JP2019044105A - 発泡粒子、発泡成形体、繊維強化複合体、その製造方法及び自動車用部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】オートクレーブ法による繊維強化複合体の製造時に、発泡成形体の厚さの減少割合を小さくし得る発泡粒子を提供することを課題とする。【解決手段】芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体Aと、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体Bとを含む基材樹脂から構成され、前記共重合体Bが、前記共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含まれる発泡粒子であり、前記発泡粒子が、オートクレーブ法による繊維強化複合体の製造用であることを特徴とする発泡粒子により上記課題を解決する。【選択図】図1
Description
本発明は、発泡粒子、発泡成形体、繊維強化複合体、その製造方法及び自動車用部品に関する。更に詳しくは、本発明は、オートクレーブ法による繊維強化複合体の製造時に、発泡成形体の厚さの減少割合を小さくし得る発泡粒子及び発泡成形体、厚さの減少割合の小さな繊維強化複合体、その製造方法及び自動車用部品に関する。
近年、航空機、自動車、船舶等の乗り物は、地球環境への負荷低減のために燃費向上が必要とされており、これらの乗り物を構成する金属材料を樹脂材料へ転換し、大きな軽量化を図る流れが強くなってきている。これらの樹脂材料としては、繊維強化プラスチックが挙げられる。また、更なる軽量化や高剛性化を図ることを目的として、繊維強化プラスチックとコア材を積層した繊維強化複合体も提案されている。例えば、コア材として、高い圧縮強度を有するポリスチレン発泡成形体が検討されている(特開2012−214751号公報:特許文献1)。
しかしながら、特許文献1の発泡成形体は、ガラス転移温度が低いスチレン系樹脂製であるため、例えば高温下での機械的物性が十分でなかった。機械的物性を向上させるために、スチレン系樹脂以外の樹脂を選択することが考えられる。
ところで、繊維強化複合体の製造方法として、オートクレーブ法が知られている。この方法には、発泡成形体がオートクレーブ内で減圧加熱される工程がある。この工程では、発泡成形体の厚さが減圧により減少するため、繊維強化複合体の軽量化の妨げとなっていた。そのため、減圧による厚さの減少割合が小さな発泡成形体が求められていた。
ところで、繊維強化複合体の製造方法として、オートクレーブ法が知られている。この方法には、発泡成形体がオートクレーブ内で減圧加熱される工程がある。この工程では、発泡成形体の厚さが減圧により減少するため、繊維強化複合体の軽量化の妨げとなっていた。そのため、減圧による厚さの減少割合が小さな発泡成形体が求められていた。
本発明の発明者は、繊維強化複合体の機械的物性を向上させるために種々の樹脂をコア材として検討したところ、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸との共重合体Aと、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体Bとを含む基材樹脂を使用すれば、機械的物性の向上と共に、オートクレーブ法でも発泡成形体の厚さの減少を抑制できることを意外にも見い出すことで本発明に至った。
かくして本発明によれば、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体Aと、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体Bとを含む基材樹脂から構成され、前記共重合体Bが、前記共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含まれる発泡粒子であり、前記発泡粒子が、オートクレーブ法による繊維強化複合体の製造用であることを特徴とする発泡粒子が提供される。
また、本発明によれば、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体Aと、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体Bとを含む基材樹脂から構成され、前記共重合体Bが、前記共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含まれる発泡成形体であり、前記発泡成形体が、オートクレーブ法による繊維強化複合体の製造用であることを特徴とする発泡成形体が提供される。
また、本発明によれば、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体Aと、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体Bとを含む基材樹脂から構成され、前記共重合体Bが、前記共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含まれる発泡成形体であり、前記発泡成形体が、オートクレーブ法による繊維強化複合体の製造用であることを特徴とする発泡成形体が提供される。
更に、本発明によれば、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体Aと、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体Bとを含む基材樹脂から構成され、前記共重合体Bが、前記共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含まれる発泡成形体と、前記発泡成形体の表面にオートクレーブ法により積層一体化された繊維強化プラスチック層とを有することを特徴とする繊維強化複合体が提供される。
また、本発明によれば、上記繊維強化複合体の製造方法であって、
発泡成形体の表面に強化繊維に合成樹脂が含浸されてなる繊維強化プラスチック形成材を積層した積層体を得る工程、
前記積層体をオートクレーブ内で減圧後、加熱押圧することで、前記発泡成形体と、前記発泡成形体の表面に積層一体化された前記繊維強化プラスチック形成材に由来する繊維強化プラスチック層とを有する繊維強化複合体を得る工程
を含むことを特徴とする繊維強化複合体の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、上記繊維強化複合体から構成される自動車用部品が提供される。
また、本発明によれば、上記繊維強化複合体の製造方法であって、
発泡成形体の表面に強化繊維に合成樹脂が含浸されてなる繊維強化プラスチック形成材を積層した積層体を得る工程、
前記積層体をオートクレーブ内で減圧後、加熱押圧することで、前記発泡成形体と、前記発泡成形体の表面に積層一体化された前記繊維強化プラスチック形成材に由来する繊維強化プラスチック層とを有する繊維強化複合体を得る工程
を含むことを特徴とする繊維強化複合体の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、上記繊維強化複合体から構成される自動車用部品が提供される。
本発明によれば、オートクレーブ法でも発泡成形体の厚さの減少を抑制しうる繊維強化複合体を与え得る発泡粒子及び発泡成形体、オートクレーブ法による発泡成形体の厚さの減少が抑制された繊維強化複合体及び自動車用部品を提供できる。
(発泡粒子)
発泡粒子は、発泡成形体とその表面にオートクレーブ法により積層一体化された繊維強化プラスチック層とを有する繊維強化複合体における発泡成形体の製造に使用される。
(1)基材樹脂
発泡粒子は、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体A(以下、単に共重合体Aとも称する)と、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体B(以下、単に共重合体Bとも称する)とを含む基材樹脂から構成される。基材樹脂中に共重合体A及びBの合計量が占める割合は、70重量%以上であることが好ましく、85重量%以上であることがより好ましく、100重量%であってもよい。基材樹脂は115〜160℃のガラス転移温度Tgを有していることが好ましい。Tgが115℃より低い場合、発泡粒子を用いて製造された発泡成形体の表面への繊維強化プラスチック層の積層一体化が不十分となって、繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。160℃より高い場合、発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。より好ましいTgは120〜150℃である。
発泡粒子は、発泡成形体とその表面にオートクレーブ法により積層一体化された繊維強化プラスチック層とを有する繊維強化複合体における発泡成形体の製造に使用される。
(1)基材樹脂
発泡粒子は、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体A(以下、単に共重合体Aとも称する)と、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体B(以下、単に共重合体Bとも称する)とを含む基材樹脂から構成される。基材樹脂中に共重合体A及びBの合計量が占める割合は、70重量%以上であることが好ましく、85重量%以上であることがより好ましく、100重量%であってもよい。基材樹脂は115〜160℃のガラス転移温度Tgを有していることが好ましい。Tgが115℃より低い場合、発泡粒子を用いて製造された発泡成形体の表面への繊維強化プラスチック層の積層一体化が不十分となって、繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。160℃より高い場合、発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。より好ましいTgは120〜150℃である。
(i)共重合体A
(a)芳香族ビニル
芳香族ビニルは、ビニル基からなる置換基を備えた芳香族化合物である。ビニル基の数及び芳香族化合物の炭素数は特に限定されない。具体的な芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単官能単量体、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン、ジビニルビフェニル、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。芳香族ビニルは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。この内、入手容易性の観点から、スチレンが好ましい。
(a)芳香族ビニル
