JP2019128261A - 使い捨て型バイオセンサチップおよびこれを装着するバイオセンサ - Google Patents

使い捨て型バイオセンサチップおよびこれを装着するバイオセンサ Download PDF

Info

Publication number
JP2019128261A
JP2019128261A JP2018010199A JP2018010199A JP2019128261A JP 2019128261 A JP2019128261 A JP 2019128261A JP 2018010199 A JP2018010199 A JP 2018010199A JP 2018010199 A JP2018010199 A JP 2018010199A JP 2019128261 A JP2019128261 A JP 2019128261A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chip
ion
sensor
biosensor
liquid sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018010199A
Other languages
English (en)
Inventor
木村 光照
Mitsuteru Kimura
光照 木村
竹卿 王
Chikukyou Oh
竹卿 王
崇人 小野
Takahito Ono
崇人 小野
阿部 高明
Takaaki Abe
高明 阿部
雄大 権田
Takehiro Gonda
雄大 権田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOHOKU Gakuin
Original Assignee
TOHOKU Gakuin
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOHOKU Gakuin filed Critical TOHOKU Gakuin
Priority to JP2018010199A priority Critical patent/JP2019128261A/ja
Publication of JP2019128261A publication Critical patent/JP2019128261A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)

Abstract

【課題】尿中のクレアチニンなどを計測する熱型センサと、Naなどのイオンを計測するイオンセンサとを備えた使い捨て型バイオセンサチップとこれを脱着可能で、クレアチニン補正による各種尿成分の濃度分析をするバイオセンサを提供する。【解決手段】熱型センサ2とイオンセンサ3を備え、液体試料が通る流路中に熱型センサの反応部6A,Bを有し、反応部に酵素を固定し、検出用温度センサ20A、Bは酵素に接触もしくは近傍に配置し、反応部の流路の少なくとも上下面は、Siよりも2分の1以下の小さな熱伝導率を持つ材料で挟む構造で、熱型センサを備えたチップA、イオンセンサをも備えたチップB、イオンセンサを備えたチップCのいずれか、もしくはこれらの組合わせで、ベース基板1と重ね合わせて接合して一体化した使い捨て可能なチップ状の使い捨て型バイオセンサチップと、バイオセンサチップ脱着機構を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、尿などの液体試料中の特定基質成分やイオン成分を検出するための使い捨て型にしたバイオセンサセンサチップと、これを搭載するバイオセンサに関するものである。
本願発明者は、酵素利用のカロリメトリック(熱的検出手法)バイオセンサにより、基質であるグルコース、タンパクやクレアチニンも、それぞれに特異的な選択性を有する酵素、例えば、それぞれグルコースオキシダーゼ、トリプシンやクレアチニナーゼを反応部に固定することにより、尿などの(被検出)液体試料中の生体由来の微少のこれらの基質とそれに対応する酵素との接触触媒熱反応(以降、これを熱反応と言う)による温度変化分を高感度で、しかも高精度で計測できることを実証した。基質と酵素との反応過程で発生する反応熱の単純な計測から尿などの液体試料中の基質の濃度や、複数の基質の成分比率も求めるためのコンパクトで、高精度で、かつ安価な成分比較バイオセンサチップとこのチップを搭載しているバイオセンサモジュールと、更に、これらを用いた成分比較バイオセンサを提供することを提案した(特許文献1)。この熱的検出手法により、上述の尿タンパクや尿糖などのクレアチニン補正が可能になった。
尿や血液中などの液体試料中のナトリウム(Na)やカリウム(K)などのイオンの検出が求められるようになり、従来、イオン電極法(イオン選択性電極法)(特許文献2)やイオン感応FET(ISFET) (特許文献3)などを用いて、ナトリウム(Na)やカリウム(K)のイオノフォアを含むイオン感応層を用いたイオンセンサがあった。ISFETのゲート絶縁膜上に形成して、イオノフォアの極めて高いイオン選択性を利用して、これらの液体試料中のイオン濃度をISFETのソース(S)とドレイン(D)間の電流変化から計測することが報告されている。しかしながら、これらのISFETは、熱的検出法ではなく、熱的検出法の上述のタンパク質である酵素を用いる熱反応を利用する基板から熱分離した薄膜に形成する酵素固定反応部の製作工程との整合性に問題があり、熱的検出法のセンシング部を同一基板に形成することが、大きな課題になっていた。
被検出液体試料としての尿を用いた場合、基質である尿糖や尿タンパクなどの各成分の濃度を計測することが求められるが、例えば、タンパク(例えば、アルブミン)の濃度とクレアチニンの濃度との比率の評価が、腎臓病などの病気の進行状況を把握するのに適するという情報からこれらの計測の要望があり、例えば、尿内のタンパクの濃度とクレアチニンの濃度との比(比率)を直接計測できるような要望があった。これは、男女に多少の差があるが、「成人の1日のクレアチニン***量はほぼ1g」であることから任意の体積の尿中のクレアチニンを基準にして、その中に含まれるタンパクやブドウ糖などの濃度の比率を求めること(クレアチニン補正)で、水分の摂取濃度などに依らない安定した尿中タンパクなどの評価が可能になるからである。従来の電気化学法による尿内成分の計測では、過酸化水素(H2O2)が酵素反応で発生する必要があり、尿糖などは、発生するH2O2の酸化還元電流の計測からその濃度を求めることができるが、H2O2の発生困難なタンパクの検出は極めて困難であった。
最近、塩分の摂取量と高血圧との関係から減塩を勧める運動が盛んになってきている。その中でも尿中のクレアチニンに対するナトリウム(Na)の割合を求めること(尿中Naのクレアチニン補正)により、随時尿としての一滴の尿を用いて、Naイオン、すなわち、食塩の摂取濃度が評価できるので、生体由来物質であるクレアチニンの尿中濃度の計測と尿中のNaイオンの同時計測が望まれるようになった。これらのクレアチニンとNaイオンの濃度を個別で独立なセンサを用いて計測するのではなく、コンパクトなセンサを用いた同時計測のためには、同一基板に上述のようなクレアチニン検出用の熱型センサとNaイオン計測用のイオンセンサである、例えば、ISFETとを集積化する方が好適である。しかしながら、上述のように、酵素であるクレアチニナーゼを用いたクレアチニンの熱的検出法のために、基板から熱分離した薄膜、流路やタンパク質である酵素の流路中の反応部への固定のための製作工程と、基板へのイオン検出用のイオノフォアを含むイオン感応膜層を備えたISFETの製作工程には、大きなハードルがあり、その製作工程には特別な工夫が必要であり、本発明者は、先に同一基板に熱型センサとISFETとを搭載するイオン・バイオセンサを提案した(特許文献4)。
また、液体試料として尿を用いる場合に、衛生上や感性上、他人の使用したバイオセンサを再度使用することに抵抗感があることや前回使用時の洗浄の程度の問題、更に、酵素やイオノフォアの劣化問題などの課題があり、使い捨て型のバイオセンサチップやこれを搭載したバイオセンサの要望が高まっている。
特願2016-255431 WO2010/087383 特表2009−532669 特願2017-160770
本発明は、従来の尿の成分を分析するに当たり、特にハンディなバイオセンサでは、使い捨て型のバイオセンサチップを求める傾向を考慮し、クレアチニンなどの生体由来物質を検出する熱的検出法による熱型センサと、ナトリウム(Na)などの特定イオンの濃度を計測するISFET、イオン電極法などのイオンセンサとを備えた使い捨て型のバイオセンサチップとこれを脱着可能で搭載できる高速応答で単純な構造のバイオセンサであり、クレアチニン補正による各種尿成分の濃度分析を、随時尿を用いて行えるようにするバイオセンサを提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、被検出用の液体試料中の特定の基質成分とその濃度を、該基質成分に選択的に応答する酵素との触媒反応熱による温度変化を検出用温度センサにより検出する熱型センサを備えたチップAと、少なくとも該チップAからの電気信号を取り出す電極とその電気配線を有するベース基板と、を備えたバイオセンサチップにおいて、前記液体試料が通る流路中に反応部を有すること、該反応部には前記酵素を固定していること、前記検出用温度センサは前記酵素に接触もしくは近傍に配置されていること、前記反応部の流路の少なくとも上下面は、シリコン(Si)の熱伝導率よりも2分の1以下の小さな熱伝導率を持つ材料(気体も含む)で挟む構造であること、前記チップAと前記ベース基板とは、重ね合わせて接合して一体化してあること、1個の使い捨て可能なチップ状にしていること、を特徴とするものである。
熱型センサ用のバイオセンサでは、基質成分とこれに選択的に応答する酵素との触媒作用の反応熱による温度変化を検出する検出用温度センサがある反応部は、流路内に配置し、検出用温度センサは、チップAの基板から熱分離するために架橋構造やダイアフラム構造の薄膜上に形成する方が良く、この薄膜は、反応熱を逃がし難いように尿などの液体試料には流路以外の外部からは接触しないような構造にすると良い。そのために、上記チップAとベース基板とは、少なくとも液体試料が通る流路を挟み、水密になるように重ね合わせて接合して一体化している。なお、上記チップAの反応部では、流路を流れる被検出用の液体試料が外部に漏れないようにすると共に、外部に上記反応熱が逃げ難いように、チップAの主たる材料であるSiよりも可能な限り熱伝導率が小さい材料、例えば、空洞、発泡材やプラスチック板などで、カバーする。また、使い捨て型バイオセンサチップは、これを装着して、尿などの液体試料中の成分を分析するに当たり、その本体の、例えば、ハンディ型のバイオセンサ本体に、使い捨て型バイオセンサチップ端に形成してある外部への出力端子である電極パッドを通して電気信号が送れるように、バイオセンサ本体に脱着可能な1個の、例えば、1cm角程度で、1mm程度の小型の薄いチップ状に形成する方が良い。
また、前記チップAの材料として、シリコン(Si)単結晶を用いると、従来のMEMS技術が使用しやすく、特に、SOI基板を用いて、そのSOI層を利用して公知のMEMS技術で作成される熱型センサ用部を微小寸法、例えば、長さ1mm、厚み0.01mm程度で、幅0.2mm程度の架橋構造や直径1mm程度のダイアフラム構造状で構成した方が、熱型センサ用の検出用温度センサとしての高感度の半導体熱電対や、絶対温度センサとしてのpn接合ダイオードを形成できると共に、酵素固定反応部の形成やISFETの形成にも好都合であり、更に、必要に応じて、その周辺回路となる集積回路を同一基板に形成できる。
上述で、「前記反応部の流路の少なくとも上下面は、シリコン(Si)の熱伝導率よりも2分の1以下の小さな熱伝導率を持つ材料(気体も含む)で挟む構造である」とは、シリコン(Si)を用いたMEMS技術で、液体試料が通る流路を形成した場合、酵素と基質との接触熱反応により、酵素付近が発熱をして、流路内の液体試料を酵素付近から温めることになり、主に反応部付近の液体試料に熱が伝搬して行き、反応部領域の温度上昇となり、この温度上昇を上述の検出用温度センサが検出することになる。この場合、反応部領域は、断熱材で囲まれた方が良く、しかもその体積が小さい方がより高温になりやすく高感度となる。しかしながら、シリコン(Si)は、金属並みに熱伝導率が大きいので、反応部領域の流路は、シリコン(Si)に接する領域を相対的に小さくした方が良い。このために、せめて、反応部の流路の少なくとも上下面は、シリコン(Si)の熱伝導率よりも可能な限り小さな熱伝導率の材料で挟む構造にしたい。特に、流路を上記チップA内に具備させた場合には、構造上、上下に空間(空洞)を形成することができるので、ここを空気(気体)で満すことにより、断熱効果を高めることができる。
