JP2019059155A - 圧電方式プリントヘッドおよび圧電方式インクジェットプリンター - Google Patents
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Abstract
【課題】吐出するインクの変質リスクを低減する。【解決手段】圧電方式プリントヘッドHUは、圧電素子37と、圧電素子が駆動されることにより液体を吐出するノズルNと、圧電素子を駆動するための駆動信号Comを圧電素子に供給するか否かを切り換えるトランスミッションゲートTGbと、トランスミッションゲートTGbのオンおよびオフを制御するスイッチ制御回路DCとを備え、スイッチ制御回路DCは、第2制御信号CTL2がトランスミッションゲートTGbを強制的のオフさせることを指定する場合、トランスミッションゲートTGbをオフさせる。【選択図】図6
Description
本発明は、インク等の液体を吐出するために圧電素子を用いた技術に関する。
オンデマンド型のインクジェットプリンターは、液体を吐出する駆動素子として発熱素子を用いるサーマル方式と圧電素子を用いる圧電方式(ピエゾ方式)に大別される。
圧電方式はサーマル方式と比較して、インクを加熱しないため幅広いインクに対応可能であり、インクの吐出量を精密に制御できるといった利点がある。そのような圧電方式インクジェットプリンターの技術分野において、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を応用して開発された圧電薄膜(Thin-Film Piezoelectric)を有するプリントヘッドが知られている(特許文献1参照)。MEMS技術では微細な加工が可能になるため、圧電方式プリントヘッドにおいてインクを吐出させるノズルの高密度化を実現できる。
圧電方式はサーマル方式と比較して、インクを加熱しないため幅広いインクに対応可能であり、インクの吐出量を精密に制御できるといった利点がある。そのような圧電方式インクジェットプリンターの技術分野において、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を応用して開発された圧電薄膜(Thin-Film Piezoelectric)を有するプリントヘッドが知られている(特許文献1参照)。MEMS技術では微細な加工が可能になるため、圧電方式プリントヘッドにおいてインクを吐出させるノズルの高密度化を実現できる。
しかしながら、圧電方式プリントヘッドの高密度化に伴い、単位体積当たりの発熱量が上がってしまう。発熱量の上昇はインクの組成や粘度等の物性に変化を生じさせインクの変質リスクを高めてしまう。変質リスクの上昇は、吐出不良やインクの変質等により目的とする生成物を得られなくなる可能性の上昇を意味し、インクなどの液体に熱を加えずに多種多様な液体を吐出できるという圧電方式プリントヘッドの利点を損なってしまう大きな問題となっている。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、圧電方式プリントヘッドにおいて吐出する液体の変質リスクを低減することを解決課題の一つとする。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る圧電方式プリントヘッドは、圧電素子と、前記圧電素子が駆動されることにより液体を吐出するノズルと、前記圧電素子を駆動するための駆動信号を前記圧電素子に供給するか否かを切り換えるスイッチと、前記スイッチのオンおよびオフを制御するスイッチ制御部と、前記スイッチ制御部は、前記スイッチをオンするかまたはオフするかを指定する第1制御信号と前記スイッチを強制的のオフさせるか否かを指定する第2制御信号とが供給され、前記第2制御信号が前記スイッチを強制的のオフさせないことを指定する場合、前記第1制御信号に基づいて前記スイッチをオンまたはオフさせ、前記第2制御信号が前記スイッチを強制的のオフさせることを指定する場合、前記スイッチをオフさせる。
この態様によれば、スイッチを介して駆動信号が圧電素子に供給される。スイッチ動作に伴い、電力が消費され熱が発生する。スイッチ制御部は、第2制御信号がアクティブになると、スイッチをオフさせるので、圧電方式プリントヘッドの温度上昇を抑え液体の変質リスクを低減でき、さらに、消費電流を低減することが可能となる。
上述した態様において、前記駆動信号は、前記圧電素子に供給されることによって前記液体を吐出する吐出波形と、前記圧電素子に供給されることによって前記液体を非吐出とする微振動波形とを含み、前記第2制御信号は、前記第1制御信号が前記吐出波形を前記圧電素子に供給するために前記スイッチをオンさせることを指定する場合には、前記スイッチを強制的のオフさせないことを指定し、前記第1制御信号が前記微振動波形を前記圧電素子に供給するために前記スイッチをオンさせることを指定する場合に、所定の条件が充足されると前記スイッチを強制的のオフさせることを指定する。
この態様によれば、第1制御信号によって液体を吐出することが指定された場合には、スイッチは強制的にオフされない。一方、第1制御信号によって微振動が指定された場合には、所定の条件が充足されるとスイッチを強制的にオフさせることができる。液体がノズルから吐出されると、圧電方式プリントヘッドの発熱の影響を受けて、温度上昇したノズル内部の液体が吐出され、代わりにノズル内に圧電方式プリントヘッドの発熱の影響を受けていない相対的に低い温度の液体が充填される。今まで充填されていた液体と比して低温の液体が充填されることより圧電方式プリントヘッドの内部が冷やされる。一方、微振動では、液体が非吐出となるので液体の吐出および新たな液体の充填による冷却効果が得られない為、温度が上昇してしまう。この態様によれば、微振動が指定され、且つ所定の条件が充足された場合にスイッチを強制的にオフさせる。よって、液体が受ける熱の影響を抑え液体の変質リスクを低減することができ、さらに、吐出安定性を高めることができる。
また、第1制御信号は、既存の圧電方式プリントヘッドに供給している制御信号と同じでよいから、既存のシステムに第2制御信号に関する構成を追加するだけでよい。
くわえて、所定の条件が充足すると、スイッチを強制的にオフさせて微振動を間引くので、微振動による液体の増粘を低減する効果と、液体の温度上昇を低減する効果とを、所定の条件によってバランスさせることができる。
なお、所定の条件には、どのようなものであってもよいが、例えば、微振動が所定数以上連続している場合、あるいは、圧電方式プリントヘッドの温度が所定温度以上である場合が含まれ得る。
また、第1制御信号は、既存の圧電方式プリントヘッドに供給している制御信号と同じでよいから、既存のシステムに第2制御信号に関する構成を追加するだけでよい。
くわえて、所定の条件が充足すると、スイッチを強制的にオフさせて微振動を間引くので、微振動による液体の増粘を低減する効果と、液体の温度上昇を低減する効果とを、所定の条件によってバランスさせることができる。
なお、所定の条件には、どのようなものであってもよいが、例えば、微振動が所定数以上連続している場合、あるいは、圧電方式プリントヘッドの温度が所定温度以上である場合が含まれ得る。
上述した態様において、前記液体は100℃未満で物性が変質することを特徴としてもよい。
ノズルから吐出される液体が、100℃未満で物性が変質する場合、スイッチ動作の発熱は大きな問題となる。この態様によれば、液体の沸点が70℃〜90℃の間にある溶媒としてアルコール系の液体を用いる液体や、90℃〜100℃の間にある溶媒として水を用いる液体や、更にそれよりも低い沸点を有する液体等においても、スイッチを介して駆動信号を圧電素子に供給することを停止する。よって、発熱を抑制することによって、液体の変質リスクを低減でき、吐出される液体の物性を安定させることが可能となる。
上述した態様において、前記ノズルを含む400個以上のノズルが、1インチ当たり300個以上の密度で列状に並べられ、前記400個以上のノズルの各々に対応して、前記圧電素子、前記スイッチ、および前記スイッチ制御部を備えることが好ましい。
400個以上のノズルが、1インチ当たり300ノズル以上の密度で列状に並べられる場合、個々のノズルに対応するスイッチ動作に伴う発熱で単位体積当たりの温度が大きく上昇する。この態様によれば、スイッチ動作に伴う発熱を低減できるので、圧電方式プリントヘッドの温度上昇を抑え液体の変質リスクを低減でき、さらに、消費電流を低減することが可能となる。
上述した態様において、前記第1制御信号と前記第2制御信号とは、シリアライズされた制御信号として入力されてもよい。
第1制御信号と第2制御信号とをシリアライズ化することによって、圧電方式プリントヘッドに第2制御信号を供給するために、第1制御信号を供給するための伝送路と別の伝送路を設ける必要がなくなり、構成を簡素化できる。
上述した態様において、前記ノズルを含む複数のノズルを備え、前記複数のノズルの各々に対応して、前記圧電素子、前記スイッチ、および前記スイッチ制御部を備え、前記第2制御信号は、前記複数のノズルの各々に設けられた前記スイッチを強制的にオフさせるか否かを個別に指定することが好ましい。
この態様によれば、複数のノズルの各々についてスイッチを強制的にオフさせるか否かを個別に指定することができるので、ノズル単位で温度の上昇を抑制できる。この結果、局所的に液体が変質するリスクを低減できる。さらに、複数のノズル内部の液体の温度の差を小さくすることで吐出安定性を高めることができる。
