(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図3を参照して説明する。図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
(内容物充填システム)
まず図1により本実施の形態による内容物充填システム(無菌充填システム、アセプティック充填システム)について説明する。
図1に示す内容物充填システム10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム31を二軸延伸ブロー成形することによりボトル(容器)30を作製し、このボトル30に対して飲料等の内容物を充填するシステムである。プリフォーム31およびボトル30の材料としては、熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、又はPEN(ポリエチレンナフタレート)を使用することが好ましい。
このような内容物充填システム10は、プリフォーム殺菌装置11と、プリフォーム加熱装置12と、ブロー成形装置13と、容器検査装置14と、容器殺菌装置15と、エアリンス装置16と、容器リンス装置17と、充填装置20と、閉栓装置21とを備えている。これらプリフォーム殺菌装置11と、プリフォーム加熱装置12と、ブロー成形装置13と、容器検査装置14と、容器殺菌装置15と、エアリンス装置16と、容器リンス装置17と、充填装置20と、閉栓装置21とは、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。また、閉栓装置21には、キャップ33を滅菌するとともに、この滅菌したキャップ33を閉栓装置21に搬送するキャップ殺菌装置25が接続されている。
このプリフォーム殺菌装置11においては、プリフォーム殺菌装置11の内部に配置された薬剤噴霧ノズル41(図2(a)参照)から過酸化水素水溶液等の薬剤が噴霧され、プリフォーム31が殺菌される(予備殺菌、第1段殺菌)。具体的には、薬剤噴霧ノズル41から過酸化水素水溶液のミスト又はガスがプリフォーム31に吹き付けられる。これにより、プリフォーム31の表面には、35質量%換算の過酸化水素の凝結皮膜が0.0035μL/cm2以上0.35μL/cm2以下の範囲で付着形成される。この過酸化水素の付着量が0.0035μL/cm2以上となることにより、十分な殺菌効果を得ることができる。一方、過酸化水素の付着量が0.35μL/cm2以下となることにより、ブロー成形した場合に、ボトルに白化、斑点、皺、変形の成形不良が発生することを防止することができる。このプリフォーム31に対する35質量%換算の過酸化水素凝結皮膜の付着量は、より望ましくは、0.007μL/cm2以上0.2μL/cm2以下である。図2(a)に示すように、薬剤噴霧ノズル41としては、プリフォーム31の内面用のものだけでなく、プリフォーム31の外面用のものを複数設けても良い。またプリフォーム31の内面に噴霧した薬剤のガスまたはミストをプリフォーム31の外側のネジ口部に案内して殺菌する案内部材41aを薬剤噴霧ノズル41の先端に設けても良い。
なお、薬剤としては、過酸化水素のほか、過酢酸、硝酸、塩素系薬剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、二酸化塩素、オゾン水、酸性水、界面活性剤を単体で用いても良く、これらのうち2種以上を任意の割合で組み合わせて用いても良い。
プリフォーム殺菌装置11においては、さらに乾燥ノズル42(図2(b)参照)からホットエアーを吹き付けることにより、過酸化水素水溶液のミスト又はガスが吹き付けられた後のプリフォーム31を乾燥させる。これにより、プリフォーム31が乾燥され、過酸化水素が一部除去される。乾燥後におけるプリフォームに付着した35質量%換算の過酸化水素量は、0.0003μL/cm2以上0.35μL/cm2以下の範囲が好適である。この過酸化水素の付着量が0.0003μL/cm2以上となることにより、十分な殺菌効果を得ることができる。一方、過酸化水素の付着量が0.35μL/cm2以下となることにより、ブロー成形した場合に、ボトルに白化、斑点、皺、変形等の成形不良が発生することを防止することができる。このプリフォーム31に対する35質量%換算の過酸化水素凝結皮膜の付着量は、より望ましくは、0.0004μL/cm2以上0.2μL/cm2以下である。なお、このような乾燥ノズル42は必ずしも設けられていなくても良い。
なお、プリフォーム殺菌装置11は、薬剤リンスによりプリフォーム31を殺菌するものであっても良い。この場合、プリフォーム殺菌装置11は、例えば薬剤でプリフォーム31の内部をリンス処理し、その後、プリフォーム31をエアリンスすることにより、薬剤を除去するものであっても良い。このエアリンスは、無菌エアによるものであっても良い。エアはブロアーエアであっても圧縮空気であっても良い。また、薬剤によりプリフォーム31の内部をリンス処理し、その後、プリフォーム31を水リンスすることにより、過酢酸等の薬剤を除去するものであっても良い。あるいは、プリフォーム殺菌装置11は、温水(無菌水)によりプリフォーム31の内部をリンス処理するものであっても良い。薬剤としては、過酸化水素を1重量%以上35重量%以下含有した水、あるいは過酢酸を100ppm以上5000ppm以下、好ましくは、500ppm以上3000ppm以下含んだものが好適である。また、薬剤としては、上述した薬剤(過酸化水素、過酢酸、硝酸、塩素系薬剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、二酸化塩素、オゾン水、酸性水、界面活性剤)を2種以上を任意の割合で組み合わせて用いても良い。なお、薬剤として、過酸化水素水をエタノール等のアルコール類で希釈した溶液(過酸化水素濃度:0.1重量%以上35重量%以下、好ましくは1重量%以上25重量%以下)を用いた場合、揮発性が高いため、薬剤除去のリンス用エアやリンス水を削減することも可能である。また薬剤は、菌を不活性化させるものであればよく、上記に限定するものではない。
