JP2019049283A - ガス充填装置およびガス充填方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速かつ正確に圧力容器へのガスの充填を行う。【解決手段】制御装置9に、圧力変動率算出部9−1と、質量流量算出部9−2と、体積流量算出部9−3を設ける。圧力変動率算出部9−1は、圧力容器7内のガスの充填圧力P(Pmes(計測圧))を流量更新間隔Δtで取得し、ガスの充填圧力Pを取得する毎に、ガスの充填量を制御する際の制御目標として、ガスの充填圧力Pの変化曲線を理想圧力曲線に近似させるような充填圧力Pの圧力変動率Pdotを算出する。質量流量算出部9−2は、圧力変動率算出部9−1によって算出された圧力変動率Pdotからガスの質量流量mdotを求める。体積流量算出部9−3は、質量流量算出部9−2によって求められた質量流量mdotからガスの体積流量Qを求める。制御装置9は、体積流量算出部9−3で算出された体積流量Qのガスが圧力容器7に送られるように、充填装置11の動作を制御する。【選択図】 図2
Description
本発明は、圧力容器にガスを充填するガス充填装置およびガス充填方法に関する。
従来より、圧力容器にガスを充填するガス充填装置として、例えば特許文献1に示されるような圧力発生充填装置がある。
この圧力発生充填装置では、流量コントローラを3台並列に接続し、この流量コントローラを切り替えることによって、3段階に分けて圧力容器へのガスの充填を行うようにしている。
各流量コントローラは、例えば、第1の流量コントローラを流量大、第2の流量コントローラを流量中、第3の流量コントローラを流量小というように、その流量の制御範囲が異なっている。各流量コントローラは、制御装置によって、そこを流れるガスの流量が一定となるようにコントロールされる。
図15に、特許文献1に示された圧力容器へのガスの充填圧力の変化曲線を示す。図15において、Pは圧力容器内のガスの充填圧力、P0は圧力容器内のガスの充填圧力の初期値(初期圧力)である。P1,P2,P3は1段目,2段目,3段目の圧力設定値である。t1,t2,t3は、ガスの充填圧力Pが圧力設定値P1,P2,P3に到達した時刻である。圧力設定値P3は最終目標圧力Pfに相当する。
この例では、圧力容器内のガスの充填圧力PがP0からP1に達するまでは、第1の流量コントローラを稼働して圧力容器へのガスの充填を行う。ガスの充填圧力PがP1に達すると、第2の流量コントローラを稼働して圧力容器へのガスの充填を行う。ガスの充填圧力PがP2に達すると、第3の流量コントローラを稼働して圧力容器へのガスの充填を行う。そして、ガスの充填圧力Pが最終目標圧力Pfに達した後は、この最終目標圧力Pfの状態を保つようにする。すなわち、ガスの充填圧力Pを最終目標圧力Pfに整定させる。
しかしながら、この特許文献1に示された圧力発生充填装置では、図16に示すように、流量コントローラの切替時にガスの充填圧力Pがオーバーシュートし、ガスの充填圧力Pが最終目標圧力Pfに整定されるまでの時間が長引くという問題があった。すなわち、圧力容器へのガスの充填を開始してから、ガスの充填が完了(整定)するまでの充填時間が長引くという問題があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、高速かつ正確に圧力容器へのガスの充填を行うことが可能なガス充填装置およびガス充填方法を提供することにある。
このような目的を達成するために本発明は、圧力容器(7)にガスを充填するように構成されたガス充填装置(100)において、圧力容器内のガスの充填圧力Pを計測するように構成された圧力計測部(8)と、圧力計測部が計測するガスの充填圧力Pを流量更新間隔Δtで取得し、その取得したガスの充填圧力Pに基づいて圧力容器へのガスの充填量を制御し、ガスの充填圧力Pを最終目標圧力Pfに整定させるように構成された制御装置(9)とを備え、制御装置(9)は、ガスの充填圧力Pを取得する毎に、ガスの充填量を制御する際の制御目標として、ガスの充填圧力Pの変化曲線を下記(A)式で規定される理想圧力曲線に近似させるような充填圧力Pの圧力変動率Pdotを算出するように構成された圧力変動率算出部(9−1)を備えることを特徴とする。
