JP2019026153A - ガス発生器 - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法、重量、および複雑さを低減することができ、部品数および製造プロセス数を減少させ、コスト削減を達成することが可能なガス発生器を得る。【解決手段】ガス発生器100は、短尺略円筒状のハウジング内に、保持部30、点火器40、41、カップ状部材50、51、伝火薬61、ガス発生剤62、63、バイパス防止部材66、プリント基板80等が収容されることで構成される。プリント基板80には、点火器40、41の端子ピン42、43、44、45を挿入し電気的に接触させることにより、点火器40、41を電気的に並列接続する回路が形成されている。これにより、端子ピン81、82および端子ピン42、43、44、45を介して、点火器40内の抵抗体に第1のエネルギー以上のエネルギー、点火器41内の抵抗体に第2のエネルギー以上のエネルギー(第1のエネルギーよりも大きいエネルギー)を所定の信号パターンで付加可能である。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の安全装置に用いられるガス発生器に関し、特に、エアバッグ展開に用いられるガス発生器に関する。
自動車の衝突時に生じる衝撃から乗員を保護するため、急速にエアバッグを膨張展開させるガス発生器は、ステアリングホイール内またはインストルメントパネル内に装着されたエアバッグモジュールに組み込まれている。
このようなガス発生器としては、例えば、下記特許文献1に開示されているものがある。具体的には、少なくとも1つのガス噴出口を有するハウジングと、前記ハウジングの基底部分の窪み部に形成された構造部品と、を備えた二段点火式インフレータであって、前記構造部品が、第1の点火薬組成物を有する第1の点火器と、第2の点火薬組成物を有する第2の点火器と、前記第1の点火器および前記第2の点火器を包含するように一体成形された樹脂成型部とを備え、前記樹脂成型部は、前記ハウジングにおける前記窪み部を囲む壁に樹脂材料を付着させてこれを固化されるように成形され、前記樹脂成型部が、前記第1の点火器および前記第2の点火器と電気作動上連携する単一のコネクタとして機能するポケットを有し、前記単一のコネクタを介して電流を第1のまたは順極性で流して前記第1の点火器を作動させた後、さらに前記単一のコネクタを介して電流を第2のまたは逆極性で流して前記第2の点火器を作動させるものが、下記特許文献1に開示されている。この下記特許文献1に開示されているガス発生器によれば、インフレ−タの寸法、重量、および複雑さを低減することができる内部ハードウェアの変更が可能になるとともに、部品数および製造プロセス数を減少させ、従来よりもコスト削減を達成するとのことである。
特開2016−504231号公報
しかしながら、近年では、上記特許文献1に代表されるガス発生器よりも、さらに寸法、重量、および複雑さを低減することができる内部構成が求められているとともに、部品数および製造プロセス数を減少させ、従来よりもさらにコスト削減を達成することが求められている。
そこで、本発明は、従来よりも、寸法、重量、および複雑さを低減することができるとともに、部品数および製造プロセス数を減少させ、さらにコスト削減を達成することが可能なガス発生器を提供することを目的とする。
(1) 本発明のガス発生器は、下部側シェルと上部側シェルとを有し、少なくとも1つのガス噴出口を含むハウジングと、前記ガス噴出口を前記ハウジングの内側において閉塞するシール状の閉塞部材と、前記ハウジングの内側に周方向にわたって設けられたフィルタ材と、前記ハウジングの内壁と前記フィルタ材の内壁とで囲まれる空間から形成された燃焼室と、前記燃焼室に収容され燃焼によりガスを発生するガス発生剤と、点火薬組成物を有し、第1のエネルギー以上のエネルギーを有した第1の信号を受信した場合に着火する第1の点火器と、点火薬組成物を有し、前記第1のエネルギーよりも大きい第2のエネルギー以上のエネルギーを有した第2の信号を受信した場合に着火する第2の点火器と、前記第1の点火器および前記第2の点火器の少なくとも一部を包含し固定するように一体成形され、かつ、前記下部側シェルの基底部分に形成された窪み部に装着された保持部と、を備え、前記第1の点火器および前記第2の点火器は、前記第1の信号または/および前記第2の信号を同時受信するものであることを特徴とする。
(2) 上記(1)のガス発生器においては、前記保持部は、前記下部側シェルの前記窪み部を囲む部分が前記保持部に挿入されるように成形されているとともに、前記第1の点火器および前記第2の点火器と電気作動上連携する単一のコネクタとして機能するコネクタ部を有し、前記第1の点火器と前記第2の点火器とは、前記コネクタ部を介して前記第1の信号または/および前記第2の信号を同時受信可能なように電気的に並列接続されていることが好ましい。
(3) 上記(1)または(2)のガス発生器においては、前記第1の信号のエネルギーおよび前記第2の信号のエネルギーは、電流制御による電気エネルギーまたは電圧制御による電気
エネルギーであることが好ましい。
