JP2019077781A - 光学透明粘着シート、積層体、光学透明粘着シートの製造方法、及び、積層シート - Google Patents

光学透明粘着シート、積層体、光学透明粘着シートの製造方法、及び、積層シート Download PDF

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淳 大西
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Abstract

【課題】柔軟性に優れ、厚膜化が可能な熱硬化ポリウレタンを用いて、貼り合わせ直後の貼り直しが容易であり、かつ優れた粘着力を発現する光学透明粘着シートを提供する。【解決手段】熱硬化ポリウレタンで構成された光学透明粘着シートであって、上記熱硬化ポリウレタンは、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分及びシランカップリング剤を含有する熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物であり、上記シランカップリング剤は、保護基でブロックされた第一の有機官能基を有するシランカップリングモノマー、又は、第二の有機官能基を有するシランカップリングオリゴマーを含む光学透明粘着シート。【選択図】図3

Description

本発明は、光学透明粘着シート、積層体、光学透明粘着シートの製造方法、及び、積層シートに関する。
光学透明粘着(OCA:Optically Clear Adhesive)シートは、光学部材の貼り合わせに利用される透明な粘着シートである。近年、スマートフォン、タブレットPC、携帯型ゲーム機、カーナビゲーション装置等の分野でタッチパネルの需要が急速に伸びており、これに伴い、タッチパネルを他の光学部材に貼り合わせるために用いられるOCAシートの需要も増加している。タッチパネルを備えた表示装置は、通常では、液晶パネル等の表示パネル、ITO(酸化インジウムスズ)等からなる透明導電膜を表層に有する透明部材(タッチパネル本体)、及び、透明導電膜を保護するカバーパネル等の光学部材が積層された構造を有し、光学部材間の貼り合わせにOCAシートが用いられている。但し、表示パネルとタッチパネル本体との間は、表示パネルの筐体であるベゼルの端部が存在するために他の光学部材の間隔よりも広く、OCAシートによる貼り合わせはされず、エアギャップと呼ばれる空気層を設けることが一般的であった。
しかしながら、光学部材間に空気層であるエアギャップが存在すると、空気層及び光学部材の屈折率の差により界面反射が生じるため、表示パネルの視認性が低下する。このため、表示パネルとタッチパネル本体との貼り合わせに適した厚膜のOCAシートが求められていた。また、表示パネルとタッチパネル本体との貼り合わせに用いられるOCAシートには、ベゼルの厚みによって形成される段差を被覆することも求められる。したがって、柔軟性(段差追従性)に優れ、かつ、厚膜化が可能なOCAシートが必要であった。
OCAシート関連分野における先行技術を開示した文献としては、例えば、特許文献1、2が挙げられる。特許文献1には、光学フィルム上に粘着剤層が設けられている粘着型光学フィルムにおいて、 前記粘着剤層が、重量平均分子量500〜4000のポリオール化合物(a−1)、イソシアネート化合物(a−2)、および一分子中にラジカル重合性を有するC=C結合を2以上有するポリオール化合物(a−4)を反応して得られ、前記ポリオール(a−1)と前記ポリオール化合物(a−4)との合計量に対する前記ポリオール化合物(a−4)の配合量が0.1〜10重量%であるポリウレタンポリマー(A)をベースポリマーとするものであり、かつ、前記ウレタンポリマー(A)100重量部に対してシランカップリング剤(B)0.01〜0.5重量部含有することを特徴とする粘着型光学フィルムが開示されている。
特許文献2には、粘着剤樹脂(A)100重量部と、エポキシ当量が100〜2000g/molでかつアルコキシル基含有量が5〜60重量%であるシリコーンアルコキシオリゴマー(B)0.1〜20重量部と、を含み、 前記粘着剤樹脂(A)が、カルボキシル基を含有しないモノマーを重合して得られるアクリル系粘着剤樹脂(A1)、ウレタン系粘着剤樹脂(A2)、およびポリエステル系粘着剤樹脂(A3)からなる群より選択される1つ以上である、粘着剤組成物が開示されている。また、この粘着剤組成物が、粘着剤樹脂(A)100重量部に対して、さらに、シランカップリング剤(D)を0.001〜5重量部含有するものであってもよいことが記載されている(請求項7参照)。
特許第5016994号明細書 特開2016−44291号公報
OCAシートとしては、紫外線硬化型の接着剤で形成されたものが知られている。しかしながら、紫外線硬化型の接着剤は、加飾印刷の影となる部分や紫外線を吸収する材料の影となる部分等では紫外線を照射できないため、充分に硬化させることができない。
そこで、本発明者らは、柔軟性に優れ、厚膜化が可能なOCAシートの材料として、溶剤を用いずに成膜され、加熱により硬化される熱硬化性ポリウレタン組成物を用いることに着目した。更に、熱硬化ポリウレタンを用いた光学透明粘着シートの粘着力向上について検討する中で、熱硬化性ポリウレタン組成物にシランカップリング剤を添加することによって、経時的に、又は、加熱によって、界面の粘着力を向上させることに想到した。しかしながら、充分な粘着力向上の効果は得られなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、柔軟性に優れ、厚膜化が可能な熱硬化ポリウレタンを用いて、貼り合わせ直後の貼り直しが容易であり、かつ優れた粘着力を発現する光学透明粘着シートを提供することを目的とする。
本発明者は、熱硬化性ポリウレタン組成物にシランカップリング剤を添加しても充分な粘着力向上の効果が得られない原因について検討した結果、シランカップリング剤がシート内部で加水分解され、被着体との界面に析出しないためであると考えた。そこで、被着体との界面に偏析させるのに適したシランカップリング剤について種々検討し、特定の種類のシランカップリング剤を添加すれば、充分な粘着力向上の効果が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明の光学透明粘着シートは、熱硬化ポリウレタンで構成された光学透明粘着シートであって、上記熱硬化ポリウレタンは、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分及びシランカップリング剤を含有する熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物であり、上記シランカップリング剤は、保護基でブロックされた第一の有機官能基を有するシランカップリングモノマー、又は、第二の有機官能基を有するシランカップリングオリゴマーを含むことを特徴とする。
上記第一の有機官能基は、アミノ基又はメルカプト基であることが好ましい。
上記シランカップリングオリゴマーは、上記第二の有機官能基がシロキサン鎖に結合した構造を有してもよい。この場合、上記第二の有機官能基は、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基又はビニル基であることが好ましい。
上記第二の有機官能基は、イソシアヌレート環であってもよい。
上記ポリオール成分は、オレフィン系ポリオールを含むことが好ましい。
本発明の積層体は、第一の被着体と、第二の被着体と、上記第一の被着体及び上記第二の被着体を接合する本発明の光学透明粘着シートとを備えることを特徴とする。
上記第一の被着体は、ガラス基材であってもよい。上記第二の被着体は、樹脂基材であってもよい。上記樹脂基材は、ポリカーボネートを含有してもよい。
