JP2019116520A - 研磨液組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
通常、研磨パッドを軟質化すればスクラッチを低減できる。しかし、研磨パッドは、一般的に、硬さの異なる部分が混在するものであり、柔らかい部分が過度に軟質化すると、ポア径が大きくなって圧力分布が不均一となり、研磨パッドの磨耗が促進し、短波長うねりの悪化につながると考えられる。
これに対し、本開示では、研磨液組成物中の所定の水溶性重合体によって、研磨パッドの硬い部分が選択的に軟質化され、柔らかい部分が過度に軟質化するのが抑制され、研磨パッドの磨耗が抑制されると考えられる。その結果、スクラッチを低減しつつ、研磨パッドの継続使用における基板表面の短波長うねりを低減できると考えられる。
但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示の研磨液組成物に含まれる研磨材(以下、「成分A」ともいう)としては、研磨用に一般的に使用されている研磨材を使用することができ、金属、金属若しくは半金属の炭化物、窒化物、酸化物、又はホウ化物、ダイヤモンド等が挙げられる。金属又は半金属元素は、周期律表(長周期型)の2A、2B、3A、3B、4A、4B、5A、6A、7A又は8族由来のものである。成分Aの具体例としては、酸化珪素(以下、シリカという)、酸化アルミニウム(以下、アルミナという)、炭化珪素、ダイヤモンド、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム(以下、セリアという)、酸化ジルコニウム等が挙げられ、これらの1種以上を使用することは研磨速度を向上させる観点から好ましい。中でも、シリカ、アルミナ、酸化チタン、セリア、酸化ジルコニウム等が、半導体素子用基板や磁気ディスク基板等の精密部品用基板の研磨に適している。スクラッチ及び短波長うねり低減の観点から、成分Aとしては、コロイダルシリカ、コロイダルセリア、及びコロイダルアルミナから選ばれる少なくとも1種が好ましく、コロイダルシリカがより好ましい。成分Aは、1種単独であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。成分Aは、一又は複数の実施形態において、レーザー光回折・散乱を測定原理とした粒度分布計で測定したときのメジアン径が4〜100nmであるダイヤモンド構造を有する微粒子を実質的に含まないものであってもよい。前記ダイヤモンド構造を有する微粒子を実質的に含まないとは、スクラッチ低減の観点から、成分A中の前記微粒子の含有量が、1.0質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは実質的に0質量%をいう。
本開示の研磨液組成物に用いられる水溶性重合体(以下、「成分B」ともいう)は、スクラッチ及び短波長うねり低減の観点から、下記式(I)で表される構成を有する化合物である。成分Bは単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
成分Bにおける残存モノマーであるホルムアルデヒド含有量は、スクラッチ及び短波長うねり低減の観点から、0ppm又は0ppmを超え10000ppm以下が好ましく、より好ましくは0ppm又は0ppmを超え6000ppm以下、更に好ましくは0ppm又は0ppmを超え5000ppm以下、更により好ましくは0ppm又は0ppmを超え3000ppm以下、更により好ましくは0ppm又は0ppmを超え2000ppm以下、更により好ましくは0ppm又は0ppmを超え1000ppm以下である。該残存ホルムアルデヒド含有量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて実施例に記載の条件で測定した値とする。また、残存ホルムアルデヒドを亜硫酸塩、シアン化水素またはその塩、水酸化アンモニウム、アルコール等と公知の手法により反応させることにより低減してもよい。
本開示の研磨液組成物に含まれる水系媒体としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等の水、又は、水と溶媒との混合溶媒等が挙げられる。上記溶媒としては、水と混合可能な溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)が挙げられる。水系媒体が、水と溶媒との混合溶媒の場合、混合媒体全体に対する水の割合は、本開示の効果が妨げられない範囲であれば特に限定されなくてもよく、経済性の観点から、例えば、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%が更に好ましい。被研磨基板の表面清浄性の観点から、水系媒体としては、イオン交換水及び超純水が好ましく、超純水がより好ましい。本開示の研磨液組成物中の水系媒体の含有量は、成分A及び成分B、並びに必要に応じて配合される後述の任意成分の残余とすることができる。
本開示の研磨液組成物は、研磨速度向上の観点から、酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種(以下、「成分C」ともいう)をさらに含有してもよい。成分Cは単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。成分Cとしては、例えば、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。中でも、スクラッチ及び短波長うねり低減の観点から、無機酸及び有機ホスホン酸の少なくとも一方が好ましい。無機酸の中では、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸及びリン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、リン酸及び硫酸の少なくとも一方がより好ましい。有機ホスホン酸の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種が好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及びアミノトリ(メチレンホスホン酸)の少なくとも一方がより好ましい。
