JP2019042109A - 生体用電極および生体用電極の製造方法 - Google Patents

生体用電極および生体用電極の製造方法 Download PDF

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俊宣 藤枝
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奈々 小久保
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祐磨 鉄
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Abstract

【課題】簡便に作製でき、適度な柔軟性と硬さを有し、取扱いが容易で、低侵襲性の生体用電極を提供する。【解決手段】自立性高分子薄膜30と、該自立性高分子薄膜の少なくとも一方の膜面に形成される電極層40を備える構造体20と、該構造体を被覆し、絶縁層60および水溶性膜70を備える外層50と、前記電極層の一部であって、該電極層に含まれる電極材が該外層から露出する電極部とを備える生体用電極10である。該水溶性膜の材料は、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アガロース、ヒアルロン酸、アルギン酸、砂糖、塩、高分子電解質からなる群から一種以上選択されることが好ましい。該生体用電極の該電極部を含む部分の形状が、中心軸を有し、その軸方向が該電極層を構成する一の配線の延伸方向と同方向の中心軸を有する形状であって、該形状は、針状体、円錐体、多角錘体、円柱体、多角柱体からなる群から一つ選択されることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、生体用電極および生体用電極の製造方法に関する。
従来、電気生理学の分野における、脳、心臓、筋肉等の生体電気信号の計測に使用される生体用電極は、単一の神経細胞の活動電位のように微弱な生体電気信号をも計測可能にするため、そのインピーダンスが微小であることが求められる。また生体用電極は、侵襲性が低いほど好ましい。
生体用電極の例として、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、MEA)や、シリコンプローブがある。従来のMEAは膜厚が大きいため、生体に埋植するためには生体を切開しなければならず侵襲が大きい。また基板となる膜材の柔軟性(フレキシビリティ)が不十分でないため生体組織にダメージを与えやすい。そのため侵襲性の改善が求められる。
非特許文献1では、シリコンプローブの一種であるミシガンプローブが報告されている。ミシガンプローブは、厚さ約15μmのシリコン基板の表面に、リソグラフィにより複数の電極を配置させた構造を有する。上記の構造を有するミシガンプローブは、基板の厚みによって剛性が高い。そのため、ミシガンプローブを生体内に長期に埋植しておくと、生体組織を損傷する可能性が高い。またミシガンプローブは脆いため、取扱いが難しい。加えてミシガンプローブは半導体技術を用いて作製されるため、クリーンルームプロセスを含む(非特許文献2)。そのため、ミシガンプローブは製造コストが高い。
他に、長期間使用できる生体用電極について、非特許文献3で、100μm程度の射出口を有するシリンジから射出可能なサブマイクロメートルの厚みの自立性メッシュ電子機器が報告されている。当該電子機器は、巻回した状態でシリンジに収納でき、射出後はメッシュ形状に由来する柔軟性を生かして、生体内に電子機器が装着される。しかし当該自立性メッシュ電子機器は、大気中でも柔軟性を有するため、シリンジへ収納するときや、計測器に接続させるとき等の取扱が困難である。
上記に例示される構造を備える自立性メッシュ電子機器と計測器とは以下の方法で接続すると推察される。すなわち、自立性メッシュ電子機器は、電極部と、自立性メッシュ電子機器の配線方向において電極部の反対側に位置する膜状の接続部とを有する。該電極部を生体に装着後、該接続部に異方性導電性膜(Anisotropic Conductive Film、ACF)を約75℃で接着し、続いて、ACFの、自立性メッシュ電子機器の接続部との接着面と反対側の膜面にフラットフレキシブルケーブル(FFC)を約200℃で接着する。さらに自立性メッシュ電子機器の配線とFFCの導体とを接続するため、インクジェット印刷等で配線を形成する。このとき自立性メッシュ電子機器の配線は微小で複雑なため、自立性メッシュ電子機器の配線とFFCの導体とに介在させる配線は、一本ずつ形成される。上記のように、従来の自立性メッシュ電子機器は、利用時に行われる計測器との接続で、高温処理や配線の複雑な形成が行われるため、産業的な利用に好適でない。
さらに、該自立性メッシュ電子機器の作製方法は、非特許文献3、非特許文献4に記載される。非特許文献3、非特許文献4によれば、該自立性メッシュ電子機器の作製には微細加工技術を要する。そのため、より簡便に作製でき、適度な柔軟性と硬度を有する生体用電極が望まれる。
"A Review of Organic and Inorganic Biomaterials for Neural Interfaces", Fattahi et al., Advanced Materials 2014, 26, 1846-1885 "Response of brain tissue to chronically implanted neural electrodes", Polikov et al., Journal of Neurosicence Methods 148(2005)1-18 "Syringe-injectable electronics", Liu et al., Nature nanotechnology,Vol 10,July 2015 629-637 "Multifunctional three-dimensional macroporous nanoelectronicnetworks for smart materials", Liu et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,110(17)6694-6699
本発明の課題は、簡便に作製でき、脳等の生体組織への穿刺のために十分な硬さを有し、生体組織への穿刺後に生体組織中で神経細胞等の被験組織細胞の接触を促進するために十分な柔軟性を発揮する、取扱いが容易で、低侵襲性の生体用電極を提供することにある。
本発明は、自立性高分子薄膜と、該自立性高分子薄膜の少なくとも一方の膜面に形成される電極層を備える構造体と、該構造体を被覆し、前記構造体の外面における前記電極層を備える膜面を被覆し、絶縁層および水溶性膜を備える外層と、該電極層の一部であって、該電極層に含まれる電極材が該外層から露出する電極部とを備える生体用電極である。
本発明の生体用電極において、該水溶性膜の材料は、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アガロース、ヒアルロン酸、アルギン酸、砂糖、塩、高分子電解質からなる群から一種以上選択される水溶性化合物であることが好ましい。
本発明の生体用電極は、上記の電極部を含む部分の形状が膜体であり、かつ前記絶縁層で被覆された前記構造体を巻回させることにより、または折り畳むことにより、中心軸を有し、前記中心軸の軸方向が前記電極層を構成する一の配線の延伸方向と同方向である形状であって、前記形状は、針状体、円錐体、多角錘体、円柱体、多角柱体からなる群から一つ選択される形状であることが好ましい。また、電極部を含む部分の形状が上記の形状から選択されるとき、電極部の露出面の長径は、6μm以上3mm以下であることが好ましい。
