JP2019044134A - ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物およびブレーキパッド摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟性、撥水性および耐熱性に優れるブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物は、シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂を含むものである。【選択図】なし
Description
本発明は、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物およびブレーキパッド摩擦材に関する。
これまで摩擦材に関して様々な検討がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、ストレートフェノール樹脂ではなくアクリルゴム変性フェノール樹脂やシリコーンゴム変性フェノール樹脂などのエラストマー変性フェノール樹脂を用いることが記載されている(特許文献1、段落0041)。
しかしながら、本発明者が検討した結果、アクリルゴムで変性したフェノール樹脂やシリコーンゴムで変性したフェノール樹脂においては、柔軟性、撥水性および耐熱性の点で改善する余地があることが判明した。
本発明者はさらに検討したところ、アクリルゴムでフェノール樹脂を変性することにより柔軟性を向上させることができるものの撥水性を向上させることが難しいこと、一方で、シリコーンゴムでフェノール樹脂を変性することにより撥水性を向上させることができるが、変性可能なシリコーンゴム種が限られており、変性可能なシリコーンゴムで柔軟性を向上させることが困難であることを見出した。このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、詳細なメカニズムは定かでないが、アクリルゴムおよびシリコーンゴムをそれぞれ単独で使用した場合と比べて、アクリルゴムとシリコーンゴムの共重合体であるシリコーン・アクリル共重合体を採用することにより、柔軟性とともに撥水性を高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂を含む、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物が提供される。
シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂を含む、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、上記ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物の硬化物を備える、ブレーキパッド摩擦材が提供される。
本発明によれば、柔軟性、撥水性および耐熱性に優れるブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物およびそれを用いたブレーキパッド摩擦材が提供される。
本実施形態のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物の概要について説明する。
本実施形態のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物は、シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂を含むことができる。
本実施形態のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物は、シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂を含むことができる。
本発明者が検討した結果、アクリルゴム変性フェノール樹脂やシリコーンゴム変性フェノール樹脂において、柔軟性と撥水性とは両立することが困難な特性であることが見出された。これに対して、鋭意検討した結果、アクリルゴムおよびシリコーンゴムを併用するのではなく、シリコーン・アクリル共重合体を採用することにより、詳細なメカニズムは定かでないが、アクリルゴムおよびシリコーンゴムをそれぞれ単独で使用した場合と比べて、柔軟性とともに撥水性を高めることができることが判明した。
本実施形態のブレーキパッド摩擦材は、上記ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物の硬化物を備えることができる。このようにブレーキパッド摩擦材においても、優れた柔軟性および撥水性を実現することが可能である。
以下、本実施形態のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成について詳細に説明する。
上記ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物は、摩擦材用フェノール樹脂であるシリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂を含むことができる。このシリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂は、フェノール樹脂をシリコーン・アクリル共重合体で変性することにより得られる。
上記フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを反応させる工程を行うことにより得ることができる。このフェノール樹脂としては、ハンドリング性の観点から、ノボラック型フェノール樹脂を含むことが好ましい。このノボラック型フェノール樹脂を製造する観点から、反応させる工程は、酸性条件下で行うことができる。この場合、公知の有機酸または無機酸等の酸性触媒を用いることができる。
以下、ノボラック型フェノール樹脂を製造する方法について説明する。
