以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(センサネットワークシステム100)
図1は、センサネットワークシステム100の概略的な構成を示した説明図である。図1に示すように、センサネットワークシステム100は、複数のメータ110と、複数のセンサノード112と、複数の中継器114と、センター装置116とを含んで構成される。
メータ(スマートメータ)110は、例えば、需要者単位で設置され、ガス事業者から需要者にガスを供給したり、電力事業者から需要者に電力を供給する場合に、少なくともガスや電力の使用量を自動的に検針する装置である。本実施形態では、説明の便宜上、ガス事業者によるガスのメータ110について例示するが、電力(電気)にも適用できることは言うまでもない。なお、メータ110は、本体に付されたメータ110の識別子(メータ番号)によって特定することができる。
図2は、メータ110の概略的な構成を示した機能ブロック図である。メータ110は、遮断弁150と、圧力センサ152と、流量センサ154と、表示部156と、演算部158とを含んで構成される。なお、図2中、制御信号の流れを実線の矢印で、可燃性ガスの流れを破線の矢印で示している。
遮断弁150は、弁を含み、弁の開度を制御し、ガス流路148を流れる可燃性ガスの流量を制御する。したがって、遮断弁150は、弁を完全に閉じることで可燃性ガスの流れを遮断することができる。圧力センサ152は、遮断弁150より下流に設けられ、可燃性ガスの圧力を検出する。
流量センサ154は、超音波振動子154a、154b、伝播速度導出部154cで構成される。超音波振動子154a、154bは、遮断弁150の下流かつ圧力センサ152の上流における、ガス流路148の上流側側面と下流側側面の予め定められた位置に配置され、例えば20kHz以上の音波である超音波の送信部および受信部として機能する。伝播速度導出部154cは、可燃性ガスを介して超音波振動子154a、154b間を伝播する超音波の伝播時間を検出し、伝播時間に基づいて可燃性ガスの流量を導出する。
表示部156は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、可燃性ガスの供給量(使用量)の積算値や、可燃性ガスの漏洩等の異常を報知するために用いられる。
演算部158は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたPROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路により、メータ110全体を管理および制御する。また、演算部158は、プログラムと協働して、遮断制御部160として機能する。遮断制御部160は、圧力センサ152で検出された可燃性ガスの圧力や、流量センサ154で導出された可燃性ガスの流量が所定の遮断条件を満たすと、遮断弁150を遮断したり、表示部156や警報スピーカを通じて、その旨警告する。
図1に戻って、センサノード112は、メータ110それぞれに対し1対1に対応付けられて設置され、少なくともメータ110で利用される情報(データ)の送受信を行う。なお、情報には、センサノード112内部に設定されているセンサノード112の識別子(センサノード番号)が付されるので、センター装置116は、情報の送受信を行ったセンサノード112を特定することができる。
中継器(ゲートウェイ機器)114は、複数のセンサノード112のいずれかに対応付けられて設置され、その対応付けられたセンサノード112と有線通信を確立するとともに、基地局118を通じてセンター装置116と無線通信を確立する。そして、中継器114は、対応付けられたセンサノード112を通じて、周囲の1または複数のセンサノード112と無線通信を確立する。したがって、センサノード112は、センター装置116との通信を確立するために必ず1の中継器114を経由することとなる。
ただし、センサノード112の通信は、近距離無線で実現されているため、全てのセンサノード112が、中継器114に対応付けられたセンサノード112と、無線通信を直接確立できるとは限らない。この場合、センサノード112は、無線通信可能な他のセンサノード112を1または複数回ホップして中継器114に接続される。こうして、中継器114は、対応付けられたセンサノード112および周囲の他のセンサノード112を通じて、各センサノード112の情報をセンター装置116に転送するとともに、センター装置116の情報を周囲のセンサノード112に送信することができる。なお、このとき、伝達される情報には、情報が伝達される際に経由した中継器114を特定する中継器114の識別子(中継器番号)も含まれるので、センター装置116は、その情報が経由した中継器114を特定することができる。