本発明の生体用電極の電極部の総面積は、0.5μm以上1000000μm以下であることが好ましい。また、該生体用電極は、該電極層が一方向に配列された複数の配線を有し、該複数の配線が互いに該絶縁層で絶縁分離されてなる態様を包含する。
本発明の生体用電極において、前記自立性高分子薄膜が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミド、ポリユリア及びビニルポリマーからなる群から1種以上選択される高分子化合物の薄膜である場合がある。
本発明の生体用電極に用いられる前記高分子化合物の薄膜は、生体適合性薄膜であって、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、パリレン、SU−8、含フッ素高分子化合物、スチレン系エラストマー、シリコーン、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、グリコール酸/L−乳酸共重合体及びグリコール酸/DL−乳酸共重合体から選択される乳酸共重合体、ポリラクトン又はラクトン共重合体、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)共重合体(PLGA)、ポリエチレングリコール(PEG)化されたPLGA、PLGA−PLA−PEGコポリマー、電解質ポリマーからなる群から1種以上選択される高分子化合物の薄膜であることが好ましい。また該自立性高分子薄膜の膜厚は、30nm以上100μm以下であることが好ましい。
本発明の生体電極において、前記自立性薄膜上に電極層を形成する方法として、導電材を含むインクを使用するインクジェット法、スパッタリング法、蒸着法、エッチング法または箔押し法から選択される。
前記インクジェット法による生体用電極としては、電極材を含有するインクからなり、自立性高分子薄膜の少なくとも一方の膜面にインク受容層を介して形成される電極層を備える生体用電極を包含する。
前記自立性高分子薄膜の少なくとも一方の膜面であって、前記電極層を構成する一の配線の延伸方向において、前記電極部から離れた領域で前記外層から露出する接続部を備える生体用電極であってもよい。
本発明は、生体電位計測用電極および生体刺激用電極を包含する。また本発明は、生体内への射出により生体電位の計測領域又は生体の刺激領域に装着される生体用電極を包含する。
本発明は、自立性高分子薄膜の少なくとも一方の膜面に電極層を形成して構造体を作製する構造体作製工程と、該構造体の表面に絶縁層および水溶性膜を備える外層を形成する外層形成工程と、絶縁層と水溶性膜とで被覆された構造体を切削して電極層の一部を露出させ、電極部を設ける電極部形成工程と含み、外層形成工程が、構造体に絶縁材料を含む液剤を被覆して、絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層が形成された前記構造体に水溶性化合物を被覆し、前記水溶性化合物を固化させて前記絶縁層の表面に水溶性膜を形成する水溶性膜形成工程とを含む生体用電極の製造方法を包含する。
上記の絶縁層形成工程は、絶縁材料を含む液剤に構造体を浸漬後、該液剤から構造体を引き上げ、液剤が被覆された該構造体を乾燥させて、絶縁層を形成する絶縁層形成工程であることが好ましい。
本発明の生体用電極の製造方法は、膜体で、かつ絶縁層で被覆された前記構造体を巻回させることにより、または折り畳むことにより、針状、円錐状、多角錘状、円柱状、多角柱状からなる群から一つ選択される形状に成形する成形工程と、成形工程で成形後の構造体に水溶性膜を形成する水溶性膜形成工程と、絶縁層および水溶性膜を備える外層が形成された構造体の該外層の一部の領域を切削して電極層の一部を露出させ、電極部を設ける電極部形成工程とを含むことが好ましい。
本発明において、前記生体は、ヒトの生体以外の生体である場合がある。
また本発明の生体用電極は、医療行為を除く用途で使用される場合がある。
さらに、本発明は、前記生体用電極の電極部が設けられた第一の端部側と反対側の第二の端部側において、外層で被覆されていないAu配線とは反対側の膜面に、ポリイミドフィルムを貼付し、さらに、自立性高分子薄膜に貼付させた膜面と反対側のポリイミドフィルム膜面に補強材を貼付することにより、計測デバイスのコネクタ部の接続口の形状に適合させた、計測デバイスのコネクタ部接続用の積層構造体を提供する。
本発明は、簡便に作製でき、適度な柔軟性と硬さを有し、取扱いが容易で、低侵襲性の生体用電極である。
本発明の生体用電極の例を示す図である。 本発明の生体用電極の例を示す図である。 本発明の生体用電極の製造方法の例を示す図である。 本発明の生体用電極の製造方法の例を示す図である。 本発明の実施例の模式図と写真図である。 本発明の実施例の写真図である。 本発明の実施例を用いた射出試験に関する写真図である。 本発明の実施例を用いた電極インピーダンスの計測試験に使用した生体電極を表す図である。上段は全体像の図を、下段は詳細図を表す。 本発明の実施例を用いた穿刺試験に関する写真図である。
[生体用電極]
本発明は、自立性高分子薄膜と、自立性高分子薄膜の少なくとも一方の膜面に形成される電極層を備える構造体と、構造体を被覆し、絶縁層および水溶性膜を備える外層と、電極層の一部であって、電極層に含まれる電極材が外層から露出する電極部とを備える生体用電極である。
図1に本発明の生体用電極の例を示す。図1において、10は生体用電極、20は、自立性高分子薄膜30、電極層40を備える構造体、41は電極層を構成する配線、42は電極部、50は、絶縁層60および水溶性膜70を備える外層である。Xは、配線41の延伸方向である。11は生体用電極の第一の端部であり、12は生体用電極の第二の端部である。また31は自立性高分子薄膜30の第一の膜面であり、32は自立積高分子薄膜の第二の膜面である。図1の例では、第二の膜面32に接続部33を有する。
本発明において電極部42は、図1に示すように外層50で被覆された構造体20の膜面に設けてもよく、後に記載する図2に示すように、外層で被覆された構造体20を配線方向Xと交差する方向に切断した切断面に設けてもよい。本明細書では、電極部を含む部分の形状にかかわらず、当該切断面を構造体の端面、と記載する場合がある。すなわち端面は、電極部の露出面である。
本発明は、絶縁層60と水溶性膜70とを備える外層50を有することにより、自立性高分子薄膜30に由来する柔軟性(flexibilityが抑制され、硬さ(hardness)が付与される。これにより生体装着前の取扱容易性を向上できる。適度な硬さを付与された本発明は、生体用電極そのものを針として、生体に穿刺できる。また配線41を断線させることなく、射出容器から射出可能な形状に成形できる点で有用である。
図1に示すように、水溶性膜70は、生体外では生体用電極10の最外層を構成する。水溶性膜70は、生体組織の水分に接触することで徐々に溶解する。その結果、本発明は、水溶性膜によって付与された硬さが軽減され、自立性高分子薄膜に由来する柔軟性が回復する。これにより本発明は、生体の微細組織に装着させやすい。そのため本発明は生体神経電位の計測等で有用である。
