《実施形態1》
以下、本発明の実施形態1を、図面を用いて説明する。図1は住宅10の電力系統図である。図1に示されるように、住宅10には電力会社の電力系統(以下、商用電力系統という)が引き込まれている。そして、当該商用電力系統には、電力量計20を介して、配電盤30及び当該配電盤30に接続された負荷40からなる家庭内電力系統が接続されている。また、家庭内電力系統には、商用電力系統の停電時に非常用電源として動作する蓄電ユニット41が接続されている。
負荷40は、住宅10で使用される電気機器であり、例えば空調機、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、テレビ、パーソナルコンピュータ等の家電である。負荷40それぞれは、配電盤30に接続されている。
図2は、配電盤30のブロック図である。図2に示されるように、配電盤30は、主幹ブレーカ31、漏電ブレーカ32、コンタクタ33、複数の分岐ブレーカ34を備えている。
主幹ブレーカ31は、商用電力系統と、住宅10の家庭内電力系統とを分離する遮断器である。この主幹ブレーカ31は、商用電力系統から家庭内電力系統へ過電流が流れた場合等に、商用電力系統と連系する家庭内電力系統を、商用電力系統から解列する。なお、主幹ブレーカ31は、電力会社によっては設置されない場合もある。
漏電ブレーカ32は、主幹ブレーカ31の二次側(負荷側)に設けられている。この漏電ブレーカ32は、漏電ブレーカ32の二次側で漏電が発生した場合にオフとなる。漏電ブレーカ32がオフになることで、漏電ブレーカ32の二次側の負荷40が商用電力系統から切り離される。
コンタクタ33は、漏電ブレーカ32の二次側に設けられている。このコンタクタ33は、充放電装置50からの開閉指令によって動作し、商用電力系統と家庭内電力系統とを連系し、また解列する。
漏電ブレーカ32とコンタクタ33の間には、電圧検出変圧器VT1と変流器CT1が設けられている。電圧検出変圧器VT1は、商用電力系統の電圧に比例した電圧の電圧信号V1を出力する。また、変流器CT1は、漏電ブレーカ32とコンタクタ33の間を流れる電流に比例した値の電流信号I1を出力する。なお、図2では、コンタクタ33が1台である場合が示されているが、2台のコンタクタ33が直列に接続されていてもよい。これにより、いずれかのコンタクタ33の接点に溶着が発生したとしても、確実に負荷40及び蓄電ユニット41を、商用電力系統から切り離すことができる。
分岐ブレーカ34は、コンタクタ33の二次側に相互に並列になった状態で設けられている。これらの分岐ブレーカ34それぞれは、負荷40及び蓄電ユニット41ごとに設けられている。この分岐ブレーカを開閉させることで、電力系統から負荷40及び蓄電ユニット41をそれぞれ切り離すことができる。
上述した、主幹ブレーカ31、漏電ブレーカ32、コンタクタ33、及び分岐ブレーカ34それぞれは、金属製或いは樹脂製の筐体に収容されている。
蓄電ユニット41は、充放電装置50と、この充放電装置50にコネクタ90を介して接続される電気自動車80を有している。図3は、充放電装置50のブロック図である。図3に示されるように、充放電装置50は、コンタクタ51、直列に接続された3つの交直変換器53,54,55、各交直変換器53,54,55を駆動する駆動ユニット61,62,63、上記各部を統括的に制御する制御ユニット66、制御ユニット66に電力を供給する電力供給ユニット64、停電時の始動電力が蓄えられたバッテリユニット65等を有している。
コンタクタ51は、配電盤30に収容された分岐ブレーカ34の二次側に配置されている。このコンタクタ51は、制御ユニット66からの指示に基づいて動作する。コンタクタ51がオフの場合には、充放電装置50が負荷40から切り離され、コンタクタ51がオンの場合には、充放電装置50が負荷40に接続される。
交直変換器53は、トランジスタ等のスイッチング素子と、トランジスタに並列に接続されたダイオードを有する。この交直変換器53は、コンタクタ51の二次側に、リアクトル52A,52Bを介して接続されている。交直変換器53は、一次側(電力系統側)から供給される交流電力を直流電力に変換する。または、二次側から供給される直流電力を交流電力に変換する。