以下、ノボラック型フェノール樹脂を製造する方法について説明する。
上記フェノール類としては、例えば、フェノール環数は1核体、2核体または3核体などのいずれでもよく、フェノール性水酸基数は、1個でも2個以上でもよい。
上記フェノール類の一例としては、特に限定されないが、例えば、フェノール;オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール等のクレゾール;2、3−キシレノール、2、4−キシレノール、2、5−キシレノール、2、6−キシレノール、3、5−キシレノール等のキシレノール;2,3,5−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、イソブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール、アリルフェノール、カルダノール、ウルシオール、ラッコール等のアルキルフェノール;1−ナフトール、2−ナフトール等のナフトール;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体;ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールZ、ビスフェノールE等のビスフェノール;レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ジヒドロキシナフタリン、ナフタレン等の多価フェノール;などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、フェノール類は、フェノール、クレゾール、キシレノール、アルキルフェノールおよびビスフェノールからなる群より選ばれる1種以上を含むことができ、安価な観点から、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、ビスフェノールAを用いることができる。
上記フェノール類の一例としては、特に限定されないが、例えば、フェノール;オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール等のクレゾール;2、3−キシレノール、2、4−キシレノール、2、5−キシレノール、2、6−キシレノール、3、5−キシレノール等のキシレノール;2,3,5−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、イソブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール、アリルフェノール、カルダノール、ウルシオール、ラッコール等のアルキルフェノール;1−ナフトール、2−ナフトール等のナフトール;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体;ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールZ、ビスフェノールE等のビスフェノール;レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ジヒドロキシナフタリン、ナフタレン等の多価フェノール;などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、フェノール類は、フェノール、クレゾール、キシレノール、アルキルフェノールおよびビスフェノールからなる群より選ばれる1種以上を含むことができ、安価な観点から、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、ビスフェノールAを用いることができる。
上記アルデヒド類としては、特に限定されないが、例えば、ホルマリンやパラホルムアルデヒド等のホルムアルデヒド;トリオキサン、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、tert−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。この中でも、アルデヒド類は、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドを含むことができ、生産性および安価な観点から、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒドを用いることができる。
上記反応溶液を得る工程において、上記のフェノール類とアルデヒド類とは、酸性触媒を使用し、酸性条件下にて反応させることができる。
上記酸性触媒としては、特に限定されないが、例えば、蓚酸、酢酸などの有機カルボン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機スルホン酸、塩酸、硫酸などの無機酸などが挙げられる。この中でも、パラトルエンスルホン酸等の有機スルホン酸や硫酸等の無機酸を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、フェノール類とアルデヒド類のモル比(F/Pモル比)は、フェノール類1モルに対し、例えば、アルデヒド類を0.4〜1.0モルとしてもよく、好ましくは0.6〜0.9モルとすることができる。アルデヒド類を上記範囲とすることで、未反応フェノール量を少なくすることができ、歩留まりを上げることができる。
また、反応温度は、例えば、60℃〜120℃としてもよく、好ましくは80℃〜100℃としてもよい。これにより、効率よく反応を十分に進めることができる。なお、反応時間は、特に制限はなく、出発原料の種類、配合モル比、触媒の使用量及び種類、反応条件に応じて適宜決定すればよい。
