JP2019116657A - 疲労強度に優れた厚肉大径電縫鋼管およびその製造方法 - Google Patents

疲労強度に優れた厚肉大径電縫鋼管およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】肉厚11.9mm以上、管外径219.1mm以上の疲労強度に優れた電縫鋼管の提供。【解決手段】質量%で、C:0.001〜0.50%、Si:0.001〜2.0%、Mn:0.001〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.010〜0.060%を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなり、フェライト相とパーライトからなる混合相を主相とし、該主相と面積率で30%以下(0%を含む)の第二相とからなる組織とを有する熱延鋼帯を素材とし、冷間加工を施して円筒状のオープン管としたのち、幅方向端部同士を突き合わせ、押圧し、電縫溶接、150〜350℃の低温焼戻により、静的降伏強さが245MPa以上、静的引張強さが415MPa以上で、かつ、応力比:0.1の繰返し応力負荷を施して得られた繰返し応力歪曲線から求めた繰返し降伏強さが245MPa以上である電縫鋼管。【選択図】なし

Description

本発明は、油井管、ラインパイプ用として好適な厚肉大径電縫鋼管に係り、とくに繰返し荷重を受ける使途に好適な、疲労強度に優れた厚肉大径電縫鋼管およびその製造方法に関する。
電縫鋼管は、継目無鋼管(シームレス鋼管)やUOE鋼管に比較して、安価であるという大きなメリットを有している。しかも、近年、電縫鋼管は、その製造技術や素材特性の向上により、性能が著しく向上し、油井管、ラインパイプ等向け素材として適用されるようになっている。油井管、ラインパイプ等向けとしては、まず、所定の強度を有し、さらに低温靭性、溶接性等に優れた電縫鋼管であることが、要求される。
例えば、特許文献1には、「低温靭性、溶接性に優れた高強度電縫管用熱延鋼帯」が記載されている。特許文献1に記載された技術は、質量%で、C:0.005〜0.04%、Si:0.05〜0.3%、Mn:0.5〜2.0%、Al:0.001〜0.1%、Nb:0.001〜0.1%、V:0.001〜0.1%、Ti:0.001〜0.1%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、N:0.006%以下を含み、かつCu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以下のうちから選んだ一種又は二種以上を含有する組成で、Pcmが0.17以下を満足し、かつ全組織中、主相であるベイニティックフェライトの占める割合が95vol%以上である高強度電縫管用熱延鋼帯である。特許文献1に記載された技術によれば、降伏強さ:560MPa以上の高強度で、試験温度:−10℃でのCTOD値が0.25mm以上となる母材および溶接部靭性を有し、ラインパイプ用鋼管や、油井管等向け素材として好適な電縫鋼管用熱延鋼帯となるとしている。
また、特許文献2には、「低温での衝撃エネルギー吸収特性と耐HAZ軟化特性に優れた高降伏比熱延鋼板」が記載されている。特許文献2に記載された技術は、質量%で、C:0.04〜0.09%、Si:0.4%以下、Mn:1.2〜2.0%、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:1.0%以下、Nb:0.02〜0.09%、Ti:0.02〜0.07%、N:0.005%以下、を含有し、Mn+8Ti+12Nb:2.0〜2.6であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、パーライトの面積分率が5%以下、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの合計面積分率が0.5%以下を含有し、残部がフェライトおよびベイナイトの1種または2種である金属組織からなり、フェライトおよびベイナイトの平均結晶粒径が10μm以下であり、TiおよびNbを含有する非整合析出した合金炭窒化物の平均粒子径が20nm以下であり、降伏比が0.85以上、最大引張強度が600MPa以上であり、−40℃におけるシャルピー衝撃エネルギー吸収が70J/cm2以上で、耐HAZ軟化特性に優れた高降伏比熱延鋼板である。
また、特許文献3には、「電縫溶接部の耐HIC性および低温靱性に優れた電縫鋼管」が記載されている。特許文献3に記載された技術は、質量%で、C:0.03〜0.59%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.40〜2.10%、Al:0.01〜0.35%を含有し、Si、MnをMn/Siが6.0〜9.0の範囲になるように調整して含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、引張強さTS:434MPa以上の強度を有する電縫鋼管であり、電縫溶接部に存在する円相当径8μm以上の介在物に含まれるSi、Mn、Al、Ca、Crの合計量が、地鉄を含む幅2mmの電縫溶接部全量に対する質量%で、16ppm以下であり、該電縫溶接部が優れた耐HIC特性と優れた低温靭性とを兼備する電縫鋼管である。
また、特許文献4には、「溶接部品質の優れた電縫鋼管」が記載されている。特許文献4に記載された技術は、電縫鋼管の母材を構成する鋼板の成分組成が、質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.5〜2.0%、Al:0.01〜0.06%、Ti:0.011〜0.023%、Ca:0.001〜0.005%、Ce及びLaの1種または2種の合計:0.001〜0.005%、P:0.03%以下、S:0.0015%以下、O:0.002%以下、N:0.005%以下を含有し、さらにNb:0.1%以下、V:0.1%以下、Mo:0.2%以下、及びB:0.002%以下の1種または2種以上を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物であり、Ca、O、S、Ce、La、及びAlの含有量が、式
XCASO={Ca/O+Ca/S+0.285(Ce+La)/O+0.285(Ce+La)/S}×{Al/Ca}>78
を満し、電縫鋼管の溶接部における酸化物系介在物が、Ce及びLaの1種または2種を含有し、上記酸化物系介在物の長径/短径が2.5以下である、溶接部品質の優れた電縫鋼管である。特許文献4に記載された技術によれば、電縫溶接部の靭性低下が回避でき、油井管およびラインパイプに適した耐SSC性と低温靭性とを兼備した電縫鋼管を得ることができるとしている。