センター装置116は、コンピュータ等で構成され、ガス事業者や電力事業者といったセンサネットワークシステム100の管理者側に属する機器で、1または複数の中継器114の情報を収集したり、または、1または複数の中継器114に対して情報を送信したりする。
ここで、センター装置116は、導管マッピング(GISシステム)を通じて、メータ110が設置される位置(座標情報)を管理している。導管マッピングでは、メータ110の識別子とメータ110が設置された位置を示すメータ位置情報とが関連付けられる。なお、上述したように、中継器114は、メータ110やセンサノード112と対応付けられている。したがって、中継器114を対応付けたメータ110の識別子に関連付けられたメータ位置情報を、中継器114が設置された位置を示す中継器位置情報とみなすことができる。したがって、導管マッピングでは、メータ110の識別子とメータ位置情報とを介して、中継器114の識別子と中継器位置情報とが間接的に関連付けられていることとなる。そして、センター装置116は、メータ110が設置されるメータ位置情報とともに、中継器114が設置されている中継器位置情報を管理できる。以下では、説明の便宜上、導管マッピングにおいて中継器114の識別子と中継器位置情報とが関連付けられているとして説明する。また、メータ110の識別子の代わりに、そのメータ110に対応付けられているセンサノード112が、メータ位置情報に関連付けられるとしてもよい。したがって、センター装置116は、導管マッピングを通じ、メータ110、センサノード112、中継器114のいずれの位置も、直接的に、または、間接的に特定することができる。なお、ここでの「位置」は、水平面上の位置を示すが、鉛直方向の位置を含めてもよい。
図3は、センター装置116の概略的な構成を示した機能ブロック図である。センター装置116は、センター通信部170と、センター保持部172と、センター制御部174とを含んで構成される。
センター通信部170は、基地局118を通じて中継器114と無線通信を確立する。センター保持部172は、ROM、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、センター装置116に用いられるプログラムや上記の導管マッピング等、各種情報を保持する。センター制御部174は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)で構成され、センター保持部172に格納されたプログラムを用い、センター装置116全体を制御する。また、センター制御部174は、プログラムと協働して、データ取得部180、中継器位置導出部182、距離導出部184、距離判定部186、情報送信部188として機能する。かかるデータ取得部180、中継器位置導出部182、距離導出部184、距離判定部186、情報送信部188については後程詳述する。
ここで、各装置間の通信について説明する。例えば、中継器114とセンター装置116との間は、基地局118を含む携帯電話網やPHS(Personal Handyphone System)網等の、例えば、LTE(Long Term Evolution)といった、通信量に応じて通信料が生じる既存の有料通信網を通じた無線通信が確立される。また、センサノード112同士は、例えば、920MHz帯を利用するスマートメータ用無線システム(U−Bus Air)を通じた無線通信が確立される。かかるセンサノード112同士の無線通信は無料であることを想定しているが、有料か無料かは問わず、少なくとも中継器114とセンター装置116との間の無線通信より通信コストが低ければよい。このような無線通信により、中継器114は、有料通信網を通じて、センター装置116と接続されると共に、スマートメータ用無線システムを通じて各センサノード112と接続される。
本実施形態では、複数の需要者単位でメータ110およびセンサノード112が配置されている。なお、中継器114が併設される場合もある。センター装置116は、センサノード112や中継器114を通じてメータ110の情報を収集、または、メータ110を制御する。したがって、センサノード112や中継器114は、需要者が存在するあらゆる位置に配置されることとなる。
ここでは、中継器114の設置箇所において、センサノード112によるスマートメータ用無線システムと中継器114による有料通信網とを併用する。スマートメータ用無線システム専用の基地局を別途設けることなく、既存の有料通信網を利用することで、センター装置116とセンサノード112との通信を簡易かつ安価に確立することができる。
また、中継器114とその周囲の複数のセンサノード112との組み合わせにおいて、中継器114のみが有料通信網を利用し、他のセンサノード112はすべて通信料が生じないスマートメータ用無線システムを利用している。したがって、通信コストを大幅に削減することが可能となる。