上述した態様において、前記スイッチ、および前記スイッチ制御部が設けられた回路基板と、液体が充填され、前記圧電素子の駆動に応じて内部の圧力が増減する圧力室とを備え、前記圧電素子は、前記回路基板を含む複数の部材により構成された封止空間に設けられてもよい。
この態様によれば、封止空間は回路基板を含む複数の部材によって構成されるので、回路基板から、液体が充填された圧力室までは、近距離にある。従って、スイッチおよびスイッチ制御部の発熱が複数の部材を介して圧力室の液体に伝導しやすい。スイッチ制御部は、第2制御信号がスイッチを強制的のオフさせることを指定する場合、スイッチをオフさせるので、圧電方式プリントヘッドの温度上昇を低減でき、ひいては、液体が変質するリスクを低減できる。
本発明の好適な態様に係る圧電方式インクジェットプリンターは、前記液体はインクであり、上述した圧電方式プリントヘッドのいずれかを備える。この態様によれば、圧電方式プリントヘッドの温度上昇を低減することができるので、インクが変質するリスクを抑制して、高品質の印刷が可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。但し、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<1.実施形態>
以下、図面を参照しつつ、実施形態に係る圧電方式インクジェットプリンター1について説明する。
以下、図面を参照しつつ、実施形態に係る圧電方式インクジェットプリンター1について説明する。
<1−1.圧電方式インクジェットプリンターの概要>
図1は、実施形態に係る圧電方式インクジェットプリンター1を例示する構成図である。実施形態に係る圧電方式インクジェットプリンター1は、液体の一例であるインクを媒体12に吐出する。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛、有機ELディスプレイのカラーフィルター等の任意の印刷対象が媒体12として利用され得る。
図1に例示される通り、圧電方式インクジェットプリンター1は、インクを貯留する液体容器14を備える。液体容器14としては、例えば、圧電方式インクジェットプリンター1に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、またはインクを補充可能なインクタンク等を採用することができる。液体容器14には、色彩が相違する複数種のインクが貯留される。
図1は、実施形態に係る圧電方式インクジェットプリンター1を例示する構成図である。実施形態に係る圧電方式インクジェットプリンター1は、液体の一例であるインクを媒体12に吐出する。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛、有機ELディスプレイのカラーフィルター等の任意の印刷対象が媒体12として利用され得る。
図1に例示される通り、圧電方式インクジェットプリンター1は、インクを貯留する液体容器14を備える。液体容器14としては、例えば、圧電方式インクジェットプリンター1に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、またはインクを補充可能なインクタンク等を採用することができる。液体容器14には、色彩が相違する複数種のインクが貯留される。
図1に例示される通り、圧電方式インクジェットプリンター1は、制御機構20と搬送機構22と移動機構24と複数個の圧電方式プリントヘッドHUとを具備する。
制御機構20は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、圧電方式インクジェットプリンター1の各要素を制御する。本実施形態において、搬送機構22は、制御機構20による制御のもとで媒体12を+Y方向に搬送する。なお、以下では、+Y方向と、+Y方向とは反対の方向である−Y方向とを、Y軸方向と総称する場合がある。
制御機構20は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、圧電方式インクジェットプリンター1の各要素を制御する。本実施形態において、搬送機構22は、制御機構20による制御のもとで媒体12を+Y方向に搬送する。なお、以下では、+Y方向と、+Y方向とは反対の方向である−Y方向とを、Y軸方向と総称する場合がある。
移動機構24は、制御機構20による制御のもとで、複数の圧電方式プリントヘッドHUを、+X方向、および、+X方向とは反対の方向である−X方向に往復動させる。ここで、+X方向とは、媒体12が搬送される+Y方向に交差(典型的には直交)する方向である。以下では、+X方向およびX方向をX軸方向と総称する場合がある。移動機構24は、ヘッド部5を収容する搬送体(キャリッジ)242と、搬送体242が固定された無端ベルト244とを具備する。なお、液体容器14を圧電方式プリントヘッドHUとともに搬送体242に搭載することも可能である。
ヘッド部5は、複数の圧電方式プリントヘッドHUを備える。複数の圧電方式プリントヘッドHUの各々には、液体容器14からインクが供給される。また、複数の圧電方式プリントヘッドHUの各々には、制御機構20から、圧電方式プリントヘッドHUを駆動するための駆動信号Comと、吐出タイミングを制御するためのラッチ信号LATと、駆動信号Comから供給する波形を選択するためのチェンジ信号CHと、圧電方式プリントヘッドHUを制御するための印刷信号SIと、が供給される。そして、複数の圧電方式プリントヘッドHUの各々は、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、およびチェンジ信号CHによる制御のもとで、駆動信号Comにより駆動され、2M個のノズル(吐出孔)の一部または全部から、+Z方向にインクを吐出させる(Mは、1以上の自然数)。
ここで、+Z方向は、+X方向および+Y方向に交差(典型的には直交)する方向である。以下では、+Z方向と、+Z方向とは反対の方向である−Z方向とを、Z軸方向と総称する場合がある。各圧電方式プリントヘッドHUは、搬送機構22による媒体12の搬送と、搬送体242の往復動とに連動して、2M個のノズルの一部または全部からインクを吐出させて、当該吐出されたインクを媒体12の表面に着弾させることで、媒体12の表面に所望の画像を形成する。
詳細には後述するが、本実施形態では、高密度の圧電方式プリントヘッドHUを採用する。ここで、高密度とは、1インチあたり300個以上の密度でインクを吐出するノズルが設けられていることを意味する。
圧電方式では、トランスミッションゲートなどのスイッチを介して駆動信号Comを圧電素子に選択的に供給する。スイッチの誤動作による誤吐出を低減させる必要がある都合上、十分高いオン抵抗を有するように設計されている。このため、スイッチ動作に伴い大きな電力が消費され、圧電方式プリントヘッド内部における発熱要因の一つとなっている。また、スイッチをオンからオフまたはオフからオンさせるスイッチ動作に伴い、スイッチに選択信号を供給する出力回路自体も、圧電方式プリントヘッド内部における発熱要因の一つとして挙げられる。
スイッチおよび出力回路が発熱することにより温度が上昇すると、熱伝導により、インクの温度も上昇してしまう。インクの温度変化は、インクの組成や粘度等の物性に変化を生じさせ液体の変質リスクを高めてしまう。元来、圧電方式プリントヘッドHUはサーマル式プリントヘッドと異なりインクに熱を加えずに吐出が行得る事が大きな利点となっていた都合上、用いられるインクは熱に弱いものも多数存在し、係る問題は、圧電方式プリントヘッドHUの利点を大きく損なってしまう。
特に、ノズルの密度が高い高密度の圧電方式プリントヘッドHUにおいては、高密度化されたために、発熱量、インクへの熱伝導効率が高くなる一方、外部への廃熱性が低下してしまう故、大きな問題となる。
ところで、インクの非吐出の状態が継続すると、インクが増粘してノズルが塞がれるといった不都合が生じることがある。このため、インクを非吐出としつつ、インクを撹拌して沈降を抑制するために圧電素子を駆動することがある。この動作を微振動と称する。印刷信号SIが微振動を指定する場合、インクは吐出されないが、スイッチおよび出力回路で発生する熱がインクに伝導する。
インクが吐出されると、吐出に伴い温度が上昇したインクは外部へ出され、代わりに相対的に温度が低いインクが流れ込んでくるためノズル内部の温度は下がるが、微振動ではインクの吐出に伴う温度の低下は望めない。本実施形態において上述した印刷信号SIは、大ドットのインクの吐出、中ドットのインク吐出、小ドットのインクの吐出、およびインクを非吐出とする微振動の他に、無振動を指定する。無振動では、スイッチを強制的にオフし、駆動信号Comが圧電素子に供給されないようにする。この結果、インクは非吐出となり、且つ、圧電素子が変位することもない。制御機構20は、微振動を間引き、微振動の替わりに無振動を指定する印刷信号SIを生成する。
無振動では、スイッチがオフするので、圧電方式プリントヘッドHUの発熱が抑制される。このように、圧電方式プリントヘッドHUの発熱を抑制できるので、本実施形態に係る圧電方式インクジェットプリンター1はインク選択の自由度が大きい。例えば、100℃未満で物性が変質するインクなどの液体を用いてもよい。例えば、液体の沸点が70℃〜90℃の間にある溶媒としてアルコール系の液体を用いる液体や、90℃〜100℃の間にある溶媒として水を用いる液体や、更にそれよりも低い沸点を有する液体であってもよい。