交直変換器54は、交直変換器53と同様に、トランジスタ等のスイッチング素子とダイオードを有している。この交直変換器54は、交直変換器53の二次側に接続されている。そして、交直変換器54は、一次側から供給される直流電力を交流電力に変換する。または、二次側から供給される交流電力を直流電力に変換する。交直変換器53と交直変換器54の間には、各交直変換器53,54の端子間電圧を安定させるためのコンデンサ57が接続されている。
交直変換器55は、上記交直変換器53,54と同様に、トランジスタ等のスイッチング素子とダイオードを有している。この交直変換器55は、絶縁トランス58を介して、交直変換器54の二次側に接続されている。そして、交直変換器55は、一次側から供給される交流電力を直流電力に変換する。または、二次側から供給される直流電力を交流電力に変換する。交直変換器55の二次側には、交直変換器55の端子間電圧を安定させるためのコンデンサ59が接続されている。
上記絶縁トランス58は、商用電力系統と蓄電ユニット41を絶縁する目的で設置されている。絶縁トランス58が配置されることで、交直変換器54,55を用いて、例えば、交直変換器54の二次側の交流電圧と、交直変換器55の一次側の交流電圧との出力位相を調整して、コンデンサ57の両端電圧よりコンデンサ59の両端電圧を高くしたり、或いは低くしたりすることができる。逆に、蓄電ユニット41から電力が供給される場合に、コンデンサ59の両端電圧よりコンデンサ57の両端電圧を高くしたり、或いは低くしたりすることができる。
充放電装置50では、上記交直変換器53〜55が協働することで、商用電力系統からの交流電力が直流電力に変換され、電気自動車80に供給される。また、電気自動車80からの直流電力が交流電力に変換され、配電盤30を介して負荷40に供給される。
駆動ユニット61,62,63は、制御ユニット66の指示に基づいて、それぞれ交直変換器53,54,55を構成するスイッチング素子を動作させる。駆動ユニット61〜63の制御に用いられる電力は、制御ユニット66から供給される。
ここで、説明の便宜上、充放電装置50の一次側から二次側に電力が供給されるときの交直変換器53〜55の動作を充電動作とし、充放電装置50の二次側から一次側に電力が供給されるときの交直変換器53〜55の動作を放電動作とする。
電力供給ユニット64は、制御ユニット66へ電力を供給するためのユニットである。この電力供給ユニット64には、商用電力系統が整流回路60を介して接続されている。そのため、電力供給ユニット64に、整流回路60によって交流電圧から変換された直流電圧が印加された状態になる。この状態のときには、電力供給ユニット64は、整流回路60を介して供給される電力を制御ユニット66へ供給する。同時に、整流回路60を介して供給される電力をバッテリユニット65にも供給する。これにより、バッテリユニット65に対する充電が行われる。
また、電力供給ユニット64は、交直変換器54の一次側にダイオード56を介して接続されている。電力供給ユニット64は、整流回路60の二次側の直流電圧より、交直変換器53〜55の動作によって発生する直流電圧の方が高い場合に、ダイオード56を介して供給される電力を、制御ユニット66へ供給する。
また、電力供給ユニット64には、バッテリユニット65が接続されている。そのため、商用電力系統が停電することにより、交直変換器53〜55の動作が一次的に停止した場合や、交直変換器53〜55の動作が停電発生前から停止していた場合には、電力供給ユニット64にバッテリユニット65の直流電圧が印加された状態になる。この状態のときには、電力供給ユニット64は、バッテリユニット65から供給される電力を制御ユニット66へ供給する。
バッテリユニット65は、電解液が充填された複数のセルからなるバッテリを有している。このバッテリユニット65には、商用電力系統が停電した場合に、交直変換器53〜55の始動に用いられる電力が充電される。当該バッテリユニット65に対する充電は、上述のように商用電力系統が健全である場合に、整流回路60を介して電力が供給されることにより実現する。
制御ユニット66は、CPU、主記憶部、補助記憶部、インタフェースを有するコンピュータを備えている。この制御ユニット66は、電圧検出変圧器VT1からの電圧信号V1と、変流器CT1からの電流信号I1を監視して、電力供給ユニット64、配電盤30のコンタクタ33、充放電装置50のコンタクタ51を制御する。また、駆動ユニット61〜63を介して交直変換器53〜55を制御する。制御ユニット66の動作については後述する。
