以下、図を参照しながら、この発明による電話端末システム、電話制御装置、電話端末の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、例えば、事業所内に形成されるビジネスホンシステム(ボタン電話システム)に、この発明の電話端末システム、電話制御装置、電話端末を適用した場合を例にして説明する。
[実施の形態の電話システムの概要]
図1は、この実施形態の電話システムの概要を説明するための図である。図1に示すように、この実施の形態の電話システムは、電話制御装置であるSIPサーバ1に対してLAN(Local Area Network)2を通じ、複数の電話端末3(1)、3(2)、3(3)、3(4)、3(5)…が接続されて構成される。すなわち、SIPサーバ1とLAN2と電話端末3(1)、3(2)、3(3)、3(4)、3(5)…とからなる部分が、この実施の形態の電話システムを構成する部分である。
SIPサーバ1は、図1に示したように、広域ネットワーク8を構成するIP網6や電話網7に接続され、通信路(通話回線)を接続する端末間のアドレス解決をする。すなわち、SIPサーバ1は、外線と内線、または内線間をつなぐ小型の交換機としての機能を有する。また、SIPサーバ1は、SIP(Session Initiation Protocol)を利用して、電話番号をIP(Internet Protocol)アドレスと対応付けたり、相手を呼び出して繋いだりするといった呼制御を行う機能をも備えている。
このように、SIPサーバ1は、レジストラ・サーバ機能とプロキシ・サーバ機能をも備える。そして、SIPサーバ1は、これらの機能を用いることによって、LAN2に接続された電話端末との間や、LAN2に接続された電話端末とIP網6や電話網7に接続された電話端末との間に、通信路を接続できるようにする。
なお、IP網6は、IP(Internet Protocol)を用いて通信を行うネットワークを意味し、具体的にはインターネットである。また、電話網7は、アナログ方式の公衆交換電話網(PSTN(Public Switched Telephone Network))、デジタル回線網(ISDN(Integrated Services Digital Network))、携帯電話網などを含むものである。
電話端末3(1)、3(2)、3(3)、3(4)、3(5)、…のそれぞれは、通話を行うためにユーザによって用いられる。電話端末3(1)、3(2)、3(3)、3(4)、3(5)、…のそれぞれは、上述したように、SIPサーバ1を通じて、LAN2に接続された同じ事業所内の他の電話端末との間や、IP網6や電話網7に接続された外部の電話端末との間で通話を行う場合に用いられる。
そして、図1に示したように、広域ネットワーク8には、SIPサーバ1から見て外線の電話端末9が接続されている。広域ネットワーク8には、多数の電話端末が接続されているが、ここでは説明を簡単にするため、広域ネットワーク8に接続された多数の電話端末のうちの1つとして電話端末9を示している。なお、広域ネットワーク8には、家庭用の電話端末のように、1台の電話端末が接続されている場合もあれば、SIPサーバのような電話制御装置を介して複数の電話端末が接続されている場合もある。
この実施の形態の電話システムにおいて、電話端末3(1)、3(2)、3(3)、3(4)、3(5)、…のそれぞれは、SIPサーバ1と協働することにより個別着信機能に対応できるものである。個別着信機能には、追加電話番号を用いるダイヤルイン機能と内線番号を用いるダイレクト・イン・ダイヤル機能とがあり、この実施の形態の電話システムは、いずれの機能をも利用することができるものである。なお、以下においては、説明を簡単にするため、電話会社より追加電話番号の付与を受ける必要のない、ダイレクト・イン・ダイヤル機能により個別着信が発生する場合を例にして説明する。
そして、外線の電話端末9からこの実施の形態の電話システムの電話端末3(1)に対してダイレクト・イン・ダイヤル機能を用いて電話を掛けたとする。これにより、電話端末3(1)には、電話端末からの発信に基づき個別着信が発生する。この場合に、電話端末3(1)の使用者が、現在自機に発生している個別着信については、電話端末3(5)の使用者によって応答してもらった方がよいと判断したとする。
具体的には、電話端末3(1)のディスプレイに表示された相手先(発信元)を示す情報により、この相手先からの電話には、電話端末3(5)の使用者が応答した方がよいと判断される場合がある。また、電話端末3(1)の使用者が例えば緊急の仕事に対応しているなどするため、自機に発生した個別着信に応答する余裕がなく、電話端末3(5)の使用者に対応してもらいたいと判断される場合がある。
このような場合に、電話端末3(1)の使用者は、当該個別着信に対する代理応答を電話端末3(5)の使用者に対して依頼することができる。この場合に、電話端末3(1)の使用者は、SIPサーバ1に対して着信転送のための事前設定をしていなくてもよいし、かつ、当該個別着信に応答することもないようにしている。そして、電話端末3(5)の使用者が、当該依頼に応答すれば、SIPサーバ1は発信元の電話端末9と代理応答先の電話端末3(5)との間に通話回線を接続して、通話を行うことができるようにしている。
以下、この実施の形態の電話システムを構成する電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…とSIPサーバ1の構成例について説明する。以下においては、まず、電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…の構成例について説明し、次に、SIPサーバ1の構成例について説明する。また、以下においては、電話を掛ける操作が行われた電話端末を「発信元」と記載し、発信元から電話を掛けた相手先を「着信先」と記載し、この着信先が代理応答の要求元となる場合には「着信元」と記載して区別する。そして、代理応答を依頼された電話端末については、「代理応答先」と記載する。
[電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…の構成例]
