JP2019081859A - ドアトリム - Google Patents

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中島 康雄
Yasuo Nakajima
康雄 中島
宰慶 金
Jae-Kyung Kim
宰慶 金
健一 須山
Kenichi Suyama
健一 須山
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Abstract

【課題】セルロースの凝集体のサイズが十分に小さく、疎水性の高いポリオレフィン樹脂とセルロースとが高度な均一性で一体化されたポリオレフィン樹脂複合材を用いて形成され、さらには機械的強度が向上した樹脂部を備えるドアトリムを提供することを目的とする。【解決手段】ポリオレフィン樹脂と、該ポリオレフィン樹脂100質量部に対して10〜150質量部のセルロースとを含有し、前記セルロースの凝集体の面積が20,000μm2未満であるポリオレフィン樹脂複合材で形成された樹脂部を備えるドアトリム。【選択図】図1

Description

本発明は、ドアトリムに関し、特に、ポリオレフィン樹脂複合材で形成された樹脂部を備えるドアトリムに関する。
近年、自動車には、より軽量な部材を使用することによる燃費の向上、使用する材料のリサイクル性の向上及び強度の向上の観点から、天然繊維を利用した強化樹脂の使用が注目され始めている。天然繊維を用いた強化樹脂は、例えば、車両用のドアにも用いられている。
ドアの一構成要素として、ドアインナパネルがあるが、ドアインナパネルにおいては、車両に対する低燃費化の要求から更なる軽量化の余地がある。車両を軽量化する要求に応えるため、例えば、ドアインナパネルに装着されている樹脂製のドアトリムの軽量化が進められてきており、ドアトリムの樹脂の配合材料として、セルロースが軽量化を達成する材料として有望視されている。
セルロースは微小なサイズにまで微細化することで機械特性が上昇し、ナノサイズまで微細化を進めると、極めて高弾性率かつ高強度な材料となることが知られている。これを、樹脂の強化材として利用する研究も行われており、その可能性が注目されている。
例えば、特許文献1には、脂肪族ポリエステルからなる樹脂成分と、特定の前処理がなされたパルプ及び/又はセルロース系繊維からなる繊維成分とを、セルロース非晶領域膨潤剤の存在下で溶融混練処理する工程を含む、高強度で高剛性な脂肪族ポリエステル組成物を得るための製造方法が記載されている。
セルロースは親水性が高く、それゆえ親水性の高い樹脂と混合した場合には馴染みやすく、樹脂中にセルロースが均一分散した複合材を調製しやすいとされる。他方、ポリオレフィン樹脂のような疎水性の高い樹脂に対するセルロースの親和性は乏しく、ポリオレフィン樹脂とセルロースとを溶融混練しても比較的大きなセルロースの凝集体が生じてしまう。そのため、ポリオレフィン樹脂とセルロースとを溶融混練しても、セルロースの樹脂改質作用を十分に引き出した、均一分散の樹脂複合材を得ることは困難であった。
また、上記の方法を用いても、セルロースの補強効果が得られ、成形体の機械的強度は向上するが、さらなる機械的強度の向上が望まれていた。
特許第4013870号公報
本発明は、従来の材料を用いたドアトリムにおける問題点に鑑み、セルロースの凝集体のサイズが十分に小さく、疎水性の高いポリオレフィン樹脂とセルロースとが高度な均一性で一体化されたポリオレフィン樹脂複合材を用いて形成され、さらには機械的強度が向上した樹脂部を備えるドアトリムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン樹脂とセルロースとを所定比率で溶融混練する際、所定量の水を共存させることにより、得られるポリオレフィン樹脂複合材中に生じるセルロースの凝集体のサイズを十分に小さくでき、さらに、疎水性の高いポリオレフィンと水が、溶融混練においてセルロースと相互作用しながらポリオレフィンに作用し、ポリオレフィン樹脂とセルロースとの均一性を高度に高めつつ、これらを一体化しうるとの知見を得た。その結果、当該ポリオレフィン樹脂複合材を用いて形成され、機械的強度が向上した樹脂部を備えるドアトリムが得られることを見出した。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
<1>
ポリオレフィン樹脂と、該ポリオレフィン樹脂100質量部に対して10〜150質量部のセルロースとを含有し、前記セルロースの凝集体の面積が20,000μm未満であるポリオレフィン樹脂複合材で形成された樹脂部を備えるドアトリム。
<2>
前記セルロースが、植物由来の繊維状のセルロースである、上記<1>に記載のドアトリム。
<3>
前記ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂およびアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂のうちの少なくとも1種である、上記<1>または<2>に記載のドアトリム。
本発明によれば、複合材中に生じるセルロースの凝集体のサイズを十分に小さくでき、ポリオレフィン樹脂とセルロースとが高い均一性で一体化されたポリオレフィン樹脂複合材を用いて、機械的強度が向上した樹脂部を備えるドアトリムを提供することができる。
