JP2019070081A - 水性分散液、被膜及び被覆織布 - Google Patents

水性分散液、被膜及び被覆織布 Download PDF

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丈裕 巨勢
政博 ▲高▼澤
政博 ▲高▼澤
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Abstract

【課題】耐熱性、柔軟性及び防汚性に優れた被膜を形成できる水性分散液の提供。【解決手段】ポリテトラフルオロエチレン粒子と含フッ素弾性共重合体粒子と水性媒体とを含み、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の前記含フッ素弾性共重合体粒子に対する質量比が1/99〜99/1である、水性分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、水性分散液、被膜及び被覆織布に関する。
含フッ素重合体は、防汚性、耐候性等を付与するために広く利用されている。例えばガラス繊維織布に含フッ素重合体を塗布又は含浸し、焼成して被膜を形成したクロスシート(被覆織布)は、膜構造建築物の屋根材、食品製造ラインにおけるコンベアベルト等に使用されている(例えば特許文献1)。
特にポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」とも記す。)は、他の含フッ素重合体に比べて、耐熱性に優れる傾向があり、耐熱性が要求される用途に好ましく利用されている。PTFEの被膜は、例えば、PTFEの水性分散液を用いて形成される。
しかし、PTFEの被膜は、柔軟性が低く屈曲性に乏しいため、ひずみの大きくかかる部分では被膜の剥がれ、割れ等が生じやすい問題があった。含フッ素重合体としてPTFEを用いたクロスシートにも同様の問題があった。
この問題を解決すべく、PTFE水性分散液の塗布後の加熱処理の条件を調整することで、クロスシートの柔軟性を向上させる試みがなされている(特許文献2)。
ところで、金属との接着性に優れた含フッ素重合体水性分散液として、PTFEと、スチレン−ブタジエン系共重合体等のゴム系重合体と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤とを含むものが提案されている(特許文献3)。
特許第3118468号公報 特許第5422347号公報 特許第4651486号公報
特許文献2の手法で得られたクロスシートの柔軟性は未だ充分ではない。
特許文献3では、含フッ素重合体水性分散液をクロスシートに適用することについて検討されていない。
本発明の目的は、耐熱性、柔軟性及び防汚性に優れた被膜を形成できる水性分散液の提供にある。
本発明の他の目的は、耐熱性、柔軟性及び防汚性に優れた被膜及び被覆織布の提供にある。
本発明は、以下の〔1〕〜〔4〕の構成を有する、水性分散液、被膜、及び被覆織布を提供する。
〔1〕ポリテトラフルオロエチレン粒子と含フッ素弾性共重合体粒子と水性媒体とを含み、
前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の前記含フッ素弾性共重合体粒子に対する質量比が1/99〜99/1である、水性分散液。
〔2〕 前記含フッ素弾性共重合体粒子が、テトラフルオロエチレンに基づく単位とプロピレンに基づく単位とを有し、前記テトラフルオロエチレンに基づく単位の前記プロピレンに基づく単位に対する質量比が30/70〜80/20である含フッ素弾性共重合体の粒子である、〔1〕の水性分散液。
〔3〕〔1〕又は〔2〕の水性分散液から形成された被膜。
〔4〕織布と、前記織布に形成されたコーティング層とを備え、
前記コーティング層が、〔1〕又は〔2〕の水性分散液から形成された層である、被覆織布。
本発明の水性分散液によれば、耐熱性、柔軟性及び防汚性に優れた被膜を形成できる。
本発明の被膜は、耐熱性、柔軟性及び防汚性に優れる。
本発明の被覆織布は、耐熱性、柔軟性及び防汚性に優れる。
本明細書における以下の用語の意味は、以下の通りである。
「非溶融成形性」とは、溶融成形可能ではないこと、つまり溶融流動性を示さないことを意味する。具体的には、ASTM D3307に準拠し、測定温度372℃、荷重49Nで測定されるメルトフローレートが0.5g/10分未満であることを意味する。
「変性PTFE」とは、溶融成形性を与えない程度に、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」とも記す。)にコモノマーを共重合したTFE重合体を意味する。
「平均一次粒子径」は、水性分散液中の粒子の粒子径をレーザー散乱法粒子径分布分析計により測定した体積基準のメジアン径を意味する。
「標準比重(以下、SSGともいう。)」は、PTFEの分子量の指標であり、この値が大きいほど分子量が小さいことを意味する。測定はASTM D1457−91a、D4895−91aに準拠して行う。
含フッ素弾性共重合体の「ガラス転移温度」(以下、Tgとも記す。)は、示差走査熱量計を用いて、10±0.1mgの含フッ素弾性共重合体を−50℃から10℃/分で150℃まで昇温させ、10℃/分で−50℃まで冷却させた際の吸熱ピーク変化の中心温度である。