本開示の研磨液組成物は、研磨速度の向上、スクラッチ及び短波長うねり低減の観点から、酸化剤(以下、「成分D」ともいう)をさらに含有してもよい。成分Dは、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。成分Dとしては、例えば、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。
本開示の研磨液組成物は、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。本開示の研磨液組成物中の前記その他の成分の含有量は、0質量%以上が好ましく、0質量%超がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。より具体的には、その他の成分の含有量は、0質量%以上10質量%以下が好ましく、0質量%超10質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が更に好ましい。但し、本開示の研磨液組成物は、その他の成分、とりわけ界面活性剤を含むことなく、スクラッチ及び短波長うねりの低減効果を発揮し得る。さらに、本開示の研磨液組成物は、アルミナ砥粒を含ませることができ、最終研磨工程より前の粗研磨工程に使用することもできる。
本開示の研磨液組成物中のホルムアルデヒド含有量は、スクラッチ及び短波長うねり低減の観点から、0.00ppm又は0.00ppmを超え10.0ppm以下が好ましく、より好ましくは0.00ppm又は0.00ppmを超え5.0ppm以下、更に好ましくは0.00ppm又は0.00ppmを超え4.0ppm以下、更により好ましくは0.00ppm又は0.00ppmを超え3.0ppm以下、更により好ましくは0.00ppm又は0.00ppmを超え1.0ppm以下、更により好ましくは0.00ppm又は0.00ppmを超え0.55ppm以下、更により好ましくは0.00ppm又は0.00ppmを超え0.5ppm以下、更により好ましくは0.00ppm又は0.00ppmを超え0.4ppm以下、更により好ましくは0.00ppm又は0.00ppmを超え0.1ppm以下である。研磨液組成物中のホルムアルデヒド含有量は、上述した成分Bにおける残存モノマーであるホルムアルデヒド含有量と同様に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定できる。
本開示の研磨液組成物のpHは、研磨速度向上の観点から、4以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、2.5以下が更に好ましく、そして、スクラッチ及び短波長うねり低減の観点から、0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、1以上が更に好ましく、1.2以上が更に好ましい。さらに、研磨速度向上、スクラッチ及び短波長うねり低減の観点から、pHは、0.5以上4以下が好ましく、0.8以上3.5以下がより好ましく、1以上3以下が更に好ましく、1.2以上2.5以下が更に好ましい。pHは、上述した酸(成分C)や公知のpH調整剤等を用いて調整することができる。本開示において、上記pHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、例えば、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値とすることができる。
本開示の研磨液組成物は、例えば、成分A、成分B及び水系媒体と、さらに所望により、成分C、成分D及びその他の成分とを公知の方法で配合することにより製造できる。すなわち、本開示は、その他の態様において、少なくとも成分A、成分B及び水系媒体を配合する工程を含む、研磨液組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A,成分B及び水系媒体、並びに必要に応じて成分C、成分D及びその他の成分を同時に又は任意の順に混合することを含む。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。成分Aの研磨材は、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。研磨材スラリー及び研磨液組成物の製造方法における各成分の好ましい配合量は、上述した本開示の研磨液組成物中の各成分の好ましい含有量と同じとすることができる。
本開示は、その他の態様において、本開示の研磨液組成物を製造するためのキット(以下、「本開示の研磨液キット」ともいう)に関する。本開示の研磨液キットの一実施形態としては、例えば、成分A及び水系媒体を含む研磨材分散液と、成分Bを含む添加剤水溶液と、を相互に混合されない状態で含む、研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。前記研磨材分散液と添加剤水溶液とは、使用時に混合され、必要に応じて水系媒体を用いて希釈される。前記研磨材分散液及び前記添加剤水溶液にはそれぞれ必要に応じて、上述した任意成分(成分C、成分D及びその他の成分)が含まれていてもよい。
本開示の研磨液組成物が研磨の対象とする被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属や、これらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板、ガラス基板が好適である。中でも、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、アルミノシリケートガラス基板に適しており、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板がさらに適している。アルミノシリケートガラス基板には、結晶構造を有しているもの、化学強化処理を施したものが含まれる。化学強化処理は研磨後に行ってもよい。
