JP2019104660A - ガラス板の製造装置および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形後のガラスリボンの搬送経路上にて当該ガラスリボンの不要部を有効部から連続的に分断するに際して、ガラスリボンに形成されたクラックの搬送経路の上流側への不当な進展を阻止する装置の提供。【解決手段】ガラスリボン3a,bを成形する成形手段と、搬送経路R上にてガラスリボン3a,bの不要部3aを有効部3bから分断する分断手段7とを有するガラス板の製造装置1について、分断手段が、不要部と有効部との境界線Lに沿って表面3c側からスクライブ線Sを形成する機構9と、境界線L(スクライブ線S)の周辺部にて表面側に引張応力を発生させる機構10と、境界線Lの周辺部にて表面側に圧縮応力を発生させる機構8とを備え、機構と機構とが、機構よりも搬送経路の上流側に配置され、搬送経路上において、機構により表面側に圧縮応力が発生する区間T1の上流端T1bよりも下流側に、機構が配置される構成される装置。【選択図】図5
Description
本発明は、ガラス板の製造装置および製造方法に関する。
周知のように、ガラス板を製造するための手法の一つとして、オーバーフローダウンドロー法を利用した手法が挙げられる。オーバーフローダウンドロー法では、楔状の断面形状を有する成形体により溶融ガラスを連続的に板状のガラスに成形すると共に、上下複数段に配置されたローラーにより板状のガラスを下方に牽引しつつ冷却することで、ガラス板の元となるガラスリボンを連続的に成形する。
オーバーフローダウンドロー法により成形されたガラスリボンは、幅方向中央に存する有効部に加えて、幅方向両端にそれぞれ存する不要部を有する。これら両不要部の各々には、有効部よりも厚みの大きい耳部と称される部位が含まれる。ここで、有効部が後に製品ガラス板となる部位であるのに対し、不要部は製品とはならずに廃棄される部位である。そのため、ガラス板の製造に際しては、ガラスリボンの不要部を有効部から分断することが必要となる。
特許文献1には、不要部を有効部から分断するための態様の一例が開示されている。同態様においては、成形後に鉛直方向に延びる搬送経路上を搬送されるガラスリボン(同文献では、ガラスシートと呼称)を長手方向に沿って連続的に切断している。これに伴って、ガラスリボンの不要部(同文献では、外側エッジと呼称)を有効部から連続的に分断している。
しかしながら、特許文献1に開示された態様により不要部を分断する場合には、下記のような解決すべき問題が生じていた。
すなわち、同態様においては、不要部の分断に際してガラスリボンに形成されたクラックが、ガラスリボンの搬送経路の上流側へと不当に進展してしまい、成形中の部位まで到達してしまう不具合が発生していた。これは溶融ガラスからガラスリボンを成形する際に、当該ガラスリボンに生じた熱歪の影響によるものである。そして、上述のような不具合が発生すると、ガラスリボンを正常に成形できる状態まで復旧させるのに多大な時間を要する等、ガラス板の生産性が著しく悪化する事態を招いていた。
なお、このような問題は、オーバーフローダウンドロー法により成形されたガラスリボンについて、不要部を有効部から分断する場合にのみ生じている問題ではない。その他のダウンドロー法(スロットダウンドロー法、リドロー法等)により成形されたガラスリボンについて、不要部を有効部から分断する場合にも、同様に生じている問題である。
上記の事情に鑑みなされた本発明は、成形後のガラスリボンの搬送経路上にて当該ガラスリボンの不要部を有効部から連続的に分断するに際して、ガラスリボンに形成されたクラックの搬送経路の上流側への不当な進展を阻止することを技術的な課題とする。
上記の課題を解決するために創案された本発明は、溶融ガラスからガラスリボンを連続的に成形する成形手段と、成形手段から連なるガラスリボンの搬送経路上にて、ガラスリボンの幅方向両端にそれぞれ存する不要部を、両不要部の相互間に存する有効部から連続的に分断する分断手段とを有するガラス板の製造装置であって、分断手段が、不要部と有効部との境界線に沿ってガラスリボンの表面側からスクライブ線を形成するスクライブ形成機構と、ガラスリボンにおける境界線の周辺部にて表面側に引張応力を発生させる引張応力付与機構と、境界線の周辺部にて表面側に圧縮応力を発生させる圧縮応力付与機構とを備え、スクライブ形成機構と圧縮応力付与機構との双方が、引張応力付与機構よりも搬送経路の上流側に配置され、搬送経路上において、圧縮応力付与機構により表面側に圧縮応力が発生する区間の上流端よりも下流側に、スクライブ形成機構が配置されていることに特徴付けられる。
