JP2019089961A - インク組成物用の分散液、インク組成物、積層体、像形成方法、及び印刷物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(硬化膜作成条件:分散液と、光重合開始剤と、を含有させたインク組成物を波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより硬化する。)
R4−CH=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(2)
(式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数2以上20以下の2価の有機残基を示し、R3は水素原子又は炭素数1以上11以下の1価の有機残基を示し、R4は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。)
本実施形態の分散液は、吸光度測定において以下の式により定義される波長360nmから400nmまでの吸光度の積が40以下である。
黄色系顔料とは、カラーインデックス(C.I)で黄色顔料に分類される顔料である。黄色系顔料に用いられる顔料としては、波長400nmから480nm程度の青色や紫色等の光を吸収する顔料であることが好ましく、波長360nmから400nm程度の光をできるだけ吸収しない顔料であることが好ましい。
本実施形態の分散液に含有される顔料分散剤は、アミン価が20mgKOH/g以下、且つ、酸価が10mgKOH/g以下であって、スチレン由来の繰り返し単位と、炭素数が12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位とを有する共重合体(以下単に「共重合体」と称する場合がある。)、共重合体のアルカリ金属塩、共重合体のアルカリ土類金属塩、共重合体のアンモニウム塩、及び共重合体のアミン誘導体よりなる群から選択される1種以上(以下単に「共重合体等」と称する場合がある。)を含むものである。尚、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他の顔料分散剤を含んでいてもよい。
炭素数が12以上の不飽和脂肪酸は、エチレン性二重結合を1つ以上有していればよく、特に限定されない。中でも、顔料の分散性及び分散安定性の点から、炭素数が12以上の不飽和脂肪酸であることが好ましく、炭素数が15以上の不飽和脂肪酸であることが好ましく、炭素数が16以上の不飽和脂肪酸であることが更に好ましい。顔料の分散性及び分散安定性の点から、炭素数が30以下の不飽和脂肪酸であることが好ましく、炭素数が20以下の不飽和脂肪酸であることが好ましく、炭素数が18以下の不飽和脂肪酸であることが更に好ましい。
炭素数が12以上の不飽和脂肪酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
顔料分散剤として用いられる、上記共重合体は、更にその他の繰り返し単位を有していてもよい。その他の繰り返し単位としては、エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸化合物由来の繰り返し単位等が挙げられる。具体例としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられ、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のような酸無水物となっていてもよい。
顔料分散剤として用いられる上記共重合体は、上記スチレン由来の繰り返し単位と、上記炭素数が12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、上記エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位と、必要に応じて他の繰り返し単位とを、例えば、エマルジョン、サスペンション、析出、溶液及びバルク重合のような公知の重合方法で製造することができる。中でも、フリーラジカル溶液重合及びバルク重合が好ましい。
本実施形態の分散液には、活性エネルギー線重合性モノマーを含有してもよい。活性エネルギー線重合性モノマーとしては、例えば、モノマーA):下記一般式(1)で表される単官能モノマー、及び/又はモノマーB):下記一般式(2)で表される多官能モノマーを挙げることができる。尚、本明細書において、「モノマーA)等のモノマーを含有する」とは、分子構造が同一の単独のモノマーA)等のモノマーを含有することのみならず、分子構造が異なる2種以上のモノマーA)等のモノマーを含有することも含まれる概念である。
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数2以上20以下の2価の有機残基を示し、R3は水素原子又は炭素数1以上11以下の1価の有機残基を示し、R4は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。)
本実施形態の分散液は、必要に応じて重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤としては、特に限定されず、例えば、ジフェニルピクリルヒドラジド、トリ−p−ニトロフェニルメチル,p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、ピクリン酸、塩化銅、メチルハイドロキノン、メトキノン、tert−ブチルハイドロキノン、フェノチアジン類、ニトロソアミン類等の重合禁止剤を用いることができる。
本実施形態の分散液において、分散液の製造方法は特に限定されないが、通常顔料分散工程を有するものである。
上記に記載した実施形態の分散液からインク組成物を製造することができる。上記に記載した通り、上記の実施形態の分散液は、波長360nmから400nmまでの吸光度の積及び硬化膜の色相が調整されているため、硬化性に優れ、黄色系インク組成物として適した色相の硬化膜を形成するインク組成物である。更に光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤は、波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより活性エネルギー線重合性モノマーの重合反応を促進する光重合開始剤であることが好ましい。このような光重合開始剤は硬化速度、照射装置の入手容易さ、価格等の観点において優れた光重合開始剤である。又、上記に記載した分散液は、波長360nmから400nmまでの吸光度の積が40以下になっていることから、波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより活性エネルギー線重合性モノマーの重合反応を促進する光重合開始剤は、特に好適に使用することができる。そのような光重合開始剤としては、波長360nmから400nmまでの光を吸収する光重合開始剤等を挙げることができる。
