JP2019040682A - 非水系電解液及び非水系二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
第2実施形態では、第1実施形態に示す非水系電解液を有する各成分の含有量を規定する。第2実施形態では、環状酸無水物の含有量が、非水系電解液に対し、0.1質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。
第3実施形態では、非水系電解液には、更に、飽和第二級炭素を有さない環状カーボネートを含有することが好ましい。「飽和第二級炭素」とは、炭素原子に結合する隣の炭素原子の数が2つのものをいう。また、飽和とは、二重結合、三重結合を持たないことを意味する。
第4実施形態では、更にリチウム塩を含み、リチウム塩は、少なくともPF6アニオンを含有することが好ましい。また、PF6アニオンは、LiPF6が解離したものであることが好ましい。本実施形態のリチウム塩は、炭素原子をアニオンに含まず、フッ素原子をアニオンに含んでいる。このようなリチウム塩は、正極集電体である金属箔の表面に不働態皮膜を形成し、正極集電体の腐食を抑制する点で優れている。
本実施形態における非水系電解液を用いた非水系二次電池は、初回充電により電池として機能し得るが、初回充電の際に電解液の一部が分解することにより安定化する。このとき、含N複素環化合物や、環状酸無水物はもともと電解液中での含有量が少ないうえ、負極SEI膜に取り込まれる等して、初回充電後は、成分検出が困難な場合がある。
本実施形態の非水系二次電池は、集電体の片面または両面に正極活物質層を有する正極と、集電体の片面または両面に負極活物質層を有する負極と、非水系電解液と、を有し、非水系電解液としては、上記した各実施形態の非水系電解液を用いた構成とすることができる。
本実施形態では、特に限定するものではないが、85℃での24時間貯蔵後における3C放電時の容量維持率が、75%以上であることが好ましい。容量維持率が、77%以上であることがより好ましい。このように、高温環境下において、内部抵抗の増加を抑制でき、高い容量維持率を得ることができる。
本実施形態の非水系電解液を用いた非水系二次電池は、高温耐久性に優れ、電池の劣化を抑制することができる。本実施形態の非水系二次電池は、汎用品や自動車等に適用でき、夏場の屋外用途や車載のエンジンルーム等に好ましく適用できる。
本実施形態の非水系電解液は、非水系二次電池に用いることができる。本実施形態の非水系二次電池としては、負極、正極、セパレータ、及び電池外装に対し、特に制限を与えるものではない。
非水系電解液は上記した特徴的部分を具備していれば、従来のリチウムイオン二次電池の非水系電解液に用いられる材料を適用することができる。
本実施形態でいう「カーボネート系溶媒」の具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、トランス−2,3−ブチレンカーボネート、シス−2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、トランス−2,3−ペンチレンカーボネート、シス−2,3−ペンチレンカーボネート、及びビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、及びビニルエチレンカーボネートに代表される環状カーボネート;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、及びメチルトリフルオロエチルカーボネートに代表される鎖状カーボネート;トリフルオロジメチルカーボネート、トリフルオロジエチルカーボネート、及びトリフルオロエチルメチルカーボネートに代表される鎖状フッ素化カーボネートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態の非水系電解液は、リチウム塩を特に限定するものではない。例えば、本実施形態では、リチウム塩として、LiPF6やイミド塩を含む。
LiC(SO2R6)(SO2R7)(SO2R8) (3a)
LiN(SO2OR9)(SO2OR10) (3b)
LiN(SO2R11)(SO2OR12) (3c)
{式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。}のそれぞれで表される有機リチウム塩等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を、LiPF6と共に使用することができる。
本実施形態においては、非水系電解液に、添加剤として、既に記載したように、環状酸無水物、含N複素環化合物、及び飽和第二級炭素を有さない環状カーボネートを含むことが好ましい。
正極150は、正極合剤から作製した正極活物質層と、正極集電体とから構成される。正極150は、非水系二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。
正極活物質としては、例えば、下記の式(4a)及び(4b):
LixMO2 (4a)
LiyM2O4 (4b)
{式中、Mは少なくとも1種の遷移金属元素を含む1種以上の金属元素を示し、xは0〜1.1の数、yは0〜2の数を示す。}のそれぞれで表されるリチウム含有化合物、及びその他のリチウム含有化合物が挙げられる。
LivMID2 (5a)
LiwMIIPO4 (5b)