例えば、中継器114は、自己に対応付けられたセンサノード112を通じ、周囲の複数のセンサノード112からスマートメータ用無線システムを通じて情報を収集し、その収集した情報を、日単位で有料通信網を通じてセンター装置116に送信する。こうして、中継器114の有料通信網の利用を最小限に留めることができ、通信コストを削減することが可能となる。
上記スマートメータ用無線システムは、近距離無線を想定しているため、無線通信に費やす電力は比較的少ない。したがって、センサノード112の電源は、電池等で賄うことができ、センサネットワークシステム100の消費電力を削減することが可能となる。有料通信網は、スマートメータ用無線システムと比べると相対的に電力を消費し易いので、大容量の電池もしくは別途の電源を要するが、センサノード112に対して中継器114の絶対数が少ないので、全てのメータ110から携帯電話網を利用する場合に比べ、消費電力を極めて低く抑えることができる。
(センサネットワークシステム100の構築)
上述したように、センサノード112同士を接続するセンサネットワークシステム100を構築することで、ガス事業者の検針員がメータ110を直接検針しなくても、検針情報を収集(自動検針)することが可能となり、業務の効率化を図ることができる。
しかし、センサノード112は、メータ110と対応付けられるため、その位置はメータ110の近傍(需要者宅の近傍)に制限され、メータ110の配置条件によってはセンサノード112間の通信環境も限定されてしまう。また、メータ110が交換されるタイミングも、その使用期限時(検定有効期間の満了時)に限られるので、個々のセンサノード112が有効に利用可能となる時期も考慮に入れてセンサネットワークシステム100を設計しなければならない。そこで、以下のように、センサネットワークシステム100を構築する。
図4は、センサネットワークシステム100の構築手順を説明するための説明図である。メータ110は、検定有効期間が、例えば、10年といったように決まっており、その検定有効期間の満了に伴って交換しなければならない。ただし、全てのメータ110を一度に交換するのではなく、例えば、1年毎に全量の1/10を交換することで少なくとも10年後に全量の交換を完了させることを目標としている。ここでは、検定有効期間が満了となるメータ110(もしくはそれに対応付けられるセンサノード112)を白抜きで示し、まだ検定有効期間が満了とはならないメータ110を黒の塗り潰しで示す。
まず、図4(a)に示すように、1年毎に検定有効期間が満了となるメータ110を抽出し、その内、需要者宅「A」に位置する任意の1のメータ110にセンサノード112のみならず、中継器114を対応付ける。そして、その中継器114を対応付けたメータ110を基準にして、中継器114を対応付けたメータ110と所定距離(例えば電波伝搬平均距離である30m)内に位置する需要者宅「B」に位置するメータ110、および、所定距離内に位置すると判断されたメータ110からさらに所定距離内に位置する需要者宅「C」に位置するメータ110を所定数(例えば4)抽出してグループ「D」のようにグループ化する。
続いて、図4(b)に示すように、検定有効期間が満了となるメータ110の他の需要者宅「E」に位置するメータ110に中継器114を対応付ける。そして、その中継器114を対応付けたメータ110を基準にして、中継器114を対応付けたメータ110と所定距離内に位置する需要者宅「F」に位置するメータ110、および、所定距離内に位置すると判断されたメータ110からさらに所定距離内に位置するメータ110(ここでは抽出されず)を所定数抽出してグループ「G」のようにグループ化する。なお、所定距離や所定数が上記の数値に限らないのは言うまでもない。
このように、図4(a)、図4(b)に示したようなグループ化を繰り返すことで、中継器114の絶対数を抑制しつつ、効率的なセンサネットワークシステム100を構築することができる。ここでは、検定有効期間が満了となるメータ110を、新たなメータ110およびセンサノード112と交換すればよいのか、さらに中継器114を対応付けるべきかが特定される。作業員は、かかる情報に基づいて、メータ110を交換すればよい。
(メータ110の交換)
メータ110の交換に伴い、新たなメータ110にセンサノード112も対応付けられるので、センター装置116は、そのセンサノード112の識別子によって、メータ110の検針情報を管理できるようになる。
