JP2019123030A - 歯車加工装置及び歯車加工方法 - Google Patents

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琳 張
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雅樹 市川
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尚 大谷
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Hiroyuki Nakano
浩之 中野
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Abstract

【課題】ねじれ角が異なる歯面を高精度に加工できる歯車加工装置及び歯車加工方法を提供する。【解決手段】歯車加工方法は、第二歯面121を加工するときの加工物115の回転軸線Lwとの第一交差角φfを設定する第一交差角設定工程と、第二歯面121を加工するときの加工物115の回転方向Rs及び加工用工具42F,42の回転方向Rfを同一回転方向に設定する第一回転方向設定工程と、第四歯面122を加工するときの加工物115の回転方向Rw及び加工用工具42G,42の回転方向Rgを同一回転方向であって第二歯面121の加工時の回転方向Rfとは逆回転方向に設定する第二回転方向設定工程とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、歯車を加工する歯車加工装置及び歯車加工方法に関する。
車両に用いられるトランスミッションには、円滑な変速操作を行うためにシンクロメッシュ機構が設けられる。図22に示すように、キー式のシンクロメッシュ機構110は、メーンシャフト111、メーンドライブシャフト112、クラッチハブ113、キー114、スリーブ115、メーンドライブギヤ116、クラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118等を備える。
メーンシャフト111とメーンドライブシャフト112は、同軸配置される。メーンシャフト111には、クラッチハブ113がスプライン嵌合され、メーンシャフト111とクラッチハブ113は共に回転する。クラッチハブ113の外周の3か所には、キー114が図略のスプリングで支持される。スリーブ115の内周には、内歯(スプライン)115aが形成され、スリーブ115はキー114とともにクラッチハブ113の外周に形成される図略のスプラインに沿って回転軸線LL方向に摺動する。
メーンドライブシャフト112には、メーンドライブギヤ116が嵌合され、メーンドライブギヤ116のスリーブ115側には、テーパコーン117bが突設されたクラッチギヤ117が一体形成される。スリーブ115とクラッチギヤ117の間には、シンクロナイザーリング118が配置される。クラッチギヤ117の外歯117a及びシンクロナイザーリング118の外歯118aは、スリーブ115の内歯115aと噛み合わせ可能に形成される。シンクロナイザーリング118の内周は、テーパコーン117bの外周と摩擦係合可能なテーパ状に形成される。
次に、シンクロメッシュ機構110の動作を説明する。図23Aに示すように、図略のシフトレバーの操作により、スリーブ115及びキー114が図示矢印の回転軸線LL方向に移動する。キー114は、シンクロナイザーリング118を回転軸線LL方向に押して、シンクロナイザーリング118の内周をテーパコーン117bの外周に押し付ける。これにより、クラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118及びスリーブ115は、同期回転を開始する。
そして、図23Bに示すように、キー114は、スリーブ115に押し下げられてシンクロナイザーリング118を回転軸線LL方向にさらに押し付けるので、シンクロナイザーリング118の内周とテーパコーン117bの外周との密着度は増し、強い摩擦力が発生してクラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118及びスリーブ115は同期回転する。クラッチギヤ117の回転数とスリーブ115の回転数が完全に同期すると、シンクロナイザーリング118の内周とテーパコーン117bの外周との摩擦力が消滅する。
そして、スリーブ115及びキー114が図示矢印の回転軸線LL方向にさらに移動すると、キー114はシンクロナイザーリング118の溝118bに嵌って止まるが、スリーブ115はキー114の凸部114aを越えて移動し、スリーブ115の内歯115aがシンクロナイザーリング118の外歯118aと噛み合う。そして、図23Cに示すように、スリーブ115は回転軸線LL方向にさらに移動し、スリーブ115の内歯115aがクラッチギヤ117の外歯117aと噛み合う。以上により変速が完了する。
以上のようなシンクロメッシュ機構110においては、走行中におけるクラッチギヤ117の外歯117aとスリーブ115の内歯115aとのギヤ抜け防止のため、図24A及び図24Bに示すように、スリーブ115の内歯115aには、テーパ状のギヤ抜け防止部120が設けられ、クラッチギヤ117の外歯117aには、ギヤ抜け防止部120とテーパ嵌合するテーパ状のギヤ抜け防止部117cが設けられる。なお、以下の説明では、スリーブ115の内歯115aの図示左側の側面115Aを左側面115A(本発明の「一方側の側面」に相当)といい、スリーブ115の内歯115aの図示右側の側面115Bを右側面115B(本発明の「他方側の側面」に相当)という。
そして、スリーブ115の内歯115aの左側面115Aは、左歯面115b(本発明の「第一歯面」に相当)及び左歯面115bとねじれ角が異なる歯面121(以下、左テーパ歯面121という、本発明の「第二歯面」に相当)を有する。また、スリーブ115の内歯115aの右側面115Bは、右歯面115c(本発明の「第三歯面」に相当)及び右歯面115cとねじれ角が異なる歯面122(以下、右テーパ歯面122という、本発明の「第四歯面」に相当)を有する。
本例では、左歯面115bのねじれ角は0度、左テーパ歯面121のねじれ角はθf度であり、右歯面115cのねじれ角は0度、右テーパ歯面122のねじれ角はθr度である。そして、左テーパ歯面121及びこの左テーパ歯面121と左歯面115bを繋ぐ歯面121a(以下、左サブ歯面121aという)、並びに右テーパ歯面122及びこの右テーパ歯面122と右歯面115cを繋ぐ歯面122a(以下、右サブ歯面122aという)が、ギヤ抜け防止部120を構成する。なお、ギヤ抜け防止は、左テーパ歯面121とギヤ抜け防止部117cとがテーパ嵌合することにより達成される。
このように、スリーブ115の内歯115aの構造は複雑であり、また、スリーブ115は大量生産が必要な部品であるため、一般的に、スリーブ115(本発明の「加工物」に相当)の内歯115aは、ブローチ加工やギヤシェーパ加工等により形成され、ギヤ抜け防止部120は、ローリング加工(特許文献1,2参照)により形成される。
実開平6−61340号公報 特開2005−152940号公報
シンクロメッシュ機構110において、上述のギヤ抜けを確実に防止するためには、スリーブ115の内歯115aのギヤ抜け防止部120を高精度に加工する必要がある。しかし、ギヤ抜け防止部120は、塑性加工であるローリング加工で形成されるため、加工精度が低くなる傾向にある。そこで、ギヤ抜け防止部120は、切削加工(スカイビング加工)で形成することで加工精度を向上できる。
しかし、スカイビング加工では、左テーパ歯面121の加工と右テーパ歯面122の加工は、スリーブ115の回転方向及び加工用工具の回転方向を同一の回転方向で行っているため、左テーパ歯面121の加工時の工具軌跡と右テーパ歯面122の加工時の工具軌跡が異なり、左テーパ歯面121の形状と右テーパ歯面122の形状が非対称形状になる。なお、この非対称形状となる具体例は後述する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、歯の左右側面にそれぞれ形成されるねじれ角が異なる歯面を対称形状に加工できる歯車加工装置及び歯車加工方法を提供することを目的とする。
