以下、車両制御装置を具現化した実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の車両制御装置は車両に搭載されるものであり、自車両が境界部を越えることを抑制するために、境界部を認識する車両制御を実施する。まずは、図1を参照して、本実施形態にかかる車両制御装置10に接続される構成要素及び車両制御装置10の概略構成について説明する。
車両制御装置10には、位置測定部41が接続される。位置測定部41は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び車両の位置を計測するために自車両Mの相対移動を検出するセンサ等から構成されている。具体的には、GNSS受信機は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの衛星信号や他の基準局からの信号に基づいて、自車両Mの位置、速度及び方位を計測する。また、自車両Mの相対移動を検出するセンサとして自車両Mを中心に定義される直交する3軸まわりの回転角と3軸まわりの加速度とを測定するセンサ(例えば、ジャイロセンサと加速度センサ等)や、ヨーレートセンサや車速センサ43等が設けられている。
また、自車両Mには、自車両Mの周囲を撮影する装置として、撮像部42が設けられている。撮像部42は、車載カメラであり、CCDカメラやCMOSイメージセンサ、近赤外線カメラ等で構成されている。撮像部42は、例えば自車両Mのフロントガラスの上端付近で且つ車幅方向の中央付近に取り付けられており、自車両Mの前方へ向けて所定角度範囲で広がる領域を俯瞰視点から撮影する。そして、撮影された画像を表す撮像画像を生成して車両制御装置10に逐次出力する。
車速センサ43は、自車両Mの速度を検出するセンサである。車速センサ43は、例えば、自車両Mの車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフトなどに対して設けられ、車輪の回転速度を検出する。そして、車速センサ43は、検出された車輪の回転速度または回転速度に基づき算出された車速を車両制御装置10に出力する。
自車両Mの方向指示器としてのウィンカ44は、ドライバによる操作位置が「右指示位置」、「左指示位置」及び「非作動位置」のいずれであるかを示す信号を車両制御装置10に出力する。
記憶部45は、地図情報を記憶しており、例えば、ハードディスク、光学ドライブ、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体から構成される。ここで、地図情報には、車両が走行可能な道路と道路の幅に関する属性情報が含まれている。具体的には、属性情報には、道路の位置座標(座標点)、幅員、車線数等の車線情報、車線毎の幅員、中央分離帯の有無、歩道の有無等が含まれている。なお、車線数は、乗り越え規制された中央分離帯が設けられている道路では、道路片側部分の車線数を示し、乗り越え規制された中央分離帯が設けられていない道路では、道路両側の車線数を示している。
警報装置46は、例えば、自車両Mに設けられた車両スピーカや、表示装置や、ハンドルの振動装置等から構成されており、警告音または警告表示を出力したり、ハンドルを振動させたりする。
車両制御装置10は、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えたコンピュータであり、CPUがROMにインストールされているプログラムを実行することで各機能を実現する。車両制御装置10は、道路認識部11、情報取得部12、範囲設定部13、画像取得部14、境界部認識部15、抑制部16の各機能を備えている。なお、各機能は、その少なくとも一部が共通のコンピュータによって構成されていてもよいし、それぞれが、互いに通信可能な個別のコンピュータによって構成されていてもよい。以下において、車両制御装置10に設けられた各機能について説明する。
道路認識部11は、地図情報に登録されている道路において、自車両Mが走行する道路を走行道路として認識する。例えば、位置測定部41の測定結果に基づき検出された自車両Mの緯度、経度、高度等(車両位置P)に基づいて、自車両Mが走行する道路を特定する。情報取得部12は、記憶部45に記憶された地図情報から属性情報を取得する。
範囲設定部13は、道路の端部もしくは区画線である境界部を探索する範囲を設定する。具体的には、情報取得部12が取得した属性情報に基づいて、探索範囲を設定する。なお、区画線とは、車道中央線、車線境界線、車道外側線、車道境界線、路側帯の表示等を含む一方、白色や黄色の実線又は点線のペイント、又はペイント以外に線状に配置された石や草等を含む。
