[第1実施形態]
図1に示すように、内視鏡システム10は、内視鏡12と、内視鏡光源装置14と、プロセッサ装置16と、モニタ18と、コンソール19とを有する。内視鏡12は内視鏡光源装置14と光学的に接続されるとともに、プロセッサ装置16と電気的に接続される。内視鏡12は、被検体内に挿入される挿入部12aと、挿入部12aの基端部分に設けられた操作部12bと、挿入部12aの先端側に設けられた湾曲部12c及び先端部12dを有している。操作部12bのアングルノブ12eを操作することにより、湾曲部12cは湾曲動作する。この湾曲動作によって、先端部12dが所望の方向に向けられる。また、操作部12bには、アングルノブ12eの他、ズーム操作部13等が設けられている。
プロセッサ装置16は、モニタ18及びコンソール19と電気的に接続される。モニタ18は、各観察モードの画像や画像に付帯する画像情報等を出力表示する。コンソール19は、機能設定等の入力操作を受け付けるユーザインタフェースとして機能する。なお、プロセッサ装置16には、画像や画像情報等を記録する外付けの記録部(図示省略)を接続してもよい。
図2に示すように、内視鏡光源装置14は、観察対象に照射する照明光を発生する装置であり、複数の光源を有する光源部20と、光源部20の各光源を制御する光源制御部22と、複数の光源の光量比を設定する光量比設定部23と、光源部20が発する光の光路を結合する光路結合部24とを備えている。
光源部20は、第1波長帯域の光を発する第1光源20aと、第1波長帯域よりも広帯域で連続的な分光スペクトルを有する第2波長帯域の光を発する第2光源20bの2種類の光源を備える。第1光源20aは、紫色LED(以下、V−LED(Violet Light Emitting Diode)という)である。第2光源20bは、青色LED(以下、B−LED(Blue Light Emitting Diode)という)と、B−LEDが発する青色光(以下、B光という)によって緑色波長帯域から赤色波長帯域の蛍光を発生する蛍光体とを含み、蛍光体を透過するB光と、蛍光体が発する蛍光とによって白色光を発生する。
図3に示すように、第1光源20aを構成するV−LEDは、中心波長415nm、波長帯域が約400〜430nmの紫色光(以下、V光という)を発光する紫色光源である。本実施形態では、V−LEDの中心波長は415nmであるが、中心波長が約400〜430nmにあるV−LEDを用いることができる。第2光源20bを構成するB−LEDは、中心波長450nm、波長帯域430〜470nmの青色光(以下、B光という)を発する青色光源であり、第2光源20bを構成する蛍光体は、B光の照射により、波長帯域が480〜650nmに及ぶ蛍光を発する。このため、蛍光体が発する蛍光には、波長帯域が約480〜600nmの緑色光(以下、G光という)と、波長帯域が約600nm〜680nmの赤色光(以下、R光という)が含まれる。したがって、第2光源20bが発する光は、蛍光体を透過するB光と、励起光としてB光を照射する場合に蛍光体が発生する蛍光が含むG光及びR光とからなる白色光を発する。詳細は後述するが、第1光源20aが発する第1波長帯域の光とはV光であり、第1波長帯域はV光に対応する紫色波長帯域である。そして、第2光源20bが発する第2波長帯域の光とは白色光であり、第2波長帯域とはB光からR光の波長帯域である。
なお、V−LED及びB−LEDの中心波長は±5nmから±10nm程度の幅を有する。中心波長とは波長帯域のほぼ中心の波長であり、分光スペクトルの形状によっては、分光スペクトルのピークに対応する波長(以下、ピーク波長という)と中心波長とが一致するとは限らない。内視鏡システム10で用いるV光は、中心波長とピーク波長が異なっていてもよく、中心波長とピーク波長がほぼ一致していてもよい。本実施形態のV光の中心波長とピーク波長はほぼ一致している。同様に、内視鏡システム10で用いるB光は、中心波長とピーク波長が異なっていてもよく、中心波長とピーク波長がほぼ一致していてもよい。本実施形態のB光の中心波長とピーク波長はほぼ一致している。
第2光源20bを構成するB−LEDが発光するB光及びG光のうち、約450nmから約500nmの波長の光は表層血管やピットパターン等の微細な構造のコントラストを低下させてしまうので、第2光源20bの光路中には、この約450nmから約500nmの波長帯域の光を低減するための帯域制限フィルタ(第1の帯域制限フィルタ。以下、Bs光生成用帯域制限フィルタという)25が配置されている。このため、Bs光生成用帯域制限フィルタ25は、主に第2光源20bが発する白色光から約450nmから約500nmの波長帯域の成分を低減した青色光(以下、Bs光という)及び緑色光(以下、Gs光という)を生成する。Bs光のピーク波長は約440nm〜450nmであり、Bs光は第2波長帯域の光(白色光)から生成される第3波長帯域の光である。Bs光と、V光、Gs光、及びR光は、光路結合部24によって混合され、図4に示す照明光26になる。
すなわち、光源部20は、これらの互いに異なる色の光を独立して発光する複数の光源によって、V光、Bs光、Gs光、及びR光を重ね合わせたスペクトルを有する照明光26を発する。第1光源20a及び第2光源20bの発光量(以下、単に光量という)や発光時間の長さ等はそれぞれ独立に制御可能であるため、照明光の分光スペクトルは、第1光源20a及び第2光源20bの光量や発光時間の長さ等を変えることによって変化させることができる。