この発明において、制御装置は、ガスの充填圧力Pを取得する毎に、ガスの充填圧力Pの変化曲線を(A)式で規定される理想圧力曲線に近似させるような圧力変動率Pdotを算出し、この算出した圧力変動率Pdotを制御目標として圧力容器へのガスの充填量を制御する。これにより、ガスの充填圧力Pを取得する毎に、ガスの充填圧力Pが(A)式で規定される理想圧力曲線に近似して変化するものとなり、オーバーシュートを生じさせないようにして、高速かつ正確に圧力容器へのガスの充填を行うことが可能となる。
本発明では、ガスの充填圧力Pを取得する毎に圧力変動率Pdotを算出するが、この圧力変動率Pdotの算出式として下記(B)式や(C)式、(D)式などを用いることが考えられる。
本発明では、(C)式を用いて圧力変動率Pdotを算出する手法を技法1(局所微分)と呼び、(D)式を用いて圧力変動率Pdotを算出する手法を技法2(中間点微分)と呼び、(B)式を用いて圧力変動率Pdotを算出する手法を技法3(線形補完)と呼ぶものとする。技法1,2には後述するように短所があり、技法1,2,3のうち技法3が最も適した技法であると言える。アプリケーションによっては技法1や2を用いてもよく、技法3に技法1や技法2を組み合わせるなどしてもよい。
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の構成要素を、括弧を付した参照符号によって示している。
以上説明したことにより、本発明によれば、ガスの充填圧力Pを取得する毎に、ガスの充填圧力Pの変化曲線を(A)式で規定される理想圧力曲線に近似させるような充填圧力Pの圧力変動率Pdotを算出し、この算出した圧力変動率Pdotを制御目標として圧力容器へのガスの充填量を制御するようにしたので、ガスの充填圧力Pを取得する毎に、ガスの充填圧力Pが(A)式で規定される理想圧力曲線に近似して変化するものとなり、オーバーシュートを生じさせないようにして、高速かつ正確に圧力容器へのガスの充填を行うことが可能となる。
〔発明の概要〕
先ず、本発明の実施の形態の説明に入る前に、本発明の概要について説明する。
最初に、静圧(流れがない圧力および安定後の圧力)は、測定された圧力の関数と仮定し、ガス流量、ガス流量の変化、ガス温度によって変化すると考える。これらの因子がすべてゼロである場合、静圧は測定圧力に等しいので、これらの因子のすべてが小さい値では、静圧と測定圧力の差がゼロになると推測できる。
先ず、本発明の実施の形態の説明に入る前に、本発明の概要について説明する。
最初に、静圧(流れがない圧力および安定後の圧力)は、測定された圧力の関数と仮定し、ガス流量、ガス流量の変化、ガス温度によって変化すると考える。これらの因子がすべてゼロである場合、静圧は測定圧力に等しいので、これらの因子のすべてが小さい値では、静圧と測定圧力の差がゼロになると推測できる。
したがって、1次コントローラ(後述)の流量更新を高頻度に行うことで(変化量を少なくする事で)、オーバーシュートおよび安定化時間の問題を解決する事ができる。実際、その指数関数的性質のために、1次コントローラ出力は、圧力差が小さい充填プロセスの終了時にガスに小さな変化を生じさせる。
本発明では、物理的コントローラの実施を避けるために、最終目標圧力、実際の測定圧力、ガス温度、アプリケーションに依存するいくつかの定数(経験的にも容易に見つけることができる)と同様なコントローラの速度を表す時定数τだけを、1次コントローラに数学的(仮想的な)実装する事を提案する。
これらすべては、どのプログラミング言語でも迅速にプログラミングできる。最大の利点は、時定数τを最適化する事で充填プロセスを望むように高速かつ正確にする事が可能となることである。
〔実施の形態〕
