JP2019044109A - 調色シート - Google Patents

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Abstract

【課題】基材材料や保護材料に使用でき、スクリーン印刷の黒印刷部分の碁盤目状ムラの発生を抑制したシートを提供すること。【解決手段】上記課題は、全光線透過率が20%以上79%以下であり、CIELABのL*が10以上95以下であり、CIELABのa*が−20以上20以下であり、かつ、CIELABのb*が−20以上20以下であることを特徴とするシートによって解決することができる。ポリカーボネート樹脂を主成分とするポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層の少なくとも一方の面に、高硬度樹脂(B)を含有する層が積層されてなる態様が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、自動車部品、家電製品、電子機器および携帯型情報端末の表示窓に使用されるシートに関する。より詳しくは、スクリーン印刷の黒印刷部分の碁盤目状ムラを目立たせないシートに関する。
近年、技術進歩により液晶モニターの輝度が向上している。しかし、それに伴い、スクリーン印刷の黒印刷部分の碁盤目状ムラが目立つという問題が発生している。
特許文献1には、ディスプレイ用透明フィルム基板として、全光線透過率が80%以上と記載されている。また、特許文献2には、ディスプレイ用窓材として、全光線透過率が80〜99.5%と記載されている。しかし、当該文献の全光線透過率のシートもスクリーン印刷の黒印刷部分に碁盤目状ムラが目立つという問題があった。
特開2003−291274号公報 再表2006/057276号公報
本発明は、スクリーン印刷の黒印刷部分の碁盤目状ムラの発生を抑制したシートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させた。具体的には、本発明は以下の通りである。
[1] 全光線透過率が20%以上79%以下であり、CIELABのL*が10以上95以下であり、CIELABのa*が−20以上20以下であり、かつ、CIELABのb*が−20以上20以下であることを特徴とするシートである。
[2] ポリカーボネート樹脂を主成分とするポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層を含む、上記[1]に記載のシートである。
[3] ポリカーボネート樹脂を主成分とするポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層の少なくとも一方の面に、高硬度樹脂(B)を含有する層が積層されてなる、上記[1]に記載のシートである。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかに記載のシートを含むタッチパネル前面保護板である。
[5] 上記[1]〜[3]のいずれかに記載のシートを含むカーナビ用前面板である。
[6] 上記[1]〜[3]のいずれかに記載のシートを含むスピードメーター用保護板である。
[7] 上記[1]〜[3]のいずれかに記載のシートを含むOA機器用または携帯電子機器用の前面板である。
本発明によれば、スクリーン印刷の黒印刷部分の碁盤目状ムラの発生を抑制したシートを提供することができる。すなわち、本発明によれば、良好な黒印刷外観を有するシートが得られる。
該シートは携帯電話端末、携帯型電子遊具、携帯情報端末、モバイルPCといった携帯型のディスプレイデバイスや、ノート型PC、デスクトップ型PC液晶モニター、カーナビ液晶モニター、スピードメーターモニター、液晶テレビといった設置型のディスプレイデバイスなどにおいて、例えばこれらの機器を保護する基材の材料などとして、好適に使用することができる。
以下、本発明について製造例や実施例等を例示して詳細に説明するが、本発明は例示される製造例や実施例等に限定されるものではなく、本発明の内容を大きく逸脱しない範囲であれば任意に変更して実施することができる。
<シート>
シートの一形態は、ガラス、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はそれらの組み合わせのいずれかであり、形状としては平板や湾曲板、熱曲げ等で加工された熱成形板等が挙げられる。本発明のシートは、全光線透過率が20%以上79%以下であり、CIELABのL*が10以上95以下であり、a*が−20以上20以下であり、かつ、b*が−20以上20以下であることを特徴とする。
本発明者らは、驚くべきことに、シートの全光線透過率及びCIELABのL*、a*、及びb*を特定範囲とすることにより、スクリーン印刷の黒印刷部分の碁盤目状ムラの発生が抑制されたシートとすることができることを見出した。本発明によれば、良好な黒印刷外観を有するシートが得られる。
本発明のシートには、ガラス、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂を用いることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、本発明の好ましい態様として、ポリカーボネート樹脂を主成分とするポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層、またはポリカーボネート樹脂を主成分とするポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層の少なくとも一方の面に高硬度樹脂(B)を含有する層が積層された積層体を有することで、シートの耐衝撃性を向上させることができる。
本発明において、シートの厚さは耐衝撃性に影響する。つまり、シート厚みが薄過ぎると耐衝撃性が悪くなり好ましくない。また、シート厚みが厚過ぎるとシート切断等が困難になり好ましくない。よって、シート厚みは300〜3500μmが好ましく、400〜3000μmがより好ましく、500〜2500μmが更に好ましい。
本発明において、全光線透過率が高過ぎると液晶モニターの光により印刷部の光漏れが起こりやすく、一方、全光線透過率が低過ぎると液晶モニターが見づらくなる。よって、本発明のシートの全光線透過率は20〜79%であり、23〜77%が好ましく、25〜75%がより好ましく、29〜73%が更に好ましい。
本発明において、CIELABのL*、a*、及びb*は色彩に影響する。L*は明度を表し、L*が高いと白方向を表し、L*が低いと黒方向を表す。つまり、L*の値が高いと白っぽくなり、L*の値が低いと黒っぽくなる。本発明におけるL*は10以上95以下であり、20以上93以下が好ましく、40以上92以下がより好ましい。a*、及びb*は色度を表し、a*の+が赤方向を表し、a*の−が緑方向を表し、b*の+が黄方向を表し、b*の−が青方向を表す。つまり、a*及びb*の値が大きくなると色味が強くなる。本発明におけるa*は−20以上20以下であり、−15以上15以下が好ましく、−10以上10以下がより好ましく、−7以上7以下がさらに好ましい。本発明におけるb*は−20以上20以下であり、−15以上15以下が好ましく、−10以上10以下がより好ましく、−7以上7以下がさらに好ましい。