本実施形態における溶媒としては、水を用いてもよいが、有機溶剤を用いてもよい。上記有機溶剤の一例としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素類で、アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等で、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等で、エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等で、エーテル類としては、プロピルエーテル、ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、炭化水素類としては、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ソルベントナフサ、工業ガソリン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、脱水工程をさらに行ってもよい。脱水方法としては、減圧脱水を用いてもよいが、常圧脱水を用いてもよい。例えば、減圧脱水時の真空度は、例えば、110torr以下としてもよく、さらに好ましくは80torr以下としてもよい。これにより、脱水時間を短縮することができ、樹脂特性のばらつきの少ない安定的なノボラック型フェノール樹脂を得ることができる。また、必要に応じて、上記の反応後に、脱モノマー工程により未反応モノマー(例えば、未反応のフェノール類)を除去する工程を追加してもよい。
以上により、ノボラック型フェノール樹脂を得ることができる。
得られたノボラック型フェノール樹脂は、室温25℃において固形状である。本実施形態のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物中のシリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂由来の構造単位を有することができる。
続いて、得られたフェノール樹脂をシリコーン・アクリル共重合体で変性することにより、上記摩擦材用フェノール樹脂を得ることができる。本実施形態において、変性とは、シリコーン・アクリル共重合体とフェノール樹脂とが化学結合により結合した状態またはフェノール樹脂の樹脂成分中にシリコーン・アクリル共重合体が分散した状態を指す。
上記シリコーン・アクリル共重合体は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構造単位と、シリコーンマクロモノマー由来の構造単位と、を含む共重合体を用いることができる。これらの構造単位は複数の繰り返し単位であってもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー、及びシリコーンマクロモノマーを共重合させてシリコーン・アクリル共重合体を得る方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、及び塊状重合法など公知の重合法を使用することができ、特に限定されない。
上記シリコーン・アクリル共重合体としては、直鎖状または分岐鎖状などの鎖状構造を有していてもよく、微粒子状構造を有していてもよい。
上記シリコーン・アクリル共重合体としては、主鎖骨格が(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構造単位を備えており、側鎖がシリコーンマクロモノマー由来の構造単位を備える共重合体であっても、主鎖骨格がシリコーンマクロモノマー由来の構造単位を備えており、側鎖が(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構造単位を備える共重合体であってもよい。
上記シリコーン・アクリル共重合体におけるシリコーン側鎖としては、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。分岐鎖状のシリコーン側鎖は、デンドリマー(中心から規則的に分枝した構造)構造を有していてもよい。
上記シリコーン・アクリル共重合体は、その他の側鎖として、例えば、カルボキシル基や水酸基などの官能基を有することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような官能基を有することによって、フェノール樹脂中のフェノール性水酸基と架橋構造を形成することができる。また、フェノール樹脂に対する硬化剤との反応性を高めることができる。また、官能基として、(メタ)アクリル基等の不飽和二重結合を備える官能基を有していてもよい。
上記シリコーン・アクリル共重合体としては、エマルジョン型シリコーン・アクリル共重合体を用いることができる。エマルジョンとしては、水系または有機溶剤系のいずれを用いてもよいが、環境負荷の観点から、水系エマルジョンを使用してもよい。また、フェノール樹脂に対する相溶性の観点から、有機溶剤系エマルジョンを使用してもよい。
エマルジョン型シリコーン・アクリル共重合体の具体例は、シャリーヌFE−502(水系エマルジョン、シリコーン主鎖・アクリル側鎖)等の日信化学社製シャリーヌE(登録商標)、サイマックUS−350(有機溶剤系エマルジョン、アクリル主鎖・シリコーン側鎖・COOH基)等の東亞合成社製のサイマック(登録商標)、アクリット8SS−723(有機溶剤系エマルジョン、アクリル主鎖・シリコーン側鎖・(メタ)アクリル基)等の大成ファインケミカル社製のアクリット8SS(UV硬化型シリコーンアクリルポリマー)、FA 4001 CMやFA 4002ID(有機溶剤系エマルジョン、アクリル主鎖・分岐鎖状シリコーン側鎖)等の東レ・ダウコーニング社製多機能シリコーン変性アクリルポリマー、和光純薬工業社製マイブロックワコー101(メタクリル酸とメタクリル酸アルキルとジメチルポリシロキサンのブロック共重合物)などの市販品が挙げられる。
また、上記シリコーン・アクリル共重合体としては、粉末状(パウダータイプ)のシリコーン・アクリル共重合体を用いることができる。粉末状のシリコーン・アクリル共重合体の具体例は、例えば、シャリーヌR−170(粉末状、シリコーン主鎖・アクリル側鎖)等の日信化学社製シャリーヌR(登録商標)などの市販品が挙げられる。
