以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明においては、複数の錠剤が搬送される方向を「搬送方向」と称し、搬送方向に対して垂直かつ水平な方向を「幅方向」と称する。
<1.第1実施形態>
<1−1.錠剤印刷装置の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る錠剤印刷装置1の構成を示した図である。この錠剤印刷装置1は、医薬品である複数の錠剤9を搬送しながら、各錠剤9の表面に、製品名、製品コード、会社名、ロゴマーク等の画像を印刷する装置である。
図1に示すように、本実施形態の錠剤印刷装置1は、供給機構20、搬送機構30、印刷部40、検査機構50、回収部60および制御部10を有する。
供給機構20は、ホッパー21、直進フィーダ22、回転フィーダ23および傾斜フィーダ24を有する。供給機構20は、装置内に投入された錠剤9を、搬送機構30へ受け渡すための機構である。
ホッパー21は、多数の錠剤9を一括して装置内に受け入れるための投入部である。ホッパー21は、錠剤印刷装置1の筐体100の最上部に配置されている。ホッパー21は、筐体100の上面に位置する開口部211と、下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗状の傾斜面212とを有する。開口部211へ投入された複数の錠剤9は、傾斜面212に沿って直進フィーダ22へ流れ込む。
直進フィーダ22、回転フィーダ23および傾斜フィーダ24は、ホッパー21へ投入された複数の錠剤9を、搬送機構30まで搬送する機構である。直進フィーダ22は、平板状の振動トラフ221を有する。ホッパー21から振動トラフ221に供給された複数の錠剤9は、振動トラフ221の振動によって、回転フィーダ23側へ搬送される。
回転フィーダ23は、円板状の回転台231を有する。振動トラフ221から回転台231の上面に落下した複数の錠剤9は、回転台231の回転による遠心力で、回転台231の外周部付近へ集まる。
傾斜フィーダ24は、回転台231の外周部から搬送機構30の後述する搬送ドラム31まで、斜め下向きに延びる板状のスロープ241を有する。図2は、傾斜フィーダ24の一部、搬送ドラム31および第1搬送コンベア32の一部を含む斜視図である。図2に示すように、スロープ241の上面には、複数(図2の例では8本)の搬送溝242が設けられている。回転台231の外周部へ搬送された複数の錠剤9は、それぞれ、複数の搬送溝242のいずれか1つに供給され、搬送溝242に沿って斜め下向きに流れ落ちる。このように、複数の錠剤9は、複数の搬送溝242に分散供給されることによって、複数の搬送列に整列される。そして、各搬送列の複数の錠剤9が、先頭のものから順に搬送ドラム31へ供給される。
搬送機構30は、搬送ドラム31、第1搬送コンベア32、第2搬送コンベア33および搬出コンベア34を有する。
搬送ドラム31は、傾斜フィーダ24から第1搬送コンベア32へ、複数の錠剤9を受け渡す機構である。搬送ドラム31は、略円筒形状の外周面を有する。搬送ドラム31は、図示を省略したモータから得られる動力により、幅方向に延びる回転軸を中心として、図1および図2中の矢印の方向へ回転する。図2に示すように、搬送ドラム31の外周面には、搬送方向および幅方向に略等間隔に配置された複数の吸着部310が設けられている。複数の吸着部310は、傾斜フィーダ24の搬送溝242の各々に対応する幅方向位置において、搬送ドラム31の外周面に配列されている。
吸着部310はそれぞれ、搬送ドラム31の表面に設けられた貫通孔である。図3は、搬送ドラム31、第1搬送コンベア32の一部および第2搬送コンベア33の構成を示す部分概略図である。図3に示すように、搬送ドラム31の内部には、吸引機構311が設けられている。吸引機構311を動作させると、複数の吸着部310のそれぞれに、大気圧よりも低い負圧が生じる。吸着部310は、当該負圧によって、傾斜フィーダ24から供給される錠剤9を、1つずつ吸着保持する。
また、搬送ドラム31の内部には、解除用ブロー機構312が設けられている。解除用ブロー機構312は、搬送ドラム31の内側から第1搬送コンベア32側へ向けて、局所的に加圧された気体を吹き付ける。解除用ブロー機構312は、第1搬送コンベア32に対向する所定の位置に配置された吸着部310の全てに、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部310における錠剤9の吸着を解除する。
これにより、第1搬送コンベア32に対向しない位置に配置された吸着部310においては、錠剤9の吸着状態を維持しつつ、第1搬送コンベア32に対向する吸着部310のみにおいて、錠剤9の吸着が解除される。搬送ドラム31は、このように、傾斜フィーダ24から供給される複数の錠剤9を吸着保持しつつ回転し、それらの錠剤9を、第1搬送コンベア32へ受け渡す。
