以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本発明の実施形態に係るアプローチ
2.本発明の実施形態に係る電力伝送システム
3.本発明の実施形態に係るプログラム
(本発明の実施形態に係るアプローチ)
本発明の実施形態に係る電力伝送システム(以下、「電力伝送システム1000」と示す場合がある。)の構成について説明する前に、本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチについて説明する。なお、後述する本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチに係る処理は、本発明の実施形態に係る送電方法(電力の送信方法)に係る処理と捉えることができる。
[従来の技術を用いたとしても生じうる問題]
本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチについて説明する前に、無線で電力を伝送する無線電力伝送を行う場合において生じうる問題について、より具体的に説明する。図1、図2は、無線で電力を伝送する無線電力伝送を行う場合において生じうる問題を説明するための説明図である。ここで、図1は、例えば電車などの乗り物内において、送電対象の特定の装置(受電装置)に対して無線電力伝送を行うユースケースを示している。また、図2は、例えばコーヒーショップなどに備えられているテーブル上に置かれた、送電対象の特定の装置(受電装置)に対してテーブルから無線電力伝送を行うユースケースを示している。
図1に示すユースケースでは、例えば従来の技術のように受電装置の位置を示す位置情報を送電装置が取得し、送電装置が当該位置情報に基づいて送信する電力の指向性を制御することによって、受電装置に対して電力を伝送できる可能性がある。しかしながら、送電範囲に受電装置以外の他の装置(以下、「送電非対象の装置」と示す場合がある。)が存在した場合には、例えば送電非対象の装置によって電力の受信がなされることによって、受電装置において受信される電力が減少してしまう。つまり、上記受信される電力の減少分に相当する電力は、送電ロスとなる。
ここで、例えば従来の送電装置は、上述したように、電力を送電した後に従来の受電装置から送信される受信レベル情報に基づいて指向性や送信電力のレベルを制御することによって、従来の受電装置がある一定以上の電力を受信できるように電力を送信する。しかしながら、上記のように送電ロスが発生しているときにおいて、例えば従来の送電装置のように、送電装置が送信電力のレベルを挙げて電力を送信した場合には、送電ロスはさらに大きくなってしまう。
また、従来の送電装置は、指向性を制御することが可能であるので、当該指向性を制御することによって、例えば送電非対象の装置によって電力の受信がなされることを回避し、送電ロスの低減を図ることができる可能性はある。しかしながら、従来の送電装置は、従来の受電装置から送信される受信レベル情報に基づいて指向性を制御するので、従来の送電装置における指向性の制御は事後的なものとなる。また、従来の送電装置における指向性の制御は、変更後の指向性が電力の伝送に適しているか(例えば送電ロスが所定の値より小さいかなど)について、何らの保証もない。
よって、図1に示すユースケースにおける電力の伝送において従来の技術を適用したとしても、送電ロスの低減は、望めない。
また、図2に示すユースケースのように、送電装置としての役目を果たすテーブル上に受電装置、および送電非対象の装置が存在した場合には、たとえ従来の技術のように送信する電力の指向性を制御したとしても、送電範囲に送電非対象の装置が含まれる可能性がより高くなる。よって、図2に示すユースケースの場合において従来の技術を適用したとしても、上記図1に示すユースケースの場合と同様に、送電ロスの低減は、望めない。
上記のように、従来の技術を用いたとしても、無線で電力を伝送する場合における送電ロスの低減は、望めない。
[電力伝送アプローチの概要]
そこで、電力伝送システム1000では、電力伝送システム1000を構成する本発明の実施形態に係る送電装置(以下、「送電装置100」と示す場合がある。)が、受電装置に対して電力の送信を行う前に、送信する電力のパラメータの候補を電力を伝送する環境に応じて設定する。そして、送電装置100は、設定された電力のパラメータの候補のうちのいずれかのパラメータを用いて電力を送信することによって、送電ロスの低減を図る。
より具体的には、送電装置100は、電力の送信を開始する前に、電力能力情報送信要求を、暗号化された通信路(以下「第1の通信路」と示す場合がある。)を用いて、電力の送信対象である電力伝送システム1000を構成する本発明の実施形態に係る受電装置(以下、「受電装置200」と示す場合がある。)に送信する。ここで、本発明の実施形態に係る電力能力情報送信要求とは、電力能力情報送信要求を受信した装置に、当該装置における電力の授受に関する能力を示す電力能力情報を送信させるための一種の命令である。そして、送電装置100は、電力能力情報送信要求に応じて受電装置200から送信された電力能力情報が示す受電能力を超えない電力のパラメータの中から、電力を伝送する実際の環境においてある一定以上の送電効率を得ることが可能なパラメータを、電力のパラメータの候補として設定する。
また、送電装置100は、設定された電力のパラメータの候補に基づいて、送電期間に順次に送信される電力のパラメータを示すパラメータ情報を送電期間ごとに生成し、生成したパラメータ情報を、第1の通信路を用いて電力の送信対象である受電装置200に順次送信する。そして、送電装置100は、各送電期間において、対応するパラメータ情報が示す電力のパラメータを用いて電力を送信する。本発明の実施形態に係る電力のパラメータとしては、例えば、周波数や、電圧、方位角などが挙げられるが、本発明の実施形態に係る電力のパラメータは、上記に限られない。
以下では、送電装置100と受電装置200との間で電力伝送が行われる上記送電期間を「セッション」と示し、また、送電期間において順次に送信される電力の送信単位を「ステップ」と示す場合がある。つまり、本発明の実施形態に係るステップは、電力伝送システム1000における電力伝送の最小単位であり、また、本発明の実施形態に係るセッションは、複数のステップを含む電力伝送システム1000における電力伝送の基準単位であるといえる。
また、受電装置200は、暗号化された第1の通信路を介してパラメータ情報を受信している。よって、ある送電期間において送電装置100が電力のパラメータの候補のうちのいずれかのパラメータを用いて電力を送信したとしても、受電装置200は、当該パラメータ情報が示すパラメータに基づいて送信された電力を効率的に受信することができる。上記によって、電力伝送システム1000における電力の伝送効率をより高めることが可能となるので、送電ロスを低減することができる。
また、送電非対象の装置は、受電装置200のようにパラメータ情報に基づく電力の受信を行うことはできないので、たとえ送電範囲内に存在したとしても、送電装置100から送信された電力を効率的に受信することは困難である。よって、送電装置100が電力のパラメータの候補のうちのいずれかのパラメータを用いて電力を送信することによって、送電非対象の装置によって不正に受信される電力を、より低減させることが可能となる。
したがって、送電装置100が電力を伝送する環境に応じたパラメータを用いて受電装置200に対して電力を送信することによって、送電ロスの低減を図ることが可能な電力伝送システムが実現される。
また、本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチは、送電装置100が設定した電力のパラメータの候補のうちのいずれかのパラメータを用いて電力を送信することに限られない。例えば、送電装置100は、さらに、電力を送信済みの送電期間における送電効率(以下、「第1送電効率」と示す場合がある。)を算出し、算出した第1送電効率が所定の値より小さくなった場合には、電力の送信を停止する。ここで、本発明の実施形態に係る第1送電効率は、例えば、電力を送信済みの全ての送電期間における送電効率であってもよいし、または、電力を送信済みの送電期間のうちの一部の送電期間における送電効率であってもよい。以下では、本発明の実施形態に係る第1送電効率が、電力を送信済みの全ての送電期間における送電効率である場合を例に挙げて説明する。
より具体的には、送電装置100は、第1の通信路を介して、受電装置200におけるパラメータ情報が示す電力のパラメータごとの受電量(受電装置200において測定された測定値)を示す第1受電量情報を受電装置200から受信する。ここで、送電装置100は、例えば各送電期間におけるパラメータごとの送信電力を測定することによって、パラメータごとの送電量を把握することが可能である。よって、送電装置100は、例えば下記の数式1〜数式7の演算を行うことによって、第1送電効率を算出することができる。また、以下では、送電期間それぞれにおける送電効率、すなわち、各セッションにおける送電効率を、「第2送電効率」と示す場合がある。
ここで、E(i)は、ステップiにおける送電効率を示しており、Ps(i)はステップiにおける送電量、Pr(i)はステップiにおける受電量をそれぞれ示している。また、Esec(j)は、セッションjにおける送電効率、すなわち第2送電効率を示しており、Pssec(j)はセッションjにおける送電量、Prsec(j)はセッションjにおける受電量をそれぞれ示している。また、Eallは、第1送電効率を示しており、Psallは電力を送信済みの全ての送電期間における送電量が積算された積算送電量、Prallは電力を送信済みの全ての送電期間における受電量が積算された積算受電量をそれぞれ示している。
E(i)=Pr(i)/Ps(i)
・・・(数式1)
Esec(j)=Prsec(j)/Pssec(j)
・・・(数式2)
Eall=Prall/Psall
・・・(数式5)
送電装置100は、例えば数式5によって算出した第1送電効率が、所定の値より小さくなったときに、電力の送信を停止する。ここで、送電装置100が第1送電効率との比較に用いる上記所定の値としては、例えば、後述する送電効率の基準範囲の下限値が挙げられる。また、送電装置100における第1送電効率と上記所定の値との比較は、送電ロスが、所定の値より大きくなったか否かの判定に相当する。
ここで、算出した第1送電効率(電力を送信済みの送電期間における送電効率)が所定の値より小さくなった場合とは、例えば、送電装置100が送信した電力が、受電装置200において正常に受信されていないことを示している。また、受電装置200において正常に受信されない要因としては、例えば、障害物や伝送距離、周波数帯の衝突などによる環境依存的な電力ロスが生じていることや、無線伝送中における散逸エネルギーによる電力ロスが生じていること、送電非対象の装置によって電力が受信されていることなどが想定される。
送電装置100は、仮に送電非対象の装置によって送信した電力が受信されたことなどによって、送電装置100が送信した電力が受電装置200において正常に受信されないことが生じたとしても、電力の送信を自動的に停止することができる。したがって、送電装置100が、算出した第1送電効率(電力を送信済みの送電期間における送電効率)が所定の値より小さくなった場合に電力の送信を停止することによって、送電ロスが所定の値を所定の値より大きくなった状態において電力が伝送され続けることを防止することができる。また、送電装置100が、算出した第1送電効率が所定の値より小さくなった場合に電力の送信を停止することによって、送電非対象の装置によって電力が受信されることを防止することができる。
[電力伝送アプローチに係る処理の一例]
次に、本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチに係る処理について、より具体的に説明する。電力伝送システム1000では、例えば後述する(1)の処理(通信路確立処理)〜(3)の処理(送電処理)によって、上述した電力伝送アプローチに係る処理を実現する。
(1)通信路確立処理
送電装置100と受電装置200は、パラメータ情報などの各種情報(データ)を送受信するための暗号化された通信路(第1の通信路)を確立する。(1)の処理が行われることによって、送電装置100と受電装置200とは、セキュアな通信路を介して、パラメータ情報などの各種情報(すなわち、電力伝送アプローチを実現するための情報)の送受信を行うことが可能となる。ここで、本発明の実施形態に係る第1の通信路としては、例えば、IEEE802.15.1を用いた無線通信により形成される通信路や、IEEE802.11bなどの無線LAN(Wireless Local Area Network)を用いた無線通信(以下、「Wi−Fi」と示す場合もある。)により形成される通信路、IEEE802.15.4を用いた無線通信により形成される通信路などが挙げられる。なお、本発明の実施形態に係る第1の通信路は、例えばLAN(Local Area Network)などによる有線通信であってもよい。
[1]通信路確立処理の第1の例
図3は、本発明の実施形態に係る電力伝送システム1000における通信路確立処理の第1の例を示す説明図である。以下では、第1の通信路が、IEEE802.11bなどの無線LANを用いた無線通信により形成される通信路である場合を例に挙げて説明する。