本発明の請求項2に係わる使い捨て型バイオセンサチップにおける前記流路を、チップA内に設けた場合である。
チップAが、上述のように、SOI基板を用いた場合は、熱型センサ用の検出用温度センサが形成される反応部の領域内のSOI層からなる宙に浮いた熱容量と熱伝導とが小さい構造の架橋構造やダイアフラム構造、検出用温度センサ、後述の絶対温度センサも、高感度の半導体センサで形成できるので、好都合である。更に、これらの架橋構造やダイアフラム構造の薄膜上に流路を上記MEMS技術で、SU−8などのフォトレジストから成る微細な流路を形成すると、架橋構造やダイアフラム構造と流路とは、一体となり、これらの外側には、空隙(空洞)を設けることもできて、この領域を空気で満たして、発熱反応による熱を流路から外部に逃がし難いようにすることができるので、高感度で、高速応答の熱型センサが提供できる。
本発明の請求項3に係わる使い捨て型バイオセンサチップにおける前記流路を、チップAと前記ベース基板との間に設けた場合である。
前記流路には、熱型センサとしての反応部が設けられており、その反応部には、基質と接触発熱する酵素を固定する必要がある。閉じられている流路の中の反応部に酵素を固定することは、その固定法に、ビーズ固定酵素による反応部への留置、エレクトロクリック法による酵素固定など、制限が出てくるが、流路が、まだ、解放状態であるならば、直接反応部の上方から酵素を固定することもできるので、好都合なことが多い。なお、解放状態とは、前記ベース基板にチップAを重ねて一体化する前の状態で、チップAの反応部が露出している状態をいう。
本発明の請求項4に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、前記酵素を固定している反応部と該反応部と同等な形状であるが酵素を固定していない参照部を備え、該反応部と参照部には、それぞれ検出用温度センサと参照用温度センサを備えている場合である。
参照部は、酵素を固定している反応部に対して、酵素による発熱反応以外の熱的作用は、反応部と同等な熱的特性を有するようにすることが望ましい。従って、酵素を固定しないが、その他の形状や素材と液体試料に対する環境も、反応部と同等にすることが望ましい。そして、反応部と参照部に設けているそれぞれ検出用温度センサと参照用温度センサも同一の計測原理で同等な形状である必要がある。
本発明の請求項5に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、前記検出用温度センサと参照用温度センサを温度差センサとした場合である。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップの温度センサに関して、高感度で高精度の検出用温度センサ、参照用温度センサなどの温度センサを温度差センサである熱電対で作成し、SOI層もこの熱電対の熱伝導体の1つとして利用すると、製作が容易で、高感度な半導体薄膜熱電対が構成できるなど、好都合であることが多い。もちろん、熱電対を直列接続したサーモパイルにしても良い。また、半導体薄膜熱電対では、抵抗率の大きい方が、ゼーベック係数が大きいので、同一の温度差に対して大きな熱起電力となるので、抵抗率が0.01Ωcmよりも、例えば、0.5Ωcm程度の方が高感度検出になる。しかし、抵抗率が余り大きすぎると、オーム性電極が形成しがたくなるので、適当な抵抗率を選択すると良い。
本発明の請求項6に係わる使い捨て型バイオセンサチップの前記参照部は、前記反応部とは異なる分岐した流路に形成している場合である。
参照部を、1本の流路に反応部と直列接続する形で形成することもできるが、ここでは、反応部がある流路とは分岐した異なる流路に並列接続の形で形成してある場合である。複数の異なる酵素用の反応部を分岐流路に形成する場合は、1個の参照部を共通の参照部として利用する場合に好適である。
本発明の請求項7に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、複数の前記基質成分に対応する各酵素を固定する各反応部と、それぞれに対応する前記流路および前記検出用温度センサとを備えた場合である。
反応部には、特定基質に特異的に反応する、所謂、高い選択性を有する酵素を固定しておく。例えば、基質としてのクレアチニンに対しては、この特定基質に選択的かつ特異的に反応する酵素であるクレアチニナーゼの固定が良い。もちろん、基質として、クレアチニンばかりでなく、タンパクや糖でも良く、更に、単一の基質ばかりでなく、複数の基質を同時に計測できるように、複数の反応部を設けて、それらのそれぞれに対応する酵素であるトリプシンやグルコースオキシダーゼなどを固定しておくこともできる。そのような場合には、前記液体試料が分流して、例えば、複数の架橋構造状の複数の薄膜上の前記各反応部を有する流路に分配されるようにすることもできる。また、液体試料が通る1本の流路が架橋構造状の複数の薄膜上を経由するように形成し、第1の検出用温度センサを備えた第1の反応部の領域、更に第2の検出用温度センサを備えた第2の反応部の領域を通るという構造、すなわち、基板の手前から薄膜の架橋構造上の流路を構成する空洞を跨いで対向する位置の基板まで到達し、さらに隣の架橋構造状の薄膜に形成してある流路を通って手前に戻り、更に、隣の架橋構造状の薄膜に形成してある流路を通って対向する位置の基板に戻るというような構造で、ジグザグに複数の架橋構造の薄膜を備えた基板に形成した1本の流路内を、特定基質成分を含む尿などの被検出液体試料が通るようにすることもできる。
例えば、2つの特定基質成分が、液体試料としての尿中の基質であるタンパクとクレアチニンであった場合、酵素として、それぞれに選択的に対応する酵素であるトリプシンとクレアチニナーゼを用いると良い。そして、流路を通して導入された液体試料中の基質であるタンパクとクレアチニンと、それらに対応するそれぞれの酵素のトリプシン(例えば、第1の反応部に固定)とクレアチニナーゼ(例えば、第2の反応部に固定)との接触触媒熱反応で温度上昇させて、それらの温度上昇を反応部内(又は近傍)に形成してある第1の検出用温度センサと第2の検出用温度センサにより、別の流路に設けてある参照用温度センサを基準にして検出して、その時間経過を含む信号の大きさから基質であるタンパクとクレアチニンのそれぞれの濃度とそれらの濃度比率、例えば、タンパク/クレアチニン比も、それらの差動増幅信号を利用して演算して求めることができる。
本発明の請求項8に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、前記チップAに、前記液体試料中の特定イオン成分に選択的に感応するイオン感応層を備えたイオンセンサをさらに備えたチップBを、前記チップAの代わりに搭載した場合である。
前記チップAには、熱型センサを形成しているが、イオンセンサは備えていなかった。チップBは、前記チップAに、イオンセンサをも備えた場合であり、前記ベース基板と重ね合わせて、例えば、熱型センサによるクレアチニンやタンパクなどの酵素熱反応による反応部の温度上昇に基づく濃度計測、更に、イオンセンサによる、例えば、ナトリウム(Na)イオンやカリウムイオンなどのイオンの濃度計測が同時に計測できるようにした場合である。チップBを前記ベース基板に取り付けておくと電気的な配線やそれらの電気的絶縁が楽であるために好適であり、このようなコンパクトな使い捨て型バイオセンサチップが提供できる。
本発明の請求項9に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、前記イオンセンサとして、ISFETもしくはイオン電極法によるイオンセンサとした場合である。
液体試料中の特定イオン成分に選択的に感応するイオン感応層をゲート絶縁膜上に形成しているイオン検出用ISFETを用いるか、もしくは、同様に、特定イオン成分に選択的に感応するイオン感応層を電極上に形成して、その特定イオンのイオン濃度に関し、基準電極に対する電位変化を計測するイオン電極法(イオン選択性電極法)を用いるようにした場合である。
ISFETでは、イオン検出用ISFETと同等の構造で、イオン検出用ISFETと参照ゲート電極を共有する参照用ISFETを備えておき、その参照用ISFETのゲート絶縁膜上には、イオン感応層を形成していない構造とすると良い。NaイオンやKイオンを検出するのに、ISFETを1個だけ用い、これをNaイオンまたはKイオンに選択性のあるイオノフォアを含むイオン感応層を備えたイオン検出用ISFETとしても良いが、参照ゲート電極での液体試料に対する電位や液中電圧降下があり、この補正が困難であることが多い。このために、イオン検出用ISFETの他に、イオン感応層を形成していない参照用ISFETをも設けて、少なくとも1個の共有する参照ゲート電極を配置する方が良く、この場合、これらのイオン検出用ISFETと参照用ISFETとの出力の差動増幅動作により、上記の参照ゲート電極での電位や電圧降下成分を消去するようにする。参照ゲート電極は、同一基板上で、イオン検出用ISFETと参照用ISFETとの中間付近の位置に、液体試料に対して耐性があり、安定な金属などの導電性材料で、例えば、薄膜状に形成することができる。
イオン電極法によるイオンセンサでは、ISFETと同様に、検出用のイオン感応層で検出電極上を被覆したイオン検出電極と、参照用の参照膜層で検出電極上を被覆した参照電極(基準電極)とを備えてあり、イオン検出電極と参照電極と同様に、同一の液体試料中に浸す共通電極をも備えるようにすると良い。この場合、共通電極に対してイオン検出電極と参照電極との電位差を、共通電極をグラウンド(共通アース)にして、3端子として差動増幅すると良い。なお、参照電極(基準電極)を共通電極の代わりにして、2端子として、基準電極に対するイオン検出電極の電位差を計測するようにすることもできる。また、参照膜層として、イオン検出電極上に被覆したイオン感応層と同一の成分であるが、検出電極上を被覆したイオン感応層とは、厚みを異なるようにして利用する、例えば、参照膜層としては、検出電極上の膜厚の10分の1程度の薄くするようにして使用することもできる。また、これらのイオン検出電極、参照電極および共通電極として、塩化銀膜が推奨されるが、金(Au)、白金(Pt)などの安定な金属でも良く、1個のイオンセンサとしては、同一の金属を使用した方が、不要な電位差が相殺できるので、望ましい。上述では、イオン電極法によるイオンセンサとして、一般に用いられているように、共通電極に対してイオン検出電極と参照電極との電位差を計測することにしているが、イオン検出電極と参照電極とを流れる電流差で計測するようにしても良い。
本発明の請求項10に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、前記チップAとは異なるチップCに、前記液体試料中の特定イオン成分に選択的に感応する前記イオンセンサを備えて、前記チップAと前記チップCとを同一の前記ベース基板に搭載してハイブリッド化した場合である。
イオン検出用ISFETなどのイオンセンサを、前記熱型センサ部と同一基板の前記チップAに形成すると、1個のチップで済むので、尿などの液体試料の導入や流路形成、脱着可能にするための電極パッドへの配線の液体試料からの電気的絶縁の問題の解消、更にコンパクトな使い捨て型バイオセンサチップが提供できるという利点がある。しかし、ISFETなどのイオンセンサと熱型センサ部との製造工程の違いに基づく製品の歩留りの問題が残る。このために、前記チップAとは異なる半導体チップCに、ISFETやイオン電極法イオンセンサなどのイオンセンサを備えるようにしてハイブリッド化した使い捨て型バイオセンサチップにすれば、熱型センサを有するチップAとISFETなどのイオンセンサを備える半導体チップCとを独立に製造してハイブリッド化すれば、製品の歩留まり向上に繋がるので、形態は大きくなるが、安価な使い捨て型バイオセンサチップが提供できる。