芳香族ビニルは、ビニル基からなる置換基を備えた芳香族化合物である。ビニル基の数及び芳香族化合物の炭素数は特に限定されない。具体的な芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単官能単量体、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン、ジビニルビフェニル、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。芳香族ビニルは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。この内、入手容易性の観点から、スチレンが好ましい。
(b)(メタ)アクリル酸エステル
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基の炭素数は1〜5とすることができる。具体的な(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。繊維強化複合体の機械的物性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸メチルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基の炭素数は1〜5とすることができる。具体的な(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。繊維強化複合体の機械的物性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸メチルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。
(c)不飽和ジカルボン酸
不飽和ジカルボン酸は、特に限定されないが、炭素数2〜6の脂肪族不飽和ジカルボン酸が挙げられる。具体的な不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸、これらの無水物等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
不飽和ジカルボン酸は、特に限定されないが、炭素数2〜6の脂肪族不飽和ジカルボン酸が挙げられる。具体的な不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸、これらの無水物等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
(d)芳香族ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和ジカルボン酸に由来する単位の割合
芳香族ビニルと(メタ)アクリル酸エステルと不飽和ジカルボン酸の3つに由来する単位の合計を100重量部とすると、芳香族ビニルに由来する単位を30〜80重量部、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を8〜35重量部、不飽和ジカルボン酸に由来する単位を10〜50重量部含むことが好ましい。
芳香族ビニルに由来する単位が占める割合が30重量部未満の場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。この割合が80重量部より大きい場合、繊維強化複合体の耐熱性が低下することがある。この割合は40〜75重量部であることがより好ましく、45〜70重量部であることが更に好ましい。
芳香族ビニルと(メタ)アクリル酸エステルと不飽和ジカルボン酸の3つに由来する単位の合計を100重量部とすると、芳香族ビニルに由来する単位を30〜80重量部、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を8〜35重量部、不飽和ジカルボン酸に由来する単位を10〜50重量部含むことが好ましい。
芳香族ビニルに由来する単位が占める割合が30重量部未満の場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。この割合が80重量部より大きい場合、繊維強化複合体の耐熱性が低下することがある。この割合は40〜75重量部であることがより好ましく、45〜70重量部であることが更に好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位が占める割合が8重量部未満の場合、繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。この割合が35重量部より大きい場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。この割合は10〜33重量部であることがより好ましく、15〜30重量部であることが更に好ましい。
不飽和ジカルボン酸に由来する単位が占める割合が10重量部未満の場合、繊維強化複合体の耐熱性が低下することがある。この割合が50重量部より大きい場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。この割合は15〜40重量部であることがより好ましく、20〜35重量部であることが更に好ましい。
なお、単量体の使用量とその単量体に由来する単位の含有量とはほぼ一致している。
不飽和ジカルボン酸に由来する単位が占める割合が10重量部未満の場合、繊維強化複合体の耐熱性が低下することがある。この割合が50重量部より大きい場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。この割合は15〜40重量部であることがより好ましく、20〜35重量部であることが更に好ましい。
なお、単量体の使用量とその単量体に由来する単位の含有量とはほぼ一致している。
各成分比、すなわち、芳香族ビニルと(メタ)アクリル酸エステルと不飽和ジカルボン酸に由来する単位、更には以下に説明する他の単量体及び他の樹脂に由来する単位の割合は、1H−NMRのピーク高さ又はFT−IRの面積比で規定できる。具体的な測定方法については、実施例において説明する。
(ii)共重合体B
(a)芳香族ビニル
芳香族ビニルとしては、特に限定されないが、上記の共重合体Aの(a)に例示の化合物が挙げられる。芳香族ビニルは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。この内、入手容易性の観点から、スチレンが好ましい。
(b)不飽和ジカルボン酸
不飽和ジカルボン酸としては、特に限定されないが、上記の共重合体Aの(c)に例示の化合物が挙げられる。不飽和ジカルボン酸は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。発泡成形体の機械的物性を向上させる観点から、無水マレイン酸が好ましい。
(a)芳香族ビニル
芳香族ビニルとしては、特に限定されないが、上記の共重合体Aの(a)に例示の化合物が挙げられる。芳香族ビニルは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。この内、入手容易性の観点から、スチレンが好ましい。
(b)不飽和ジカルボン酸
不飽和ジカルボン酸としては、特に限定されないが、上記の共重合体Aの(c)に例示の化合物が挙げられる。不飽和ジカルボン酸は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。発泡成形体の機械的物性を向上させる観点から、無水マレイン酸が好ましい。
(c)不飽和ジカルボン酸イミド
不飽和ジカルボン酸イミドとしては、特に限定されないが、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド等のマレイミド系単量体等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸イミド誘導体は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。繊維強化複合体の耐熱性を向上させる観点から、N−フェニルマレイミドが好ましい。
不飽和ジカルボン酸イミドとしては、特に限定されないが、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド等のマレイミド系単量体等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸イミド誘導体は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。繊維強化複合体の耐熱性を向上させる観点から、N−フェニルマレイミドが好ましい。
(d)芳香族ビニル、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸イミドに由来する単位の割合
芳香族ビニルと不飽和ジカルボン酸と不飽和ジカルボン酸イミドに由来する単位の割合は、3つに由来する単位の合計を100重量部とすると、芳香族ビニルに由来する単位を20〜80重量部、不飽和ジカルボン酸に由来する単位を2〜30重量部、不飽和ジカルボン酸イミドに由来する単位を20〜80重量部含むことが好ましい。
芳香族ビニルに由来する単位が占める割合が20重量部未満の場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。この割合が80重量部より大きい場合、発泡成形体の耐熱性が低下することがある。この割合は30〜75重量部であることがより好ましく、50〜70重量部であることが更に好ましい。
芳香族ビニルと不飽和ジカルボン酸と不飽和ジカルボン酸イミドに由来する単位の割合は、3つに由来する単位の合計を100重量部とすると、芳香族ビニルに由来する単位を20〜80重量部、不飽和ジカルボン酸に由来する単位を2〜30重量部、不飽和ジカルボン酸イミドに由来する単位を20〜80重量部含むことが好ましい。
芳香族ビニルに由来する単位が占める割合が20重量部未満の場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡性が低下して、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。この割合が80重量部より大きい場合、発泡成形体の耐熱性が低下することがある。この割合は30〜75重量部であることがより好ましく、50〜70重量部であることが更に好ましい。
(iii)他の単量体
共重合体A及び/又はBは、それぞれ上記3つの単量体以外に本発明の特性を阻害しない範囲で他の単量体由来の成分との更なる共重合体であってもよい。他の単量体としては例えば、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
両共重合体中に他の単量体由来の単位が占める割合は、30重量%以下であることが好ましく、0重量%であってもよい。
共重合体A及び/又はBは、それぞれ上記3つの単量体以外に本発明の特性を阻害しない範囲で他の単量体由来の成分との更なる共重合体であってもよい。他の単量体としては例えば、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