上記発明によれば、以下の作用効果を奏することができる。すなわち、第1の点火器および第2の点火器は、第1の信号を受信しただけの場合、第1の点火器だけが作動する。また、第1の点火器および第2の点火器は、第2の信号を受信しただけの場合、第1の点火器および第2の点火器どちらも作動する。また、第1の点火器および第2の点火器は、最初に第1の信号を受信し、その後、第2の信号を受信した場合、第1の点火器、第2の点火器の順に点火タイミングが遅れて作動する。したがって、1つの信号のパターンに、第1の信号、第2の信号、または、第1の信号および第2の信号を含ませることで、第1の点火器および第2の点火器の点火タイミングを可変することができる。これにより、第1の点火器および第2の点火器の作動について、従来のようなダイオードを使う必要がないガス発生器を提供できる。すなわち、寸法、重量、および複雑さを低減することができるとともに、部品数および製造プロセス数を減少させ、さらにコスト削減を達成することが可能なガス発生器を提供することができる。
本発明の実施の形態に係るガス発生器を示す構成図である。 図1のガス発生器に付加する信号パターンの種類を示す図である。
(ガス発生器の構成)
図1は、本発明に係るガス発生器の実施の形態を示す図である。図1に示すガス発生器100は、軸方向の両端が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有しており、このハウジングの内部に設けられた収容空間60に、内部構成部品としての保持部30、点火器40、41、カップ状部材50、51、伝火薬61、ガス発生剤62、63、バイパス防止部材66、シールテープ(閉塞部材)24、フィルタ材70、プリント基板80等が収容されることで構成されている。
短尺略円筒状のハウジングは、下部側シェル(イニシエータシェル)10と上部側シェル(クロージャシェル)20とを含んでいる。下部側シェル10および上部側シェル20のそれぞれは、圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって形成されたプレス成形品からなる。
下部側シェル10および上部側シェル20は、それぞれが有底略円筒状に形成されており、これらの開口面同士が向き合うように組み合わされて接合されることによってハウジングが構成されている。下部側シェル10は、底板部11と周壁部12とを有しており、上部側シェル20は、天板部21と周壁部22とを有している。これにより、ハウジングの軸方向の端部は、天板部21と底板部11とによって閉塞されている。なお、下部側シェル10と上部側シェル20との接合には、電子ビーム溶接、レーザー溶接、または摩擦圧接等が好適に利用できる。
また、上部側シェル20は、周壁部22の下端から連続して外側に向けて立設された固定部25をさらに有している。当該固定部25は、ハウジングを外部の部材(図示せず)に対して固定するための部位であり、これにより設置後においてガス発生器100が当該外部の部材によって支持されることになる。なお、上部側シェル20の厚みは、2.0mm以下であることが好ましいが、より好ましくは1.8mm以下である。
図1に示すように、下部側シェル10の底板部11の中央部には、天板部21側に向かって突出する突状筒部13が設けられており、これにより下部側シェル10の底板部11の中央部には、窪み部14が形成されている。突状筒部13は、上述した保持部30を介して点火器40、41が固定される部位であり、窪み部14は、保持部30に、雌型コネクタ部34と、雌型コネクタ部34に点火器40、41を電気的に接続するプリント基板80と、を設けるためのスペースとなる部位である。なお、下部側シェル10の厚みは、2.0mm以下であることが好ましいが、より好ましくは1.8mm以下である。
突状筒部13は、有底略円筒状に形成されており、その天板部21側に位置する軸方向端部には、平面視円形状の開口部15が設けられている。当該開口部15は、点火器40の一対の端子ピン42、43と、点火器41の一対の端子ピン44、45と、が挿通される部位である。
下部側シェル10は、上述したように圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって製作されている。具体的には、下部側シェル10は、たとえば上型および下型からなる一対の金型を用いて、圧延された一枚の金属製の板状部材を上下方向からプレスすることにより、図示する如くの形状に成形されることで製作される。
ここで、下部側シェル10を構成する金属製の板状部材としては、たとえばステンレス鋼、鉄鋼、アルミニウム合金、またはステンレス合金等からなる金属板が利用され、好適には440MPa以上780MPa以下の引張応力が印加された場合にも破断等の破損が生じないいわゆる高張力鋼板が好適に利用される。なお、プレス加工としては、熱間鍛造で行なわれてもよいし冷間鍛造で行なわれてもよいが、寸法精度の向上の観点から、より好適には冷間鍛造で行われる。
上部側シェル20は、上述したように圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって製作されている。具体的には、上部側シェル20は、たとえば上型および下型からなる一対の金型を用いて、圧延された一枚の金属製の板状部材を上下方向からプレスすることにより、図示する如くの形状に成形されることで製作される。ここで、上部側シェル20を構成する金属製の板状部材としては、上述した下部側シェル10の場合と同様に、ステンレス鋼、鉄鋼、アルミニウム合金、またはステンレス合金等からなる金属板が利用可能である。