本発明の歯車加工装置は、外周に複数の工具刃を有する加工用工具を加工物と同期回転させながら前記加工物の回転軸線方向に相対的に移動操作して歯車の加工を制御する制御装置を備え、前記歯車の歯の一方側の側面は、第一歯面及び前記第一歯面とねじれ角が異なる第二歯面を有し、前記歯車の歯の他方側の側面は、第三歯面及び前記第三歯面とねじれ角が異なる第四歯面を有する。
前記制御装置は、前記第二歯面を加工するときの前記加工物の回転軸線と前記加工用工具の回転軸線との第一交差角を設定し、前記第二歯面を加工するときの前記加工物の回転方向及び前記加工用工具の回転方向を同一回転方向に設定し、前記第四歯面を加工するときの前記加工物の回転方向及び前記加工用工具の回転方向を同一回転方向であって前記第二歯面の加工時の回転方向とは逆回転方向に設定する。
本発明の歯車加工方法は、上記加工用工具で上記歯車を加工する方法であって、前記第二歯面を加工するときの前記加工物の回転軸線と前記加工用工具の回転軸線との第一交差角を設定する第一交差角設定工程と、前記第二歯面を加工するときの前記加工物の回転方向及び前記加工用工具の回転方向を同一回転方向に設定する第一回転方向設定工程と、前記第四歯面を加工するときの前記加工物の回転方向及び前記加工用工具の回転方向を同一回転方向であって前記第二歯面の加工時の回転方向とは逆回転方向に設定する第二回転方向設定工程と、を備える。
本発明の歯車加工装置及び歯車加工方法によれば、第二歯面の加工時の加工用工具及び加工物の各回転方向は同一回転方向に設定し、第四歯面の加工時の加工用工具及び加工物の各回転方向は同一回転方向であって第二歯面の加工時の回転方向とは逆回転方向に設定する。これにより、第二歯面の加工時の工具軌跡と第四歯面の加工時の工具軌跡は同一となり、歯車の歯において第二歯面の形状と第四歯面の形状を対称形状にできるので、歯車の加工精度を高めることができる。
本発明の実施の形態に係る歯車加工装置の全体構成を示す図である。 図1の制御装置によるテーパ歯面の加工用工具の工具設計処理を説明するためのフローチャートである。 図1の制御装置によるテーパ歯面の加工用工具の工具状態設定処理を説明するためのフローチャートである。 図1の制御装置によるテーパ歯面の加工用工具による加工制御処理を説明するためのフローチャートである。 左テーパ歯面の加工用工具の概略構成を工具端面側から回転軸線方向に見た図である。 図5Aの加工用工具の概略構成を径方向に見た一部断面図である。 図5Bの加工用工具の工具刃の拡大図である。 左テーパ歯面の加工用工具を設計する際の加工用工具とスリーブとの寸法関係をスリーブの径方向に見た図である。 左テーパ歯面の加工用工具を設計する際の加工用工具の工具刃とスリーブの内歯との位置関係をスリーブの径方向に見た図である。 テーパ歯面の加工用工具の刃先幅及び刃厚を求める際に使用する加工用工具の各部位を示す図である。 本発明の適用前のスリーブの一つの内歯の詳細形状を径方向に見た図である。 図8の内歯の左テーパ歯面を加工用工具で加工する様子をスリーブの回転軸線方向に見た図である。 図8の内歯の右テーパ歯面を加工用工具で加工する様子をスリーブの回転軸線方向に見た図である。 本発明の適用後の内歯の左テーパ歯面を加工用工具で加工する様子をスリーブの回転軸線方向に見た図である。 本発明の適用後の内歯の右テーパ歯面を加工用工具で加工する様子をスリーブの回転軸線方向に見た図である。 本発明の適用後のスリーブの一つの内歯の詳細形状を径方向に見た図である。 右テーパ歯面の加工用工具を設計する際の加工用工具とスリーブとの寸法関係をスリーブの径方向に見た図である。 右テーパ歯面の加工用工具を設計する際の加工用工具の工具刃とスリーブの内歯との位置関係をスリーブの径方向に見た図である。 左テーパ歯面の加工用工具の工具刃の状態を径方向に見た図である。 右テーパ歯面の加工用工具の工具刃の状態を径方向に見た図である。 テーパ歯面の加工用工具の回転軸線の方向の工具位置を変更するときの加工用工具とスリーブとの位置関係を示す図である。 軸線方向位置を変更したときの加工状態を示す第一の図である。 軸線方向位置を変更したときの加工状態を示す第二の図である。 軸線方向位置を変更したときの加工状態を示す第三の図である。 加工物の回転軸線に対するテーパ歯面の加工用工具の回転軸線の傾斜を表す交差角を変更するときの加工用工具とスリーブとの位置関係を示す図である。 交差角を変更したときの加工状態を示す第一の図である。 交差角を変更したときの加工状態を示す第二の図である。 交差角を変更したときの加工状態を示す第三の図である。 テーパ歯面の加工用工具の回転軸線方向位置及び交差角を変更するときの加工用工具とスリーブとの位置関係を示す図である。 軸線方向位置及び交差角を変更したときの加工状態を示す第一の図である。 軸線方向位置及び交差角を変更したときの加工状態を示す第二の図である。 左テーパ歯面を加工する前の加工用工具の位置を径方向に見た図である。 左テーパ歯面を加工するときの加工用工具の位置を径方向に見た図である。 左テーパ歯面を加工した後の加工用工具の位置を径方向に見た図である。 図1の制御装置による別例のテーパ歯面の加工用工具の工具設計処理を説明するためのフローチャートである。 左テーパ歯面及び右テーパ歯面の加工用工具の概略構成を工具端面側から回転軸線方向に見た図である。 図19Aの加工用工具の概略構成を径方向に見た一部断面図である。 図19Bの加工用工具の工具刃の拡大図である。 交差角を異ならせて別例のテーパ歯面の加工用工具で左テーパ歯面及び右テーパ歯面を加工するときの加工条件を説明するための図である。 交差角を同一で加工位置を異ならせて別例のテーパ歯面の加工用工具で左テーパ歯面及び右テーパ歯面を加工するときの加工条件を説明するための図である。 加工物であるスリーブを有するシンクロメッシュ機構を示す断面図である。 図22のシンクロメッシュ機構の作動開始前の状態を示す断面図である。 図22のシンクロメッシュ機構の作動中の状態を示す断面図である。 図22のシンクロメッシュ機構の作動完了後の状態を示す断面図である。 スリーブのギヤ抜け防止部を示す斜視図である。 図24Aのスリーブのギヤ抜け防止部を径方向から見た図である。
(1.歯車加工装置の機械構成)
本実施形態では、歯車加工装置の一例として、5軸マシニングセンタを例に挙げ、図1を参照して説明する。つまり、当該歯車加工装置1は、駆動軸として、相互に直交する3つの直進軸(X,Y,Z軸)及び2つの回転軸(X軸線に平行なA軸、A軸線に直角なC軸)を有する装置である。
ここで、背景技術で述べたように、ギヤ抜け防止部120は、ブローチ加工やギヤシェーパ加工等により形成されたスリーブ115の内歯115aに対し、塑性加工であるローリング加工を行うことで形成されるため、加工精度が低くなる傾向にある。そこで、上述の歯車加工装置1では、先ず、ブローチ加工やギヤシェーパ加工等によりスリーブ115の内歯115aを形成し、次に、後述する加工用工具42による切削加工でスリーブ115の内歯115aに対しギヤ抜け防止部120を形成する。
すなわち、内歯115aが形成されたスリーブ115の回転軸線と加工用工具42の回転軸線とを所定の交差角で傾斜させ、スリーブ115と加工用工具42とを同期回転させ、加工用工具42をスリーブ115の回転軸線方向に送って切削加工することによりギヤ抜け防止部120を形成する。これにより、ギヤ抜け防止部120は、加工精度が高くなる。
図1に示すように、歯車加工装置1は、ベッド10と、コラム20と、サドル30と、回転主軸40と、テーブル50と、チルトテーブル60と、ターンテーブル70と、加工物保持具80と、制御装置100等とから構成される。なお、図示省略するが、ベッド10と並んで既知の自動工具交換装置が設けられる。