また、微細化されたセルロースにより、弾性率が上昇するため、ドアトリムの熱可塑性樹脂組成物の強化効率を高めることができる。しかも、予め植物由来の繊維状のセルロースを微細化する工程が不要となり、製造コストの大幅な低減が期待できる。
このように、本発明によって、微細化したセルロース繊維によるドアトリムを提供することが可能になり、製造コストの大幅な低減が期待できる。また、本発明では、軽量化および高強度化されると共に、リサイクル性及び摩耗特性に優れたドアトリムを得ることができる。
本発明の実施形態に係るドアトリムを備える車両用ドアの一例を示す模式図である。 図1に示した車両用ドアのA−A矢視断面図である。 実施例に記載の「セルロースの凝集体の面積測定方法」において、(a)比較例1で得たポリオレフィン樹脂複合材のペレットを後述のセルロースの凝集体の面積算出方法内に記載の手順にしたがって撮影した画像と、(b)画像処理を行って面積を測定した画像である。(c)実施例1で得たポリオレフィン樹脂複合材のペレットを後述のセルロースの凝集体の面積算出方法内に記載の手順にしたがって撮影した画像と、(d)画像処理を行って面積を測定した画像である。
(ポリオレフィン樹脂複合材)
本発明の実施形態に係る樹脂部を備えるドアトリム、特にドアトリムの樹脂部は、ポリオレフィン樹脂と、該ポリオレフィン樹脂100質量部に対して10〜150質量部のセルロースとを含有し、前記セルロースの凝集体の面積が20,000μm(2万μm)未満であるポリオレフィン樹脂複合材で形成されている。
以下、本発明のポリオレフィン樹脂複合材に用いられる成分を説明する。
−ポリオレフィン樹脂−
ポリオレフィン樹脂は、少なくとも1種のオレフィンを重合してなる樹脂であり、単独重合体であっても共重合体であっても構わない。
本発明において、オレフィンとは、広義の意味で用いる。すなわち、炭素−炭素二重結合を有する無置換の炭化水素化合物に加えて、炭素−炭素二重結合を有する炭化水素化合物がさらに置換基を有する場合を含む。
このようなオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、イソブテン(1−ブテン)を含む炭素原子数4〜12のα−オレフィン、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。
なお、炭素原子数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリイソブテン樹脂、ポリイソプレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、(メタ)アクリル樹脂(いわゆるアクリル樹脂)、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル樹脂、ポリ(メタ)アクリルアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
なお、ポリオレフィン樹脂として、親水性を示す樹脂が使用されていても、疎水性を示す他の樹脂を併用することにより、ポリオレフィン樹脂全体が疎水性を示すよう調整することができる。
これらの樹脂のうち、ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂およびアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)のうちの少なくとも1種であることが好ましく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂がより好ましい。
ポリエチレン樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。
なお、密度もしくは形状で分類した場合、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)のいずれでも構わない。
ポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレンブロック共重合体(プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、エチレンおよびα−オレフィンから選択されるモノマーの少なくとも1種とプロピレンとを共重合して得られる共重合体とからなる)などが挙げられる。これらのポリプロピレン樹脂は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
ポリプロピレン樹脂に用いられるα−オレフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンが好ましく、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンがより好ましい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体などが挙げられる。
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。
プロピレンブロック共重合体としては、例えば、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体などが挙げられる。