<1−2.圧電方式プリントヘッドHUの電気的構成>
図2に示すように、ヘッド部5は、Q個の圧電方式プリントヘッドHU(HU[1]〜HU[Q])を備える(Qは、2以上の自然数)。q番目の圧電方式プリントヘッドHU[q]は、1番目の圧電方式プリントヘッドHU[1]と同様に、ヘッドドライバーDRと記録ヘッドHDとを備える(qは、1≦q≦Qを満たす自然数)。記録ヘッドHDは、2M個の吐出部Dを備える。
以下では、記録ヘッドHDに設けられる2M個の吐出部Dの各々を区別するために、順番に、1段、2段、…、2M段と称することがある。また、以下では、記録ヘッドHDに設けられる吐出部Dのうちm段の吐出部Dを、吐出部D[m]と表現する場合がある(変数mは、1≦m≦2Mを満たす自然数)。
図2に示すように、ヘッド部5は、Q個の圧電方式プリントヘッドHU(HU[1]〜HU[Q])を備える(Qは、2以上の自然数)。q番目の圧電方式プリントヘッドHU[q]は、1番目の圧電方式プリントヘッドHU[1]と同様に、ヘッドドライバーDRと記録ヘッドHDとを備える(qは、1≦q≦Qを満たす自然数)。記録ヘッドHDは、2M個の吐出部Dを備える。
以下では、記録ヘッドHDに設けられる2M個の吐出部Dの各々を区別するために、順番に、1段、2段、…、2M段と称することがある。また、以下では、記録ヘッドHDに設けられる吐出部Dのうちm段の吐出部Dを、吐出部D[m]と表現する場合がある(変数mは、1≦m≦2Mを満たす自然数)。
Q個の圧電方式プリントヘッドHU[1]〜HU[Q]には、共通に、駆動信号Com、クロック信号CL、チェンジ信号CH、および、ラッチ信号LATが制御機構20から供給される。また、Q個の圧電方式プリントヘッドHU[1]〜HU[Q]のそれぞれに対して、個別に、印刷信号SIが供給される。この例に印刷信号SIは、吐出部D[1]〜D[2M]に1対1に対応し、動作状態を指定する。動作状態としては、大ドットのインクの吐出、中ドットのインクの吐出、小ドットのインクの吐出、インクを非吐出とし且つ圧電素子37に駆動信号Comを供給する微振動、およびインクを非吐出とし且つ圧電素子37に駆動信号Comを供給しない無振動がある。
駆動信号Comは、吐出部Dを駆動するための複数の波形を有するアナログの信号である。駆動信号Comは、駆動信号Com-Aと駆動信号Com-Bとを含む(図8参照)。例えば、制御機構20は、図示省略したDA変換回路を含み、制御機構20が備えるCPU等が生成するデジタルの駆動波形信号を、アナログの駆動信号Comに変換したうえで、出力する。
上述のとおり、圧電方式プリントヘッドHU[q]は、ヘッドドライバーDRと、記録ヘッドHDと、を備える。ヘッドドライバーDRは、制御機構20から供給される駆動信号Com、印刷信号SI、および、チェンジ信号CH等の各種信号に基づいて、記録ヘッドHDが備える吐出部D[1]〜D[2M]のそれぞれを駆動するための個別駆動信号Vinを生成する。
<1−3.記録ヘッドの構造>
図3は、各圧電方式プリントヘッドHUの分解斜視図であり、図4は、図3におけるIII−III線の断面図である。
図3は、各圧電方式プリントヘッドHUの分解斜視図であり、図4は、図3におけるIII−III線の断面図である。
図3に例示される通り、圧電方式プリントヘッドHUは、Y軸方向に配列された2M個のノズルNを具備する。本実施形態において、2M個のノズルNは、列L1と列L2との2列に区分されて配列される。以下では、列L1に属するM個のノズルNの各々を、ノズルN1と称し、列L2に属するM個のノズルNの各々を、ノズルN2と称する場合がある。本実施形態では、一例として、列L1に属するM個のノズルN1のうち、−Y側からj番目のノズルN1と、列L2に属するM個のノズルN2のうち、−Y側からj番目のノズルN2との、Y軸方向の位置が略一致する場合を想定する(jは、1≦j≦Mを満たす自然数)。ここで、「略一致」とは、完全に一致する場合の他に、誤差を考慮すれば同一と看做せる場合を含む概念である。
なお、2M個のノズルNは、列L1に属するM個のノズルN1のうち、−Y側からj番目のノズルN1と、列L2に属するM個のノズルN2のうち、−Y側からj番目のノズルN2との、Y軸方向の位置が相違するように、所謂、千鳥状またはスタガ状に配列されてもよい。
なお、2M個のノズルNは、列L1に属するM個のノズルN1のうち、−Y側からj番目のノズルN1と、列L2に属するM個のノズルN2のうち、−Y側からj番目のノズルN2との、Y軸方向の位置が相違するように、所謂、千鳥状またはスタガ状に配列されてもよい。
図3および図4に例示される通り、圧電方式プリントヘッドHUは流路基板32を具備する。流路基板32は、面F1と面FAとを含む板状部材である。面F1は+Z側の表面(圧電方式プリントヘッドHUから見て媒体12側の表面)であり、面FAは面F1とは反対側(−Z側)の表面である。面FAの面上には、圧力室基板34と振動部36と複数の圧電素子37と保護部材38と筐体部40とが設置され、面F1の面上には、ノズル板52と吸振体54とが設置される。圧電方式プリントヘッドHUの各要素は、概略的には流路基板32と同様にY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤を利用して相互に接合される。なお、流路基板32と圧力室基板34と保護部材38とノズル板52とが積層される方向をZ軸方向として把握することも可能である。
ノズル板52は、2M個のノズルNが形成された板状部材であり、例えば接着剤を利用して流路基板32の面F1に設置される。各ノズルNは、ノズル板52に設けられた貫通孔である。ノズル板52は、例えば、エッチング等の半導体製造技術を利用してシリコン(Si)の単結晶基板を加工することで製造される。但し、ノズル板52の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
本実施形態では、ノズル板52において、列L1および列L2の各々に対応するM個のノズルNが、1インチあたり300個以上の密度で設けられる場合を想定する。但し、列L1および列L2の各々に対応するM個のノズルNは、ノズル板52において、少なくとも、1インチあたり100個以上の密度で設けられていればよく、好ましくは、1インチあたり200個以上の密度で設けられていればよい。また、Mは400以上であってもよい。この場合、列L1および列L2の各々に400個以上のノズルNが列状に並べられる。
流路基板32は、インクの流路を形成するための板状部材である。図3および図4に例示される通り、流路基板32には、流路RAが形成されている。流路RAは、列L1に対応して設けられた流路RA1と、列L2に対応して設けられた流路RA2と、流路RA1および流路RA2を連結する流路RA3と、流路RA1および流路RA2を連結する流路RA4と、を含む。流路RA1は、Y軸方向に沿う長尺状に形成された開口である。流路RA2は、流路RA1から見て+X方向に位置し、Y軸方向に沿う長尺状に形成された開口である。
流路基板32には、2M個のノズルNと1対1に対応するように、2M個の流路322と、2M個の流路324(「連通流路」の一例)と、が形成される。図4に例示される通り、流路322および流路324は、流路基板32を貫通するように形成された開口である。流路324は、当該流路324に対応するノズルNに連通する。
また、図4に例示される通り、流路基板32の面F1には、2つの流路326が形成される。2つの流路326のうち一方は、流路RA1と、列L1に属するM個のノズルN1に1対1に対応するM個の流路322と、を連結する流路であり、2つの流路326のうち他方は、流路RA2と、列L2に属するM個のノズルN2に1対1に対応するM個の流路322と、を連結する流路である。
図3および図4に例示される通り、圧力室基板34は、2M個のノズルNと1対1に対応するように2M個の開口342が形成された板状部材であり、例えば接着剤を利用して流路基板32の面FAに設置される。
流路基板32および圧力室基板34は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコン(Si)の単結晶基板を加工することで製造される。但し、流路基板32および圧力室基板34の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
流路基板32および圧力室基板34は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコン(Si)の単結晶基板を加工することで製造される。但し、流路基板32および圧力室基板34の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
図3および図4に例示される通り、圧力室基板34のうち流路基板32とは反対側の表面には振動部36が設置される。振動部36は、弾性的に振動可能な板状部材である。なお、振動部36を構成する板状部材のうち、開口342に対応する領域について、板厚方向の一部を選択的に除去することで、圧力室基板34と振動部36とを一体に形成することも可能である。