両共重合体中に他の単量体由来の単位が占める割合は、30重量%以下であることが好ましく、0重量%であってもよい。
(iv)共重合体AとBの含有割合
共重合体Bは、共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含み得る。共重合体Bの含有量が1重量%未満の場合、オートクレーブ法による繊維強化複合体の製造時に、発泡成形体の厚さの減少割合を小さくし難いことがある。50重量%より多い場合、脆性が高くなり繊維強化複合体作製時に発泡成形体の座屈が生じ、その結果、発泡成形体の厚さの減少割合を小さくし難いことがある。共重合体Bの含有量は、5〜40重量%であることが好ましい。
共重合体Bは、共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含み得る。共重合体Bの含有量が1重量%未満の場合、オートクレーブ法による繊維強化複合体の製造時に、発泡成形体の厚さの減少割合を小さくし難いことがある。50重量%より多い場合、脆性が高くなり繊維強化複合体作製時に発泡成形体の座屈が生じ、その結果、発泡成形体の厚さの減少割合を小さくし難いことがある。共重合体Bの含有量は、5〜40重量%であることが好ましい。
(v)他の樹脂
基材樹脂には他の樹脂が混合されていてもよい。他の樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体等のジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメタクリル酸メチル等、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体等が挙げられる。
基材樹脂には他の樹脂が混合されていてもよい。他の樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体等のジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメタクリル酸メチル等、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体等が挙げられる。
上記他の樹脂の内、発泡粒子には、ポリメタクリル酸メチルが含有されていてもよい。ポリメタクリル酸メチルが含有されていることによって、発泡粒子の熱融着性が向上し、発泡粒子同士をより強固に熱融着一体化させて、更に優れた機械的物性を有する発泡成形体を得ることができる。発泡粒子中におけるポリメタクリル酸メチルの含有量は、共重合体100重量部に対して10〜500重量部が好ましく、20〜450重量部がより好ましく、30〜400重量部が特に好ましい。
発泡粒子には加工助剤としてのアクリル系樹脂が含有されていてもよい。加工助剤を含有していることによって、発泡粒子を構成している樹脂の発泡時における溶融張力(粘弾性)を発泡に適したものとして発泡粒子の連続気泡化を抑制し、発泡粒子の発泡性を向上させて、発泡粒子同士の熱融着をより強固なものとし、更に優れた機械的物性を有する発泡成形体を製造できる。発泡粒子中における加工助剤の含有量は、共重合体100重量部に対して0.5〜5重量部が好ましく、0.5〜3重量部がより好ましい。
加工助剤としてのアクリル系樹脂としては、特に限定されず、アクリル系単量体の単独重合体又はこれらの二種以上からなる共重合体、アクリル系単量体を50重量%以上含有し且つアクリル系単量体とこれと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。アクリル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。アクリル系単量体と共重合可能なビニルモノマーとしては、α−メチルスチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。アクリル系樹脂の重量平均分子量は、150万〜600万が好ましく、200万〜450万がより好ましく、250万〜400万が特に好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量が低すぎても高すぎても、発泡粒子を構成している樹脂の発泡成形時における溶融張力(粘弾性)を発泡に適したものに十分に調整し難く、発泡粒子の発泡性を向上できないことがある。
(vi)添加剤
基材樹脂には必要に応じて、樹脂以外に添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、充填剤、着色剤、耐候剤、老化防止剤、滑剤、防曇剤、香料等が挙げられる。
基材樹脂には必要に応じて、樹脂以外に添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、充填剤、着色剤、耐候剤、老化防止剤、滑剤、防曇剤、香料等が挙げられる。
(2)構成
発泡粒子の平均粒子径は、500〜5000μmであることが好ましく、1000〜3000μmであることがより好ましい。
発泡粒子の外形は、発泡成形体を製造できさえすれば特に限定されず、例えば、球状、略球状、円筒形等が挙げられる。発泡粒子は、0.8以上の平均のアスペクト比で示される外形を有していることが好ましい(上限は1の真球状)。
発泡粒子の平均粒子径は、500〜5000μmであることが好ましく、1000〜3000μmであることがより好ましい。
発泡粒子の外形は、発泡成形体を製造できさえすれば特に限定されず、例えば、球状、略球状、円筒形等が挙げられる。発泡粒子は、0.8以上の平均のアスペクト比で示される外形を有していることが好ましい(上限は1の真球状)。
発泡粒子は、20〜1.4倍の嵩倍数を有することが好ましい。嵩倍数が20倍より大きい場合、発泡粒子の連続気泡率が上昇して、発泡成形の発泡時に発泡粒子の発泡性が低下することがある。1.4倍より小さい場合、発泡粒子の気泡が不均一となって、発泡成形時における発泡粒子の発泡性が不充分となることがある。嵩倍数は、14〜1.6倍がより好ましく、12.5〜2倍が特に好ましい。
発泡粒子は、40%以下の連続気泡率を示すことが好ましい。連続気泡率が40%より高い場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡圧が不足し、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。連続気泡率は35%以下がより好ましい。
発泡粒子は、40%以下の連続気泡率を示すことが好ましい。連続気泡率が40%より高い場合、発泡成形時に発泡粒子の発泡圧が不足し、発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となって繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。連続気泡率は35%以下がより好ましい。
(3)製造方法
発泡粒子の製造方法としては、樹脂粒子に発泡剤を気相含浸させて発泡性粒子を得、発泡性粒子を発泡させる方法が挙げられる。
まず、樹脂粒子の製造方法としては、
(i)原料樹脂(基材樹脂の構成樹脂の混合物)を押出機内で溶融混練し、混練物を押出機に取り付けたノズル金型から押出しながら切断した後に冷却することで製造する方法、(ii)原料樹脂を押出機内で溶融混練し、混練物を押出機に取り付けたノズル金型から押出した後、冷却してストランドを得、このストランドを所定間隔毎に切断することで製造する方法、
(iii)原料樹脂を押出機内で溶融混練し、混練物を押出機に取り付けた環状ダイ又はTダイから押出してシートを製造し、このシートを切断することで製造する方法
等が挙げられる。なお、押出機には気泡調整剤が供給されていてもよい。気泡調整剤としては、ポリテトラフルオロエチレン粉末、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン粉末、タルク等が挙げられる。気泡調整剤の量は、樹脂組成物100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。気泡調整剤の量が0.01重量未満の場合、発泡粒子の気泡が粗大となり、得られる発泡成形体の外観が低下することがある。5重量部より多い場合、破泡により発泡粒子の独立気泡率が低下することがある。気泡調整剤の量は、0.05〜3重量部がより好ましく、0.1〜2重量部が特に好ましい。
発泡粒子の製造方法としては、樹脂粒子に発泡剤を気相含浸させて発泡性粒子を得、発泡性粒子を発泡させる方法が挙げられる。
まず、樹脂粒子の製造方法としては、
(i)原料樹脂(基材樹脂の構成樹脂の混合物)を押出機内で溶融混練し、混練物を押出機に取り付けたノズル金型から押出しながら切断した後に冷却することで製造する方法、(ii)原料樹脂を押出機内で溶融混練し、混練物を押出機に取り付けたノズル金型から押出した後、冷却してストランドを得、このストランドを所定間隔毎に切断することで製造する方法、
(iii)原料樹脂を押出機内で溶融混練し、混練物を押出機に取り付けた環状ダイ又はTダイから押出してシートを製造し、このシートを切断することで製造する方法
等が挙げられる。なお、押出機には気泡調整剤が供給されていてもよい。気泡調整剤としては、ポリテトラフルオロエチレン粉末、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン粉末、タルク等が挙げられる。気泡調整剤の量は、樹脂組成物100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。気泡調整剤の量が0.01重量未満の場合、発泡粒子の気泡が粗大となり、得られる発泡成形体の外観が低下することがある。5重量部より多い場合、破泡により発泡粒子の独立気泡率が低下することがある。気泡調整剤の量は、0.05〜3重量部がより好ましく、0.1〜2重量部が特に好ましい。
次に、発泡性粒子の製造方法としては、密閉し得る容器中で、発泡剤を樹脂粒子に気相含浸させる方法が挙げられる。発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルのようなエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン等のフロン、二酸化炭素、窒素等の無機ガスが挙げられる。中でも、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましい。なお、発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
容器に投入される発泡剤量は、少なすぎると、発泡粒子を所望発泡倍率まで発泡できないことがある。発泡剤量は、多すぎると、発泡剤が可塑剤として作用することから基材樹脂の粘弾性が低下し過ぎて発泡性が低下し良好な発泡粒子を得ることができないことがある。従って、発泡剤量は、原料樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜4重量部がより好ましく、0.3〜3重量部が特に好ましい。