これらのポリプロピレン樹脂のうち、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレンブロック共重合体が好ましい。
ポリプロピレン樹脂の結晶性は、融解温度(融点)や立体規則性で求められ、ポリオレフィン樹脂複合材に求められる品質や、それを成形して得られる成形品に求められる品質に応じて、調整する。
なお、立体規則性はアイソタクチックインデックス、シンジオタクチックインデックスと称される。
アイソタクチックインデックスは、Macromolecules,第8巻,687頁(1975年)に記載の13C−NMR法で求められる。具体的には13C−NMRスペクトルのメチル基の炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率として、ポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスを求める。
アイソタクチックインデックスが高いものは、結晶性が高く、0.96以上が好ましく、0.97以上がより好ましく、0.98以上がさらに好ましい。
一方、シンジオタクチックインデックスは、J.Am.Chem.Soc.,110,6255(1988)やAngew.Chem.Int.Ed.Engl.,1955,34,1143−1170に記載の方法で求められ、シンジオタクチックインデックスが高いものが、結晶性が高い。
なお、ポリオレフィン樹脂は、変性されたポリオレフィン樹脂でもよく、また、変性されていないポリオレフィン樹脂に変性されたポリオレフィン樹脂を含んでもよい。
変性されたポリオレフィン樹脂としては、ポリオレフィン樹脂を、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体によりグラフト変性したものが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、不飽和カルボン酸誘導体としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸および/またはその誘導体のうち、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸のグリシジルエステル、無水マレイン酸である。
アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリルなどのアクリル単量体の単独重合体または共重合体、アクリル単量体と他の単量体との共重合体などが挙げられる。
このうち、(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシルなどの炭素数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルなどが挙げられる。
アクリル単量体の単独重合体または共重合体の具体例としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。アクリル単量体と他の単量体との共重合体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂[塩化ビニルモノマーの単独重合体(ポリ塩化ビニル樹脂など)、塩化ビニル単量体と他の単量体との共重合体(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)など]、ビニルアルコール樹脂(ポリビニルアルコールなどの単独重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの共重合体など)、ポリビニルホルマールなどのポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。これらのビニル系樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。
ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、通常、0.01〜400g/10分であり、機械的強度や生産安定性を高めるという観点から、好ましくは0.1〜400g/10分であり、より好ましくは0.5〜200g/10分である。
なお、MFRは、特段の断りがない限り、JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)である。
−セルロース−
本発明で使用するセルロースは、繊維状のセルロースであり、工業的な利用方法が確立されており、入手しやすいため、植物由来の繊維状のセルロースが好ましく、特に、微細な植物由来の繊維状のセルロース(粉状パルプ)が好ましい。本発明のドアトリムでは、樹脂部の配合材料としてセルロースを用いるため、軽量化、高強度化を図ることができる。
パルプは、紙の原料ともなるもので、植物から抽出される仮道管を主成分とする。化学的に見ると、主成分は多糖類であり、その主成分はセルロースである。
植物由来の繊維状のセルロースは、特に限定されるものではないが、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農作物残廃物(例えば、麦や稲などの藁、とうもろこし、綿花などの茎、サトウキビ)、布、再生パルプ、古紙、木粉などの植物に由来のものが挙げられるが、本発明では、木材もしくは木材由来のものが好ましく、木粉がより好ましく、クラフトパルプが特に好ましい。