図4から理解される通り、流路基板32の面FAと振動部36とは、各開口342の内側で相互に間隔をあけて対向する。開口342の内側で流路基板32の面FAと振動部36との間に位置する空間は、当該空間に充填されたインクに圧力を付与するための圧力室Cとして機能する。すなわち、本実施形態において、振動部36は、圧力室Cの壁面を構成する「振動板」の一例である。圧力室Cは、例えば、X軸方向を長手方向としてY軸方向を短手方向とする空間である。圧電方式プリントヘッドHUには、2M個のノズルNに1対1に対応するように、2M個の圧力室Cが設けられる。図4に例示される通り、ノズルN1に対応して設けられた圧力室Cは、流路322および流路326を介して流路RA1に連通するとともに、流路324を介してノズルN1に連通する。また、ノズルN2に対応して設けられた圧力室Cは、流路322および流路326を介して流路RA2に連通するとともに、流路324を介してノズルN2に連通する。
図3および図4に例示される通り、振動部36のうち圧力室Cとは反対側の面上には、2M個の圧力室Cに1対1に対応するように、2M個の圧電素子37が設けられる。圧電素子37は、駆動信号Comの供給に応じて変形する受動素子である。
上述の通り、圧電素子37は、駆動信号Comの供給に応じて変形(駆動)する。また、振動部36は、圧電素子37の変形に連動して振動する。振動部36が振動すると、圧力室C内の圧力が変動する。そして、圧力室C内の圧力が増減することで、圧力室Cに充填されたインクが、流路324およびノズルNを経由して、吐出される。本実施形態では、駆動信号Comが、1秒間に30000回以上、ノズルNからインクが吐出されるように、圧電素子37を駆動することができる場合を想定する。
なお、圧力室C、流路322、ノズルN、振動部36、および、圧電素子37は、圧力室Cに充填されたインクを吐出させるための吐出部Dとして機能する。
なお、圧力室C、流路322、ノズルN、振動部36、および、圧電素子37は、圧力室Cに充填されたインクを吐出させるための吐出部Dとして機能する。
図3および図4に例示された保護部材38は、振動部36に形成された2M個の圧電素子37を保護するための板状部材であり、振動部36の表面、または、圧力室基板34の表面に設けられる。すなわち、本実施形態において、保護部材38は、吐出部上に設けられる。保護部材38は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコン(Si)の単結晶基板を加工することで製造される。但し、保護部材38の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
保護部材38のうち+Z側の表面である面G1には、2つの収容空間382が形成される。2つの収容空間382のうち一方は、M個のノズルN1に対応するM個の圧電素子37を収容するための空間であり、2つの収容空間382のうち他方は、M個のノズルN2に対応するM個の圧電素子37を収容するための空間である。当該収容空間382は、保護部材38を吐出部上に配置した場合に、圧電素子37が酸素または水分等の影響により変質することを防ぐために封止された「封止空間」として機能する。なお、収容空間382(または封止空間)の、Z軸方向の幅(高さ)は、圧電素子37が変位しても、圧電素子37と保護部材38とが接触しないように、十分な大きさを有している。このため、圧電素子37が変位する場合であっても、圧電素子37の変位に伴い生じるノイズが、収容空間382(または封止空間)の外部に伝播することが防止される。
保護部材38のうち−Z側の表面である面G2には、ヘッドドライバーDRが設けられる。すなわち、保護部材38は、ヘッドドライバーDRを実装するための「回路基板」として機能する。
ヘッドドライバーDRは、印刷信号SIによる制御のもとで、各圧電素子37に対して、駆動信号Comを供給するか否かを切り替える。なお、本実施形態では、駆動信号Comは、制御機構20において生成されるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、駆動信号Comは、ヘッドドライバーDRにおいて生成されてもよい。
ヘッドドライバーDRは、印刷信号SIによる制御のもとで、各圧電素子37に対して、駆動信号Comを供給するか否かを切り替える。なお、本実施形態では、駆動信号Comは、制御機構20において生成されるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、駆動信号Comは、ヘッドドライバーDRにおいて生成されてもよい。
図3および図4に例示される通り、本実施形態に係るヘッドドライバーDRは、平面視した場合、圧電方式プリントヘッドHUに設けられた2M個の圧電素子37のうち、少なくとも一部の圧電素子37に重なる。また、本実施形態に係るヘッドドライバーDRは、平面視した場合、ノズルN1に対応する圧電素子37と、ノズルN2に対応する圧電素子37との双方に重なる。
図3に例示される通り、保護部材38の面G2には、例えば、2M個の圧電素子37と1対1に対応するように、2M本の配線384が形成されている。各配線384は、ヘッドドライバーDRに電気的に接続される。また、図5Aに例示される通り、各配線384は、保護部材38を貫通する導通孔(コンタクトホール)を介して、面G1に設けられた接続端子に電気的に接続される。接続端子は、圧電素子37の電極に電気的に接続される。このため、ヘッドドライバーDRから出力された駆動信号Comは、配線384と導通孔と接続端子とを介して、圧電素子37に供給される。
また、図3に例示される通り、保護部材38の面G2には、ヘッドドライバーDRに電気的に接続された複数の配線388が形成される。複数の配線388は、保護部材38の面G2のうち+Y側の端部である領域Eまで延在する。面G2の領域Eには配線部材64が接合される。配線部材64は、制御機構20とヘッドドライバーDRとを電気的に接続する複数の配線が形成された部品である。配線部材64としては、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)、または、FFC(Flexible Flat Cable)等の、可撓性の配線基板を採用してもよい。
図3および図4に例示された筐体部40は、2M個の圧力室C(さらには2M個のノズルN)に供給されるインクを貯留するためのケースである。筐体部40のうち+Z側の表面である面FBは、例えば、接着剤により、流路基板32の面FAに固定される。図2および図4に例示される通り、筐体部40の面FBには、Y軸方向に延在する溝状の凹部42が形成される。保護部材38およびヘッドドライバーDRは、凹部42の内側に収容される。保護部材38の領域Eに接合された配線部材64は、凹部42の内側を通過するようにY軸方向に延在する。図3から理解される通り、配線部材64の幅W1(X軸方向の寸法の最大値)は、筐体部40の幅W2未満である(W1<W2)。
本実施形態において、筐体部40は、流路基板32や圧力室基板34とは別個の材料で形成される。筐体部40は、例えば、樹脂材料の射出成形により形成される。但し、筐体部40の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。筐体部40の材料としては、例えば、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(ザイロン(登録商標))等の合成繊維や液晶ポリマー等の樹脂材料が好適である。
図4に例示される通り、筐体部40には、流路RBが形成される。流路RBは、流路RA1に連通する流路RB1と、流路RA2に連通する流路RB2とを含む。流路RAおよび流路RBは、2M個の圧力室Cに供給されるインクを貯留するリザーバーQとして機能する。
筐体部40のうち−Z側の表面である面F2には、液体容器14から供給されるインクをリザーバーQに導入するための2つの導入口43が設けられている。2つの導入口43のうちの一方(以下、導入口431と称する場合がある)は、流路Rb1に連通し、2つの導入口43のうちの他方(以下、導入口432と称する場合がある)は、流路Rb2に連通する。
筐体部40のうち−Z側の表面である面F2には、液体容器14から供給されるインクをリザーバーQに導入するための2つの導入口43が設けられている。2つの導入口43のうちの一方(以下、導入口431と称する場合がある)は、流路Rb1に連通し、2つの導入口43のうちの他方(以下、導入口432と称する場合がある)は、流路Rb2に連通する。
図4に例示される通り、流路Rb1は、Y軸方向に長尺な空間であり、流路RA1に連通する流路RB11と、導入口43に連通する流路Rb12と、を含む。流路Rb2は、Y軸方向に長尺な空間であり、流路RA2に連通する流路RB21と、導入口43に連通する流路RB22と、を含む。
図4から理解される通り、保護部材38およびヘッドドライバーDRは、流路Rb11と流路RB21との間に位置する。すなわち、保護部材38およびヘッドドライバーDRは、流路RB11と流路RB21との間の空間に設けられる。換言すれば、X軸方向(+X方向または−X方向)から断面視した場合に、保護部材38およびヘッドドライバーDRが設けられる領域は、流路Rb11または流路RB21が設けられる領域に包含される。