本発明の光学透明粘着シートの製造方法は、本発明の光学透明粘着シートを製造する方法であって、上記ポリオール成分、上記ポリイソシアネート成分及び上記シランカップリング剤を攪拌混合して上記熱硬化性ポリウレタン組成物を調製する工程と、上記熱硬化性ポリウレタン組成物を硬化する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の積層シートは、本発明の光学透明粘着シートと、上記光学透明粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、上記光学透明粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものであることを特徴とする。
本発明の光学透明粘着シートによれば、柔軟性に優れ、厚膜化が可能な熱硬化ポリウレタンの優位性を得つつ、貼り合わせ直後の貼り直しが容易であり、かつ優れた粘着力を発現することができる。また、本発明の積層体によれば、優れた粘着力を得ることができる。本発明の光学透明粘着シートの製造方法によれば、本発明の光学透明粘着シートを好適に製造することができる。本発明の積層シートによれば、本発明の光学透明粘着シートの取扱い性を向上することができる。
シランカップリング剤の作用機構を説明する図である。 光学透明粘着シートの粘着力の測定方法を説明するための模式図である。 本発明の光学透明粘着シートを用いたタッチパネル付き表示装置の一例を模式的に示した断面図である。 本発明の光学透明粘着シートの作製に用いる成形装置の一例を説明するための模式図である。 (a)は、実施例1の光学透明粘着シートについて得られた共焦点ラマンスペクトルを示したグラフであり、(b)は、(a)のスペクトルの低波長領域(ラマンシフトが800cm−1付近)を拡大して示したグラフである。
本発明の光学透明粘着シートは、熱硬化ポリウレタンで構成された光学透明粘着シートであって、上記熱硬化ポリウレタンは、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分及びシランカップリング剤を含有する熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物であり、上記シランカップリング剤は、保護基でブロックされた第一の有機官能基を有するシランカップリングモノマー、又は、第二の有機官能基を有するシランカップリングオリゴマーを含むことを特徴とする。なお、本明細書において、「光学透明粘着シート」とは、「光学透明粘着フィルム」と同義である。
本発明の光学透明粘着シートは、熱硬化ポリウレタンで構成されたものである。ポリウレタンで構成された光学透明粘着シートは、柔軟であり、引っ張り応力が加わったときに、良く伸び、非常に千切れにくい。このため、糊残りすることなく、引き剥がすことが可能である。また、本発明の光学透明粘着シートは、柔軟であるとともに厚膜化できることから、耐衝撃性に優れたものとすることができる。更に、ポリウレタンで構成された光学透明粘着シートは、誘電率が高く、従来のアクリル系樹脂組成物からなる光学透明粘着シートよりも高い静電容量が得られることから、静電容量方式のタッチパネルの貼り合わせに好適に用いられる。
上記熱硬化ポリウレタンは、アクリル変性されていないことが好ましく、主鎖中にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等に由来する部位が含まれないことが好ましい。熱硬化ポリウレタンがアクリル変性されると、疎水化されるため、高温・高湿下において水分の凝集が生じやすくなる。この水分の凝集は、白化、発泡等を引き起こし、光学特性を損なうことがある。したがって、上記熱硬化ポリウレタンをアクリル変性されていないものとすることで、高温・高湿下において白化、発泡等による光学特性の低下を防止することができる。上記熱硬化ポリウレタンは、ポリオール成分に由来する単量体単位と、ポリイソシアネート成分に由来する単量体単位との合計量が、ポリウレタン全体を構成する単量体単位の80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、ポリオール成分に由来する単量体単位及びポリイソシアネート成分に由来する単量体単位のみからなる。
[ポリオール成分]
上記ポリオール成分としては特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレントリオール、これらの共重合体等のポリアルキレングリコール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等が挙げられる。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ポリカプロテクトングリコール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ジアルキルカーボネートとジオールとの反応物が挙げられる。
上記ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。ジオールとしては、炭素数が4〜9の脂環族又は脂環族ジオールが好ましく、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオ−ル、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、及び、1,9−ノナンジオールを、単独で用いる又は2種類以上を併用することが好ましい。ジオールとしては、また、1,6−ヘキサンジオールと3−メチル−1,5−ペンタンジオールとからなるコポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールとからなるコポリカーボネートジオールも好ましい。
また、上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートグリコール、ポリカーボネートトリオール、ポリカーボネートテトラオール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等を用いることもできる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコール成分とを脱水縮合させたものが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。
グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;p−キシレンジオール等の芳香族ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、以上で例示したジカルボン酸及びグリコール成分によって形成される場合には、線状の分子構造を有するが、3価以上のエステル形成成分を用いた分枝状の分子構造を有するポリエステルであってもよい。ジカルボン酸とグリコール成分とは、モル比1.1〜1.3にて150〜300℃で反応させればよい。
上記ポリオール成分の数平均分子量は、300以上、5000以下であることが好ましい。ポリオール成分の数平均分子量が300未満である場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応が速過ぎて熱硬化ポリウレタンを均一なシートに成形することが困難になったり、熱硬化ポリウレタンの柔軟性が低下して脆くなったりすることがある。ポリオール成分の数平均分子量が5000を超える場合には、ポリオール成分の粘度が高くなり過ぎて熱硬化ポリウレタンを均一なシートに成形することが困難になったり、熱硬化ポリウレタンが結晶化して白濁したりする等の不具合が生じることがある。ポリオール成分の数平均分子量は、500以上、2000以下であることがより好ましい。
