JP2019118860A - 希ガス分離膜、及びこれを用いた希ガス精製装置 - Google Patents

希ガス分離膜、及びこれを用いた希ガス精製装置 Download PDF

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【課題】高純度の希ガスを効率的に製造するための希ガス分離膜の提供。【解決手段】多孔質膜の上に分離活性層が配置された希ガス分離膜であって、該分離活性層が、Co、Cu、Zn、及びAlから成る群から選ばれる少なくとも一種の金属を含有するMOF(Metal Organic Framework)を含有することを特徴とする希ガス分離膜、該希ガス分離膜を含む分離膜ユニットを具備する希ガス精製装置を用いて、50%以上99%以下の純度の希ガスを含む原料ガスを、純度99.9%以上の希ガスに精製する方法、並びに該方法により得られる純度99.995%以上のヘリウムガス。【選択図】なし

Description

本発明は、希ガス分離膜、及びこれを用いた希ガス精製装置に関する。より詳しくは、本発明は、空気などの不純ガスを含む希ガスから不純物を除去し、実用に適用可能な純度の希ガスを製造することができる希ガス分離膜、及びこれを用いた希ガス精製装置に関する。
ヘリウムガスは、冷却剤としての用途がある。ガス状ヘリウムは、光ファイバーを製造する際の冷却剤としての用途が最も多い。液体のヘリウムは、超伝導マグネットの冷却用として使用されている。このような用途に使用されるヘリウムは、不具合なく冷却剤としての役割を果たせるように、高純度に精製しておく必要がある。
ヘリウムガスは、天然ガス中に3〜5%含まれており、例えば、天然ガスを液化した際に得られるヘリウムガスを精製することにより得られる。しかしながら、全ての天然ガス中にヘリウムガスが高濃度で含まれているわけではない。そのため、高純度ヘリウムガスは高価であり、また、天然資源を有効に活用するためには、使用したヘリウムをリサイクルする必要がある。したがって、使用後のヘリウムのリサイクルを考慮した場合、窒素や酸素を多く含む低純度ヘリウムガスを、窒素や酸素を有効に除去して、高純度に精製する技術が必要となる。
ヘリウムを精製する技術としては、例えば、以下の特許文献1には、圧力スイング吸着法(PSA法)を利用したものが記載されている。PSA法は、ヘリウムガス以外の不純物を吸着法によって除去する方法であるが、過剰な不純物を含む原料ガスの場合は、所望の純度に到達させるまでに複数回吸脱着を繰り返す必要があるため、エネルギーコストがかかることから実益に乏しいという問題がある。
また、以下の特許文献2には、PSA法と分離膜を用いた膜法とを併用したものが記載されている。かかる併用法では、複数のユニットや機器が必要となるために、エネルギーコストが高いい上、安定運転させるための運転条件幅が狭く、実益に合わないという問題がある。
さらに、以下の特許文献3には、PSA法では圧力操作が煩雑になることが記載されている。
特開2001−275150号公報 特開2003−192315号公報 特開2016−175815号公報
前記した従来技術の問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、高純度の希ガスを効率的に製造することである。
PSA法では、圧力操作が煩雑になり、また、空間占有体積が大きくなるために、設置場所の制約がある、さらには、原料ガス中のヘリウム純度が低い場合にエネルギーコストがかかるという課題がある。
他方、分離膜は、ワンパスで目的物を得られることから、簡便なプロセスであるため、高純度のヘリウムガスを得るという観点からこれまで多くの検討がなされてきたが、純度を満足できる分離性能の分離膜が無かったことなどから、実用に適用することは困難であった。また、既存の分離膜を適切な組み合わせにすることで、要求性能を満足できる可能性がありながら、既存の分離膜を適切に組み合わせる検討が十分になされてこなかった。さらに、凝縮器などの付帯設備を用いる検討もこれまでなされてきたが、設置場所について、十分な検討がされてこなかった。
かかる状況下、本願発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、実用を満足できる分離性能を有する分離膜を用いること、多段分離膜プロセスにする場合、適切な分離膜の組み合わせにすること、及び凝縮器を還流ガスラインに設置することにより、実用に適用可能なヘリウムの純度を達成できる精製プロセスとなることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]多孔質膜の上に分離活性層が配置された希ガス分離膜であって、該分離活性層が、Co、Cu、Zn、及びAlから成る群から選ばれる少なくとも一種の金属を含有するMOF(Metal Organic Framework)を含有することを特徴とする希ガス分離膜。
[2]前記MOFが、CuTPA(Cuとテレフタル酸から成るMOF)、CuBTC(Cuとトリメトキシ酸から成るMOF)、CuBDC(Cuと1,4−ベンゼンジカルボン酸から成るMOF)、MIL−53(Al)(Alと1,4−ベンゼンジカルボン酸から成るMOF)、及びZIF−7(Znとベンズイミダゾール酸から成るMOF)から成る群から選ばれる、前記[1]に記載の希ガス分離膜。
[3]前記希ガスがヘリウムガスである、前記[1]又は[2]に記載の希ガス分離膜。