本実施形態において、水系または有機溶剤系のエマルジョン型シリコーン・アクリル共重合体は、フェノール樹脂合成中に添加して、分散または相溶させることができ、固形の粉末状シリコーン・アクリル共重合体は、粉砕時にフェノール樹脂に添加もしくは、フェノール樹脂合成中に添加させることができる。
上記シリコーン・アクリル共重合体由来の構造単位全体において、シリコーン由来の構造単位の含有比率は、例えば、10重量%以上90重量%以下でもよく、好ましくは20重量%以上80重量%以下でもよく、より好ましくは30重量%以上70重量%以下でもよい。これにより、柔軟性および撥水性のバランスを図ることができる。このようなシリコーン・アクリル共重合体として、例えば、上記の市販品を用いることができる。
また、上記シリコーン・アクリル共重合体由来の構造単位の含有比率は、シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂の固形分全体に対して、例えば、0.1重量%以上50%重量以下でもよく、好ましくは1重量%以上45%重量以下でもよく、3重量%以上40%重量以下でもよい。これにより、柔軟性、撥水性および機械的強度のバランスを図ることができる。
本実施形態において、樹脂または樹脂組成物全体に対する含有量とは、溶媒を含む場合には、樹脂または樹脂組成物のうちの溶媒を除く固形分全体に対する含有量を指す。樹脂または樹脂組成物の固形分とは、樹脂または樹脂組成物中における不揮発分を指し、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。
次に、本実施形態の摩擦材用フェノール樹脂の特性について説明する。
上記摩擦材用フェノール樹脂の重量平均分子量Mwは、例えば、100以上20000以下でもよく、好ましくは300以上18000以下でもよく、より好ましくは500以上15000以下でもよい。これにより混練性と硬化性のバランスを図ることができる。
上記摩擦材用フェノール樹脂は室温25℃において固形とすることができる。これにより、輸送性や保管性、摩擦材作製時の作業性を優れたものとすることができる。
次に、本実施形態のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物について説明する。
本実施形態のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成は、摩擦材用フェノール樹脂であるシリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂を含むことができる。
本実施形態のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成は、摩擦材用フェノール樹脂であるシリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂を含むことができる。
上記ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物は、上記成分以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、とくに限定されないが、たとえばシリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂以外のフェノール樹脂、およびヘキサミン等の硬化剤が挙げられる。
上記硬化剤の配合割合は、特に限定されないが、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物の固形分100質量部に対して、例えば、5質量部以上、20質量部以下であることが好ましく、7質量部以上、18質量部以下であることがより好ましい。上記下限値以上とすることにより、最低限の架橋密度を得ることができる。また、上記上限値以下とすることにより、成形時のガス発生量を低減することができる。
上記ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物は、硬化触媒を含むことができる。
上記硬化触媒としては特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどの有機ホスフィン化合物、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、フタル酸などのジカルボン酸、無機塩基性化合物、有機塩基性化合物である塩基性化合物などが挙げられる。また、これらは単独又は複数を組み合わせて使用することができる。
上記硬化触媒としては特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどの有機ホスフィン化合物、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、フタル酸などのジカルボン酸、無機塩基性化合物、有機塩基性化合物である塩基性化合物などが挙げられる。また、これらは単独又は複数を組み合わせて使用することができる。
上記硬化触媒の配合割合としては、特に限定されないが、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物の固形分100質量部に対して、0.1質量%以上、5質量%以下であることが好ましく、0.5質量部以上、5質量部以下であることがより好ましい。硬化触媒の配合割合が上記下限値以上であれば、樹脂の硬化を十分に促進する効果を得ることができる。一方、上記上限値以下であれば、成形時の流動性を低下させることなく良好な成形性が得られ、硬化物の機械的強度を良好なものとすることができる。
上記無機塩基性化合物は、アルカリ金属の水酸化物、及び/またはアルカリ土類金属の水酸化物あることが好ましく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化アルミニウムを用いることがさらに好ましい。また、これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用して用いることもできる。