ここで、錠剤9が搬送ドラム31に吸着保持されている間に吸着部310により吸着される面を、第1面と称する。一方、第1面と反対側の面を第2面と称する。すなわち、錠剤9が搬送ドラム31に吸着保持されている間に外部に露出する面を、第2面と称する。搬送ドラム31から第1搬送コンベア32に錠剤9が引き渡される際、錠剤9の第2面が第1搬送コンベア32に対向する。このため、錠剤9の第2面が第1搬送コンベア32に吸着される。したがって、第1搬送コンベア32に吸着保持されている間、錠剤9の第1面が外部に露出する。このように、搬送ドラム31に吸着保持されている間と、第1搬送コンベア32に吸着保持されている間とで、錠剤9の表裏が反転されている。
第1搬送コンベア32は、一対のプーリ321と、搬送ベルト322と、吸引機構323とを有する第1搬送部である。搬送ベルト322は、一対のプーリ321の間に、環状に掛け渡されている。搬送ベルト322の一部分が、搬送ドラム31の外周面に近接して対向するように配置される。一対のプーリ321の一方は、図示を省略したモータから得られる動力で回転する。これにより、搬送ベルト322が、図1および図2の矢印の方向へ回動する。このとき、一対のプーリ321の他方は、搬送ベルト322の回動に伴い従動回転する。
また、図2に示すように、搬送ベルト322には、複数の吸着部320が設けられている。複数の吸着部320は、搬送ドラム31の吸着部310と同様、搬送ベルト322の表面に設けられた貫通孔である。複数の吸着部320は、複数の搬送列の各々に対応する幅方向位置において、搬送方向に配列されている。搬送ベルト322における複数の吸着部320の搬送方向および幅方向の間隔は、搬送ドラム31における複数の吸着部310の搬送方向および幅方向の間隔と等しい。
図3に示すように、第1搬送コンベア32は、吸引機構323を有する。吸引機構323は、プーリ321および搬送ベルト322の内側の空間に負圧を生じさせる。吸引機構323を動作させると、複数の吸着部320のそれぞれに、大気圧よりも低い負圧が生じる。吸着部320は、当該負圧によって、搬送ドラム31から引き渡された錠剤9を、1つずつ吸着保持する。これにより、第1搬送コンベア32は、複数の吸着部320に負圧を作用させて、複数の錠剤9を、搬送方向および幅方向に整列された状態で吸着保持しつつ、搬送する。
また、第1搬送コンベア32には、図3中に示す解除用ブロー機構324が設けられている。解除用ブロー機構324は、搬送ベルト322の内側から第2搬送コンベア33側へ向けて、局所的に加圧された気体を吹き付ける。解除用ブロー機構324は、第2搬送コンベア33に対向する所定の位置に配置された吸着部320の全てに、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部320における錠剤9の吸着を解除する。これにより、当該吸着部320における錠剤9の吸着が解除され、第1搬送コンベア32から第2搬送コンベア33へ、錠剤9が受け渡される。
ここで、錠剤9が第1搬送コンベア32に吸着保持されている間、錠剤9の第2面が吸着部320に吸着され、錠剤9の第1面が外部に露出している。第1搬送コンベア32から第2搬送コンベア33に錠剤9が引き渡される際、錠剤9の第1面が第2搬送コンベア33に対向する。このため、錠剤9の第1面が第2搬送コンベア33に吸着される。したがって、第2搬送コンベア33に吸着保持されている間、錠剤9の第2面が外部に露出する。このように、第1搬送コンベア32に吸着保持されている間と、第2搬送コンベア33に吸着保持されている間とで、錠剤9の表裏が反転されている。
第2搬送コンベア33は、一対のプーリ331と、複数の吸着部330を有する搬送ベルト332と、吸引機構333とを有する第2搬送部である。第2搬送コンベア33の一対のプーリ331、搬送ベルト332および吸引機構333は、第1搬送コンベア32の一対のプーリ321、搬送ベルト322および吸引機構323と同等の構成であるため、説明を省略する。
図3に示すように、第2搬送コンベア33には、排出用ブロー機構334が設けられている。排出用ブロー機構334の下方には、第2搬送コンベア33と搬出コンベア34とを接続するシュート341が配置されている。排出用ブロー機構334は、搬送ベルト332の内側からシュート341側へ向けて、局所的に加圧された気体を吹き付ける。排出用ブロー機構334は、シュート341に対向する所定の位置に配置された吸着部330の全てに、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部330における錠剤9の吸着を解除する。これにより、当該吸着部330における錠剤9の吸着が解除され、第2搬送コンベア33から搬出コンベア34へ、錠剤9が受け渡される。
搬出コンベア34は、印刷後の複数の錠剤9を、錠剤印刷装置1の筐体100の外部へ搬出する機構である。搬出コンベア34の上流側の端部は、シュート341の下方に位置する。搬出コンベア34の下流側の端部は、筐体100の外部に位置する。搬出コンベア34の下流側の端部は、例えば、印刷処理後の錠剤9を包装する包装装置と接続される。搬出コンベア34には、例えば、ベルト搬送機構が用いられる。第2搬送コンベア33から搬出コンベア34へ受け渡された複数の錠剤9は、搬出コンベア34によって、筐体100の外部へ搬出される。
印刷部40は、第1印刷部41と、第2印刷部42とを有する。