図4は、電気自動車80の制御系を示すブロック図である。電気自動車80は、コネクタ90を介して、充放電装置50に着脱自在に接続される。図4に示されるように、電気自動車80は、開閉スイッチ81、メインバッテリユニット82、充電ユニット83、補機用バッテリ84、駆動ユニット85、車両制御ユニット86を有している。
開閉スイッチ81は、駆動ユニット85によって駆動されるコンタクタである。この開閉スイッチ81は、住宅10の家庭内電力系統と電気自動車80を連系し、また解列する。
メインバッテリユニット82は、開閉スイッチ81の二次側に接続されている。このメインバッテリユニット82は、電気自動車80の走行に使用される電力を蓄えるためのユニットである。このメインバッテリユニット82のバッテリとしては、複数のリチウムイオン電池が用いられる。本実施形態では、3V〜4Vのリチウムイオン電池セルが直列に接続されることで、端子電圧200V〜400V程度のバッテリが構成されている。
メインバッテリユニット82は、コネクタ90が電気自動車80に接続されることで、充放電装置50に接続される。そして、電気自動車80の開閉スイッチ81がオンのときに充放電装置50に連系され、住宅10の家庭内電力系統に対して、電力の充電及び放電が可能な状態になる。
補機用バッテリ84は、車両制御ユニット86の制御に用いられる電力を蓄えるためのバッテリである。この補機用バッテリ84は、端子電圧が12Vもしくは24V程度で、電解液が充填された複数のセルから構成されている。
充電ユニット83は、メインバッテリユニット82と補機用バッテリ84の間に設けられている。この充電ユニット83は、メインバッテリユニット82の電圧を降圧して、補機用バッテリ84と、車両制御ユニット86に印加する。これにより、補機用バッテリ84の充電と、車両制御ユニット86への電力の供給が実現する。
駆動ユニット85は、車両制御ユニット86の指示に基づいて、開閉スイッチ81を駆動する。
車両制御ユニット86は、CPU、主記憶部、補助記憶部、インタフェースを有するコンピュータを備えている。この車両制御ユニット86は、コネクタ90を介して制御ユニット66と接続されている。そして、制御ユニット66からの指示に基づいて、駆動ユニット85を動作させる。また、車両制御ユニット86は、メインバッテリユニット82に蓄電された電力量などの情報を取得し、必要に応じて、制御ユニット66に当該情報を提供する。
次に、上述した充放電装置50の動作を、図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6は、充放電装置50を構成する制御ユニット66によって実行される一連の処理を示すフローチャートである。まず、図5を参照して、制御ユニット66が実行する電源切替処理を説明する。
電源切替処理は、商用電力系統が停電した場合に、負荷40の電源を、商用電力系統からメインバッテリユニット82に切り替える処理である。この電源切替処理は、電気自動車80のメインバッテリユニット82に十分な電力が蓄えられているときに実行される。
最初のステップS201では、制御ユニット66は、商用電力系統に停電が発生したか否かを判断する。商用電力系統に停電が発生した場合には、商用電力系統の電圧が零になるため、電圧検出変圧器VT1からの電圧信号V1の値が所定の閾値以下になる。そこで、制御ユニット66は、電圧信号V1の値を監視し、当該電圧信号V1の値が所定の閾値以下になった場合に、商用電力系統に停電が発生したと判断し(ステップS201:Yes)、次のステップS202へ移行する。
次のステップS202では、制御ユニット66は、電力供給ユニット64へ、停電の発生を通知する。そして、制御ユニット66は、交直変換器53〜55が受電動作を実行しているときに、商用電力系統に停電が発生した場合には、交直変換器53〜55の動作を停止させる。
電力供給ユニット64は、制御ユニット66から停電の発生が通知されると、バッテリユニット65に蓄えられた電力を制御ユニット66に供給する。これにより、制御ユニット66は、引き続き充放電装置50を構成する交直変換器53〜55の制御を行うことができる。