[4]供給側ガスとしてヘリウム50質量%及び窒素50質量%からなる混合ガスを用い、供給側ガス流量を200mL/min、透過側ガス流量を50mL/minとするとき、等圧式によって30℃において測定されるヘリウムガスの透過速度が、5GPU以上2,500GPU以下であり、かつ、ヘリウム/窒素の分離係数αが50以上2,000以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の希ガス分離膜。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の希ガス分離膜を含む分離膜ユニットを具備する、50%以上99%以下の純度の希ガスを含む原料ガスを精製するための希ガス精製装置。
[6]前記原料ガス中に含まれる凝縮物を除去するための凝縮器をさらに具備する、前記[5]に記載の希ガス精製装置。
[7]前記希ガスがヘリウムガスである、前記[5]又は[6]に記載の希ガス分離装置。
[8]前記[5]又は[6]に記載の希ガス精製装置を用いて、50%以上99%以下の純度の希ガスを含む原料ガスを、純度99.9%以上の希ガスに精製する方法。
[9]前記[5]又は[6]に記載の希ガス精製装置を用いて、50%以上99%以下の純度の希ガスを含む原料ガスを、純度99.99%以上の希ガスに精製する方法。
[10]前記[5]又は[6]に記載の希ガス精製装置を用いて、50%以上99%以下の純度の希ガスを含む原料ガスを、純度99.995%以上の希ガスに精製する方法。
[11]前記希ガスがヘリウムガスである、前記[8]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12]酸素を0.1〜5ppmで含有する、純度99.995%以上のヘリウムガス。
[13]二酸化炭素を0.1〜5ppmで含有する、純度99.995%以上のヘリウムガス。
[14]水を0.1〜5ppmで含有する、純度99.995%以上のヘリウムガス。
本発明に係る希ガス分離膜、及びこれを用いた希ガス精製装置を用いれば、空気などの不純ガスを含む希ガスから不純物を除去し、実用に適用可能な純度の希ガスを製造することができる。
本発明の一実施の形態の希ガス精製装置の概略構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」ともいう。)を詳細に説明する。
本実施形態に係る希ガス分離膜(以下、単に「分離膜」ともいう。)は、多孔質膜の上に分離活性層が配置された希ガス分離膜であって、該分離活性層が、Co、Cu、Zn、及びAlから成る群から選ばれる少なくとも一種の金属を含有するMOF(Metal Organic Framework)を含有することを特徴とする。かかるMIFは、好ましくは、CuTPA(Cuとテレフタル酸から成るMOF)、CuBTC(Cuとトリメトキシ酸から成るMOF)、CuBDC(Cuと1,4−ベンゼンジカルボン酸から成るMOF)、MIL−53(Al)(Alと1,4−ベンゼンジカルボン酸から成るMOF)、及びZIF−7(Znとベンズイミダゾール酸から成るMOF)から成る群から選ばれる。
本実施形態の希ガス精製装置は、前記希ガス分離膜を含む分離膜ユニットを具備する、50%以上99%以下の純度の希ガスを含む原料ガスを精製するための希ガス精製装置であり、好ましくは、原料ガス中に含まれる凝縮物を除去するための凝縮器をさらに具備する。
図1に、本実施形態のヘリウム精製装置の概略構成を示す。
本実施形態の希ガス精製プロセスにおいて、原料ガスがライン30を経て、分離膜10に供給される。非透過ガスは、ライン40から排出される。透過ガスは、ライン31に供給され、分離膜11に供給される。一部はライン50を経て、ライン30へと戻される。分離膜11において透過しなかったガスは、ライン41から排出される。透過ガスはライン32に供給され、精製ガスとして得る。一部は、ライン51を経て、ライン31へと戻される。
[原料ガス]
本実施形態における原料ガスとは、希ガスを含む、2種類以上のガス成分の混合ガスである。原料ガス中には希ガスを50%以上99%以下で含むことが好ましく、より好ましくは70%以上98.00%以下、さらに好ましくは90%以上98.00%以下で含む。希ガスとは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、オガネソンをいい、中でも、ヘリウムが好ましい。原料ガスが光ファイバー製造の母材製造工程もしくは線引き工程由来のヘリウムガスであると、原料ガス中のヘリウムガスの濃度を高くすることができるため、好ましい。原料中のヘリウムガス濃度が高いと、ヘリウムガスの回収量を高めることができること、分離膜の性能をそれほど高めなくても、実用に適用可能な純度のヘリウムガスを精製ガスとして得ることができるために、好ましい。
[精製ガス]
本実施形態における精製ガスに含まれる希ガスの濃度は、99.0%以上、好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.9%以上、さらに好ましくは99.99%以上、もっとも好ましくは99.999%以上である。精製希ガスの純度が高いと、半導体製造工程や希ガス製造工程における歩留りを向上できる点から好ましい。
[希ガス精製装置]
本実施形態における希ガス精製装置は、少なくとも分離膜ユニットを具備しており、該分離膜ユニットが複数個具備されていても構わない。また、凝縮物を除去する目的で、凝縮器を具備していることが好ましい。また、原料ガスを供給するライン(図1におけるライン30)を、半導体製造工程や光ファイバー製造工程等のアウトガス出口に直接接続しても構わない。さらに、精製ガスを供給するライン(図1におけるライン32)を、精製された希ガスを使用する工程に直接接続しても構わない。
[分離膜ユニット]