また、特許文献5には、「低降伏比高強度電縫鋼管」が記載されている。特許文献5に記載された技術は、質量%で、C:0.05〜0.25%、Mn:0.2〜2.0%、Mo:0.05〜2.0%、V:0.1%超〜1.0%、Ti:0.002〜0.05%を含有し、Si:0.5%以下、Al:0.10%以下、P:0.025%以下、S:0.010%以下、N:0.01%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、次(式1)
Ceq=C+Mn/6+Ni/15+(Mo+V)/5 ……(式1)
によって求められるCeqが0.45以上であり、金属組織が焼戻しマルテンサイトからなる低降伏比高強度電縫鋼管である。特許文献5に記載された電縫鋼管は、造管後、焼入れ焼戻し処理を施されて、降伏強さ:800MPa以上の高強度と、90%以下の低降伏比と、を有し、低温靭性に優れた電縫鋼管である。特許文献5に記載された技術では、高い焼入れ性を有し、厚肉管でもマルテンサイト組織とすることができ、高強度、高靭性で、降伏比も低く、大径かつ厚肉の電縫鋼管とすることができるとしている。
また、特許文献6には、「高強度中空スタビライザー用電縫鋼管」が記載されている。特許文献6に記載された技術は、質量%で、C:0.20〜0.38%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.30〜2.00%、Al:0.01〜0.10%、W:0.01〜1.50%、B:0.0005〜0.0050%を含みさらにTi、Nを、Ti:0.001〜0.04%、N:0.0010〜0.0100%の範囲で、かつ(1)式
N/14<Ti/47.9 ……(1)
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、焼入れ処理後あるいは焼入れ焼戻処理後の強度−靭性バランスに優れる高強度中空スタビライザー用電縫鋼管であり、上記組成に加えてさらに、Cr、Moのうちから選ばれた1種または2種、Nb、Vのうちから選ばれた1種または2種、Cu、Niのうちから選ばれた1種または2種を含有してもよいとしている。特許文献6に記載された技術によれば、焼入れ焼戻し後の、肉厚方向の平均硬さが400HV以上の高強度で、シャルピー衝撃試験の破面遷移温度vTrsが−110℃以下の高靭性を有し、さらに機械的特性のばらつきが少ない自動車用スタビライザーを製造できるとしている。
また、特許文献7には、「低温衝撃特性に優れた自動車用高強度電縫鋼管」が記載されている。特許文献7に記載された技術は、質量%で、C:0.2〜0.4%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.5〜2.5%、P:0.025%以下、S:0.01%以下、Al:0.15%以下、Cu:2%以下、Cr:2%以下、Ti:0.2%以下、B:0.005%以下を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなる組成を有し、引張強さが1750N/mm2以上、0.1%耐力が1320N/mm2以上、−40℃におけるシャルピー衝撃値が50J/cm2以上である鋼板により構成される自動車用高強度電縫鋼管である。特許文献7に記載された技術によれば、所定の化学成分を有する電縫鋼管を高周波焼入れし、ミクロ組織をマルテンサイト単相としたのち、低温焼戻し処理を施すことにより、上記した高強度を有し、さらに高荷重域まで局部座屈が起こらず、衝撃吸収特性に優れた高強度電縫鋼管が得られるとしている。
また、特許文献8には、「高強度電縫鋼管」が記載されている。特許文献8に記載された技術は、質量%で、C:0.05〜0.20%、Si:0.5〜2.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.005%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、フェライト相とマルテンサイト相からなる二相組織で、マルテンサイト相が体積率で20〜60%である組織とを有し、引張強さが1180MPa以上、管軸方向の伸びが10%以上、降伏比が90%未満である優れた加工性と、塗装焼付け処理後の強度増加量が100MPa以上で、かつ降伏比が90%以上となる衝撃吸収特性とを有し、電縫溶接部の内面ビード高さが-0.1〜0.1mmである高強度電縫鋼管である。特許文献8に記載された技術により製造された高強度電縫鋼管は、自動車衝撃吸収用部材、自動車骨格部材等に有効に適用できるとしている。
また、特許文献9には、「疲労特性に優れた電縫鋼管」が記載されている。特許文献9に記載された技術は、質量%で、C:0.35〜0.55%、Si:0.01〜1.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Al:0.005%以下、N:0.0050%以下、Cr:0.1〜0.5%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純部物からなる組成を有し、パーライト、フェライトおよびベイナイトからなり、パーライトの面積率が85%以上、フェライトおよびベイナイトの面積率の合計を15%以下、旧オーステナイト粒径が25μm以下である電縫鋼管である。特許文献9に記載された技術では、主たる組織をパーライトとすることにより、疲労き裂がジグザグに伝播することで疲労き裂伝播抵抗が高くなり、疲労強度が向上するとしている。
特許第4341396号公報 特許第5354130号公報 特許第5516680号公報 特許第5765497号公報 特開2010−1566号公報 特開2006−206999号公報 特開2008−261049号公報 特開2012−229457号公報 特許第5892267号公報
海底油田・ガス田から石油・天然ガス等を採取する際に用いられる油井管やラインパイプでは、繰り返し荷重により疲労を受ける場合があり、特に例えば、海洋掘削リグにおけるライザーパイプにおけるように、潮流による管軸方向の応力変動による疲労破壊が懸念されるなど、油井管、ラインパイプ等の使途に適用される電縫鋼管では、優れた耐疲労特性を有することが要望されている。
しかしながら、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4に記載された各技術では、耐疲労特性についてまでの言及はなく、疲労強度に優れた電縫鋼管であるかどうかについては、不明のままである。