図5は、メータ110と中継器114との位置関係を説明するための説明図である。ここでは、図5(a)のように、メータ110の交換に伴い、作業員が、需要者宅「A」に、メータ110とセンサノード112を対応付けたとする。作業員は、需要者宅「A」のメータ110の交換を行うと、メータ110を設置すべき位置を示すメータ位置情報に、設置したメータ110の識別子を関連付け、報告情報としてセンター装置116に送信する。したがって、報告情報には、メータ位置情報とメータ110の識別子が含まれる。なお、メータ110の位置情報は、メータが位置する座標情報を表す固有のメータ設置場所番号により特定されるとしてもよい。
そして、センター装置116は、取得した報告情報におけるセンサノード112の識別子に基づいてメータ110を特定し、センサノード112を通じてメータ110の検針情報を収集し、その検針情報に基づいて課金情報を生成する。そして、その課金情報を需要者に提示し、需要者から集金する。
しかし、メータ110の交換時に、作業員が、設置したメータ110の識別子(メータ番号)を間違って報告する場合がある。そうすると、その間違ったメータ110の識別子に予め対応付けられているセンサノード112の識別子が登録される。例えば、作業員が、需要者宅「A」のメータ110の識別子として、間違って需要者宅「B」のメータ110の識別子を報告情報として報告したとする。そうすると、需要者宅「A」の検針情報として、実際には、需要者宅「B」のメータ110の識別子に対応付けられたセンサノード112の識別子に従い、需要者宅「B」の検針情報が収集されてしまう。そして、その検針情報に基づく課金情報が需要者宅「A」の需要者に提示される。すなわち、実際の需要者と異なる需要者に課金情報が提示されることになってしまう。
そこで、本実施形態では、メータ110(センサノード112)と中継器114との位置関係に基づいて、センサノード112を適切に配置する。このため、センター装置116は、報告情報によって、メータ110が正しい位置に設置されたか否かを判定する。
具体的に、センター装置116のデータ取得部180は、作業員から、メータ位置情報とメータ110の識別子とを含む報告情報を取得する。中継器位置導出部182は、メータ110の識別子に対応付けられたセンサノード112から報告情報を受信すると、上述した導管マッピングに基づいて、メータ110の識別子に対応付けられたセンサノード112が実際に経由した中継器114の位置を示す中継器位置情報を間接的に導出する。距離導出部184は、メータ位置情報と中継器位置情報とに基づいてメータ110と中継器114との距離を導出する。そして、距離判定部186は、導出された距離が所定の閾値距離以上であれば、メータ110(センサノード112)が適切な位置に対応付けられていないと判定する。
例えば、図5(a)のように、作業員が、需要者宅「A」のメータ110の交換に伴い、そのメータ110を設置すべき位置(需要者宅「A」)を示すメータ位置情報に、設置したメータ110の識別子を関連付け、報告情報としてセンター装置116に送信したとする。このとき、作業員は、需要者宅「A」のメータ110の識別子を正しく報告したとする。なお、作業員は、メータ位置情報やメータ110の識別子は特定できるが、メータ110に対応付けられたセンサノード112が通信確立する中継器114(識別子や位置情報)は特定できない。
そして、このメータ110に対応付けられたセンサノード112がセンター装置116に検針情報を送信する際、センサノード112自身の識別子に加え、実際に経由した中継器114の識別子も送信される。
したがって、データ取得部180は、報告情報とともに、センサノード112が実際に経由した中継器114の識別子も取得することができる。中継器位置導出部182は、導管マッピングに基づいて、かかるセンサノード112が実際に経由した中継器114の位置を示す中継器位置情報を間接的に導出する。
距離導出部184は、報告情報に含まれるメータ位置情報と、中継器位置導出部182が導出した中継器位置情報とに基づいて、メータ110と中継器114との距離を導出する。ここでは、メータ位置情報に基づいてメータ110の位置が需要者宅「A」となり、中継器位置情報に基づいて中継器114の位置が需要者宅「C」となるので、距離導出部184は、図5(a)における距離「D」を導出する。
そして、距離判定部186は、導出された距離、すなわち、需要者宅「A」と需要者宅「C」との距離「D」が、無線通信を確立できる所定の閾値距離以下なので、メータ110(センサノード112)は適切な位置に対応付けられていると判定する。ここで、閾値距離は、センサノード112のホップ数によって可変する。すなわち、需要者宅「A」のセンサノード112から中継器114までのホップ数をM、センサノード112間の電波伝搬最大距離をLmとすると、閾値距離は、M×Lmで表される。
一方、図5(b)のように、作業員が、需要者宅「A」のメータ110の交換に伴い、そのメータ110を設置すべき位置(需要者宅「A」)を示すメータ位置情報に、間違って、需要者宅「B」に設置されているメータ110の識別子を関連付け、報告情報としてセンター装置116に送信したとする。
