JP2019104689A - (ポリ)スルフィド化合物の製造方法およびエピスルフィド化合物の製造方法 - Google Patents

(ポリ)スルフィド化合物の製造方法およびエピスルフィド化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生産効率に優れ、かつ製造コストが低減された(ポリ)スルフィド化合物の製造方法の提供。【解決手段】式(1)で表されるチオール化合物同士をエピハロヒドリン類と、M(SH)n、アミン及びピリジン類から選択される一種または2種以上と、硫黄との存在下で反応させて、(ポリ)スルフィド化合物を得るとともに、副生する硫化水素をエピハロヒドリン類と反応させて前記チオール化合物を生成する(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ビスハロヒドリン基を有する(ポリ)スルフィド化合物の製造方法、および(ポリ)スルフィド結合を有するエピスルフィド化合物の製造方法に関する。
プラスチックレンズは、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、染色が可能なため近年、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。
プラスチックレンズ用樹脂には、さらなる高性能化が要求されてきており、高屈折率化、高アッベ数化、低比重化、高耐熱性化等が求められてきた。これまでにも様々なレンズ用樹脂素材が開発され使用されている。
その中でも、スルフィド系樹脂からなる光学材料は、高屈折率、高アッベ数であり、屈折率1.6を超える超高屈折率材料として検討が行われている。スルフィド系樹脂は、エピスルフィド化合物を含む重合性組成物を重合させて得られる。
スルフィド系樹脂からなる成形体においては、高屈折率化を目的として、樹脂中の硫黄含有率を向上させる方法が提案されている。当該目的のため、ジスルフィド結合(−S−S−)を備えるエピスルフィド化合物が使用されている(特許文献1〜3)。特許文献1には、モノマーとして、分子内に1つ以上のジスルフィド結合と分子内に2つ以上の2,3−エピチオプロピル基を有するエピスルフィド化合物を用いることにより、屈折率が1.71を超えるスルフィド系樹脂が得られることが記載されている。
特許文献1および4〜8には、エピスルフィド化合物の製造方法が開示されており、特許文献1、6〜8には、チオールの酸化反応によりジスルフィド結合を有するエピスルフィド化合物を合成する方法が開示されている。
特許文献1の合成例1には、クロロメルカプトプロパノールを、炭酸水素ナトリウムとヨウ素の存在下で反応させ、次いで苛性ソーダ存在下で反応することによりビス(2,3−エポキシプロピル)ジスルフィドを得たことが記載されている。
特許文献6の実施例5や特許文献7の実施例5、6には、クロロメルカプトプロパノールを炭酸水素ナトリウムとヨウ素の存在下で反応させジスルフィド体を得たと記載されている。
特許文献8には、塩基性触媒の存在下、ポリチオール化合物と硫黄とを反応させてジスルフィド結合を介したポリチオールオリゴマーの製造方法が提案されている。実施例1には、具体的に2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアンを、硫黄と塩基性触媒であるトリエチルアミンとの存在下で反応させ、当該化合物のオリゴマー(ジスルフィド体等)を得たと記載されている。
特許文献9には、塩基性化合物および硫黄の存在下、チオール化合物同士を反応させて、(ポリ)スルフィド化合物の製造方法が記載されている。
特開2002−194083号公報 特開2000−256435号公報 国際公開第2013/115212号 特開2001−163874号公報 国際公開第2013/157490号 特開2013−142073号公報 国際公開第2015/137402号 特開2007−91652号公報 国際公開第2017/159839号
チオール化合物の酸化剤として硫黄、および塩基化合物を用いる方法は、(ポリ)スルフィド化合物を工業的に安価かつ安定的に製造することができる有効な手段である。
しかしながら、硫黄および塩基化合物を用いたチオール化合物の酸化反応は平衡反応であり目的化合物である(ポリ)スルフィド化合物が生成する過程で硫化水素が副生する。そのため反応を短時間で完了するためには、硫化水素を留去する必要があり、製造工程が煩雑となる点に改善の余地があり、さらに安全性の観点から反応混合槽は耐圧設備を必要とし、製造コストが高くなる点に改善の余地があった。一方、大気圧下で上記反応を行った場合、反応を完了するのに長時間を要し、生産性が悪くなる傾向があった。さらに硫化水素を除害する方法は、大規模な除害設備が必要となる等、工程が煩雑であるばかりか、製造コストが過大となる問題があった。
そのため、酸化剤として硫黄、および塩基化合物を用いる(ポリ)スルフィド化合物の製造法における、このような問題の発生を極力抑え、目的とする(ポリ)スルフィド化合物を、効率的に安価に製造できる製造法の開発が強く望まれていた。
すなわち、本発明の課題は、酸化剤として硫黄、および塩基化合物を用いる(ポリ)スルフィド化合物を製造するに際し、副生する硫化水素の量を削減し、大気圧下において生産性よくチオール化合物を得るための製造法を提供するものである。
本発明者らは鋭意検討の結果、本発明に到達した。すなわち本発明は硫黄および特定の塩基化合物を用いた、ハロヒドリン構造を有するチオール化合物同士の酸化反応を、エピハロヒドリン類の存在下で行うこと特徴とする(ポリ)スルフィド化合物の製造法である。
本発明は、以下に示すことができる。
[1] 下記一般式(1)
Figure 2019104689
(一般式(1)中、XおよびXは水酸基またはハロゲン原子を示し、一方は水酸基であり、他方はハロゲン原子である。R〜Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、C1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基、C6以上C18以下の置換または無置換アリール基を示す。R〜Rは、それぞれ同一または異なっていてもよい。mは0以上2以下の整数を示す。)
で表されるチオール化合物同士を、下記一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類と、下記一般式(4)で表される塩基化合物、下記一般式(5)で表される塩基化合物およびピリジン類から選択される一種または2種以上と、硫黄との存在下で反応させて、下記一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物を得るとともに、前記反応において副生する硫化水素を前記エピハロヒドリン類と反応させて前記チオール化合物を生成する、(ポリ)スルフィド化合物の製造方法;