また、特許文献5に記載された技術では、高い焼入れ性を有し、厚肉管でもマルテンサイト組織とすることができ、高強度、高靭性で、降伏比も低く、大径かつ厚肉の電縫鋼管とすることができるとしているが、しかし、特許文献5には、耐疲労特性についてまでの言及はない。また、特許文献6に記載された技術で製造される電縫鋼管は、自動車用スタビライザー向けであり、たかだか肉厚5mm程度で、外径:25.4mmφ程度の小径電縫鋼管であり、しかも、特許文献6には、強度、靭性についての記載があるだけで、耐疲労特性についてまでの言及はない。また、特許文献7に記載された技術で製造される電縫鋼管は、マルテンサイト単相組織で、引張強さが1750N/mm2以上で、0.1%耐力が1320N/mm2以上となる高強度を有しているが、自動車向けであり、肉厚:2mm程度、外径:31.8mmφと、薄肉小径電縫鋼管が例示されているにすぎず、しかも、特許文献7には、強度、靭性についての記載があるだけで、耐疲労特性についての言及はない。
また、特許文献8に記載された技術で製造された電縫鋼管は、マルテンサイト相が体積率で20〜60%となるフェライト相とマルテンサイト相からなる二相組織で、引張強さが1180MPa以上を有する高強度電縫鋼管であるが、主として自動車部材用のため、外径がたかだか48.6mmφ、肉厚が1.8mm程度の薄肉小径電縫鋼管が例示されているにすぎない。特許文献8には、耐疲労特性についての記載もない。また、特許文献9に記載された技術では、主たる組織をパーライトとすることにより、疲労強度を向上させている。しかし、特許文献9に記載された技術では、自動車の中空ドライブシャフト用を目的としているため、たかだか、外径89mm、肉厚4.7mm程度の薄肉小径電縫鋼管についての記載があるだけで、特許文献9には、厚肉大径の電縫鋼管についてまでの記載はない。
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑み、油井管、ラインパイプ用として、とくに繰り返し荷重を受ける用途向けとして好適な、厚肉大径で、疲労強度に優れた電縫鋼管を提供することを目的とする。なお、ここでいう「疲労強度に優れた」とは、応力比:0.1での繰返し応力負荷試験(疲労試験)を実施して求めた繰返し応力歪曲線から求めた繰返し降伏強さが、245MPa以上である場合をいうものとする。
なお、ここでいう「厚肉大径」電縫鋼管とは、肉厚(板厚):11.9mm以上好ましくは25.4mm以下、管外径:219.1mm以上である電縫鋼管をいうものとする。
また、本発明が目的とする厚肉大径電縫鋼管は、上記した範囲の肉厚、管径を有し、かつ管軸方向で、静的降伏強さYS:245MPa以上好ましくは525MPa以下で、静的引張強さTS:415MPa以上好ましくは760MPa以下の強度と、JIS Z 2242に規定されるシャルピー衝撃試験で、試験温度:0℃における吸収エネルギーが27J以上である靭性と、を有する鋼管とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、電縫鋼管の疲労強度に及ぼす各種要因について、鋭意検討した。その結果、まず、応力比:0.1での繰返し応力負荷試験(疲労試験)を実施して繰返し応力歪曲線を求め、その繰返し応力歪曲線から求めた繰返し降伏強さが、通常、鋼材の疲労強度として用いられる、JIS Z 2273 に規定される200万回疲労強度σmaxと、非常によい相関を示すことを新規に見出した。
まず、本発明者らが行った実験結果について説明する。
種々の組成を有し、フェライト+パーライト、ベイナイトおよびそれらを混合した各種組織を有する熱延鋼板(鋼帯)(板厚:11.9〜25.4mm)を素材として、該素材に、冷間加工を施し、略円筒状のオープン管としたのち、該オープン管の幅方向端部同士を突き合わせて、押圧し、大電流の高周波抵抗溶接により電縫溶接して、外径:219.1〜508mmφの各種厚肉大径の電縫鋼管とした。
得られた電縫鋼管から、図3に示す断面で、電縫部(シーム部)から時計周りに90°の位置の板厚中央位置で、試験片の長手方向が管軸方向となるように、図5に示す疲労試験片を採取した。そして、中央部に塑性歪ゲージを貼付した疲労試験片に、図6に示す、応力比:0.1の正弦波の応力を負荷し、試験片に発生する歪を測定する、繰返し応力負荷試験(疲労試験)を実施した。なお、ここでいう応力比は、図6に示すように、σmin/σmaxである。なお、負荷する応力を、応力比:0.1の正弦波の応力としたのは、油井管やラインパイプに負荷される繰り返し荷重は、平均応力がプラス側にある場合が多いという理由からである。
図2に示す繰返し応力負荷試験では、応力比:0.1の正弦波の応力を負荷し、応力負荷に伴い試験片に発生する歪を測定し、応力と歪との関係を求める。同一条件(同じ応力負荷)で複数サイクル(10サイクル)行い、応力と歪との関係の頂点を求めたのち、応力比:0.1を一定としたままで、応力レベルを漸増(263〜418MPa)し、同様に、複数サイクル(10サイクル)応力負荷して、応力と歪との関係の頂点を求める。このような応力レベルの漸増を繰り返して、それぞれ頂点をもとめ、得られた各頂点を結び、繰返し応力と歪との関係曲線を得る。その概要を図2に示す。図2では、各サイクルでの頂点を黒丸(●)で示す。黒丸を結んで得られた曲線を、繰返し応力歪曲線と称する。図2に示す繰返し応力歪曲線は、ラウンドハウス型曲線である。
このようにして得られた繰返し応力歪曲線から、繰返し降伏強さを求めた。繰返し応力歪曲線が降伏点型曲線を呈する場合には、繰返し降伏強さは上降伏点とし、繰返し応力歪曲線がラウンドハウス型曲線を呈する場合には、繰返し降伏強さはオフセット0.5%耐力σ0.5とした。
さらに、得られた電縫鋼管について同様に、電縫部(シーム部)から時計周りに90°の位置の板厚中央部で、試験片の長手方向が管軸方向となるように、図5に示す疲労試験片を採取し、JIS Z 2273 の規定に準拠して、応力比:0.1の繰返し応力負荷の条件で、負荷応力を変化させて、疲労試験を実施し、破断までの繰返し負荷回数を求め、S−N曲線として、疲労強度σmax(2×106回)を得た。
得られた疲労強度σmax(2×106回)と繰返し降伏強さとの関係を図1に示す。
図1から、繰返し降伏強さは、電縫鋼管の疲労強度σmax(2×106回)と、鋼管組織に影響されることなく、非常によい相関関係を有していることを、新規に知見した。
このようなことから、本発明者らは、上記した「繰返し降伏強さ」により、当該電縫鋼管の耐疲労特性を評価することが、多数の試験片を用いることなく、簡便に、当該電縫鋼管の疲労強度を精度高く推定できることに想到した。