次のステップS203では、制御ユニット66は、電気自動車80を構成する車両制御ユニット86に、メインバッテリユニット82の解列指示を通知する。電気自動車80の車両制御ユニット86は、解列指示を受信すると、駆動ユニット85を駆動して開閉スイッチ81をオフにする。これにより、メインバッテリユニット82が商用電力系統から解列する。
次のステップS204では、制御ユニット66は、充放電装置50のコンタクタ51をオフにする。これにより、充放電装置50が、商用電力系統から解列する。なお、停電発生時に交直変換器53〜55が停止していた場合、開閉スイッチ81及びコンタクタ51はオフ(開)である。このため、ステップS203、S204の処理をしなくても支障はない。
次のステップS205では、制御ユニット66は、住宅10に居住するユーザからの電源切替操作を待ち受ける。この電源切替操作は、災害等が原因で商用電力系統がある程度長期にわたって停電する場合、または事前に通告のある計画停電が行われる場合に、電気自動車80の走行に使用される電力を、住宅10に設置された負荷に供給するための操作である。本実施形態では、例えば、上記電源切替操作は、充放電装置50に設けられた操作スイッチが操作されることによって実現する。
制御ユニット66は、居住者によって電源切替操作が行われるまで(ステップS205:No)、ステップS201〜S205までの処理を繰り返し実行する。一方、制御ユニット66は、居住者等によって電源切替操作が行われると(ステップS205:Yes)、ステップS206へ移行する。
ステップS206では、制御ユニット66は、配電盤30に収容されたコンタクタ33をオフにする。これにより、商用電力系統から家庭内電力系統が解列できる。
上記、ステップS203〜S206までの処理によって、商用電力系統と家庭内電力系統とが完全に解列する。これにより、停電時に家庭内電力系統への電力供給源が、商用電力系統から電気自動車80のメインバッテリユニット82に切替わっても、商用電力系統への逆潮流が防止され、停電時のメンテナンスを行う作業員の安全を確保することができる。
次のステップS207では、制御ユニット66は、電気自動車80を構成する車両制御ユニット86に、メインバッテリユニット82の連系指示を通知する。電気自動車80の車両制御ユニット86は、連系指示を受信すると、駆動ユニット85を駆動して開閉スイッチ81をオンにする。これにより、メインバッテリユニット82が充放電装置50に接続される。
次のステップS208では、制御ユニット66は、充放電装置50のコンタクタ51をオンにする。これにより、充放電装置50が、家庭内電力系統に連系される。
次のステップS209では、制御ユニット66は、各駆動ユニット61〜63に、放電動作の開始を指示する。各駆動ユニット61〜63は、放電動作開始指示を受信すると、交直変換器53〜55に放電時の動作をさせる。これにより、交直変換器53〜55が、放電動作を開始する。そして、電気自動車80に蓄えられた電力が、住宅10に設置された負荷40に供給される。また、電力供給ユニット64は、交直変換器54が放電動作を開始すると、交直変換器54からの電力を制御ユニット66及びバッテリユニット65に出力する。これにより、制御ユニット66の動作が維持されるとともに、バッテリユニット65の充電が開始される。なお、充放電装置50のコンタクタ51をオンにする動作(ステップS208)を、放電動作開始後に実行しても何ら問題はない。制御ユニット66は、ステップS209の処理が終わると、電源切替処理を終了する。
次に、図6を参照して、制御ユニット66が実行する電源復旧処理を説明する。電源復旧処理は、商用電力系統が停電から復旧した場合に、負荷40の電源を、メインバッテリユニット82から商用電力系統へ切り替えることで、商用電力系統を電源として復旧させる処理である。この電源復旧処理は、商用電力が健全になったときに実行可能となる。
最初のステップS301では、制御ユニット66は、電圧が復旧したか否かを判断する。商用電力系統が復旧した場合には、商用電力系統の電圧が定格電圧になるため、電圧検出変圧器VT1からの電圧信号V1の値が所定の閾値以上になる。そこで、制御ユニット66は、電圧信号V1の値を監視し、当該電圧信号V1の値が所定の閾値以上になった場合に、商用電力系統の電圧が復旧したと判断し(ステップS301:Yes)、次のステップS302へ移行する。