光源制御部22は、光量比設定部23が設定する光量比を用いて、第1光源20aを構成するV−LED及び第2光源20bを構成するB−LEDの駆動電流や駆動電圧、駆動電流または駆動電圧を制御する。具体的には、各LEDに入力する制御パルスのパルス幅やパルス長等を個別に制御することにより、第1光源20aが発するV光、及び第2光源20bが発する白色光の発光タイミングや光量、発光時間の長さ等を制御する。これにより、光源制御部22は、照明光の実質的な分光スペクトルを変化させる。本実施形態では、光源制御部22は、第1光源20aを構成するV−LED及び第2光源20bを構成するB−LEDの光量を制御する。
光量比設定部23は、光源制御部22に対してV光とBs光の光量比を設定する。具体的には、光量比設定部23は、第1光源20aのV−LEDが発するV光の光量と、第2光源20bのB−LEDが発光するB光の光量を設定することで、照明光26に含むV光とBs光の光量を設定する。すなわち、光量比設定部23が設定する光量比は、第1光源20aを構成するV−LED及び第2光源20bを構成するB−LEDの制御パラメータであり、これらの発光時間の長さを考慮した実質的な光量比(広義の光量比)である。本実施形態では、光源制御部22は、第1光源20a及び第2光源20bの発光時間の長さを同じにし、単位時間あたりの発光量の比(狭義の光量比)を制御する。このため、光量比設定部23は、光源制御部22の制御方法に合わせて、第1光源20aを構成するV−LED及び第2光源20bを構成するB−LEDの単位時間あたりの発光量の比を光量比として設定する。
光量比設定部23は、少なくとも、観察対象の粘膜下にある血管に対して深さ分解能を有する第1波長帯域の光と、粘膜下の同じ深さにある血管に対して太さ分解能を有する第3波長帯域の光の光量比を光源制御部22に対して設定する。すなわち、光量比設定部23は、V光とBs光の光量比を設定する。これにより、光量比設定部23は、粘膜に対する血管のコントラストを、血管の深さ及び太さに応じた目標コントラストにする。
目標コントラストとは、深さ及び太さが異なる複数の血管の粘膜に対するコントラストのバランスの目標であり、光量比設定部23が設定する光量比と一対一に対応する。複数の光量比及び目標コントラストが、光量比設定部23にプリセットされているが、操作部12bやコンソール19等の入力デバイスを用いて設定を任意に選択または変更することができる。
深さ分解能とは、粘膜表面からの血管の深さによって粘膜に対するコントラストが変化し、粘膜に対するコントラストの変化によって深さを識別できることを言う。太さ分解能とは、血管の太さによって粘膜に対するコントラストが変化し、粘膜に対するコントラストの変化によって血管の太さを識別できることを言う。
図5に示すように、観察対象の粘膜から血管の上端(最も粘膜に近い箇所)までの距離を血管の深さ「d」μm、血管の直径を血管の太さ「φ」μmとする場合に、粘膜と、深さ及び太さが異なる複数の血管の反射率をシミュレーションによって算出したグラフが図6である。図6及び以下では、粘膜表面からの深さを「d」と数値、血管の太さを「φ」と数値によって表す。例えば、深さ5μmかつ直径20μmの血管は「d5φ20」で表す。他の深さ及び太さの血管についても同様であり、図6では、d5φ20の血管の他、d5φ40(深さ5μm直径40μm)の血管、d15φ20(深さ15μm直径20μm)の血管、d50φ10(深さ50μm直径10μm)の血管、d50φ20(深さ50μm直径20μm)の血管の各反射率のグラフを示している。
図6から分かる通り、深さ及び太さが異なる複数の血管の反射率のグラフは、概ね450nm以下の波長帯域では、太さ「φ」が異なっていても、深さ「d」が同じ場合には概ね同じの反射率に収束し、かつ、深さ「d」の違いによって収束する反射率の値が異なる。そして、粘膜下の浅い位置にある血管ほど反射率は低く、粘膜下の深い位置にある血管ほど反射率が高くなって、粘膜の反射率に近づく。血管のコントラストは、例えば粘膜の反射率と血管の反射率の比(または差)であり、粘膜に対する明るさの違いが大きいほど視認性が高い。このため、概ね450nm以下の光を照射して観察対象を撮像する場合、図6に反射率のグラフを示す血管の中では、深さ5μm(d5)の血管が最も反射率が低く、暗い血管なので、粘膜に対するコントラストが高く、視認性が良い。逆に、深さ50μm(d50)の血管は最も反射率が粘膜に近く、明るい血管なので、粘膜に対するコントラストは低く、視認性は最も悪い。したがって、概ね450nm以下の波長帯域の光を照射して観察対象を撮像すると、血管の太さによらず、血管の深さによってコントラストがつく。そして、深さの違う血管を比較した場合、血管の深さによって、血管のコントラストに違いがでる。したがって、概ね450nm以下の波長帯域の光は、深さ及び太さが異なる複数の血管に対して、深さ分解能を有する。