本実施形態における分離膜ユニットは、実質的に原料ガス中の希ガスと不純物ガスを分離する目的で配置される。分離膜ユニットは、少なくとも分離膜を具備しており、原料ガスを圧縮するための圧縮器と、透過側の圧力を下げるための真空ポンプを具備していても構わない。圧縮機と真空ポンプを具備することにより、希ガスの回収率を高めることができる。
[分離膜]
[多孔質膜]
分離膜は、少なくとも多孔質膜を有する。多孔質膜の材質は、本実施形態の希ガス精製装置システムの操作温度及び操作圧力において、十分な耐久性を有していれば特に限定されず、有機材料及び無機材料のうちのいずれでも構わない。
有機材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが使用できる他、例えば、ポリスルホン(PSf)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、酢酸セルロース、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール等のホモポリマー又はこれらのコポリマー等が好ましく、これらのうちのいずれか単独、又はこれらの混合物から形成されるものを好ましく使用することができる。この中でも、耐有機溶剤性の観点から、ポリアミドイミドを用いることが好ましい。
無機材料としては、例えば、アルミナ、シリカ、コージェライト、ジルコニア、チタニア、マグネシア、ゼオライト、バイコールガラス、焼結金属等が挙げられる。
多孔質膜の平均孔径は、1nm以上10μm以下が好ましく、10nm以上1μm以下がより好ましい。平均孔径が1nm未満であると、ガスの透過抵抗が過度に大きくなり、ガス分離膜としての透過性が低下する。そのため、極めて大きな膜面積が必要となり、分離設備が大きくなるから、効率性の点で好ましくない。他方、平均孔径が10μmを超えると、分離性能が低下するおそれがある。多孔質膜の平均孔径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で確認することができる。
[分離活性層]
本実施形態においては、多孔質膜の上部には、分離性能を高める目的で、分離活性層が配置される。本実施形態においては、分離活性層は、Co、Cu、Zn、及びAlから成る群から選ばれる少なくとも一種の金属を含有するMOF(Metal Organic Framework)を含有する。かかるMOFは、好ましくは、CuTPA(Cuとテレフタル酸から成るMOF)、CuBTC(Cuとトリメトキシ酸から成るMOF)、CuBDC(Cuと1,4−ベンゼンジカルボン酸から成るMOF)、MIL−53(Al)(Alと1,4−ベンゼンジカルボン酸から成るMOF)、及びZIF−7(Znとベンズイミダゾール酸から成るMOF)から成る群から選ばれる。
尚、分離活性層は、前記特定MOF以外のMOFやその他の成分を含んでもよく、この場合、他の分離活性層は、有機材料、無機材料のいずれでも構わない。
有機材料の場合、ポリイミド、シリコーン、テフロンAFが挙げられるが、これらに限らず、種々の有機材料を用いることができる。
無機材料の場合、ゼオライト、MOF(Metal Organic Frameworks)、シリカライト、カーボンが挙げられるが、これらに限られず、種々の無機材料を用いることができる。
ゼオライトはアルミノ珪酸塩であり、ゼオライト種の具体例としては、NaX型(FAU)、ZSM−5、MOR、A型などが挙げられる。ゼオライトは、天然ゼオライトと合成ゼオライトを合わせると、200種類以上の構造が存在するため、これだけに限定されるものではない。ゼオライト種は、水熱合成反応によって2次成長させるものと同程度のSi/Al比を有するものが好ましい。
MOFとしては、例えば、MOF−5、IRMOF−3、MIL−47、MIL−96、MMOF、SIM−1、ZIF−8、ZIF−22、ZIF−69、ZIF−90等が挙げられるが、金属有機構造体(MOF)は200種類以上の構造が存在するため、これだけに限定されるものではない。
MOFは、金属塩と有機配位子によって形成される。MOFの原料は、溶液中で金属イオンを得ることができる金属塩と、有機配位子である。これは、金属塩と有機配位子の両方について少なくともそれぞれ1種類を原料に用いることを意味し、必要であれば複数の種類を原料に用いることを妨げるものではない。さらに必要であれば、金属塩と有機配位子以外の原料も用いることができる。
MOF原料として用いる金属塩は、各種の金属元素を含むものから選択することができる。金属塩に含まれる金属元素としては、好ましくはCu、Zn、Co、In、Al、Fe、V、Mg、Mn、Ni、Ru、Mo、Cr、W、RhおよびPdからなる群より選択される元素であり、より好ましくはCu、Zn、Co、In、Al、Fe、Vからなる群より選択される元素である。
前記の金属元素を含む金属塩としては、好ましくは、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物、金属フッ化物、金属炭酸塩、金属蟻酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、及び金属水酸化物からなる群から選択することができ、より好ましくは金属硝酸塩及び金属塩化物からなる群から選択される金属塩である。
具体的な金属塩は、好ましくは硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸インジウム、硝酸アルミニウム、硝酸鉄、硝酸バナジウム、塩化銅、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化インジウム、塩化アルミニウム、硝酸塩化鉄、及び塩化バナジウムからなる群から選択される金属塩であり、より好ましくは硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸インジウム、及び塩化バナジウムからなる群から選択される金属塩である。