図1に示すように、点火器40は、火炎を発生させるための点火装置であり、内包される点火部(図示せず)と、上述した一対の端子ピン42、43と、を備えている。点火部は、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬(図示せず)と、この点火薬を着火させるための抵抗体(図示せず)とを含んでいる。一対の端子ピン42、43は、点火薬を着火させるために上記点火部に接続されている。
より詳細には、上記点火部は、カップ状に形成されたスクイブカップ46(有底カップ部材)と、当該スクイブカップ46の開口端を閉塞し、一対の端子ピン42、43が挿通されてこれを保持する基部(塞栓)(図示せず)とを備えており、スクイブカップ46内に挿入された一対の端子ピン42、43の先端を連結するように上記抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられ、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に近接するようにスクイブカップ46内に上記点火薬が装填された構成を有している。なお、端子ピン43は、ガラスなどの絶縁体を介して上記基部に取り付けられている。
ここで、上記抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、上記点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、上述したスクイブカップ46および上記基部は、一般に金属製またはプラスチック製である。
点火器41については、点火器40の各部位と同様の部位について説明を省略するが、端子ピン44、45の先端に接続されている抵抗体の抵抗値が、点火器40内の抵抗体と異なっている。なお、本実施の形態においては、点火器41内の抵抗体の抵抗値は、点火器40内の抵抗体の抵抗値よりも大きい。
点火器40、41は、突状筒部13に設けられた開口部15に端子ピン42、43、44、45が挿通するように下部側シェル10の内側から挿入された状態で底板部11に取付けられている。具体的には、底板部11に設けられた突状筒部13の周囲には、樹脂成形部からなる保持部30が設けられており、点火器40、41は、当該保持部30によって保持されることにより、底板部11に固定されている。
プリント基板80は、雌型コネクタ部34内に端子ピン81、82が突出するように下部側シェル10の外側から窪み部14内に設けられている。具体的に述べると、プリント基板80は、窪み部14に設けられた樹脂成形部からなる保持部30によって保持されることにより、底板部11に固定されている。
また、プリント基板80には、図1に示したように、端子ピン42、43、44、45を挿入し電気的に接触させることによって、点火器40、41を電気的に並列接続する回路が形成されている。したがって、通常時に衝突を検知した際には、端子ピン81、82およびプリント基板80を介して、端子ピン42、43、44、45から点火器40、41内の各抵抗体に所定量のエネルギー(たとえば、電流または電圧などのエネルギー)を流す(付加する)ことができる。ここで、本実施の形態においては、点火器40内の上記抵抗体に第1のエネルギー以上のエネルギー、点火器41内の上記抵抗体に第2のエネルギー以上のエネルギー(第1のエネルギーよりも大きいエネルギー)が流れる(付加される)ことにより、各抵抗体においてジュール熱が発生し、点火器40、41内の各点火薬の燃焼を開始することができる。なお、点火器40、41の動作については、ガス発生器100自体の動作説明中において詳述する。
保持部30は、型を用いた射出成形(より特定的にはインサート成形)によって形成されるものであり、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15を経由して底板部11の内表面の一部から外表面の一部にまで達するように絶縁性の流動性樹脂材料を底板部11に付着させてこれを固化させることによって形成されている。
また、保持部30は、点火器40、41のスクイブカップ46、47それぞれの外周面を覆う環状の被覆部35を備えている。この被覆部35においては、下部側環状被覆部36と上部側環状被覆部37とが設けられている。具体的には、下部側環状被覆部36は、点火器40、41のスクイブカップ46、47の下部を覆うように設けられており、上部側環状被覆部37は、下部側環状被覆部36よりも上部であってスクイブカップ46、47の途中高さまでを覆うように設けられている。また、上部側環状被覆部37の径方向に沿った厚みは、下部側環状被覆部36の径方向に沿った厚みよりも小さく構成されている。これにより、点火器40、41は、径方向において被覆部35によって保持されることになる。
なお、下部側環状被覆部36は、主として、ガス発生器100の動作時においても点火器40、41が保持部30から脱落してしまうことを防止するための保持力を発揮するように設けられた部位である。一方、上部側環状被覆部37は、主として、ガス発生器100の動作時において点火器40、41が作動することによって発生する衝撃を受け止めるように設けられた部位である。
このように構成することにより、ガス発生器100の動作時において、点火器40、41が作動することによって生じる衝撃により、樹脂成形体からなる保持部30自体、または、当該保持部30とこれが固着する部材である下部側シェル10と点火器40、41(特に点火器40、41)との間の界面において、ガス発生器100の動作に不具合をもたらすような意図しない亀裂が発生することを防止できる。