一方、概ね450nm以上600nm以下の波長帯域では、深さ「d」が異なっていても、太さ「φ」が同じ場合には概ね同じ反射率に収束し、かつ、太さ「φ」の違いによって収束する反射率の値が異なる。そして、太い血管ほど反射率が低く、細い血管ほど反射率が高くなって、粘膜の反射率に近づく。このため、概ね450nm以下の光を照射して観察対象を撮像する場合、図6に反射率のグラフを示す血管の中では、太さ40μm(φ40)の血管が最も反射率が低く、暗い血管なので、粘膜に対するコントラストが高く、視認性が良い。逆に、太さ10μm(φ10)の血管は最も反射率が粘膜に近く、明るい血管可なので、粘膜に対するコントラストは低く、視認性は最も悪い。したがって、概ね450nm以上600nm以下の波長帯域の光を照射して観察対象を撮像すると、血管の深さによらず、血管の太さによってコントラストがつく。そして、太さの違う血管を比較した場合、血管の太さによって血管のコントラストに違いがでる。したがって、概ね450nm以上600nm以下の波長帯域の光は、深さ及び太さが異なる血管に対して太さ分解能を有する。
なお、図6によれば、概ね600nm以上の波長帯域の光は、血管の深さ及び太さによらず、全ての血管の反射率は粘膜の反射率に近くなるので、600nm以上の波長帯域の光を照射して観察対象を撮像しても、血管は観察し難いことが分かる。
図7に示すように、波長415nmの光を照射する場合のd5φ20の血管の粘膜に対する明るさは、図6のグラフを用いて、「d5φ20の血管の反射率R1/粘膜の反射率R0」(または、d5φ20の血管の反射率R1−粘膜の反射率R0)で求められ、波長450nmを照射する場合のd5φ20の血管の粘膜に対する明るさは「d5φ20の血管の反射率R3/粘膜の反射率R2」(または、d5φ20の血管の反射率R3−粘膜の反射率R2)で求められる。したがって、粘膜の反射率を照射する光の波長帯域で積分した値に対する血管の反射率を照射する光の波長帯域で積分した値の比(または差)が、粘膜に対する血管の明るさである。そして、粘膜に対する血管の明るさの逆数は、血管のコントラストを表す。
V光を照射する場合、深さ及び太さが異なる複数の血管の粘膜に対する明るさは、図8に示すとおりである。また、V光を照射する場合、深さ及び太さが異なる複数の血管のコントラストは、図9に示すとおりである。図9の棒グラフによれば、V光照射時の深さ及び太さが異なる血管のコントラストは、深さが等しければコントラストがほぼ等しい値になる。また、図9の棒グラフをφ20のグループとφ40のグループでそれぞれ深さ順に並べ直した図10からも分かるように、同じ太さの血管を比較すれば、粘膜下の浅い位置にあるほどコントラストが高なっており、深い位置にあるほど粘膜に対するコントラストが小さくなっている。したがって、V光は、深さ分解能を有する。本実施形態では、深さ分解能を有する第1波長帯域とはV光に対応する紫色波長帯域である。
Bs光は、波長450nm近傍の波長帯域を有する光であり、深さ分解能を有する短波長側の波長帯域と、太さ分解能を有する長波長側の波長帯域との境界にあるので、これらの間の過渡的な性質を有することが予測される(図6参照)。Bs光の特性を調べるために、V光と同様にして、深さ及び太さの異なる複数の血管の粘膜に対する明るさを算出し、棒グラフで表したものが図11のグラフである。そして、深さ及び太さの異なる複数の血管の粘膜に対するコントラストを、血管の深さ毎にグループにして太さ順に棒グラフで表したグラフが図12であり、血管の太さ毎にグループにして深さ順に棒グラフで表したグラフが図13である。
図12からわかるように、粘膜下の同じ深さにあって、太さが異なる血管の粘膜に対するコントラストを比較すると、Bs光を照射する場合、血管が太い方が、粘膜に対するコントラストが高くなる。すなわち、Bs光は、粘膜下の同じ深さにある血管に対して太さ分解能を有する。したがって、本実施形態では、粘膜下の同じ深さにある血管に対して太さ分解能を有する第3波長帯域の光とはBs光であり、第3波長帯域とはBs光に対応する青色波長帯域である。
なお、図13から分かるように、Bs光を照射する場合、同じ太さで、深さが異なる血管の粘膜に対するコントラストを比較すると、粘膜下の浅い位置にある血管ほどコントラストが高く、深い位置にある血管ほど粘膜に対するコントラストが低くなる。したがって、Bs光は、同じ太さの血管に対して深さ分解能を有する。
また、図14に示すように、ヘモグロビンの吸光スペクトルのピークは、約420nmから約430nmにある。そして、V光(第1波長帯域の光)のピーク波長は、ヘモグロビンの吸光スペクトルのピークよりも短波長側にあり、かつ、Bs光(第3波長帯域の光)のピーク波長は、ヘモグロビンの吸光スペクトルのピークよりも長波長側にある。そして、V光及びBs光の各ピーク波長における光量が等しければ、ヘモグロビンの吸光強度は同じ程度になる。このため、V光の深さ分解能、及びBs光の同じ深さにある血管に対する太さ分解能は、ヘモグロビンの吸光強度の違いによるものではなく、それぞれV光とBs光の性質である。
光源部20及びBs光生成用帯域制限フィルタ25によって発生した照明光は、光路結合部24を介して挿入部12a内に相通されたライトガイド41に入射する(図2参照)。ライトガイド41は、内視鏡12及びユニバーサルコード(内視鏡12と内視鏡光源装置14及びプロセッサ装置16とを接続するコード)内に内蔵されており、光路結合部24から導光される照明光を内視鏡12の先端部12dまで伝搬する。なお、ライトガイド41としては、マルチモードファイバを使用することができる。一例として、コア径105μm、クラッド径125μm、外皮となる保護層を含めた経がφ0.3〜0.5mmの細径なファイバケーブルを使用することができる。