送電装置100と受電装置200とは、第1の通信路を形成して第1の通信路の暗号化を行う通信暗号化処理を行う(S100)。より具体的には、例えば、受電装置200のユーザは、受電装置200を操作して接続装置候補の検索リストの中から接続先の装置として送電装置100を選択して、認証用ワンタイムキー(PIN。Personal Identification Number)を入力する。受電装置200のユーザによる上記の操作が行われると、送電装置100と受電装置200とは、例えば、8−way handshakeと、WPA2(Wi-Fi Protected Access 2)規格に従った認証および通信路の暗号化とを行う。
ステップS100において通信暗号化処理が行われると、送電装置100は、受電装置200に対して電力能力情報送信要求を送信する(S102)。ここで、ステップS102の処理は、送電装置100が受電装置200から電力能力情報を取得するために行う処理である。送電装置100は、例えば、自装置の記憶部(後述する)に記憶された電力能力情報と、受電装置200から取得した電力能力情報とに基づいて、電力の伝送方式と、受電装置200へ送信する電力のパラメータの候補を決定する。なお、送電装置100における電力能力情報を用いた処理については、(2)の処理(電力のパラメータ候補決定処理)において後述する。
ステップS102において送電装置100から送信された電力能力情報送信要求を受信した受電装置200は、電力能力情報送信要求の受信に応じて、例えば受電装置200の記憶部(後述する)に記憶された電力能力情報を、送電装置100へ送信する(S104)。
図4は、本発明の実施形態に係る電力能力情報の一例を示す説明図である。電力能力情報は、例えばヘッダとペイロードとからなり、ペイロードは、電力の送信、受信が可能か否かを示すフラグ(図4のA)と、対応する電力伝送の方式数を示す情報(図4のB)と、対応する電力伝送方式ごとの情報(図4のC、D)とを有する。また、対応する電力伝送方式ごとの情報としては、例えば、パラメータ数(図4のE)と、周波数や電圧、方位角などのパラメータの種別を示す情報(図4のF)と、パラメータが固定であるか、または例えば50kHzなどのパラメータの変化単位を示す情報(図4のG)と、300kHz〜600kHzなどのパラメータがとりうる範囲を示す情報(図4のH)などが挙げられる。なお、本発明の実施形態に係る電力能力情報が、図4に示す例に限られないことは、言うまでもない。
〔本発明の実施形態に係る電力伝送方式〕
ここで、本発明の実施形態に係る電力伝送方式について説明する。なお、以下では、送電装置100が備える送電部(後述する。また、以下では「送電部106」と示す場合がある。)と、受電装置200が備える受電部(後述する。また以下では「受電部206」と示す場合がある。)とに着目して電力伝送方式の一例について説明する。
〔A〕第1の伝送方式:電磁誘導を利用した電力の伝送
図5は、本発明の実施形態に係る第1の電力伝送方式を説明するための説明図である。ここで、図5は、電磁誘導を利用して電力の伝送を行う送電装置100の送電部106と受電装置200の受電部206との構成例を示している。
図5を参照すると、送電部106は、交流電源V、コンデンサC1、およびインダクタL1を有する。また、受電部206は、インダクタL2、コンデンサC2、コンデンサC3、およびダイオードD1を有する。送電部106は、交流電源VによってインダクタL1に交流電流を流し、インダクタL1の周囲に磁束が生じさせる。そして、受電部206は、上記磁束によりインダクタL2に流れる交流電流をダイオードD1およびコンデンサC3が整流することによって直流電流を得る。したがって、第1の伝送方式が適用された受電装置200は、送電装置100から送信された電力を受信することができる。
また、図5に示すような電磁誘導を利用した電力の伝送方式を用いる場合には、例えば、インダクタL1およびインダクタL2の巻き数や配置位置を変化させることによって電力の伝送効率を変動させ、伝送効率の好適化を図ることができる。
〔B〕第2の伝送方式:電波(マイクロ波)を利用した電力の伝送
図6は、本発明の実施形態に係る第2の電力伝送方式を説明するための説明図である。ここで、図6は、電波を利用して電力の受信を行う受電装置200の受電部206の構成例を示している。
図6に示すように、受電部206は、アンテナ10、共振回路12、コンデンサC4、コンデンサC5、ダイオードD2、ダイオードD3、コンデンサC6、およびコンデンサC7を有する。ここで、共振回路12は、例えば、所定の静電容量を有するコンデンサと、所定のインダクタンスを有するインダクタから構成される。上記の構成において、送電装置100の送電部106から送信された電波をアンテナ10が受信すると、アンテナ10から共振回路12に交流電流が供給され、共振回路12が当該交流電流を共振により増幅する。さらに、受電部206は、増幅された交流電流をダイオードD3およびコンデンサC6などからなる整流回路が整流することにより直流成分を抽出して直流電流を得る。したがって、第2の伝送方式が適用された受電装置200は、送電装置100から送信された電力を受信することができる。
なお、本発明の実施形態に係る第2の電力伝送方式に係る構成は、図6に示す構成に限られない。図7は、本発明の実施形態に係る第2の電力伝送方式を説明するための説明図である。ここで、図7は、図6と同様に、電波を利用して電力の受信を行う受電装置200の受電部206の構成例を示している。
図7に示す受電部206は、基本的に図6に示す受電部206と同様の構成を有するが、図6に示すアンテナ10が、複数のアンテナ10および位相制御回路14と、分配器16とに置き換わっている。図7は、ビーム形成の場合を示しており、図7に示す構成をとる場合、受電部206は、ビーム状の電波を受信することができる。
〔C〕第3の伝送方式:磁場の共鳴を利用した電力の伝送
図8は、本発明の実施形態に係る第3の電力伝送方式を説明するための説明図である。ここで、図8は、磁場の共鳴を利用して電力の受信を行う送電装置100の送電部106と受電装置200の受電部206との構成例を示している。
送電部106は、図8に示すようにコンデンサC8およびインダクタL3を有する共振回路を備え、当該共振回路には例えば交流電源(図示せず)が接続される。また、受電部206は、コンデンサC9およびインダクタL4を有する。ここで、第3の伝送方式は、固有の振動数を有する振動子を2つ並べた場合に、一方に加えた振動が他方にも伝わる共鳴の原理を利用した伝送方式である。よって、送電部106のコンデンサC8およびインダクタL3による共振周波数と、受電部206のコンデンサC9およびインダクタL4による共振周波数とがより等しくなるようにそれぞれの静電容量およびインダクタンスを調整することによって、伝送効率の好適化を図ることができる。上記のように共鳴の原理を利用することによって、第3の伝送方式が適用された受電装置200は、送電装置100から送信された電力を受信することができる。
ここで、上記のように共鳴の原理を利用した電力伝送(第3の伝送方式による電力伝送)は、電磁誘導を利用した電力の伝送(第1の伝送方式による電力伝送)や電波を利用した電力の伝送(第2の伝送方式による電力伝送)よりも電力の伝送効率が高い。第3の伝送方式が適用された受電装置200は、例えば、送電装置100との距離が数メートル場合には、数キロワット程度の電力を受信することができる。
〔D〕第4の伝送方式:電場の共鳴を利用した電力の伝送
図9は、本発明の実施形態に係る第4の電力伝送方式を説明するための説明図である。ここで、図9は、電場の共鳴を利用して電力の受信を行う送電装置100の送電部106と受電装置200の受電部206との構成例を示している。
第4の伝送方式は、上記第3の伝送方式と同様に、固有の振動数を有する振動子(図9では、誘電体18および誘電体20)を2つ並べた場合に、一方に加えた振動が他方にも伝わる共鳴の原理を利用した伝送方式である。よって、送電部106の誘電体18における共振周波数と、受電部206の誘電体20における共振周波数とがより等しくなるようにそれぞれの誘電体が選択されることによって、伝送効率の好適化を図ることができる。上記のように共鳴の原理を利用することによって、第4の伝送方式が適用された受電装置200は、第3の伝送方式が適用された受電装置200と同様に、送電装置100から送信された電力を受信することができる。
本発明の実施形態に係る電力伝送システム1000では、例えば、上記〔A〕〜〔D〕に挙げた第1〜第4の伝送方式を用いることによって、送電装置100から受電装置200へと電力の伝送を行う。なお、本発明の実施形態に係る電力伝送システム1000における電力の伝送方式は、上記第1〜第4の伝送方式に限られず、無線で電力を伝送可能な任意の伝送方式を適用することが可能である。
例えば図3に示す処理を行うことによって、送電装置100と受電装置200とは、暗号化された第1の通信路を形成することができる。また、送電装置100は、形成した第1の通信路を介して、例えば受電装置200が対応する電力の伝送方式の情報などを含む電力能力情報を受電装置200から取得する。
なお、本発明の実施形態に係る電力伝送システム1000における通信路確立処理は、図3に示す例に限られない。例えば、図3に示す通信路確立処理において、第1の通信路による通信を開始するために受電装置200のユーザが行った所定の接続設定操作(例えば、接続先の装置の選択操作や、認証用ワンタイムキー(PIN)の入力操作)を不要とすることによって、ユーザの利便性の向上を図ることも可能である。より具体的には、送電装置100と受電装置200とが、第1の通信路とは異なる第2の通信路により非接触式に通信を行って、第1の通信路による通信を開始するための接続情報を送受信することによって、上記ユーザの利便性の向上を図る。ここで、上記第2の通信路は、ユーザによる特段の接続設定を要さずに送電装置100と受電装置200とが1対1に通信することが可能な通信方式によって形成される通信路である。本発明の実施形態に係る第2の通信路としては、例えば、13.56MHzなど特定の周波数の磁界(搬送波)を通信に用いるNFC(Near Field Communication)によって形成される通信路や、赤外線を通信に用いる赤外線通信によって形成される通信路などが挙げられる。
そこで、次に、本発明の実施形態に係る通信路確立処理の第2の例として、第1の通信路による通信を開始するためのユーザによる上記操作を不要とし、ユーザの利便性の向上をさらに図ることが可能な処理について説明する。
[2]通信路確立処理の第2の例
図10は、本発明の実施形態に係る電力伝送システム1000における通信路確立処理の第2の例を示す説明図である。以下では、図3に示す第1の例と同様に、第1の通信路が、IEEE802.11bなどの無線LANを用いた無線通信により形成される通信路である場合を例に挙げて説明する。また、以下では、第2の通信路が、13.56MHz(所定の周波数の一例)の搬送波を通信に用いるNFCによって形成される通信路である場合を例に挙げて説明する。また、図10における送電装置100と受電装置200とにおける処理は、ステップS200〜S204の処理が第2の通信路による通信に係る処理であり、ステップS206の処理が第1の通信路による通信に係る処理である。
送電装置100と受電装置200との間で捕捉処理が行われる(S200)。ここで、ステップS200の処理は、例えば、送電装置100が定期的または非定期的に特定の搬送波信号を送信して受電装置200を捕捉するポーリングによって行われる。
ステップS100において受電装置200が捕捉されると、送電装置100は、図3のステップS102と同様に、受電装置200に対して電力能力情報送信要求を送信する(S202)。ここで、ステップS202において送信される電力能力情報送信要求には、例えば、接続情報がさらに含まれる。ステップS202において送信される電力能力情報送信要求としては、例えば、後述する図11に示す電力能力情報が電力能力情報を送信させるための命令(実質的な電力能力情報送信要求)に置き換わったデータ構造(フォーマット)が挙げられる。
また、ステップS202において送電装置100から送信された電力能力情報送信要求を受信した受電装置200は、図3のステップS104と同様に、電力能力情報を送電装置100へ送信する(S204)。ここで、第2の通信路がNFCによって形成される通信路である場合には、第2の通信路は暗号化されたセキュアな通信路である。また、NFCによる通信を行う場合、送電装置100と受電装置200とは、10cm程度の距離で通信を行うので、物理的なセキュリティも高められる。よって、送電装置100は、ステップS204において受電装置200から送信された電力能力情報を、安全に取得することができる。
図11は、本発明の実施形態に係る電力能力情報の他の例を示す説明図である。ここで、図11では、NFCフォーラムで規定されているHandover Messageフォーマット(図11に示すI)に、図4に示す本発明の実施形態に係る電力能力情報(図11に示すJ)がさらに追加されたデータ構造を示している。なお、本発明の実施形態に係る電力能力情報のデータ構造が、図11に示す例に限られないことは、言うまでもない。
再度図10を参照して、本発明の実施形態に係る電力伝送システム1000における通信路確立処理の第2の例について説明する。ステップS202、S204の処理が行われると、送電装置100と受電装置200とは、図3のステップS100と同様に、第1の通信路を形成して第1の通信路の暗号化を行う通信暗号化処理を行う(S208)。