この実施の形態において、SIPサーバ1に接続される電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…のそれぞれは、基本的な構成は同様のものである。このため、電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…を代表して、電話端末3(1)の構成例について説明する。なお、外線の電話端末9もまた、基本的な構成は、以下に説明する電話端末3(1)と同様のものである。
図2は、この実施の形態の電話端末3(1)の構成例を説明するためのブロック図であり、図3は、電話端末3(1)の外観図である。図2において、制御部310は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどがCPUバスを通じて接続されて形成されたマイクロプロセッサである。制御部310は、電話端末3(1)の各部を制御する。
接続端子301は、LAN2への接続端を構成する。接続I/F302は、LAN2を通じてSIPサーバ1との接続を実現する。すなわち、接続I/F302は、自機宛てに送信されてきた信号を、自機において処理可能な形式の信号に変換して自機に取り込む処理を行う。また、接続I/F302は、自機から送信する信号を、送信用の信号に変換し、これを送出する処理を行う。この実施の形態の電話端末3(1)は、接続端子301及び接続I/F302を通じてSIPサーバ1に対して有線接続され、接続端子301及び接続I/F302を通じて、SIPサーバ1と種々の情報の送受信を行う。パケット処理部303は、パケット化されて送受される制御データや音声データなどの種々のデータの分解処理/生成処理を行う。
ハンドセット304は、スピーカ(受話器)とマイクロホン(送話器)とを備える。コーデック305は、パケット処理部303においてパケット分解された音声データの供給を受けて、これを圧縮伸長してアナログ音声信号に変換し、オフフック状態のハンドセット304のスピーカに供給する。これにより、相手先からの音声がハンドセット304のスピーカから放音される。また、コーデック305は、オフフック状態のハンドセット304のマイクロホンにより収音されたアナログ音声信号をデジタル信号に変換し、これをデータ圧縮してパケット処理部303に供給する。パケット処理部303は、コーデック305からの音声データをパケット化して、これを接続I/F302及び接続端子301を通じて相手先に送信する。
ハンドセット304は、図3に示すように、電話端末3(1)の筐体の左側の定位置に載置されるようになっている。フックスイッチ部306は、ハンドセット304が電話端末3(1)の筐体の定位置に置かれているときにはオンフック状態となり、電話端末3(1)の筐体の定位置から取り上げるとオフフック状態となる。フックスイッチ部306は、オンフック/オフフックの状態を制御部310に通知する。これにより、制御部310は自機のフック状態を常時適切に把握できる。リンガ307は、制御部310の制御の下、着信時において着信音を放音させるものである。
ディスプレイコントローラ311とディスプレイ312とは、制御部310の制御の下、種々の情報をディスプレイ312の表示画面に表示する処理を行う。ディスプレイ312は、図3に示すように、電話端末3(1)の筐体上面の右上端側に設けられており、入力した相手先の電話番号、発信元の電話番号や名称、ガイダンスメッセージ、警告メッセージなど、種々の情報の表示が可能にされる。
操作入力部313と操作入力インターフェース(以下、操作入力I/Fと記載する。)314とは、使用者からの操作入力を受け付けて、受け付けた情報を制御部310に提供する。操作入力部313には、図3に示すように、フレキシブルキーFK1〜FK8やテンキーや発信、応答、保留などのいくつかのファンクションキーが設けられている。
代理応答処理部321は、自機に個別着信が発生した場合であって、操作入力部313を通じて代理応答を行うようにする操作を受け付け場合に、目的とする他の電話端末を通じて代理応答を行うようにする。保留処理部322は、自機に掛かってきた電話を一時的に保留状態にする機能を実現する。転送処理部323は、自機に掛かってきた電話を他の電話端末に着信させるようにする機能を実現する。
このような構成を有する電話端末3(1)において、電話を掛ける場合には、まず、ハンドセット304を電話端末3(1)から取り上げるなどしてオフフック状態にする。そして、操作入力部313のテンキーを通じて相手先の電話番号を入力することにより、制御部310が当該相手先の電話番号を含む発信通知(発信メッセージ)を形成する。この発信通知は、接続I/F302及び接続端子301を通じて送信され、相手先に電話を掛けることができる。これにより、相手先が応答すれば、通話回線が接続され、通話を行うことができる。
また、電話端末3(1)において、自機に掛かってきた電話に応答する場合には、ハンドセット304を電話端末3(1)から取り上げるなどしてオフフック状態にすることにより、制御部310が機能して、電話の相手先との間に通話回線を接続する。これにより、相手先との間で通話を行うことができる。
更に、電話端末3(1)に個別着信が発生し、使用者は在席しているものの、上述もしたように、他の電話端末の使用者に応答してもらいたい場合もある。このような場合に、電話端末3(1)の使用者は、操作入力部313を通じて、代理応答情報を入力することにより、代理応答処理部321が機能して、電話端末3(1)に発生した個別着信を、他の電話端末の使用者に代理応答してもらうようにできる。
図4は、代理応答情報の例を説明するための図である。代理応答情報は、図4に示すように、代理応答先識別情報と代理応答特番とからなる。代理応答先識別情報は、代理応答を依頼する他の電話端末を一意に特定可能な情報であって、SIPサーバ1において管理されている情報である。具体的には、代理応答先の当該他の電話端末の内線番号、IPアドレス、MAC(Media Access Control)アドレス、追加電話番などである。この実施の形態においては、代理応答先識別情報として、図4に示したように他の電話端末の内線番号を用いるものとして説明する。
そして、代理応答特番は、代理応答が指示された(要求された)ことを示す情報であり、例えば、図4に示したように、「*01」といった、通常の電話番号や内線番号とは異なる、特定の記号と番号とからなるものである。なお、図4に示した代理応答特番の「*01」は、あくまでも一例であり、「*99」や「#01」など、既に意味を持って使用されていない文字列(記号と数字とかなる文字列)であればよい。