上記ポリオール成分は、好ましくは、オレフィン骨格を有するものであり、すなわち主鎖がポリオレフィン又はその誘導体によって構成されたものである。ポリオール成分としてオレフィン系ポリオールを用いることで、良好な耐熱性が得られ、かつ疎水性を有することから水分によるアウトガスの発生も抑制することができる。オレフィン骨格を有するポリオール成分としては、例えば、1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、1,2−ポリクロロプレンポリオール、1,4−ポリクロロプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールや、ポリイソプレン系ポリオール、それらの二重結合を水素又はハロゲン等で飽和化したものが挙げられる。また、上記ポリオール成分は、ポリブタジエン系ポリオール等に、スチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールやその水添物であってもよい。上記ポリオール成分は、直鎖構造を有するものであってもよく、分岐構造を有するものであってもよい。オレフィン骨格を有するポリオール成分は、1種類のみ用いられてもよいし、2種類以上用いられてもよい。上記ポリウレタンに用いられるポリオール成分は、オレフィン骨格を有するポリオール成分を80モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは、オレフィン骨格を有するポリオール成分のみからなる。
上記オレフィン骨格を有するポリオール成分のうち公知のものとしては、例えば、出光興産社製の水酸基末端ポリイソプレンを水添して得られるポリオレフィンポリオール(「EPOL(エポール、登録商標)」、数平均分子量:2500)、日本曹達社製の両末端水酸基水素化ポリブタジエン(「GI−1000」、数平均分子量:1500)、三菱化学社製のポリヒドロキシポリオレフィンオリゴマー(「ポリテール(登録商標)」)等が挙げられる。
[ポリイソシアネート成分]
上記ポリイソシアネート成分としては特に限定されず、従来公知のポリイソシアネートを用いることができ、親水性ユニット(親水基)を有する親水性ポリイソシアネート、及び、親水性ユニットを有さない疎水性ポリイソシアネートのいずれか一方、又は、両方を用いてもよい。なお、上記親水性ポリイソシアネートは、イソシアヌレート構造やビウレット構造のようにイソシアネート基に由来する構造のみによって親水性を向上させたものではなく、親水性を高める官能基(親水基)が付加されたポリイソシアネートであることが好ましい。
上記親水性ユニットとしては、エチレンオキシドユニットが好適である。上記親水性ユニットが含まれることで、吸湿による白化を抑制する作用が得られる。上記エチレンオキシドユニットの含有量は、熱硬化性ポリウレタン組成物の全体に対して、0.1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。上記含有量が0.1重量%未満であると、充分に白化を抑制できないおそれがある。上記含有量が20重量%を超えると、低極性のオレフィン系ポリオール成分、タッキファイヤー、可塑剤等との相溶性が低下することによって、ヘイズ等の光学特性が低下するおそれがある。上記エチレンオキシドユニットの含有量は、0.1〜5重量%であることがより好ましい。上記含有量が5重量%を超えると、上記高温高湿環境での吸湿量が多くなりすぎるおそれがある。
エチレンオキシドユニット以外の親水性ユニットとしては、例えば、カルボン酸基、カルボン酸のアルカリ金属塩基、スルホン酸基、スルホン酸のアルカリ金属塩基、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基等を含むユニットが挙げられる。さらに詳しくは、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、スルホン酸基含有共重合体、スルホン酸基含有共重合体のアルカリ金属塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
上記親水性ユニットを有する親水性ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系ポリイソシアネートと、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートが好適に用いられる。脂肪族系ポリイソシアネートを用いることにより、光学透明粘着シートの着色や変色がより発生しにくく、長期に渡って光学透明粘着シートの透明性をより確実に確保することができる。また、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物を反応させた変性体とすることによって、ポリイソシアネート成分は、親水性部分(エチレンオキシドユニット)の作用によって白化を抑制することができ、疎水性部分(その他のユニット)の作用によって低極性のタッキファイヤー、可塑剤等との相溶性を発揮することができる。
上記脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、それらの変性体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。なお、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート変性、アロファネート変性、及び/又は、ウレタン変性したもの等が挙げられる。
上記エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物としては、例えば、アルコール類、フェノール類及び/又はアミン類のエチレンオキシド付加物が挙げられ、親水性を高める観点から、1分子当たり3個以上のエチレンオキシドユニットを有するものが好適に用いられる。
上記アルコール類としては、例えば、1価アルコール類、2価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブチレンジオール、ペオペンチルグリコール等)、3価アルコール類(グリセリン、トリメチロールプロパン等)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記フェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)、フェノール化合物のホルマリン低縮合物(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記変性ポリイソシアネートの1分子当たりのイソシアネート基の数は、平均で2.0以上であることが好ましい。上記イソシアネート基の数が平均で2.0未満であると、架橋密度の低下により、熱硬化性ポリウレタン組成物が充分に硬化しないおそれがある。
上記疎水性ポリイソシアネートとしては特に限定されないが、脂肪族系イソシアネートが好適に用いられ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、それらの変性体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記親水性ユニットを有する親水性ポリイソシアネートと、上記親水性ユニットを有さない疎水性ポリイソシアネートの配合比率は、白化防止と吸湿率低減の両立を図る観点から、好ましくは9:1〜1:9であり、より好ましくは7:3〜3:7である。