次のステップS302では、制御ユニット66は、住宅10に居住するユーザからの電源復旧操作を待ち受ける。この電源復旧操作は、商用電力系統が停電から復旧した場合に、負荷40の電源を商用電力系統に切り替えるための操作である。本実施形態では、例えば、上記電源復旧操作は、充放電装置に設けられた操作スイッチが操作されることによって実現する。
制御ユニット66は、電源復旧操作がない場合は(ステップS302:No)、ステップS301,S302の処理を繰り返し実行する。また、制御ユニット66は、電源復旧操作がなされた場合は(ステップS302:Yes)、ステップS303へ移行する。
ステップS303では、制御ユニット66は、各駆動ユニット61〜63に、放電動作の停止を指示する。各駆動ユニット61〜63は、放電動作停止指示を受信すると、交直変換器53〜55の動作を停止させる。これにより、交直変換器53〜55の動作が停止する。
交直変換器53〜55の動作が停止すると、電力供給ユニット64は、バッテリユニット65に蓄えられた電力を制御ユニット66に供給する。これにより、制御ユニット66の動作が維持される。
次のステップS304では、制御ユニット66は、配電盤30に収容されたコンタクタ33をオンにする、これにより、商用電力系統に家庭内電力系統が連系する。
次のステップS305では、制御ユニット66は、各駆動ユニット61〜63に、充電動作の開始を指示する。各駆動ユニット61〜63は、充電動作開始指示を受信すると、交直変換器53〜55に充電時の動作をさせる。これにより、交直変換器53〜55が、充電動作を開始する。そして、商用電力系統からの電力が、住宅10に設置された負荷40に供給される。また、電力供給ユニット64は、商用電力系統と家庭内電力系統との連系が完了すると、商用電力系統からの電力を制御ユニット66及びバッテリユニット65に出力する。これにより、制御ユニット66の動作が維持されるとともに、バッテリユニット65の充電が開始される。制御ユニット66は、ステップS305の処理が終わると、電源復旧処理を終了する。なお、本実施形態では、電源復旧処理でメインバッテリユニット82の充電動作を速やかに実行したが、必ずしも、当該充電動作を速やかに実行する必要はない。例えば、開始時刻を予約し、予約した時刻から充電動作を開始することとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態では、商用電力系統が停電した際には、充放電装置50を構成するバッテリユニット65の電力が制御ユニット66に供給される。そして、当該制御ユニット66は、バッテリユニット65から供給される電力を用いて、配電盤30のコンタクタ33をオフにして、商用電力系統から家庭内電力系統を解列する。次に、制御ユニット66は、交直変換器53〜55を動作させて、電気自動車80のメインバッテリユニット82に蓄えられた電力を、住宅10の負荷40に供給する。
したがって、商用電力系統に停電が発生することにより、当該商用電力系統から制御に用いる電力の供給がストップしても、バッテリユニット65に蓄えられた電力によって、確実に住宅10に設置された負荷40へ電気自動車80に蓄えられた電力が供給される。これにより、商用電力系統の停電時に速やかに負荷に電力を供給することが可能となる。
また、当該商用電力系統から制御に用いる電力の供給がストップしても、バッテリユニット65に蓄えられた電力によって、商用電力系統から家庭内電力系統が解列する。このため、商用電力系統が健全なときに蓄えられた電力が、商用電力系統に逆潮流することを確実に回避することができる。
《実施形態2》
次に本発明の実施形態2を、図面を用いて説明する。なお、実施形態1と同一又は同等の構成については、同等の符号を用いるとともに、その説明を省略又は簡略する。図7は、本実施形態に係る住宅10の電力系統図である。図7に示されるように、本実施形態は、家庭内電力系統に太陽光発電ユニット70が接続されている点で、実施形態1と相違している。
図7に示されるように、太陽光発電ユニット70は、例えば住宅10の屋根に配置される太陽電池パネル72と、太陽電池パネル72の電圧を交直変換するインバータ71を有している。
図8に示されるように、本実施形態では、太陽光発電ユニット70は、コンタクタ33と、分岐ブレーカ34の間から分岐した配線に、分岐ブレーカ35を介して接続されている。
