JP2019099550A - スクロース吸収阻害剤、ChREBP阻害剤およびその利用 - Google Patents
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Abstract
Description
NAを含む)、を総称する。
[1−1.ChREBPの機能阻害物質]
本発明の一態様に係るスクロース吸収阻害剤は、ChREBPの機能を阻害する物質(以下、「機能阻害物質」と略記する。)を有効成分として含むものであればよい。一例において、上記スクロース吸収阻害剤は、小腸の細胞(例えば、粘膜上皮細胞)において、ChREBPの機能を阻害する機能阻害物質を含むものを例示できる。
害する(ChREBPは転写因子であるため、機能するためには核内に移動する必要がある)、(iii)ChREBPタンパク質を中和抗体で中和する、などが挙げられる。
以下、上述した以外の機能阻害物質について説明する。このような機能阻害物質は、公知の手段(例えば、核酸合成技術、抗体産生技術)によって設計・合成され得る。
このような機能阻害物質の具体例としては、CRISPR−Casシステムが挙げられる。このシステムによれば、適切なガイドRNAを設計することで、ChREBP遺伝子に含まれる塩基配列を切除したり、ChREBP遺伝子内に他の塩基配列を挿入したりすることができる(遺伝子編集)。その結果、ChREBP遺伝子は、正常なChREBPタンパク質を発現させることができなくなる。
このような機能阻害物質の具体例としては、ChREBP遺伝子の塩基配列と相補的な塩基配列を有する核酸が挙げられる。このような核酸は、ChREBP遺伝子と二重鎖を形成して、ChREBP遺伝子の転写および/または翻訳を阻害することができる。
このような機能阻害物質の具体例としては、RNAi(RNA interference)を誘導するRNA(siRNAなど)が挙げられる。
このような機能阻害物質の具体例としては、ChREBPタンパク質に作用して、当該タンパク質の立体構造を変化させる物質が挙げられる。
ChREBPタンパク質の中和抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、または、これらの断片(例えば、F(ab’)2、Fab’、Fab、または、Fv)であり得る。また、上記中和抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、または、これらの断片であってもよい。
(i)ハイブリドーマ法(例えば[Koehler G & Milstein C (1975) "Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity", Nature, Vol.256 (No.5517), pp.447-518]を参照)
(ii)トリオーマ法
(iii)ヒトB細胞ハイブリドーマ法(例えば[Kozbor D & Roder JC (1983) "The production of monoclonal antibodies from human lymphocytes", Immunology Today, Vol.4 (Issue 3), pp.72-79]を参照)
(iv)EBV−ハイブリドーマ法(例えば[Cole SPC et al., "The EBV-hybridoma technique and its application to human lung cancer" In: Reisfeld RA & Sell S (Eds.), "Monoclonal antibodies and cancer therapy", New York: Alan R. Liss, Inc., 1985, pp.77-96 (UCLA symposia on molecular and cellular biology, Vol.27)]を参照)
を挙げることができる。
本発明の一実施形態に係るスクロース吸収阻害剤は、糖類の中でもスクロース(ショ糖)の吸収を選択的に阻害することができる。逆に、スクロース以外の糖類(例えば、デンプン)を摂取している限りは、糖類の吸収量に対する影響は緩やかである。これは、従来の糖吸収阻害剤がグリコシダーゼ阻害剤であり、二糖類(および多糖類)の吸収を一律に阻害していることとは対照的である。
上述したように、上記化合物(1)は、ChREBPの核移行を阻害することによって、ChREBPの機能を阻害する物質である。以上の知見は、本発明者らが初めて見出した事項である。
