JP2019108914A - 免震装置、及び、その修理方法 - Google Patents

免震装置、及び、その修理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019108914A
JP2019108914A JP2017241188A JP2017241188A JP2019108914A JP 2019108914 A JP2019108914 A JP 2019108914A JP 2017241188 A JP2017241188 A JP 2017241188A JP 2017241188 A JP2017241188 A JP 2017241188A JP 2019108914 A JP2019108914 A JP 2019108914A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seismic isolation
vibration energy
vicinity
flange
energy absorbing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017241188A
Other languages
English (en)
Inventor
亮 安永
Akira Yasunaga
亮 安永
高橋 治
Osamu Takahashi
治 高橋
高山 峯夫
Mineo Takayama
峯夫 高山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo University of Science
Fukuoka University
Sumitomo Metal Mining Siporex KK
Original Assignee
Tokyo University of Science
Fukuoka University
Sumitomo Metal Mining Siporex KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo University of Science, Fukuoka University, Sumitomo Metal Mining Siporex KK filed Critical Tokyo University of Science
Priority to JP2017241188A priority Critical patent/JP2019108914A/ja
Publication of JP2019108914A publication Critical patent/JP2019108914A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Vibration Dampers (AREA)

Abstract

【課題】弾塑性材料からなる振動エネルギー吸収部を備えてなる免震装置或いは制振装置において、当該振動エネルギー吸収部の亀裂の発生を未然に抑制するのみならず、塑性変形の繰り返し等によって当該振動エネルギー吸収部に微細な亀裂が発生した場合であっても、これを有効に修復して、更に長期に亘る当該装置の使用の継続を可能とし、これにより、長期耐久性に秀でた免震装置等を提供すること。【解決手段】鉛、錫、鋼、又は、少なくともこれらのうちのいずれかの金属を含有してなる合金である弾塑性材料によって、ダンパー本体10や、金属プラグ51等の振動エネルギー吸収部が形成されている免震装置等であって、振動エネルギー吸収部の表面の一部又は全部にポリウレア樹脂をベース樹脂とする被膜部20が形成されている免震装置等とする。【選択図】図1