ベッド10は、ほぼ矩形状からなり、床上に配置される。このベッド10の上面には、コラム20をX軸線に平行な方向に駆動するための、図略のX軸ボールねじが配置される。そして、ベッド10には、X軸ボールねじを回転駆動するX軸モータ11cが配置される。
コラム20のY軸線に平行な側面(摺動面)20aには、サドル30をY軸線に平行な方向に駆動するための、図略のY軸ボールねじが配置される。そして、コラム20には、Y軸ボールねじを回転駆動するY軸モータ23cが配置される。
回転主軸40は、加工用工具42を支持し、サドル30内に回転可能に支持され、サドル30内に収容された主軸モータ41により回転される。加工用工具42は、図略の工具ホルダに保持されて回転主軸40の先端に固定され、回転主軸40の回転に伴って回転する。また、加工用工具42は、コラム20及びサドル30の移動に伴ってベッド10に対してX軸線に平行な方向及びY軸線に平行な方向に移動する。なお、加工用工具42の詳細は後述する。
さらに、ベッド10の上面には、テーブル50をZ軸線に平行な方向に駆動するための、図略のZ軸ボールねじが配置される。そして、ベッド10には、Z軸ボールねじを回転駆動するZ軸モータ12cが配置される。
テーブル50の上面には、チルトテーブル60を支持するチルトテーブル支持部63が設けられる。そして、チルトテーブル支持部63には、チルトテーブル60がA軸線に平行な軸線回りで回転(揺動)可能に設けられる。チルトテーブル60は、テーブル50内に収容されたA軸モータ61により回転(揺動)される。
チルトテーブル60には、ターンテーブル70がC軸線に平行な軸線回りで回転可能に設けられる。ターンテーブル70には、加工物としてスリーブ115を保持する加工物保持具80が装着される。ターンテーブル70は、スリーブ115及び加工物保持具80とともにC軸モータ62により回転される。
制御装置100は、加工制御部101と、工具設計部102と、工具状態演算部103と、記憶部104等とを備える。ここで、加工制御部101、工具設計部102、工具状態演算部103及び記憶部104は、それぞれ個別のハードウエアにより構成することもできるし、ソフトウエアによりそれぞれ実現する構成とすることもできる。
加工制御部101は、主軸モータ41を駆動制御して、加工用工具42を回転させ、また、X軸モータ11c、Z軸モータ12c、Y軸モータ23cを駆動制御して、スリーブ115と加工用工具42とをX軸線に平行な方向、Z軸線に平行な方向、Y軸線に平行な方向に相対移動し、また、A軸モータ61、C軸モータ62を駆動制御して、スリーブ115と加工用工具42とをA軸線に平行な軸線回り、C軸線に平行な軸線回りに相対回転させることにより、スリーブ115の切削加工を行う。
工具設計部102は、詳細は後述するが、加工用工具42の諸元を求めて加工用工具42を設計する。
工具状態演算部103は、詳細は後述するが、スリーブ115に対する加工用工具42の相対的な位置及び姿勢である工具状態を演算する。
記憶部104には、加工用工具42に関する工具データ、すなわち刃先円直径da、基準円直径d、刃末のたけha、モジュールm、転位係数λ、圧力角α、正面圧力角αt及び刃先圧力角αa、及びスリーブ115の切削加工を行うための加工データは予め記憶される。また、記憶部104は、加工用工具42を設計する際に入力される工具刃42aの刃数Z等を記憶し、また、工具設計部102で設計された加工用工具42の形状データや工具状態演算部103で演算された工具状態を記憶する。
(2.加工用工具)
本例では、スリーブ115のギヤ抜け防止部120を構成する左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121及び右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を、2つの加工用工具42を用いてそれぞれ切削加工する場合を説明する。
以下では、左テーパ歯面121を切削加工するための加工用工具42(以下、第一加工用工具42Fという)を設計する場合について説明するが、右テーパ歯面122を切削加工するための加工用工具42(以下、第二加工用工具42Gという)を設計する場合も同様であるので、詳細な説明は省略する。
図5Aに示すように、第一加工用工具42Fを工具端面42A側から工具軸線(回転軸線)L方向に見たときの工具刃42afの形状は、本例ではインボリュート曲線形状と同一形状に形成される。そして、図5Bに示すように、第一加工用工具42Fの工具刃42afには、工具端面42A側に工具軸線Lと直角な平面に対し、角度γ傾斜したすくい角が設けられ、工具周面42B側に工具軸線Lと平行な直線に対し、角度δ傾斜した前逃げ角が設けられる。
そして、図5Cに示すように、第一加工用工具42Fの工具刃42afには、工具周面42B側の周方向の幅(両側の刃すじ42bfの間隔)が工具端面42A側から刃すじ方向に向かって徐々に小さくなるように、角度ε傾斜した側逃げ角が設けられる。そして、工具刃42afは、両側の刃すじ42bfの中央を通る直線Lbを径方向に見たとき、工具軸線Lに対し角度βf傾斜したねじれ角を有する。
上述のように、スリーブ115の左テーパ歯面121は、既に形成されたスリーブ115の内歯115aに対し、第一加工用工具42Fで切削加工を行うことで形成される。このため、第一加工用工具42Fの工具刃42afは、内歯115aを切削加工中に隣り合う内歯115aに干渉せずに、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を確実に切削加工できる形状にすることが必要となる。
具体的には、図6Aに示すように、工具刃42afが、左テーパ歯面121の歯すじ長ff分だけ切削したとき、工具刃42aの刃先幅Safが、左サブ歯面121aの歯すじ長gfより大きく、且つ工具刃42afの基準円Cb上の刃厚Taf(図7参照)が、左テーパ歯面121とこの左テーパ歯面121に対向する右テーパ歯面122の開放端部との距離Hf(以下、歯面間隔Hfという)より小さくなるように工具刃42afを設計することが必要となる。
このとき、工具刃42afの耐久性、例えば欠損等も考慮して工具刃42afの刃先幅Saf及び工具刃42afの基準円Cb上の刃厚Tafを設定する。この工具刃42afの設計には、図6Bに示すように、先ず、スリーブ115の回転軸線Lwと加工用工具42の回転軸線Lとの交差角φf(左テーパ歯面121のねじれ角θfと工具刃42afのねじれ角βfとの和で表される交差角φf(以下、第一加工用工具42Fの交差角φfという))を設定する必要がある。
図6Bにおいては、スリーブ115の回転軸線Lwは、内歯115aの中央(左テーパ歯面121と右テーパ歯面122の中央)に位置しているときを示す。また、加工用工具42の回転軸線Lは、スリーブ115の回転軸線Lwに対し左テーパ歯面121側に位置しているときを示す。そして、交差角φfは、図6Bにおいて、加工用工具42の回転軸線Lからスリーブ115の回転軸線Lwに至る方向(反時計回り)を正とする。
左テーパ歯面121のねじれ角θfは、図6Bにおいて、スリーブ115の回転軸線Lwから左テーパ歯面121に至る方向(時計回り)を負とする。工具刃42afのねじれ角βfは、図6Bにおいて、加工用工具42の回転軸線Lから刃すじ42bf(本例では、両側の刃すじ42bfの中央を通る直線Lb)に至る方向(時計回り)を負とする。
そして、本例では、左テーパ歯面121が形成される端面側から見たスリーブ115の回転方向Rsは、反時計回りであり、工具端面42Aとは反対側から見た第一加工用工具42Fの回転方向Rfも、反時計回りである。この場合、第一加工用工具42Fの交差角φfは、正の角度で設定される。作業者は、歯車加工装置1によって設定可能範囲が設定されている第一加工用工具42Fの交差角φfを任意の正の角度で暫定的に設定する。
次に、既知の値である左テーパ歯面121のねじれ角θf及び設定した第一加工用工具42Fの交差角φfから工具刃42afのねじれ角βfを求め、工具刃42afの刃先幅Saf及び工具刃42afの基準円Cb上の刃厚Tafを求める。以上の処理を繰り返すことで、左テーパ歯面121を切削加工するための最適の工具刃42afを有する第一加工用工具42Fを設計する。