点火器40、41は、保持部30の成形の際に、開口部15に端子ピン42、43、44、45が挿通するように下部側シェル10の内側から挿入された状態とされ、この状態において点火器40、41と下部側シェル10との間の空間を充填するように上述した絶縁性の流動性樹脂材料が流し込まれることにより、保持部30を介して底板部11に固定される。
射出成形によって形成される保持部30の原料としては、硬化後において耐熱性、耐久性、および、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて利用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6またはナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。これら熱可塑性樹脂を原材料として選択する場合には、成形後において保持部30の機械的強度を確保するためにこれら絶縁性の流動性樹脂材料にガラス繊維等をフィラーとして含有させることが好ましい。しかしながら、熱可塑性樹脂のみで十分な機械的強度が確保できる場合には、上述の如くのフィラーを添加する必要はない。
保持部30は、下部側シェル10の底板部11の内表面の一部を覆う内側被覆部31と、下部側シェル10の底板部11の外表面の一部を覆う外側被覆部32と、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15内に位置し、上記内側被覆部31および外側被覆部32にそれぞれ連続する連結部33とを有している。
保持部30は、内側被覆部31、外側被覆部32および連結部33のそれぞれの底板部11側の表面において底板部11に固着している。また、保持部30は、点火器40、41の下方端寄りの部分の側面および下面と、点火器40、41の端子ピン42、43、44、45のプリント基板80との接続部分以外の表面とにそれぞれ固着している。さらに、保持部30は、プリント基板80の周囲と、端子ピン81,82の上方端寄りの部分の側面と、にそれぞれ固着している。これらにより、開口部15は、端子ピン42、43、44、45、81、82と、プリント基板80と、保持部30とによって完全に埋め込まれた状態となり、当該部分におけるシール性が確保されることでハウジングの内部の空間の気密性が確保されている。
なお、保持部30の内側被覆部31は、底板部11に設けられた突状筒部13の軸方向端部のみを覆うように設けられており、これにより突状筒部13のハウジングの内部に位置する外周面は、保持部30によって覆われずに露出した状態となっている。
保持部30の外側被覆部32の外部に面する部分には、雌型コネクタ部34が形成されている。この雌型コネクタ部34は、プリント基板80を介して、点火器40、41と外部のコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位であり、下部側シェル10の底板部11に設けられた窪み部14内に位置している。この雌型コネクタ部34内には、プリント基板80の端子ピン81、82の下方端寄りの部分が露出して配置されている。雌型コネクタ部34には、雄型コネクタが挿し込まれ、これによりハーネスの芯線と端子ピン81、82との電気的導通が実現される。
また、保持部30によって覆われることとなる部分の底板部11の表面の所定位置に予め接着剤層が設けられてなる下部側シェル10を用いて上述した射出成形を行なうこととしてもよい。当該接着剤層は、上記底板部11の所定位置に予め接着剤を塗布してこれを硬化させておくことにより、その形成が可能である。
このようにすれば、底板部11と保持部30との間に硬化した接着剤層が位置することになるため、樹脂成形部からなる保持部30をより強固に底板部11に固着させることが可能になる。したがって、射出成形後において、底板部11に対して保持部30が相対的に回転してしまうことが未然に防止可能となる。また、底板部11に設けられた開口部15を囲うように上記接着剤層を周方向に沿って環状に設けることとすれば、当該部分においてより高いシール性を確保することも可能になる。
ここで、底板部11に予め塗布しておく接着剤としては、硬化後において耐熱性、耐久性、および耐腐食性等に優れた樹脂材料を原料として含むものが好適に利用され、たとえばシアノアクリレート系樹脂またはシリコーン系樹脂を原料として含むものが特に好適に利用される。なお、上述の樹脂材料以外にも、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタラート系樹脂、ポリエチレンテレフタラート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンスルファイド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、液晶ポリマー、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム等を含むものが、上述した接着剤として利用可能である。