ここで、図11に示す接続情報に含まれる認証情報が、WPS(Wi-Fi Protected Setup)で規定されているように、“OOB device password情報”であれば、送電装置100と受電装置200とは8−way handshakeを行う。そして、送電装置100と受電装置200とは、8−way handshakeの過程でCredential情報を生成し、WPA2規格に従った認証および通信路の暗号化を行う。また、図11に示す接続情報に含まれる認証情報が、“Credential情報”であれば、送電装置100と受電装置200とは8−way handshakeを行わずに、WPA2規格に従った認証および通信路の暗号化を行う。よって、図10に示す処理が行われることによって、受電装置200のユーザが所定の接続設定操作(例えば、接続先の装置の選択操作や、認証用ワンタイムキー(PIN)の入力操作)を行うことなく、送電装置100と受電装置200との間で暗号化された第1の通信路が形成される。
例えば図10に示す処理を行うことによって、送電装置100は、第2の通信路を介して電力能力情報を受電装置200から取得し、また、第1の通信路による通信を開始するためのユーザによる上記操作を要さずに、送電装置100と受電装置200とは、暗号化された第1の通信路を形成することができる。
電力伝送システム1000では、例えば図3に示す第1の例に係る処理や、図10に示す第2の例に係る処理によって、暗号化された第1の通信路を確立する。よって、(1)の処理が行われることによって、電力伝送システム1000では、パラメータ情報などの各種情報(すなわち、電力伝送アプローチを実現するための情報)の送受信をセキュアに行うことが可能となる。
なお、本発明の実施形態に係る(1)の処理(通信路確立処理)は、図3、図10に示す処理に限られない。例えば、図3、図10では、送電装置100が受電装置200から電力能力情報を取得する処理を示したが、送電装置100は、例えば自装置が記憶する電力能力情報を、受電装置200へ送信してもよい。上記の場合には、送電装置100と受電装置200との間で、それぞれの電力能力情報が交換されることとなる。
(2)電力のパラメータ候補決定処理
上記(1)の処理(通信路確立処理)によって、暗号化された第1の通信路が形成されると、送電装置100は、例えば、自装置に対応する電力能力情報と、受電装置200から取得した電力能力情報とに基づいて、電力の伝送方式と、受電装置200へ送信する電力のパラメータの候補を決定する。より具体的には、送電装置100は、例えば下記の(2−1)の処理(調停処理)と、(2−2)の処理(校正処理)とを行う。
なお、以下では、送電装置100が(2−1)の処理(調停処理)を行う場合を例に挙げて説明するが、本発明の実施形態に係る(2)の処理(電力のパラメータ候補決定処理)は、上記に限られない。例えば、上記(1)の処理(通信路確立処理)において送電装置100と受電装置200とが電力能力情報を交換している場合には、送電装置100と受電装置200との双方が(2−1)の処理を行ってもよいし、または、受電装置200が(2−1)の処理を行ってもよい。上記の場合には、送電装置100は、例えば、受電装置200における(2−1)の処理の結果を受電装置200から取得して、(2−2)の処理(校正処理)を行う。
(2−1)調停処理
送電装置100は、例えば自装置の記憶部(後述する)に記憶された、自装置に対応する電力能力情報と、受電装置200から取得した電力能力情報とに基づいて、電力の伝送方式と、受電装置200へ送信する電力のパラメータの種別を決定する。ここで、(2−1)の処理において決定される電力のパラメータの種別は、受電装置200から取得した電力能力情報に基づき決定されるものであるので、送電装置100は、後述する(2−2)の処理(校正処理)において、受電装置200の受電能力を超えない電力のパラメータ候補を決定することが可能となる。
〔調停処理の具体例〕
図12は、本発明の実施形態に係る調停処理の一例を示す流れ図である。以下では、図12に示す処理を送電装置100が行うものとして説明する。また、図12では、上記(1)の処理(通信路確立処理)において、送電装置100が、図4に示す電力能力情報を受電装置200から取得し、また、送電装置100が図4に示す電力能力情報を記憶している場合を例に挙げて説明する。
送電装置100は、m(mは、0以上の整数)の値を、m=0(ゼロ)に設定する(S300)。ここで、mは、自装置の伝送方式を特定するための値であり、例えば図4に示す電力能力情報のペイロードに含まれる対応伝送方式を示す番号に対応する。また、ステップS300の処理は、例えば図4に示す電力能力情報のペイロードに含まれる対応伝送方式を示す番号の最小値に設定する処理に該当する。
ステップS300の処理が行われると、送電装置100は、mの値が自装置の対応伝送方式数よりも小さいか否かを判定する(S302)ここで、送電装置100は、例えば自装置に対応する電力能力情報に含まれる対応伝送方式数(図4に示すB)を参照することによって、自装置の対応伝送方式数を特定する。
ステップS302においてmの値が自装置の対応伝送方式数よりも小さいと判定されない場合には、自装置が対応する全ての伝送方式に対して処理が行われたにも関わらず、自装置が対応する伝送方式と受電装置200が対応する伝送方式とに一致した伝送方式がないことを示している。よって、送電装置100は、エラーを通知して(S304)、調停処理を終了する。ここで、送電装置100は、例えば、送電装置100が備える表示デバイス(例えば後述する表示部)や、外部表示デバイス、受電装置200が備える表示デバイスにエラー画面を表示させることによって、送電装置100のユーザおよび/または受電装置200のユーザ(以下、総称して「ユーザ」と示す場合がある。)に対して、視覚的にエラーを通知する。なお、送電装置100におけるステップS304の処理は、上記に限られず、例えば、送電装置100が備える音声出力デバイスや、外部音声出力デバイス、受電装置200が備える音声出力デバイスからエラー音声(音楽も含む)を出力させることによって、ユーザに対して、聴覚的にエラーを通知してもよい。
また、ステップS302においてmの値が自装置の対応伝送方式数よりも小さいと判定された場合には、送電装置100は、受信した電力能力情報に伝送方式mと同じ伝送方式が存在するか否かを判定する(S306)。
ステップS306において受信した電力能力情報に伝送方式mと同じ伝送方式が存在すると判定されない場合には、送電装置100は、mの値をm=m+1に更新する(S308)。そして、送電装置100は、ステップS302からの処理を繰り返す。
また、ステップS306において受信した電力能力情報に伝送方式mと同じ伝送方式が存在すると判定された場合には、送電装置100は、受電装置200に送信する電力の伝送方式を、伝送方式mに設定する(S310)。また、図12では示していないが、送電装置100は、ステップS310において設定した伝送方式mを示す情報を、受電装置200へ送信する。
図13は、本発明の実施形態に係る調停処理における電力の伝送方式の決定方法を説明するための説明図である。ここで、図13は、図12に示すステップS300〜S310の処理によって決定される電力の伝送方式の一例を示している。また、図13では、送電装置100が対応する伝送方式が電磁誘導(上記第1の伝送方式)およびマイクロ波(上記第1の伝送方式)であり、受電装置200が対応する伝送方式が磁界共鳴(上記第3の伝送方式)、電界共鳴(上記第4の伝送方式)、およびマイクロ波(上記第1の伝送方式)である場合を示している。
送電装置100と受電装置200とが対応する伝送方式が図13に示すものである場合には、図12に示すステップS300〜S310の処理が行われることによって、送電装置100は、合致する伝送方式であるマイクロ波(上記第1の伝送方式)を、伝送方式mとして設定する。
なお、図12に示すステップS300〜S310の処理を行うときに、合致する伝送方式が複数存在する場合、送電装置100は、最初に合致する伝送方式を伝送方式mとして設定するが、合致する伝送方式が複数存在する場合における処理は、上記に限られない。例えば、送電装置100は、自装置が対応する伝送方式に設定されている優先度に基づいて、合致する伝送方式の中で優先度が最も高い伝送方式を伝送方式mとして設定してもよい。上記伝送方式に設定される優先度は、例えば、予め設定されたものであってもよいし、ユーザにより設定されたものであってもよい。
再度図12を参照して、本発明の実施形態に係る調停処理の一例について説明する。ステップS310において伝送方式が設定されると、送電装置100は、n(nは、0以上の整数)の値を、n=0(ゼロ)に設定する(S312)。ここで、nは、自装置における伝送方式mの対応パラメータを特定するための値であり、例えば図4に示す電力能力情報のペイロードに含まれるパラメータ種別(例えば図4に示すF)を示す番号に対応する。また、ステップS312の処理は、例えば図4に示す電力能力情報のペイロードに含まれるパラメータ種別を示す番号の最小値に設定する処理に該当する。
ステップS312の処理が行われると、送電装置100は、nの値が自装置の対応パラメータ数よりも小さいか否かを判定する(S314)ここで、送電装置100は、例えば自装置に対応する電力能力情報に含まれる対応パラメータ数(例えば図4に示すE)を参照することによって、自装置の対応パラメータ数を特定する。
ステップS314においてnの値が自装置の対応パラメータ数よりも小さいと判定されない場合には、送電装置100は、自装置が対応する全てのパラメータ種別に対して処理が行われたと判定して、調停処理を終了する。
また、ステップS314においてnの値が自装置の対応パラメータ数よりも小さいと判定された場合には、送電装置100は、受信した電力能力情報にパラメータ種別nと同じパラメータ種別が存在するか否かを判定する(S316)。
ステップS316において受信した電力能力情報にパラメータ種別nと同じパラメータ種別が存在すると判定されない場合には、後述するステップS320の処理を行う。
また、ステップS316において受信した電力能力情報にパラメータ種別nと同じパラメータ種別が存在すると判定された場合には、送電装置100は、パラメータ種別nに関する情報を、送信する電力のパラメータの種別を規定するパラメータ種別リストに追加する(S318)。ここで、送電装置100は、例えば、電力能力情報のペイロードに含まれるパラメータ種別nのパラメータ最小UNITの情報(図4に示すG)やパラメータ可動範囲の情報(図4に示すH)などを、上記パラメータ種別nに関する情報として記録する。
ステップS316において受信した電力能力情報にパラメータ種別nと同じパラメータ種別が存在すると判定されない場合、または、ステップS318の処理が行われた場合には、送電装置100は、nの値をn=n+1に更新する(S320)。そして、送電装置100は、ステップS314からの処理を繰り返す。
図14は、本発明の実施形態に係る調停処理におけるパラメータ種別の決定方法を説明するための説明図である。ここで、図14は、図12に示すステップS312〜S320の処理によって決定されるパラメータ種別の一例を示している。また、図14では、送電装置100が対応するパラメータ種別が周波数および電圧であり、受電装置200が対応するパラメータ種別が周波数、電圧、および方位角である場合を示している。
送電装置100と受電装置200とが対応するパラメータ種別が図14に示すものである場合には、図12に示すステップS312〜S320の処理を行うことによって、送電装置100は、合致するパラメータ種別である周波数および電圧に関する情報を、パラメータ種別リストに記録する。
送電装置100は、例えば図12に示す処理を行うことによって、電力の伝送方式と、受電装置200へ送信する電力のパラメータの種別を決定する。なお、本発明の実施形態に係る調停処理が、図12に示す処理に限られないことは、言うまでもない。
(2−2)校正処理(キャリブレーション処理)
上記(2−1)の処理(調停処理)が行われると、送電装置100は、受電装置200へ送信する電力のパラメータの候補を決定する。
〔校正処理の具体例〕
図15は、本発明の実施形態に係る送電装置100における校正処理の一例を示す流れ図である。
送電装置100は、上記(2−1)の処理において決定された各電力のパラメータの種別における最大効率値をとるパラメータ特定する(S400)。より具体的には、送電装置100は、例えば、パラメータ種別リストに記録されているパラメータ種別を1つ選択し、数式1に示す演算を行うことによって当該パラメータ種別においてとりうる全パラメータについての送電効率を算出する。また、上記送電効率の算出の際には、送電装置100は、例えば、パラメータ種別リストに記録されている他のパラメータ種別に対応するパラメータは固定する。上記の処理をパラメータ種別リストに記録されているパラメータ種別ごとに行うことによって、送電装置100は、各電力のパラメータの種別における最大効率値をとるパラメータを特定する。
図16は、本発明の実施形態に係る送電装置100における校正処理における、電力のパラメータの種別における最大効率値をとるパラメータの特定に係る処理を説明するための説明図である。ここで、図16は、周波数、電圧、方位角の3つのパラメータ種別がパラメータ種別リストに記録されている場合における例を示している。
例えば、送電装置100が、周波数(パラメータ種別の一例)について300kHzから600kHzを30kHz単位で設定可能な場合には、周波数について全部で11点の測定、演算を行い、測定中は、他のパラメータ種別である電圧、方位角については、1つの測定値に固定する。上記によって、周波数において最大効率値をとるパラメータが特定される。また、送電装置100は、他のパラメータ種別である電圧、方位角についても、上記周波数に対する処理と同様の処理を行うことによって、最大効率値をとるパラメータを特定する。