画像取得部14は、撮像部42により撮像された画像(撮像画像)を取得する。境界部認識部15は、画像取得部14で取得した撮像画像のうち探索範囲において境界部を認識する。
抑制部16は、位置測定部41の測定結果により検出された車両位置P(図3参照)と車速センサ43や操舵センサ等からの情報に基づいて、自車両Mの前方における予測進路を推定する。そして、予測進路を自車両Mが走行する場合において、自車両Mが境界部を越えようとするときに、警報装置46に警報を出力することで、自車両Mが境界部を越えることを抑制する。
次に、図2を用いて、車両制御装置10の処理フローについて説明する。具体的には、境界部として端部を探索して認識し、自車両Mが端部を越える(車路から逸脱する)場合に警報するためのフローについて説明する。なお、図2の処理フローは、車両制御装置10において所定の周期で実行される。
ステップS11で、自車両Mの車両位置P(緯度、経度、高度)を検出する。具体的には、GNSS受信機の信号を基に自車両Mの絶対的な位置を計測して用いる衛星航法と、自車両Mのセンサを基に位置を測定する自律航法とを併用することで、高い精度で自車両Mの車両位置Pを検出する。なお、車両位置Pは、自車両Mの幅方向の中心位置であり、撮像部42の幅方向の位置と一致する。そして、ステップS12で、ステップS11での検出結果を用い、記憶部45に記憶されている道路と照合することで、自車両Mが走行する道路を走行道路として認識する。
ステップS13で、ステップS12で特定された走行道路に基づいて、記憶部45に記録されている属性情報を取得する。具体的には、道路の位置座標、中央分離帯の有無、道路の幅員、道路の車線数、車線毎の幅、歩道の有無等の情報を取得する。
ステップS14で、基準位置を設定する。具体的には、ステップS13で取得した属性情報から、道路に沿って付与された座標データである走行道路の位置座標(座標点C)を取得する。そして、図3及び図4に示すように、座標点Cを結線して、道路形状線CLを生成する。座標点Cは、他の道路と交わる点、形状の変化点、及び所定間隔での計測点として、属性情報に記録されている。なお、中央分離帯が設けられている道路においては、座標点Cは、同一方向の車線の幅方向の中央位置に設けられており、座標点Cを結線して生成した道路形状線CLは、同一方向の車線の幅方向の中心線となる。一方、中央分離帯が設けられていない道路においては、座標点Cは、両方向の車線の幅方向の中央位置に設けられている。
ステップS15で、道路幅方向において、道路形状線CLに対する自車両Mのオフセット量Aを算出する。具体的には、ステップS11で取得した自車両Mの車両位置Pと道路形状線CLとの間の距離を算出し、その距離をオフセット量Aとする。この際に、車両位置Pを中心として、幅方向左側を正の値として、オフセット量Aを計算する。そのため、自車両Mが、道路形状線CLよりも右側にいると、オフセット量Aは負の値となり、道路形状線CLよりも左側にいると、オフセット量Aは正の値となる。
そして、図3及び図4に示すように、ステップS16で、自車両Mの左右両側に探索範囲S1,S2を設定する。道路の幅方向両側の端部を境界部として探索する。そこで、撮像部42の撮像範囲Sのうちで、探索範囲S1,S2を設定する。この際に、探索範囲S1,S2が区画線L1,L2の外側、つまり区画線L1,L2の幅方向の外縁部よりも外側になるようにする。具体的には、属性情報から取得した車線の幅W1(左側の区画線L1の中心から右側の区画線L2の中心までの距離)と、各区画線の幅W2と、オフセット量Aとを用いて、探索範囲S1,S2を算出する。自車両Mの左側の探索範囲S1は、車線の幅W1に車線数Nをかけて2で割った値からオフセット量Aを引いた値に区画線1本分の幅W2の半分の値を足すことで、車両位置Pから左側の区画線L1の外縁部までの距離を算出し、その距離以上の範囲(左側の探索範囲S1≧W1×N/2−A+W2/2)として設定する。つまり、左側の区画線L1の左側が左側の探索範囲S1となるように設定する。同様に、自車両Mの右側の探索範囲S2は、車線の幅W1の値を負の値とし、その値に車線数Nをかけて2で割った値からオフセット量Aを引いた値に区画線1本分の幅W2の半分の値をひくことで、車両位置Pから右側の区画線L2の外縁部までの距離を算出し、その距離以下の範囲(右側の探索範囲S2≦−W1×N/2−A−W2/2)として設定する。つまり、右側の区画線L2の右側が右側の探索範囲S2となるように設定する。