熱硬化性ポリウレタン組成物は、α比(ポリオール成分由来のOH基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のNCO基のモル数)が1以上であることが好ましい。α比が1未満である場合には、ポリイソシアネート成分の配合量が、ポリオール成分の配合量に対して過剰であるため、熱硬化ポリウレタンが硬くなり、光学透明粘着シートに要求される柔軟性を確保することが困難となる。光学透明粘着シートの柔軟性が低いと、特に、タッチパネル等の光学部材を貼り合わせる場合、貼り合わせ面に存在する凹凸及び段差を被覆することができない。また、光学透明粘着シートに要求される粘着力を確保することができないおそれがある。α比は、1.3<α<2.0を満たすことがより好ましい。α比が2.0以上である場合には、熱硬化性ポリウレタン組成物が充分に硬化しないことがある。
[シランカップリング剤]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、シランカップリング剤として、保護基でブロックされた第一の有機官能基を有するシランカップリングモノマー(A)、又は、第二の有機官能基を有するシランカップリングオリゴマー(B)を含む。
上記シランカップリングモノマー(A)としては、分子内に、無機材料と化学結合する少なくとも1つの無機官能基(第一の無機官能基)と、有機材料と化学結合する少なくとも1つの有機官能基(第一の有機官能基)と、を有するシラン化合物であって、該第一の有機官能基の少なくとも1つが保護基と結合したものを用いることができる。上記シランカップリングモノマー(A)は、分子内に3つの無機官能基と1つの有機官能基とを有することが好ましい。
上記第一の無機官能基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。第一の無機官能基の少なくとも1つがエトキシ基であることにより、加水分解反応を遅延させ、発泡の原因となるアウトガスを低減できる。
上記第一の有機官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、ビニル基が挙げられ、なかでもアミノ基、メルカプト基が好ましい。アミノ基及びメルカプト基は、ウレタンの水酸基と容易に水素結合することから、アミノ基又はメルカプト基を第一の有機官能基として用いれば、ガラス等の無機被着体との貼り合わせ後に加熱した際に、粘着力を大幅に向上させることができる。
上記保護基としては、第一の有機官能基と結合して第一の有機官能基の反応性を低下させるものであれば特に限定されず、加水分解により第一の有機官能基から脱離するものが好ましい。保護基で有機官能基をブロックすることにより、シランカップリングモノマー(A)は光学透明粘着シート内で反応せずに安定的に存在することができ、シート表面に移行しやすくなる。よって、シート表面にシランカップリング剤が偏析しやすくなる。第一の有機官能基がアミノ基の場合には、保護基としてケトン化合物を用いることにより、保護基でブロックされた有機官能基として、ケチミン構造が形成される。ケチミン構造は、容易に加水分解されて1級アミンを生じる。
図1は、シランカップリング剤の作用機構を説明する図である。図1に示すように、シランカップリング剤は、水分により加水分解されてシラノールとなった後、部分的に縮合してオリゴマーとなる。続いて、被着体100の表面に水素結合等の相互作用により吸着する。その後、加熱等により脱水縮合反応が生じると、被着体100の表面に化学的に強固に結合する。このように、本発明の光学透明粘着シートは、貼合直後は高接着力を発現せず、加熱することで接着力が大幅に向上し、被着体と強固に結合させることができる。したがって、本発明の光学透明粘着シートは、リワーク性に優れたものである。
上記シランカップリングモノマー(A)の含有量は、熱硬化性ポリウレタン組成物に対して、0.1重量%以上、4.0重量%以下であることが好ましい。シランカップリングモノマー(A)の含有量が0.1重量%未満である場合には、光学透明粘着シートの粘着力を充分に向上できないことがある。シランカップリングモノマー(A)の含有量が4.0重量%を超える場合には、シランカップリングモノマー(A)の表面偏析が過剰となり、常温での粘着力が大幅に低下するおそれがある。
上記第二の有機官能基を有するシランカップリングオリゴマー(B)としては、有機材料と化学結合する少なくとも1つの有機官能基(第二の有機官能基)がシロキサン鎖に結合した構造を有するものを用いることができ、具体的には、分子内に、少なくとも1つのアルコキシ基と、少なくとも1つの第二の有機官能基と、がシロキサン鎖に結合したアルコキシオリゴマーが挙げられる。このようなアルコキシオリゴマーは、アルコキシシランを加水分解縮合することで生成できる。
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。アルコキシ基の少なくとも1つがエトキシ基であることにより、加水分解反応を遅延させ、発泡の原因となるアウトガスを低減できる。
上記第二の有機官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、ビニル基が挙げられ、なかでもアクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、ビニル基が好ましい。アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基又はビニル基を第二の有機官能基として用いれば、被着体との貼り合わせ後に加熱した際に、粘着力を大幅に向上させることができる。
上記第二の有機官能基を有するシランカップリングオリゴマー(B)としては、第二の有機官能基として、イソシアヌレート環(イソシアネート基の三量体)を有するものを用いてもよい。イソシアヌレート環は、光学透明粘着シート内で反応せずに安定的に存在することができるので、シート表面に移行しやすい。よって、シート表面にシランカップリング剤が偏析しやすくなる。
シランカップリング剤として、第二の有機官能基を有するシランカップリングオリゴマー(B)を用いることにより、ポリオール成分やポリイソシアネート成分に対するシランカップリング剤の相溶性を低下させることができ、シランカップリング剤の官能基が被着体との界面に偏析しやすくなるので、被着体と強固に結合させることができる。また、シロキサン鎖を含む場合には、揮発性が低く、耐熱性や耐光性が良好であるといった利点も有する。
上記シランカップリングオリゴマー(B)の含有量は、熱硬化性ポリウレタン組成物に対して、0.1重量%以上、4.0重量%以下であることが好ましい。シランカップリングオリゴマー(B)の含有量が0.1重量%未満である場合には、光学透明粘着シートの粘着力を充分に向上できないことがある。シランカップリングオリゴマー(B)の含有量が4.0重量%を超える場合には、シランカップリングオリゴマー(B)の表面偏析が過剰となり、常温での粘着力が大幅に低下するおそれがある。
[タッキファイヤー]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有してもよい。タッキファイヤーは、粘着力を向上するために添加される添加剤であり、通常、分子量が数百〜数千の無定型オリゴマーで、常温で液状又は固形の熱可塑性樹脂である。熱硬化性ポリウレタン組成物がタッキファイヤーを含有することで、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートの粘着力を向上させることができる。
上記タッキファイヤーとしては特に限定されず、例えば、石油樹脂系タッキファイヤー、炭化水素樹脂系タッキファイヤー、ロジン系タッキファイヤー、テルペン系タッキファイヤー等を含むものが挙げられる。これらは1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