本構成では、成形手段から連なるガラスリボンの搬送経路上において、分断手段に備わったスクライブ形成機構が、同じく分断手段に備わった引張応力付与機構よりも上流側に配置されている。そのため、スクライブ形成機構によりガラスリボンの表面側にて不要部と有効部との境界線に沿って形成されたスクライブ線は、形成後に搬送経路の下流側に送られて引張応力付与機構へと到達する。そして、スクライブ線が引張応力付与機構に到達すると、境界線の周辺部にて表面側に発生した引張応力によりスクライブ線に沿ってガラスリボンが切断され、不要部が有効部から分断される。この不要部の分断に際しては、スクライブ線に含まれたクラックが、成形手段によるガラスリボンの成形時に生じた熱歪の影響により搬送経路の上流側へと不当に進展する虞がある。しかしながら、本構成によれば、このような虞を的確に排除することができる。すなわち、本構成においては、分断手段に備わった圧縮応力付与機構が、引張応力付与機構よりも搬送経路の上流側に配置されている。これに加え、搬送経路上において、圧縮応力付与機構により表面側に圧縮応力が発生する区間の上流端よりも下流側に、スクライブ形成機構が配置されている。これにより、クラックが上流側に進展しようとしても、圧縮応力付与機構が境界線の周辺部にて表面側に発生させた圧縮応力により、当該圧縮応力が発生した区間を突破してクラックが上流側に進展することを確実に阻止できる。以上のことから、本構成によれば、成形後のガラスリボンの搬送経路上にて当該ガラスリボンの不要部を有効部から連続的に分断するに際して、ガラスリボンに形成されたクラックの搬送経路の上流側への不当な進展を阻止することが可能となる。
上記の構成では、引張応力付与機構および圧縮応力付与機構が、境界線の周辺部をガラスリボンの幅方向に沿って湾曲させるのに伴って、それぞれ引張応力および圧縮応力を発生させるように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、境界線の周辺部をガラスリボンの幅方向に沿って湾曲させるだけで、表面側に引張応力、或いは、圧縮応力を発生させることができる。このため、引張応力付与機構および圧縮応力付与機構の各々に、その機能を容易に発揮させることが可能となる。
上記の構成では、圧縮応力付与機構が、ガラスリボンの裏面側にて境界線を挟んで幅方向に離間した二箇所と、表面側にて二箇所の相互間に位置する箇所との三箇所のそれぞれに、ガラスリボンに当接する第一ローラーを備え、裏面側の二つの第一ローラーと表面側の第一ローラーとにより、ガラスリボンを厚み方向に挟み込むように構成され、引張応力付与機構が、ガラスリボンの表面側にて境界線を挟んで幅方向に離間した二箇所と、裏面側にて二箇所の相互間に位置する箇所との三箇所のそれぞれに、ガラスリボンに当接する第二ローラーを備え、表面側の二つの第二ローラーと裏面側の第二ローラーとにより、ガラスリボンを厚み方向に挟み込むように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、圧縮応力付与機構では三つの第一ローラー、引張応力付与機構では三つの第二ローラーによりガラスリボンを厚み方向に挟み込むことで、境界線の周辺部をガラスリボンの幅方向に沿って湾曲させることができる。このようにローラーを用いることで、ガラスリボンを搬送しながらも確実に境界線の周辺部を湾曲させることが可能となる。その結果、引張応力付与機構および圧縮応力付与機構の各々に、その機能を安定して発揮させることができる。
上記の構成では、搬送経路上において、圧縮応力付与機構がスクライブ形成機構よりも上流側に配置されていることが好ましい。
このようにすれば、スクライブ線に含まれたクラックが、搬送経路の上流側へと不当に進展するのを阻止する上で更に有利となる。詳述すると、圧縮応力付与機構により境界線の周辺部が湾曲して表面側に圧縮応力が発生する区間は、圧縮応力付与機構を挟んで搬送経路の上流側と下流側とに跨る。この区間内においては、圧縮応力付与機構に接近するほど、境界線の周辺部の曲率が大きくなって、表面側に発生する圧縮応力が大きくなる。つまり、表面側に発生する圧縮応力の大きさは、搬送経路上において、圧縮応力付与機構が配置された地点で最大となる。このことから、圧縮応力付与機構がスクライブ形成機構よりも上流側に配置されていれば、搬送経路上において、スクライブ線が形成される地点が、上記の圧縮応力の大きさが最大となる地点よりも下流側に位置することになる。これにより、スクライブ線に含まれたクラックが、搬送経路の上流側へと不当に進展するのを阻止する上で更に有利となる。