さらに、本発明者らは、疲労強度の評価手段として上記した繰返し降伏強さを用いて、各種電縫鋼管の疲労強度を推定し、造管ままの電縫鋼管に、焼戻温度:150〜350℃の低温焼戻処理を施すと、管軸方向の疲労強度が著しく向上することを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)質量%で、C:0.001〜0.50%、Si:0.001〜2.0%、Mn:0.001〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.010〜0.060%を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、
フェライトとパーライトとからなる混合相を主相とし、該主相と面積率で30%以下(0%を含む)の第二相とからなる組織と、を有し、さらに前記組織中には粒径500nm未満の微細炭化物が分散してなり、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験で得られた、肉厚中央位置で管軸方向の静的降伏強さが245MPa以上、静的引張強さが415MPa以上で、かつ、応力比:0.1の繰返し応力負荷を施して得られた繰返し応力歪曲線から求めた繰返し降伏強さが245MPa以上である、ことを特徴とする疲労強度に優れた厚肉大径電縫鋼管。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.001〜5.0%、Ni:0.001〜5.0%、Cr:0.001〜5.0%、Mo:0.001〜5.0%、Nb:0.0001〜0.5%、V:0.0001〜0.5%、Ti:0.0001〜0.5%、B:0.00001〜0.1%、Ca:0.00001〜0.1%、REM:0.00001〜0.1%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする厚肉大径電縫鋼管。
(3)熱延鋼帯を素材として、該素材の幅方向に冷間曲げ加工を施して、略円筒状のオープン管としたのち、該オープン管の幅方向端部同士を突き合わせ、押圧し、電縫溶接して、電縫鋼管とするに当り、前記熱延鋼帯を、質量%で、C:0.001〜0.50%、Si:0.001〜2.0%、Mn:0.001〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.010〜0.060%を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、フェライトとパーライトとからなる混合相を主相とし、該主相と面積率で30%以下(0%を含む)の第二相とからなる組織と、を有する鋼帯とし、前記電縫鋼管にさらに、焼戻温度:150〜350℃の低温焼戻処理を施し、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験で得られた、肉厚中央位置で管軸方向の静的降伏強さが245MPa以上、静的引張強さが415MPa以上で、かつ、応力比:0.1の繰返し応力負荷を施して得られた繰返し応力歪曲線から求めた繰返し降伏強さが245MPa以上である電縫鋼管とすることを特徴とする疲労強度に優れた厚肉大径電縫鋼管の製造方法。
(4)(3)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.001〜5.0%、Ni:0.001〜5.0%、Cr:0.001〜5.0%、Mo:0.001〜5.0%、Nb:0.0001〜0.5%、V:0.0001〜0.5%、Ti:0.0001〜0.5%、B:0.00001〜0.1%、Ca:0.00001〜0.1%、REM:0.00001〜0.1%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成であることを特徴とする厚肉大径電縫鋼管の製造方法。
(5)厚肉大径電縫鋼管の疲労強度推定方法であって、前記厚肉大径電縫鋼管から管軸方向が試験片長手方向となるように疲労試験片を採取し、該疲労試験片に一定の応力比となるように繰返し応力を複数サイクル負荷し、同時に発生する歪を求め、該複数サイクルにおける応力と歪との関係の頂点を求める第一の工程と、ついで前記一定の応力比のもとで、負荷する繰返し応力を漸増し、該漸増した繰返し応力を複数サイクル負荷し、同時に発生する歪を求め、該複数サイクルにおける応力と歪との関係の頂点を求める第二の工程と、を、負荷する繰返し応力を漸増させながら複数回行ったのち、得られた複数の前記応力と歪との関係の頂点を繋ぎ合わせて繰返し応力歪曲線を作成し、得られた前記繰返し応力歪曲線から繰返し降伏強さを算出し、該算出した繰返し降伏強さを、前記厚肉大径電縫鋼管の疲労強度とすることを特徴とする厚肉大径電縫鋼管の疲労強度推定方法。
本発明によれば、特殊な工程を必要とせずに、また多量の合金元素を含有することなく、油井管、ラインパイプ等の使途に好適な、疲労強度に優れた厚肉大径電縫鋼管を製造でき、産業上格段の効果を奏する。本発明になる電縫鋼管は、高い疲労強度を有することから、油井管、ラインパイプ等の構造物の疲労破壊に対する安全裕度を拡大できるという効果もある。
疲労強度σmax(2×106回)と繰返し降伏強さとの関係を示すグラフである。 繰返し応力歪曲線の一例を示すグラフである。 鋼管からの試験片採取位置の概略を示す説明図である。 実施例で使用した引張試験片の寸法形状を示す説明図である。 実施例で使用した疲労試験片の概略形態を示す説明図である。 実施例で使用した負荷応力サイクルの一例を模式的に示す説明図である。
本発明電縫鋼管は、疲労強度に優れた厚肉大径電縫鋼管である。
本発明電縫鋼管は、質量%で、C:0.001〜0.50%、Si:0.001〜2.0%、Mn:0.001〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.010〜0.060%を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成(基本組成)を有する。
まず、本発明電縫鋼管の組成限定理由について、説明する。以下、組成における質量%は、単に%で記す。
C:0.001〜0.50%
Cは、電縫鋼管の強度増加に寄与する元素であり、所望の強度を確保するために、0.001%以上の含有を必要とする。一方、0.50%を超える含有は、延性、靭性や、溶接性を劣化させる。このため、Cは0.001〜0.50%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.01〜0.30%である。
Si:0.001〜2.0%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、固溶して電縫鋼管の強度増加に寄与する元素であり、所望の強度を確保するためには、0.001%以上の含有を必要とする。一方、2.0%を超えて多量に含有すると、溶接性、靭性を劣化させる。このため、Siは0.001〜2.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.01〜1.0%である。