また、図4から理解される通り、+Z方向または−Z方向から平面視したときに、保護部材38の少なくとも一部、および、ヘッドドライバーDRの少なくとも一部は、流路RB12または流路RB22と、圧力室Cとの間に位置する。すなわち、保護部材38の少なくとも一部、および、ヘッドドライバーDRの少なくとも一部は、リザーバーQと圧力室Cとの間に設けられる。
また、図4から理解される通り、保護部材38の少なくとも一部、および、ヘッドドライバーDRの少なくとも一部は、圧電素子37と、流路RB12または流路RB22との間に位置する。保護部材38の少なくとも一部、および、ヘッドドライバーDRの少なくとも一部は、リザーバーQと圧電素子37との間に設けられる。換言すれば、平面視したときに、リザーバーQの少なくとも一部は、保護部材38の少なくとも一部と、ヘッドドライバーDRの少なくとも一部と、圧電素子37の少なくとも一部と、に重なる。
図4に破線の矢印で図示した通り、液体容器14から導入口431に供給されたインクは、流路RB12および流路Rb11を経由して流路RA1に流入する。そして、流路RA1に流入したインクの一部は、流路326および流路322を経由して、ノズルN1に対応する圧力室Cに供給される。ノズルN1に対応する圧力室Cに充填されたインクは、例えば、流路324を+Z方向に流動し、ノズルN1から吐出される。
液体容器14から導入口432に供給されたインクは、流路RB22および流路RB21を経由して流路RA2に流入する。そして、流路RA2に流入したインクの一部は、流路326および流路322を経由して、ノズルN2に対応する圧力室Cに供給される。ノズルN2に対応する圧力室Cに充填されたインクは、例えば、流路324を+Z方向に流動し、ノズルN2から吐出される。
液体容器14から導入口432に供給されたインクは、流路RB22および流路RB21を経由して流路RA2に流入する。そして、流路RA2に流入したインクの一部は、流路326および流路322を経由して、ノズルN2に対応する圧力室Cに供給される。ノズルN2に対応する圧力室Cに充填されたインクは、例えば、流路324を+Z方向に流動し、ノズルN2から吐出される。
図3および図4に例示される通り、筐体部40の面F2には、上述した2つの導入口43が形成されるほか、上述したリザーバーQに対応する開口44が形成される。また、筐体部40の面F2には、開口44を閉塞するように、2つの吸振体46が設けられる。各吸振体46は、リザーバーQ内のインクの圧力変動を吸収する可撓性のフィルム(コンプライアンス基板)であり、リザーバーQの壁面を構成する。
また、図3に例示される通り、流路基板32の面F1には、流路RA1および流路RA2と2つの流路326と複数の流路322とを閉塞するように、吸振体54が設けられる。吸振体54は、リザーバーQ内のインクの圧力変動を吸収する可撓性のフィルム(コンプライアンス基板)であり、リザーバーQの壁面を構成する。
また、図3に例示される通り、流路基板32の面F1には、流路RA1および流路RA2と2つの流路326と複数の流路322とを閉塞するように、吸振体54が設けられる。吸振体54は、リザーバーQ内のインクの圧力変動を吸収する可撓性のフィルム(コンプライアンス基板)であり、リザーバーQの壁面を構成する。
一般的に、圧電素子37を駆動するための駆動信号Comは大振幅の信号である。このため、ヘッドドライバーDRは、駆動信号Comを圧電素子37に供給する場合に発熱する。特に、本実施形態のように、圧電素子37の単位時間当たりの駆動回数が多い場合には、ヘッドドライバーDRにおける発熱量が大きくなる。また、本実施形態のように、圧電方式プリントヘッドHUにおいてノズルNおよび圧電素子37を含む吐出部を高密度で設ける場合には、ヘッドドライバーDRにおける単位面積当たりの発熱量が大きくなる。そして、圧電方式プリントヘッドHUを小型化するために、ヘッドドライバーDRを小型化する場合には、ヘッドドライバーDRにおける単位面積当たりの発熱量が大きくなる。さらに、本実施形態のように、ヘッドドライバーDRが設けられる保護部材38を、吐出部上に設ける場合には、ヘッドドライバーDRおよび保護部材38が、圧電方式プリントヘッドHUの外部の空気に触れない。または、ヘッドドライバーDRおよび保護部材38と、圧電方式プリントヘッドHUの外部の空気とが接触する面積が小さくなる。このため、ヘッドドライバーDRからの放熱効率が低下し、ヘッドドライバーDRが高温になる場合があった。
これに対して、本実施形態では、ヘッドドライバーDRおよび保護部材38が、流路RB11と流路Rb21との間に設けられる。このため、本実施形態では、ヘッドドライバーDRおよび保護部材38が、圧電方式プリントヘッドHUの外部の空気に直接的には接触しない場合であっても、ヘッドドライバーDRから発せられた熱を、リザーバーQ内のインクを介して放熱することが可能となる。
また、本実施形態では、流路RAにおいて、「流路RA1→流路RA3→流路RA2→流路RA4→流路RA1」という循環経路が形成される。このため、本実施形態では、リザーバーQがインクの循環経路を有さない構成である場合と比較して、ヘッドドライバーDRから発せられた熱を、リザーバーQ内のインクを介して効率的に放熱することができる。
また、本実施形態では、ヘッドドライバーDRおよび保護部材38が、リザーバーQと圧力室Cとの間に設けられる。このため、本実施形態では、ヘッドドライバーDRから発せられた熱を、リザーバーQ内のインクと圧力室C内のインクとを介して、効率的に放熱することができる。
また、本実施形態では、リザーバーQが、保護部材38の少なくとも一部と、ヘッドドライバーDRの少なくとも一部と、に平面視で重なる部分である、流路Rb12および流路RB22を備える。このため、本実施形態では、リザーバーQが、平面視で保護部材38およびヘッドドライバーDRと重ならない構成である場合と比較して、圧電方式プリントヘッドHUを小型化と、リザーバーQの大容量化との両立が容易となる。
また、本実施形態では、保護部材38の面G1に形成された収容空間382に圧電素子37が収容され、保護部材38の面G2にヘッドドライバーDRが設けられる。換言すれば、本実施形態では、ヘッドドライバーDRが形成される基板の裏面に、圧電素子37が収納される。このため、本実施形態では、ヘッドドライバーDRが形成される基板の裏面とは異なる場所に圧電素子37が設けられる場合と比較して、ヘッドドライバーDRと圧電素子37とを電気的に接続するための配線の経路長を短くすることができる。これにより、本実施形態では、当該配線の抵抗成分や容量成分に起因して、駆動信号Comの波形が乱れることを抑制することが可能となるとともに、当該配線抵抗を小さくして当該配線における発熱量を低減することが可能となる。
また、本実施形態では、保護部材38の端部の領域Eに配線部材64が設置されるため、配線部材64が保護部材38の端部から中央付近に至るまでの領域に延在する場合と比較して、配線部材64を設置するためのスペースを小さくすることが可能となる。このため、本実施形態では、圧電方式プリントヘッドHUの小型化と、リザーバーQの大容量化との両立が容易となる。
また、本実施形態では、吸振体54および吸振体46によりリザーバーQ内の圧力変動が吸収されるから、リザーバーQ内の圧力変動が圧力室Cに伝播してインクの吐出特性(例えば吐出量、吐出速度、吐出方向)が変動する可能性を低減することが可能となる。
<1−4.ヘッドドライバーの構成および動作>
次に、図5A乃至図9を参照しつつ、ヘッドドライバーDRの構成および動作について説明する。
次に、図5A乃至図9を参照しつつ、ヘッドドライバーDRの構成および動作について説明する。
図5Aは、ヘッドドライバーDRの構成を示すブロック図である。図5Aに示すように、ヘッドドライバーDRは、シフトレジスターSR、ラッチ回路LT、スイッチ制御回路DC、並びに、切替部TXからなる組を、2M個の吐出部D[1]〜D[2M]に1対1に対応するように2M個有する。
ヘッドドライバーDRには、制御機構20から、クロック信号CL、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、および、駆動信号Comが供給される。
上述の通り、ヘッドドライバーDRに供給される駆動信号Comは、駆動信号Com-AおよびCom-Bを含む。駆動信号Com-AおよびCom-Bは、吐出部Dを駆動するための波形を有する信号である。
印刷信号SIは、上述の通り、吐出部D[1]〜D[2M]が吐出すべきインク量、微振動および無振動を定めるデジタルの3ビットの信号であり、インク量および微振動を、上位ビットb1および中位ビットb2の2ビットで指定する。さらに、印刷信号SIは、下位ビットb3の1ビットで無振動を指定する(図7A参照)。ここで、印刷信号SIの上位ビットb1および中位ビットb2は、トランスミッションゲートTGaおよびTGbのオンまたはオフを指定する第1制御信号CTL1として機能する。また、印刷信号SIの下位ビットb3は、トランスミッションゲートTGbを強制的にオフさせるか否かを指定する第2制御信号CTL2として機能する。
ヘッドドライバーDRは、吐出部Dに対して、印刷信号SIにより指定された波形を有する個別駆動信号Vinを供給する。但し、印刷信号SIにより無振動が指定された場合、トランスミッションゲートTGaおよびTGbはオフとなるので、出力端OTNはハイインピーダンスとなる。
