤について知られうる治療プロトコールによって投与することができる。例えば、様々な構成成分の投与は、治療される疾患およびその疾患に対するペンタアザ大環状環複合体および免疫治療剤の効果によって変動しうる。また、熟練した臨床医の知識によれば、治療プロトコール(例えば、投薬用量および時期)は、患者に投与される治療剤(すなわち、ペンタアザ大環状環複合体、白金を基にした抗癌剤)の観察された効果、ならびに投与される治療剤への疾患の観察された応答性を考慮して変動しうる。
また、一般に、前記ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、同一医薬組成物で投与されるべきではなく、異なる物理化学的特徴のため、異なる経路によって投与される必要がありうる。例えば、前記ペンタアザ大環状環複合体は、その良好な血中レベルを生じ、維持するために経口で投与されてもよく、一方で、白金を基にした抗癌剤は、静脈内でまたは輸血により投与されてもよく、その逆であってもよい。前記投与様式には、可能であれば、同一の医薬組成物、または別々の医薬組成物(例えば、2または3個の別個の組成物)であることが含まれうる。さらに、一旦最初の投与が行われたら、観察された効果に基づいて、用量、投与様式および投与時期は改変することができる。
ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤、ならびに他の関連する治療(例えば、放射線照射または他の化学療法)の特定の選択は、担当する臨床医の診断および患者の状態および適当な治療プロトコールの彼らの判断によるものである。
よって、経験と知識に従って、臨床医は、治療が進行するように、各患者の必要性に応じて治療の成分(ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤)の投与のための各プロトコールを改変してもよい。
担当する臨床医は、治療が投与される用量で有効であるかどうか判断する際に、患者の総体的な健康状態、ならびにより明確な兆候、例えば、疾患に関連した症状の緩和、腫瘍増殖の阻害、腫瘍の実際の縮小、または転移の抑制を考慮する。腫瘍の大きさは、放射線学的な実験などの標準的な方法、例えば、CATまたはMRIスキャンによって測定することができ、継続的な測定は、腫瘍の増殖が遅らせられているか、または反転されているかどうかを判断するために用いることができる。疾患に関連した症状(例えば、疼痛)の緩和、および全体的な症状の改善はまた、治療の有効性を判断する助けとして用いることができる。
前記組み合わせから構成される製品は、前記組み合わせの最大の効果を得るために同時に、別々に、一定期間空けて投与されてもよく;各投与は、(別の製剤または単一製剤で)いずれの成分の急速な投与から比較的継続的な灌流までの様々な期間が可能である。結果として、本開示の目的のために、前記組み合わせは、構成成分の物理的結合によって得られるものに限定されるものではなく、別々の投与を可能とし、同時に、または一定期間であってもよいものである。
よって、本明細書に記載の成分の投与は、治療の1回の事象として、または経過中に行うことができる。例えば、前記ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、時間ごと(例えば、1時間ごと、2時間ごと、3時間ごと、4時間ごと、5時間ごと、6時間ごとなど)、毎日、1週間に1回ごと、2週間に1回ごと、または1ヶ月に1回ごとに(同時に、または連続して)投与することができる。急性状態の治療については、治療過程は、少なくとも数時間または数日であってもよい。一定の状態は、治療を数日から数週間まで延長しうる。例えば、治療は、1週間、2週間、または3週間以上延長しうる。より慢性状態においては、治療は、数週間から数ヶ月、1年またはそれ以上、またはこのような治療を必要とする患者の生涯まで延長しうる。あるいは、前記化合物および薬剤は、時間ごと、1日ごと、1週間ごと、2週間ごと、または1ヶ月ごとに、数週間、数ヶ月、数年の期間、または予防対策として患者の生涯にわたり投与することができる。
患者に投与されるペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤を含む医薬組成物の用量または量は、意図される目的、すなわち、本明細書に記載の疾患、病状、および医学的状態のうちの1つまたはそれ以上、特に、癌の治療または予防に有効な量であるべきである。一般的に言えば、投与される組成物の有効な量は、例えば、年齢、体重、性別、食事、投与経路、および治療を必要とする患者の医学的状態などの様々な因子によって変動しうる。特に好ましい用量は、本明細書でより十分に記載されている。しかしながら、合計の1日の用法は、本明細書に記載の組成物の妥当な医学的判断の範囲内において担当する医師または獣医師によって決定されることが理解される。
上記に記載されるように、前記組み合わせは、(共に製剤化された製剤により、またはほぼ同時に投与される別々の製剤で)共投与することができる。前記組み合わせはまた、別々の単位製剤で各薬剤と異なった時間で別々に投与することができる。白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を投与するための多くのアプローチは、本開示における使用に容易に適用することができる。前記医薬組成物は、経口で、例えば、錠剤またはカプセル剤の単位製剤で、または非経口で、例えば、注射可能な単位製剤で、あるいはいずれか他の経路により送達されてもよい。全身投与については、例えば、薬物は、例えば、静脈内注入(持続またはボーラス注入)によって投与することができる。前記組成物は、患者が組み合わせによる治療から利益を享受する治療上または予防上の治療に用いることができる。
いずれの特定の患者のための具体的な治療上の有効な用量レベルは、治療される疾患および疾患の重症度;用いられる特定の化合物の活性;患者の年齢、体重、総体的な健康、性別および食事;投与時間;投与経路;用いられる特定の化合物の排出速度;治療期間;用いられる特定の化合物と組み合わせて、または同時に用いられる薬物、ならびに医学および/または獣医学分野に周知の因子を含む様々な因子による。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要とされるレベルより低いレベルで化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで徐々に用量を増加することは当該技術分野で明らかである。必要であれば、有効な1日の用量は、投与のために複数の用量に分割されてもよい。よって、単一の投薬組成物は、このような量を含有していてもよく、または1日用量を構成するために部分複数投薬量を含有していてもよい。
1の実施態様において、構成成分の各々の適するか、または好ましい用量は、本明細書に記載の方法で用いられるか、組成物に含まれる。ペンタアザ大環状環複合体の好ましい用量は、例えば、1日あたり患者ごとに10〜500mgの範囲内でありうる。しかしながら、前記用量は、所望の治療効果を達成するために必要に応じて調整することができる投薬スケジュールによって変動されうる。本明細書で供される有効な用量の範囲は、典型的な用量範囲を開示され、示される範囲に限定されることが意図されているものではないことに留意すべきである。最も好ましい用量は、過度の実験を要することなく当業者によって理解され、決定されうるように、とりわけ、用いられる特定の組み合わせ、ならびに患者の年齢、性別、重量、身体的状態、食事などを考慮して、各対象によるものである。
本明細書に記載の癌の治療または癌の療法には、治療上の利益を達成することが含まれるが、前記療法はまた、予防上の利益を達成するために投与されてもよい。治療上の利益は、一般に、治療される原因となっている疾患の少なくとも部分的な根絶または緩和を意味する。例えば、癌患者において、治療上の利益には、原因となっている癌の(部分的または完全な)根絶または緩和が含まれる。また、治療上の利益は、原因となる疾患に関連する生理学的な症状の1つまたはそれ以上の少なくとも部分的または完全な根絶または緩和が達成され、患者が原因となっている疾患にまだ罹っているかもしれないという事実に関わらず、改善が患者で見られることである。予防上の利益については、癌を発症するリスクの高い患者またはこのような疾患の生理学的症状の1つまたはそれ以上が見られる患者に対して、当該疾患の診断が行われてはないが、本開示の方法は行われ、または本発明の組成物が投与されてもよい。
さらに、白金を基にした抗癌剤の投与に関連する毒性効果の治療、および/または白金を基にした抗癌剤の投与から生じる状態の治療には、治療上の利益を達成することが含まれるが、その治療にはまた、予防上の利益を達成するために投与されてもよい。治療上の利益は、一般に、治療される根底にある障害の少なくとも一部の根絶または寛解を意味する。例えば、白金を基にした抗癌剤の投与に関連する毒性効果に罹るリスクを有するか、または罹っている患者において、治療上の利益には、その根底にある状態および/または症状の(部分的または完全な)根絶または寛解が含まれる。また、治療上の利益は、患者が根底にある障害にすでに罹っているかもしれない事実にかからず患者に改善が見られるように、根底にある障害に関連する生理学的症状のうちの1つまたはそれ以上の少なくとも部分的な、または完全な根絶または寛解で達成される。予防上の利益については、本開示の方法は、白金を基にした抗癌剤に関連する毒性のリスクを有する患者(例えば、白金を基にした抗癌剤を受けているか、受けていたヒト、または白金を基にした抗癌剤を受けるように計画されているヒト)、あるいはこのような障害の生理学的症状のうちの1つまたはそれ以上を報告するか、および/または罹っている患者に行われてもよく、あるいは本発明の組成物は、当該患者に投与されてもよく、前記障害の診断がなされ得なくてもよい。
癌の治療方法
一般に、癌または他の増殖性疾患に罹っているか、または罹りやすい対象のいずれも、本開示の組成物および方法を用いて治療しうる。本明細書に記載の方法に従って治療を受ける対象は、哺乳類対象、典型的には、ヒト患者である。本開示に従って治療されうる他の哺乳類には、コンパニオンアニマル(例えば、イヌおよびネコ)、家畜動物(例えば、ウシ、ウマ、およびブタ)、ならびに鳥類およびさらなる珍しい動物(例えば、動物園または自然保護区で見出された動物)が含まれる。本開示のある態様において、癌性腫瘍、特に、固形腫瘍の治療方法が提供される。有利なことに、本明細書に記載の方法は、哺乳類宿主において、腫瘍の発生を減少させ、腫瘍量を減少させ、あるいは腫瘍縮小を生じさせうる。癌患者および癌の予防を望んでいる個体は、本明細書に記載の組み合わせで治療することができる。
癌および腫瘍は、一般に、制御されていない細胞増殖によって典型的に特徴付けられる哺乳類の生理学的状態を意味し、または記載する。本開示の医薬的な組み合わせ、共製剤、および組み合わせ療法により、***、心臓、肺、小腸、大腸、脾臓、腎臓、膀胱、頭頸部、卵巣、前立腺、脳、膵臓、皮膚、骨、骨髄、血液、胸腺、子宮、精巣、頚部、および肝臓の腫瘍などの様々な腫瘍を治療することができる。
1の実施態様において、前記腫瘍または癌は、腺腫、血管肉腫、星細胞腫、上皮癌、胚細胞腫、神経膠芽腫、神経膠腫、過誤腫、血管内皮腫、血管肉腫、血腫、肝芽腫、白血病、リンパ腫、髄芽腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、骨肉腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、および奇形腫から選択される。前記腫瘍は、末端黒子型黒色腫、光線角化症、腺癌、腺様嚢胞癌、腺腫、腺肉腫、腺扁平上皮癌、アストロサイト腫瘍、バルトリン腺癌、基底細胞癌、気管支腺腫瘍、毛細血管、カルチノイド、癌、癌肉腫、海綿状、胆管細胞癌、軟骨肉腫、脈絡叢乳頭腫/癌、明細胞癌、嚢胞腺腫、内胚葉洞腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮内膜間質肉腫、類内膜腺癌、上衣、類上皮、ユーイング肉腫、線維層板型、限局性結節性過形成、ガストリノーマ、胚細胞性腫瘍、神経膠芽腫、グルカゴノーマ、血管芽細胞腫、血管内皮腫、血管腫、肝腺腫、肝腺腫症、肝細胞癌、インスリノーマ、上皮内腫瘍、扁平上皮内腫瘍、浸潤性扁平上皮癌、大細胞癌、平滑筋肉腫、悪性黒子由来黒色腫、悪性メラノーマ、悪性中皮腫、髄芽腫、髄上皮腫、メラノーマ、髄膜、中皮、転移性癌、粘表皮癌、神経芽細胞腫、神経上皮、腺癌、結節性メラノーマ、燕麦細胞癌、オリゴデンドログリア、骨肉腫、膵臓、乳頭状漿液性腺癌、松果体細胞、下垂体腫瘍、形質細胞腫、偽肉腫、肺芽腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、漿液性癌、小細胞癌、柔組織癌、ソマトスタチン分泌細胞癌、扁平上皮癌、扁平上皮細胞癌、孤在性中皮(submesothelial)、表在拡大型黒色腫、未分化癌、ぶどう膜黒色腫、疣状癌、VIP産生腫瘍、高分化癌、およびウィルムス腫瘍から選択することができる。
よって、例えば、本開示は、限定されないが、下記:膀胱(進行性および転移性膀胱癌を含む)、***、大腸(結腸直腸癌を含む)、腎臓、肝臓、肺(小細胞および非小細胞肺癌、ならびに肺腺癌を含む)、卵巣、前立腺、睾丸、尿路、リンパ系、直腸、喉頭、膵臓(膵外分泌腫瘍を含む)、食道、胃、胆嚢、頚部、甲状腺、および皮膚(扁平上皮癌を含む)の癌を含む癌;リンパ系の造血器腫瘍(白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、およびバーキットリンパ腫を含む);骨髄系の造血器腫瘍(急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形性症候群、骨髄性白血病、および前骨髄球性白血病を含む);中枢および末梢神経系の腫瘍(星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、およびシュワン腫を含む);間葉系由来の腫瘍(線維肉腫、横紋筋肉腫、および骨肉腫を含む);ならびに他の腫瘍(メラノーマ、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞癌、および奇形腫を含む)を含む様々な癌の治療方法を提供する。
例えば、本明細書に記載の組み合わせおよび方法で治療することができる特定の白血病としては、以下に限定されないが、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球白血病、慢性顆粒球白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球性白血病、好塩基球性白血病、芽細胞性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄球性白血病、皮膚白血病、胎児性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、ヘアリー細胞白血病、血芽球性(hemoblastic)白血病、血芽球細胞性(hemocytoblastic)白血病、組織球性白血病、幹細胞性白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ向性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞白血病、マスト細胞白血病、巨核球性白血病、微小骨髄芽球性(micromyeloblastic)白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄顆粒球性(myeloid granulocytic)白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞白血病、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞性白血病、シリング(Schilling's)白血病、肝細胞白血病、亜白血性白血病、および未分化細胞性(undifferentiated cell)白血病が挙げられる。
リンパ腫はまた、本明細書に記載の組み合わせおよび方法で治療することができる。リンパ腫は、一般に、主にリンパ系組織に存在する細胞の腫瘍性形質転換である。リンパ腫は、免疫系の腫瘍であり、一般に、T細胞およびB細胞関連疾患の両方として存在する。リンパ腫の中において、2つの主要な異なる群:非ホジキンリンパ腫(NHL)およびホジキン疾患が存在する。特に、骨髄、リンパ節、脾臓、および循環細胞が関連しうる。治療プロトコールには、患者から骨髄を取り出し、骨髄の腫瘍細胞を洗浄し、腫瘍細胞型に存在する抗原に対する抗体を用いることがあり、続いて保存することが含まれる。患者は、中毒量の放射線照射または化学療法剤が付与され、洗浄された骨髄を、患者の造血系を戻すために再度浸出させる。
本明細書に記載の組み合わせおよび方法で治療することができる他の血液系腫瘍としては、骨髄異形性症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPS)、および骨髄腫(例えば、孤立性骨髄腫および多発性骨髄腫)が挙げられる。多発性骨髄腫(形質細胞性骨髄腫とも呼ばれる)は、骨格系に関連し、この系に散在する腫瘍性血漿細胞の複数の腫瘍物によって特徴付けられる。リンパ節および他の部位(例えば、皮膚)まで広がりうる。孤立性骨髄腫は、多発性骨髄腫と同一の局所で生じる傾向がある孤立性病巣に関連する。
1の実施態様において、本明細書に記載の方法および医薬組成物は、乳癌、メラノーマ、口腔扁平上皮癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、腎細胞癌、結腸直腸癌、前立腺癌、脳癌、紡錘細胞癌、尿路上皮癌、膀胱癌、結腸直腸癌、頭頚部癌(例えば、扁平上皮癌)、および膵臓癌のいずれかである癌を治療するために用いられる。さらに別の実施態様において、本明細書に記載の方法および医薬組成物は、頭頚部癌および肺癌のいずれかである癌を治療するために用いられる。
白金を基にした抗癌剤に関連する毒性の治療方法