一般に、太陽光発電ユニット70が設置される場合には、当該太陽光発電ユニット70によって発電された電力が商用電力系統に逆潮流することは認められるが、蓄電ユニット41等の蓄電手段に蓄えられた電力を、商用電力系統に逆潮流させることは認められていない。そこで、太陽光発電ユニット70については、停電時に、住宅10の負荷40に電力を供給できるように、コンタクタ33の二次側で、かつ、変流器CT2の一次側に接続される。
本実施形態では、制御ユニット66によって、コンタクタ33を通過する電流が変流器CT1を用いて計測される。また、それぞれの分岐ブレーカ34を流れる電流の合計が変流器CT2を用いて計測される。そして、太陽光発電ユニット70の分岐ブレーカ35を通過する電流が変流器CT3を用いて計測される。
このため、制御ユニット66は、変流器CT1からの電流信号I1から、商用電力系統と家庭内電力系統との間でやりとりされる電力P1を計測し、変流器CT2からの電流信号I2から、商用電力系統へ逆潮流した電力P2を計測し、変流器CT3からの電流信号I3から、太陽光発電ユニット70で発電された電力P3を計測することができる。
したがって、制御ユニット66は、電力P2を監視することで、蓄電ユニット41からの逆潮流を検出し、速やかに当該逆潮流を防止するための制御を行うことができる。この制御としては、交直変換器53〜55の動作を停止したり、放電量を低下させること等が考えられる。
また、制御ユニット66は、太陽光発電ユニット70が動作していないときには、電力P1と電力P2が等しくなることを利用して、変流器の誤接続や断線等の検出もできる。太陽光発電ユニット70が動作している場合には、P3の符号から変流器CT3の誤接続や断線等を検出することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、商用電力系統に停電が発生した場合には、ユーザからの電源切替操作があった場合に(ステップS206:Yes)、電源切替処理を完結することとした。これに限らず、商用電力系統が停電した際に、自動的に商用電力系統から家庭内電力系統を解列して、蓄電された電力を住宅10の負荷40へ供給することとしてもよい。
上記実施形態では、商用電力系統の停電時に、電気自動車80に蓄えられた電力を負荷40へ供給する場合について説明した。これに限らず、蓄電ユニット41は、電気自動車80に変えて専用のバッテリを備えた蓄電手段を備えていてもよい。また、蓄電ユニット41は、風力発電装置とバッテリとを備える蓄電ユニット等であってもよい。
上記実施形態の充放電装置50では、交直変換器54と交直変換器55との間に配置された絶縁トランス58によって、充放電装置50の一次側と二次側とが絶縁されている。これに限らず、例えば、図9に示されるように、コンタクタ51の一次側に絶縁トランス58を配置することによって、充放電装置50の一次側と二次側とを絶縁することとしてもよい。この場合には、交直変換器53と、スイッチング素子及びリアクトル52Cを有する電圧変換器67とで、交流電力と直流電力の変換を行うことができる。
図9の例では、商用電源側の電圧に対応した絶縁トランス58が必要になるため、当該絶縁トランス58が大型化する。しかしながら、3つの交直変換器53〜55で構成された変換回路が、交直変換器53と電圧変換器67で構成されるため、装置の構成が簡素となる。このため、適用するアプリケーションにより装置の製造コストを削減することができる場合もある。
また、図9の例では、変換回路を構成するスイッチング素子の数が少なくなるため、スイッチング素子での損失が低減するとともに、装置の信頼性が向上する。さらに、交直変換器53と電圧変換器67との電位を共通にすることができるため、スイッチング素子の駆動電源を共通化することができる。その結果的、電力変換の応答性を向上させることができる。
上記実施形態では、図3に示されるように、充放電装置50が、単相の交直変換器54,55を有している場合について説明した。これは一例であり、例えば図10に示されるように、充放電装置50は、三相の交直変換器54,55を有していてもよい。この場合には、絶縁トランス58として、Y−Y結線の絶縁トランス、Y−Δ結線の絶縁トランス、或いはΔ−Δ結線のトランスを用いることができる。