また、代理応答特番として、図3を用いて説明した電話端末3(1)に設けられているフレキシブルキーを用いるようにすることもできる。例えば、フレキシブルキーFK8に代理応答特番を割り当てるようにし、内線番号に続き、フレキシブルキーFK8が押下操作されたときには、「内線番号+フレキシブルキーFK8」という代理応答情報を形成してもよい。また、内線番号に続き、フレキシブルキーFK8が押下操作されたときには、例えば制御部310が機能して当該内線番号に「*01」を付加した代理応答情報を形成するように構成することもできる。
代理応答処理部321は、上述したように操作入力部313を通じて入力される代理応答情報をSIPサーバ1に送信することをはじめとして、SIPサーバ1と協働し、代理応答機能を実現する。この場合、SIPサーバ1は、SIP(Session Initiation Protocol)に従って、着信元の電話端末と代理応答先の電話端末とを制御するようにして、代理応答機能を実現する。
[SIPサーバ1の構成例]
図5は、SIPサーバ1の構成例を説明するためのブロック図である。図5に示すように、SIPサーバ1は、IP網への接続端子101と、IP網インターフェース(以下、IP網I/Fと略称する。)102と、パケット分解/生成部103とを備えている。また、SIPサーバ1は、電話網インターフェース(以下、電話網I/Fと略称する。)104と、電話網への接続端子105と、アドレス管理データベース(以下、アドレス管理DBと略称する。)106とを備えている。さらに、SIPサーバ1は、LANインターフェース(以下、LANI/Fと略称する。)107と、LAN接続端子108と、制御部110とを備えている。
制御部110は、この実施の形態のSIPサーバ1の各部を制御するものであり、図5に示すように、CPU111、ROM112、RAM113がシステムバス114を通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサである。なお、図示しないが、制御部110は、いわゆる不揮発性メモリを備え、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。
接続端子101は、IP網への接続端部を構成するものである。IP網I/F102は、IP網を通じて供給されるパケットを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のパケットに変換して制御部110に供給する。また、IP網I/F102は、制御部110を通じて供給される送信すべきパケットを送信用の形式のパケットに変換して、これをIP網に送出する。
接続端子105は、電話網への接続端部を構成するものである。電話網I/F104は、電話網を通じて供給されるデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部110に供給する。また、電話網I/F104は、制御部110を通じて供給される送信すべきデータを送信用の形式のデータに変換して、これを電話網に送出する。
接続端子108はLAN2への接続端部を構成するものである。LANI/F107は、LAN2を通じて供給されるパケットを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のパケットに変換して制御部110に供給する。また、LANI/F107は、制御部110を通じて供給される送信すべきパケットを送信用の形式のパケットに変換して、これをLAN2に送出する。従って、SIPサーバ1と配下の電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…とは、接続端子108及びLANI/F107を通じて種々の情報の送受信を行う。
パケット分解/生成部103は、主に、電話網に接続された端末装置とSIPサーバ1の配下の電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…などの電話端末との間で通話を行う場合に、送受するデータのパケットの分解や生成を行う。例えば、SIPサーバ1に接続された電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…からの電話網に接続された端末装置に送信すべき音声パケットが、接続端子108、LANI/F107を通じて制御部110に供給されたとする。この場合、当該音声パケットは、制御部110からパケット分解/生成部103に供給され、ここでパケット分解されて音声データが抽出され、この音声データが電話網I/F104、接続端子105を通じて電話網に送出され、目的とする相手先に送信される。
また、電話網に接続された端末装置からのSIPサーバ1に接続された電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…への音声信号は、接続端子105、電話網I/F104を通じて音声データ(デジタルデータ)に変換されて、制御部110に供給される。当該音声データは、制御部110からパケット分解/生成部103に供給され、ここで所定の形式のパケットとされた後に、LANI/F107、接続端子108を通じて、LANに送出されて目的とする電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…に送信される。
なお、IP網に接続された外部の端末装置と、SIPサーバ1に接続される電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…との間では、パケットが送受される。このため、パケット分解/生成部103において、パケットの分解や生成は行われることはなく、IP網I/F102、LANI/F107において、データ形式が整えられてそのまま送受される。同様に、SIPサーバ1に接続される電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…間においても、パケットが送受されるため、パケット分解/生成部103において、パケットの分解や生成は行われることはなく、LANI/F107を通じてパケットが送受される。