第1印刷部41は、錠剤9の第1面に画像を印刷するための処理部である。図1に示すように、第1印刷部41は、4つのヘッド411を有する、インクジェット方式のヘッドユニットである。4つのヘッド411はそれぞれ、第1搬送コンベア32により搬送される錠剤9の第1面に向けてインク滴を吐出する。なお、4つのヘッド411は、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色)のインク滴を吐出する。これらの各色により形成される単色画像の重ね合わせによって、錠剤9の表面に、多色画像が記録される。なお、各ヘッド411から吐出されるインクには、食品衛生法で認可された原料により製造された可食性インクが使用される。
図4は、1つのヘッド411の下面図である。図4には、搬送ベルト322と、搬送ベルト322に保持された複数の錠剤9とが、二点鎖線で示されている。図4中に拡大して示したように、ヘッド411の下面には、インク滴を吐出可能な複数のノズル410が設けられている。本実施形態では、ヘッド411の下面に、複数のノズル410が、搬送方向および幅方向に二次元的に配列されている。各ノズル410は、幅方向に位置をずらして配列されている。このように、複数のノズル410を二次元的に配置すれば、各ノズル410の幅方向の位置を、互いに接近させることができる。ただし、複数のノズル410は、幅方向に沿って一列に配列されていてもよい。
ノズル410からのインク滴の吐出方式には、例えば、圧電素子であるピエゾ素子に電圧を加えて変形させることにより、ノズル410内のインクを加圧して吐出させる、いわゆるピエゾ方式が用いられる。本実施形態のヘッド411は、ピエゾ素子に加える電圧の大きさによって、ノズル410から吐出されるインク滴のサイズを切り替えることができる。具体的には、最も微細なインク滴である「サイズ1」から最も大きいインク滴である「サイズ4」までの4種類のインク滴のうち、任意のインク滴を吐出することができる。ただし、吐出可能なインク滴のサイズは、2〜3種類であってもよく、5種類以上であってもよい。また、インク滴の吐出方式は、ヒータに通電してノズル410内のインクを加熱膨張させることにより吐出する、いわゆるサーマル方式であってもよい。
第2印刷部42は、錠剤9の第2面に画像を印刷するための処理部である。第2印刷部42は、4つのヘッド421を有する、インクジェット方式のヘッドユニットである。第2印刷部42の構成は、第1印刷部41と同等であるため、説明を省略する。
検査機構50は、図1に示すように、第1外観検査カメラ51と、第2外観検査カメラ52と、第1印刷検査カメラ53と、第3外観検査カメラ54と、第2印刷検査カメラ55とを有する。
第1外観検査カメラ51は、搬送ドラム31により搬送される錠剤9の第2面を撮影するカメラである。
第2外観検査カメラ52は、第1印刷部41の上流側において、第1搬送コンベア32により搬送される錠剤9の第1面を撮影するカメラである。第1印刷検査カメラ53は、第1印刷部41の下流側において、第1搬送コンベア32により搬送される錠剤9の第1面を撮影するカメラである。
第3外観検査カメラ54は、第2印刷部42の上流側において、第2搬送コンベア33により搬送される錠剤9の第2面を撮影するカメラである。第2印刷検査カメラ55は、第2印刷部42の下流側において、第2搬送コンベア33により搬送される錠剤9の第2面を撮影するカメラである。
回収部60は、印刷不良品回収部61と、外観不良品回収部62と、排出センサ63と、後回収部64とを有する。
印刷不良品回収部61は、印刷不良品回収用ブロー機構611と、印刷不良品回収箱612とを有する。印刷不良品回収用ブロー機構611は、第2印刷検査カメラ55の下流側に配置される。印刷不良品回収用ブロー機構611の下方には、印刷不良品回収箱612が配置されている。印刷不良品回収用ブロー機構611は、搬送ベルト332の内側から印刷不良品回収箱612側へ向けて、局所的に加圧された気体を吹き付ける。印刷不良品回収用ブロー機構611は、制御部10から指定された対象錠剤を保持する一部の吸着部330のみに対して、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部330に保持された対象錠剤の吸着を解除する。これにより、対象錠剤が、印刷不良品回収箱612へと回収される。
外観不良品回収部62は、外観不良品回収用ブロー機構621と、外観不良品回収箱622とを有する。外観不良品回収用ブロー機構621は、印刷不良品回収部61の下流側に配置される。外観不良品回収用ブロー機構621の下方には、外観不良品回収箱622が配置されている。外観不良品回収用ブロー機構621は、搬送ベルト332の内側から外観不良品回収箱622へ向けて、局所的に加圧された気体を吹き付ける。外観不良品回収用ブロー機構621は、制御部10から指定された対象錠剤を保持する一部の吸着部330のみに対して、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部330に保持された対象錠剤の吸着を解除する。これにより、対象錠剤が、外観不良品回収箱622へと回収される。