ここでも、メータ110に対応付けられたセンサノード112がセンター装置116に検針情報を送信する際、センサノード112自身の識別子に加え、実際に経由した中継器114の識別子も送信される。
したがって、データ取得部180は、報告情報とともに、センサノード112が実際に経由した中継器114の識別子も取得することができる。中継器位置導出部182は、導管マッピングに基づいて、かかるセンサノード112が実際に経由した中継器114の位置を示す中継器位置情報を間接的に導出する。ただし、本来、需要者宅「A」に近い需要者宅「C」の中継器114を経由すべきところ、実際は、需要者宅「B」に近い需要者宅「E」の中継器114を経由することとなるので、データ取得部180は、需要者宅「E」の中継器114の識別子を取得することとなり、中継器位置導出部182は、需要者宅「E」を示す中継器位置情報を導出する。
距離導出部184は、報告情報に含まれるメータ位置情報と、中継器位置導出部182が導出した中継器位置情報とに基づいて、メータ110と中継器114との距離を導出する。ここでは、メータ位置情報に基づいてメータ110の位置が需要者宅「A」となり、中継器位置情報に基づいて中継器114の位置が需要者宅「E」となるので、距離導出部184は、図5(b)における距離「F」を導出する。
そして、距離判定部186は、導出された距離、すなわち、需要者宅「A」と需要者宅「E」との距離「F」が、無線通信を確立できる所定の閾値距離(例えばM×Lm)よりも大きいので、メータ110(センサノード112)が適切な位置に対応付けられていないと判定する。
このように、メータ110(センサノード112)と中継器114との位置関係に基づいて、センサノード112が適切な位置に対応付けられているか否かを判定し、適切な位置に対応付けられていないと判定されれば、作業員は、メータ位置情報に、改めて、需要者宅「A」に設置されている正しいメータ110の識別子を関連付け、報告情報としてセンター装置116に送信する。こうして、メータ110(センサノード112)を適切に配置することが可能となる。
なお、ここでは、報告情報として、メータ位置情報に、メータの識別子を関連付ける例を挙げて説明しているが、メータ110の識別子の代わりに、そのメータ110に対応付けられているセンサノード112の識別子を、メータ位置情報に関連付けてもよい。この場合、データ取得部180は、メータ位置情報と、設置したメータ110に対応付けられたセンサノード112の識別子とを取得し、中継器位置導出部182は、センサノード112の識別子で特定されるセンサノード112が実際に経由した中継器の位置を示す中継器位置情報を導出することとなる。かかる構成によっても、メータ110(センサノード112)を適切に配置することが可能となる。
(センサノード間の通信環境の変化への対応)
メータ110が正しく配置されると、センサネットワークシステム100において、センサノード112とセンター装置116との通信が適切に行われる。例えば、センサノード112は、他のセンサノード112や中継器114を経由してセンター装置116に情報を送信する。そして、センター装置116は、センサノード112が経由した中継器を利用してセンサノード112に情報を送信する。
図6は、センサノード112と中継器114との位置関係を説明するための説明図である。ここでは、例えば、需要者宅「A」に位置するセンサノード112が、自己に対応付けられたメータ110の検針情報をセンター装置116に送信したとする。この場合、図6(a)に破線の矢印で示したように、需要者宅「A」に位置するセンサノード112は、近くの需要者宅「B」に位置するセンサノード112をホップし、需要者宅「C」に位置するセンサノード112および中継器114を経由してセンター装置116に情報を送信する。
このとき、センター装置116は、需要者宅「A」に位置するセンサノード112が複数の中継器114のうちのいずれの中継器114(ここでは需要者宅「C」に位置する中継器114)を経由したのかをセンター保持部172に記憶する。そして、センター装置116は、そのセンサノード112に情報を送信する場合、記憶した中継器114を経由させる。すなわち、センター装置116は、需要者宅「C」に位置する中継器114を経由して、需要者宅「A」に位置するセンサノード112に情報を送信する。
ここで、通信環境が変化し、図6(b)に示すように、需要者宅「A」に位置するセンサノード112が、それまでに通信を確立できていた需要者宅「B」に位置するセンサノード112との通信が不安定になったとする。