なお、上記では、例えば図16に示すように、複数のパラメータ種別がパラメータ種別リストに記録されている場合を例に挙げて説明したが、本発明の実施形態に係る送電装置100における処理は、上記に限られない。例えば、送電装置100は、1つのパラメータ種別がパラメータ種別リストに記録されている場合においても、とりうる全パラメータについての送電効率を算出することによって、当該パラメータの種別において最大効率値をとるパラメータを特定することができる。
再度図15を参照して、送電装置100における校正処理の一例について説明する。ステップS400において各電力のパラメータの種別における最大効率を特定すると、送電装置100は、各電力のパラメータの種別における送電効率の基準範囲(以下、「基準効率範囲」と示す場合がある。)を設定する(S402)。
より具体的には、送電装置100は、ステップS400と同様に、パラメータ種別リストに記録されているパラメータ種別を1つ選択し、当該パラメータ種別においてとりうる全パラメータについての送電効率を算出する。また、上記送電効率の算出の際には、送電装置100は、パラメータ種別リストに記録されている他のパラメータ種別のパラメータを、ステップS400において特定した最大効率値をとるパラメータに固定する。そして、送電装置100は、上記算出により得られた最大効率値を頂点した効率分布データに基づいて、基準効率範囲を設定する。例えば、効率分布の上位50%を基準とし、ピーク効率値から10%降下した範囲内に当該50%が含まれている場合には、送電装置100は、80%〜70%を基準効率範囲として設定する。
図17は、本発明の実施形態に係る送電装置100における校正処理における、電力のパラメータの種別における送電効率の基準範囲の設定に係る処理を説明するための説明図である。ここで、図17は、図16と同様に、周波数、電圧、方位角の3つのパラメータ種別が、パラメータ種別リストに記録されている場合における例を示している。
送電装置100は、例えばステップS400、S402の処理を行うことによって、送電効率の基準範囲を設定する。上記ステップS400、S402の処理では、送電装置100は、上記(2−1)の処理において作成されたパラメータ種別リストに基づいて上記数式1の演算を行うことによって、送電効率を算出する。ここで、上記送電効率の算出に係る処理において送信する電力は、例えば、送電装置100が、電力能力情報が示す受電装置200の受電能力を超えない電力のパラメータに基づいて試験的に電力を送信するものに該当する。また、上記送電効率の算出に係る処理において算出する送電効率は、例えば、送電装置100が、受電装置200から送信された、試験的に送信された電力に対応する電力のパラメータごとの受電量を示す受電量情報(以下、「第2受電量情報」と示す。)に基づいて、電力のパラメータそれぞれにおける送電効率(以下、「第3送電効率」と示す。)に該当する。
なお、上記では、例えば図17に示すように、複数のパラメータ種別がパラメータ種別リストに記録されている場合を例に挙げて説明したが、本発明の実施形態に係る送電装置100における処理は、上記に限られない。例えば、送電装置100は、1つのパラメータ種別がパラメータ種別リストに記録されている場合には、ステップS402における送電効率の算出に係る処理を行わなくてもよい。上記の場合には、送電装置100は、ステップS400において算出された送電効率に係る効率分布データに基づいて、基準効率範囲として設定することが可能である。
再度図15を参照して、送電装置100における校正処理の一例について説明する。ステップS402において基準効率範囲を設定すると、送電装置100は、ユーザに対して送電条件を提示する(S404)。ここで、上記送電条件としては、例えば送電単価などが挙げられる。
より具体的には、送電装置100は、例えば、設定された基準効率範囲に対応する送電単価を算出する。そして、送電装置100は、算出された送電単価を示す情報を受電装置200へ送信することによって、例えば、受電装置200が備える表示デバイスや外部表示デバイスに送電単価を表示画面に表示させることにより、送電条件を提示する。なお、送電装置100は、送電装置100が備える表示デバイス(例えば後述する表示部)に送電条件を提示してもよい。
図18は、本発明の実施形態に係る送電装置100における校正処理において、ユーザに提示される表示画面の一例を示す説明図である。図18は、送電装置100が、設定した基準効率範囲をユーザに通知し、送電総量に対して対価を請求する場合の例を示している。つまり、図18に示す例は、受電装置200側が電力の伝送ロスの変動分を支払うことになる場合に表示される表示画面の一例(受電側リスクテイク型の例)を示している。また、図18に示すように、ステップS404において提示される送電条件には、例えば、上記数式7により算出される第1送電効率が、基準効率範囲の下限値(所定の値の一例)より小さくなった場合には電力の送信を停止する旨が、明示される。
例えば、1kWあたり100円で電力が送信できるときに基準効率範囲が70%〜80%である場合には、送電装置100は、125円(100/0.8)〜148円(100/0.7)を送電条件として提示する。また、第1送電効率が0.7より小さくなった場合には、送電装置100は、後述する(3)の処理(送電処理)において送電を停止する。
なお、本発明の実施形態に係る校正処理において、ユーザに提示される表示画面は、図18に示す例(受電側リスクテイク型の例)に限られない。図19は、本発明の実施形態に係る送電装置100における校正処理において、ユーザに提示される表示画面の他の例を示す説明図である。
図19は、送電装置100が、基準効率範囲に基づいて1kW当たりの単価(実際の送電効率の変動に依存しない一律の単価)を設定し、送電総量に対して設定した単価に対応する対価を請求する場合の例を示している。つまり、図19に示す例は、送電装置100側が電力の伝送ロスの変動分を支払うことになる場合に表示される表示画面の一例(送電側リスクテイク型の例)を示している。また、図19に示すように、ステップS404において提示される送電条件には、例えば、上記数式7により算出される第1送電効率が、基準効率範囲の下限値(所定の値の一例)より小さくなった場合には電力の送信を停止する旨が、明示される。
例えば、1kWあたり100円で電力が送信できるときに基準効率範囲が70%〜80%である場合には、送電装置100は、125円(100/0.8)を送電条件として提示する。また、第1送電効率が基準効率範囲の下限値に対応する0.7より小さくなった場合には、送電装置100は、後述する(3)の処理(送電処理)において送電を停止する。なお、送電装置100が、送電側リスクテイク型の表示画面を表示する場合において設定する単価が、図19に示すような基準効率範囲の上限値に基づいて設定されることに限られないことは、言うまでもない。
ステップS404では、送電装置100は、例えば図18や図19に示すような表示画面をユーザに提示することによって、ユーザに送電条件を提示する。なお、送電装置100は、さらに音声によって聴覚的に送電条件を通知することも可能である。
ステップS404において送電条件を提示すると、送電装置100は、提示した送電条件が承認されたか否かを判定する(S406)。送電装置100は、例えば、送信した送電単価を示す情報に応じて受電装置200から送信された電力の送信の開始を要求する送電開始要求を受信した場合に、提示した送電条件が承認されたと判定する。ここで、受電装置200は、例えば、受電装置200のユーザが、受電装置200を操作して図18や図19に示すOKボタンを選択することによって、送電開始要求を送信する。また、送電装置100は、送電開始要求を受信することによって、後述するステップS408の処理の後、後述する(3)の処理(送電処理)を開始することとなる。
ステップS406において提示した送電条件が承認されたと判定されない場合には、送電装置100は、ステップS400からの処理を繰り返す。なお、上記に場合、送電装置100は、例えば、受電装置200の位置の移動や、受電装置200以外の装置の除外などをユーザに行わせるための通知(例えば視覚的な通知および/または聴覚的な通知)を行ってもよい。
また、ステップS406において提示した送電条件が承認されたと判定された場合には、送電装置100は、電力のパラメータの中で電力の送信に適さない除外パラメータが記録されるブラックリストを設定する(S408)。より具体的には、送電装置100は、例えばステップS402において算出された第3送電効率の中に、ステップS402において設定された基準範囲外の第3送電効率がある場合には、基準範囲外の第3送電効率に対応する電力のパラメータを、除外パラメータに設定する。そして、送電装置100は、設定した除外パラメータをブラックリストに記録する。
送電装置100は、後述する(3)の処理(送電処理)において、ステップS408において設定されたブラックリストに記録される除外パラメータを含まないパラメータ情報を生成する。つまり、送電装置100は、電力の送信に適さないパラメータに基づく電力を送信しないので、より効率的に電力を伝送させることができる。また、ブラックリストに記録されていない電力のパラメータ、すなわち、除外パラメータ以外の電力のパラメータが、受電装置200へ送信する電力のパラメータとなりうる。よって、送電装置100は、ステップS408の処理を行うことによって、受電装置200へ送信する電力のパラメータの候補を決定することができる。
図20は、本発明の実施形態に係る送電装置100における校正処理において、ブラックリストに記録される電力パラメータの一例を示す説明図である。図20に示すように、各パラメータに対応して算出された第3送電効率が、基準効率範囲の下限値より小さい場合には、除外パラメータとしてブラックリストに記録される。
送電装置100は、例えば図15に示す処理を行うことによって、受電装置200へ送信する電力のパラメータの候補を決定する。なお、本発明の実施形態に係る校正処理が、図15に示す処理に限られないことは、言うまでもない。
例えば上記のような(2−1)の処理(調停処理)および(2−2)の処理(校正処理)とが行われることによって、電力伝送システム1000では、電力能力情報に基づいて、電力の伝送方式と、送電装置100が受電装置200へ送信する電力のパラメータの候補とが決定される。
(3)の処理(送電処理)
上記(2)の処理(電力のパラメータ候補決定処理)が行われると、送電装置100は、パラメータの候補の中のいずれかのパラメータを、セッションごとに送信する電力のパラメータとして設定して電力を送信する。
図21は、本発明の実施形態に係る電力伝送システム1000における送電処理の一例を示す説明図である。ここで、図21は、一のセッション(送電期間)における送電処理の一例を示している。電力伝送システム1000では、セッションごとに図21に示す処理が行われる。
また、図21では、送電装置100の構成のうちの通信部(後述する)と送電部(後述する)とを示しており、また、受電装置200の構成のうちの通信部(後述する)と受電部(後述する)とを示している。送電装置100の通信部と受電装置200の通信部とは、暗号化された第1の通信路を介して通信を行い、また、送電装置100の送電部と受電装置200の受電部とは、パラメータ情報が規定する伝送方式、パラメータに基づき電力の送受信を行う。なお、以下では、送電装置100の通信部または送電部が行う処理を、総称して送電装置100が行うものとし、また、受電装置200の通信部または受電部が行う処理を、総称して受電装置200が行うものとして説明する。
送電装置100は、パラメータ情報を受電装置200へ送信する(S500)。なお、例えばパラメータ情報の生成に係る処理など、送電装置100における(3)の処理(送電処理)については、後述する。
図22は、本発明の実施形態に係る送電装置100が送信するパラメータ情報の一例を示す説明図である。パラメータ情報は、セッションごとに生成され、パラメータ情報には、セッションにおいて電力の送信に用いられるパラメータ(図22に示すK)が含まれる。なお、本発明の実施形態に係るパラメータ情報は、図22に示す例に限られない。
図23は、本発明の実施形態に係る送電装置100が送信するパラメータ情報の他の例を示す説明図である。図23に示すパラメータ情報は、セッションごとに生成され、パラメータ情報には、セッションにおけるステップ数に対応するパラメータ(図23に示すK)が、ステップ数分含まれる。また、各ステップにおけるパラメータは、パラメータ候補の中からランダムに設定される。なお、本発明の実施形態に係るパラメータ情報が、図22、図23に示す例に限られないことは、言うまでもない。
再度図21を参照して、電力伝送システム1000における送電処理の一例について説明する。ステップS500において送電装置100から送信されたパラメータ情報を受信した受電装置200は、パラメータ情報の受信に応じて応答を行う(S502)。
図24は、本発明の実施形態に係る受電装置200がパラメータ情報の受信に応じて行う応答時に送信するパケットの一例を示す説明図である。ここで、図24は、ACK(ACKnowledgement)パケットの一例を示している。なお、本発明の実施形態に係る受電装置200がパラメータ情報の受信に応じて行う応答時に送信するパケットが、図24に示す例に限られないことは、言うまでもない。
再度図21を参照して、電力伝送システム1000における送電処理の一例について説明する。ステップS502において受電装置200から送信された応答を受信した送電装置100は、当該応答がACKを示す場合に、送信したパラメータ情報に含まれるパラメータを用いて送電を行う(S504)。なお、ステップS502において受電装置200から送信された応答がNACK(Negative CKnowledgement)である場合には、送電装置100は、例えば、ステップS500の処理を再度行ってもよいし、エラーをユーザに通知して送電を停止してもよい。