Figure 2019104689
(一般式(3)中、Xは、ハロゲン原子を示す。R〜Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、C1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基、C6以上C18以下の置換または無置換アリール基を示す。R〜Rは、それぞれ同一または異なっていてもよい。mは0以上2以下の整数を示す。)
M(SH)n (4)
(一般式(4)中、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表す。nは、Mで表されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の価数を表す。)、
Figure 2019104689
(一般式(5)中、Q、QおよびQは、互いに同一または異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。)
Figure 2019104689
(一般式(2)中、X〜X、R〜Rおよびmは一般式(1)と同義であり、複数存在するX〜X、R〜Rおよびmは同一でも異なっていてもよい。pは0以上4以下の整数を示す。)。
[2] 前記チオール化合物同士を、大気圧下で反応させる、[1]に記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
[3] XおよびXにおける前記ハロゲン原子が塩素原子である、[1]または[2]に記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
[4] 前記一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類が、下記一般式(3a)で表される化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
Figure 2019104689
(一般式(3a)中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であるハロゲン原子である。)
[5] 前記一般式(1)で表されるチオール化合物は、下記式(1a)
Figure 2019104689
で表される化合物を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
[6] 前記一般式(5)で表される化合物が、第3級アミンである、[1]〜[5]のいずれかに記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法により(ポリ)スルフィド化合物を製造する工程と、
前記(ポリ)スルフィド化合物を、塩基条件下でエポキシ化し、下記一般式(7)
Figure 2019104689
(一般式(7)中、R〜Rおよびmは一般式(1)と同義であり、複数存在するR〜Rおよびmは同一でも異なっていてもよい。pは0以上4以下の整数を示す。)
で表されるエポキシ化合物を得る工程と、
前記エポキシ化合物を硫化剤と反応させて下記一般式(8)
Figure 2019104689
(一般式(8)中、R〜R、mおよびpは一般式(7)と同義である。)
で表されるエピスルフィド化合物を得る工程と、
を含む、エピスルフィド化合物の製造方法。
[8] 前記エピスルフィド化合物が、下記一般式(9)
Figure 2019104689
(一般式(9)中、pは0以上4以下の整数を示す。)
で表される化合物を含む、[7]に記載のエピスルフィド化合物の製造方法。
[9] 前記エピスルフィド化合物が、下記式(10)
Figure 2019104689
で表される化合物を含む、[7]または[8]に記載のエピスルフィド化合物の製造方法。
なお、本発明において「一般式(1)で表されるチオール化合物同士を反応させる」とは、一般式(1)で表される同一のチオール化合物同士を反応させる態様、一般式(1)で表される異なるチオール化合物同士を反応させる態様のいずれも含むものである。
本発明の製造方法よれば、所定の構造を有するエピハロヒドリン類の存在下で、所定のハロヒドリン構造を有するチオール化合物同士を反応させるので、反応において副生する硫化水素がエピハロヒドリン類と反応し、前記チオール化合物が生成される。そのため、(ポリ)スルフィド化合物を高収率で得ることができ、チオール化合物の使用量を低減することもできる。さらに、反応において副生する有害な硫化水素の量が大幅に低減されるため、硫化水素を留去する必要がなく、大気圧下で反応を行うことができる。これにより、簡便な製造設備および製造方法で(ポリ)スルフィド化合物を合成することができ、生産効率が向上するとともに、製造コストを削減できることから工業上有利である。さらに、引き続いて、(ポリ)スルフィド化合物のハロヒドリン構造をエポキシ基に変換した後、硫化剤によりエポキシ基をエピスルフィド基に変換することにより、エピスルフィド化合物を高収率で得ることができるとともに、当該(ポリ)スルフィド化合物の製造方法を含むことにより上記効果も得ることができる。
本発明の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法は、
分子内にハロゲン原子と水酸基を有する特定のチオール化合物同士を、一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類と、一般式(4)または一般式(5)で表される塩基化合物およびピリジン類から選択される一種または二種以上と、硫黄との存在下で反応させて(ポリ)スルフィド化合物を得るとともに、前記反応において副生する硫化水素を前記エピハロヒドリン類と反応させて前記チオール化合物を生成する工程を含む。
さらに、本発明のエピスルフィド化合物の製造方法は、
前記の方法で得られた(ポリ)スルフィド化合物を塩基条件下でエポキシ化する工程と、
前記工程で得られたエポキシ化合物を硫化剤と反応させて、エピスルフィド化合物を得る工程と、を含む。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
((ポリ)スルフィドの製造方法)
本実施形態の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法は、