そして、ステップS17で、図3のように、1車線の場合には、撮像画像の探索範囲S1,S2において、両側の端部として路外と道路の境界位置B1を探索して認識する。撮像画像の探索範囲S1,S2の部分に対して、画像処理(探索処理)を行い、路外と道路の境界位置B1(端部)を認識する。なお、路外と道路の境界位置B1を探索して認識する際には、ステップS13で取得した属性情報に基づいて、走行道路に歩道があるかどうかを判定する。歩道がないと判定された場合には、路外と道路の境界位置B1を端部として探索して認識する。一方、歩道があると判定された場合には、歩道と車道の境界位置(縁石等との境界位置)を端部として探索して認識する。
また、ステップS17で、複数車線の場合には、ステップS13で取得した属性情報に基づいて、走行道路に中央分離帯があるかどうかを判定する。中央分離帯がない場合には、逆方向も含めた両側の端部として路外と道路の境界位置B1を探索して認識する。また、歩道がある場合には、歩道と車道の境界位置(縁石等との境界位置)を端部として探索して認識する。図4の場合のように、中央分離帯がある場合には、自車両の同一方向の道路の端部として、路外と道路の境界位置B1と中央分離帯MSとの境界位置B2を探索する。具体的には、左側通行の場合には、自車両Mの左側に路外と道路の境界位置B1があり、自車両Mの右側に中央分離帯MSがある。そこで、左側の探索範囲S1では、左側の端部として、路外と道路の境界位置B1を探索して認識する一方、右側の探索範囲S2では、右側の端部として、中央分離帯MSと車道の境界位置B2(縁石などとの境界位置)を探索して認識する。
ステップS18で、端部が認識できたかどうか判定する。例えば、隣接車線にいる車両等によって、一方の端部が認識できなかった場合には、ステップS18を否定し、ステップS19で、自車両Mが走行する自車線を認識する。具体的には、道路形状線CLからのオフセット量Aと車線毎の幅員に基づいて、どの車線にいるかを認識する。具体的には、オフセット量Aが、正の値か負の値かによって、道路形状線CLのどちら側にいるかを判別し、オフセット量Aの値によって、道路形状線CLからの距離がわかるので、その距離と車線毎の幅員との比較によって、自車両Mが走行する自車線が認識される。
そして、ステップS20で、自車線に隣接車線があるかどうかを判定する。具体的には、ステップS18で端部が認識できていないと判定された側に隣接車線があるかどうかを判定する。例えば、図4において、左側の端部である路外と道路の境界位置B1が認識できなかった場合、自車両の走行する自車線の左側には、隣接車線があることから、ステップS20を肯定する。一方、例えば、図4において、右側の端部である中央分離帯MSとの境界位置B2が認識できなかった場合、右側は中央分離帯MSのため、右側には隣接車線がないと判定し、ステップS20を否定する。また、仮に自車両が第一走行車線(左側通行の場合に最も左側の車線)を走行している場合には、自車両の左側には、隣接車線がないと判定する。
ステップS20が否定されると、ステップS21で、再度認識できなかった側の端部を認識する。このように、自車線の右側(隣接車線がない側)で、端部が認識できなかった場合には、再度端部を認識して、ステップS18に戻る。
ステップS18又はステップS20が肯定されると、ステップS22で、ウィンカ44が非作動位置にあるかを判定する。ウィンカ44が作動している(右指示位置もしくは左指示位置にある)場合には、本ステップを否定し、処理を終了する。ウィンカ44が作動位置にある場合には、路外への進入など境界部を越える意図を運転者が示しているため、境界部を越える場合の警告を行わない。一方、ウィンカ44が非作動位置にある場合には、境界部を越える意図がないものとして、本ステップを、肯定する。
次に、ステップS23で自車両Mの前方における予測進路を推定する。具体的には、自車両Mの位置や、車速センサ43から入力された車速や、ステアリング角等から、自車両Mの予測進路を推定する。
そして、ステップS24で、推定された予測進路を自車両Mが走行した場合に、自車両Mが認識された端部を越える(路外に逸脱する)かどうかを判定する。端部を越えないと判定された場合には、処理を終了する。一方、端部を越えると判定された場合には、ステップS25で、警報装置46に警報を出力し、ドライバに注意を促して、処理を終了する。
上記構成により、本実施形態は、以下の作用及び効果を奏する。
本実施形態では、撮像部42によって撮像された撮像画像において、車両の走行する道路の端部を探索して、路外への逸脱抑制(走行支援制御)に用いている。この際に、撮像画像の全領域を探索すると、路面上のタイヤ痕等による影響を受けやすく、誤認識が生じやすくなる。また、全領域を探索すると、画像処理の負荷がかかることになる。そこで、本実施形態では、道路の幅に関する属性情報を用いて、端部の探索範囲S1,S2を設定する。そして、探索する探索範囲S1,S2を限定した状態で、撮像画像から端部を認識する。そのため、誤認識を生じにくくすることができる。