また、接着剤を塗布する位置は特に限定されるものではないが、たとえば底板部11の突状筒部13が形成された部分における外表面(すなわち、保持部30の外側被覆部32によって覆われる部分の底板部11の表面)の全面あるいはその一部のみとしたり、底板部11の突状筒部13が形成された部分における内表面(すなわち、保持部30の内側被覆部31によって覆われる部分の底板部11の表面)の全面あるいはその一部のみとしたりすることができ、さらには保持部30によって覆われる部分の底板部11の表面の全面とすることもできる。
なお、点火器40、41において、保持部30によって覆われることとなる部分であるスクイブカップ46、47の表面の所定位置に予め接着剤を塗布することで接着剤層を設けておいてもよい。このように構成すれば、上述した底板部11に接着剤層を予め設けた場合と同様に、点火器40、41を保持部30により強固に固着させることが可能になり、当該部分においてより高いシール性を確保することが可能になる。
また、本実施の形態においては、保持部30の成形に際して、保持部30が点火器40、41と下部側シェル10と一体化されるように構成した場合を例示したが、保持部30の成形に際して、保持部30が下部側シェル10とのみ一体化されるようにし、成形後の保持部30に対して点火器40、41がたとえば嵌め込み等によって組付けられるように構成してもよい。その場合には、保持部30が下部側シェル10に対してのみ固着することになるため、保持部30と点火器40、41との間のシール性がこれのみでは確保されないことになるが、当該部分それぞれにOリングを配置する等、適宜のシール処理を施せば、十分なシール性を確保することが可能になる。
カップ状部材50は、有底筒状の金属部材であり、点火器40と、点火器40側の被覆部35とを覆うとともに、伝火薬61(エンハンサー剤)を収容空間64(燃焼室)に包含しているものである。なお、カップ状部材50の開口部付近は、点火器40側の被覆部35にカシメ固定または接着などの固定方法で固定されている。
カップ状部材51は、有底筒状の金属部材であり、点火器41と、点火器41側の被覆部35とを覆うとともに、ガス発生剤62を収容空間65(燃焼室)に包含しているものである。なお、カップ状部材51の開口部付近は、点火器41側の被覆部35にカシメ固定または接着などの固定方法で固定されている。また、カップ状部材51は、カップ状部材50よりも内部空間が広く、ガス発生剤をカップ状部材50よりも多く包含することができる。
下部側シェル10および上部側シェル20からなるハウジングの内部の空間のうち、上述のカップ状部材50、51が配置された部分を取り巻く空間には、収容空間60が位置している。具体的には、上述したように、カップ状部材50、51は、ハウジングの内部に形成された収容空間60内に突出して配置されており、これらのカップ状部材50、51の側壁部の外表面に面する部分に設けられた空間が収容空間60として構成されている。なお、上述したとおり、カップ状部材50、51の各収容空間64、65は燃焼室であるが、収容空間60内にもガス発生剤63が封入されているので、収容空間60も燃焼室と言える。
また、収容空間60をハウジングの径方向に取り巻く空間には、ハウジングの内側に沿ってフィルタ材70が配置されている。フィルタ材70は、円筒状の形状を有しており、その中心軸がハウジングの軸方向と実質的に合致するように配置されることにより、ガス発生剤63が収容された収容空間60を径方向において取り囲んでいる。
伝火薬61およびガス発生剤62は、点火器40、41がそれぞれ作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。ガス発生剤63も同様である。以下、伝火薬61とガス発生剤62、63とについて詳述する。
伝火薬61は、5−アミノテトラゾール、硝酸カリウム及び/又は硝酸ナトリウム、金属粉末、三酸化モリブデンよりなる自動発火性エンハンサー剤組成物であって、その発熱量が少なくとも4500J/g以上、さらに好ましくは6000J/g以上である。また、伝火薬61の100g当たりの発生ガスモル数が0.5mol〜2.0molである。このことにより、伝火薬61は、一般的なボロン硝石エンハンサー剤より優れた伝火性を維持しながら自動発火性も発現する。ここで、ガス発生器に求められる自動発火性とは、180℃〜210℃の範囲で発火することであり、これはガス発生器の容器材質としてアルミニウムを用いた場合、このアルミニウムの高温における強度低下の観点から必要な温度範囲といえる。
ここで、伝火薬61について、さらに詳しく説明する。伝火薬61に含まれる5−アミノテトラゾールは、含窒素有機化合物の中でも安定性、安全性を含めて極めて取り扱いが容易であり、価格も安価であって、本実施形態において好ましい物質である。また、5−アミノテトラゾールの含有量は、3重量%〜25重量%がよく、さらに好ましくは、5重量%〜15重量%の範囲である。伝火薬61における5−アミノテトラゾールの含有量は、自動発火性を有するための最低量でもよく、25重量%以上含有する場合は、伝火薬61の発熱量低下、及び金属熱粒子の減少、すなわち、伝火力不足を招き、また、3重量%以下である場合には、自動発火性を発現せず、好ましくない。