重合体における「単位」とは、モノマーが重合することによって形成された、前記モノマー1分子に由来する原子団を意味する。単位は、モノマーの重合反応によって直接形成された原子団であってもよく、重合体を処理することによって該原子団の一部が別の構造に変換された原子団であってもよい。
「ペルフルオロアルキル基」とは、アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基をいう。
「エーテル性酸素原子」とは、炭素原子−炭素原子間においてエーテル結合(−O−)を形成する酸素原子をいう。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本明細書においては、モノマーに基づく単位をモノマー単位とも記す。
〔水性分散液〕
本発明の水性分散液(以下、「本水性分散液」とも記す。)は、PTFE粒子と含フッ素弾性共重合体粒子と水性媒体とを含む。
本水性分散液は、必要に応じて、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤、その他の成分をさらに含んでいてもよい。
本水性分散液は、典型的には、PTFE水性分散液と、含フッ素弾性共重合体水性分散液との混合物を含む。
〔PTFE水性分散液〕
PTFE水性分散液は、PTFE粒子と水性媒体とを含み、必要に応じて界面活性剤、他の成分をさらに含んでいてもよい。PTFE水性分散液は、公知の方法により製造でき、例えば特許第5141256号公報に記載の方法により製造できる。
本発明において、PTFE粒子は、非溶融成形性のTFE重合体の粒子であり、TFE単独重合体の粒子、及び変性PTFEの粒子の両方を含む意味を有する。
変性PTFEの製造に用いられるコモノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン(以下、「HFP」とも記す。)、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、「PAVE」とも記す。)、クロロトリフルオロエチレン(以下、「CTFE」とも記す。)、(ペルフルオロアルキル)エチレン、フッ化ビニリデン(以下、「VdF」とも記す。)、ペルフルオロ(アルケニルビニルエーテル)、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(4−アルキル−1,3−ジオキソール)等が挙げられる。コモノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
コモノマーとしては、(ペルフルオロアルキル)エチレンが好ましく、(ペルフルオロエチル)エチレン、(ペルフルオロブチル)エチレン及び(ペルフルオロヘキシル)エチレンからなる群から選ばれる(ペルフルオロアルキル)エチレンがより好ましい。
変性PTFEにおけるコモノマー単位の含有量は、全単位に対して、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.4質量%以下である。
変性PTFEの製造において、TFEとコモノマーとの共重合反応において消費されるTFEとコモノマーの合計量は、生成する変性PTFEの量とほぼ等しい。
PTFEの数平均分子量は、30万〜3000万が好ましく、50万〜2500万がより好ましい。PTFEの数平均分子量が前記下限値以上であると、被膜の機械的物性がより優れ、前記上限値以下であると、工業的な製造が容易である。
PTFEの数平均分子量は、結晶化熱を用い、諏訪ら,Journal оf Applied Polymer Science,17,3253(1973)に記載された方法により求めた値である。
PTFEの標準比重(SSG)は、2.14以上、2.22未満が好ましく、2.15〜2.21がより好ましい。SSGが前記範囲内であると、被膜の機械的物性がより優れる。
PTFE粒子の平均一次粒子径は、0.1〜0.5μmが好ましく、0.18〜0.45μmがより好ましく、0.20〜0.35μmが特に好ましい。PTFE粒子の平均一次粒子径が前記下限値以上であると、被膜にクラックが発生しにくく、前記上限値以下であると、本水性分散液中でPTFE粒子が沈降しにくく保存安定性に優れる。
PTFE水性分散液が含む水性媒体、PTFE水性分散液が含んでよい界面活性剤、他の成分についてはそれぞれ後で詳しく説明する。
〔含フッ素弾性共重合体水性分散液〕
含フッ素弾性共重合体水性分散液は、含フッ素弾性共重合体粒子と水性媒体とを含み、必要に応じて界面活性剤、他の成分をさらに含んでいてもよい。
含フッ素弾性共重合体の水性分散液は公知の方法により製造でき、例えば、特許第5061446号公報に記載の方法や国際公開第2015/008649号に記載の方法により製造できる。
含フッ素弾性共重合体粒子は、含フッ素弾性共重合体の粒子である。
含フッ素弾性共重合体は、含フッ素モノマー単位を有する。
含フッ素モノマーとしては、モノフルオロエチレン、VdF、トリフルオロエチレン、TFE、3,3,3−トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、2,2,2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピレン、HFP、CTFE、ポリフルオロアルキルエチレン、PAVE、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(4−アルキル−1,3−ジオキソール)、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFCF=CF、CH=CH(CFCH=CH(式中、nは1〜4の整数である。)等が挙げられる。