一般に、白金を基にした抗癌剤(例えば、シスプラチン)の投与の毒性効果から生じる状態を患っているか、または患いやすい対象は、本開示の組成物および方法を用いて治療されうる。本明細書に記載の方法による治療を受ける対象は、哺乳類対象、典型的には、ヒト患者である。本開示に従って治療されうる他の哺乳類には、コンパニオンアニマル(例えば、イヌおよびネコ)、家畜動物(例えば、ウシ、ウマ、およびブタ)、ならびに鳥類およびさらなる珍しい動物(例えば、動物園または自然保護区で見出された動物)が含まれる。本開示のある態様において、(例えば、癌治療中に供されるように)白金を基にした抗癌剤の毒性に関連する状態(対象が白金を基にした抗癌剤の対象への投与後に患っている状態など)の治療方法であって、前記状態を軽減するための方法が提供される。別の実施態様において、前記治療は、白金を基にした抗癌剤の毒性を減少させ、および/または阻害するために提供され、例えば、白金を基にした抗癌剤が癌治療中に供されて、白金を基にした抗癌剤の毒性に関連する状態が発生するリスクを減少させる。有利なことに、本明細書に記載の方法は、白金を基にした抗癌剤による癌治療を可能にしつつ、同時に毒性効果を減少させ、および/または毒性状態を軽減して、例えば、哺乳類宿主において、腫瘍の発生を減らし、全身腫瘍組織量を減少させ、または腫瘍の退縮を生じうる。癌予防を所望する癌患者および個体は、本明細書に記載の組み合わせで治療することができる。
1の実施態様において、白金を基にした抗癌剤の投与に関連し、本明細書に記載の方法で治療されうる(および/またはこのような状態を発生するリスクが減少されうる)毒性および/または毒性状態には、腎毒性、骨髄毒性、聴器毒性、および神経毒性、ならびにこれらに関連する状態の少なくとも1つが含まれる。例えば、1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体の投与は、白金を基にした抗癌剤の投与に関連する神経毒性効果を減少することができる。腎毒性は、腎臓に対する毒性を意味し、腎臓機能の低下、および急性腎障害、さらには腎不全などを生じ、一般に、抗癌剤の投与に付随する(例えば、Lameire N., Clin Kidney J, 7(1): 11-22 (2014); Zhu et al, Arch Toxicol, 89(12): 2197-2205 (2015)を参照)。全血の血中尿素窒素(BUN)レベルおよびクレアチニンレベルは、高レベルが腎臓機能の低下を示す腎障害の程度の指標を提供するために測定されてもよい。腎障害の他のマーカーには、腎障害分子1(KIM1)および好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)が含まれる。別の例として、1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体の投与は、白金を基にした抗癌剤の投与に関連する骨髄毒性効果を減少させることができうる。骨髄機能抑制および/または骨髄抑制とも称される骨髄毒性は、リンパ球、赤血球、および血小板などの細胞の産生における減少を意味し、好中球減少、血小板減少症、および貧血などの状態を生じることができ、一般に、抗癌剤に付随する(例えば、Kurtin S., J Adv Pract Oncol, 3(4): Jul-Aug (2012); Son et al., Hum Exp Toxicol, 30(7): 649-655 (2011)を参照)。好中球および白血球数はまた、減少しうる。さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体の投与は、白金を基にした抗癌剤の投与に関連する聴器毒性効果(蝸牛、聴神経および/または前庭系などの耳に対する毒性である)を減少させることができうる。よって、1の実施態様において、本明細書に記載の治療方法は、白金を基にした抗癌治療から生じる毒性を患っているか、および/または患うリスクを有する対象、例えば、白金を基にした抗癌剤の投与による腎毒性および骨髄毒性の1つまたはそれ以上を患っているか、および/または患うリスクを有する対象を治療することを含むことができる。
医薬製剤
本開示の別の態様は、本明細書に記載の組み合わせを、医薬的に許容される賦形剤と一緒に含む医薬組成物に関する。前記医薬組成物には、医薬製剤として典型的に製剤化され、適宜、医薬的に許容される担体、添加剤または賦形剤と組み合わせて製剤化されてもよい、上記に記載されるような、ペンタアザ大環状環複合体(例えば、式(I)に相当するもの)、および少なくとも1つの白金を基にした抗癌剤、ならびにこれらの組み合わせが含まれる。1の実施態様において、例えば、前記医薬組成物には、ペンタアザ大環状環複合体、白金を基にした抗癌剤および医薬的に許容される賦形剤が含まれる。本開示による医薬組成物は、癌の治療に用いられうる。
本明細書に記載の医薬組成物は、1つ以上の活性成分を混合し、または組み合わせて生じる製品であり、活性成分の固定され、および固定されていない組み合わせの両方が含まれる。固定された組み合わせは、例えば、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤が、単一物または単一用量の形態で同時に患者に投与されるものである。他の活性薬剤はまた、単一物または単一用量の一部として投与されてもよく、あるいは別々に投与されてもよい。固定されていない組み合わせは、活性成分、例えば、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤が、患者に別の物として、同時に、一斉に、または特に間隔を限ることなく連続して投与されるものであって、このような投与が、患者の体における化合物の有効なレベルを供するものである。後者はまたは、多剤組み合わせ療法、例えば、3つまたはそれ以上の活性成分の投与に用いられる。
上記に記載のペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、哺乳類への投与前に医薬的に許容される担体中に分散されてもよく;すなわち、本明細書に記載の成分は、好ましくは、共製剤化される。賦形剤、ベヒクル、補助剤、アジュバント、または希釈剤として当該技術分野で知られている担体は、典型的に、医薬的に不活性である物質であり、その組成物に対して適する硬さまたは形態を有しており、化合物の有効性を減少させるものではない。前記担体は、一般に、許容できない有害性、アレルギー性、または哺乳類、特に、ヒトに投与される場合に他の有害反応を生じない限り「医薬的に、または薬理学的に許容される」と考えられている。
医薬的に許容される担体の選択はまた、一部には、投与経路による。一般に、本明細書に記載の組成物は、血液循環系がこの経路により、従来の投与経路により利用可能である限り、いずれの投与経路のために製剤化することができる。例えば、適する投与経路としては、以下に限定されないが、経口、非経口(例えば、静脈内、動脈内、皮下、直腸、皮下、筋肉内、気道内、嚢内、脊髄内、腹腔内、または胸骨内)、局所(経鼻、経皮、眼内)、膀胱内、くも膜下腔内、腸内、肺、リンパ内、腔内(intracavital)、膣、経尿道、皮内、耳、***内、バッカル、同所性、気管内、病巣内、経皮、内視鏡、経粘膜、舌下、および腸管投与が挙げられる。
本開示の組成物と組み合わせて用いるための医薬的に許容される担体は、当業者に周知であり、多くの因子:用いられる特定の化合物および薬剤、およびその/それらの濃度、安定性および目的のバイオアベイラビリティ;対象、その年齢、体重、総体的な状態;ならびに投与経路に基づいて選択される。適する非水性の医薬的に許容される極性溶媒としては、以下に限定されないが、アルコール(例えば、a−グリセロールホルマール、6−グリセロールホルマール、1,3−ブチレングリコール、2〜30個の炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、アミレン水和物、ベンジルアルコール、グリセリン(グリセロール)、グリコール、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、またはステアリルアルコール、脂肪族アルコールの脂肪酸エステル、例えば、ポリアルキレングリコール類(例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ソルビタン、ショ糖およびコレステロール);アミド類(例えば、ジメチルアセトアミド(DMA)、ベンジルベンゾエートDMA、ジメチルホルムアミド、N−(6−ヒドロキシエチル)−ラクトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドアミド、2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピロリジノン、またはポリビニルピロリドン);エステル(例えば、1−メチル−2−ピロリジノン、2−ピロリジノン、酢酸エステル、例えば、モノアセチン、ジアセチン、およびトリアセチン、脂肪族もしくは芳香族エステル、例えば、カプリル酸もしくはオクタノン酸エチル、オレイン酸アルキル、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセリンのエステル、例えば、クエン酸もしくは酒石酸モノ、ジ−、またはトリ−グリセリル、安息香酸エチル、酢酸エチル、炭酸エチル、乳酸エチル、オレイン酸エチル、ソルビタンの脂肪酸エステル、脂肪酸由来PEGエステル、モノステアリン酸グリセリド、グリセリドエステル(例えば、モノ、ジまたはトリグリセリド)、脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル)、脂肪酸由来PEGエステル(例えば、PEG−ヒドロキシオレイン酸およびPEG−ヒドロキシステアリン酸)、N−メチルピロリジノン、プルロニック60、ポリオキシエチレンソルビトールオレイン酸ポリエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えば、ポリオキシエチレン−モノオレイン酸ソルビタン、リオキシエチレン−モノパルミチン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン−モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン−モノステアリン酸ソルビタン、およびポリソルベート(登録商標)20、40、60または80(ICI Americas,デラウェア州のウィルミントン)、ポリビニルピロリドン、アルキレンオキシ修飾脂肪酸エステル、例えば、ポリオキシル40水素化ヒマシ油およびポリオキシエチル化ヒマシ油(例えば、Cremophor(登録商標)EL溶液またはCremophor(登録商標)RH40溶液)、ショ糖脂肪酸エステル(すなわち、単糖の縮合生成物(例えば、ペントース、例えば、リボース、リブロース、アラビノース、キシロース、リキソースおよびリキソース、ヘキソース、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースおよびソルボース、トリオース、テトロース、ヘプトース、およびオクトース)、二糖(例えば、ショ糖、マルトース、乳糖、およびトレハロース)またはオリゴ糖、あるいは0〜022脂肪酸とのこれらの混合物(例えば、飽和脂肪酸(例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸)、および不飽和脂肪酸(例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸およびリノール酸))、またはステロイド系エステル);アルキル、アリール、または2〜30個の炭素原子を有する環状エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルイソソルビド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル);グリコフロール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル);3〜30個の炭素原子を有するケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン);4〜30個の炭素原子を有する脂肪族、シクロ脂肪族もしくは芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジオキソラン、ヘキサン、n−デカン、n−ドデカン、n−ヘキサン、スルホラン、テトラメチレンスルホン、テトラメチレンスルホキシド、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、またはテトラメチレンスルホキシド);無機物、植物、動物、天然または合成由来の油(例えば、鉱油、例えば、脂肪族もしくはワックスに基づく炭化水素、芳香族炭化水素、混合した脂肪族および芳香族に基づく炭化水素、および精製した鉱油、植物油、例えば、亜麻仁油、桐、べに花、大豆、ヒマシ、綿実、落花生、菜種、ココナッツ、パーム、オリーブ、トウモロコシ、トウモロコシ胚芽、胡麻、杏仁およびピーナッツ油、およびグリセリド、例えば、モノ−、ジ−もしくはトリグリセリド、動物油、例えば、魚、水産動物、***、タラ肝、オヒョウ、スクアレン、スクアラン、および鮫肝油、オレイン油、およびポリオキシエチル化ヒマシ油);1〜30個の炭素原子を有し、適宜1つ以上のハロゲン基を有していてもよいアルキルもしくはアリールハライド;塩化メチレン;モノエタノールアミン;石油ベンジン;トロラミン;オメガ3多価不飽和脂肪酸(例えば、アルファリノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、またはドコサヘキサエン酸);12−ヒドロキシステアリン酸およびポリエチレングリコールのポリグリコールエステル(ソルトール(登録商標)HS−15(ドイツ,ルートヴィヒスハーフェンのBASF);ポリオキシエチレングリセロール;ラウリン酸ナトリウム;オレイン酸ナトリウム;またはモノオレイン酸ソルビタンが挙げられる。
ある実施態様において、油性もしくは非水性溶媒は、例えば、大きな親油性部分の存在により、例えば、1つまたはそれ以上の化合物を溶液に溶解させるために、製剤中に用いられうる。あるいは、乳濁液、懸濁液、または他の調製物、例えば、リポゾーム調製物が用いられてもよい。リポゾーム調製物に関して、例えば、公知のリポソーム調製方法のいずれかが用いられてもよい。例えば、出典明示により本明細書に取り込まれるBangham et al., J. Mol. Biol, 23: 238-252 (1965) and Szoka et al., Proc. Natl Acad. Sci 75: 4194-4198 (1978)を参照のこと。よって、1の実施態様において、1つまたはそれ以上の化合物は、リポソーム送達系、例えば、小型単層ベシクル、大型単層ベシクル、および多層ベシクルの形態で投与される。リポソームは、様々なリン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンから形成させることができる。リガンドはまた、例えば、これらの組成物を特定の作用部位に方向付けるためにリポソームに結合されていてもよい。
本明細書に記載の医薬組成物に使用するための他の医薬的に許容される溶媒は、当業者に周知であり、The Chemotherapy Source Book (Williams & Wilkens Publishing)、The Handbook of Pharmaceutical Excipients, (American Pharmaceutical Association, Washington, D.C., and The Pharmaceutical Society of Great Britain, London, England, 1968)、Modern Pharmaceutics, (G. Banker et al., eds., 3d ed.) (Marcel Dekker, Inc., New York, New York, 1995)、The Pharmacological Basis of Therapeutics, (Goodman & Gilman, McGraw Hill Publishing)、Pharmaceutical Dosage Forms, (H. Lieberman et al., eds.) (Marcel Dekker, Inc., New York, New York, 1980)、Remington's Pharmaceutical Sciences (A. Gennaro, ed., 19th ed.) (Mack Publishing, Easton, PA, 1995)、The United States Pharmacopeia 24, The National Formulary 19, (National Publishing, Philadelphia, PA, 2000)、およびA.J. Spiegel et al., Use of Nonaqueous Solvents in Parenteral Products, Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 52, No. 10, pp. 917-927 (1963)に記載されている。
ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤を含有する製剤は、好ましくは、正確な投薬の単回投与に適する単位製剤中において、固体、半固体、凍結乾燥粉末、または液体製剤、例えば、エアロゾル、カプセル剤、クリーム、乳濁液、泡、ゲル/ゼリー、ローション、軟膏剤、ペースト、散剤、ソープ、溶液、スプレー、坐薬、懸濁液、持続性製剤、錠剤、チンキ剤、経皮パッチなどの形態であってもよい。固定用量として製剤化される場合、このような医薬組成物または製剤製品は、前記ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤を許容可能な用量範囲内で用いる。
1の実施態様において、白金を基にした抗癌剤を液体製剤(例えば、注射に適する無菌液体製剤)の一部として含有する製剤が提供される。例えば、白金を基にした抗癌剤を1つまたはそれ以上のさらなる成分、例えば、エデト酸二ナトリウム(EDTA)と組み合わせて含有する液体形態である。1の実施態様において、前記液体形態は、EDTAを、保存剤および/または金属キレート剤として作用するのに適する量、例えば、約0.025%の量で含むことができる。前記液体形態は、水をさらに含むことができ、pH調整剤、例えば、pH5.5〜7.0の範囲におけるpH調整のための炭酸水素ナトリウムもまた含んでいてもよい。1の実施態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体はまた、白金を基にした抗癌剤と同一の液体製剤で、または別々の製剤として、注射に適する無菌液体製剤の一部として提供することもできる。
一定のペンタアザ大環状環複合体のための製剤はまた、例えば、米国特許第5,610,293、5,637,578、5,874,421、5,976,498、6,084,093、6,180,620、6,204,259、6,214,817、6,245,758、6,395,725、および6,525,041号(これらの各々は、出典明示によりその全体が本明細書に取り込まれる)に記載されている。
ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の共製剤化は、これらの構成成分各々の従来の製剤化技術、または様々な構成成分の適合性および有効性による別の製剤化経路を組み合わせて用いられうるものとされる。
前記ペンタアザ大環状化合物および白金を基にした抗癌剤を含む上記に記載の医薬組成物には、1つまたはそれ以上のさらなる医薬的に活性な成分がさらに含まれていてもよい。本発明の態様による組成物に含まれていてもよい適する医薬的に活性薬剤としては、例えば、制吐薬、麻酔薬、降圧薬、抗不安薬、抗凝固薬、抗けいれん薬、血糖低下薬、うっ血除去薬、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬、抗悪性腫瘍薬、β遮断薬、抗炎症薬、抗精神病薬、向知性薬、コレステロール低下薬、抗肥満薬、自己免疫疾患薬、性的不能治療薬、抗菌薬および抗真菌薬、睡眠薬、抗パーキンソン病薬、抗アルツハイマー病薬、抗生物質、抗うつ薬、および抗ウイルス薬が挙げられる。このような組み合わせの各成分は、別個のまたは合わせた医薬製剤中で、連続して、または同時に投与されてもよい。
さらに別の実施態様において、癌などの病気の治療のため、ならびに/あるいは白金を基にした抗癌剤の投与に関連する毒性のリスクを治療し、および/または減少させるためのペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の両方を含むキットが提供されてもよい。例えば、前記キットには、ペンタアザ大環状環複合体(例えば、そのペンタアザ大環状環複合体の経口もしくは注射用製剤)を含む製剤を含有する第1の容器または箱、白金を基にした抗癌剤(例えば、白金を基にした抗癌剤の注射用製剤)を含む製剤を含有する第1の容器または箱が含まれてもよい。前記キットには、活性薬剤の投与、推奨される用量、期間および投薬計画のための表示もしくは他の説明書、警告、可能性のある薬間の相互作用の記載、および他の関連する説明(例えば、本明細書に記載されるもののいずれかに相当する治療計画(例えば、用量、投薬頻度など)を指示する表示)がさらに含まれていてもよい。
癌治療との組み合わせ療法
1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、治療上の処置を供するために、別の癌治療と組み合わせて投与することができる。例えば、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、放射線療法の一部として投与されてもよい。
一般に、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の投与の時間的態様は、例えば、選択される特定の放射線療法、あるいは放射線曝露のタイプ、性質、および/または期間に依存しうる。他の検討事項としては、治療される疾患または障害および疾患または障害の重症度;用いられる特定の化合物の活性;用いられる特定の組成物;対象の年齢、体重、総体的な健康、性別および食事;用いられる特定の化合物の投与時期、投与経路および***率;治療期間;用いられる特定の化合物と組み合わせて、または同時に用いられる薬などの因子が挙げられ得る。例えば、前記化合物は、放射線療法の前、間および/または後(例えば、複数回の曝露および/または投薬を含む放射線療法過程への曝露前、間または後、および/または投薬前、間または後)に様々な実施態様で投与されてもよい。別の例として、前記化合物は、放射線曝露前、中および/または後に様々な実施態様で投与されてもよい。
必要であれば、有効な用量は、投与のために複数の投薬に分けることができ;それゆえ、単回投薬組成物は、投薬を構成するために、このような量またはその部分複数量を含有していてもよい。
1の態様において、例えば、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、放射線曝露の前または同時に患者に投与される。別の態様において、例えば、前記構成成分は、放射線曝露の前であるが、後ではなく患者に投与される。さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの1つまたはそれ以上は、放射線曝露(例えば、放射線治療過程における最初の放射線曝露)前、または治療過程における放射線の用量または用量フラクションのうちの1回である放射線の別の用量または用量フラクション前少なくとも15分、30分、45分、60分、90分、180分、0.5日、1日、3日、5日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、またはそれ以上で患者に投与される。さらに他の実施態様において、例えば、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、放射線曝露後に患者に投与され;それゆえ、例えば、前記化合物は、放射線曝露(放射線療法の複数用量過程における放射線の用量または用量フラクションであってもよく、あるいは放射線療法における放射線の単一または最終用量または用量フラクションであってもよい)後15分、30分、45分、60分、90分、180分、0.5日、1日、3日、5日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、またはそれ以上までで投与されてもよい。
1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、放射線療法を含む治療過程の一部として投与される。放射線療法において、患者は、癌細胞の増殖を抑制し、または制御するために電離放射線の用量または用量フラクションを受容する。放射線の用量または用量フラクションは、癌に罹っていない体の部分に対する有害効果を減少させるために、体の特定部分に向けられてもよく、放射線の光線は、所定の治療計画に従って具現化されてもよい。放射線療法の典型的な過程には、放射線の用量または用量フラクションの1回または複数回が含まれてもよく、数日、数週間、および数ヶ月の過程で投与することができる。放射線療法過程中に付与される放射線の合計「用量」は、典型的に、患者が放射線療法の全過程中に受容する放射線用量を意味し、これらの用量は、全体の用量に相当する投与されるフラクションの合計で数回の期間にわたり投与される場合において、複数回の放射線曝露に相当する用量「フラクション」として投与されてもよい。
1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の少なくとも1つは、放射線曝露前もしくは後(例えば、放射線用量または用量フラクションの前もしくは後)所定の期間内で投与される。例えば、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、患者の受ける放射線曝露、例えば、用量または用量フラクション(放射線用量もしくは用量フラクションに相当する放射線曝露前または後)の1週間、48時間、24時間、12時間、6時間、2時間、1時間、または30分以内に投与されてもよい。癌細胞の死滅を高める放射線曝露と化合物の投与との間の他の期間もまた適切でありうる。1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの1つは、放射線曝露前に投与されてもよく、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの残りの1つまたはそれ以上は、放射線曝露後に投与することができる。ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの1つまたはそれ以上は、放射線曝露の投与前および後の両方で投与されてもよい。
1の実施態様において、放射線療法過程には、所定期間、例えば、数時間、数週間、数日、さらに数ヶ月などにわたって付与される複数の放射線用量もしくは用量フラクションが含まれ、前記複数の用量もしくは用量フラクションは、同一の大きさまたは異なっている。すなわち、放射線療法の過程には、放射線の一連の複数の用量もしくは用量フラクションの投与が含まれうる。1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、一連の1回もしくはそれ以上の放射線用量もしくは用量フラクション前、例えば、各放射線用量もしくは用量フラクション前、または数回の放射線用量もしくは用量フラクション前に投与することができる。さらに、放射線療法過程中のペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の投与は、例えば、癌細胞を放射線療法に感作させることによって、放射線療法の癌治療効果を高めるために選択することができる。1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、各用量もしくは用量フラクション前もしくは後所定期間、例えば、前記に記載の所定期間内に投与される。別の態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、選択した用量または用量フラクション前もしくは後所定期間内にのみ投与される。さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの少なくとも1つは、前記用量前所定期間内に投与される一方で、別のペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、前記用量もしくは用量フラクション後所定期間内に投与される。さらなる実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの少なくとも1つは、選択した用量または用量フラクション前もしくは後所定期間内にのみ投与される一方で、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の別の1つは、選択した用量または用量フラクション以外の用量または用量フラクション前または後所定期間内にのみ投与される。
治療過程中に供するために適する全体の用量は、提供される治療のタイプ、患者の生理学的特徴、および他の因子によって決定することができ、提供される用量フラクションは、同様に決定することができる。ある態様において、患者に投与される放射線の用量フラクションは、少なくとも1.8Gy、例えば、少なくとも2Gy、さらに少なくとも3Gy、例えば、少なくとも5Gy、さらに少なくとも6Gyであってもよい。さらに別の実施態様において、患者に投与される放射線の用量フラクションは、少なくとも10Gy、例えば、少なくとも12Gy、さらに少なくとも15Gy、例えば、少なくとも18Gy、さらに少なくとも20Gy、例えば、少なくとも24Gyであってもよい。一般に、患者に投与される放射線の用量フラクションは、54Gyを超えるものではない。さらに、1の実施態様において、対象に送達される用量フラクションは、対象の特定の標的領域、例えば、腫瘍の標的領域に送達される量を意味しうるが、腫瘍の他の領域またはその周辺組織は、名目上の用量フラクション量によって特定される量より多かれ少なかれ放射線に曝露されうることに留意すべきである。
さらに別の実施態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、さらなる化学療法剤の投与を含む治療過程の一部として投与される。化学療法において、化学療法剤は、癌細胞の増殖を阻害し、または制御するために患者に投与される。化学療法の典型的な過程には、数日、数週間、さらに数ヶ月にわたって投与することができる1つまたはそれ以上の化学療法剤の1回または複数回の投薬が含まれ得る。化学療法剤には:アルキル化抗悪性腫瘍薬、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、シクロホスファミド、クロランブシル)、ニトロソ尿素(例えば、n−ニトロソ−n−メチル尿素、カルムスチン、セムスチン)、テトラジン(例えば、ダカルバジン、ミトゾリミド(mitozolimide))、アジリジン(例えば、チオテパ、マイトマイシン);代謝拮抗剤、例えば、葉酸代謝拮抗剤(例えば、メトトレキセートおよびペメトレキセド)、フルオロピリミジン(例えば、フルオロウラシル、カペシタビン)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン)、デオキシヌクレオシド類似体(例えば、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン)およびチオプリン(例えば、チオグアニン、メルカプトプリン);微小管阻害剤、例えば、タキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド);および抗腫瘍性抗生物質(例えば、ブレオマイシン、マイトマイシン)のうちの少なくとも1つが含まれうる。例えば、化学療法剤は、オールトランスレチノイン酸、三酸化ヒ素、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロランブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポシロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イマチニブ、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チグアニン(tiguanine)、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンからなる群から選択されてもよい。多くの化学療法剤の投与は、「Physicians' Desk Reference」(PDR)、例えば、1996 edition (Medical Economics Company, Montvale, N.J. 07645-1742, USA)に記載されている。
1の実施態様において、前記ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、ドキソルビシン、ブレオマイシン、およびパクリタキセルからなる群から選択されるさらなる化学療法剤が含まれる治療の一部として投与される。さらに、1の実施態様において、さらなる化学療法剤は、タキサン、抗癌性抗生物質、およびアントラサイクリンからなる群から選択されてもよい。他の化学療法剤には、三酸化ヒ素および5−FUが含まれ、これらの薬剤はまた、本明細書に記載の方法および組成物に用いることもできる(Alexandre et al., Cancer Res. 67: (8), 3512-3517 (2007); Yen et al., J. Clin. Invest. 98 (5), 1253-1260 (1996); Masuda et al., Cancer Chemother. Pharmacol. 47(2), 155-160 (2001))。
なお別の実施態様によれば、さらなる化学療法剤には、代謝拮抗性抗癌剤および有糸***阻害性抗癌剤、ならびにこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つが含まれ得、上記に記載の薬剤および本明細書でさらに記載の他の薬剤のいずれも含まれうる。様々な代謝拮抗剤および有糸***阻害剤が本明細書に記載の方法および組成物で用いられうる。
代謝拮抗剤は、一般に、天然代謝物に構造的に類似し、癌細胞の通常の代謝プロセス、例えば、核酸およびタンパク質の合成に関連する。しかしながら、代謝拮抗剤は、癌細胞の代謝プロセスを妨げるように、天然代謝物とは十分に異なっている。前記細胞では、代謝拮抗剤は、それらが類似する代謝物について誤認され、正常な化合物と類似する方法で細胞によって処理される。「デコイ」代謝物の存在は、細胞が生命維持に必要な機能を行うことを妨げ、細胞は増殖し、生存することができなくなる。例えば、代謝拮抗剤は、これらの偽のヌクレオチドを細胞のDNAに置き代え、それにより細胞***を妨げ、または不可欠な細胞内酵素の阻害によってDNA複製を阻害することによって、細胞傷害活性を発揮する。
よって、1の実施態様において、代謝拮抗剤は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体である。ある実施態様において、例えば、代謝拮抗剤には、プリン(例えば、グアニンまたはアデノシン)またはその類似体、あるいはピリミジン(シチジンまたはチミジン)またはその類似体(結合している糖部分を含むか、または含まない)が含まれうる。
本開示における使用に適する代謝拮抗剤は、一般に、それらが影響を及ぼす代謝プロセスによって分類されていてもよく、以下に限定されないが、葉酸、ピリミジン、プリン、およびシチジンの類似体および誘導体が含まれうる。よって、1の実施態様において、前記代謝拮抗剤は、シチジン類似体、葉酸類似体、プリン類似体、ピリミジン類似体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
ある特定の実施態様において、例えば、前記代謝拮抗剤は、シチジン類似体である。この実施態様によれば、例えば、前記シチジン類似体は、シタラビン(シトシンアラビノシド)、アザシチジン(5−アザシチジン)、ならびにこれらの塩、類似体、および誘導体からなる群から選択されてもよい。
別のある実施態様において、例えば、代謝拮抗剤は、葉酸類似体である。葉酸類似体または葉酸代謝拮抗剤は、一般に、ヌクレオチドの形成に関する酵素であるジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)を阻害することによって機能する(この酵素が阻害されると、ヌクレオチドは形成されず、DNA複製および細胞***を阻害する)。ある実施態様によれば、例えば、葉酸類似体は、デノプテリン、メトトレキセート(アメトプテリン)、ペメトレキセド、プテロプテリン、ラルチトレキセド、トリメトレキサート、ならびにそれらの塩、類似体、および誘導体からなる群から選択されてもよい。