上記タッキファイヤーとしては、上記オレフィン骨格を有するポリオール成分等との相溶性に優れることから、石油樹脂系タッキファイヤーが好適に用いられる。上記石油樹脂系タッキファイヤーの中でも、ジシクロペンタジエンと芳香族化合物の共重合体を水素添加して得られる水添石油樹脂が好適に用いられる。ジシクロペンタジエンは、C5留分から得られる。上記芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。ジシクロペンタジエンとビニル芳香族化合物との割合は特に限定されないが、重量基準で、ジシクロペンタジエン:ビニル芳香族化合物=70:30〜20:80であることが好ましく、60:40〜40:60であることがより好ましい。上記水添石油樹脂の好ましい軟化点は90〜160℃、好ましいビニル芳香族化合物単位含有量は35質量%以下、好ましい臭素価は0〜30g/100g、好ましい数平均分子量は500〜1100である。上記水添石油樹脂のうち公知のものとしては、例えば、出光興産社製の「アイマーブP−100」が挙げられる。
上記タッキファイヤーとしては、上記オレフィン骨格を有するポリオール成分等との相溶性に優れることから、炭化水素樹脂系タッキファイヤーが好適に用いられる。上記炭化水素樹脂系タッキファイヤーの中でも、脂環族飽和炭化水素樹脂が好適に用いられる。上記脂環族飽和炭化水素樹脂のうち公知のものとしては、例えば、荒川化学工業社製の「アルコンP−100」が挙げられる。
上記タッキファイヤーの含有量は、熱硬化性ポリウレタン組成物に対して、1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。タッキファイヤーの含有量が1重量%未満である場合には、光学透明粘着シートの粘着力を充分に向上できないことがあり、特に、高温・高湿下における粘着力が不充分になることがある。タッキファイヤーの含有量が20重量%を超える場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を阻害し、熱硬化ポリウレタン中にウレタン架橋が充分に形成されなくなることがある。その結果、高温・高湿下において光学透明粘着シートが溶解して形状が変化したり、タッキファイヤーが析出(ブリード)したりすることがある。また、ウレタン架橋を充分に形成するためにポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応時間を長くすると、生産性が低下する。
[可塑剤]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、可塑剤を含有してもよい。可塑剤の添加により、低硬度化されることで、本発明の光学透明粘着シートの取り扱い性や段差追従性を向上することができる。
上記可塑剤としては、熱可塑性樹脂に柔軟性を付与するために用いられる化合物であれば特に限定されないが、相溶性及び耐候性の観点から、カルボン酸系可塑剤を含むことが好ましい。上記カルボン酸系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル(フタル酸系可塑剤)や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリ−α−オレフィン等が挙げられる。これらは1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。上記カルボン酸系可塑剤のうち公知のものとしては、例えば、BASF社製の「DINCH」、新日本理化社製の「サンソサイザーDUP」、イオネスオリゴマーズ社製の「Durasyn(登録商標)148」が挙げられる。
[触媒]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、触媒を含有してもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物には、光学透明粘着シートの要求特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、着色剤、安定剤、酸化防止剤、防徽剤、難燃剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
本発明の光学透明粘着シートの厚みは、50〜3000μmであることが好ましい。厚みが50μm未満である場合には、光学透明粘着シートの一方の面を光学部材の表面に貼り付けたときに、光学透明粘着シートによって光学部材の表面に存在する凹凸又は段差を被覆することができず、光学透明粘着シートの他方の面と他の光学部材の表面とを充分な粘着力で貼り合わせることができないことがある。また、光学透明粘着シートが厚いほど、吸湿量が多くなるため、吸湿による遅れ泡が生じやすくなるが、厚みが3000μm以下であれば、吸湿による遅れ泡を充分に抑制できる。光学透明粘着シートの厚みのより好ましい下限は300μmであり、より好ましい上限は2000μmである。また、光学透明粘着シートは、被着体の貼り付け面に存在する凹凸又は段差の高さに対して3倍以上の厚みを有することが好ましい。
本発明の光学透明粘着シートは、ガラス表面に対して、23℃での初期粘着力が5N/25mm以下であることが好ましい。また、本発明の光学透明粘着シートは、ポリカーボネートの表面に対して、23℃での初期粘着力が5N/25mm以下であることが好ましい。初期粘着力が5N/25mm以下であれば、光学透明粘着シートをタッチパネル等の光学部材の貼り合わせに用いた場合に、糊残りなく剥がすことができるので、リワーク性に優れる。また、光学透明粘着シートの粘着力が大きくなり過ぎると、貼り合わせ時に光学透明粘着シートと被着体との間に入った気泡を抜くのが困難になることがある。なお、本発明の光学透明粘着シートによってタッチパネル等の光学部材を貼合する際、貼合後に気泡や真空ボイドを除去するオートクレーブ処理が50℃程度の温度で実施されてもよい。オートクレーブ処理までリワーク可能とするためには、初期粘着力は低く、オートクレーブ処理後に粘着力が上昇することが好ましい。本発明の光学透明粘着シートは、ガラス表面に対して、50℃で2時間保持した後の粘着力が10N/25mm以上であることが好ましい。また、本発明の光学透明粘着シートは、ポリカーボネートの表面に対して、50℃で2時間保持した後の粘着力が10N/25mm以上であることが好ましい。50℃で2時間保持した後の粘着力が10N/25mm未満である場合には、遅れ泡の発生を抑制することができないおそれがある。
上記粘着力は、ガラス製又はポリカーボネート製の基材を被着体とする180°剥離試験により測定された値を指す。以下の方法で180°剥離試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定することができる。図2は、光学透明粘着シートの粘着力の測定方法を説明するための模式図である。まず、光学透明粘着シート12を基材31に貼り付ける。次に、図2(a)に示すように、光学透明粘着シート12の基材31とは反対側の面にPETシート32を貼り付ける。その後、図2(b)に示すように、PETシート32を180°方向に引っ張り、光学透明粘着シート12を基材31との界面で剥離させ、基材31に対する光学透明粘着シート12の粘着力を測定する。
本発明の光学透明粘着シートは、光学透明粘着シートとしての性能を確保するために、ヘイズが0.5%以下であることが好ましく、また、全光線透過率が90%以上であることが好ましい。ヘイズ及び全光線透過率は、例えば、日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて測定することができる。ヘイズは、JIS K 7136に準拠した方法で測定され、全光線透過率は、JIS K 7361−1に準拠した方法で測定される。