PAVEとしては、CF=CFOR(ただし、Rは、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基である。)で表される化合物が挙げられる。Rとしては、柔軟性の点で、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のペルフルオロアルキル基がより好ましい。ペルフルオロアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。Rの具体例としては、CF、C、CFCFCF、(CFCFCFCF、CFCFOCFCF、CFCFCFOCF(CF)CF等が挙げられる。
ポリフルオロアルキルエチレンとしては、CH=CR−(CF(ただし、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はフッ素原子であり、aは1〜12の整数である。)で表される化合物が好ましい。この化合物の具体的としては、CFCFCH=CH、CFCFCFCFCH=CH、CFCFCFCFCFCFCH=CH、CFCFCFCFCF=CH、CFHCFCFCF=CH等が挙げられる。なかでも、Rが水素原子で、Rがフッ素原子である化合物がより好ましく、CFCFCFCFCH=CH又はCFCFCFCFCFCFCH=CHが特に好ましい。
含フッ素モノマーとしては、重合性に優れる点で、TFE、VdF、HFP、PAVE及びCTFEからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、TFE、PAVE及びCTFEからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
含フッ素弾性共重合体は、含フッ素モノマー単位に加えて、オレフィン、及びCH=CHOR(ここで、Rはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜8のアルキル基である。)で表されるビニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー単位を有することが好ましい。
オレフィンとしては、エチレン(以下、「E」とも記す。)、プロピレン(以下、「P」とも記す。)、ブテン等が挙げられ、Pが好ましい。
CH=CHORで表されるビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル(以下、「MVE」とも記す。)、エチルビニルエーテル(以下、「EVE」とも記す。)、ノルマルブチルビニルエーテル(以下、「BVE」とも記す。)等が挙げられる。
含フッ素弾性共重合体は、他のモノマー単位をさらに有していてもよい。
他のモノマーとしては、例えば、架橋基含有モノマーが挙げられる。架橋基としては、炭素−炭素二重結合を含む基、ハロゲン原子、酸無水物基、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、水酸基等が挙げられる。架橋基含有モノマーの具体例としては、1−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、1−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、クロトン酸ビニル、メタクリル酸ビニル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘプタフルオロ−4−ペンテンニトリル等が挙げられる。架橋基含有モノマーは、1種または2種以上を使用できる。
含フッ素弾性共重合体が架橋基含有モノマー単位を有する場合、架橋基含有モノマー単位の含有量は、全単位に対し、0.001〜10モル%が好ましく、0.001〜5モル%がより好ましく、0.01〜3モル%が特に好ましい。
含フッ素弾性共重合体の具体例としては、TFE単位とP単位とを有する共重合体(以下、「TFE/P系共重合体」とも記す。他の共重合体についても同様に記す。)、TFE/P/VdF系共重合体、TFE/HFP系共重合体、VdF/HFP系共重合体、TFE/VdF/HFP系共重合体、TFE/CF=CFOCF系共重合体、TFE/CF=CFOC系共重合体、TFE/CF=CFOCF/CF=CFOC系共重合体、TFE/CF=C(OC系共重合体、TFE/MVE系共重合体、TFE/EVE系共重合体、TFE/BVE系共重合体、TFE/EVE/BVE系共重合体、VdF/CF=CFOC系共重合体、E/HFP系共重合体、VdF/CTFE系共重合体、VdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロペン系共重合体、VdF/TFE/2,3,3,3−テトラフルオロプロペン系共重合体等が挙げられる。これらの共重合体は、他のモノマー単位、例えば架橋基含有モノマー単位を有していてもよい。各共重合体における各モノマー単位のモル比は、要求される特性に応じて適宜選定すればよい。
含フッ素弾性共重合体としては、耐熱性、耐薬品性、柔軟性のバランスに優れる点で、TFE/P系共重合体が好ましい。TFE/P系共重合体は、TFE及びP以外の他のモノマー単位をさらに有していてもよい。