有機配位子は、上述の金属元素の金属イオンと配位結合を形成する有機配位子から選択される。前記有機配位子は、ジカルボン酸、トリカルボン酸、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、アザベンゾイミダゾール、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種とすることができる。
ジカルボン酸として用いることができる有機配位子は、好ましくはイソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、及びビフェニレンジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも一種である。トリカルボン酸として用いることができる有機配位子は、好ましくは1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、及び1,3,5−ベンゼントリカルボン酸からなる群から選択される少なくとも一種である。テトラカルボン酸として用いることができる有機配位子は、好ましくは1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸、及び1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸からなる群から選択される少なくとも一種である。
さらに、選択されるこれらの有機配位子は、必要に応じて骨格中に別の置換基として、ヒドロキシル基、アミノ基、メトキシ基、メチル基、ニトロ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、クロロ基、ブロモ基又はフルオロ基を有することができる。
前記したように、本実施形態においては、分離活性層は、Co、Cu、Zn、及びAlから成る群から選ばれる少なくとも一種の金属を含有するMOF(Metal Organic Framework)を含有し、かかるMOFは、好ましくは、CuTPA(Cuとテレフタル酸から成るMOF)、CuBTC(Cuとトリメトキシ酸から成るMOF)、CuBDC(Cuと1,4−ベンゼンジカルボン酸から成るMOF)、MIL−53(Al)(Alと1,4−ベンゼンジカルボン酸から成るMOF)、及びZIF−7(Znとベンズイミダゾール酸から成るMOF)から成る群から選ばれる。
金属塩に含まれる金属元素としては、Co、Cu、Zn、及びAlからなる群より選択される元素である。中でも、Cuとテレフタル酸からから成るMOF(CuTPA)、Cuとトリメトキシ酸から成るMOF(CuBTC)、Cuと1,4−ベンゼンジカルボン酸からなるMOF(CuBDC)、Alと1,4−ベンゼンジカルボン酸からなるMOF(MIL−53(Al))、Znとベンズイミダゾールから成るMOF(ZIF−7)が好ましい。本発明者らは、種々の材を検討した結果、選択性の観点から、前記の材が好ましいことを見出した。推測の域を出ないが、好ましい理由は、希ガスを選択的に透過させることができる構造、すなわち、孔径が希ガスを選択的に透過させるのに適したサイズであること、材とMOFと希ガスの親和性が高いことが考えられる。また、製膜上の観点から、用いた多孔質膜との接着性などが好ましく、膜性能低下の原因となる欠陥が少なかったと考えられる。多孔質膜との接着性が好ましくなった理由として、Co、Cu、Zn、及びAlからなる群より選択される元素を含有するMOFの場合、機械物性等が多孔質膜の機械物性と近似することが多く、剥離等がなくなったと推測する。
MOFの素材は、例えば、赤外分光分析(IR)、熱分解GC/IR、熱分解GC/MS、元素分析、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)、固体核磁気共鳴分析(固体NMR)、X線光電子分光分析(XPS)等によって測定することによって、確認することができる。
複数個分離膜ユニットを具備する場合、分離膜ユニットを構成する分離膜の材が、同一でも異なっていても構わない。高選択性を有する同一の膜を複数個連結させることによって、純度を逐次あげることが期待できる。他方、低選択性でも高透過性の膜と、高選択性の膜を複数個連結させても構わない。この場合、低選択性でも高透過性の膜によって、原料ガス中の希ガス分圧を上げることができるようになるため、後段の高選択性の膜の選択性を極端に上げる必要がなくなる。このように、適切に分離膜を組み合わせることにより、精製ガスの希ガス純度と回収率を好ましい範囲にすることができる。
[凝縮器]
本実施発明における凝縮器は、ガス中に含まれる凝縮性成分を除去する目的で配置される。凝縮性成分は、水が挙げられる。水はヘリウムに次いで透過性が高いため、除去することが困難である。そこで、凝縮器を設置することにより、水を効率的に除去できるようになる。凝縮器の設置場所について、鋭意検討した結果、透過ガスの一部を原料ガスに戻すライン(例えば、図1におけるライン50とライン51)に凝縮器を設置することにより、水をさらに効率的に除去できるようになった。
[製造方法]
本実施形態に係る気体分離膜の製造方法は、少なくとも下記工程;
分離活性層に用いる無機材料の種結晶を製造する工程;
種結晶を多孔質膜に塗布する工程;
多孔質膜に塗布した種結晶を結晶成長させる工程;
を含む工程から成ることを特徴にする。
[分離活性層に用いる無機材料の種結晶を製造する工程]
本実施形態において、好ましく実施される種結晶の製造工程について説明する。