別のある実施態様において、例えば、前記代謝拮抗剤は、プリン類似体である。プリンに基づく代謝拮抗剤は、DNA合成を阻害すること、例えば、プリン含有ヌクレオチドであるアデニンおよびグアニンの生成を妨げて、DNA合成を停止させ、それにより細胞***を阻害することによって機能する。プリン類似体はまた、DNA合成中にDNA分子自体に取り込まれることができ、細胞***を妨げることができる。ある実施態様によれば、例えば、前記プリン類似体は、アシクロビル、アロプリノール、2−アミノアデノシン、アラビノシルアデニン(ara−A)、アザシチジン、アザチオプリン、8−アザ−アデノシン、8−フルオロ−アデノシン、8−メトキシ−アデノシン、8−オキソ−アデノシン、クラドリビン、デオキシコホルマイシン、フルダラビン、ガンシクロビル、8−アザ−グアノシン、8−フルオロ−グアノシン、8−メトキシ−グアノシン、8−オキソ−グアノシン、グアノシン二リン酸、グアノシン二リン酸−ベータ−L−2−アミノフコース、グアノシン二リン酸−D−アラビノース、グアノシン二リン酸−2−フルオロフコース、グアノシン二リン酸フコース、メルカプトプリン(6−MP)、ペントスタチン、アミプリン、チオグアニン(6−TG)、ならびにこれらの塩、類似体および誘導体からなる群から選択されてもよい。
なお別のある実施態様において、例えば、前記代謝拮抗剤は、ピリミジン類似体である。上記に記載のプリン類似体と同様に、ピリミジンに基づく代謝拮抗剤は、ピリミジン含有ヌクレオチド(DNA中のシトシンおよびチミン;RNA中のシトシンおよびウラシル)の合成を妨げる。「デコイ」として作用することにより、前記ピリミジンに基づく化合物は、ヌクレオチドの生成を妨げることができ、および/または伸長するDNA鎖に取り込まれ、その終結を生じさせることができる。ある実施態様によれば、例えば、前記ピリミジン類似体は、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、ブロモウラシル(例えば、5−ブロモウラシル)、カペシタビン、カルモフール、クロロウラシル(例えば、5−クロロウラシル)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、シトシン、ジデオキシウリジン、3’−アジド−3’−デオキシチミジン、3’−ジデオキシシチジン−2’−エン、3’−デオキシ−3’−デオキシチミジン−2’−エン、ジヒドロウラシル、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン、5−フルオロシトシン、2−フルオロデオキシシチジン、3−フルオロ−3’−デオキシチミジン、フルオロウラシル(例えば、5−フルオロウラシル(5−FUとしても公知)、ゲムシタビン、5−メチルシトシン、5−プロピニルシトシン、5−プロピニルチミン、5−プロピニルウラシル、チミン、ウラシル、ウリジン、ならびにこれらの塩、類似体、および誘導体からなる群から選択されてもよい。1の実施態様において、前記ピリミジン類似体は、5−フルオロウラシル以外である。別の態様において、前記ピリミジン類似体は、ゲムシタビンまたはその塩である。
ある実施態様において、前記代謝拮抗剤は、5−フルオロウラシル、カペシタビン、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ゲムシタビン、シタラビン、フルダラビン、ペメトレキセド、ならびにこれらの塩、類似体、誘導体、および組み合わせからなる群から選択される。他の実施態様において、前記代謝拮抗剤は、カペシタビン、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ゲムシタビン、シタラビン、フルダラビン、ペメトレキセド、ならびにこれらの塩、類似体、誘導体、および組み合わせからなる群から選択される。ある特定の実施態様において、前記代謝拮抗剤は、5−フルオロウラシル以外である。特に好ましい態様において、前記代謝拮抗剤は、ゲムシタビンまたはその塩(例えば、ゲムシタビンHCl(Gemzar(登録商標)))である。
他の代謝拮抗剤は、以下に限定されないが、アカンチホリン酸、アミノチアジアゾール、ブレキナルナトリウム、Ciba−Geigy CGP−30694、シクロペンチルシトシン、ステアリン酸リン酸シタラビン(cytarabine phosphate stearate)、シタラビン抱合体、Lilly DATHF、Merrel Dow DDFC、デザグアニン、ジデオキシシチジン、ジデオキシグアノシン、ジドックス、Yoshitomi DMDC、Wellcome EHNA(Merck&Co)、EX−015、ファザラビン、リン酸フルダラビン、N−(2’−フラニジル)−5−フルオロウラシル、Daiichi Seiyaku FO−152、5−FU−フィブリノーゲン、イソプロピルピロリジン、Lilly LY−188011;Lilly LY−264618、メトベンザプリム(methobenzaprim)、Wellcome MZPES、ノルスペルミジン、NCI NSC−127716、NCI NSC−264880、NCI NSC−39661、NCI NSC−612567、Warner−Lambert PALA、ペントスタチン、ピリトレキシム、プリカマイシン、Asahi Chemical PL−AC、Takeda TAC−788、チアゾフリン、Erbamont TIF、チロシンキナーゼ阻害剤、Taiho UFTおよびウリシチンなどからなる群から選択されてもよい。
1の実施態様において、前記化学療法剤には、微小管阻害剤または微小管安定化剤である有糸***阻害剤が含まれる。一般に、微小管安定化剤、例えば、タキサン類(上記にも記載されるもののいずれか)およびエポシロン類は、ベータ微小管鎖の内部表面に結合し、重合反応の核形成および伸長期を促進し、微小管を構築するために必要となる重要なチューブリンサブユニット濃度を下げることによって微小管の会合を高める。微小管阻害剤(例えば、微小管構築を阻害するビンカアルカロイド)とは異なり、微小管安定化剤(例えば、タキサン類)は、遅延時間を減少させ、重合化に対するチューブリン二量体と微小管重合体との間の動的平衡を劇的に変化させる。それゆえ、1の実施態様において、微小管安定化剤は、タキサンまたはエポシロンである。別の態様において、微小管阻害剤は、ビンカアルカロイドである。
本明細書に記載の治療の1つの要素には、タキサンまたはその誘導体もしくは類似体の使用が含まれ得、これらのいくつかは上記で説明されている。1の実施態様において、タキサンは、天然に存在する化合物または関連する形態でありうるか、または抗悪性腫瘍特性を有する化学的に合成された化合物もしくはその誘導体でありうる。タキサン類は、テルペン類の1つのファミリーであり、下記に限定されないが、パクリタキセル(タキソール(登録商標))およびドセタキセル(タキソテール(登録商標))が挙げられ、太平洋イチイ(Taxus brevifolia)に元々由来し、一定の腫瘍、特に、***および卵巣腫瘍に対して活性を有する。1の実施態様において、前記タキサンは、ドセタキセルまたはパクリタキセルである。パクリタキセルは、好ましいタキサンであり、チューブリン二量体からの微小管の会合を促進し、脱重合化を阻害することによって微小管を安定化する有糸***阻害剤と考えられている。この安定性は、生命維持に必要な細胞間期および有支***の細胞機能に必須である微小管ネットワークの正常で動的な再組織化を阻害する。
様々な公知のタキサン誘導体(親水性誘導体および疎水性誘導体を含む)もまた含まれる。タキサン誘導体としては、以下に限定されないが、国際特許出願番号WO99/18113に記載のガラクトースおよびマンノース誘導体;WO99/14209に記載のピペラジノおよび他の誘導体;WO99/09021、WO98/22451、および米国特許第5,869,680号に記載のタキサン誘導体;WO98/28288に記載の6−チオ誘導体;米国特許第5,821,263号に記載のスルフェンアミド誘導体;脱酸素化パクリタキセル化合物、例えば、米国特許第5,440,056号に記載のもの;ならびに米国特許第5,415,869号に記載のタキソール誘導体が挙げられる。上記に記載されるように、パクリタキセルのプロドラッグ(以下に限定されないが、WO98/58927;WO98/13059;および米国特許第5,824,701号に記載のものを含む)がさらに含まれる。前記タキサンはまた、タキサン抱合体、例えば、パクリタキセル−PEG、パクリタキセル−デキストラン、パクリタキセル−キシロース、ドセタキセル−PEG、ドセタキセル−デキストラン、ドセタキセル−キシロースなどであってもよい。その他の誘導体は、"Synthesis and Anticancer Activity of Taxol Derivatives," D. G. I. Kingston et al., Studies in Organic Chemistry, vol. 26, entitled "New Trends in Natural Products Chemistry" (1986), Atta-ur-Rabman, P. W. le Quesne, Eds. (Elsevier, Amsterdam 1986)などで言及されている。これらの文献の各々は、出典明示によりその全体が本明細書に取り込まれるものである。
様々なタキサンは、当業者に公知の技術を用いて容易に調製されてもよく(WO94/07882、WO94/07881、WO94/07880、WO94/07876、WO93/23555、WO93/10076;米国特許5,294,637; 5,283,253;5,279,949;5,274,137;5,202,448;5,200,534;5,229,529;およびEP590,267もまた参照のこと)(これらの各々は、出典明示によりその全体が本明細書に取り込まれる)、あるいは様々な商業的供給源(例えば、ミズーリ州、セントルイスのSigma−Aldrich Co.を含む)から取得されてもよい。
あるいは、前記有糸***阻害剤は、微小管阻害剤であり得;1の好ましい実施態様において、前記微小管阻害剤は、ビンカアルカロイドである。一般に、前記ビンカアルカロイドは、紡錘体の毒である。前記ビンカアルカロイド薬剤は、染色体が***し、細胞が分割する前にその極の1つに向かって紡錘体の管に沿って移動し始める時の有糸***間で作用する。これらの紡錘体毒の作用下において、紡錘体は、有糸***中の染色体の分散によって崩壊していき、細胞複製に影響を与える。ある実施態様によれば、例えば、前記ビンカアルカロイドは、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ならびにこれらの塩、類似体、および誘導体からなる群から選択される。
有糸***阻害剤はまた、エポシロンでありうる。一般に、エポシロン類の化合物メンバーは、タキサンの機能に類似するメカニズムによって微小管の機能を安定化する。エポシロンはまた、G2−M移行期で細胞周期を停止させ、細胞毒性、最終的にはアポトーシスを引き起こすことができる。適当なエポシロンとしては、エポシロンA、エポシロンB、エポシロンC、エポシロンD、エポシロンEおよびエポシロンF、ならびにこれらの塩、類似体および誘導体が挙げられる。1つの特定のエポシロン類似体は、エポシロンB類似体、イクサベピロン(イグゼンプラ(登録商標))である。
ある実施態様において、有糸***阻害性抗癌剤は、タキサン類、エポシロン類、ビンカアルカロイド類、ならびにこれらの塩および組み合わせからなる群から選択される。それゆえ、例えば、1の実施態様において、有糸***阻害剤は、タキサンである。より好ましくは、この実施態様において、有糸***阻害剤は、パクリタキセルまたはドセタキセルであり、さらにより好ましくは、パクリタキセルである。別の態様において、有糸***阻害剤は、エポシロン(例えば、エポシロンB類似体)である。別の態様において、有糸***阻害剤は、ビンカアルカロイドである。
1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの少なくとも1つは、さらなる化学療法剤の用量が投与される前もしくは後の所定期間内に投与される。例えば、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、患者が受けるさらなる化学療法剤(化学療法剤の投薬前もしくは後のいずれか)の1週間、48時間、24時間、12時間、6時間、2時間、1時間、またはさらに30分以内に投与されてもよい。癌細胞の死滅を高めるさらなる化学療法剤の投薬と構成成分の投与との間の他の期間もまた適切でありうる。1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの1つまたはそれ以上は、さらなる化学療法剤の投薬前に投与されてもよく、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの残りの1つまたはそれ以上は、さらなる化学療法剤の投薬後に投与することができる。ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの1つまたはそれ以上はまた、さらなる化学療法剤の用量の投与前もしくは後の両方で投与されてもよい。
1の実施態様において、化学療法過程には、さらなる化学療法剤の単回投薬が含まれる。別の態様において、化学療法過程には、所定期間、例えば、数時間、数週間、数日、さらに数ヶ月の期間にわたり付与されるさらなる化学療法剤の複数回投薬が含まれる。複数回投薬は、同一用量であっても異なっていてもよく、同一または異なる化学療法剤および/または化学療法剤の組み合わせの投薬が含まれうる。化学療法過程中のペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の投与は、例えば、癌細胞における酸化ストレスを促進するために細胞内の過酸化水素レベルを増加させることによって化学療法の癌治療効果を高めるために選択することができる。1の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、各投薬前もしくは後所定期間、例えば、上記に記載の所定期間内に投与される。別の態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、選択した投薬前もしくは後の所定期間内にのみ投与される。さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの少なくとも1つは、投薬前所定期間内に投与される一方で、別のペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、投薬後所定期間内に投与される。さらなる実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの少なくとも1つは、選択した投薬前もしくは後所定期間内にのみ投与される一方で、別のペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤は、選択した投薬以外の投薬前もしくは後所定期間内にのみ投与される。
さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの少なくとも1つは、放射線療法および化学療法(さらなる化学療法剤の投与に関する)の両方と組み合わせて投与される。
実施例
下記の非限定的な実施例は、本発明の態様をさらに例示するために提供される。下記の実施例に開示の技術は、本発明者らが見出した方法が本発明の実施において十分に用いられることを示し、それゆえ、その実施様式の例を構成すること考慮することができることが当業者によって評価されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示を考慮して、開示される具体的な実施態様において多くの変更を施すことができることを認識すべきであり、本発明の精神と範囲から逸脱することなく類似もしくは同様の結果を得ることができる。
抗癌治療の相乗効果
実施例1
培養中の癌細胞の生存に対するGC4419およびシスプラチンの効果
培地中のH460ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)細胞を、24μM GC4419(+GC)または培地(−GC)およびシスプラチンの示される濃度で処理した。120時間後、細胞の生存フラクションを調べた。GC4419をシスプラチン処理に加えると、シスプラチンのみで処理した細胞と比較して、H460細胞の生存フラクションが減少した。GC4419は、H460肺癌細胞をシスプラチンに対して著しく感受性を高めた(図1:培養中のH460細胞の生存に対するGC4419およびシスプラチンの効果を参照)。
実施例2
培養中の癌細胞の生存に対するGC4419、シスプラチンおよびカタラーゼ過剰発現の効果
過酸化水素(H)を除去するカタラーゼ(CAT)を誘導的に過剰発現するように改変されたH1299ヒトNSCLC細胞を、24μM GC4419(+GC)または培地(−GC)およびシスプラチンの示される濃度で細胞培地中にて処理した。この株(H1299CAT)におけるCAT過剰発現は、ドキシサイクリンの投与によって誘発し、挿入されたカタラーゼ遺伝子の転写をオンにした。GC4419の存在もしくは非存在下にてシスプラチンで処理120時間後、H1299CAT細胞の生存フラクションを、CAT過剰発現の存在および非存在下の両方で調べた。CAT過剰発現なしにおいて(「wt」)、GC4419をシスプラチン処理に加えると、GC4419およびシスプラチンの両方で処理した場合のH460細胞と同様に、シスプラチンのみで処理した細胞と比較して、H460細胞の生存フラクションが減少した。対照的に、CAT過剰発現(GC4419によってスーパーオキシドから生じたHを除去する「CAT」)は、GC4419のシスプラチン応答への寄与を抑制し、GC4419は、H460肺癌細胞のシスプラチンへの感受性を著しく高め、この高まった反応性は、H依存的であることが示された(図2:培養中のH1299CAT細胞のGC4419、シスプラチンおよびカタラーゼ過剰発現の効果を参照)。
実施例3
癌細胞におけるPARP活性に対するGC4419およびシスプラチンの効果
培養中のH460NSCLC細胞は、24μM GC4419および1μM シスプラチンで24時間処理した。この際、細胞を可溶化し、PARP(ポリ(ADPリボシル)ポリメラーゼ)活性を、89kd活性型の116kd不活性型への比率として、ウェスタンブロットにより測定した。PARPは、一本鎖切断のDNA修復に関連する核酵素であり、細胞ストレス(化学療法および放射線を含む)により活性化される。図3に示されるように、シスプラチンは、未処理細胞またはGC4419処理のみと比較して、PARP活性を高めた。GC4419をシスプラチンにさらに加えると、PARP活性を有意に高め(p<0.01)、以上より、GC4419がシスプラチンによって生じる癌細胞傷害を高めることが示された(図3:H460細胞におけるPARP活性に対するGC4419およびシスプラチンの効果を参照)。