なお、クラフトパルプは、木材もしくは植物原料から、苛性ソーダなどの化学処理によって、リグニン・ヘミセルロースを除去し、純粋に近いセルロースを取り出したパルプの総称である。
このようなセルロースを、水の共存下、ポリオレフィン樹脂と溶融混練することで、面積が20,000μm以上のセルロースの凝集体の形成を抑制し、ポリオレフィン樹脂複合材中でのセルロースの高均一な分散を実現することができる。なお、セルロースの凝集体の面積の上限は14,000μm以下であることが好ましい。また、セルロースの凝集体の面積の下限は500μm以上であることが好ましい。
セルロースの凝集体の面積が小さいことは、セルロース繊維が凝集することなく高度に均一に分散していることを示し、ポリオレフィン樹脂の強化効率が高いことを意味する。
植物由来の繊維状のセルロースは、30〜40分子が束となり、直径約3nm、長さは数百nmから数十μmの超極細幅で高結晶性のミクロフィブリルを形成し、これらが軟質な非結晶部を介しながら束となった構造を形成している。本発明の原料として使用する粉末状セルロース(粉状パルプ)は、この束状の集合体である。
本発明では、ポリオレフィン樹脂複合材中、セルロースの含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、10〜150質量部である。
セルロースの含有量が10質量部未満であると、セルロースによるポリオレフィン樹脂の改質作用を十分に得ることが難しい。逆に、150質量部を超えると、面積が20,000μm以上のセルロースの凝集体が形成される。
セルロースの凝集体の面積は、例えば、電子顕微鏡や工業用顕微鏡の視野内の画像を介して測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法により決定される。そのため、セルロースの凝集体の面積は、例えば断面積に相当し、当該面積に表面積は含まれない。
−その他の成分−
ポリオレフィン樹脂複合材には、上記以外に、酸化防止剤、光安定剤、ラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤、着色剤(染料、有機顔料、無機顔料)、充填剤、滑剤、可塑剤、アクリル加工助剤等の加工助剤、発泡剤、パラフィンワックス等の潤滑剤、表面処理剤、結晶核剤、離型剤、加水分解防止剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、防徽剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤等の他の成分を、上記目的を損なわない範囲で適宜含有することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が挙げられ、フェノール系ではオルト位にt−アルキル基を有するヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ラウリル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、パルミチル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ステアリル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ベヘニル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチル−フェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、トコフェロール類等が挙げられ、好ましくは、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、ラウリル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、パルミチル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ステアリル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ベヘニル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチル−フェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、トコフェロール類である。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル) 2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−トラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、トリデシル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキル(炭素原子数12〜14のアルキル)チオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等が挙げられる。