本発明のさらに他の態様は、上述のスクロース吸収阻害剤またはChREBP阻害剤を含む、生活習慣病の処置用組成物である。
(1)処置用組成物を投与しなかった場合と比較して、疾患に係る1つ以上の症状の発症を防止する、または発症のリスクを低減する。
(2)処置用組成物を投与しなかった場合と比較して、疾患に係る1つ以上の症状の再発を防止する、または再発のリスクを低減する。
(3)処置用組成物を投与しなかった場合と比較して、疾患に係る1つ以上の症状の徴候の発生を防止する、または徴候が発生するリスクを低減する。
(4)処置用組成物を投与しなかった場合と比較して、疾患に係る1つ以上の症状の重篤度を低減する。
(5)処置用組成物を投与しなかった場合と比較して、疾患に係る1つ以上の症状の重篤度の上昇、または進行を防止する。
(6)処置用組成物を投与しなかった場合と比較して、疾患に係る1つ以上の症状の重篤度の上昇速度、または進行速度を低減する。
[4−1.製剤]
本発明の一実施形態に係るスクロース吸収阻害剤、ChREBP阻害剤または生活習慣病の処置用組成物は、常法に則り製剤され得る。より具体的には、ChREBPの機能阻害物質と、医薬品添加物を調合することによって製剤され得る。
本発明の一実施形態に係るスクロース吸収阻害剤、ChREBP阻害剤または生活習慣病の処置用組成物は、任意の剤型を取り得る。一例において、上記剤型は、錠剤、カプセル剤、内用剤、外用剤、坐剤、注射剤、吸入剤であり得る。
本発明の一実施形態に係るスクロース吸収阻害剤、ChREBP阻害剤または生活習慣病の処置用組成物は、医師または医療従事者の判断により、適宜処方され得る。
本発明の一態様に係るスクロース吸収阻害剤のスクリーニング方法は、(i)採取された細胞に被検物質を接触させる工程と、(ii)上記細胞におけるChREBPの機能阻害
を検出する工程と、を含む。
被検物質は、スクロース吸収阻害剤に含まれる有効成分の候補となる物質であって、具体的な構成は特に限定されない。被検物質は、低分子化合物、または、高分子化合物であってもよい。また、被検物質は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、糖、または、これらの複合体であってもよい。
本発明の一態様に係るスクロース吸収阻害剤のスクリーニング方法では、採取された細胞に被検物質を接触させた後、当該細胞におけるChREBPの機能阻害を検出する工程を行う。必要に応じて、細胞に被験物質を接触させた後、ChREBPの機能阻害を検出するまでに、当該細胞をさらに培養してもよい。
本発明の一態様は、ChREBPの機能阻害を検出する手段を備えている、物質のスクロース吸収阻害能を評価するためのキットである。このような手段としては、[5−2]節で説明した「ChREBPの機能阻害を検出する工程」で採用できる方法に用いられる手段を、適宜用いることができる。このような手段としては、例えば、(i)ChREBPタンパク質、ChREBP遺伝子(DNAおよびRNA)、ChREBPに関連する物質(糖輸送体、スクラーゼ、およびこれらをコードする遺伝子)を特異的に認識する抗体、(ii)ChREBP遺伝子およびChREBPに関連するタンパク質をコードする遺伝子を増幅するためのプライマー、などが挙げられる。その他にも、例えば、実施例に記載の実験方法を遂行するための手段およびその均等物も、上記手段に含まれる。
一態様において、本発明は、被験体のChREBPの機能を阻害する工程を含む、上記被験体のスクロース吸収を阻害する方法である。ChREBPの機能を阻害する方法は、〔1〕節に例示した通りである。上記阻害は、ChREBPの核移行を阻害することによって行われることが好ましい。また、上記阻害は、上記化合物(1)もしくはその誘導体、またはそれらの塩を被験体に投与することによって行われることも好ましい。
本発明には、以下の構成が包含されている。
<1>ChREBPの機能を阻害する物質を有効成分として含む、スクロース吸収阻害剤。
<2>上記有効成分は、ChREBPの核移行を阻害する物質である、<1>に記載のスクロース吸収阻害剤。
<3>上記有効成分は、上記化合物(1)もしくはその誘導体、またはそれらの塩である、<1>または<2>に記載のスクロース吸収阻害剤。
<4>上記化合物(1)もしくはその誘導体、またはそれらの塩を有効成分として含む、ChREBP阻害剤。
<5>ChREBPの機能を阻害する物質を有効成分として含む、UCP1の機能促進剤。