以下に、MOFの種結晶を製造する場合について、説明する。
まず、金属塩の溶液を調製する。金属塩に含まれる金属元素としては、Co、Cu、Zn、及びAlから成る群から選ばれる少なくとも一種であるが、In、Fe、V、Mg、Mn、Ni、Ru、Mo、Cr、W、Rh、及びPdからなる群より選択される元素を含んでもよい。金属塩を溶解させる溶媒は、DMF、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノールなどのプロトン性極性溶媒、水などを用いることができる。金属塩を溶解させる溶媒は、金属塩を溶解させることができればよく、これだけに限定されるものではない。
続いて、有機配位子の溶液を調製する。有機配位子は、ジカルボン酸、トリカルボン酸、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、アザベンゾイミダゾール、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種とすることができる。金属塩を溶解させる溶媒は、DMF、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノールなどのプロトン性極性溶媒、水などを用いることができる。有機配位子を溶解させる溶媒は、有機配位子を溶解させることができればよく、これだけに限定されるものではない。
このように調製した金属塩溶液と有機配位子溶液を混合、続いて撹拌し、種結晶を製造する。種結晶を製造する温度は30℃以上200℃以下で行われることが好ましい。温度が高すぎると、製造費がかかり、逆に温度が低すぎると、反応が進まない。また、加熱する代わりに、マイクロ波を照射しても構わない。マイクロ波を用いた場合、均一に加熱できるという点で好ましい。反応時間は、10分以上48時間以内が好ましい。反応時間が長すぎると、製造効率が落ち、逆に反応時間が短すぎても目的物が十分量得られない。
[種結晶を多孔質膜に塗布する工程]
本実施形態において、好ましく実施される種結晶の塗布工程について説明する。
以下に、MOFの種結晶を塗布する場合について、説明する。
まず、種結晶の懸濁溶液を作製する。種結晶の濃度は0.01wt%以上1wt%以下が好ましい。濃度が高すぎても、種結晶の凝集沈殿を生じ、逆に濃度が低すぎても、多孔質膜上に十分量の種結晶が塗布されない。懸濁する溶媒は、DMF、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノールなどのプロトン性極性溶媒、水などを用いることができる。懸濁させる溶媒は、種結晶を懸濁させることができればよく、これだけに限定されるものではない。塗布する温度は20℃以上100℃以下が好ましい。温度が高すぎると、溶媒が揮発すし、逆に温度が低すぎても、種結晶の拡散性が抑えられるために、十分量の種結晶が塗布されない。
[多孔質膜に塗布した種結晶を結晶成長させる工程]
本実施形態において、好ましく実施される結晶成長工程について説明する。
以下に、MOFの結晶を成長させる場合について、説明する。
まず、金属塩を有機配位子の溶液を作製する。金属塩と有機配位子の種類は、種結晶と同じ種類であることが好ましい。異なる種類であると、結晶成長が十分に起こらずに、所望の選択性が得られない。
得られる気体分離膜の選択性を高めるためには、金属塩と有機配位子の各濃度、結晶成長時間、結晶成長温度が重要な因子となる。当業界では、前記因子が結晶成長を支配する需要な因子であることは、これまでもよく知られていたが、いずれも多孔質膜上で結晶成長を検討したものではなく、均一な溶液中での結晶成長について検討がなされてきたものである。多孔質膜上で結晶成長させる場合、多孔質膜の熱や溶媒による膨潤の考慮し、金属塩と有機配位子が溶液中でなく多孔質膜上で結晶成長させるために濃度、時間及び温度を厳密に制御することが必要となってくる。本発明者らは、前記考慮や制御について検討することで、実用に満足する透過性能を有する気体分離膜を製造できることを見出した。
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例などに何ら限定されるものではない。
以下の実施例等には、以下の測定方法を用いた。
[希ガスの透過速度]
希ガスの透過速度は、例えば、以下の条件下に測定することができる。
ガス透過装置:
装置:ジーティーアールテック社製、形式「等圧式ガス透過率測定装置(GTR20FMAK)」
温度:25℃
ガス分析装置:
装置:ジーエルサイエンス社製、形式「GL4000 DSF−D4I」
[希ガス/窒素の分離係数]
希ガス/窒素の分離係数は、例えば、以下の条件下に測定することができる。
ガス透過装置:
装置:ジーティーアールテック社製、形式「等圧式ガス透過率測定装置(GTR20FMAK)」
温度:25℃
ガス分析装置:
装置:ジーエルサイエンス社製、形式「GL4000 DSF−D4I」
[希ガスの純度、不純物、酸素、二酸化炭素、水の含有率]
希ガスの純度、不純物、酸素、二酸化炭素、水の含有率は、例えば、以下の条件下に測定することができる。
ガス透過装置:
装置:ジーティーアールテック社製、形式「等圧式ガス透過率測定装置(GTR20FMAK)」
温度:25℃
ガス分析装置:
装置:ジーエルサイエンス社製、形式「GL4000 DSF−D4I」
[回収率]
回収率は、例えば、以下の条件下に測定することができる。
ガス透過装置:
装置:ジーティーアールテック社製、形式「等圧式ガス透過率測定装置(GTR20FMAK)」
温度:25℃
ガス分析装置:
装置:ジーエルサイエンス社製、形式「GL4000 DSF−D4I」
[気体分離膜]