本発明に用いられる水溶性膜の材料は、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol、PVA)、ゼラチン、アガロース、ヒアルロン酸、アルギン酸、砂糖、塩、高分子電解質からなる群から一種以上選択される水溶性化合物であることが好ましく、PVAがより好ましい。砂糖は粘液状の糖が好ましく、具体例として水あめが挙げられる。塩の例としては、岩塩が挙げられる。高分子電解質の例としては、DNA等が挙げられる。
水溶性膜の膜厚は、0.5μm以上450μm以下が好ましく、1μm以上150μm以下がより好ましい。水溶性膜の膜厚が450μmを超えると、生体用電極のサイズが大きくなるため、脳組織等に穿刺すると血管を傷つける可能性がある。さらに水分に接触しても溶解が不十分となり、生体に装着されても十分に生体用電極を展開させ難くなる。水溶性膜の膜厚は、SEM像に基づき計測できる。
本発明の構造体20は、自立性高分子薄膜30を用いた膜体である。構造体20に絶縁層60を形成することにより、構造体20に硬さが付与される。これにより本発明は、電極層40の配線41を断線させることなく、構造体20を膜体から所望の形状へと容易に成形できる。
絶縁層60が形成された構造体20は、その電極部42を含む部分の形状が、その軸方向が前記電極層を構成する一の配線の延伸方向Xと同方向の中心軸を有する形状であって、その形状は、針状体、円錐体、多角錘体、円柱体、多角柱体からなる群から一つ選択される形状であることが好ましい。上記の好ましい形状に当該部分を成形することにより、生体用電極そのものを針として、生体に穿刺できる。また本発明を射出容器への収納や、該射出容器から生体の対象領域への射出を円滑に行える。
図2は、本発明の生体用電極の例を示す図である。図2の符号は、図1の符号と共通する。図2において、絶縁層が形成された構造体の電極部を含む部分は、配線41の延伸方向Xと同方向の中心軸を有する針状体に形成され、該針状体が水溶性膜70で被覆されてなる。また第一の端部11側に設けられる針状体の端面は電極材の露出面であり、電極部42が形成される。
ただし絶縁層が形成された構造体の電極部を含む部分の形状は、本発明の作用効果を得られる限り、膜体、針状体、円錐体、多角錘体、円柱体、および多角柱体に限定されない。また、電極部42を含む部分の形状が膜体である場合、膜体の電極部を含む部分が、短冊状、別言すれば配線方向に平行な方向のスリットで分割されていてもよい。
本発明において、幅約50μm、厚さ約200nmの1本の配線を有する電極層を有し、かつ電極部を含む部分の形状が、針状体、円錐体、多角錘体、円柱体、および多角柱体であるとき、電極材の露出面の長径は、0.5μm以上100mm以下が好ましく、5μm以上50mm以下がより好ましく、20μm以上10mm以下がさらに好ましい。なお配線数が2本以上の場合、電極材の露出面の長径は、上記の好ましい範囲の上限を超える場合がある。電極材の露出面の長径が上記の範囲内である本発明は、射出口が小さな射出容器からでも容易に射出でき、生体の微細組織への装着性を向上できる。電極材の露出面の長径は、該露出面の電子顕微鏡写真から計測できる。
また電極部を含む部分の形状が膜体であって、膜体の端面に電極部が形成されるときの露出面の長径は5μm以上50mm以下が好ましく、20μm以上10mm以下がより好ましい。該膜体の膜面に電極部が形成されるとき電極部を含む露出面の長径は、10μm以上100mm以下が好ましく、20μm以上50mm以下がより好ましい。
本発明は、電極部を含む部分の形状が、膜体、針状体、円錐体、多角錘体、円柱体、または多角柱体、およびその他のいずれの形状であっても、電極部の総面積が、0.5μm以上1000000μm以下であることが好ましく、1μm以上80000μm以下がより好ましく、1.5μm以上60000μm以下であることがさらに好ましい。電極部の総面積が上記の範囲内である本発明は、微弱な神経の活動電位も計測できる。
本発明において電極層が形成される高分子薄膜は自立性を備える。本明細書において、高分子薄膜の「自立性(self-standing)」とは、高分子薄膜が安定して、その特性を維持することが可能であり、何ら支持体を必要とせずにそれ自身を支持することができることをいう。
本発明の生体用電極において、前記自立性高分子薄膜の材料が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミド、ポリユリア及びビニルポリマーからなる群から1種以上選択される高分子化合物の薄膜である場合がある。
前記高分子化合物の薄膜は、生体適合性の高分子薄膜であって、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、パリレン、SU−8、含フッ素高分子化合物、スチレン系エラストマー、シリコーン、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、グリコール酸/L−乳酸共重合体及びグリコール酸/DL−乳酸共重合体から選択される乳酸共重合体、ポリラクトン又はラクトン共重合体、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)共重合体(PLGA)、ポリエチレングリコール(PEG)化されたPLGA、PLGA−PLA−PEGコポリマー、電解質ポリマーからなる群から1種以上選択されることが好ましい。
本発明において、自立性高分子薄膜の膜厚は30nm以上100μm以下であり、80nm以上25μm以下であることが好ましく、100nm以上10μm以下であることがより好ましく、1μm未満であることがさらに好ましい。自立性高分子薄膜の膜厚は原子間力顕微鏡を用いて測定できる。
当該自立性高分子薄膜のアスペクト比は、10以上であり、2×10以上、3×10以上、5×10以上又は10×10以上であってもよい。したがって、本発明の自立性高分子薄膜の膜厚が100μm以下の場合、本発明の自立性高分子薄膜の最大長は100m以上である。また、高分子薄膜の厚さが1μm以下のとき最大長は1m以上である。高分子薄膜の厚さが800nm以下のとき最大長は80cm以上である。また、高分子薄膜の膜厚が600nm以下のとき最大長は60cm以上である。また、高分子薄膜の膜厚が500nm以下のとき最大長は50cm以上である。また、高分子薄膜の膜厚が400nm以下のとき最大長は40cm以上である。また、高分子薄膜の膜厚が300nm以下のとき最大長は30cm以上である。また、高分子薄膜の膜厚が200nm以下のとき最大長は20cm以上である。また、高分子薄膜の膜厚が30nmのとき最大長は3cmである。
本発明で用いられる自立性高分子薄膜は、単層膜でもよく、複数の単層膜を積層させてなる複層膜でもよい。複層膜とする場合は、複層膜の総膜厚が、上記の膜厚の範囲内およびアスペクト比の範囲内となることが好ましい。
自立性高分子薄膜の膜面に形成される電極層は、電極材をインクジェット印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、金属蒸着、フォトリソグラフィ、フォーカスイオンビーム等の手段により形成できる。電極材として従来公知の導電性材料を用いることができる。具体的には、金、銀、銅またはニッケル等の金属ナノ粒子、導電性高分子、ナノ炭素粒子を用いることができる。また上記の電極材と公知の導電補助剤とを併用してもよい。公知の導電補助剤としては、PEDOT(3,4−エチレンジオキシチオフェンのポリマー)とPSS(スチレンスルホン酸のポリマー)を共存させたポリマーコンプレックス(PEDOT−PSS)を例示できる。また電極層の厚みは、1nm以上500μm以下が好ましく、10nm以上500nm以下がより好ましい。