また、プリフォーム殺菌装置11は、水蒸気等の蒸気によりプリフォーム31を殺菌するものであっても良い。この場合、プリフォーム殺菌装置11は、例えば水蒸気をプリフォーム31の内部に噴射し、その後、プリフォーム31をエアリンスするものであっても良い。なお、エアリンスはあっても無くてもよい。
また、プリフォーム殺菌装置11は、電子線、X線又は紫外線によりプリフォーム31を殺菌するものであっても良い。この場合、プリフォーム殺菌装置11は、例えば電子線(EB)又はX線をプリフォーム31の内部に照射し、その後、プリフォーム31をエアリンスするものであっても良い。なお、エアリンスは行っても行わなくてもよい。あるいは、プリフォーム殺菌装置11は、紫外線をプリフォーム31の内部に照射することによりプリフォーム31を殺菌処理するものであっても良い。
図1を参照すると、プリフォーム加熱装置12は、プリフォーム殺菌装置11で殺菌されたプリフォーム31を加熱するものである。このプリフォーム加熱装置12には、プリフォーム31の搬送路に沿ってヒータ43がトンネル状に配置され、このヒータ43によってプリフォーム31は走行しながら加熱される(図2(c)参照)。プリフォーム31は、この加熱によって90℃から130℃程度まで均一に加熱され、ブロー成形に適した加熱状態とされる。
加熱時には、プリフォーム31は、その口部に図示しないスピンドル(又はマンドレル)44(図2(c)参照)が挿入されることによって正立状態(又は倒立状態)で吊下げられ、スピンドル(又はマンドレル)44と共に回転することによってヒータ43によって周方向均一に加熱される。
また、この加熱工程によってプリフォーム31の表面が予備殺菌される。すなわち、薬剤(例えば過酸化水素)の凝結皮膜を付着させた状態でプリフォーム31を加熱しながら乾燥させることで、菌体表面に付着した過酸化水素水溶液の濃度が上昇し、高い殺菌効果が得られ、耐熱性を有するカビや芽胞菌なども容易に殺菌される。また、プリフォーム殺菌装置11でプリフォーム31を薬剤処理した後、エアリンスした場合であっても、プリフォーム31の樹脂中には微量の薬剤が吸着されているため、これらが加熱工程で菌と共に高温となり、高い殺菌効果を発現する。これにより、プリフォーム31の表面に付着した一般細菌、芽胞形成細菌、カビ・酵母等の真菌類が、好適に殺菌される。
プリフォーム加熱装置12で加熱されることによってブロー成形に適した加熱状態とされ、かつ、予備殺菌されたプリフォーム31は、ブロー成形装置13に搬送される。このブロー成形装置13において、プリフォーム31は2軸延伸ブロー成形され、ボトル30に成形される。
このブロー成形装置13において、プリフォーム31は、ブロー成形用の成形型である金型45(図2(d)参照)内に挿入され、金型45は、プリフォーム31の走行速度と同じ速度で連続的に走行しつつ、型締め状態とされ、金型45内でプリフォーム31に対するブロー成形が行われた後に型開き状態とされる。
プリフォーム31は、加熱工程でその全体の温度が成形に好適な温度域に上昇するようにほぼ均一に加熱されており、その加熱工程の終了後、ブロー成形装置13のブローステーションへ搬送され、金型45内に装着される。また、延伸ロッド46(図2(d)参照)が金型45の上部及びプリフォーム31の口部内のブローノズル44aを貫通してプリフォーム31内に挿入される。金型45が走行する間に、例えば一次ブロー用エアや二次ブロー用エアがブローノズル44aを介してプリフォーム31内に順次吹き込まれることによって、金型45のキャビティ内でプリフォーム31が最終成形品のボトル30まで膨張する。このように金型45内でボトル30が成形されると、金型45が走行しつつ型開きし、ボトル30の完成品が金型45外へ取り出される。
図1を参照すると、内容物充填システム10内には、プリフォーム31および/またはボトル30を搬送する複数の搬送機構(搬送ホイール)18が配置されている。なお、プリフォーム加熱装置12およびブロー成形装置13の構成は、それぞれ特に限定されるものではなく、一般に使用されている装置を用いることができる。例えば、ブロー成形装置13は、図1に示すようなロータリー式の機構に限らず、リニア式の機構を用いても良い。
容器検査装置14は、ブロー成形装置13の下流側に位置しており、ブロー成形装置13で作製されたボトル30の検査を行うものである。この容器検査装置14は、ボトル30の変形やキズ等を検査する。このような容器検査装置14としては、従来一般に用いられているボトル検査装置を使用することができる。
容器殺菌装置15は、殺菌剤をボトル30に噴射することにより、ボトル30内を殺菌するものである(本殺菌、第2段殺菌)。これにより、内容物の充填前に殺菌剤によってボトル30が殺菌され、細菌の芽胞、栄養細胞、カビ及び酵母を死滅させる。殺菌剤としては、例えば過酸化水素水溶液等の薬剤が用いられる。容器殺菌装置15においては、過酸化水素水溶液のミスト又はガスが生成され、ミスト又はガスがボトル30の内外面に噴霧される。このようにボトル30内が過酸化水素水溶液のミスト又はガスで殺菌されるので、ボトル30の内外面がムラなく殺菌される。
この容器殺菌装置15においては、容器殺菌装置15の内部と外部に配置された薬剤噴霧ノズル47(図2(e)参照)から過酸化水素水溶液等の薬剤が噴霧され、ボトル30が殺菌される。具体的には、薬剤噴霧ノズル47から過酸化水素水溶液のミスト又はガスがボトル30に吹き付けられる。
このときボトル30はプリフォーム31での加熱及び金型による熱が残留しており、この熱によって過酸化水素水溶液のミスト又はガスによる殺菌効果が高められる。上述したように、プリフォーム31に対して予備殺菌が行われ、この予備殺菌によってプリフォーム31に付着したほとんどの微生物は殺菌される。したがって、この過酸化水素水溶液のミスト又はガスのボトル30に対する吹き付けによって上記プリフォーム31の段階で生残した菌と、ブロー成形工程、搬送工程で混入した僅かな菌等が本殺菌において殺菌処理される。