内視鏡12の先端部12dには、照明光学系30aと撮像光学系30bが設けられている。照明光学系30aは照明レンズ45を有しており、この照明レンズ45を介して、ライトガイド41によって伝搬された照明光は観察対象に照射される。撮像光学系30bは、対物レンズ46、ズームレンズ47、撮像センサ48を有している。観察対象からの戻り光(反射光の他、観察対象等から発生する蛍光を含む光)は、対物レンズ46及びズームレンズ47を介して撮像センサ48に入射する。これにより、撮像センサ48に観察対象が結像される。なお、ズームレンズ47は、ズーム操作部13を操作することで、テレ端とワイド端の間で自在に移動され、撮像センサ48に結像する観察対象を拡大または縮小する。
撮像センサ48はカラー撮像センサであり、観察対象からの戻り光を撮像して画像信号を出力する。撮像センサ48としては、CCD(Charge Coupled Device)撮像センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)撮像センサを利用可能である。また、図15に示すように、撮像センサ48は、R(赤色)カラーフィルタ,G(緑色)カラーフィルタ,及びB(青色)カラーフィルタの3色のカラーフィルタが画素毎に設けられており、観察対象からの戻り光を撮像して色毎の画像信号を出力する。すなわち、撮像センサ48は、Rカラーフィルタが設けられたR画素(赤色画素)と、Gカラーフィルタが設けられたG画素(緑色画素)と、Bカラーフィルタが設けられたB画素(青色画素)とを有し、各画素からそれぞれ画像信号を出力することにより、RGB画像信号を出力する。具体的には、撮像センサ48は、照明光のうちV光とBs光の各戻り光をB画素で受光し、青色画像信号(以下、B画像信号という)を出力する。同様に、照明光のうちG光の戻り光をG画素で受光し、緑色画像信号(以下、G画像信号という)を出力し、R光の戻り光をR画素で受光し、赤色画像信号(以下、R画像信号という)を出力する。
光量比設定部23によって、観察対象の粘膜下にある血管に対して深さ分解能を有するV光と、粘膜下の同じ深さにある血管に対して太さ分解能を有するBs光の光量比が設定されているので、上記各色の画像信号のうち、B画像信号では、粘膜に対する血管のコントラストが、血管の深さ及び太さに応じた目標コントラストになっている。
なお、原色のカラー撮像センサである撮像センサ48の代わりに、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びG(緑)の補色フィルタを備えた補色撮像センサを用いても良い。補色撮像センサを用いる場合には、CMYGの4色の画像信号が出力されるので、補色−原色色変換によって、CMYGの4色の画像信号をRGBの3色の画像信号に変換することにより、撮像センサ48と同様のRGB画像信号を得ることができる。また、撮像センサ48の代わりに、カラーフィルタを設けていないモノクロセンサを用いても良い。この場合、光源部20に、例えば回転式の帯域制限フィルタ(カラーフィルタ)を設けることによって、光源制御部22は、必要に応じて、V光、B光、G光、R光を時分割で点灯させる。但し、V光とB光はどちらもB画素で受光されるので、V光とB光は同時に点灯させても良い。
撮像センサ48から出力される画像信号は、CDS/AGC回路50に送信される。CDS/AGC回路50は、アナログ信号である画像信号に相関二重サンプリング(CDS;Correlated Double Sampling)や自動利得制御(AGC;Automatic Gain Control)を行う。CDS/AGC回路50を経た画像信号は、A/Dコンバータ51により、デジタル画像信号に変換される。A/D変換後のデジタル画像信号がプロセッサ装置16に入力される。
プロセッサ装置16は、受信部53と、DSP(Digital Signal Processor)56と、ノイズ除去部58と、画像生成部62と、映像信号生成部66とを備えている。
受信部53は、内視鏡12からデジタルのRGB画像信号を受信する。DSP56は、受信した画像信号に対して、欠陥補正処理、オフセット処理、ゲイン補正処理、リニアマトリクス処理、ガンマ変換処理、及びデモザイク処理等の各種信号処理を施す。欠陥補正処理では、撮像センサ48の欠陥画素の信号が補正される。オフセット処理では、欠陥補正処理が施されたRGB画像信号から暗電流成分が除かれ、正確な零レベルが設定される。ゲイン補正処理では、オフセット処理後のRGB画像信号に特定のゲインを乗じることにより信号レベルが整えられる。ゲイン補正処理後のRGB画像信号には、色再現性を高めるためのリニアマトリクス処理が施される。その後、ガンマ変換処理によって明るさや彩度が整えられる。リニアマトリクス処理後のRGB画像信号には、デモザイク処理(等方化処理、同時化処理とも言う)が施され、各画素で不足した色の信号が補間によって生成される。このデモザイク処理によって、全画素がRGB各色の信号を有するようになる。
ノイズ除去部58は、DSP56でデモザイク処理等が施されたRGB画像信号に対してノイズ除去処理(例えば移動平均法やメディアンフィルタ法等による)を施すことによって、RGB画像信号からノイズを除去する。ノイズが除去されたRGB画像信号は、画像生成部62に送信される。