光安定剤としては、分子量が1000以上のヒンダードアミン光安定剤(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を分子内に有する光安定剤)が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチレート系化合物、シアノアクリルレート系化合物、ニッケル系化合物が挙げられる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、無機顔料、有機顔料が挙げられる。例えば、カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等が挙げられる。無機顔料としては、例えば、鉄黒、弁柄、酸化チタン、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、群青、コバルトブルー、チタンイエロー、鉛丹、鉛黄、紺青等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、キナクリドン、ポリアゾイエロー、アンスラキノンイエロー、ポリアゾレッド、アゾレーキイエロー、ペリレン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、イソインドリノンイエロー等が挙げられる。これらの着色剤は単独でも、2種類以上を併用してもよい。
充填剤としては、シリカ、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、チタニア、ベーマイト、タルク、または炭酸カルシウムなどの金属化合物などが好ましく挙げられる。
(ポリオレフィン樹脂複合材の製造方法)
ポリオレフィン樹脂複合材の製造方法は、ポリオレフィン樹脂100質量部と、セルロース10〜150質量部と、水とを溶融混練することで、面積が20,000μm以上のセルロースの凝集体の生成を抑制し、セルロースが均一に分散したポリオレフィン樹脂複合材を得ることができる。水の配合量は、少なすぎるとセルロースの分散性が悪く、多すぎると加工性に支障が生じるため、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1〜225質量部であることが好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂複合材の製造方法において、セルロースの分散性を向上させるため、セルロースの含有量と水の含有量との比(セルロースの含有量:水の含有量)が1:0.01〜10が好ましく、1:0.1〜5がより好ましい。水の配合量が少なすぎるとセルロースの分散性が悪く、多すぎると加工性に支障が生じる。
ポリオレフィン樹脂複合材の製造方法において、ポリオレフィン樹脂と、セルロースと、水とを溶融混練する順序は特に制限されない。ポリオレフィン樹脂と、セルロースとを先に溶融混練した後、水を加え、さらに混練してもよく、ポリオレフィン樹脂と、セルロースと、水とを全て加工機内に投入した後に溶融混練してもよい。また、セルロースと水を混練した後、ポリオレフィン樹脂を加え、さらに溶融混練してもよい。
この混練加工工程は、押出し、射出などにより加工、成形する段階で、加工機内で混練することが好ましい。
ポリオレフィン樹脂は疎水性が高く、その溶融混練において水を加えると、樹脂が滑るなどして目的の均一混練に支障をきたす場合がある。したがって、ポリオレフィンの溶融混練においては通常、水を添加することはない。
これに対し、本発明で使用するポリオレフィン樹脂複合材の製造方法では、ポリオレフィン樹脂の溶融混練において所定量の水を加え、これにより、面積が20,000μm以上のセルロースの凝集体の生成を抑制する。この理由は定かではないが、溶融混練において加えた適度な量の水がセルロースを膨潤させてセルロースの微細化を促進し、この微細化されたセルロースが水と一体となってポリオレフィンに作用し、ポリオレフィン樹脂とセルロースの均一な溶融混練が可能になるものと推定される。
混練温度は、セルロースの熱分解が少ない温度を上限とすることが望ましい。従って、上限温度は300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、230℃以下がさらに好ましい。下限はポリオレフィン樹脂の融点より10℃以上高いことが実際的である。
混練における撹拌は、スクリュー軸方向に適宜ニーディングディスクを配置するなどして、十分な混練性を確保可能なスクリュー構成を組み、かつ必要な生産量を得ることが可能なスクリュー回転数(通常は100〜300rpm程度の範囲)で混練することが好ましい。
混練加工する装置としては、同方向二軸スクリュー方式の装置が好ましく、例えば、二軸押出機〔テクノベル社製 KZW15TW−45MG−NH(商品名)〕が挙げられる。
ただし、同方向二軸押出機に限られることはなく、単軸押出機や、異方向二軸押出機、3軸以上の多軸押出機、バッチ式混練機(ニーダー、バンバリー等)など、充分な混練性が得られ、本発明と同様の効果が得られるのであれば、どのような方式でも構わない。
<<ドアトリムの構成およびその製造方法>>
本発明のドアトリムは、セルロースの凝集体のサイズが十分に小さく、ポリオレフィン樹脂とセルロースとが高度な均一性で一体化されたポリオレフィン樹脂複合材で形成された樹脂部を備え、当該樹脂部は優れた機械的強度を有している。すなわち、上記ドアトリムの少なくとも一部が上記ポリオレフィン樹脂複合材で形成されており、好ましくは、その全体が上記ポリオレフィン樹脂複合材で形成されている。