下記一般式(1)で表されるチオール化合物同士を、一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類と、一般式(4)で表される塩基化合物、一般式(5)で表される塩基化合物およびピリジン類から選択される一種または二種以上と、硫黄との存在下で反応させて、一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物を得るとともに、前記反応において副生する硫化水素を前記エピハロヒドリン類と反応させて前記チオール化合物を生成する工程を含む。
Figure 2019104689
一般式(1)中、XおよびXは水酸基またはハロゲン原子を示し、一方は水酸基であり、他方はハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、本発明の効果の観点から塩素原子であることが好ましい。
〜Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、C1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基、C6以上C18以下の置換または無置換アリール基を示す。R〜Rは、それぞれ同一または異なっていてもよい。
C1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどの炭素数6以上18以下のアリール基等が挙げられる。
置換アリール基の置換基としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子1以上10以下のアルコキシル基またはアルキルチオ基、アミノ基等が挙げられる。
〜Rは同一または異なっていてもよく、水素原子またはC1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基が好ましく、いずれも水素原子であることが好ましい。
mは0以上2以下の整数を示し、好ましくは0または1、さらに好ましくは0である。
本実施形態において、チオール化合物としては、本発明の効果の観点から下記式(1a)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 2019104689
本実施形態において、エピハロヒドリン類としては一般式(3)で表されるエピハロヒドリン化合物を用いることができる。
Figure 2019104689
一般式(3)中、Xは、ハロゲン原子を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、本発明の効果の観点から塩素原子であることが好ましい。R〜Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、C1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基、C6以上C18以下の置換または無置換アリール基を示す。R〜Rは、それぞれ同一または異なっていてもよい。R〜Rの基としては、一般式(1)のR〜Rにおいて例示された基を用いることができ、水素原子またはC1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基が好ましく、いずれも水素原子であることが好ましい。
mは0以上2以下の整数を示し、好ましくは0または1、さらに好ましくは0である。
本発明の効果の観点から、エピハロヒドリン類としては一般式(3a)で表されるエピハロヒドリン化合物を用いることが好ましい。
Figure 2019104689
一般式(3a)中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であるハロゲン原子であり、好ましくは塩素原子である。一般式(3a)の化合物としては、エピクロロヒドリンが好ましい。
本実施形態において、塩基化合物としては、一般式(4)で表される化合物、などの無機塩基または下記一般式(5)で表されるアミン化合物、ピリジン類、などの有機塩基を用いることができる。
M(SH)n (4)
一般式(4)中、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属であり、より好ましくはナトリウムである。nは、Mで表されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の価数を表す。
一般式(4)で表される化合物としては、硫化水素ナトリウム、硫化水素カリウム、硫化水素マグネシウム、硫化水素カルシウム等が挙げられる。本実施形態においては、硫化水素ナトリウムを用いることが好ましい。
Figure 2019104689
一般式(5)中、Q、QおよびQは、互いに同一または異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。
一般式(5)で表される化合物としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、s− ブチルアミン、t−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリn−ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、トリヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、トリエチレンジアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等が挙げられる。
一般式(5)で表される化合物としては、第3級アミンであることが好ましい。
上記ピリジン類としては、一般式(6)で表される化合物等を用いることができる。
Figure 2019104689
一般式(6)中、Rは炭素数1〜20の直鎖アルキル基、炭素数3〜20の分岐アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、またはハロゲン原子を示し、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。Qは炭素原子または窒素原子を示す。mは0〜5の整数を示す。
ピリジン類としては、例えば、2−メチルピラジン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,6−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−トリメチルピリジン、または3−クロルピリジン等を挙げることができ、これらから選択される少なくとも1種を用いることができる。