また、自車両Mの位置である車両位置Pと、道路の幅方向における所定の基準位置(道路形状線CL)との間の距離をオフセット量Aとして算出し、このオフセット量Aを考慮して探索範囲S1,S2を設定するようにした。そのため、自車両位置が幅方向の中央位置からずれていても、探索範囲S1,S2を適切な範囲に設定することができる。
具体的には、本実施形態では、属性情報として取得した道路に沿って付与された座標データ(座標点C)を結線することで生成した道路形状線CLを基準位置としてオフセット量Aを算出する。属性情報から取得した座標データを基準としてオフセット量Aを算出することができる。
また、本実施形態では、車両位置Pを測定する際に、衛星測位システム(GNSS)によって受信した自車両Mの絶対的な位置を用いる衛星航法と、車輪速センサやヨーレートセンサ等に基づいて自車両Mの相対的な位置を測定する自律航法とを併用している。2つの方法を併用することで、自車両Mの車両位置Pを測定する精度を高めており、ナビゲーション装置で一般的に使われるマップマッチングを用いる必要がなくなる。そして、マップマッチングをしないことで、正確なオフセット量Aを算出することができる。
本実施形態では、境界部として端部(路外との境界位置B1又は中央分離帯MSとの境界位置B2)を認識している。自車両Mが、道路の端部を逸脱すると事故等になる危険性が高いため、走行制御を行う際に、端部を認識することが求められる。なお、隣接車線がない場合は、隣接車線がある場合に比べて、路外への逸脱が発生する可能性が上がるため、端部を認識する必要性が高い。また、道路の端部では、街路樹からの枝等や建造物の影等によって、誤認識が発生しやすい。特に、歩道が設けられておらず、道路の路面と路外との間が平坦な場合には、誤認識が発生しやすい。本実施形態では、隣接車線がない側で端部が認識できない場合には、端部を再度認識するため、必要な場合に端部を正確に認識できる確率が高くなる。
本実施形態では、探索範囲S1,S2を自車線の区画線L1,L2の外側に設定している。道路の端部を探索する際に、区画線自体にタイヤ痕があったり、かすれていたりしていると、区画線自体が外乱の一因となり、端部の誤認識が生じる確率が高くなる。そこで、区画線L1,L2の外側のみを探索するようにすることで、端部の誤認識の確率を下げることができる。
また、本実施形態では、自車両Mが端部を越えようとしたときに、警報装置46を出力させる制御を行う。このような制御を行う際に、端部を正確に認識してないと、実際には端部を越えていないのに、警報することになる。そこで、本実施形態では、探索範囲S1,S2を狭くして、誤認識を抑制して端部を認識することで、不必要な警報を防止することができる。
上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。ちなみに、以下の別例の構成を、上記実施形態の構成に対して、個別に適用してもよく、また、任意に組み合わせて適用してもよい。
・上記実施形態では、車両位置Pと撮像部42の幅方向の位置が一致するとしていたが、一致していなくてもよい。一致していない場合には、車両位置Pからオフセット量Aを算出する際に、撮像部の位置からのオフセット量となるように変換することが好ましい。
・上記実施形態では、車両位置Pとして自車両Mの幅方向の位置を検出して、それに基づいて、探索範囲S1,S2を設定していたが、撮像画像の中心位置から幅員に応じて予め定めておいた所定の値を除いた範囲を探索範囲として設定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、オフセット量Aを算出する基準位置を道路形状線CLとしているが、別の基準位置としてもよい。例えば、撮像画像で認識された構造物やペイントなどを基準位置としてもよい。
・上記実施形態では、道路に沿って付与された複数の座標点Cを結線することで道路形状線CLを生成するとともに、その道路形状線CLを基準位置としたが、これを変更してもよい。例えば、属性情報として、線状の座標データを含む構成において、その線状の座標データを基準位置としてもよい。
・上記実施形態では、境界部として、端部(路外との境界位置B1又は中央分離帯MSとの境界位置B2)を認識しているが、自車線の区画線を認識するようにしてもよい。また、左右いずれか一方で区画線を認識し、他方で端部を認識する構成でもよい。例えば、道路の対向車線側(車両左側通行の場合は右側)では、区画線を認識し、その反対側では、路端を認識するようにしてもよい。要は、道路の端部及び区画線のいずれか一方である境界部を認識すればよい。また、自車両の右側及び左側で、端部及び区画線の両方を境界部として認識してもよい。