本発明において、ガラスの全光線透過率、L*、a*、及びb*を特定範囲に調整する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ガラス製造時に数種類の無機酸化物をあらかじめ混合して高温で溶融してガラス化する方法がある。また、ガラスの後加工時に有機質材料によって着色する方法、ガラスインキによって着色する方法、有機塗料によって染色する方法、電解によって無機金属を沈着する方法、無機質塗料によって着色する方法などがある。
熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂の全光線透過率、L*、a*、及びb*を特定範囲に調整するために、染料、無機顔料、有機顔料、またはその2種類以上の組み合わせを用いて着色する方法がある。
染料としては、赤色染料、黄色染料、橙色染料、緑色染料、青色染料、紫色染料などがあり、上記染料を1種類用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら染料の化学構造は、特に限定されないが、インダントロン系、ピラントロン系、ベンザントロン系、アントラキノンカルバーゾン系、アシルアミノアントラキノン系、アントラキノンアクリドン系、アントラキノンオキサゾール系、アントラキノン系、インジゴ系、スルファトエチルスルフォン系、S−トリアジン系、ピリジン系、アゾ系、ピラゾロンアゾ系、γ酸アゾ系、H酸アゾ系、H酸ジスアゾ系、ベンゼンアゾ系、複素環アゾ系等が挙げられる。
赤色染料としては、Sumiplast Red AS、Sumiplast Red B−2、Sumiplast Red FB、Sumiplast Red 3B、Sumiplast Red HF4G、Sumiplast Red HFG、Sumiplast Red H3G、Sumiplast Red H4GR、Sumiplast Red HL2B、Sumiplast Red HL5B(以上、住友ケムテックス製)、Red TR−71、Red RC、Red 6B(以上、中央合成化学製)、VALIFAST RED 1308、VALIFAST RED 1320、VALIFAST RED 1362(以上、オリエント化学工業製)、Oil Red 5303、Plast Red 8305、Plast Red 8315、Plast Red 8320、Plast Red 8340、Plast Red 8350、Plast Red 8360、Plast Red 8370、Plast Red 8375−N、Plast Red 8380(以上、有本化学工業製)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
黄色染料としては、Sumiplast Yellow FL7G、Sumiplast Yellow GC、Sumiplast Yellow R、Sumiplast Yellow HLR、Sumiplast Lemon Yellow HGN、Sumiplast Lemon Yellow HL(以上、住友ケムテックス製)、Yellow SS−G、Yellow 93、Yellow GE、Yellow 3G、Yellow 185、Yellow 54(以上、中央合成化学製)、VALIFAST YELLOW 1101、VALIFAST YELLOW 1108、VALIFAST YELLOW 1109(以上、オリエント化学工業製)、Oil Yellow 5001、Plast Yellow 8000、Plast Yellow 8005、Plast Yellow 8040、Plast Yellow 8050、Plast Yellow 8070(以上、有本化学工業製)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
橙色染料としては、Sumiplast Orange HLR(以上、住友ケムテックス製)、Orange S、Orange R、Orange 826N(以上、中央合成化学製)、Oil Orange 5101、Oil Orange 5108、Plast Orange 8150(以上、有本化学工業製)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
緑色染料としては、Sumiplast Green G(以上、住友ケムテックス製)、Green 201、Green GB、Green 430(以上、中央合成化学製)、VALIFAST GREEN 1501(以上、オリエント化学工業製)、Oil Green 5602、Plast Green 8645(以上、有本化学工業製)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
青色染料としては、Sumiplast Blue OR、Sumiplast Blue SR、Sumiplast Blue GP、Sumiplast Blue S、Sumiplast Blue OA、Sumiplast Turq Blue G(以上、住友ケムテックス製)、Blue BOM、Blue BA、Blue 94、Blue 8B(以上、中央合成化学製)、VALIFAST BLUE 1613、VALIFAST BLUE 1631(以上、オリエント化学工業製)、BLUE 2R(以上、ランクセス製)、Oil Blue 5502、Plast Blue 8510、Plast Blue 8514、Plast Blue 8516、Plast Blue 8520、Plast Blue 8540、Plast Blue 8580、Plast Blue 8590(以上、有本化学工業製)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
紫色染料としては、Sumiplast Violet RR、Sumiplast Violet B(以上、住友ケムテックス製)、Violet MVB(以上、中央合成化学製)、VALIFAST VIOLET 1701、VALIFAST VIOLET 1704、VALIFAST VIOLET 1731(以上、オリエント化学工業製)、VIOLET 3R(以上、ランクセス社製)、Plast Violet 8840、Plast Violet 8850、Plast Violet 8855(以上、有本化学工業製)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物であり、具体的には鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および前記金属の複合酸化物を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
有機顔料としては、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料、黄色顔料、オレンジ顔料、紫色顔料、黒色顔料があり、上記顔料を1種類用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これらの有機顔料の化学構造は特に限定されないが、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等が挙げられる。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。以下に挙げる「C.I.ピグメントレッド2」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75、81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