印刷不良品回収用ブロー機構611と、外観不良品回収用ブロー機構621とは、搬送方向の所定の位置において、対象錠剤が保持される吸着部330に陽圧を作用させて、吸着部330における対象錠剤の吸着を解除する第1ブロー機構を構成する。
なお、本実施形態では、印刷不良品回収部61が外観不良品回収部62の上流側に配置されたが、本発明はこれに限られない。外観不良品回収部62が印刷不良品回収部61よりも上流側に配置されてもよい。
また、本実施形態では、錠剤印刷装置1が印刷不良品回収用ブロー機構611と外観不良品回収用ブロー機構621という2つの第1ブロー機構を有していたが、本発明はこれに限られない。本発明の錠剤印刷装置は、一括して不良品を回収するための単一の第1ブロー機構を有してもよいし、その他の種類の不良品を回収する他のブロー機構を含む3つ以上の第1ブロー機構を有してもよい。
排出センサ63は、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62の下流側に配置される。排出センサ63は、レーザを吸着部330に照射し、その反射光を検出して物体との距離を検出するセンサである。排出センサ63は、反射距離を検出することにより、各吸着部330に錠剤9が保持されているか否かを検出できる。
後回収部64は、後回収用ブロー機構641と、後回収箱642とを有する。後回収用ブロー機構641は、排出センサ63の下流側に配置される。後回収用ブロー機構641の下方には、後回収箱642が配置されている。後回収用ブロー機構641は、搬送ベルト332の内側から後回収箱642へ向けて、局所的に加圧された気体を吹き付ける。後回収用ブロー機構は、制御部10から指定された残留錠剤を保持する所定の吸着部330のみに対して、大気圧よりも高い陽圧を作用させて、当該吸着部330に保持された当該錠剤9の吸着を解除する。これにより、当該錠剤9が、後回収箱642へと回収される。
後回収用ブロー機構641は、第1ブロー機構である印刷不良品回収用ブロー機構611および外観不良品回収用ブロー機構621の下流側において、残留錠剤の吸着を解除する、第2ブロー機構を構成する。
制御部10は、錠剤印刷装置1内の各部を動作制御するための手段である。図5は、制御部10と、錠剤印刷装置1内の各部との接続を示したブロック図である。図1中に概念的に示したように、制御部10は、CPU等の演算処理部101、RAM等のメモリ102、および、ハードディスクドライブ等の記憶部103を有するコンピュータにより構成される。記憶部103内には、印刷処理を実行するためのコンピュータプログラムPが、インストールされている。
図5に示すように、制御部10は、直進フィーダ22、回転フィーダ23、搬送ドラム31(モータ、吸引機構311、解除用ブロー機構312を含む)、第1搬送コンベア32(モータ、吸引機構323、解除用ブロー機構324を含む)、第2搬送コンベア33(モータ、吸引機構333、排出用ブロー機構334を含む)、搬出コンベア34、第1印刷部41の4つのヘッド411、第2印刷部42の4つのヘッド421、第1外観検査カメラ51、第2外観検査カメラ52、第1印刷検査カメラ53、第3外観検査カメラ54、第2印刷検査カメラ55、印刷不良品回収用ブロー機構611、外観不良品回収用ブロー機構621、排出センサ63、および、後回収用ブロー機構641と、それぞれ通信可能に接続されている。
制御部10は、記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムPやデータをメモリ102に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムPに基づいて、演算処理部101が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。これにより、複数の錠剤9に対する印刷処理が進行する。
<1−2.印刷工程の流れ>
次に、この錠剤印刷装置1を用いた印刷工程の流れを説明する。図6は、印刷工程に関わる制御部10の構成を、概念的に示したブロック図である。図7は、錠剤印刷装置1における印刷工程の流れを示したフローチャートである。以下では、図6および図7を参照しつつ、錠剤印刷装置1の印刷工程の流れについて説明する。
図6に示すように、本実施形態の制御部10は、外観判定部11と、印刷処理部12と、印刷品質判定部13と、第1排出処理部14と、残留判定部15と、第2排出処理部16とを有する。制御部10内の上記の各機能は、上述したコンピュータプログラムPに従って、制御部10としてのコンピュータが動作することによって実現される。
図7に示すように、印刷工程ではまず、第1外観検査カメラ51が、搬送ドラム31により搬送される錠剤9の第2面を撮影する。そして、第1外観検査カメラ51が取得した画像データD51が、外観判定部11へと入力される。
外観判定部11は、第1外観検査カメラ51、第2外観検査カメラ52および第3外観検査カメラ54が取得した画像データD51,D52,D54に基づいて、各吸着部330に錠剤9が存在するか否か、各錠剤9に割れや欠け等の形状不良や汚れといった外観不良があるか否かを判定する機能を有する。また、錠剤印刷装置1で処理対象となる錠剤9がその表面に割線を有するものである場合、外観判定部11は、同時に、各錠剤9に設けられた割線の角度を判定する。