上記の構成では、搬送経路上において、圧縮応力付与機構によって境界線の周辺部が湾曲する区間内に、スクライブ形成機構が配置されていることが好ましい。
このようにすれば、圧縮応力が発生した状態にある箇所に対してスクライブ線が形成されることになる。そのため、スクライブ線に含まれたクラックが、搬送経路の上流側へと不当に進展するのを阻止する上で一層有利となる。
上記の構成では、成形手段が、オーバーフローダウンドロー法によりガラスリボンを成形するように構成されると共に、分断手段が、成形手段から鉛直下方に延びた搬送経路上にて、不要部を有効部から連続的に分断するように構成されていてもよい。
このようにすれば、成形手段から鉛直下方に延びた搬送経路上において、不要部を有効部から分断することで、分断後の有効部の搬送方向を鉛直下方から他の方向へと容易に転換させることが可能となる。これは不要部に含まれた耳部(有効部よりも厚みが大きい部位)と有効部とが分断されることによるものである。そして、例えば、分断後の有効部の搬送方向を水平方向に転換させれば、当該有効部に対して多用な処理(幅方向両端面の研削や研磨、表裏面の洗浄、異物の有無の検査等)を実行することが可能となる。また、不要部を有効部から分断することで、例えば、分断後の有効部を幅方向に切断するような場合には、有効部と耳部との厚みの差に起因した悪影響を排除できる。このため、有効部を正確に切断できると共に、切断に際して有効部にて不当にクラックが形成されることを回避できる。
さらに、上記の課題を解決するために創案された本発明は、溶融ガラスからガラスリボンを連続的に成形する成形工程と、成形後のガラスリボンを搬送経路に沿って搬送しつつ、その幅方向両端にそれぞれ存する不要部を、両不要部の相互間に存する有効部から連続的に分断する分断工程とを備えたガラス板の製造方法であって、分断工程が、不要部と有効部との境界線に沿ってガラスリボンの表面側からスクライブ線を形成するスクライブ工程と、ガラスリボンにおける境界線の周辺部にて表面側に引張応力を発生させる引張応力付与工程と、境界線の周辺部にて表面側に圧縮応力を発生させる圧縮応力付与工程とを有し、スクライブ工程と圧縮応力付与工程との両工程を、引張応力付与工程よりも搬送経路の上流側で実行し、搬送経路上において、圧縮応力付与工程により表面側に圧縮応力を発生させた区間の上流端よりも下流側で、スクライブ形成工程を実行することに特徴付けられる。
本方法によれば、上記のガラス板の製造装置について既述のものと同一の作用・効果を得ることが可能である。
本発明によれば、成形後のガラスリボンの搬送経路上にて当該ガラスリボンの不要部を有効部から連続的に分断するに際して、ガラスリボンに形成されたクラックの搬送経路の上流側への不当な進展を阻止することが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係るガラス板の製造装置および製造方法について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るガラス板の製造方法には、本実施形態に係るガラス板の製造装置1(以下、単に製造装置1と表記)を用いる。本製造方法は、溶融ガラス2からガラスリボン3を連続的に成形する成形工程P1と、成形後のガラスリボン3を搬送経路Rに沿って搬送しつつ、ガラスリボン3の不要部3aを有効部3bから連続的に分断する分断工程P2とを備えている。
成形工程P1の実行には、製造装置1に備わった成形手段4を用いる。成形手段4は、オーバーフローダウンドロー法によりガラスリボン3を成形するように構成されている。この成形手段4は、楔状の断面形状を有する成形体5と、上下複数段に配置されたローラー6とを主たる構成要素として備えている。これら成形体5やローラー6の構成や機能等は、既に周知となっているので、詳細な説明は省略する。
ここで、本実施形態の変形例として、成形手段4は、スロットダウンドロー法やリドロー法等によりガラスリボン3を成形するように構成されていてもよい。