更に、発泡粒子の製造方法としては、密閉し得る容器中で、水蒸気のような加熱媒体で加熱する方法が挙げられる。加熱条件としては、例えば、0.3〜0.5MPaのゲージ圧、120〜159℃の温度、10〜180秒が挙げられる。
発泡粒子の粒径は押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型の径を変えること等によって変動させることができる。
更に、発泡粒子の製造方法としては、密閉し得る容器中で、水蒸気のような加熱媒体で加熱する方法が挙げられる。加熱条件としては、例えば、0.3〜0.5MPaのゲージ圧、120〜159℃の温度、10〜180秒が挙げられる。
発泡粒子の粒径は押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型の径を変えること等によって変動させることができる。
(発泡成形体)
(1)基材樹脂
発泡成形体は、オートクレーブ法による繊維強化複合体の製造用であり、共重合体AとBとを含む基材樹脂から構成され、共重合体Bが、共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含まれる。発泡成形体を構成する基材樹脂は、上記発泡粒子の基材樹脂と同様である。
(2)物性
発泡成形体を構成する融着した発泡粒子の平均粒子径は、600〜6000μmであることが好ましく、1200〜3600μmであることがより好ましい。
融着した発泡粒子の外形は、発泡成形体を維持できさえすれば特に限定されない。
(1)基材樹脂
発泡成形体は、オートクレーブ法による繊維強化複合体の製造用であり、共重合体AとBとを含む基材樹脂から構成され、共重合体Bが、共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含まれる。発泡成形体を構成する基材樹脂は、上記発泡粒子の基材樹脂と同様である。
(2)物性
発泡成形体を構成する融着した発泡粒子の平均粒子径は、600〜6000μmであることが好ましく、1200〜3600μmであることがより好ましい。
融着した発泡粒子の外形は、発泡成形体を維持できさえすれば特に限定されない。
発泡成形体は、20〜1.4倍の倍数を有することが好ましい。倍数が20倍より大きい場合、機械的物性が不十分となることがある。1.4倍より小さい場合、重量が増えるため発泡の利点が小さくなることがある。倍数は、14〜1.6倍がより好ましく、12.5〜2倍が特に好ましい。
発泡成形体は、40%以下の連続気泡率を示すことが好ましい。連続気泡率が40%より高い場合、繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。連続気泡率は35%以下がより好ましい。
発泡成形体の120℃における加熱寸法変化率は−1〜1%であることが好ましい。発泡成形体は、その加熱寸法変化率が−1〜1%であることによって高温環境下における用途にも好適に用いることができる。
発泡成形体における単位密度当たりの曲げ弾性率は、600MPa/(g/cm3)以上が好ましい。曲げ弾性率が小さすぎると、発泡成形体の表面に繊維強化プラスチックのような表皮材を積層一体化する際に加えられる圧力によって発泡成形体が変形することがある。
発泡成形体は、40%以下の連続気泡率を示すことが好ましい。連続気泡率が40%より高い場合、繊維強化複合体の機械的物性が低下することがある。連続気泡率は35%以下がより好ましい。
発泡成形体の120℃における加熱寸法変化率は−1〜1%であることが好ましい。発泡成形体は、その加熱寸法変化率が−1〜1%であることによって高温環境下における用途にも好適に用いることができる。
発泡成形体における単位密度当たりの曲げ弾性率は、600MPa/(g/cm3)以上が好ましい。曲げ弾性率が小さすぎると、発泡成形体の表面に繊維強化プラスチックのような表皮材を積層一体化する際に加えられる圧力によって発泡成形体が変形することがある。
(3)製造方法
発泡成形体の製造方法としては、発泡粒子を金型のキャビティ内に充填し、キャビティ内に加熱媒体を供給して、発泡粒子を加熱して再発泡させ、再発泡させた発泡粒子同士をこれらの発泡圧力によって互いに熱融着一体化させることによって発泡成形体を得る方法が挙げられる。加熱媒体としては、例えば、水蒸気、熱風、温水等が挙げられ、水蒸気が好ましい。
発泡成形体の製造方法としては、発泡粒子を金型のキャビティ内に充填し、キャビティ内に加熱媒体を供給して、発泡粒子を加熱して再発泡させ、再発泡させた発泡粒子同士をこれらの発泡圧力によって互いに熱融着一体化させることによって発泡成形体を得る方法が挙げられる。加熱媒体としては、例えば、水蒸気、熱風、温水等が挙げられ、水蒸気が好ましい。
(繊維強化複合体)
繊維強化複合体は、オートクレーブ法により製造され、発泡成形体と、その表面に積層一体化された繊維強化プラスチック層とを有する。発泡成形体は、共重合体AとBとを含む基材樹脂から構成され、共重合体Bが、共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含まれる。発泡成形体を構成する基材樹脂は、上記発泡粒子の基材樹脂と同様である。
発泡成形体が発泡シートである場合、発泡成形体の両面に積層一体化されている必要はなく、発泡成形体の両面のうち少なくとも一方の面に繊維強化プラスチックが積層一体化されていればよい。繊維強化プラスチックの積層は、強化複合体の用途に応じて決定すればよい。なかでも、強化複合体の表面硬度や機械的強度を考慮すると、発泡成形体の厚み方向における両面のそれぞれに繊維強化プラスチックが積層一体化されていることが好ましい。
繊維強化複合体は、オートクレーブ法により製造され、発泡成形体と、その表面に積層一体化された繊維強化プラスチック層とを有する。発泡成形体は、共重合体AとBとを含む基材樹脂から構成され、共重合体Bが、共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含まれる。発泡成形体を構成する基材樹脂は、上記発泡粒子の基材樹脂と同様である。
発泡成形体が発泡シートである場合、発泡成形体の両面に積層一体化されている必要はなく、発泡成形体の両面のうち少なくとも一方の面に繊維強化プラスチックが積層一体化されていればよい。繊維強化プラスチックの積層は、強化複合体の用途に応じて決定すればよい。なかでも、強化複合体の表面硬度や機械的強度を考慮すると、発泡成形体の厚み方向における両面のそれぞれに繊維強化プラスチックが積層一体化されていることが好ましい。
繊維強化プラスチックを構成している強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維、玄武岩繊維、セラミックス繊維等の無機繊維;ステンレス繊維、スチール繊維等の金属繊維;アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサドール(PBO)繊維等の有機繊維;ボロン繊維が挙げられる。強化繊維は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。なかでも、炭素繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維が好ましく、炭素繊維がより好ましい。これらの強化繊維は、軽量であるにも関わらず優れた機械的物性を有している。
強化繊維は、所望の形状に加工された強化繊維基材として用いられることが好ましい。強化繊維基材としては、強化繊維を用いてなる織物、編物、不織布、及び強化繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)を糸で結束(縫合)してなる面材等が挙げられる。織物の織り方としては、平織、綾織、朱子織等が挙げられる。また、糸としては、ポリアミド樹脂糸、ポリエステル樹脂糸等の合成樹脂糸、及びガラス繊維糸のようなステッチ糸が挙げられる。
強化繊維基材は、一枚の強化繊維基材のみを積層せずに用いてもよく、複数枚の強化繊維基材を積層して積層強化繊維基材として用いてもよい。複数枚の強化繊維基材を積層した積層強化繊維基材としては、(1)一種のみの強化繊維基材を複数枚用意し、これらの強化繊維基材を積層した積層強化繊維基材、(2)複数種の強化繊維基材を用意し、これらの強化繊維基材を積層した積層強化繊維基材、(3)強化繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)を糸で結束(縫合)してなる強化繊維基材を複数枚用意し、これらの強化繊維基材を繊維束の繊維方向が互いに相違した方向を指向するように重ね合わせ、重ね合わせた強化繊維基材同士を糸で一体化(縫合)してなる積層強化繊維基材等が用いられる。
強化繊維基材は、一枚の強化繊維基材のみを積層せずに用いてもよく、複数枚の強化繊維基材を積層して積層強化繊維基材として用いてもよい。複数枚の強化繊維基材を積層した積層強化繊維基材としては、(1)一種のみの強化繊維基材を複数枚用意し、これらの強化繊維基材を積層した積層強化繊維基材、(2)複数種の強化繊維基材を用意し、これらの強化繊維基材を積層した積層強化繊維基材、(3)強化繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)を糸で結束(縫合)してなる強化繊維基材を複数枚用意し、これらの強化繊維基材を繊維束の繊維方向が互いに相違した方向を指向するように重ね合わせ、重ね合わせた強化繊維基材同士を糸で一体化(縫合)してなる積層強化繊維基材等が用いられる。
繊維強化プラスチックは強化繊維に合成樹脂が含浸されてなるものである。含浸させた合成樹脂によって強化繊維同士を結着一体化させている。
強化繊維に合成樹脂を含浸させる方法としては、特に限定されず、例えば、(1)強化繊維を合成樹脂中に浸漬する方法、(2)強化繊維に合成樹脂を塗布する方法等が挙げられる。
強化繊維に含浸させる合成樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれも用いることができ、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。強化繊維に含浸させる熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂とを予備重合した樹脂等が挙げられ、耐熱性、衝撃吸収性又は耐薬品性に優れていることから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂には、硬化剤、硬化促進剤等の添加剤が含有されていてもよい。なお、熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
強化繊維に合成樹脂を含浸させる方法としては、特に限定されず、例えば、(1)強化繊維を合成樹脂中に浸漬する方法、(2)強化繊維に合成樹脂を塗布する方法等が挙げられる。