・上記実施形態では、端部として、道路と路外の境界位置B1、車道と歩道の境界位置、車道と中央分離帯M2との境界位置B2を例示したが、他の地点を探索してもよい。例えば、歩道と路外の境界位置や、道路とU字溝との境界位置や、縁石との境界位置や、路外の草等を探索するようにしてもよい。また、路端周辺に設けられるガードレール等の構造物を認識するようにしてもよい。
・上記実施形態では、自車両Mのいる車線をオフセット量Aに基づいて認識していたが、撮像部により取得された撮像画像等に基づいて認識してもよい。
・上記実施形態では、区画線L1,L2の外側を探索範囲S1,S2に設定しているが、もっと広い範囲を探索範囲として設定してもよい。要は、区画線を認識する場合に、推定された区画線の位置の内側の領域を除いた範囲を探索範囲に設定すればよく、区画線とその外側とを探索範囲に設定してもよい。図3に示す状態で、区画線の位置を推定して、内側の領域を除いた範囲を設定するには、自車両Mの右側の探索範囲は、車線の幅W1の値を負の値とし、その値に車線数Nをかけて2で割った値からオフセット量Aを引いた値に区画線1本分の幅W2の半分の値を足すことで、車両位置Pから右側の区画線L2の内縁部までの距離を算出し、その距離以下の範囲(右側の探索範囲S2≦−W1×N/2−A+W2/2)を探索範囲として設定する。つまり、区画線L2の内側から右側が探索範囲となるように設定する。このように、区画線の内側の領域を探索しないようにすることで、区画線の内側にある枝やタイヤ痕等を境界部と認識することがなくなり、誤認識の確率を下げることができる。
・上記実施形態では、図2のステップS18からステップS21で、端部が認識できなかった場合に、その認識できなかった側に隣接車線がなければ、再度端部を認識することとしていたが、隣接車線の有無にかかわらず端部を再度認識してもよい。また、隣接車線がない場合に、再度の認識を行わず、境界部が未認識として警告処理を行ったり、境界部を越えるかどうかの判定を行わないようにしたりしてもよい。
・上記実施形態では、図2のステップS21で同じ探索範囲のまま端部の認識を行っていたが、探索範囲を広げて端部の認識を行うようにしてもよい。例えば、1度目で区画線の外側のみを探索範囲として端部が認識できなかった場合に、区画線とその外側を探索範囲に設定して、再度の認識を行ってもよい。
・上記実施形態では、オフセット量Aと車線数Nと車線毎の幅W1と区画線L1,L2,L3の幅W2に基づいて、所定の計算式を用いることで、同じ値の時には同じ探索範囲となるようになっていたが、図2のフローチャートのステップS19又はステップS23において、車両制御装置は、車両位置Pの信頼性によって探索範囲を可変に設定してもよい。自車両の位置に関するセンサの受信状況に基づいて、自車両の位置の信頼性が低いだと判断される場合がある。例えば、ビル街や山中では衛星測位システムからの位置情報を受信しにくくなるため、検出された位置の信頼性が低くなりやすい。このような場合には、車両位置の信頼性が高い場合に比べて、探索範囲を広くする。例えば、端部を認識する際に、車両位置の信頼性が高い場合の探索範囲が自車線の区画線の外側になるようになっていると、車両位置の信頼性が低いと判断された場合には、自車線の区画線の内側から探索範囲になるようにする。このように、車両位置の信頼性が高い場合と低い場合とを比べて、信頼性が低い場合には探索範囲を広くすることで、道路の境界部が探索範囲外となることを抑制し、確実に道路の境界部を認識することができる。
・上記実施形態では、オフセット量Aと車線数Nと車線毎の幅W1と区画線L1,L2,L3の幅W2に基づいて、所定の計算式を用いることで、同じ値の時には同じ探索範囲となるようになっていたが、図2のフローチャートのステップS19又はステップS23において、車両制御装置は、自車両の車速によって探索範囲を可変に設定してもよい。自車両の車速が大きい場合には、小さい場合に比べて、道路の路端を確実に認識することが求められる。そこで、自車両の車速が大きい場合と小さい場合とを比べて、車速が大きい場合には、探索範囲を広くすることで、道路の端部が探索範囲外となることを抑制し、確実に道路の端部を認識することができる。
・上記実施形態では、抑制部16は、警報装置46に出力して、警告音を出したり、警告表示をしたりしたが、抑制部16は、境界部を越えないように自車両の走行を制御してもよい。例えば、境界部を越えないように、操舵角を調整したり、境界部を越える前に、ブレーキがかかるように制御したりしてもよい。
・上記実施形態では、境界部の認識を常時行っていたが、認識をするかどうかを指示するスイッチを車両に設けて、そのスイッチのオン・オフで認識を行うかどうかを判定してもよい。