画像生成部62は、RGB画像信号に対して、色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理を行い、画像(以下、内視鏡画像という)を生成する。色変換処理では、RGB画像信号に対して3×3のマトリックス処理、階調変換処理、及び3次元LUT(ルックアップテーブル)処理などにより色変換処理を行う。色彩強調処理は、色変換処理済みのRGB画像信号に対して行われる。構造強調処理は、例えば表層血管やピットパターン等の観察対象の構造を強調する処理であり、色彩強調処理後のRGB画像信号に対して行われる。上記のように、構造強調処理まで各種画像処理等を施したRGB画像信号を用いたカラー画像が内視鏡画像である。映像信号生成部66は、画像生成部62が生成した内視鏡画像をモニタ18で表示可能な映像信号に変換する。この映像信号を用いて、モニタ18は内視鏡画像を表示する。
次に、内視鏡システム10の作用を説明する。内視鏡システム10は、光量比設定部23によって、粘膜に対する血管のコントラストが、血管の深さ及び太さに応じた目標コントラストになるように、V光とBs光の光量比を設定する。例えば、表1に示すように、光量比設定部23にはV光とBs光の光量比A0〜A10がプリセットされており、医師は、これらから、B画像信号において、深さ及び太さの異なる血管間のコントラストのバランスが、目標とするコントラストのバランスになる光量比を選択して設定する。表1の光量比A1〜A9の値は、V光のピーク波長の光量/Bs光のピーク波長の光量である。光量比A0は、第1光源20aのV−LEDを消灯し、第2光源20bのB−LEDを点灯させることにより、B画素で受光する波長帯域の成分をBs光のみにする設定であり、光量比A10は、第1光源20aのV−LEDを点灯し、第2光源20bのB−LEDを消灯することにより、B画素で受光する波長帯域の成分をV光のみにする設定である。
図16には、V光とBs光の光量比をA0〜A10の各光量比にした場合の粘膜に対する血管のコントラストを示す。図16では、各光量比の設定で得られる深さ及び太さが異なる血管のコントラストを表す棒グラフを、左から順にd5φ20、d5φ40、d15φ20、d15φ40、d50φ20、及びd50φ40の順に並べている。図16から分かるように、V光の成分が多いほど、太さが異なる血管間のコントラストの差が小さくなり、粘膜下の深さに応じて粘膜に対する血管のコントラストがつくようになる。逆に、Bs光の成分が多いほど、粘膜下の深さだけでなく、血管の太さに応じてコントラストに差がつくようになる。
医師は、鑑別したい病変の特性に応じて、あるいは従来の内視鏡システムとの使用感の違いをなくす等の目的に応じて目標コントラストを定め、定めた目標コントラストが得られる光量比A0〜A10から所望の光量比を選択する。光源制御部22は、V光とBs光の光量比が、光量比設定部23が設定した光量比になるように、第1光源20aと第2光源20bとを制御する。このため、V光及びBs光の戻り光を受光するB画素で得られるB画像信号では、深さ及び太さが異なる複数の血管のコントラストのバランスが、設定された光量比に対応するバランスになる。画像生成部62では、このB画像信号を用いて内視鏡画像を生成するので、内視鏡システム10で生成及び表示する内視鏡画像は、粘膜に対する血管のコントラストが、血管の深さ及び太さに応じた目標コントラストになる。
なお、上記第1実施形態では、11種類の光量比A0〜A10を例示しているが、内視鏡システム10では、V光とBs光の光量比を任意に設定可能なので、内視鏡システム10は、粘膜下の深さ及び太さに応じて血管のコントラストを自在に調節することができる。
[第2実施形態]
図17に示す第2実施形態の内視鏡システム200は、従来の内視鏡システムで行われるいわゆる狭帯域光観察を行うことができるようにした内視鏡システムである。内視鏡システム200には、第2光源20bの光路中に、第2光源20bが発する白色光から、約450nm以下の青色波長帯域を有する青色狭帯域光(第1実施形態のBs光と同じなので、以下、Bs光という)と、Bs光の波長帯域(第3波長帯域)とは異なり、かつ、血管に対して太さ分解能を有する約530nmから550nmの緑色波長帯域(第4波長帯域)を有する緑色狭帯域光(以下、Gn光)を生成するBs光及びGn光生成用帯域制限フィルタ225が挿抜自在に設けられている。Gn光の緑色波長帯域が第4波長帯域であり、Bs光の波長帯域(第3波長帯域)とは異なり、かつ、血管に対して太さ分解能を有する(図6参照)。Bs光及びGn光生成用帯域制限フィルタ225は、第1の帯域制限フィルタであり、かつ、第2の帯域制限フィルタである。
Bs光及びGn光生成用帯域制限フィルタ225の挿抜は、モード切り替え部230によって制御される。観察モード切り替え部230は、操作部12bにある図示しない観察モード切り替えボタンや、図示しないフットスイッチ等の操作によって動作し、Bs光及びGn光生成用帯域制限フィルタ225を挿抜することによって、白色光を用いて観察をする第1観察モードと、V光、Bs光、及びGn光を用いて観察をする第2観察モードと、を切り替える。第1観察モードはいわゆる通常観察モードであり、第2観察モードはいわゆる狭帯域観察モードである。したがって、観察モード切り替え部230は、狭帯域光観察をする第2観察モードが選択された場合には、観察モード切り替え部230はBs光及びGn光生成用帯域制限フィルタ225を第2光源20bの光路中に挿入し、白色光を照射して通常の観察をする第1観察モードが選択された場合には第2光源20bの光路中からBs光及びGn光生成用帯域制限フィルタ225を退避させる。