強化繊維に含浸させる合成樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれも用いることができ、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。強化繊維に含浸させる熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂とを予備重合した樹脂等が挙げられ、耐熱性、衝撃吸収性又は耐薬品性に優れていることから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂には、硬化剤、硬化促進剤等の添加剤が含有されていてもよい。なお、熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
また、強化繊維に含浸させる熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、アミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、サルファイド系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、発泡成形体との接着性又は繊維強化プラスチックを構成している強化繊維同士の接着性に優れていることから、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
熱可塑性エポキシ樹脂としては、エポキシ化合物同士の重合体又は共重合体であって直鎖構造を有する重合体や、エポキシ化合物と、このエポキシ化合物と重合し得る単量体との共重合体であって直鎖構造を有する共重合体が挙げられる。具体的には、熱可塑性エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましい。なお、熱可塑性エポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
熱可塑性エポキシ樹脂としては、エポキシ化合物同士の重合体又は共重合体であって直鎖構造を有する重合体や、エポキシ化合物と、このエポキシ化合物と重合し得る単量体との共重合体であって直鎖構造を有する共重合体が挙げられる。具体的には、熱可塑性エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましい。なお、熱可塑性エポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、ジオールとジイソシアネートとを重合させて得られる直鎖構造を有する重合体が挙げられる。ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。ジオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートが挙げられる。ジイソシアネートは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なお、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
繊維強化プラスチック中における合成樹脂の含有量は、20〜70重量%が好ましい。含油量が20重量%未満の場合、強化繊維同士の結着性や繊維強化プラスチックと発泡成形体との接着性が不十分となり、繊維強化プラスチックの機械的物性や繊維強化複合体の機械的強度を十分に向上できないことがある。70重量%より多い場合、繊維強化プラスチックの機械的物性が低下して、繊維強化複合体の機械的強度を十分に向上できないことがある。含有量は30〜60重量%がより好ましい。
繊維強化プラスチック中における合成樹脂の含有量は、20〜70重量%が好ましい。含油量が20重量%未満の場合、強化繊維同士の結着性や繊維強化プラスチックと発泡成形体との接着性が不十分となり、繊維強化プラスチックの機械的物性や繊維強化複合体の機械的強度を十分に向上できないことがある。70重量%より多い場合、繊維強化プラスチックの機械的物性が低下して、繊維強化複合体の機械的強度を十分に向上できないことがある。含有量は30〜60重量%がより好ましい。
繊維強化プラスチックの厚みは、0.02〜2mmが好ましく、0.05〜1mmがより好ましい。厚みがこの範囲内である繊維強化プラスチックは、軽量であるにも関わらず機械的物性に優れている。
繊維強化プラスチックの目付は、50〜4000g/m2が好ましく、100〜1000g/m2がより好ましい。目付がこの範囲内である繊維強化プラスチックは、軽量であるにも関わらず機械的物性に優れている。
繊維強化プラスチックの目付は、50〜4000g/m2が好ましく、100〜1000g/m2がより好ましい。目付がこの範囲内である繊維強化プラスチックは、軽量であるにも関わらず機械的物性に優れている。
(繊維強化複合体の製造方法)
繊維強化複合体は、
(i)発泡成形体の表面に強化繊維に合成樹脂が含浸されてなる繊維強化プラスチック形成材を積層した積層体を得る工程、
(ii)積層体をオートクレーブ内で減圧後、加熱押圧することで、発泡成形体と、発泡成形体の表面に積層一体化された繊維強化プラスチック形成材に由来する繊維強化プラスチック層とを有する繊維強化複合体を得る工程
を含む。
工程(i)において、繊維強化プラスチック形成材の積層方法は、工程(ii)において、発泡成形体と繊維強化プラスチック形成材との間にズレが生じなければ、特に限定されない。必要に応じて、接着剤を用いて、発泡成形体と繊維強化プラスチック形成材とを積層してもよい。
繊維強化複合体は、
(i)発泡成形体の表面に強化繊維に合成樹脂が含浸されてなる繊維強化プラスチック形成材を積層した積層体を得る工程、
(ii)積層体をオートクレーブ内で減圧後、加熱押圧することで、発泡成形体と、発泡成形体の表面に積層一体化された繊維強化プラスチック形成材に由来する繊維強化プラスチック層とを有する繊維強化複合体を得る工程
を含む。
工程(i)において、繊維強化プラスチック形成材の積層方法は、工程(ii)において、発泡成形体と繊維強化プラスチック形成材との間にズレが生じなければ、特に限定されない。必要に応じて、接着剤を用いて、発泡成形体と繊維強化プラスチック形成材とを積層してもよい。
工程(ii)において、積層体は、通常、一対の押圧部材間に保持される。押圧部材の積層体接触面は、離型処理が施されていてもよい。次に、少なくとも積層体の露出部を、減圧に耐え得るフィルム(所謂、バギングフィルム)で覆う。バギングフィルムと積層体との間には、繊維強化プラスチック形成材に由来する余分なプラスチックを吸収するために、減圧を妨げない布(所謂、ブリーザークロス)を介在させてもよい。また、繊維強化複合体形成後のブリーザークロスの剥離性を高めるために、ブリーザークロスと押圧部材との間には、リリースフィルムを介在させてもよい。
上記積層体、押圧部材、各種フィルム及びクロスから構成される構造を、積層構造体と称する。
上記積層体、押圧部材、各種フィルム及びクロスから構成される構造を、積層構造体と称する。
次に、積層構造体をオートクレーブ内に入れる。オートクレーブは、特に限定されず、公知のものを使用できる。オートクレーブ内で積層体を減圧処理に付す。減圧の程度は、−0.05MPa以下であることが好ましい。
次いで、一方の押圧部材を介して積層体を加熱しながら押圧することで、繊維強化複合体を得ることができる。ここで、加熱温度は、120〜140℃であることが好ましい。また、押圧の程度は、0.05〜1.5MPaであることが好ましい。
なお、合成樹脂が熱硬化性樹脂の場合、積層体は、押圧時の加熱前に、予備加熱に付されてもよい。予備加熱に付すことで、熱硬化性樹脂が一部溶融し、その結果、発泡成形体と繊維強化プラスチック層との結着性が向上した繊維強化複合体を提供できる。
次いで、一方の押圧部材を介して積層体を加熱しながら押圧することで、繊維強化複合体を得ることができる。ここで、加熱温度は、120〜140℃であることが好ましい。また、押圧の程度は、0.05〜1.5MPaであることが好ましい。
なお、合成樹脂が熱硬化性樹脂の場合、積層体は、押圧時の加熱前に、予備加熱に付されてもよい。予備加熱に付すことで、熱硬化性樹脂が一部溶融し、その結果、発泡成形体と繊維強化プラスチック層との結着性が向上した繊維強化複合体を提供できる。
このようにして得られた繊維強化複合体は、耐熱性及び機械的強度に優れている。加えて、オートクレーブ法に付したときの加熱でも発泡成形体の厚さの減少割合を小さくできているため、より軽量の繊維強化複合体を提供できる。そのため、自動車、航空機、鉄道車輛、船舶等の輸送機器分野、家電分野、情報端末分野、家具の分野等の広範な用途に用いることができる。
例えば、繊維強化複合体は、輸送機器の部品、及び、輸送機器の本体を構成する構造部品を含めた輸送機器構成用部品(特に自動車用部品)、風車翼、ロボットアーム、ヘルメット用緩衝材、農産箱、保温保冷容器等の輸送容器、産業用ヘリコプターのローターブレード、部品梱包材として好適に用いることができる。
例えば、繊維強化複合体は、輸送機器の部品、及び、輸送機器の本体を構成する構造部品を含めた輸送機器構成用部品(特に自動車用部品)、風車翼、ロボットアーム、ヘルメット用緩衝材、農産箱、保温保冷容器等の輸送容器、産業用ヘリコプターのローターブレード、部品梱包材として好適に用いることができる。
本発明によれば、本発明の繊維強化複合体から構成される自動車用部品が提供され、その自動車用部品としては、例えば、フロアパネル、ルーフ、ボンネット、フェンダー、アンダーカバー、ホイール、ステアリングホイール、コンテナ(筐体)、フードパネル、サスペンションアーム、バンパー、サンバイザー、トランクリッド、ラゲッジボックス、シート、ドア、カウル等の部品が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本実施例に何ら限定されるものでない。まず、実施例及び比較例の評価方法について説明する。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度は、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行った。
示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんした。試料を、窒素ガス流量20mL/minの下、20℃/minの昇温速度で30℃から220℃まで昇温した。10分間保持後速やかに試料を取出し、25±10℃の環境下にて放冷させた後、20℃/minの昇温速度で30℃から220℃まで昇温した時に得られたDSC曲線よりガラス転移温度(開始点)を算出した。この時に基準物質としてアルミナを用いた。このガラス転移開始温度は規格(9.3「ガラス転移温度の求め方」)より求めた。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度は、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行った。