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係るガス充填装置100の要部の構成を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係るガス充填装置100の要部の構成を示す図である。
このガス充填装置100は、流量コントローラ1−1〜1−3と、流量コントローラ用遮断弁2−1〜2−3と、遮断弁3,4と、ゲート弁5−1,5−2と、真空ポンプ6と、圧力容器7と、圧力計8と、制御装置9と、温度センサ10とを備えている。
また、ガス充填装置100は、図示してはいないが、圧力容器7へ充填するガス(G)を生成する圧力発生装置を備えている。この圧力発生装置としては、一定圧のガスを生成するガス圧縮ポンプなどを想定している。充填するガスが、空気以外のガスで、例えば窒素のときは、圧力発生装置のガスの取り入れ口に窒素ガスボンベを繋ぐ。
このガス充填装置100において、流量コントローラ1−1〜1−3は、圧力容器7へのガスの供給路L中に並列に接続されている。流量コントローラ1−1〜1−3は、例えば、流量コントローラ1−1が流量大、流量コントローラ1−2が流量中、流量コントローラ1−3が流量小というように、その流量の制御範囲が異なっている。この流量コントローラ1−1〜1−3に対して流量コントローラ用遮断弁2−1〜2−3が設けられている。なお、流量を確実に遮断する機能を持つ流量コントローラ1(1−1,1−2,1−3)を用いる場合は、流量コントローラ用遮断弁2(2−1,2−2,2−3)は使用しなくてもよい。
遮断弁3は、圧力容器7へのガスの供給路L中に設けられており、この遮断弁3の前後にゲート弁5−1,5−2を介して真空ポンプ6が接続されている。圧力計8は、圧力容器7内のガスの充填圧力Pを計測し、その計測した充填圧力Pを制御装置9へ送る。
圧力計8と圧力容器7との間には、圧力計8を保護するための安全装置として、高圧時に自動的に流路を遮断する遮断弁4が設けられている。温度センサ10は、圧力容器7へのガスの温度Tを検出し、その検出したガスの温度Tを制御装置9へ送る。
制御装置9は、流量コントローラ1(1−1〜1−3)、流量コントローラ用遮断弁2(2−1〜2−3)、遮断弁3、ゲート弁5(5−1,5−2)、真空ポンプ6などの動作を制御することによって、圧力容器7へのガスの充填を行う。
この制御装置9は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現される。なお、図1において、制御装置9によってその動作が制御される構成(1点鎖線で囲んだ構成)を充填装置11と呼ぶ。
図2に制御装置9の機能ブロック図を示す。なお、図2には、制御装置9の機能ブロックと合わせて、この機能ブロックが果たす役割を説明する必要上、充填装置11や圧力容器7も示している。
制御装置9は、本実施の形態特有の機能ブロックとして、圧力変動率算出部9−1と、質量流量算出部9−2と、体積流量算出部9−3とを備えている。
この制御装置9において、圧力変動率算出部9−1は、圧力計8が計測する圧力容器7内のガスの充填圧力P(Pmes(計測圧))を流量更新間隔Δtで取得し、ガスの充填圧力Pを取得する毎に、ガスの充填量を制御する際の制御目標として、ガスの充填圧力Pの変化曲線を理想圧力曲線(後述する(1)式で規定される理想圧力曲線)に近似させるような充填圧力Pの圧力変動率Pdotを算出する。
この圧力変動率算出部9−1が前述した1次コントローラに相当する。また、圧力変動率算出部9−1において制御目標として圧力変動率Pdotを算出する周期が、前述した1次コントローラの流量更新の頻度に相当する。
質量流量算出部9−2は、圧力変動率算出部9−1によって算出された圧力変動率Pdotからガスの質量流量mdotを求める。体積流量算出部9−3は、質量流量算出部9−2によって求められた質量流量mdotからガスの体積流量Qを求める。