図25〜図27は、本発明の実施形態に係る送電装置100が、パラメータ情報に基づき送信する電力の一例を示す説明図である。ここで、図25〜図27は、送電装置100が、図22に示すパラメータ情報に基づいて送信する電力の一例を示している。また、図25は、電力が連続波で送信される場合の一例を示しており、各ステップにおける周波数(図25に示すf)、電圧(図25に示すv)、および送電時間(図25に示すt)が、パラメータ情報に基づいて設定される。図26は、電力が時分割方式で送信される場合の一例を示しており、各ステップにおける周波数(図26に示すf)、電圧(図26に示すv)、および送電スロットオフセットが、パラメータ情報に基づいて設定される。図27は、パラメータ情報に基づいて方位角が制御される場合の一例を示しており、方位角がパラメータ情報に基づいて設定される。
なお、本発明の実施形態に係る送電装置100が、パラメータ情報に基づき送信する電力は、図25〜図27に示す例に限られない。例えば、送電装置100が時分割方式で電力を送信する場合、図26に示す最小スロットは可変であってもよいし、および/または、電力が複数の最小スロットの期間連続的に送信されてもよい。
また、送電装置100は、例えば図23に示すパラメータ情報をステップS500において送信する場合には、セッションごとに送信する電力のパラメータがランダムに設定されたパラメータ情報に基づいて、電力を送信することもできる。
図28〜図30は、本発明の実施形態に係る送電装置100が、パラメータ情報に基づき送信する電力の他の例を示す説明図である。ここで、図28〜図30は、送電装置100が、図23に示すパラメータ情報に基づいて送信する電力の一例を示している。また、図28は、図25と同様に電力が連続波で送信される場合の一例を示しており、各ステップにおける周波数(図28に示すf)、電圧(図28に示すv)、および送電時間(図28に示すt)が、パラメータ情報に基づき可変する。なお、図29に示す最小スロットは可変であってもよいし、および/または、電力が複数の最小スロットの期間連続的に送信されてもよい。図29は、図26と同様に電力が時分割方式で送信される場合の一例を示しており、各ステップにおける周波数(図29に示すf)、電圧(図29に示すv)、および送電スロットオフセットが、パラメータ情報に基づき可変する。図30は、図27と同様にパラメータ情報に基づいて方位角が制御される場合の一例を示しており、方位角がパラメータ情報に基づき可変する。
再度図21を参照して、電力伝送システム1000における送電処理の一例について説明する。ステップS504において送信された電力を、ステップS500において受信したパラメータ情報に基づいて受信した受電装置200は、受電レポートを送信する(S506)。
図31は、本発明の実施形態に係る受電装置200が送信する受電レポートの一例を示す説明図である。受電レポートには、パラメータ情報が示す電力のパラメータごとの受電量を示す第1受電量情報(図31に示すL。受電量それぞれは、例えばワットで表される。)が含まれる。なお、本発明の実施形態に係る受電レポートが、図31に示す例に限られないことは、言うまでもない。
再度図21を参照して、電力伝送システム1000における送電処理の一例について説明する。ステップS506において送電装置100から送信された受電レポートを受信した送電装置100は、受電レポートの受信に応じて応答を行う(S508)。
図32は、本発明の実施形態に係る送電装置100が受電レポートの受信に応じて行う応答時に送信するパケットの一例を示す説明図である。ここで、図32は、ACKパケットの一例を示している。なお、本発明の実施形態に係る送電装置100が受電レポートの受信に応じて行う応答時に送信するパケットが、図32に示す例に限られないことは、言うまでもない。
電力伝送システム1000では、各セッション(送電期間)において、例えば図21に示す処理が送電装置100と受電装置200との間で行われる。次に、送電装置100における(3)の処理(送電処理)について、より具体的に説明する。
〔送電装置100における送電処理の具体例〕
図33は、本発明の実施形態に係る送電装置100における送電処理の一例を示す流れ図である。ここで、図33に示すステップS600〜S612の処理は、一のセッション(送電期間)における送電処理に相当する。
送電装置100は、パラメータを設定する(S600;パラメータ設定処理)。ここで、送電装置100は、後述するステップS602において図22に示すパラメータ情報を送信する場合には、例えば、上記(2)の処理(電力のパラメータ候補決定処理)において設定されたパラメータの候補の中から、1つのパラメータをランダムに選択することによってパラメータを設定する。なお、本発明の実施形態に係る送電装置100におけるパラメータの設定方法は、上記に限られない。
<送電装置100におけるパラメータ設定処理の他の例>
図34は、本発明の実施形態に係る送電装置100におけるパラメータ設定処理の一例を示す流れ図である。ここで、図34は、送電装置100が、後述する図33のステップS602において図23に示すパラメータ情報を送信する場合におけるパラメータの設定方法の一例を示している。
送電装置100は、nの値をn=0(ゼロ)に設定する(S700)。ここで、nの値は、例えばパラメータ種別リストに記録されたパラメータ種別を示す番号を示す。
ステップS700の処理が行われると、送電装置100は、nの値がパラメータ種別リストに記録されたパラメータ種別数より小さいか否かを判定する(S702)。
ステップS702においてnの値がパラメータ種別リストに記録されたパラメータ種別数より小さいと判定されない場合には、送電装置100は、パラメータ設定処理を終了する。
また、ステップS702においてnの値がパラメータ種別リストに記録されたパラメータ種別数より小さいと判定された場合には、送電装置100は、PN符号に乱数を入力し、各ステップについて0〜M−1(セッションあたりの合計ステップ数)までのランダム系列を算出する(S704)。
ステップS704の処理が行われると、送電装置100は、パラメータ種別nに対応するパラメータを導出する(S706)。送電装置100は、例えば、パラメータ種別nに対応する変換テーブルを用いて、ステップS706の処理を行う。
図35は、本発明の実施形態に係る送電装置100が、あるパラメータ種別に対応するパラメータを導出するために用いる変換テーブルの一例を示す説明図である。ここで、図35は、パラメータ種別が周波数である場合における変換テーブルの一例を示している。また、図35に示すMは、除外パラメータ、または、後述する図33のステップS610において新たにブラックリストに登録されたパラメータ(電力の送信に用いないパラメータ。以下「不使用パラメータ」と示す場合がある。)を示している。送電装置100は、例えば図15のステップS408において設定したブラックリストと対応付けて、変換テーブルを更新する。なお、本発明の実施形態に係る変換テーブルは、ブラックリストそのものの役目を果たしてもよい。また、本発明の実施形態に係る変換テーブルが、図33に限られないことは、言うまでもない。
再度図34を参照して、送電装置100におけるパラメータ設定処理の一例について説明する。ステップS706の処理が行われると、送電装置100は、nの値をn=n+1に更新する(S708)。そして、送電装置100は、ステップS702からの処理を繰り返す。
送電装置100は、例えば図34に示す処理を行うことによって、パラメータ種別リストに記録されたパラメータ種別それぞれについて、ステップごとにランダムなパラメータを設定することができる。
なお、後述する図33のステップS602において図23に示すパラメータ情報を送信する場合における、本発明の実施形態に係る送電装置100におけるパラメータ設定処理は、図34に示す処理に限られない。図36は、本発明の実施形態に係る送電装置100におけるパラメータ設定処理の他の例を示す流れ図である。ここで、図36は、図34と同様に、送電装置100が、後述する図33のステップS602において図23に示すパラメータ情報を送信する場合におけるパラメータの設定方法の一例を示している。
送電装置100は、図34のステップS700と同様に、nの値をn=0(ゼロ)に設定する(S800)。
ステップS800の処理が行われると、送電装置100は、図34のステップS702と同様に、nの値がパラメータ種別リストに記録されたパラメータ種別数より小さいか否かを判定する(S802)。
ステップS802においてnの値がパラメータ種別リストに記録されたパラメータ種別数より小さいと判定されない場合には、送電装置100は、パラメータ設定処理を終了する。
また、ステップS802においてnの値がパラメータ種別リストに記録されたパラメータ種別数より小さいと判定された場合には、送電装置100は、図34のステップS704と同様に、PN符号に乱数を入力し、各ステップについて0〜M−1(セッションあたりの合計ステップ数)までのランダム系列を算出する(S804)。
ステップS804の処理が行われると、送電装置100は、パラメータ種別nに対応するパラメータを導出する(S806)。送電装置100は、例えば、パラメータ種別nに対応する変換テーブルを用いて、ステップS806の処理を行う。
図37は、本発明の実施形態に係る送電装置100が、あるパラメータ種別に対応するパラメータを導出するために用いる変換テーブルの他の例を示す説明図である。ここで、図37は、図35と同様に、パラメータ種別が周波数である場合における変換テーブルの一例を示している。また、図37に示すNは、除外パラメータを示しており、図37に示すOは、後述する図33のステップS610において新たにブラックリストに登録されたパラメータ(不使用パラメータ)を示している。
図37に示すブラックリストとは、ブラックリストに記録されているパラメータを示すフラグであり、図37では、当該フラグが“1”を示す場合がブラックリストに記録されているパラメータであることを示している。また、図37に示すブラックリスト候補とは、ブラックリストに登録される可能性のあるパラメータを示している。
より具体的には、送電装置100は、例えば、後述する図33のステップS610において、対象のパラメータを不使用パラメータの候補となる不使用候補パラメータに設定し、不使用候補パラメータが設定されるごとに、不使用候補パラメータに対応するブラックリスト候補の値を更新する。また、送電装置100は、一定期間内に所定の回数(例えば図37に示す例では、5回)不使用候補パラメータに設定された電力のパラメータを、不使用パラメータに設定する。そして、送電装置100は、不使用パラメータに設定されたパラメータに対応するブラックリストの値を、“1”(ブラックリスト)に更新する。
なお、送電装置100は、定期的、または非定期的に、例えば図37に設定された不使用パラメータまたは不使用候補パラメータの設定を解除してもよい。ここで、本発明の実施形態に係る不使用パラメータまたは不使用候補パラメータに該当する電力のパラメータは、除外パラメータに該当しないパラメータである。つまり、上記パラメータが一旦不使用パラメータとしてブラックリストに登録されたとしても、電力伝送システム1000における電力伝送に係る環境が変化すれば、再度正常に電力を送受信できる可能性がある。よって、送電装置100は、上記のように定期的、または非定期的に、不使用パラメータまたは不使用候補パラメータの設定を解除することによって、電力の送信に用いることが可能な電力のパラメータの数をできる限り多くし、受電装置200以外の他の装置によって不正に電力が受信されることの防止を図る。
なお、本発明の実施形態に係る変換テーブルが、図37に限られないことは、言うまでもない。
再度図36を参照して、送電装置100におけるパラメータ設定処理の他の例について説明する。ステップS806の処理が行われると、送電装置100は、ステップS806において導出されたパラメータが、ブラックリストに登録されているパラメータがあるか否かを判定する(S808)。送電装置100は、例えば図37に示す変換テーブルを参照することによって、各ステップに対して設定したパラメータがブラックリストに登録されているかを判定する。
ステップS808においてブラックリストに登録されているパラメータがあると判定された場合には、ステップS804において算出したランダム系列を、新たに発生させた乱数値で更新し(S810)、ステップS806からの処理を再度行う。
また、ステップS808においてブラックリストに登録されているパラメータがあると判定されない場合には、送電装置100は、図34のステップS708と同様に、nの値をn=n+1に更新する(S812)。そして、送電装置100は、ステップS802からの処理を繰り返す。
送電装置100は、例えば図36に示す処理を行うことによって、図34に示す処理を行った場合と同様に、パラメータ種別リストに記録されたパラメータ種別それぞれについて、ステップごとにランダムなパラメータを設定することができる。
送電装置100は、後述する図33のステップS602において図23に示すパラメータ情報を送信する場合には、例えば図34や図36に示す処理を行うことによって、パラメータを設定する。なお、後述する図33のステップS602において図23に示すパラメータ情報を送信する場合における、本発明の実施形態に係る送電装置100におけるパラメータ設定処理が、図34、図36に示す処理に限られないことは、言うまでもない。