Description

本発明は、免震装置、及び、その修理方法に関する。
従来、多くの建造物において、その上部構造体と基礎側の下部構造体との間に、地震等によるエネルギーを吸収する免震構造が配置されている。一般的な免震構造は、免震アイソレータと免震ダンパーにより構成されており、地震時に地盤から伝わる振動に対して免震アイソレータによりその周期を長くし、且つ、免震ダンパーによりその地震エネルギーを吸収する。
免震構造を構成する各種の免震装置の具体例として、例えば、特許文献1には、構造物の上部構造体と下部構造体の間に設置され、地震時には、弾塑性材料で形成された振動エネルギー吸収部(免震ダンパー本体)が塑性変形することで振動エネルギーを吸収する免震装置(免震ダンパー)が開発されている(特許文献1参照)。
又、免震装置の他の具体例として、積層ゴム体の内部の中空部分に柱状の鉛プラグが配置されている免震装置(鉛プラグ入り積層ゴム型免震支承)も知られている(特許文献2参照)。この鉛プラグ入り積層ゴム型免震支承は、建築物等を構成する上下二つの構造体の間に配置され、その内部に配置される鉛プラグが塑性変形を受けることにより振動エネルギーを吸収し、尚且つ、上記の積層ゴム体が水平方向に大きく変形して地震入力加速度を低減させて、地震エネルギーの吸収性能を発揮する。
これらの免震装置は、いずれも、弾塑性材料で形成された振動エネルギー吸収部が地震エネルギーを吸収することにより、建造物の損傷を防止する機能を発揮する。しかしながら、振動エネルギー吸収部の塑性変形が一定回数以上繰り返された場合には、その表面に金属疲労による亀裂が発生してしまう場合がある。
そのような亀裂を放置しておけば、いずれは免震ダンパー本体等の振動エネルギー吸収部の破断に至る場合もあり、そうなると、最早、当該免震装置は振動エネルギーを吸収することができず、地震時において、所定の免震性能を発揮できなくなる。これを未然に防ぐ手段として、ワセリンやグリース等を免震ダンパー本体の表面に塗布して補強用の被膜部を形成し、これにより、上記の亀裂の発生を予め抑制する保守方法も提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記のような各種の免震装置において、これらが設置される建造物の耐用年数と同等の長期に亘って、その振動エネルギー吸収部の亀裂の発生を完全に防止することは困難であった。又、現状においては、亀裂が発生してしまったエネルギー吸収部を安全に継続使用することができるまでに修復する有効な修理方法は存在しなかった。よって、弾塑性材料からなる振動エネルギー吸収部を有する免振装置は、上記のような亀裂が僅かでも生じた時点、或いは、そのような亀裂が生じる可能性が一定程度以上に達するだけの変形履歴を経た時点で、その製品寿命を迎えたものとして、装置全体が交換されているのが実態であった。
特開2014−1844号公報 特開平9−105440号公報
本発明は、弾塑性材料からなる振動エネルギー吸収部を備えてなる免震装置或いは制振装置において、当該振動エネルギー吸収部の亀裂の発生を未然に抑制するのみならず、塑性変形の繰り返し等によって当該振動エネルギー吸収部に微細な亀裂が発生した場合であっても、これを有効に修復して、更に長期に亘る当該装置の使用の継続を可能とし、これにより、長期耐久性に秀でた免震装置等を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、弾塑性材料によって振動エネルギー吸収部が形成されている免震装置等において、当該振動エネルギー吸収部の表面に、ポリウレア樹脂からなる被膜部を形成することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 鉛、錫、鋼、又は、少なくともこれらのうちのいずれかの金属を含有してなる合金である弾塑性材料によって、振動エネルギー吸収部が形成されている免震装置又は制振装置であって、前記振動エネルギー吸収部の表面の一部又は全部にポリウレア樹脂をベース樹脂とする被膜部が形成されている免震装置又は制振装置。
(1)の発明によれば、弾塑性材料からなる振動エネルギー吸収部を備える免震装置等において、その振動エネルギー吸収部の表面にポリウレア樹脂からなる被膜部を形成した。これによれば、振動エネルギー吸収部における亀裂の発生を抑制することができるのみならず、更には、微細な亀裂が発生した場合において、これを有効に修復して、免震装置の即時の交換を回避することができる。このようにして、免震装置の使用耐用年数を大幅に延長させることができる。
(2) 構造物の上部構造体と下部構造体の間に設置され、振動エネルギーを吸収する免震装置であって、前記上部構造体に接続される上部フランジと、前記下部構造体に接続される下部フランジと、前記上部フランジと前記下部フランジとの間に配置されてこれらを連結するダンパー本体を備え、前記振動エネルギー吸収部は、前記ダンパー本体により形成されている、(1)に記載の免震装置。