ここで、錠剤9に設けられた割線について説明する。割線とは、錠剤の片面に刻まれた溝であり、錠剤を半分に割るために設けられる。本実施形態の錠剤9は、例えば、片面に割線を有する円盤形状または楕円盤形状の錠剤である。
画像データD51が外観判定部11へと入力されると、外観判定部11は、画像データD51に基づいて、第2面側から見て、錠剤9に外観不良があるか否かを判定する。また、同時に、外観判定部11は、各錠剤9が第2面側に割線を有するか否かと、第2面に設けられた割線の角度とを判定する。このように、外観判定部11は、錠剤9ごとに、第2面の外観検査を行う(ステップS101)。
次に、第2外観検査カメラ52が、搬送ドラム31から第1搬送コンベア32へと引き渡された錠剤9の第1面を撮影する。そして、第2外観検査カメラ52が取得した画像データD52が、外観判定部11へと入力される。
画像データD52が外観判定部11へと入力されると、外観判定部11は、画像データD52に基づいて、第1面側から見て、錠剤9に外観不良があるか否かを判定する。また、同時に、外観判定部11は、各錠剤9が第1面側に割線を有するか否かと、第1面に設けられた割線の角度とを判定する。このように、外観判定部11は、錠剤9ごとに、第1面の外観検査を行う(ステップS102)。
外観判定部11は、画像データD51,D52に基づいて各錠剤9の外観不良の有無の判定結果と、割線が形成されている面および割線角度の判定結果とを含む第1外観データD111を生成する。そして、外観判定部11は、第1外観データD111を印刷処理部12と、第1排出処理部14とへ受け渡す。
印刷処理部12は、外観判定部11において生成された第1外観データD111に基づいて、第1印刷部41のヘッド411および第2印刷部42のヘッド421に印刷処理を行わせる機能を有する。
印刷処理部12は、ステップS102に続いて、外観判定部11から入力された第1外観データD111に基づいて、第1印刷部41に、錠剤9の第1面に対する印刷処理を行わせる(ステップS103)。
具体的には、ステップS103において、印刷処理部12は、まず、第1外観データD111に基づいて、第1印刷部41における印刷処理を行うべき錠剤9の特定を行う。これにより、第1印刷部41は、錠剤9が吸着されていない吸着部330に対して、または、外観不良を有する錠剤9に対しては、印刷処理を行わない。
また、印刷処理部12は、第1外観データD111に基づいて、印刷処理を行う各錠剤9のいずれの面が割線を有するかと、各錠剤9の割線の角度とを判定する。そして、当該判定結果に基づいて、第1印刷部41のヘッド411に対して、各錠剤9の第1面への印刷処理を行わせる。これにより、第1印刷部41は、第1面に割線を有する錠剤9に対しては、画像データD52に基づいて判定された割線角度に合わせて印刷処理を行う。また、第1印刷部41は、第2面に割線を有する錠剤9に対しては、画像データD51に基づいて判定された割線角度に合わせて印刷処理を行う。
第1面への印刷終了後、第1印刷検査カメラ53が、第1印刷部41による印刷処理が終了した錠剤9の第1面を撮影する。そして、第1印刷検査カメラ53が取得した画像データD53が、印刷品質判定部13へと入力される。
印刷品質判定部13は、第1印刷検査カメラ53および第2印刷検査カメラ55が取得した画像データD53,D55に基づいて、錠剤9の表面への印刷処理の良/不良を判定する機能を有する。
印刷品質判定部13へ画像データD53が入力されると、印刷品質判定部13は、画像データD53に基づいて、第1面に印刷された画像に不良があるか否かを判定する。すなわち、印刷品質判定部13は、錠剤9ごとに、第1面の印刷検査を行う(ステップS104)。そして、印刷品質判定部13は、当該判定結果を含む第1印刷品質データD131を、第1排出処理部14へと引き渡す。
その後、第3外観検査カメラ54が、第1搬送コンベア32から第2搬送コンベア33へと引き渡された錠剤9の第2面を撮影する。そして、第3外観検査カメラ54が取得した画像データD54が、外観判定部11へと入力される。
画像データD54が外観判定部11へと入力されると、外観判定部11は、画像データD54に基づいて、第2面側から見て、錠剤9に外観不良があるか否かを再度判定する。また、同時に、外観判定部11は、各錠剤9の第2面に設けられた割線の角度を再度判定する。このように、外観判定部11は、錠剤9ごとに、第2面の外観検査を行う(ステップS105)。
外観判定部11は、画像データD54に基づいて、錠剤9の外観不良の有無の判定結果と、割線が形成されている面および割線角度の判定結果とを含む第2外観データD112を生成する。そして、外観判定部11は、第2外観データD112を印刷処理部12と、第1排出処理部14とへ受け渡す。
印刷処理部12は、ステップS105に続いて、第1外観データD111および第2外観データD112に基づいて、第2印刷部42に、錠剤9の第2面に対する印刷処理を行わせる(ステップS106)。