以下に、工具刃42afの刃先幅Saf及び工具刃42afの基準円Cb上の刃厚Tafを求めるための演算例を説明する。図7に示すように、工具刃42afの刃先幅Safは、刃先円直径da及び刃先円刃厚の半角Ψafで表される(式(1)参照)。
Figure 2019123030
刃先円直径daは、基準円直径d及び刃末のたけhaで表され(式(2)参照)、さらに、基準円直径dは、工具刃42afの刃数Z、工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βf及びモジュールmで表され(式(3)参照)、刃末のたけhaは、転位係数λ及びモジュールmで表される(式(4)参照)。
Figure 2019123030
Figure 2019123030
Figure 2019123030
刃先円刃厚の半角Ψafは、工具刃42afの刃数Z、転位係数λ、圧力角α、正面圧力角αt及び刃先圧力角αaで表される(式(5)参照)。なお、正面圧力角αtは、圧力角α及び工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βfで表すことができ(式(6)参照)、刃先圧力角αaは、正面圧力角αt、刃先円直径da及び基準円直径dで表すことができる(式(7)参照)。
Figure 2019123030
Figure 2019123030
Figure 2019123030
また、工具刃42afの刃厚Tafは、基準円直径d及び刃厚Tafの半角Ψfで表される(式(8)参照)。
Figure 2019123030
基準円直径dは、工具刃42afの刃数Z、工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βf及びモジュールmで表される(式(9)参照)。
Figure 2019123030
刃厚Tafの半角Ψfは、工具刃42afの刃数Z、転位係数λ及び圧力角αで表される(式(10)参照)。
Figure 2019123030
以上により、第一加工用工具42Fが設計される。同様に、第二加工用工具42Gも、右テーパ歯面122が形成される端面側から見たスリーブ115の回転方向Rsは反時計回り、工具端面42Aとは反対側から見た第二加工用工具42Gの回転方向Rgも反時計回りで設計される。なお、第二加工用工具42Gの諸元等は、第一加工用工具42Fの添え字をfからgに代えることで対応可能である。
ここで、発明が解決しようとする課題でも述べたように、スカイビング加工では、左テーパ歯面121の加工と右テーパ歯面122の加工は、スリーブ115の回転方向Rs及び第一、第二加工用工具42F,42Gの回転方向Rf,Rgを同一の回転方向で行っているため、左テーパ歯面121を加工するときの第一加工用工具42Fの工具軌跡と、右テーパ歯面122を加工するときの第二加工用工具42Gの工具軌跡が異なり、左テーパ歯面121の形状と右テーパ歯面122の形状が非対称形状になる。
具体的には、左サブ歯面121a及び右サブ歯面122aは、第一加工用工具42F及び第二加工用工具42Gで左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122をそれぞれ加工した後、第一加工用工具42F及び第二加工用工具42Gが左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122からそれぞれ逃げることで形成される。しかし、図8に示すように、右サブ歯面122aの逃がし長egは、左サブ歯面121aの逃がし長efよりも長くなり、また右サブ歯面122aの逃がし角kgは、左サブ歯面121aの逃がし角kfよりも小さくなる。
この理由は、図9Aに示すように、反時計回りの回転方向Rfに回転する第一加工用工具42Fの工具刃42afは、反時計回りの回転方向Rsに回転するスリーブ115の左テーパ歯面121の切削終了位置Qf(図8参照)からスリーブ115の内径側に逃げる。
そのときは、第一加工用工具42Fがスリーブ115よりも小径であり、工具刃42afが左テーパ歯面121を追掛ける形になるので、工具刃42afは左テーパ歯面121から比較的短い時間で離脱することになる。よって、左サブ歯面121aの逃がし長efは比較的短くなるとともに、逃がし角kfは比較的大きくなると推定される。
一方、図9Bに示すように、反時計回りの回転方向Rgに回転する第二加工用工具42Gの工具刃42agは、反時計回りの回転方向Rsに回転するスリーブ115の右テーパ歯面122の切削終了位置からスリーブ115の内径側に逃げる。
そのときは、第二加工用工具42Gがスリーブ115よりも小径であり、右テーパ歯面122が工具刃42agを追掛ける形になるので、工具刃42afは右テーパ歯面122から比較的長い時間で離脱することになる。よって、右サブ歯面122aの逃がし長egは比較的長くなるとともに、逃がし角kgは比較的小さくなると推定される。
以上のように、右サブ歯面122aの逃がし長egが左サブ歯面121aの逃がし長efより長くなると、スリーブ115の内歯115aとシンクロナイザーリング118の外歯118aとの噛み合い時(変速時)に、スリーブ115のスライドを阻止するための時間を要する。さらに、内歯115aの強度が低下する。また、左サブ歯面121aの形状と右サブ歯面122aの形状が非対称であると、シンクロ時間が異なるため、噛み合いのポジションが不安定となる。さらに、車両の加速時と減速時で噛み合いのポジションがずれるため、安定した加減速が困難となる。
そこで、図10Aに示すように、第一加工用工具42Fの工具刃42afがスリーブ115の左テーパ歯面121を加工するときは、第一加工用工具42Fを反時計回りの回転方向Rfに回転させるとともに、スリーブ115も反時計回りの回転方向Rsに回転させる。
一方、図10Bに示すように、第二加工用工具42Gの工具刃42agがスリーブ115の右テーパ歯面122を加工するときは、第二加工用工具42Gを時計回りの回転方向Rg(第一加工用工具42Fの回転方向とは逆回転方向)に回転させるとともに、スリーブ115の時計回り回転方向Rs(図10Aのスリーブ115の回転方向とは逆回転方向)に回転させる。これにより、図11に示すように、右サブ歯面122aの逃がし長egを左サブ歯面121aの逃がし長efと同様に短くして左サブ歯面121aの形状と右サブ歯面122aの形状を対称にできる。
左テーパ歯面121の形状と右テーパ歯面122の形状が非対称形状になるときは、図6A及び図6Bに示すように、第一加工用工具42F、第二加工用工具42G及びスリーブ115の加工時の回転方向Rf,Rg,Rsを全て反時計回りで回転させて加工を行う場合、第一加工用工具42Fの交差角φf及び第二加工用工具42Gの交差角φgは、ともに正の角度に設定している。
しかし、左サブ歯面121aの形状と右サブ歯面122aの形状を対称にするときは、図12A及び図12Bに示すように、第一加工用工具42F及びスリーブ115の加工時の回転方向Rf,Rsを反時計回り、第二加工用工具42G及びスリーブ115の加工時の回転方向Rg,Rsを時計回りで回転させて加工を行う場合、第一加工用工具42Fの交差角φf(図6B参照)は正の角度に設定し、第二加工用工具42Gの交差角φgは負の角度に設定する必要がある。すなわち、交差方向を逆方向に設定する必要がある。そして、第一加工用工具42Fの交差角φfの絶対値と第二加工用工具42Gの交差角φgの絶対値は同一値に設定する必要がある。なお、第一加工用工具42Fは、既に説明したものと同一である。
そして、上述の式(1)−式(10)を用いて、既知の右テーパ歯面122のねじれ角θg及び設定した第二加工用工具42Gの交差角φgから工具刃42agのねじれ角βgを求め、工具刃42agの刃先幅Sag及び工具刃42agの基準円Cb上の刃厚Tagを求める。以上の処理を繰り返すことで、右テーパ歯面122を切削加工するための最適の工具刃42agを有する第二加工用工具42Gを設計する。