TFE/P系共重合体において、TFE単位及びP単位の合計量は、全単位に対し、60〜100質量%が好ましく、90〜100質量%がより好ましい。
TFE単位のP単位に対する質量比(TFE単位/P単位)は、30/70〜80/20が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜65/35がさらに好ましく、50/50〜60/40が特に好ましい。TFE単位/P単位が前記下限値以上であると、耐熱性がより優れる。TFE単位/P単位が前記上限値以下であると、柔軟性がより優れる。
含フッ素弾性共重合体のガラス転移温度は、20℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましく、5℃以下が特に好ましい。
含フッ素弾性共重合体の重量平均分子量は、1万〜200万が好ましく、10万〜100万がより好ましい。含フッ素弾性共重合体の重量平均分子量が前記下限値以上であると、耐熱性がより優れ、前記上限値以下であると、柔軟性がより優れる。
含フッ素弾性共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定される、標準ポリスチレン換算の値である。GPCの測定条件を以下に示す。
GPC装置: 東ソー社 HLC−8220
カラム:昭和電工社製 shodex KF−806M(2本)、shodex KF−802(1本)
検出器:RI検出器(示差屈折計)
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
流量:1.0mL/min
濃度:0.5質量%
含フッ素弾性共重合体粒子の平均一次粒子径は、0.005〜1.0μmが好ましく、0.010〜0.50μmがより好ましく、0.05〜0.20μmが特に好ましい。含フッ素弾性共重合体粒子の平均一次粒子径が前記下限値以上であると、被膜にクラックが発生しにくく、前記上限値μm以下であると、本水性分散液中で含フッ素弾性共重合体粒子が沈降しにくく保存安定性に優れる。
含フッ素弾性共重合体水性分散液が含む水性媒体、含フッ素弾性共重合体水性分散液が含んでよい界面活性剤、他の成分についてはそれぞれ後で詳しく説明する。
〔水性媒体〕
水性媒体としては、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合物が挙げられる。
水溶性有機溶剤としては、公知のものを適宜使用でき、例えばtert−ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール等のアルコール類が挙げられる。
水溶性有機溶剤を使用する場合、水性媒体中の水溶性有機溶剤の含有量は少ない方が好ましい。具体的には、水の100質量部に対して、水溶性有機溶剤は1質量部未満が好ましく、0.5質量部以下がより好ましく、0.1質量部以下が特に好ましい。
水性媒体は、水溶性有機溶剤を含まないことが最も好ましい。
〔界面活性剤〕
界面活性剤としては、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられる。
イオン性界面活性剤としては、水性分散液の機械的及び化学的安定性に優れる点からアニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、含フッ素アニオン性界面活性剤、炭化水素系アニオン性界面活性剤等が挙げられる。
含フッ素アニオン性界面活性剤としては、含フッ素アルキルカルボン酸及びその塩、エーテル性酸素原子を有する含フッ素アルキルカルボン酸及びその塩等が挙げられる。
含フッ素アルキルカルボン酸又はその塩としては、ペルフルオロオクタン酸アンモニウム、ペルフルオロヘキサン酸アンモニウム等が挙げられる。
エーテル性酸素原子を有する含フッ素アルキルカルボン酸又はその塩としては、例えば、下式1で表される化合物が挙げられる。
F(CFO(CF(X)CFO)CF(X)COOA ・・・式1。
ただし、Xはフッ素原子又は炭素原子数1〜3のペルフルオロアルキル基であり、Aは水素原子、アルカリ金属原子、又はNHであり、pは1〜10の整数であり、qは0〜3の整数である。
式1で表される化合物の具体例を以下に示す。
F(CFOCFCFOCFCOONH(以下、EEAとも記す。)、
F(CFO(CFCFO)CFCOONH
F(CFO(CF(CF)CFO)CF(CF)COONH
F(CFOCFCFOCFCOONH
F(CFO(CFCFO)CFCOONH
F(CFOCFCFOCFCOONH
F(CFO(CFCFO)CFCOONH
F(CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH
F(CFOCFCFOCFCOONa、
F(CFO(CFCFO)CFCOONa、
F(CFOCFCFOCFCOONa、
F(CFO(CFCFO)CFCOONa、
F(CFOCFCFOCFCOONa、
F(CFO(CFCFO)CFCOONa等。
炭化水素系アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸モノエステル塩、アシルサルコシン塩、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル等が挙げられる。塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等。)、アミン塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、下式2、下式3又は下式4で表される非イオン性界面活性剤が挙げられる。