具体的には、ステップS106において、印刷処理部12は、まず、第1外観データD111および第2外観データD12に基づいて、第2印刷部42における印刷処理を行うべき錠剤9の特定を行う。これにより、第2印刷部42は、錠剤9が吸着されていない吸着部330に対して、または、外観不良を有する錠剤9に対しては、印刷処理を行わない。
また、印刷処理部12は、第1外観データD111および第2外観データD112に基づいて、印刷処理を行う各錠剤9のいずれの面が割線を有するかと、各錠剤9の割線の角度とを判定する。そして、当該判定結果に基づいて、第2印刷部42のヘッド421に対して、各錠剤9の第2面への印刷処理を行わせる。これにより、第2印刷部42は、第2面に割線を有する錠剤9に対しては、画像データD54に基づいて判定された割線角度に合わせて印刷処理を行う。また、第2印刷部42は、第1面に割線を有する錠剤9に対しては、画像データD52に基づいて判定された割線角度に合わせて印刷処理を行う。
第2面への印刷終了後、第2印刷検査カメラ55が、第2印刷部42による印刷処理が終了した錠剤9の第2面を撮影する。そして、第2印刷検査カメラ55が取得した画像データD55が、印刷品質判定部13へと入力される。
印刷品質判定部13へ画像データD55が入力されると、印刷品質判定部13は、画像データD55に基づいて、第2面に印刷された画像に不良があるか否かを判定する。すなわち、印刷品質判定部13は、錠剤9ごとに、第2面の印刷検査を行う(ステップS107)。そして、印刷品質判定部13は、当該判定結果を含む第2印刷品質データD132を、第1排出処理部14へと引き渡す。
このように、外観判定部11と、印刷品質判定部13とは、カメラ51〜55の撮像した画像に基づいて、錠剤9のうち回収すべき対象錠剤を決定する不良品判定部を構成する。
第1排出処理部14は、第1印刷品質データD131および第2印刷品質データD132に基づいて、印刷不良品回収用ブロー機構611に外観不良を有する錠剤9の吸着を解除させる機能を有する。また、第1排出処理部14は、第1外観データD111および第2外観データD112に基づいて、外観不良品回収用ブロー機構621に印刷不良を有する錠剤9の吸着を解除させる機能を有する。
ステップS107に続いて、第1排出処理部14は、印刷品質判定部13から入力された第1印刷品質データD131および第2印刷品質データD132に基づいて、回収すべき印刷不良品を保持する吸着部330を特定する。そして、第1排出処理部14は、印刷不良品回収用ブロー機構611に、印刷不良品である錠剤9の吸着を解除させる。これにより、印刷不良品回収箱612内へ印刷不良品の回収が行われる(ステップS108)。
その後、第1排出処理部14は、外観判定部11から入力された第1外観データD111および第2外観データD112に基づいて、回収すべき外観不良品を保持する吸着部330を特定する。そして、第1排出処理部14は、外観不良品回収用ブロー機構621に、外観不良品である錠剤9の吸着を解除させる。これにより、外観不良品回収箱622内へ外観不良品の回収が行われる(ステップS109)。
ステップS109に引き続き、排出センサ63は、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62の下流側において、各吸着部330に錠剤9が保持されているか否かを検出する。残留判定部15は、排出センサ63が検出した検出結果に基づいて、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62において回収されるべき対象錠剤(印刷不良品および外観不良品)のうち、吸着部330に残存する残留錠剤を判定する。これにより、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62における排出が正常に行われたか否かを確認する(ステップS110)。
第2排出処理部16は、残留判定部15の判定結果に基づいて、後回収用ブロー機構641に、残留錠剤を保持する吸着部330を含む一部の吸着部330における錠剤9の吸着を解除させる。これにより、後回収箱642内へ残留錠剤が回収される(ステップS111)。
このように、錠剤印刷装置1が排出センサ63および後回収部64を有することにより、不良品の回収効率をより向上できる。したがって、医薬品である錠剤9の品質の信頼性をより高めることができる。
本実施形態では、後回収用ブロー機構641は、残留錠剤を保持する吸着部330と搬送方向の位置が同じ吸着部330の全てに対して陽圧を作用させ、錠剤9の吸着を解除させる。すなわち、後回収部64は、複数の吸着部330のうち、残留錠剤を保持する吸着部330を含む行の全体に対して、錠剤9の吸着を解除させる。
このように、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62において排出が正常に行われなかった場合に、残留錠剤だけでなく、残留錠剤を含む行の全体を回収することにより、不良品の回収効率をさらに向上できる。したがって、錠剤9の品質の信頼性をさらに高めることができる。
また、本実施形態では、第2ブロー機構である後回収用ブロー機構641が吸着部330に作用させる陽圧の圧力が、第1ブロー機構である印刷不良品回収用ブロー機構611および外観不良品回収用ブロー機構621が吸着部330に作用させる陽圧の圧力よりも高い。