本発明の請求項11に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、少なくとも1個の流入口から流入された前記液体試料は、各分岐された流路に分流されて前記熱型センサの参照部と各流路内のそれぞれ反応部を経由して、少なくとも1個の流出口から流出できるようにした場合である。
イオンセンサは、必ずしも流路内にそれらのイオン感応部を設置する必要がなく、尿などの液体試料にイオン感応部や参照ゲート電極が接触すれば良いが、熱型センサの反応部や参照部は、流路外に熱が逃げることを少なくすることと、それらの熱反応での熱応答は、液体試料の流速依存性を有するので、制御ができる流路内に形成しておく必要がある。したがって、液体試料は、少なくとも1個の流入口から流入させ、必要に応じイオンセンサも経由し、各流路に分流できるようにして、少なくとも1個の出口から流出させるようにした場合である。
本発明の請求項12に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、前記流入口から流入された前記液体試料は、毛細管現象により各流路を通るようにした場合である。
使い捨て型バイオセンサチップを装着するバイオセンサの本体が、ハンディ型である場合、可能な限り小型化をしたいという要望がある。尿などの液体試料をポンプで作動させると大型になるばかりでなく、消費電力が問題もある。したがって、液体試料が通る流路の内壁を親水性にして、毛細管現象により各流路を通るようにした場合である。
本発明の請求項13に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、前記流出口に、前記液体試料の吸取り領域を設けた場合である。
上述のように、毛細管現象で液体試料が流路を通った場合に、その流出口から外部に流出させないと、液体試料の流れが停止してしまう。上記の熱型戦s名では、酵素反応により反応生成物が生じ、これを除去しないと感度低下になり、前記反応部での熱反応が生じても所定の計測時間経過までは、流れを止めないようにすることが望まれる。そのために、前記流出口に、被検出液体試料の吸取り領域を設けて、その吸取り領域の大きさや構造を定めて、前記所定の計測時間経過までは液体試料の流れが停止しないようにさせるものである。前記吸取り領域には、例えば、吸取り紙のような親水性の多孔質膜を形成しておくようにしても良いし、単に、親水性壁を有する微小空間のチャンバのような形状でも良い。ただし、このチャンバには、例えば、通気口を形成して密閉にならないようにすると良い。
本発明の請求項14に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、前記イオンセンサを複数形成してあり、それぞれのイオンセンサのイオン感応部には、異なるイオン成分に選択的に感応するイオン感応層を形成してあり、それぞれのイオン感応層に対応する前記液体試料中のイオンを検出できるようにした場合である。
ナトリウム(Na)イオンやカリウム(K)イオンを選択的に吸着するイオノフォアとして、ビスクラウンエーテル類がアルカリイオンに対してクラウン環の空洞寸法から強い親和性があり好適であり、それぞれ、例えば、 Naイオンに対して、ビス(12ークラウンー4)、また、Kイオンに対して、15−クラウン−5−エーテルやジベンゾ-18-クラウン-6(DB18C6)が、一般に用いられている。また、カリウムに対してのイオノフォアであるバリノマイシンは、Naに対する選択性の良さで知られている。液体試料として尿の場合、ナトリウム(Na)の濃度が、カリウム(K)イオンに対して、その濃度が一般に数倍以上多いので、ナトリウム(Na)の濃度の検出の方が計測しやすい。イオン感応層として、例えば、上述のNaイオンまたはKイオンに選択性のあるイオノフォアを含む可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)膜や可塑剤分散フォトレジスト膜を、ISFETでは、イオン感応部であるイオン検出用ISFETのゲート絶縁膜上に、また、イオンセンサでは、イオン感応部である検出用電極上に塗布して形成する。ISFETでは、例えば、上記のイオン感応膜イオン検出用ISFETを用い、尿などの被検出液体試料にこのイオン感応層と参照ゲート電極を接触させて、イオン検出用ISFETの所定の参照ゲート電極・ソースS間の参照ゲート電圧Vrgと、ソースS・ドレインD間電圧Vsdの下でのソースS・ドレインD間の、例えば、nチャンネルの電導度(または、チャンネル抵抗)に対する被検出液体試料中のNaイオンやKイオン濃度依存性に基づくドレイン電流Idの変化から予め用意してある校正データを利用して被検出液体試料中のNaイオンやKイオン濃度を求めるものである。同様に、イオンセンサでは、上述のように、基準電極に対する検出用電極の電位の変化から被検出液体試料中のNaイオンやKイオン濃度依存性に基づくドレイン電流Idの変化から予め用意してある校正データを利用して被検出液体試料中のNaイオンやKイオン濃度を求めるものである。
ISFETでは、イオン検出用ISFETと参照用ISFETのゲート絶縁膜の領域を、尿などの被検出液体試料に晒した場合、上記したように共有する参照ゲート電極を使用するので、この参照ゲート電極は、被検出イオン(例えば、Naイオン)の濃度分布が一定である被検出液体試料で、イオン検出用ISFETと参照用ISFETのゲート絶縁膜の領域に近接配置した方が良い。また、同様に、イオンセンサでも、イオン検出電極、参照電極および共通電極を近接配置した方が良い。例えば、微小隙間を介して重ねるようにしても良いし、平面上で近接して配置しても良い。
本発明の請求項15に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、前記酵素として、クレアチニン検出用の酵素とした場合である。
熱型センサは、高感度化のために、一般に基板から熱分離した薄膜に形成した流路内の反応部に所定の酵素を固定するが、1種類の酵素として、クレアチニン補正ができるように、尿などの液体試料中の基質のクレアチニンに特異的に選択性のある酵素、例えばクレアチニナーゼを熱型センサ部の反応部に固定して、接触熱反応による温度上昇で検出用温度センサにより参照用温度センサ出力との差動により計測する場合である。
本発明の請求項16に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、前記イオンセンサの検出イオンとして、ナトリウム(Na)イオンとした場合である。
イオンセンサも、熱型センサと同一基板のチップB、またはチップAとは異なるチップCにも形成しているので、熱型センサでのクレアチニンの濃度計測と、特定のイオンであるNaイオンも同時計測もできて、Naイオンのクレアチニン補正もできるようにした使い捨て型バイオセンサチップを提供するものである。
これらのそれぞれの熱型センサ部からの出力と特定イオンであるNaイオンのイオンセンサからの濃度に対応する出力をも同時検出して、尿などの被検出液体試料中のNaイオンの濃度と、クレアチニンの濃度との比率、例えば、Naイオン/クレアチニン(濃度)比である、所謂、Naイオンのクレアチニン補正を求めることもできる。もちろん、熱型センサ用バイオセンサ出力として、クレアチニンの他に、例えば、尿中のタンパクも同時計測して、タンパク/クレアチニン(濃度)比をも求めるように、使い捨て型バイオセンサチップの熱型センサ部にタンパクの検出用の特定酵素であるトリプシンなどを反応部に固定するようにしても良い。
ISFETなどのイオンセンサを、熱型センサ部を形成している前記基板本体に形成するには、前記熱型センサ部の反応部に固定する酵素が熱や薬品に極めて弱いこと、前記反応部は、基板から熱分離した宙に浮いている架橋構造やダイアフラム構造の機械的に弱い薄膜に形成していること、更に、前記イオンセンサのイオン感応部には、イオノフォアを含む熱に弱く、厚みの制御が必要なイオン感応層が製膜されていること等の問題に対する製作順序や工夫による製作工程が求められる。また、イオンセンサは、熱型センサではないので、基板から熱分離した架橋構造上に製作する必要はなく、機械的にも丈夫な前記ベース基板本体にイオンセンサ部としての専用のイオンセンサチップを、ハイブリッドとして形成することが好適である。
本発明の請求項17に係わる使い捨て型バイオセンサチップは、前記チップA、チップBとチップCのうち、少なくともいずれか1つに絶対温度センサを搭載した場合である。
上述の熱型センサの検出用温度センサや参照用温度センサには、温度差センサである熱電対やサーモパイルが、温度の上昇分のみ検出してくれるので、好適である。温度差センサは、基準点の絶対温度を基準にして温度差のみを計測するので、絶対温度を知る必要がある。また、酵素の熱反応は温度依存性を持ち、更に、酵素は、タンパク質であるので、50℃を超えると急速に失活する。また、イオンセンサにおいても、特に、イオン電極法では、ネルンストの式を用いた検出原理であるので、直接絶対温度依存性を有し、温度校正する必要がある。このように、絶対温度を計測しておく必要があり、この絶対温度センサを、前記チップA、チップBとチップCのいずれかに形成している場合である。
本発明の請求項18に係わるバイオセンサは、請求項1から7のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップを、脱着できるようにしたバイオセンサチップ脱着機構を備え、前記特定の基質成分と所定の酵素に接触による反応熱に基づくそれぞれの温度変化を、前記参照用温度センサと前記検出用温度センサの前記特定の基質成分の濃度に応じた差動出力で計測すること、更に予め用意してある校正データを利用して、前記液体試料中の前記特定の基質成分の濃度に応じた差動出力を利用し、基質成分の濃度に関係する出力ができるようにしたこと、を特徴とするものである。
本発明では、熱型センサ部を有する前記チップAやチップBを用いて、熱型センサとして、液体試料中の特定の基質成分の濃度に関係する出力ができるようにした場合で、これらの前記チップAやチップBを備えた前記ベース基板を有するバイオセンサチップを脱着できるようにしたバイオセンサチップ脱着機構を備えたバイオセンサを提供するものである。
本発明の請求項19に係わるバイオセンサは、請求項8から17に記載の使い捨て型バイオセンサチップを、脱着できるようにしたバイオセンサチップ脱着機構を備え、前記捨て型バイオセンサチップを用いて、前記液体試料中の特定イオンの前記イオンセンサの濃度に応じた出力を計測すること、更に予め用意してある校正データを利用して、被検出液体試料中の前記特定の基質成分の濃度に応じた差動出力と前記イオンセンサの特定イオン濃度に応じた出力とを利用し、それらの比率を出力できるようにしたこと、を特徴とするものである。
本発明では、イオンセンサ部を有する前記チップBやチップCを用いて、イオンセンサとして、液体試料中の特定のイオン成分の濃度に関係する出力ができるようにした場合で、これらの前記チップBやチップCを備えた前記ベース基板を有するバイオセンサチップを脱着できるようにしたバイオセンサチップ脱着機構を備えたバイオセンサを提供するものである。
本発明の請求項20に係わるバイオセンサは、前記液体試料中の特定の基質成分としてクレアチニン、特定イオン成分として、ナトリウムとした場合である。
成人のクレアチニン(基質)の尿中の一日の排出量が1g程度とほぼ定まっており、これを基準にすると、1滴の尿(随時尿)で他の基質や尿中のイオン濃度を調べることができるので、極めて重要であり、クレアチニン補正として知られている。尿中のNaイオン濃度を調べると、高血圧の原因とされる塩分(食塩)の摂取量が分かり、ISFETやイオン電極法イオンセンサなどのイオンセンサでNaイオン濃度の計測、熱型センサでのクレアチニンの濃度計測により、 “Naイオン濃度/クレアチニン濃度”の比であるNaイオンのクレアチニン補正が、本発明の1台のハンディなバイオセンサにより可能になる。
本発明の請求項21に係わるバイオセンサは、少なくとも電源回路、増幅回路、演算回路および制御回路を備え、前記液体試料中の特定の基質成分の濃度と特定イオン成分の濃度および、それらの比率に関する情報を得ることができるようにした場合である。
前記使い捨て型バイオセンサチップのチップA、チップB、チップCを、Si単結晶であるSOI基板を用いて製作すると、MEMS技術が適用されやすく好適である。そして、バイオセンサ本体には、電源回路、増幅回路、演算回路および制御回路も集積化し、極めてコンパクトな、例えば、ハンディタイプのバイオセンサを提供することができる。