−O−Q−H ・・・式2
−C−O−Q−H ・・・式3
−O−Q−H ・・・式4
ここで、Rは炭素数8〜18のアルキル基であり、Qはオキシエチレン基数5〜20及びオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖であり、
は炭素数4〜12のアルキル基であり、Qはオキシエチレン基数5〜20より構成されるポリオキシエチレン鎖である。
は炭素数8〜18のアルキル基であり、Qはオキシエチレン基数5〜20およびオキシブチレン基数0.1〜3より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。
式2、式3又は式4で表される非イオン系界面活性剤の平均分子量は、450〜800が好ましく、500〜750がより好ましく、550〜700が特に好ましい。
これらの非イオン性界面活性剤の具体例としては、特許第5141256号公報に記載のものが挙げられる。
〔他の成分〕
各水性分散液には、他の成分として、レベリング剤、防腐剤、着色剤、フィラー、アンモニア、粘性調整剤等の添加剤が添加されていてもよい。
各水性分散液は、他の成分として、含フッ素弾性共重合体の製造のために使用された成分を含んでいてもよい。このような成分としては、ラジカル重合開始剤、キレート剤、pH調整剤、安定化助剤等が挙げられる。
重合開始剤としては、水溶性ラジカル重合開始剤や水溶性酸化還元系触媒等が好ましい。水溶性ラジカル重合開始剤としては、過硫酸塩類(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸アルカリ金属塩等。);有機系開始剤(ジコハク酸ペルオキシド、ビスグルタル酸ペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩等。);等が挙げられる。重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合開始剤は、酸化還元系触媒(レドックス触媒とも記す。)と組み合わされ、レドックス系重合開始剤として使用されてもよい。レドックス系重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩類と還元剤の組み合わせが挙げられる。還元剤としては、例えば、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム2水和物(以下、ロンガリットとも記す。)等のスルフィン酸金属塩が挙げられる。
レドックス系重合開始剤で使用するラジカル重合開始剤としては、例えば0℃〜50℃の重合温度で、TFE及びP等のモノマーを重合可能にする重合開始剤が好ましい。
レドックス系重合開始剤では、第三成分として、少量の鉄、第一鉄塩等の鉄塩、硫酸銀等を共存させることが好ましく、水溶性鉄塩を共存させることがより好ましい。
水溶性鉄塩としては、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、硫酸第二鉄アンモニウム等が挙げられる。
また、レドックス重合開始系には、キレート剤を加えることが特に好ましい。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩2水和物が好ましい。
レドックス系重合開始剤の具体例としては、過硫酸アンモニウムとロンガリットとエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩2水和物と硫酸第一鉄とを併用する系、過マンガン酸カリウムとシュウ酸とを併用する系、臭素酸カリウムと亜硫酸アンモニウムとを併用する系、または過硫酸アンモニウムと亜硫酸アンモニウムとを併用する系が好ましい。これらのうちで、適切な重合速度が得られることから、特に過硫酸アンモニウムとロンガリットとエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩2水和物と硫酸第一鉄とを併用する系がより好ましい。
pH調整剤は、重合速度の調整、得られる含フッ素重合体水性分散液の安定性の向上等を目的として使用される。pH調整剤としては、乳化重合において使用される公知のpH調整剤を使用でき、なかでも無機塩が好ましい。無機塩としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩;等が挙げられる。リン酸塩としては、リン酸水素二ナトリウム2水和物、又はリン酸水素二ナトリウム12水和物が好ましい。所望のpHに調整するために、塩基類(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)や酸類(硫酸、塩酸、硝酸等)を無機塩と併用してもよい。
安定化助剤としては、パラフィンワックス、フッ素系オイル、フッ素系溶剤、シリコーンオイル等が挙げられる。安定化助剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。安定化助剤としては、パラフィンワックスがより好ましい。パラフィンワックスとしては、室温で液体でも、半固体でも、固体であってもよいが、炭素数12以上の飽和炭化水素が好ましい。パラフィンワックスの融点は、通常40〜65℃が好ましく、50〜65℃がより好ましい。