{式中、Dは酸素又はカルコゲン元素を示し、MI及びMIIはそれぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は、電池の充放電状態により決まり、vは0.05〜1.10、wは0.05〜1.10の数を示す。}のそれぞれで表される化合物が挙げられる。
負極160は、負極合剤から作製した負極活物質層と、負極集電体とから構成される。負極160は、非水系二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。
本実施形態における非水系二次電池100は、正極150及び負極160の短絡防止、シャットダウン等の安全性付与の観点から、正極150と負極160との間にセパレータ170を備えることが好ましい。セパレータ170としては、限定されるものではないが、公知の非水系二次電池に備えられるものと同様のものを用いてもよく、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。セパレータ170としては、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜等が挙げられ、これらの中でも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。
本実施形態における非水系二次電池100の電池外装110の構成は特に限定されないが、例えば、電池缶及びラミネートフィルム外装体のいずれかの電池外装を用いることができる。電池缶としては、例えば、スチール又はアルミニウムからなる金属缶を用いることができる。ラミネートフィルム外装体としては、例えば、熱溶融樹脂/金属フィルム/樹脂の3層構成からなるラミネートフィルムを用いることができる。
本実施形態における非水系二次電池は、集電体の片面または両面に正極活物質層を有する正極と、集電体の片面または両面に負極活物質層を有する負極と、非水系電解液と、を有して構成される。
本実施形態の非水電解液は、非水系溶媒としてのカーボネート系溶媒に、環状酸無水物と、上記一般式(1)を有する化合物とを、任意の手段で混合して製造することができる(第1実施形態の非水系電解液の製造方法)。
本実施形態における非水系二次電池100は、上述の非水系電解液、集電体の片面又は両面に正極活物質層を有する正極150、集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する負極160、及び電池外装110、並びに必要に応じてセパレータ170を用いて、公知の方法により作製される。
不活性雰囲気下、各種溶媒、各種添加剤及び電解質を所定の体積比になるように混ぜることで電解液を調製した。実施例及び比較例で用いた各電解液の組成は表1に示した。なお、表1において、「EC」はエチレンカーボネート、「EMC」はエチルメチルカーボネート、「VC」はビニレンカーボネート、「SAH」は無水コハク酸、「MBTA」は1−メチルー1H−ベンゾトリアゾールをそれぞれ示す。
(1−1) 正極(P1)の作製
正極活物質としてリチウム、ニッケル、マンガン、及びコバルトの複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)と、導電助剤としてアセチレンブラック粉末と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、86:8:6の質量比で混合し、正極合剤を得た。得られた正極合剤に溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを投入して更に混合して、正極合剤含有スラリーを調製した。この正極合剤含有スラリーを、正極集電体となるアルミニウム箔両面に、片面あたりの目付量が11.5mg/cm2になるように調節しながら塗布した。正極合剤含有スラリーをアルミニウム箔に塗布する際には、アルミニウム箔の一部が露出するように未塗布領域を形成した。その後、ロールプレスで合材層の密度が2.8mg/cm3になるように圧延することにより、正極活物質層と正極集電体とからなる正極を得た。
負極活物質であるグラファイトと、導電助剤であるアセチレンブラックと、バインダーであるPVDFとを86:7:7の質量比で混合し、負極合剤を得た。得られた負極合剤に適量の水を添加した後に十分に混合して、負極合剤含有スラリーを調製した。この負極合剤含有スラリーを、銅箔の両面に、片面あたりの目付量が6.9mg/cm2になるように調節しながら塗布した。負極合剤含有スラリーを銅箔に塗布する際には、銅箔の一部が露出するように未塗布領域を形成した。その後、ロールプレスで合材層の密度が1.3mg/cm3になるように圧延することにより、負極活物質層と負極集電体とからなる負極を得た。
リード付き正極とリード付き負極とを、各極の合剤塗布面が対向するようにポリエチレン製樹脂フィルムを介して重ね合わせて積層電極体とした。この積層電極体をアルミニウムラミネートシート外装体内に収容し、水分を除去するために80℃で5h真空乾燥を行った。続いて、電解液を外装体内に注入した後、外装体を封止することにより、積層ラミネート型非水系二次電池(パウチ型セル電池。以下、単に「積層ラミネート電池」ともいう。)を作製した。正極端子と負極端子の無い融着辺に、安全弁機構となる穴を形成した。穴の周囲を同心円形状にて熱融着した。