図18に示すように、内視鏡システム200で狭帯域光観察をする場合の照明光226は、V光、Bs光、及びGn光によって構成される。そして、内視鏡システム200の画像生成部62では、B画素でV光とBs光の戻り光を撮像して得たB画像信号を、Bチャンネル(生成する内視鏡画像のB画素)とGチャンネル(生成する内視鏡画像のG画素)に割り当て、G画素でGn光の戻り光を撮像して得たG画像信号を、Rチャンネル(生成する内視鏡のR画素)に割り当てた内視鏡画像(以下、狭帯域光観察画像という)を生成する。これ以外は、第1実施形態の内視鏡システム10と同様である。
図19に示すように、従来の内視鏡システムでは、V光またはBs光よりも波長帯域が広い広帯域光から、広帯域光の波長帯域を制限する帯域制限フィルタ(以下、広帯域光用帯域制限フィルタという)によって生成される狭帯域光を用いて狭帯域光観察をする。例えば、光源としてキセノンランプを用いる場合、広帯域光はキセノンランプが発光する白色光227であり、この白色光227から、広帯域光用帯域制限フィルタを用いて、約350nmから450nmの波長帯域を有する青色狭帯域光(以下、Bn光という)と、Gn光を生成し、これらを照明光として用いて観察対象を撮像する。狭帯域光観察をする場合、内視鏡システム200のGn光は、従来の内視鏡システムのGn光はほぼ同じ分光スペクトルにすることができるので、G画像信号における深さ及び太さが異なる複数の血管のコントラストのバランスは、従来の内視鏡システムとほぼ等しい。一方、図20に示すように、従来の内視鏡システムで用いるBn光と、内視鏡システム200で用いるV光及びBs光の分光スペクトルは一致しない。このため、従来の内視鏡システムで狭帯域光観察をする場合に得られるB画像信号と、内視鏡システム200で狭帯域光観察をする場合に得られるB画像信号とでは、深さ及び太さが異なる複数の血管の粘膜に対するコントラストのバランスも同じにはならない。
しかし、内視鏡システム200は、光量比設定部23によってV光とBs光の光量比を設定することにより、B画像信号における深さ及び太さが異なる複数の血管間のコントラストのバランスを自在に調節することができる。すなわち、内視鏡システム200は、広帯域光から広帯域光用帯域制限フィルタを用いて生成されるBn光を観察対象に照射する場合の血管のコントラストを目標コントラストにして、V光とBs光の光量比を設定することで、B画像信号における深さ及び太さが異なる複数の血管のコントラストのバランスを、従来の狭帯域光観察をする内視鏡システムのB画像信号におけるコントラストのバランスに一致させることができる。この結果、内視鏡システム200で生成及び表示する狭帯域光観察画像の血管の見え方を、従来の狭帯域光観察画像の血管の見え方にほぼ一致させることができる。
まず、図21に示すように、広帯域光から生成される従来のBn光を照射する場合に得られるB画像信号の血管のコントラストのバランスは、内視鏡システム200でBs光のみ(光量比A0)を照射した場合や、V光のみ(光量比A10)を照射した場合のB画像信号のコントラストのバランスとは一致しない。
一方、図22には、光量比設定部23がV光とBs光の光量比を第1実施形態の光量比A0〜A10(表1参照)に設定する場合の粘膜に対する血管のコントラストを、従来のBn光を照射する場合の粘膜に対する血管のコントラストで規格化して得られるコントラスト比を示す。また、図22には、深さ及び太さが異なる複数の血管のコントラスト比を示す。このため、図22のグラフは、値が100%に近いほど、粘膜に対する血管のコントラストが、従来のBn光を照射する場合に近いことを表す。
図22から分かるように、光量比A0〜A6に設定すると、血管の深さ及び深さに応じたばらつきが大きくなるが、多くの血管が、従来のBn光を照射する場合のコントラスト(100%のライン)を超え、従来よりも視認性が向上する。一方、光量比A7〜A10に設定すると、従来のBn光を照射する場合のコントラストを若干下回るが、血管の深さ及び太さによるコントラストのばらつきは小さくなり、従来のBn光を照射する場合に近いコントラストのバランスが得られる。
また、図23には、光量比設定部23がV光とBs光の光量比A0〜A10(表1参照)に設定する場合について、粘膜下の深さが等しく、かつ、太さが異なる血管間のコントラスト比のグラフを示す。具体的には、図23では、φ20の血管に対するφ40の血管のコントラスト比(φ40/φ20)を、深さd5、d15、d50の3種類の深さについて示している。また、図23のグラフは、従来のBn光を照射する場合のコントラスト比で規格化しているので、値が100%に近いほど、粘膜下の深さが等しく、かつ、太さが異なる血管間のコントラスト比が、従来のBn光を照射する場合に近いことを表す。