(2)の発明によれば、構造物の上部構造体と下部構造体の間に設置され、これらの間をダンパー本体で連結するタイプの免震装置(免震ダンパー)全般において、(1)の発明の効果を享受して、それらの免震装置の使用耐用年数を大幅に延長させることができる。
(3) 前記ダンパー本体が、前記上部フランジから垂直方向の下方に延びる上部フランジ近傍部と、前記下部フランジから垂直方向の上方に延びる下部フランジ近傍部と、前記上部フランジと前記下部フランジとの略中間位置において、前記上部フランジ近傍部と前記下部フランジ近傍部との中心を通る中心軸より水平方向に突出して屈折する屈折部と、前記中心軸に対し傾斜して、前記上部フランジ近傍部から前記屈折部に連なる上部傾斜部と、前記中心軸に対し傾斜して、前記下部フランジ近傍部から前記屈折部に連なる下部傾斜部と、から形成されている、(2)に記載の免震装置。
(3)の発明によれば、図1に示すような形状のダンパー本体を備える免震装置の使用耐用年数を大幅に延長させることができる。
(4) 前記被膜部が、前記上部フランジ近傍部、前記下部フランジ近傍部、前記屈折部、前記上部傾斜部の前記屈折部近傍及び前記下部傾斜部の前記屈折部近傍のみに形成されている、(3)に記載の免震装置。
(4)の発明によれば、(3)に記載の免震装置において、特に亀裂が生じやすい部分にのみ、ポリウレア樹脂からなる被膜部を形成することとした。これにより、最小限の材量コストと手間で、効率良く(3)の発明の上記効果を享受することができる。
(5) 前記振動エネルギー吸収部が、円柱形状の金属プラグにより形成されていて、該金属プラグが、弾性材料層と剛性材料層とが交互に積層されてなる中空円筒状の弾性体内に配置されている、(1)に記載の免震装置。
(5)の発明によれば、図3に示すような、積層ゴム体の内部の中空部分に柱状の鉛プラグが配置されている免震装置(金属プラグ入り積層ゴム型免震支承)の使用耐用年数を大幅に延長させることができる。
(6) 鉛、錫、鋼、又は、これらを含有してなる合金である弾塑性材料からなる振動エネルギー吸収部が形成されている免震装置又は制振装置の修理方法であって、前記振動エネルギー吸収部に発生した亀裂を取り囲む部分にポリウレア樹脂をベース樹脂とするコーティング材を塗布して、該亀裂を被覆する被膜部を形成する、免震装置又は制振装置の修理方法。
(6)の発明によれば、弾塑性材料から振動エネルギー吸収部を備える免震装置等において、当該振動エネルギー吸収部に、塑性変形の繰り返し等による微細な亀裂が発生した場合に、これを修復して、更に長期に亘って当該装置の使用を継続することができる。
本発明によれば、弾塑性材料からなる振動エネルギー吸収部を備える免震装置或いは制振装置において、当該振動エネルギー吸収部の亀裂の発生を未然に抑制するのみならず、塑性変形の繰り返し等によって当該振動エネルギー吸収部に微細な亀裂が発生した場合であっても、これを有効に修復して、更に長期に亘る当該装置の使用の継続を可能とし、これにより、長期耐久性に秀でた免震装置等を提供することができる。
本発明の免震装置の好ましい実施形態の一つである免震ダンパーの斜視図である。 (a)は、図1の免震ダンパーを図1中右側から視た図であり、(b)は、図1の免震ダンパーを図1中後ろ側から視た図である。 本発明の免震装置の好ましい他の実施形態である金属プラグ入り積層ゴム型免震支承の斜視図である。 図3の金属プラグ入り積層ゴム型免震支承の内部構造の説明に供する模式図である。 本発明の免震装置の長期耐久性を確認する試験結果のデータをグラフ化したものであり、振動による塑性変形の繰り返し回数と、振動1サイクル当たりの吸収エネルギー量の相関を示すグラフ図である。 本発明の免震装置の長期耐久性を確認する試験結果のデータをグラフ化したものであり、振動による累積エネルギー量と、振動1サイクル当たりの吸収エネルギー量の相関を示すグラフ図である。
以下、本発明の好ましい実施態様について説明するが、本発明はこれに限定されない。
<免震装置又は制振装置>
本発明は、弾塑性材料からなるエネルギー吸収部を備える免震装置又は制震装置全般に対して好ましく適用することができる。弾塑性材料からなるエネルギー吸収部とは、地震時の大きな振幅の振動に対して塑性変形することにより振動エネルギーを吸収する作用効果を奏する部材のことを言う。具体的には、上述の免震ダンパーにおける免震ダンパー本体、或いは、金属プラグ入り積層ゴム型免震支承における金属プラグ等がそれにあたる。
<免震ダンパー>
免震ダンパー1は、構造物の上部構造体と下部構造体の間に設置され振動エネルギーを吸収する。図1及び図2に示す通り、免震ダンパー1は、上部構造体に接続される上部フランジ2と、下部構造体に接続される下部フランジ3と、上部フランジ2と下部フランジ3との間に配置され、これらを連結するダンパー本体10により構成される。免震ダンパー1においては、以下に詳細を説明する鉛製のダンパー本体10が、振動エネルギー吸収部として作用する。そして、免震ダンパー1においては、このダンパー本体10の表面の一部又は全部に、主としてポリウレア樹脂からなる被膜部20が形成されている。