なお、質量流量算出部9−2での質量流量mdotの算出や体積流量算出部9−3での体積流量Qの算出では、ガスの温度Tなども用いられる。ガスの質量流量mdotや体積流量Qの算出に用いられる式などについては後述する。
制御装置9は、体積流量算出部9−3で算出されたガスの体積流量Qが圧力容器7に送られるように、充填装置11の動作を制御する。すなわち、圧力計8が計測するガスの充填圧力Pを流量更新間隔Δtで取得し、その取得したガスの充填圧力Pに基づいて圧力容器7へのガスの充填量(流量)を制御し、ガスの充填圧力Pを最終目標圧力(以下、単に目標圧力と呼ぶ場合もある。)Pfに整定させるようにする。
なお、この例において、制御装置9は、流量コントローラ1−1,1−2,1−3を選択的に稼働し、体積流量算出部9−3で算出された体積流量Qのガスが圧力容器7に送られるように、流量コントローラ1−1,1−2,1−3を流れるガスの流量をコントロールするが、流量コントローラ1−1,1−2,1−3を組み合わせて稼働するようにしてもよい。また、この例では、流量コントローラ1を3台としているが、3台に限られるものではなく、1台としてもよい。
制御装置9は、圧力容器7へのガスの充填を開始する場合、ゲート弁5−2を開き、真空ポンプ6を動かして、圧力容器7の真空排気を行う。次に、ゲート弁5−1を開き、弁2と弁3との間の残圧を真空排気する。これにより、圧力容器7の初期圧力P0を真空圧とする。なお、真空ポンプ6を使わず残圧充填ガスを排出する機構は別なものを採用してもかまわない。
〔理想圧力曲線について〕
理想的な充填プロセスは、時間とともに圧力の指数関数的な変化になる。すなわち、図3に示すように、充填圧力Pは時間tの経過とともに指数関数的に大きくなり、目標圧力Pfから遠く離れたところでは充填率が高くなり、目標圧力Pfに近づくと充填率は小さくなる。
理想的な充填プロセスは、時間とともに圧力の指数関数的な変化になる。すなわち、図3に示すように、充填圧力Pは時間tの経過とともに指数関数的に大きくなり、目標圧力Pfから遠く離れたところでは充填率が高くなり、目標圧力Pfに近づくと充填率は小さくなる。
この理想的な充填プロセスでは、1次制御の時間応答(圧力と時間の関数)として、理想圧力曲線の式が求められる。図4に、初期圧力をP0とした場合の目標圧力Pfまでの理想圧力曲線を示す。下記に、理想圧力曲線の式の算出過程を示す。
この理想圧力曲線の式(e)において、τは時定数であり、この時定数τが圧力の上昇スピードを決め、時定数τが小さいほどPf−Pで与えられる流量は大きくなる。すなわち、図5に示すように、τが小さいほど圧力の上昇スピードが速くなり、τが大きいほど圧力の上昇スピードが緩くなる。図5において、τ=5の曲線C1は圧力の上昇スピードが速く、その分流量の変動が激しい。τ=45の曲線C2は圧力の上昇スピードが遅く、整定するまでに時間がかかる。τ=20の曲線C3はC1とC2の中間に位置している。例えば、この曲線C3を理想圧力曲線とする。
理想圧力曲線の式(e)において、tiを流量更新間隔Δt毎のガスの充填圧力Pの取得タイミングとし、Piを今回取得した圧力Pとすると、この式(e)は下記(1)式として示される。この(1)式が本発明でいう(A)式に相当する。
〔圧力変動率について〕
充填圧力Pの変動率(圧力変動率)は、理想気体に対応する標準体積流量に直線的に関連することができる。したがって、理想圧力曲線上の圧力変動率(微分値)を求めれば、その圧力変動率を制御流量に関連することができる。上記の(1)式で示される理想圧力曲線上の圧力変動率をPdot(t)とすると、この圧力変動率Pdot(t)は下記(2)式で表される。
充填圧力Pの変動率(圧力変動率)は、理想気体に対応する標準体積流量に直線的に関連することができる。したがって、理想圧力曲線上の圧力変動率(微分値)を求めれば、その圧力変動率を制御流量に関連することができる。上記の(1)式で示される理想圧力曲線上の圧力変動率をPdot(t)とすると、この圧力変動率Pdot(t)は下記(2)式で表される。