本水性分散液において、PTFE粒子の含フッ素弾性共重合体粒子に対する質量比(以下、「PTFE/含フッ素弾性共重合体」とも記す。)は、1/99〜99/1であり、20/80〜85/15が好ましく、30/70〜80/20がより好ましい。PTFE/含フッ素弾性共重合体が前記下限値以上であると、形成される被膜の耐熱性、防汚性が優れ、前記上限値以下であると、形成される被膜の柔軟性が優れる。
PTFE粒子及び含フッ素弾性共重合体粒子の合計量は、本水性分散液の総質量に対し、10〜80質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。PTFE粒子及び含フッ素弾性共重合体粒子の合計量が前記下限値以上であると、本水性分散液をコーティング用途に使用した時の生産効率が優れ、前記上限値以下であると、本水性分散液の保存安定性が優れる。
水性媒体の含有量は、本水性分散液の総質量に対し、90〜20質量%が好ましく、70〜40質量%がより好ましい。水性媒体の含有量が前記下限値以上であると、水性分散液をコーティング用途に使用した時の生産効率が優れ、前記上限値以下であると、本水性分散液の保存安定性が優れる。
界面活性剤の含有量は、PTFE粒子及び含フッ素弾性共重合体粒子の合計量に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。界面活性剤の含有量が前記下限値以上であると、本水性分散液の保存安定性が優れ、前記上限値以下であると、本水性分散液をコーティング用途に使用した時の被膜の平滑性が優れる。
本水性分散液は、例えば、PTFE水性分散液と、含フッ素弾性共重合体水性分散液とを、PTFE/含フッ素弾性共重合体が1/99〜99/1となるように混合することにより製造できる。PTFE/含フッ素弾性共重合体の好ましい範囲は前記のとおりである。
本水性分散液の製造において、必要に応じて、各水性分散液と共に、水性媒体、界面活性剤、他の成分等を混合してもよい。これらの成分の混合順序は特に限定されない。PTFEの水性分散液及び含フッ素弾性共重合体の水性分散液のいずれか一方又は両方に予め混合してもよく、PTFEの水性分散液及び含フッ素弾性共重合体の混合時に混合してもよく、PTFEの水性分散液及び含フッ素弾性共重合体の混合後に混合してもよい。
本水性分散液は、例えば以下の用途に用いられる。
各種フッ素樹脂コーティング加工、フッ素樹脂フィルム、フッ素樹脂繊維等の作製。
コーティング加工において、本水性分散液を被塗装物に塗装することにより、PTFEと含フッ素弾性共重合体とを含む被膜を表面に有する塗装物品が得られる。被塗装物(基材ともいう。)としては、特に限定されず、例えば、各種金属、ホーロー、ガラス、各種セラミックス、各種耐熱樹脂成形品が挙げられる。
前記塗装は、通常、本水性分散液を基材に塗布した後、乾燥し、次いで焼成することにより行う。本水性分散液は、基材に直接塗装してもよく、基材との密着性を向上させるために、プライマー層を設けてその上塗り層として形成してもよい。
被膜は、通常、被塗装物と接したままの樹脂成形品、または、被塗装物とプライマー層等を介して接したままの樹脂成形品として使用される。
樹脂成形品としては、例えば、金属調理器具、ベアリング、バルブ、電線、金属箔、ボイラー、パイプ、船底、オーブン内張り、アイロン底板、製氷トレー、雪かきシャベル、すき、シュート、コンベア、ロール、金型、ダイス、のこぎり、やすり、きり等の工具、包丁、はさみ、ホッパー、その他の工業用コンテナ(特に半導体工業用)、鋳型等が挙げられる。
基材の種類によっては、前記焼成の後、被膜を基材から剥離し、PTFEと含フッ素弾性共重合体とを含むフィルムを得ることもできる。前記フィルムは、高周波プリント基板、搬送用ベルト、パッキン等の被覆材として好適に使用できる。
基材として繊維状基材、織布、不織布等の多孔性基材を使用すると、基材にPTFE及び含フッ素弾性共重合体が含浸された製品が得られる。繊維状基材としては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維(ケプラー繊維等)、金属繊維が挙げられる。織布や不織布としては、例えば、膜構造建築物の屋根材(テント膜)等が挙げられる。屋根材として光透過性が求められる場合、PTFEとして変性PTFEを用いることが好ましい。
〔被膜〕
本発明の被膜(以下、「本被膜」とも記す。)は、本水性分散液から形成されたものであり、PTFEと含フッ素弾性共重合体とを含む。また、PTFEの含フッ素弾性共重合体に対する質量比が1/99〜99/1である。
本被膜は、本水性分散液と同様、界面活性剤、他の成分等をさらに含んでいてもよい。
本被膜の厚さは、例えば10〜150μmであってよい。
本被膜は、例えば、基材に本水性分散液を塗布して本水性分散液からなる膜を形成し、この膜を乾燥し、焼成することにより形成できる。形成された被膜を基材から剥離してもよい。
乾燥条件は、水性媒体を除去できればよく、例えば、50〜120℃で1〜5分間であってよい。焼成条件は、例えば、360〜390℃で3〜15分間であってよい。乾燥及び焼成は連続的に行われてもよい。
〔被覆織布〕
本発明の被覆織布(以下、「本被覆織布」とも記す。)は、織布と、織布に形成されたコーティング層とを備える。
織布を構成する繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維(ケプラー繊維等)、金属繊維等が挙げられる。織布を構成する繊維は1種でもよく2種以上でもよい。織布としては、ガラス繊維織布が好ましい。