<6><1>〜<5>のいずれか1つに記載の剤を含む、生活習慣病の処置用組成物。
<7>採取された細胞に、被検物質を接触させる工程と;上記細胞におけるChREBPの機能阻害を検出する工程と;を含む、スクロース吸収阻害剤のスクリーニング方法。
<8>ChREBPの機能阻害を検出する手段を備えている、物質のスクロース吸収阻害能を評価するためのキット。
4週齢のChREBPノックアウトマウスおよび野生型マウスを、普通食群および高ショ糖食群に分けて飼育し、それぞれのマウスにおける生理的変化を追跡した。
<マウス>
・野生型マウス(C57BL/6J、オリエンタル酵母工業より購入)
・ChREBPノックアウトマウス(ChREBP-/-、Kosaku Uyeda (The University of Texas Southwestern Medical Center)より提供)
※野生型×普通食:8匹、野生型×高ショ糖食8匹、KOマウス×普通食8匹、KOマウス×高ショ糖食8匹の4群に分けて飼育した。
<飼料>
・普通食:オリエンタル酵母工業製 MF(360kcal、タンパク質:23.1g、脂質5.1g、糖質55.3g(100g当たり))
・高ショ糖食:オリエンタル酵母製 F2HScD(370kcal、タンパク質12g、脂質3g、糖質35g、ショ糖50g(100g当たり))。
・摂食量:高ショ糖食を与えた野生型マウスおよびChREBPノックアウトマウスについて、1週間の摂食量から1日当たりの摂食量を算出した。測定は、各マウスが12週齢および20週齢のときに行った。
・体重:5〜20週齢のマウスについて、各週齢に達した時点から2〜3日目の体重を測定した。
・随時血糖値:6、8、10、12、14、16、18、20週齢のマウスについて、毎日定時に血糖値を測定した。測定には、LAB Gluco(フォラケア・ジャパン製)を用いた。
・コレステロール値:(i)20週齢の普通食マウス、および(ii)20週齢の高ショ糖食マウスについて、各週齢に達した時点から2〜3日目の総コレステロール(T−CHO)、遊離コレステロール(F−CHO)およびエステル型コレステロール(E−CHO)の値を測定した。測定に用いたキットまたは算出方法は、以下の通りである。
総コレステロール:Lタイプワコー CHO・M(和光純薬工業製)
遊離コレステロール:Lタイプワコー 遊離コレステロール(和光純薬工業製)
エステル型コレステロール:総コレステロール値から遊離コレステロール値を減じた値をエステル型コレステロール値とした。
・脂質代謝関連物質:(i)20週齢の普通食マウス、および(ii)20週齢の高ショ糖食マウスについて、各週齢に達した時点から2〜3日目の中性脂肪(TG)、LDL−コレステロール(LDL−C)およびHDL−コレステロール(HDL−C)の値を測定した。測定に用いたキットは、以下の通りである。
中性脂肪:Lタイプワコー TG・M(和光純薬工業製)
LDL−コレステロール:コレステスト(登録商標)LDL(積水メディカル製)
HDL−コレステロール:コレステスト(登録商標)N HDL(積水メディカル製)
・血中フルクトース濃度:(i)10週齢の普通食マウス、および(ii)20週齢の高ショ糖食マウスについて、毎日定時に採血し、血中フルクトース濃度を測定した。測定には、ショ糖/グルコース/果糖測定キット(R-Biopharm製)を用いた。
図1は、(a)摂食量および(b)体重変化を表すグラフである。図1の(a)から判るように、高ショ糖食群の間では、摂食量に大きな違いは認められない。しかし、図1の(b)から判るように、高ショ糖食を与えた野生型マウスでは体重増加が促進されている(上の矢印)のに対し、高ショ糖食を与えたChREBPノックアウトマウスでは逆に体重増加が抑制されている(下の矢印)。また、普通食群の間では、体重の増加傾向に違いは認められなかった。
上記〔1〕で観察されたスクロース吸収阻害能を詳細に追究するため、ChREBPノックアウトマウスの小腸組織およびその機能を検討した。具体的には、以下の4点を検討した。
上記〔1〕における高ショ糖食群のマウス(20週齢)から小腸組織の切片を作製し、ヘマトキシリン・エオシン染色(HE染色)を行った。染色に使用したマイヤーのヘマトキシリンおよびエオシンは、いずれも和光純薬工業製であった。
上記〔1〕におけるそれぞれのマウス(20週齢)について、糖輸送体であるGlut2、Glut5およびSGLT1の発現を比較した。具体的には、以下の手順に従った。(1)小腸組織50mgを、Sepasol(登録商標)RNA I super G(ナカライテスク製)を用いてホモジナイズした。