本実施形態においては、(ポリ)スルフィド化合物を高収率で得る観点からトリエチルアミンを用いることが好ましい。
塩基は水溶液、アルコール溶液、トルエン溶液等として用いることができ、溶液として用いる場合、塩基の濃度は適宜選択することができる。
本実施形態においては、反応において副生する硫化水素がエピハロヒドリン類と反応し原料であるチオール化合物が生成されるため、(ポリ)スルフィド化合物を高収率で得ることができ、チオール化合物の使用量を低減することもできる。さらに、反応において副生する有害な硫化水素の量が大幅に低減されるため、硫化水素を留去する必要がなく、大気圧下で反応を行うことができる。これにより、簡便な製造設備および製造方法で(ポリ)スルフィド化合物を合成することができ、生産効率が向上し、かつ製造コストを削減できることから工業上有利である。
本発明の効果の観点からチオール化合物として式(1a)の化合物、式(3a)の化合物としてエピクロロヒドリンを用いることが好ましい。
本工程においては、上記のような塩基化合物および硫黄の存在下、上記一般式(1)で表されるチオール化合物を反応させ、下記一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物を得る。
本工程は、反応溶媒中で行うことができ、反応溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶媒類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等の脂肪族系溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、水等が用いられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
硫黄の使用量は、一般式(1)で表されるチオール化合物1molに対して、0.3mol以上2.0mol以下が好ましく、0.5mol以上1.5mol以下であれば更に好ましく、0.6mol以上1.2mol以下であると特に好ましい。上記範囲であることにより、副生物の生成を抑制し、(ポリ)スルフィド体を選択的に製造することができるため、(ポリ)スルフィド化合物の収率を改善することができる。
塩基化合物の使用量は、一般式(1)で表されるチオール化合物に対して、1.0mol%以上7.0mol%以下が好ましく、3.0mol%以上5.0mol%以下がさらに好ましい。
硫黄の使用量は、エピハロヒドリン類1molに対して、0.5mol以上2.5mol以下が好ましく、0.7mol以上2.3mol以下がより好ましく、1.0mol以上2.0mol以下が特に好ましい。上記範囲であることにより、副生物の生成を抑制し、(ポリ)スルフィド体を選択的に製造することができるため、(ポリ)スルフィド化合物の収率を改善することができる。さらに、副生する硫化水素をエピハロヒドリン類と効率的に反応させて原料であるチオール化合物を副生物から効率良く得ることができるため、目的化合物である(ポリ)スルフィド化合物をより高収率で得ることができる。
エピハロヒドリン類/一般式(1)で表されるチオール化合物のモル比が0.025以上1以下が好ましく、0.1以上1以下であれば更に好ましく、0.4以上0.8以下であると特に好ましい。上記範囲であることにより、一般式(1)で表されるチオール化合物の使用量を低減できるばかりか、反応時間がより短くなる。
反応温度は5℃以上30℃以下が好ましく、10℃以上20℃以下であれば更に好ましい。反応温度が5℃より高いと、反応前半で反応が十分に進行し、反応系内に未反応物が滞留することなくおだやかに反応が進行し、30℃より低いとレンズの色相に優れる。
反応時間は、特に限定されないが3時間以上20時間以下である。
反応は、大気圧下または減圧下で行うことができる。大気圧下での反応では、エピハロヒドリン類と硫化水素とをより効率よく反応でき、収率の点からより好ましい。大気圧下での反応が可能なため、減圧装置を必要とせず、工業上有利である。
また、本工程は、たとえば下記(a)〜(g)の反応形態で実施することが可能である。
(a)塩基化合物、硫黄および上記一般式(1)で表されるチオール化合物を一括装入後、反応液中にエピハロヒドリン類を滴下
(b)塩基化合物および硫黄に対して、上記一般式(1)で表されるチオール化合物を添加後、反応液中にエピハロヒドリン類を滴下
(c)塩基化合物および硫黄に対して、上記一般式(1)で表されるチオール化合物およびエピハロヒドリン類を同時装入、またはチオール化合物およびエピハロヒドリン類の混合物を滴下
(d)上記一般式(1)で表されるチオール化合物および硫黄に対して、塩基化合物を添加後、反応液中にエピハロヒドリン類を滴下
(e)エピハロヒドリン類、上記一般式(1)で表されるチオール化合物および硫黄に対して、塩基化合物を添加
(f)上記一般式(1)で表されるチオール化合物および塩基化合物に対し、硫黄およびエピハロヒドリン類を同時装入、または硫黄を添加した後にエピハロヒドリン類を滴下
(g)上記一般式(1)で表されるチオール化合物およびエピハロヒドリン類に対し、硫黄および塩基化合物を同時装入、または硫黄を添加した後に塩基化合物を添加
以上の工程により、一般式(1)で表されるチオール化合物間でメルカプト基同士の酸化反応を大気圧下で選択的に進行させることができ、下記一般式(2)で表されるビスハロヒドリン基を有する(ポリ)スルフィド化合物を得ることができる。本実施形態においては、当該反応において副生する硫化水素を前記エピハロヒドリン類と反応させ、原料である前記チオール化合物を生成することができるため、(ポリ)スルフィド化合物を高収率で得ることができ、チオール化合物の使用量を低減することもできる。
Figure 2019104689
一般式(2)中、X〜X、R〜Rおよびmは一般式(1)と同義であり、複数存在するX〜X、R〜Rおよびmは同一でも異なっていてもよい。pは0以上4以下の整数を示す。
本実施形態において、一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物としては、1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンが好ましい。
また、一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物の収率は好ましくは80%以上である。このように、本実施形態においては、副反応物である含硫環化合物の生成が抑制されており、一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物を光学材料用モノマーとして好適に用いることができる。