培養中のH1299(野生型)NSCLC細胞はまた、24μM GC4419および10μM シスプラチンで24時間処理した。この際、細胞を可溶化し、PARP活性を、89kd活性型の116kd不活性型に対する比率として、ウェスタンブロットにより測定した。図4で示され、H460肺癌細胞で示される効果と一致するように、シスプラチンは、未処理細胞またはGC4419処理のみと比較して、PARP活性を高めた。GC4419をシスプラチンにさらに加えると、PARP活性を有意に高め(p<0.01)、以上より、GC4419がシスプラチンによって生じる癌細胞傷害を高めることが示された(図4:H1299細胞におけるPARP活性に対するGC4419およびシスプラチンの効果を参照)。
培養中のH460細胞は、6Gyの放射線照射(IR)、および24μM GC4419、1μM シスプラチン、またはGC4419のいずれか、およびシスプラチンにさらに24時間曝露させた。この際、細胞を可溶化し、PARP活性を、89kd活性型の116kd不活性型への比率として、ウェスタンブロットにより測定した。図5に示されるように、放射線(IR)のみは、バックグラウンドよりPARP活性を有意に高めた(p<0.05)。GC4419をIRに加えると、放射線のみで見られるよりPARP活性を著しく高めた。IRにシスプラチンを加えると、PARP活性を大幅に高め、この組み合わせにGC4419を加えると、これを有意に高め(p<0.01)、以上より、GC4419が放射線およびシスプラチンによって生じる癌細胞傷害を高めることが示された(図5:H460細胞におけるPARP活性に対するGC4419、シスプラチン、および放射線の効果を参照)。
培養中のH1299(野生型)細胞はまた、6Gyの放射線(IR)、および24μM GC4419、1μM シスプラチン、またはGC4419のいずれか、およびシスプラチンに24時間曝露させた。この際、細胞を可溶化し、PARP活性を、89kd 活性型の116kd 不活性型への比率として、ウェスタンブロットにより測定した。図6Aで示され、H460肺癌細胞で示される効果と一致するように、放射線(IR)のみは、バックグラウンドよりPARP活性を有意に高めた。IRにシスプラチンを加えると、PARP活性を大幅に高め、この組み合わせにGC4419を加えると、これを有意に高め(p<.0.05)、以上より、GC4419が放射線およびシスプラチンによって生じる癌細胞傷害を高めることが示された(図6A:H1299細胞におけるPARP活性に対するGC4419、シスプラチン、および放射線の効果を参照)。
H1299CAT細胞はまた、6Gyの放射線(IR)、24μM GC4419、および/または1μM シスプラチンに24時間曝露させた。ドキシサイクリンで処理すると、H1299CAT細胞は、「親」細胞のH1299(野生型)よりヒトカタラーゼ(CAT)を高いレベルで発現し、GC4419または他のMnペンタアザ大環状ジスムターゼ模倣物によりスーパーオキシドから生じたHの全てまたは一部を除去する。ドキシサイクリンに曝露されていないH1299CAT細胞におけるPARP活性化(データを示さず)は、H1299野生型細胞と比較して、シスプラチン、IR、およびGC4419処理に応答性を示した(図5を参照)。しかし、CAT発現をドキシサイクリン処理でH1299CAT中において誘導すると、GC4419は、シスプラチン(p<0.01,図6B)、IR(p<0.05,図6C)およびIR+シスプラチン(p<0.001,図6C)に応答してPARP活性化を有意に減少させた(p<0.05)。これらの結果により、シスプラチンによって生じたスーパーオキシドが細胞傷害を引き起こし、このスーパーオキシドのGC4419除去は、シスプラチン腎毒性および血液毒性の減少についての下記実施例5に記載の結果とともに、細胞傷害を減少させることができることが強く示唆されている。しかしながら、GC4419は、HがCAT過剰発現によって除去された場合を除いて、癌細胞におけるシスプラチンに対するPARPを高めたことから、これらの結果は、GC4419で生じたH(CATによって除去されない場合)が、それが置き換わったスーパーオキシドよりシスプラチン細胞傷害およびPARP活性の亢進をより促進させることに関連したことを支持する(図6B:シスプラチンおよびGC4419による(CAT過剰発現のドキシサイクリン誘発とともに)H1299CAT細胞の処理;および図6C:シスプラチン、IR、およびGC4419による(CAT過剰発現のドキシサイクリン誘発とともに)H1299CAT細胞の処理)。
実施例4
シスプラチン治療は癌細胞における総活性酸素種(ROS)レベルを高める一方、GC4419は選択的にスーパーオキシドを減少させ、Hレベルを高める
H460およびH1299(野生型)細胞は、6Gyの放射線(IR)、および24μM GC4419、1μM シスプラチン、またはGC4419のいずれか、およびシスプラチンに曝露させた。前記処理およびインキュベーション後、総ROSのためのCellROX蛍光発生プローブを加え、30分間インキュベートさせ、該CellROXシグナルを、フローサイトメトリーを用いて測定した。図7A−7Dは、GC4419がいずれの癌細胞株に対して単独で用いられた場合に総ROSにほとんど効果を示さなかったが、シスプラチンまたはシスプラチンとIRが総ROSを増加させたことを示す。GC4419は、シスプラチン治療に加えると総ROSに対して相乗効果を示し得た(図7A−7D:総活性酸素種を参照)。
あるいは、処理および最初のインキュベーション後、ミトコンドリアスーパーオキシドのためのMitoSOX蛍光発生プローブを加え、10分間インキュベートし続け、該MitoSOXシグナルを、フローサイトメーターを用いて測定した。図8A−8Dは、GC4419が、両癌細胞株におけるミトコンドリアスーパーオキシドの基準レベルを著しく減少させたことを示す。さらに、GC4419は、シスプラチンまたはシスプラチンとIRによって生じたミトコンドリアスーパーオキシドの増加を著しく減少させた(図8A−8D:ミトコンドリアスーパーオキシドを参照)
あるいは、処理および最初のインキュベーション後、HのためのPO−1プローブを加えた。図9A−9Dは、GC4419が、両癌細胞株において、Hの両方の基準レベルを著しく高め、シスプラチンまたはシスプラチンとIRによって生じたHの増加をさらに著しく高めることを示す(図9A−9D:過酸化水素を参照)。
白金を基にした抗癌剤の毒性の減少
実施例5
マウスにおけるシスプラチン誘発腎毒性に対するGC4419の効果
4ヶ月齢の雄C57BL/6Jマウス(若年)は、Jackson Laboratoriesから購入し、18ヶ月齢マウス(老年)は、国立老化研究所からアミーシンドラー博士(アイオワ大学)との共同研究として取得した。全てのマウスは、アイオワ大学動物飼育施設におけるACURF認可#4121235に従って維持した。マウスは、実験過程を通して不断給餌で通常の食餌と水で飼育した。動物は、ベヒクル対照、シスプラチンのみ、GC4419、およびシスプラチン+GC4419を含む実験群に無作為に振り分けた。
シスプラチン誘発の急性腎傷害(AKI)モデルは、下記のとおりであった:4月齢または18月齢の雄C57BL/6Jマウスに、腹腔内注射により10mg/kgのシスプラチンまたは0.9%の生理食塩水の単回用量で投与した。動物をシスプラチン処置72時間後に安楽死させた。GC4419のみおよびシスプラチン+GC4419群における動物を、シスプラチン投薬4日前から始め、安楽死の日まで、10mg/kgのGC4419で毎日処置した。シスプラチン群のみにおける動物にも、脱水症を防ぐために、生理食塩水のボーラス用量をシスプラチン処置後毎日与えた。
全血の血中尿素窒素(BUN)およびクレアチニンレベルは、GC4419による処置開始前でシスプラチン処置72時間後に、単回使用のi−STAT試験カートリッジ(Chem8+)を用いてAbbott−Point of Care(ニュージャージー州、プリンストン)から購入したi−STATハンドヘルド臨床アナライザーを用いて測定した。動物はGC4419による処置開始後1日おきに重量を測定した。
図10Aに示されるように、シスプラチンは、若年マウスにおいて、およびより劇的には老年マウスにおいて、投与3日目にBUNおよびクレアチニンレベルを高め、このことは腎機能の顕著な障害を示す。GC4419は、BUNおよびクレアチニンのこれらの増加を完全に防ぎ、急性腎障害を抑えることを示す(図10A:シスプラチンで処置したマウスにおけるBUNおよびクレアチニンレベルを参照)。
腎障害の2つの特異的バイオマーカー、腎障害分子1(KIM1)および好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)をまた評価した。図10Bで見られるように、これらのバイオマーカーは、BUNおよびクレアチニンレベルと一致し、シスプラチンが腎毒性を引き起こし、GC4419がこの傷害を抑えたことを示す(図10B:シスプラチンで処置したマウスにおけるKIM1およびNGALバイオマーカーを参照)。
さらにこれらの腎障害および機能の結果と一致して、シスプラチンは、若年および老年マウスの両方で著しい重量喪失を引き起こし(図10C)、より感受性の高い老年マウスで生存率を低下させた(図10D)。GC4419は、マウスの両方の組で重量喪失の量を減少させ、老年マウスにおけるシスプラチンの死亡率を抑制した(図10C:シスプラチン誘発の重量喪失;および図10D:シスプラチンで処置したマウスにおける生存率を参照)。
さらにこれらの腎障害および機能の結果と一致して、シスプラチンは、若年および老年マウスの両方で著しい重量喪失を引き起こし(図10C)、より感受性の高い老年マウスで生存率が低下した(図10D)。GC4419は、マウスの両方の組で重量喪失の量を減少させ、老年マウスにおけるシスプラチンの死亡率を抑制した。
実施例6
マウスにおけるシスプラチン誘発血液毒性に対するGC4419の効果
7週齢の胸腺欠損雌Nu/Nu(ヌード)マウスは、後肢にSQ20Bヒト頭頚部扁平上皮癌細胞による移植を受けた。腫瘍が4日間で形成し増殖可能となり、該マウスは、処置なし、または2.7mg/kgのシスプラチンおよび2Gyの放射線(IR)を2または3日に1回ずつ5回受けた。さらに、シスプラチンおよびIR処置を受けた一群はまた、10mg/kg GC4419を処置期間およびその後2日間毎日受けた。マウスを、処置期間2日または2週間後に尾静脈の血液採取によって血液数について評価した。
図11Aに示されるように、シスプラチン+IR処置は、処置終了2日後に測定した血小板(血小板減少症)の減少を生じ、GC4419は、血小板レベルを顕著に回復させた(図11A:シスプラチン誘発の血小板減少症を参照)。
図11Bに示されるように、GC4419処置は、シスプラチンおよび放射線の組み合わせで処置したマウスにおいて、処置終了2日および2週間後の両方で、リンパ球(WBC)および相対的なリンパ球小集団の産生を活性化した(図11B:GC4419およびWBC数を参照)。
図11Cに示されるように、シスプラチン+IR処置は、処置終了2日または2週間後に測定した好中球数およびパーセンテージ(好中球減少)における減少を生じ、GC4419は、好中球パーセンテージを明らかな正常レベルに保った(図11C:シスプラチン誘発の好中球減少を参照)。
反対に、図11Dに示されるように、シスプラチン+IR処置は、処置終了2日または2週間後に測定した好酸球パーセンテージにおける増加を生じ、GC4419は、好酸球パーセンテージを明らかな正常レベルに保った(図11D:シスプラチン誘発の好酸球増加を参照)。
下記は、本開示の態様の典型的な実施態様であるが、限定を目的としたものではなく、本開示は、さらなる態様を包含しうるものである。
実施態様1
治療および/または減少を必要とする対象における白金を基にした抗癌剤による治療に関連する哺乳類対象に対する毒性効果を治療し、および/または前記毒性効果を減少させる方法であって、治療上の有効量の白金を基にした抗癌剤を前記対象に投与し;次いで治療上の有効量の下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与して、白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させることを特徴とする方法。
Figure 2019131508
(I)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
Zは、対イオンであり;
nは、0〜3の整数であり;ならびに
点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]
実施態様2
前記対象が、癌に罹っている、実施態様1に記載の方法。
実施態様3
前記対象が、白金を基にした抗癌剤による治療によって誘発される毒性(腎毒性、骨髄毒性、および聴覚毒性からなる群から選択される毒性)を患っているか、および/または患うリスクを有している、実施態様1または2に記載方法。
実施態様4
前記対象が、腎毒性および骨髄毒性のうちの1つまたはそれ以上を患っているか、および/または患うリスクを有している、実施態様1〜3のいずれかに記載の方法。
実施態様5
前記対象が、前記白金を基にした抗癌剤による治療に関連する腎毒性および/または骨髄毒性を患っている、実施態様1〜4のいずれかに記載の方法。
実施態様6
前記白金を基にした抗癌剤および前記白金を基にした抗癌剤に対する治療応答性を高めるペンタアザ大環状環複合体の治療上の有効量を投与することを含む、実施態様1〜5のいずれかに記載の方法。
実施態様7
前記ペンタアザ大環状環複合体が、腫瘍体積の減少、腫瘍成長速度の低下、生存率の上昇、転移の発生および/または程度の減少、および癌細胞の細胞増殖の減少からなる群から選択されるいずれかに相当する癌応答を高める治療上の有効量で投与される、実施態様1〜6のいずれかに記載の方法。
実施態様8
前記ペンタアザ大環状環が、クレアチンおよび血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、実施態様1〜7のいずれかに記載の方法。
実施態様9
前記ペンタアザ大環状環が、腎障害分子1(KIM1)および好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)からなる群から選択される腎臓障害のためのマーカーのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、実施態様1〜8のいずれかに記載の方法。
実施態様10
治療および/または減少を必要とする哺乳類対象における白金を基にした抗癌剤による治療に関連する毒性効果を治療し、および/または前記毒性効果のリスクの減少する方法であって:下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に投与して、前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させることを特徴とする方法。
Figure 2019131508
(I)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
Zは、対イオンであり;
nは、0〜3の整数であり;ならびに
点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]
実施態様11
前記対象が、癌に罹っている、実施態様10に記載の方法。
実施態様12
前記対象が、白金を基にした抗癌剤による治療によって誘発される毒性(腎毒性、骨髄毒性、および聴覚毒性からなる群から選択される毒性)を患っているか、および/または患うリスクを有している、実施態様10または11に記載の方法。
実施態様13
前記対象が、腎毒性および骨髄毒性のうちの1つを患っているか、および/または患うリスクを有している、実施態様10〜12のいずれかに記載の方法。
実施態様14
前記対象が、前記白金を基にした抗癌剤による治療に関連する腎毒性および/または骨髄毒性を患っている、実施態様10〜13のいずれかに記載の方法。
実施態様15
前記白金を基にした抗癌剤および前記白金を基にした抗癌剤に対する治療応答性を高めるペンタアザ大環状環複合体の治療上の有効量を投与することを含む、実施態様10〜14のいずれかに記載の方法。
実施態様16
前記ペンタアザ大環状環複合体が、腫瘍体積の減少、腫瘍成長速度の低下、生存率の上昇、転移の発生および/または程度の減少、および癌細胞の細胞増殖の減少からなる群から選択されるいずれかに相当する癌応答を高める治療上の有効量で投与される、実施態様10〜15のいずれかに記載の方法。
実施態様17
前記ペンタアザ大環状環が、クレアチンおよび血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、実施態様10〜16のいずれかに記載の方法。
実施態様18
前記ペンタアザ大環状環が、腎障害分子1(KIM1)および好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)からなる群から選択される腎臓障害のためのマーカーのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、実施態様10〜17のいずれかに記載の方法。
実施態様19
癌に罹っている哺乳類対象における癌の治療方法であって:
治療上の有効量の白金を基にした抗癌剤を前記対象に投与し;
治療上の有効量の下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与し、それにより前記癌の前記白金を基にした抗癌剤に対する応答性を高めることを特徴とする方法。
Figure 2019131508
(I)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
Zは、対イオンであり;
nは、0〜3の整数であり;ならびに
点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]
実施態様20
前記白金を基にした抗癌剤および前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させるペンタアザ大環状環複合体の治療上の有効量を投与することを含む、実施態様19に記載の方法。
実施態様21
前記ペンタアザ大環状環複合体が、腫瘍体積の減少、腫瘍成長速度の低下、生存率の上昇、転移の発生および/または程度の減少、および癌細胞の細胞増殖の減少からなる群から選択されるいずれかに相当する癌応答を高めるか、ならびに/あるいは癌合併症を減少しうる治療上の有効量で投与される、実施態様19または20に記載の方法。
実施態様22
前記ペンタアザ大環状環が、クレアチンおよび血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、実施態様19〜21のいずれかに記載の方法。
