JP2019089714A - フッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法 - Google Patents

フッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーを高選択的に得ることができるフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法を提供する。【解決手段】本発明のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法は、反応容器内でフッ素含有オレフィンと環状ポリエンとを連続的に反応させることによって、フッ素含有環状オレフィンモノマーを連続的に製造する工程(A)を含む。そして、上記工程(A)において、上記環状ポリエンを上記反応容器内に連続的または断続的に供給するとともに、上記フッ素含有オレフィンを上記反応容器内に連続的または断続的に供給するあるいは上記反応容器内に仕込んでおくことによって、上記フッ素含有オレフィンと上記環状ポリエンとを連続的に反応させ、かつ、上記反応容器内の上記環状ポリエンの含有量X1に対する上記フッ素含有オレフィンの含有量X2のモル比X2/X1を1.01以上の範囲内に調整する。【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法に関する。
フッ素含有環状オレフィンポリマーの原材料であるフッ素含有環状オレフィンモノマーは、例えば、フッ素含有オレフィンと環状ポリエンとをDiels−Alder反応させることにより製造することができる。
例えば、特許文献1には、フッ素含有オレフィンおよび環状ポリエンをオートクレーブに仕込み、次いで、原料混合物を加熱することによってフッ素含有オレフィンと環状ポリエンとを反応させてフッ素含有環状オレフィンモノマーを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1の段落0224参照)。
特開2008−239995号公報
本発明者らの検討によれば、従来のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法では、フッ素含有オレフィンと環状ポリエンとをDiels−Alder反応させる際に、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマー以外のフッ素含有環状オレフィン化合物等の副生成物が生成しやすく、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーの純度が低くなる場合があることが明らかになった。
すなわち、従来のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法には、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーを高選択的に得るという観点において改善の余地があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーを高選択的に得ることができるフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、反応容器内のフッ素含有オレフィンと環状ポリエンとの比率を特定の範囲内に調整することにより、フッ素含有オレフィンと環状ポリエンとの副反応を抑制でき、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーを高選択的に得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、以下に示すフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法が提供される。
[1]
反応容器内でフッ素含有オレフィンと環状ポリエンとを連続的に反応させることによって、フッ素含有環状オレフィンモノマーを連続的に製造する工程(A)を含むフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法であって、
上記工程(A)において、
上記環状ポリエンを上記反応容器内に連続的または断続的に供給するとともに、上記フッ素含有オレフィンを上記反応容器内に連続的または断続的に供給するあるいは上記反応容器内に仕込んでおくことによって、上記フッ素含有オレフィンと上記環状ポリエンとを連続的に反応させ、かつ、
上記反応容器内の上記環状ポリエンの含有量Xに対する上記フッ素含有オレフィンの含有量Xのモル比X/Xを1.01以上の範囲内に調整するフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
[2]
上記[1]に記載のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、
上記フッ素含有環状オレフィンモノマーが下記式(1)により示される化合物を含むフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
Figure 2019089714
(上記式(1)中、R〜Rのうち、少なくとも1つは、フッ素、フッ素を含有する炭素数1〜10のアルキル基、フッ素を含有する炭素数1〜10のアルコキシ基、またはフッ素を含有する炭素数2〜10のアルコキシアルキル基である。R〜Rがフッ素を含有しない基である場合、R〜Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または炭素数2〜10のアルコキシアルキル基から選ばれる。R〜Rは互いに結合して環構造を形成していてもよい。また、上記式(1)中、Xは−CH−または−O−を示し、nは0または1を示す。)
[3]
上記[1]に記載のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、
上記フッ素含有環状オレフィンモノマーがフッ素含有ノルボルネンおよびフッ素含有オキソノルボルネンから選択される少なくとも一種を含むフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、
上記環状ポリエンがシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンおよびフランから選択される少なくとも一種を含むフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、
上記工程(A)において、
上記フッ素含有オレフィンおよび上記環状ポリエンの両方を上記反応容器内に連続的または断続的に供給することによって、上記フッ素含有オレフィンと上記環状ポリエンとを連続的に反応させるフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、
当該フッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法により得られる目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーの量をY[kg]とし、副生成物の量をY[kg]としたとき、100×Y/(Y+Y)で示される目的物生成率が95質量%以上であるフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
[7]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、
上記反応容器から、生成物であるフッ素含有環状オレフィンモノマーと、未反応のフッ素含有オレフィンと、を少なくとも含む混合物を連続的に抜き出すとともに、上記未反応のフッ素含有オレフィンを上記反応容器に再供給する工程(B)をさらに含むフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
本発明によれば、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーを高選択的に得ることができるフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法を提供することができる。
