以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る銀行システム1の構成を概略的に示す図である。図1の構成は、その一例を示すものであり、本発明に係る送金支援システムの構成は、図1のものに限られない。なお、「銀行システム」の用語は、便宜上用いたものであって、銀行法上の銀行のシステムに限られるものではなく、為替取引を行う金融機関であれば、いかなる金融機関のシステムであってもよい。また、以下、「自行」、「他行」等の用語を用いる際も同様に、銀行法上の銀行に限られるものではなく、為替取引を行う金融機関であれば、いかなる金融機関であってもよい。
本発明の第1の実施の形態に係る銀行システム1は、全銀網3等の金融機関同士を結ぶ金融系ネットワークを介して本支店システム2と通信可能に接続されており、本支店システム2から送金先への送金依頼命令である送金先依頼情報を受信するよう構成されたセンターシステムである。本支店システム2は、金融機関の本店の銀行業務に関する情報処理システムおよび支店の銀行業務に関する情報処理システムの総称である。本支店システム2は、自行の本支店システムであってもよいし、他行の本支店システムであってもよい。
また、銀行システム1は、インターネット5等の情報通信ネットワークを介してユーザ端末6A,6Bと有線又は無線で通信可能に接続されており、後述する送金支援サーバ13とユーザ端末6A,6Bとの間で後述する貸与口座に関する入出金の情報(以下、これを「貸与口座入出金情報」ともいう。)を送受信できるよう構成されている。
この銀行システム1は、全銀網3を介した本支店システム2との間の通信を制御するホストコンピュータである全銀サーバ勘定系ホスト4と、金融機関業務に関する種々の情報処理を行う各種サーバを含む銀行サーバ群10とから構成される。なお、銀行サーバ群10は、銀行口座の管理等を行うホストコンピュータである銀行サーバ勘定系ホスト11と、インターネット5等を介した情報通信を制御する通信サーバ12と、送金支援方法をコンピュータに実行させることにより実現される送金支援サーバ13とを含む。
銀行サーバ勘定系ホスト11は、金融機関である銀行によって指定されて開設された実口座を管理する実口座データベース(DB)20Aを有する。「実口座」とは、銀行等の金融機関によって開設される預貯金および入出金が可能な従来からの実在する口座である。
送金支援サーバ13は、特定取引用店舗管理データベース(DB)13Aと、貸与口座管理データベース(DB)13Bとを有する。特定取引用店舗管理データベース(DB)13Aは、実口座に対して付与される特定店舗番号を含む特定取引用店舗識別情報と、特定取引用店舗識別情報に関連付けられる実口座を特定する実口座情報とを格納するデータベースである。
ここで、「特定店舗番号」とは、銀行間で行われる為替取引のうち、送金の受け取り側となる使用者に預貯金口座を持たせることなく後述する貸与口座を介して為替取引を行わせるという特定の取引(以下、これを「特定取引」ともいう。)に用いられる仮想的な特定の店舗を表す番号である。
また、「特定取引用店舗識別情報」とは、特定取引用店舗を特定する特定店舗番号と、任意の仕向順位を特定する仕向順位情報とを含む情報である。なお、「貸与口座」とは、預貯金ができず入出金のみが行える、利息の付かない一時的な貸し出し口座である。
貸与口座管理データベース(DB)13Bは、特定取引用店舗識別情報に含まれる特定店舗番号と、その特定店舗番号に対応付けられて開設されて受け取り側の使用者が利用可能な貸与口座を特定する貸与口座情報とを格納するデータベースである。
なお、銀行サーバ群10は、金融機関業務における勘定系以外の業務に関するサービスを提供するための処理を行うホストコンピュータである情報系ホスト等の他のサーバ(図示せず)を有してもよい。また、銀行サーバ群10は、ユーザ端末6A,6Bのユーザに対して種々の通知を行う通知サーバ(図示せず)を備えてもよい。銀行サーバ群10のうち通信サーバ12は、自行の自動現金預け払い機(ATM)7に接続されてもよい。なお、銀行システム1は、金融系の情報を処理するシステムであれば、銀行法上の銀行におけるシステムに限られるものではない。また、本実施形態では、全銀網3は、一般社団法人全国銀行協会(全銀協)が制定したフォーマットで通信が行われる全銀網であるが、他の金融系ネットワークであってもよい。
図2は、第1の実施の形態に係る送金支援サーバ13のハードウエア構成を概略的に示す図である。なお、図2はハードウエア構成の一例を示すものであり、第1の実施の形態に係る送金支援サーバ13の構成は、図2のものに限られない。
同図に示す如く、第1の実施の形態に係る送金支援サーバ13は、図1に示す上述の特定取引用店舗管理データベース13A及び貸与口座管理データベース13Bに格納された情報を管理するコンピュータであり、制御部110、記憶部120、入力部130、出力部140、及び通信部150を備え、それぞれがバス160を介して相互に接続されている。
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって構成されており、送金支援サーバ13の動作および各種処理を統括的に制御する。制御部110は、記憶部120に予め記憶された送金支援プログラムを適宜読み出して実行することにより、送金支援方法を実現可能に構成されている。送金支援サーバ13の詳細な動作及び各種処理については後述する。
記憶部120は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び/又はハードディスクドライブ等からなり、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体で構成されている。記憶部120には、制御部110が送金支援を行う処理を実行するための送金支援プログラムが格納される。記憶部120は、非一過性であり、かつ、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体で構成されるのが好ましい。なお、第1の実施の形態では、特定取引用店舗管理データベース13A及び貸与口座管理データベース13Bは、図2に示すように、バス160を介して送金支援サーバ13の制御部110、記憶部120、入力部130、出力部140、及び通信部150と接続されているが、記憶部120に特定取引用店舗管理データベース13A及び貸与口座管理データベース13Bの全部又は一部が格納されてもよい。
送金支援サーバ13は、通信部150を介して銀行サーバ群10のLAN等の通信網に接続されており、当該通信網を介して銀行サーバ群10の銀行サーバ勘定系ホスト11および通信サーバ12と相互に通信可能に構成される。