そして、アドレス管理DB106は、レジストラ・サーバ機能を実現するために、IP網6やLAN2に接続され、このSIPサーバ1を通じて呼び出す可能性のある端末装置についてのアドレス情報を記憶保持する。具体的には、SIPサーバ1の制御部110は、IP網I/F102やLANI/F107を通じて、これらに接続されている種々の端末装置からの登録要求(レジスタ・リクエスト)を受信する。この場合に、制御部110は、受信した要求に含まれるIPアドレスやURI(Uniform Resource Identifier)などのアドレス情報を抽出する。そして、制御部110は、抽出したアドレス情報をアドレス管理DB106に登録したり、抽出したアドレス情報を用いてアドレス管理DB106の登録情報を更新したりする。
このようにして、アドレス管理DB106に登録されて管理される情報が参照され、自機にLAN2を通じて接続される電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…から要求のあった通信先を確実に特定する。そして、その特定した相手先に送信すべき情報(パケットデータ)を転送するプロキシ・サーバとしての機能をSIPサーバ1が実現する。また、アドレス管理DB106に登録されて管理される情報は、自機にLAN2を通じて接続される電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…への着信の判別などにも用いられる。
図6は、アドレス管理DB106の格納データの例について説明するための図である。SIPサーバ1のアドレス管理DB106は、IP網に接続された他のIP電話システムの端末装置のアドレス情報の他、当該SIPサーバ1にLAN接続された電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…についてのアドレス情報をも管理する。
基本的にSIPサーバ1のアドレス管理DB106に形成される管理情報は、上述もしたように、IP網に接続された端末装置から送信されてくるIPアドレスやURI(SIP URI)などのアドレス情報である。この実施の形態のSIPサーバ1のアドレス管理DB106では、図3に示したように、SIPサーバ1にLAN接続された電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…については、アドレス情報であるIPアドレスの他、内線番号やポート番号についても管理する。この他にも、URLやMACアドレスなどの電話端末ごとに固有の情報を電話端末ごとに管理することもできる。
そして、この実施の形態の電話システムの電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…からIP網に接続された外部の端末装置に対する発信要求(発呼要求)をSIPサーバ1が受け付けたとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、自己のアドレス管理DB106の管理情報に基づいて、目的とする相手先の端末装置を特定し、この特定した端末装置に対して、メッセージの転送を行う。もちろん、SIPサーバ1は、従来からの主装置と同様に、電話網に接続された外部の電話端末に対する発呼メッセージを形成し、これを送出することにより、電話網に接続された目的とする電話端末に対して電話を掛けることができる。
また、IP網6や電話網7を通じて、LAN2に接続されている電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…に対する着信要求(外線着信)をSIPサーバ1が受け付けたとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、送信されてきた発信メッセージを受け付けて、これを自システム内に送出する。これにより、SIPサーバ1に接続されている電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…を通じて、掛かってきた電話に応答することができる。
このように、この実施の形態のSIPサーバ1は、パケット分解/生成部103やアドレス管理DB106を備え、SIPサーバ1が接続される種々のネットワークに接続される端末装置間のメッセージの中継を行うことができる。したがって、この実施の形態のSIPサーバ1は、外線−内線間の接続や内線間の接続を行ったり、通信回線の使用状況を配下の電話端末等に通知したりすることができるものである。
また、SIPサーバ1の制御部110は、IP網I/F102、電話網I/F104、LANI/F107を通じて、使用中の通信回線や空いている通信回線を把握し、適切に回線交換を行うこともできる。また、制御部110は、把握した通信回線の使用状態等に応じて、LAN2を通じて接続される電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…毎に供給すべきLED等の点灯、消灯などを制御するための制御情報を形成し、これをLAN2を通じて提供する。
また、この実施の形態のSIPサーバ1は、上述もしたように、個別着信機能としてダイレクト・イン・ダイヤル機能を備えている。このため、電話端末9などの外線の電話端末が、代表の電話番号に加え、例えば、「#内線番号」というように内線番号も入力した発信を行ったとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、いわゆるグループ着信を行うのではなく、入力された当該内線番号により特定される電話端末に対してだけ、直接に着信を通知することができる。
そして、SIPサーバ1にLAN2を通じて接続されている電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…に個別着信が発生した場合に、その使用者は上述もしたように代理応答情報を入力することによって代理応答機能を利用することができる。代理応答機能は、SIPサーバ1と、SIPサーバ1に接続された着信元の電話端末と代理応答先の電話端末とが協働することにより、着信元の電話端末で応答操作をしなくても、代理応答先の電話端末に応答を依頼できる機能である。
なお、この実施の形態の電話システムにおいては、代理応答機能を2つの方法で実現することができる。第1の方法は、着信元の電話端末からの代理応答情報を含むセッション開始要求に対して、代理応答先の電話端末が代理応答機能に対応する特別の応答を返すことによって代理応答を可能にするものである。第2の方法は、代理応答先の電話端末が特別な応答要求を返すことなく、通常の応答を返すことにより、従来からの保留機能と転送機能とを利用して代理応答を可能にするものである。