黒色顔料としては、カーボンブラックを挙げることができる。具体的には着色用カーボンブラックの一般呼称であるMCF(Medium Colour Furnace)以上の黒色度を有するもの(HCF:High Colour Furnace、又は、HCC:High Colour Channnel)であることが好ましく、三菱カーボンブラック#2600、三菱カーボンブラック#980、三菱カーボンブラック#960(以上、三菱化学株式会社製)、トーカブラック#8500、トーカブラック#7400、トーカブラック#7350、トーカブラック#7100(以上、東海カーボン株式会社製)、Colour Black FW200、Colour Black FW2、Colour Black S170、Printex 90、Printex 80(以下、エボニックデグサ社製)、Raven 7000、Raven 5750、Raven 3500(以上、コロンビヤン・ケミカルス社製)、Monarch 1400、Monarch 1300、Monarch 900、Monarch 800、Black Pearls 1400、Black Pearls 1300、Black Pearls 900、Black Pearls 800、Vulcan P(以上、キャボット社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、カーボンブラックの供給形態としては、粉末状、あるいは粒状のものがあるが、そのまま添加するより、例えば、樹脂と高濃度のカーボンブラックとを予備混練して粉砕した、いわゆるマスターバッチの顔料を使用する方が、カーボンブラックの分散性の観点から好ましい。また、2段階以上に亘ってカーボンブラック濃度を下げていくこと、即ち、予備混練して、その後、粉砕する工程を繰り返すことで、カーボンブラック濃度が低いマスターバッチを最終の成型に使用することが、スモーク性の品質安定性、カーボンブラックの分散性・計量・品質安定性の観点から好ましい。
<ポリカーボネート系樹脂(A)>
本発明に使用されるポリカーボネート系樹脂(A)は、ポリカーボネート樹脂を主成分とするポリカーボネート系樹脂である。ここで、「ポリカーボネート樹脂を主成分とする」とは、ポリカーボネート樹脂の含有量が50質量%を超えることを意味する。ポリカーボネート系樹脂(A)は、75質量%以上のポリカーボネート樹脂を含んでいるのが好ましく、90質量%以上のポリカーボネート樹脂を含んでいるのがより好ましく、実質的にポリカーボネート樹脂からなるのがさらに好ましい。ポリカーボネート系樹脂(A)は分子主鎖中に炭酸エステル結合を含む。即ち、−[O−R−OCO]−単位(式中、Rが脂肪族基、芳香族基、又は脂肪族基と芳香族基の双方を含むもの、さらに直鎖構造あるいは分岐構造を持つものを示す)を含むものであれば特に限定されるものではないが、特に下記式[1]の構造単位を含むポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。このようなポリカーボネート樹脂を使用することで、耐衝撃性に優れたシートを得ることができる。
具体的には、ポリカーボネート系樹脂(A)として、芳香族ポリカーボネート樹脂(例えば、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社から市販されている、ユーピロンS−2000、ユーピロンS−1000、ユーピロンE−2000)等が使用可能である。
近年、前面板にも曲げ加工を行うような要望が増えていることから、ポリカーボネート樹脂は、下記式[2]で表わされる1価フェノールを末端停止剤として用いて合成することが好ましい。
(式中、Rは、炭素数8〜36のアルキル基、又は炭素数8〜36のアルケニル基を表し、
〜Rはそれぞれ水素、ハロゲン、又は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数6〜12のアリール基を表し、置換基は、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基である。)
上記式[2]の1価フェノールは、下記式[3]で表わされる1価フェノールであることがより好ましい。
(式中、Rは、炭素数8〜36のアルキル基、又は、炭素数8〜36のアルケニル基を表す。)
上記式[2]又は式[3]におけるRの炭素数は特定の数値範囲内であることがより好ましい。具体的には、Rの炭素数の上限値として22がより好ましく、18が特に好ましい。また、Rの炭素数の下限値として、12がより好ましい。
上記式[2]又は式[3]で示される1価フェノール(末端停止剤)の中でも、パラヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル、パラヒドロキシ安息香酸2−ヘキシルデシルエステルのいずれかもしくは両方を末端停止剤として使用することが特に好ましい。
として、例えば、炭素数16のアルキル基を有する1価フェノール(末端停止剤)を使用した場合、ガラス転移温度、溶融流動性、成形性、耐ドローダウン性、ポリカーボネート樹脂製造時の1価フェノールの溶剤溶解性が優れており、本発明に用いるポリカーボネート樹脂に使用する末端停止剤として、特に好ましい。
一方、上記式[2]又は式[3]におけるRの炭素数が増加しすぎると、1価フェノール(末端停止剤)の有機溶剤溶解性が低下する傾向があり、ポリカーボネート樹脂製造時の生産性が低下することがある。
一例として、Rの炭素数が36以下であれば、ポリカーボネート樹脂を製造するにあたって生産性が高く、経済性も良い。Rの炭素数が22以下であれば、1価フェノールは、特に有機溶剤溶解性に優れており、ポリカーボネート樹脂を製造するにあたって生産性を非常に高くすることができ、経済性も向上する。
上記式[2]又は式[3]におけるRの炭素数が小さすぎると、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が十分に低い値とはならず、熱成形性が低下することがある。
ポリカーボネート系樹脂(A)に含まれる他の樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂が挙げられる。ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸を主成分として含んでいればよく、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分を含んでいてもよい。
例えば、主成分であるエチレングリコール80〜60(モル比率)に対して1,4−シクロヘキサンジメタノールを20〜40(モル比率、合計100)含むグリコール成分が重縮合してなるポリエステル系樹脂、所謂「PETG」が好ましい。また、ポリカーボネート系樹脂(A)には、エステル結合とカーボネート結合をポリマー骨格中に有するポリエステルカーボネート系樹脂が含まれていてもよい。
