JP2019104689A - (ポリ)スルフィド化合物の製造方法およびエピスルフィド化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
スルフィド系樹脂からなる成形体においては、高屈折率化を目的として、樹脂中の硫黄含有率を向上させる方法が提案されている。当該目的のため、ジスルフィド結合(−S−S−)を備えるエピスルフィド化合物が使用されている(特許文献1〜3)。特許文献1には、モノマーとして、分子内に1つ以上のジスルフィド結合と分子内に2つ以上の2,3−エピチオプロピル基を有するエピスルフィド化合物を用いることにより、屈折率が1.71を超えるスルフィド系樹脂が得られることが記載されている。
特許文献1の合成例1には、クロロメルカプトプロパノールを、炭酸水素ナトリウムとヨウ素の存在下で反応させ、次いで苛性ソーダ存在下で反応することによりビス(2,3−エポキシプロピル)ジスルフィドを得たことが記載されている。
特許文献6の実施例5や特許文献7の実施例5、6には、クロロメルカプトプロパノールを炭酸水素ナトリウムとヨウ素の存在下で反応させジスルフィド体を得たと記載されている。
特許文献8には、塩基性触媒の存在下、ポリチオール化合物と硫黄とを反応させてジスルフィド結合を介したポリチオールオリゴマーの製造方法が提案されている。実施例1には、具体的に2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアンを、硫黄と塩基性触媒であるトリエチルアミンとの存在下で反応させ、当該化合物のオリゴマー(ジスルフィド体等)を得たと記載されている。
特許文献9には、塩基性化合物および硫黄の存在下、チオール化合物同士を反応させて、(ポリ)スルフィド化合物の製造方法が記載されている。
しかしながら、硫黄および塩基化合物を用いたチオール化合物の酸化反応は平衡反応であり目的化合物である(ポリ)スルフィド化合物が生成する過程で硫化水素が副生する。そのため反応を短時間で完了するためには、硫化水素を留去する必要があり、製造工程が煩雑となる点に改善の余地があり、さらに安全性の観点から反応混合槽は耐圧設備を必要とし、製造コストが高くなる点に改善の余地があった。一方、大気圧下で上記反応を行った場合、反応を完了するのに長時間を要し、生産性が悪くなる傾向があった。さらに硫化水素を除害する方法は、大規模な除害設備が必要となる等、工程が煩雑であるばかりか、製造コストが過大となる問題があった。
[1] 下記一般式(1)
で表されるチオール化合物同士を、下記一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類と、下記一般式(4)で表される塩基化合物、下記一般式(5)で表される塩基化合物およびピリジン類から選択される一種または2種以上と、硫黄との存在下で反応させて、下記一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物を得るとともに、前記反応において副生する硫化水素を前記エピハロヒドリン類と反応させて前記チオール化合物を生成する、(ポリ)スルフィド化合物の製造方法;
M(SH)n (4)
(一般式(4)中、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表す。nは、Mで表されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の価数を表す。)、
[2] 前記チオール化合物同士を、大気圧下で反応させる、[1]に記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
[3] X1およびX2における前記ハロゲン原子が塩素原子である、[1]または[2]に記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
[4] 前記一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類が、下記一般式(3a)で表される化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
[5] 前記一般式(1)で表されるチオール化合物は、下記式(1a)
[6] 前記一般式(5)で表される化合物が、第3級アミンである、[1]〜[5]のいずれかに記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法により(ポリ)スルフィド化合物を製造する工程と、
前記(ポリ)スルフィド化合物を、塩基条件下でエポキシ化し、下記一般式(7)
で表されるエポキシ化合物を得る工程と、
前記エポキシ化合物を硫化剤と反応させて下記一般式(8)
で表されるエピスルフィド化合物を得る工程と、
を含む、エピスルフィド化合物の製造方法。
[8] 前記エピスルフィド化合物が、下記一般式(9)
で表される化合物を含む、[7]に記載のエピスルフィド化合物の製造方法。
[9] 前記エピスルフィド化合物が、下記式(10)
なお、本発明において「一般式(1)で表されるチオール化合物同士を反応させる」とは、一般式(1)で表される同一のチオール化合物同士を反応させる態様、一般式(1)で表される異なるチオール化合物同士を反応させる態様のいずれも含むものである。