本発明の前記使い捨て型バイオセンサチップの熱型センサの反応部に、最適な温度環境下もしくは、熱反応が観測されやすい温度環境下での接触触媒熱反応になるように、ジュール加熱ヒータを設置して、反応部の温度を酵素に最適な温度にすることもできると共に、酵素との熱反応における反応熱の失活程度の評価のためなどの校正用にも使用出来るようにしたバイオセンサを提供することもできる。特に、酵素の活性が時間や環境により低下することが多く、この反応部に形成してあるヒータにより、酵素の活性度のチェックや校正にも役立てるようにしている。上述のように、例えば、所定の電力である10μW(マイクロワット)をヒータに加えることによる温度上昇分を事前に計測しておき、標準液体試料を流すことによる酵素熱反応による特定の酵素の反応熱の温度上昇分を時々計測すれば、その経時変化により、酵素活性の度合いをチェックできると共に、これを基にして、液体試料中の特定の基質成分の濃度もしくはクレアチニン補正やその校正をも可能になる。
本発明のバイオセンサを、例えば、熱型センサで特定基質成分としての尿タンパクや尿糖とクレアチニン、更にイオンセンサで、特定イオンとしてNaイオンなどの計測に用いた場合、これらの尿タンパクや尿糖の濃度のクレアチニン補正やNaイオン濃度のクレアチニン補正が可能であり、ある個人のイオン・バイオセンサからの特定基質成分やイオンの濃度、更には、これらのクレアチニン補正を含む比率に関する情報は、その時ばかりでなく、日常での日ごとの変化やその傾向を知ることが大事である。その計測時の数値ばかりでなく、過去のデータを蓄積しておき、経日変化をグラフ化したり、予測したりすることも大切であり、また、医療機関への連絡なども必要な場合もあり、情報を無線もしくは有線にて、外部にあるコンピュータに送信できるようにして、各種の処理ができるようにした方が好都合である。
本発明の請求項22に係わるバイオセンサは、請求項1から17に記載の使い捨て型バイオセンサチップを上記バイオセンサに、別に用意した専用のセンサチップスタッカを用いて挿入固定するようにした場合である。
バイオセンサ本体に、前記使い捨て型バイオセンサチップをはじめから沢山保管するようにすると、その形体が大きくなるので、ハンディ型にするには不向きであり、センサチップに固定している酵素も時間と共に失活することが予想される。使い捨て型バイオセンサチップを本発明のバイオセンサ本体から切り離し、別に用意するようにした場合であり、ハンディ型のバイオセンサには、好適である。専用のセンサチップスタッカを用意し、ここに複数個のセンサチップが保管できるようにしておき、専用のセンサチップスタッカのセンサチップの取り出し口形状が、バイオセンサ本体のセンサチップの挿入口と適合するような設計にしておくと良い。そして、ワンタッチで使い捨て型バイオセンサチップがバイオセンサ本体に装着できて、直ぐ濃度計測ができるようにすることが望ましい。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップでは、(被検出)液体試料が通る流路を有しており、また、この流路内に酵素を固定する反応部が備えてあり、この反応部の流路の少なくとも上下面は、シリコン(Si)の熱伝導率よりも2分の1以下の小さな熱伝導率を持つ材料(気体も含む)で挟む構造の1個の使い捨て可能なチップ状にしているので、酵素と対応する基質との接触反応による反応熱が反応部から外部に逃げ難いので、高感度の熱型センサになるという利点がある。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップでは、熱型センサにおける酵素の基質との接触発熱反応の熱が、流路がないと被検出液体試料に逃げてしまい、感度が下がってしまうが、流路を設けることで、空洞も含む断熱材で囲む構造密閉構造にし、更に液体試料の蒸発を防ぎ、上発熱も無くせるので、微細な温度変化を安定に計測することができるという利点がある。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップでは、熱型センサを搭載しているチップAとベース基板とは、重ね合わせて接合して一体化してあり、1個の使い捨て可能なチップ状にしているので、コンパクトな使い捨て型バイオセンサチップとなるという利点がある。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップでは、熱型センサの流路を、チップAとベース基板との間に設けることができるので、反応部への酵素固定の方法に制限が少なくなり、反応部の上部から直接滴下固定することができるようになるなど、酵素の量や固定が楽になるという利点がある。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップでは、検出用温度センサと参照用温度センサを温度差センサとしているので、熱型センサの反応部での酵素発熱反応の温度上昇分のみ計測できるという利点がある。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップでは、液体試料中の特定の基質成分とそれに特異的選択性の酵素との反応熱で検出する熱型センサと、液体試料中の特定イオン成分を検出するセンサであるISFETやイオン電極法のイオンセンサとの異なる原理に基づく二種類のセンサを、製造工程を工夫することにより、同一基板に備えることができ、一滴の尿などの液体試料中の特定物質である特定の基質と特定のイオン濃度を同時に計測できるという利点がある。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップでは、熱型センサに、クレアチニン、タンパクや糖などの複数の基質が計測できるように、それぞれに選択的に反応する酵素をそれぞれの反応部に固定しておき、更に、イオンセンサとして、Naイオン、Kイオンなどの複数のイオンの検出ができるそれぞれのイオノフォアを含むイオン感応層を備えることにより、それぞれの基質濃度やイオン濃度のクレアチニン補正や相互間の比率も求めることができるという利点がある。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップでは、熱型センサとしてクレアチニンの計測用、ISFETなどのイオンセンサとしてNaイオン計測用とすることにより、Naイオン/クレアチニン濃度比(クレアチニン補正)が容易に得られ、塩分摂取量の簡易計測が可能となるという利点がある。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップでは、尿などの被検出液体試料が通る流路を基板に形成しているので、イオンセンサにおいても、流路中にそのイオンセンシング部があるとイオンの濃度のバラツキが少なくなり高精度のイオン濃度計測が可能になるという利点がある。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップでは、1個の流入口から流入された被検出液体試料は、1本もしくは分流した流路を経由してイオンセンサや熱型センサを通り、1個の流出口から流出するようにしているので、少量の被検出液体試料で済み、ハンディな使い捨て型バイオセンサチップとして好適である。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップでは、各チップA、チップB、チップCをSi結晶などの半導体基板に形成すると、従来のMEMS技術が使用できると共に、集積回路技術で電源回路、増幅回路、演算回路および制御回路も集積化できるので、極めてコンパクトな、例えば、ハンディタイプのバイオセンサを提供することができる。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップでは、各チップA、チップB、チップCをハイブリッド化してベース基板に搭載することができるので、製造工程上の歩留まりが高くできるという利点がある。
本発明のバイオセンサでは、使い捨て型バイオセンサチップを、脱着できるようにしたバイオセンサチップ脱着機構を備えているので、ワンタッチで、使い捨て型バイオセンサチップを交換できるという利点がある。
本発明のバイオセンサでは、前記液体試料中の前記特定の基質成分の濃度に応じた差動出力と前記イオンセンサの特定イオン濃度に応じた出力とを利用し、それらの比率を出力できるようにしているので、特定の基質成分の濃度と特定イオン濃度の比率を容易に表示できるという利点がある。
本発明のバイオセンサでは、前記特定の基質成分をクレアチニンとし、使い捨て型バイオセンサチップを、前記液体試料中の特定イオンとして、ナトリウム(Na)イオンとすることにより、例えば、液体試料としての尿中のナトリウム(Na)イオンのクレアチニン補正が容易にできるという利点がある。
本発明のバイオセンサでは、別に用意した専用のセンサチップスタッカを用いて、使い捨て型バイオセンサチップを挿入固定するようにしているので、使い捨て型バイオセンサチップの、例えば、冷蔵保管で大量保管ができると共に、ワンタッチでバイオセンサ本体に挿入固定や交換ができるという利点がある。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100の一実施例の上方から眺めた透視した形の平面概略図(A)とそのX-X線での横断面概略図(B)を示す。(実施例1) 本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100のイオンセンサ(部)3の一実施例で、イオン電極法イオンセンサ80の概略図である。(実施例1) 本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100の他の一実施例を示すもので、図3(A)は、ベース基板1の平面概略図、(B)は、そのX−X線に沿った横断面概略図、(C)は、熱型センサ(部)2が固定される位置に接合させるチップA101の平面概略図、(D)は、イオンセンサ(部)3を備えたチップC103の平面概略図を示す。(実施例2) 本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100のイオンセンサ(部)3としてのイオン電極法イオンセンサ80を備えたチップC103の概略図(図4(A))とイオン電極法イオンセンサ80の基本的な測定回路図(図4(B))である。(実施例2) 本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100のイオンセンサ(部)3としての図4に示すイオン電極法イオンセンサ80の一実施例を示す縦断面概略図(図5(A)と図5(B))である。(実施例2) 本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100のイオンセンサ(部)3として、ISFET90を用いた場合の基本的な測定回路図を示す。(実施例2) 本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100のイオン電極法イオンセンサ80の一実施例の測定回路を用いて、液体試料としての食塩(NaCl)を溶かした水溶液のNaイオンを計測した一実施例の実験データのグラフを示す。(実施例2) 本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100のうち、熱型センサ(部)2を備えたチップA101の他の一実施例を示す。図8(A)は、チップA101の平面概略図、図8(B)は、図8(A)のX-X線に沿った横断面概略図、図8(C)は、Y-Y線に沿った縦断面概略図である。(実施例3) 本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100の他の一実施例のチップA101を搭載するベース基板1の概略形状の一実施例を示し、図9(A)は、その平面概略図、図9(B)は、図9(A)のX-X線に沿った横断面概略図、図9(C)は、Y-Y線に沿った縦断面概略図である。(実施例3) 本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100の図9に示した一実施例の横断面概略図を示す。(実施例3) 本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100の熱型センサ(部)2を備えたチップA101の他の一実施例を示し、同図(A)は、その平面概略図、同図(B)は、そのX-X線に沿った横断面概略図、同図(C)は、そのY-Y線に沿った縦断面概略図である。(実施例4) 本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100を装着するバイオセンサ1000の本体の一実施例を示すもので、図12(A)は、上方から見た表面概略図で、同図(B)は、その断面概略図である。(実施例5) 本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100を保管し、バイオセンサ1000に供給できるようにしたバイオセンサチップスタッカ2000の一実施例の断面概要図を示す。(実施例5)