図23から分かるように、光量比A0〜A6に設定すると、粘膜下の深さが等しく、かつ、太さが異なる血管間のコントラスト比は、深さの違いによるばらつきが大きくなるが、値が100%を超え、従来のBn光を照射する場合よりも概ね大きくなる。このため、光量比A0〜A6に設定すると、粘膜下の深さが等しく、かつ、太さが異なる血管を、従来のBn光を照射する場合よりもはっきり特別して観察できるようになる。一方、光量比A7〜A10に設定すると、粘膜下の深さが等しく、かつ、太さが異なる血管間のコントラスト比は、従来のBn光を照射する場合を若干下回る場合もあるが、深さの違いによるばらつきも小さく、従来のBn光を照射する場合のコントラスト比にほぼ近い値を維持することができる。特に、光量比をA7からA9に設定すると、粘膜下の深さが等しく、かつ、太さが異なる血管間のコントラスト比は、深さの違いによるばらつきが殆どなく、かつ、従来のBn光を照射する場合のコントラスト比にほぼ一致する。
図24には、光量比設定部23がV光とBs光の光量比A0〜A10(表1参照)に設定する場合について、太さが等しく、かつ、粘膜下の深さが異なる血管間のコントラスト比のグラフを示す。具体的には、図24では、φ20及びφ40の2種類の太さの血管について、深さd15の血管に対する深さd5の血管のコントラスト比(d5/d15)と、深さd50の血管に対する深さd15の血管のコントラスト比(d15/d50)とを示している。また、図24のグラフは、従来のBn光を照射する場合のコントラスト比で規格化しているので、値が100%に近いほど、太さが等しく、かつ、粘膜下の深さが異なる血管間のコントラスト比が、従来のBn光を照射する場合に近いことを表す。
図24から分かるように、太さが等しく、かつ、粘膜下の深さが異なる血管間のコントラスト比は、光量比の設定によらず、従来のBn光を照射する場合に概ね近い値が得られる。但し、光量比A7の条件を境界に、Bs光の成分が多い光量比A0〜A6を比較的細い血管(φ20)のコントラスト比が低下しやすく、血管の太さの違いによるばらつきが大きくなる。また、光量比A7の条件を境界に、V光の成分が多い光量比A8〜A10に設定すると、概ね全ての太さの血管の深さの違いによるコントラスト比は、太さの違いによるばらつきが小さいまま、従来のBn光を照射する場合のコントラスト比を上回る。したがって、光量比をA8〜A10に設定すると、従来のBn光を照射する場合よりも、太さが等しく、かつ、粘膜下の深さが異なる血管を識別しやすくなる。
また、表2には、(1)深さ及び太さが異なる血管間のコントラストのバランス、(2)粘膜下の深さが等しく、かつ、太さが異なる血管間のコントラスト比、(3)太さが等しく、かつ、粘膜下の深さが異なる血管間のコントラスト比、の3個の観点で、内視鏡システム200で光量比をA0〜A10に設定した場合に得られたB画像信号と、従来のBn光を照射して得たB画像信号とで官能的に1〜5の5段階評価した結果を示す。評価は、従来のBn光を照射した場合と最もかけ離れているという評価が「1」、従来のBn光を照射した場合に最も近いという評価を「5」である。評価結果は、複数人が評価した結果の平均値である。
以上のことから、内視鏡システム200で使用する青色狭帯域光はV光とBs光で形成され、従来の広帯域光から形成されるBn光とは異なっており、分光スペクトルは一致しないが、光量比設定部23が、V光とBs光の光量比を「A7」の値(V光のピーク波長の光量/Bs光のピーク波長の光量=5.0)に設定すれば、血管のコントラストの大きさを、Bn光を前記観察対象に照射する場合の血管のコントラストの大きさとほぼ等しくし、
深さ及び太さが異なる複数の血管の粘膜に対するコントラストのバランスが従来のBn光を照射する場合とほぼ一致するするB画像信号を得ることができる。このため、内視鏡システム200は、従来の狭帯域光観察画像と血管の見え方がほぼ等しい狭帯域光観察画像を生成及び表示することができる。
上記の通り、従来の狭帯域光観察画像と血管の見え方がほぼ等しい狭帯域光観察画像を得るためには、光量比設定部23がV光とBs光の光量比を「A7」の値に設定することが最も好ましいが、「V光のピーク波長の光量/Bs光のピーク波長の光量」の値が2.0(光量比A6)以上8.0(光量比A8)以下であれば、従来の狭帯域光観察画像と血管の見え方が概ね等しい狭帯域光観察画像を得ることができる。また、「V光のピーク波長の光量/Bs光のピーク波長の光量」の値が約1.0(光量比A4)以上であれば、従来の狭帯域光観察画像を違和感なく模した狭帯域光観察画像を生成及び表示することができる。
この他、内視鏡システム200では、光量比設定部23によってV光とBs光の光量比を「A0」〜「A6」に設定することで、粘膜下の深さが等しく、かつ、太さが異なる複数の血管のコントラストの比または差を、V光またはBs光よりも波長帯域が広い広帯域光から広帯域光用帯域制限フィルタを用いて生成されるBn光を観察対象に照射する場合の血管のコントラストの比または差を基準として、これよりも大きくすることができる。すなわち、光量比を「A0」〜「A6」に設定することで、粘膜下の深さが等しく、かつ、太さが異なる複数の血管のコントラストの比または差を、従来のBn光を用いる場合よりも強調した新たな狭帯域光観察画像を提供することができる。
また、内視鏡システム200では、光量比設定部23によってV光とBs光の光量比を「A8」〜「A10」に設定することで、粘膜下の深さが異なり、かつ、太さが等しい複数の血管間のコントラストの比または差を、Bn光を観察対象に照射する場合の血管のコントラストの比または差を基準として、これよりも大きくすることができる。すなわち、光量比を「A8」〜「A10」に設定することで、粘膜下の深さが異なり、かつ、太さが等しい複数の血管のコントラストの比または差を、従来のBn光を用いる場合よりも強調した新たな狭帯域光観察画像を提供することができる。