伝火薬61に含まれる酸化剤としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム及び硝酸ストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種からなるものがよい。他の硝酸塩単独では、自動発火性を発現せず、好ましくないが、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム及び硝酸ストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種と併用することで、自動発火性を発現させることができる。特に、硝酸カリウムは、吸湿性がないことや取り扱いが容易であることより好ましい。伝火薬61における酸化剤の含有量は、50重量%〜85重量%がよく、さらに好ましくは60重量%〜80重量%である。なお、伝火薬61における酸化剤の含有量が、50重量%以下だと酸素供給量が不足して、不完全燃焼となり、伝火薬61から有害なCOを生成してしまい、好ましくない。また、伝火薬61における酸化剤の含有量が、85重量%以上では、燃焼時に伝火薬61の発熱量が低下し、伝火力不足となってしまうので、好ましくない。
伝火薬61に含まれる金属粉末は、熱粒子となりうるものであれば特に限定はなく、金属単体の粉末のみならず合金の粉末なども採用することができる。この金属粉末の具体例としては、アルミニウム、マグネシウム、マグナリウム、ホウ素、チタン、ジルコニウムが挙げられ、取り扱い危険性の低さや価格の安さから、特にホウ素が好ましい。伝火薬61における金属粉末の含有量が多くなるほど発熱量は増加し、金属熱粒子も多くなる。伝火薬61における金属粉末の含有量は、5重量%〜30重量%がよく、さらに好ましくは、16重量%〜25重量%である。なお、伝火薬61における金属粉末の含有量が5重量%以下である場合には、伝火薬61の発熱量の低下、金属熱粒子の減少を招き、また、伝火薬61における金属粉末の含有量が30重量%以上である場合には、相対的に他の成分量が減少し、自動発火性を発現しなくなるので好ましくない。
伝火薬61に含まれる三酸化モリブデンの含有量は、0.2重量%〜10重量%がよく、さらに好ましくは1重量%〜7重量%である。なお、伝火薬61における三酸化モリブデンの含有量は、自動発火性が発現する最低量でもよいが、0.2重量%以下である場合には、自動発火性が発現せず、10重量%以上添加した場合は著しい発熱量の低下を招くので好ましくない。
また、伝火薬61の100g当たりの発生ガスモル数は、0.5mol〜2.0molであることが好ましい。なお、伝火薬61において発生ガスモル数0.5モル以下である場合は発生ガス流が少ないために着火が不安定となるおそれがある。また、伝火薬61において発生ガスモル数2.0mol以上である場合、発熱量が低くなるためにエンハンサー剤としての性能を十分に発揮できないおそれがある。
また、伝火薬61においては、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。使用しうる添加剤としては、バインダ、固結防止剤、成形用助剤等が挙げられる。バインダとしては、ヒドロタルサイト類またはニトロセルロース等が例示でき、固結防止剤としては窒化珪素、炭化珪素等が例示でき、成形用助剤としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が例示できる。これら添加剤の本発明の伝火薬61に対する含有量は、0.1重量%〜5重量%であるのが好ましい。
次に、伝火薬61における各成分の好ましい組合せについて説明する。金属粉末としてはホウ素がもっとも好ましく、酸化剤としては硝酸カリウムがもっとも好ましい。そして、各成分の好ましい組成比は、5−アミノテトラゾール3重量%〜25重量%、ホウ素5重量%〜30重量%、硝酸カリウム50重量%〜85重量%、三酸化モリブデン0.2重量%〜10重量%であり、更に好ましくは、5−アミノテトラゾール5重量%〜15重量%、ホウ素16重量%〜25重量%、硝酸カリウム60重量%〜80重量%、三酸化モリブデン1重量%〜7重量%である。そしてこの組成比の範囲において、伝火薬61の発熱量が少なくとも4500J/g以上、さらに好ましくは6000J/g以上に調整される。なお、伝火薬61の発熱量は、着火性の観点から高い方が好ましいが、ガス発生器にアルミニウム容器を用いた場合、このアルミニウム容器の耐熱性の観点から7500J/g以下にしておくのが好ましい。
ガス発生剤62、63としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体としてガス発生剤62、63が形成される。燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等またはこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジン、硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール等が好適に利用される。また、酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅等の塩基性硝酸塩、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、または、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。また、添加剤としては、バインダ、スラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばカルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダ、または、合成ヒドロキシタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。スラグ形成剤としては窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。また、燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