本発明の使い捨て型バイオセンサチップのチップA、チップB、チップCは、MEMS技術を用いて、シリコン(Si)基板で形成できる。これらのチップA、チップB、チップCをシリコン(Si)基板、特にSOI基板を用いて製作した場合のいくつかの実施例を主体に説明し、更にこれらのチップA、チップB、チップCをベース基板1に搭載して成る使い捨て型バイオセンサチップの実施例を示す。また、本発明のバイオセンサの実施の形態を、図面を用いて説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1(A)、(B)は、本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100の一実施例の上方から眺めた透視した形の平面概略図(A)とそのX-X線での横断面概略図(B)を示し、ベース基板1に、1個のセンサチップであるチップB102に熱型センサ(部)2とイオンセンサ(部)3とを備えて、一体化してある場合である。チップB102は、SOI層11を有するシリコン(Si)基板を用いて製作している場合である。また、ここでは、熱型センサ(部)2として、チップB102の基板から架橋構造12により熱分離したSOI層11を主体とした薄膜10上に、中空となる流路17を、例えば、SU-8などのフォトレジスト膜により形成してあり、ここを尿などの被検出用の液体試料が流れるようにしている。そして、上記の架橋構造12上に位置する流路17で、分岐した3つの同等の形状の流路17のうちの2つに、それぞれ反応部6Aと反応部6Bとを有し、そこには、液体試料中の異なる特定基質に対して接触触媒反応を示す酵素4である酵素4Aと酵素4Bとをそれぞれ固定している場合である。なお、図1(A)では、これらの酵素4Aと酵素4Bの形状表示を図面の煩雑さから省略した。酵素4Aの固定の様子を図1(B)に示すに留めている。これらの酵素4Aと酵素4Bとは、尿などの被検出用の液体試料中の基質成分である、例えば、クレアチニン、タンパク、糖などに、選択的に接触熱反応を示す酵素4であるそれぞれクレアチニナーゼ、トリプシン、グルコースオキシダーゼなどのうちから所望の2種類を選択して固定しておき、これらの酵素4と対応する基質との接触熱反応による発熱を、上記の各反応部6Aと反応部6Bとにそれぞれ形成してある検出用温度センサ20Aと検出用温度センサ20Bで温度変化として検出するようにしたものである。また、熱型センサ(部)2には、反応部6Aと反応部6Bと同等の形状で、液体試料の温度などに対して参照部となるように分岐した流路17の参照部7を設けてあり、ここには酵素4を固定しないようにしており、酵素4の代わりに、参照膜5を備えて、液体試料の流路内の流れを反応部6A、6Bと同等になるように調節している。
図1(A)、(B)に示す本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100には、イオンセンサ(部)3も、同一のチップB102に搭載してあり、ここでは、イオンセンサ(部)3として、ISFET90を用いた場合である。ここでは、ISFET90として、イオン検出用ISFET90Aと参照用ISFET90Rとを備えており、イオン検出用ISFET90Aのイオン感応部となるMOS構造のゲート絶縁膜93上には、イオン感応層95を形成してあり、対応する参照用ISFET90Rのゲート絶縁膜93上には、イオン不感応層96を形成している場合である。また、上記、イオン検出用ISFET90Aと参照用ISFET90Rに共通の基準電極として、同一の電極材で参照ゲート電極97を尿などの被検出用の液体試料に接触するように、同一のチップB102上に形成している。チップB102として、Si半導体の導電型がp型のSOI層11(例えば、厚みが10μm程度)を有するチップ基板を用いて、イオン感応部となるMOSゲートとして、ゲート幅は、例えば、10μm程度であるが、ドレイン電流Idが大きくなり、周辺効果を少なくするために、ゲート長を1000μm程度の極めて細長いイオン検出用ISFET90Aと参照用ISFET90Rを有するようにしたISFET90を形成した場合である。なお、熱型センサ(部)2では、流路17内に被検出用の液体試料を流し、それらの中の特定基質と反応部6A,6Bにあるそれぞれの酵素4A,4Bと接触して発熱したときに、熱の拡散を最小限にし、液体試料の接触量や流速依存性も考慮するために、酵素4A,4Bが固定されている反応部6A,6Bを流路17内に設けているが、イオンセンサ(部)3での反応原理は、熱反応を計測するのではないので、必ずしも流路17内に形成しておく必要はない。しかしながら、液体試料内のナトリウム(Na)やカリウム(K)などの被検出イオン成分の濃度分布が存在するので、できるだけ同一の液体試料がイオンセンサ(部)3と熱型センサ(部)2とを経由した方が、随時尿の評価に対しても好都合である。そのために、本発明では、液体試料の使い捨て型バイオセンサチップ100への流路の入り口となる流入口161付近に、イオンセンサ(部)3を形成している。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100では、使い捨てで、安価なセンサチップを提供できるようにするために、イオンセンサ(部)3と熱型センサ(部)2への液体試料の導入を、流路17を介して毛細管現象でセンシング部へ導き、しかも流れを生じるように工夫している。そのために、先ず、流路17の壁面を親水性にすること、酵素の固定も親水性の材料を用いて固定できるようにしている。また、流路17も幅、200マイクロメートル(μm)程度で、高さ100μm程度の内部断面の大きさにしてあり、微量の液体試料で計測できるようにすると共に、流路17の終端付近の流出口180には、吸取り領域201を設けて、必要に応じて吸水材203を吸取り領域201に詰めて置くなどで、有効に液体試料を汲み上げる仕組みにした場合を示している。なお、熱型センサ(部)2では、酵素反応により基質とは異なる反応生成物が生じるので、安定な酵素反応を持続させるには、これを速やかに除去してフレッシュな基質と接触するようにする必要があり、液体試料に流れが発生するようにすることが重要である。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100では、上記したように、ベース基板1に、1個のセンサチップであるチップB102に熱型センサ(部)2とイオンセンサ(部)3とを備えて、一体化してある場合で、その時の熱型センサ(部)2とイオンセンサ(部)3からの電気的信号を、後述のバイオセンサ1000本体に送るために、チップB102に形成してある熱型センサ(部)2とイオンセンサ(部)3のセンシング部からの配線400を介して、ソース電極パッド191Pや検出用温度センサ電極パッド70APなどの各電極パッドとベース基板1に形成したそれらに対応する電極パッド(同一の記号にしている)とが、重ね合わせたときに、導電性ペーストなどから成るバンプ電極310を介して電気的接続が行われるようにしている。また、図1に示す本実施例では、架橋構造12の反応部6には、酵素4が固定されているので、酵素4の固定法にも依るが、閉じられた流路17に酵素固定をするために、反応部6の位置の流路17の上部に、酵素固定窓99を設けて置き、そこから例えば、親水性のポリビニールアルコールに溶かしてある酵素4を滴下して、溶剤を蒸発させて固化させ、酵素4を固定できるようにした場合を示している。そして、流路17を流れる液体試料がこの酵素固定窓99から漏れないように、極めて薄いシートであるシール210で塞ぐようにした場合を示している。また、反応部6や参照部7を含む架橋構造12を形成する空洞40の空気の乱れによる放熱を防ぐことや、外部から物理的な架橋構造12の破壊などを防ぐ目的で、底板220をチップB102に張り付けた場合を示している。そして、ベース基板1のバイオセンサ1000本体への挿入端側には、バイオセンサ1000本体のセンサチップ挿入口530内に設けてある対応する各スプリング電極555との位置合わせをしてある外部接続用電極パッド150Pを配列している。
本実施例図1では、熱型センサ(部)2として、単一の薄膜10を、Si基板のチップB102から熱分離するために、例えば、長さ1000μm程度の架橋構造12状とした場合の一実施例であり、反応部6に設けてある検出用温度センサ20A,20Bとその参照用温度センサ20Rを、熱電対で形成しているが、その時には、熱電導体120Aとして、SOI層(p型半導体層)を共通にして(電極パッドは、SOI層用共通電極パッド75P)、熱電導体120Bを、絶縁膜50を介して形成したニクロム(NiCr)のスパッタリング薄膜を用いて形成している。これらの熱電対の測定点(温接点)26では、絶縁膜50の貫通口を通したオーム性コンタクト60で電気的に接続されている。例えば、尿などの液体試料中の基質であるクレアチニンに選択的に反応して発熱する酵素4Aであるクレアチニナーゼを用いる。基質に特異的に反応する酵素との接触により、発熱反応を生じ、酵素を固定してある反応部6Aの温度が上昇し、検出用温度センサ20Aで、参照用温度センサ20Rによる周囲温度の影響を打ち消すなど、差動増幅される。また、特定イオンを検出するISFET90として、チップB102のSi基板の本体部分に、イオン検出用ISFET90Aと参照用ISFET90R及び参照ゲート電極97を近接して備え、これらのゲート絶縁膜93領域と参照ゲート電極97とが、SU―8などのフォトレジスト膜で形成してある中空の流路17の入り口である流入口161内に露出して、流路17を流れる(被検出)液体試料に触れるように設計してある。本実施例では、熱型センサ(部)2の反応部6に、図面の煩雑さのためにヒータ25を描かなかったが、酵素反応の失活などの校正用に、ヒータ25を搭載し、所定の電力印加時の温度上昇と所定の基質との酵素反応の発熱量の比較などで経時変化などの校正ができるようにすると良い。
本実施例図1では、使い捨て型バイオセンサチップ100のイオンセンサ(部)3として、ISFET90を用いた場合であったが、イオンセンサ(部)3として、例えば、図2に示すようなイオン電極法(イオン選択性電極法)を用いたイオンセンサであるイオン電極法イオンセンサ80を用いても良い。この図2に示す例では、SOI基板から成るチップB102のイオンセンサ(部)3に、SOI基板の表面に熱酸化膜などの絶縁膜50を形成した上に、イオン検出電極80Aと同一形状の参照電極(基準電極)80R、および共通電極81を近接して形成し、イオン検出電極80Aには、例えば、特定検出イオンとしてのNaイオンに対して極めて高いイオン選択性のあるイオノフォア液を塗布して乾燥させたイオン感応層85を例えば、100μm厚に形成してあり、参照電極(基準電極)80Rには、参照膜層86を形成し、これらの被検出液体試料に接触する面積を、例えば、3mm角として、絶縁膜50から露出するようにしている。また、これらに共通して被検出液体試料に接触する共通電極81を、イオン検出電極80Aと参照電極(基準電極)80Rと同一の金属、例えば、金(Au)で形成した場合である。なお、上記の参照膜層86として、例えば、イオン検出電極80Aに形成したイオン感応層85と同一の組成でありながらイオン検出電極80Aに形成したイオン感応層85に対して、例えば、10分の1程度の薄い厚みに形成する、所謂、組成は同一であるが、厚みの異なる層として利用することもできる。そのイオン感応層85と参照膜層86との形成法として、イオン感応層85の溶液を10倍に希釈して同一量塗布して形成しておき、乾燥させることにより、イオン感応層85より10分の1薄い薄膜状の参照膜層86を形成することができる。