本開示は、その他の態様において、上述した本開示の研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨する工程(以下、「本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう。)を含む、基板の製造方法(以下、「本開示の基板製造方法」ともいう。)に関する。これにより、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面うねりが低減された基板を提供できる。本開示の基板製造方法は、磁気ディスク基板の製造方法に適しており、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。よって、本開示の基板製造方法は、その他の態様として、本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程を含む基板の製造方法であり、好ましくは磁気ディスク基板の製造方法であり、より好ましくは垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法である。
本開示は、その他の態様において、上述した本開示の研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨することを含む、基板の研磨方法(以下、「本開示の研磨方法」ともいう)に関する。本開示の研磨方法における、本開示の研磨液組成物を用いた被研磨基板の研磨は、例えば、仕上げ研磨である。
本開示の研磨方法を使用することにより、研磨後の基板表面のスクラッチに加えて、研磨後の基板表面のうねりが低減された基板が提供される。具体的な研磨の方法及び条件は、上述した本開示の基板製造方法と同じようにすることができる。
<1> 研磨材(成分A)、水溶性重合体(成分B)、及び水系媒体を含有する研磨液組成物であって、
前記水溶性重合体(成分B)が、下記一般式(I)で表される構成を有する、研磨液組成物。
<3> 成分Aの平均粒径は、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上が更に好ましい、<1>又は<2>に記載の研磨液組成物。
<4> 成分Aの平均粒径は、100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、40nm以下が更に好ましい、<1>から<3>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<5> 成分Aの平均粒径は、1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上70nm以下がより好ましく、10nm以上40nm以下が更に好ましい、<1>から<4>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<6> 成分Aがシリカである、<1>から<5>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<7> 成分Aの含有量は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましい、<1>から<6>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<8> 成分Aの含有量は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい、<1>から<7>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<9> 成分Aの含有量は、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下が更に好ましい、<1>から<8>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<10> 成分B中の、主鎖を構成するフェノール骨格の側鎖に芳香族環を有する構成単位の含有量が、5モル%以下が好ましく、4モル%以下がより好ましく、3モル%以下が更に好ましく、2モル%以下が更に好ましく、1モル%以下が更に好ましく、実質的に0モル%が更に好ましい、<1>から<9>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<11> mは、0≦m≦0.4であって、0≦m≦0.3が好ましく、0≦m≦0.25がより好ましく、0≦m≦0.2が更に好ましい、<1>から<10>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<12> 成分Bを構成する全構成単位中に占める式(I)で表される構成の含有量は、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、20モル%以上が更に好ましい、<1>から<11>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<13> 成分Bを構成する全構成単位中に占める式(I)で表される構成の含有量は、100モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましく、90モル%以下が更に好ましく、80モル%以下が更に好ましい、<1>から<12>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<14> 成分Bの全構成単位中に示す式(I)で表される構成の含有量は、5モル%以上100モル%以下が好ましく、5モル%以上95モル%以下がより好ましく、10モル%以上90モル%以下が更に好ましく、20モル%以上80モル%以下が更に好ましい、<1>から<13>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<15> 成分Bの重量平均分子量は、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、1,400以上が更に好ましく、1,500以上が更に好ましく、3,000以上が更に好ましく、4,500以上が更に好ましく、5,000以上が更に好ましく、8,000以上が更に好ましく、10,000以上が更に好ましい、<1>から<14>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<16> 