上述のようにして得られた積層ラミネート電池について、以下の手順に従って初回充放電処理を行った。続いて85℃で24時間の貯蔵試験及び100サイクル試験を行った。充放電は、アスカ電子(株)製の充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製の恒温槽PLM−73S(商品名)を用いて行った。
積層ラミネート電池の周囲温度を25℃に設定し、0.05Cに相当する0.5Aの定電流で充電して電池電圧が4.2Vに到達するまで充電を行った後、4.2Vの定電圧で充電を継続し、合計3時間の充電を行った。その後、0.3Cに相当する3Aの定電流で3.0Vまで放電した。このときの放電容量を充電容量で割ることによって、初回効率を算出した。
上記の方法で初回充放電処理を行った積層ラミネート電池について、25℃において、0.3Cの電流値で4.2Vになるまで定電流充電を行った後、4.2Vで1時間の定電圧充電を行った。そして、この充電後の積層ラミネート電池を85℃の恒温槽内で24時間貯蔵した。24時間経過後、積層ラミネート電池を恒温槽から取り出し、25℃において、0.3Cの定電流で3.0Vまで放電した。その後、0.3Cの電流値で4.2Vになるまで定電流充電を行った後、4.2Vで1時間の定電圧充電を行い、3Cの定電流で3.0Vまで放電した。このときの放電容量を初回の放電容量で割ることによって、85℃24時間の貯蔵後における容量維持率を算出した。
上記の方法で初回充放電処理を行った積層ラミネート電池について、電池の周囲温度を25℃に設定し、1.5Cに相当する15Aの定電流で充電して、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で合計1時間充電を行った。その後、15Aの定電流で3.0Vまで放電した。充電と放電とを各々1回ずつ行うこの工程を1サイクルとし、100サイクルの充放電を行った。なお、1サイクル目、50サイクル目、100サイクル目に0.5Cに相当する5Aの定電流で充電して、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で合計1時間充電を行い、その後、1.5Aの定電流で3.0Vまで放電を行った。1サイクル目の放電容量を100%としたときの100サイクル目の放電容量を容量維持率とした。
実施例、比較例とも上記の表1に示した組成で電解液を作製し、上記の方法で正極及び負極を作製し、単層ラミネート電池を組み立ててその評価を行った。
110 電池外装
120 電池外装の空間
130 正極リード体
140 負極リード体
150 正極
160 負極
170 セパレータ
Claims (15)
- 前記環状酸無水物が、無水コハク酸、無水マレイン酸及び無水フタル酸のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。
- 前記環状酸無水物は、少なくとも、前記無水コハク酸を含むことを特徴とする請求項2に記載の非水系電解液。
- 前記環状酸無水物の含有量が、非水系電解液に対し、0.1質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の非水系電解液。
- 前記化合物は、含N複素環化合物であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の非水系電解液。
- 前記含N複素環化合物は、少なくとも、下記一般式(2)を有する化合物であることを特徴とする請求項5に記載の非水系電解液。
- 前記含N複素環化合物の含有量が、非水系電解液に対し、0.1質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液には、更に、飽和第二級炭素を有さない環状カーボネートを含有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の非水系電解液。
- 前記飽和第二級炭素を有さない環状カーボネートが、エチレンカーボネート及びビニレンカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の非水系電解液。
- 前記飽和第二級炭素を有さない環状カーボネートは、少なくともビニレンカーボネートを含むことを特徴とする請求項9に記載の非水系電解液。
- 更に、リチウム塩を含み、前記リチウム塩は、少なくとも、PF6アニオンを含有することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の非水系電解液。
- 前記PF6アニオンは、LiPF6が解離したものであることを特徴とする請求項11に記載の非水系電解液。
- 集電体の片面又は両面に、正極活物質層を有する正極と、
集電体の片面又は両面に、負極活物質層を有する負極と、
請求項1から請求項12のいずれかに記載の非水系電解液と、
を具備することを特徴とする非水系二次電池。 - 85℃での24時間貯蔵後における容量維持率が、75%以上であることを特徴とする請求項13に記載の非水系二次電池。
- 前記非水系二次電池の25℃下での100サイクル特性評価における、容量維持率が、90%以上であることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の非水系二次電池。
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