分子内にハロゲン原子と水酸基を有する特定のチオール化合物同士を、一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類と、一般式(4)または一般式(5)で表される塩基化合物およびピリジン類から選択される一種または二種以上と、硫黄との存在下で反応させて(ポリ)スルフィド化合物を得るとともに、前記反応において副生する硫化水素を前記エピハロヒドリン類と反応させて前記チオール化合物を生成する工程を含む。
さらに、本発明のエピスルフィド化合物の製造方法は、
前記の方法で得られた(ポリ)スルフィド化合物を塩基条件下でエポキシ化する工程と、
前記工程で得られたエポキシ化合物を硫化剤と反応させて、エピスルフィド化合物を得る工程と、を含む。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法は、
下記一般式(1)で表されるチオール化合物同士を、一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類と、一般式(4)で表される塩基化合物、一般式(5)で表される塩基化合物およびピリジン類から選択される一種または二種以上と、硫黄との存在下で反応させて、一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物を得るとともに、前記反応において副生する硫化水素を前記エピハロヒドリン類と反応させて前記チオール化合物を生成する工程を含む。
C1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどの炭素数6以上18以下のアリール基等が挙げられる。
R1〜R7は同一または異なっていてもよく、水素原子またはC1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基が好ましく、いずれも水素原子であることが好ましい。
本実施形態において、チオール化合物としては、本発明の効果の観点から下記式(1a)で表される化合物を好ましく用いることができる。
mは0以上2以下の整数を示し、好ましくは0または1、さらに好ましくは0である。
一般式(4)中、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属であり、より好ましくはナトリウムである。nは、Mで表されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の価数を表す。
一般式(5)で表される化合物としては、第3級アミンであることが好ましい。
本実施形態においては、(ポリ)スルフィド化合物を高収率で得る観点からトリエチルアミンを用いることが好ましい。
塩基は水溶液、アルコール溶液、トルエン溶液等として用いることができ、溶液として用いる場合、塩基の濃度は適宜選択することができる。
本発明の効果の観点からチオール化合物として式(1a)の化合物、式(3a)の化合物としてエピクロロヒドリンを用いることが好ましい。
塩基化合物の使用量は、一般式(1)で表されるチオール化合物に対して、1.0mol%以上7.0mol%以下が好ましく、3.0mol%以上5.0mol%以下がさらに好ましい。
反応時間は、特に限定されないが3時間以上20時間以下である。
(a)塩基化合物、硫黄および上記一般式(1)で表されるチオール化合物を一括装入後、反応液中にエピハロヒドリン類を滴下
(b)塩基化合物および硫黄に対して、上記一般式(1)で表されるチオール化合物を添加後、反応液中にエピハロヒドリン類を滴下
(c)塩基化合物および硫黄に対して、上記一般式(1)で表されるチオール化合物およびエピハロヒドリン類を同時装入、またはチオール化合物およびエピハロヒドリン類の混合物を滴下
(d)上記一般式(1)で表されるチオール化合物および硫黄に対して、塩基化合物を添加後、反応液中にエピハロヒドリン類を滴下
(e)エピハロヒドリン類、上記一般式(1)で表されるチオール化合物および硫黄に対して、塩基化合物を添加
(f)上記一般式(1)で表されるチオール化合物および塩基化合物に対し、硫黄およびエピハロヒドリン類を同時装入、または硫黄を添加した後にエピハロヒドリン類を滴下
(g)上記一般式(1)で表されるチオール化合物およびエピハロヒドリン類に対し、硫黄および塩基化合物を同時装入、または硫黄を添加した後に塩基化合物を添加
本実施形態において、一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物としては、1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンが好ましい。
本実施形態のエピスルフィド化合物の製造方法は、以下の工程を含む。
工程(i):一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物を塩基条件下でエポキシ化し、下記一般式(7)で表されるエポキシ化合物を得る。
本実施形態のエピスルフィド化合物の製造方法は、上述の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法を一工程として含むことから、ひいてはエピスルフィド化合物の生産性に優れ、製造コストを抑制することができる。さらに、当該エピスルフィド化合物を用いて製造されるレンズについても、生産性に優れ、製造コストを抑制することができる。
これらの工程について、以下詳細に説明する。