本実施の形態において、圧力変動率算出部9−1は、圧力計8が計測する圧力容器7内のガスの充填圧力Pを流量更新間隔Δtで取得し、ガスの充填圧力Pを取得する毎に、ガスの充填量を制御する際の制御目標として、ガスの充填圧力Pの変化曲線を上記の(1)式で規定される理想圧力曲線に近似させるような充填圧力Pの圧力変動率Pdotを算出する。この場合、圧力変動率Pdot(制御目標)の算出方法として、次のような技法1、2、3が考えられる。
〔技法1:局所微分(図6参照)〕
技法1では、流量更新間隔Δtが短く、上記の(2)式において「t≒ti」であると考える。すなわち、t−ti≒0と考える。そして、t−ti≒0として得られる圧力変動率Pdotを、すなわち下記(3)式で示される圧力変動率Pdotを、今回の圧力の取得ポイント(今回の流量更新タイミング)での制御目標とする。
技法1では、流量更新間隔Δtが短く、上記の(2)式において「t≒ti」であると考える。すなわち、t−ti≒0と考える。そして、t−ti≒0として得られる圧力変動率Pdotを、すなわち下記(3)式で示される圧力変動率Pdotを、今回の圧力の取得ポイント(今回の流量更新タイミング)での制御目標とする。
図7に、理想圧力曲線Iと対比して、技法1を用いた場合のガスの充填圧力Pの変化曲線S1を示す。技法1では、どの瞬間のtについても実際の圧力Pを測定し、理想圧力曲線に適合させるための圧力変動率Pdotを求めるようにしている。しかし、この技法1では、上記の(2)式において「t−ti≒0」とするため、理想圧力曲線よりも圧力が高めになり、目標圧力Pfを超過する虞がある。
〔技法2:中間点微分(図8参照)〕
技法2では、上記の(2)式において「t−ti=Δt/2」であるとする。そして、t−ti=Δt/2として得られる圧力変動率Pdotを、すなわち下記(4)式で示される圧力変動率Pdotを、今回の圧力の取得ポイント(今回の流量更新タイミング)での制御目標とする。
技法2では、上記の(2)式において「t−ti=Δt/2」であるとする。そして、t−ti=Δt/2として得られる圧力変動率Pdotを、すなわち下記(4)式で示される圧力変動率Pdotを、今回の圧力の取得ポイント(今回の流量更新タイミング)での制御目標とする。
図9に、理想圧力曲線Iと対比して、技法2を用いた場合のガスの充填圧力Pの変化曲線S2を示す。断続的な更新パターンを要求するアプリケーションでは、流量を全体的に過大にならないように、流量を更新するポイントの中間点から予測する式が必要となる。但し、技法2では、オーバーシュートは確実に回避することができるが、充填圧力Pが目標圧力Pfに近づくまでに時間がかかり、目標圧力Pfに達しない虞がある。
〔技法3:線形補間(図10参照)〕
技法3では、次回の圧力の取得ポイントでの充填圧力PをPi+1とし、今回の圧力の取得ポイントでの制御目標とされる圧力変動率Pdotが下記(5)式で表されるものとする。そして、上記(1)式において「t−ti=Δt」とすることにより、次回の圧力の取得ポイントで予想される充填圧力Pi+1を求め(下記(6)式)、この求めたPi+1を上記(5)式に代入することによって、下記(7)式で示される圧力変動率Pdotを得る。この(7)式で示される圧力変動率Pdotを今回の圧力の取得ポイントでの制御目標とする。
技法3では、次回の圧力の取得ポイントでの充填圧力PをPi+1とし、今回の圧力の取得ポイントでの制御目標とされる圧力変動率Pdotが下記(5)式で表されるものとする。そして、上記(1)式において「t−ti=Δt」とすることにより、次回の圧力の取得ポイントで予想される充填圧力Pi+1を求め(下記(6)式)、この求めたPi+1を上記(5)式に代入することによって、下記(7)式で示される圧力変動率Pdotを得る。この(7)式で示される圧力変動率Pdotを今回の圧力の取得ポイントでの制御目標とする。
図11に、理想圧力曲線Iと対比して、技法3を用いた場合のガスの充填圧力Pの変化曲線S3を示す。この技法3では、実測した圧力から次に更新される圧力までの圧力変動率を線形補間して求めるため、理想圧力曲線によくフィットし、オーバーシュートしにくく、高速かつ正確に圧力容器7へのガスの充填を行うができる。また、最終的な充填時間を最も正確に見積もることができる。