免震ダンパー1は、上部フランジ2が上部構造体に接続され、下部フランジ3が下部構造体に接続されている。免震ダンパー1は、地震に起因するような振幅が大きい振動に対しては、振動エネルギー吸収部であるダンパー本体10が、塑性変形して振動エネルギーを吸収する。
尚、免震ダンパー1は、中小地震、風、交通振動、地盤の常時微動等に対する構造物の応答に起因する微少振幅の振動が構造物に発生した場合、上部フランジ2が上部構造体の振動に追従し、下部フランジ3が下部構造体の振動に追従する。そして、免震ダンパー1は、上部フランジ2と下部フランジ3との間でこれらを連結するダンパー本体10が弾性変形して振動エネルギーを吸収することで、構造物の振動を収束させることもできる。
ここで、従来の免震ダンパーにおいては、例えば、上記の塑性変形が多数回繰り返された場合、特に、上部フランジ近傍部15、下部フランジ近傍部11、屈折部13、上部傾斜部14の屈折部13近傍及び下部傾斜部12の屈折部13近傍に、金属疲労による亀裂が発生しやすかった。更に、亀裂が発生した回数の30〜40倍の回数の振動が繰り返された場合、ダンパー本体10が破断するおそれがあった。
これに対して、本発明の免震ダンパー1においては、以下に説明する通り、振動エネルギー吸収部であるダンパー本体10の表面にポリウレア樹脂からなる被膜部20が形成されていることにより、ダンパー本体10における上記のような亀裂の発生が抑制されている。そして、更には、仮に微細な亀裂が発生した場合においても、これを有効に修復して、免震ダンパー1の即時の交換を回避することができる。被膜部20が形成されているダンパー本体10の詳細については改めて後述する。
上部フランジ2及び下部フランジ3は、平面視正方形の板状体の鋼材(例えば、SS400)で形成されている。又、上部フランジ2及び下部フランジ3は、一例として、平面視で1辺750mmの正方形、厚さ38mmに形成されているものを挙げることができる。尚、上部フランジ及び下部フランジは、要求される免震性能に応じて、任意の大きさ及び厚さとすることができる。
上部フランジ2には、図1中における上下方向に貫通する複数の貫通孔2aが形成され、下部フランジ3には図1中上下方向に貫通する複数の貫通孔3aが形成されている。上部フランジ2は、貫通孔2aに挿通された固定ボルト(例えば、M30)により上部構造体に固定される。又、下部フランジ3は、貫通孔3aに挿通された固定ボルト(例えば、M30)により下部構造体に固定される。そして、上部フランジ2は、下部フランジ3を、例えば、垂直方向に886mm移動した位置に配置される。そして、上部フランジ2の下面と下部フランジ3の上面の空間に、両フランジに対して設置する態様で、ダンパー本体10が配置される。
[ダンパー本体]
ダンパー本体10は、断面円形状の柱状体が、上部フランジ2と下部フランジ3との間の空間における略中間位置において、図1中における前方向に曲げられた形状に形成されている。具体的には、ダンパー本体10は、下方から上方に向かって順に、下部フランジ近傍部11、下部傾斜部12、屈折部13、上部傾斜部14及び上部フランジ近傍部15が連なって形成されている。
又、ダンパー本体10は、通常、弾塑性材料として鉛、又は鉛を含有する合金を用いて形成される。これらのうちでも純度99.99%以上鉛であることが好ましい。
尚、ダンパー本体10は、要求される免震性能や構造物の設置スペースに応じて、任意の高さとすることができる。又、ダンパー本体10は、以下に説明する第1実施形態における各部の断面の直径も、要求される免震性能や構造物の設置スペースに応じて、任意の寸法とすることができる。
下部フランジ近傍部11は、上部フランジ近傍部15と下部フランジ近傍部11との中心を通る中心軸C(図2参照)を中心として配置され、下部フランジ3とホモゲン溶着により固着され、下部フランジ3から垂直方向の上方に延びている。又、下部フランジ近傍部11は、下部フランジ3との固着部分は、下部傾斜部12に連なる部分より断面の直径が広く形成されている。
下部傾斜部12は、中心軸C(図2参照)に対し傾斜して、下部フランジ近傍部11から孤を描きつつ屈折部13に連なる。屈折部13は、中心軸C(図2参照)より水平方向に突出し、略くの字形状に屈折する。上部傾斜部14は、中心軸C(図2参照)に対し傾斜して、上部フランジ近傍部15から孤を描きつつ屈折部13に連なる。
上部フランジ近傍部15は、中心軸C(図2参照)を中心として配置され、上部フランジ2とホモゲン溶着により固着され、上部フランジ2から垂直方向の下方に延びている。又、上部フランジ近傍部15は、上部フランジ2との固着部分は、上部傾斜部14に連なる部分より断面の直径が広く形成されている。
[被膜部]