再度図33を参照して、送電装置100における送電処理の一例について説明する。ステップS600においてパラメータが設定されると、送電装置100は、ステップごとに設定されたパラメータが含まれるパラメータ情報を生成して、受電装置200へ送信する(S602)。ここで、ステップS602の処理は、図21におけるステップS500の処理に該当する。
ステップS602において送信したパラメータ情報に対して、受電装置200からの応答(例えば図24に示すACKを示す応答パケット)を受信すると、送電装置100は、パラメータ情報に基づいて、すなわち設定したパラメータに基づいて、電力を送信する(S604)。ここで、ステップS604の処理は、図21におけるステップS504の処理に該当する。
ステップS604において電力を送信すると、送電装置100は、受電レポートが受信されたか否かを判定する(S606)。ステップS606において受電レポートが受信されたと判定されない場合には、送電装置100は、受電レポートが受信されるまで処理を進めない。なお、電力を送信してから所定の時間受電レポートが受信されない場合には、送電装置100は、例えば、以降のセッションにおける電力の送信を行わず、電力の送信を終了してもよい(いわゆる、タイムアウト)。
ステップS606において受電レポートが受信されたと判定された場合には、送電装置100は、第2送電効率(セッションごとの送電効率)を算出し、第2送電効率が基準効率範囲の下限値よりも小さいか否かを判定する(S608)。
ステップS608において第2送電効率が基準効率範囲の下限値よりも小さいと判定されない場合には、送電装置100は、後述するステップS612の処理を行う。
また、ステップS608において第2送電効率が基準効率範囲の下限値よりも小さいと判定された場合には、送電装置100は、ブラックリストの更新処理を行う(S610)。
より具体的には、送電装置100は、第2送電効率が基準効率範囲の下限値よりも小さいと判定した場合には、例えば、当該第2送電効率を算出したセッションに対応するパラメータ情報が示す電力のパラメータに基づいて、不使用パラメータを設定する。そして、送電装置100は、例えば、不使用パラメータに設定されたパラメータを、ブラックリストに記録することによって、ステップS610の処理を行う。
ここで、送電装置100は、例えば、上記パラメータ情報が示す電力のパラメータを即座に不使用パラメータとして設定するが、送電装置100における処理は、上記に限られない。例えば、送電装置100は、上記パラメータ情報が示す電力のパラメータそれぞれを不使用候補パラメータに設定し、例えば、一定期間内に所定の回数不使用候補パラメータに設定された電力のパラメータを、不使用パラメータに設定することも可能である。なお、送電装置100は、定期的、または非定期的に、設定された不使用パラメータまたは不使用候補パラメータの設定を解除してもよい。また、ステップS604において図23に示すパラメータがランダムに設定されたパラメータ情報に基づいて電力を送信する場合には、送電装置100は、ステップS610における処理として、例えば図37に示す変換テーブルの更新を行ってもよい。
ステップS608において第2送電効率が基準効率範囲の下限値よりも小さいと判定されない場合、または、ステップS610の処理が行われた場合には、送電装置100は、第1送電効率(電力を送信済みの送電期間における送電効率)を算出し、第1送電効率が基準効率範囲の下限値よりも小さいか否かを判定する(S612)。
ステップS612において第1送電効率が基準効率範囲の下限値よりも小さいと判定された場合には、送電装置100は、以降のセッションにおける電力の送信を行わず、電力の送信を終了する(S616)。ステップS616の処理が行われることによって、仮に送電非対象の装置によって送信した電力が受信されたことによって、送電装置100が送信した電力が受電装置200において正常に受信されないことが生じたとしても、電力の送信が自動的に停止されることとなる。したがって、送電装置100が、第1送電効率が所定の値より小さくなった場合に電力の送信を停止することによって、送電非対象の装置によって電力が受信されることを防止することができる。
また、ステップS612において第1送電効率が基準効率範囲の下限値よりも小さいと判定されない場合には、送電装置100は、電力の送信を終了するか否かを判定する(S614)。ここで、送電装置100は、例えば、受電装置200から送信された電力の送信の停止を要求する送電停止要求を受信した場合や、送電装置100が備える操作部(後述する)からユーザ操作に基づく送電停止要求が伝達された場合に、電力の送信を終了すると判定する。また、送電装置100は、例えば、送電総量が所定の値(例えばユーザにより送電前に設定される値)を超えた場合に、電力の送信を終了すると判定してもよい。
ステップS614において電力の送信を終了すると判定されない場合には、送電装置100は、ステップS600からの処理を繰り返す。
また、ステップS614において電力の送信を終了すると判定された場合には、送電装置100は、電力の送信を終了する(S616)。
送電装置100は、例えば図33に示す処理を行うことによって、セッションごとに送信する電力のパラメータをランダムに設定して電力を送信することができる。なお、本発明の実施形態に係る送電装置100における(3)の処理(送電処理)が、図33に示す処理に限られないことは、言うまでもない。
電力伝送システム1000では、例えば(1)の処理(通信路確立処理)〜(3)の処理(送電処理)が行われることによって、送電装置100と受電装置200との間で電力の伝送が行われる。ここで、電力伝送システム1000では、上記(1)の処理(通信路確立処理)によって形成された暗号化された第1の通信路によって、送電装置100と受電装置200との間で、電力のパラメータが設定されたパラメータ情報の送受信がなされる。また、送電装置100は、送信したパラメータ情報が示すパラメータを用いて電力を送信し、受電装置200は、受信したパラメータ情報が示すパラメータを用いて電力を受信する。ここで、送電装置100は、電力の送信を行う前に受電装置200から電力能力情報を取得し、取得した電力能力情報が示す受電能力を超えない電力のパラメータの候補を設定する。また、送電装置100は、上記(2)の処理(電力のパラメータ候補決定処理)において、受電装置200から取得した電力能力情報が示す受電能力を超えない電力のパラメータの中から、電力を伝送する実際の環境においてある一定以上の送電効率を得ることが可能なパラメータを、電力のパラメータの候補として設定する。そして、送電装置100は、設定された電力のパラメータの候補のうちのいずれかのパラメータを用いて電力を送信する。したがって、(1)の処理(通信路確立処理)〜(3)の処理(送電処理)が行われることによって、送電装置100は電力を伝送する環境に応じたパラメータを用いて受電装置200に対して電力を送信することが可能となり、送電ロスの低減を図ることが可能な電力伝送システムが実現される。
(本発明の実施形態に係る電力伝送システム)
次に、上述した本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチに係る処理を実現することが可能な、電力伝送システム1000を構成する送電装置100、受電装置200の構成の一例について説明する。図38は、本発明の実施形態に係る電力伝送システム1000を構成する送電装置100、および受電装置200それぞれの構成の一例を示すブロック図である。
[送電装置100]
送電装置100は、記憶部102と、通信部104(第1通信部)と、送電部106と、制御部108とを備える。
また、送電装置100は、例えば、ROM(Read Only Memory。図示せず)や、RAM(Random Access Memory。図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)、各種画面を表示画面に表示する表示部(図示せず)などを備えていてもよい。送電装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)により上記各構成要素間を接続する。
ROM(図示せず)は、制御部108が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。RAM(図示せず)は、制御部108により実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。
操作部(図示せず)としては、例えば、ボタンや、方向キー、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられる。また、表示部(図示せず)としては、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)や有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display。または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)ともよばれる。)などが挙げられる。また、送電装置100は、送電装置100の外部装置としての操作入力デバイス(例えば、キーボードやマウスなど)や表示デバイスと接続されてもよい。
〔送電装置100のハードウェア構成例〕
図39は、本発明の実施形態に係る送電装置100のハードウェア構成の一例を示す説明図である。図39を参照すると、送電装置100は、例えば、アンテナ回路150と、搬送波送信回路152と、MPU154と、ROM156と、RAM158と、記録媒体160と、入出力インタフェース162と、操作入力デバイス164と、表示デバイス166と、通信インタフェース168とを備える。また、送電装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス170で各構成要素間を接続する。
アンテナ回路150および搬送波送信回路152は、送電装置100における送電部106として機能する。よって、アンテナ回路150および搬送波送信回路152は、上述した第1〜第4の電力の伝送方式を実現するために、例えば、図5〜図9に対応する構成をとることができる。例えば、第1の伝送方式に係るアンテナ回路150は、送受信アンテナとしての所定のインダクタンスをもつコイルおよび所定の静電容量をもつキャパシタからなる共振回路から構成される。また、第1の伝送方式に係る搬送波送信回路152は、例えば、交流電源および当該交流電源の出力を増幅する増幅回路などから構成される。
MPU154は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)や、電力測定回路、制御機能を実現するための複数の回路が集積された集積回路などで構成され、送電装置100全体を制御する制御部108として機能する。また、MPU154は、送電装置100において、後述するパラメータ情報生成部120、通信制御部122、送電制御部124、および送電効率算出部126の役目を果たすこともできる。
ROM156は、MPU154が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶し、また、RAM158は、MPU154により実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。
記録媒体160は、送電装置100が備える記憶手段であり、記憶部102として機能する。また、記録媒体160には、例えば、電力能力情報や、ブラックリスト、変換テーブル、アプリケーションなどが記憶される。ここで、記録媒体160としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)が挙げられる。
入出力インタフェース162は、例えば、操作入力デバイス164や、表示デバイス166を接続する。操作入力デバイス164は、操作部(図示せず)として機能し、また、表示デバイス166は、表示部(図示せず)として機能する。ここで、入出力インタフェース162としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子や、DVI(Digital Visual Interface)端子、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子、各種処理回路などが挙げられる。また、操作入力デバイス164は、例えば、送電装置100上に備えられ、送電装置100の内部で入出力インタフェース162と接続される。操作入力デバイス164としては、例えば、ボタン、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクター、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられる。また、表示デバイス166は、例えば、送電装置100上に備えられ、送電装置100の内部で入出力インタフェース162と接続される。表示デバイス166としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどが挙げられる。なお、入出力インタフェース162が、送電装置100の外部装置としての操作入力デバイス(例えば、キーボードやマウスなど)や表示デバイス(例えば、外部ディスプレイなど)と接続することもできることは、言うまでもない。また、表示デバイス166は、例えばタッチスクリーンなど、表示とユーザ操作とが可能なデバイスであってもよい。