また、本発明のドアトリムの全部又はその一部である樹脂部が、上記ポリオレフィン樹脂複合材、特に、上記ポリオレフィン樹脂複合材の製造方法で製造されたポリオレフィン樹脂複合材を使用して、例えば射出、押出によって成形される。
図1は、車両用ドアを示す図である。図2は、図1に示した車両用ドアのA−A矢視断面図である。図1及び2に示されるように、車両用のドア1は、車外に面するドアアウタパネル2、車内に面するドアインナパネル3、及びドアインナパネル2とドアアウタパネル3との間に摺動自在に設けられたウインドガラス4とを備える。
ドアインナパネル3の車室内側には、ドアトリム5が装着されている。ドアトリム5は、外面が車室内の意匠となる壁材である。ドアトリム5は、上記ポリオレフィン樹脂複合材を射出成形することにより所望の形状に成形された内装壁の一部である。
ドアトリム5の車室内側の表面には表皮材(図示せず。)が貼り付けられていたり、アームレスト部51、ウインドガラス3を開閉する開閉スイッチ(図示せず)等が設けられていたりする。
車両のドア1にドアトリム5を用いることにより、軽量化、強度特性、リサイクル性と共に摩耗特性の向上を図ることができる。特に、車両重量におけるドア1が占める割合は小さくなく、ドアトリム5の軽量化により低燃費化へ貢献することができる。さらに、ドアトリム5の耐摩耗性が向上すると共に、強度も向上しているのでドア1の強度向上を図ることもできる。
また、ドアトリム5は、セルロースを含んだポリオレフィン樹脂複合材で形成された樹脂部として成形されているので、リサイクル性にも優れており、環境への負荷軽減も達成することができる。
なお、ドアトリム5は、全体が樹脂部として上記ポリオレフィン樹脂複合材で形成されているだけでなく、ドアトリム5の一部だけが上記ポリオレフィン樹脂複合材で形成された樹脂部を備えていてもよい。
このドアトリム5の製造方法は特に限定されないが、所定の金型内に上記ポリオレフィン樹脂複合材を射出する射出成形によって成形することができる。この場合、耐金型摩耗性及び樹脂部となるドアトリム5の表面の平滑性(シャープエッジ性)を向上させることができる。
本発明のドアトリムは、ドアトリムに類似した形態を有する、自動車室内の種々の内張り(トリム)や構造体等に適用することができる。例えば、ピラートリムやインパネ等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
−使用素材−
以下に、使用した素材を示す。
(1)ポリオレフィン樹脂
・高密度ポリエチレン〔MFR=5g/10分(190℃/2.16kg)、密度=0.953g/cm
・ポリプロピレン〔MFR=9g/10分(230℃/2.16kg)、密度=0.900g/cm
(2)セルロース
・セルロースA:KCフロックW−200〔商品名 日本製紙社製、平均粒径約32μmの粉末状セルロース〕
・セルロースB:LIGNOCEL C−120〔商品名 J・レッテンマイヤー・アンド・サンズ社製、平均粒径70〜150μm〕
(実施例1)
以下の工程で、ポリオレフィン樹脂複合材を調製した。
1)ポリオレフィン樹脂複合材の調製工程
二軸押出機〔テクノベル社製 KZW15TW−45MG−NH(商品名)〕に、ポリオレフィン樹脂を、出口温度190℃、1000g/時間の速度でフィードしつつ、2台目のフィーダーにより、セルロースAを110g/時間の速度でフィードし、液添ポンプにより水を98g/時間でフィードし、下記表1の組成を満たす混合物を200℃で溶融混練した後、押出を行い、ポリオレフィン樹脂複合材を調製した。スクリュー回転数は100rpmとした。
2)ドアトリムの製造工程
上記1)で調製したポリオレフィン樹脂複合材を用いて射出成形し、樹脂部を備えるドアトリムを作製した。なお、射出条件は、一般的に適切とされる成形条件で実施した。
(実施例2〜14、比較例1〜3)
下記表1の組成を採用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜14及び比較例1〜3のポリオレフィン樹脂複合材を調製した。次に、このポリオレフィン樹脂複合材を使用して、実施例1と同様の方法で樹脂部を備えるドアトリムを作製した。
なお、比較例3は、水の配合量が多すぎて、押出機の吐出量が不安定になった。
上記のようにして作成した各ドアトリムの樹脂部を構成するポリオレフィン樹脂複合材におけるセルロースの凝集体の面積を、以下のようにして算出した。
(セルロースの凝集体の面積算出方法)
得られたポリオレフィン樹脂複合材を、縦3.3mm×横4.3mm×厚さ3.6mmの直方体のペレットとした。このペレットを用いて、厚み0.1mmの測定用シートを作製した。具体的には、プレス装置を用いてペレットを160℃で5分間予熱後、さらに160℃で20MPaの圧力下で5分間加圧して測定用シートを作製した。
作製したシートを、ニコン社製工業用顕微鏡「ECLIPSE LV100ND(商品名)」により倍率50倍で平面視観察し、この観察面を撮影して画像処理し、0〜80の輝度でカウントされた部分をセルロースの凝集体として、面積を算出した。