[実施例1]
Cu(NO・3HO:0.93gとテレフタル酸:0.664gをDMF:100mLに添加し、30分撹拌させた。混合液をテフロンシールしたオートクレーブ容器に入れ、110℃で24時間加熱した。得られた青色結晶をろ別し、DMFで洗浄し、終夜乾燥させた。
得られたCuTPAの0.05wt%DMF溶液を作製し、アルミナ製中空糸膜を30分浸漬させ、終夜風乾させた。
風乾後の中空糸膜を、Cu(NO・3HO:8.37gとテレフタル酸:6.02gをDMF:900mLに溶解させた溶液に100℃4時間浸漬させた。浸漬後の中空糸膜を、DMFと水で順次洗浄し、目的の気体分離膜を得た。
本実施例においては、図1に示す装置を使用し、以下の表1に示す濃度のヘリウムガスを含有する原料ガスからヘリウムガスを精製した。
本実施例では、分離膜として膜面積12cmのものを用いた。原料ガスを200cm/minで供給した。定常稼働時における精製ガス中のヘリウムガス純度及び回収率を以下の表1に示す。ヘリウムガスの純度の同定は、ガスクロマトグラフィー(GC)にて行った。
[実施例2、3]
実施例1と同様の方法により、気体分離膜を製造した。原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例4]
Cu(NO・3HO:2.0gと1,3,5−ベンゼントリカルボン酸:1.0gをエタノール−水混合溶液:50wt%、24mLに添加し、30分撹拌させた。混合液をテフロンシールしたオートクレーブ容器に入れ、110℃で15時間加熱した。得られた青色結晶をろ別し、エタノールと水で洗浄し、終夜乾燥させた。
得られたCuBTCの0.05wt%エタノール−水混合溶液:50wt%を作製し、アルミナ製中空糸膜を30分浸漬させ、終夜風乾させた。
風乾後の中空糸膜を、Cu(NO・3HO:83.4gと1,4−ベンゼンジカルボン酸:41.7gをエタノール−水混合溶液:50wt%、1000mLに溶解させた溶液に140℃で4時間浸漬させた。浸漬後の中空糸膜を、DMFと水で順次洗浄し、目的の気体分離膜を得た。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例5]
Cu(NO・3HO:1.053gと1,4−ベンゼンジカルボン酸:0.724gをDMF:87mlに添加し、110℃24時間撹拌した。得られた沈殿物をろ別し、DMFで洗浄した。洗浄した沈殿物を100℃24時間、200℃で3時間乾燥させた。
得られたCuBDCの0.05wt%DMF溶液を作製し、アルミナ製中空糸膜を30分浸漬させ、終夜風乾させた。
風乾後の中空糸膜を、Cu(NO・3HO:12.1gと1,4−ベンゼンジカルボン酸:8.33gをDMF:1000mLに溶解させた溶液に150℃4時間浸漬させた。浸漬後の中空糸膜を、DMFと水で順次洗浄し、目的の気体分離膜を得た。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例6]
Zn(NO・6HO:0.30gとベンズイミダゾール:0.77gをDMF:100mLに添加し、48時間撹拌させた。得られた沈殿物をろ別し、DMFで洗浄し、終夜乾燥させた。
得られたZIF−7の0.05wt%DMF溶液を作製し、アルミナ製中空糸膜を30分浸漬させ、終夜風乾させた。
風乾後の中空糸膜を、Zn(NO・6HO:17.1gと2−メチルイミダゾール:9.3gをDMF:900mLに溶解させた溶液に100℃4時間浸漬させた。浸漬後の中空糸膜を、DMFと水で順次洗浄し、目的物を得た。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例7]
基材膜にポリアミドイミド(PAI)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、気体分離膜を製造した。評価は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例8]
Al(NO・9HO:0.375gと1,4−ベンゼンジカルボン酸:0.268gをDMF:14mlに添加し、撹拌させた。混合液をテフロンシールしたオートクレーブ容器に入れ、130℃で3日間加熱した。冷却後、得られた白色結晶をろ別し、DMFで洗浄した。洗浄した沈殿物を100℃で24時間乾燥させた。
得られたMIL−53(Al)の0.05wt%DMF溶液を作製し、アルミナ製中空糸膜を30分浸漬させ、終夜風乾させた。
風乾後の中空糸膜を、Al(NO・9HO:24.0gと1,4−ベンゼンジカルボン酸:17.2gをDMF:900mLに溶解させた溶液に130℃で4時間浸漬させた。浸漬後の中空糸膜を、DMFと水で順次洗浄し、目的物を得た。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表1に示す。
[比較例1]
基材膜にPVDFを用いたこと、分離活性層にモメンティブ・パフォーマンス・マアテリアルズ・ジャパン合同会社製ポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、気体分離膜を製造した。原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表1に示す。
[比較例2]
基材膜にPVDFを用いたこと、分離活性層に、三井デュポンフロロケミカル株式会社製テフロンAF1600(登録商標)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、気体分離膜を製造した。原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表1に示す。