印刷不良品回収用ブロー機構611および外観不良品回収用ブロー機構621において排出不良が生じる場合、残留錠剤の形状や、残留錠剤が保持される吸着部330の状態が通常と異なることが考えられる。このため、後回収用ブロー機構641において当該残留錠剤をより確実に排出・回収するためには、このように、第2ブロー機構により吸着部に生じる陽圧の圧力値が、第1ブロー機構により吸着部に生じる陽圧の圧力値よりも大きいことが好ましい。
なお、第2ブロー機構である後回収用ブロー機構641が吸着部330に作用させる陽圧の圧力は、第1ブロー機構である印刷不良品回収用ブロー機構611および外観不良品回収用ブロー機構621が吸着部330に作用させる陽圧の圧力と同一であってもよい。
<2.第2実施形態>
続いて、第2実施形態に係る錠剤印刷装置1を用いた印刷工程の流れを説明する。第2実施形態に係る錠剤印刷装置1の装置構成は、第1実施形態に係る錠剤印刷装置1と同様である。図8は、第2実施形態に係る錠剤印刷装置1の印刷工程の流れを示したフローチャートである。
第2実施形態の印刷工程では、錠剤9の第2面の外観検査(ステップS201)、第1面の外観検査(ステップS202)、第1面への印刷工程(ステップS203)、第1面の印刷検査(ステップS204)、第2面の外観検査(ステップS205)、第2面への印刷工程(ステップS206)、第2面の印刷検査(ステップS207)、印刷不良品の回収(ステップS208)および外観不良品の回収(ステップS209)が順に行われる。
第2実施形態における印刷工程のステップS201〜ステップS209は、第1実施形態における印刷工程のステップS101〜ステップS109と同様であるため、説明を省略する。
ステップS208,209における不良品の回収が行われた後、排出センサ63の検出結果に基づいて、残留判定部15が、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62において回収されるべき対象錠剤(印刷不良品および外観不良品)のうち、吸着部330に残存する残留錠剤を判定する。すなわち、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62における排出が正常に行われたか否かを判断する(ステップS210)。
ステップS210において、残留判定部15が、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62における排出が正常に行われたと判断した場合、第2排出処理部16は、残留判定部15の判定結果に基づいて、後回収用ブロー機構641に、サンプル錠剤の回収を行わせる(ステップS211)。具体的には、第2排出処理部16は、所定の間隔で(例えば、吸着部330の10行に1錠の間隔で)、良品である錠剤9を保持する吸着部330に陽圧を作用させて、当該吸着部330における錠剤9の吸着を解除する。これにより、良品である錠剤9が、サンプル錠剤として、後回収箱642に回収される。
このように、定期的にサンプル錠剤を回収することにより、医薬品である錠剤9の品質管理を簡便に行うことができる。
一方、ステップS210において、残留判定部15が、印刷不良品回収部61および外観不良品回収部62における排出が正常に行われず、吸着部330に残留錠剤が存在すると判断した場合、制御部10は、搬送機構30における錠剤9の搬送を停止する(ステップS212)。そして、制御部10は、オペレータに対して、音声や表示等により、不良品の残留があった旨を通知する。
そして、オペレータが制御部10に対して操作を行うことにより、第2排出処理部16が後回収用ブロー機構641に、残留錠剤を保持する吸着部330を含む一部の吸着部330における錠剤9の吸着を解除させる。これにより、後回収箱642内へ残留錠剤が回収される(ステップS213)。その後、オペレータが制御部10に対して操作を行うことにより、搬送機構30における錠剤9の搬送を再開するとともに、印刷工程を再開する。
ステップS212において残留錠剤の回収前に印刷工程を停止させてオペレータによる操作を介在させることにより、オペレータが、残留錠剤の回収前に、後回収箱642内に回収されたサンプル錠剤を後回収箱642から取り出すことができる。このようにすれば、サンプル錠剤と、残留錠剤の回収時に回収された錠剤9とを区別して回収できる。
また、ステップS213において、後回収用ブロー機構641の駆動時において、搬送機構30による搬送を停止することにより、後回収用ブロー機構641が吸着部330へ陽圧を作用させる時間を長くできる。後回収用ブロー機構641が吸着部330へ陽圧を作用させる時間を、印刷不良品回収用ブロー機構611および外観不良品回収用ブロー機構621が吸着部330へ陽圧を作用させる時間よりも長くすることにより、後回収用ブロー機構641において当該残留錠剤をより確実に排出・回収することができる。
また、ステップS213における残留錠剤の回収後に、オペレータの操作により搬送機構30による搬送を再開することにより、オペレータが残留錠剤の排出を確認した後に、搬送の再開を行うことができる。したがって、後回収部64において残留錠剤をさらに確実に排出・回収することができる。