なお、容器殺菌装置15としては、薬剤リンスによりボトル30を殺菌するものであっても良い。この場合、容器殺菌装置15は、例えば過酢酸等の薬剤によりボトル30の内部をリンス処理し、その後、ボトル30を水(無菌水)リンスすることにより、過酢酸等の薬剤を除去するものであっても良い。あるいは、容器殺菌装置15は、60℃以上90℃以下の温水によりボトル30の内部をリンス処理するものであっても良い。
また、容器殺菌装置15としては、電子線、X線又は紫外線によりボトル30を殺菌するものであっても良い。この場合、プリフォーム殺菌装置11は、例えば電子線(EB)又はX線をボトル30の内部に照射し、その後、ボトル30をエアリンスするものであっても良い。あるいは、容器殺菌装置15は、紫外線をプリフォーム31の内部に照射しながら、ボトル30を無菌エア又は無菌水でリンスすることによりプリフォーム31を殺菌処理するものであっても良い。
エアリンス装置16は、殺菌剤である過酸化水素により殺菌されたボトル30に対して、50℃以上180℃以下(好ましくは、70℃以上140℃以下)の無菌エアを吹き付けることによる洗浄を行うものである。これによりボトル30に付着した過酸化水素を除去し、且つ異物が除去される。なお、エアリンス装置16は必ずしも設けられていなくても良い。また、エアリンスはボトル30を正立した状態で行っても良いが、これに限らず、ボトル30を倒立した状態で行っても良い。これにより異物の除去を同時に行うことができる。
容器リンス装置17は、殺菌剤である過酸化水素水溶液により殺菌されたボトル30に対して、温水による殺菌を行うものである。具体的には、例えば65℃以上かつ80℃以下の温度の温水がボトル30内に供給される。なお、容器リンス装置17は必ずしも設けられていなくても良い。
また、ボトル30を殺菌する際、1種類の殺菌方法に限らず、2種類の殺菌方法を複合させても良い。
充填装置20は、ボトル30の口部からボトル30内へ、予め殺菌処理された内容物を充填するものである。この充填装置20において、空の状態のボトル30に対して充填ノズル48(図2(f)参照)から内容物が充填される。この場合、充填装置20において、複数のボトル30が回転(公転)されながら、ボトル30の内部へ内容物が充填される。この内容物は常温でボトル30内に充填されても良い。内容物は予め加熱等により殺菌処理され、3℃以上かつ40℃以下の常温まで冷まされた上でボトル30内に充填される。
閉栓装置21は、ボトル30の口部にキャップ33を装着することにより、ボトル30を閉栓するものである。閉栓装置21において、ボトル30の口部はキャップ33により閉じられ、ボトル30内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される(図2(g)参照)。閉栓装置21において、内容物が充填された複数のボトル30が回転(公転)しながらその口部にキャップが装着される。このようにして、ボトル30の口部にキャップ33を装着することにより、製品ボトル35が得られる。
製品ボトル搬出部22は、閉栓装置21でキャップ33を装着された製品ボトル35を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出するものである。
なお、内容物充填システム10は、無菌チャンバ70を有している。無菌チャンバ70の内部に、上述した容器殺菌装置15、エアリンス装置16、容器リンス装置17、充填装置20、および閉栓装置21が収容されている。このような内容物充填システム10は、例えば無菌充填システムからなっていても良い。この場合、無菌チャンバ70の内部が無菌状態に保持されている。
(内容物充填方法)
次に、上述した内容物充填システム10(図1)を用いた内容物充填方法について説明する。なお、以下において、通常時における充填方法、すなわち実際に飲料等の内容物をボトル30に充填して製品ボトル35を製造する内容物充填方法について説明する。
まず、プリフォーム31がプリフォーム殺菌装置11に投入される。このプリフォーム殺菌装置11において、プリフォーム殺菌装置11の内部に配置された薬剤噴霧ノズル41(図2(a)参照)から過酸化水素水溶液等の薬剤が噴霧され、プリフォーム31が殺菌される(プリフォーム殺菌工程)。続いて、プリフォーム31には、乾燥ノズル42(図2(b)参照)からホットエアーが吹き付けられ、これにより、プリフォーム31が乾燥され、過酸化水素が一部除去されると共に殺菌が開始される。
次に、プリフォーム31は、プリフォーム加熱装置12に送られる。このプリフォーム加熱装置12において、プリフォーム31は、ヒータ43(図2(c)参照)によってプリフォーム31は走行しながら加熱される(プリフォーム加熱工程)。これにより、プリフォーム31は、ブロー成形に適した加熱状態とされるとともに、その表面が予備殺菌される。
続いて、プリフォーム31は、ブロー成形装置13に搬送される。このブロー成形装置13の金型45(図2(d)参照)内において、プリフォーム31は2軸延伸ブロー成形され、ボトル30に成形される(ボトル成形工程)。
ブロー成形装置13で作製されたボトル30は、容器検査装置14に搬送される。次に、ブロー成形装置13において、ボトル30の変形やキズ等の検査が行われる(容器検査工程)。仮に、容器検査装置14により、ボトル30に変形やキズ等の不具合が存在することが検出された場合、このボトル30は、容器検査装置14から内容物充填システム10の外部へ排出される。