そうすると、需要者宅「A」に位置するセンサノード112は、通信を確立可能な新たなセンサノード112を探して情報の送信を試みる。そして、例えば、図6(b)に破線の矢印で示したように、需要者宅「A」に位置するセンサノード112は、需要者宅「B」に位置するセンサノード112とは異なる、需要者宅「D」に位置するセンサノード112および中継器114を経由してセンター装置116に情報を送信する。こうして、需要者宅「A」に位置するセンサノード112の情報が適切にセンター装置116に伝達される。
しかし、需要者宅「A」に位置するセンサノード112が新たな中継器114(ここでは需要者宅「D」に位置する中継器114)を経由したことがセンター装置116のセンター保持部172に反映される(センター保持部172が更新される)までに、例えば2〜3日といったように長時間を要する場合がある。そうすると、かかる新たな需要者宅「D」に位置する中継器114がセンター装置116に反映されるまでの間、センター装置116は、通信環境が変化する前から記憶されている中継器114、すなわち、需要者宅「C」に位置する中継器114を経由してセンサノード112に情報を配信しようとする。この場合、図6(b)に示すように、需要者宅「A」に位置するセンサノード112と、需要者宅「B」に位置するセンサノード112との通信が不安定なので、センサノード112に情報が適切に送信されないおそれがある。そうすると、緊急にメータ110の閉栓を行う場合においても、その情報がセンサノード112に到達せず、適切に閉栓が実行されなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、センサノード112と複数の中継器114との位置関係を利用して、センサノード112に適切に情報を送信することを目的とする。
上述したように、センター保持部172には、導管マッピングが保持され、導管マッピングによってメータ110や中継器114が設置された位置を、直接的に、または、間接的に特定することができる。なお、メータ110とセンサノード112は対応付けられているので、メータ110が設定されている位置を特定できることは、メータ110に対応付けられたセンサノード112が設置されている位置も特定可能であることを示す。また、センター保持部172は、任意のセンサノード112が経由した中継器114の識別子を、そのセンサノード112に関連付けて保持する。
そして、センター装置116の情報送信部188は、任意のセンサノード112への情報が生成されると、センター保持部172を参照し、任意のセンサノード112に関連付けられた中継器114を経由して情報を送信する。
また、センサノード112が情報を受信できなかった場合、情報送信部188は、センター保持部172に保持された導管マッピングに基づいて、任意のセンサノード112に関連付けられた中継器114とは異なり、かつ、任意のセンサノード112に最も近い他の中継器114を決定し、他の中継器114を経由させて情報を送信する。以下、かかる処理の流れを詳述する。
図7は、情報送信処理の流れを説明するためのフローチャートである。情報送信部188は、任意のセンサノード112への情報が生成されると、センター保持部172を参照し、任意のセンサノード112に関連付けられた図6(b)における需要者宅「C」に位置する中継器114を経由して情報を送信することを試みる(S200)。
そして、情報送信部188は、センサノード112において情報が正常に受信されたか否か判定する(S202)。かかる正常受信の判定は、例えば、センサノード112からリアルタイムまたは所定時間間隔で受信完了応答(ACK)が返信されたか否かによって行い、受信完了応答が返信されたことをもって正常受信とする。ただし、かかる場合に限らず、既存の様々な技術を適用することができる。そして、センサノード112において情報が正常に受信されていれば(S202におけるYES)、当該情報送信処理を終了する。
一方、センサノード112において情報が正常に受信されていなければ(S202におけるNO)、情報送信部188は、導管マッピングに基づいて、経由する中継器114を間接的に決定する(S204)。具体的に、情報送信部188は、センター保持部172に保持されている任意のセンサノード112に関連付けられた中継器114を除外した複数の中継器114のうち、導管マッピングに基づいて、任意のセンサノード112に最も近い他の中継器114を抽出する。ここでは、仮に、図6(b)における需要者宅「D」に位置する中継器114が決定されたとする。
続いて、情報送信部188は、需要者宅「D」に位置する中継器114を経由して情報を送信する(S206)。そして、情報送信部188は、再度、センサノード112において情報が正常に受信されたか否か判定する(S208)。ここで、センサノード112において情報が正常に受信されていなければ(S208におけるNO)、中継器抽出処理S204からを繰り返す。このとき、一度決定された中継器114は除外され、他の中継器114が抽出される。