本発明において、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、シートの耐衝撃性および成形条件に影響する。つまり、重量平均分子量が小さ過ぎる場合は、シートの耐衝撃性が低下するので好ましくない。重量平均分子量が大き過ぎる場合は、ポリカーボネート樹脂を含む層を積層させる時に過剰な熱源を必要とする場合があり、好ましくない。また成形法によっては高い温度が必要になるので、ポリカーボネート樹脂が高温にさらされることになり、その熱安定性に悪影響を及ぼすことがある。ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、15,000〜75,000が好ましく、20,000〜70,000がより好ましく、25,000〜65,000が更に好ましい。
<ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量の測定法>
ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、特開2007−179018号公報の段落0061〜0064の記載に基づいて測定することができる。測定法の詳細を以下に示す。
標準ポリマーとしてポリスチレン(PS)を使用して測定を行った後、ユニバーサルキャリブレーション法により、溶出時間とポリカーボネート(PC)の分子量との関係を求めて検量線を作成する。そして、PCの溶出曲線(クロマトグラム)を検量線の場合と同一の条件で測定し、溶出時間(分子量)とその溶出時間のピーク面積(分子数)とから各平均分子量を求める。分子量Miの分子数をNiとすると、重量平均分子量は、以下のように表される。また換算式は以下の式を使用した。
(重量平均分子量)
Mw=Σ(NiMi)/Σ(NiMi)
(換算式)
MPC=0.47822MPS1.01470
なお、MPCはPCの分子量、MPSはPSの分子量を示す。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂の製造方法は、公知のホスゲン法(界面重合法)、エステル交換法(溶融法)等、使用するモノマーにより適宜選択できる。
<高硬度樹脂(B)>
本発明において好ましく用いられる高硬度樹脂(B)は、耐傷付き性や表面硬度を確保する点から、
(1)アクリル系樹脂:ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリメタクリレート(PMA)に代表される各種(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、またはメチルメタクリレート(MMA)やメチルアクリレート(MA)と他の1種以上の単量体との共重合体、
(2)MS系樹脂:少なくとも1種類の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと少なくとも1種類の芳香族ビニルモノマーとを重合して得られる共重合体、
(3)核水添MS樹脂:MS樹脂の芳香環が水素化されている樹脂、
(4)特殊ポリカーボネート樹脂:2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン若しくは2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンから誘導される構成単位を有するポリカーボネート樹脂、
(5)PCアロイ高硬度樹脂:芳香族(メタ)アクリレート(c1)5〜80質量%とメチルメタクリレート(c2)20〜95質量%を含有する(メタ)アクリレート共重合体(C)15〜55質量%とポリカーボネート樹脂85〜45質量%とを含有してなる樹脂組成物、
(6)共重合体を含有する樹脂組成物:スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体(E)25〜100質量%とアクリル化合物単量体単位を有する樹脂(D)75〜0質量%とを含有してなる樹脂組成物、のいずれかからなることが好ましい。
<アクリル系樹脂>
前記アクリル系樹脂において、MMAやMAと共重合可能な他の単量体として、アルキル基の炭素数が2〜18のアルキル(メタ)アクリレート、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸およびそれらのアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等が挙げられる。さらにそれらの共重合体の混合物や水素添加品などの各種誘導体でもよい。これらのなかでも、脂肪族系の化合物が好ましく、アルキル基の炭素数が2〜18のアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。また、スチレンなどを共重合したアクリル系樹脂のベンゼン環を水素添加したものも用いられる。以上のような(メタ)アクリル系樹脂の例として、アクリペット(商標・三菱レイヨン製)、デルペット(商標・旭化成ケミカルズ製)、パラペット(商標・クラレ製)などがある。
<核水添MS樹脂>
前記核水添MS樹脂は、メタクリル酸メチルとスチレンとを重合して得られる共重合体のスチレン由来の芳香環が水素化されている樹脂であり、その共重合モル比率が60:40〜90:10の範囲であり、芳香環の水素化率が70%以上であることが好ましい。核水添MS樹脂を使用することによって、液晶前面板の反りの発生を低減する効果がある。メタクリル酸メチルの共重合モル比率が60モル%未満の場合、ポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層との密着力が不足し、その界面にて剥離する可能性がある。一方、メタクリル酸メチルの共重合モル比率が90モル%を超える場合や、スチレン由来の芳香環の水素化率が70%未満の場合には、通常のメタクリル酸メチル樹脂やMS樹脂(メタクリル酸メチルとスチレンとの共重合体)との性能差が小さくなり、敢えて使用するメリットが少なくなる。
<特殊ポリカーボネート樹脂>
前記特殊ポリカーボネート樹脂は、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとのポリマーアロイであって、そのモル比率が50:50〜100:0であることが好ましい。2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの共重合モル比率が50モル%未満の場合、鉛筆硬度が低下して、液晶前面板とした時の耐擦傷性が悪化するおそれがある。
また、前記特殊ポリカーボネート樹脂は、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとのポリマーアロイであってもよく、そのモル比率は50:50〜100:0であることが好ましい。2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンの共重合モル比率が50モル%未満の場合、鉛筆硬度が低下して、液晶前面板とした時の耐擦傷性が悪化するおそれがある。
<PCアロイ高硬度樹脂>
(メタ)アクリレート共重合体(C)は、芳香族(メタ)アクリレート単位(c1)5〜80質量%とメチルメタクリレート単位(c2)20〜95質量%から成る(メタ)アクリレート共重合体である。好ましくは、芳香族(メタ)アクリレート単位(c1)10〜70質量%とメチルメタクリレート単位(c2)30〜90質量%から成る(メタ)アクリレート共重合体である。
芳香族(メタ)アクリレート(c1)とは、エステル部分に芳香族基を有する(メタ)アクリレートのことを言う。芳香族(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、好ましくはフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートであり、より好ましくはフェニルメタクリレートである。芳香族(メタ)アクリレート単位(c1)を有することで、ポリカーボネート樹脂と混合した成形体の透明性を向上させることができる。