次に、容器検査装置14を通過したボトル30は、容器殺菌装置15へ送られる。この容器殺菌装置15において、ボトル30に対して殺菌剤である過酸化水素水溶液を用いて殺菌処理が行われる(容器殺菌工程)。このとき、過酸化水素水溶液は、一旦沸点以上で気化させたガス又はミストであり、ボトル30に向かって供給される。過酸化水素水溶液のミストは、ボトル30の内外面全体に付着し、ボトル30に付着した菌を殺菌する。このボトル30内に供給する過酸化水素のガス又はミストの付着量は、35質量%換算で0.01μL/cm2以上0.1μL/cm2以下の範囲が好適である。この過酸化水素の付着量が0.01μL/cm2以上となることにより、ボトル全体で均一な殺菌効果を得ることができる。一方、過酸化水素の付着量が0.1μL/cm2以下となることにより、残留過酸化水素を除去するためのエアリンスの時間が長くなりすぎることがなく、経済的である。このボトル30の内面に対する35質量%換算の過酸化水素凝結皮膜の付着量は、より望ましくは、0.03μL/cm2以上0.07μL/cm2以下である。
続いて、ボトル30は、容器殺菌装置15からエアリンス装置16に搬送される。このエアリンス装置16において、ボトル30に対して、50℃以上180℃以下(好ましくは、70℃以上140℃以下)の無菌エアを吹き付けることにより、ボトル30が洗浄される。これによりボトル30に付着した過酸化水素を除去し、且つボトル30内の異物が除去される。
次に、ボトル30は、エアリンス装置16から容器リンス装置17に搬送される。この容器リンス装置17において、殺菌剤である過酸化水素により殺菌されたボトル30に対して、水又は温水による殺菌が施される。具体的には、10℃以上85℃以下の温度の水又は温水が、5L/min以上15L/min以下の流量でボトル30内に供給される。その際、好ましくはボトル30は倒立状態とされ、下向きになった口部からボトル30内へ水又は温水が供給され、この温水は口部からボトル30の外方に流出する。この水又は温水によってボトル30内に残留した余剰の過酸化水素水溶液と異物が洗い流され、ボトル30の外方に排出される。場合によっては、ボトル30の外面も内面と同様に水又は温水リンスを行っても良い。なお、このような容器リンス装置17によるリンス工程は必ずしも設けられていなくても良い。
続いて、ボトル30は、容器リンス装置17から充填装置20に搬送される。この充填装置20において、ボトル30は回転(公転)されながら、充填ノズル48(図2(f)参照)によってボトル30内へ内容物が充填される(充填工程)。なお、充填装置20でボトル30に充填される前に、予め内容物が調合され、加熱殺菌処理が行われる。加熱温度は、60℃以上150℃以下程度とされる。これにより、充填前の内容物中の製品ボトル35内で発育しうる微生物が全て殺菌される。加熱殺菌処理された内容物は、3℃以上かつ40℃以下程度の常温まで冷却される。充填装置20においては、殺菌されたボトル30に、上記殺菌処理され常温まで冷やされた内容物が常温で充填される。充填時の内容物の温度は、例えば3℃以上かつ40℃以下程度である。
続いて、内容物が充填されたボトル30は、充填装置20から閉栓装置21に搬送される。次いで、閉栓装置21において、ボトル30の口部にキャップ殺菌装置25で殺菌された殺菌済みのキャップ33を装着することにより、製品ボトル35が得られる(図2(g)参照)(キャップ装着工程)。
その後、製品ボトル35は、閉栓装置21から製品ボトル搬出部22へ搬送され、内容物充填システム10の外部へ向けて搬出される。
なお、上記容器殺菌工程からキャップ装着工程に至る各工程は、無菌チャンバ70で囲まれた無菌の雰囲気内すなわち無菌の環境下で行われる。そして、殺菌処理後は無菌エアが常時無菌チャンバ70外に向かって吹き出るように、無菌チャンバ70内に陽圧の無菌エアが供給される。
また、内容物充填システム10におけるボトル30の生産(搬送)速度は、100bpm以上かつ1500bpm以下とすることが好ましい。ここでbpm(bottle per minute)とは、1分間当たりのボトル30の搬送速度をいう。
(内容物充填システムの検証方法)
次に、上述した内容物充填システム10(図1)の菌汚染レベルを検証する、本実施の形態による内容物充填システムの検証方法について説明する。
本実施の形態による検証方法は、内容物充填システム10のうち、とりわけプリフォーム殺菌装置11から容器殺菌装置15までの間における菌汚染レベルを確認するものである。この検証方法は、例えば内容物充填システム10が完成した直後の初期段階、すなわち実際に内容物充填システム10を用いてボトル30への充填を行い製品ボトル35の製造を開始するよりも前に行われても良い。あるいは、本検証方法は、内容物充填システム10における工程又は装置に何らかの変更が生じた場合や、内容物充填システム10を一定期間使用しなかった場合等、菌汚染レベルに影響を及ぼすおそれが生じた場合に行っても良い。あるいは、本検証方法は、菌汚染レベルに影響を及ぼすおそれが生じたか否かに関わらず、所定の充填サイクル毎に定期的に行われても良い。
また、本実施の形態による検証方法を行う前に、プリフォーム殺菌装置11から容器殺菌装置15までの間の菌汚染レベルが最も高くなると考えられるケースを想定し、内容物充填システム10のメンテナンス作業を行っても良い。例えば、ブロー成形装置13の金型45、ブローノズル、および延伸ロッド46を交換したり、プリフォーム加熱装置12のヒータ43のランプを交換したりしても良い。また成形および充填作業の作業を行う作業者の人数を製造時考えられる最大の人数として作業を行っても良い。
このようなメンテナンス作業を行った後、内容物充填システム10の菌汚染レベルを評価し、容器殺菌装置15における殺菌の程度を調整するため、培地を充填したボトル30を用いた本実施の形態による検証方法が実行される。具体的には、プリフォーム殺菌装置11で殺菌された多数のプリフォーム31をブロー成形装置13でブロー成形し、多数のボトル30を作製する。そして各ボトル30に、実際に充填される内容物に代えて、所定の培地を充填して閉栓する。その後、一定期間の経過後に各ボトル30に充填された培地がどの程度腐敗したかを確認するものである。