以下に、代理応答機能を実現する上記の第1、第2の方法について具体的に説明する。以下においては、外線の電話端末9からSIPサーバ1の配下の電話端末3(1)にダイレクト・イン・ダイヤル機能により直接電話を掛けて個別着信させ、電話端末3(1)の使用者が電話端末3(5)の使用者に代理応答させるようにする場合を例にして説明する。また、以下に説明する第1、第2の方法のいずれの場合も、SIPに従って既存のシーケンスを利用して実現できる。
[代理応答を実現する第1の方法]
図7は、代理応答を可能にする第1の方法を説明するためのシーケンス図である。第1の方法は、上述もしたように、着信元の電話端末からの代理応答情報を含むセッション開始要求に対して、代理応答先の電話端末が代理応答機能に対応する特別の応答を返すことによって代理応答を可能にするものである。
図7に示すように、外線の電話端末9からダイレクト・イン・ダイヤル機能を利用するようにして、SIPサーバ1の配下の内線番号が「101」の電話端末3(1)に対して電話が掛けられて、SIPサーバ1に外線着信が発生したとする(ステップS1)。SIPサーバ1は、外線の電話端末9からの発信メッセージを接続端子101及びIP網I/F102を通じて受け付けて、これをパケット分解/生成部103で分解して制御部110に供給する。これにより、制御部110は、配下の電話端末3(1)に個別着信は発生したことを認識する。
SIPサーバ1の制御部110は、個別着信が発生したことを通知するセッション開始要求を形成し、これをパケット分解/生成部103に供給してパケット化することにより、電話端末3(1)宛のパケットを生成する。そして、制御部110は、パケット化した当該セッション開始要求(INVITEメッセージ)を、電話端末3(1)に送信する(ステップS2)。このように、SIPサーバ1においては、制御部110とパケット分解/生成部103とが協働して、配下の電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…等に対して提供する制御用パケットを生成する。
そして、SIPサーバ1から送信された当該セッション開始要求は、電話端末3(1)において受信され、パケット処理部303においてパケット分解されて、その結果が制御部310に提供される。これにより、電話端末3(1)の制御部310は、自機に個別着信が発生したことを認識する。電話端末3(1)の制御部310は、パケット処理部303を制御して、応答コード「100」のパケットと、応答コード「180」のパケットを順次に形成し、これをSIPサーバ1に送信する(ステップS3)。応答コード「100」のパケットは、受信したセッション開始要求に対する処理を試行中であることを示すものである。また、応答コード「180」のパケットは、呼び出し中であることを示すものである。
この後、電話端末3(1)の制御部310は、自機に着信があることを使用者に通知する処理を行う(ステップS4)。ステップS4において制御部310は、リンガ307を制御して着信音を放音すると共に、ディスプレイ312に当該着信は、外線の電話端末9からの個別着信であることを通知するメッセージを表示する。そして、電話端末3(1)の制御部310は、使用者からの応答操作等を受け付けるようにする(ステップS5)。ステップS5においては、電話端末3(1)の使用者が当該個別着信に応答するのであれば、ハンドセット304を電話端末3(1)の筐体から取り上げてオフフックにすればよい。
しかし、ここでは電話端末3(1)の使用者が代理応答機能を利用するために、代理応答先となる電話端末3(5)の内線番号である「105」と代理応答特番である「*01」とからなる代理応答情報「105*01」が操作入力部313を通じて入力されたとする。代理応答情報が入力されると、電話端末3(1)の制御部310は、リンガ307やディスプレイ312を通じての個別着信の通知を終了させる(ステップS6)。
そして、電話端末3(1)の制御部310は、代理応答処理部321を制御して、ステップS6で受け付けた代理応答情報を含むSIPサーバ1宛てのセッション開始要求(INVITEメッセージ)を生成する(ステップS7)。電話端末3(1)の制御部310は、生成したセッション開始要求をパケット処理部303でパケット化して、LAN2を通じてSIPサーバ1に送信する(ステップS8)。このステップS7、S8で生成、送信されるセッション開始要求は、電話端末3(5)に対して代理応答を要求するものである。
当該セッション開始要求を受信したSIPサーバ1では、受信したセッション開始要求に対する処理を試行中であることを示す応答コード「100」のパケットを形成し、これをLAN2を通じて要求元の電話端末3(1)に送信する(ステップS9)。当該応答コード「100」のパケットは、制御部110の制御の下、パケット分解/生成部103が生成する。そして、SIPサーバ1が受信したセッション開始要求は、代理応答情報が含まれた電話端末3(5)に代理応答を要求するものである。このため、SIPサーバ1の制御部310は、代理応答情報を含む当該セッション開始要求を内線番号が「105」である電話端末3(5)に送信する(ステップS10)。
代理応答情報を含む当該セッション開始要求を受信した電話端末3(5)では、制御部310がパケット処理部303を制御して、応答コード「100」のパケットと、応答コード「180」のパケットを順次に形成して、SIPサーバ1に送信する(ステップS11)。このステップS11の処理は、上述したステップS3の処理と同様の処理であり、着信応答先の電話端末3(5)が処理を試行中であること(応答コード「100」)と、呼び出し中であること(応答コード「180」)とをSIPサーバ1に通知するものである。
この後、代理応答先の電話端末3(5)では、制御部310が機能して、自機に代理応答の要求があることを使用者に通知する処理を行う(ステップS12)。ステップS12において制御部310は、リンガ307を制御して着信音を放音すると共に、ディスプレイ312に、例えば電話端末3(1)からの代理応答要求があることを通知するメッセージを表示する。そして、電話端末3(5)の制御部310は、使用者からの応答操作等を受け付けるようにする(ステップS13)。