Mn:0.001〜3.0%
Mnは、焼入れ性増加を介して、電縫鋼管の強度増加および靭性向上に寄与する元素であり、所望の強度、靭性を確保するために、0.001%以上の含有を必要とする。一方、3.0%を超える多量の含有は、溶接性、靭性の低下を招く。このため、Mnは0.001〜3.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.01〜2.5%の範囲である。
P:0.05%以下
Pは、電縫鋼管の靭性を劣化させる元素であり、できるだけ低減することが望ましいが、0.05%以下であれば、許容できる。このため、Pは0.05%以下に限定した。なお、好ましくは0.03%以下である。
S:0.05%以下
Sは、鋼中では主として硫化物系介在物として存在し、多量の含有は鋼管の延性、靭性を低下させる元素であり、極力低減することが望ましいが、0.05%以下であれば許容できる。このようなことから、Sは0.05%以下に限定した。なお、好ましくは0.01%以下である。
Al:0.010〜0.060%
Alは、脱酸剤として作用するとともに、窒化物AlNを形成して、結晶粒の微細化に寄与する元素である。このような効果を得るためには、Alは0.010%以上含有する必要があるが、0.060%を超えて多量に含有すると、延性、靭性の低下を招く。このため、Alは0.010〜0.060%に限定した。なお、好ましくは0.030〜0.060%である。
上記した成分が基本の成分であるが、本発明電縫鋼管では、この基本の組成に加えてさらに、強度、靭性や溶接性等の調整、耐候性の付与などを目的として、選択元素として、Cu:0.001〜5.0%、Ni:0.001〜5.0%、Cr:0.001〜5.0%、Mo:0.001〜5.0%、Nb:0.0001〜0.5%、V:0.0001〜0.5%、Ti:0.0001〜0.5%、B:0.00001〜0.1%、Ca:0.00001〜0.1%、REM:0.00001〜0.1%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有しても良い。
Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、Bはいずれも、電縫鋼管の強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種以上を含有できる。
Cu:0.001〜5.0%
Cuは、固溶してあるいは析出して、電縫鋼管の強度増加に寄与するとともに、耐候性をも向上させる元素であり、これらの効果を得るためには、0.001%以上の含有を必要とする。一方、5.0%を超える多量の含有は、溶接性、靱性の低下を招くとともに、熱間圧延時の疵発生を招く。このようなことから、含有する場合は、Cuは0.001〜5.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.01〜2.5%である。
Ni:0.001〜5.0%
Niは、電縫鋼管の強度増加に寄与するとともに、とくに低温靭性の向上、耐候性の付与、Cu起因の熱間脆性の改善に有効に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.001%以上の含有を必要とする。一方、5.0%を超える多量の含有は、溶接性を低下させるうえ、製造コストの高騰を招く。このため、含有する場合には、Niは0.001〜5.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.01〜5.0%である。
Cr:0.001〜5.0%
Crは、電縫鋼管の強度増加、耐候性の付与に有効に寄与する元素であり、このような効果を得るためには、0.001%以上の含有を必要とする。一方、5.0%を超える多量の含有は、溶接性および靭性の低下を招く。このため、含有する場合には、Crは0.001〜5.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.01〜2.5%である。
Mo:0.001〜5.0%
Moは、電縫鋼管の強度増加に有効に寄与する元素であり、このような効果を得るためには、0.001%以上の含有を必要とする。一方、5.0%を超える多量の含有は、溶接性および靭性の低下を招く。このため、含有する場合には、Moは0.001〜5.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.01〜2.5%である。
Nb:0.0001〜0.5%
Nbは、固溶しあるいは炭化物、窒化物等として析出して、電縫鋼管の強度増加に寄与するとともに、オーステナイト粒の再結晶を抑制し、熱間圧延を介して結晶粒の細粒化を図る作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.0001%以上の含有を必要とする。一方、0.5%を超える多量の含有は、靭性の低下を招く。このため、含有する場合には、Nbは0.0001〜0.5%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.001〜0.25%である。
V:0.0001〜0.5%
Vは、Nbと同様に、炭化物等として析出して、電縫鋼管の強度増加に有効に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.0001%以上の含有を必要とする。一方、0.5%を超える多量の含有は、溶接性および靭性の低下を招く。このため、含有する場合には、Vは0.0001〜0.5%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.001〜0.25%である。
Ti:0.0001〜0.5%
Tiは、炭化物、窒化物等の析出物を介して電縫鋼管の強度増加に寄与するとともに、溶接部靭性の向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.0001%以上の含有を必要とする。一方、0.5%を超える多量の含有は、製造コストの上昇を招く傾向にある。このため、含有する場合には、Tiは0.0001〜0.5%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.001〜0.25%である。
B:0.00001〜0.1%