本発明の光学透明粘着シートの両面には離型フィルムが貼り付けられてもよい。本発明の光学透明粘着シートと、上記光学透明粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、上記光学透明粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものである積層シート(以下、「本発明の積層シート」ともいう)もまた、本発明の一態様である。第一及び第二の離型フィルムが貼り付けられることにより、本発明の光学透明粘着シートの表面を、被着体に貼り付ける直前まで保護することができる。これにより、粘着性の低下や、異物の付着を防止できる。また、被着体以外に貼りついてしまうことも防止できるので、本発明の光学透明粘着シートの取扱い性を向上することができる。
上記第一及び第二の離型フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることができる。第一の離型フィルムと第二の離型フィルムの材質や厚みは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の光学透明粘着シートと第一の離型フィルムとの貼り合わせ強度(剥離強度)と、本発明の光学透明粘着シートと第二の離型フィルムとの貼り合わせ強度は、互いに異なることが好ましい。貼り合わせ強度に差があることにより、本発明の積層シートから第一及び第二の離型フィルムの一方(貼り合わせ強度が弱い方の離型フィルム)のみを剥離し、露出させた光学透明粘着シートの第一の面と第一の被着体を貼り合わせ、その後に、第一及び第二の離型フィルムの他方(貼り合わせ強度が強い方の離型フィルム)を剥離し、露出させた光学透明粘着シートの第二の面と第二の被着体を貼り合わせることが容易になる。第一の離型フィルムの本発明の光学透明粘着シートと接する側の表面、及び、第二の離型フィルムの本発明の光学透明粘着シートと接する側の表面のいずれか一方、又は、両方に、易剥離処理(離型処理)が施されていてもよい。易剥離処理としては、例えば、シリコン処理が挙げられる。
本発明の光学透明粘着シートの用途は特に限定されず、第一の被着体と、第二の被着体と、上記第一の被着体と上記第二の被着体とを接合する本発明の光学透明粘着シートとを備える積層体もまた、本発明の一態様である。第一及び第二の被着体としては、例えば、ガラス基材や樹脂基材が好適に用いられる。第一及び第二の被着体の材質は、同じであってもよいし、異なっていてもよく、例えば、第一の被着体がガラス基材であり、かつ第二の被着体が樹脂基材であってもよい。
上記ガラス基材は、光学透明粘着シートと接する表面がガラスにより構成されたものであれば特に限定されず、例えば、表示パネル、タッチパネル(ITO透明導電膜付きガラス基板)、カバーガラス等の表示装置を構成するガラス製の各種部材が挙げられる。表示パネルの種類は特に限定されず、例えば、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル(有機ELパネル)等が挙げられる。光学透明粘着シートを用いて表示装置内の各種部材を貼り合わせれば、表示装置内の空気層(エアギャップ)を無くすことができ、表示画面の視認性を向上することができる。また、ガラス基材に光学透明粘着シートを貼り付ければ、ガラスの飛散を防止する効果が得られる。
上記樹脂基材は、光学透明粘着シートと接する表面が樹脂(プラスチック)により構成されたものであれば特に限定されず、例えば、カバーパネル、タッチセンサーフィルム、偏光板、位相差フィルム等の表示装置を構成する樹脂製の各種部材が挙げられる。樹脂基材は、樹脂以外の材料で構成された部分を含んでいてもよいが、遅れ泡の発生を抑制する本発明の効果を得る観点からは、樹脂で構成された部分の厚さが1mm以上であることが好ましい。樹脂で構成された部分の厚さが1mm未満であれば、樹脂基材の内部に含まれる水分量が少ないので、遅れ泡の発生を抑制する必要性が小さい可能性がある。
上記樹脂基材を構成する樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、トリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。なかでも、遅れ泡の発生を抑制する本発明の効果を得る観点からは、ポリカーボネートが好適である。樹脂基材がポリカーボネートを含有する場合には、遅れ泡が顕著に発生しやすく、本発明によって効果的に遅れ泡の発生を抑制することができる。また、樹脂基材が偏光板である場合には、光学透明粘着シートと接する表面は、トリアセチルセルロースで構成されることがある。
本発明の積層体としては、例えば、本発明の光学透明粘着シートと、表示パネルと、タッチパネルとを備えるタッチパネル付き表示装置が挙げられる。図3は、本発明の光学透明粘着シートを用いたタッチパネル付き表示装置の一例を模式的に示した断面図である。図3に示す表示装置10では、表示パネル11、光学透明粘着シート12、タッチパネル(ITO透明導電膜付きガラス基板)13、光学透明粘着シート12、及び、透明カバーパネル14が順に積層されている。表示パネル11、タッチパネル13、及び、透明カバーパネル14の3つの光学部材は、2枚の本発明の光学透明粘着シート12により一体化されている。表示パネル11の種類は特に限定されず、例えば、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル(有機ELパネル)等を用いることができる。タッチパネル13としては、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式等の検出方式のものが用いられる。
表示パネル11は、表示面側に開口が設けられたベゼル(表示パネル11の筐体)11A内に収容されており、ベゼル11Aの開口の外縁には、ベゼル11Aの厚みに対応した段差が存在する。光学透明粘着シート12は、表示パネル11、及び、ベゼル11Aの表示面側を覆って貼り付けられており、ベゼル11Aの厚みに対応した段差を被覆している。光学透明粘着シート12をベゼル11Aにより形成される段差を被覆するようにベゼル上に配置する構造(以下、「ベゼルオン貼合構造」ともいう)によれば、光学透明粘着シート12がベゼル11Aの段差形成部を被覆するので、光学透明粘着シート12の端部が視認されることを防止できるだけでなく、ベゼル11Aの段差形成部と上側基材(タッチパネル13)とで光学透明粘着シート12を挟み込むことで、光学透明粘着シート12の端部からの剥離を防止できる。光学透明粘着シート12には、ベゼル11Aの厚みによって形成される段差を被覆するために、段差部に追従することができる柔軟性と、ベゼル11Aの厚みよりも厚いことが求められる。このように、ベゼル11Aに収容された表示パネル11との貼り合わせに用いられる光学透明粘着シート12の厚みは、例えば、700μm以上であることが好ましい。本発明の光学透明粘着シートは、700μm以上の厚みであっても、充分な光学特性及び柔軟性を有するものであり、ベゼル11Aに収容された表示パネル11との貼り合わせに好適に用いることができる。
このような表示装置では、本発明の光学透明粘着シートが用いられているため、種々の環境下で用いても、光学透明粘着シートの粘着力が低下しにくく、長期間に渡って光学部材を互いに密着させることができる。その結果、各光学部材と光学透明粘着シートとの間に空隙が発生しないので、界面反射の増加等による視認性の低下を防止することができる。本発明の光学透明粘着シートは、例えば、カーナビゲーション装置に組み込まれる表示装置等の車載用の表示装置や、スマートフォン等の携帯機器用の表示装置において用いることができる。
本発明の光学透明粘着シートの製法は特に限定されず、例えば、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した後、この組成物を従来公知の方法で熱硬化させつつ成形する方法が挙げられ、好ましくは、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分及びシランカップリング剤を攪拌混合して熱硬化性ポリウレタン組成物を調製する工程と、熱硬化性ポリウレタン組成物を硬化する工程とを含む。