メチルメタクリレート単位(c2)は、ポリカーボネート樹脂と良分散する効果を有し、成形体表面へ移行するため成形体の表面硬度を向上させることができる。
本発明で用いられる(メタ)アクリレート共重合体(C)は、(c1)と(c2)の重量比が5〜80/20〜95である(メタ)アクリレート共重合体である。(メタ)アクリレート共重合体中の(c1)の含有率が5質量%以上であれば、(メタ)アクリレート共重合体(C)の高添加領域において透明性が維持され、80質量%以下であれば、ポリカーボネート樹脂との相溶性が高過ぎず、成形体表面への移行性が低下しないため、表面硬度が低下しない。
本発明で用いられる(メタ)アクリレート共重合体(C)は、必要に応じてその他の構成単位(c3)を含有することができる。(c3)は、例えば、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸系ビニル単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド等のマレイミド系単量体;アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、1,3−ブチレンジメタクリレート等の架橋剤を挙げることができる。これらのうち、好ましくはメタクリレート、アクリレート、シアン化ビニル単量体であり、(メタ)アクリレート共重合体(C)の熱分解を抑制するという観点から、より好ましくはアクリレートである。これらの単量体は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他の構成単位(c3)を含有する場合、(メタ)アクリレート共重合体(C)は、芳香族(メタ)アクリレート単位(c1)5〜79.9質量%、メチルメタクリレート単位(c2)20〜94.9質量%、及びその他の構成単位(c3)0.1〜10質量%を含有することが好ましい(但し、(c1)〜(c3)の合計が100質量%)。
(メタ)アクリレート共重合体(C)の重量平均分子量は、5,000〜30,000が好ましく、10,000〜25,000がより好ましい。重量平均分子量が5,000〜30,000において、ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性が良好であり、表面硬度の向上効果に優れる。なお、(メタ)アクリレート共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、溶媒としてテトラヒドロフラン(以下、THF)やクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定を行うことができる。
<共重合体を含有する樹脂組成物>
共重合体を含有する樹脂組成物中のアクリル化合物単量体単位を有する樹脂(D)とスチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体(E)について順次説明する。
<アクリル化合物単量体単位を有する樹脂(D)>
本発明で用いられるアクリル化合物単量体単位を有する樹脂(D)としては、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2エチルヘキシル等のビニル系単量体を単独重合したものが挙げられ、特に単量体単位として、メタクリル酸メチルが好ましい。また、前記ビニル系単量体を2種類以上含んだ共重合体でもよい。更に、前記ビニル系単量体と共重合可能な単量体との共重合体でもよい。ビニル系単量体と共重合可能な単量体として、例えば、α,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸およびそれらのアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−置換マレイミド等が挙げられ、特に共重合可能な単量体として、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミドを1種類または2種類以上含んだ共重合体が好ましい。
アクリル化合物単量体単位を有する樹脂(D)の質量平均分子量は、10,000〜500,000であり、好ましくは50,000〜300,000である。
<スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体(E)>
本発明に用いられる前記共重合体(E)は、スチレン系単量体単位(e1)、及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位(e2)を含み、さらに共重合可能なビニル系単量体(e3)を含む。
<スチレン系単量体(e1)>
スチレン系単量体としては、特に限定せず、任意の公知のスチレン系単量体を用いることができるが、入手の容易性の観点からスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、相溶性の観点からスチレンが特に好ましい。これらのスチレン系単量体は2種以上を用いてもよい。
<不飽和ジカルボン酸無水物単量体(e2)>
不飽和ジカルボン酸無水物単量体としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の酸無水物が挙げられ、ビニル系単量体との相溶性の観点から無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和ジカルボン酸無水物系単量体は2種以上を用いてもよい。
<ビニル系単量体(e3)>
ビニル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2エチルヘキシル等のビニル系単量体が挙げられる。スチレン系単量体単位(e1)あるいは不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位(e2)との相溶性の観点からメタクリル酸メチル(MMA)が好ましい。これらのビニル系単量体は2種以上を用いてもよい。
<スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体(E)の組成比率>
スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体(E)の組成比率は、スチレン系単量体単位(e1)40〜70質量%、不飽和ジカルボン酸単量体単位(e2)10〜30質量%、ビニル系単量体単位(e3)10〜30質量%であることが好ましい。
スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体(E)の重量平均分子量は、50,000〜200,000が好ましく、80,000〜200,000がより好ましい。重量平均分子量が50,000〜200,000において、ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性が良好であり、耐熱性の向上効果に優れる。なお、高硬度樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、溶媒としてTHFやクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定を行うことができる。