上記有機塩基性化合物は、脂肪族または脂環族の第一級、第二級または第三級アミン、芳香環を有する脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、含窒素芳香複素環化合物、イミダゾ−ル類、スルフェンアミド類、チアゾ−ル類、アゾ化合物などの複素環式化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
上記有機塩基性化合物は、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノ−ルアミン、n−ブチルアミン、ジフェニルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジプロピルアミン、エチレンジアミン、アニリン、メチルアニリン、1−アミノアダマンタン、4−アミノジフェニルアミン、1−ナフチルアミン、オクタデシルアミン、ジフェニルアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミンであり、イミダゾ−ル類、スルフェンアミド類、チアゾ−ル類、アゾ化合物としては、2−メチルイミダゾ−ル、2−ウンデシルイミダゾ−ル、2−ヘプタデシルイミダゾ−ル、2−フェニルイミダゾ−ル、2−フェニル−4−メチルイミダゾ−ル、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾ−ル、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾ−ル、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾ−ル、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾ−ル、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾ−ル、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリンスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モリホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジアザビシクロウンデセン、キヌクリジン、ピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、環状ポリアミンなどが挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、フェノール樹脂組成物の硬化後の機械的強度が向上する点で、2−メチルイミダゾ−ル、2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、及びジアザビシクロウンデセン等の含窒素芳香複素環化合物を用いることが好ましい。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用して用いることもできる。
本実施形態のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物は、フィラーを含むことができる。
上記フィラーとしては、繊維基材や充填材が挙げられる。
上記フィラーとしては、繊維基材や充填材が挙げられる。
上記繊維基材としては、例えば、無機繊維であるスチール繊維、銅繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウム繊維や、有機繊維であるアラミド繊維などが挙げられる。また、これらは単独又は複数を組み合わせて使用することができる。
上記充填材としては、例えば、無機充填材である炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、雲母、アブレーシブ、カリオン、タルク、有機充填材であるカシューダスト、ラバーダストや、潤滑材であるグラファイト、三流化アンチモン、二硫化モリブデン、二硫化亜鉛などが挙げられる。また、これらは単独又は複数を組み合わせて使用することができる。
本実施形態のブレーキパッド摩擦材は、繊維基材や充填材等のフィラーと、結合材(シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂)とを混合し、この混合された原料組成物(ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物)を熱成形することにより得られる。
上記ブレーキパッド摩擦材は、優れた柔軟性および撥水性を実現することが可能である。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。特に記載しない限り、以下に記載の「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
<フェノール樹脂組成物の製造>
(実施例1)
フェノール1000部、37%ホルマリン水溶液690部を混合し、触媒として蓚酸10部を添加し、100℃で2時間反応させた。続いて反応混合物の温度が130℃になるまで常圧蒸留で脱水した。その後、未反応フェノールを除去するためにさらに反応物を0.9kPaまで徐々に減圧しながら、反応混合物の温度が170℃になるまで加熱して減圧蒸留を行った。続いて0.9kPaのまま水蒸気を吹き込み、水蒸気蒸留により未反応のフェノールを蒸留除去し、未変性フェノール樹脂933部(重量平均分子量Mw:7000)を得た。