一方、センサノード112において情報が正常に受信されていれば(S208におけるYES)、決定された中継器114を当該センサノード112に関連付けてセンター保持部172に保持し、経由可能な中継器114を更新し(S210)、当該情報送信処理を終了する。こうして、いずれかの中継器114を通じ、センサノード112に適切に情報を送信することが可能となる。また、センター保持部172では、センサノード112に新たに通信を確立した中継器114が関連付けられ、新たな中継器114を通じた通信環境が不安定にならない限り、その中継器114を通じた通信が維持されるので、次に情報を送信しようと試みた場合、センサノード112に迅速かつ適切に情報を送信することができる。
(中継器に関する通信環境の変化への対応)
上記では、図6、図7を用いて、複数の中継器114が正常なことを前提に、センサノード112間の通信環境が変化した場合の対応について説明した。ここでは、中継器114自体が故障したり、中継器114周辺の通信環境が変化した場合の対応について詳述する。
図8は、センサノード112と中継器114との位置関係を説明するための説明図である。ここでは、例えば、需要者宅「A」に位置するセンサノード112が、自己に対応付けられたメータ110の検針情報をセンター装置116に送信したとする。この場合、図8(a)に破線の矢印で示したように、需要者宅「A」に位置するセンサノード112は、近くの需要者宅「B」に位置するセンサノード112をホップし、需要者宅「C」に位置するセンサノード112および中継器114を経由してセンター装置116に情報を送信する。
このとき、センター装置116は、図6の場合同様、需要者宅「A」に位置するセンサノード112が複数の中継器114のうちのいずれの中継器114(ここでは需要者宅「C」に位置する中継器114)を経由したのかをセンター保持部172に記憶する。そして、センター装置116は、そのセンサノード112に情報を送信する場合、記憶した中継器114を経由させる。すなわち、センター装置116は、需要者宅「C」に位置する中継器114を経由して、需要者宅「A」に位置するセンサノード112に情報を送信する。
ここで、センター装置116と直接通信を確立している中継器114が故障したり、中継器114周辺の通信環境が変化すると、例えば、図8(b)に示すように、センター装置116と、需要者宅「C」に位置する中継器114との通信が不安定となり、結果として、需要者宅「A」に位置するセンサノード112とセンター装置116との情報交換が不可能になる場合がある。
この場合、需要者宅「C」に位置する中継器114を直接メンテナンスすることが考えられるが、その需要者宅「C」の需要者が長期間留守にしており、中継器114が対応付けられているメータ110が閉栓している等、何らかの事情により、中継器114を直接メンテナンスできない場合がある。そこで、本実施形態では、中継器114とセンサノード112との位置関係を利用して、センサノード112に適切に情報を送信することを目的とする。
上述したように、センター保持部172は、任意のセンサノード112が経由した中継器114の識別子を、そのセンサノード112に関連付けて保持する。そして、センター装置116の情報送信部188は、任意のセンサノード112への情報が生成されると、センター保持部172を参照し、任意のセンサノード112に関連付けられた中継器114を経由して情報を送信する。
また、センサノード112が情報を受信できなかった場合、情報送信部188は、図6のように、センター保持部172に保持された導管マッピングに基づいて、任意のセンサノード112に最も近い他の中継器114を決定し、他の中継器114を経由させて情報を送信する。また、情報送信部188は、これと並行して、以下に示すように、任意のセンサノード112に関連付けられた中継器114との通信が可能か否か判定し、通信が可能でなければ、その近傍に新たに中継器114を設定することを試みる。以下、かかる正常動作の判定処理の流れを詳述する。
図9は、正常動作判定処理の流れを説明するためのフローチャートであり、図10は、センサノード112と中継器114との位置関係を説明するための説明図である。情報送信部188は、任意のセンサノード112への情報が生成されると、センター保持部172を参照し、任意のセンサノード112に関連付けられた図8(b)における需要者宅「C」に位置する中継器114を経由して情報を送信することを試みる(S300)。
そして、情報送信部188は、センサノード112において情報が正常に受信されたか否か判定する(S302)。そして、センサノード112において情報が正常に受信されていれば(S302におけるYES)、当該正常動作判定処理を終了する。