ステップS13において、電話端末3(5)の使用者が、ハンドセット304を電話端末3(1)の筐体から取り上げてオフフックにすることにより、当該代理応答要求に応答するようにしたとする。この場合、電話端末3(5)の制御部310は、代理応答処理部321を制御して、代理応答特番「*01」を含むSIPサーバ1宛てのセッション開始要求(INVITEメッセージ)を生成する(ステップS14)。そして、電話端末3(5)の制御部310は、生成したセッション開始要求をパケット処理部303でパケット化して、LAN2に送出し、SIPサーバ1に送信する(ステップS15)。このステップS14、S15で生成、送信されるセッション開始要求は、SIPサーバ1に対して代理応答に応答することを通知(要求)するものである。
そして、SIPサーバ1の制御部110は、代理応答に対応することの通知(要求)に対する処理を試行中であることを示す応答コード「100」のパケットを形成し、これをLAN2を通じて代理応答先の電話端末3(5)に送信する(ステップS16)。更に、SIPサーバ1の制御部110は、代理応答に対応することの通知(要求)が正しく受け入れられ、承認されたことを示す応答コード「200」のパケットを形成し、これをLAN2を通じて代理応答先の電話端末3(5)に送信する(ステップS17)。これらのパケットは、制御部110の制御の下、パケット分解/生成部103で生成される。
この後、SIPサーバ1は、発信元である外線の電話端末9からの着信に応答するようにし、発信元の外線の電話端末9と代理応答先の電話端末3(5)との間に通話回線を接続して、通話をできるようにする(ステップS18)。このように、ステップS18に至るまで、発信元である電話端末9からの外線着信には応答することなく、着信元の電話端末3(1)からの代理応答要求に対して、代理応答先の電話端末3(5)が受諾して初めて、発信元である電話端末9からの外線着信に応答する。従って、元々の個別着信先(代理応答の要求を行うようにした着信元)の電話端末3(1)の使用者と発信元の電話端末9の使用者とが通話を行うことはない。最初から発信元の電話端末9の使用者と代理応答先の電話端末3(5)の使用者との間で通話回線を接続し、通話を開始させることができる。
この後、SIPサーバ1の制御部110は、個別着信元である電話端末3(1)に発生した外線の電話端末9からの外線着信をキャンセルするキャンセルパケットを形成して、これをLAN2を通じて着信元の電話端末3(1)に送信する(ステップS19)。これに応じて、着信先の電話端末3(1)では、代理応答処理部321とパケット処理部303が機能して、応答コード「487」のパケットと、ACKメッセージのパケットを形成し、これらを順次にLAN2を通じてSIPサーバ1に送信する(ステップS20)。応答コード「487」は、この場合、個別着信を中止したことを示すものであり、ACKメッセージは、個別着信のキャンセルを承認したことを示すものである。
また、着信元の電話端末3(1)は、代理応答処理部321とパケット処理部303が機能して、電話端末3(5)に対する代理応答の要求をキャンセルするキャンセルパケットを形成して、これをLAN2を通じてSIPサーバ1に送信する(ステップS21)。これに応じて、SIPサーバ1では、制御部110が機能して、応答コード「487」のパケットと、ACKメッセージのパケットを形成し、これらを順次にLAN2を通じて電話端末3(1)に送信する(ステップS22)。応答コード「487」は、この場合、代理応答要求を中止したことを示すものであり、ACKメッセージは、代理応答要求のキャンセルを承認したことを示すものである。
このようにして、外線の電話端末9と代理応答先の電話端末3(5)との間に、通常の通話回線が接続されて、通話が行われている状態となる。従って、通話が終了し、いずれかがオフフック操作を行うことによって、通常のシーケンスに従って、ステップS18で接続された通話回線が解放される。
[第2の方法]
図8、図9は、代理応答を可能にするための第2の方法を説明するためのシーケンス図である。この第2の方法は、上述もしたように、代理応答先の電話端末が特別な応答要求を返すことなく、通常の応答を返すことにより、保留機能と転送機能とを利用して代理応答を可能にするものである。
まず、図8と上述した図7とを比較すると分かるように、ステップS1〜ステップS13までの処理は、図8、図9に示す第2の方法においても、図7に示した第1の方法と同様に行われる。このため、ステップS1〜ステップS13までの処理については、その概要についてまとめ、その後に続く第2の方法に特有の部分について詳細に説明する。
すなわち、外線の電話端末9からSIPサーバ1の配下の電話端末3(1)に対してダイレクト・イン・ダイヤル機能により個別着信が発生すると(ステップS1)、これがSIPサーバ1から電話端末3(1)に通知される(ステップS2、S3)。電話端末3(1)では、個別着信の通知処理が行われ(ステップS4)、応答操作が受け付けられて(ステップS5)、個別着信の通知処理が終了する(ステップS6)。そして、ステップS5において電話端末3(5)の使用者に代理応答してもらうため、代理応答情報「105*01」が入力されたとする。この場合、当該代理応答情報を含むセッション開始要求が生成され(ステップS7)、SIPサーバ1に送信される(ステップS8、S9)。
この代理応答情報を含むセッション開始要求は、SIPサーバ1から代理応答先の電話端末3(5)に送信される(ステップS10、S11)。そして、電話端末3(5)において、例えば、電話端末3(1)からの代理応答の要求がある旨を使用者に通知する処理が行われ(ステップS12)、使用者からの応答操作が受け付けられる(ステップS13)。このステップS13において、当該代理応答の要求に応答するために、電話端末3(5)のハンドセット304を電話端末3(5)の筐体から取り上げるオフフック操作が行われたとする。この場合、ステップS30以降の処理が、図7に示した第1の方法とは異なってくる。以下、第2の方法について詳細に説明する。
上述したように、ステップS13において、代理応答の要求に応答するためにオフフック操作が行われたとする。この場合、代理応答先の電話端末3(5)の制御部310は、パケット処理部303を制御して、要求に応じることを示す応答コード「200」のパケットを生成し(ステップS30)、これをSIPサーバ1に送信する(ステップS31)。SIPサーバ1の制御部110は、代理応答先である電話端末3(5)からの応答コード「200」のパケットに応じて、着信先の電話端末3(1)に対して応答コード「200」のパケットを生成して送信する(ステップS32)。これにより、着信先の電話端末3(1)は、自機からの代理応答の要求に対して、代理応答先の電話端末3(5)が代理応答の要求を受諾したことを認識し、着信元の電話端末3(1)と代理応答先の電話端末3(5)とは通話状態となる。