示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんした。試料を、窒素ガス流量20mL/minの下、20℃/minの昇温速度で30℃から220℃まで昇温した。10分間保持後速やかに試料を取出し、25±10℃の環境下にて放冷させた後、20℃/minの昇温速度で30℃から220℃まで昇温した時に得られたDSC曲線よりガラス転移温度(開始点)を算出した。この時に基準物質としてアルミナを用いた。このガラス転移開始温度は規格(9.3「ガラス転移温度の求め方」)より求めた。
(嵩密度及び嵩倍数)
嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定した。即ち、JIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいて嵩密度を測定した。
発泡粒子の嵩密度(g/cm3)=〔試料を入れたメスシリンダーの重量(g)−メスシリンダーの重量(g)〕/〔メスシリンダーの容量(cm3)〕
嵩倍数は、嵩密度の逆数に樹脂の密度を積算した値とした。
嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定した。即ち、JIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいて嵩密度を測定した。
発泡粒子の嵩密度(g/cm3)=〔試料を入れたメスシリンダーの重量(g)−メスシリンダーの重量(g)〕/〔メスシリンダーの容量(cm3)〕
嵩倍数は、嵩密度の逆数に樹脂の密度を積算した値とした。
(密度及び倍数)
発泡成形体から切り出した試験片(例75×300×30mm)の重量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(g/cm3)を求めた。
倍数は、密度の逆数に樹脂の密度を積算した値とした。
発泡成形体から切り出した試験片(例75×300×30mm)の重量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(g/cm3)を求めた。
倍数は、密度の逆数に樹脂の密度を積算した値とした。
(FT−IR)
基材樹脂の吸光度比(D1780/D698、D1720/D698)を次の要領で測定した。
無作為に選択した10個の各樹脂粒子について、赤外分光分析ATR測定法により表面分析を行って赤外吸収スペクトルを得た。この分析では、試料表面から数μm(約2μm)までの深さの範囲の赤外吸収スペクトルが得られた。各赤外吸収スペクトルから吸光度比(D1780/D698、D1720/D698)を算出し、算出した吸光度比の相加平均を吸光度比とした。
吸光度D1780、D1720及びD698は、Thermo SCIENTIFIC社から商品名「フーリエ変換赤外分光光度計 Nicolet iS10」で販売されている測定装置に、ATRアクセサリーとしてThermo SCIENTIFIC社製「Smart−iTR」を接続して測定した。以下の条件にて赤外分光分析ATR測定を行った。
基材樹脂の吸光度比(D1780/D698、D1720/D698)を次の要領で測定した。
無作為に選択した10個の各樹脂粒子について、赤外分光分析ATR測定法により表面分析を行って赤外吸収スペクトルを得た。この分析では、試料表面から数μm(約2μm)までの深さの範囲の赤外吸収スペクトルが得られた。各赤外吸収スペクトルから吸光度比(D1780/D698、D1720/D698)を算出し、算出した吸光度比の相加平均を吸光度比とした。
吸光度D1780、D1720及びD698は、Thermo SCIENTIFIC社から商品名「フーリエ変換赤外分光光度計 Nicolet iS10」で販売されている測定装置に、ATRアクセサリーとしてThermo SCIENTIFIC社製「Smart−iTR」を接続して測定した。以下の条件にて赤外分光分析ATR測定を行った。
<測定条件>
・測定装置:フーリエ変換赤外分光光度計 Nicolet iS10(Thermo SCIENTIFIC社製)及び一回反射型水平状ATR Smart−iTR(Thermo SCIENTIFIC社製)
・ATRクリスタル:Diamond with ZnSe lens、角度=42°
・測定法:一回ATR法
・測定波数領域:4000cm-1〜650cm-1
・測定深度の波数依存性:補正せず
・検出器:重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器及びKBrビームスプリッター・分解能:4cm-1
・積算回数:16回(バックグランド測定時も同様)
ATR法では、試料と高屈折率結晶の密着度合によって測定で得られる赤外吸収スペクトルの強度が変化するため、ATRアクセサリーの「Smart−iTR」で掛けられる最大荷重を掛けて密着度合をほぼ均一にして測定を行なった。
・測定装置:フーリエ変換赤外分光光度計 Nicolet iS10(Thermo SCIENTIFIC社製)及び一回反射型水平状ATR Smart−iTR(Thermo SCIENTIFIC社製)
・ATRクリスタル:Diamond with ZnSe lens、角度=42°
・測定法:一回ATR法
・測定波数領域:4000cm-1〜650cm-1
・測定深度の波数依存性:補正せず
・検出器:重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器及びKBrビームスプリッター・分解能:4cm-1
・積算回数:16回(バックグランド測定時も同様)
ATR法では、試料と高屈折率結晶の密着度合によって測定で得られる赤外吸収スペクトルの強度が変化するため、ATRアクセサリーの「Smart−iTR」で掛けられる最大荷重を掛けて密着度合をほぼ均一にして測定を行なった。
以上の条件で得られた赤外線吸収スペクトルは、次のようにピーク処理をしてそれぞれのD1780、D1720及びD698を求めた。
赤外吸収スペクトルから得られる1780cm-1での吸光度D1780は、無水マレイン酸中の2つのカルボニル基のC=Oによる逆対称の伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度とした。
この吸光度の測定では、1780cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しなかった。吸光度D1780は、1920cm-1と1620cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、1810cm-1と1745cm-1間の最大吸光度を意味した。
赤外吸収スペクトルから得られる1780cm-1での吸光度D1780は、無水マレイン酸中の2つのカルボニル基のC=Oによる逆対称の伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度とした。
この吸光度の測定では、1780cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しなかった。吸光度D1780は、1920cm-1と1620cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、1810cm-1と1745cm-1間の最大吸光度を意味した。
また、1720cm-1での吸光度D1720は、メタクリル酸メチル中に含まれるカルボニル基C=Oによる逆対称の伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度とした。
この吸光度の測定では、1720cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しなかった。吸光度D1720は、1920cm-1と1620cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、1745cm-1と1690cm-1間の最大吸光度を意味した。
この吸光度の測定では、1720cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しなかった。吸光度D1720は、1920cm-1と1620cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、1745cm-1と1690cm-1間の最大吸光度を意味した。
698cm-1での吸光度D698は、スチレン中の1置換ベンゼン環中のC−Hの面外変角振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度とした。
この吸光度の測定では、698cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しなかった。吸光度D698は、1510cm-1と810cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、720cm-1と660cm-1間の最大吸光度を意味した。
この吸光度の測定では、698cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しなかった。吸光度D698は、1510cm-1と810cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、720cm-1と660cm-1間の最大吸光度を意味した。
スチレン、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸比率(質量%)を、後述の検量線に基づいて、吸光度比(D1780/D698、D1720/D698)から算出した。なお、ピーク処理方法は前述の樹脂粒子と同様の方法を用いた。
吸光度比からスチレンとメタクリル酸メチルの組成割合を求める方法としては、スチレン樹脂とメタクリル酸メチル樹脂とを所定の組成割合に均一に混合してなる複数種類の標準試料を作製した。
具体的には、メタクリル酸メチルとスチレンとをそれぞれ0/100、20/80、40/60、50/50及び60/40の重量割合で計量した単量体を10mlのスクリューバイアルに入れ、ここに単量体100重量部に対して10重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加えて単量体を溶解させた。得られた混合液を2ml試料管(φ7mm×122mm×190mm)に移し入れ、窒素パージした後に封管した。次にこれを65℃に設定したウォーターバスに入れ、10時間加熱して重合を完了させ、アンプルから取り出した重合体を標準試料とした。
各標準試料について赤外分光分析ATR法により赤外線吸収スペクトルを得た後に吸光度比(D1780/D698)を算出した。そして、縦軸に組成割合(標準試料中のスチレン樹脂比率=質量%)を、横軸に吸光度比(D1780/D698)をとることで検量線を描いた。この検量線に基づいて、スチレン樹脂とメタクリル酸メチル樹脂の組成割合を求めた。
吸光度比からスチレンとメタクリル酸メチルの組成割合を求める方法としては、スチレン樹脂とメタクリル酸メチル樹脂とを所定の組成割合に均一に混合してなる複数種類の標準試料を作製した。