本実施形態のインク組成物は、更に他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、上記の実施形態の分散剤で例示したものの他、増感剤等が挙げられる。
本実施形態のインク組成物は重合禁止剤を含有することにより、保存安定性を更に向上することができる。
本実施形態のインク組成物の粘度は、吐出性、吐出安定性の点から、25℃での粘度が30mPa・s以下であることが好ましく、25mPa・s以下であることが更に好ましい。又、本実施形態のインク組成物の粘度は、5mPa・s以上であることが好ましい。
本実施形態のインク組成物において、顔料の含有量は、分散性と着色力を両立する点から、インク組成物全量に対して0.1質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましい。顔料の含有量は、分散性と着色力を両立する点から、インク組成物全量に対して40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
本実施形態のインク組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。又、粒状の色材、粒状の艶消し剤などを用いる場合は、分散機を用いて、活性エネルギー線重合性モノマー、分散剤等で分散し、その後、必要に応じて光重合開始剤、表面調整剤等を添加して均一に撹拌し、更にフィルターで濾過することによってインク組成物が得られる。
本実施形態の積層体の製造は、上記の実施形態のインク組成物を、基材上へ好ましくはインクジェット方式で印刷した後、波長360nmから400nmまでの光を含む光線で硬化することによって行われる。印刷は、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スプレー方式、刷毛塗り方式など従来公知の方式で印刷可能であるが、小ロット多品種に対応できる点でインクジェット方式であることが好ましい。又、インクジェット方式で印刷する際にインクジェットヘッドを加熱した状態で印刷してもよいし、室温のまま印刷してもよい。本実施形態のインク組成物は、室温環境下においても極めて低粘度であるモノマーA)及び/又はモノマーB)を含有した場合には、室温環境下においても低粘度のインク組成物となる。そのため、インクジェットヘッドを加熱せずに基材上に印刷することが可能である。
基材は特に限定されず、例えば塗工紙、非塗工紙、布帛等の吸収体、非吸収性基材のいずれも使用することができる。具体的には、非塗工紙としては、更紙、中質紙、上質紙、塗工紙としては、コート紙、アート紙、キャスト紙、軽量コート紙、微塗工紙、布帛等の吸収体としては、綿、化繊織物、絹、麻、布帛、不織布、皮革等を例示でき、非吸収性基材としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系合成紙、塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、金属、金属箔コート紙、ガラス、合成ゴム、天然ゴム等を例示できる。
上記の実施形態のインク組成物を硬化させた硬化膜(以下、「硬化膜」と表記することがある。)を形成するための活性エネルギー線は、波長360nmから400nmまでの光を含む光線が好ましい。光源は、波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射できる光源であれば特に限定されるものではなく、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザー、太陽光、LEDランプ等が挙げられる。これらの光源を用い、積算光量が100mJ/cm2以上、好ましくは200mJ/cm2以上になるように活性エネルギー線を照射することにより、インク組成物を瞬時に硬化させることができる。
上記の実施形態のインク組成物により形成される硬化膜は、加飾層として用いることができるが、キノフタロン系顔料が含有された顔料を添加せずに加飾層上に吐出すれば本硬化膜自体を硬化膜を保護するオーバーコート層として利用することもできる。更に、基材表面と硬化膜との間に形成することで両者の密着性を向上させるためのプライマー層としても利用することができる。
積層体の耐久性をより向上させることを目的に、上記の実施形態のインク組成物の硬化膜の表面に、従来公知のオーバーコート剤からなるオーバーコート層又は上記の実施形態のインク組成物と同様の組成であって顔料が添加されていないインク組成物をオーバーコート剤として用いて形成されるオーバーコート層が更に形成されていてもよい。なお、オーバーコート層は、インク組成物の硬化膜からなる層の表面に形成される場合に限らず、基材の表面に直接形成されていてもよいし、基材の表面に形成されたプライマー層の表面に形成されていてもよい。
(実施例1〜3)
顔料としてP.Y.138(誘導化あり)(Pigment Yellow138 キノフタロン系顔料が含有された顔料及びスルホン酸基(−SO3・H)を有するC.I.Pigment Yellow138(キノフタロン系顔料誘導体が含有された顔料誘導体))を12質量部、分散媒として活性エネルギー線重合性モノマーであるTHFA(テトラヒドロフルフリルアクリレート(単官能モノマーであって式(1)に該当するモノマーA))と、顔料分散剤としてBYK−9151(ビックケミー社製の顔料分散剤(固形分70%PO変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレート希釈品))と、を混合し、ディゾルバー等で撹拌した後、φ1.2mmのジルコニアビーズで1時間の予備分散を行った後、φ0.3mmのジルコニアビーズで2時間の分散を行い分散液を作製した。顔料分散剤と重合性モノマーの含有量は表1に記載した。
分散剤をBYK−9151からBYK−9150(ビックケミー社製の顔料分散剤(固形分70%PO変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレート希釈品)に変えた以外は実施例1〜3と同様にして分散液を作製した。
顔料をP.Y.138からP.Y.150(Pigment Yellow150 キノフタロン系顔料ではない黄色系顔料が含有された顔料)に変えた以外は実施例1と同様にして分散液を作製した。