成分Bの重量平均分子量は、1,000,000以下が好ましく、750,000以下がより好ましく、500,000以下が更に好ましく、250,000以下が更に好ましく、120,000以下が更に好ましく、100,000以下が更に好ましく、75,000以下が更に好ましく、50,000以下が更に好ましく、40,000以下が更に好ましく、30,000以下が更に好ましく、25,000以下が更に好ましく、20,000以下が更に好ましい、<1>から<15>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<17> 成分Bの重量平均分子量は、500以上1,000,000以下が好ましく、1,000以上750,000以下がより好ましく、1,400以上500,000以下が更に好ましく、1,500以上250,000以下が更に好ましく、3,000以上100,000以下が更に好ましく、4,500以上75,000以下が更に好ましく、5,000以上50,000以下が更に好ましく、8,000以上30,000以下が更に好ましく、10,000以上20,000以下が更に好ましい、<1>から<16>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<18> 成分Bの表面張力は、45mN/m以上が好ましく、55mN/m以上がより好ましく、65mN/m以上が更に好ましく、71mN/m以上が更に好ましく、72mN/m以上が更に好ましい、<1>から<17>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<19> 成分Bの表面張力は、90mN/m以下が好ましく、80mN/m以下がより好ましく、77mN/m以下が更に好ましく、74mN/m以下が更に好ましい、<1>から<18>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<20> 成分Bの表面張力は、45mN/m以上90mN/m以下が好ましく、55mN/m以上80mN/m以下がより好ましく、65mN/m以上77mN/m以下が更に好ましく、71mN/m以上74mN/m以下が更に好ましく、72mN/m以上74mN/m以下が更に好ましい、<1>から<19>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<21> 成分Bに浸潤させた研磨パッドの貯蔵弾性率は、0.15MPa以上が好ましく、0.25MPa以上がより好ましく、0.30MPa以上が更に好ましい、<1>から<20>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<22> 成分Bに浸潤させた研磨パッドの貯蔵弾性率は、0.50MPa以下が好ましく、0.40MPa以下がより好ましく、0.35MPa以下が更に好ましい、<1>から<21>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<23> 成分Bを浸潤させた研磨パッドの貯蔵弾性率は、0.15MPa以上0.50MPa以下が好ましく、0.25MPa以上0.40MPa以下がより好ましく、0.30MPa以上0.35MPa以下が更に好ましい、<1>から<22>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<24> 成分Bの含有量は、0.001質量%以上が好ましく、0.003質量%以上がより好ましく、0.006質量%以上が更に好ましい、<1>から<23>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<25> 成分Bの含有量は、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい、<1>から<24>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<26> 成分Bの含有量は、0.001質量%以上10質量%以下が好ましく、0.003質量%以上1質量%以下がより好ましく、0.006質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい、<1>から<25>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<27> 成分Aに対する成分Bの質量比(成分Bの含有量/成分Aの含有量)は、0.0001以上が好ましく、0.0005以上がより好ましく、0.001以上が更に好ましい、<1>から<26>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<28> 成分Aに対する成分Bの質量比は、0.2以下が好ましく、0.05以下がより好ましく、0.01以下が更に好ましい、<1>から<27>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<29> 成分Aに対する成分Bの質量比は、0.0001以上0.2以下が好ましく、0.0005以上0.05以下がより好ましく、0.001以上0.01以下が更に好ましい、<1>から<28>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<30> 酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種(成分C)をさらに含む、<1>から<29>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<31> 酸化剤(成分D)をさらに含む、<1>から<30>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<32> 研磨液組成物のpHは、4以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、2.5以下が更に好ましい、<1>から<31>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<33> 研磨液組成物のpHは、0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、1以上が更に好ましく、1.2以上が更に好ましい、<1>から<32>のいずれかに記載の研磨液組成物。