成形手段4により成形されたガラスリボン3には、その幅方向(X方向)の両端にそれぞれ不要部3aが形成されると共に、両不要部3a,3aの相互間に有効部3bが形成される。有効部3bは、後に製品ガラス板となる部位である。これに対し、両不要部3a,3aは、製品とはならずに廃棄される部位である。なお、不要部3aには、有効部3bよりも厚みの大きい耳部3aa(図2〜図4を参照)が含まれる。有効部3bの厚みは、例えば、0.5mmである。
分断工程P2は、成形手段4から連なる鉛直下方に延びた搬送経路R上で実行される。なお、分断工程P2は、両不要部3a,3aの双方を有効部3bから分断するべく、ガラスリボン3の幅方向の一方側と他方側とのそれぞれで実行するが、一方側と他方側との間で実行の態様は同一であるので、一方側についてのみ説明する。
分断工程P2の実行には、製造装置1に備わった分断手段7を用いる。分断手段7は、搬送経路Rの上流側から順番に配置された圧縮応力付与機構8、スクライブ形成機構9、及び、引張応力付与機構10を備えている。これら三つの機構8,9,10は、それぞれ分断工程P2に含まれる圧縮応力付与工程P2a、スクライブ工程P2b、及び、引張応力付与工程P2cの実行に用いられる。
図2に示した圧縮応力付与工程P2aでは、不要部3aと有効部3bとの境界線Lの周辺部において、表面3c側に圧縮応力を発生させる。詳細には、表面3cが凹湾曲面となるように境界線Lの周辺部をガラスリボン3の幅方向に沿って湾曲させるのに伴い、表面3c側に圧縮応力を発生させる。
境界線Lの周辺部を湾曲させるにあたっては、圧縮応力付与機構8に備わった三つの第一ローラー11を用いる。三つの第一ローラー11は、上下方向(Y方向)において相互に同一の高さ位置にある。三つの第一ローラー11のうちの二つは、ガラスリボン3の裏面3d側にて境界線Lを挟むようにして幅方向に離間した二箇所に配置されている。これら二つの第一ローラー11は、境界線Lを基準として線対称に位置するように配置されている。三つの第一ローラーの残りの一つは、ガラスリボン3の表面3c側にて境界線L上に位置するように配置されている。そして、これら三つの第一ローラー11がガラスリボン3を厚み方向(Z方向)に挟み込むことにより、境界線Lの周辺部を湾曲させる構成となっている。なお、三つの第一ローラー11の配置から、境界線Lの周辺部は、境界線Lを基準として不要部3a側と有効部3b側とが線対称に湾曲する。
ガラスリボン3の搬送に伴い、境界線Lの周辺部が三つの第一ローラー11の配置された地点を通過する際には、通過の直前から直後までの間、境界線Lの周辺部が湾曲した状態となる。これにより、三つの第一ローラー11によって境界線Lの周辺部が湾曲し、表面3c側に圧縮応力が発生した状態となる区間T1(図5を参照)は、三つの第一ローラー11を挟んで搬送経路Rの上流側と下流側とに跨って形成される。区間T1内では、三つの第一ローラー11に近接するほど、境界線Lの周辺部の曲率が大きくなり、表面3c側に発生する圧縮応力が大きくなる。つまり、表面3c側に発生する圧縮応力の大きさは、搬送経路R上において、三つの第一ローラー11が配置された地点で最大となる。
図3に示したスクライブ工程P2bでは、不要部3aと有効部3bとの境界線Lに沿って、ガラスリボン3の表面3c側からスクライブ線Sを形成する。
スクライブ線Sの形成にあたっては、スクライブ形成機構9に備わったカッター12および支持ローラー13を用いる。カッター12および支持ローラー13は、それぞれガラスリボン3の表面3c側および裏面3d側にて境界線L上に位置するように配置されている。カッター12は、ガラスリボン3を表面3c側から刻んでスクライブ線Sを形成する構成となっている。支持ローラー13は、ガラスリボン3を介してカッター12を裏面3d側から支持する構成となっている。
カッター12および支持ローラー13は、搬送経路R上において、圧縮応力付与機構8と引張応力付与機構10との両機構のうち、圧縮応力付与機構8寄りに配置されると共に、上記の区間T1内に位置するように配置されている(図5を参照)。詳細には、区間T1の下流端T1aの近傍に位置するように配置されている。これにより、カッター12は、境界線Lの周辺部の湾曲(表面3cが凹湾曲面となる湾曲)に伴って、圧縮応力が発生した状態にある箇所に対してスクライブ線Sを形成していく。なお、搬送経路R上において、カッター12が配置された地点では、三つの第一ローラー11が配置された地点と比較して、境界線Lの周辺部の曲率が小さくなっている。すなわち、カッター12が配置された地点では、三つの第一ローラー11が配置された地点に比べて、表面3c側に発生する圧縮応力の大きさが小さくなっている。