織布の厚さは、例えば0.1〜1mmであってよい。
織布の単位面積当たりの質量は、例えば80〜1000g/mであってよい。
コーティング層は、本水性分散液から形成されたものであり、PTFEと含フッ素弾性共重合体とを含む。また、PTFEの含フッ素弾性共重合体に対する質量比が1/99〜99/1である。
コーティング層は、本水性分散液と同様、界面活性剤、他の成分等をさらに含んでいてもよい。
本被覆織布の総質量に対するコーティング層の含有率は、例えば10〜70質量%であってよい。
本被覆織布は、織布にコーティング層を形成することにより製造できる。
コーティング層は、例えば、巻き出しロールと、含浸槽と、乾燥焼成炉と、巻き取りロールとを備える製造装置を用い、以下の方法で形成できる。
織布を巻き出しロールから巻き出し、本水性分散液を満たした含浸槽に送り、本水性分散液中に浸漬する。これにより、織布に本水性分散液が塗布される。次いで、本水性分散液が塗布された織布を乾燥焼成炉に送り、本水性分散液を乾燥、焼成してコーティング層を形成し、巻取りロールで巻き取る。
なお、一回の塗布量は限られているので、一回の塗布で所望のコーティング層の含有率にならなかった場合は、所望の含有率となるまで複数回、上述のコーティング作業が繰返される。
巻き出しロールと含浸槽との間に、湿式研磨ロール装置を設け、巻き出された織布を研磨してもよい。湿式研磨ロール装置としては、例えば特許第4903088号公報に記載されているものを使用できる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
後述する例1〜8のうち、例1〜5、8は実施例であり、他の例は比較例である。
各例で使用した評価方法を以下に示す。
〔評価方法〕
(アルミ箔コーティング被膜の作製)
水性分散液を、厚さ20μmのアルミ箔に、バーコーター#10を用いて塗布し、120℃で2分間乾燥し、380℃で5分間加熱(焼成)した。
上述の操作を5回繰り返すことで、アルミ箔上に厚さ20μmの被膜を得た。
(被膜の柔軟性評価)
被膜が形成されたアルミ箔を幅2cm×長さ15cmの短冊状に切り、更に被膜に、幅方向に2cmの切り込みを、長さ方向の1cm毎に合計で10本いれたものを試験片とした。試験片を、被膜面が外側となるように、直径1mmの金属棒に巻きつけるようにして折り曲げる試験を行った。試験後、試験片の被膜面を目視にて観察し、被膜の切り込み箇所の被膜剥離の有無を確認した。具体的には、被膜が切り込みを起点としてアルミ箔から剥離しているか否かを確認した。被膜剥離が有った場合には、被膜の剥離部分の長さを測定した。被膜の剥離部分の長さは、試験片の長さ方向において、切込みを起点とした長さである。1本の切り込みの両側に被膜剥離がある場合は、長い方をその切り込みの被膜剥離の長さとした。合計10本の切り込みについて被膜剥離の有無及び被膜剥離の長さを記録し、以下の基準で柔軟性を評価した。被膜剥離の有った切り込みの本数が少ないほど、また被膜剥離の長さが短いほど、柔軟性に優れている。
A:切り込み10本全て、被膜の切り込み箇所の被膜剥離が1mm未満であった。
B:切り込み10本のうち、被膜の切り込み箇所の被膜剥離が1mm以上3mm未満が5本以上であった。
C:切り込み10本のうち、被膜の切り込み箇所の被膜剥離が3mm以上が5本以上であった。
(被膜の防汚性評価)
前記被膜を手で触り、以下の基準で評価した。べたつきが少ないほど、防汚性に優れると判断できる。
A:べたつきが全く無かった。
B:べたつきがわずかに有った。
C:強いべたつきが有った。
〔製造例1:PTFE水性分散液の調製〕
邪魔板、撹拌機を備えた、100Lのステンレス製オートクレーブに、EEAの36g、パラフィンワックス(融点55℃)の555g、脱イオン水の61.3リットルを仕込んだ。オートクレーブ内部を窒素置換後、減圧にしたのちTFEモノマーを導入し、撹拌しながら62℃まで昇温した。さらに内圧が1.765MPa[gauge]になるまでTFEモノマーを圧入し、ジコハク酸ペルオキシド(濃度80質量%、残りは水分)の26.3gを約70℃の温水の1リットルに溶解して注入した。
約3分後にオートクレーブ内圧が1.716MPa[gauge]まで降下したため、内圧を1.765MPa[gauge]に保つようにTFEモノマーを圧入し重合を進行させた。重合途中にEEAを温水に溶解してEEAとして合計53gを2回に分けて注入した。オートクレーブ温度を徐々に72℃まで上げ、TFEモノマーの圧入量が22kgになったところで反応を終了させ、オートクレーブ中のTFEを大気放出した。重合時間は105分間であった。冷却後、上部に固化したパラフィンワックスを除去し、PTFE水性乳化液が得られた。PTFE水性乳化液中のPTFE濃度は約25.0質量%であり、EEA濃度はPTFE質量に対して0.40質量%であった。水性乳化液中のPTFE粒子の平均粒子径は0.26μmであった。PTFEの平均分子量は76万であり、PTFEの標準比重は2.21であった。
得られたPTFE水性乳化液の10kgを用い、PTFE質量に対して5.0質量%の非イオン系界面活性剤(ダウ社製トライトンX100、C17−C−(OC10−OH)及びイオン交換水を溶解させ、PTFE濃度が24.2質量%であるPTFE低濃度水性分散液を得た。