〔充填時間の見積もり〕
aを精度(最終目標値±α%)、Pf-を許容圧力下限値とすると、Pf-は下記(8)式により示される。また、tfを初期圧力P0から許容圧力下限値Pf-に到達するまでの時間とすると、上記(1)式より許容圧力下限値Pf-は下記(9)式として表される。この(9)式から、許容圧力下限値Pf-に達するまでの時間tfは、下記(10)式として表される。この(10)式に、許容圧力下限値Pf-、初期圧力P0、目標圧力Pfを代入することにより、許容圧力下限値Pf-に達するまでの時間(充填時間)tfを見積もることができる。
aを精度(最終目標値±α%)、Pf-を許容圧力下限値とすると、Pf-は下記(8)式により示される。また、tfを初期圧力P0から許容圧力下限値Pf-に到達するまでの時間とすると、上記(1)式より許容圧力下限値Pf-は下記(9)式として表される。この(9)式から、許容圧力下限値Pf-に達するまでの時間tfは、下記(10)式として表される。この(10)式に、許容圧力下限値Pf-、初期圧力P0、目標圧力Pfを代入することにより、許容圧力下限値Pf-に達するまでの時間(充填時間)tfを見積もることができる。
〔充填プロセスの終わり〕
本実施の形態では、ガスの充填圧力Pを流量更新間隔Δtで取得し、その取得したガスの充填圧力Pに基づいて圧力容器7へのガスの充填量(流量)を制御し、ガスの充填圧力Pを最終目標圧力Pfに整定させるようにする。
本実施の形態では、ガスの充填圧力Pを流量更新間隔Δtで取得し、その取得したガスの充填圧力Pに基づいて圧力容器7へのガスの充填量(流量)を制御し、ガスの充填圧力Pを最終目標圧力Pfに整定させるようにする。
しかし、充填圧力Pの上昇は指数関数的であるために、(理想的な条件で)充填圧力Pが目標圧力Pfに達するまで待つことは得策ではない(指数関数的曲線が実際に最終値に達することはない)。
また、アプリケーションにより、許容誤差の下限で、充填プロセスを一度止めたいことがあるかもしれない。しかし、ほとんどの場合、(許容差内の)圧力不足が発生することになる。
これに対しては、例えば、アプリケーションが目標圧力の下限側(または上限側)を要求している場合、目標圧力に対してある割合(代表的には97%)まで到達した時点で流量の更新を止めて(図12参照)、望む圧力まで同じ流量を保つようにするとよい。
〔圧力変動率Pdotからのガスの質量流量mdotの算出〕
質量流量算出部9−2は、圧力変動率算出部9−1によって算出された圧力変動率Pdotからガスの質量流量mdotを求める。この場合、質量流量算出部9−2は、ボイル・シャルルの法則から導かれる下記の(12)式を用いて、ガスの質量流量mdotを求める。
質量流量算出部9−2は、圧力変動率算出部9−1によって算出された圧力変動率Pdotからガスの質量流量mdotを求める。この場合、質量流量算出部9−2は、ボイル・シャルルの法則から導かれる下記の(12)式を用いて、ガスの質量流量mdotを求める。
〔ガスの質量流量mdotからのガスの体積流量Qの算出〕
体積流量算出部9−3は、質量流量算出部9−2によって求められた質量流量mdotからガスの体積流量Qを求める。この場合、体積流量算出部9−3は、下記の(13)式を用いてガスの標準状態の体積流量Qstdを求め、この標準状態の体積流量Qstdを単位換算して((14)式)、ガスの体積流量Qを求める。
体積流量算出部9−3は、質量流量算出部9−2によって求められた質量流量mdotからガスの体積流量Qを求める。この場合、体積流量算出部9−3は、下記の(13)式を用いてガスの標準状態の体積流量Qstdを求め、この標準状態の体積流量Qstdを単位換算して((14)式)、ガスの体積流量Qを求める。
なお、上記の(13)式は、理想気体の状態方程式から次のようにして導かれる
〔システムの特性による定数〕