ここで、特定取引用店舗管理データベース13A及び貸与口座管理データベース13Bについて説明するにあたり、まず、銀行等の金融機関に開設される実口座について図1及び図3を参照しながら説明する。
銀行等の金融機関では、銀行サーバ勘定系ホスト11(図1)に、実口座データベース20Aを有している。実口座データベース20Aには、図3(a)に示すように、金融機関コード201、店舗番号202、預金種別203、及び、口座番号204で特定される実口座情報RA1と、口座名義人205で特定される実口座の口座名義情報AN1と、残高(円)206を示す残高情報TB1とを含む実口座テーブルT1が格納されている。
銀行等の金融機関は、実口座を開設しようとする開設希望者に対して、本人確認書類の記入及び印鑑の届出を求め、これらの手続きが完了すると、当該実口座の開設希望者(以下、「口座開設者」と呼ぶこともある。)を口座名義人として、実際の店舗(以下、これを「実店舗」ともいう。)と対応付けた状態で実口座を開設する。このように銀行等の金融機関において実口座が開設されると、実口座テーブルT1に、実口座に対する開設希望者の種々の情報(実口座情報RA1、口座名義情報AN1、および、残高情報TB1)が格納される。
例えば、「管理 太郎」という名前の開設希望者が、ABC銀行という金融機関のXY支店という実店舗に実口座を開設する場合、実口座テーブルT1には、ABC銀行の金融機関コード201「1310」、XY支店の店舗番号202「137」、実口座の預金種別203「1」、実口座の口座番号204「1234567」、口座名義人205「管理 太郎」、及び、残高(円)206「0」(円)としたレコードが追加される(図3(a)参照)。
ここで、「金融機関コード」とは、金融機関であるABC銀行を特定するために各金融機関毎に付与された識別情報であり、第1の実施の形態では、一般社団法人全国銀行協会(全銀協)が制定した、いわゆる全銀フォーマットに準拠した4桁の数字で表される。「店舗番号」とは、各金融機関の各店舗に付与された固有の番号であり、第1の実施の形態では、全銀フォーマットに準拠した3桁の数字で表される。
「預金種別」とは、各口座に対し、預金種別を特定するために付与される情報であり、全銀フォーマットに準拠した1桁の数字で表される。預金種別において、例えば、「1」は、預貯金及び入出金が可能な預金口座であることを示し、「9」は、預貯金ができず入出金のみが行える利息の付かない一時的な貸与口座であることを示す。「口座番号」とは、各店舗において開設された実口座を特定する固有の番号であり、第1の実施の形態では、全銀フォーマットに準拠した7桁の数字で表される。なお、下一桁は、チェックディジットとして用いる番号であるため、口座番号として使用可能な桁数は、実質的には上6桁である。「残高(円)」とは、実口座の残高であり、この場合の単位は日本の円である。
次に、開設希望者によって開設された実口座が特定取引用店舗に対応付けられる場合について、図3(b)を参照して説明する。特定取引用店舗管理データベース13Aには、図3(b)に示すように、ABC銀行により指定されて開設された実口座に対して付与される特定取引用店舗識別情報SD2と、当該実口座を示す実口座情報RA2と、当該実口座の口座名義人を示す口座名義情報AN2とを有する特定取引用店舗管理テーブルT2が格納されている。
ここで、「特定取引用店舗識別情報SD2」は、特定取引用店舗を識別する固有の情報であり、第1の実施の形態では、全銀フォーマットで定められた店舗番号と同様に3桁の数字で表される特定店舗番号211Aを含む。また、後述するように同じ特定店舗番号211Aに対して二以上の実口座が関連付けられている場合に備えて、特定取引用店舗識別情報SD2は、さらに仕向順位を表す仕向順位211Bを含んでもよい。
「実口座情報RA2」は、実口座テーブルT1に格納された実口座情報RA1と同じ情報であり、第1の実施の形態では、金融機関コード212A、店舗番号212B、預金種別212C、及び口座番号212Dの各フィールドを含む。
「口座名義情報AN2」は、実口座テーブルT1に格納された口座名義情報AN1と同じ情報であり、本実施形態では、口座名義人212Eのフィールドを含む。
例えば、図3(a)の実口座テーブルT1の実口座情報RA1によって特定される実口座を特定取引用の特定店舗に対応付ける場合、図3(b)に示すように、特定取引用店舗管理テーブルT2には、特定店舗番号211Aに対して銀行システム1により予め付与された特定店舗番号「888」が格納され、特定店舗番号211A「888」に関連付けられる実口座を示す実口座情報RA2として、金融機関コード212A「1310」、店舗番号212B「137」、預金種別212C「1」、及び、口座番号212D「1234567」が格納され、特定店舗番号211A「888」に関連付けられる実口座の口座名義情報AN2として、口座名義人212E「管理 太郎」が格納される。
次に、口座開設者によって特定取引用店舗に対応付けて貸与口座が開設される場合について、図3(c)を参照して説明する。
貸与口座管理データベース(DB)13Bには、図3(c)に示すように、貸与口座情報LA3と、口座名義情報AN3と、残高情報TB3とを含む貸与口座管理テーブルT3が格納されている。
貸与口座情報LA3は、特定店舗に対応付けられて開設される貸与口座を特定する固有の情報であり、貸与口座が開設される金融機関を特定する金融機関コード232A、特定店舗番号を表す店舗番号232B、開設される貸与口座の預金の種別を示す預金種別232C、開設される貸与口座の口座番号232Dの各フィールドを含む。口座名義情報AN3は、貸与口座の開設を希望する貸与口座開設希望者(この場合、実口座の口座開設者と同じ)である「管理 太郎」の名前を表す口座名義人233Aのフィールドを含み、残高情報TB3は、貸与口座の残高を表す残高(円)234Aのフィールドを含む。
貸与口座は、実口座の口座名義人からの依頼により開設されるものであるため、実口座の開設時に求められる本人確認書類や印鑑届出を必要としない。例えば、実口座テーブルT1の口座名義情報AN1の口座名義人205「管理 太郎」から貸与口座の開設依頼があった場合を一例とする。
このとき、貸与口座管理テーブルT3には、金融機関コード232A「1310」、店舗番号232Bが特定店舗番号である「888」、預金種別232Cが貸与口座を意味する「9」、口座番号232D「7788663」、口座名義人233Aが実口座と同一の口座名義人である「管理 太郎」、及び、残高(円)234A「0」(円)が、貸与口座情報LA3、口座名義情報AN3、および、残高情報TB3の各フィールドの値として格納される。