実施態様23
前記ペンタアザ大環状環が、腎障害分子1(KIM1)および好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)からなる群から選択される腎臓障害のためのマーカーのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、実施態様19〜22のいずれかに記載の方法。
実施態様24
感受性を高めることを必要とする対象における白金を基にした抗癌剤による治療に対する哺乳類対象の感受性を高める方法であって:
治療上の有効量の下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与し、それにより前記白金を基にした抗癌剤に対する治療応答を高めることを特徴とする方法。
Figure 2019131508
(I)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
Zは、対イオンであり;
nは、0〜3の整数であり;ならびに
点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]
実施態様25
前記対象が、癌に罹っている、実施態様24に記載の方法。
実施態様26
前記白金を基にした抗癌剤および前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させるペンタアザ大環状環複合体の治療上の有効量を投与することを含む、実施態様24または25に記載の方法。
実施態様27
前記ペンタアザ大環状環複合体が、腫瘍体積の減少、腫瘍成長速度の低下、生存率の上昇、転移の発生および/または程度の減少、および癌細胞の細胞増殖の減少からなる群から選択されるいずれかに相当する癌応答を高めるか、ならびに/あるいは癌合併症を減少しうる治療上の有効量で投与される、実施態様24〜26のいずれかに記載の方法。
実施態様28
前記ペンタアザ大環状環が、クレアチンおよび血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、実施態様24〜27のいずれかに記載の方法。
実施態様29
前記ペンタアザ大環状環が、腎障害分子1(KIM1)および好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)からなる群から選択される腎臓障害のためのマーカーのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、実施態様24〜28のいずれかに記載の方法。
実施態様30
治療および/または減少を必要とする哺乳類対象における白金を基にした抗癌剤による治療に関連する腎毒性および骨髄毒性からなる群から選択される毒性効果を治療し、および/または前記毒性効果のリスクを減少させる方法であって:
治療上の有効量の白金を基にした抗癌剤を前記対象に投与し;次いで
治療上の有効量の下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与し、それにより前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させることを特徴とする方法。
Figure 2019131508
(I)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
Zは、対イオンであり;
nは、0〜3の整数であり;ならびに
点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]
実施態様31
前記対象が、癌に罹っている、実施態様30に記載の方法。
実施態様32
前記対象が、前記白金を基にした抗癌剤による治療に関連する腎毒性および/または骨髄毒性を患っている、実施態様30または31に記載の方法。
実施態様33
前記白金を基にした抗癌剤および前記白金を基にした抗癌剤に対する治療応答性を高めるペンタアザ大環状環複合体の治療上の有効量を投与することを含む、実施態様30〜32のいずれかに記載の方法。
実施態様34
前記ペンタアザ大環状環複合体が、腫瘍体積の減少、腫瘍成長速度の低下、生存率の上昇、転移の発生および/または程度の減少、および癌細胞の細胞増殖の減少からなる群から選択されるいずれかに相当する癌応答を高めるか、ならびに/あるいは癌合併症を減少しうる治療上の有効量で投与される、実施態様30〜33のいずれかに記載の方法。
実施態様35
前記ペンタアザ大環状環が、クレアチンおよび血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、実施態様30〜34のいずれかに記載の方法。
実施態様36
前記ペンタアザ大環状環が、腎障害分子1(KIM1)および好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)からなる群から選択される腎臓障害のためのマーカーのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、実施態様30〜35のいずれかに記載の方法。
実施態様37
治療および/減少を必要とする哺乳類対象における白金を基にした抗癌剤による治療に関連する腎毒性および骨髄毒性からなる群から選択される毒性効果を治療し、および/または前記毒性効果のリスクを減少させる方法であって:
下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与し、それにより前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させることを特徴とする方法。
Figure 2019131508
(I)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
Zは、対イオンであり;
nは、0〜3の整数であり;ならびに
点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]
実施態様38
前記対象が、癌に罹っている、実施態様37に記載の方法。
実施態様39
前記対象が、前記白金を基にした抗癌剤による治療に関連する腎毒性および/または骨髄毒性を患っている、実施態様37または38に記載の方法。
実施態様40
前記白金を基にした抗癌剤および前記白金を基にした抗癌剤に対する治療応答性を高めるペンタアザ大環状環複合体の治療上の有効量を投与することを含む、実施態様37〜39のいずれかに記載の方法。
実施態様41
前記ペンタアザ大環状環複合体が、腫瘍体積の減少、腫瘍成長速度の低下、生存率の上昇、転移の発生および/または程度の減少、ならびに癌細胞の細胞増殖の減少からなる群から選択されるいずれかに相当する癌応答を高めるか、ならびに/あるいは癌合併症を減少しうる治療上の有効量で投与される、実施態様37〜40のいずれかに記載の方法。
実施態様42
前記ペンタアザ大環状環が、クレアチンおよび血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、実施態様37〜41のいずれかに記載の方法。
実施態様43
前記ペンタアザ大環状環が、腎障害分子1(KIM1)および好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)からなる群から選択される腎臓障害のためのマーカーのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、実施態様37〜42のいずれかに記載の方法。
実施態様44
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10が、各々、水素である、前記実施態様のいずれかに記載の方法。
実施態様45
Wが、無置換ピリジン部分である、実施態様1〜44のいずれかに記載の方法。
実施態様46
UおよびVが、トランスシクロヘキサニル縮合環である、実施態様1〜45のいずれかに記載の方法。
実施態様47
前記ペンタアザ大環状環複合体が、式(II):
Figure 2019131508
(II)
[式中、
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはこれらの相当するアニオンを表し;ならびに
、R、R、およびRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルである]
で示されるものである、実施態様1〜46のいずれかに記載の方法。
実施態様48
前記ペンタアザ大環状環複合体が、式(III)または式(IV):
Figure 2019131508
[式中、
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはこれらの相当するアニオンを表し;ならびに
、R、R、およびRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルである]
で示されるものである、実施態様1〜47のいずれかに記載の方法。
実施態様49
前記ペンタアザ大環状環複合体が、式(V)〜(XVI):
Figure 2019131508
Figure 2019131508
からなる群から選択される式で示されるものである、実施態様1〜48のいずれかに記載の方法。
実施態様50
実施態様1〜49のいずれかに記載の方法であって、XおよびYが、独立して、ハライド、オキソ、アコ、ヒドロキソ、アルコール、フェノール、二酸素、ペルオキソ、ヒドロペルオキソ、アルキルペルオキソ、アリールペルオキソ、アンモニア、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアリールアミノ、アミンオキシド、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、アリールヒドラジン、酸化窒素、シアニド、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、アルキルニトリル、アリールニトリル、アルキルイソニトリル、アリールイソニトリル、硝酸、亜硝酸、アジド、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルアリールスルホキシド、アルキルスルフェン酸、アリールスルフェン酸、アルキルスルフィン酸、アリールスルフィン酸、アルキルチオールカルボン酸、アリールチオールカルボン酸、アルキルチオールチオカルボン酸、アリールチオールチオカルボン酸、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、尿素、アルキル尿素、アリール尿素、アルキルアリール尿素、チオ尿素、アルキルチオ尿素、アリールチオ尿素、アルキルアリールチオ尿素、硫酸、亜硫酸、重硫酸、重亜硫酸、チオ硫酸、チオ亜硫酸、ヒドロ亜硫酸、アルキルホスフィン、アリールホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アリールホスフィンオキシド、アルキルアリールホスフィンオキシド、アルキルホスフィンスルフィド、アリールホスフィンスルフィド、アルキルアリールホスフィンスルフィド、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、アルキルホスフィン酸、アリールホスフィン酸、アルキル亜ホスフィン酸、アリール亜ホスフィン酸、リン酸、チオリン酸、亜リン酸、ピロ亜リン酸、三リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、アルキルグアニジノ、アリールグアニジノ、アルキルアリールグアニジノ、アルキルカルバメート、アリールカルバメート、アルキルアリールカルバメート、アルキルチオカルバメート、アリールチオカルバメート、アルキルアリールチオカルバメート、アルキルジチオカルバメート、アリールジチオカルバメート、アルキルアリールジチオカルバメート、重炭酸、炭酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過臭素酸、臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、テトラハロマンガネート、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、次亜リン酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、メタホウ酸、テトラアリールホウ酸、テトラアルキルホウ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、サッカリン酸、アミノ酸、ヒドロキサム酸、チオトシル酸オキソ、およびイオン交換樹脂のアニオンからなる群の置換もしくは無置換部分、またはこれらの相当するアニオンから独立して選択され;
あるいはXおよびYが、−O−C(O)−Xに相当するものであって、各Xは、−C(X)(X)(X)であり、
各Xが、独立して、置換もしくは無置換フェニルまたは−C(−X)(−X)(−X)であり;
各Xが、独立して、置換もしくは無置換フェニル、メチル、エチル、またはプロピルであり;
各Xが、独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、アミノ、−XC(=O)R13[式中、Xは、NHまたはOであり、ならびにR13は、C1−C18アルキル、置換もしくは無置換アリール、またはC1−C18アラルキルである]、または−OR14[式中、R14は、C1−C18アルキル、置換もしくは無置換アリール、またはC1−C18アラルキルである]であるか、あるいはXと一緒になって、(=O)であり;ならびに
各Xが、独立して、水素であるか、またはXと一緒になって、(=O)であるか;
あるいはXおよびYが、単座もしくは多座配位子に由来する荷電中和アニオン、ならびに配位子系およびこれらの相当するアニオンからなる群から独立して選択され;
あるいはXおよびYが、独立して、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10のうちの1つまたはそれ以上に結合しているものである方法。
実施態様51
XおよびYが、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードアニオンからなる群から選択される、実施態様1〜50のいずれかに記載の方法。
実施態様52
XおよびYが、独立して、アルキルカルボキシレート、アリールカルボキシレートおよびアリールアルキルカルボキシレートからなる群から選択される、実施態様1〜51のいずれかに記載の方法。
実施態様53
XおよびYが、独立して、アミノ酸である、実施態様1〜52のいずれかに記載の方法。
実施態様54
前記ペンタアザ大環状環複合体が、式:
Figure 2019131508
で示される化合物である、実施態様1〜53のいずれかに記載の方法。
実施態様55
前記ペンタアザ大環状環複合体が、式:
Figure 2019131508
で示される化合物である、実施態様1〜54のいずれかに記載の方法。
実施態様56
前記ペンタアザ大環状環複合体が、式:
Figure 2019131508
で示される化合物である、実施態様1〜55のいずれかに記載の方法。
実施態様57
前記ペンタアザ大環状環複合体が、式:
Figure 2019131508
で示される化合物である、実施態様1〜56のいずれかに記載の方法。
実施態様58
前記ペンタアザ大環状環複合体が、式:
Figure 2019131508
で示される化合物である、実施態様1〜57のいずれかに記載の方法。
実施態様59
前記ペンタアザ大環状環複合体が、式:
Figure 2019131508
で示される化合物である、前記実施態様のいずれかに記載の方法。
実施態様60
前記白金を基にした抗癌剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ロバプラチン、ヘプタプラチン、ジシクロプラチン、リポプラチン、LA−12、ホスファプラチン、フェナントリプラチン(phenanthriplatin)、プロリンダク、四硝酸トリプラチン(triplatin tetranitrate)、ピコプラチン、サトラプラチン、ピリプラチン、および/またはこれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される1つである、実施態様1〜59のいずれかに記載の方法。
実施態様61
前記白金を基にした抗癌剤が、シスプラチンを含む、実施態様1〜60のいずれかに記載の方法。
実施態様62
前記白金を基にした抗癌剤が、20mg/m〜200mg/mの範囲の用量で投与される、実施態様1〜61のいずれかに記載の方法。
実施態様63
前記ペンタアザ大環状環複合体の治療過程における投与が、前記白金を基にした抗癌剤の投与前一定期間に投与される、実施態様1〜62のいずれかに記載の方法。
実施態様64
前記ペンタアザ大環状環複合体の治療過程における投与が、前記白金を基にした抗癌剤の投与少なくとも1週間前、1日前、または1時間前に投与される、実施態様1〜63のいずれかに記載の方法。
実施態様65
前記ペンタアザ大環状環複合体の治療過程における投与が、前記白金を基にした抗癌剤の投与前1時間以内および/または投与と同時に投与される、実施態様1〜64のいずれかに記載の方法。
実施態様66
前記ペンタアザ大環状環複合体の治療過程における投与が、前記白金を基にした抗癌剤の投与後1時間、1日、または1週間以内に投与される、実施態様1〜65のいずれかに記載の方法。
実施態様67
前記白金を基にした抗癌剤を、放射線療法を同時に受けている対象に投与することを含む、実施態様1〜66のいずれかに記載の方法。
実施態様68
前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を、放射線療法を受けていない対象に投与することを含む、実施態様1〜66のいずれかに記載の方法。
実施態様69
前記ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の投与を含む治療過程が、前記治療過程中に放射線療法を受けていない対象に投与される、実施態様1〜66のいずれかに記載の方法。
実施態様70
前記ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの1つまたはそれ以上を、対象が放射線療法を受けている日以外の日に対象に投与することを含む、実施態様1〜66のいずれかに記載の方法。
実施態様71
前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を、放射線療法を少なくとも1日受けていない対象に投与することを含む治療過程を投与することを含む、実施態様1〜66のいずれかに記載の方法。