ここで、本実施形態の変形例として、スクライブ形成機構9は、ガラスリボン3に対するレーザーの照射により、スクライブ線Sを形成するように構成されていてもよい。一例として、スクライブ形成機構9が、境界線Lに沿ってレーザーを照射する照射器と、レーザーにより加熱された箇所に対して冷媒(例えば、霧状の水)を噴射する噴射器とを備える構成であってもよい。
図4に示した引張応力付与工程P2cでは、不要部3aと有効部3bとの境界線Lの周辺部において、表面3c側に引張応力を発生させる。詳細には、表面3cが凸湾曲面となるように境界線Lの周辺部をガラスリボン3の幅方向に沿って湾曲させるのに伴い、表面3c側に引張応力を発生させる。これにより、スクライブ線Sに含まれたメディアンクラックをガラスリボン3の表面3c側から裏面3d側へと厚み方向に進展させ、境界線L上にガラスリボン3の切断部Dを形成する。
境界線Lの周辺部を湾曲させるにあたっては、引張応力付与機構10に備わった三つの第二ローラー14を用いる。三つの第二ローラー14は、上下方向において相互に同一の高さ位置にある。三つの第二ローラー14のうちの二つは、ガラスリボン3の表面3c側にて境界線Lを挟むようにして幅方向に離間した二箇所に配置されている。これら二つの第二ローラー14は、境界線Lを基準として線対称に位置するように配置されている。三つの第二ローラーの残りの一つは、ガラスリボン3の裏面3d側にて境界線L上に位置するように配置されている。そして、これら三つの第二ローラー14がガラスリボン3を厚み方向に挟み込むことにより、境界線Lの周辺部を湾曲させる構成となっている。なお、三つの第二ローラー14の配置から、境界線Lの周辺部は、境界線Lを基準として不要部3a側と有効部3b側とが線対称に湾曲する。
ここで、上記の区間T1と同様にして、三つの第二ローラー14によって境界線Lの周辺部が湾曲し、表面3c側に引張応力が発生した状態となる区間T2(図5を参照)は、三つの第二ローラー14を挟んで搬送経路Rの上流側と下流側とに跨って形成される。そして、区間T2内では、三つの第二ローラー14に近接するほど、境界線Lの周辺部の曲率が大きくなり、表面3c側に発生する引張応力が大きくなる。つまり、表面3c側に発生する引張応力の大きさは、搬送経路R上において、三つの第二ローラー14が配置された地点で最大となる。
以下、上記の圧縮応力付与工程P2a、スクライブ工程P2b、及び、引張応力付与工程P2cの実行により、ガラスリボン3の不要部3aを有効部3bから分断する具体的な流れについて、図5を参照して説明する。なお、図5において、斜線を施して示す領域F1は、ガラスリボン3の表面3cが凹湾曲面となっている領域を表している。つまり、領域F1内では、表面3c側に圧縮応力が発生した状態となっている。また、同じく斜線を施して示す領域F2は、ガラスリボン3の表面3cが凸湾曲面となっている領域を表している。つまり、領域F2内では、表面3c側に引張応力が発生した状態となっている。
まず、スクライブ工程P2bの実行に伴い、ガラスリボン3の表面3c側において、不要部3aと有効部3bとの境界線Lに沿ってカッター12によりスクライブ線Sが連続的に形成されていく。スクライブ線Sは、形成後に搬送経路Rの下流側(図5では下側)に送られて、引張応力付与工程P2cを実行中の三つの第二ローラー14に到達する。そして、スクライブ線Sの到達に伴い、境界線L(スクライブ線S)の周辺部にて表面3c側に発生した引張応力により、スクライブ線Sに沿ってガラスリボン3が連続的に切断されていく。このようにして、ガラスリボン3に切断部Dが形成されていくと共に、不要部3aが有効部3bから分断されていく。
不要部3aの分断に際しては、スクライブ線Sに含まれたクラックが、ガラスリボン3の成形時に生じた熱歪の影響により搬送経路Rの上流側(図5では上側)へと不当に進展する虞がある。このような虞を的確に排除するべく、三つの第一ローラー11により圧縮応力付与工程P2aを実行している。すなわち、三つの第一ローラー11が境界線Lの周辺部にて表面3c側に発生させた圧縮応力により、クラックが上流側に進展しようとしても、圧縮応力が発生した区間T1を突破してクラックが上流側に進展することを阻止できるようになる。これに伴い、クラックが成形手段4によって成形中の部位まで到達してしまうような事態の発生についても、当然に回避できることになる。