また、実口座テーブルT1の口座名義人205「管理 太郎」から更なる追加の貸与口座の開設依頼があったときは、金融機関コード232A「1310」、店舗番号232B「888」、預金種別232C「9」、口座番号232Dが先ほどとは異なる「3939391」、口座名義人233Aが実口座の口座名義人である「管理 太郎」、及び、残高(円)234A「0」(円)が各フィールドの値として格納される。因みに、図3(a)乃至(c)に示すように、貸与口座の開設時においては、貸与口座の口座名義人233A(図3(c))は、実口座テーブルT1(図3(a))における口座名義人205「管理 太郎」と同じである。
図4は、図2の本発明の第1の実施の形態に係る送金支援サーバ13の制御部110による送金支援機能を実現するための機能ブロック図である。図4に示すように、送金支援サーバ13の制御部110が送金支援サーバプログラムに従って実行することによって実現される機能部は、貸与口座名義変更部111と、送金先依頼データ受付部112と、特定店舗情報判定部113と、貸与口座名義情報判定部114と、条件判定部115と、貸与口座宛先振替処理部116とを有する。
すなわち送金支援サーバ13は、コンピュータ(ハードウエア)の記憶部120に上述した送金支援サーバプログラム(ソフトウエア)をインストールすることによって実現され、当該サーバプログラムによりハードウエアが制御されて、ハードウエアとソフトウエアとが協働することにより各機能部が実現される。なお、記憶部120には、口座開設者である「管理 太郎」から受け取り側となり得る複数の利用者の名前が記載されたリストデータについても予め記憶しているものとする。ここでは、記憶部120にリストデータを予め記憶することとしたが、受取側となり得る複数の利用者の名前は、リストデータを記憶部120に予め記憶する以外の他の方法で特定されていてもよい。例えば、受取側となり得る複数の利用者の名前を、銀行システム1以外の外部のデータベースに予め記憶させておく方法がある。
貸与口座名義変更部111は、口座開設者である「管理 太郎」から受け取り側の利用者となり得る「山田 次郎」の名前が予め特定された上記リストデータを記憶部120(図2)から読み出し、受け取り側となり得る利用者「山田次郎」に対する認証処理の結果に応じて、貸与口座管理テーブルT3における貸与口座の口座名義情報AN3の口座名義人233Aを口座開設者である「管理 太郎」から利用者である「山田 次郎」の名義情報に書き換える機能部である。ここで、受け取り側の貸与口座の利用者となるべき「山田 次郎」に対する認証処理は、指紋認証、免許証情報の確認等のいかなる認証方法であってもよい。
貸与口座名義変更部111による貸与口座管理テーブルT3の口座名義情報AN3の口座名義人233Aに対する書き換えは、送金先依頼データ受付部112において後述する送金先依頼データM(図6)を受け付けたのと同時、または、送金先依頼データ受付部112において送金先依頼データMを受け付ける前に行われる。
ここで、貸与口座管理テーブルT3の口座名義情報AN3の口座名義人233Aに対する書き換えを、送金先依頼データ受付部112における送金先依頼データMの受け付けの前に行う場合、口座開設者である「管理 太郎」と受け取り側の利用者となり得る「山田 次郎」との間で貸与口座の貸与契約が締結されたことを示す貸与契約締結情報(図示せず)を送金支援サーバ13の制御部110において受け付けたときに行う。なお、貸与契約締結情報は、例えば、図1に示すようなインターネット5等の情報通信ネットワークを介してユーザ端末6A,6Bから銀行システム1に送信されてもよいし、図2に示す入力部130を介して直接入力されてもよい。
認証処理の結果が利用者である「山田 次郎」本人であると判別され、その判別結果の通知を貸与口座名義変更部111が受けた場合、貸与口座名義変更部111は「山田 次郎」に対して貸与口座を貸し出してもよいと判断することが可能となる。
この場合、貸与口座名義変更部111は、例えば、図3(c)の貸与口座管理テーブルT3における口座名義情報AN3の口座番号232D「7788663」である貸与口座の口座名義人233Aを、実口座の口座名義人205「管理 太郎」から、受け取り側の貸与口座の利用者である「山田 次郎」へ変更する。図5は、貸与口座管理テーブルT3における口座名義情報AN3の口座名義人233Aを「管理 太郎」から「山田 次郎」へ変更した後の貸与口座管理テーブルT3の一例を示す図である。
このように、貸与口座名義変更部111が貸与口座管理テーブルT3における口座名義情報AN3の口座名義人233Aを口座開設者「管理 太郎」から受け取り側となる利用者「山田 次郎」の名義情報に書き換えることにより、この貸与口座を利用者に対して一時的に貸し出した状態とすることができる。こうすれば、例えば、所定の会社が「管理 太郎」を口座名義人としてABC銀行に実口座を予め開設しておき、その実口座と関連付けられる貸与口座を受け取り側となる新入社員である「山田 次郎」に対して一時的に貸し出すことができる。
こうすることにより、新入社員である利用者「山田 次郎」は、ABC銀行に自らの預金口座を開設する必要なしに、貸与口座を介して自分宛の給与等のお金を受け取ることが可能となる。また、例えば「山田 次郎」が会社を退職したときには、貸与口座管理テーブルT3における口座名義情報AN3の口座名義人233Aを実口座の口座名義人である「管理 太郎」に戻すだけでよく、別の社員が入社した際は、当該貸与口座を当該別の社員の名義に書き換えればよい。かくして、受け取り側となる利用者にとっては、金融機関に実口座を開設する手間がなくなり、また、金融機関にとっても、実口座の口座名義人にとっても、貸与口座の管理が容易となる。
送金先依頼データ受付部112は、送金依頼者から全銀網3等の金融系ネットワークを介して送金先依頼データを受け付ける機能部である。図6は、例えば送金依頼者が本支店システム2から送信し、全銀網3を介して受け付けられる第1の実施の形態における送金先依頼データMのフォーマットの一例を示す図である。
送金先依頼データMは、送金依頼者301を特定する送金依頼者情報PNと、送金先となる貸与口座が開設されているABC銀行を特定する金融機関コード302、送金先となる店舗を特定する送金先店舗番号303、仕向順位304、預金種別305、及び送金先となる貸与口座を特定する送金先口座番号306の各フィールドを含む送金先依頼情報TRと、受取人を特定する受取人名義307のフィールドを含む送金先名義情報TNと、送金金額(円)308のフィールドを含む送金金額情報TAとを含む。仕向順位304は、1つの特定店舗番号に対して二以上の実口座が存在する場合に、いずれの実口座へ仕向けるかを指定する場合に用いる情報である。送金先依頼データMは、上述した送金依頼者情報PN、送金先依頼情報TR、送金先名義情報TN、および送金金額情報TAに加え、送金依頼日時等の他のフィールドを有してもよい。