上記実施形態では、図3及び図10に示されるように、充放電装置50を構成する単相の交直変換器53が、家庭内電力系統に接続される場合について説明した。この交直変換器53は、図示していないが三相の交直変換器であってもよい。交直変換器53が三相の交直変換器である場合には、住宅10に設置された三相負荷に電力を供給することができる。また、単相三線式の家庭内電力系統への対応も容易になる。
上記実施形態では、図3に示されるように、交直変換器53,54の端子間に、1つのコンデンサ57が接続されている場合について説明した。これに限らず、交直変換器53の端子間にコンデンサ57とは別のコンデンサを直列に接続することとしてもよい。これにより、直列接続されたコンデンサの間に接地可能な中性点を設けることができる。その結果、単相三線出力に対応することができる。
上記実施形態では、バッテリユニット65が、電解液が充填された複数のセルからなることとした。これに限らず、バッテリユニット65は、リチウムイオン電池セル等を有していてもよい。また、当該バッテリユニット65は、制御に用いられる電力を蓄えるだけでよいため、例えばアルカリ乾電池等を用いることも可能である。また、バッテリユニット65を常時設置した状態にするのではなく、端子口を準備することで、停電時にのみバッテリユニット65を、制御ユニット66に接続したり、バッテリユニット65の充電が不十分な場合に、汎用の乾電池を接続して、制御ユニット66に電力を供給してもよい。また、バッテリユニット65に代えて、携帯用発電機、燃料電池、太陽電池、風力発電機を用いてもよい。
上記携帯用発電機は、プロパンガス、ガソリン、軽油を利用して発電するものや、給湯器に蓄えられた熱エネルギーを利用して発電するペルチェ素子で構成されたもので何ら問題はない。この場合にも、上記バッテリユニット65と同等の効果を実現することができる。
上記実施形態では、電気自動車80を構成するメインバッテリユニット82が、リチウムイオン電池セルが直列に接続されることで構成されたバッテリを備えることとした。これに限らず、メインバッテリユニット82は、リチウム電池セル以外の電池セルからなるバッテリを備えていてもよい。また、メインバッテリユニット82の端子間電圧は、200V〜400Vに限定されるものではない。
上記実施形態では、車両制御ユニット86が、メインバッテリユニット82に蓄電された電力量などの情報を取得し、必要に応じて、電気自動車80のユーザに取得した情報を提供する場合について説明した。メインバッテリユニット82についての情報としては、電池電圧、充電電流、放電電流、電池容量、充電状態、各セルの温度等が考えられる。充放電装置50を構成する制御ユニット66は、上記情報に基づいて、交直変換器53〜55の動作を制御することとしてもよい。
上記実施形態では、図2に示されるように、主幹ブレーカ31の二次側に漏電ブレーカ32が設置されている。この漏電ブレーカ32とは別に、各分岐ブレーカ34と直列に漏電ブレーカをそれぞれ設置してもよい。
上記実施形態では、図2に示されるように、配電盤30に、主幹ブレーカ31、漏電ブレーカ32、コンタクタ33、複数の分岐ブレーカ34が収容されている場合について説明した。図2に示される例は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、主幹ブレーカ31、漏電ブレーカ32、コンタクタ33を、配電盤30とは別の配電盤に収容することとしてもよい。
上記実施形態では、電源切替処理において、電気自動車80の開閉スイッチ81、充放電装置50のコンタクタ51、配電盤30に収容されたコンタクタ33によって、商用電力系統からメインバッテリユニット82が解列する。このように、直列に接続された複数の機器によって解列を行うことで、いずれかの機器に動作不良が生じた場合にも、商用電力系統からメインバッテリユニット82を、確実に解列することができる。これにより、商用電力系統への逆潮流を確実に防止することができる。
また、電力系統と家庭内電力系統とを解列するための機器、例えば図2に示されるコンタクタ33などの機器は、ノーマルオフにならない機器を用いることが望ましい。ノーマルオフにならない機器を使用することで、短時間の停電時に不必要な解列が生じることを回避することができる。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。