一般式(1)で表されるチオール化合物同士を、一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類と、一般式(4)または一般式(5)で表される塩基化合物およびピリジン類から選択される一種または二種以上と、硫黄との存在下で反応させて得られた一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物に、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルアニリン、ピリジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメチラート、t−ブトキシカリウム、燐酸一水素二ナトリウム、酢酸ナトリウム等の有機・無機塩基類を加えて、一般式(7)で表されるエポキシ化合物を含む組成物を得る。
これらの塩基の使用量は、(ポリ)スルフィド化合物に対して、1当量以上10当量以下が好ましく、2当量以上5当量以下であれば更に好ましい。
また、反応温度は−10℃以上60℃以下が好ましく、10℃以上30℃以下であれば更に好ましい。
工程(i)で得られた一般式(7)で表されるエポキシ化合物を硫化剤と反応させ、一般式(8)で表されるエピスルフィド化合物を得る。
硫化剤としては、チオ尿素、又はチオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸鉛等のチオシアン酸塩等が挙げられる。チオシアン酸塩を使用する場合は、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウムが好ましく、チオシアン酸ナトリウムが更に好ましい。
反応温度はチオ尿素、又はチオシアン酸塩の種類によって大きく異なる為特に限定はできないが、チオ尿素を使用する場合は凡そ10℃以上30℃以下が好ましく、チオシアン酸塩を使用する場合は凡そ30℃以上60℃以下が好ましい。
さらに、光学材料用重合性組成物から従来公知の方法により光学材料を製造することができる。光学材料として、具体的には、プラスチックレンズ、カメラレンズ、発光ダイオード(LED)、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター、発光ダイオード、自動車用光学レンズ、ロボット用光学レンズ等を挙げることができる。特に、プラスチックレンズ、カメラレンズ、発光ダイオード等の光学材料、光学素子として好適である。
・HPLC機種:島津製作所社製SPD−10A
・測定波長:210nm
・カラム:YMC A−312 S−5 ODS 6mmID×150mm
・温度条件:40℃
・移動相:アセトニトリル/水=2/3(vol/vol)
・注入量:2μL
・試料調製:反応液500mgをアセトニトリル10mLで溶解
・HPLC機種:島津製作所社製SPD−10A
・測定波長:258nm
・カラム:YMC A−312 S−5 ODS 6mmID×150mm
・温度条件:40℃
・移動相:アセトニトリル/水=2/3(vol/vol)
・注入量:2μL
・試料調製:反応液100mgをアセトニトリル10mLで溶解
[1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンの合成]
セパラブルフラスコ容器に、トルエン20.0重量部、硫黄粉末を2.57重量部、92.7wt%の1-クロロ-3-メルカプト-2-プロパノール15.7重量部(化合物:14.56重量部)を装入し、気相部に窒素ガスを流通させながら大気圧下で撹拌し、内温を10℃にした。次に10wt%のトリエチルアミントルエン溶液5.3重量部(トリエチルアミン:0.53重量部)を4時間かけて装入した。トリエチルアミン滴下開始と同時に99.9wt%エピクロロヒドリン7.1重量部(エピクロロヒドリン:7.1重量部)を30分かけて装入した。内温10℃から20℃で4時間撹拌し熟成を行った。反応の過程で副生した硫化水素は30%NaOH水溶液へ流通させ、その重量増を測定した結果、0.16gの増加であり、よって硫化水素は添加した硫黄に対して6mol%発生した。得られた反応液を分析方法1にて分析した結果、目的物である1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンを79.1area%含有していた。
以下に、1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンの同定データを示す。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、内部標準物質:TMS)δ:2.64(2H)、2.96(4H)、3.71(4H)、4.15(2H)
13C−NMR(溶媒:CDCl3)δ:42.4、48.1、69.8
続いて、反応液にトルエンを20.0重量部装入し、内温を10℃に保った。次いで滴下ロートに25%NaOH水溶液23.9重量部を装入し、10℃で2時間かけて滴下装入した。滴下終了後3時間、内温10℃を維持した状態で撹拌した。得られた反応液を一旦分液ロートに移液して水層を排出した。残ったトルエン層に13%NaCl水溶液10重量部を装入し、酢酸を加えて反応液pH=5.5〜6.0へ撹拌しながらpHを調整した。pH調整後、20℃で15分間洗浄を行い、水層を排出した。再度トルエン層に13%NaCl水溶液10重量部を装入し20℃で15分間洗浄し、水層を排出した。残ったトルエン層をナスフラスコへ移液させ、35℃で3時間脱トルエンを行い、濃縮物を分析方法2にて分析した結果、ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィド78.0wt%(0.0735mol)を含む生成物16.8重量部を得た。