具体的には、視野を1.3mm×1.7mmとし、ランダムに9視野を撮影した。得られた画像をニコン社製「NIS−Elemenets D(商品名)」により下記条件で画像処理し、0〜80の輝度でカウントされた部分の各々の面積を算出した。その中で、面積が最大・最小のものを、セルロースの凝集体の面積の最大値・最小値とした。ただし、面積の最小値が500μm未満のものは、測定対象から除外した。なぜならば、原材料として使用している凝集していないセルロースを上記と同様の方法で測定した際、その面積が約500μmであり、これ以下のものは、セルロースが凝集して形成されたものとは認められないためである。
−画像処理条件−
・スムーズ off
オブジェクトの端の形状に作用して、形状を滑らかにする機能である。
・クリーン on
小さなオブジェクトが見えなくなる機能。小さなオブジェクトが消えるだけで、その他の画像は影響を受けない。本測定では、面積が500μm未満を排除するため、500μm未満のオブジェクトをクリーン機能で除去した。
・閉領域を埋める off
オブジェクト内の閉領域を埋める機能である。
・分割 off
結合された単一のオブジェクトを検出し、分離する機能である。
得られた結果を、まとめて下記表1に示す。
比較例1及び実施例1で得られたポリオレフィン樹脂複合材のペレットについて、上記の方法にしたがって撮影した画像と画像処理を行って面積を測定した画像をそれぞれ図3に載せた。
(引張弾性率)
前記で得られたポリオレフィン樹脂複合材のペレットを80℃、24時間乾燥し、射出成形機〔ファナック社製ロボットショットα−30C〕により、JIS K7127の試験片タイプ2号に準拠して、各ドアトリムの樹脂部を構成するポリオレフィン樹脂複合材の引張試験片を作製した。
作製した引張試験片の引張弾性率(GPa)をJIS K7161に準拠して、引張試験機〔インストロン社製のインストロン試験機5567型〕により、試験速度:1.0mm/minの条件の条件で測定した。
得られた結果を、まとめて下記表1に示す。
表1中、ポリオレフィン樹脂、セルロースA及び水の含有量は、質量部であり、「−」は未使用、すなわち0質量部であることを示す。
また、比較例3の「凝集体の面積」における「−」は、セルロースとポリオレフィン樹脂が一体化した複合材が得られなかったことを意味する。
上記表1から、実施例1〜14のドアトリムの樹脂部を構成するポリオレフィン樹脂複合材は、いずれもセルロースの凝集体の面積が20,000μm未満であり、ポリオレフィン樹脂とセルロースとが高度な均一性で一体化されていることがわかる。また、実施例1〜14で作製したポリオレフィン樹脂複合材は、機械的強度としての引張弾性率がいずれも1.25以上であり、比較例1、2の引張試験片よりも高い引張弾性率を示していた。このことから、実施例1〜14では、このような作用を有するポリオレフィン樹脂複合材が使用されているため、機械的強度が向上した樹脂部を備えるドアトリムを作製することができた。
これに対して、比較例1のポリオレフィン樹脂複合材は、混練時に水を用いなかったため、セルロースの凝集体の面積が20,000μmを大きく超えた。また、比較例2のポリオレフィン樹脂複合材は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、セルロースが200質量部と過剰であったため、凝集体の面積が20,000μmを超えた。そのため、比較例1、2では、ポリオレフィン樹脂とセルロースとが高度な均一性で一体化されたポリオレフィン樹脂複合材を得ることができなかった。また、比較例3のポリオレフィン樹脂複合材は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、水の量が250質量部と過剰であったため、セルロースとポリオレフィン樹脂が一体化したポリオレフィン樹脂複合材が得られなかった。
このように、ポリオレフィン樹脂とセルロースとを特定量、溶融混練するに当たり、水を特定量加えることにより、セルロースの凝集体のサイズを20,000μm未満に抑えることができ、疎水性のポリオレフィン樹脂とセルロースとが高度な均一性で一体化した樹脂複合材で形成され、さらには機械的強度が向上した樹脂部を備えるドアトリムが得られることがわかる。
また、実施例1〜14のポリオレフィン樹脂複合材は、セルロースの樹脂改質作用を十分に引き出すことができたため、軽量、高剛性、低線熱膨張係数を実現でき、また外観にも優れていることから、ドアトリムとして有用である。
1 (車両用)ドア
2 アウタパネル
3 インナパネル
4 ウインドガラス
5 ドアトリム
51 アームレスト部

Claims (3)

  1. ポリオレフィン樹脂と、該ポリオレフィン樹脂100質量部に対して10〜150質量部のセルロースとを含有し、前記セルロースの凝集体の面積が20,000μm未満であるポリオレフィン樹脂複合材で形成された樹脂部を備えるドアトリム。
  2. 前記セルロースが、植物由来の繊維状のセルロースである、請求項1に記載のドアトリム。
  3. 前記ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂およびアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂のうちの少なくとも1種である、請求項1または2に記載のドアトリム。
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