以上により、図13Aに示すように、第一加工用工具42Fは、工具端面42Aを図示下方に向けて工具軸線Lに直角な方向から見たとき、工具刃42afの刃すじ42bfは、左下方から右上方に傾斜するねじれ角βfを有するように設計される。また、図13Bに示すように、第二加工用工具42Gは、工具端面42Aを図示下方に向けて工具軸線Lに直角な方向から見たとき、工具刃42agの刃すじ42bgは、右下方から左上方に傾斜するねじれ角βgを有するように設計される。以上の第一加工用工具42F及び第二加工用工具42Gの設計は、制御装置100の工具設計部102において行われるものであり、その処理の詳細は後述する。
(3.歯車加工装置における加工用工具の工具状態)
次に、設計した第一加工用工具42Fを歯車加工装置1に適用し、第一加工用工具42Fの工具状態として第一加工用工具42Fの工具軸線Lの方向の工具位置(以下、第一加工用工具42Fの軸線方向位置という)や第一加工用工具42Fの交差角φfを変化させて、左テーパ歯面121を切削加工したときの加工精度について検討する。なお、第二加工用工具42Gで右テーパ歯面122を切削加工したときの加工精度も同様であるので、詳細な説明は省略する。
例えば、図14Aに示すように、第一加工用工具42Fの軸線方向位置、すなわち第一加工用工具42Fの工具端面42Aと工具軸線Lとの交点Pが、スリーブ115の回転軸線Lw上に位置する場合(オフセット量0)、第一加工用工具42Fの工具軸線L方向に距離+kだけオフセットした場合(オフセット量+k)、及び第一加工用工具42Fの工具軸線L方向に距離−kだけオフセットした場合(オフセット量−k)で左テーパ歯面121を加工した。なお、第一加工用工具42Fの交差角φfは全て一定とした。
その結果、左テーパ歯面121の加工状態は、図14B、図14C、図14Dに示すようになった。なお、図中、太い実線Eは、設計上の左テーパ歯面121のインボリュート曲線を直線に変換して表したもので、ドット部分Dは、切削除去部分を表す。
図14Bに示すように、オフセット量0では、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に近い形状で加工される。一方、図14Cに示すように、オフセット量+kでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、図示右方向(点線矢印方向)、すなわち時計回りのピッチ円方向にずれた形状で加工され、図14Dに示すように、オフセット量−kでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、図示左方向(点線矢印方向)、すなわち反時計回りのピッチ円方向にずれた形状で加工される。よって、左テーパ歯面121の形状は、加工用工具42の工具軸線L方向位置を変更することにより、ピッチ円方向にずらすことができる。
また、例えば、図15Aに示すように、第一加工用工具42Fの交差角が、角度φf、φb、φcの各場合で左テーパ歯面121を加工した。なお、各角度の大小関係は、φf>φb>φcである。その結果、左テーパ歯面121の加工状態は、図15B、図15C、図15Dに示すようになった。
図15Bに示すように、交差角φfでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に近い形状で加工される。一方、図15Cに示すように、交差角φbでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、歯先の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)に狭まり、歯元の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)に拡がった形状で加工され、図15Dに示すように、交差角φcでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、歯先の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)にさらに狭まり、歯元の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)にさらに拡がった形状で加工される。よって、左テーパ歯面121の形状は、第一加工用工具42Fの交差角を変更することにより、歯先のピッチ円方向の幅及び歯元のピッチ円方向の幅を変更できる。
また、例えば、図16Aに示すように、第一加工用工具42Fの軸線方向位置、すなわち第一加工用工具42Fの工具端面42Aと工具軸線Lとの交点Pが、スリーブ115の回転軸線Lw上に位置し(オフセット量0)、且つ第一加工用工具42Fの交差角が、φfの場合、及び第一加工用工具42Fの工具軸線L方向に距離+kだけオフセットし(オフセット量+k)、且つ交差角φbの場合で左テーパ歯面121を加工した。その結果、左テーパ歯面121の加工状態は、図16B、図16Cに示すようになった。
図16Bに示すように、オフセット量0且つ交差角φfでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に近い形状で加工される。一方、図16Cに示すように、オフセット量+k且つ交差角φbでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、図示右方向(点線矢印方向)、すなわち時計回りのピッチ円方向にずれ、且つ歯先の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)に狭まり、歯元の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)に拡がった形状で加工される。よって、左テーパ歯面121の形状は、加工用工具42の軸線方向位置、及び第一加工用工具42Fの交差角を変更することにより、ピッチ円方向にずらし、歯先の周方向の幅及び歯元のピッチ円方向の幅を変更できる。
以上により、第一加工用工具42Fは、歯車加工装置1においてオフセット量0且つ交差角φfでセットされることで、左テーパ歯面121を高精度に切削加工できる。第一加工用工具42F及び第二加工用工具42Gの工具状態の設定は、制御装置100の工具状態演算部103において行われるものであり、その処理の詳細は後述する。
(4.制御装置の工具設計部による処理)
次に、制御装置100の工具設計部102による第一加工用工具42Fの設計処理について、図2、図6A及び図6Bを参照して説明する。なお、ギヤ抜け防止部120に関するデータ、すなわち左テーパ歯面121のねじれ角θf及び歯すじ長ff、左サブ歯面121aの歯すじ長gf及び歯面間隔Hfは、記憶部104に予め記憶されているものとする。さらに、第一加工用工具42Fに関するデータ、すなわち刃数Z、刃先円直径da、基準円直径d、刃末のたけha、モジュールm、転位係数λ、圧力角α、正面圧力角αt及び刃先圧力角αaは、記憶部104に予め記憶されているものとする。
制御装置100の工具設計部102は、記憶部104から左テーパ歯面121の負のねじれ角θfを読み込む(図2のステップS1)。そして、工具設計部102は、読み込んだ左テーパ歯面121の負のねじれ角θfと、作業者により入力される第一加工用工具42Fの正の交差角φfとの和を、第一加工用工具42Fの工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βf(本例では、負となる)として求める(図2のステップS2)。
工具設計部102は、記憶部104から第一加工用工具42Fの刃数Z等を読み込み、読み込んだ第一加工用工具42Fの刃数Z等及び求めた工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βfに基づいて、工具刃42afの刃先幅Saf及び刃厚Tafを求める。工具刃42afの刃先幅Safは、刃厚Tafに基づいたインボリュート曲線により求められる。歯部の良好な噛み合いを保てるなら、非インボリュートや直線状の歯面として刃先幅Safを求める(図2のステップS3)。