ヘッドドライバーDRは、吐出部Dに対して、印刷信号SIにより指定された波形を有する個別駆動信号Vinを供給する。但し、印刷信号SIにより無振動が指定された場合、トランスミッションゲートTGaおよびTGbはオフとなるので、出力端OTNはハイインピーダンスとなる。
1段〜2M段の2M個のシフトレジスターSRは、印刷信号SIを、クロック信号CLに従って順次後段に転送する。そして、2M段のシフトレジスターSRにまで印刷信号SIが転送された場合、つまり、m段のシフトレジスターSR[m]に対して、印刷信号SIのうち、m段の吐出部D[m]の動作状態を定める印刷信号SI[m]が転送された場合、各シフトレジスターSR[m]は、転送された3ビットの印刷信号SI[m]を一時的に保持する。
2M個のラッチ回路LTのそれぞれは、ラッチ信号LATが立ち上がるタイミングで、2M個のシフトレジスターSRのそれぞれに保持された、各段に対応する3ビット分の印刷信号SI[m]を一斉にラッチする。
2M個のラッチ回路LTのそれぞれは、ラッチ信号LATが立ち上がるタイミングで、2M個のシフトレジスターSRのそれぞれに保持された、各段に対応する3ビット分の印刷信号SI[m]を一斉にラッチする。
圧電方式インクジェットプリンター1が、印刷処理を実行する期間である動作期間は、複数の単位期間Tuから構成される。
制御機構20は、ヘッドドライバーDRに対して、単位期間Tu毎に印刷信号SIを供給し、また、単位期間Tu毎にラッチ回路LTが印刷信号SIをラッチするようなラッチ信号LATを供給する。また、制御機構20は、単位期間Tu毎に駆動信号Com(駆動信号Com-AおよびCom-B)をヘッドドライバーDRに供給する。これにより、制御機構20は、各単位期間Tuにおいて、吐出部Dが、大ドットに相当する量のインクの吐出、中ドットに相当する量のインクの吐出、小ドットに相当する量のインクの吐出、微振動、または微振動のうち、いずれかを実行するように、ヘッドドライバーDRの動作を制御する。
制御機構20は、ヘッドドライバーDRに対して、単位期間Tu毎に印刷信号SIを供給し、また、単位期間Tu毎にラッチ回路LTが印刷信号SIをラッチするようなラッチ信号LATを供給する。また、制御機構20は、単位期間Tu毎に駆動信号Com(駆動信号Com-AおよびCom-B)をヘッドドライバーDRに供給する。これにより、制御機構20は、各単位期間Tuにおいて、吐出部Dが、大ドットに相当する量のインクの吐出、中ドットに相当する量のインクの吐出、小ドットに相当する量のインクの吐出、微振動、または微振動のうち、いずれかを実行するように、ヘッドドライバーDRの動作を制御する。
なお、本実施形態において、制御機構20は、チェンジ信号CHにより、単位期間Tuを、制御期間Ts1と制御期間Ts2とに区分する。本実施形態では、制御期間Ts1およびTs2は、互いに等しい時間長を有する場合を想定する。以下では、制御期間Ts1およびTs2を、制御期間Tsと総称することがある。
ところで、3ビットパラレルの印刷信号SI[m]を制御機構20から圧電方式プリントヘッドHU[m]に伝送するためには、3つの伝送路が必要となる。本実施形態では、3ビットの印刷信号SI[m]をシリアライズ化して1つの伝送路を用いて制御機構20から圧電方式プリントヘッドHU[m]に伝送する。
具体的には、図5Bに示すように単位期間Tu分の印刷信号SI[m]を、2M個の上位ビットb1、2M個の中位ビットb2、2M個の下位ビットb3、の順に並べ替えて制御機構20から圧電方式プリントヘッドHU[m]へ出力する。これによって、第1制御信号CTL1と第2制御信号CTL2とはシリアライズ化される。
具体的には、図5Bに示すように単位期間Tu分の印刷信号SI[m]を、2M個の上位ビットb1、2M個の中位ビットb2、2M個の下位ビットb3、の順に並べ替えて制御機構20から圧電方式プリントヘッドHU[m]へ出力する。これによって、第1制御信号CTL1と第2制御信号CTL2とはシリアライズ化される。
図5Cに2M段のシフトレジスターSRの詳細な回路図を示す。1つのシフトレジスターSRは3個のDフリップフロップDFFを備える。2M段のシフトレジスターSRは、6M個のDフリップフロップDFFが直列に接続されて構成される。上述したように単位期間Tuには、2M個の下位ビットb3、2M個の中位ビットb2、2M個の上位ビットの順に印刷信号SI[m]が供給される。そして、6M個のクロック信号CLによって 印刷信号SI[m]が順次転送され、単位期間Tuの開始でアクティブとなるラッチ信号LATによって、印刷信号SI[m]がラッチされる。
図5Aに示すように、スイッチ制御回路DCは、ラッチ回路LTによってラッチされた印刷信号SI[m]に基づいて、選択信号SL[m]を出力する。本実施形態において、選択信号SL[m]は、駆動信号Com-Aを選択するための選択信号SLa[m]と、駆動信号Com-Bを選択するための選択信号SLb[m]と、を含む。
図5Aに示すように、ヘッドドライバーDRは、2M個の吐出部D[1]〜D[2M]と1対1に対応するように、2M個の切替部TXを備える。各切替部TXは、トランスミッションゲートTGaとトランスミッションゲートTGbとを備える。トランスミッションゲートTGaおよびトランスミッションゲートTGbは、駆動信号Comを圧電素子37に供給するか否かを切り換えるスイッチとして機能する。また、スイッチ制御回路DCはトランスミッションゲートTGaおよびトランスミッションゲートTGbのオンおよびオフを制御するスイッチ制御部として機能する。
m段の切替部TX[m]に設けられるトランスミッションゲートTGa[m]は、選択信号SLa[m]がHレベルのときにオンしLレベルのときにオフする。また、m段の切替部TX[m]に設けられるトランスミッションゲートTGb[m]は、選択信号SLb[m]がHレベルのときにオンしLレベルのときにオフする。
例えば、印刷信号SI[m]が(1,0,0)を示す場合(図7A参照)、制御期間Ts1において、トランスミッションゲートTGa[m]がオンし、トランスミッションゲートTGb[m]がオフし、制御期間Ts2において、トランスミッションゲートTGa[m]がオフし、トランスミッションゲートTGb[m]がオンする。
例えば、印刷信号SI[m]が(1,0,0)を示す場合(図7A参照)、制御期間Ts1において、トランスミッションゲートTGa[m]がオンし、トランスミッションゲートTGb[m]がオフし、制御期間Ts2において、トランスミッションゲートTGa[m]がオフし、トランスミッションゲートTGb[m]がオンする。
図5Aに示すように、ヘッドドライバーDRに設けられるトランスミッションゲートTGa[m]の一端には駆動信号Com-Aが供給され、ヘッドドライバーDRに設けられるトランスミッションゲートTGb[m]の一端には駆動信号Com-Bが供給される。また、トランスミッションゲートTGa[m]およびTGb[m]の他端は、m段の出力端OTNに電気的に接続されている。
また、本実施形態では、図7Aに示すように、各制御期間Tsにおいて、切替部TX[m]は、トランスミッションゲートTGa[m]およびTGb[m] が同時にオンしないように制御される。
また、本実施形態では、図7Aに示すように、各制御期間Tsにおいて、切替部TX[m]は、トランスミッションゲートTGa[m]およびTGb[m] が同時にオンしないように制御される。
図6に、m段のスイッチ制御回路DCのブロック図を示す。この図に示す通り、スイッチ制御回路DCは、デコード回路DECaおよびDECbと、スイッチ動作停止制御部72と、出力回路OCaおよびOCbとを備える。このうち、デコード回路DECaおよびDECbとスイッチ動作停止制御部72とは、例えば、3.3Vといった低電圧で動作する一方、出力回路OCaおよびOCbは、例えば40Vといった高電圧で動作する。
デコード回路DECaは印刷信号SI[m]のうち第1制御信号CTL1をデコードし、デコード回路DECbも同様に第1制御信号CTL1をデコードする。図7Bにデコード回路DECaのデコード内容を示し、図7Cにデコード回路DECbのデコード内容を示す。図7Bおよび図7Cに示す通り、デコード回路DECaおよびデコード回路DECbは、印刷信号SI[m]の(b1,b2)に基づいて、図7Aの太枠で囲まれた大ドット、中ドット、小ドット、および微振動に対応する出力信号Sa[m]およびSb[m]を生成する。なお、デコード回路DECaの出力信号Sa[m]の論理レベルは選択信号SLa[m]の論理レベルと一致する。
図6に示すスイッチ動作停止制御部72は、印刷信号SI[m]の下位ビットb3、即ち第2制御信号CTL2に基づいて、トランスミッションゲートTGa[m]およびTGb[m]を強制的にオフさせる。具体的には、スイッチ動作停止制御部72は、第2制御信号CTL2が「1」の場合に、デコード回路DECbの出力信号Sb[m]を強制的に「L」に変更して選択信号SLb[m]を出力する。
図7Aに示す通り、印刷信号SI[m]が(b1,b2)=(0,0)の場合に印刷信号SI[m]が(b3)=(1)となる。即ち、印刷信号SI[m]の下位ビットを「1」に設定することによって、微振動を間引いて、微振動の代わりに無振動を指定することができる。制御機構20では、既存の大ドット、中ドット、小ドット、および微振動といった吐出部Dの動作状態について変更することなく、第2制御信号CTL2を追加することで、微振動を間引くことが可能となる。