以下、本実施の形態による内容物充填システム10の検証方法について、図1および図3を参照して説明する。図3は、本実施の形態による検証方法を示すフロー図である。
まず、多数のプリフォーム31が外部からプリフォーム殺菌装置11に投入され、それぞれプリフォーム殺菌装置11において殺菌される(プリフォーム殺菌工程、図3のステップS1)。内容物充填システム10の検証方法に用いられるプリフォーム31の本数は予め定められており、例えば1,000本以上300,000本以下(好ましくは3,000本以上30,000本以下)の所定の本数とすることができる
次に、各プリフォーム31は、プリフォーム加熱装置12で加熱され(プリフォーム加熱工程、図3のステップS2)、その後、ブロー成形装置13において、2軸延伸ブロー成形されることにより、ボトル30が成形される(ブロー成形工程、図3のステップS3)。
ブロー成形装置13で作製されたボトル30は、容器検査装置14において検査され(容器検査工程、図3のステップS4)、容器検査装置14を通過したボトル30は、容器殺菌装置15へ送られる。
なお、プリフォーム殺菌工程から容器検査工程までの各工程は、上述した通常の内容物充填方法におけるプリフォーム殺菌工程から容器検査工程までの各工程と同様である。
この場合、容器殺菌装置15は停止しており、ボトル30は、容器殺菌装置15によって殺菌されることなく、充填装置20に送られる。なお、この間、ボトル30は、エアリンス装置16によって無菌エアが吹き付けられても良い。あるいは、エアリンス装置16を停止し、無菌エアを吹き付けることなく、ボトル30を充填装置20に送っても良い。また、異物(菌)除去性能を有するエアリンス装置16におけるエアリンスの風量条件を、生産条件の下限値(或いは下限未満)として無菌エアを吹き付けても良い。
また、容器リンス装置17を設ける場合は、容器リンス装置17において水又は温水による殺菌が実施されることなく、ボトル30が充填装置20に送られる。なお、この間、ボトル30は、エアリンス装置16によって無菌エアが吹き付けられても良い。あるいは、容器リンス装置17を停止し、水又は温水を吹き付けることなく、ボトル30を充填装置20に送っても良い。また、異物(菌)除去性能を有する容器リンス装置17における水又は温水リンスの流量・温度条件を、生産条件の下限値(或いは下限未満)としてリンスしても良い。
次いで、充填装置20において、ボトル30の口部からボトル30内へ所定量の培地が充填される(培地充填工程、図3のステップS5)。充填装置20でボトル30に充填される前に、予め培地が調製され、加熱殺菌処理が行われる。培地のpHは、内容物の特性に合わせて調製されており、例えばpHが4.0以上4.6以下の酸性培地であっても良く、pHが6.5以上7.5以下の中性培地であっても良い。
このような培地としては、一般的に炭素源としての、有機炭素源であるグルコース、デキストロースなどの単糖類、二糖類、多糖類や無機炭素源である炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムを0.2〜3重量%と、窒素源(補酵素含む)としての、カゼインペプトン、鶏肉ペプトン、心筋ペプトン、ゼラチンペプトン、大豆ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、肉エキス、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硝酸塩などを0.5〜3重量%と、微量ミネラル又は緩衝剤としての塩化ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウムなどを0.05〜1重量%とを、水に溶解させることにより作成する。培地のpHの調製は、塩酸、酒石酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを培地に溶解することによって行う。
続いて、培地が充填されたボトル30は、閉栓装置21に送られる。この閉栓装置21において、キャップ殺菌装置25で殺菌された殺菌済みのキャップ33をボトル30の口部に装着する(キャップ装着工程、図3のステップS6)。なお、このキャップ装着工程は、上述した通常の内容物充填方法におけるキャップ装着工程と同様にして実行される。このようにして、ボトル30の内部に培地が充填され、口部をキャップ33で密栓することにより、検証用ボトル36が得られる。
次に、培地が充填された検証用ボトル36は、製品ボトル搬出部22から外部へ搬出される。その後、複数の検証用ボトル36は、25℃以上40℃以下の所定温度に維持された図示しない恒温庫に搬送され、この恒温庫で静置されて培養される(培養工程、図3のステップS7)。なお、製品ボトル35がホットベンダーなどで加温販売される場合は、高温菌の無菌性も確認する必要があり、検証用ボトル36は、40℃以上65℃以下の温度で培養されても良い。
所定期間(例えば3日以上好ましくは7日以上)の経過後、全ての検証用ボトル36を恒温庫から取り出し、検証用ボトル36内の培地にどの程度菌が生残あるいは繁殖しているかを検証する(検証工程、図3のステップS8)。この検証工程によって得られた結果は、とりわけプリフォーム殺菌装置11から容器殺菌装置15までの間における菌汚染レベルに相当するものと考えられる。なお、検証工程においては、培地を用いた検証に限らず、実際の製品や腐敗しやすい製品(例えば、ミルク入り飲料)などで代替して検証を行っても良い。