被膜部20を形成するポリウレア樹脂とは、ポリイソシアネート化合物と活性水素を持つアミン化合物(特殊混合レジン)を衝突混合させて化学反応させることにより得られる、ウレア結合を有する合成樹脂である。このポリウレア樹脂は、超速硬化、強靱な物性(高い引裂強度・引張強度・伸び性・追従性、耐候性、耐腐食性等)が特徴であり、船舶やトラック、建築物の床や天井などのコーティング材や、ペンタゴンの防爆対策として用いられている。尚、被膜部20を形成する樹脂は、ポリウレア樹脂をベース樹脂とするものであればよく、他の添加樹脂やフィラー等が、本発明の作用効果を阻害しない範囲で適量添加されているものであってもよい。本明細書におけるポリウレア樹脂とは、このように主としてポリウレア樹脂からなる樹脂材料全般を含むものとする。
このようなポリウレア樹脂からなる被膜部20の厚さは2mm以上であることが好ましい。この被膜部は、引張強度10N/mm以上、伸び能力200%以上の物性を有する被膜とすることができる。そして、このような被膜部20を、ダンパー本体10の表面の全面又は、上記のような損傷部分に形成することにより、地震による変形が繰り返された場合においてもダンパー本体10に亀裂や破断が発生することを抑制できる。
被膜部20は、ダンパー本体10において、表面の全面に形成されることが好ましいが、特に金属疲労による亀裂や破断が発生しやすい部分に形成してもよい。具体的には、図1及び図2において示す通り、下部フランジ近傍部11から下部傾斜部12に連なる部分の全周、屈折部13、下部傾斜部12の外周と上部傾斜部14の外周において屈折部13近傍、上部フランジ近傍部15において、上部傾斜部14に連なる部分の全周等に形成することによっても、本発明の効果を享受することができる。
<金属プラグ入り積層ゴム型免震支承>
図3は、本発明の免震装置の好ましい他の実施形態である金属プラグ入り積層ゴム型免震支承5の斜視図である。又、図4は、同じく金属プラグ入り積層ゴム型免震支承5の内部構造の説明に供する模式図である。
金属プラグ入り積層ゴム型免震支承5は、建造物の下部にある構造体とそれよりも上部にある構造体との間に設置され、振動エネルギーを吸収する。図3及び図4に示す通り、金属プラグ入り積層ゴム型免震支承5は、複数の弾性材料層と剛性材料層とが交互に積層されてなる弾性体511と、柱状の金属プラグ51と、を備え、金属プラグ51は、弾性体511の内部に鉛直方向に形成された筒状の中空部内に、中空部の内面に隙間なく拘束される態様で配置されている。又、金属プラグ入り積層ゴム型免震支承5は、金属プラグ51の下面及び上面にそれぞれ当接して弾性体511の下面及び上面のそれぞれにボルト等により取り付けられた上部フランジ512及び下部フランジ513を備える。例えば、下部フランジ513の側が基礎等の一方の建造物に固定されて、上部フランジ512の側に建築物等の他方の建造物が載置されて、上部フランジ512を介して建築物等から鉛直荷重を受けるように設置されて用いられる。
このような全体構成を備える金属プラグ入り積層ゴム型免震支承5においては、弾性体511の中空部に配された金属プラグ51が、弾性体511に隙間なく拘束されている態様とすることが必要である。又、金属プラグ入り積層ゴム型免震支承5においては、この金属プラグ51が、振動エネルギー吸収部として作用する。そして、金属プラグ入り積層ゴム型免震支承5においては、この金属プラグ51の表面の一部又は全部に、上記のポリウレア樹脂からなる被膜部20が形成されている。尚、図4においては、金属プラグ51の側面の全体に被膜部20が形成されている例が図示されている。このように金属プラグ51の表面に被膜部20を形成することにより、上述のダンパー本体における場合と同様に、地震による変形が繰り返された場合においても、金属プラグ51に亀裂や破断が発生することを抑制できる。
金属プラグ入り積層ゴム型免震支承5においては、金属プラグ51は、通常、錫又は錫を含む合金で形成されている。又、金属プラグ51の形状は、図3及び図4に示す通り、円柱形状であることが好ましいが、他の形状のもの、例えば楕円若しくは方形体のものであってもよい。又、金属プラグ51は、弾性体511に対して一つでもよいが、これに代えて、一つの弾性体511に複数の中空部を形成し、この複数の中空部にそれぞれ金属プラグ51を配置して金属プラグ入り積層ゴム型免震支承5を構成してもよい。又、金属プラグ51の高さは、300mm以上600mm以下程度であることが一般的であるが、要求される免震性能や建造物の設置スペースに応じて、任意の高さとすることができる。又、金属プラグ51は、断面の直径も、弾性体511のサイズとの兼ね合いも含め、要求される免震性能や建造物の設置スペースに応じて、任意の寸法とすることができる。
弾性体511は、弾性材料からなる複数の弾性材料層と、剛性材料からなる剛性材料層とが交互に積層されてなる円柱又は角柱形状の弾性体である。弾性材料層の素材としては、天然ゴム、シリコンゴム、高減衰ゴム、ウレタンゴム又はクロロプレンゴム等を挙げることができるが、好ましくは天然ゴムである。弾性材料層の各層の厚みとしては、無負荷状態において1mm以上30mm以下程度のものが好ましいが、これに限定されない。