工具設計部102は、記憶部104から歯面間隔Hfを読み出し、求めた工具刃42afの刃厚Tafが歯面間隔Hfより小さいか否かを判断する(図2のステップS4)。工具設計部102は、求めた工具刃42afの刃厚Tafが歯面間隔Hf以上のときは、ステップS2に戻って上述の処理を繰り返す。
一方、工具設計部102は、求めた工具刃42afの刃厚Tafが歯面間隔Hfより小さくなったら、求めた工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βf等に基づいて、加工用工具42の形状を決定し(図2のステップS5)、決定した第一加工用工具42Fの形状データを記憶部104に記憶し(図2のステップS6)、全ての処理を終了する。以上により、最良の工具刃42afを有する第一加工用工具42Fが設計される。
第二加工用工具42Gも上述の処理を行うことにより、最良の工具刃42agを有する第二加工用工具42Gが設計される。図13Aに示すように、第一加工用工具42Fは、正のねじれ角βfを有し、図13Bに示すように、第二加工用工具42Gは、負のねじれ角βgを有する。
(5.制御装置の工具状態演算部による処理)
次に、制御装置100の工具状態演算部103による処理について、図3を参照して説明する。この処理は、公知の歯車の創成理論に基づいて、第一加工用工具42Fの工具刃42afの軌跡を演算するシミュレーション処理であるため、実加工は不要であり、低コスト化を図ることができる。
制御装置100の工具状態演算部103は、記憶部104から左テーパ歯面121の切削加工を行うときの第一加工用工具42Fの軸線方向位置等の工具状態を読み込み(図3のステップS11)、シミュレーション回数nとして1回目であることを記憶部104に記憶し(図3のステップS12)、第一加工用工具42Fを読み込んだ工具状態に設定する(図3のステップS13)。
そして、工具状態演算部103は、記憶部104から読み込んだ第一加工用工具42Fの形状データに基づいて、左テーパ歯面121を加工するときの工具軌跡を求め(図3のステップS14)、加工後の左テーパ歯面121の形状を求める(図3のステップS15)。そして、工具状態演算部103は、求めた加工後の左テーパ歯面121の形状と、設計上の左テーパ歯面121の形状とを比較し、形状誤差を求めて記憶部104に記憶し(図3のステップS16)、シミュレーション回数nに1を加算する(図3のステップS17)。
そして、工具状態演算部103は、シミュレーション回数nが予め設定した回数nnに達したか否かを判断し(図3のステップS18)、シミュレーション回数nが設定回数nnに達していないときは、第一加工用工具42Fの工具状態のうち例えば第一加工用工具42Fの軸線方向位置を変更し(図3のステップS19)、ステップS14に戻って上述の処理を繰り返す。一方、シミュレーション回数nが設定回数nnに達したときは、工具状態演算部103は、記憶した形状誤差のうち最小の誤差となる第一加工用工具42Fの軸線方向位置を選択して記憶部104に記憶し(図3のステップS20)、全ての処理を終了する。
なお、上述の処理では、複数回のシミュレーションを行って最小の誤差となる第一加工用工具42Fの軸線方向位置を選択するようにしたが、予め許容形状誤差を設定しておき、ステップS16において算出した形状誤差が許容形状誤差以下となったときの第一加工用工具42Fの軸線方向位置を選択してもよい。また、ステップS19においては、第一加工用工具42Fの軸線方向位置を変更する代わりに、第一加工用工具42Fの交差角φfを変更し、もしくは第一加工用工具42Fの軸線回り方向位置を変更し、又は、交差角、軸線方向位置、軸線回り方向位置の任意の組み合わせを変更するようにしてもよい。
(6.制御装置の加工制御部による処理)
次に、制御装置100の加工制御部101による処理(歯車加工方法)について、図4を参照して説明する。ここで、作業者は、工具設計部102で設計した第一加工用工具42F及び第二加工用工具42Gの各形状データに基づいて、第一加工用工具42F及び第二加工用工具42Gを製作し、歯車加工装置1の自動工具交換装置に配置しているものとする。また、スリーブ115は、歯車加工装置1の加工物保持具80に装着され、ブローチ加工もしくはギヤシェーパ加工などにより内歯115aが形成されているものとする。
制御装置100の加工制御部101は、自動工具交換装置で前の加工工程(ブローチ加工もしくはギヤシェーパ加工など)の加工用工具を第一加工用工具42Fに交換する(図4のステップS21)。そして、加工制御部101は、工具状態演算部103で求めた第一加工用工具42Fの工具状態、すなわちスリーブ115の回転軸線Lwと第一加工用工具42Fの回転軸線Lとの交差角(本発明の「第一交差角」に相当)がφfとなるように第一加工用工具42F及びスリーブ115を配置する(図4のステップS22、本発明の「第一交差角設定工程」に相当)。
そして、加工制御部101は、第一加工用工具42Fとスリーブ115とを反時計回りに同期回転させながら第一加工用工具42Fをスリーブ115の回転軸線Lw方向に送り操作(移動操作)して内歯115aを切削加工し、内歯115aに左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を形成する(図4のステップS23、本発明の「第一回転方向設定工程」に相当)。
すなわち、図17A−図17Cに示すように、第一加工用工具42Fは、スリーブ115の回転軸線Lw方向への1回もしくは複数回の切削動作で、内歯115aに左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を形成する。このときの第一加工用工具42Fは、送り動作及び送り動作と反対方向の戻し動作を行う必要があるが、図17Cに示すように、この反転動作は慣性力が働く。このため、第一加工用工具42Fの送り動作は、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を形成できる左テーパ歯面121の歯すじ長ffより所定長短い切削終了位置Qfにおいて終了し、戻し動作に移行する。
この切削終了位置Qfは、センサなどによって計測して求めることができるが、必要な加工精度に対して、送り量の精度が十分な場合には、計測しなくても送り量で調整することができる。つまり、切削終了位置Qfまで加工できるように送り量などを調整して、切削加工をすることで、精度良く加工できる。
そして、加工制御部101は、左テーパ歯面121の切削加工が完了したら(図4のステップS24)、自動工具交換装置で第一加工用工具42Fを第二加工用工具42Gに交換する(図4のステップS25)。そして、加工制御部101は、工具状態演算部103で求めた第二加工用工具42Gの工具状態、すなわちスリーブ115の回転軸線Lwと第二加工用工具42Gの回転軸線Lとの交差角(本発明の「第二交差角」に相当)がφg(φgの絶対値とφfの絶対値が同値)となるように第二加工用工具42G及びスリーブ115を配置する(図4のステップS26、本発明の「第二交差角設定工程」に相当)。
そして、加工制御部101は、第二加工用工具42Gとスリーブ115とを時計回りに同期回転させながら第二加工用工具42Gをスリーブ115の回転軸線Lw方向に送り操作(移動操作)して内歯115aを切削加工し、内歯115aに右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を切削形成する(図4のステップS27、本発明の「第二回転方向設定工程」に相当)。そして、加工制御部101は、右テーパ歯面122の切削加工が完了したら(図4のステップS28)、全ての処理を終了する。
(7.加工用工具の別形態)
上述の例では、スリーブ115のギヤ抜け防止部120を構成する左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122を、2つの加工用工具42(第一加工用工具42F及び第二加工用工具42G)を用いて切削加工する場合を説明したが、本例では、1つの加工用工具42を用いてそれぞれ切削加工して形成する場合を説明する。