さらに、必要に応じて、一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物を得た後、公知の精製工程を行うこともできる。
(エピスルフィドの製造方法)
本実施形態のエピスルフィド化合物の製造方法は、以下の工程を含む。
工程(i):一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物を塩基条件下でエポキシ化し、下記一般式(7)で表されるエポキシ化合物を得る。
Figure 2019104689
一般式(7)中、R〜Rおよびmは一般式(1)と同義であり、複数存在するR〜Rおよびmは同一でも異なっていてもよい。pは0以上4以下の整数を示す。
工程(ii):前記エポキシ化合物を硫化剤と反応させて、下記一般式(8)で表されるエピスルフィド化合物を得る。
Figure 2019104689
一般式(8)中、R〜R、mおよびpは一般式(7)と同義である。
本実施形態のエピスルフィド化合物の製造方法は、上述の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法を一工程として含むことから、ひいてはエピスルフィド化合物の生産性に優れ、製造コストを抑制することができる。さらに、当該エピスルフィド化合物を用いて製造されるレンズについても、生産性に優れ、製造コストを抑制することができる。
また、本実施形態においては、従来の方法と異なりハロゲンを用いることなく(ポリ)スルフィド化合物が製造されるため、(ポリ)スルフィド化合物のハロゲン含有量は低い。そして、当該(ポリ)スルフィド化合物を用いて製造されるエピスルフィド化合物のハロゲン含有量も低い。そのため、当該エピスルフィド化合物を用いてレンズ等の光学材料を製造する場合において、ハロゲンに由来する副反応や副生物の生成が抑制され、品質に優れた光学材料を得ることもできる。
これらの工程について、以下詳細に説明する。
工程(i)
一般式(1)で表されるチオール化合物同士を、一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類と、一般式(4)または一般式(5)で表される塩基化合物およびピリジン類から選択される一種または二種以上と、硫黄との存在下で反応させて得られた一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物に、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルアニリン、ピリジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメチラート、t−ブトキシカリウム、燐酸一水素二ナトリウム、酢酸ナトリウム等の有機・無機塩基類を加えて、一般式(7)で表されるエポキシ化合物を含む組成物を得る。
これら塩基は、単独でも2種類以上を併用してもよい。用いる塩基の種類は有機溶媒に溶解する有機塩基類が好ましく、トリエチルアミンが特に好ましい。
これらの塩基の使用量は、(ポリ)スルフィド化合物に対して、1当量以上10当量以下が好ましく、2当量以上5当量以下であれば更に好ましい。
また、反応温度は−10℃以上60℃以下が好ましく、10℃以上30℃以下であれば更に好ましい。
本工程は、反応溶媒中で行うことができ、反応溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶媒類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等の脂肪族系溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、水等が用いられる。特に好ましくはトルエンである。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
工程(ii)
工程(i)で得られた一般式(7)で表されるエポキシ化合物を硫化剤と反応させ、一般式(8)で表されるエピスルフィド化合物を得る。
硫化剤としては、チオ尿素、又はチオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸鉛等のチオシアン酸塩等が挙げられる。チオシアン酸塩を使用する場合は、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウムが好ましく、チオシアン酸ナトリウムが更に好ましい。
硫化剤であるチオ尿素、又はチオシアン酸塩の使用量は、例えば、エポキシ基に対して当量以上で用いられるが、好ましくは1当量以上5当量以下、更に好ましくは1当量以上3当量以下の範囲である。1当量未満では純度が低下し、5当量を超えると経済的に不利になる場合がある。
反応温度はチオ尿素、又はチオシアン酸塩の種類によって大きく異なる為特に限定はできないが、チオ尿素を使用する場合は凡そ10℃以上30℃以下が好ましく、チオシアン酸塩を使用する場合は凡そ30℃以上60℃以下が好ましい。
一般式(8)で表されるエピスルフィド化合物を合成する場合、通常、エポキシ化合物の合成時と同様の反応溶媒が使用される。例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶媒類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等の脂肪族系溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類等が好ましく用いられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。エポキシ化の場合と異なり、チオエポキシ化の場合は、水は反応速度を遅くさせる傾向にある為、好ましくは用いられない。
本実施形態において、一般式(8)で表されるエピスルフィド化合物は、下記一般式(9)で表されるエピスルフィド化合物であることが好ましく、下記一般式(10)で表されるエピスルフィド化合物であることがさらに好ましい。
Figure 2019104689
一般式(9)中、pは0以上4以下の整数を示す。
Figure 2019104689
本実施形態においては、上記の製造方法により得られたエピスルフィド化合物を含む光学材料用重合性組成物を従来公知の方法で調製することができる。光学材料用重合性組成物は、得られたエピスルフィド化合物とともに、ポリイソシアネート化合物および/またはポリチオール化合物等を含むことができる。