本発明の生体電極において、前記自立性薄膜上に電極層を形成する方法として、導電材を含むインクを使用するインクジェット法、スパッタリング法、蒸着法、エッチング法または箔押し法から選択される。
電極層は、生産効率性の観点からインクジェット印刷により形成されることが好ましい。その場合、上記の導電性材料を含有する液剤をインクとして用い、インク受容層を介して自立性高分子薄膜の膜面上に電極層を形成することが好ましい。電極材のインクを印刷する前に、自立性高分子薄膜の膜面に予めインク受容層を形成しておくことで、電極材のインクを印刷したときに、電極材のインクが自立性高分子薄膜の膜面で弾かれることを抑制できる。そのため、配線を正確に形成できる。
インク受容層を形成する材料としては、電極材を、非共有結合によって、または共有結合によって吸着する材料を選択できる。非共有結合の例としては、毛管力、静電相互作用、水素結合、疎水性相互作用、ファンデルワールス力が挙げられる。共有結合の例としては、クリックケミストリーやエステル結合が挙げられる。共有結合によってインク受容層に電極材を吸着させる場合は、活性基を導入した材料を用いたり、電極材を表面修飾したりする必要が生じることがある。
インク受容層の具体的な材料例としては、PEDOT−PSSに例示される公知の導電補助剤の他、キトサン、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、ゼラチン、シリカ、カチオン性アクリル共重合体が挙げられる。PEDOT−PSSを用いてインク受容層を構成すれば、導電補助剤としての機能に加え、電極材のムラを抑制し、電気的に均質な配線を形成することができる。従ってインク受容層はPEDOT−PSSを用いて形成することが好ましい。
電極層の態様としては、一方向に配列された複数の配線を有し、複数の配線が互いに前記絶縁層で絶縁分離されてなる態様を例示できる。上記の態様に該当する具体例として、図1には、X方向に4本の配線41が配列されてなる電極層40が示される。また電極層の態様の他の例としては、樹状に形成された配線を有する態様、網目状に形成された配線を有する態様、または電極部を有する第一の端部21と、第一の端部21と反対側に位置する第二の端部22とを有し、電極層が第二の端部22から第一の端部21へ向かって分岐する配線を有する分岐型の態様であってもよい。ただし本発明の作用効果を得られる限り、電極層の態様は、上記の例に限定されない。本発明の電極層を構成する各配線の線幅は1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。さらに本発明の生体用電極は、線幅が約50μmの微細な配線で構成される電極層を備えていてもよい。
本発明は、自立性高分子薄膜の膜面に電極層を形成した構造体を被覆する絶縁層を有する。絶縁層は、水溶性膜と共に構造体に硬さを付与する。一方で絶縁層は、水溶性膜と異なり、生体組織の水分と接触しても溶解しない材料で形成されるため、生体外、生体内のいずれにおいても絶縁層による本発明の硬さは持続する。従って本発明は、生体内の組織の水分に接触することで水溶性膜が溶解し硬さが低減されるが、絶縁層を有するため、生体内の対象領域に本発明を到達させる操作に必要な硬さは維持される。
本発明の絶縁層に用いられる材料は、本発明の作用効果を得られる限り、絶縁材料として従来公知の材料を使用できる。また自立性高分子薄膜と絶縁層とは同じ材料を使用してもよい。本発明で用いられる絶縁材料の具体例としては、含フッ素高分子、パリレン、SU−8、ポリイミドが挙げられる。含フッ素高分子の市販品としてはCYTOP(登録商標)が挙げられる。絶縁層にCYTOP(登録商標)を用いる場合、その溶液濃度は、9wt%以下が好ましい。
絶縁層の厚みは、電極層を構成する配線を絶縁分離できる厚みであればよい。ただし、絶縁層が厚すぎると生体用電極の硬さが高くなりすぎる。そのため、自立性高分子薄膜と電極層を備える膜体の構造体の厚みと絶縁層との厚みとを合わせた総厚みが、6μm以下になるように、自立性高分子薄膜と電極層と絶縁層の厚みが調整される。
本発明は、電源等他のデバイスと接続させるための接続部33を備えることが好ましい。本発明において接続部は、自立性高分子薄膜の少なくとも一方の膜面であって、電極層を構成する任意の一の配線の延伸方向において、電極部から離れた領域で前記外層から露出する領域である。
本発明において接続部は、自立性高分子薄膜の優れた密着性により、他のデバイスを接続するための絶縁基材を貼付する領域である。絶縁基材が貼付された接続部は、生体外での取扱いを容易にするために必要な硬さが付与される。従って接続部となる「電極部から離れた領域」とは、電極部とは異なる領域であって、かつ生体内に穿刺されない領域と定義され、具体的には、本発明の生体内電極の電極層を構成する任意の一の配線の延伸方向において、電極部が設けられる第一の端部11側と反対側に位置する第二の端部側に属する領域である。より好ましくは、第二の端部を含み、かつ自立性高分子薄膜の一膜面の総面積あたり10%以上30%以下を占める領域である。接続部は、第一の膜面に設けてもよく、第一の膜面と反対側の第二の膜面に設けてもよく、第一の膜面および第二の膜面に設けてもよい。
他のデバイスとの接続例としては、構造体の第二の端部12側にフラットフレキシブルケーブル(Flat Flexible Cable、FFC)とFFCコネクタを接続し、FFCコネクタを外部のデバイスに接続する態様が挙げられる。
具体的には、接続部の自立性高分子薄膜に絶縁基材を貼付し、該絶縁基材に接着材を介してFFCを接着することにより接続する態様が挙げられる。絶縁基材の例としては、ポリイミドフィルム等が挙げられる。接着材の例としては、両面テープ等が挙げられる。J.Limらの方法を用いて計測した曲げ弾性が6.7nNmであった(J.Lim, et al, Nature Nanotechnology Supplementary Information, DOI: 10.1038 / NNANO.2015.115)。本発明の構造体の接続部に、同様の方法で計測した曲げ弾性が100nNm以上のポリイミドフィルムを被覆させただけで、熱処理したり粘着剤を使用したりせずにポリイミドフィルムを接続部に貼付できた例がある。
本発明に用いられる自立性高分子薄膜は、所定の膜厚を備えることにより、硬さが自立性高分子膜と異なる材料に対しても密着性が高い。従って本発明では、熱処理を行ったり粘着剤を使用したりせずに絶縁基材を第二の端部に貼付させることができる。そのため本発明の接続部に絶縁基材を貼付することにより、本発明の接続部の硬さを、FFCコネクタに接続容易な程度に調節することが極めて容易である。従って本発明は、容易に他のデバイスに接続できる。なお本明細書において、「密着」とは、2つの材料間に界面を隔てて相互作用が働き、原子的な結合や、機械的作用によって整合している状態をいい、「密着力」は、両者を引き剥がすために必要なエネルギーをいう(岩村栄治、表面技術 5, 260−266:2007)。
本発明の生体用電極は、生体電位計測用電極または生体刺激用電極として好適である。本発明は、生体に貼付したり穿刺したりして装着してもよく、射出容器から射出して生体電位の計測領域又は生体の刺激領域に装着してもよい。射出容器の例としては、シリンジ、カテーテル、内視鏡等が挙げられる。本発明は、口径100μm以上30mm以下の射出口を有する射出容器で使用できる。本発明を使用可能な生体電位の計測領域は限定されないが、本発明は低インピーダンスで、かつ柔軟性を有するため、脳組織に装着して神経活動電位(シングルユニット電位、局所フィールド電位、または脳波)の記録を行う場合に好適である。その他、心臓、筋肉等に装着して刺激を与える場合にも好適である。