ここで、本実施形態においては、スクライブ形成機構9(カッター12および支持ローラー13)が区間T1内に位置するように配置され、区間T1内でスクライブ工程P2bを実行する態様となっているが、これに限定されるものではない。本実施形態の変形例として、スクライブ形成機構9を区間T1よりも搬送経路Rの下流側に位置するように配置し、当該配置の下でスクライブ工程P2bを実行する態様としてもよい。ただし、この場合においても、引張応力によって意図しない方向にクラックが進展する虞を排除するため、スクライブ形成機構9を区間T2よりも上流側に位置するように配置することが好ましい。
また、本実施形態においては、搬送経路R上にて、スクライブ形成機構9が圧縮応力付与機構8(三つの第一ローラー11)よりも下流側に配置され、圧縮応力付与工程P2aよりも下流側でスクライブ工程P2bが実行されているが、この限りではない。本実施形態の変形例として、スクライブ形成機構9を圧縮応力付与機構8よりも上流側に配置し、圧縮応力付与工程P2aよりも上流側でスクライブ工程P2bを実行する態様としてもよい。ただし、この場合においても、スクライブ形成機構9を区間T1の上流端T1bよりも下流側に位置するように配置する必要があり、区間T1の上流端T1bよりも下流側でスクライブ工程P2bを実行する必要がある。
図1に示すように、不要部3aと分断した有効部3bは、複数の搬送ローラー15により、その搬送方向を鉛直下方から水平方向に転換させた後、ベルトコンベア16等で水平方向に搬送する。これに対し、有効部3bと分断した不要部3aは、搬送方向を転換させずに鉛直下方に送った後、破砕する等して廃棄する。不要部3aの破砕には、一例として、不要部3aを表裏両側から挟んで破砕する破砕ローラー等を用いることが可能である。
水平方向に搬送中の有効部3bに対しては、種々の製造関連処理を実行できる。例えば、製造関連処理として、有効部3bの幅方向両端面3ba,3baを研削・研磨する端面加工工程P3(図6)や、有効部3bの表裏面3c,3dをそれぞれ洗浄する洗浄工程P4(図7)や、有効部3bにおける異物の有無を検査する検査工程P5(図8)等を実行できる。これらの工程P3〜P5は、一つの工程のみを実行してもよいし、二つの工程を選択して実行してもよいし、三つの工程の全てを実行してもよい。
図6に示すように、端面加工工程P3の実行には、製造装置1に備わった端面加工手段17を用いる。端面加工手段17は、有効部3bを幅方向に挟むようにして一方側と他方側との各々に、研削砥石18および研磨砥石19を備えている。これにより、有効部3bの幅方向両端面3ba,3baに対して研削加工、研磨加工の順番で加工を施す。
図7に示すように、洗浄工程P4の実行には、製造装置1に備わった洗浄手段20を用いる。洗浄手段20は、有効部3bの表面3c側および裏面3d側の各々において、表面3c又は裏面3dに洗浄液Wを供給する供給器21と、表面3c又は裏面3dを自身の回転に伴って洗浄するブラシ22と、洗浄液Wの液切りのためにエアーVを噴射する噴射器23とを備えている。これにより、洗浄液Wとブラシ22とで表裏面3c,3dの洗浄を行った後、エアーVにより洗浄液Wの液切りを行う。
図8に示すように、検査工程P5の実行には、製造装置1に備わった検査手段24を用いる。検査手段24は、有効部3bを平面視する方向から視野に収めるカメラ25を備えている。これにより、搬送に伴ってカメラ25の視野を連続的に横切っていく有効部3bに異物が含まれているか否かを検査する。
ここで、本実施形態の変形例として、上述の製造関連処理とは異なる処理を実行するようにしてもよい。一方で、上術の製造関連処理等を実行することなく、有効部3bを一旦ロール状に巻き取ってガラスロールを作製してもよい。そして、このガラスロールから巻き外した有効部3bに対して、上述の製造関連処理やその他の処理を実行するようにしてもよい。
製造関連処理を実行した後の有効部3bは、周知の切断手段による幅方向に沿った切断等の工程を経ることにより、製品ガラス板として製造される。以上により、本製造方法の全工程が完了し、ガラス板が製造される。