そして、着信元の電話端末3(1)の制御部310は、自機と代理応答先の電話端末3(5)との通話状態を保留にするためのセッション開始要求(保留INVITE)を生成し、これをSIPサーバ1に送信する(ステップS33)。当該セッション開始要求(保留INVITE)は、制御部310の制御の下、保留処理部322及びパケット処理部303が生成して送信する。また、電話端末3(1)の保留処理部322は、自機と代理応答先の電話端末3(5)との通話状態を保留した状態を保つように機能する。
セッション開始要求(保留INVITE)を受信したSIPサーバ1の制御部110は、着信先の電話端末3(1)との間で通話状態になっている代理応答先の電話端末3(5)に対して、セッション開始要求(保留INVITE)を送信する(ステップS34)。これに応じて、代理応答先の電話端末3(5)の制御部310は、保留処理部322とパケット処理部303を制御して、要求に応じることを示す応答コード「200」のパケットを生成し、これをSIPサーバ1に送信する(ステップS35)。この場合、応答コード「200」のパケットは、「保留成立」をSIPサーバ1に通知するものである。また、電話端末3(5)の保留処理部322は、自機と着信元の電話端末3(1)との通話状態を保留した状態を保つように機能する。
そして、SIPサーバ1の制御部110は、代理応答先の電話端末3(5)からの応答コード「200」のパケットに応じて、応答コード「200」のパケットを着信元であり、保留の要求元である電話端末3(1)に送信する(ステップS36)。このSIPサーバ1からの応答コード「200」のパケットは、「保留成立」を着信元の電話端末3(1)に通知するものである。これにより、着信元の電話端末3(1)と代理応答先の電話端末3(5)との通話状態は、双方の電話端末において保留状態となる。
そして、着信元の電話端末3(1)の制御部310は、保留処理部322とパケット処理部303を制御して、応答コード「200」のパケットを生成し、SIPサーバ1に送信する(ステップS37)。この応答コード「200」のパケットの送出は、転送する外線、すなわち電話端末3(1)に発生している個別着信に対して応答することをSIPサーバ1に通知するものである。このステップS37の処理が行われた時点において、標準機能の「転送先との間で通話ができる状態(転送先通話可能状態)」となる。
この後、図9のシーケンス図に示す処理に進み、標準機能の「応答後転送」を実施するようにする。すなわち、着信元の電話端末3(1)の制御部310は、転送処理部323とパケット処理部303を制御して、転送指示(REFER)を形成し、これをSIPサーバ1に送信する(ステップS38)。この転送指示は、着信元の電話端末3(1)との間で保留状態になっている代理応答先の電話端末3(5)に対して、電話端末3(1)に掛かってきた電話端末9からの個別着信を転送することを指示(通知)するものである。つまり、電話端末3(1)に掛かってきている外線からの電話を、電話端末3(5)に廻す(転送する)ことを指示するものである。
SIPサーバ1の制御部110は、電話端末3(1)からの転送指示を受信すると、応答コード「100」のパケットを生成して、電話端末3(1)に送信し、転送指示の試行中であることを通知する(ステップS39)。そして、SIPサーバ1の制御部110は、転送指示(REFER)を、電話端末3(1)との間で通話状態を保留にしている代理応答先の電話端末3(5)に送信する(ステップS40)。
代理応答先の電話端末3(5)では、制御部310が転送処理部323とパケット処理部303を制御して、転送指示に対して試行中であることを示す応答コード「100」のパケットを生成して、SIPサーバ1に送信する(ステップS41)。そして、代理応答先の電話端末3(5)では、制御部310が転送処理部323とパケット処理部303を制御して、転送指示を受諾することを示す応答コード「202」のパケットを生成して、SIPサーバ1に送信する(ステップS42)。これに応じて、SIPサーバ1の制御部110は、着信元の電話端末3(1)に対する転送指示を受諾することを示す応答コード「202」のパケットを生成して、電話端末3(1)に送信する(ステップS43)。
このようにして、ステップS30〜ステップS43の処理により、着信元の電話端末3(1)と代理応答先の電話端末3(5)との間で通話状態が保留された後に、電話端末3(1)で応答した電話端末9からの外線が、電話端末3(5)に転送される。これにより、発信元の外線の電話端末9と代理応答先の電話端末3(5)との間に通話回線が接続され(ステップS44)、通話を行うことができるようにされる。この場合、着信元の電話端末3(1)において、個別着信に対して応答がなされるものの、即座に代理応答先の電話端末3(5)に転送されるので、着信元の電話端末3(1)の使用者が、当該個別着信に対して直接に応答することはない。
この後、SIPサーバ1の制御部110は、着信元の電話端末3(1)との間に接続した内線を切断することを指示するセッション終了指示(BYE)を形成し、これを代理応答先の電話端末3(5)に対して送信する(ステップS45)。これに応じて、代理応答先の電話端末3(5)の制御部310は、パケット処理部303を制御して、当該セッション終了指示に応じることを示す応答コード「200」のパケットを生成して、これをSIPサーバ1に送信する(ステップS46)。
同様に、SIPサーバ1の制御部110は、代理応答先の電話端末3(5)との間に接続した内線を切断することを指示するセッション終了指示(BYE)を形成し、これを着信元の電話端末3(1)に対して送信する(ステップS47)。これに応じて、着信元の電話端末3(1)の制御部310は、パケット処理部303を制御して、当該セッション終了指示に応じることを示す応答コード「200」のパケットを生成して、これをSIPサーバ1に送信する(ステップS48)。
更に、着信元の電話端末3(1)の制御部310は、パケット処理部303を制御して、外線の電話端末9との間に接続した外線を切断することを指示するセッション終了指示(BYE)を形成し、これをSIPサーバ1に対して送信する(ステップS49)。これに応じて、SIPサーバ1の制御部310は、当該セッション終了指示に応じることを示す応答コード「200」のパケットを生成して、着信元の電話端末3(1)に送信する(ステップS50)。