Figure 2019118860
表1から、ヘリウムガスの分子サイズ及び分離膜の分離活性層の素材との親和性に着目し、分離活性層を特定のものとすることで、精製されたヘリウムガスの純度を高めつつ、実益に見合った回収率を達成し得ることが分かった。
[希ガス精製装置]
[実施例9]
Cu(NO・3HO:0.93gとテレフタル酸:0.664gをDMF:100mLに添加し、30分撹拌させた。混合液をテフロンシールしたオートクレーブ容器に入れ、110℃で24時間加熱した。得られた青色結晶をろ別し、DMFで洗浄し、終夜乾燥させた。
得られたCuTPAの0.05wt%DMF溶液を作製し、アルミナ製中空糸膜を30分浸漬させ、終夜風乾させた。
風乾後の中空糸膜を、Cu(NO・3HO:8.37gとテレフタル酸:6.02gをDMF:900mLに溶解させた溶液に100℃4時間浸漬させた。浸漬後の中空糸膜を、DMFと水で順次洗浄し、目的の気体分離膜を得た。
本実施例においては、図1に示した装置を使用し、以下の表2に記載の濃度のヘリウムガスを原料ガスとして、原料ガスからヘリウムガスを精製した。
本実施例では、分離膜として膜面積12cmのものを用いた。原料ガスを200cm/minで供給した。定常稼働時における精製ガス中のヘリウムガス純度及び回収率を以下の表2に示す。ヘリウムガスの純度の同定は、ガスクロマトグラフィー(GC)にて行った。
[実施例10〜11]
実施例1と同様の方法により、気体分離膜を製造した。原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[実施例12]
Cu(NO・3HO:2.0gと1,3,5−ベンゼントリカルボン酸:1.0gをエタノール−水混合溶液:50wt%、24mLに添加し、30分撹拌させた。混合液をテフロンシールしたオートクレーブ容器に入れ、110℃で15時間加熱した。得られた青色結晶をろ別し、エタノールと水で洗浄し、終夜乾燥させた。
得られたCuBTCの0.05wt%エタノール−水混合溶液:50wt%を作製し、アルミナ製中空糸膜を30分浸漬させ、終夜風乾させた。
風乾後の中空糸膜を、Cu(NO・3HO:83.4gと1,4−ベンゼンジカルボン酸:41.7gをエタノール−水混合溶液:50wt%、1000mLに溶解させた溶液に140℃で4時間浸漬させた。浸漬後の中空糸膜を、DMFと水で順次洗浄し、目的の気体分離膜を得た。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[実施例13]
Cu(NO・3HO:1.053gと1,4−ベンゼンジカルボン酸:0.724gをDMF:87mlに添加し、110℃で24時間撹拌した。得られた沈殿物をろ別し、DMFで洗浄した。洗浄した沈殿物を100℃で24時間、200℃で3時間乾燥させた。
得られたCuBDCの0.05wt%DMF溶液を作製し、アルミナ製中空糸膜を30分浸漬させ、終夜風乾させた。
風乾後の中空糸膜を、Cu(NO・3HO:12.1gと1,4−ベンゼンジカルボン酸:8.33gをDMF:1000mLに溶解させた溶液に150℃で4時間浸漬させた。浸漬後の中空糸膜を、DMFと水で順次洗浄し、目的の気体分離膜を得た。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[実施例14]
Zn(NO・6HO:0.30gとベンズイミダゾール:0.77gをDMF:100mLに添加し、48時間撹拌させた。得られた沈殿物をろ別し、DMFで洗浄し、終夜乾燥させた。
得られたZIF−7の0.05wt%DMF溶液を作製し、アルミナ製中空糸膜を30分浸漬させ、終夜風乾させた。
風乾後の中空糸膜を、Zn(NO・6HO:17.1gと2−メチルイミダゾール:9.3gをDMF:900mLに溶解させた溶液に100℃で4時間浸漬させた。浸漬後の中空糸膜を、DMFと水で順次洗浄し、目的物を得た。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[実施例15]
Al(NO・9HO:0.375gと1,4−ベンゼンジカルボン酸:0.268gをDMF:14mlに添加し、撹拌させた。混合液をテフロンシールしたオートクレーブ容器に入れ、130℃で3日間加熱した。冷却後、得られた白色結晶をろ別し、DMFで洗浄した。洗浄した沈殿物を100℃で24時間乾燥させた。
得られたMIL−53(Al)の0.05wt%DMF溶液を作製し、アルミナ製中空糸膜を30分浸漬させ、終夜風乾させた。
風乾後の中空糸膜を、Al(NO・9HO:24.0gと1,4−ベンゼンジカルボン酸:17.2gをDMF:900mLに溶解させた溶液に130℃で4時間浸漬させた。浸漬後の中空糸膜を、DMFと水で順次洗浄し、目的物を得た。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[実施例16]
実施例1で製造した気体分離膜を連結した分離膜ユニットで評価を行った。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[実施例17]
実施例1と実施例6で製造した気体分離膜を連結した分離膜ユニットで評価を行った。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[実施例18]
実施例4で製造した気体分離膜を連結した分離膜ユニットで評価を行った。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[実施例19]
実施例1、実施例6と実施例7で製造した気体分離膜を連結した分離膜ユニットで評価を行った。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[実施例20]