例えば、送金依頼者である「管理 太郎」から貸与口座の利用者である「山田 次郎」宛てに10,000円を送金する場合、送金先依頼データMは、送金依頼者情報PNの送金依頼者301が「管理 太郎」であり、送金先依頼情報TRの金融機関コード302「1310」、送金先店舗番号303「888」、仕向順位304「1」、預金種別305「9」、送金先口座番号306「7788663」であり、送金先名義情報TNの受取人名義307「山田 次郎」であり、送金金額情報TAの送金金額(円)308「10,000」円となる。
特定店舗情報判定部113は、送金先依頼データMの送金先依頼情報TRに含まれる送金先店舗番号303が、特定取引用店舗管理テーブルT2の特定店舗番号211A(図3(b))と一致するか否かを判定する。図3(b)の例では、特定取引用店舗管理テーブルT2の特定店舗番号211A「888」であるため、送金先依頼データMの送金先店舗番号303「888」と、特定店舗番号211A「888」とは一致していると判定される。
特定店舗情報判定部113によって一致していると判定された場合、送金先依頼データMにより特定されるのは特定店舗番号211A「888」の特定店舗であるから、貸与口座管理テーブルT3において実口座の口座開設者である「管理 太郎」により貸与口座が既に開設されていることを意味する。一方、一致していない場合、送金先依頼データMの送金先依頼情報TRにより特定される送金先の口座は、貸与口座ではなく、実口座であることを意味する。
特定店舗情報判定部113において、送金先依頼データMの送金先依頼情報TRに含まれる送金先店舗番号303「888」が、特定取引用店舗管理テーブルT2の特定店舗番号211Aと一致すると判定された場合、貸与口座名義情報判定部114は、送金先依頼データMのうち送金先名義情報TNの受取人名義307が、貸与口座管理テーブルT3に格納された口座名義情報AN3の口座名義人233Aと一致するか否かを判定する。
具体的には、貸与口座名義情報判定部114は、図6に示した送金先依頼データMの送金先名義情報TNの受取人名義307「山田 次郎」が、貸与口座管理テーブルT3の口座名義情報AN3の口座名義人233Aと一致するか否かを判定する。図5に示したように、貸与口座管理テーブルT3において、口座名義情報AN3の口座名義人233Aが既に受け取り側となる利用者の名義情報「山田 次郎」に書き換えられている場合、すなわち、貸与口座が利用者である「山田 次郎」に貸し出されている場合、送金先依頼データMの受取人名義307「山田 次郎」が、貸与口座管理テーブルT3のうち口座名義情報AN3の口座名義人233A「山田 次郎」と一致することになる。この場合、貸与口座名義情報判定部114において、送金先依頼データMの送金先となる貸与口座が有効であると判定される。
一方、貸与口座管理テーブルT3が図3(c)に示す状態である場合、すなわち貸与口座の口座名義人233Aが受け取り側となる利用者の名義情報「山田 次郎」に書き換えられておらず、すなわち貸与口座が貸し出されていない状態にある場合、送金先依頼データMの受取人名義307「山田 次郎」が、貸与口座の口座名義情報である口座名義人226「管理 太郎」と一致しない。この場合、貸与口座名義情報判定部114において、送金先依頼データMの送金先依頼情報TRにより特定される貸与口座が無効であると判定される。無効であると判定された場合、送金支援サーバ13の制御部110では、送金処理を行わず終了する。なお、制御部110は、送金処理を行わない場合、送金依頼者にエラーメッセージを返す等のエラー処理を行ってもよい。
条件判定部115は、貸与口座が、実口座の口座名義人が貸与口座について定めた所定の条件を満たすか否かを判定する機能部である。貸与口座について定められた所定の条件とは、例えば、貸与口座利用者である「山田 次郎」による受取意思を示す受取意思確認情報(図示せず)を、インターネット5を介して受信したことである。あるいは、貸与口座に対する他の所定の条件は、送金依頼者による貸与口座利用者である「山田 次郎」への払い出し許可を示す払い出し許可確認情報(図示せず)を、インターネット5を介して受信したことである。
このように条件判定部115を設けておき、条件判定部115において、貸与口座について所定の条件を満たすと判定された場合にのみ、貸与口座宛先振替処理部116における処理を行うようにすることで、金融機関に口座を有しない者への送金処理といった為替取引をより安全かつ確実に実行することができる。
貸与口座宛先振替処理部116は、実口座テーブルT1(図3(a))の実口座情報RA1により特定される店舗番号202「137」、口座番号204「1234567」に対応した実口座から、貸与口座管理テーブルT3(図5)の貸与口座情報LA3により特定される店舗番号232B「888」、口座番号232D「7788663」に対応した貸与口座へ振り替える振替処理を実行する。
例えば、図7(a)に示すように、貸与口座宛先振替処理部116は、実口座テーブルT1の残高情報TB1の残高(円)206「10,000」円であるときに、実口座の残高「10,000」円を貸与口座管理テーブルT3の口座名義情報AN3の口座名義人233A「山田 次郎」に対応付けられた口座番号232D「7788663」の貸与口座へ振り替える振替処理を実行する。
この場合、図7(b)に示すように、実口座テーブルT1の実口座情報RA1により特定される実口座(店舗番号202「137」、口座番号204「1234567」)に対応した実口座の残高(円)206「10,000」円から10,000円分が減算されて「0」円となり、貸与口座管理テーブルT3の貸与口座情報LA3により特定される口座名義情報AN3の口座名義人233A「山田 次郎」の貸与口座(店舗番号232B「888」、口座番号232D「7788663」)の残高(円)234A「0」円に10,000円が加算されて「10,000」円となる。これにより、ABC銀行に預金口座を有さない利用者である「山田 次郎」に対して、口座開設者である「管理 太郎」から10,000円を送金することが可能となる。
また、上述の実口座から貸与口座への振替処理を行うに先立ち、例えば、記憶部120又は外部の記憶部(図示せず)に取引ログデータベース(図示せず)を設けておき、振替処理に係る取引ログを記録しておいてもよい。取引ログは、例えば、送金の取引日、送金依頼者、送金先貸与口座等の情報を含む。