<各種材料製造方法>
本発明で使用される熱可塑性樹脂(ポリカーボネート系樹脂(A)および高硬度樹脂(B)を含む)、または熱硬化性樹脂の製造方法は、特に限定されない。例えば、必要な成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの混合機を用いて予め混合しておき、その後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸押出機、二軸押出機、加圧ニーダーなどの機械で溶融混練するといった公知の方法が適用できる。
本発明で使用される熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、またはその組み合わせの積層体を製造する方法は、特に限定されない。例えば、個別に形成した高硬度樹脂(B)を含有する層と、ポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層とを積層して両者を加熱圧着する方法、個別に形成した高硬度樹脂(B)を含有する層とポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層とを積層して、両者を接着剤によって接着する方法、高硬度樹脂(B)を含有する層とポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層とを共押出成形する方法、予め形成しておいた高硬度樹脂(B)を含有する層を用いて、ポリカーボネート系樹脂(A)をインモールド成形して一体化する方法、などの各種方法があるが、製造コストや生産性の観点からは、共押出成形する方法が好ましい。
本発明において、高硬度樹脂(B)を含有する層の厚さは、シートの表面硬度や耐衝撃性に影響する。つまり、ポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層と高硬度樹脂(B)を含有する層の総厚に対する高硬度樹脂(B)を含有する層の厚みの割合が小さすぎると表面硬度が低くなり、好ましくない。ポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層と高硬度樹脂(B)を含有する層の総厚に対する高硬度樹脂(B)を含有する層の厚みの割合が大きすぎると耐衝撃性が悪くなり好ましくない。総厚に対する高硬度樹脂(B)を含有する層の厚みの割合は0.5〜30%が好ましく、1〜25%がより好ましい。さらに好ましくは1〜20%であり、特に好ましくは2〜15%である。
<任意の添加剤>
本発明において、熱可塑性樹脂(ポリカーボネート系樹脂(A)および高硬度樹脂(B)を含む)、または熱硬化性樹脂には、上述の主たる成分以外の成分を含めることができる。
例えば、熱可塑性樹脂(ポリカーボネート系樹脂(A)および高硬度樹脂(B)を含む)、または熱硬化性樹脂には、紫外線吸収剤を混合して使用することができる。紫外線吸収剤の含有量が多過ぎると、成形法によっては過剰な紫外線吸収剤が高い温度がかかることによって飛散し、成形環境を汚染するため不具合を起こすことがある。このことから紫外線吸収剤の含有割合は0〜5質量%が好ましく、0〜3質量%がより好ましく、さらに好ましくは0〜1質量%である。紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケートなどのヒンダードアミン系紫外線吸収剤、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン系紫外線吸収剤などが挙げられる。混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、マスターバッチをドライブレンドする方法、全量ドライブレンドする方法などを用いることができる。
本発明において、熱可塑性樹脂(ポリカーボネート系樹脂(A)および高硬度樹脂(B)を含む)、または熱硬化性樹脂には、上記紫外線吸収剤以外にも、各種添加剤を混合して使用することができる。そのような添加剤としては、例えば、抗酸化剤や抗着色剤、抗帯電剤、離型剤、滑剤、染料、顔料、可塑剤、難燃剤、樹脂改質剤、相溶化剤、有機フィラーや無機フィラーといった強化材などが挙げられる。混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、マスターバッチをドライブレンドする方法、全量ドライブレンドする方法などを用いることができる。
(ハードコート塗料)
本発明において、ガラス、熱可塑性樹脂(ポリカーボネート系樹脂(A)および高硬度樹脂(B)を含む)、または熱硬化性樹脂の片面または両面に、耐擦傷性処理、耐指紋処理、反射防止処理、防眩処理、耐候性処理、帯電防止処理および防汚処理のいずれかを施してもよい。耐擦傷性処理、耐指紋処理、反射防止処理、防眩処理、耐候性処理、帯電防止処理および防汚処理の方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、反射低減塗料を塗布する方法、誘電体薄膜を蒸着する方法、帯電防止塗料を塗布する方法などが挙げられる。例えば、熱エネルギーおよび/または光エネルギーを用いて硬化させるハードコート塗料を用いるハードコート処理によりハードコート層を形成する。熱エネルギーを用いて硬化させるハードコート塗料としては、例えば、ポリオルガノシロキサン系、架橋型アクリル系などの熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。また、光エネルギーを用いて硬化させるハードコート塗料としては、例えば、1官能および/または多官能であるアクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーからなる樹脂組成物に光重合開始剤が加えられた光硬化性樹脂組成物などが挙げられる。
本発明におけるハードコート塗料を塗布する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、メニスカスコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビートコート法、捌け法などが挙げられる。
ハードコートの密着性を向上させる目的で、ハードコート前に塗布面の前処理を行ってもよい。処理例として、サンドブラスト法、溶剤処理法、コロナ放電処理法、クロム酸処理法、火炎処理法、熱風処理法、オゾン処理法、紫外線処理法、樹脂組成物によるプライマー処理法などの公知の方法が挙げられる。
本発明における熱可塑性樹脂(ポリカーボネート系樹脂(A)および高硬度樹脂(B)を含む)、熱硬化性樹脂、またはハードコートの各材料、例えば、熱可塑性樹脂であるポリカーボネート系樹脂(A)および高硬度樹脂(B)等は、フィルター処理によりろ過精製されることが好ましい。フィルターを通して精製する事により異物や欠点といった外観不良が少ない積層体を得ることができる。ろ過方法に特に制限はなく、溶融ろ過、溶液ろ過、あるいはその組み合わせ等を使うことができる。