剛性材料層の素材としては、鋼板、炭素繊維、ガラス繊維若しくはアラミド繊維等の繊維補強合成樹脂板又は繊維補強硬質ゴム板等を挙げることができ、その厚みは、各厚肉剛性板には10mm以上50mm以下程度、それ以外の各層には1mm以上6mm以下程度のものが好ましいが、これに限定されず、更にその枚数においても特に限定されない。又、上部フランジ512及び下部フランジ513についても、上記の鋼版等、剛性材料からなる板状の部材を適宜選択して用いることができる。
<免震装置又は制振装置の修理方法。>
本発明の免震装置又は制振装置の修理方法は、弾塑性材料からなるエネルギー吸収部を備える免震装置又は制震装置全般の修理に対して好ましく適用することができる。このような免震装置において、建造物への設置後に、例えばダンパー本体10等のエネルギー吸収部に、上述のような亀裂が発生してしまった場合に、本方法を用いることにより、この亀裂を修復して、更に長期に亘って当該免震装置の使用を継続することができる。
この修理は、具体的には、上述の亀裂を取り囲む部分に、上述のポリウレア樹脂をベース樹脂とするコーティング材を塗布して、当該亀裂を被覆する被膜部を形成することにより行う。これにより、振動エネルギー吸収部に予め被膜部20が形成されているか否かにかかわらず、振動エネルギー吸収部に、塑性変形の繰り返し等による微細な亀裂が発生した場合に、これを修復して、更に長期に亘って当該装置の使用を継続することができる。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。試験例として、ポリウレア樹脂を塗布した鉛ダンパー(図1及び図2に示す形状の物)の縮小試験体の水平方向加力実験を実施した。鉛ダンパー縮小試験体の縮尺率は、直径180mmの実大鉛ダンパーの1/4、直径45mmのものを使用した。この試験では、ポリウレア樹脂基剤として、米国ライノライニング社のエクストリームを使用した。表1に、使用したポリウレア樹脂基剤の成分と配合比を示す。又、表2に、上記ポリウレア樹脂基剤から生成されるポリウレア樹脂塗膜の性状を示す。
Figure 2019108914
Figure 2019108914
「鉛ダンパーの縮小試験体」としては、表3に示す各試験体を用いた。鉛ダンパーは純度99.99%以上の鉛(Pb)で形成した。鉛ダンパーの表面状態は、鉛表面に亀裂無し(実施例1及び比較例1)のものと、疲労による亀裂を模して、金ノコを用いて上側可撓部に7mmの切込みを入れたもの(実施例2及び比較例2)の2水準とした。ポリウレア樹脂からなる塗布膜は、厚さは2.5mmで試験体の全表面に形成したもの(実施例1及び実施例2)と、塗膜無し(比較例1及び比較例2)のものの2水準とした。尚、本試験体の切り込み深さ7mmは、試験体の縮尺率が1/4であるので、実大では深さ28mmの亀裂に相当する。
Figure 2019108914
<基本特性試験>
基本特性試験として、振幅±37.5mm、加振周波数0.33Hz、繰返し回数4サイクルとし、3サイクル目の降伏荷重を確認した。表4に実験結果を示す。表中の()中の値は比較例1の試験体との比率を示す。実施例1の試験結果より、ポリウレア樹脂の塗布により、降伏荷重が約2割向上することが分かる。又、切り込みを7mm入れた比較例2の試験体の降伏荷重は切り込みのない比較例1の試験体に対し0.85倍であるが、実施例2の試験体では同比が1.0倍となっており、ポリウレア樹脂の塗布により、降伏荷重が切り込みの無い比較例1の試験体と同等まで向上していることが分かる。
Figure 2019108914
<繰返し加力試験>
更に、繰返し加力試験を行った。試験条件は、振幅±75mm、加振周波数0.33Hzとし、破断時の繰返し回数、総エネルギー吸収量を確認した。試験体としては、上記の<基本特性試験>において用いた実施例1、2及び比較例1の試験体を用いた。試験結果として、繰返し回数と1サイクル吸収エネルギーの関係を図5に、累積吸収エネルギーと1サイクル吸収エネルギーの関係を図6に示す。実施例1の試験体1と比較例1の試験体とを比較すると、ポリウレア樹脂の塗布により、繰返し回数、累積吸収エネルギー共に約2倍に増加している実施例2の試験体の繰返し回数、累積吸収エネルギーは、比較例1の2倍を超えている。又、実施例1及び2の試験体は、いずれも、繰返しに伴う1サイクル吸収エネルギーの低下が、比較例1の試験体よりも緩やかである。
以上の試験結果より、本発明によれば、弾塑性材料からなる振動エネルギー吸収部を備える免震装置等において、当該振動エネルギー吸収部の亀裂の発生を未然に抑制するのみならず、塑性変形の繰り返し等によって当該振動エネルギー吸収部に微細な亀裂が発生した場合であっても、これを有効に修復して、更に長期に亘る当該装置の使用の継続を可能とし、これにより、長期耐久性に秀でた免震装置等を提供することができることが確認された。
1 免震ダンパー
2 上部フランジ
3 下部フランジ
10 ダンパー本体(振動エネルギー吸収部)
11 下部フランジ近傍部
12 下部傾斜部
13 屈折部
14 上部傾斜部
15 上部フランジ近傍部
20 被膜部
5 金属プラグ入り積層ゴム型免震支承
51 金属プラグ(振動エネルギー吸収部)
511 弾性体
512 上部フランジ
513 下部フランジ