実施態様72
前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を、放射線療法を少なくとも1週間受けていない対象に投与することを含む治療過程を投与することを含む、実施態様1〜66のいずれかに記載の方法。
実施態様73
前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を、放射線療法を少なくとも1ヶ月間受けていない対象に投与することを含む治療過程を投与することを含む、実施態様1〜66のいずれかに記載の方法。
実施態様74
前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を、放射線療法を少なくとも6ヶ月間受けていない対象に投与することを含む治療過程を投与することを含む、実施態様1〜66のいずれかに記載の方法。
実施態様75
前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を対象に投与し、次いで前記対象に適宜投与されてもよい放射線療法を、前記ペンタアザ大環状環複合体の最終投与後少なくとも1日まで遅延させることを含む、実施態様1〜66のいずれかに記載の方法。
実施態様76
前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を対象に投与し、ペンタアザ大環状環複合体の最終投与後少なくとも1週間まで前記対象に適宜投与されてもよい放射線療法を遅延させることを含む、実施態様1〜66のいずれかに記載の方法。
実施態様77
前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を対象に投与し、次いで前記対象に適宜投与されてもよい放射線療法を、前記ペンタアザ大環状環複合体の最終投与後少なくとも1ヶ月まで遅延させることを含む、実施態様1〜66のいずれかに記載の方法。
実施態様78
前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を対象に投与し、次いで前記対象に適宜投与されてもよい放射線療法を、ペンタアザ大環状環複合体の最終投与後少なくとも6ヶ月まで遅延させることを含む、実施態様1〜66のいずれかに記載の方法。
実施態様79
前記癌が、乳癌、非小細胞肺癌、メラノーマ、腎細胞癌、尿路上皮癌、膀胱癌、膵臓癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、前立腺癌、脳癌、紡錘細胞癌、および口腔扁平上皮癌からなる群から選択される、実施態様1〜78のいずれかに記載の方法。
実施態様80
前記癌が、乳癌、肺癌、腎細胞癌、紡錘細胞癌、結腸直腸癌、口腔扁平上皮癌、および頭頸部癌からなる群から選択される、実施態様1〜79のいずれかに記載の方法。
実施態様81
前記癌が、肺癌および頭頸部癌のうちの少なくとも1つである、実施態様1〜80のいずれかに記載の方法。
実施態様82
前記ペンタアザ大環状環複合体が、0.2mg/kg〜40mg/kgの範囲の用量で前記対象に投与される、実施態様1〜81のいずれかに記載の方法。
実施態様83
前記ペンタアザ大環状環複合体が、0.2mg/kg〜24mg/kgの範囲の用量で前記対象に投与される、実施態様1〜82のいずれかに記載の方法。
実施態様84
前記ペンタアザ大環状環複合体が、0.2mg/kg〜10mg/kgの範囲の用量で前記対象に投与される、実施態様1〜83のいずれかに記載の方法。
実施態様85
前記ペンタアザ大環状環複合体が、非経口経路および経口経路のうちの少なくとも1つにより投与される、実施態様1〜84のいずれかに記載の方法。
実施態様86
前記ペンタアザ大環状環複合体が、腹腔内または静脈内に投与される、実施態様1〜85のいずれかに記載の方法。
実施態様87
前記対象が、ヒトである、実施態様1〜86のいずれかに記載の方法。
実施態様88
治療および/または減少を必要とする哺乳類対象における癌を治療し、および/または白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させるためのキットであって:
前記白金を基にした抗癌剤;
下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体:および
前記請求項のいずれかに記載の方法を行うために、治療上の有効量の前記白金を基にした抗癌剤および治療上の有効量の前記ペンタアザ大環状環複合体を投与するための指示書を含み、
前記式(I)によるペンタアザ大環状環複合体が下記のとおりである、キット:
Figure 2019131508
(I)
[式中、
Mは、Mn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
Zは、対イオンであり;
nは、0〜3の整数であり;ならびに
点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]。

Claims (70)

  1. 癌に罹っている哺乳類における癌の治療方法であって:
    治療上の有効量の白金を基にした抗癌剤を前記対象に投与し;
    治療上の有効量の下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与し、それにより前記癌の前記白金を基にした抗癌剤に対する応答性を高めることを特徴とする方法:
    Figure 2019131508
    (I)
    [式中、
    Mは、Mn2+またはMn3+であり;
    、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
    Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
    Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
    Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
    XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
    Zは、対イオンであり;
    nは、0〜3の整数であり;ならびに
    点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]。
  2. 前記白金を基にした抗癌剤および前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させるペンタアザ大環状環複合体の治療上の有効量を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、腫瘍体積の減少、腫瘍成長速度の低下、生存率の上昇、転移の発生および/または程度の減少、および癌細胞の増殖の減少からなる群から選択されるいずれかに相当する癌応答を高めるか、ならびに/あるいは癌合併症を減少しうる治療上の有効量で投与される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ペンタアザ大環状環が、クレアチンおよび血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記ペンタアザ大環状環が、腎障害分子1(KIM1)および好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)からなる群から選択される腎臓障害のためのマーカーのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 感受性を高めることを必要とする対象における白金を基にした抗癌剤による治療に対する哺乳類対象の感受性を高める方法であって:
    治療上の有効量の下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与し、それにより前記白金を基にした抗癌剤に対する治療応答性が高めることを特徴とする方法:
    Figure 2019131508
    (I)
    [式中、
    Mは、Mn2+またはMn3+であり;
    、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
    Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
    Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
    Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
    XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
    Zは、対イオンであり;
    nは、0〜3の整数であり;ならびに
    点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]。
  7. 前記対象が、癌に罹っている、請求項6に記載の方法。
  8. 前記白金を基にした抗癌剤および前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させるペンタアザ大環状環複合体の治療上の有効量を投与することを含む、請求項6または7に記載の方法。
  9. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、腫瘍体積の減少、腫瘍成長速度の低下、生存率の上昇、転移の発生および/または程度の減少、および癌細胞の細胞増殖の減少からなる群から選択されるいずれかに相当する癌応答を高めるか、ならびに/あるいは癌合併症を減少しうる治療上の有効量で投与される、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記ペンタアザ大環状環が、クレアチンおよび血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記ペンタアザ大環状環が、腎障害分子1(KIM1)および好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)からなる群から選択される腎臓障害のためのマーカーのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 治療および/または減少を必要とする哺乳類対象における白金を基にした抗癌剤による治療に関連する腎毒性および骨髄毒性からなる群から選択される毒性効果を治療し、および/または前記毒性効果のリスクを減少させる方法であって:
    治療上の有効量の白金を基にした抗癌剤を前記対象に投与し;次いで
    治療上の有効量の下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与し、それにより前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させることを特徴とする方法:
    Figure 2019131508
    (I)
    [式中、
    Mは、Mn2+またはMn3+であり;
    、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
    Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
    Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
    Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
    XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
    Zは、対イオンであり;
    nは、0〜3の整数であり;ならびに
    点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]。
  13. 前記対象が、癌に罹っている、請求項12に記載の方法。
  14. 前記対象が、前記白金を基にした抗癌剤による治療に関連する腎毒性および/または骨髄毒性を患っている、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記白金を基にした抗癌剤および前記白金を基にした抗癌剤に対する治療応答性を高めるペンタアザ大環状環複合体の治療上の有効量を投与することを含む、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、腫瘍体積の減少、腫瘍成長速度の低下、生存率の上昇、転移の発生および/または程度の減少、および癌細胞の細胞増殖の減少からなる群から選択されるいずれかに相当する癌応答を高めるか、ならびに/あるいは癌合併症を減少しうる治療上の有効量で投与される、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記ペンタアザ大環状環が、クレアチンおよび血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、請求項12〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記ペンタアザ大環状環が、腎障害分子1(KIM1)および好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)からなる群から選択される腎臓障害のためのマーカーのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、請求項12〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 治療および/減少を必要とする哺乳類対象における白金を基にした抗癌剤による治療に関連する腎毒性および骨髄毒性からなる群から選択される毒性効果を治療し、および/または前記毒性効果のリスクを減少させる方法であって:
    下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体を、前記白金を基にした抗癌剤の投与前、投与と同時、または投与後に前記対象に投与し、それにより前記白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させることを特徴とする方法:
    Figure 2019131508
    (I)
    [式中、
    Mは、Mn2+またはMn3+であり;
    、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
    Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
    Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
    Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
    XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
    Zは、対イオンであり;
    nは、0〜3の整数であり;ならびに
    点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]。
  20. 前記対象が、癌に罹っている、請求項10に記載の方法。
  21. 前記対象が、前記白金を基にした抗癌剤による治療に関連する腎毒性および/または骨髄毒性を患っている、請求項19または20に記載の方法。
  22. 前記白金を基にした抗癌剤および前記白金を基にした抗癌剤に対する治療応答性を高めるペンタアザ大環状環複合体の治療上の有効量を投与することを含む、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、腫瘍体積の減少、腫瘍成長速度の低下、生存率の上昇、転移の発生および/または程度の減少、および癌細胞の細胞増殖の減少からなる群から選択されるいずれかに相当する癌応答を高めるか、ならびに/あるいは癌合併症を減少しうる治療上の有効量で投与される、請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記ペンタアザ大環状環が、クレアチンおよび血中尿素窒素(BUN)のうちの少なくとも1つのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、請求項19〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記ペンタアザ大環状環が、腎障害分子1(KIM1)および好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)からなる群から選択される腎臓障害のためのマーカーのレベルを減少させる治療上の有効量で投与される、請求項19〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10が、各々、水素である、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. Wが、無置換ピリジン部分である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. UおよびVが、トランスシクロヘキサニル縮合環である、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、式(II):
    Figure 2019131508
    (II)
    [式中、
    XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはこれらの相当するアニオンを表し;ならびに
    、R、R、およびRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルである]
    で示されるものである、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、式(III)または式(IV):
    Figure 2019131508
    [式中、
    XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはこれらの相当するアニオンを表し;ならびに