さらに、光学材料用重合性組成物から従来公知の方法により光学材料を製造することができる。光学材料として、具体的には、プラスチックレンズ、カメラレンズ、発光ダイオード(LED)、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター、発光ダイオード、自動車用光学レンズ、ロボット用光学レンズ等を挙げることができる。特に、プラスチックレンズ、カメラレンズ、発光ダイオード等の光学材料、光学素子として好適である。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下説明中、特に言及が無い限り「部」、「%」は重量基準である。
[分析方法1]
・HPLC機種:島津製作所社製SPD−10A
・測定波長:210nm
・カラム:YMC A−312 S−5 ODS 6mmID×150mm
・温度条件:40℃
・移動相:アセトニトリル/水=2/3(vol/vol)
・注入量:2μL
・試料調製:反応液500mgをアセトニトリル10mLで溶解
[分析方法2]
・HPLC機種:島津製作所社製SPD−10A
・測定波長:258nm
・カラム:YMC A−312 S−5 ODS 6mmID×150mm
・温度条件:40℃
・移動相:アセトニトリル/水=2/3(vol/vol)
・注入量:2μL
・試料調製:反応液100mgをアセトニトリル10mLで溶解
[実施例1]
[1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンの合成]
セパラブルフラスコ容器に、トルエン20.0重量部、硫黄粉末を2.57重量部、92.7wt%の1-クロロ-3-メルカプト-2-プロパノール15.7重量部(化合物:14.56重量部)を装入し、気相部に窒素ガスを流通させながら大気圧下で撹拌し、内温を10℃にした。次に10wt%のトリエチルアミントルエン溶液5.3重量部(トリエチルアミン:0.53重量部)を4時間かけて装入した。トリエチルアミン滴下開始と同時に99.9wt%エピクロロヒドリン7.1重量部(エピクロロヒドリン:7.1重量部)を30分かけて装入した。内温10℃から20℃で4時間撹拌し熟成を行った。反応の過程で副生した硫化水素は30%NaOH水溶液へ流通させ、その重量増を測定した結果、0.16gの増加であり、よって硫化水素は添加した硫黄に対して6mol%発生した。得られた反応液を分析方法1にて分析した結果、目的物である1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンを79.1area%含有していた。
以下に、1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンの同定データを示す。
H−NMR(溶媒:CDCl、内部標準物質:TMS)δ:2.64(2H)、2.96(4H)、3.71(4H)、4.15(2H)
13C−NMR(溶媒:CDCl)δ:42.4、48.1、69.8
[ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィドの合成]
続いて、反応液にトルエンを20.0重量部装入し、内温を10℃に保った。次いで滴下ロートに25%NaOH水溶液23.9重量部を装入し、10℃で2時間かけて滴下装入した。滴下終了後3時間、内温10℃を維持した状態で撹拌した。得られた反応液を一旦分液ロートに移液して水層を排出した。残ったトルエン層に13%NaCl水溶液10重量部を装入し、酢酸を加えて反応液pH=5.5〜6.0へ撹拌しながらpHを調整した。pH調整後、20℃で15分間洗浄を行い、水層を排出した。再度トルエン層に13%NaCl水溶液10重量部を装入し20℃で15分間洗浄し、水層を排出した。残ったトルエン層をナスフラスコへ移液させ、35℃で3時間脱トルエンを行い、濃縮物を分析方法2にて分析した結果、ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィド78.0wt%(0.0735mol)を含む生成物16.8重量部を得た。
[実施例2]
[1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンの合成]
セパラブルフラスコ容器に、トルエン25.0重量部、硫黄粉末を2.70重量部、92.7wt%の1-クロロ-3-メルカプト-2-プロパノール15.7重量部(化合物:14.56重量部)を装入し、気相部に窒素ガスを流通させながら大気圧下で撹拌し、内温を10℃にした。次に10wt%のトリエチルアミントルエン溶液5.3重量部(トリエチルアミン:0.53重量部)を6時間かけて装入した。トリエチルアミン滴下開始と同時に99.9wt%エピクロロヒドリン5.2重量部(エピクロロヒドリン:5.2重量部)を20分かけて装入した。内温10℃から20℃で2時間撹拌し熟成を行った。反応の過程で副生した硫化水素は30%NaOH水溶液へ流通させ、その重量増を測定した結果、0.91gの増加であり、よって硫化水素は添加した硫黄に対して32mol%発生した。得られた反応液を分析方法1にて分析した結果、目的物である1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンを88.6area%含有していた。
[ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィドの合成]
続いて、反応液にトルエンを20.0重量部装入し、内温を10℃に保った。次いで滴下ロートに25%NaOH水溶液23.9重量部を装入し、10℃で2時間かけて滴下装入した。滴下終了後3時間、内温10℃を維持した状態で撹拌した。得られた反応液を一旦分液ロートに移液して水層を排出した。残ったトルエン層に13%NaCl水溶液10重量部を装入し、酢酸を加えて反応液pH=5.5〜6.0へ撹拌しながらpHを調整した。pH調整後、20℃で15分間洗浄を行い、水層を排出した。再度トルエン層に13%NaCl水溶液10重量部を装入し20℃で15分間洗浄し、水層を排出した。残ったトルエン層をナスフラスコへ移液させ、35℃で3時間脱トルエンを行い、濃縮物を分析方法2にて分析した結果、ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィド91.6wt%(0.0755mol)を含む生成物14.7重量部を得た。
[実施例3]
[1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンの合成]