[生体用電極の製造方法]
本発明の生体用電極の製造方法は、構造体作製工程と、外層形成工程と、電極部形成工程とを含む。構造体作製工程では、必要に応じてインク受容層形成工程を設けてもよい。外層形成工程は、絶縁層形成工程と、水溶性膜形成工程とを含む。絶縁層形成工程後、水溶性膜形成工程との間に、必要に応じて、構造体を所定の形状に成形する成形工程を設けてもよい。図3、図4は、本発明の生体用電極の製造方法の例を示す図である。図3において図3(a)〜(f)は構造体作製工程、図3(g)は絶縁層形成工程、図3(h)は成形工程、図4(j)は水溶性膜形成工程、図4(k)、(m)は電極部形成工程である。なお図3、図4で示される符号は、図1、図2と共通する。43はインク受容層である。
本発明の構造体作製工程では、所定の自立性高分子薄膜の少なくとも一方の膜面に電極層を形成した構造体が作製される。本発明で用いられる自立性高分子薄膜の材料は、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、パリレン、SU−8、含フッ素高分子化合物、スチレン系エラストマー、シリコーン、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、グリコール酸/L−乳酸共重合体及びグリコール酸/DL−乳酸共重合体から選択される乳酸共重合体、ポリラクトン又はラクトン共重合体、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)共重合体(PLGA)、ポリエチレングリコール(PEG)化されたPLGA、PLGA−PLA−PEGコポリマー、電解質ポリマーからなる群から1種以上選択されることが好ましい。
本発明に用いられる自立性高分子薄膜は、上記に説明した材料を用いたものであって、かつ所定の自立性高分子薄膜の膜厚とアスペクト比とを備えることで、本発明の生体用電極に必要な柔軟性を得ることができる。従って、自立性高分子薄膜の製造方法は、当該材料を用いて所定の膜厚とアスペクト比を備えるものを製造できる方法であれば、限定されない。
自立性高分子薄膜の製造方法の例としては、上記の高分子化合物を主剤とする組成物を含有する材料溶液を基板上に被覆し、基板上で該材料溶液を固化させることにより、本発明に用いられる単層膜の自立性高分子膜を作製する方法が挙げられる(図3(a)〜(c))。また、単層膜の自立性高分子薄膜は順次積層させるだけで一体化するため、複数の単層膜の自立性高分子薄膜を貼り合わせることで、積層膜の自立性高分子薄膜を作製できる。
基板の材料としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、シクロオレフィン(COP)、ポリイミド(PI)、アルミ箔、導電性高分子膜、紙、多糖膜、シリコーン樹脂、オブラート(ゼラチン)、シリコンウェハ、ガラス等が挙げられる。なお、上記の自立性高分子薄膜の材料溶液は、基板上に成膜された犠牲層の上に被覆し、電極層等を形成後、犠牲層を溶解させて自立性高分子薄膜を基板から剥離させてもよい(図3(b))。
上記の自立性高分子薄膜の材料溶液に用いられる溶媒は、主剤となる高分子化合物を含有する組成物を溶解できるものであればよく、酢酸エチル、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサフルオロイソプロパネート、水などを例示できる。必要に応じて、該溶液に硬化剤等を添加してもよい。硬化方法は用いられる高分子化合物に対応して、熱硬化等、好適な方法が選択される。なお成膜工程の詳細は、PCT/JP2016/63841、PCT/JP2016/82056、PCT/JP2017/016283の記載を参照できる。
自立性高分子薄膜の膜厚は、材料溶液の溶媒中の高分子化合物の濃度に依存する。従って、該材料溶液の濃度を所望の自立性高分子薄膜の膜厚を得られる濃度に調製することにより、本発明所定の膜厚を備える高分子膜を作製できる。例えば100nmのPDLLA単層膜を作製する場合の濃度例としては、0.1wt%以上10wt%以下が、好ましくは1wt%以上4wt%以下が、より好ましくは2.5wt%以上3.5wt%以下が挙げられる。犠牲層および本発明に用いられる自立性高分子薄膜となる組成物の成膜方式として、グラビアコーターを用いたロールツーロール方式を適用できる。また、スピンコート法でもよい。
本発明の生体用電極の電極層形成工程では、電極層を構成する配線が、一方向に配列された複数の配線を配置させた態様や、樹状、網目状、分岐型等、所望の態様で形成できる方法が適用される。
その方法として、自立性高分子薄膜の膜面に、電極材を含有するインクを用いて配線を印刷する方法が挙げられる(図3(d)〜(e))。インクジェット方式で配線を印刷する場合、電極層を形成する(図3(e))前に、配線の印刷領域を含む領域にインク受容層を印刷しておくことが好ましい(図3(d))。これにより、電極材を含有するインクをインクジェット印刷したときに、インク受容層によって該インクが吸着され、正確に配線を印刷できる。インクジェット方式による印刷の他の電極層の形成方法としては、スクリーン印刷、ステンシル印刷、グラビア印刷、マイクロコンタクトプリント、フォトリソグラフィ、電子線リソグラフィ、ディップペンリソグラフィ、真空蒸着、スパッタ、フォーカスイオンビームが挙げられる。また自立性高分子薄膜の両方の膜面に電極層を形成する場合、一方の膜面に第一の電極層を形成した後、反対側の膜面に第二の電極層を形成する。
自立性高分子薄膜に電極層を形成して得られる構造体(図3(f))には、外層形成工程において、構造体の表面に絶縁層と水溶性膜とが形成される(図3(g)〜(h)、図4(j))。絶縁層形成工程では、構造体に絶縁材料を含む液剤を被覆して、絶縁層を形成する。絶縁層形成方法の例としては、絶縁材料を含有する液剤に構造体を被覆するディップコート法や、絶縁材料を含有する液剤を構造体に吹き付けるスプレーコート法等が挙げられ、ディップコート法を適用することが好ましい。図3では、ディップコート法による絶縁層形成工程を図示する。
図3(g)に示すように、絶縁層形成工程では、絶縁材料を含有する液剤中に構造体を浸漬後、液剤から構造体を引き上げ、絶縁材料を付着させた構造体を乾燥させて、前記絶縁層を形成する。
絶縁材料を含有する液剤の溶媒は、上記の絶縁層の材料を均質に分散させ得るものが好ましく、アルコール、水、フッ素系溶媒、ヘキサン、酢酸エチル、ヘキサフルオロイソプロパネート、MEK、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、クロロフォルム、ジクロロメタンを例示できる。絶縁材の膜厚は、該液剤の粘度、構造体を液剤から引き上げるときの引き上げ速度に依存する。本発明においては、液剤の粘度は、1mPa・s以上10000mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以上1200mPa・s以下がより好ましい。また引き上げ速度は、1cm/min以上20cm/minが好ましく、3cm/min以上10cm/minがより好ましい。従って、本発明の絶縁層形成工程では、生体用電極が所望の総厚みになるように、上記の好ましい範囲内で粘度や引き上げ速度を調節する。