    、R、R、およびRは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルである]
    で示されるものである、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、式(V)〜(XVI):
    Figure 2019131508
    Figure 2019131508
    からなる群から選択される式で示されるものである、請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法であって、XおよびYが、独立して、ハライド、オキソ、アコ、ヒドロキソ、アルコール、フェノール、二酸素、ペルオキソ、ヒドロペルオキソ、アルキルペルオキソ、アリールペルオキソ、アンモニア、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアリールアミノ、アミンオキシド、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、アリールヒドラジン、酸化窒素、シアニド、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、アルキルニトリル、アリールニトリル、アルキルイソニトリル、アリールイソニトリル、硝酸、亜硝酸、アジド、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルアリールスルホキシド、アルキルスルフェン酸、アリールスルフェン酸、アルキルスルフィン酸、アリールスルフィン酸、アルキルチオールカルボン酸、アリールチオールカルボン酸、アルキルチオールチオカルボン酸、アリールチオールチオカルボン酸、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、尿素、アルキル尿素、アリール尿素、アルキルアリール尿素、チオ尿素、アルキルチオ尿素、アリールチオ尿素、アルキルアリールチオ尿素、硫酸、亜硫酸、重硫酸、重亜硫酸、チオ硫酸、チオ亜硫酸、ヒドロ亜硫酸、アルキルホスフィン、アリールホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アリールホスフィンオキシド、アルキルアリールホスフィンオキシド、アルキルホスフィンスルフィド、アリールホスフィンスルフィド、アルキルアリールホスフィンスルフィド、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、アルキルホスフィン酸、アリールホスフィン酸、アルキル亜ホスフィン酸、アリール亜ホスフィン酸、リン酸、チオリン酸、亜リン酸、ピロ亜リン酸、三リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、アルキルグアニジノ、アリールグアニジノ、アルキルアリールグアニジノ、アルキルカルバメート、アリールカルバメート、アルキルアリールカルバメート、アルキルチオカルバメート、アリールチオカルバメート、アルキルアリールチオカルバメート、アルキルジチオカルバメート、アリールジチオカルバメート、アルキルアリールジチオカルバメート、重炭酸、炭酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過臭素酸、臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、テトラハロマンガネート、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、次亜リン酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、メタホウ酸、テトラアリールホウ酸、テトラアルキルホウ酸、酒石酸、サリチル酸、コハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、サッカリン酸、アミノ酸、ヒドロキサム酸、チオトシル酸オキソ、およびイオン交換樹脂のアニオンからなる群の置換もしくは無置換部分、またはこれらの相当するアニオンから独立して選択され;
    あるいはXおよびYが、−O−C(O)−Xに相当するものであって、各Xは、−C(X)(X)(X)であり、
    各Xが、独立して、置換もしくは無置換フェニルまたは−C(−X)(−X)(−X)であり;
    各Xが、独立して、置換もしくは無置換フェニル、メチル、エチル、またはプロピルであり;
    各Xが、独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、アミノ、−XC(=O)R13[式中、Xは、NHまたはOであり、ならびにR13は、C1−C18アルキル、置換もしくは無置換アリール、またはC1−C18アラルキルである]、または−OR14[式中、R14は、C1−C18アルキル、置換もしくは無置換アリール、またはC1−C18アラルキルである]であるか、あるいはXと一緒になって、(=O)であり;ならびに
    各Xが、独立して、水素であるか、またはXと一緒になって、(=O)であるか;
    あるいはXおよびYが、単座もしくは多座配位子に由来する荷電中和アニオン、ならびに配位子系およびこれらの相当するアニオンからなる群から独立して選択され;
    あるいはXおよびYが、独立して、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10のうちの1つまたはそれ以上に結合しているものである方法。
  33. XおよびYが、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードアニオンからなる群から選択される、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. XおよびYが、独立して、アルキルカルボキシレート、アリールカルボキシレート、およびアリールアルキルカルボキシレートからなる群から選択される、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
  35. XおよびYが、独立して、アミノ酸である、請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、式:
    Figure 2019131508
    で示される化合物である、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、式:
    Figure 2019131508
    で示される化合物である、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
  38. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、式:
    Figure 2019131508
    で示される化合物である、請求項1〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、式:
    Figure 2019131508
    で示されるものである、請求項1〜38のいずれか1項に記載の方法。
  40. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、式:
    Figure 2019131508
    で示されるものである、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、式:
    Figure 2019131508
    で示されるものである、請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記白金を基にした抗癌剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ロバプラチン、ヘプタプラチン、ジシクロプラチン、リポプラチン、LA−12、ホスファプラチン、フェナントリプラチン、プロリンダク、四硝酸トリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン、ピリプラチン、および/またはこれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される1つである、請求項1〜41のいずれか1項に記載の方法。
  43. 前記白金を基にした抗癌剤が、シスプラチンを含む、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 前記白金を基にした抗癌剤が、20mg/m〜200mg/mの範囲の用量で投与される、請求項1〜43のいずれか1項に記載の方法。
  45. 前記ペンタアザ大環状環複合体の治療過程における投与が、前記白金を基にした抗癌剤の投与前一定期間で投与される、請求項1〜44のいずれか1項に記載の方法。
  46. 前記ペンタアザ大環状環複合体の治療過程における投与が、白金を基にした抗癌剤の投与少なくとも1週間前、1日前、または1時間前に投与される、請求項1〜45のいずれか1項に記載の方法。
  47. 前記ペンタアザ大環状環複合体の治療過程における投与が、前記白金を基にした抗癌剤の投与前1時間以内および/または投与と同時に投与される、請求項1〜46のいずれか1項に記載の方法。
  48. 前記ペンタアザ大環状環複合体の治療過程における投与が、前記白金を基にした抗癌剤の投与後1時間、1日、または1週間以内に投与される、請求項1〜47のいずれか1項に記載の方法。
  49. 前記白金を基にした抗癌剤を、放射線療法を同時に受けている対象に投与することを含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  50. 前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を、放射線療法を受けていない対象に投与することを含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  51. 前記ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤の投与を含む治療過程が、前記治療過程中に放射線療法を受けていない対象に投与される、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  52. 前記ペンタアザ大環状環複合体および白金を基にした抗癌剤のうちの1つまたはそれ以上を、対象が放射線療法を受けている日以外の日に対象に投与することを含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  53. 前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を、放射線療法を少なくとも1日受けていない対象に投与することを含む治療過程を投与することを含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  54. 前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を、放射線療法を少なくとも1週間受けていない対象に投与することを含む治療過程を投与することを含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  55. 前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を、放射線療法を少なくとも1ヶ月間受けていない対象に投与することを含む治療過程を投与することを含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  56. 前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を、放射線療法を少なくとも6ヶ月間受けていない対象に投与することを含む治療過程を投与することを含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  57. 前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を対象に投与し、次いで前記対象に適宜投与されてもよい放射線療法を、前記ペンタアザ大環状環複合体の最終投与後少なくとも1日まで遅延させることを含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  58. 前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を対象に投与し、ペンタアザ大環状環複合体の最終投与後少なくとも1週間まで前記対象に適宜投与されてもよい放射線療法を遅延させることを含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  59. 前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を対象に投与し、次いで前記対象に適宜投与されてもよい放射線療法を、前記ペンタアザ大環状環複合体の最終投与後少なくとも1ヶ月まで遅延させることを含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  60. 前記白金を基にした抗癌剤およびペンタアザ大環状環複合体を対象に投与し、次いで前記対象に適宜投与されてもよい放射線療法を、ペンタアザ大環状環複合体の最終投与後少なくとも6ヶ月まで遅延させることを含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
  61. 前記癌が、乳癌、非小細胞肺癌、メラノーマ、腎細胞癌、尿路上皮癌、膀胱癌、膵臓癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、前立腺癌、脳癌、紡錘細胞癌、および口腔扁平上皮癌からなる群から選択される、請求項1〜60のいずれか1項に記載の方法。
  62. 前記癌が、乳癌、肺癌、腎細胞癌、紡錘細胞癌癌、結腸直腸癌、口腔扁平上皮癌、および頭頸部癌からなる群から選択される、請求項1〜61のいずれか1項に記載の方法。
  63. 前記癌が、肺癌および頭頸部癌のうちの少なくとも1つである、請求項1〜62のいずれか1項に記載の方法。
  64. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、0.2mg/kg〜40mg/kgの範囲の用量で前記対象に投与される、請求項1〜63のいずれか1項に記載の方法。
  65. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、0.2mg/kg〜24mg/kgの範囲の用量で前記対象に投与される、請求項1〜64のいずれか1項に記載の方法。
  66. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、0.2mg/kg〜10mg/kgの範囲の用量で前記対象に投与される、請求項1〜65のいずれか1項に記載の方法。
  67. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、非経口経路および経口経路のうちの少なくとも1つにより投与される、請求項1〜66のいずれか1項に記載の方法。
  68. 前記ペンタアザ大環状環複合体が、腹腔内または静脈内に投与される、請求項1〜67のいずれか1項に記載の方法。
  69. 前記対象が、ヒトである、請求項1〜68のいずれか1項に記載の方法。
  70. 治療および/または減少を必要とする哺乳類対象における癌を治療し、および/または白金を基にした抗癌剤の毒性効果を減少させるためのキットであって:
    前記白金を基にした抗癌剤;
    下記式(I)に相当するペンタアザ大環状環複合体:および
    請求項1〜16のいずれかに記載の方法を行うために、治療上の有効量の前記白金を基にした抗癌剤および治療上の有効量の前記ペンタアザ大環状環複合体を投与するための指示書を含み、
    前記式(I)によるペンタアザ大環状環複合体が下記のとおりである、キット:
    Figure 2019131508
    (I)
    [式中、
    Mは、Mn2+またはMn3+であり;
    、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロサイクリル、アミノ酸側鎖部分、あるいは−OR11、−NR1112、−COR11、−CO11、−CONR1112、−SR11、−SOR11、−SO11、−SONR1112、−N(OR11)(R12)、−P(O)(OR11)(OR12)、−P(O)(OR11)(R12)、および−OP(O)(OR11)(OR12)からなる群から選択される部分であって、R11およびR12は、独立して、水素またはアルキルであり;
    Uは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
    Vは、前記大環状環の隣接する炭素原子と一緒になって、3〜20個の環炭素原子を有する縮合された置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の環もしくはヘテロ環を形成し;
    Wは、前記大環状環の窒素およびそれが結合している前記大環状環の炭素原子と一緒になって、2〜20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式の置換もしくは無置換の飽和、部分的な飽和もしくは不飽和の窒素含有縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが、縮合された芳香族ヘテロ環である場合、ヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である窒素に結合している水素、ならびにヘテロ環および前記大環状環の両方の部分である炭素原子に結合しているRおよびR10は、非存在であるものとし;
    XおよびYは、単座もしくは多座配位子もしくは配位子系に由来する適切な配位子のいずれか、またはそれに相当するアニオンを表し;
    Zは、対イオンであり;
    nは、0〜3の整数であり;ならびに
    点線は、前記大環状環の窒素原子と遷移金属(マンガン)との配位結合を表す]。
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