1つの加工用工具42でねじれ角が異なる左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122を切削加工する場合、工具刃42aの左刃面と右刃面のねじれ角が異なる加工用工具42を用いる方法と、工具刃42aの左刃面と右刃面のねじれ角が同一の加工用工具42を用いる方法が考えられる。本例では、工具刃42aの左刃面と右刃面のねじれ角が同一の加工用工具42を用いて切削加工する場合を説明する。なお、加工用工具42の諸元等は、第一、第二加工用工具42F,42Gの添え字f,gを取ることで対応可能である。
この加工用工具42でも第一加工用工具42F及び第二加工用工具42Gと同様に、加工用工具42の工具刃42aは、内歯115aを切削加工中に隣り合う内歯115aに干渉せずに、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121及び右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を確実に切削加工できる形状にすることが必要となる。よって、加工用工具42の設計は、制御装置100の工具設計部102において行われる。
なお、加工用工具42の場合、内歯115aを切削加工中に隣り合う内歯115aに干渉しないように、工具刃42aの側逃げ角εは、交差角φよりも大きくする必要がある。この点では、第一、第二加工用工具42F,42Gの方が、刃厚Taf,Tagを厚くでき、耐久性を担保できる。
そして、加工用工具42は、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121及び右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を高精度に切削加工できることが必要となる。よって、加工用工具42の工具状態の設定は、制御装置100の工具状態演算部103において行われる。そして、加工用工具42による切削加工は、加工制御部101において行われる。以下では、工具状態演算部103の処理は上述の例と同様であり、また、加工制御部101の処理は工具交換を行わない点を除いて上述の例と同様であるため詳細な説明は省略し、工具設計部102の処理について説明する。
(8.制御装置の工具設計部による処理)
次に、制御装置100の工具設計部102による加工用工具42の設計処理について、図18を参照して説明する。なお、ギヤ抜け防止部120に関するデータ、すなわち左テーパ歯面121のねじれ角θf及び歯すじ長ff、左サブ歯面121aの歯すじ長gf及び歯面間隔Hfと、右テーパ歯面122のねじれ角θr及び歯すじ長fr、右サブ歯面122aの歯すじ長gr及び歯面間隔Hrは、記憶部104に予め記憶されているものとする。さらに、加工用工具42に関するデータ、すなわち刃数Z、刃先円直径da、基準円直径d、刃末のたけha、モジュールm、転位係数λ、圧力角α、正面圧力角αt及び刃先圧力角αaは記憶部104に予め記憶されているものとする。
制御装置100の工具設計部102は、記憶部104から左テーパ歯面121の負のねじれ角θfを読み込む(図18のステップS31)。そして、工具設計部102は、作業者により入力される左テーパ歯面121を切削加工するときの加工用工具42の正の交差角φと、読み込んだ左テーパ歯面121の負のねじれ角θfとの和を、加工用工具42の工具刃42aの刃すじ42bのねじれ角β(本例では、零となる)として求める(図18のステップS32)。
工具設計部102は、記憶部104から加工用工具42の刃数Z等を読み込み、読み込んだ加工用工具42の刃数Z等及び求めた工具刃42aの刃すじ42bのねじれ角βに基づいて、工具刃42aの刃先幅Sa及び刃厚Taを求める。工具刃42aの刃先幅Saは、刃厚Taに基づいたインボリュート曲線により求められる。歯部の良好な噛み合いを保てるなら、非インボリュートや直線状の歯面として刃先幅Saを求める(図18のステップS33)。
工具設計部102は、記憶部104から歯面間隔Hfを読み出し、求めた工具刃42aの刃厚Taが左テーパ歯面121側の歯面間隔Hfより小さいか否かを判断する(図18のステップS34)。工具設計部102は、求めた工具刃42aの刃厚Taが左テーパ歯面121側の歯面間隔Hf以上のときは、ステップS32に戻って上述の処理を繰り返す。
一方、工具設計部102は、求めた工具刃42aの刃厚Taが左テーパ歯面121側の歯面間隔Hfより小さくなったら、記憶部104から右テーパ歯面122の正のねじれ角θrを読み込む(図18のステップS35)。そして、工具設計部102は、ステップS32で求めた加工用工具42の工具刃42aの刃すじ42bのねじれ角β(本例では、零となる)と、読み込んだ右テーパ歯面122の正のねじれ角θrとの差を、右テーパ歯面122を切削加工するときの加工用工具42の交差角φとして求める(図18のステップS36)。
工具設計部102は、記憶部104から歯面間隔Hrを読み出し、刃厚Taが右テーパ歯面122側の歯面間隔Hrより小さいか否かを判断する(図13のステップS37)。工具設計部102は、刃厚Taが右テーパ歯面122側の歯面間隔Hr以上のときは、ステップS32に戻って上述の処理を繰り返す。
一方、刃厚Taが右テーパ歯面122側の歯面間隔Hrより小さくなったら、求めた工具刃42aの刃すじ42bのねじれ角β(本例では、零となる)等に基づいて、加工用工具42の形状を決定し(図13のステップS38)、決定した加工用工具42の形状データを記憶部104に記憶し(図13のステップS39)、全ての処理を終了する。
以上により、図5A−図5Cに対応させて示す図19A−図19Cのように、最良の工具刃42aを有する加工用工具42が設計される。この加工用工具42は、第一加工用工具42Fと比較して、工具刃42aの両側の刃すじ42bの中央を通る直線Lbを径方向に見たとき、工具軸線Lに対し平行、すなわちねじれ角βfが零である点で異なる。
この加工用工具42で左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122を加工する場合、左テーパ歯面121の加工時の交差角φfと右テーパ歯面122の加工時の交差角φgは、正負が異なり絶対値が同一の値、つまりφg=−φfに設定する。さらに、例えば、図20に示すように、左テーパ歯面121の加工時の加工用工具42の加工位置と右テーパ歯面122の加工時の加工用工具42の加工位置は、同一位置(図20では、スリーブ115の上方位置)に設定する。
なお、図20では、左テーパ歯面121の加工時の加工用工具42の回転方向Rとスリーブ115の回転方向Rsを同一の時計回りに設定し、右テーパ歯面122の加工時の加工用工具42の回転方向Rとスリーブ115の回転方向Rsを同一の反時計回りに設定している。これにより、第一、第二加工用工具42F,42Gと同様の加工(図10A,10B参照)ができる。
また、この加工用工具42で左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122を加工する場合、左テーパ歯面121の加工時の交差角φfと右テーパ歯面122の加工時の交差角φgを、同一の値、つまりφg=φfに設定してもよい。この場合、図20に対応させて示す図21に示すように、左テーパ歯面121の加工時の加工用工具42の加工位置は図20に示す加工位置と同一位置(スリーブ115の上方位置)に設定するが、右テーパ歯面122の加工時の加工用工具42の加工位置は、図20に示す加工位置からスリーブ115の回転軸線Lwに対し180度隔てた位置(スリーブ115の下方位置)に設定する。
なお、この場合も、左テーパ歯面121の加工時の加工用工具42の回転方向Rとスリーブ115の回転方向Rsは、図20に示す回転方向と同様に同一の時計回りに設定し、右テーパ歯面122の加工時の加工用工具42の回転方向Rとスリーブ115の回転方向Rsは、図20に示す回転方向と同様に同一の反時計回りに設定する。