液剤から引き上げられた構造体は、乾燥させて液剤の溶媒を除去する。乾燥は、乾燥機中やホットプレート上で行われる。続いて焼成炉内で、焼成温度200℃以下で、好ましくは70℃以上120℃以下で構造体を焼成することも好ましい。また上記の本焼成の前に焼成温度120℃以下で、好ましくは50℃以上100℃以下で仮焼成を行うことも好ましい。または、焼成せず室温で乾燥させて当該溶媒を除去してもよい。上記の工程によって、構造体の表面に絶縁層を形成できる。絶縁層が形成されることで、該構造体は成形性が向上し、所望の形状に成形できる。
本発明においては、自立性高分子薄膜の膜面に電極層と絶縁層とを形成するため、構造体作製工程で作製される構造体は膜体である。従って本発明の生体用電極を生体に射出して用いる場合または穿刺して用いる場合は、本発明の成形工程で、該構造体を巻回させることにより、または折り畳むことにより、針状、円錐状、多角錘状、円柱状、多角柱状からなる群から一つ選択される形状に成形することが好ましい(図3(h))。その結果、本発明の製造方法により得られる生体用電極は、射出容器に収容しやすく、射出しやすい形状、加えて穿刺しやすい形状になる。
絶縁層が被覆された構造体は、後に電極部形成工程で電極部が設けられる第一の端部と、電源等の他のデバイスと接続する接続部が設けられる第二の端部とを有する。本発明の形成工程では、第一の端部から第二の端部へと向かう方向を軸方向Yとして、膜体の構造体を巻回させ、または折り畳むことにより、上記の所定の形状に成形することが好ましい。本工程により、絶縁層が被覆された構造体は、電極層を構成する配線を断線させることなく、成形後の第一の端部の外周を小さくできる。
本発明の生体用電極を膜体とする場合は、上記の成形工程は適用しなくてもよい。成形工程を経ない場合と経る場合のいずれの場合も、絶縁層が形成された構造体は、水溶性膜形成工程により水溶性膜が形成される。
本発明の水溶性膜形成工程では、絶縁層が形成された構造体に水溶性化合物を被覆し、水溶性化合物を固化させて前記絶縁層の表面に水溶性膜を形成する。膜体の構造体に水溶性膜を形成する場合、本工程では、グラビアコーターを用いたロールツーロール方式やスピンコート法により水溶性化合物を構造体に被覆できる。
また絶縁層が形成された構造体を針状体、円錐体、多角錘体、円柱体、多角柱体からなる群から選択される所定の形状に成形させた場合は、成形後の構造体の内部の間隙に水溶性化合物をシリンジ、ピペッター、スポイト等を用いて注入し、さらに構造体表面に滲出させることにより水溶性化合物を構造体に被覆できる。その場合、絶縁層が形成された構造体の電極部を含む部分を被覆材で被包した状態で注入し、注入された水溶性化合物が固化した後に、被覆材を手で、又は冶具を用いて、剥離することが好ましい。被覆材を剥離後、必要に応じて、公知の手段で水溶性膜をさらに乾燥させることも好ましい。なお、本発明の接続部となる領域には水溶性膜を形成しない。
水溶性化合物を被覆した後、水溶性化合物を公知の方法で固化させる。水溶性化合物が固化することで水溶性膜が絶縁層の表面に形成される。(図4(j))。
被覆材としては、水溶性膜の材料となる水溶性化合物に不溶で、かつ可撓性が低い材料が好ましい。また、予め絶縁層が形成された構造体の形状に適合する形状に成形されたものを用いてもよく、被覆材のフィルムを用いてもよい。被覆材のフィルムを用いる場合は、絶縁層が形成された構造体の表面に水溶性化合物が滲出可能な間隙を設けた状態で、被覆材のフィルムを構造体に被覆させる。被覆材の具体例としては、ポリプロピレンで作製されたコニカルチューブが好ましいが、これに限定されない。
本工程において被覆材を用いる場合、絶縁層が形成された構造体は、上記の被覆材によって、少なくとも、後に電極部が設けられる第一の端部が被包されていればよい。本発明の生体用電極において水溶性膜は、生体用電極の柔軟性と硬さを調整する機能を有する。従って、水溶性化合物の膜厚や被包領域は、用いる自立性高分子薄膜の柔軟性に基づき、生体用電極が所望の硬さとなるように調節される。水溶性膜の膜厚は、水溶性化合物の濃度の他、被覆材で構造体を被包して水溶性膜を形成する場合は、絶縁層表面と被覆材の内面との間隙の間隔にも依存する。従って、当該間隙は被包領域のいずれの領域においても同等になるように、被覆材で構造体を被包することが好ましい。
本発明の製造方法においては、水溶性膜形成工程に続いて、電極部形成工程が行われることにより、絶縁層と水溶性膜を備える外層が形成された構造体に、電極部が形成される(図4(k)、(m))。電極部は、構造体の外層の一部を切削して、電極層を露出させることにより形成される。すなわち電極部は、電極層の一部であって、外層から露出した部分に相当する。
電極部形成工程において、外層の切削方法としては、図4(k)に示されるように、外層を備える構造体の第一の端部が電極層を構成する配列の少なくとも一つの配列方向と交差する方向(図4(k)において4A−4A方向)で切断する方法を例示できる。この切削方法では、電極部は、4A−4A切断面で電極層を露出させることにより形成される。本発明においては、電極層を構成する配線が配線方向において均一な幅と厚みで形成されるため、第一の端部側のどの領域で切断しても電極部の面積は同等の大きさである。なお電極部を含む露出面の長径は、0.5μm以上100mm以下が好ましく、5μm以上50mm以下がより好ましい。
本工程においては、別の外層の切削方法を適用することで、外層を備える構造体の切断面以外の面に形成することができる。例えば、膜体の構造体の膜面の一部を、マイクロスクラッチ装置等を用いて切削し、電極層を露出させてもよい。また軸方向が配列方向と同じ方向である針状等の形状の構造体の周面を切削して電極層を露出させてもよい。これらの場合も、電極部を含む露出面の長径は、5μm以上50mm以下が好ましく、20μm以上10mm以下がより好ましい。上記の各工程を経た結果、本発明の生体用電極を作製できる(図4(m))。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に制限されない。
<実施例1’、実施例2(実施例2’)>
厚み25μmのPETフィルムの一方の膜面に3wt%のPVA水溶液(関東化学社製)をロールツーロール方式グラビア印刷法で印刷し、犠牲層を形成した。PVA層の形成時、回転速度は30rpm、1.3m/minとした。乾燥温度120℃でPVA層を乾燥後、PDLLA溶液(ポリサイエンス社製、4wt% in Ethyl Acetate)をPVA層上にロールツーロール方式グラビア印刷法で被覆し、自立性高分子薄膜としてのPDLLA薄膜を積層させた。PDLLA溶液の被覆時、ロールの回転速度は30rpm、線速は1.3m/minとした。乾燥温度80℃で該積層体を乾燥させ、PDLLA層を形成した。PDLLA層の膜厚は、300nmであった。
次に、PDLLA層の表面に、インクジェットプリンター(Fujifilm社製、DMP-2831)でインク受容層を印刷した。インクジェットプリンターのプラテンの温度は約25℃であった。インクには、PEDOT:PSS(Clevios P Jet 700, Heraeus Corporation製)を用いた。インク受容層の印刷では、インクジェットプリンターのキャリッジの移動方向をPDLLA層の幅方向、該キャリッジの移動方向と直交する方向をPDLLA層の長さ方向とし、PDLLA層の幅方向の中心線から等間隔に、PDLLA層の長さ方向に延伸する4本の直線からなるインク受容層が形成された。