セパラブルフラスコ容器に、トルエン25.0重量部、硫黄粉末を3.15重量部、92.7wt%の1-クロロ-3-メルカプト-2-プロパノール15.7重量部(化合物:14.56重量部)を装入し、気相部に窒素ガスを流通させながら大気圧下で撹拌し、内温を10℃にした。次に10wt%のトリエチルアミントルエン溶液5.3重量部(トリエチルアミン:0.53重量部)を6時間かけて装入した。トリエチルアミン滴下開始と同時に99.9wt%エピクロロヒドリン7.9重量部(エピクロロヒドリン:7.9重量部)を20分かけて装入した。内温10℃から20℃で2時間撹拌し熟成を行った。反応の過程で副生した硫化水素は30%NaOH水溶液へ流通させ、その重量増を測定した結果、0.40gの増加であり、よって硫化水素は添加した硫黄に対して12mol%発生した。得られた反応液を分析方法1にて分析測定した結果、目的物である1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンを93.2area%含有していた。
[ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィドの合成]
続いて、反応液にトルエンを20.0重量部装入し、内温を10℃に保った。次いで滴下ロートに25%NaOH水溶液23.9重量部を装入し、10℃で2時間かけて滴下装入した。滴下終了後3時間、内温10℃を維持した状態で撹拌した。得られた反応液を一旦分液ロートに移液して水層を排出した。残ったトルエン層に13%NaCl水溶液10重量部を装入し、酢酸を加えて反応液pH=5.5〜6.0へ撹拌しながらpHを調整した。pH調整後、20℃で15分間洗浄を行い、水層を排出した。再度トルエン層に13%NaCl水溶液10重量部を装入し20℃で15分間洗浄し、水層を排出した。残ったトルエン層をナスフラスコへ移液させ、35℃で3時間脱トルエンを行い、濃縮物を分析方法2にて分析した結果、ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィド94.0wt%(0.0907mol)を含む生成物17.2重量部を得た。
[ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィドの合成]
ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィドを含む生成物198.9重量部を、滴下ロートに装入した。別途、5つ口フラスコを準備し、酢酸38.5重量部と、チオ尿素169.4重量部と、メタノール280重量部と、純水87.5重量部を装入しておき、内温15℃で撹拌させた状態で、ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィドを3時間で装入した。この滴下の間、滴下開始から30分後に88%蟻酸27.5重量部を装入、滴下開始から90分後に88%蟻酸27.5重量部を装入、滴下から150分後に88%蟻酸27.5重量部を装入した。ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィドを含む生成物の滴下終了後、内温を15℃に保ったまま更に3時間撹拌を継続した。撹拌終了後、内温10℃に調整し、メチルイソブチルケトンを400重量部装入した。その後、滴下ロートに10%アンモニア水を358.5重量部装入し、10℃のまま撹拌しながら2時間で滴下した。滴下終了後、内温10℃で2時間撹拌した。撹拌終了後、5つ口の底抜きフラスコへ反応液を全量移液し、有機層と水層とに分液した後、水層を排出した。次いで、純水13%NaCl水溶液555.8重量部と、10%アンモニア水8.3重量部を装入し20〜25℃で有機層を15分洗浄した。洗浄終了後、有機層と水層とに分液し、水層を排出した後、13%NaCl水溶液555.8重量部と酢酸6.3重量部と、メタノール180.3重量部を装入し、20〜25℃で有機層を15分洗浄して、有機層と水層とに分液した後、水層を排出した。得られた有機層をナスフラスコに移液し、35℃で2時間、脱溶媒させ、更に35℃で5時間、減圧下で低沸点物の除去を行い、メチルイソブチルケトンを留出させた。この時点で、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィドを76.8wt%含む生成物213.2重量部を得た。
次いで、5つ口フラスコにメチルシクロヘキサン1700重量部を装入し内温を25℃に調整後、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィドを含む生成物213.2重量部を全量装入し1時間撹拌した。撹拌終了後、沈殿した不溶解物を全量排出してメチルシクロヘキサン溶液1845.3重量部を得た。
別途、カラム管に、シリカゲル38.4重量部をメチルシクロヘキサンで湿潤させたものを全量装入させたカラム管を準備した。シリカゲルを充填したカラム管にメチルシクロヘキン溶液全量を通液させて精製を行った。精製したメチルシクロヘキサン溶液をナスフラスコに移液し、35℃で2時間かけてメチルシクロヘキサンを留去した後、更に35℃で3時間、減圧下で低沸点物の除去を行い、97.7wt%ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド118.3重量部を得た。
[比較例1]
[1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンの合成]
セパラブルフラスコ容器に、トルエン83.0重量部、硫黄粉末を4.8重量部、92.0wt%の1-クロロ-3-メルカプト-2-プロパノール41.3重量部(化合物:37.98重量部)を装入し、反応器内圧を650Torrまで減圧させた状態で撹拌し、内温を10℃にした。次に10wt%のトリエチルアミントルエン溶液12重量部(トリエチルアミン:1.2重量部)を6時間かけて装入した。内温10℃から20℃で2時間撹拌し熟成を行った。反応の過程で副生した硫化水素は30%NaOH水溶液へ流通させ、その重量増を測定した結果、4.59gの増加であり、よって硫化水素は添加した硫黄に対して90mol%発生した。得られた反応液を分析方法1にて分析した結果、目的物である1,8-ジクロロ-2,7-ジヒドロキシ-4,5-ジチアオクタンを76.6area%含有していた。
[ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィドの合成]
続いて、反応液にトルエンを41.1重量部装入し、内温を10℃に保った。次いで滴下ロートに25%NaOH水溶液62.4重量部を装入し、10℃で2時間かけて滴下装入した。滴下終了後3時間、内温10℃を維持した状態で撹拌した。得られた反応液を一旦分液ロートに移液して水層を排出した。残ったトルエン層に13%NaCl水溶液26重量部を装入し、酢酸を加えて反応液pH=5.5〜6.0へ撹拌しながらpHを調整した。pH調整後、20℃で15分間洗浄を行い、水層を排出した。再度トルエン層に13%NaCl水溶液26重量部を装入し20℃で15分間洗浄し、水層を排出した。残ったトルエン層をナスフラスコへ移液させ、35℃で3時間、脱トルエンを行い、ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィド75.4wt%(0.112mol)を含む生成物26.5重量部を得た。