本発明に係る実施形態のフッ素含有環状オレフィンモノマーの工程(A)と工程(B)を含む製造フローの一例を示す概略図である。 本発明に係る実施形態のフッ素含有環状オレフィンモノマーの工程(A)の製造フローの一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、本実施形態では、数値範囲を示す「A〜B」はとくに断りがなければ、A以上B以下を表す。
1.フッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法
本発明に係る実施形態のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法は、反応容器内でフッ素含有オレフィンと環状ポリエンとを連続的に反応させることによって、フッ素含有環状オレフィンモノマーを連続的に製造する工程(A)を含む。そして、上記工程(A)において、上記環状ポリエンを上記反応容器内に連続的または断続的に供給するとともに、上記フッ素含有オレフィンを上記反応容器内に連続的または断続的に供給するあるいは上記反応容器内に仕込んでおくことによって、上記フッ素含有オレフィンと上記環状ポリエンとを連続的に反応させ、かつ、上記反応容器内の上記環状ポリエンの含有量Xに対する上記フッ素含有オレフィンの含有量Xのモル比X/Xを1.01以上の範囲内に調整する。
前述したように、本発明者らの検討によれば、従来のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法では、フッ素含有オレフィンと環状ポリエンとをDiels−Alder反応させる際に、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマー以外のフッ素含有環状オレフィン化合物等の副生成物が生成しやすく、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーの純度が低くなる場合があることが明らかになった。
この種のDiels−Alder反応では、通常、目的の環状オレフィンモノマーを高純度で得る手段として、オレフィンを過剰に用いて一括で仕込み加熱する方法、所謂、バッチ法が適応される場合が多い。しかしながら、特にフッ素含有オレフィンの場合その多くが、温室効果ガス規制や毒性ガス指定等の問題で、余分な未反応のフッ素含有オレフィンを大気中に排出することができず、除害設備等の無害化設備を設けた製造設備で取り扱う必要があり、また、フッ素含有オレフィンは高価であるため、設備対応や製造コストの観点からフッ素含有オレフィンを過剰に用いる反応設計は好ましくない。
すなわち、従来のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法には、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーを高選択的に得る方法に改善の余地があり、また、設備対応、製造コストの観点からも改善の余地があった。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、上記工程(A)において、反応容器内の環状ポリエンの含有量Xに対するフッ素含有オレフィンの含有量Xのモル比X/Xを上記下限値以上の範囲内に調整することにより、フッ素含有オレフィンと環状ポリエンとの副反応を抑制でき、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーを高選択的に得ることができることを見出した。
ここで、X/Xを上記下限値以上の範囲内に調整することにより、フッ素含有オレフィンと環状ポリエンとの副反応を抑制できる理由は必ずしも明らかではないが、以下の理由が考えられる。
まず、本発明者らは、フッ素含有オレフィンと環状ポリエンとの反応において、環状ポリエン同士の副反応が起き、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーよりも環構造が多い化合物が生成してしまう場合があること、および目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーが生成した後、さらに生成したフッ素含有環状オレフィンモノマーのオレフィン部と環状ポリエンが反応し目的物よりも環構造が多い化合物が生成してしまう場合があることを知見した。一方で、X/Xを上記下限値以上の範囲内に調整すると、反応系内のフッ素含有オレフィンの割合が相対的に増えるとともに反応系内の環状ポリエンの割合が相対的に減るため、フッ素含有オレフィンと環状ポリエンとの反応がより効果的に起こり、環状ポリエン同士の副反応が抑制され、さらに、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーと環状ポリエンによる副反応も抑制される。その結果、環状ポリエン同士の副反応が原因で生じる副生成物の生成量を抑制でき、さらに、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーと環状ポリエンとの副反応が原因で生じる副生成物の生成量を抑制でき、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーを高選択的に得ることができると考えられる。
すなわち、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法によれば、上記工程(A)において、反応容器内の環状ポリエンの含有量Xに対するフッ素含有オレフィンの含有量Xのモル比X/Xを上記下限値以上の範囲内に調整することにより、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーを高選択的に得ることができる。
以上から、本実施形態によれば、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーを高選択的に得ることができるフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法を提供することができる。
ここで、フッ素含有環状オレフィンモノマーと環状ポリエンとの副反応が原因で生じる副生成物とは、例えば、上記一般式(1)で表される構造のうち、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーがn=0の場合、nが1以上のフッ素含有環状オレフィンを示し、n=1の場合、nが2以上のフッ素含有環状オレフィンを示す。
上記X/Xの下限は1.01以上であるが、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーをより一層高選択的に得る観点から、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.10以上、特に好ましくは1.20以上である。
また、本実施形態に係る上記X/Xの上限は特に限定されないが、反応速度や生産性の観点から、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下である。
上記X/Xは、反応容器内へのフッ素含有オレフィンおよび環状ポリエンの供給方法や供給速度、フッ素含有オレフィン含有液や環状ポリエン含有液の濃度等の製造条件を高度に制御することにより実現することが可能である。
より具体的には、上記X/Xは、反応容器内で上記の範囲を満たせばよく、例えば、連続的または断続的に蒸発器に反応液を抜き出し、余分なフッ素含有環状オレフィンを反応容器内に戻してもよく、予めフッ素含有環状オレフィンを反応容器内に仕込み、環状ポリエンを連続的に、または断続的に反応容器に供給してもよく特に限定されない。生産性、設備コスト等を考慮して好適に選ばれる。
上述のバッチ法と異なり、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーの生成率に応じて供給量が制御されたフッ素含有環状オレフィン、または環状ポリエンを反応容器に供給することで、実質的に反応開始から環状ポリエンが消費される反応終点まで、フッ素含有環状オレフィンが過剰に存在する反応系を実現することが可能になる。