ポリオール成分、ポリイソシアネート成分及びシランカップリング剤は、いずれも常温(23℃)で液体のものを用いることができ、溶剤を用いずに熱硬化ポリウレタンを得ることができる。タッキファイヤー等の他の成分は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分のいずれかに添加することができ、好ましくは、ポリオール成分に添加される。このように、熱硬化性ポリウレタン組成物を用いて光学透明粘着シートを作製する場合、溶剤の除去が必要ないため、均一なシートを厚く形成することができる。このため、本発明の光学透明粘着シートを、表示パネルと透明導電膜を表層に有する透明部材(タッチパネル)との貼り合わせに用いる場合、ベゼルの段差を被覆することができる。
製法の一例としては、まず、所定量のタッキファイヤーを、ポリオール成分に添加し、加温及び攪拌して溶解させることによって、マスターバッチを調製する。続いて、得られたマスターバッチ、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、シランカップリング剤、及び、必要に応じて触媒等の他の成分を混合し、ミキサー等で攪拌することによって、液状又はゲル状の熱硬化性ポリウレタン組成物を得る。その後、即座に熱硬化性ポリウレタン組成物を成形装置に投入し、第一及び第二の離型フィルムによって挟んだ状態で熱硬化性ポリウレタン組成物を移動させながら架橋硬化させることで、熱硬化性ポリウレタン組成物が半硬化され、第一及び第二の離型フィルムと一体化されたシートを得る。その後、炉で一定時間架橋反応させることで、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートが得られ、本発明の積層シートが完成する。
図4は、本発明の光学透明粘着シートの作製に用いる成形装置の一例を説明するための模式図である。図4に示す成形装置20では、まず、硬化前の液状又はゲル状の熱硬化性ポリウレタン組成物23を、離間して配置された一対の成型ロール22から連続的に送り出される一対の離型フィルム(PETフィルム)21の間隙に流し込む。そして、一対の離型フィルム21の間隙に熱硬化性ポリウレタン組成物23を保持した状態で硬化反応(架橋反応)を進行させつつ、加熱装置24内に搬入する。加熱装置24内において、熱硬化性ポリウレタン組成物23は、一対の離型フィルム(PETフィルム)21間に保持された状態で熱硬化し、熱可塑性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シート12の成形が完了する。
本発明の光学透明粘着シートの製法としては、硬化前の熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した後、各種コーティング装置、バーコート、ドクターブレード等の汎用の成膜装置や成膜方法を用いるものであってもよい。また、遠心成形法を用いて本発明の光学透明粘着シートを作製してもよい。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリオレフィンポリオール(出光興産社製の「EPOL(エポール、登録商標)」、数平均分子量:2500)100重量部、親水性ユニットを有する変性ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4022」)10重量部、シランカップリング剤(3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン)1.3重量部、水添石油樹脂系タッキファイヤー(出光興産社製の「アイマーブP−100」)20重量部、及び、ジラウリル酸ジメチル錫(Momentive社製の「Fomrez catalyst UL−28」)0.05重量部を、往復回転式撹拌機アジターを用いて攪拌混合し、α比が1.85である熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した。
その後、得られた熱硬化性ポリウレタン組成物を図4に示した成形装置20に注入した。そして、熱硬化性ポリウレタン組成物を一対の離型フィルム(表面に離型処理が施されたPETフィルム)21によって挟んだ状態で搬送しつつ、炉内温度70℃、炉内時間10分間の条件で架橋硬化させた。その後、70℃に調節した加熱装置24で12時間架橋反応させ、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シート12を作製した。光学透明粘着シート12の厚みは300μmであった。
透明なガラス基材(松波硝子工業社製のソーダガラス)に、離型フィルムを剥離した光学透明粘着シートの一方の面を押し圧0.15MPaで真空貼合し、離型フィルムを剥離した光学透明粘着シートの他方の面に、厚さ2mmの樹脂基材を押し圧0.15MPaで真空貼合し、ガラス基材と樹脂基材とを光学透明粘着シートによって貼り合わせた積層体を得た。樹脂基材としては、ポリカーボネート板(クラレ社製「MT2LX」)の一方の面をアクリルプライマー処理した樹脂板であるクラレ社製「UW2−070」の両面にハードコート処理(名阪真空工業社の「PMR」)を施したものを用い、アクリルプライマー処理がされていない側に、光学透明粘着シートを貼り合わせた。
最後に、得られた積層体を50℃で加熱した。加熱前には、ガラス基材と光学透明粘着シートとの貼り合わせ、及び、樹脂基材と光学透明粘着シートとの貼り合わせは、容易に剥離することができ、必要に応じて光学透明粘着シートを貼り直すことが可能であった。一方、加熱後には、ガラス基材及び樹脂基材の表面に光学透明粘着シートが化学的に結合し、ガラス基材と樹脂基材とは、光学透明粘着シートにより強固に接着された。なお、接着に要する時間を短縮するために加熱したが、常温で1日程度放置しておくだけでも、充分な接着強度が得られる。
(実施例2〜4、比較例1〜4)
下記表1に示したように、シランカップリング剤の種類を変更したことを除いて実施例1と同様にして、実施例2〜4、比較例1〜4に係る離型フィルム付き光学透明粘着シートをそれぞれ作製した。
(ガラス板に対する粘着力の測定)
図2に示した方法で180°剥離試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。具体的には、離型フィルム付き光学透明粘着シートを、長さ75mm×幅25mmに裁断し、試験片とした。この試験片の片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート12側を、長さ75mm×幅25mmの基材31に貼り付け、圧力0.4MPaで30分間保持し、光学透明粘着シート12と基材31とを貼り合わせた。次に、基材31とは反対側の離型フィルムを剥離し、図2(a)に示すように、光学透明粘着シート12の基材31とは反対側の面に、厚み125μmのPETシート(帝人デュポンフィルム社製の「メリネックス(登録商標)S」)32を貼り合わせた。その後、常温・常湿(温度23℃、湿度50%)下で12時間放置した後、図2(b)に示すように、PETシート32を180°方向に引っ張り、光学透明粘着シート12を基材31との界面で剥離させ、基材31に対する光学透明粘着シート12の粘着力を測定した。
なお、測定は、基材31としてガラス板を使用して行われた。また、貼り合わせ直後の粘着力(初期粘着力)と、貼り合わせてから50℃の環境に2時間投入した後の粘着力と、貼り合わせてから50℃の環境に12時間投入した後の粘着力と、が測定された。各測定は、各実施例及び比較例に対して、2つの試験片を準備して行われ、得られた2つの測定値の平均値を、各実施例及び比較例における測定結果とした。