分散剤をBYK−9151からSolspers32000に変えた以外は実施例1と同様にして分散液を作製した。
分散剤をBYK−9151からSolspers33000に変えた以外は実施例1と同様にして分散液を作製した。
顔料をP.Y.138からP.Y.155(Pigment Yellow155 キノフタロン系顔料ではない黄色系顔料が含有された顔料)に変えた以外は実施例1と同様にして分散液を作製した。
上記実施例、比較例の分散液を用いて、実施例、比較例のインク組成物を製造した。具体的には、各材料を表2に示す割合になるように混合し、室温(20〜25℃)にて1時間撹拌した。その後、溶け残りがないことを確認した。その後、メンブレンフィルターを用いて濾過を行い、実施例、及び比較例の活性エネルギー線硬化型インク組成物を調製した。
実施例及び比較例の分散液を用いて吸光度試験を行った。具体的には、実施例及び比較例の分散液をエチルジグリコールアセテートにて2400倍希釈し、島津製作所社製 UV−1800を用いて波長360nmから400nmまでの吸光度を測定し、積分することにより、波長360nmから400nmの範囲の吸光度面積(吸光度の積)を求めた。尚、実施例1及び比較例3の分散液における吸光度を図1に示した。
実施例及び比較例のインク組成物を用いて色相試験を行った。具体的には、実施例又は比較例の分散液14.6質量部、VEEA10質量部、TBCH32.4質量部、THFA33質量部に、IRGACURE TPO(BASF社製 光重合開始剤であって、波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより活性エネルギー線重合性モノマーの重合反応を促進するアシルフォスフィンオキサイド類の光重合開始剤)10質量部、TegoRad2010(エボニックデグサジャパン社製 表面調整剤)1質量部を混合することによりインク組成物を製造した。そして、未処理PET(ルミラー 60μm)上にバーコーター(#7)にて10μm(硬化状態)塗布、硬化させ、硬化膜を形成した。そして硬化膜をJIS−Z8722:2009に基づいて、エックスライト社製x−rite eXactを用い、D50光源、2°視野角の条件によってL*a*b*を測定し、b*値を求めた。結果を表2に示す。硬化にはアイテックシステム社製シャトル式UV硬化装置を用い、光源はアイテックシステム社製LED−UVランプ(ピーク波長:385nm)を用いた。
○:b*値が65以上
×:b*値が65未満
実施例及び比較例のインク組成物を用いて硬化性試験を行った。具体的には、上記同様にインク組成物を製造し、未処理PET(ルミラー 60μm)上にバーコーター(#7)にて10μm(硬化状態)塗布し、LEDランプを照射してインク組成物が硬化するための積算光量を調べた。
OK:積算光量が200mJ/cm2で硬化した
NG:積算光量が200mJ/cm2で硬化しなかった
Claims (15)
- 黄色系顔料と、顔料分散剤と、が含有された活性エネルギー線により硬化するインク組成物用の分散液であって、
吸光度測定において以下の式により定義される波長360nmから400nmまでの吸光度の積が40以下であり、
(硬化膜作成条件:分散液と、光重合開始剤と、を含有させたインク組成物を波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより硬化する。) - 波長360nmから400nmまでの光を含む光線により硬化するインク組成物用である請求項1に記載の分散液。
- 更に顔料誘導体が含有される請求項1又は2に記載の分散液。
- 前記顔料誘導体がキノフタロン系顔料誘導体が含有された顔料誘導体である請求項3に記載の分散液。
- 前記顔料分散剤には、アミン価が20mgKOH/g以下、且つ、酸価が10mgKOH/g以下であって、スチレン由来の繰り返し単位と、炭素数が12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、エチレン性不飽x和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位とを有する共重合体、前記共重合体のアルカリ金属塩、前記共重合体のアルカリ土類金属塩、前記共重合体のアンモニウム塩、及び前記共重合体のアミン誘導体からなる群から選択される一種以上が含有される請求項1から4のいずれかに記載の分散液。
- 更に活性エネルギー線重合性モノマーとして、
モノマーA):下記一般式(1)で表される単官能モノマー、及び/又はモノマーB):下記一般式(2)で表される多官能モノマーと、が含有された請求項1から5のいずれかに記載の分散液。
R4−CH=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(2)
(式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数2以上20以下の2価の有機残基を示し、R3は水素原子又は炭素数1以上11以下の1価の有機残基を示し、R4は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。) - 請求項1から6のいずれかに記載の分散液を含有するインク組成物。
- 更に光重合開始剤を含有する請求項7に記載のインク組成物。
- 波長360nmから400nmまでの光を含む光線により硬化する請求項7又は8に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- インクジェット用インクとして用いられる請求項7から9のいずれかに記載のインク組成物。
- 基材上に、請求項7から10のいずれかに記載のインク組成物の硬化膜であるインク硬化膜層が形成された積層体。
- 請求項7から10のいずれかに記載のインク組成物を使用して基材上に画像及び/又は凹凸像を形成する像形成方法。
- 前記基材上に波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより画像及び/又は凹凸像を形成する、請求項12に記載の像形成方法。
- 請求項7から10のいずれかに記載のインク組成物を使用して基材上に画像及び/又は凹凸像を形成する印刷物の製造方法。
- 前記基材上に波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより画像及び/又は凹凸像を形成する、請求項14に記載の像形成方法。
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