イオン検出用ISFET90Aのゲート絶縁膜93領域には、ナトリウム(Na)イオンなどを選択的に取り入れることができるビスクラウンエーテル類である、例えば、Naイオンに対しては、ビス(12ークラウンー4)などのイオノフォアを取り込んだイオン感応層を形成すると良い。イオン検出用ISFET90Aのイオン感応層95と、参照用ISFET90Rのイオン不感応層96は、流路17のうち、イオン検出用ISFET90Aと参照用ISFET90Rのゲート絶縁膜93領域の上に位置する箇所に形成してあるゲート層形成窓を介して、可塑剤入りのPVC(ポリ塩化ビニル)を用いて、ゲート層形成枠195で区切り膜厚を調整したイオン感応層95などがパターン形成できるようにして、イオン検出用ISFET90Aのイオン感応層95と参照用ISFET90Rのイオン不感応層96とを交互に薄膜状に形成すると良い。このイオン感応層95等の塗布工程は、熱型センサ用バイオセンサ30の反応部6への酵素固定の前の製作工程とした方が、酵素の熱的問題に対応しやすい。なお、PVC(ポリ塩化ビニル)の代わりに、可塑剤入りのフォトレジストを用いることもできる。このフォトレジストを用いた場合は、容易に任意の形状にパターン化できるので、ゲート層形成枠195が必ずしも必要としない。また、イオン電極法(イオン選択性電極法)を用いたイオン電極法イオンセンサ80の感応部であるイオン検出電極80Aにも、イオン検出用ISFET90Aに用いた上記の同一のイオノフォアをイオン感応層85として利用して形成すると良い。
図3は、本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100の他の一実施例を示すもので、図3(A)は、使い捨て型バイオセンサチップ100の構成要素であるベース基板1の平面概略図で、図3(B)には、そのX−X線に沿った横断面概略図を示し、図3(C)には、上記ベース基板1の熱型センサ(部)2が固定される位置に接合させるチップA101の平面概略図を示し、更に、図3(D)には、上記ベース基板1に同様に固定するイオンセンサ(部)3を備えたチップC103の平面概略図を示す。これらの熱型センサ(部)2を備えたチップA101とイオンセンサ(部)3を備えたチップC103とは、裏返しにして、それぞれの電極パッドが同一符号の上記ベース基板1条に形成してある電極パッド同士が、前述のように導電性ペーストなどから成るバンプ電極310を介して、一体化する際に電気的に接合されて、ベース基板1の端部にある外部接続用電極パッド150Pに配線400により接続されるようになっている。なお、本実施例の熱型センサ(部)2を備えたチップA101は、上述の実施例1におけるチップB102での熱型センサ(部)2と同様であり、架橋構造12の薄膜10に中空の流路17を備え、反応部6には、例えば、流入口161から導入される液体試料中のクレアチニン検出用の酵素4であるクレアチニナーゼなどが固定される。また、イオンセンサ(部)3には、本実施例では、図3(D)に示すISFET90をイオンセンサとして使用した場合であり、上記チップA101とは別に設けたセンサチップで、これらのチップC103とチップA101とを、ベース基板1の所定の領域に、ソース電極パッド191Pや検出用温度センサ電極パッド70APなどの各電極パッドが位置合わせをして重なるようにして接合し、一体化した場合の使い捨て型バイオセンサチップ100を提供するようにした場合である。
本実施例の図3には、イオンセンサ(部)3として、ISFET90のイオンセンサをチップC103に備えた場合であったが、図4(A)のようなイオン電極法(イオン選択性電極法)を用いたイオン電極法イオンセンサ80を備えたチップC103にしても良い。ここでのイオン電極法イオンセンサ80は、実施例1の図2で示したイオン電極法イオンセンサ80を1個のチップにしたものである。しかしながら、イオン電極法イオンセンサ80は、電気絶縁膜上に形成すればよく、実施例1の図2に示したようなSi基板に形成する必要はなく、例えば、ガラス基板やプラスチック基板上にイオン検出電極80Aや参照電極(基準電極)80Rを形成して、イオン電極法イオンセンサ80にしても良い。図4(B)には、イオン電極法イオンセンサ80による基本的な測定回路図を示す。この測定回路は、実際には、使い捨て型バイオセンサチップ100を装着して計測する後述のバイオセンサ本体内に組み込むものである。イオン電極法イオンセンサ80のイオン感応層85、共通電極81および参照膜層86を尿などの液体試料に浸し計測するが、尿などの液体試料は、イオン濃度が小さいとインピーダンスが高くなるので、ポテンショスタット回路を変形した高入力インピーダンスの差動アンプを形成して、参照電極(基準電極)80Rと共通電極81とを演算増幅器を用いた高入力インピーダンス回路を利用し、クラウンドにして、イオン検出電極80Aと参照電極(基準電極)80Rとの差動出力Voを計測した。このように、少なくともイオン検出電極80Aと参照電極(基準電極)80Rには、電流を流さず、電位を検出できるようにしている。このして差動出力Voを計測して、液体試料中のNaイオンなどの特定イオン濃度を予め取得してある校正データの基に算出するものである。本実施例では、図4に示すようにイオン電極法イオンセンサ80として、共通電極81を用いた3端子法による計測の場合であるが、共通電極81を作成せずに、例えば、イオン検出電極80Aと参照電極(基準電極)80Rのみを形成して、参照電極(基準電極)80Rを少なくとも等価的に測定回路のグラウンドにした2端子法で、直接これらの電位差を計測することもできる。しかしながら、実験によると、上記の、共通電極81を用いた3端子法による計測の場合の方が、安定な計測が実現できた。
図5には、図4に示すイオン電極法イオンセンサ80の縦断面概略図を示し、イオン感応層85と参照膜層86とを同一の成分のイオノフォアを使用し、実施例1で示したように、それらの厚みを1桁程度以上変化させて形成してあり、イオン感応層85を厚く、参照膜層86を薄くした場合である。図5(A)は、平面上のガラス基板などチップC103の絶縁基板89の表面上に、イオン検出電極80Aと参照電極(基準電極)80Rおよび共通電極81を形成し、イオン感応層85と参照膜層86を形成した場合で、イオノフォア固定枠88の高さを変えて、イオン感応層85と参照膜層86の厚みを設定できるようにした場合である。また、図5(B)は、実施例1のチップB102のように、SOI基板を用いて、そのSOI層11の厚みやイオノフォア固定枠88を利用して、イオン感応層85の厚み大きくできるようにした場合の一実施例を示している。
図6には、本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100のイオンセンサ(部)3として、ISFET90を用いた場合の基本的な測定回路図を示す。この測定回路は、実際には、イオン電極法イオンセンサ80の場合の測定回路と同様に、使い捨て型バイオセンサチップ100を挿入装着して計測する後述のバイオセンサ本体内に組み込むものである。イオン検出用ISFET90Aと参照用ISFET90RのソースS91を共通にして、測定回路のグラウンドにし、イオン検出用ISFET90Aと参照用ISFET90Rのドレイン92に所定の同一の直流電圧VDと参照ゲート電極97に所定のゲート電圧VGを印加した状態で、液体試料に参照ゲート電極97とイオン感応層95およびイオン不感応層96が浸るようにして、イオン検出用ISFET90Aと参照用ISFET90Rのそれぞれを流れるドレイン電流Ids1とドレイン電流Ids2との差を、それぞれに接続している負荷抵抗RD1とRD2での電圧降下の変化で、液体試料中のNaイオンなどの濃度を計測するものである。
図7には、前記図4(B)に示したイオン電極法イオンセンサ80の一実施例の測定回路を用いて、液体試料としての食塩(NaCl)を溶かした水溶液のNaイオンを計測した一実施例の実験データのグラフを示す。図7のデータは、共通電極81に対するイオン検出電極80Aと参照電極(基準電極)80Rとの差動出力Voを、食塩(NaCl)を溶かしていない真水での値を基準して、この値を差し引いた場合の値のデータであり、実際の電位差の100倍(増幅器の倍率)の値を示している。イオン電極法イオンセンサ80でのNaイオンなどのイオンの計測原理は、公知のネルンストの式を用いているので、濃度依存性の出力は、イオン濃度の対数に比例する。図7に示すグラフのように、NaCl濃度の対数に対して直線的な関係にあることが分かり、上記のネルンストの式に従っていることが分かる。もちろん、Naイオン濃度は、NaCl濃度に比例するものである。また、ネルンストの式から分かるように、イオン電極法イオンセンサ80の出力は、溶液の絶対温度に比例するので、温度計測も重要である。上述の実施例の図3に示すように、熱型センサ(部)2を搭載しているチップA101に、絶対温度センサ23を搭載するので、ここを利用して、実際の計測では、液体試料の絶対温度計測ができる。
図8には、使い捨て型バイオセンサチップ100のうち、熱型センサ(部)2を備えたチップA101の他の一実施例を示すもので、上記実施例1では、Si基板から熱分離した薄膜10が、架橋構造12の場合で、ここに液体試料が流れる流路17と反応部6があったが、本実施例では、薄膜10としてダイアフラム構造13とした場合で、酵素4が固定される反応部6もこのダイアフラム構造13に形成される場合である。ダイアフラム構造13では、基質との接触熱反応を生じる酵素4の発熱も架橋構造12よりもSiなどの基板に熱が逃げやすく感度が小さくなるが、ダイアフラム構造13の下部に空隙40を形成し下部へは熱が逃げ難くさせることができると共に、ダイアフラム構造13の上部に、流路17を形成しやすいという利点がある。本実施例では、Siなどの半導体の基板で形成されているチップA101とベース基板1との間を、流路17として用いるようにした場合で、ベース基板1の少なくとも反応部6の領域では、上記半導体の基板のSiよりも、熱伝導率が2分の1以下の小さい断熱材230を用いてあり、酵素4の発熱が外部に逃げ難くしている場合で、本実施例では、2つのダイアフラム構造13を有し、一方の反応部6Aとし、他方を参照部7した場合である。また、図8(A)に、チップA101の平面概略図、図8(B)に、図8(A)のX-X線に沿った横断面概略図、図8(C)に、同様にY-Y線に沿った縦断面概略図を示す。
図9には、上記図8の熱型センサ(部)2を備えたチップA101を搭載するベース基板1の一実施例の概略形状を示し、図9(A)には、その平面概略図、図9(B)に、図9(A)のX-X線に沿った横断面概略図、図9(C)に、同様にY-Y線に沿った縦断面概略図を示す。液体試料が通る流路17は、ベース基板1とチップA101とが接合された時に、ベース基板1に形成された凹部41を主体とし、チップA101との隙間で形成されることになる。このようにして形成される使い捨て型バイオセンサチップ100の横断面図の概略図を図10に示す。このように、流入口161から導入された被検出液体試料は、ベース基板1に形成された流路分離部235により分岐されて、一方は、反応部6Aに、他方は、参照部7を通る流路17を通り、更に合流して吸取り領域201に入ることになる。なお、使い捨て型バイオセンサチップの外部接続用電極パッド150Pなどや動作に関しては、上記実施例1の図1、図2の場合と同様なので、詳細な説明は、ここでは省略する。
図11には、使い捨て型バイオセンサチップ100のうち、熱型センサ(部)2を備えたチップA101の他の一実施例を示すもので、同図(A)は、その平面概略図、同図(B)は、そのX-X線に沿った横断面概略図、同図(C)は、そのY-Y線に沿った縦断面概略図である。上記実施例3では、Si基板から熱分離した薄膜10が、ダイアフラム構造13とした場合であったが、本実施例では、架橋構造12の場合であり、しかも、流路17が、上記実施例3と同様に、ベース基板1とチップA101とが接合された時に、前記実施例3の図9に示すベース基板1に形成された凹部41を主体とし、チップA101との隙間で形成されるようにした場合である。流路17に流れる被検出液体試料は、架橋構造12の隙間から架橋構造12の下部の空洞40にも入り込むので、底板220を介して、この空洞40に断熱材230を入れて、更に反応部6(6A)のこの断熱材230上に酵素4(4A)を、反応部6(6A)に形成している検出用温度センサ20(20A)を囲むように形成してあり、酵素4(4A)での反応熱が架橋構造12上の直接検出用温度センサ20(20A)を温めるようにしているようにした場合である。なお、参照部7においても、熱的作用と効果が、酵素4の発熱以外は反応部6(6A)と同等であることが求められるので、酵素4を入れない酵素用固定材は、反応部6(6A)と同様に形成しておいた方が望ましい。その他の点は、上記実施例3の場合と同様なので、詳細な説明は省略する。