また、図4の機能ブロック図に示す各機能部に加え、本実施形態による送金支援サーバ13は、送金支援サーバ13の制御部110が送金支援サーバプログラムに従って実行することによって実現される貸与口座着金通知部(図示せず)を有してもよい。貸与口座着金通知部は、貸与口座宛先振替処理部116において、上述したように、実口座から貸与口座への振替処理が実行されると、振替処理が完了したことを意味する図8に示すような貸与口座着金通知情報N1をインターネット5を介して貸与口座名義人である受取人(この場合、「山田 次郎」)へ送信する。すなわち、貸与口座着金通知情報N1は、上述の貸与口座入出金情報としてインターネット5を介してユーザ端末6a,6bへ送信される。因みに、貸与口座着金通知部は、貸与口座名義人である「山田 次郎」宛のメールアドレス等の連絡先を予め認識しているものとする。
この貸与口座着金通知情報N1は、例えば送金先依頼データM(図6)の内容と同じ送金依頼者301「管理 太郎」を含む送金依頼者情報PNと、金融機関コード302「1310」、送金先店舗番号303「888」、仕向順位304「1」、預金種別305「9」、送金先口座番号306「7788663」を含む送金先依頼情報TR、受取人名義307を含む送金先名義情報TNと、送金金額(円)308「10,000」円を含む送金金額情報TAとに加えて、貸与口座着金日情報DA1の取引日401「2017/08/31」のフィールドを加えたものである。
ここで、取引日401のフィールドは、例えば、記憶部120又は外部の記憶部(図示せず)の取引ログデータベース(図示せず)から読み出された取引ログに基づく情報である。なお、貸与口座着金通知部(図示せず)は、送金支援サーバ13の制御部110に設けられてもよいし、図1に示すように送金支援サーバ13とは別の通知サーバ16に設けられてもよい。
図9は、図2の第1の実施の形態の送金支援サーバ13により実行される処理を示す概略的なフローチャートである。送金支援方法の各処理は送金支援サーバ13の制御部110によって実行され、記憶部120或いは送金支援サーバ13に格納された各種データは、この送金支援処理の各ステップに応じて読み出される。
ここでは、図3(a)乃至(c)、図5及び図7(a)及び(b)に示す実口座テーブルT1、特定取引用店舗管理テーブルT2、及び貸与口座管理テーブルT3を用いて、本実施形態に係る送金支援方法について説明する。
送金支援サーバ13の制御部110は、貸与口座名義変更部111により、口座開設者が特定した利用者となり得る複数の社員の名前が記載されたリストデータを記憶部120から読み出し、貸与口座を利用する受け取り側の利用者に対する認証処理の結果に応じて、その利用者がリストデータに記載された者であれば、貸与口座管理テーブルT3のうち口座名義情報AN3の口座名義人233A「管理 太郎」からリストデータの「山田 次郎」に変更する(ステップS1)。
次に、送金支援サーバ13の制御部110は、送金先依頼データ受付部112により、全銀網3を介して、送金先となる店舗を特定する送金先店舗番号303と受取人を特定する受取人名義307とを含む送金先依頼データMを受け付ける(ステップS2)。
そして、送金支援サーバ13の制御部110は、特定店舗情報判定部113により、送金先依頼データMの送金先店舗番号303が特定取引用店舗管理テーブルT2の特定店舗番号211Aと一致するか否かを判定する(ステップS3)。図3(b)の例では、特定取引用店舗管理テーブルT2では、特定店舗番号211A「888」であるため、送金先依頼データMの送金先店舗番号303「888」と、特定店舗番号211A「888」とは一致していると判定される(ステップS3:YES)。
一致している場合、送金先依頼データMの送金先の店舗は、特定店舗番号211A「888」であり、貸与口座管理テーブルT3において貸与口座が既に開設されていることを意味するため、送金支援サーバ13の制御部110は、ステップS4に進む。一方、一致しない場合は(ステップS3:NO)、送金先依頼データMの送金先の店舗は、貸与口座のない実店舗であることを意味するため、送金支援サーバ13の制御部110は、これ以上の処理を行わず、送金支援方法は終了する。
ステップS4において、送金支援サーバ13の制御部110は、送金先依頼データMにおける送金先名義情報TNの受取人名義307「山田 次郎」が、貸与口座管理テーブルT3における口座名義情報AN3の口座名義人233Aと一致するか否かを判定する。
貸与口座管理テーブルT3が図5に示す状態である場合、すなわち、口座名義情報AN3の口座名義人233A「山田 次郎」である場合、送金先依頼データM(図6)における送金先名義情報TNの受取人名義306「山田 次郎」が、貸与口座管理テーブルT3における口座名義情報AN3の口座名義人233A「山田 次郎」と一致することになり(ステップS4:YES)、次のステップS5へ移る。
一方、一致しないと判定された場合(ステップS4:NO)、特定店舗情報判定部113は、送金先依頼データMが貸し出しされていない無効な貸与口座への送金を依頼するものであると判定するため、送金支援方法を終了する。
次に、ステップS5において、送金支援サーバ13の制御部110は、条件判定部115により、貸与口座について実口座の口座名義人が定めた所定の条件を満たすか否かを判定する。貸与口座についての所定の条件は、例えば、貸与口座の利用者となる「山田 次郎」による受取意思を示す受取意思確認情報を、インターネット5を介して受信したこと、あるいは、貸与口座についての他の所定の条件は、送金依頼者による貸与口座の利用者となる「山田 次郎」への払い出し許可を示す払い出し許可確認情報を、インターネット5を介して受信したことである。
このようにステップS5において条件の判定を実行し、貸与口座について所定の条件を満たすと判定された場合にのみ、ステップS6における貸与口座への振替処理を実行するようにしたことにより、金融機関に口座を有しない者への送金処理といった為替取引をより安全かつ確実に実行することができる。
次に、ステップS6において、送金支援サーバ13の制御部110は、貸与口座宛先振替処理部116により、送金先依頼データMに基づいて実口座から貸与口座への振替処理を実行した後、全ての処理を終了する。具体的には、図7(a)に示すように、実口座テーブルT1のうち残高情報TB1の残高(円)206「10,000」円であるとき、貸与口座管理テーブルT3における口座名義情報AN3の口座名義人233A「山田 次郎」の貸与口座に10,000円を振り替える。