また、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法における上記工程(A)において、フッ素含有オレフィンおよび環状ポリエンの両方を反応容器内に連続的または断続的に供給することによって、フッ素含有オレフィンと環状ポリエンとを連続的に反応させることが好ましい。これにより、反応容器内の環状ポリエンの含有量Xに対するフッ素含有オレフィンの含有量Xのモル比X/Xをより高度に制御することが可能となり、上記X/Xを上記範囲内に調整しやすくなったり、工程(A)において上記X/Xを常時上記範囲内に設定したりすることができる。さらに、上記工程(A)において、反応容器内におけるフッ素含有オレフィンの割合を高めたり、反応容器内におけるフッ素含有オレフィンの濃度を一定にできたりするため好ましい。
また、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法における上記工程(A)において、フッ素含有オレフィンまたは環状ポリエンの反応容器内への供給速度は特に限定されないが、例えば、1kg/h以上1000kg/h以下の範囲である。
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法における上記工程(A)において、反応温度は目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーに応じて適宜設定されるため特に限定されないが、例えば0℃以上250℃以下の範囲である。また、反応圧力も目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーに応じて適宜設定されるため特に限定されないが、例えば0.10MPa・G以上20MPa・G以下の範囲である。また、滞留時間(反応時間)は反応温度に応じて適宜設定されるため特に限定されないが、収率と生産性を考慮すると、好ましくは0.1時間以上10時間以下の範囲である。
また、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法は、反応容器から、生成物であるフッ素含有環状オレフィンモノマーと、未反応のフッ素含有オレフィンと、を少なくとも含む混合物を連続的に抜き出すとともに、未反応のフッ素含有オレフィンを反応容器に再供給する工程(B)をさらに含むことが好ましい。これにより、フッ素含有環状オレフィンモノマーの収率やフッ素含有オレフィンの転化率を向上させることができる。さらに、フッ素含有オレフィンおよび環状ポリエンの両方を反応容器内に連続的または断続的に供給することと組み合わせることによって、上記工程(A)において、反応容器内におけるフッ素含有オレフィンの含有量や濃度を一定にできたり、上記X/Xを常時上記範囲内に設定したりすることができるため好ましい。
ここで、反応容器から抜き出した未反応のフッ素含有オレフィンは、例えば、蒸発器や蒸留塔等によって回収し、次いで、回収した未反応のフッ素含有オレフィンを再度反応容器へ供給することによって再利用することができる。無害化のための除害設備等を設ける必要性がなく、また、フッ素含有オレフィンは高価であるため、設備対応、製造コストの観点からも、未反応のフッ素含有オレフィンを回収し、反応容器に再供給することが好ましい。
反応容器としては特に限定されないが、例えば、完全混合型の攪拌槽反応容器やピストンフロー型のチューブラー反応容器等を使用することができる。これらの中でも、反応容器又は配管等における不溶性重合物の付着による閉塞トラブル等を回避し、長時間の連続反応を実施するためには攪拌槽反応容器を使用することが好ましい。
また、反応容器、攪拌翼、配管等の材質はSUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等のステンレスや、ハステロイ、ガラス等が用いられ、環状オレフィン、またはフッ素含有オレフィンによる腐食を受けない材質であれば、加熱温度、圧力等の反応条件を考慮して好適に選ばれる。
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、当該フッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法により得られる目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーの量をY[kg]とし、副生成物の量をY[kg]としたとき、100×Y/(Y+Y)[質量%]で示される目的物生成率は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは96質量%以上である。本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法によれば、前述したように、環状ポリエン同士の副反応が原因で生じる副生成物の生成量や、目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーと環状ポリエンの副反応が原因で生じる副生成物の生成量を抑制できるため、100×Y/(Y+Y)で示される目的物の生成率を上記下限値以上にすることが可能である。
ここでの生成率を算出する各成分の割合は、後述する反応液のガスクロマトグラフィーによる分析値を適応することができる。
2.フッ素含有環状オレフィンモノマー
次に、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィンモノマーについて説明する。本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィンモノマーは、フッ素含有オレフィンと環状ポリエンとをDiels−Alder反応させることにより得られるモノマーである。
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィンモノマーとしては、例えば、下記式(1)により示される化合物等が挙げられる。
Figure 2019089714
上記式(1)中、R〜Rのうち、少なくとも1つは、フッ素、フッ素を含有する炭素数1〜10のアルキル基、フッ素を含有する炭素数1〜10のアルコキシ基、またはフッ素を含有する炭素数2〜10のアルコキシアルキル基である。R〜Rがフッ素を含有しない基である場合、R〜Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または炭素数2〜10のアルコキシアルキル基から選ばれる。R〜Rは互いに結合して環構造を形成していてもよい。また、上記式(1)中、Xは−CH−または−O−を示し、nは0または1を示す。
さらに詳しくは、上記式(1)において、R〜Rとしては、フッ素;フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ−2−メチルイソプロピル基、ペルフルオロ−2−メチルイソプロピル基、n−ペルフルオロブチル基、n−ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロシクロペンチル基等のアルキル基の水素の一部または全てがフッ素で置換されたアルキル基等のフッ素を含有する炭素数1〜10のアルキル基;フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基、ヘキサフルオロイソプロポキシ基、ヘプタフルオロイソプロポキシ基、ヘキサフルオロ−2−メチルイソプロポキシ基、ペルフルオロ−2−メチルイソプロポキシ基、n−ペルフルオロブトキシ基、n−ペルフルオロペントキシ基、ペルフルオロシクロペントキシ基等のアルコキシ基の水素の一部または全てがフッ素で置換されたアルコキシ基等のフッ素を含有する炭素数1〜10のアルコキシ基;フルオロメトキシメチル基、ジフルオロメトキシメチル基、トリフルオロメトキシメチル基、トリフルオロエトキシメチル基、ペンタフルオロエトキシメチル基、ヘプタフルオロプロポキシメチル基、ヘキサフルオロイソプロポキシメチル基、ヘプタフルオロイソプロポキシメチル基、ヘキサフルオロ−2−メチルイソプロポキシメチル基、ペルフルオロ−2−メチルイソプロポキシメチル基、n−ペルフルオロブトキシメチル基、n−ペルフルオロペントキシメチル基、ペルフルオロシクロペントキシメチル基等のアルコキシ基の水素の一部または全てがフッ素で置換されたアルコキシアルキル基等のフッ素を含有する炭素数2〜10のアルコキシアルキル基等が例示される。
また、R〜Rが互いに結合して環構造を形成していてもよく、ペルフルオロシクロアルキル基、酸素を介したペルフルオロシクロエーテル基等の環を形成してもよい。