[1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンの合成]
セパラブルフラスコ容器に、トルエン25.0重量部、硫黄粉末を2.70重量部、92.7wt%の1-クロロ-3-メルカプト-2-プロパノール15.7重量部(化合物:14.56重量部)を装入し、気相部に窒素ガスを流通させながら大気圧下で撹拌し、内温を10℃にした。次に10wt%のトリエチルアミントルエン溶液5.3重量部(トリエチルアミン:0.53重量部)を6時間かけて装入した。トリエチルアミン滴下開始と同時に99.9wt%エピクロロヒドリン5.2重量部(エピクロロヒドリン:5.2重量部)を20分かけて装入した。内温10℃から20℃で2時間撹拌し熟成を行った。反応の過程で副生した硫化水素は30%NaOH水溶液へ流通させ、その重量増を測定した結果、0.91gの増加であり、よって硫化水素は添加した硫黄に対して32mol%発生した。得られた反応液を分析方法1にて分析した結果、目的物である1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンを88.6area%含有していた。
続いて、反応液にトルエンを20.0重量部装入し、内温を10℃に保った。次いで滴下ロートに25%NaOH水溶液23.9重量部を装入し、10℃で2時間かけて滴下装入した。滴下終了後3時間、内温10℃を維持した状態で撹拌した。得られた反応液を一旦分液ロートに移液して水層を排出した。残ったトルエン層に13%NaCl水溶液10重量部を装入し、酢酸を加えて反応液pH=5.5〜6.0へ撹拌しながらpHを調整した。pH調整後、20℃で15分間洗浄を行い、水層を排出した。再度トルエン層に13%NaCl水溶液10重量部を装入し20℃で15分間洗浄し、水層を排出した。残ったトルエン層をナスフラスコへ移液させ、35℃で3時間脱トルエンを行い、濃縮物を分析方法2にて分析した結果、ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィド91.6wt%(0.0755mol)を含む生成物14.7重量部を得た。
[1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンの合成]
セパラブルフラスコ容器に、トルエン25.0重量部、硫黄粉末を3.15重量部、92.7wt%の1-クロロ-3-メルカプト-2-プロパノール15.7重量部(化合物:14.56重量部)を装入し、気相部に窒素ガスを流通させながら大気圧下で撹拌し、内温を10℃にした。次に10wt%のトリエチルアミントルエン溶液5.3重量部(トリエチルアミン:0.53重量部)を6時間かけて装入した。トリエチルアミン滴下開始と同時に99.9wt%エピクロロヒドリン7.9重量部(エピクロロヒドリン:7.9重量部)を20分かけて装入した。内温10℃から20℃で2時間撹拌し熟成を行った。反応の過程で副生した硫化水素は30%NaOH水溶液へ流通させ、その重量増を測定した結果、0.40gの増加であり、よって硫化水素は添加した硫黄に対して12mol%発生した。得られた反応液を分析方法1にて分析測定した結果、目的物である1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンを93.2area%含有していた。
続いて、反応液にトルエンを20.0重量部装入し、内温を10℃に保った。次いで滴下ロートに25%NaOH水溶液23.9重量部を装入し、10℃で2時間かけて滴下装入した。滴下終了後3時間、内温10℃を維持した状態で撹拌した。得られた反応液を一旦分液ロートに移液して水層を排出した。残ったトルエン層に13%NaCl水溶液10重量部を装入し、酢酸を加えて反応液pH=5.5〜6.0へ撹拌しながらpHを調整した。pH調整後、20℃で15分間洗浄を行い、水層を排出した。再度トルエン層に13%NaCl水溶液10重量部を装入し20℃で15分間洗浄し、水層を排出した。残ったトルエン層をナスフラスコへ移液させ、35℃で3時間脱トルエンを行い、濃縮物を分析方法2にて分析した結果、ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィド94.0wt%(0.0907mol)を含む生成物17.2重量部を得た。
ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィドを含む生成物198.9重量部を、滴下ロートに装入した。別途、5つ口フラスコを準備し、酢酸38.5重量部と、チオ尿素169.4重量部と、メタノール280重量部と、純水87.5重量部を装入しておき、内温15℃で撹拌させた状態で、ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィドを3時間で装入した。この滴下の間、滴下開始から30分後に88%蟻酸27.5重量部を装入、滴下開始から90分後に88%蟻酸27.5重量部を装入、滴下から150分後に88%蟻酸27.5重量部を装入した。ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィドを含む生成物の滴下終了後、内温を15℃に保ったまま更に3時間撹拌を継続した。撹拌終了後、内温10℃に調整し、メチルイソブチルケトンを400重量部装入した。その後、滴下ロートに10%アンモニア水を358.5重量部装入し、10℃のまま撹拌しながら2時間で滴下した。滴下終了後、内温10℃で2時間撹拌した。