この場合、図7(b)に示すように、実口座テーブルT1における残高情報TB1の残高(円)206から10,000円が減算されて「0」円となり、貸与口座管理テーブルT3における口座名義情報AN3の口座名義人233A「山田 次郎」の残高(円)234A「10,000」円となる。これにより、ABC銀行に預金口座を有さない者である「山田 次郎」に対して、口座開設者である「管理 太郎」から口座番号232D「7788663」の貸与口座を経由して送金することが可能となる。
このようにして、送金支援サーバ13の制御部110は、実口座から貸与口座への振替処理を行うことにより、送金先依頼データMにおける送金先名義情報TNの受取人名義306「山田 次郎」以外へ誤った振替処理(送金処理)が行われることを未然に防ぐことができる。
なお、既存の銀行サーバ勘定系ホスト11では、不正な操作を防ぐためのセキュリティ対策として、実店舗以外の店舗番号に対する送金処理を受け付けない設定としている場合がある。このようにセキュリティ対策が講じられている銀行システム1であっても、必ず実口座を介して貸与口座へ振替処理するようにしておけば、既存の銀行サーバ勘定系ホスト11における処理を大きく変更することなく、実口座を有していない貸与口座の利用者に対して安全に送金することが可能となる。
また、送金先依頼データMにおける送金先名義情報TNの受取人名義307と、貸与口座管理テーブルT3における口座名義情報AN3の口座名義人233Aとが一致しない場合(ステップS4:NO)、送金依頼者にエラーメッセージを送ることにより、送金依頼者に対し、送金先依頼データMの誤りを修正し、再度送金処理を試行させるように促すことができる。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。この場合、送金支援サーバ13に他の機能が付加されている。第2の実施の形態における銀行システムの構成は、図1を参照して上述した第1の実施の形態に係る銀行システム1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る送金支援サーバ13の他の機能を説明するための機能ブロック図である。図4との対応部分に同一符号を付した図10に示すように、送金支援サーバ13の制御部110が送金支援サーバプログラムに従って実行することにより実現される機能部は、図4に示した貸与口座名義変更部111〜貸与口座宛先振替処理部116に加えて、送金依頼者から貸与口座の利用者への送金先依頼データMに基づき当該貸与口座に対応付けられた実口座に対する入金処理を実行する実口座入金処理部117を有する。
この実口座入金処理部117は、変更送金先依頼データ生成部117A、実口座着金処理部117B及び実口座着金通知部117Cを更に有する。このような他の機能により、実口座の開設者以外の者であっても、金融機関に実口座を有さない貸与口座の利用者へ安全且つ確実に送金を行うことが可能となる。
変更送金先依頼データ生成部117Aは、口座開設者以外の者である送金依頼者「振子 美緒」からの送金先依頼データMの内容を、特定取引用店舗管理テーブルT2に格納されている口座開設者である「管理 太郎」の実口座情報RA2及び口座名義情報AN2に合わせて変更し、変更送金先依頼データMMとして生成する機能部である。
具体的には、変更送金先依頼データ生成部117Aは、口座開設者以外の者である送金依頼者「振子 美緒」からの送金先依頼データMの送金先依頼情報TRにおける送金先店舗番号303および送金先口座番号306、ならびに、送金先名義情報TNにおける受取人名義307を、実口座の開設者である「管理 太郎」の特定取引用店舗管理テーブルT2(図3(b))における実口座情報RA2の店舗番号212Bおよび口座番号212D、ならびに、口座名義情報AN2における口座名義人212に合わせて変更し、変更送金先依頼データMMを生成する。
実口座着金処理部117Bは、変更送金先依頼データ生成部117Aにおいて生成した変更送金先依頼データMMに基づいて、実口座の開設者である「管理 太郎」の実口座テーブルT1(図3(a))の実口座に着金処理を行う機能部である。具体的には、実口座着金処理部117Bは、変更送金先依頼データMMに基づいて、実口座の開設者である「管理 太郎」実口座テーブルT1の実口座情報RA1により特定される送金先口座番号306「1234567」の実口座に送金金額308「10,000」円の着金処理を行う。
実口座着金通知部117Cは、実口座着金処理部117Bにおいて実口座の開設者である「管理 太郎」実口座に対する着金処理が実行されると、図12に示すような実口座に対する着金処理が実行されたことを通知する実口座着金通知情報N2を受取人である貸与口座名義人「山田 次郎」へ送信する機能部である。
具体的には、実口座着金通知部117Cは、上述した変更送金先依頼データMMに基づいて実口座テーブルT1の実口座に対して「10,000」(円)を加算する着金処理が実行されると、図11に示す送金先依頼データMの送金依頼者情報PN、送金先依頼情報TR、送金先名義情報TN及び送金金額情報TAに基づいて、図12に示す実口座着金通知情報N2を生成する。そして、実口座着金通知部117Cは、この実口座着金通知情報N2を、インターネット5を介して貸与口座名義人である「山田 次郎」宛に送信する。すなわち、実口座着金通知情報N2は、上述の貸与口座入出金情報としてインターネット5を介してユーザ端末6A,6Bへ送信される。因みに、実口座着金通知部117Cは、貸与口座名義人である「山田 次郎」宛のメールアドレス等の連絡先を予め認識しているものとする。
例えば、口座開設者以外の者である送金依頼者「振子 美緒」から、金融機関に預金口座を有さない利用者である「山田 次郎」に対して送金する場合について具体的に説明する。
より具体的には、実口座入金処理部117の変更送金先依頼データ生成部117Aは、図11に示す送金依頼者「振子 美緒」からの送金先依頼データMの内容を、実口座の開設者である「管理 太郎」の特定取引用店舗管理テーブルT2(図3(b))における実口座情報RA2の内容に合わせて変更すべく、送金先依頼データMの金融機関コード302、送金先店舗番号303、預金種別305、及び送金先口座番号306の内容を、実口座情報RA2の金融機関コード212A、店舗番号212B、預金種別212C、及び口座番号212Dの内容でそれぞれ置き換える。これにより、図11に示すような変更送金先依頼データMMが作成される。変更送金先依頼データMMにおいて、送金先店舗番号303は「888」から「137」に変わり、預金種別305は「9」から「1」に変わり、送金先口座番号306は「7788663」から「1234567」に変わり、受取人名義307は「山田 次郎」から「管理 太郎」に変わる。変更送金先依頼データMMは、図1の銀行サーバ勘定系ホスト11へ送信され、銀行サーバ勘定系ホスト11において実口座テーブルT1の口座名義人205「管理 太郎」の実口座情報RA1で示される実口座への入金処理が行われる。
実口座入金処理部117の実口座着金処理部117Bは、より具体的には、図11に示す変更送金先依頼データ生成部117Aにおいて生成した変更送金先依頼データMMの送金先依頼情報TRによって特定される実口座の開設者である「管理 太郎」の実口座に、変更送金先依頼データMMの送金金額情報TAで特定される金額の着金処理を行う。図11の変更送金先依頼データMMの送金先依頼情報TRの金融機関コード302「1310」、送金先店舗番号303「137」、送金先口座番号306「1234567」、及び受取人名義307「管理 太郎」に基づき、図3(a)の実口座テーブルT1の実口座情報RA1が金融機関コード201「1310」、店舗番号202「137」、口座番号204「1234567」、及び口座名義人205「管理 太郎」で特定される口座の残高(円)206に、変更送金先依頼データMMの送金金額308で特定される「10,000」円を加算する。これにより、図3(a)に示す実口座テーブルT1の実口座情報RA1により特定される送金先口座番号306「1234567」の実口座に送金金額308「10,000」円の着金処理が実行され、実口座テーブルT1が図7(a)に示す状態になる。これにより、実口座着金処理部117Bによる着金処理が完了する。
実口座入金処理部117の実口座着金通知部117Cは、より具体的には、上述のように実口座着金処理部117Bにおける着金処理が完了すると、例えば図11の送金先依頼データMの内容と同じ送金依頼者301「振子 美緒」を含む送金依頼者情報PNと、金融機関コード302「1310」、送金先店舗番号303「888」、仕向順位304「1」、預金種別305「9」、送金先口座番号306「7788663」を含む送金先依頼情報TR、受取人名義307を含む送金先名義情報TNと、送金金額308「10,000」円を含む送金金額情報TAとに加えて、実口座着金日情報DA2の取引日501「2017/08/29」のフィールドを加えたものである。なお、実口座着金通知部117Cは、送金支援サーバ13の制御部110に設けられてもよいし、図1に示すように送金支援サーバ13とは別の通知サーバ16に設けられてもよい。
そして、実口座着金通知部117Cは、作成した実口座着金通知情報N2を、インターネット5を介して貸与口座名義人である「山田 次郎」宛に送信する。なお、実口座着金通知部117Cは、貸与口座名義人である「山田 次郎」宛のメールアドレス等の連絡先を予め認識しているものとする。
このように、実口座着金通知部117Cを設けて、実口座に対する入金処理が実行されたことを示す実口座着金通知情報N2を貸与口座名義人である「山田 次郎」に送信することにより、貸与口座名義人「山田 次郎」は、「管理 太郎」の実口座に送金依頼者301「振子 美緒」から自分(「山田 次郎」)宛の着金があったことを知ることができる。そして、「管理 太郎」の実口座に入金された自分(「山田 次郎」)宛のお金を自己の貸与口座へ振り替えるための所定の条件に関する情報を、インターネット5を介して送金支援サーバ13に送ることができる。
送金支援サーバ13は、第1の実施の形態に係る送金支援サーバ13の説明において述べたように、条件判定部115において、貸与口座について所定の条件を満たすか否かを判定し、所定の条件を満たすと判定された場合にのみ、貸与口座宛先振替処理部116における処理を行うようにする。
なお、実口座着金通知部117Cは、実口座の口座開設者である「管理 太郎」にも実口座着金通知情報N2を送信するようにしてもよい。これにより、実口座の口座名義人である「管理 太郎」に対して、自分(「管理 太郎」)宛でなく、貸与口座名義人(ここでは「山田 次郎」)宛に着金したお金を引き出さないように注意を促すようにすることができる。
このように、実口座入金処理部117において、送金依頼者「振子 美緒」から貸与口座の利用者「山田 次郎」への送金先依頼データにおいて特定される送金金額を貸与口座に対応付けられた「管理 太郎」の実口座に着金させる着金処理を実行することにより、図7(a)に示すように、実口座テーブルT1の口座名義人205「管理 太郎」の口座番号204「1234567」の実口座の残高(円)206が「10,000」円になると、上述の第1の実施の形態と同様に、条件判定部115及び貸与口座宛先振替処理部116による処理を行うことができる。
具体的には、条件判定部115において、所定の条件を満たすと判定された場合、例えば、貸与口座利用者である「山田 次郎」による受取意思を示す受取意思確認情報(図示せず)をインターネット5を介して受信した場合、貸与口座宛先振替処理部116における貸与口座への振替処理を実行する。貸与口座への振替処理により、図7(a)に示すように実口座テーブルT1の口座名義人205「管理 太郎」の口座番号204「1234567」の実口座の残高(円)206に「10,000」円がある状態から、図7(b)に示すように、実口座テーブルT1の実口座(口座番号「1234567」)の残高(円)206が10,000円減算されて「0」円となり、貸与口座管理テーブルT3の口座名義人225の「山田 次郎」の貸与口座(口座番号「7788663」)の残高(円)234Aに10,000円が加算されて「10,000」円となる。
このように、「管理 太郎」の実口座「1234567」に関連付けられた貸与口座「7788663」を「山田 次郎」に貸し出した状態にしたうえで、送金依頼者「振子 美緒」から金融機関に預金口座を有さない利用者「山田 次郎」への送金処理を行うことができる。これにより、金融機関に預金口座を有さない利用者である「山田 次郎」に対して、口座開設者以外の者である送金依頼者「振子 美緒」から送金することが可能となる。
この場合、送金依頼者「振子 美緒」からの送金先依頼データMに基づく送金依頼は、「山田 次郎」に貸し出された貸与口座「7788663」へ直接振替処理(送金処理)を行われるのではなく、一旦、実口座テーブルT1により特定される「管理 太郎」の実口座へ入金処理が行われる。これにより、口座開設者以外の送金依頼者「振子 美緒」からの送金依頼は、金融機関自体が承認した口座開設者である「管理 太郎」実口座を介して、「管理 太郎」が貸与契約を行ったことをもって一定の信頼があると認識される「山田 太郎」の貸与口座へ入金処理が行われるため、金融機関にとっては不正な資金の送金が行われるリスクを予め軽減することができる。