図12には、使い捨て型バイオセンサチップ100を搭載するバイオセンサ1000の本体の一実施例を示すもので、図12(A)には、上方から見たその表面概略図で、同図(B)には、その断面概略図を示す。本バイオセンサ1000の電子回路660には、少なくとも電源回路、増幅回路、演算回路および制御回路を備えてあり、更に、表示部670も搭載し、液体試料中の特定の基質成分の濃度と特定イオン成分の濃度および、それらの比率に関する情報を表示できるようにしている。また、無線で、外部へのデータ通信もできるようにもすることができる。ボタンスイッチ520で電源のオン、オフや他のボタンを利用して、各種の所望のデータの表示や通信ができるようにしている。前記使い捨て型バイオセンサチップ100を、チップ挿入口530に挿入固定して装着し、使い捨て型バイオセンサチップ100の各外部接続用電極パッド150Pとバイオセンサ1000の本体のチップ挿入口530に形成している各スプリング電極555とが接触して、使い捨て型バイオセンサチップ100とバイオセンサ1000の本体とが電気的に接続される。使い捨て型バイオセンサチップ100をバイオセンサ1000の本体から取り外すのは、センサチップ脱着機構500を利用するようにした場合である。詳細は省くが、センサチップ脱着ボタン510を押すことにより、使い捨て型バイオセンサチップ100をバイオセンサ1000の本体から取り外すことができるようにしている。
図13には、バイオセンサ1000の本体に使い捨て型バイオセンサチップ100を、容易に装着できるようにし、更に、複数の使い捨て型バイオセンサチップ100を搭載保管するようにしたバイオセンサチップスタッカ2000の一実施例の断面概要図を示す。ケース710内に収められた複数の使い捨て型バイオセンサチップ100が、スプリング750により押されており、チップ押出し棒701により、1個ずつチップ押出し口702を通してバイオセンサ1000の本体に固定されると、使い捨て型バイオセンサチップ100が順次、押し出されて、保管されている使い捨て型バイオセンサチップ100が無くなるまで、使用できるようになっており、また、必要に応じて使い捨て型バイオセンサチップ100を補充、充填できるようになっている。
バイオセンサ1000で、使い捨て型バイオセンサチップ100の熱型センサ(部)2で、1種類の酵素として、クレアチニン補正ができるように、クレアチニンに特異的に選択性のある酵素、例えばクレアチニナーゼを反応部6に固定して、接触熱反応による温度上昇で検出用温度センサ20Aと参照用温度センサ20Rの出力の差動により、尿などの被検出液体試料中のクレアチニンを計測し、さらに、イオンセンサ(部)3で、Naイオンを計測できるようにNaイオンのイオン感応層85形成して、Naイオンの濃度に対応する出力をも同時検出して、尿などの被検出液体試料中のNaイオンの濃度と、クレアチニンの濃度との比率、例えば、Naイオン/クレアチニン(濃度)比である、所謂、Naイオンのクレアチニン補正を求めて、表示できるようにすることもできる。もちろん、クレアチニンの他に、例えば、尿中のタンパクも同時計測して、タンパク/クレアチニン(濃度)比をも求めるように、使い捨て型バイオセンサチップ100の熱型センサ部2にタンパクの検出用の特定酵素4Bであるトリプシンなどを反応部6Bに固定するようにしても良い。
上記したように、ナトリウム(Na)イオンやカリウム(K)イオンの濃度も同時計測できるので、ナトリウム(Na)イオンやカリウム(K)イオンのクレアチニン補正ができると共に、ナトリウム(Na)イオン濃度/カリウム(K)イオン濃度の濃度比も計測できる。高血圧対策には、ナトリウム(Na)イオン濃度/カリウム(K)イオン濃度の濃度比の計測が重要であることが分かって来て居り、簡便でハンディなバイオセンサが提供できる。
本発明の上述の実施例の図面では、請求項に記載された同一の概念を有する部位には、同一の符号を付してある。また、本発明の実施例では、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本実施例に限定されることはなく、本発明の主旨、作用および効果が同一でありながら、当然、種々の変形がありうる。いわゆる当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100は、熱型センサ(部)2として、MEMS技術により、例えば、SiなどのチップA101の半導体基板から熱分離した薄膜10に、液体試料を流す流路17で繋がる第1の検出用温度センサ20A、第2の検出用温度センサ20Bなどが反応部6に形成してあり、参照用温度センサ20Rが参照部7に形成してあり、さらに、流入口161から薄膜10の反応部6と参照部7を経由して、空洞40を跨ぎ対向する同一の基板領域に形成した吸取り領域201まで延びる流路17とを備えており、流路17内の異なる反応部6に形成してあるそれぞれに選択的に対応する異なる特定の酵素4が固定してあり、これを基板の周囲に設けている電極パッドから酵素反応による温度上昇分が電気信号として計測できるようにしている。そして、反応部6の温度センサである、例えば、第1の温度センサ20Aとその参照部7の参照用温度センサ20Rとは、熱的にバランスが取れるように同等な形状と対称性のある配置にしているので、尿のように周囲温度から大きくずれている被検出液体試料を流路17に流し込んでも、これらの差動検出により高精度の温度差計測が実現できるようになった。更に、尿などの液体試料中のナトリウム(Na)イオンやカリウム(K)イオンの検出用に、イオンセンサ(部)3を搭載しており、例えば、ISFET90やイオン電極法イオンセンサ80を共通の被検出液体試料が流れる流路17やその入り口である流入口161に配置してあるので、同時に、熱型センサ(部)2での基質の濃度とイオンセンサ(部)3でのイオン濃度が計測できる。バイオセンサ1000でクレアチニン濃度を計測するようにすれば、各種の基質やイオンのクレアチニン補正が可能になり、本発明の使い捨て型バイオセンサチップ100やこれを搭載したハンディなバイオセンサ1000の装置の提供により、数十秒の短時間の計測時間で、しかも随時尿としての1滴の尿などの被検出液体試料で、糖尿病、腎臓病の前兆の診断や高血圧の予防などに貢献することができる。
1 ベース基板
2 熱型センサ(部)
3 イオンセンサ(部)
4、4A、4B 酵素
5 参照膜
6、6A、6B 反応部
7,7A,7B 参照部
10、10A、10B、10R 薄膜
11 SOI層
12 架橋構造
13 ダイアフラム構造
15 下地基板
17 流路
20、20A、20B 検出用温度センサ
20R 参照用温度センサ
23 絶対温度センサ
23P 絶対温度センサ電極パッド
25 ヒータ
26 測定点(温接点)
27 基準点(冷接点)
40 空洞
41 凹部
50 絶縁膜
51 BOX層
60 オーム性コンタクト
61 高濃度拡散層
70P、70AP、70BP 検出用温度センサ電極パッド
70RP、70RA P 参照用温度センサ電極パッド
71P ヒータ用電極パッド
75P SOI層用共通電極パッド
80 イオン電極法イオンセンサ
80A、80B イオン検出電極
80R 参照電極(基準電極)
81 共通電極
85 イオン感応層
86 参照膜層
87 引き出し電極
88 イオノフォア固定枠
89 絶縁基板
90 ISFET
90A、90B イオン検出用ISFET
90R 参照用ISFET
91 ソースS
92 ドレインD
93 ゲート絶縁膜
94 チャンネル
95 イオン感応層
96 イオン不感応層
97 参照ゲート電極
97P 参照ゲート電極パッド
98 ガードリング
99 酵素固定窓
100 使い捨て型バイオセンサチップ
101 チップA
102 チップB
103 チップC
110 SOI層用絶縁分離溝
117 流路部材
120A, 120B 熱電導体
150P 外部接続用電極パッド
161 流入口
180 排出口
191 ソース電極
191P ソース電極パッド
192 ドレイン電極
192P ドレイン電極パッド
194P 共通基板電極パッド
195 ゲート層形成枠
196 電極用バンプ
201 吸取り領域
203 吸水材
204 通気口
205 酵素固定枠
210 シール
220 底板
230 断熱材
235 流路分離部
310 バンプ電極
400 配線
500 センサチップ脱着機構
510 センサチップ脱着ボタン
520 ボタンスイッチ
530 センサチップ挿入口
550、551、750 スプリング
555 スプリング電極
560 ガイド板
570 伝達棒
650 バッテリ
660 電子回路
670 表示部
701 チップ押出し棒
702 チップ押出し口
710 ケース
715 ケースカバー
1000 バイオセンサ
2000 バイオセンサチップスタッカ

Claims (22)

  1. 被検出用の液体試料中の特定の基質成分とその濃度を、該基質成分に選択的に応答する酵素との触媒反応熱による温度変化を検出用温度センサにより検出する熱型センサを備えたチップAと、少なくとも該チップAからの電気信号を取り出す電極とその電気配線を有するベース基板と、を備えたバイオセンサチップにおいて、前記液体試料が通る流路中に反応部を有すること、該反応部には前記酵素を固定していること、前記検出用温度センサは前記酵素に接触もしくは近傍に配置されていること、前記反応部の流路の少なくとも上下面は、シリコン(Si)の熱伝導率よりも2分の1以下の小さな熱伝導率を持つ材料(気体も含む)で挟む構造であること、前記チップAと前記ベース基板とは、重ね合わせて接合して一体化してあること、1個の使い捨て可能なチップ状にしていること、を特徴とする使い捨て型バイオセンサチップ。
  2. 前記流路を、チップA内に設けた請求項1記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  3. 前記流路を、チップAと前記ベース基板との間に設けた請求項1記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  4. 前記酵素を固定している反応部と該反応部と同等な形状であるが酵素を固定していない参照部を備え、該反応部と参照部には、それぞれ検出用温度センサと参照用温度センサを備えている請求項1から3のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  5. 前記検出用温度センサと参照用温度センサを温度差センサとした請求項1から4のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  6. 前記参照部は、前記反応部とは異なる分岐した流路に形成している請求項1から5のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  7. 複数の前記基質成分に対応する各酵素を固定する各反応部と、それぞれに対応する前記流路および前記検出用温度センサとを備えた請求項1から6のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  8. 前記チップAに、前記液体試料中の特定イオン成分に選択的に感応するイオン感応層を備えたイオンセンサをさらに備えたチップBを、前記チップAの代わりに搭載した請求項1から7のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  9. 前記イオンセンサとして、ISFETもしくはイオン電極法によるイオンセンサとした請求項8記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  10. 前記チップAとは異なるチップCに、前記液体試料中の特定イオン成分に選択的に感応する前記イオンセンサを備えて、前記チップAと前記チップCとを同一の前記ベース基板に搭載してハイブリッド化した請求項1から9のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  11. 