なお、上記第2実施形態では、内視鏡システム200と、狭帯域光観察をする従来の内視鏡システムとして、キセノンランプが発する白色光227から、Bn光及びGn光を生成して利用する内視鏡システムと、を比較しているが、キセノンランプ以外の広帯域光を発する光源(例えば白色LED等)を利用して狭帯域光観察をする内視鏡システムもある。内視鏡システム200は、上記第2実施形態と同様にして、光量比設定部23によって適切な光量比を設定すれば、こうした従来の内視鏡システムで得る狭帯域光観察画像と血管の見え方がほぼ等しい狭帯域光観察画像を得ることができる。
上記第2実施形態では、Bs光及びGn光生成用帯域制限フィルタ225を用いて、第2光源20bが発する白色光からBs光とGn光を同時に生成するが、この代わりに、例えば、図25に示す回転式の帯域制限フィルタ(以下、回転フィルタという)235を用いて、光源制御部22は、Bs光とGn光を順次生成して、Bs光とGn光を観察対象に時分割照射しても良い。回転フィルタ235は、第2光源20bが発する白色光からBs光を生成するBs光生成用帯域制限フィルタ235a(第1の帯域制限フィルタ。第1実施形態のBs光生成用帯域制限フィルタ25に対応する。)と、Gn光を生成するGn光生成用帯域制限フィルタ235b(第2の帯域制限フィルタ)とを外周部に有し、内周には、第2光源20bが発する白色光を透過する素抜け部235cを有する。狭帯域光観察をする第2観察モードが選択された場合、観察モード切り替え部230は、Bs光生成用帯域制限フィルタ235aとGn光生成用帯域制限フィルタ235bとが交互に、第2光源20bの光路中を横切るように回転フィルタ235を配置し、回転させる。一方、通常観察をする第1観察モードが選択された場合、観察モード切り替え部230は、素抜け部235cを、第2光源20bの光路中に配置する。撮像センサ48にモノクロセンサを用いる場合は、回転フィルタ235等を用いて、上記のようにBs光とGn光を順次生成して時分割照射すると良い。
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態で用いるV−LEDやB−LEDの代わりに、中心波長やピーク波長等がこれらと異なる他の半導体光源を用いることもできる。例えば、上記第1実施形態及び第2実施形態では、中心波長415nmのV光を発するV−LEDを用いているが、この代わりに、例えば中心波長405nmのV光を発するLEDを用いることもできる。中心波長405nmのLEDを用いる場合でも、光量比設定部23が設定する光量比は上記第1実施形態及び第2実施形態と光量比とほぼ同じである。また、LEDの代わりに、レーザーダイオード等の他の半導体光源を用いても良い。
上記第1実施形態及び第2実施形態では、光源制御部22は、光量比設定部23が設定する光量比を用いて、第1光源20aのV−LEDと第2光源20bのB−LEDの光量(発光量)を制御するが、光量を制御する代わりに、V−LEDとB−LEDの発光時間を制御して、V光とBs光の光量比を光量比設定部23が設定した光量比にしても良い。また、光量と発光時間の両方を制御して、V光とBs光の光量比を光量比設定部23が設定した光量比にしても良い。V−LEDやB−LEDの光量には、限度があるが、発光時間を制御すれば、あるいは光量と発光時間の両方を制御すれば、光量の制御だけでは実現できない光量比でV光及びBs光を含む照明光を発生させることができる。
上記第1実施形態及び第2実施形態では、B光からBs光を生成して照明光に利用しているが、B光をそのまま照明光に利用してもよい。但し、前述のとおり、Bs光を利用したほうが、粘膜に対する血管のコントラストが得られやすい。
上記第1実施形態及び第2実施形態では、撮像センサ48が設けられた内視鏡12を被検体内に挿入して観察を行う内視鏡システムによって本発明を実施しているが、カプセル内視鏡システムでも本発明は好適である。例えば、図26に示すように、カプセル内視鏡システムでは、カプセル内視鏡400と、プロセッサ装置(図示しない)とを少なくとも有する。
カプセル内視鏡400は、光源402と制御部403と、撮像センサ404と、画像生成部406と、送受信アンテナ408と、を備えている。光源402は、V光を発するV−LEDと、B光を発するB−LEDと、B光の照射によって蛍光を発する蛍光体と、Bs光生成用帯域制限フィルタと、を有しており、上記第1実施形態及び第2実施形態の光源部20に対応する。
制御部403は、上記第1実施形態及び第2実施形態の光源制御部22及び光量比設定部23と同様に機能し、V光とBs光の光量比を設定して光源402を発光制御する。また、制御部403は、送受信アンテナ408によって、カプセル内視鏡システムのプロセッサ装置と無線で通信可能である。カプセル内視鏡システムのプロセッサ装置は、上記各実施形態及び変形例のプロセッサ装置16とほぼ同様であるが、画像生成部406はカプセル内視鏡400に設けられ、生成された内視鏡画像は、送受信アンテナ408を介してプロセッサ装置に送信される。撮像センサ404は上記第1実施形態及び第2実施形態の撮像センサ48と同様に構成される。