使用するフィルターに特に制限はなく、公知のものが使用でき、各材料の使用温度、粘度、ろ過精度により適宜選ばれる。フィルターの濾材としては特に限定されないが、ポリプロピレン、コットン、ポリエステル、ビスコースレイヨンやグラスファイバーの不織布あるいはロービングヤーン巻物、フェノール樹脂含浸セルロース、金属繊維不織布焼結体、金属粉末焼結体、ブレーカープレート、あるいはこれらの組み合わせなど、いずれも使用可能である。特に耐熱性や耐久性、耐圧力性を考えると金属繊維不織布を焼結したタイプが好ましい。例えば、ポリカーボネート系樹脂(A)のろ過精度は、50μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。また、ハードコート剤のろ過精度は、樹脂積層体の最表層に塗布される事から、20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
熱可塑性樹脂(ポリカーボネート系樹脂(A)および高硬度樹脂(B)を含む)は、溶融ろ過に用いられているポリマーフィルターを使うことが好ましい。ポリマーフィルターは、その構造によりリーフディスクフィルター、キャンドルフィルター、パックディスクフィルター、円筒型フィルターなどに分類されるが、特に有効ろ過面積が大きいリーフディスクフィルターが好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
実施例および比較例で得られたシートの評価は以下のように行った。
<スクリーン印刷試験>
[印刷版の作製]
鋳造されたアルミニウム枠(320mm×320mm)にテンション0.27mm(テンションゲージ:STG80NA、PROTEC製)、バイアス角度30度の条件でメッシュ数300本、線径30μm、開口率36%のテトロンメッシュ(品種:T−300 海野技研製)を紗張し、スクリーン印刷版を得た。
[スクリーン印刷]
上記印刷版、及び黒インク(品名:SS8 911墨(東洋インキ(株)製)と品名:S719 溶剤 IKC(東洋インキ(株)製)を100vol%:20vol%で混ぜた液)を用いて、ウレタンゴムスキージ(硬度:70°、幅:170mm)を備えたスクリーン印刷機(LS-15GX、ニューロング精密工業製)により、下記の印刷条件で、実施例および比較例で得られたシートの片面にスクリーン印刷した。その後、90℃のオーブンで30分投入して乾燥させた。乾燥後、印刷面をLED蛍光灯(4000LM)の透過光で目視観察をし、下記の基準で判定を行った。
○(合格):黒印刷部分に碁盤目状ムラが見えない。
×(不合格):黒印刷部分に碁盤目状ムラが見える。
<全光線透過率測定>
反射・透過率計HR−100型(村上色彩技術研究所製)を用いて実施例および比較例で得られたシートの全光線透過率をJIS K7361−1に準じて測定し、下記の基準で全光線透過率試験の合否判定を行った。
○(合格):シートの全光線透過率が20%以上79%以下
×(不合格):上記の範囲以外
<CIELABのL*、a*、b*測定>
Spectrophotometer SE6000(日本電色工業製)を用いて実施例および比較例で得られたシートのL*、a*、及びb*をJIS Z8729に準じて測定し、下記の基準でL*、a*、及びb*のそれぞれの合否判定を行った。
○(合格):シートのL*が10以上95以下、且つ、a*が−20以上20以下、且つ、b*が−20以上20以下
×(不合格):上記の範囲以外
<各種材料>
下記に示す材料を使用した。
A−1:ポリカーボネート系樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ユーピロンE−2000
B−1:アクリル系樹脂:株式会社クラレ製メチルメタクリレート樹脂 パラペットHR−L
<ペレットの製造>
製造例1〔ポリカーボネート系樹脂(A11)ペレットの製造〕
ユーピロンE−2000(三菱エンジニアリングプラスチックス製)の100質量部に対して、熱安定剤アデカスタブ2112(ADEKA製):0.05質量部および赤色染料Plast Red 8370(有本化学工業製):0.0011質量部、赤色染料Sumiplast Red HL5B(住友ケムテックス製):0.0008質量部、橙色染料Sumiplast Orange HLR(住友ケムテックス製):0.0009質量部、緑色染料Sumiplast Green G(住友ケムテックス製):0.0018質量部、青色染料BLUE 2R(以上、ランクセス製):0.0011質量部、黒色顔料Monarch 800(キャボット製):0.0011質量部を加え、ブレンダーで20分混合後、スクリュー径26mmの2軸押出機(東芝機械製、TEM−26SS、L/D≒40)を用い、シリンダー温度270℃で溶融混錬して、ストランド状に押出してペレタイザーでペレット化した。ペレットは安定して製造できた。
製造例2〔ポリカーボネート系樹脂(A12)ペレットの製造〕
ユーピロンE−2000の100質量部に対して、熱安定剤アデカスタブ2112:0.05質量部、および赤色染料Plast Red 8370:0.0048質量部、赤色染料Sumiplast Red HL5B:0.0018質量部、橙色染料Sumiplast Orange HLR:0.0021質量部、緑色染料Sumiplast Green G:0.0042質量部、青色染料BLUE 2R:0.0026質量部、黒色顔料Monarch 800:0.0025質量部を加え、ブレンダーで20分混合後、スクリュー径26mmの2軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM−26SS、L/D≒40)を用い、シリンダー温度270℃で溶融混錬して、ストランド状に押出してペレタイザーでペレット化した。ペレットは安定して製造できた。
製造例3〔ポリカーボネート系樹脂(A13)ペレットの製造〕
ユーピロンE−2000の100質量部に対して、熱安定剤アデカスタブ2112:0.05質量部、および赤色染料Plast Red 8370:0.0026質量部、赤色染料Sumiplast Red HL5B:0.0034質量部、橙色染料Sumiplast Orange HLR:0.0039質量部、緑色染料Sumiplast Green G:0.0078質量部、青色染料BLUE 2R:0.0048質量部、黒色顔料Monarch 800:0.0047質量部を加え、ブレンダーで20分混合後、スクリュー径26mmの2軸押出機を用い、シリンダー温度270℃で溶融混錬して、ストランド状に押出してペレタイザーでペレット化した。ペレットは安定して製造できた。
製造例4〔ポリカーボネート系樹脂(A14)ペレットの製造〕
ユーピロンE−2000の100質量部に対して、熱安定剤アデカスタブ2112:0.05質量部を加え、ブレンダーで20分混合後、スクリュー径26mmの2軸押出機を用い、シリンダー温度270℃で溶融混錬して、ストランド状に押出してペレタイザーでペレット化した。ペレットは安定して製造できた。
製造例5〔アクリル系樹脂(B11)ペレットの製造〕
パラペットHR−L(クラレ製)の100質量部に対して、リン系添加剤PEP−36(ADEKA製):0.05質量部、およびステアリン酸モノグリセリド H−100(理研ビタミン製):0.2質量部、酸化防止剤2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾール K−NOX、(共同薬品製):0.1質量部、紫外線吸収剤Tinuvin1600(BASFジャパン製):0.7質量部を加え、ブレンダーで20分混合後、スクリュー径26mmの2軸押出機を用い、シリンダー温度240℃で溶融混錬して、ストランド状に押出してペレタイザーでペレット化した。ペレットは安定して製造できた。