なお、後回収用ブロー機構641の駆動時において、搬送機構30による搬送速度を低下させてもよい。その場合であっても、後回収用ブロー機構641が吸着部330へ陽圧を作用させる時間を長くできる。したがって、後回収用ブロー機構641において当該残留錠剤をより確実に排出・回収することができる。
<3.第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係る錠剤印刷装置1Aの構成を示した図である。図10は、第3実施形態における、搬送ドラム31、第1搬送コンベア32の一部および第2搬送コンベア33の構成を示す部分概略図である。図11は、第3実施形態における、制御部10Aと、錠剤印刷装置1A内の各部との接続を示したブロック図である。
図9〜図11中において、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。まず、第3実施形態に係る錠剤印刷装置1Aにおいて、第1実施形態に係る錠剤印刷装置1と異なる点について説明する。
図9〜図11に示すように、錠剤印刷装置1Aでは、回収部60Aが排出センサを有していない。それに伴い、図11に示すように、制御部10Aが残留判定部および第2排出処理部を有しておらず、サンプル排出処理部17Aを有する。錠剤印刷装置1Aのその他の構成については、第1実施形態に係る錠剤印刷装置1と同様である。
図12は、第3実施形態に係る錠剤印刷装置1の印刷工程の流れを示したフローチャートである。以下に、第3実施形態に係る錠剤印刷装置1Aを用いた印刷工程の流れを説明する。
第3実施形態の印刷工程では、錠剤9の第2面の外観検査(ステップS301)、第1面の外観検査(ステップS302)、第1面への印刷工程(ステップS303)、第1面の印刷検査(ステップS304)、第2面の外観検査(ステップS305)、第2面への印刷工程(ステップS306)、第2面の印刷検査(ステップS307)、印刷不良品の回収(ステップS308)および外観不良品の回収(ステップS309)が順に行われる。
第3実施形態における印刷工程のステップS301〜ステップS309は、第1実施形態における印刷工程のステップS101〜ステップS109と同様であるため、説明を省略する。
ステップS308,309における不良品の回収が行われた後、サンプル排出処理部17Aが、後回収用ブロー機構641に、サンプル錠剤の回収を行わせる(ステップS310)。具体的には、サンプル排出処理部17Aは、所定の間隔で(例えば、吸着部330の10行に1錠の間隔で)、良品である錠剤9を保持する吸着部330に陽圧を作用させて、当該吸着部330における錠剤9の吸着を解除する。これにより、良品である錠剤9が、サンプル錠剤として、後回収箱642に回収される。
このように、定期的にサンプル錠剤を回収することにより、医薬品である錠剤9の品質管理を簡便に行うことができる。
特に、第2搬送コンベア33から錠剤9が受け渡される搬出コンベア34が、直接包装装置に連結されている場合、搬出コンベア34へ受け渡された錠剤9の全てに包装処理が施され、サンプル錠剤を回収するのが困難となる。このため、このように、錠剤9が搬出コンベア34に受け渡される前に、サンプル錠剤を回収できることが好ましい。
<4.変形例>
以上、本発明の主たる実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
上記の錠剤印刷装置は、第1印刷部および第2印刷部によって、錠剤の両面に印刷を行う装置であった。しかしながら、本発明の錠剤印刷装置は、錠剤の片面のみに印刷を行う装置であってもよい。
また、上記の錠剤印刷装置は、割線を有する錠剤に印刷を行うことができる錠剤印刷装置であった。そのため、第1印刷部の上流側に2つの外観検査カメラが配置されたが、本発明はこれに限られない。割線を有しない錠剤に印刷を行う場合、第1印刷部の上流側に配置される外観検査カメラは1つであってもよい。
また、上記の錠剤印刷装置では、供給機構の構成上、搬送機構の全ての吸着部に錠剤が配置されるとは限らない。このため、印刷部の上流側に配置された外観検査カメラは、錠剤の存在しない吸着部に対して印刷処理を行うことを避けるため、各吸着部に錠剤が保持されているか否かを確認する役割を果たす。
しかしながら、錠剤印刷装置は、印刷部の上流側に外観検査カメラを有していなくてもよい。供給機構が搬送機構の全ての吸着部に錠剤を配置可能な構成であればよい。また、外観不良品の判断は、印刷部の下流側に備えられた印刷検査カメラによって行えばよい。
また、上記の錠剤印刷装置では、印刷不良品と外観不良品とをそれぞれ異なる回収部で回収している。このようにすれば、錠剤印刷装置に供給された錠剤に不良が生じたのか、あるいは、錠剤印刷装置において錠剤に不良が生じたのかを判別しやすい。しかしながら、本発明はこの限りではない。印刷不良品と外観不良品とを単一の回収部で回収してもよい。
また、錠剤印刷装置の細部の構成については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。