Bは、焼入れ性向上を介して電縫鋼管の強度増加に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.00001%以上の含有を必要とする。一方、0.1%を超える多量の含有は、溶接性の低下を招く。このため、含有する場合には、Bは0.00001〜0.1%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.0001〜0.05%である。
また、Ca、REMはいずれも、介在物の形態制御を介して、電縫鋼管の延性向上、靱性向上に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種を含有できる。
Ca:0.00001〜0.1%
Caは、介在物の形態制御を介して、電縫鋼管の延性向上、靱性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.00001%以上の含有を必要とする。一方、0.1%を超える多量の含有は、靱性の低下を招く。このため、含有する場合は、Caは0.00001〜0.1%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.0001〜0.05%である。
REM:0.00001〜0.1%
REMは、Caと同様に、介在物の形態制御を介して、電縫鋼管の延性向上、靱性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.00001%以上の含有を必要とする。一方、0.1%を超える多量の含有は、靱性の低下を招く。このため、含有する場合は、REMは0.00001〜0.1%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.0001〜0.05%である。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。なお、不可避的不純物としては、N:0.006%以下、O:0.006%以下が許容できる。
本発明電縫鋼管は、上記した組成を有し、さらにフェライトとパーライトとからなる混合相を主相とし、該主相と、面積率で30%以下(0%を含む)の第二相とからなる組織を有する。なお、この組織は、電縫鋼管の管軸方向に垂直な断面でシーム部から時計回りに90°の位置で、板厚中央位置で観察するものとする。
主相:フェライトとパーライト
本発明電縫鋼管の主相は、フェライトとパーライトとが混合した混合相とする。ここでいう「主相」とは、組織全体に対する面積率で、70%以上を占める相をいう。主相が、70%未満では、静的降伏強さが525MPaを超える。なお、フェライトとパーライトの比率は、主としてC含有量に依存し、C量が少ない場合にはフェライトの比率が高くなり、C含有量が増加するにしたがいパーライトの比率が増加することは、言うまでもない。本発明の組成範囲では、フェライトは面積率で50〜99%、パーライトは1〜20%との範囲となる。
そして、本発明電縫鋼管では、面積率で30%以下(0%を含む)の第二相を含んでもよい。第二相としては、ベイナイト、マルテンサイトが例示できる。第二相が、面積率で30%を超えて多量に含有される場合には、静的降伏強さが525MPaを超える。また、本発明電縫鋼管の上記した組織では、微細な炭化物(析出物)が分散した状態を呈する。析出した炭化物(析出物)は、粒径500nm未満(10〜400nm程度)の大きさを有している。このような微細な炭化物(析出物)が分散した状態となることにより、疲労強度、静的降伏強さが向上する。このような微細な炭化物(析出物)の存在が認められない場合には、顕著な疲労強度の増加や、静的降伏強さの増加は望めない。なお、このような微細な炭化物(析出物)が分散した状態は、熱延鋼帯を素材として、素材の幅方向に冷間加工し、略円筒状のオープン管に造管した際に導入された転位上に、低温焼戻処理により、炭化物等の析出物が析出したことによるものである。
上記した組成および組織を有する本発明電縫鋼管は、静的降伏強さ:245MPa以上好ましくは525MPa以下、静的引張強さ:415MPa以上好ましくは760MPa以下の静的引張特性を有し、さらに、繰返し降伏強さ:245MPa以上である優れた疲労強度を有する厚肉大径電縫鋼管である。なお、引張特性は、管軸方向に垂直な断面でシーム部から時計回りに90°の位置で、肉厚中央で試験片長手方向が管軸方向となるように、JIS Z 2241の規定に準拠して試験片を採取し、引張試験を行って得られた値を用いるものとする。
また、本発明では、「疲労強度」を評価するための指標として、繰返し降伏強さを用いる。「繰返し降伏強さ」は、繰返し応力負荷試験を行って得られる繰返し応力歪曲線から、算出する。繰返し応力歪曲線は、次に示す手順で求めるものとする。
まず、厚肉大径電縫鋼管の所定の位置(例えば、管軸方向に垂直な断面でシーム部から時計回りに90°の位置)から所定形状の疲労試験片(例えば、図5)を採取する。採取した疲労試験片の中央部に塑性歪ゲージを貼付する。そして、該疲労試験片に、応力比(=σmin/σmax):0.1の正弦波の応力を負荷し、試験片に発生する歪を測定する繰返し応力負荷試験(疲労試験)を実施する。
繰返し応力負荷試験では、繰返し応力を、一定の応力比となるように、負荷する。油井管やラインパイプに負荷される繰り返し荷重は、平均応力がプラス側にある場合が多いため、本発明では、応力比:0.1の正弦波の応力を負荷することとした。
応力比:0.1(一定)の繰返し応力を1サイクル以上(例えば10サイクル)負荷し、同時に発生する歪を求め、該サイクルにおける繰返し応力と歪との関係の頂点を求める。ついで、繰返し応力を漸次増加し、応力比:0.1(一定)の条件のもとで、増加した繰返し応力を10サイクル負荷し、同時に発生する歪を求め、該サイクルにおける応力と歪との関係の頂点を求める。このような繰返し応力と歪との関係の頂点を求める工程を、所定の複数回、繰返し行い、得られた複数の繰返し応力と歪との関係の頂点を繋ぎ合せて、繰返し応力歪曲線とする。
ついで、得られた繰返し応力歪曲線から繰返し降伏強さを求める。
得られた「繰返し応力歪曲線」が降伏点型曲線を呈する場合には、「繰返し降伏強さ」は上降伏点とし、「繰返し応力歪曲線」がラウンドハウス型曲線を呈する場合には、「繰返し降伏強さ」はオフセット0.5%耐力σ0.5とする。
図1に示すように、繰返し降伏強さと疲労強度σmax(2×106回)とは、非常によい相関関係を示している。本発明では、ラインパイプの健全性確保の観点から、繰返し降伏強さが245MPa以上あれば、疲労強度に優れた厚肉大径電縫鋼管であると言える。
次に、本発明電縫鋼管の好ましい製造方法について説明する。