技法1,2,3の方程式((3)式、(4)式、(7)式)から圧力変動率Pdotが分かる。圧力変動率Pdotは圧力差(Pf−P)、つまり誤差に対して比例関係にあると見ることができる。下記の(15)式にこれらの方程式の1つを代入すると、流量は(Pf−P)/Tに対して線形の関係を持つことができる。そのため、システムの特性による定数Kを見つけることができる。
技法1,2,3の方程式((3)式、(4)式、(7)式)から圧力変動率Pdotが分かる。圧力変動率Pdotは圧力差(Pf−P)、つまり誤差に対して比例関係にあると見ることができる。下記の(15)式にこれらの方程式の1つを代入すると、流量は(Pf−P)/Tに対して線形の関係を持つことができる。そのため、システムの特性による定数Kを見つけることができる。
〔チューニング〕
本発明では、たった1つのパラメータ(時定数τ)を実験で求めるだけで、ガスの充填圧力Pの変化曲線を理想圧力曲線にフィットさせるようにすることが可能となる。この発明において、流量更新間隔Δtとしては、機器で許容される最小の値を推奨するが、必要に応じてその値を拡大させてもよい。
本発明では、たった1つのパラメータ(時定数τ)を実験で求めるだけで、ガスの充填圧力Pの変化曲線を理想圧力曲線にフィットさせるようにすることが可能となる。この発明において、流量更新間隔Δtとしては、機器で許容される最小の値を推奨するが、必要に応じてその値を拡大させてもよい。
本発明の主とする目的の1つは、望ましくないオーバーシュートおよび長い安定化期間の原因となる、充填プロセスの突然の変化を避けることである。本発明において、曲線の滑らかさは、圧力変動率Pdotの比を用いて定量化することができる。これは、τの関数で求めることができる。
また、本発明において、例えば技法3を用いた場合、連続する圧力変動率Pdotの比を用いて(図13参照)、下記に示す(23)式より、時定数τの下限を見つけることができる。
また、充填の97%が完了する前に、更新回数に下限を強制することによって、下記に示す(26)式により、時定数τの下限を見つけることができる(技法1〜3共通)。
図14に、理想圧力曲線Iと対比して、技法1,2,3を用いた場合のガスの充填圧力Pの変化曲線S1,S2,S3を示す。S1,S2,S3を比較すると、技法3を用いた場合の充填圧力Pの変化曲線S3が最も理想圧力曲線Iにフィットしており、最適であることが分かる。
技法1では、常に理想圧力曲線Iよりも高くなるので、圧力変動率Pdotは常に過剰となり、目標圧力Pfに速く到達するが、整定するのに時間がかかる。但し、P0とPfとの差が大きい場合に、スタート時の所定時間だけ技法1で制御し、その後、技法3に切り替えて最後まで制御するという制御方法はあり得る。
技法2では、オーバーシュートは確実に避けられるが、圧力変動率Pdotの上昇が緩いので、目標圧力Pfに整定するまでに時間がかかる。但し、技法3で制御を開始し、目標圧力Pfに整定する直前で技法2に切り替えて、オーバーシュートを確実に回避するという制御方法はあり得る。
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
1(1−1〜1−3)…流量コントローラ、2(2−1〜2−3)…流量コントローラ用遮断弁、3,4…遮断弁、5(5−1,5−2)…ゲート弁、6…真空ポンプ、7…圧力容器、8…圧力計、9…制御装置、9−1…圧力変動率算出部、9−2…質量流量算出部9−2、9−3…体積流量算出部、10…温度センサ、11…充填装置、100…ガス充填装置。
Claims (8)
- 圧力容器にガスを充填するように構成されたガス充填装置において、
前記圧力容器内の前記ガスの充填圧力Pを計測するように構成された圧力計測部と、