少なくとも1個の流入口から流入された前記液体試料は、各分岐された流路に分流されて前記熱型センサの参照部と各流路内のそれぞれ反応部を経由して、少なくとも1個の流出口から流出できるようにした請求項1から10のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  12. 前記流入口から流入された前記液体試料は、毛細管現象により各流路を通るようにした請求項11に記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  13. 前記流出口に、前記液体試料の吸取り領域を設けた請求項12に記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  14. 前記イオンセンサを複数形成してあり、それぞれのイオンセンサのイオン感応部には、異なるイオン成分に選択的に感応するイオン感応層を形成してあり、それぞれのイオン感応層に対応する前記液体試料中のイオンを検出できるようにした請求項8から13のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  15. 前記酵素として、クレアチニン検出用の酵素とした請求項1から14のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  16. 前記イオンセンサの検出イオンとして、ナトリウム(Na)イオンとした請求項8から15のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  17. 前記チップA、チップBとチップCのうち、少なくともいずれか1つに絶対温度センサを搭載した請求項1から16のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップ。
  18. 請求項1から7のいずれかに記載の使い捨て型バイオセンサチップを、脱着できるようにしたバイオセンサチップ脱着機構を備え、前記特定の基質成分と所定の酵素に接触による反応熱に基づくそれぞれの温度変化を、前記参照用温度センサと前記検出用温度センサの前記特定の基質成分の濃度に応じた差動出力で計測すること、更に予め用意してある校正データを利用して、前記液体試料中の前記特定の基質成分の濃度に応じた差動出力を利用し、基質成分の濃度に関係する出力ができるようにしたこと、を特徴とするバイオセンサ。
  19. 請求項8から17に記載の使い捨て型バイオセンサチップを、脱着できるようにしたバイオセンサチップ脱着機構を備え、前記捨て型バイオセンサチップを用いて、被検出液体試料中の特定イオンの前記イオンセンサの濃度に応じた出力を計測すること、更に予め用意してある校正データを利用して、前記液体試料中の前記特定の基質成分の濃度に応じた差動出力と前記イオンセンサの特定イオン濃度に応じた出力とを利用し、それらの比率を出力できるようにしたこと、を特徴とするバイオセンサ。
  20. 前記液体試料中の特定の基質成分としてクレアチニン、特定イオン成分として、ナトリウムとした請求項19記載のバイオセンサ。
  21. 少なくとも電源回路、増幅回路、演算回路および制御回路を備え、前記液体試料中の特定の基質成分の濃度と特定イオン成分の濃度および、それらの比率に関する情報を得ることができるようにした請求項18から20のいずれかに記載のバイオセンサ。
  22. 請求項1から17に記載の使い捨て型バイオセンサチップを上記バイオセンサに、別に用意した専用のセンサチップスタッカを用いて挿入固定するようにした請求項18から210のいずれかに記載のバイオセンサ。
JP2018010199A 2018-01-25 2018-01-25 使い捨て型バイオセンサチップおよびこれを装着するバイオセンサ Pending JP2019128261A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018010199A JP2019128261A (ja) 2018-01-25 2018-01-25 使い捨て型バイオセンサチップおよびこれを装着するバイオセンサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018010199A JP2019128261A (ja) 2018-01-25 2018-01-25 使い捨て型バイオセンサチップおよびこれを装着するバイオセンサ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019128261A true JP2019128261A (ja) 2019-08-01

Family

ID=67472138

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018010199A Pending JP2019128261A (ja) 2018-01-25 2018-01-25 使い捨て型バイオセンサチップおよびこれを装着するバイオセンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019128261A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021100281A1 (ja) * 2019-11-19 2021-05-27 株式会社アドバンテスト バイオセンサ、そのバイオセンサに用いる流路部材、及び、そのバイオセンサの使用方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008122151A (ja) * 2006-11-09 2008-05-29 Seiko Epson Corp バイオセンサシステム、検査方法および判定器
JP2008256725A (ja) * 2001-05-31 2008-10-23 Instrumentation Lab Co 分析装置およびバイオセンサ、ならびにこれらの精度および有効期間を増大させるための方法
JP2016173273A (ja) * 2015-03-17 2016-09-29 学校法人東北学院 酵素利用のマイクロカロリメータ
JP2017120240A (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 京セラ株式会社 センサ装置およびそれを用いた検出方法
JP2017203747A (ja) * 2016-05-13 2017-11-16 学校法人東北学院 酵素固定バイオセンサチップとバイオセンサモジュールおよびこれらを用いたカロリメトリックバイオセンサ

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008256725A (ja) * 2001-05-31 2008-10-23 Instrumentation Lab Co 分析装置およびバイオセンサ、ならびにこれらの精度および有効期間を増大させるための方法
JP2008122151A (ja) * 2006-11-09 2008-05-29 Seiko Epson Corp バイオセンサシステム、検査方法および判定器
JP2016173273A (ja) * 2015-03-17 2016-09-29 学校法人東北学院 酵素利用のマイクロカロリメータ
JP2017120240A (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 京セラ株式会社 センサ装置およびそれを用いた検出方法
JP2017203747A (ja) * 2016-05-13 2017-11-16 学校法人東北学院 酵素固定バイオセンサチップとバイオセンサモジュールおよびこれらを用いたカロリメトリックバイオセンサ

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021100281A1 (ja) * 2019-11-19 2021-05-27 株式会社アドバンテスト バイオセンサ、そのバイオセンサに用いる流路部材、及び、そのバイオセンサの使用方法
JP2021081300A (ja) * 2019-11-19 2021-05-27 株式会社アドバンテスト バイオセンサ、そのバイオセンサに用いる流路部材、及び、そのバイオセンサの使用方法
JP7405574B2 (ja) 2019-11-19 2023-12-26 株式会社アドバンテスト バイオセンサ、及び、そのバイオセンサの使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20100200400A1 (en) Embedded bodily fluid analysis device
ES2605485T3 (es) Sensores de analitos con detección de la temperatura, sistemas, y métodos de fabricación y uso de los mismos
US9448198B2 (en) Microsensor with integrated temperature control
US20140012114A1 (en) Monitoring of Fluid Content
EP1591782A1 (en) Chemical-sensing devices
US9528959B2 (en) Method and apparatus for measuring oxidation-reduction potential
US20190183398A1 (en) Biofluid sensing devices with temperature regulation
JP2019039734A (ja) イオン・バイオセンサチップとイオン・バイオセンサモジュールおよびこれらを用いたイオン・バイオセンサ
US11382185B2 (en) Heating element for sensor array
US5352352A (en) Carbonic acid gas sensor
JP2019128261A (ja) 使い捨て型バイオセンサチップおよびこれを装着するバイオセンサ
US9435763B2 (en) Absolute temperature method for disposable glucose strip
Kazura et al. Nano-Calorimetry based point of care biosensor for metabolic disease management
JP6883839B2 (ja) 成分比較バイオセンサチップと、これを用いた成分比較バイオセンサ
JP6840312B2 (ja) 酵素固定バイオセンサチップとバイオセンサモジュールおよびこれらを用いたカロリメトリックバイオセンサ
JP7405574B2 (ja) バイオセンサ、及び、そのバイオセンサの使用方法
US20080283399A1 (en) Potentiometric process analytic sensor with isolated temperature sensor
US20200033287A1 (en) Method of operation of a meter
JP4352012B2 (ja) 熱分析センサとこれを用いた熱分析装置
Kazura et al. Chapter III: Nano-Calorimetry based point of care biosensor for metabolic disease management2
JPH05223773A (ja) 検出要素
JPH08233757A (ja) 化学センサ
CN117647572A (zh) 生物传感器和生物感测试剂盒
Van der Spiegel et al. Electrochemical Microsensor Arrays for Biomedical Applications
JPH08304323A (ja) 温度補償型ポーラログラフ・センサー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220222

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220906