これらステップS45〜ステップS50の処理により、代理応答がされることによって不要になった内線、外線の接続が切断されて、単に、外線の電話端末9と代理応答先の電話端末3(5)との間に接続された通話回線が維持される。従って、通話が終了し、いずれかがオフフック操作を行うことによって、通常のシーケンスに従って、ステップS44で接続された通話回線が解放される。
また、この第2の方法の場合には、保留、転送を実現するSIPにおける標準機能(標準シーケンス)を利用して、代理応答機能を実現できるので、電話システムに大きな変更を加えることもない。
[実施の形態の効果]
SIPサーバ1に接続された電話端末に個別着信が発生した場合に、当該電話端末の使用者は、代理応答情報を入力するといった簡単な操作で、代理応答機能を利用することができる。代理応答情報は、代理応答先となる電話端末の内線番号と代理応答特番からなる情報であり、簡単に入力できる情報であるため、簡単に、かつ、迅速に代理応答機能を利用することができる。
また、発信元の電話端末の使用者にとっても、応答されたものの、別の担当者が電話に出るまでに時間がかかるといった不都合を生じさせることなく、迅速に適切な担当者に電話がつながり、通話を行うことができるようにされる。
また、この実施の形態の電話システムにおいて実現される代理応答機能は、SIPにおける標準機能(標準シーケンス)を利用して、代理応答機能を実現できるので、電話システムを構成するSIPサーバ1や電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…に大きな変更を加えることもない。
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、ダイレクト・イン・ダイヤル機能による個別着信が発生した場合を例にして説明したが、追加電話番号が利用されるダイヤルイン機能による個別着信が発生した場合にも、同様にして代理応答機能を実現できる。
また、上述した実施の形態では、操作入力部313を通じて代理応答情報を入力するものとして説明したが、これに限るものではない。近年においては、比較的に大きな表示画面のLCD(Liquid Crystal Display)などの表示素子とタッチセンサとからなるタッチパネルを備えた電話端末もある。このため、例えば、代理応答機能を利用する場合には、代理応答機能が割り当てられたフレキシブルキーが押下操作されたら、代理応答先して選択可能な電話端末(内線電話端末)の一覧リストを表示して選択可能にする。そして、当該一覧リストから電話端末が選択された場合に、その電話端末の内線番号と代理応答特番とからなる代理応答情報を形成するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、電話制御装置としてSIPサーバを用いる場合を例にして説明したが、これに限るものではない。上述した実施の形態の電話システムで行おうようにされた制御シーケンスが実現可能なものであれば、SIPサーバ以外の電話制御装置を用いた電話システムにもこの発明を適用できる。
また、上述した実施の形態では、SIPサーバ1に接続された電話端末3(1)に外線からの個別着信が発生した場合に、これを電話端末3(5)の使用者に代理応答してもらうようにする場合について説明した。しかし、個別着信は外線からのものに限るものではない。内線からの着信も着信先の電話端末にすれば自機に掛かってきた個別着信である。このため、内線からの着信についても、外線からの個別着信と同様にして、他の電話端末の使用者に代理応答を依頼することができる。
また、着信等の必要な通知や報知を使用者に行う場合には、電話端末に設けられているLED(Light Emitting Diode)の点灯、点滅を用いて通知するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、フレキシブルキーに代理応答機能を割り当ててもよいことを説明したが、これに限るものではない。代理応答専用のファンクションキーを電話端末に設けるようにしてもよい。
[その他]
上述した実施の形態の説明からあきらかなように、請求項の自機宛ての個別着信が発生した電話端末(以下、単に電話端末と記載する。)の着信通知手段の機能は、実施の形態の電話端末3(1)(以下、単に電話端末3(1)と記載する。)のリンガ307及びディスプレイ312が実現している。また、電話端末の受付手段の機能は、電話端末3(1)の操作入力部313が実現し、電話端末の形成手段の機能は、電話端末3(1)の代理応答処理部321が実現している。また、電話端末の送信手段の機能は、電話端末3(1)のLANI/F302が実現している。また、電話端末の保留要求手段の機能は、電話端末3(1)の保留処理部322が実現し、電話端末の転送指示手段の機能は、電話端末3(1)の転送処理部323が実現している。
また、請求項の新たな応答先となる他の先電話端末(以下、単に他の電話端末と記載する。)の報知手段の機能は、実施の形態のデマ(5)(以下、単に電話端末3(5)と記載する。)のリンガ307及びディスプレイ312が実現している。また、他の電話端末の代理応答操作受付手段の機能は、電話端末3(5)の操作入力部313が実現している。また、他の電話端末の開始要求形成手段の機能は、電話端末3(5)の代理応答処理部321が実現し、他の電話端末の開始要求送信手段の機能は、電話端末3(5)のLANI/F302が実現している。
また、他の電話端末の通常開始要求形成手段の機能は、電話端末3(5)の代理応答処理部321が実現し、他の電話端末の通常要求送信手段の機能は、電話端末3(5)のLANI/F302が実現している。また、他の電話端末の保留受付手段の機能は、主に保留処理部322が実現し、他の電話端末の転送受付手段は、電話端末3(5)の転送処理部323が実現している。
また、請求項の電話制御装置(以下、単に電話制御装置と記載する。)の提供手段の機能は、実施の形態のSIPサーバ1(以下、単にSIPサーバ1と記載する。)の制御部110及びLANI/F107が実現している。また、電話制御装置の通話回線接続手段の機能は、SIPサーバ1の制御部110が実現している。また、電話制御装置の保留要求中継手段、転送指示中継手段、転送回線接続手段の各機能は、SIPサーバ1の主に制御部110が機能して実現している。