伝火薬61およびガス発生剤62、63の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものを採用することができる。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状または多孔筒形状等)の成形体も利用される。なお、図1においては、伝火薬61の形状を顆粒状、ガス発生剤62、63の形状をペレット状または円柱状として示している。これらの形状は、ガス発生器100が組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえば伝火薬61およびガス発生剤62、63の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、伝火薬61およびガス発生剤62、63においては、形状の他にも、伝火薬61およびガス発生剤62、63それぞれの線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズまたは充填量を適宜選択することが好ましい。なお、伝火薬61およびガス発生剤62、63は、用途に応じて、別の種類、形状などであってもよい。
フィルタ材70は、たとえばステンレス鋼または鉄鋼等の金属線材を巻き回して焼結したもの、金属線材を編み込んだ網材をプレス加工することによって押し固めたもの、あるいは孔あき金属板を巻き回したもの等が利用される。ここで、網材としては、具体的にはメリヤス編みの金網または平織りの金網、クリンプ織りの金属線材の集合体等が利用される。また、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタル、または、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用される。この場合において、形成される孔の大きさおよび形状は、必要に応じて適宜変更が可能であり、同一金属板上において異なる大きさおよび形状の孔が含まれていてもよい。なお、金属板としては、たとえば鋼板(マイルドスチール)またはステンレス鋼板が好適に利用でき、またアルミニウム、銅、チタン、ニッケルまたはこれらの合金等の非鉄金属板を利用することもできる。また、フィルタ材70を構成する金属線材は、その表面に延在方向に沿って連続して延びる溝部が設けられている。金属線材の溝部は、断面が略くの字状に形成され、収容空間60側を向くように配置されている。つまり、金属線材の一対の主面のうち溝部が設けられた方の幅広の主面がフィルタ材70の径方向内側を向くとともに、溝部が設けられていない方の幅広の主面がフィルタ材70の径方向外側を向くようになっている。また、溝部の深さ方向に沿った金属線材の最大外形寸法は、溝部の幅方向に沿った金属線材の最大外形寸法よりも小さく構成されている。つまり、金属線材の溝部が設けられた方の幅広の主面と溝部が設けられていない方の幅広の主面との間の距離が、金属線材の一対の端面間の距離よりも小さくなっている。
フィルタ材70は、収容空間60内にて発生したガスがこのフィルタ材70中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれる残渣(スラグ)等を除去する除去手段としても機能する。したがって、ガスを十分に冷却し、かつ残渣が外部に放出されないようにするためには、収容空間60内にて発生したガスが確実にフィルタ材70中を通過するようにすることが必要である。
フィルタ材70に対面する部分の上部側シェル20の周壁部22(すなわち、固定部25が設けられた位置よりも天板部21側に位置する部分の周壁部)には、ガス噴出口23が複数設けられている。このガス噴出口23は、孔であり、フィルタ材70を通過したガスをハウジングの外部に導出するためのものである。また、上部側シェル20の周壁部22のフィルタ材70側に位置する主面には、上記ガス噴出口23を閉塞するようにシールテープ24が貼付されている。このシールテープ24としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が利用される。これにより、収容空間60の気密性が確保されている。
収容空間60のうち、天板部21側に位置する端部には、バイパス防止部材66が配置されている。バイパス防止部材66は、凹部66a(図1参照)を中央部に有した略円盤状の形状を有しており、フィルタ材70と天板部21との境目部分を覆うように配置されている。バイパス防止部材66は、フィルタ材70の天板部21側に位置する内周面に接触することでフィルタ材70を位置決めして保持するものでもある。