ここで、本発明に係るガラス板の製造装置および製造方法は、上記の実施形態で説明した構成や態様に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態においては、分断後の有効部3bの搬送方向を水平方向に転換させると共に、分断後の不要部3aの搬送方向を転換させずに鉛直下方に維持しているが、この限りではない。分断後の有効部3bの搬送方向を転換させずに鉛直下方に維持し、分断後の不要部3aの搬送方向を転換させてもよい。この場合、有効部3bを鉛直下方に搬送しつつ、周知の切断手段を用いて有効部3bを繰り返し幅方向に切断することにより、有効部3bから連続的にガラス板を切り出すことが可能となる。
また、上記の実施形態においては、三つの第一ローラー11や三つの第二ローラー14により、境界線Lの周辺部をガラスリボン3の幅方向に沿って湾曲させ、これに伴って周辺部の表面3c側に圧縮応力、或いは、引張応力を発生させているが、この限りではない。例えば、ガラスリボン3の一方側の不要部3aと他方側の不要部3aとをそれぞれ把持手段に把持させる。そして、把持手段同士をガラスリボン3の幅方向に沿って接近、或いは、離反させることにより、周辺部の表面3c側に圧縮応力、或いは、引張応力を発生させるようにしてもよい。
1 ガラス板の製造装置
2 溶融ガラス
3 ガラスリボン
3a 不要部
3b 有効部
3c 表面
3d 裏面
4 成形手段
5 成形体
6 ローラー
7 分断手段
8 圧縮応力付与機構
9 スクライブ形成機構
10 引張応力付与機構
11 第一ローラー
12 カッター
13 支持ローラー
14 第二ローラー
L 境界線
P1 成形工程
P2 分断工程
P2a 圧縮応力付与工程
P2b スクライブ工程
P2c 引張応力付与工程
R 搬送経路
S スクライブ線
T1 区間
T1b 上流端
2 溶融ガラス
3 ガラスリボン
3a 不要部
3b 有効部
3c 表面
3d 裏面
4 成形手段
5 成形体
6 ローラー
7 分断手段
8 圧縮応力付与機構
9 スクライブ形成機構
10 引張応力付与機構
11 第一ローラー
12 カッター
13 支持ローラー
14 第二ローラー
L 境界線
P1 成形工程
P2 分断工程
P2a 圧縮応力付与工程
P2b スクライブ工程
P2c 引張応力付与工程
R 搬送経路
S スクライブ線
T1 区間
T1b 上流端
Claims (7)
- 溶融ガラスからガラスリボンを連続的に成形する成形手段と、
前記成形手段から連なる前記ガラスリボンの搬送経路上にて、該ガラスリボンの幅方向両端にそれぞれ存する不要部を、両不要部の相互間に存する有効部から連続的に分断する分断手段とを有するガラス板の製造装置であって、
前記分断手段が、前記不要部と前記有効部との境界線に沿って前記ガラスリボンの表面側からスクライブ線を形成するスクライブ形成機構と、前記ガラスリボンにおける前記境界線の周辺部にて前記表面側に引張応力を発生させる引張応力付与機構と、前記境界線の周辺部にて前記表面側に圧縮応力を発生させる圧縮応力付与機構とを備え、
前記スクライブ形成機構と前記圧縮応力付与機構との双方が、前記引張応力付与機構よりも前記搬送経路の上流側に配置され、
前記搬送経路上において、前記圧縮応力付与機構により前記表面側に圧縮応力が発生する区間の上流端よりも下流側に、前記スクライブ形成機構が配置されていることを特徴とするガラス板の製造装置。 - 前記引張応力付与機構および前記圧縮応力付与機構が、前記境界線の周辺部を前記ガラスリボンの幅方向に沿って湾曲させるのに伴って、それぞれ前記引張応力および前記圧縮応力を発生させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の製造装置。
- 前記圧縮応力付与機構が、前記ガラスリボンの裏面側にて前記境界線を挟んで幅方向に離間した二箇所と、前記表面側にて該二箇所の相互間に位置する箇所との三箇所のそれぞれに、前記ガラスリボンに当接する第一ローラーを備え、
前記裏面側の二つの第一ローラーと前記表面側の第一ローラーとにより、前記ガラスリボンを厚み方向に挟み込むように構成され、
前記引張応力付与機構が、前記ガラスリボンの前記表面側にて前記境界線を挟んで幅方向に離間した二箇所と、前記裏面側にて該二箇所の相互間に位置する箇所との三箇所のそれぞれに、前記ガラスリボンに当接する第二ローラーを備え、