(2)フェノール/クロロホルム抽出法により、RNAを抽出・精製した。
(3)次に、Glut2、Glut5およびSGLT1をコードするmRNAの量を、qRT−PCRによって定量した(測定値は、βアクチンの発現量で較正した)。PCR装置はQuantStudio(登録商標)12K Flex(Thermo Fisher Scientific製)を使用した。また、プライマーの合成はThermo Fisher Scientificに委託し、具体的な配列は下記表の通りである。
上記〔1〕におけるそれぞれのマウス(20週齢)について、スクラーゼの発現をウェスタン・ブロットによって比較した。具体的には、マウスの小腸組織を、SDSを含有しないRIPAバッファー(ナカライテスク製)でホモジナイズした。次に、1レーン当たり50μgのタンパク質を、7.5%SDSゲルで電気泳動させた。その後、セミドライ式ブロッターによって、PVDF膜状にタンパク質を転写した。
上記〔1〕における高ショ糖食群のマウス(20週齢)について、スクラーゼ活性を測定した。具体的には、以下の手順に従った。
(1)適量の小腸組織を、0.9%NaCl水溶液でホモジュネートした。その後、10,000×g、20分間の条件で遠心分離し、上清を分取した。
(2)上記上清に含まれるタンパク質濃度を測定した。測定には、Pierce BCA Protein Assay Kit(Thermo Fisher Scientific製)を用いた。
(3)タンパク質濃度が既知の試料(上記上清)50μLに、50mMのショ糖溶液を50μL加え、合計100μLとした。得られた反応液を、37℃にて1時間反応させた。(4)上記反応液にTris−HCl(pH7.0)を25μL加え、反応を停止させた。得られた停止反応液中の、フルクトース濃度およびグルコース濃度を測定した。測定には、ショ糖/グルコース/果糖測定キット(R-Biopharm製)を用いた。
1. Leforestier G, Blais A, Blachier F, Marsset-Baglieri A, Davila-Gay AM, Perrin E, Tome D. Effects of galacto-oligosaccharide ingestion on the mucosa-associated mucins and sucrase activity in the small intestine of mice. Eur J Nutr. 2009, 48(8):457-64.
2. Kim SH1, Hyun SH, Choung SY. Anti-diabetic effect of cinnamon extract on blood glucose in db/db mice. J Ethnopharmacol. 2006,104(1-2):119-23.。
図6は、高ショ糖食を与えた野生型マウス(左側)およびChREBPノックアウトマウス(右側)の小腸組織を表す顕微鏡像である。同図から判るように、両者の小腸組織には、外形的な変化は生じていない。
化合物(1)により、ChREBPの有する転写活性が阻害されることを、ルシフェラーゼアッセイにより確認した。具体的には、以下の操作によった。
(1)HEK293A細胞を、DMTM(Low glucose; Sigma Aldrich製)中、37℃にて、密度5×105個となるまで培養した。
(2)上記細胞に、(i)0.2μgのpRL-TKプラスミド(ウミシイタケルシフェラーゼを内在性コントロール遺伝子として含む;Promega製)、(ii)2.0μgののpGL3-LPKプラスミド(ホタルルシフェラーゼをレポーター遺伝子として含む;Promega製)、および(iii)1.0μgのHis-ChREBP発現用ベクターをトランスフェクションした。トランスフェクションには、Lipofectamine(登録商標)2000(Invitrogen製)を用いた。
(3)2時間後、培養液を新しいDMTMと交換し、さらに12時間培養した。
(4)培地に各種物質を添加し、培養条件を以下の5群に分けた。その後、さらに20時間培養した。
・5.5mMグルコース
・27.5mMグルコース
・5.5mMグルコース+DMSO(終濃度0.1%)
・27.5mMグルコース+DMSO(終濃度0.1%)
・27.5mMグルコース+10μM化合物(1)(10mMに調整した化合物(1)のストックを、培養液に1000分の1量添加した)