<シートの製造>
実施例1
軸径65mmの単軸押出機と、単軸押出機に連結されたフィードブロックと、フィードブロックに連結されたTダイとを有する単層押出装置を用いてシートを成形した。軸径65mmの単軸押出機にポリカーボネート系樹脂(A11)ペレットを連続的に導入し、シリンダー温度280℃、吐出量を32.1kg/hで押し出した。その先に連結された温度270℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から第1冷却ロールと第2冷却ロールとの間に挟み込み、前記第2冷却ロールに巻き掛けた後、第2冷却ロールでポリカーボネート系樹脂(A)面を巻き掛けた。ロール温度が第1冷却ロールは125℃、第2冷却ロールは125℃、後段冷却ロール(第3冷却ロール)は145℃とした3本の鏡面仕上げの剛体ロールで鏡面を転写しながら冷却し、ロール周速度は0.8m/min、後段冷却ロールとピンチロールの速度比は0.9にし、シート(F11)を得た。得られたシート(F11)の全体厚みは1000μmであった。得られたシートの評価結果を表3に示す。
実施例2
ポリカーボネート系樹脂(A12)ペレットとした以外は実施例1と同様な成形条件でシート(F12)を得た。得られたシートの評価結果を表3に示す。
実施例3
ポリカーボネート系樹脂(A13)ペレットとした以外は実施例1と同様な成形条件でシート(F13)を得た。得られたシートの評価結果を表3に示す。
実施例4
軸径32mmの単軸押出機と、軸径65mmの単軸押出機と、全押出機に連結されたフィードブロックと、フィードブロックに連結されたTダイとを有する多層押出機に各押出機と連結したマルチマニホールドダイとを有する多層押出装置を用いて樹脂積層体からなるシートを成形した。軸径32mmの単軸押出機に製造例5で得たアクリル系樹脂(B11)ペレットを連続的に導入し、シリンダー温度240℃、吐出量を2.1kg/hの条件で押し出した。また、軸径65mmの単軸押出機にポリカーボネート系樹脂(A11)ペレットを連続的に導入し、シリンダー温度280℃、吐出量を30.0kg/hで押し出した。全押出機に連結されたフィードブロックは2種2層の分配ピンを備え、フィードブロックの温度270℃にして(B11)と(A11)とを導入し積層した。その先に連結された温度270℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から第1冷却ロールと第2冷却ロールとの間に挟み込み、前記第2冷却ロールに巻き掛けた後、第2冷却ロールでポリカーボネート系樹脂(A)面を巻き掛けた。ロール温度が第1冷却ロールは120℃、第2冷却ロールは130℃、後段冷却ロール(第3冷却ロール)は180℃とした3本の鏡面仕上げの剛体ロールで鏡面を転写しながら冷却し、ロール周速度は0.8m/min、後段冷却ロールとピンチロールの速度比は0.9にし、(B11)と(A11)との積層シート(F14)を得た。得られた積層体シート(F14)の全体厚みは1000μm、(B11)から成る層の厚みは中央付近で60μmであった。得られた積層シートの評価結果を表3に示す。
実施例5
ポリカーボネート系樹脂(A12)ペレットとした以外は実施例4と同様な成形条件で積層シート(F15)を得た。得られた積層シートの評価結果を表3に示す。
実施例6
ポリカーボネート系樹脂(A13)ペレットとした以外は実施例4と同様な成形条件で積層シート(F16)を得た。得られた積層シートの評価結果を表3に示す。
比較例1
ポリカーボネート系樹脂(A14)ペレットとした以外は実施例1と同様な成形条件でシート(G11)を得た。得られたシートの評価結果を表3に示す。
比較例2
ポリカーボネート系樹脂(A14)ペレットとした以外は実施例4と同様な成形条件で積層シート(G12)を得た。得られた積層シートの評価結果を表3に示す。
以上のように、本発明によるシートは全光線透過率およびL*、a*、b*が特定範囲にあることで、スクリーン印刷の黒印刷部分の碁盤目状ムラが見えないという特徴を有する。
例えば、全光線透過率およびL*、a*、b*が特定範囲にないポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層を含むシート(比較例1)は、スクリーン印刷の黒印刷部分に碁盤目状ムラが発生したが、全光線透過率およびL*、a*、b*が特定範囲にあるポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層を含むシート(実施例1〜3)は、スクリーン印刷の黒印刷部分の碁盤目状ムラの発生を抑制することができた。
また、全光線透過率およびL*、a*、b*が特定範囲にないポリカーボネート樹脂を主成分とするポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層の一方の面に、高硬度樹脂(B)を含有する層を積層したシート(比較例2)は、スクリーン印刷の黒印刷部分に碁盤目状ムラが発生したが、全光線透過率およびL*、a*、b*が特定範囲にあるポリカーボネート樹脂を主成分とするポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層の一方の面に、高硬度樹脂(B)を含有する層を積層したシート(実施例4〜6)は、スクリーン印刷の黒印刷部分の碁盤目状ムラの発生を抑制することができた。
本発明のシートは、スクリーン印刷の黒印刷部分の碁盤目状ムラの発生を抑制することができる。本発明のシートは 電子機器を保護する基材の材料などとして好適に用いられ、特に携帯電話端末、携帯型電子遊具、携帯情報端末、モバイルPCといった携帯型のディスプレイデバイスや、ノート型PC、デスクトップ型PC液晶モニター、カーナビ液晶モニター、スピードメーターモニター、液晶テレビといった設置型のディスプレイデバイスなどの前面板として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 全光線透過率が20%以上79%以下であり、CIELABのL*が10以上95以下であり、CIELABのa*が−20以上20以下であり、かつ、CIELABのb*が−20以上20以下であることを特徴とするシート。
  2. ポリカーボネート樹脂を主成分とするポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層を含む、請求項1に記載のシート。
  3. ポリカーボネート樹脂を主成分とするポリカーボネート系樹脂(A)を含有する層の少なくとも一方の面に、高硬度樹脂(B)を含有する層が積層されてなる、請求項1に記載のシート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のシートを含むタッチパネル前面保護板。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のシートを含むカーナビ用前面板。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のシートを含むスピードメーター前面保護板。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載のシートを含むOA機器用または携帯電子機器用の前面板。
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