まず、上記した組成の溶鋼を、転炉等の、常用の溶製方法で溶製し、連続鋳造法等の常用の鋳造方法で鋳片とする。ついで、鋳片を、加熱炉に装入し、好ましくは加熱温度:1100〜1300℃に加熱する。加熱温度が1100℃未満では、加熱温度が低すぎて、熱間圧延荷重が高くなりすぎる。一方、1300℃を超えて高温となると、結晶粒が粗大化し、所望の微細な結晶粒を得ることができにくくなる。このため、鋳片の加熱温度は1100〜1300℃の範囲に限定することが好ましい。なお、鋳片の温度が高く所定量以上の熱量を保持している場合には、加熱することなく、熱間圧延を施すことが好ましい。なお、鋳片の加熱方法はこれに限定されないことは言うまでもない。鋳片を一旦冷却したのち、あるいは鋳片に熱間圧延を施して鋼片としたのち、該鋼片を再加熱する方法でもよいことは言うまでもない。
ついで、加熱された鋳片(または鋼片)に、熱間圧延を施し、所定板厚の熱延鋼帯とし、コイル状に巻き取ることが好ましい。熱間圧延は、圧延仕上温度:Ar3変態点以上、巻取温度:500℃以上とすることが好ましい。圧延仕上温度がAr3変態点未満では、フェライト+オーステナイト域での加工となり、加工フェライト粒が残存し、靱性が著しく低下する。なお、Ar3変態点は、次式
Ar3(℃)=910−310C−80Mn−20Cu−15Cr−55Ni−80Mo
ここで、C、Mn、Cu、Cr、Ni、Mo:各元素の含有量(質量%)
で表わされる関係式を用いて、算出することができる。また、巻取温度が500℃未満となると、組織にベイナイトやマルテンサイトが混入しやすくなり、所望の熱延鋼帯組織を得ることができない。なお、仕上圧延終了から巻取りまでの冷却は、700℃以下までの放冷、あるいは冷却速度:50℃/s以下の緩冷とすることが好ましい。仕上圧延終了から巻取りまでの冷却速度が速すぎると、所望の熱延鋼帯組織を得ることができない。
なお、ここでいう「所望の熱延鋼帯組織」とは、フェライトとパーライトとからなる混合相を主相とし、該主相と、面積率で30%以下(0%を含む)の第二相とからなる組織をいう。
ついで、熱延鋼帯を素材とし、ロール等で幅方向に曲げ加工(冷間)を施し、略円筒状のオープン管に成形したのち、該オープン管の幅方向端部同士を突き合わせ、押圧し、電気抵抗溶接等で電縫溶接して、所定外径の電縫鋼管とする。なお、このような造管方法によれば、成形時に管軸方向に歪が導入される。このように歪が導入された電縫鋼管に低温焼戻処理(150〜350℃)を施すと、導入された歪と低温焼戻処理の組合せにより、転位上に微細な(大きさ(直径):500nm未満)炭化物が析出し、組織中に分散する。そして、この成形時に導入された歪に起因した時効硬化により、管軸方向の疲労強度が著しく向上する。
焼戻温度が、150℃未満では、微細な炭化物の析出が不十分であり、一方、350℃を超えて高温となると、析出した炭化物が粗大となり、所望の歪時効硬化が確保できなくなり、所望の疲労強度の向上が達成できなくなる。また、静的降伏強さも低下する。なお、低温焼戻処理の保持時間は1s以上とすることが好ましい。なお、電縫鋼管の低温焼戻処理は、常用の大型炉や誘導加熱設備などを用いて行うか、あるいは、海底敷設時のコーティング熱処理などで代用してもよい。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を、常用の電気炉で溶製し、連続鋳造法で鋳片(肉厚:250mm)とした。ついで、これら鋳片を、表2に示す加熱温度の加熱炉に装入し、表2に示す条件で熱間圧延を施し、ついで、表2に示す条件で冷却を施して、表2に示す板厚の各種熱延鋼帯を得た。
得られた熱延鋼帯を素材とし、該素材の幅方向に曲げ加工を施し、略円筒状のオープン管に造管したのち、該オープン管の端部同士を突き合わせ、押圧して、突合せ部に高周波大電流を負荷し電縫溶接して、表3に示す寸法の電縫鋼管とした。
ついで、得られた電縫鋼管に、表3に示す焼戻温度で、焼戻処理(低温焼戻処理)を施した。なお、一部の電縫鋼管では焼戻処理を行わなかった。
焼戻処理済みの電縫鋼管から試験片を採取し、組織観察、引張試験、衝撃試験、疲労試験を実施した。試験方法は、次のとおりとした。
(1)組織観察
焼戻処理済みの電縫鋼管から、図3に示す90°の位置から、肉厚1/2位置が組織観察面となるように、試験片を採取し、研磨、腐蝕(ナイタール液腐蝕)して組織を現出し、光学顕微鏡(倍率:400倍)または透過型電子顕微鏡(倍率:30000倍)を用いて、組織を観察し、撮像して、組織の同定および各相の面積率の測定、微細炭化物(粒径:500nm未満)の有無の観察を行った。
(2)引張試験
焼戻処理済みの電縫鋼管から、図3に示す90°の位置で肉厚1/2位置から、試験片長手方向が管軸方向となるように、 図4に示す引張試験片(平行部:6mmφ×30mm)を採取した。採取した引張試験片を用いて、JIS Z 2241の規定に準拠して、引張試験を実施し、静的降伏強さ、静的引張強さを求めた。なお、応力―歪曲線が、降伏点型を呈する場合には上降伏点を、ラウンドハウス型を呈する場合には歪が0.5%であるときのオフセット耐力σ0.5を、静的降伏強さとした。
(3)衝撃試験
焼戻処理済みの電縫鋼管から、図3に示す90°の位置で肉厚1/2位置から、試験片長手方向が管軸方向となるように、2mmVノッチシャルピー衝撃試験片3本を採取した。JIS Z 2242の規定に準拠して、採取した衝撃試験片3本について、試験温度:0℃で、シャルピー衝撃試験を実施し、それぞれの吸収エネルギーを求め、3本の平均値を算出した。
(4)疲労試験
焼戻処理済みの電縫鋼管から、図3に示す、90°の位置で肉厚1/2位置から、試験片の長手方向が管軸方向となるように、図5に示す疲労試験片を採取した。そして、採取した疲労試験片の中央部に塑性歪ゲージを貼付し、試験片に、図6に示す、応力比:0.1の正弦波の繰返し応力を複数サイクル(ここでは10サイクル)負荷し、同時に試験片に発生する歪を測定する繰返し応力負荷試験(疲労試験)を実施し、得られた応力と歪との関係の頂点を求めた。このような繰返し応力負荷試験を、負荷応力を増加させて、繰返し応力を複数サイクル(10サイクル)負荷し、応力と歪との関係の頂点を求めた。得られた各頂点を結び、応力と歪との関係曲線(繰返し応力歪曲線)を得た。そして、得られた繰返し応力歪曲線から、繰返し降伏強さを求めた。なお、繰返し応力歪曲線が、降伏点型曲線を呈する場合には、繰返し降伏強さは上降伏点とし、繰返し応力歪曲線がラウンドハウス型曲線を呈する場合には、繰返し降伏強さは歪0.5%のときのオフセット耐力σ0.5とした。
また、焼戻処理済みの電縫鋼管から同様に、図3に示す90°の位置で肉厚1/2位置から、試験片の長手方向が管軸方向となるように、図5に示す疲労試験片を採取した。そして、JIS Z 2273 の規定に準拠して、応力比:0.1の繰返し応力負荷の条件で、負荷応力(σmax)を変化して疲労試験を実施し、破断までの繰返し負荷回数を求め、S-N曲線として、疲労強度σmax(2×106回)を得た。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2019116657