続いて、金ナノ粒子を水、グリコールに分散させた金インク(Au−J 4010B, Colloidal Ink Corporation)を、上記のインクジェットプリンターで、PEDOT:PSS層が印刷されたPDLLA層の表面に印刷し、電極層を形成した。インクジェットプリンターのステージヒーターの温度は60℃であった。金インク層はPEDOT:PSS層と同様のパターンで印刷された。これにより、PEDOT:PSS層の各直線上にPDLLA層の長さ方向に延伸する4本の配線が形成された。当該4本の配線の線幅はそれぞれ53±3μmであった。またPEDOT:PSS層の厚みは79±13nmであり、金インク層の厚みは43nmであったため、これらの層の厚みの合計は122±15nmであった。
金インク層をホットプレート上に100℃で1時間載置して乾燥させた後、基板上にPVA層(犠牲層)、PDLLA層(自立性高分子薄膜)、PEDOT:PSS層(インク受容層)、および金インク層(電極層)を順次積層させた積層体を水中に浸漬し、PVA層を溶解させて基板から、PDLLA層(自立性高分子薄膜)、PEDOT:PSS層(インク受容層)、および金インク層(電極層)からなる構造体を剥離した。
基板を剥離させた構造体に絶縁層を形成するため、ディップコーター(EZ−S, Shimadzu)を用いて、構造体を、配線方向の一方の端部から約2cm程度を除いて、CYTOP(登録商標)の溶液に浸漬させた。CYTOP(登録商標)の溶液濃度は、9wt%であった。またディップコーターの引き上げ速度は6cm/minとした。
CYTOP(登録商標)溶液から引き揚げた構造体を、ホットプレートを用いて焼成した。まず50℃で5分間焼成し、続いて70℃まで昇温後、さらに5分間焼成した。構造体の両方の膜面に形成されたCYTOP層(絶縁層)の厚みは両膜面とも3μmであった。上記の工程でCYTOP層が形成された構造体を3mm×5cmの大きさで2枚切り出し、実施例1’および実施例2’とした。
続いて、実施例1’のCYTOP層を形成した方の第一の端部を、配列方向と直交する方向にカミソリで切断し、その切断面で電極層を露出させて電極部を形成した。実施例1’に水溶性膜を形成させた本発明の態様においては、水分と接触すると水溶性膜が溶解し、実施例1’の態様となる。
図5は本発明の実施例1’の模式図と写真図である。図5(b)は、図5(a)の実施例1’の5A−5A切断面の一部の写真図であり、図5(c)は図5(b)の写真図の破線部内を拡大した写真図である。図5において、30は自立性高分子薄膜、40は電極層(配線41)、42は電極部、60は絶縁層である。インク受容層は不図示である。図5(b)(c)の写真図は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy、 SEM)で撮影した。なお図5(b)、図5(c)において自立性高分子薄膜30は不図示である。
実施例2’においては、CYTOP層を形成した方の第一の端部側を、配線方向を軸方向として3回巻回させ、第一の端部を含む部分を針状の形状に成形した。実施例2’の針状に成形した部分をコニカルチューブで被包した後、水溶性膜を形成するため、実施例2’内部の間隙にPVAの10wt%水溶液を注入し、針状部の表面に滲出させた。実施例2’に被覆されたPVA10wt%水溶液を乾燥させて実施例2’に水溶性膜を形成した。その後、コニカルチューブを外した。針状部の周方向の長径は約200μmであった。その後、針状に成形された部分を配列方向と直交する方向にカミソリで切断し、その切断面で電極層を露出させて電極部を形成し、実施例2を得た。
図6は実施例2の写真図である。図6(a)は、切断により電極部を露出させる前の実施例2の写真図である。図6(b)は、図6(a)に示す6A−6Aで切断された実施例2の切断面の写真図である。図6(c)は、図6(b)の破線部内を拡大した写真図である。20は、自立性高分子薄膜、電極層および絶縁層を積層させた構造体、70は水溶性膜である。なお図6(b)下部中央および図6(c)下部中央のスケールバーはいずれも50μmを意味する。図6(b)および図6(c)の写真図はSEMで撮影した。
実施例1’を用いて、射出試験を行った。実施例1’を20ゲージニードル(テルモ社製、内径0.80mm、断面積2mm)を接続した10mLシリンジに収納し、該シリンジから実施例1’を水中に射出した。図7は、本発明の実施例1’を用いた射出試験に関する写真図である。図7において、図7(a)は、シリンジから射出された実施例1’の写真図であり、図7(b)は、図7(a)の破線部内を拡大した写真図である。図7に示されるように、これにより、実施例1’が射出可能な生体用電極であることを確認できた。
実施例2’を用いて、電極インピーダンスを計測した。図8は本発明の実施例を用いた電極インピーダンスの計測試験に関する図である。まず実施例2’と同様のサンプルを4つ用意し、実施例2’−1、実施例2’−2、実施例2’−3、実施例2’−4とした。
実施例2’−1の第二の端部側の自立性高分子薄膜の、電極部が設けられた第一の端部側と反対側の第二の端部側で、外層で被覆されていないAu配線とは反対側の膜面に、ポリイミドフィルムを貼付し、さらにポリイミドフィルムの、自立性高分子薄膜に貼付させた膜面と反対側の膜面に、補強材としてFFCの先端部を切断したFFC片(配線としての使用ではなく、補強材として、および、コネクタに差し込むための厚さを調整するために使用)を両面テープを用いて貼付することにより、計測デバイスのコネクタ部の接続口の高さと形状に適合させた。このAu配線、自立性薄膜、ポリイミドフィルム及びFFC片を積層した積層構造体を、計測デバイスのFFCケーブルコネクタに接続し、電極インピーダンスを計測した。図8は、FFCとFFCコネクタを接続させた実施例2’−1である。実施例2’−1の接続部では、FFCとポリイミドフィルムと自立性高分子薄膜と電極層とを順次積層させた積層構造になった。該積層構造において、ポリイミドフィルムと自立性高分子薄膜との界面で接着剤は使用せず、また熱処理も行わなかったが、電極インピーダンスの計測試験終了まで、実施例2’−1はポリイミドフィルムから剥離せず、計測デバイスに接続した状態を維持した。実施例2’−2と実施例2’−3も実施例2’−1と同様の方法で電極インピーダンスの計測デバイスに接続した。
上記の実施例2’−1を人工脳脊髄液(Artificial cerebrospinal fluid aCSF)に穿刺し、周波数10Hzの交流電流を印加して、電極インピーダンスを計測した。aCSFは、120mMのNaCl、2.5mMのKCl、26mMのNaHCO、1.25mMのNaHPO、1mMのMgCl、2mMのCaCl、11mMのグルコース(pH 7.4)の組成のものを使用した。計測機器には3532−80(HIOKI社製)を用いた。1回目の計測後、実施例2’−4をaCSFから引き抜き、電極部が露出する端面から0.5mmのところで実施例2’−1を切断し、新たに電極部を露出させた。この新たな電極部を再びaCSFに穿刺し、1回目と同様に電極インピーダンスを計測した。2回目の計測後、再び実施例2’−1をaCSFから引き抜き、電極部が露出する端面から0.5mmのところで切断し、新たに電極部を露出させた。この新たな電極部を再びaCSFに穿刺し、1回目と同様に電極インピーダンスを計測した。実施例2’−2、実施例2’−3についても実施例2’−1と同様の方法で3回電極インピーダンスを計測した。計測結果を表1に示す。