具体的には、メタクリル酸メチルとスチレンとをそれぞれ0/100、20/80、40/60、50/50及び60/40の重量割合で計量した単量体を10mlのスクリューバイアルに入れ、ここに単量体100重量部に対して10重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加えて単量体を溶解させた。得られた混合液を2ml試料管(φ7mm×122mm×190mm)に移し入れ、窒素パージした後に封管した。次にこれを65℃に設定したウォーターバスに入れ、10時間加熱して重合を完了させ、アンプルから取り出した重合体を標準試料とした。
各標準試料について赤外分光分析ATR法により赤外線吸収スペクトルを得た後に吸光度比(D1780/D698)を算出した。そして、縦軸に組成割合(標準試料中のスチレン樹脂比率=質量%)を、横軸に吸光度比(D1780/D698)をとることで検量線を描いた。この検量線に基づいて、スチレン樹脂とメタクリル酸メチル樹脂の組成割合を求めた。
また、スチレン樹脂と無水マレイン酸樹脂の標準試料としては、スチレンと無水マレイン酸の1/1共重合体(商品名SMA1000(P)CRAY VALLEY社製)及びスチレンと無水マレイン酸の3/1共重合体(SMA3000(P)CRAY VALLEY社製)を用いた。
各標準試料について赤外分光分析ATR法により赤外線吸収スペクトルを得た後に吸光度比(D1720/D698)を算出した。そして、縦軸に組成割合(標準試料中のスチレン樹脂比率=質量%)を、横軸に吸光度比(D1720/D698)をとることで検量線を描いた。この検量線に基づいて、スチレン樹脂と無水マレイン酸樹脂の組成割合を求めた。
各標準試料について赤外分光分析ATR法により赤外線吸収スペクトルを得た後に吸光度比(D1720/D698)を算出した。そして、縦軸に組成割合(標準試料中のスチレン樹脂比率=質量%)を、横軸に吸光度比(D1720/D698)をとることで検量線を描いた。この検量線に基づいて、スチレン樹脂と無水マレイン酸樹脂の組成割合を求めた。
検量線からスチレンとメタクリル酸メチル及びスチレンと無水マレイン酸の組成割合を求めた。それぞれの組成割合から、樹脂中のスチレン、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸の3成分の組成割合を以下の手順で求めた。
ここで、各標準試料の割合を以下のように設定した。
メタクリル酸メチル:スチレン=A:B [1]
スチレン:無水マレイン酸 =C:D [2]
スチレンが共通項なので、[2]のスチレン割合Cを[1]のスチレン割合Bに合わせた。
[2]より
スチレン :無水マレイン酸
=C :D
=C×(B/C):D×(B/C)
=B :D×(B/C) [3]
[3]より、スチレンの割合が[1]と等しくなるので、[1]、[3]よりメタクリル酸メチル、スチレン、無水マレイン酸の存在比は以下のようになった。
メタクリル酸メチル:スチレン:無水マレイン酸
=A :B :D×(B/C) [4]
[4]の存在比より、各成分の割合は以下のようになった。
メタクリル酸メチル={A/((A+B+D×(B/C))}×100
スチレン ={B/((A+B+D×(B/C))}×100
無水マレイン酸 ={D×(B/C)/((A+B+D×(B/C))}×100
ここで、各標準試料の割合を以下のように設定した。
メタクリル酸メチル:スチレン=A:B [1]
スチレン:無水マレイン酸 =C:D [2]
スチレンが共通項なので、[2]のスチレン割合Cを[1]のスチレン割合Bに合わせた。
[2]より
スチレン :無水マレイン酸
=C :D
=C×(B/C):D×(B/C)
=B :D×(B/C) [3]
[3]より、スチレンの割合が[1]と等しくなるので、[1]、[3]よりメタクリル酸メチル、スチレン、無水マレイン酸の存在比は以下のようになった。
メタクリル酸メチル:スチレン:無水マレイン酸
=A :B :D×(B/C) [4]
[4]の存在比より、各成分の割合は以下のようになった。
メタクリル酸メチル={A/((A+B+D×(B/C))}×100
スチレン ={B/((A+B+D×(B/C))}×100
無水マレイン酸 ={D×(B/C)/((A+B+D×(B/C))}×100
(繊維強化複合体の厚さの減少割合)
発泡成形体の厚み方向に直交する両面のそれぞれに積層繊維強化プラスチック形成材を積層して得られた積層体の厚さAを測定した。オートクレーブ法により製造された繊維強化複合体の厚さBを測定した。減少割合を、厚さB÷厚さA×100の計算式により算出した。
発泡成形体の厚み方向に直交する両面のそれぞれに積層繊維強化プラスチック形成材を積層して得られた積層体の厚さAを測定した。オートクレーブ法により製造された繊維強化複合体の厚さBを測定した。減少割合を、厚さB÷厚さA×100の計算式により算出した。
(実施例1)
(樹脂粒子製造工程)
スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体A(商品名「DENKA RESISFY R−310」、電気化学工業社製、スチレン:62重量部、メタクリル酸メチル:12重量部、無水マレイン酸:26重量部、密度1.15g/cm3)を80重量部、スチレン−無水マレイン酸−N−フェニルマレイミド共重合体B(商品名「DENKA IP MS−NIP」、電気化学工業社製、スチレン:57重量部、無水マレイン酸:5重量部、N−フェニルマレイミド:38重量部、密度1.18g/cm3、ガラス転移温度Tg186℃)を20重量部を含む樹脂組成物を口径が30mmの二軸押出機に供給して260℃で溶融混練した。続いて、二軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型〔円状に、直径1.0mmのノズルが12個、配置されたもの〕の各ノズルから樹脂組成物を押出した。押出した樹脂を、直ちに冷却水槽で冷却した。そして、冷却されたストランド状の樹脂を十分に水切りしたのち、ペレタイザーを用いて小粒状に切断して樹脂粒子を製造した。得られた樹脂粒子は、粒子の長さLが1.3〜1.8mmで、粒子の径Dが1.0〜1.2mmであった。
(樹脂粒子製造工程)
スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体A(商品名「DENKA RESISFY R−310」、電気化学工業社製、スチレン:62重量部、メタクリル酸メチル:12重量部、無水マレイン酸:26重量部、密度1.15g/cm3)を80重量部、スチレン−無水マレイン酸−N−フェニルマレイミド共重合体B(商品名「DENKA IP MS−NIP」、電気化学工業社製、スチレン:57重量部、無水マレイン酸:5重量部、N−フェニルマレイミド:38重量部、密度1.18g/cm3、ガラス転移温度Tg186℃)を20重量部を含む樹脂組成物を口径が30mmの二軸押出機に供給して260℃で溶融混練した。続いて、二軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型〔円状に、直径1.0mmのノズルが12個、配置されたもの〕の各ノズルから樹脂組成物を押出した。押出した樹脂を、直ちに冷却水槽で冷却した。そして、冷却されたストランド状の樹脂を十分に水切りしたのち、ペレタイザーを用いて小粒状に切断して樹脂粒子を製造した。得られた樹脂粒子は、粒子の長さLが1.3〜1.8mmで、粒子の径Dが1.0〜1.2mmであった。
(含浸工程)
上記樹脂粒子100重量部を圧力容器中に密閉し、圧力容器内を炭酸ガスで置換した後、炭酸ガスを、含浸圧0.5MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、含浸時間24時間が経過した後、5分間かけて圧力容器内をゆっくりと除圧した。このようにして、樹脂粒子に炭酸ガスを含浸させて、発泡性粒子を得た。
(発泡工程)
上記含浸工程における除圧の後直ぐに、圧力容器から発泡性粒子を取り出した後、炭酸カルシウム0.08重量部を添加し、混合した。その後、水蒸気を用いて、発泡温度146℃で150秒撹拌しながら、高圧の発泡槽で、上記含浸物を水蒸気により発泡させた。発泡後に、高圧の発泡槽から粒子を取り出して、塩化水素水溶液で炭酸カルシウムを除去した後に、気流乾燥機にて乾燥を行い、発泡粒子を得た。発泡粒子の嵩倍数は、10倍であった。
上記樹脂粒子100重量部を圧力容器中に密閉し、圧力容器内を炭酸ガスで置換した後、炭酸ガスを、含浸圧0.5MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、含浸時間24時間が経過した後、5分間かけて圧力容器内をゆっくりと除圧した。このようにして、樹脂粒子に炭酸ガスを含浸させて、発泡性粒子を得た。
(発泡工程)
上記含浸工程における除圧の後直ぐに、圧力容器から発泡性粒子を取り出した後、炭酸カルシウム0.08重量部を添加し、混合した。その後、水蒸気を用いて、発泡温度146℃で150秒撹拌しながら、高圧の発泡槽で、上記含浸物を水蒸気により発泡させた。発泡後に、高圧の発泡槽から粒子を取り出して、塩化水素水溶液で炭酸カルシウムを除去した後に、気流乾燥機にて乾燥を行い、発泡粒子を得た。発泡粒子の嵩倍数は、10倍であった。
(成形工程)
得られた発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、圧力容器中に密閉した。圧力容器内を炭酸ガスで置換した後、炭酸ガスを、含浸圧(ゲージ圧)0.4MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、加圧養生を8時間実施した。取り出し後、30mm×300mm×400mmの成形用金型に充填し、0.45MPaの水蒸気にて60秒間加熱を行い、次いで、発泡成形体の最高面圧が0.01MPaに低下するまで冷却することで、厚み30mm×縦300mm×横400mmの発泡成形体を得た。発泡成形体の倍数は、10倍であった。
得られた発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、圧力容器中に密閉した。圧力容器内を炭酸ガスで置換した後、炭酸ガスを、含浸圧(ゲージ圧)0.4MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、加圧養生を8時間実施した。取り出し後、30mm×300mm×400mmの成形用金型に充填し、0.45MPaの水蒸気にて60秒間加熱を行い、次いで、発泡成形体の最高面圧が0.01MPaに低下するまで冷却することで、厚み30mm×縦300mm×横400mmの発泡成形体を得た。発泡成形体の倍数は、10倍であった。
(繊維強化工程)
炭素繊維からなる綾織の織物からなる強化繊維基材に、未硬化のエポキシ樹脂(ガラス転移温度128℃)が40重量%含浸されている繊維強化プラスチック形成材(厚み0.23mm、目付:200g/m2、三菱レイヨン社製「パイロフィルプリプレグ TR3523−395GMP」)を4枚用意した。
2枚の繊維強化プラスチック形成材を、強化繊維基材の経糸の長さ方向同士の交差角度が90°となるように重ね合わせた。次いで、2枚の繊維強化プラスチック形成材が重なり合っている部分を縦300mm×横400mmの平面長方形状に切り出して積層繊維強化プラスチック形成材を作製した。同様の要領でもう一枚の積層繊維強化プラスチック形成材を作製した。