その後、得られた未変性フェノール樹脂900部、シリコーン・アクリル共重合体A(信越化学製、シャリーヌR−170)100部、およびヘキサメチレンテトラミン100部を粉砕・混合し、シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂A(室温25℃において固形状のノボラック型フェノール樹脂、フェノール樹脂およびシリコーン・アクリル共重合体Aの合計値に対するシリコーン・アクリル共重合体Aの含有比率:10重量%)を含むフェノール樹脂組成物A1100部を得た。
(実施例1)
フェノール1000部、37%ホルマリン水溶液690部を混合し、触媒として蓚酸10部を添加し、100℃で2時間反応させた。続いて反応混合物の温度が130℃になるまで常圧蒸留で脱水した。その後、未反応フェノールを除去するためにさらに反応物を0.9kPaまで徐々に減圧しながら、反応混合物の温度が170℃になるまで加熱して減圧蒸留を行った。続いて0.9kPaのまま水蒸気を吹き込み、水蒸気蒸留により未反応のフェノールを蒸留除去し、未変性フェノール樹脂933部(重量平均分子量Mw:7000)を得た。
その後、得られた未変性フェノール樹脂900部、シリコーン・アクリル共重合体A(信越化学製、シャリーヌR−170)100部、およびヘキサメチレンテトラミン100部を粉砕・混合し、シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂A(室温25℃において固形状のノボラック型フェノール樹脂、フェノール樹脂およびシリコーン・アクリル共重合体Aの合計値に対するシリコーン・アクリル共重合体Aの含有比率:10重量%)を含むフェノール樹脂組成物A1100部を得た。
(実施例2)
フェノール1000部、37%ホルマリン水溶液690部を混合し、触媒として蓚酸10部を添加し、100℃で2時間反応させた。続いて反応混合物の温度が130℃になるまで常圧蒸留で脱水した。その後、未反応フェノールを除去するためにさらに反応物を0.9kPaまで徐々に減圧しながら、反応混合物の温度が170℃になるまで加熱して減圧蒸留を行った。続いて0.9kPaのまま水蒸気を吹き込み、水蒸気蒸留により未反応のフェノールを蒸留除去し、未変性フェノール樹脂933部(重量平均分子量Mw:7000)を得た。
その後、得られた未変性フェノール樹脂900部を160℃で加熱溶融し、シリコーン・アクリル共重合体B(東亜合成製、サイマックUS−350)を固形分が100部となるように添加し、シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂B(室温25℃において固形状のノボラック型フェノール樹脂、フェノール樹脂およびシリコーン・アクリル共重合体Bの合計値に対するシリコーン・アクリル共重合体Bの含有比率:10重量%)1000部を得た。
その後、シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂B1000部、およびヘキサメチレンテトラミン100部を粉砕・混合し、フェノール樹脂組成物B1100部を得た。
フェノール1000部、37%ホルマリン水溶液690部を混合し、触媒として蓚酸10部を添加し、100℃で2時間反応させた。続いて反応混合物の温度が130℃になるまで常圧蒸留で脱水した。その後、未反応フェノールを除去するためにさらに反応物を0.9kPaまで徐々に減圧しながら、反応混合物の温度が170℃になるまで加熱して減圧蒸留を行った。続いて0.9kPaのまま水蒸気を吹き込み、水蒸気蒸留により未反応のフェノールを蒸留除去し、未変性フェノール樹脂933部(重量平均分子量Mw:7000)を得た。
その後、得られた未変性フェノール樹脂900部を160℃で加熱溶融し、シリコーン・アクリル共重合体B(東亜合成製、サイマックUS−350)を固形分が100部となるように添加し、シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂B(室温25℃において固形状のノボラック型フェノール樹脂、フェノール樹脂およびシリコーン・アクリル共重合体Bの合計値に対するシリコーン・アクリル共重合体Bの含有比率:10重量%)1000部を得た。
その後、シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂B1000部、およびヘキサメチレンテトラミン100部を粉砕・混合し、フェノール樹脂組成物B1100部を得た。
(重量平均分子量測定)
未変性フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算で算出した。
GPCの測定条件を以下に示す。
装置 :HLC−8320(東ソー株式会社製)
検出器:RI
カラム:TSK−GEL G1000H(東ソー株式会社製)、TSK−GEL G2000H(東ソー株式会社製)、およびTSK−GEL G4000H(東ソー株式会社製)をこの順番で直結にして使用した。
温度:40℃
溶媒:THF
流速:1.0ml/分
試料:濃度1重量%の試料を50μl注入
未変性フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算で算出した。
GPCの測定条件を以下に示す。
装置 :HLC−8320(東ソー株式会社製)
検出器:RI
カラム:TSK−GEL G1000H(東ソー株式会社製)、TSK−GEL G2000H(東ソー株式会社製)、およびTSK−GEL G4000H(東ソー株式会社製)をこの順番で直結にして使用した。
温度:40℃
溶媒:THF
流速:1.0ml/分
試料:濃度1重量%の試料を50μl注入
(比較例1)
未変性フェノール樹脂およびヘキサメチレンテトラミンを含むフェノール樹脂組成物Cとして、住友ベークライト社製PR−54364(ヘキサメチレンテトラミン含有ノボラック型フェノール樹脂)を使用した。
未変性フェノール樹脂およびヘキサメチレンテトラミンを含むフェノール樹脂組成物Cとして、住友ベークライト社製PR−54364(ヘキサメチレンテトラミン含有ノボラック型フェノール樹脂)を使用した。
(比較例2)
アクリルポリマー変性フェノール樹脂およびヘキサメチレンテトラミンを含むフェノール樹脂組成物Dとして、住友ベークライト社製PR−55291(ヘキサメチレンテトラミン含有ノボラック型フェノール樹脂)を使用した。