前記表面側の二つの第二ローラーと前記裏面側の第二ローラーとにより、前記ガラスリボンを厚み方向に挟み込むように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のガラス板の製造装置。 - 前記搬送経路上において、前記圧縮応力付与機構が前記スクライブ形成機構よりも上流側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のガラス板の製造装置。
- 前記搬送経路上において、前記圧縮応力付与機構により前記境界線の周辺部が湾曲する区間内に、前記スクライブ形成機構が配置されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のガラス板の製造装置。
- 前記成形手段が、オーバーフローダウンドロー法により前記ガラスリボンを成形するように構成されると共に、前記分断手段が、前記成形手段から鉛直下方に延びた前記搬送経路上にて、前記不要部を前記有効部から連続的に分断するように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラス板の製造装置。
- 溶融ガラスからガラスリボンを連続的に成形する成形工程と、
成形後の前記ガラスリボンを搬送経路に沿って搬送しつつ、その幅方向両端にそれぞれ存する不要部を、両不要部の相互間に存する有効部から連続的に分断する分断工程とを備えたガラス板の製造方法であって、
前記分断工程が、前記不要部と前記有効部との境界線に沿って前記ガラスリボンの表面側からスクライブ線を形成するスクライブ工程と、前記ガラスリボンにおける前記境界線の周辺部にて前記表面側に引張応力を発生させる引張応力付与工程と、前記境界線の周辺部にて前記表面側に圧縮応力を発生させる圧縮応力付与工程とを有し、
前記スクライブ工程と前記圧縮応力付与工程との両工程を、前記引張応力付与工程よりも前記搬送経路の上流側で実行し、
前記搬送経路上において、前記圧縮応力付与工程により前記表面側に圧縮応力を発生させた区間の上流端よりも下流側で、前記スクライブ形成工程を実行することを特徴とするガラス板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017239486A JP2019104660A (ja) | 2017-12-14 | 2017-12-14 | ガラス板の製造装置および製造方法 |
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JP2017239486A JP2019104660A (ja) | 2017-12-14 | 2017-12-14 | ガラス板の製造装置および製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019104660A true JP2019104660A (ja) | 2019-06-27 |
Family
ID=67061101
Family Applications (1)
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JP2017239486A Pending JP2019104660A (ja) | 2017-12-14 | 2017-12-14 | ガラス板の製造装置および製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019104660A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7384046B2 (ja) | 2020-01-20 | 2023-11-21 | 日本電気硝子株式会社 | ガラスフィルムの製造方法 |
TWI842974B (zh) | 2020-01-20 | 2024-05-21 | 日商日本電氣硝子股份有限公司 | 玻璃膜的製造方法 |
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2017
- 2017-12-14 JP JP2017239486A patent/JP2019104660A/ja active Pending
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