歯車加工装置1においては、加工用工具42とスリーブ115の交差角をφfに設定し、加工用工具42をスリーブ115の上記上方位置に設定し、加工用工具42とスリーブ115を同一の時計回りに同期回転させ、左テーパ歯面121を加工する。そして、加工用工具42とスリーブ115の交差角はφfのままで、加工用工具42とスリーブ115を相対移動させて加工用工具42の加工位置をスリーブ115の回転軸線Lwに対し180度隔てたスリーブ115の上記下方位置に設定する。そして、加工用工具42とスリーブ115を同一の反時計回りに同期回転させ、右テーパ歯面122を加工する。これにより、第一、第二加工用工具42F,42Gと同様の加工(図10A,10B参照)ができる。
(9.その他)
上述の例では、第一加工用工具42Fを反時計回りの回転方向Rfに回転させるとともに、スリーブ115も反時計回りの回転方向Rsに回転させ、第二加工用工具42Gを時計回りの回転方向Rgに回転させるとともに、スリーブ115の時計回り回転方向Rsに回転させている。しかし、第一加工用工具42Fを時計回りの回転方向Rfに回転させるとともに、スリーブ115も時計回りの回転方向Rsに回転させ、第二加工用工具42Gを反時計回りの回転方向Rgに回転させるとともに、スリーブ115の反時計回り回転方向Rsに回転させるようにしてもよい。この場合は、左サブ歯面121aの逃がし長efは、右サブ歯面122aの逃がし長egと同様に長くなるが、左サブ歯面121aの形状と右サブ歯面122aの形状を対称にできる。
また、スリーブ115の内歯115aをブローチ加工やギヤシェーパ加工等により形成する場合を説明したが、加工用工具42F,42G,42による切削加工でスリーブ115の内歯115a及びギヤ抜け防止部120を全て形成するようにしてもよい。また、内歯に対し加工する場合を説明したが、外歯に対しても同様に加工可能である。
また、加工物としてシンクロメッシュ機構110のスリーブ115としたが、歯車のように噛み合う歯部を有するものや円筒形状、円盤形状の加工物でもよく、内周(内歯)、外周(外歯)のいずれか一方又は両方に複数の歯面(異なる複数の歯すじ、歯形(歯先、歯元))を同様に加工可能である。また、クラウニング、レリービングなどの連続変化する歯すじ、歯形(歯先、歯元)も同様に加工可能であり、噛み合いを最適化(良好な状態)できる。
また、特に、加工用工具42F,42G,42の回転軸線Lとスリーブ115(加工物)の回転軸線Lwとが垂直でなく、加工用工具42F,42G,42とスリーブ115(加工物)との回転を同期回転させながら、高速に回転して加工する方法(ギヤスカイビング加工)は、高効率に加工可能となるが、スリーブ115(加工物)のように左右の歯すじの方向が異なり、不連続なものでは、加工用工具42F,42G,42の工具刃42af,42ag,42aがスリーブ115(加工物)と接触してから離れるまでの加工(切削)状態が異なるので(工具回転角度に対して、除去状態(切屑厚さ)、すくい角、切削力などが異なる)、加工後のスリーブ115(加工物)の歯の左右の歯形が異なることがある。しかし、上記の歯車加工装置1(歯車加工方法)によって、スリーブ115(加工物)の左右の歯面に対して、左右の歯形を均一にすることができる。
また、上述の例では、5軸マシニングセンタである歯車加工装置1は、スリーブ115をA軸旋回可能とするものとした。これに対して、5軸マシニングセンタは、縦形マシニングセンタとして、加工用工具42F,42R,42をA軸旋回可能とする構成としてもよい。また、本発明をマシニングセンタに適用する場合を説明したが、歯車加工の専用機に対しても同様に適用可能である。
1:歯車加工装置、 42F,42G,42:加工用工具、 42af,42ag,42a:工具刃、 42bf,42bg,42b:刃すじ、 100:制御装置、 101:加工制御部、 102:工具設計部、 103:工具状態演算部、 104:記憶部、 115:スリーブ(加工物)、 121:左テーパ歯面、 122:右テーパ歯面、 121a:左サブ歯面、 122a:右サブ歯面、 βf,βg,β:刃すじのねじれ角、 θf,θr:歯面のねじれ角、 φf,φg,φ:交差角

Claims (8)

  1. 外周に複数の工具刃を有する加工用工具を加工物と同期回転させながら前記加工物の回転軸線方向に相対的に移動操作して歯車の加工を制御する制御装置を備える歯車加工装置であって、
    前記歯車の歯の一方側の側面は、第一歯面及び前記第一歯面とねじれ角が異なる第二歯面を有し、
    前記歯車の歯の他方側の側面は、第三歯面及び前記第三歯面とねじれ角が異なる第四歯面を有し、
    前記制御装置は、
    前記第二歯面を加工するときの前記加工物の回転軸線と前記加工用工具の回転軸線との第一交差角を設定し、
    前記第二歯面を加工するときの前記加工物の回転方向及び前記加工用工具の回転方向を同一回転方向に設定し、
    前記第四歯面を加工するときの前記加工物の回転方向及び前記加工用工具の回転方向を同一回転方向であって前記第二歯面の加工時の回転方向とは逆回転方向に設定する、歯車加工装置。
  2. 前記制御装置は、
    前記第四歯面を加工するときの前記加工物の回転軸線と前記加工用工具の回転軸線との第二交差角を、前記第一交差角と同一値であって交差方向が逆方向となるように設定する制御を行う、請求項1に記載の歯車加工装置。
  3. 前記制御装置は、
    前記加工用工具の回転方向側を向いている前記工具刃の側面と対向する前記第二歯面又は前記第四歯面を前記加工用工具で加工する制御を行う、請求項1又は2に記載の歯車加工装置。
  4. 前記制御装置は、
    前記加工用工具の回転方向とは逆方向側を向いている前記工具刃の側面と対向する前記第二歯面又は前記第四歯面を前記加工用工具で加工する制御を行う、請求項1又は2に記載の歯車加工装置。
  5. 前記加工用工具として、第一加工用工具及び第二加工用工具を備え、
    前記第一加工用工具は、予め加工された前記第一歯面に対し前記第二歯面を加工可能なように、前記第二歯面のねじれ角及び前記加工物の回転軸線と前記第一加工用工具の回転軸線との交差角に基づいて設定されたねじれ角を有し、
    前記第二加工用工具は、予め加工された前記第三歯面に対し前記第四歯面を加工可能なように、前記第四歯面のねじれ角及び前記加工物の回転軸線と前記第二加工用工具の回転軸線との交差角に基づいて設定され且つ前記第一加工用工具のねじれ角と同一値であってねじれ方向が逆方向のねじれ角を有する、請求項1−4の何れか一項に記載の歯車加工装置。
  6. 前記加工用工具は、前記工具刃のねじれ角が零である、請求項1−4の何れか一項に記載の歯車加工装置。
  7. 前記歯車は、シンクロメッシュ機構のスリーブであり、
    前記第二歯面及び前記第四歯面は、前記スリーブの内周歯に設けられるギヤ抜け防止部の歯面である、請求項1−6の何れか一項に記載の歯車加工装置。
  8. 外周に複数の工具刃を有する加工用工具を加工物と同期回転させながら前記加工物の回転軸線方向に相対的に移動操作して歯車を加工する歯車加工方法であって、
    前記歯車の歯の一方側の側面は、第一歯面及び前記第一歯面とねじれ角が異なる第二歯面を有し、
    前記歯車の歯の他方側の側面は、第三歯面及び前記第三歯面とねじれ角が異なる第四歯面を有し、
    前記歯車加工方法は、
    前記第二歯面を加工するときの前記加工物の回転軸線と前記加工用工具の回転軸線との第一交差角を設定する第一交差角設定工程と、
    前記第二歯面を加工するときの前記加工物の回転方向及び前記加工用工具の回転方向を同一回転方向に設定する第一回転方向設定工程と、
    前記第四歯面を加工するときの前記加工物の回転方向及び前記加工用工具の回転方向を同一回転方向であって前記第二歯面の加工時の回転方向とは逆回転方向に設定する第二回転方向設定工程と、を備える歯車加工方法。
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