その後、上記検証工程における結果に基づいて、容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17における殺菌の程度を調整する(調整工程、図3のステップS9)。この調整工程における殺菌の程度の調整は、例えば容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17の能力を適切に設定することであり、具体的には、容器殺菌装置15における薬剤の噴霧量(付着量)、エアリンス装置16におけるエアブロー時間、エア流量、エアの温度、容器リンス装置17における温水の温度や、温水の流量、リンス時間などの温水の使用量を調整するものであってもよい。あるいは、容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17の設置面積を調整し、これらの装置をボトルが通過する時間を短縮することによって行っても良い。
例えば、容器殺菌装置15における薬剤の噴霧量、エアリンス装置16におけるエアの使用量、容器リンス装置17における水又は温水の使用量を調整することにより、容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17での必要な殺菌性能は維持しつつ、薬剤の噴霧量やエア、水又は温水の使用量を制限することができる。これにより、殺菌に必要なコストを低減するとともに、環境負荷を低減することができる。また、容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17の設置面積を減らすことが可能となるため、内容物充填システム10の大きさをコンパクトなものとすることができる。
ここで、上記調整工程について更に説明する。一般に、プリフォーム殺菌装置11に投入される前のプリフォーム31には予め菌が付着している。このプリフォーム31の初発菌数レベルをH0(=logN0)とする。この場合、プリフォーム31の初発菌数レベルH0は、プリフォーム殺菌装置11による殺菌効果(菌減少数レベルΣR1(=log(N0/NR1)>0)によって減少するが、プリフォーム殺菌装置11の直後から容器殺菌装置15の直前までの間に中間汚染(菌増加数レベル:ΣI(=log(NI)≧0))されることにより、ボトル30に付着した菌はある一定の割合で増加する。このときボトル30に付着した菌は、容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17による殺菌効果(菌減少数レベル:ΣR2(=log(NI/NR2)>0))によって再び減少する。なお、充填装置20より後の工程では、無菌充填設備を用いているため、汚染の発生は無視できるレベルであると考えられる。したがって、容器殺菌装置15、エアリンス装置16または容器リンス装置17を通過した後のボトル1本あたりの菌数レベルが目標値(FSO(Food Safety Objective/ISO13409-1996)(=logN))以下であれば、内容物充填システム10の無菌性には問題がないと考えることができる。これを式として表すと以下のようになる。なお、「N0」は、プリフォーム1本あたりの初発菌数であり、「NR1」はプリフォーム殺菌装置11によって殺菌された後のプリフォーム1本あたりの菌数、「NI」はプリフォーム殺菌装置11の直後から容器殺菌装置15の直前までの間に中間汚染された後のボトル1本あたりの菌数、「NR2」は容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17によって殺菌された後のボトル1本あたりの菌数、「N」は容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17によって殺菌された後のボトル1本あたりの菌数の目標値をそれぞれ意味する。
H0−ΣR1+ΣI−ΣR2≦FSO・・・(式1)
本検証方法においては、容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17を停止するため、上記(式1)のΣR2は0となる。したがって、上記検証工程で得られた結果は、上記(式1)におけるH0−ΣR1+ΣIの値に対応する。この値は、通常FSOを上回る。このため、ΣR2の値が(H0−ΣR1+ΣI)−FSO以上となるように容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17の殺菌能力を設定することにより、内容物充填システム10の無菌性を目標値(FSO)以下とすることが可能となる。
以上のように本実施の形態によれば、ボトル30内の培地に菌がどの程度生残あるいは繁殖しているかを検証し、この検証の結果に基づいて、容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17における殺菌の程度を調整する。これにより、内容物充填システム10に必要とされる殺菌の程度は維持しつつ、容器殺菌装置15における薬剤の噴霧量や、エアリンス装置16のエアリンス条件(温度、流量、時間)、あるいは、容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17の設置面積等を制限することができる。この結果、内容物充填システム10のランニングコストを低減するとともに環境負荷を低減することができる。また、内容物充填システム10をコンパクトな構成にすることができる。
[実施例]
次に、本実施の形態における具体的実施例について説明する。
まず上記内容物充填システム10のプリフォーム殺菌装置11を用いて複数のプリフォーム31を順次殺菌し、殺菌された各プリフォーム31をブロー成形装置13を用いてブロー成形し、それぞれボトル30を作製した。各ボトル30は、順次容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17に送られ、この容器殺菌装置15、エアリンス装置16及び容器リンス装置17によって殺菌されることなく、充填装置20に送られた。次に、充填装置20を用いて、培地を各ボトル30に常温充填し、キャップ33で閉栓した後、これらを30℃で1週間培養した。なお、培養したボトル30の本数は、合計75,432本であった。培養後、ボトル30を全数検査したところ、培地が腐敗したボトル30が2本存在することを確認した。このため、得られたボトル1本あたりの菌数は、2/75,432=約10−4と推定され、上述したH0−ΣR1+ΣIの値は、log(10−4)=−4と推定された。