一方、センサノード112において情報が正常に受信されていなければ(S302におけるNO)、情報送信部188は、任意のセンサノード112に関連付けられた中継器114にポーリング通信を行い、その中継器114との通信が可能か否か判定する(S304)。かかる正常動作の判定は、例えば、過去に、その中継器114を経由している複数のセンサノード112と、当該中継器114を経由して通信が確立されたか否かによって行い、複数のセンサノード112の少なくとも1のセンサノード112と通信が確立されたことをもって正常動作しているとする。ただし、かかる場合に限らず、既存の様々な技術を適用することができる。そして、任意のセンサノード112に関連付けられた中継器114との通信が可能であれば(S304におけるYES)、当該正常動作判定処理を終了する。
一方、任意のセンサノード112に関連付けられた中継器114との通信ができなければ(S304におけるNO)、情報送信部188は、導管マッピングに基づいて、センター保持部172に保持されている任意のセンサノード112に関連付けられた中継器114と最も近いセンサノード112を決定して(S306)、当該正常動作判定処理を終了する。
ここでは、仮に、図10における需要者宅「B」に位置するセンサノード112が決定されたとする。このように決定されたセンサノード112に、事後的に新たに中継器114が対応付けられることとなる。なお、ここでは、中継器114と最も近いセンサノード112を抽出しているが、通信距離の設定によっては、1または複数のホップ数の通信距離にあるセンサノード112を設定することもできる。
作業員は、まず、通信ができない中継器114を直接メンテナンスすることを試みる。しかし、中継器114が対応付けられているメータ110が閉栓している等、何らかの事情により、中継器114を直接メンテナンスできない場合、作業員は、正常動作判定処理によって決定されたセンサノード112に、新たに中継器114を対応付ける(設置する)。
こうすることで、図10に示すように、例えば、需要者宅「A」に位置するセンサノード112が、正常動作していない中継器114に代え、需要者宅「B」に位置する新たな中継器114を通じてセンター装置116と通信を確立し、図10に破線の矢印で示したように、センター装置116に情報を送信することが可能となる。
ただし、新たに中継器114を設置したとしても、通信ができない中継器114が直ちに利用できなくなるわけではない。例えば、図10における、需要者宅「C」に位置する中継器114を経由する通信が不安定になった原因が、中継器114自体の故障であるか、中継器114周辺の通信環境の変化であるかを容易に特定することはできない。仮に、中継器114周辺の通信環境の変化によるものであれば、中継器114自体は、まだ、有効に利用できることとなる。
そうすると、折角、新たに中継器114を設置したにも拘わらず、センサノード112は、センター装置116との通信が不安定な需要者宅「C」に位置する中継器114との通信を試み、再度、正常動作判定処理が実行され、不要に処理負荷が費やされることとなる。
そこで、新たに中継器114が設置された場合、情報送信部188は、需要者宅「C」に位置する中継器114を、新たに設置した中継器114を介して通信先から排除し、ソフトウェア的に無効化する。また、可能であれば、需要者宅「C」に位置する中継器114の電源を切断する等、ハードウェア的に無効化する。
こうして、通信が不安定な需要者宅「C」に位置する中継器114が不要に通信経路となるのを回避しつつ、センサノード112に適切に情報を伝達することが可能となる。
また、上述したように、センター保持部172は、任意のセンサノード112が経由した中継器114の識別子を、そのセンサノード112に関連付けて保持している。ここで、センター保持部172に、需要者宅「C」に位置する中継器114が保持されたままでは、センサノード112に情報を送信する際に、不要に、通信が不安定な需要者宅「C」に位置する中継器114との通信を試みることになる。
そこで、情報送信部188は、中継器114が無効化されると、センター保持部172に保持されている無効化された中継器114を、決定されたセンサノード112に対応付けられた中継器114に全て更新する。
こうして、通信が不安定な需要者宅「C」に位置する中継器114が不要に通信経路となるのを回避しつつ、需要者宅「B」に位置する新たな中継器114を通じて、センサノード112に適切に情報を伝達することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、コンピュータを、上記センサネットワークシステム100、メータ110、センサノード112、または、センター装置116として機能させるプログラムや、当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
なお、本明細書に示した各処理は、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。