さらに、フッ素を含有しないその他のR〜Rとしては、水素;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2−メチルイソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペントキシメチル基等の炭素数2〜10のアルコキシアルキル基等が例示される。
上記式(1)で表されるフッ素含有環状オレフィンモノマーの具体的な例としては、上記式(1)中、Xが−CH−であり、nが0である場合:5−フルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−フルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ビス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロプロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−ペルフルオロプロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−6−ペルフルオロプロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロ−iso−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−ペルフルオロ−iso−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロ−iso−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロ−tert−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−ペルフルオロ−iso−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−6−ペルフルオロ−iso−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−トリフルオロメチル−6−ペルフルオロエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、(5,5,6−トリフルオロ−6−ペルフルオロブチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−トリフルオロメチル−6−ペルフルオロブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ−5−ペルフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル))−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−ペルフルオロプロパニル−6−トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−ペルフルオロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−6−ペルフルオロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−6−ペルフルオロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−オクチル−6−ペルフルオロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロヘプチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロオクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロデカニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−ペルフルオロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−トリフルオロメチル−6−ペルフルオロブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−ペルフルオロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−トリフルオロメチル−6−ペルフルオロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(ペルフルオロブチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(ペルフルオロヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシメチル−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ−6−トリフルオロメトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ−5−トリフルオロメトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−フルオロ−6−トリフルオロメトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジフルオロ−6−トリフルオロメトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−6−トリフルオロメトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロエトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ビス(トリフルオロメトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(トリフルオロメトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロプロポキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−ペルフルオロプロポキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−6−ペルフルオロプロポキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロ−iso−プロポキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−ペルフルオロ−iso−プロポキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロブトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロ−iso−ブトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロ−tert−ブトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−ペルフルオロ−iso−ブトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−6−ペルフルオロ−iso−ブトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−6−ペルフルオロエトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、(5,5,6−トリフルオロ−6−ペルフルオロブトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−6−ペルフルオロブトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ−5−ペルフルオロエトキシ−6,6−ビス(トリフルオロメトキシ))−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−ペルフルオロプロポキシ−6−トリフルオロメトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロヘトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−ペルフルオロヘトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−6−ペルフルオロヘトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−6−ペルフルオロヘトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−オクチル−6−ペルフルオロヘトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロヘプトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロオクトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペルフルオロデトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−ペルフルオロペントキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−6−ペルフルオロブトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−6−ペルフルオロヘトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−6−ペルフルオロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(ペルフルオロブトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(ペルフルオロへトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシ−6−トリフルオロメトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシメチル−6−トリフルオロメトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’,2’,2’−トリフルオロエトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’,2’,3’,3’,3’−ペンタフルオロプロポキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−(2’,2’,3’,3’,3’−ペンタフルオロプロポキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−6−(2’,2’,3’,3’,3’−ペンタフルオロプロポキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1’,1’,1’−トリフルオロ−iso−プロポキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−(1’,1’,1’−トリフルオロ−iso−プロポキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,4’−ヘプタフルオロブトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1’,1’,1’−トリフルオロ−iso−ブトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1’,1’,1’−トリフルオロ−iso−ブトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−(1’,1’,1’−トリフルオロ−iso−ブトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−6−(1’,1’,1’−トリフルオロ−iso−ブトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−6−(2’,2’,2’−トリフルオロエトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−6−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,4’−ヘプタフルオロブトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−6−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,4’−ヘプタフルオロブトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ−5−(2’,2’,2’−トリフルオロエトキシ)−6,6−ビス(トリフルオロメトキシ))−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−(2’,2’,3’,3’,3’−ペンタフルオロプロポキシ)−6−トリフルオロメトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,6’,6’−ウンデカフルオロヘトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,6’,6’−ウンデカフルオロヘトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−6−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,6’,6’−ウンデカフルオロヘトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−6−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,6’,6’−ウンデカフルオロヘトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−オクチル−6−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,6’,6’−ウンデカフルオロヘトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,6’,7’,7’,7’−トリデカフルオロヘプトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,6’,7’,7’,8’,8’,8’−ペンタデカフルオロオクトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,6’,7’,7’,8’,8’,9’,9’,9’−ヘプタデカフルオロデトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−
6−(1’,1’,1’―トリフルオロ−iso−プロポキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−6−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,4’−ヘプタフルオロブトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−(2’,2’,3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,6’,6’−ウンデカフルオロヘトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(2’,2’,3’,3’,4’,4’,4’−ヘプタフルオロブトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(2’,2’,3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,6’,6’−ウンデカフルオロヘトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。