微振動を無振動に置き換えることによって、トランスミッションゲートTGbのスイッチ動作を停止して、トランスミッションゲートTGbをオフさせるべく、選択信号SLb[m]の論理レベルがLレベルに設定される。
ところで、ヘッドドライバーDRの発熱が問題なるのは、微振動が連続して発生する場合である。この場合は、インクが吐出されないので廃熱がなされない一方、微振動波形を選択するためにトランスミッションゲートTGbをオフからオンに遷移させ、微振動波形を選択した後、トランスミッションゲートTGbをオンからオフに遷移させる。
出力回路OCbに大きな電流が流れるのは、選択信号SLb[m]の論理レベルがLレベルからHレベルへ遷移する時と、選択信号SLb[m]の論理レベルがHレベルからLレベルへ遷移する時である。従って、微振動が連続すると出力回路OCbは、インクを吐出する場合と同様に発熱する。
これに対して、無振動の場合は、トランスミッションゲートTGbをオフさせるので、出力回路OCbが消費する電力は、微振動の場合と比較して減少する。また、トランスミッションゲートTGbを介して駆動信号Com-Bが圧電素子37に供給されることもないので、トランスミッションゲートTGbで消費される電力が減少する。よって、微振動を間引いて、代わりに無振動とすることで、出力回路OCbおよびトランスミッションゲートTGbの発熱を抑制することが可能となり、ひいては、ヘッドドライバーDRの発熱を抑制することができる。
ところで、ヘッドドライバーDRの発熱が問題なるのは、微振動が連続して発生する場合である。この場合は、インクが吐出されないので廃熱がなされない一方、微振動波形を選択するためにトランスミッションゲートTGbをオフからオンに遷移させ、微振動波形を選択した後、トランスミッションゲートTGbをオンからオフに遷移させる。
出力回路OCbに大きな電流が流れるのは、選択信号SLb[m]の論理レベルがLレベルからHレベルへ遷移する時と、選択信号SLb[m]の論理レベルがHレベルからLレベルへ遷移する時である。従って、微振動が連続すると出力回路OCbは、インクを吐出する場合と同様に発熱する。
これに対して、無振動の場合は、トランスミッションゲートTGbをオフさせるので、出力回路OCbが消費する電力は、微振動の場合と比較して減少する。また、トランスミッションゲートTGbを介して駆動信号Com-Bが圧電素子37に供給されることもないので、トランスミッションゲートTGbで消費される電力が減少する。よって、微振動を間引いて、代わりに無振動とすることで、出力回路OCbおよびトランスミッションゲートTGbの発熱を抑制することが可能となり、ひいては、ヘッドドライバーDRの発熱を抑制することができる。
<1−5.駆動信号>
図8は、各単位期間Tuにおいて、制御機構20が、ヘッドドライバーDRに対して供給する各種信号と、各単位期間TuにおけるヘッドドライバーDRの動作と、を説明するためのタイミングチャートである。
図8は、各単位期間Tuにおいて、制御機構20が、ヘッドドライバーDRに対して供給する各種信号と、各単位期間TuにおけるヘッドドライバーDRの動作と、を説明するためのタイミングチャートである。
図8に示すように、単位期間Tuは、ラッチ信号LATに含まれるパルスPls-Lにより規定(区分)され、また、制御期間Ts1およびTs2は、パルスPls-Lとチェンジ信号CHに含まれるパルスPls-Cとにより規定(区分)される。
図8に例示するように、各単位期間Tuの駆動信号Com-Aは、制御期間Ts1に設けられた吐出波形PA1と、制御期間Ts2に設けられた吐出波形PA2と、を有する。
吐出波形PA1は、吐出波形PA1を有する個別駆動信号Vin [m]が吐出部D[m]に供給されると、吐出部D[m]から中ドットに相当する中程度の量のインクが吐出されるような波形である。
吐出波形PA2は、吐出波形PA2を有する個別駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給されると、吐出部D[m]から小ドットに相当する小程度の量のインクが吐出されるような波形である。
例えば、吐出波形PA1の最低電位(この例では、電位Va11)と最高電位(この例では、電位Va12)との電位差は、吐出波形PA2の最低電位(この例では、電位Va21)と最高電位(この例では、電位Va22)との電位差よりも大きい。
吐出波形PA1は、吐出波形PA1を有する個別駆動信号Vin [m]が吐出部D[m]に供給されると、吐出部D[m]から中ドットに相当する中程度の量のインクが吐出されるような波形である。
吐出波形PA2は、吐出波形PA2を有する個別駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給されると、吐出部D[m]から小ドットに相当する小程度の量のインクが吐出されるような波形である。
例えば、吐出波形PA1の最低電位(この例では、電位Va11)と最高電位(この例では、電位Va12)との電位差は、吐出波形PA2の最低電位(この例では、電位Va21)と最高電位(この例では、電位Va22)との電位差よりも大きい。
図8に例示するように、各単位期間Tuの駆動信号Com-Bは、微振動波形PBを有する。微振動波形PBは、微振動波形PBを有する個別駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給された場合に、吐出部D[m]からインクが吐出されないような波形である。つまり、微振動波形PBは、吐出部D内部のインクに微振動を与えてインクの増粘を防止するための波形である。例えば、微振動波形PBの最低電位(この例では、電位Vb11)と最高電位(この例では、基準電位V0)との電位差は、吐出波形PA2の最低電位と最高電位との電位差よりも小さくなるように定められる。
<1−6.個別駆動信号>
次に、図9を参照しつつ、単位期間TuにおいてヘッドドライバーDRが出力する個別駆動信号Vin[m]について説明する。
次に、図9を参照しつつ、単位期間TuにおいてヘッドドライバーDRが出力する個別駆動信号Vin[m]について説明する。
単位期間TuにおいてヘッドドライバーDRに供給される印刷信号SI[m]が(1,1,0)を示す場合、切替部TX[m]は、制御期間Ts1において駆動信号Com-Aを選択して吐出波形PA1を有する個別駆動信号Vin[m]を出力し、制御期間Ts2において駆動信号Com-Aを選択して吐出波形PA2を有する個別駆動信号Vin[m]を出力する。よって、この場合、図9に示すように、単位期間Tuにおいて吐出部D[m]に供給される個別駆動信号Vin[m]は、吐出波形PA1および吐出波形PA2を含む。この結果、吐出部D[m]は、当該単位期間Tuにおいて、吐出波形PA1に基づく中程度の量のインクと、吐出波形PA2に基づく小程度の量のインクと、を吐出し、これら2度にわたり吐出されたインクにより、媒体12上に大ドットを形成する。
単位期間TuにおいてヘッドドライバーDRに供給される印刷信号SI[m]が(1,0,0)を示す場合、切替部TX[m]は、制御期間Ts1において駆動信号Com-Aを選択して吐出波形PA1を有する個別駆動信号Vin[m]を出力し、制御期間Ts2において駆動信号Com-Aおよび駆動信号Com-Bのいずれも選択しない。よって、この場合、図9に示すように、単位期間Tuにおいて吐出部D[m]に供給される個別駆動信号Vin[m]は、吐出波形PA1を含む。この結果、吐出部D[m]は、当該単位期間Tuにおいて、吐出波形PA1に基づく中程度の量のインクを吐出し、媒体12上に中ドットを形成する。
単位期間TuにおいてヘッドドライバーDRに供給される印刷信号SI[m]が(0,1,0)を示す場合、切替部TX[m]は、制御期間Ts1において駆動信号Com-Aおよび駆動信号Com-Bのいずれも選択せず個別駆動信号Vin[m]を出力し、制御期間Ts2において駆動信号Com-Aを選択して吐出波形PA2を有する個別駆動信号Vin[m]を出力する。よって、この場合、図9に示すように、単位期間Tuにおいて吐出部D[m]に供給される個別駆動信号Vin[m]は、吐出波形PA2を含む。この結果、吐出部D[m]は、当該単位期間Tuにおいて、吐出波形PA2に基づく小程度の量のインクを吐出し、媒体12上に小ドットを形成する。
単位期間TuにおいてヘッドドライバーDRに供給される印刷信号SI[m]が(0,0,0)を示す場合、切替部TX[m]は、制御期間Ts1において駆動信号Com-Bを選択して微振動波形PBを有する個別駆動信号Vin[m]を出力し、制御期間Ts2において駆動信号Com-Aおよび駆動信号Com-Bのいずれも選択せず個別駆動信号Vin[m]を出力する。よって、この場合、図9に示すように、単位期間Tuにおいて吐出部D[m]に供給される個別駆動信号Vin[m]は、微振動波形PBを含む。
単位期間TuにおいてヘッドドライバーDRに供給される印刷信号SI[m]が(0,0,1)を示す場合、切替部TX[m]はオフとなり、駆動信号Com-Aおよび駆動信号Com-Bは圧電素子37に供給されない。圧電素子37は容量性の負荷でありキャパシタンスとして機能する。印刷信号SI[m]が(0,0,1)を示す場合、直前に供給された個別駆動信号Vin[m]の電位が保持される。印刷信号SI[m]が(0,0,0)〜(1,1,0)の場合、単位期間Tuが終了する時点での電位はV0となっている。よって、印刷信号SI[m]が(0,0,1)を示す場合には、個別駆動信号Vin[m]が圧電素子37に供給されないが、圧電素子37の電位は、図9に示される通りV0となる。