次いで5Lビーカーに、得られたPTFE低濃度水性乳化液の5kgと強塩基型陰イオン交換樹脂(ピュロライト社製、PUROLITE(登録商標)A300)の200gを入れ、室温で12時間撹拌した。さらに、この水性分散液をメッシュサイズ100のナイロン製メッシュで濾別後、電気泳動法により濃縮し、上澄みを除去し、PTFE粒子の含有量が65質量%であり、非イオン性界面活性剤の含有量がPTFE粒子の100質量部に対して2.0質量部である濃縮液(PTFE水性分散液)を得た。
〔製造例2:含フッ素弾性共重合体水性分散液の調製〕
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製の耐圧反応器の内部を脱気した後、該反応器に、イオン交換水の1700g、リン酸水素二ナトリウム12水和物の58g、水酸化ナトリウムの1.0g、ラウリル硫酸ナトリウムの9g、過硫酸アンモニウムの4.4gを加えた。さらに、イオン交換水の200gにエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・2水和物(以下、EDTAと記す。)の0.4g、及び硫酸第一鉄7水和物の0.3gを溶解させた水溶液を、反応器に加えた。このときの反応器内の水性媒体のpHは9.5であった。
ついで、40℃で、TFE/P=88/12(モル比)のモノマー混合ガスを、反応器の内圧が2.50MPa[gauge]になるように圧入した。アンカー翼を300rpmで回転させ、水酸化ナトリウムでpHを10.0に調整したロンガリットの2.5質量%水溶液(以下、ロンガリット2.5質量%水溶液と記す。)を反応器に加え、重合反応を開始させた。以降、ロンガリット2.5質量%水溶液を、高圧ポンプを用いて連続的に反応器に加えた。
重合の進行に伴い、反応器内の圧力が低下するので、反応器の内圧が2.49MPa[gauge]に降下した時点で、TFE/P=56/44(モル比)の単量体混合ガスを自圧で圧入し、反応器の内圧を2.51MPa[gauge]まで昇圧させた。これを繰り返し、反応器の内圧を2.49〜2.51MPa[gauge]に保持し、重合反応を続けた。TFE/Pのモノマー混合ガスの圧入量の総量が900gとなった時点で、ロンガリット2.5質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素弾性共重合体のラテックスを得た。ロンガリット2.5質量%水溶液の添加量は63gであった。重合時間は8時間であった。ラテックス中の固形分は34質量%であり、含フッ素弾性共重合体粒子の平均粒子径は0.12μmであった。含フッ素弾性共重合体の重量平均分子量は18万であり、共重合組成は、TFE単位/P単位=56/44(モル比)であり、ガラス転移温度は−3℃であった。
〔例1〕
製造例1で得たPTFE水性分散液と、製造例2で得た含フッ素弾性共重合体水性分散液とを、PTFE/含フッ素弾性共重合体=50/50(固形分質量比)となるように混合し、水性分散液を得た。
〔例2〜5〕
PTFE/含フッ素弾性共重合体を表1に示す値に変更した以外は例1と同様にして水性分散液を得た。
〔例6〕
製造例2で得た含フッ素弾性共重合体水性分散液をそのまま例6の水性分散液とした。
〔例7〕
製造例1で得たPTFE水性分散液をそのまま例7の水性分散液とした。
各例の水性分散液を用いて、前記評価方法に従い、アルミ箔コーティング被膜の作製、柔軟性及び防汚性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2019070081
例1〜5の水性分散液から形成された被膜は、柔軟性及び防汚性に優れていた。また、200℃まで加熱、冷却を行った後も柔軟性及び防汚性に差が認められなかったため、耐熱性にも優れると判断できる。
例6の水性分散液から形成された被膜は、強いべたつきがあり、防汚性に劣っていた。
例7の水性分散液から形成された被膜は、柔軟性に劣っていた。
〔例8〕
巻出ロールと含浸槽と乾燥焼成炉と巻取ロールとを備える製造装置を用い、以下の手順で被覆ガラス繊維織布を製造した。
ガラス繊維織布(日東紡社製ガラスクロス、商品名:WLA116)を巻出ロールから巻き出し、例2の水性分散液中を満たした含浸槽内を通過させ、乾燥焼成炉に導入し、380℃、5分間の条件で乾燥及び焼成し、巻取ロールで巻き取った。巻き取ったガラス繊維織布を巻出ロールに移動させ、上述のコーティング作業を5回繰り返し、コーティング層の含有率が50質量%の被覆ガラス繊維織布を得た。

Claims (4)

  1. ポリテトラフルオロエチレン粒子と含フッ素弾性共重合体粒子と水性媒体とを含み、
    前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の前記含フッ素弾性共重合体粒子に対する質量比が1/99〜99/1である、水性分散液。
  2. 前記含フッ素弾性共重合体粒子が、テトラフルオロエチレンに基づく単位とプロピレンに基づく単位とを有し、前記テトラフルオロエチレンに基づく単位の前記プロピレンに基づく単位に対する質量比が30/70〜80/20である含フッ素弾性共重合体の粒子である、請求項1に記載の水性分散液。
  3. 請求項1又は2に記載の水性分散液から形成された被膜。
  4. 織布と、前記織布に形成されたコーティング層とを備え、
    前記コーティング層が、請求項1又は2に記載の水性分散液から形成された層である、被覆織布。
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