また、上記式(1)中、Xが−CH−でありnが1である場合、R〜Rは、上記のXが−CH−でありnが0である場合と同義である。
さらに、上記式(1)中、Xが−O−でありnが0または1である場合、R〜Rは、上記のXが−CH−でありnが0である場合と同義である。
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィンモノマーとしては、フッ素含有ノルボルネンおよびフッ素含有オキソノルボルネンから選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。ここで、ノルボルネンとは、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンのことをいう。また、オキソノルボルネンとは、オキサビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテンのことをいう。
また、フッ素含有ノルボルネンとは、上記式(1)中、Xが−CH−でありnが0であるフッ素含有環状オレフィンである。
また、フッ素含有オキソノルボルネンとは、上記式(1)中、Xが−O−でありnが0であるフッ素含有環状オレフィンである。
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィンは、遷移金属触媒を用いてアルカリ金属類を助触媒として共存させポリマーを合成する配位重合;ラジカル開始剤を用いて光、または熱によりラジカルを発生させポリマーを合成するラジカル重合;タングステン塩化物、またはモルリブデン塩化物を用いてアルカリ金属類を助触媒として共存させポリマーを合成するメタセシス重合;さらにはタングステン、モルリブデン、ルテニウムを中心金属とするアルキリデン触媒を用いてポリマーを合成するメタセシス重合などの方法で、フッ素含有環状オレフィンポリマーを合成することができる。それぞれの重合法において、本実施形態のフッ素含有オレフィンモノマーを2種類以上共存させて用いてもよい。
さらに、種々の重合法において、非フッ素系の環状、または鎖状オレフィンを共存させてフッ素含有環状オレフィンと共重合しても良く、非フッ素系の環状、または鎖状オレフィンを連鎖移動剤として使用してもよい。
得られたポリマーは、環状オレフィンポリマーとしての特性に加え、フッ素原子、および/または、フッ素含有置換基の効果によりその成型物は、例えば、低屈折で高透明な樹脂特性を示し、例えば、レンズ、フィルム、光導波路、ファイバーなどの形態で光学、電子材料分野を中心に広く展開することができる。
3.フッ素含有オレフィン
本実施形態に係るフッ素含有オレフィンは、例えば、下記式(2)で表わされるフッ素含有オレフィンを用いることができる。
Figure 2019089714
上記式(2)中、R〜Rのうち、少なくとも1つは、フッ素、フッ素を含有する炭素数1〜10のアルキル基、フッ素を含有する炭素数1〜10のアルコキシ基、またはフッ素を含有する炭素数2〜10のアルコキシアルキル基である。R〜Rがフッ素を含有しない基である場合、R〜Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または炭素数2〜10のアルコキシアルキル基から選ばれる。R〜Rは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
さらに詳しくは、上記式(2)において、R〜Rとしては、フッ素;フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ−2−メチルイソプロピル基、ペルフルオロ−2−メチルイソプロピル基、n−ペルフルオロブチル基、n−ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロシクロペンチル基等のアルキル基の水素の一部または全てがフッ素で置換されたアルキル基等のフッ素を含有する炭素数1〜10のアルキル基;フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基、ヘキサフルオロイソプロポキシ基、ヘプタフルオロイソプロポキシ基、ヘキサフルオロ−2−メチルイソプロポキシ基、ペルフルオロ−2−メチルイソプロポキシ基、n−ペルフルオロブトキシ基、n−ペルフルオロペントキシ基、ペルフルオロシクロペントキシ基等のアルコキシ基の水素の一部または全てがフッ素で置換されたアルコキシ基等のフッ素を含有する炭素数1〜10のアルコキシ基;フルオロメトキシメチル基、ジフルオロメトキシメチル基、トリフルオロメトキシメチル基、トリフルオロエトキシメチル基、ペンタフルオロエトキシメチル基、ヘプタフルオロプロポキシメチル基、ヘキサフルオロイソプロポキシメチル基、ヘプタフルオロイソプロポキシメチル基、ヘキサフルオロ−2−メチルイソプロポキシメチル基、ペルフルオロ−2−メチルイソプロポキシメチル基、n−ペルフルオロブトキシメチル基、n−ペルフルオロペントキシメチル基、ペルフルオロシクロペントキシメチル基等のアルコキシ基の水素の一部または全てがフッ素で置換されたアルコキシアルキル基等のフッ素を含有する炭素数2〜10のアルコキシアルキル基等が例示される。
また、R〜Rが互いに結合して環構造を形成していてもよく、ペルフルオロシクロアルキル基、酸素を介したペルフルオロシクロエーテル基等の環を形成してもよい。
さらに、フッ素を含有しないその他のR1〜R4としては、水素;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2−メチルイソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペントキシメチル基等の炭素数2〜10のアルコキシアルキル基等が例示される。
4.環状ポリエン
本実施形態に係る環状ポリエンとしては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、エチルシクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、ジシクロペンタジエン、ジシクロヘキサジエン、1−オキサ−2,4−シクロペンタジエン、1−オキサ−2−エチル−2,4−シクロペンタジエン、1−オキサ−2−ビニル−2,4−シクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、イソプロピリデンノルボルネン、メチルヒドロインデン、ジイソプロピリデンノルボルネン、プロペニルイソノルボルナジエン等を用いることができる。
これらの環状ポリエンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
これらの中でも、環状ポリエンとしては、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンおよび1−オキサ−2,4−シクロペンタジエン(慣用名で通常フランと称す)が好ましく、ジシクロペンタジエンおよびフランがより好ましく、ジシクロペンタジエンが特に好ましい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。なお、各実施例で得られた反応液はバッチもしくは連続蒸留により目的物を純度99%以上、回収率99%以上で分離精製することができる。その際に未反応の環状ポリエンを単離し、反応原料として再利用することもできる。
実施例および比較例における反応液の分析方法は、以下に示す通りである。
[フッ素含有オレフィンの転化率の測定方法、目的物および副生成物の生成率確認方法]
各実施例および比較例で採取した反応液をサンプリングし、島津製作所社製ガスクロマトグラフGC−2014を用いて1μLの注入量で、以下に示すカラム、昇温条件、気化室および検出部の温度で分析し、フッ素含有オレフィンの転化率を算出した。さらに目的物および副生成物の割合を確認し、目的物生成率を算出した。
ここで、フッ素含有オレフィンの転化率とは、供給したフッ素含有オレフィンに対する反応で消費されたフッ素含有オレフィンの割合であり、ガスクロマトグラフの分析結果として取得したスペクトルから、各シグナルの面積%を用いて算出される。
・カラム:G−205(一般財団法人化学物質評価研究機構)
・昇温条件:40℃×1分保持→5℃/分で250℃まで昇温→250℃で18分保持
・気化室温度:220℃
・検出部温度:250℃
[実施例1]