以上、説明したように本実施形態によれば、第1制御信号CTL1によって微振動が指定された場合には、第2制御信号CTL2によって、トランスミッションゲートTGbを強制的にオフさせることができる。これにより、微振動を間引くことができるので、インクが受ける熱の影響を抑えインクの変質リスクを低減することができ、さらに、吐出安定性を高めることができる。また、第1制御信号CTL1は、既存の圧電方式プリントヘッドに供給している制御信号と同じでよいから、既存のシステムに第2制御信号CTL2に関する構成を追加するだけで、インクの変質リスクを低減することができる。
また、第1制御信号CTL1と第2制御信号CTL2とをシリアライズ化したので、一つの伝送路で第1制御信号CTL1と第2制御信号CTL2とを制御機構20から圧電方式プリントヘッドHUへ伝送することができる。
また、第2制御信号CTL2は、2M個のノズルNの各々について、スイッチを強制的にオフするか否かを個別に指定することができるので、ノズル単位で温度の上昇を抑制できる。この結果、局所的にインクが変質するリスクを低減できる。さらに、2M個のノズルN内部のインク温度の差を小さくすることで吐出安定性を高めることができる。
<2.変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
<変形例1>
上述した実施形態では、制御機構20は、第2制御信号CTL2を含む印刷信号SIを生成した。第2制御信号CTL2は、第1制御信号CTL1が微振動を指定する場合に、アクティブとなり、トランスミッションゲートTGbをオフさせることがある。制御機構20は、所定の条件が充足される場合に、トランスミッションゲートTGbをオフさせるように印刷信号ISを(b1,b2,b3)=(0,0,0)に設定する。
所定の条件は、どのようなものであってもよいが、例えば、微振動が所定数以上連続していることを条件としてもよい。あるいは、圧電方式プリントヘッドHUの温度が所定温度以上であることを条件としてもよい。さらに、所定の条件が充足された場合、圧電方式プリントヘッドHUの全部または一部のノズルNに共通して第2制御信号CTL2をアクティブにして、微振動を間引いてもよい。
上述した実施形態では、制御機構20は、第2制御信号CTL2を含む印刷信号SIを生成した。第2制御信号CTL2は、第1制御信号CTL1が微振動を指定する場合に、アクティブとなり、トランスミッションゲートTGbをオフさせることがある。制御機構20は、所定の条件が充足される場合に、トランスミッションゲートTGbをオフさせるように印刷信号ISを(b1,b2,b3)=(0,0,0)に設定する。
所定の条件は、どのようなものであってもよいが、例えば、微振動が所定数以上連続していることを条件としてもよい。あるいは、圧電方式プリントヘッドHUの温度が所定温度以上であることを条件としてもよい。さらに、所定の条件が充足された場合、圧電方式プリントヘッドHUの全部または一部のノズルNに共通して第2制御信号CTL2をアクティブにして、微振動を間引いてもよい。
<変形例2>
上述した実施形態および変形例で例示した圧電方式インクジェットプリンター1は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の圧電方式インクジェットプリンターの用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する圧電方式インクジェットプリンターは、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する圧電方式インクジェットプリンターは、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。
上述した実施形態および変形例で例示した圧電方式インクジェットプリンター1は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の圧電方式インクジェットプリンターの用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する圧電方式インクジェットプリンターは、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する圧電方式インクジェットプリンターは、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。
1…圧電方式インクジェットプリンター、20…制御機構、HU…圧電方式プリントヘッド、DR…ヘッドドライバー、TGa…トランスミッションゲート、TGb…トランスミッションゲート、DC…スイッチ制御回路、OCa,OCb…出力回路、72…スイッチ動作停止制御部、CTL1…第1制御信号、CTL2…第2制御信号。
Claims (8)
- 圧電素子と、
前記圧電素子が駆動されることにより液体を吐出するノズルと、
前記圧電素子を駆動するための駆動信号を前記圧電素子に供給するか否かを切り換えるスイッチと、
前記スイッチのオンおよびオフを制御するスイッチ制御部とを備え、
前記スイッチ制御部は、
前記スイッチをオンするかまたはオフするかを指定する第1制御信号と前記スイッチを強制的にオフさせるか否かを指定する第2制御信号とが供給され、
前記第2制御信号が前記スイッチを強制的のオフさせないことを指定する場合、前記第1制御信号に基づいて前記スイッチをオンまたはオフさせ、前記第2制御信号が前記スイッチを強制的のオフさせることを指定する場合、前記スイッチをオフさせる、
圧電方式プリントヘッド。 - 前記駆動信号は、前記圧電素子に供給されることによって前記液体を吐出する吐出波形と、前記圧電素子に供給されることによって前記液体を非吐出とする微振動波形とを含み、
前記第2制御信号は、
前記第1制御信号が前記吐出波形を前記圧電素子に供給するために前記スイッチをオンさせることを指定する場合には、前記スイッチを強制的のオフさせないことを指定し、
前記第1制御信号が前記微振動波形を前記圧電素子に供給するために前記スイッチをオンさせることを指定する場合に、所定の条件が充足されると前記スイッチを強制的のオフさせることを指定する、
請求項1に記載の圧電方式プリントヘッド。 - 前記液体は100℃未満で物性が変質することを特徴とする請求項1に記載の圧電方式プリントヘッド。
- 前記ノズルを含む400個以上のノズルが、1インチ当たり300個以上の密度で列状に並べられ、
前記400個以上のノズルの各々に対応して、前記圧電素子、前記スイッチ、および前記スイッチ制御部を備えた請求項1記載の圧電方式プリントヘッド。 - 前記第1制御信号と前記第2制御信号とは、シリアライズされた制御信号として入力される請求項1に記載の圧電方式プリントヘッド。
- 前記ノズルを含む複数のノズルを備え、
前記複数のノズルの各々に対応して、前記圧電素子、前記スイッチ、および前記スイッチ制御部を備え、
前記第2制御信号は、前記複数のノズルの各々に設けられた前記スイッチを強制的にオフさせるか否かを個別に指定する、
請求項1に記載の圧電方式プリントヘッド。 - 前記スイッチ、および前記スイッチ制御部が設けられた回路基板と、
液体が充填され、前記圧電素子の駆動に応じて内部の圧力が増減する圧力室とを備え、
前記圧電素子は、前記回路基板を含む複数の部材により構成された封止空間に設けられる、請求項1に記載の圧電方式プリントヘッド。 - 前記液体はインクであり、
請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の圧電方式プリントヘッドを備えた圧電方式インクジェットプリンター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017186451A JP2019059155A (ja) | 2017-09-27 | 2017-09-27 | 圧電方式プリントヘッドおよび圧電方式インクジェットプリンター |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017186451A JP2019059155A (ja) | 2017-09-27 | 2017-09-27 | 圧電方式プリントヘッドおよび圧電方式インクジェットプリンター |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019059155A true JP2019059155A (ja) | 2019-04-18 |
Family
ID=66176961
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017186451A Pending JP2019059155A (ja) | 2017-09-27 | 2017-09-27 | 圧電方式プリントヘッドおよび圧電方式インクジェットプリンター |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019059155A (ja) |
-
2017
- 2017-09-27 JP JP2017186451A patent/JP2019059155A/ja active Pending
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