Figure 2019116657
Figure 2019116657
本発明例はいずれも、静的降伏強さが245MPa以上、525MPa以下の範囲にあり、静的引張強さも415MPa以上を示し、さらに吸収エネルギーvE0が27J以上と靭性に優れ、さらに繰返し降伏強さが245MPa以上と、疲労強度に優れた電縫鋼管となっている。なお、繰返し降伏強さは、疲労強度σmax(2×106回)に略等しい値となっており、繰返し降伏強さが、簡便に、当該電縫鋼管の疲労強度を精度高く推定できることがわかる。
一方、本発明範囲を外れる比較例は、繰返し降伏強さが245MPa未満で疲労強度が低下しているか、静的引張特性が本発明範囲を外れているか、靭性が低下しているか、しており、所望の各特性をすべて満足できていない。
比較例である電縫鋼管No.S13は、C、Si、Mnの含有量が本発明範囲の下限を下回り、組織がフェライト単相となり、静的降伏強さ、繰返し降伏強さがともに245MPa未満、静的引張強さも415MPa未満となり、所望の引張特性、疲労強度を満足できていない。
また、電縫鋼管No.S14は、C、Si、Mnの含有量が本発明範囲の上限を超え、組織がベイナイト単相となり、静的降伏強さが本発明の好適範囲の上限525MPaを超え、またシャルピー吸収エネルギーvE0が27Jを下回り、靭性が低下している。また、電縫鋼管No.S15は、P、Sの含有量が本発明範囲の上限を超え、そのため、シャルピー吸収エネルギーvE0が27Jを下回り、靭性が低下している。また、電縫鋼管No.S16は、Cu、Niの含有量が本発明範囲の上限を超え、そのため、組織がベイナイト単相となり、静的降伏強さが本発明の好適範囲の上限525MPaを超え、またシャルピー吸収エネルギーvE0が27Jを下回り、靭性が低下している。また、電縫鋼管No.S17は、Cr、Mo、Nb、Vの含有量が本発明範囲の上限を超え、そのため、組織がベイナイト単相となり、静的降伏強さが本発明の好適範囲の上限525MPaを超え、またシャルピー吸収エネルギーvE0が27Jを下回り、靭性が低下している。また、電縫鋼管No.S18は、Ti、B、Ca、REMの含有量が本発明範囲の上限を超え、そのため、ベイナイト単相組織となり、静的降伏強度が本発明の好適範囲の上限525MPaを超え、またシャルピー吸収エネルギーvE0が27Jを下回り、靭性が低下している。また、電縫鋼管No.S19は、低温焼戻処理を実施しておらず、そのため、静的降伏強さ、繰返し降伏強さがともに245MPaを下回り、所望の引張特性、疲労強度を確保できていない。また、電縫鋼管No.S20は、低温焼戻温度が本発明範囲を高く外れており、そのため、静的引張強さが415MPaを下回り、所望の引張特性を確保できていない。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C :0.001〜0.50%、 Si:0.001〜2.0%、
    Mn:0.001〜3.0%、 P :0.05%以下、
    S :0.05%以下、 Al:0.010〜0.060%
    を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、
    フェライトとパーライトとからなる混合相を主相とし、該主相と面積率で30%以下(0%を含む)の第二相とからなる組織と、を有し、さらに前記組織中には粒径500nm未満の微細炭化物が分散してなり、
    JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験で得られた、肉厚中央位置で管軸方向の静的降伏強さが245MPa以上、静的引張強さが415MPa以上で、かつ、
    応力比:0.1の繰返し応力負荷を施して得られた繰返し応力歪曲線から求めた繰返し降伏強さが245MPa以上である
    ことを特徴とする疲労強度に優れた厚肉大径電縫鋼管。
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.001〜5.0%、Ni:0.001〜5.0%、Cr:0.001〜5.0%、Mo:0.001〜5.0%、Nb:0.0001〜0.5%、V:0.0001〜0.5%、Ti:0.0001〜0.5%、B:0.00001〜0.1%、Ca:0.00001〜0.1%、REM:0.00001〜0.1%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の厚肉大径電縫鋼管。
  3. 熱延鋼帯を、素材として、該素材の幅方向に冷間曲げ加工を施し、略円筒状のオープン管としたのち、該オープン管の幅方向端部同士を突き合わせ、押圧し、電縫溶接して、電縫鋼管とするに当り、
    前記熱延鋼帯を、質量%で、
    C :0.001〜0.50%、 Si:0.001〜2.0%、
    Mn:0.001〜3.0%、 P :0.05%以下、
    S :0.05%以下、 Al:0.010〜0.060%
    を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、フェライトとパーライトとからなる混合相を主相とし、該主相と面積率で30%以下(0%を含む)の第二相とからなる組織と、を有する鋼帯とし、
    前記電縫鋼管に、焼戻温度:150〜350℃の低温焼戻処理を施し、
    JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験で得られた、肉厚中央位置で管軸方向の静的降伏強さが245MPa以上、静的引張強さが415MPa以上で、かつ、応力比:0.1の繰返し応力負荷を施して得られた繰返し応力歪曲線から求めた繰返し降伏強さが245MPa以上である電縫鋼管とすること
    を特徴とする疲労強度に優れた厚肉大径電縫鋼管の製造方法。
  4. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.001〜5.0%、Ni:0.001〜5.0%、Cr:0.001〜5.0%、Mo:0.001〜5.0%、Nb:0.0001〜0.5%、V:0.0001〜0.5%、Ti:0.0001〜0.5%、B:0.00001〜0.1%、Ca:0.00001〜0.1%、REM:0.00001〜0.1%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成であることを特徴とする請求項3に記載の厚肉大径電縫鋼管の製造方法。
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