アクリルポリマー変性フェノール樹脂およびヘキサメチレンテトラミンを含むフェノール樹脂組成物Dとして、住友ベークライト社製PR−55291(ヘキサメチレンテトラミン含有ノボラック型フェノール樹脂)を使用した。
(比較例3)
シリコーン変性フェノール樹脂およびヘキサメチレンテトラミンを含むフェノール樹脂組成物Eとして、住友ベークライト社製PR−54529(ヘキサメチレンテトラミン含有ノボラック型フェノール樹脂)を使用した。
シリコーン変性フェノール樹脂およびヘキサメチレンテトラミンを含むフェノール樹脂組成物Eとして、住友ベークライト社製PR−54529(ヘキサメチレンテトラミン含有ノボラック型フェノール樹脂)を使用した。
(比較例4)
住友ベークライト社製PR−55291と住友ベークライト社製PR−54529とを重量比1:1で混合して、フェノール樹脂組成物Fを得た。
住友ベークライト社製PR−55291と住友ベークライト社製PR−54529とを重量比1:1で混合して、フェノール樹脂組成物Fを得た。
<摩擦材用樹脂組成物の作製>
結合材として、18体積%のフェノール樹脂組成物(各実施例および各比較例のフェノール樹脂組成物A〜F)、繊維基材として、2体積%のアラミド繊維(DU PONT社製、ケブラー)、無機充填材として、40体積%の炭酸カルシウム(三共精粉株式会社製、炭酸カルシウム)および40体積%の硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製、簸性硫酸バリウム)を仕込み混合して、摩擦材用樹脂組成物を得た。
結合材として、18体積%のフェノール樹脂組成物(各実施例および各比較例のフェノール樹脂組成物A〜F)、繊維基材として、2体積%のアラミド繊維(DU PONT社製、ケブラー)、無機充填材として、40体積%の炭酸カルシウム(三共精粉株式会社製、炭酸カルシウム)および40体積%の硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製、簸性硫酸バリウム)を仕込み混合して、摩擦材用樹脂組成物を得た。
<硬化物の作製>
熱成形プレス機を用いて、得られた摩擦材用樹脂組成物を、温度150℃、4分間の成形時間、圧力を20MPa〜40MPaの間で調整して成形を行い、その後、200℃、5時間の条件で加熱処理(ベーキング後)を行い、表1に示す気孔率となる摩擦材用樹脂組成物の硬化物を得た。
熱成形プレス機を用いて、得られた摩擦材用樹脂組成物を、温度150℃、4分間の成形時間、圧力を20MPa〜40MPaの間で調整して成形を行い、その後、200℃、5時間の条件で加熱処理(ベーキング後)を行い、表1に示す気孔率となる摩擦材用樹脂組成物の硬化物を得た。
(重量変化率)
得られた硬化物について、ベーキング直後における重量Waを測定し、ベーキング後に、液温25℃の水に72時間浸漬し、浸漬後における重量Wbを測定した。これらの測定結果から、(Wb−Wa)/Wa×100で表される重量変化率(%)を算出した。結果を表1に示す。
得られた硬化物について、ベーキング直後における重量Waを測定し、ベーキング後に、液温25℃の水に72時間浸漬し、浸漬後における重量Wbを測定した。これらの測定結果から、(Wb−Wa)/Wa×100で表される重量変化率(%)を算出した。結果を表1に示す。
(吸水膨張率)
上記の硬化物の作製と同様にして、縦84mm×横60mm×厚さ12mmの成形品(硬化物)を得た。得られた成形品について、ベーキング直後における厚みTaを測定し、ベーキング後に、液温25℃の水に72時間浸漬し、浸漬後における厚みTbを測定した。これらの測定結果から、(Tb−Ta)/Ta×100で表される吸水膨張率(%)を算出した。結果を表1に示す。
上記の硬化物の作製と同様にして、縦84mm×横60mm×厚さ12mmの成形品(硬化物)を得た。得られた成形品について、ベーキング直後における厚みTaを測定し、ベーキング後に、液温25℃の水に72時間浸漬し、浸漬後における厚みTbを測定した。これらの測定結果から、(Tb−Ta)/Ta×100で表される吸水膨張率(%)を算出した。結果を表1に示す。
(常温曲げ強度、熱履歴後曲げ強度、曲げ強度保持率)
得られた硬化物について、JIS K 7171「プラスチック−曲げ特性の求め方」に準拠して測定した。上記ベーキング後に常温(25℃)で測定したものを常温曲げ強度(MPa)、ベーキング後、更に350℃で4時間加熱処理を行った後に常温(25℃)で測定したものを熱履歴後曲げ強度(MPa)とした。また、曲げ強度保持率(%)は、[熱履歴後曲げ強度/常温曲げ強度]×100で表される式から算出した。結果を表1に示す。
得られた硬化物について、JIS K 7171「プラスチック−曲げ特性の求め方」に準拠して測定した。上記ベーキング後に常温(25℃)で測定したものを常温曲げ強度(MPa)、ベーキング後、更に350℃で4時間加熱処理を行った後に常温(25℃)で測定したものを熱履歴後曲げ強度(MPa)とした。また、曲げ強度保持率(%)は、[熱履歴後曲げ強度/常温曲げ強度]×100で表される式から算出した。結果を表1に示す。
(ロックウェル硬度)
得られた硬化物について、JIS K 7202「プラスチックのロックウェル硬さ試験方法」に準拠して、ベーキング後、常温(25℃)においてロックウェル硬度を測定した。評価結果を表1に示す。
得られた硬化物について、JIS K 7202「プラスチックのロックウェル硬さ試験方法」に準拠して、ベーキング後、常温(25℃)においてロックウェル硬度を測定した。評価結果を表1に示す。