図13は、図2の送金支援サーバ13により実行される他の処理を説明するための概略的なフローチャートである。送金支援サーバ13の制御部110は、図9のステップS1〜S4において上述したように、貸与口座の口座名義人を実口座の口座名義人である「管理 太郎」から貸与口座の利用者である「山田 次郎」に変更し、送金先依頼データMにおける送金先名義情報TNの受取人名義307「山田 次郎」が、貸与口座管理テーブルT3における口座名義情報AN3の口座名義人233Aと一致すると判定された後であってステップS6の実口座から貸与口座への振替処理を実行する前に、図13のステップS11〜S13を実行してもよい。
図9のステップS4において、送金支援サーバ13の制御部110が、送金先依頼データMにおける送金先名義情報TNの受取人名義307「山田 次郎」が、貸与口座管理テーブルT3における口座名義情報AN3の口座名義人233Aと一致すると判定した場合(ステップS4:YES)、送金支援サーバ13の制御部110は、送金依頼者「振子 美緒」からの送金先依頼データMの内容を、特定取引用店舗管理テーブルT2に格納されている口座開設者である「管理 太郎」の実口座情報RA2及び口座名義情報AN2に合わせて変更し、変更送金先依頼データMMとして生成する(ステップS11)。
次に、送金支援サーバ13の制御部110は、ステップS11において生成した変更送金先依頼データMMに基づいて、実口座の開設者である「管理 太郎」の実口座テーブルT1(図3(a))の実口座に着金処理を行う(ステップS12)。これにより、実口座の開設者である「管理 太郎」実口座テーブルT1の実口座情報RA1により特定される送金先口座番号306「1234567」の実口座に送金金額308「10,000」円が着金し、図7(a)に示すように、実口座テーブルT1に格納された実口座204「1234567」の残高(円)206に、10,000円が加算された状態となる。
送金支援サーバ13の制御部110は、ステップS12において実口座の開設者である「管理 太郎」実口座に対する着金処理が実行されると、図12に示すような実口座に対する着金処理が実行されたことを通知する実口座着金通知情報N2を受取人である貸与口座名義人「山田 次郎」へ送信する(ステップS13)。
これにより、金融機関に預金口座を有さない者である「山田 次郎」に対して、口座開設者以外の者である送金依頼者「振子 美緒」から送金することが可能となる。
<他の実施の形態>
なお、特定取引用店舗管理テーブルT2に特定店舗番号が登録される場合の他の利用態様例について説明する。図14は、特定取引用店舗管理テーブルT2の他の利用態様例を示す図である。図3(c)の貸与口座管理テーブルT3では、口座番号232Dは、下1桁のチェックディジットを除く実質的には6桁を用いて特定されるため、各特定店舗番号に対して999,999個の貸与口座を設けることができる。しかし、例えば大規模なグループ企業では、多数の従業員のそれぞれのための貸与口座が必要であり、1つの特定店舗番号に999,999個の貸与口座を対応付けたのでは足りない場合がある。そのような場合は、2以上の特定店舗番号に対して1つの実口座を付与することで、貸与口座の管理を行うことができる。
例えば、特定取引用店舗管理テーブルT2の特定店舗番号211Aとして「886」、「887」、「888」が格納されており、それぞれに対して同じ実口座、すなわち、金融機関コード212Aが「1310」、店舗番号212Bが「137」、預金種別212Cが「1」、及び口座番号212Dが「1234567」で特定される実口座が紐付けされる。各特定店舗番号211Aに対応付けて、上述のようにチェックディジットを除く6桁の口座番号で特定される貸与口座が開設される。特定店舗番号211A「886」には、1番目〜999,999番目の貸与口座が対応付けられて開設され、図3(c)のような貸与口座管理テーブルT3に格納される貸与口座情報LA3は、金融機関コード232A、店舗番号232B、預金種別232C、及び口座番号232Dの順に、「1310-886-9-000001X〜1310-886-0-999999X」で表される。また、特定店舗番号211A「887」には、1,000,000〜1,999,998番目の貸与口座が対応付けられて開設され、「1310-887-9-000001X〜1310-887-0-999999X」で表される。そして、特定店舗番号211A「888」には、1,999,999〜2,999,997番目の貸与口座が対応付けられて開設され、「1310-888-9-000001X〜1310-888-0-999999X」で表される。
このような構成とすることにより、大規模なグループ企業であっても、金融機関に開設される口座である実口座は1つでよいため、管理がしやすいという利点がある。
図15は、特定取引用店舗管理テーブルの更なる他の利用態様を示す図である。従業員数が少ない企業の場合は、貸与口座の数は999,999個も必要ではない場合がある。このような場合、特定店舗番号と実口座とを1対1で対応付けるのではなく、1つの特定店舗番号に対して幾つかの企業等の実口座を対応付けてもよい。
図15の特定取引用店舗管理テーブルT2では、特定店舗番号211A「888」に対して、3つの実口座が対応付けられている。すなわち、特定店舗番号211A「888」に対して、金融機関コード212Aが「1310」、店舗番号212Bが「137」、預金種別212Cが「1」、及び口座番号212Dが「1234567」で特定される実口座と、金融機関コード212Aが「1310」、店舗番号212Bが「137」、預金種別212Cが「1」、及び口座番号212Dが「0987654」で特定される実口座と、金融機関コード212Aが「1310」、店舗番号212Bが「137」、預金種別212Cが「1」、及び口座番号212Dが「2233445」で特定される実口座とが対応付けられる。
図15の特定取引用店舗管理テーブルT2の場合は、特定取引用店舗識別情報SD2に、特定店舗番号211Aのほかに、仕向順位211Bが含まれていることを用いて特定取引用店舗を特定する。よって、各実口座に異なる仕向順位211Bが割り当てられる。例えば、図15の特定取引用店舗管理テーブルT2では、口座番号212Dが「1234567」で特定される実口座には、仕向順位211B「1」が割り当てられ、口座番号212Dが「0987654」で特定される実口座には、仕向順位211B「2」が割り当てられ、口座番号212Dが「2233445」で特定される実口座には、仕向順位211B「3」が割り当てられる。
この場合、図6又は図11に示す送金先依頼データMは、仕向順位303のフィールドに送信先となる実口座に割り当てられた仕向順位を特定する情報を格納しておく。これにより、従業員数が少ない企業に対して特定店舗番号をそれぞれ付与する必要がないため、金融機関は、特定店舗番号を無駄なく割り当てることができる。