発泡成形体の厚み方向に直交する両面のそれぞれに積層繊維強化プラスチック形成材を積層して厚み約31mmの積層体を作製した。
炭素繊維からなる綾織の織物からなる強化繊維基材に、未硬化のエポキシ樹脂(ガラス転移温度128℃)が40重量%含浸されている繊維強化プラスチック形成材(厚み0.23mm、目付:200g/m2、三菱レイヨン社製「パイロフィルプリプレグ TR3523−395GMP」)を4枚用意した。
2枚の繊維強化プラスチック形成材を、強化繊維基材の経糸の長さ方向同士の交差角度が90°となるように重ね合わせた。次いで、2枚の繊維強化プラスチック形成材が重なり合っている部分を縦300mm×横400mmの平面長方形状に切り出して積層繊維強化プラスチック形成材を作製した。同様の要領でもう一枚の積層繊維強化プラスチック形成材を作製した。
発泡成形体の厚み方向に直交する両面のそれぞれに積層繊維強化プラスチック形成材を積層して厚み約31mmの積層体を作製した。
オートクレーブ法は、以下の手順で行った。
まず、アルミニウム板を用意し、このアルミニウム板の上面に離型剤(ケムリースジャパン社製「ケムリース2166」)を塗布して一日放置し、アルミニウム板の上面に離型処理を施した。なお、アルミニウム板上面の外周縁部には、後記する封止材10aやバックバルブ10bを配置するため、離型処理は施さなかった。図1に示すように、上面に離型処理を施したアルミニウム板を押圧部材10cとして用い、押圧部材10cの離型処理を施した面上に、積層体9を載置した。積層体9中、1は発泡成形体、8は積層繊維強化プラスチック形成材を意味する。
まず、アルミニウム板を用意し、このアルミニウム板の上面に離型剤(ケムリースジャパン社製「ケムリース2166」)を塗布して一日放置し、アルミニウム板の上面に離型処理を施した。なお、アルミニウム板上面の外周縁部には、後記する封止材10aやバックバルブ10bを配置するため、離型処理は施さなかった。図1に示すように、上面に離型処理を施したアルミニウム板を押圧部材10cとして用い、押圧部材10cの離型処理を施した面上に、積層体9を載置した。積層体9中、1は発泡成形体、8は積層繊維強化プラスチック形成材を意味する。
次に、上記と同様にして、下面に離型処理を施したアルミニウム板を押圧部材10dとして用意し、積層体9上に押圧部材10dを積層した。この時、押圧部材10dの離型処理面が積層体9と接触するようにした。しかる後、貫通孔を有するリリースフィルム10e(AIRTECH社製「WL5200B−P」)及びブリーザークロス10f(AIRTECH社製「AIRWEAVE N4」)を押圧部材10d上に積層し、押圧部材10dを全面的に覆った。リリースフィルム10eには、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体フィルムで形成されたものを用いた。また、リリースフィルム10eには、両面間に亘って貫通する多数の貫通孔を有し、積層シート中のエポキシ樹脂を通過可能なものを用いた。ブリーザークロス10fには、ポリエステル不織布で形成され、エポキシ樹脂を含浸させることができるものを用いた。
ブリーザークロス10f上にバギングフィルム10g(AIRTECH社製「WL7400」)を被せ、バギングフィルム10gの外周縁部とこれに対向する押圧部材10cとの間を封止材10a(AIRTECH社製のシーラントテープ「GS43MR」)を用いて接合した。そして、バギングフィルム10gによって積層体9を密封して積層構造体を作製した。なお、バギングフィルム10gには、ナイロンフィルムで形成され、一部にバックバルブ10b(AIRTECH社製「VAC VALVE 402A」)を配置したものを用いた。
次に、積層構造体をオートクレーブ内に供給し、積層構造体のバックバルブ10bを真空ラインと接続し、バギングフィルム10gで密封された空間部10hを真空度0.10MPaに減圧した。なお、空間部10hの減圧はその後も継続して行った。しかる後、積層体9をその表面温度が90℃となるように加熱して、積層シート中のエポキシ樹脂を溶融させ、溶融状態のエポキシ樹脂を滲出させて、芯材の空隙部に充填した。このとき余分なエポキシ樹脂は空間部10hの外に順次、排出した。
次に、積層体9を135℃に加熱して60分間に亘って保持し、積層体9を発泡成形体1の厚み方向に0.3MPaの圧力で加圧した。そして、この加熱によってエポキシ樹脂を硬化させた。その後、積層体9を30℃に冷却し、繊維強化プラスチック層が発泡成形体の両面に積層された。得られた繊維強化複合体をオートクレーブから取り出した。繊維強化複合体の厚さは27.5mmであった。
(実施例2)
樹脂粒子製造工程において、スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体Aを85重量部とし、スチレン−無水マレイン酸−N−フェニルマレイミド共重合体Bを15重量部としたことと、成形工程において、0.43MPaの水蒸気にて60秒間加熱を行ったこと以外は実施例1と同様にして、発泡粒子、発泡成形体、繊維強化複合体を得た。繊維強化複合体の厚さは26.6mmであった。
樹脂粒子製造工程において、スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体Aを85重量部とし、スチレン−無水マレイン酸−N−フェニルマレイミド共重合体Bを15重量部としたことと、成形工程において、0.43MPaの水蒸気にて60秒間加熱を行ったこと以外は実施例1と同様にして、発泡粒子、発泡成形体、繊維強化複合体を得た。繊維強化複合体の厚さは26.6mmであった。
(実施例3)
樹脂粒子製造工程において、スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体Aを90重量部とし、スチレン−無水マレイン酸−N−フェニルマレイミド共重合体Bを10重量部としたことと、発泡工程において、水蒸気を用いて、発泡温度143℃で150秒撹拌しながら、高圧の発泡槽で発泡させたことと、成形工程において、0.40MPaの水蒸気にて60秒間加熱を行ったこと以外は実施例1と同様にして、発泡粒子、発泡成形体、繊維強化複合体を得た。繊維強化複合体の厚さは26.8mmであった。
樹脂粒子製造工程において、スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体Aを90重量部とし、スチレン−無水マレイン酸−N−フェニルマレイミド共重合体Bを10重量部としたことと、発泡工程において、水蒸気を用いて、発泡温度143℃で150秒撹拌しながら、高圧の発泡槽で発泡させたことと、成形工程において、0.40MPaの水蒸気にて60秒間加熱を行ったこと以外は実施例1と同様にして、発泡粒子、発泡成形体、繊維強化複合体を得た。繊維強化複合体の厚さは26.8mmであった。
(比較例1)
樹脂粒子製造工程において、スチレン−無水マレイン酸−N−フェニルマレイミド共重合体を使用しないことと、発泡工程において、水蒸気を用いて、発泡温度142℃で150秒撹拌しながら、高圧の発泡槽で発泡させたことと、成形工程において、0.38MPaの水蒸気にて60秒間加熱を行ったこと以外は実施例1と同様にして、発泡粒子、発泡成形体、繊維強化複合体を得た。繊維強化複合体の厚さは19.2mmであった。
樹脂粒子製造工程において、スチレン−無水マレイン酸−N−フェニルマレイミド共重合体を使用しないことと、発泡工程において、水蒸気を用いて、発泡温度142℃で150秒撹拌しながら、高圧の発泡槽で発泡させたことと、成形工程において、0.38MPaの水蒸気にて60秒間加熱を行ったこと以外は実施例1と同様にして、発泡粒子、発泡成形体、繊維強化複合体を得た。繊維強化複合体の厚さは19.2mmであった。
実施例1〜3及び比較例1の基材樹脂の内容、発泡粒子の嵩倍数、発泡成形体の倍数、繊維強化複合体の厚さの減少割合を表1にまとめて示す。また、実施例1〜3及び比較例1の繊維強化複合体の側面写真を図2〜5に示す。
表1から、実施例1〜3の発泡粒子は、厚さの減少割合の小さな繊維強化複合体を与え得ることが分かる。また、図2〜5から、実施例1〜3の繊維強化複合体は、厚さの減少割合が小さいことが確認できる。
1 発泡成形体、8 積層繊維強化プラスチック形成材、9 積層体、10a 封止材、10b バックバルブ、10c 押圧部材、10d 押圧部材、10e リリースフィルム、10f ブリーザークロス、10g バギングフィルム、10h 空間部
Claims (6)
- 芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体Aと、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体Bとを含む基材樹脂から構成され、前記共重合体Bが、前記共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含まれる発泡粒子であり、前記発泡粒子が、オートクレーブ法による繊維強化複合体の製造用であることを特徴とする発泡粒子。
- 芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体Aと、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体Bとを含む基材樹脂から構成され、前記共重合体Bが、前記共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含まれる発泡成形体であり、前記発泡成形体が、オートクレーブ法による繊維強化複合体の製造用であることを特徴とする発泡成形体。
- 芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体Aと、芳香族ビニル−不飽和ジカルボン酸−不飽和ジカルボン酸イミド共重合体Bとを含む基材樹脂から構成され、前記共重合体Bが、前記共重合体AとBの合計に対して、1〜50重量%含まれる発泡成形体と、前記発泡成形体の表面にオートクレーブ法により積層一体化された繊維強化プラスチック層とを有することを特徴とする繊維強化複合体。
- 前記繊維強化複合体が、風車翼、ロボットアーム又は自動車用部品に用いられる請求項3に記載の繊維強化複合体。
- 請求項3又は4に記載の繊維強化複合体の製造方法であって、
発泡成形体の表面に強化繊維に合成樹脂が含浸されてなる繊維強化プラスチック形成材を積層した積層体を得る工程、
前記積層体をオートクレーブ内で減圧後、加熱押圧することで、前記発泡成形体と、前記発泡成形体の表面に積層一体化された前記繊維強化プラスチック形成材に由来する繊維強化プラスチック層とを有する繊維強化複合体を得る工程
を含むことを特徴とする繊維強化複合体の製造方法。 - 請求項3又は4に記載の繊維強化複合体から構成される自動車用部品。
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2017
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