前記圧力計測部が計測する前記ガスの充填圧力Pを流量更新間隔Δtで取得し、その取得したガスの充填圧力Pに基づいて前記圧力容器への前記ガスの充填量を制御し、前記ガスの充填圧力Pを最終目標圧力Pfに整定させるように構成された制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記ガスの充填圧力Pを取得する毎に、前記ガスの充填量を制御する際の制御目標として、前記ガスの充填圧力Pの変化曲線を下記(A)式で規定される理想圧力曲線に近似させるような前記充填圧力Pの圧力変動率Pdotを算出するように構成された圧力変動率算出部
を備えることを特徴とするガス充填装置。
- 請求項1に記載されたガス充填装置において、
前記圧力変動率算出部は、
前記圧力変動率Pdotを下記(B)式に基づいて算出する
ことを特徴とするガス充填装置。
- 請求項1に記載されたガス充填装置において、
前記圧力変動率算出部は、
前記圧力変動率Pdotを下記(C)式に基づいて算出する
ことを特徴とするガス充填装置。
- 請求項1に記載されたガス充填装置において、
前記圧力変動率算出部は、
前記圧力変動率Pdotを下記(D)式に基づいて算出する
ことを特徴とするガス充填装置。
- 請求項2に記載されたガス充填装置において、
前記圧力変動率算出部は、
前記制御装置の制御開始から所定期間のみ一時的に下記(E)式に基づいて前記圧力変動率Pdotを算出し、その後、前記(B)式に基づいて前記圧力変動率Pdotを算出する
ことを特徴とするガス充填装置。
- 請求項2に記載されたガス充填装置において、
前記圧力変動率算出部は、
前記制御装置の制御開始から前記(B)式に基づいて前記圧力変動率Pdotを算出し、制御終了直前で下記(F)式に基づいて前記圧力変動率Pdotを算出する
ことを特徴とするガス充填装置。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載されたガス充填装置において、
前記制御装置は、
さらに、
前記圧力変動率算出部によって算出された前記圧力変動率Pdotから前記ガスの質量流量を求めるように構成された質量流量算出部と、
前記質量流量算出部によって求められた前記質量流量から前記ガスの体積流量を求めるように構成された体積流量算出部と
を備えることを特徴とするガス充填装置。 - 圧力容器にガスを充填するガス充填方法において、
前記圧力容器内の前記ガスの充填圧力Pを計測する圧力計測ステップと、
前記圧力計測ステップによって計測される前記ガスの充填圧力Pを流量更新間隔Δtで取得し、その取得したガスの充填圧力Pに基づいて前記圧力容器への前記ガスの充填量を制御し、前記ガスの充填圧力Pを最終目標圧力Pfに整定させる制御ステップとを備え、
前記制御ステップは、
前記ガスの充填圧力Pを取得する毎に、前記ガスの充填量を制御する際の制御目標として、前記ガスの充填圧力Pの変化曲線を下記(G)式で規定される理想圧力曲線に近似させるような前記充填圧力Pの圧力変動率Pdotを算出する圧力変動率算出ステップ
を備えることを特徴とするガス充填方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017173016A JP2019049283A (ja) | 2017-09-08 | 2017-09-08 | ガス充填装置およびガス充填方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112556774A (zh) * | 2020-11-27 | 2021-03-26 | 国网安徽省电力有限公司电力科学研究院 | 基于称重法的梯度充气式sf6气室容积测定方法 |
JP7464080B2 (ja) | 2022-06-10 | 2024-04-09 | トヨタ自動車株式会社 | ガス充填システム |
-
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- 2017-09-08 JP JP2017173016A patent/JP2019049283A/ja active Pending
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