(5)培養上清を除去した後、Dual-luciferase(登録商標)Reporter Assay System(Promega製)を用いてレポーターアッセイを行った。測定には、GloMax(登録商標)20/20n(Promega製)を用いた。このアッセイにおいて、ChREBPの転写活性は、発光強度として測定される。
図9は上記アッセイの結果を表すグラフである。通常、ChREBPのターゲット遺伝子への結合は、高濃度のグルコースによって誘導される。しかし、化合物(1)によって上記結合が阻害されることが、同図から示された(p<0.05)。
ChREBPが、UCP1(uncoupling protein 1)の発現を抑制することを確認した。具体的には、野生型マウスおよびChREBPノックアウトマウスにおける、UCP1の発現量を比較した。その結果、ChREBPノックアウトマウスは、UCP1のmRNAの発現量も(図10の(a))、UCP1のタンパク質の発現量も(図10の(b))、いずれも野生型マウスより多かった。この事実から、ChREBPはUCP1の発現を抑制する機能を有していると推定される。
1.野生型マウスにおいてもChREBPノックアウトマウスにおいても、PGC−1の発現量には違いがなかった(図11の(b))。つまり、PGC−1自体には、野生型マウスとChREBPノックアウトマウスとの間に変化はないと考えられる。
2.UCP1遺伝子の46bp上流に、ChREBPが結合する配列が発見された。この配列は、RXR/TR複合体が結合するDNA上の部位とも近いので、PGC−1/RXR/TR複合体とChREBPとが結合しうることは、充分な蓋然性があると言える。
3.ルシフェラーゼアッセイによると、ChREBPを強発現した場合のほうが、レチノイン酸(RXRのリガンド)添加に応答するUCP1転写活性が向上していた(図12)。この事実から、ChREBPによるUCP1の発現抑制は、LXR/RXR/PPAR複合体およびRXR/TR複合体による制御の上流にあることが示唆される。
野生型マウスおよびChREBPノックアウトマウスに通常食を与え、ChREBPが脂肪細胞に及ぼす効果を検討した。その結果、ChREBPノックアウトマウスでは、褐色脂肪細胞および白色脂肪細胞のいずれにおいても、Glut5遺伝子が全く発現しておらず、Glut4の発現も抑制されていた(それぞれ、図13の(a)、(b))。つまり、ChREBPノックアウトマウスでは、脂肪細胞へのスクロースの取り込みが抑制されていると考えられる。このことは、組織学的にも検証された(図14)。同図によると、野生型マウスの褐色脂肪細胞には多くの脂肪滴が確認されるのに対し、ChREBPノックアウトマウスの褐色脂肪細胞では確認される脂肪滴が数量ともに少なかった。
〔4〕および〔5〕の実験結果から、ChREBPと脂肪との関係が示唆される。ChREBPには、UCP1遺伝子の転写を抑制する機能があると考えられる。それゆえ、ChREBPノックアウトマウスでは、UCP1の発現量が増加する。その結果、ミトコンドリアでの脱共役が発生し、ミトコンドリアの機能がATPの合成ではなく熱産生に傾く。個体全体の観点からは、体組織中の脂肪量が減少する。このことから、ChREBPを阻害することにより、脂肪の減少効果が得られることが期待される。
Claims (8)
- ChREBPの機能を阻害する物質を有効成分として含む、スクロース吸収阻害剤。
- 上記有効成分は、ChREBPの核移行を阻害する物質である、請求項1に記載のスクロース吸収阻害剤。
- 上記有効成分は、以下の化合物(1)もしくはその誘導体、またはそれらの塩である、請求項1または2に記載のスクロース吸収阻害剤。
- 以下の化合物(1)もしくはその誘導体、またはそれらの塩を有効成分として含む、ChREBP阻害剤。
- ChREBPの機能を阻害する物質を有効成分として含む、UCP1の機能促進剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の剤を含む、生活習慣病の処置用組成物。
- 採取された細胞に、被検物質を接触させる工程と、
上記細胞におけるChREBPの機能阻害を検出する工程と、を含む、スクロース吸収阻害剤のスクリーニング方法。 - ChREBPの機能阻害を検出する手段を備えている、物質のスクロース吸収阻害能を評価するためのキット。
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