一方、内容物充填システム10における菌数レベルの目標値(FSO)は、例えば−7である。このため、容器殺菌装置15の殺菌性能を−4−(−7)=3LRV(Log Reduction Level)、すなわち上述したΣR2=3とすることにより、内容物充填システム10の無菌レベルを目標値(FSO=−7)に到達させることができると考えられる。そこで、容器殺菌装置15の殺菌性能を3LRVとなるように、容器殺菌装置15における薬剤(過酸化水素水)の噴霧量を調整したところ、噴霧量は15.2kg/hとなった。これは、従来の容器殺菌装置15で用いられていた過酸化水素水の噴霧量よりも約40%程度減った量であり、容器殺菌装置15における過酸化水素水の使用量を低減することができることが判明した。FSOにおける無菌性レベルの目標値としては、対象とする菌にもよるが、一般的に−12以上−5以下の範囲内で設定するのが望ましく、好ましくは−10以上−6以下の範囲内である。FSOを−5よりも高くすると、安全性に課題が生じる。一方、FSOが−12よりも低いレベルとなるまで無菌性を上げると、エネルギーやコストが増すため経済的ではない。本実施の形態において、無菌性レベル(H0−ΣR1+ΣI−ΣR2)が目標値(FSOが−12以上−5以下)に達している内容物充填システム10も提供する。
(第2の実施の形態)
次に、図4を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は本発明の第2の実施の形態を示す図である。図4に示す第2の実施の形態は、主として、キャップ33を2段階で殺菌するものである。図4において、第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図4に示すように、本実施の形態による内容物充填システム10Aは、プリフォーム殺菌装置11と、プリフォーム加熱装置12と、ブロー成形装置13と、容器検査装置14と、容器殺菌装置15と、エアリンス装置16と、容器リンス装置17と、充填装置20と、閉栓装置21とを備えている。なお、これらプリフォーム殺菌装置11と、プリフォーム加熱装置12と、ブロー成形装置13と、容器検査装置14と、容器殺菌装置15と、エアリンス装置16と、容器リンス装置17と、充填装置20と、閉栓装置21との構成は、第1の実施の形態に示すものと略同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
閉栓装置21には、キャップ33を滅菌するとともに、この滅菌したキャップ33を閉栓装置21に搬送するキャップ殺菌ユニット60が接続されている。このキャップ殺菌ユニット60は、キャップ33を殺菌する第1キャップ殺菌装置61と、第1キャップ殺菌装置61によって殺菌されたキャップ33をエアリンスするエアリンス装置62と、エアリンス装置62によってエアリンスされたキャップ33を再度殺菌する第2キャップ殺菌装置63とを有している。
キャップ33は、公知のものであって、内面側に開口を有する平面略円形のものが用いられる。なお、キャップ33としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、生分解性プラスチック等の熱可塑性樹脂製のものを用いることができる。またキャップ33としては、通常のボトルキャップのほか、複合キャップやスポーツキャップを用いても良い。
第1キャップ殺菌装置61は、搬送されているキャップ33に対して例えば過酸化水素水溶液等の薬剤ガス又はミストを噴霧するものである。この第1キャップ殺菌装置61でキャップ33を殺菌するために必要な過酸化水素の付着量は、35%重量換算で0.6μL/cm2以上4.7μL/cm2以下(好ましくは1.2μL/cm2以上2.4μL/cm2以下)である。第1キャップ殺菌装置61は、無作為に投入されたキャップ33を整列させて搬送するホッパー又はソーター64に設けられている。
第2キャップ殺菌装置63は、充填機側に設けられており、キャップ33に対して例えば過酸化水素水溶液等の薬剤ガス又はミストを噴霧するものである。キャップ33は、第1キャップ殺菌装置61から閉栓装置21側の第2キャップ殺菌装置63まで搬送され、例えば過酸化水素水溶液等の薬剤によって殺菌される。
エアリンス装置62は、第2キャップ殺菌装置63の下流側に設けられ、薬剤が噴霧されたキャップ33を搬送するとともに、搬送されているキャップ33をエアリンスするものである。キャップ33は、エアリンス装置62内で順次搬送され、この間、キャップ33の内面及び外面に無菌ホットエアが吹き付けられる。エアリンス装置62内で吹き付けられる無菌ホットエアの温度は、例えば80℃以上140℃以下、好ましくは90℃以上120℃以下である。無菌ホットエアの風量は、例えば5m3/分以上20m3/分以下である。また、無菌ホットエアのブロー時間は、0.5秒以上20秒以下、好ましくは1秒以上14秒以下である。無菌ホットエアが吹き付けられることにより、キャップ33の温度が40℃以上、好ましくは50℃以上に高められる。これにより、キャップ33に付着した薬剤が除去される。なお、無菌ホットエアには、過酸化水素等、薬剤の成分が微量に含まれていても良い。これにより、第2キャップ殺菌装置63でキャップ33に付着した薬剤を確実に取り除くことができる。
(キャップ殺菌方法)
次に、上述した内容物充填システム10Aのキャップ殺菌ユニット60を用いたキャップ殺菌方法について説明する。なお、以下において、通常時におけるキャップ殺菌方法、すなわち飲料等の内容物をボトル30に充填して製品ボトル35を製造する際のキャップ殺菌方法について説明する。