通信インタフェース168は、送電装置100が備える通信手段であり、受電装置200などの外部装置と無線/有線で通信を行うための通信部104として機能する。ここで、通信インタフェース168としては、例えば、通信アンテナおよびRF回路や、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路、IEEE802.11bポートおよび送受信回路、あるいはLAN端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。
送電装置100は、例えば図39に示すようなハードウェア構成によって、上述した本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチに係る処理を行う。なお、本発明の実施形態に係る送電装置100のハードウェア構成は、図39に示す構成に限られない。例えば、送電装置100は、相異なる伝送方式に係るアンテナ回路150および搬送波送信回路152を、複数備えていてもよい。また、送電装置100は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)と、増幅器(アンプ)やスピーカなどから構成される音声出力デバイスとを備えてもよい。上記の場合には、送電装置100は、例えば図12のステップS304においてエラー音声を上記音声出力デバイスから出力することによって、聴覚的にエラーを通知することが可能となる。また、送電装置100は、例えば、図39に示す操作入力デバイス164や表示デバイス166を備えない構成であってもよい。
再度図38を参照して、本発明の実施形態に係る送電装置100の構成について説明する。記憶部102は、送電装置100が備える記憶手段である。ここで、記憶部102としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどが挙げられる。
また、記憶部102は、例えば、電力能力情報や、ブラックリスト、変換テーブル、アプリケーションなどを記憶する。ここで、図38では、電力能力情報130が記憶部102に記憶されている例を示している。
通信部104は、送電装置100が備える通信手段であり、受電装置200などの外部装置と有線/無線で通信を行う役目を果たす。ここで、通信部104としては、例えば、通信アンテナおよびRF回路や、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路、LAN端子および送受信回路などが挙げられるが、通信部104の構成は、上記に限られない。また、通信部104は、例えば、制御部108(より厳密には、後述する通信制御部122)によってその通信が制御される。
送電部106は、送電装置100が備える電力送信手段であり、受電装置200に対して無線で電力を送信する役目を果たす。ここで、送電部106は、例えば、電磁誘導(第1の伝送方式)や、電波(第2の伝送方式)、電場または磁場の共鳴(第3の伝送方式、第4の伝送方式)を利用して電力を受電装置200に対して送信する。また、送電部106は、例えば、制御部108(より厳密には、後述する送電制御部124)によってその電力の送信が制御される。
制御部108は、例えば、MPUなどで構成され、送電装置100全体を制御する役目を果たす。また、制御部108は、パラメータ情報生成部120と、通信制御部122と、送電制御部124と、送電効率算出部126とを備え、本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチに係る処理を主導的に行う役目を果たす。
パラメータ情報生成部120は、上記(2)の処理(電力のパラメータ候補決定処理)と上記(3)の処理(送電処理)の一部とを主導的に行う役目を果たす。より具体的には、パラメータ情報生成部120は、例えば、設定した電力のパラメータの候補のうちのいずれかのパラメータを含むパラメータ情報を、セッション(送電期間)ごとに生成する。
ここで、パラメータ情報生成部120は、上記(2)の処理(電力のパラメータ候補決定処理)において、例えば、送電効率算出部126が算出した第3送電効率(試験的に送信された電力に対応する電力のパラメータそれぞれにおける送電効率)に基づいて基準効率範囲を設定し、当該第3送電効率の中に基準効率範囲外の第3送電効率がある場合には、当該第3送電効率に対応する電力のパラメータを除外パラメータに設定する。また、パラメータ情報生成部120は、上記(3)の処理(送電処理)において、送電効率算出部126が算出した第2送電効率(セッションごとの送電効率)が所定の値(例えば、基準効率範囲の下限値)より小さい場合には、当該第2送電効率のセッションに対応するパラメータ情報が示す電力のパラメータに基づいて、不使用パラメータ候補、不使用パラメータを設定する。そして、パラメータ情報生成部120は、上記(3)の処理(送電処理)において、除外パラメータや不使用パラメータが含まれないパラメータ情報を生成する。また、パラメータ情報生成部120は、定期的または非定期的に、不使用パラメータまたは不使用候補パラメータの設定を解除してもよい。
また、パラメータ情報生成部120は、例えば、通信部104が受電装置200から送信された送電開始要求を受信した場合に、パラメータ情報の生成を行う。
通信制御部122は、通信部104における通信を制御し、上記(1)の処理(通信路確立処理)と上記(3)の処理(送電処理)の一部とを主導的に行う役目を果たす。より具体的には、通信制御部122は、上記(1)の処理(通信路確立処理)において、例えば、暗号化された第1の通信路を形成した後、送電部106における電力の送信が開始される前に電力能力情報送信要求を通信部104に送信させ、受電装置200に電力能力情報を送信させる。そして、通信制御部122は、通信部104が受信した電力能力情報をパラメータ情報生成部120へ伝達する。パラメータ情報生成部120は、電力能力情報が伝達されることによって、電力能力情報が示す受電装置200の受電能力を超えない電力のパラメータが含まれるパラメータ情報を生成することが可能となる。
また、通信制御部122は、上記(3)の処理(送電処理)において、例えば、送電制御部124により算出された送電単価を示す情報を受電装置200へ送信させる。そして、通信部104が、上記送電単価を示す情報に応じて受電装置200から送信された送電開始要求を受信した場合には、送電開始要求をパラメータ情報生成部120へ伝達する。
また、通信制御部122は、上記(3)の処理(送電処理)において、例えば、パラメータ情報生成部120が生成したパラメータ情報を、通信部104にセッションごとに順次に送信させる。
送電制御部124は、送電部106における電力の送信を制御し、上記(2)の処理(電力のパラメータ候補決定処理)の一部と上記(3)の処理(送電処理)とを主導的に行う役目を果たす。より具体的には、送電制御部124は、上記(2)の処理(電力のパラメータ候補決定処理)において、電力能力情報が示す受電装置200の受電能力を超えない電力のパラメータに基づいて、送電部106に電力を送信させる。また、送電制御部124は、パラメータ情報生成部120により設定された基準効率範囲に対応する送電単価を算出して、通信制御部122へ伝達する。
また、送電制御部124は、上記(3)の処理(送電処理)において、例えば、パラメータ情報が示す電力のパラメータに基づいて、送電部106に電力を送信させる。そして、送電制御部124は、例えば、送電効率算出部126により算出された第1送電効率が所定の値(例えば、基準効率範囲の下限値)より小さくなった場合には、送電部106に電力を送信させない。上記の場合には、送電装置100から受電装置200への電力の送信は、自動的に停止することとなる。
送電効率算出部126は、上記(2)の処理(電力のパラメータ候補決定処理)の一部と上記(3)の処理(送電処理)の一部とを主導的に行う役目を果たす。より具体的には、送電効率算出部126は、第1送電効率、第2送電効率、および第3送電効率を算出する役目を果たす。
制御部108は、例えば、パラメータ情報生成部120、通信制御部122、送電制御部124、および送電効率算出部126を備えることによって、上述した本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチに係る処理((1)の処理〜(3)の処理)を主導的に行うことができる。なお、本発明の実施形態に係る制御部108の構成は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る送電装置100の制御部108は、パラメータ情報生成部120、通信制御部122、送電制御部124、および送電効率算出部126のうちの複数の機能を有する部を備えていてもよい。また、制御部108は、パラメータ情報生成部120、通信制御部122、送電制御部124、および送電効率算出部126それぞれが、さらにそれぞれの機能ごとに複数の部に分けられた構成を有していてもよい。
送電装置100は、例えば図38に示す構成によって、上述した本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチに係る(1)の処理(通信路確立処理)〜(3)の処理(送電処理)を行うことができる。したがって、送電装置100は、例えば図38に示す構成によって、送電ロスの低減を図ることができる。
なお、本発明の実施形態に係る送電装置100の構成は、図38に示す構成に限られない。例えば、送電装置100は、第2の通信路にて受電装置200などの外部装置と通信を行うことが可能な第2通信部(図示せず)を備えていてもよい。ここで、第2通信部(図示せず)としては、例えば、送受信アンテナとしての所定のインダクタンスをもつコイルおよび所定の静電容量をもつキャパシタからなる共振回路、交流電源、および当該交流電源の出力を増幅する増幅回路などが挙げられる(NFCによって形成される通信路により通信を行うための構成の一例)。なお、第2通信部(図示せず)の構成は、上記に限られず、第2通信部(図示せず)は、例えば、赤外線ポートおよび送受信回路(赤外線通信によって形成される通信路により通信を行うための構成の一例)で構成されてもよい。
上記の場合、送電装置100の通信制御部122は、接続情報を第2の通信を介して受電装置200へ送信させることによって、上記(1)の処理(通信路確立処理)におけるユーザの利便性の向上を図ることができる。また、上記の場合、送電装置100の通信制御部122は、電力能力情報送信要求を第2通信部に送信させ、第2通信部(図示せず)が受信した電力能力情報をパラメータ情報生成部120へ伝達する。パラメータ情報生成部120は、電力能力情報が伝達されることによって、電力能力情報が示す受電装置200の受電能力を超えない電力のパラメータが含まれるパラメータ情報を生成することが可能となる。
なお、第2の通信路がNFCによって形成される通信路である場合には、第2通信部(図示せず)は、送電部106としての役目を果たすことも可能である。
[受電装置200]
次に、本発明の実施形態に係る受電装置200の構成の一例について説明する。受電装置200は、記憶部202と、通信部204と、受電部206と、制御部208とを備える。
また、受電装置200は、例えば、制御部208が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(図示せず)や、制御部208により実行されるプログラムなどを一時的に記憶するRAM(図示せず)、受電装置200のユーザが操作可能な操作部(図示せず)、表示部(図示せず)などを備えてもよい。受電装置200は、例えば、データの伝送路としてのバスにより上記各構成要素間を接続する。
ここで、操作部(図示せず)としては、例えば、キーボードやマウスなどの操作入力デバイスや、ボタン、方向キー、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられる。また、表示部(図示せず)としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどが挙げられる。また、受電装置200は、受電装置200の外部装置としての操作入力デバイス(例えば、キーボードやマウスなど)や表示デバイスと接続されてもよい。
〔受電装置200のハードウェア構成例〕
図40は、本発明の実施形態に係る受電装置200のハードウェア構成の一例を示す説明図である。図40を参照すると、受電装置200は、例えば、アンテナ回路250と、MPU252と、ROM254と、RAM256と、記録媒体258と、入出力インタフェース260と、操作入力デバイス262と、表示デバイス264と、通信インタフェース266と、内部電源268とを備える。また、受電装置200は、例えば、データなどの伝送路としてのバス270で各構成要素間を接続する。
アンテナ回路250は、受電装置200における受電部206として機能する。アンテナ回路250は、例えば、上述した第1〜第4の電力の伝送方式を実現するために、例えば、図5〜図9に対応する構成をとる。また、受電装置200は、相異なる伝送方式に係るアンテナ回路250を複数備えていてもよい。
MPU252は、例えば、MPUや、電力測定回路、制御機能を実現するための複数の回路が集積された集積回路などで構成され、受電装置200全体を制御する制御部208として機能する。ROM254は、MPU252が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶し、また、RAM256は、MPU252により実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。