表1の計測結果によれば、本発明の実施例2‘−1、実施例2’−2、実施例2’−3について3回計測された電極インピーダンスの値は、578kΩ〜6.3MΩで分布し、1.3MΩ〜1.7MΩを示すことが多かった。実施例2’−1、実施例2’−2については切断による電極インピーダンスの変化が少なく、特に実施例2’−2については、3回の計測値がいずれも、1.3MΩ〜1.7MΩの範囲内であった。上記の計測結果から、本発明が、1つの構造体から、同等の電気的性能を備える電極部を、簡便に、繰り返し形成させることができることを確認できた。
実施例2’−4を用いて、穿刺試験を行った。図9は、本発明の実施例を用いた穿刺性試験に関する写真図である。ヒトの脳組織と同等の柔らかさにして作製したゼラチンを用意し、実施例2’−4を穿刺できるか否かを確認した。図9に示されるように、実施例2’−4はヒトの脳組織と同等の柔らかさのゼラチンに穿刺できた。
10 生体用電極
11 第一の端部
12 第二の端部
20 構造体
30 自立性高分子薄膜
31 第一の膜面
32 第二の膜面
33 接続部
40 電極層
41 配列
42 電極部
43 インク受容層
50 外層
60 絶縁層
70 水溶性膜
X 配列方向
Y 軸方向

Claims (17)

  1. 自立性高分子薄膜と、前記自立性高分子薄膜の少なくとも一方の膜面に形成される電極層を備える構造体と、前記構造体の外面における前記電極層を備える膜面を被覆し、絶縁層および水溶性膜を備える外層と、前記電極層の一部であって、前記電極層に含まれる電極材が前記外層から露出する電極部とを備える生体用電極。
  2. 前記水溶性膜の材料が、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アガロース、ヒアルロン酸、アルギン酸、砂糖、塩、高分子電解質からなる群から一種以上選択される水溶性化合物である請求項1に記載の生体用電極。
  3. 前記生体用電極の前記電極部を含む部分の形状が膜体であり、かつ前記絶縁層で被覆された前記構造体を巻回させることにより、または折り畳むことにより、中心軸を有し、前記中心軸の軸方向が前記電極層を構成する一の配線の延伸方向と同方向である形状であって、前記形状は、針状体、円錐体、多角錘体、円柱体、多角柱体からなる群から一つ選択される形状である、請求項1または請求項2に記載の生体用電極。
  4. 前記電極部の露出面の長径が、6μm以上3mm以下である請求項3に記載の生体用電極。
  5. 前記電極部の総面積が、0.5μm以上1000000μmである請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の生体用電極。
  6. 前記電極層が一方向に配列された複数の配線を有し、前記複数の配線が互いに前記絶縁層で絶縁分離されてなる、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の生体用電極。
  7. 前記自立性高分子薄膜が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミド、ポリユリア及びビニルポリマーからなる群から1種以上選択される高分子化合物の薄膜である、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の生体用電極。
  8. 前記高分子化合物の薄膜が、生体適合性薄膜であって、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、パリレン、SU−8、含フッ素高分子化合物、スチレン系エラストマー、シリコーン、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、グリコール酸/L−乳酸共重合体及びグリコール酸/DL−乳酸共重合体から選択される乳酸共重合体、ポリラクトン又はラクトン共重合体、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)共重合体(PLGA)、ポリエチレングリコール(PEG)化されたPLGA、PLGA−PLA−PEGコポリマー、電解質ポリマーからなる群から1種以上選択される高分子化合物の薄膜である、請求項7に記載の生体用電極。
  9. 前記自立性高分子薄膜の膜厚が30nm以上100μm以下である、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の生体用電極。
  10. 電極材を含有するインクからなり、前記自立性高分子薄膜の少なくとも一方の膜面にインク受容層を介して形成される前記電極層を備える、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載される生体用電極。
  11. 前記自立性高分子薄膜の少なくとも一方の膜面であって、前記電極層を構成する一の配線の延伸方向において、前記電極部から離れた領域で前記外層から露出する接続部を備える請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の生体用電極。
  12. 生体電位計測用電極または生体刺激用電極である請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の生体用電極。
  13. 生体内への射出により生体電位の計測領域又は生体の刺激領域に装着される、請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の生体用電極。
  14. 自立性高分子薄膜の少なくとも一方の膜面に電極層を形成して構造体を作製する構造体作製工程と、前記構造体の表面に絶縁層および水溶性膜を備える外層を形成する外層形成工程と、前記絶縁層と前記水溶性膜とで被覆された前記構造体を切削して前記電極層の一部を露出させ、電極部を設ける電極部形成工程と含み、前記外層形成工程が、前記構造体に絶縁材料を含む液剤を被覆して、前記絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層が形成された前記構造体に水溶性化合物を被覆し、前記水溶性化合物を固化させて前記絶縁層の表面に水溶性膜を形成する水溶性膜形成工程とを含む、生体用電極の製造方法。
  15. 前記絶縁層形成工程が、絶縁材料を含む液剤に前記構造体を浸漬後、前記液剤から前記構造体を引き上げ、前記液剤が被覆された前記構造体を乾燥させて、前記絶縁層を形成する絶縁層形成工程である、請求項14に記載の生体用電極の製造方法。
  16. 膜体であって、かつ前記絶縁層で被覆された前記構造体を巻回させることにより、または折り畳むことにより、針状、円錐状、多角錘状、円柱状、多角柱状からなる群から一つ選択される形状に成形する成形工程と、前記成形工程で成形後の前記構造体に水溶性膜を形成する前記水溶性膜形成工程と、前記絶縁層および前記水溶性膜を備える外層が形成された前記構造体の前記外層の一部の領域を切削して前記電極層の一部を露出させ、前記電極部を設ける電極部形成工程とを含む、請求項14または請求項15に記載の生体用電極の製造方法。
  17. 請求項1ないし13のいずれか一項に記載の生体用電極の電極部が設けられた第一の端部側と反対側の第二の端部側において、外層で被覆されていないAu配線とは反対側の膜面に、ポリイミドフィルムを貼付し、さらに、自立性高分子薄膜に貼付させた膜面と反対側のポリイミドフィルム膜面に補強材を貼付することにより、計測デバイスのコネクタ部の接続口の形状に適合させた、計測デバイスのコネクタ部接続用の積層構造体。

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