図1に示す製造フローに従って、フッ素含有多環式環状オレフィンモノマーである5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの工程(A)と工程(B)を含む連続的な製造を行った。
原料供給槽1からヘキサフルオロプロペンを122kg/h、原料供給槽2からジシクロペンタジエンを132kg/hの供給速度でそれぞれ連続的に内容積3mの反応容器3に送り、反応液の容積が2mで、かつ、反応液の滞留時間が3時間になるように反応液を蒸発器4に抜き出しながら、160℃の加熱条件下、攪拌した。
蒸発器4は圧力1MPa、温度60℃で操作し、気相部から未反応のヘキサフルオロプロペンを昇圧しながら連続的に反応容器3に循環再利用した。
液相部は回収塔5に連続的に供給され、塔頂部から留出する未反応のヘキサフルオロプロペンを昇圧しながら連続的に反応容器3に循環再利用した。未反応のヘキサフルオロプロペンを含まない塔底部の反応液は回収槽6に貯留した。回収塔5は塔底部温度146℃、塔頂部温度−30℃、塔頂部圧力90kPaで運転した。
反応容器3に供給されるジシクロペンタジエン(X)に対するヘキサフルオロプロペン(X)のモル比(X/X)は3.0である。得られた5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを含む反応液は蒸発器4から回収塔5を経て回収槽6に貯留した。
回収槽6に反応液を500kg貯留した時点で、採取した反応液をガスクロマトフィーにより分析した。その結果、目的物である5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(Y)の生成率〈100×Y/(Y+Y)〉が96.8質量%、副生成物(Y)が3.2質量%(このうち8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが2.6質量%)生成していた。ガスクロマトグラフィーの分析結果から、ヘキサフルオロプロペンは検出されず転化率は100質量%であり、反応液は無色透明だった。
また、24時間運転し、回収槽6に6000kgを貯留した時点で、採取した反応液をガスクロマトフィーにより分析した。その結果、目的物である5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンおよび副生成物の生成率、ヘキサフルオロプロペンの転化率はいずれも回収槽6に反応液を500kg貯留した時点での分析値と等しく、反応液の性状も無色透明であった。
[実施例2]
フッ素含有オレフィンをオクタフルオロ−2−ブテン(供給速度:122kg/h)に変更し、環状オレフィンをフラン(供給速度:128kg/h)に変更したこと以外は、実施例1と同様な方法で、4,5−ジフルオロ−4,5−ジ(トリフルオロメチル)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの工程(A)と工程(B)を含む連続的な製造を行った。反応容器3に供給されるフラン(X)に対するオクタフルオロ−2−ブテン(X)のモル比(X/X)は1.5である。
回収槽6に反応液を500kg貯留した時点で、採取した反応液をガスクロマトフィーにより分析した。その結果、目的物である4,5−ジフルオロ−4,5−ジ(トリフルオロメチル)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(Y)の生成率〈100×Y/(Y+Y)〉が97.1質量%、副生成物(Y)が2.9質量%(このうち、2,3−ジフルオロ−2,3−ジ(トリフルオロメチル)−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジエポキシナフタレンが1.9質量%)生成していた。仕込み量とガスクロマトグラフィーの分析結果から、オクタフルオロ−2−ブテンは検出されず転化率は100質量%であり、反応液は無色透明だった。
[実施例3]
フッ素含有オレフィンであるヘキサフルオロプロペンの供給速度を61kg/hに変更し、回収塔5は未反応のヘキサフルオロプロペンおよび中間体としての5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを塔頂部より留出させ反応容器3に循環させるために、塔底部温度を225℃に、塔頂部温度を0℃に変更したこと以外は、実施例1と同様な方法で、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンの工程(A)と工程(B)を含む連続的な製造を行った。反応容器3に供給されるジシクロペンタジエン(X)に対するヘキサフルオロプロペン(X)のモル比(X/X)は1.5である。
回収槽6に反応液を500kg貯留した時点で、採取した反応液をガスクロマトフィーにより分析した。その結果、目的物である8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(Y)の生成率〈100×Y/(Y+Y)〉が95.9質量%、副生成物(Y)が4.1質量%(このうち、2,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−1,2,3,4,4a,5,8,8a,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,8:9,10−トリメタノアントラセンが2.9質量%)生成していた。仕込み量とガスクロマトグラフィーの分析結果から、ヘキサフルオロプロペンは検出されず転化率は100質量%であり、反応液は無色透明だった。
[実施例4]
図2に示す製造フローに従って、フッ素含有多環式環状オレフィンモノマーである5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの工程(A)による連続的な製造を行った。
まず、ジシクロペンタジエンの原料供給槽7を備えた25Lオートクレーブの反応容器8にヘキサフルオロプロペンを14.8kg仕込み160℃で攪拌しながら、1.8kg/hの供給速度でジシクロペンタジエンを原料供給槽7から連続的に供給した。供給開始後3時間で反応を停止し、冷却後、未反応ガス11.3kgを回収し、反応液を抜液した。ヘキサフルオロプロペンを反応容器8に仕込んだ初期量に対して、3時間ジシクロペンタジエンを供給した段階のジシクロペンタジエンの積算供給量(X)と仕込みのヘキサフルオロプロペン(X)のモル比(X/X)は2.4である。
反応液のガスクロマトフィーによる分析から、目的物のフッ素含有多環式環状オレフィンである5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(Y)の生成率〈100×Y/(Y+Y)〉が98.5質量%、副生成物が1.5質量%(Y)(副生成物の中で8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが質量1.0%)生成していた。仕込み量とガスクロマトグラフィーの分析結果から、ヘキサフルオロプロペンの転化率は23.7質量%であり、反応液は無色透明であった。
本反応のジシクロペンタジエンを連続的に供給する方法で、目的物の生成率が高まり、副生成物の生成を飛躍的に抑えることが可能であった。
[比較例1]
25Lオートクレーブ(反応容器)を使用して、フッ素含有多環式環状オレフィンモノマーである5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンのバッチ法による製造を行った。
25Lオートクレーブ(反応容器)にジシクロペンタジエンを5.4kg、ヘキサフルオロプロペンを14.8kg仕込んだ。仕込みのジシクロペンタジエン(X)と仕込みのヘキサフルオロプロペン(X)のモル比(X/X)は2.4である。
加熱を開始して、反応容器の内温が160℃に到達した時点から24時間の加熱攪拌し、冷却後、未反応ガス3.4kgを回収し、反応液を抜液した。反応液のガスクロマトフィーによる分析から、目的物のフッ素含有環状オレフィンモノマーである5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(Y)の生成率〈100×Y/(Y+Y)〉が92.3質量%、副生成物(Y)が7.7質量%(このうち、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが4.9質量%)生成していた。仕込み量とガスクロマトグラフィーの分析結果から、ヘキサフルオロプロペンの転化率は76.9質量%であり、反応液は薄黄色を呈していた。