Claims (6)

  1. 鉛、錫、鋼、又は、少なくともこれらのうちのいずれかの金属を含有してなる合金である弾塑性材料によって、振動エネルギー吸収部が形成されている免震装置又は制振装置であって、
    前記振動エネルギー吸収部の表面の一部又は全部にポリウレア樹脂をベース樹脂とする被膜部が形成されている免震装置又は制振装置。
  2. 構造物の上部構造体と下部構造体の間に設置され、振動エネルギーを吸収する免震装置であって、
    前記上部構造体に接続される上部フランジと、前記下部構造体に接続される下部フランジと、前記上部フランジと前記下部フランジとの間に配置されてこれらを連結するダンパーを備え、
    前記振動エネルギー吸収部は、前記ダンパーにより形成されている、請求項1に記載の免震装置。
  3. 前記ダンパーが、前記上部フランジから垂直方向の下方に延びる上部フランジ近傍部と、前記下部フランジから垂直方向の上方に延びる下部フランジ近傍部と、前記上部フランジと前記下部フランジとの略中間位置において、前記上部フランジ近傍部と前記下部フランジ近傍部との中心を通る中心軸より水平方向に突出して屈折する屈折部と、前記中心軸に対し傾斜して、前記上部フランジ近傍部から前記屈折部に連なる上部傾斜部と、前記中心軸に対し傾斜して、前記下部フランジ近傍部から前記屈折部に連なる下部傾斜部と、から形成されている、請求項2に記載の免震装置。
  4. 前記被膜部が、前記上部フランジ近傍部、前記下部フランジ近傍部、前記屈折部、前記上部傾斜部の前記屈折部近傍及び前記下部傾斜部の前記屈折部近傍のみに形成されている、請求項3に記載の免震装置。
  5. 前記振動エネルギー吸収部が、円柱形状の金属プラグにより形成されていて、該金属プラグが、弾性材料層と剛性材料層とが交互に積層されてなる中空円筒状の弾性体内に配置されている、請求項1に記載の免震装置。
  6. 鉛、錫、鋼、又は、これらを含有してなる合金である弾塑性材料からなる振動エネルギー吸収部が形成されている免震装置又は制振装置の修理方法であって、
    前記振動エネルギー吸収部に発生した亀裂を取り囲む部分に、ポリウレア樹脂をベース樹脂とするコーティング材を塗布して、該亀裂を被覆する被膜部を形成する、免震装置又は制振装置の修理方法。
JP2017241188A 2017-12-15 2017-12-15 免震装置、及び、その修理方法 Pending JP2019108914A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017241188A JP2019108914A (ja) 2017-12-15 2017-12-15 免震装置、及び、その修理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017241188A JP2019108914A (ja) 2017-12-15 2017-12-15 免震装置、及び、その修理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019108914A true JP2019108914A (ja) 2019-07-04