<34> 研磨液組成物のpHは、0.5以上4以下が好ましく、0.8以上3.5以下がより好ましく、1以上3以下が更に好ましく、1.2以上2.5以下が更に好ましい、<1>から<33>のいずれかに記載の研磨液組成物。
成分A(コロイダルシリカ、平均粒径26nm)、成分B又は非成分B(表1−1及び表1−2に示す水溶性重合体B1〜17)、成分C(硫酸)、成分D(過酸化水素水、濃度35質量%)及びイオン交換水を混合し撹拌することにより、実施例1〜11及び比較例1〜7の研磨液組成物(pH1.5)を調製した。研磨液組成物の25℃におけるpH値は、pHメータ(東亜電波工業社製、「HM−30G」を用いて測定した値であり、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値を採用した。各研磨液組成物における各成分の含有量(有効分)は、成分Aが5質量%、成分B又は非成分Bが0.006質量%、成分Cが0.4質量%、成分Dが0.3質量%であった。
<成分B:水溶性重合体>
B1〜B5:フェノールスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物(アルカリ条件下にて合成) (pPhS、小西化学工業社製)
B6〜B7:フェノールスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物(酸性条件下にて合成)(pPhS、小西化学工業社製)
B8:レゾルシノールスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物(ResS、小西化学工業社製)
B9:フェノール/フェノールスルホン酸共重合体(Ph/PhS、小西化学工業社製)
B10:クレゾール/フェノールスルホン酸共重合体(クレゾール/PhS、小西化学工業社製)
B11:安息香酸/フェノールスルホン酸共重合体(安息香酸/PhS、小西化学工業社製)
<非成分B:水溶性重合体>
B12:ビスフェノールS/フェノールスルホン酸共重合体(BisS/PhS、小西化学工業社製)
B13:リグニンスルホン酸化合物(商品名:パールレックスNP、日本製紙ケミカル社製)
B14:芳香族アミノスルホン酸化合物(商品名:フローリックSF200S、フローリック社製)
B15:フェノールスルホン酸ナトリウム(モノマー)(小西化学工業社製)
B16:フェノール樹脂粉末(p-Ph、商品名:ベルパールS−890、エア・ウオーター社製)
B17:ポリスチレン/ポリスチレンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(St/SS、花王社製)
ここで、20℃でpH3の水溶液100gに対する溶解度は、B1〜B15及びB17が0.01g以上であり、B16が0.01g未満である。
(1)水溶性重合体(成分B及び非成分B)の重量平均分子量
成分B及び非成分Bの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により下記条件で測定した。測定結果を表1−1及び表1−2に示す。
<測定条件>
カラム:TSKgel GMPWXL+TSKgel GMPWXL(東ソー社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=7/3(体積比)
温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料サイズ:2mg/mL
検出器:RI
標準物質:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量:1,100、3,610、14,900、152,000、POLMER STANDARDS SERVICE社製)
水溶性重合体(成分B及び非成分B)の0.05質量%水溶液(固形分が0.05質量%となるように水溶性重合体を純水で希釈したもの)のpHを1.5に調整した。pH調整には、硫酸を用いた。そして、pH調整後の水溶液(20℃)をシャーレに入れ、ウィルヘルミ法(白金プレートを浸漬し、一定速度で引き上げる方法)により表面張力計(協和界面化学株式会社製、「CBVP-Z」)を用いて表面張力を測定した。結果を表1−1及び表1−2に示す。
成分B及び非成分Bの水溶性重合体中に含まれる残存ホルムアルデヒド、及び、研磨液組成物中のホルムアルデヒドの含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたアセチルアセトン誘導体化-ポストカラムHPLC法により下記条件で測定した。水溶性重合体中の残存ホルムアルデヒドの結果を表1−1及び表1−2に示す。
<測定条件>
カラム:Hitachi-Inertsil ODS-3 (5 μm)
溶離液:A:60 mmol/L Na2HPO4 (pH2.1 / H3PO4), B:80 %アセトニトリル水溶液
傾斜条件:B:0%(0-10min), 100% (10.1-20min), 0 %(20.1-30min)
反応溶液:C:アセチルアセトン溶液
流速:A,B:1.0mL/分,C:0.5mL/分
カラム温度:25℃
試料サイズ:50μL
反応温度:90℃
検出器:波長414nm 可視光
まず、硫酸でpH1.5に調製した各水溶性重合体(成分B、非成分B)1質量%水溶液100gを調製する。そして、24φで打ち抜いたPETシートの無いCF4301Nパッド(Fujibo社製)約0.06gを、前記調製した水溶性重合体水溶液に加え、室温にて30分間撹拌後、60℃で24時間静置する。その後、樹脂シートをイオン交換水シャワーにて2回(10秒間)洗浄して乾燥後、直径8mmの円盤状に打ち抜き、動的粘弾性測定により貯蔵弾性率を求める。測定結果を表2に示す。
<測定条件>
DMS測定装置:ARES−G2(TA Instrument Japan Inc.)