[比較例2]
反応容器の内温が160℃に到達した時点から24時間の加熱攪拌を3時間の加熱攪拌に変更した以外は比較例1と同様にして5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの製造をおこなった。
得られた反応液のガスクロマトフィーによる分析から、目的物のフッ素含有多環式環状オレフィンモノマーである5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(Y)の生成率〈100×Y/(Y+Y)〉が94.5質量%、副生成物(Y)が5.5質量%(このうち、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが3.8質量%)生成していた。未反応ガス回収量とガスクロマトグラフィーの分析結果から、ヘキサフルオロプロペンの転化率は48.5質量%であり、反応液は薄黄色を呈していた。
[比較例3]
図2に示す製造フローに従って、フッ素含有環状オレフィンモノマーである5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの連続的な製造を行った。
ヘキサフルオロプロペンの原料供給槽7を備えた25Lオートクレーブの反応容器8に比較例1と同様の方法でジシクロペンタジエンを5.4kg仕込み160℃で攪拌しながら、9.3kg/hの供給速度でヘキサフルオロプロペンを原料供給槽7から連続的に供給した。供給開始後3時間で反応を停止し、冷却後、未反応ガス8.3kgを回収し、反応液を抜液した。仕込みのジシクロペンタジエン(X)とヘキサフルオロプロペンの積算供給量(X)のモル比(X/X)は2.4であるが、ジシクロペンタジエンを予め仕込んだ容器にヘキサフルオロプロペンを供給しているため、反応初期は過剰(X/X=1.0未満)のジシクロペンタジエン存在下の条件である。
反応液のガスクロマトフィーによる分析から、目的物のフッ素含有多環式環状オレフィンである5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(Y)の生成率〈100×Y/(Y+Y)〉が90.4質量%、副生成物(Y)が9.6質量%(このうち、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが4.1質量%)生成していた。仕込み量とガスクロマトグラフィーの分析結果から、ヘキサフルオロプロペンの転化率は36.9質量%であり、反応液は薄黄色を呈していた。
[比較例4]
フッ素含有オレフィンをオクタフルオロ−2−ブテン(14.8kg)に変更し、環状オレフィンをフラン(5.2kg)に変更したこと以外は、比較例1と同様な方法で、4,5−ジフルオロ−4,5−ジ(トリフルオロメチル)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンのバッチ法による連続的な製造を行った。仕込みのフラン(X)と仕込みのオクタフルオロ−2−ブテン(X)のモル比(X/X)は1.2である。
得られた反応液のガスクロマトフィーによる分析から、目的物のフッ素含有環状オレフィンモノマーである4,5−ジフルオロ−4,5−ジ(トリフルオロメチル)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(Y)の生成率〈100×Y/(Y+Y)〉が93.1質量%、副生成物(Y2)が6.9質量%(このうち、2,3−ジフルオロ−2,3−ジ(トリフルオロメチル)−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジエポキシナフタレンが5.1質量%)生成していた。未反応ガス回収量とガスクロマトグラフィーの分析結果から、オクタフルオロ−2−ブテンの転化率は44.4質量%であり、反応液は薄黄色を呈していた。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2019089714
1 原料供給槽
2 原料供給槽
3 反応容器
4 蒸発器
5 回収塔
6 回収槽
7 原料供給槽
8 反応容器
11 ライン
12 ライン
13 ライン
14 ライン
15 ライン
16 ライン
17 ライン

Claims (7)

  1. 反応容器内でフッ素含有オレフィンと環状ポリエンとを連続的に反応させることによって、フッ素含有環状オレフィンモノマーを連続的に製造する工程(A)を含むフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法であって、
    前記工程(A)において、
    前記環状ポリエンを前記反応容器内に連続的または断続的に供給するとともに、前記フッ素含有オレフィンを前記反応容器内に連続的または断続的に供給するあるいは前記反応容器内に仕込んでおくことによって、前記フッ素含有オレフィンと前記環状ポリエンとを連続的に反応させ、かつ、
    前記反応容器内の前記環状ポリエンの含有量Xに対する前記フッ素含有オレフィンの含有量Xのモル比X/Xを1.01以上の範囲内に調整するフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
  2. 請求項1に記載のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、
    前記フッ素含有環状オレフィンモノマーが下記式(1)により示される化合物を含むフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
    Figure 2019089714
    (前記式(1)中、R〜Rのうち、少なくとも1つは、フッ素、フッ素を含有する炭素数1〜10のアルキル基、フッ素を含有する炭素数1〜10のアルコキシ基、またはフッ素を含有する炭素数2〜10のアルコキシアルキル基である。R〜Rがフッ素を含有しない基である場合、R〜Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または炭素数2〜10のアルコキシアルキル基から選ばれる。R〜Rは互いに結合して環構造を形成していてもよい。また、前記式(1)中、Xは−CH−または−O−を示し、nは0または1を示す。)
  3. 請求項1に記載のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、
    前記フッ素含有環状オレフィンモノマーがフッ素含有ノルボルネンおよびフッ素含有オキソノルボルネンから選択される少なくとも一種を含むフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、
    前記環状ポリエンがシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンおよびフランから選択される少なくとも一種を含むフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、
    前記工程(A)において、
    前記フッ素含有オレフィンおよび前記環状ポリエンの両方を前記反応容器内に連続的または断続的に供給することによって、前記フッ素含有オレフィンと前記環状ポリエンとを連続的に反応させるフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、
    当該フッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法により得られる目的のフッ素含有環状オレフィンモノマーの量をY[kg]とし、副生成物の量をY[kg]としたとき、100×Y/(Y+Y)で示される目的物生成率が95質量%以上であるフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法において、
    前記反応容器から、生成物であるフッ素含有環状オレフィンモノマーと、未反応のフッ素含有オレフィンと、を少なくとも含む混合物を連続的に抜き出すとともに、前記未反応のフッ素含有オレフィンを前記反応容器に再供給する工程(B)をさらに含むフッ素含有環状オレフィンモノマーの製造方法。
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