撹拌終了後、5つ口の底抜きフラスコへ反応液を全量移液し、有機層と水層とに分液した後、水層を排出した。次いで、純水13%NaCl水溶液555.8重量部と、10%アンモニア水8.3重量部を装入し20〜25℃で有機層を15分洗浄した。洗浄終了後、有機層と水層とに分液し、水層を排出した後、13%NaCl水溶液555.8重量部と酢酸6.3重量部と、メタノール180.3重量部を装入し、20〜25℃で有機層を15分洗浄して、有機層と水層とに分液した後、水層を排出した。得られた有機層をナスフラスコに移液し、35℃で2時間、脱溶媒させ、更に35℃で5時間、減圧下で低沸点物の除去を行い、メチルイソブチルケトンを留出させた。この時点で、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィドを76.8wt%含む生成物213.2重量部を得た。
次いで、5つ口フラスコにメチルシクロヘキサン1700重量部を装入し内温を25℃に調整後、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィドを含む生成物213.2重量部を全量装入し1時間撹拌した。撹拌終了後、沈殿した不溶解物を全量排出してメチルシクロヘキサン溶液1845.3重量部を得た。
別途、カラム管に、シリカゲル38.4重量部をメチルシクロヘキサンで湿潤させたものを全量装入させたカラム管を準備した。シリカゲルを充填したカラム管にメチルシクロヘキン溶液全量を通液させて精製を行った。精製したメチルシクロヘキサン溶液をナスフラスコに移液し、35℃で2時間かけてメチルシクロヘキサンを留去した後、更に35℃で3時間、減圧下で低沸点物の除去を行い、97.7wt%ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド118.3重量部を得た。
[1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンの合成]
セパラブルフラスコ容器に、トルエン83.0重量部、硫黄粉末を4.8重量部、92.0wt%の1-クロロ-3-メルカプト-2-プロパノール41.3重量部(化合物:37.98重量部)を装入し、反応器内圧を650Torrまで減圧させた状態で撹拌し、内温を10℃にした。次に10wt%のトリエチルアミントルエン溶液12重量部(トリエチルアミン:1.2重量部)を6時間かけて装入した。内温10℃から20℃で2時間撹拌し熟成を行った。反応の過程で副生した硫化水素は30%NaOH水溶液へ流通させ、その重量増を測定した結果、4.59gの増加であり、よって硫化水素は添加した硫黄に対して90mol%発生した。得られた反応液を分析方法1にて分析した結果、目的物である1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンを76.6area%含有していた。
続いて、反応液にトルエンを41.1重量部装入し、内温を10℃に保った。次いで滴下ロートに25%NaOH水溶液62.4重量部を装入し、10℃で2時間かけて滴下装入した。滴下終了後3時間、内温10℃を維持した状態で撹拌した。得られた反応液を一旦分液ロートに移液して水層を排出した。残ったトルエン層に13%NaCl水溶液26重量部を装入し、酢酸を加えて反応液pH=5.5〜6.0へ撹拌しながらpHを調整した。pH調整後、20℃で15分間洗浄を行い、水層を排出した。再度トルエン層に13%NaCl水溶液26重量部を装入し20℃で15分間洗浄し、水層を排出した。残ったトルエン層をナスフラスコへ移液させ、35℃で3時間、脱トルエンを行い、ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィド75.4wt%(0.112mol)を含む生成物26.5重量部を得た。
Claims (9)
- 下記一般式(1)
で表されるチオール化合物同士を、下記一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類と、下記一般式(4)で表される塩基化合物、下記一般式(5)で表される塩基化合物およびピリジン類から選択される一種または2種以上と、硫黄との存在下で反応させて、下記一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物を得るとともに、前記反応において副生する硫化水素を前記エピハロヒドリン類と反応させて前記チオール化合物を生成する、(ポリ)スルフィド化合物の製造方法;
M(SH)n (4)
(一般式(4)中、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表す。nは、Mで表されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の価数を表す。)、
- 前記チオール化合物同士を、大気圧下で反応させる、請求項1に記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
- X1およびX2における前記ハロゲン原子が塩素原子である、請求項1または2に記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
- 前記一般式(5)で表される化合物が、第3級アミンである、請求項1〜5のいずれかに記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
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