実施例1で製造した気体分離膜を用い、凝縮器を用いたヘリウム精製プロセスで評価を行った。
実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[実施例21]
実施例1で製造した気体分離膜を用い、凝縮器を用いたヘリウム精製プロセスで評価を行った。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[実施例22]
気体分離活性層にPDMSを用いた気体分離膜と実施例1で製造した気体分離膜を用いたヘリウム精製プロセスで評価を行った。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変え、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[実施例23]
気体分離活性層にテフロンAF1600を用いた気体分離膜と実施例1で製造した気体分離膜を用いたヘリウム精製プロセスで評価を行った。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。
[比較例3]
気体分離活性層にPDMSを用いた気体分離膜を用いたヘリウム精製プロセスで評価を行った。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。尚、比較例3は、比較例1と中空糸膜の素材のみ相違する。
[比較例4]
気体分離活性層にテフロンAF1600を用いた気体分離膜を用いたヘリウム精製プロセスで評価を行った。
原料ガスのヘリウムガス純度のみ変更し、他は実施例1と同様の方法で評価した。結果を以下の表2に示す。尚、比較例4は、比較例2と中空糸膜の素材のみ相違する。
Figure 2019118860
表2から、実用を満足できる分離性能を有する分離膜を用いること、多段分離膜プロセスにする場合、適切な分離膜の組み合わせにすること、凝縮器を還流ガスラインに設置することによって、精製されたヘリウムガスの純度を高めつつ、実益に見合った回収率を達成し得ることが分かる。
本発明に係る希ガス分離膜、及びこれを用いた希ガス精製装置を用いれば、空気などの不純ガスを含む希ガスから不純物を除去し、実用に適用可能な純度の希ガスを製造することができるため、本発明は、半導体分野などの電子材料用途、光ファイバーの製造用途などに好適に利用可能である。
1 希ガス精製装置
10 分離膜ユニット
11 分離膜ユニット
20 凝縮器
21 凝縮器
30 原料ガスライン
31 透過ガスライン
32 精製ガスライン
40 非透過ガスライン
41 非透過ガスライン
50 還流ガスライン
51 還流ガスライン

Claims (14)

  1. 多孔質膜の上に分離活性層が配置された希ガス分離膜であって、該分離活性層が、Co、Cu、Zn、及びAlから成る群から選ばれる少なくとも一種の金属を含有するMOF(Metal Organic Framework)を含有することを特徴とする希ガス分離膜。
  2. 前記MOFが、CuTPA(Cuとテレフタル酸から成るMOF)、CuBTC(Cuとトリメトキシ酸から成るMOF)、CuBDC(Cuと1,4−ベンゼンジカルボン酸から成るMOF)、MIL−53(Al)(Alと1,4−ベンゼンジカルボン酸から成るMOF)、及びZIF−7(Znとベンズイミダゾール酸から成るMOF)から成る群から選ばれる、請求項1に記載の希ガス分離膜。
  3. 前記希ガスがヘリウムガスである、請求項1又は2に記載の希ガス分離膜。
  4. 供給側ガスとしてヘリウム50質量%及び窒素50質量%からなる混合ガスを用い、供給側ガス流量を200mL/min、透過側ガス流量を50mL/minとするとき、等圧式によって30℃において測定されるヘリウムガスの透過速度が、5GPU以上2,500GPU以下であり、かつ、ヘリウム/窒素の分離係数αが50以上2,000以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の希ガス分離膜。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の希ガス分離膜を含む分離膜ユニットを具備する、50%以上99%以下の純度の希ガスを含む原料ガスを精製するための希ガス精製装置。
  6. 前記原料ガス中に含まれる凝縮物を除去するための凝縮器をさらに具備する、請求項5に記載の希ガス精製装置。
  7. 前記希ガスがヘリウムガスである、請求項5又は6に記載の希ガス分離装置。
  8. 請求項5又は6に記載の希ガス精製装置を用いて、50%以上99%以下の純度の希ガスを含む原料ガスを、純度99.9%以上の希ガスに精製する方法。
  9. 請求項5又は6に記載の希ガス精製装置を用いて、50%以上99%以下の純度の希ガスを含む原料ガスを、純度99.99%以上の希ガスに精製する方法。
  10. 請求項5又は6に記載の希ガス精製装置を用いて、50%以上99%以下の純度の希ガスを含む原料ガスを、純度99.995%以上の希ガスに精製する方法。
  11. 前記希ガスがヘリウムガスである、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 酸素を0.1〜5ppmで含有する、純度99.995%以上のヘリウムガス。
  13. 二酸化炭素を0.1〜5ppmで含有する、純度99.995%以上のヘリウムガス。
  14. 水を0.1〜5ppmで含有する、純度99.995%以上のヘリウムガス。
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