摩擦材用樹脂組成物として、実施例1,2のシリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂を用いることにより、比較例1の未変性フェノール樹脂や比較例2のアクリルポリマー変性フェノール樹脂を使用した場合、および比較例4のアクリルポリマー変性フェノール樹脂とシリコーン変性フェノール樹脂とを併用した場合と比べて、水中浸漬後の重量変化率や吸水膨潤率が低く、撥水性(耐水性)が向上しており、かつ、比較例1の未変性フェノール樹脂や比較例3のシリコーン変性フェノール樹脂を使用した場合、および比較例4のアクリルポリマー変性フェノール樹脂とシリコーン変性フェノール樹脂とを併用した場合と比べて、ロックウェル硬度が低く、柔軟性が向上していることが判明した。また、摩擦材用樹脂組成物として、実施例1,2のシリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂を用いることにより、比較例1,2,4と比べて、常温曲げ強度に対する熱履歴後曲げ強度の保持率である曲げ強度保持率が高く、耐熱性が向上することが判明した。また、実施例1,2のシリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂を用いることにより、耐湿性も高められることが期待される。
したがって、実施例1,2のシリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂は、ブレーキパット摩擦材用フェノール樹脂として好適に用いることができ、それを用いた摩擦材用樹脂組成物(ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物)は、柔軟性、撥水性および耐熱性のバランスに優れることから、摩擦材(ブレーキパッド摩擦材)に好適に用いることができることが分かった。
したがって、実施例1,2のシリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂は、ブレーキパット摩擦材用フェノール樹脂として好適に用いることができ、それを用いた摩擦材用樹脂組成物(ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物)は、柔軟性、撥水性および耐熱性のバランスに優れることから、摩擦材(ブレーキパッド摩擦材)に好適に用いることができることが分かった。
Claims (9)
- シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂を含む、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物。
- 請求項1に記載のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物であって、
前記シリコーン・アクリル共重合体由来の構造単位の含有比率は、前記シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂の固形分全体に対して0.1重量%以上50%重量以下である、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物。 - 請求項1または2に記載のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物であって、
前記シリコーン・アクリル共重合体由来の構造単位全体において、シリコーン由来の構造単位の含有比率は、10重量%以上90重量%以下である、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物であって、
前記シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂由来の構造単位を有する、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物であって、
前記シリコーン・アクリル共重合体変性フェノール樹脂が、室温25℃において固形である、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物であって、
硬化剤を含む、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物であって、
硬化触媒を含む、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物であって、
フィラーを含む、ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載のブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物の硬化物を備える、ブレーキパッド摩擦材。
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JP2017171811A JP2019044134A (ja) | 2017-09-07 | 2017-09-07 | ブレーキパッド摩擦材用樹脂組成物およびブレーキパッド摩擦材 |
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WO2021246213A1 (ja) * | 2020-06-02 | 2021-12-09 | 住友ベークライト株式会社 | 摩擦材用フェノール樹脂組成物 |
-
2017
- 2017-09-07 JP JP2017171811A patent/JP2019044134A/ja active Pending
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WO2021246213A1 (ja) * | 2020-06-02 | 2021-12-09 | 住友ベークライト株式会社 | 摩擦材用フェノール樹脂組成物 |
JPWO2021246213A1 (ja) * | 2020-06-02 | 2021-12-09 | ||
JP7131713B2 (ja) | 2020-06-02 | 2022-09-06 | 住友ベークライト株式会社 | 摩擦材用フェノール樹脂組成物 |
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