まず多数のキャップ33が、キャップ殺菌ユニット60の外部から投入される。次に、投入されたキャップ33は、ホッパー又はソーター64で整列された後、キャップ殺菌ユニット60内を搬送される。
この間キャップ33は、ホッパー又はソーター64に設けられた第1キャップ殺菌装置61内で、過酸化水素水溶液等の薬剤が噴霧され、その内面及び外面が殺菌される。
次に、キャップ33は、第1キャップ殺菌装置61から閉栓装置21側の第2キャップ殺菌装置63に受け渡される。次いで、第2キャップ殺菌装置63内で、キャップ33は、回転搬送されながら、過酸化水素水溶液等の薬剤ガス又はミストが噴霧され、その内面及び外面が殺菌される。
続いて、薬剤が噴霧されたキャップ33は、エアリンス装置62に受け渡される。このエアリンス装置62において、キャップ33は搬送され、この間キャップ33の内面及び外面に無菌ホットエアが吹き付けられる。これにより、キャップ33に付着した薬剤がエアリンスされる。
このようにしてキャップ殺菌ユニット60で殺菌されたキャップ33は、閉栓装置21において、充填装置20から搬送されてきたボトル30の口部に装着される。これにより、ボトル30とキャップ33とを有する製品ボトル35が得られる。
その後、製品ボトル35は、閉栓装置21から製品ボトル搬出部22へ搬送され、内容物充填システム10の外部へ向けて搬出される。
(内容物充填システムの検証方法)
次に、上述した内容物充填システム10Aの検証方法について説明する。
まず、多数のキャップ33が第1キャップ殺菌装置61において殺菌される(キャップ第1殺菌工程)。内容物充填システム10Aの検証方法に用いられるキャップ33の個数は予め定められており、例えば1,000個以上300,000個以下(好ましくは3,000個以上30,000個以下)の所定の個数とすることができる
次に、キャップ33は、第1キャップ殺菌装置61から第2キャップ殺菌装置63に受け渡される。この場合、第2キャップ殺菌装置63は停止しており、ボトル30は、第2キャップ殺菌装置63によって殺菌されることなく、エアリンス装置62に送られる。
続いて、薬剤が噴霧されたキャップ33は、エアリンス装置62において搬送され、この間キャップ33の内面及び外面に無菌ホットエアが吹き付けられる。これにより、キャップ33に付着した薬剤がエアリンスされる。その後、キャップ33は、エアリンス装置62から閉栓装置21に送られる。
一方、第1の実施の形態の場合と同様に、プリフォーム31がプリフォーム殺菌装置11において殺菌され、その後、ブロー成形装置13において2軸延伸ブロー成形され、ボトル30に成形される。このボトル30は、容器殺菌装置15において殺菌処理が行われる。
続いて、充填装置20において、ボトル30の口部からボトル30内へ所定量の培地が充填され、閉栓装置21に送られる。この閉栓装置21において、ボトル30の口部に、上述したエアリンス装置62から送られてきたキャップ33を装着する。このようにして、ボトル30の内部に培地が充填され、口部をキャップ33で密栓することにより、検証用ボトル36が得られる。
次に、培地が充填された検証用ボトル36は、製品ボトル搬出部22から外部へ搬出される。その後、複数の検証用ボトル36は、25℃以上40℃以下の所定温度に維持された恒温庫に搬送され、この恒温庫で静置されて培養される
所定期間(例えば3日以上好ましくは7日以上)の経過後、全ての検証用ボトル36を恒温庫から取り出し、検証用ボトル36内の培地にどの程度菌が生残あるいは繁殖しているかを検証する。この検証によって得られた結果は、とりわけ第1キャップ殺菌装置61から第2キャップ殺菌装置63までの間における菌汚染レベルに相当するものと考えられる。
その後、上記検証結果に基づいて、第2キャップ殺菌装置63における殺菌の程度を調整する。この殺菌の程度の調整は、例えば第2キャップ殺菌装置63の能力を適切に設定することであり、具体的には、第2キャップ殺菌装置63における薬剤の噴霧量を調整するものであってもよい。あるいは、第2キャップ殺菌装置63の設置面積を調整し、これらの装置をボトルが通過する時間を短縮しても良い。
このように、第2キャップ殺菌装置63における薬剤の噴霧量を適宜調整することにより、第2キャップ殺菌装置63で必要な殺菌性能は維持しつつ、薬剤の噴霧量や温水の使用量を制限することにより、殺菌に必要なコストを低減するとともに、環境負荷を低減することができる。また、第2キャップ殺菌装置63の設置面積を減らすことも可能となるため、内容物充填システム10Aの大きさをコンパクトなものとすることができる。
また、上記各実施の形態において、予備殺菌用のプリフォーム殺菌装置11をブロー成形装置13の入口に設け、ブロー成形及び内容物の充填を連続搬送下で行うシステムを例にとって説明したが、それに限られない。ブロー成形装置13と充填装置20とを離間して配置し、これらの間でボトル30をエア搬送やベルトコンベア等によって搬送しても良い。また、予備殺菌用のプリフォーム殺菌装置11は、必ずしもヒーター43の前工程側に設置する必要はなく、ヒーター43の中、またはヒーター43の後工程側に位置する搬送ホイル18またはブロー成形装置13の中にあっても良い。また、プリフォーム殺菌装置11は、ブロー成形装置13と連結していなくてもよく、プリフォーム31の搬送コンベアやシュート上に設けられていても良い。さらに、プリフォーム殺菌装置11をプリフォーム31の射出成形機に置き換えても良い。本実施の形態では、上記プリフォーム殺菌装置11による予備殺菌と容器殺菌装置15による本殺菌との2段の殺菌方式における検証方法について説明したが、これに限らず、3段以上の殺菌を行っても良い。
また、容器の殺菌方法は上記各実施の形態に記載した方法に限定されるものではなく、菌を不活性化する方法であれば良く、菌を物理的に除菌するものであっても構わない。さらに、上記各実施の形態において、ブロー成形装置13から容器殺菌装置15までの汚染区間を無菌フィルター等で微生物管理された空間としても良く、また殺菌する追加の装置を付加的に設けても良い。