Figure 2019104689

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2019104689
    (一般式(1)中、XおよびXは水酸基またはハロゲン原子を示し、一方は水酸基であり、他方はハロゲン原子である。R〜Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、C1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基、C6以上C18以下の置換または無置換アリール基を示す。R〜Rは、それぞれ同一または異なっていてもよい。mは0以上2以下の整数を示す。)
    で表されるチオール化合物同士を、下記一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類と、下記一般式(4)で表される塩基化合物、下記一般式(5)で表される塩基化合物およびピリジン類から選択される一種または2種以上と、硫黄との存在下で反応させて、下記一般式(2)で表される(ポリ)スルフィド化合物を得るとともに、前記反応において副生する硫化水素を前記エピハロヒドリン類と反応させて前記チオール化合物を生成する、(ポリ)スルフィド化合物の製造方法;
    Figure 2019104689
    (一般式(3)中、Xは、ハロゲン原子を示す。R〜Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、C1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基、C6以上C18以下の置換または無置換アリール基を示す。R〜Rは、それぞれ同一または異なっていてもよい。mは0以上2以下の整数を示す。)
    M(SH)n (4)
    (一般式(4)中、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表す。nは、Mで表されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の価数を表す。)、
    Figure 2019104689
    (一般式(5)中、Q、QおよびQは、互いに同一または異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。)
    Figure 2019104689
    (一般式(2)中、X〜X、R〜Rおよびmは一般式(1)と同義であり、複数存在するX〜X、R〜Rおよびmは同一でも異なっていてもよい。pは0以上4以下の整数を示す。)。
  2. 前記チオール化合物同士を、大気圧下で反応させる、請求項1に記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
  3. およびXにおける前記ハロゲン原子が塩素原子である、請求項1または2に記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
  4. 前記一般式(3)で表されるエピハロヒドリン類が、下記一般式(3a)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
    Figure 2019104689
    (一般式(3a)中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であるハロゲン原子である。)
  5. 前記一般式(1)で表されるチオール化合物は、下記式(1a)
    Figure 2019104689
    で表される化合物を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
  6. 前記一般式(5)で表される化合物が、第3級アミンである、請求項1〜5のいずれかに記載の(ポリ)スルフィド化合物の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により(ポリ)スルフィド化合物を製造する工程と、
    前記(ポリ)スルフィド化合物を、塩基条件下でエポキシ化し、下記一般式(7)
    Figure 2019104689
    (一般式(7)中、R〜Rおよびmは一般式(1)と同義であり、複数存在するR〜Rおよびmは同一でも異なっていてもよい。pは0以上4以下の整数を示す。)
    で表されるエポキシ化合物を得る工程と、
    前記エポキシ化合物を硫化剤と反応させて下記一般式(8)
    Figure 2019104689
    (一般式(8)中、R〜R、mおよびpは一般式(7)と同義である。)
    で表されるエピスルフィド化合物を得る工程と、
    を含む、エピスルフィド化合物の製造方法。
  8. 前記エピスルフィド化合物が、下記一般式(9)
    Figure 2019104689
    (一般式(9)中、pは0以上4以下の整数を示す。)
    で表される化合物を含む、請求項7に記載のエピスルフィド化合物の製造方法。
  9. 前記エピスルフィド化合物が、下記式(10)
    Figure 2019104689
    で表される化合物を含む、請求項7または8に記載のエピスルフィド化合物の製造方法。
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SJOBERG BERTIL, BERICHTE DER DEUTSCHEN CHEMISCHEN GESELLSCHAFT [ABTEILUNG] B: ABHANDLUNGEN, vol. 74, JPN6021025467, 1941, pages 64 - 72, ISSN: 0004539753 *

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WO2023032598A1 (ja) * 2021-09-01 2023-03-09 三井化学株式会社 エピスルフィド組成物、重合性組成物、硬化物、及び光学材料

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