記録媒体258は、受電装置200が備える記憶手段であり、例えば、電力能力情報や、アプリケーションなどを記憶する。ここで、記録媒体258としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、EEPROM、フラッシュメモリ、MRAM、FeRAM、PRAMなどの不揮発性メモリが挙げられる。
入出力インタフェース260は、例えば、操作入力デバイス262や、表示デバイス264を接続する。操作入力デバイス262は、操作部(図示せず)として機能し、また、表示デバイス264は、表示部(図示せず)として機能する。ここで、入出力インタフェース260としては、例えば、USB端子や、DVI端子、HDMI(登録商標)端子、各種処理回路などが挙げられる。また、操作入力デバイス262は、例えば、受電装置200上に備えられ、受電装置200の内部で入出力インタフェース260と接続される。操作入力デバイス262としては、例えば、ボタン、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクター、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられる。また、表示デバイス264は、例えば、受電装置200上に備えられ、受電装置200の内部で入出力インタフェース260と接続される。表示デバイス264としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどが挙げられる。なお、入出力インタフェース260が、受電装置200の外部装置としての操作入力デバイス(例えば、キーボードやマウスなど)や表示デバイス(例えば、外部ディスプレイなど)と接続することもできることは、言うまでもない。また、表示デバイス264は、例えばタッチスクリーンなど、表示とユーザ操作とが可能なデバイスであってもよい。
通信インタフェース266は、受電装置200が備える通信手段であり、例えば、送電装置100などの外部装置と無線/有線で通信を行うための通信部204として機能する。ここで、通信インタフェース266としては、例えば、通信アンテナおよびRF回路(無線通信)や、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路(無線通信)、IEEE802.11bポートおよび送受信回路(無線通信)、あるいはLAN端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。
内部電源268は、受信した電力を蓄電し、受電装置200の各部の駆動させる駆動電圧を供給することが可能な、受電装置200が備える電源である。ここで、内部電源268としては、例えば、リチウムイオン二次電池(lithium-ion rechargeable battery)などの二次電池が挙げられる。
受電装置200は、図40に示すようなハードウェア構成によって、送電装置100が送信する電力を受信することができる。したがって、受電装置200は、図40に示すようなハードウェア構成によって、受電装置200以外の他の装置によって不正に電力が受信されることを防止しつつ、受電装置200に無線で電力を伝送することが可能な、電力伝送システム1000を構成することができる。
なお、本発明の実施形態に係る受電装置200の構成は、図40に示す構成に限られない。例えば、受電装置200は、図39に示す搬送波送信回路152をさらに備えていてもよい。上記の場合、受電装置200は、送電装置としての機能を有することとなる。また、受電装置200は、例えば、DSPと、増幅器(アンプ)やスピーカなどから構成される音声出力デバイスとを備えてもよい。上記の場合には、受電装置200は、例えば図12のステップS304においてエラー音声を上記音声出力デバイスから出力することによって、聴覚的にエラーを通知することが可能となる。また、受電装置200は、例えば、図40に示す操作入力デバイス262や表示デバイス264を備えない構成であってもよい。
再度図38を参照して、受電装置200の構成について説明する。記憶部202は、受電装置200が備える記憶手段である。ここで、記憶部202としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどが挙げられる。また、記憶部202は、例えば、電力能力情報や、アプリケーションなどを記憶する。ここで、図38では、電力能力情報230が記憶部202に記憶されている例を示している。
通信部204は、受電装置200が備える通信手段であり、送電装置100などの外部装置と有線/無線で通信を行う役目を果たす。ここで、通信部204は、例えば、送電装置100の通信部104と対応する構成とすることができる。
受電部206は、受電装置200が備える電力受信手段であり、送電装置100から無線で送信された電力を受信する役目を果たす。ここで、受電部206は、例えば、電磁誘導(第1の伝送方式)や、電波(第2の伝送方式)、電場または磁場の共鳴(第3の伝送方式、第4の伝送方式)を利用して電力を受信する。
制御部208は、例えば、MPUや、電力測定回路、制御機能を実現するための複数の回路が集積された集積回路などで構成され、受電装置200全体を制御する役目や、受電装置200における上述した本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチに係る各種処理を行う役目を果たす。受電装置200における本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチに係る処理としては、例えば、図3や図10に示す(1)の処理(通信路確立処理)に係る処理や、図21に示す(3)の処理(送電処理)に係る処理などが挙げられる。
受電装置200は、例えば図38に示す構成によって、送電装置100がパラメータ情報に基づく電力のパラメータで送信する電力を受信し、受信した電力の内部電源268への充電や、受信した電力を用いた様々な処理を行うことができる。よって、受電装置200は、例えば図38に示す構成によって、受電装置200以外の他の装置によって不正に電力が受信されることを防止しつつ、受電装置200に無線で電力を伝送することが可能な、電力伝送システム1000を実現することができる。
以上のように、本発明の実施形態に係る電力伝送システム1000は、送電装置100と、受電装置200とを有し、例えば(1)の処理(通信路確立処理)〜(3)の処理(送電処理)が行われることによって、送電装置100と受電装置200との間で電力の伝送が行われる。電力伝送システム1000では、上記(1)の処理(通信路確立処理)によって形成された暗号化された第1の通信路によって、送電装置100と受電装置200との間で、送電装置100が電力の送信に用いる電力のパラメータが設定されたパラメータ情報の送受信がなされる。また、送電装置100は、送信したパラメータ情報が示すパラメータを用いて電力を送信する。ここで、送電装置100は、電力の送信を行う前に受電装置200から電力能力情報を取得し、取得した電力能力情報が示す受電能力を超えない電力のパラメータの候補を設定する。また、送電装置100は、上記(2)の処理(電力のパラメータ候補決定処理)において、受電装置200から取得した電力能力情報が示す受電能力を超えない電力のパラメータの中から、電力を伝送する実際の環境においてある一定以上の送電効率を得ることが可能なパラメータを、電力のパラメータの候補として設定する。そして、送電装置100は、設定された電力のパラメータの候補のうちのいずれかのパラメータを用いて電力を送信する。よって、送電装置100は、(1)の処理(通信路確立処理)〜(3)の処理(送電処理)を行うことによって、電力を伝送する環境に応じたパラメータを用いて受電装置200に対して電力を送信することが可能となる。
また、受電装置200は、第1の通信路を介してパラメータ情報を受信しているので、ある送電期間において送電装置100が、電力のパラメータの候補のいずれかのパラメータを用いて送信したとしても、当該パラメータ情報が示すパラメータに基づいて、送信された電力を効率的に受信することができる。よって、電力伝送システム1000における電力の伝送効率をより高めることが可能となる。
したがって、(1)の処理(通信路確立処理)〜(3)の処理(送電処理)が行われることによって、送電ロスの低減を図ることが可能な電力伝送システムが実現される。
また、送電装置100は、算出した第1送電効率(電力を送信済みの送電期間における送電効率)が所定の値(例えば、設定した基準効率範囲の下限値)より小さくなった場合に電力の送信を停止する。つまり、仮に送電非対象の装置によって送信した電力が受信されたことによって、送電装置100が送信した電力が受電装置200において正常に受信されないことが生じたとしても、送電装置100は、電力の送信を自動的に停止することが可能である。したがって、送電装置100は、第1送電効率が所定の値より小さくなった場合に電力の送信を停止することによって、送電ロスが所定の値を所定の値より大きくなった状態において電力が伝送され続けることを防止することができる。また、送電装置100が、算出した第1送電効率が所定の値より小さくなった場合に電力の送信を停止することによって、送電非対象の装置によって電力が受信されることを防止することができる。
また、送電装置100は、除外パラメータや不使用パラメータを含まないパラメータ情報を送電期間ごとに生成し、各送電期間において当該パラメータ情報が示すパラメータに基づいて電力を送信する。したがって、送電装置100は、送電効率がよりよいパラメータに基づいて電力を送信することが可能であるので、受電装置200に対する電力伝送における送信効率の低下の防止(すなわち、送電ロスの低減)を図ることができる。
さらに、送電装置100は、例えば図18や図19に示すような送電条件が提示される表示画面を表示させ、受電装置200から送信される送電開始要求を受信した場合に、提示した送電条件が承認されたと判定して、(3)の処理(送電処理)を行う。よって、電力伝送システム1000では、受電装置200のユーザは、提示される送電条件を事前に確認した上で、送電装置100に電力の送信を開始させることができる。
以上、本発明の実施形態に係る電力伝送システム1000を構成する構成要素として送電装置100を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。本発明の実施形態は、例えば、図1に示すような乗り物、図2に示すようなテーブル、PC(Personal Computer)やサーバなどのコンピュータ、リーダ/ライタやリーダ/ライタ機能を有する装置、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)などの携帯型通信装置、映像/音楽再生装置(または映像/音楽記録再生装置)、ゲーム機など、電力の送信を行うことが可能な様々な機器に適用することができる。
また、本発明の実施形態に係る電力伝送システム1000を構成する構成要素として受電装置200を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。本発明の実施形態は、例えば、PCやサーバなどのコンピュータ、携帯電話などの携帯型通信装置、映像/音楽再生装置(または映像/音楽記録再生装置)、ゲーム機、EV(Electric Vehicle。電気自動車)などの乗り物など、電力の受信を行うことが可能な様々な機器に適用することができる。
また、本発明の実施形態に係る電力伝送システム1000は、例えば図1や図2に示すような、電力の伝送を行う様々なユースケースに適用することができる。
(本発明の実施形態に係るプログラム)
[送電装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の実施形態に係る送電装置として機能させるためのプログラム(例えば、上記(1)の処理(通信路確立処理)〜(3)の処理(送電処理)を実現するためのプログラム)によって、電力を伝送する環境に応じたパラメータを用いて受電装置200に対して電力を送信することができる。また、コンピュータを、本発明の実施形態に係る送電装置として機能させるためのプログラムによって、送電ロスの低減を図ることが可能な電力伝送システムを実現することができる。
[受電装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の実施形態に係る受電装置として機能させるためのプログラム(例えば、受電装置200における本発明の実施形態に係る電力伝送アプローチに係る処理を実現するためのプログラム)によって、送電ロスの低減を図ることが可能な電力伝送システムを実現することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本発明の実施形態に係る送電装置は、図38に示すパラメータ情報生成部120、通信制御部122、送電制御部124、および送電効率算出部126を個別に備える(例えば、それぞれを個別の処理回路で実現する)ことができる。
また、上記では、コンピュータを、本発明の実施形態に係る送電装置として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)と、本発明の実施形態に係る受電装置として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)とが提供されることを示したが、本発明の実施形態は、さらに、上記プログラムをそれぞれ記憶させた記録媒体も併せて提供することができる。
上述した構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、当然に、本発明の技術的範囲に属するものである。