DMS測定条件:歪み0.01〜50%、周波数10Hz、変調温度領域25℃、貯蔵弾性率G´は歪み40%における値を読み取った。
研磨液組成物の調製に用いた成分A(コロイダルシリカ)と、硫酸とをイオン交換水に添加し、撹拌することにより、標準試料を作製した。標準試料中における成分A,成分C、の含有量はそれぞれ、1重量%、0.45重量%とした。この標準試料を動的光散乱装置(大塚電子社製DLS-6500)により、同メーカーが添付した説明書に従って、200回積算した際の検出角90°におけるCumulant法によって得られる散乱強度分布の面積が全体の50%となる粒径を求め、コロイダルシリカの平均粒径とした。結果は、26nmであった。
前記のように調製した実施例1〜11及び比較例1〜7の研磨液組成物を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。次いで、研磨された基板表面のスクラッチ、基板表面うねり、研磨速度を以下に示す条件で測定し、評価を行った。
被研磨基板として、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。この被研磨基板は、厚さが1.27mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nm、長波長うねり(波長0.4〜2mm)の振幅は2nm、短波長うねり(波長50〜400μm)の振幅は2nmであった。
研磨試験機:両面研磨機(スピードファム社製、「両面9B研磨機」)
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(厚さ0.9mm、平均開孔径30μm)
研磨液:実施例1〜11及び比較例1〜7の研磨液組成物
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.076mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:11.8kPa
研磨時間:5分間
投入した基板の枚数:10枚
[スクラッチ数の測定及び評価]
測定機器:Candela Instruments社製、「OSA7100」
評価:研磨試験機に投入した基板のうち、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射してスクラッチを測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのスクラッチ数を算出した。その結果を、下記表2に、比較例1を100とした相対値として示す。
<評価基準>
スクラッチ数(相対値):評価
70未満 :極めて発生が抑制され、基板収率向上が期待できる
70以上80未満 :実生産可能
80以上100未満 :実生産には改良が必要
100以上 :基板収率が大幅に低下する
研磨して減少する重量を、35mg以上及び45mg以下になるように研磨時間をそれぞれ設定し、研磨した基板のうねりを下記条件にて測定し、研磨量当りのうねりの値を得た。うねりは1面あたり4点、表面裏面を3枚で合計計測し、平均値を基板のうねりとして算出した。測定した試験基板は、上記研磨試験において、前記研磨条件にて研磨パッド立ち上げから500回の研磨を行った際の基板を用いた。その結果を、下記表2に示す。
<測定条件>
測定機:New View 7300(Zygo社製)
レンズ:2.5倍
ズーム:0.5倍
測定波長:80〜500μm
測定位置:基板中心より半径27mm
解析ソフト:Zygo Metro Pro(Zygo社製)
以上のことから、本開示の研磨液組成物は、スクラッチ及び研磨パッドの継続使用における短波長うねりを低減できることがわかった。
Claims (8)
- 前記研磨材が、レーザー光回折・散乱を測定原理とした粒度分布計で測定したときのメジアン径が4〜100nmであるダイヤモンド構造を有する微粒子を実質的に含まない、請求項1に記載の研磨液組成物。
- 研磨材がシリカである、請求項1又は2に記載の研磨液組成物。
- シリカの平均粒子径が100nm以下である、請求項3に記載の研磨液組成物。
- 酸をさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の研磨液組成物。
- 前記研磨液組成物が磁気ディスク基板用研磨液組成物である、請求項1から5のいずれかに記載の研磨液組成物。
- 請求項1から6のいずれかに記載の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして研磨する工程を含む、基板の製造方法。
- 請求項1から6のいずれかに記載の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして研磨することを含む、基板の研磨方法。
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