Figure 2019077781
なお、表1中のシランカップリング剤A〜Hは、以下の化合物又は市販品を表す。
A:3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(アミノ基保護型(ケチミンタイプ))
B:信越化学工業社製シロキサン「KR−519」(有機官能基:メルカプト、アルコキシ基:メトキシ)
C:信越化学工業社製オルガノシラン「X−12−1056ES」(メルカプト基保護型)
D:トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート
E:3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
F:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
G:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン
H:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
表1から分かるように、保護基でブロックされた第一の有機官能基を有するシランカップリングモノマーを添加した実施例1及び3の光学透明粘着シートや、第二の有機官能基を有するシランカップリングオリゴマーを添加した実施例2及び4の光学透明粘着シートは、50℃に加熱することで粘着力が向上し、被着体に対する充分な接着強度が得られた。一方、比較例1、2、4の光学透明粘着シートは、50℃に加熱しても粘着力が向上しなかった。また、比較例3の光学透明粘着シートは、50℃に加熱することで粘着力が向上したが、12時間加熱しても被着体に対する充分な接着強度が得られなかった。
(ポリカーボネート板に対する粘着力の測定)
実施例1及び4の光学透明粘着シートについて、図2に示した方法で180°剥離試験を行い、ポリカーボネート板に対する粘着力を測定した。
実施例1の光学透明粘着シートは、初期粘着力が1.0(N/25mm)であり、貼り合わせてから50℃の環境に30分投入した後の粘着力が2.3(N/25mm)であった。実施例4の光学透明粘着シートは、初期粘着力が5.1(N/25mm)であり、貼り合わせてから50℃の環境に30分投入した後の粘着力が16.5(N/25mm)であった。
(共焦点ラマンスペクトルの測定)
実施例1の光学透明粘着シートについて、ラマン顕微鏡(堀場製作所製、「XPoloRa Plus」)により共焦点ラマンスペクトルを測定した。倍率20倍の対物レンズを使用し、シート表面から深さ0μm(シート表面)、40μm、80μm、160μm、200μmの各点について測定した。また、比較のため、実施例1で使用したシランカップリング剤の原液についても同様に測定した。
図5(a)は、実施例1の光学透明粘着シートについて得られた共焦点ラマンスペクトルを示したグラフであり、図5(b)は、図5(a)のスペクトルの低波長領域(ラマンシフトが800cm−1付近)を拡大して示したグラフである。なお、図5(b)中の「単体」は、実施例1で使用したシランカップリング剤Aの原液の測定結果に対応する。
図5(b)から分かるように、シランカップリング剤Aの原液(単体)のラマンスペクトルは、830cm−1付近にシランカップリング剤Aに由来するSiのラマン強度のピークを示している。よって、830cm−1付近におけるラマン強度を比較すると、深さ0μm(シート表面)でのラマン強度が最も大きく、シート表面から深さが増すにつれて、低波長領域のラマン強度が減少する傾向が見られた。このことから、シランカップリング剤Aがシート表面の近傍に偏析していることが確認された。
(実施例5)
シランカップリング剤の配合量を3倍に変更したことを除いて実施例1と同様にして、実施例5に係る離型フィルム付き光学透明粘着シートを作製した。図2に示した方法で180°剥離試験を行い、ガラス板に対する粘着力を測定したところ、貼り合わせ直後の粘着力(初期粘着力)が9.8(N/25mm)であり、貼り合わせてから50℃の環境に30分投入した後の粘着力が24.8(N/25mm)であった。
10 表示装置
11 表示パネル
11A ベゼル
12 光学透明粘着シート
13 タッチパネル
14 透明カバーパネル
20 成形装置
21 離型フィルム
22 成型ロール
23 熱硬化性ポリウレタン組成物
24 加熱装置
31 基材
32 PETシート
100 被着体

Claims (12)

  1. 熱硬化ポリウレタンで構成された光学透明粘着シートであって、
    前記熱硬化ポリウレタンは、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分及びシランカップリング剤を含有する熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物であり、
    前記シランカップリング剤は、保護基でブロックされた第一の有機官能基を有するシランカップリングモノマー、又は、第二の有機官能基を有するシランカップリングオリゴマーを含むことを特徴とする光学透明粘着シート。
  2. 前記第一の有機官能基は、アミノ基又はメルカプト基であることを特徴とする請求項1に記載の光学透明粘着シート。
  3. 前記シランカップリングオリゴマーは、前記第二の有機官能基がシロキサン鎖に結合した構造を有することを特徴とする請求項1に記載の光学透明粘着シート。
  4. 前記第二の有機官能基は、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基又はビニル基であることを特徴とする請求項3に記載の光学透明粘着シート。
  5. 前記第二の有機官能基は、イソシアヌレート環であることを特徴とする請求項1に記載の光学透明粘着シート。
  6. 前記ポリオール成分は、オレフィン系ポリオールを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学透明粘着シート。
  7. 第一の被着体と、第二の被着体と、前記第一の被着体及び前記第二の被着体を接合する請求項1〜6のいずれかに記載の光学透明粘着シートとを備えることを特徴とする積層体。
  8. 前記第一の被着体は、ガラス基材であることを特徴とする請求項7に記載の積層体。
  9. 前記第二の被着体は、樹脂基材であることを特徴とする請求項7又は8に記載の積層体。
  10. 前記樹脂基材は、ポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項9に記載の積層体。
  11. 請求項1〜6のいずれかに記載の光学透明粘着シートの製造方法であって、
    前記ポリオール成分、前記ポリイソシアネート成分及び前記シランカップリング剤を攪拌混合して前記熱硬化性ポリウレタン組成物を調製する工程と、
    前記熱硬化性ポリウレタン組成物を硬化する工程とを含むことを特徴とする光学透明粘着シートの製造方法。
  12. 請求項1〜6のいずれかに記載の光学透明粘着シートと、前記光学透明粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、前記光学透明粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものであることを特徴とする積層シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022202028A1 (ja) * 2021-03-24 2022-09-29 日東電工株式会社 光学積層体、画像表示装置及び粘着剤組成物

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