Family

ID=67179368

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017241188A Pending JP2019108914A (ja) 2017-12-15 2017-12-15 免震装置、及び、その修理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019108914A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006207653A (ja) * 2005-01-26 2006-08-10 Bridgestone Corp 免震装置
JP2014001844A (ja) * 2012-02-21 2014-01-09 Sumitomo Kinzoku Kozan Siporex Kk 免震装置
JP2015051732A (ja) * 2013-09-09 2015-03-19 好己 田口 水上浮遊型シェルター
JP2015132303A (ja) * 2014-01-10 2015-07-23 住友金属鉱山シポレックス株式会社 鉛プラグ入り積層ゴム型免震支承
JP2017070375A (ja) * 2015-10-05 2017-04-13 スターライト工業株式会社 可搬形スロープ

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006207653A (ja) * 2005-01-26 2006-08-10 Bridgestone Corp 免震装置
JP2014001844A (ja) * 2012-02-21 2014-01-09 Sumitomo Kinzoku Kozan Siporex Kk 免震装置
JP2015051732A (ja) * 2013-09-09 2015-03-19 好己 田口 水上浮遊型シェルター
JP2015132303A (ja) * 2014-01-10 2015-07-23 住友金属鉱山シポレックス株式会社 鉛プラグ入り積層ゴム型免震支承
JP2017070375A (ja) * 2015-10-05 2017-04-13 スターライト工業株式会社 可搬形スロープ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Mazza et al. Effects of near‐fault ground motions on the nonlinear dynamic response of base‐isolated rc framed buildings
Teruna et al. Experimental study of hysteretic steel damper for energy dissipation capacity
Di Sarno et al. Innovative strategies for seismic retrofitting of steel and composite structures
Chan et al. Evaluation of yielding shear panel device for passive energy dissipation
Tavakoli et al. Effect of base isolation systems on increasing the resistance of structures subjected to progressive collapse
Lu et al. Investigation of the seismic response of high‐rise buildings supported on tension‐resistant elastomeric isolation bearings
Sadek et al. Passive energy dissipation devices for seismic applications
Lee Seismic capacity requirements for low-rise reinforced concrete buildings controlled by both shear and flexure
Ikeda et al. Recent research and development of structural control in Japan
JP2006275212A (ja) エネルギー吸収装置
JP2019108914A (ja) 免震装置、及び、その修理方法
JP2007138678A (ja) 減震装置
CA2727039C (en) Stable unbonded fiber-reinforced elastomeric seismic isolators for base isolation system
JP2015048866A (ja) 免震装置の補強用塗料の耐用年数算出方法及び免震装置の保守方法
Hou et al. Fatigue damage analysis of steel components subjected to earthquake loadings
JP5967615B2 (ja) 免震装置
Tarasov Double seismic insulation system of turbine unit foundation
CN105507443B (zh) 一种土木工程减震装置和减震方法
JP2014111969A (ja) 積層ゴム支承
JP6051325B1 (ja) 同心円積層型減衰材を備えた免震装置
Halabian et al. Effect of foundation flexibility on ductility reduction factors for R/C stack-like structures
JP2014037858A (ja) ダンパー及びダンパー部材
Han et al. Base-isolated steel structure with spring limiters under near-fault earthquakes: Experiment
JP4695650B2 (ja) 免震・制震装置
US20240240486A1 (en) Systems, Methods and Apparatus for Rolling Pendulum Base Isolation

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201020

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210609

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210622

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210715

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20211012