バイパス防止部材66は、作動時において、収容空間60にて発生したガスが、フィルタ材70の内部を経由することなくフィルタ材70の上端と天板部21との間の隙間から流出してしまうことを防止する。バイパス防止部材66は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されたものであり、好適には普通鋼または特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板またはステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。なお、図示していないが、フィルタ材70下部の内周面側にも、バイパス防止部材66と同様の目的の環状のバイパス防止部材を設けておいてもよい。
(ガス発生器100の作動)
本実施の形態におけるガス発生器100が搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからのエネルギー供給によって、点火器40、41が適宜作動する。なお、点火器40、41が作動した場合、スクイブカップ46、47内の各点火薬は、点火器40、41が作動することによって生じた火炎によって点火されて燃焼し、多量の熱粒子を発生させる。この燃焼によってスクイブカップ46、47は破裂または溶融し、上述の熱粒子が収容空間64、65へと流れ込む。流れ込んだ熱粒子により、収容空間64、65のそれぞれに収容された伝火薬61およびガス発生剤62が着火されて燃焼し、それぞれ多量のガスを発生させる。収容空間64、65にて発生したガスは、カップ状部材50、51を破裂または溶融した後、収容空間60内において拡散する。なお、収容空間60内のガス発生剤63は伝火薬61によって着火されて燃焼し、多量のガスを発生させる。そして、収容空間60、64、65にて発生したガスは、フィルタ材70の内部を通過し、その際、フィルタ材70によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ材70によって除去されてハウジングの外周縁部に流れ込む。その後、ハウジングの内圧の上昇に伴い、上部側シェル20のガス噴出口23を閉塞していたシールテープ24による封止が破られ、ガス噴出口23を介してガスがハウジングの外部へと噴出される。噴出されたガスは、ガス発生器100に隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、エアバッグを膨張および展開する。
ここで、点火器40、41については、(a)点火器40が動作した後に点火器41が動作、(b)点火器40、41が同時動作、または、(c)点火器40のみ動作、のように、点火器40、41の動作タイミングの制御を行うことが可能である。具体的には、端子ピン81、82を介して、図2(a)、(b)、(c)の信号パターンをガス発生器100に付加して、点火器40または/および点火器41を適宜作動させることで、点火器40、41の動作タイミングの制御を行うことが可能である。以下、図2(a)、(b)、(c)の信号パターンのそれぞれを、端子ピン81、82を介してガス発生器100に付加した場合の動作について具体例を用いて説明する。
<図2(a)の信号パターンの場合> 図2(a)の信号パターンは、第1のエネルギーを有した第1の信号が発信されてから所定時間後に、第2のエネルギーを有した第2の信号が発信される場合を示したものである。たとえば、ここでのエネルギーが電流のエネルギーであるなら、第1の信号における第1のエネルギーのピークを0.8A、第2の信号における第2のエネルギーのピークを1.2Aに設定する。そして、点火器40の上記抵抗体が0.8Aでジュール熱を発生し、点火器40内の点火薬の燃焼を開始するようにしておくとともに、点火器41の上記抵抗体が1.2Aでジュール熱を発生し、点火器41内の点火楽の燃焼を開始するようにしておくことで、電流が図2(a)の信号パターンがガス発生器100に付加された場合、点火器40が動作した後に点火器41が動作する。これにより、伝火薬61が着火され、ガス発生剤63の燃焼が開始された後に、ガス発生剤62の燃焼を開始させることができる。したがって、2段階でガスを発生させることができるだけでなく、点火器40に遅れて動作する点火器41の時間調整を行うことも容易である。
<図2(b)の信号パターンの場合>
図2(b)の信号パターンは、第2のエネルギーを有した第2の信号が発信される場合を示している。たとえば、ここでのエネルギーが電流のエネルギーであるなら、第2のエネルギーのピークを1.2Aに設定する。そして、点火器40の上記抵抗体が0.8Aでジュール熱を発生し、点火器40内の点火薬の燃焼を開始するようにしておくとともに、点火器41の上記抵抗体が1.2Aでジュール熱を発生し、点火器41内の点火楽の燃焼を開始するようにしておくことで、電流が図2(b)の信号パターンがガス発生器100に付加された場合、点火器40、41は同時に作動する。これにより、伝火薬61およびガス発生剤62の燃焼を同時開始することができる。
<図2(c)の信号パターンの場合>
図2(c)の信号パターンは、第1のエネルギーを有した第1の信号が発信される場合を示している。たとえば、ここでのエネルギーが電流のエネルギーであるなら、第1のエネルギーのピークを0.8Aに設定する。そして、点火器40の上記抵抗体が0.8Aでジュール熱を発生し、点火器40内の点火薬の燃焼を開始するようにしておくとともに、点火器41の上記抵抗体が1.2Aでジュール熱を発生し、点火器41内の点火楽の燃焼を開始するようにしておくことで、電流が図2(c)の信号パターンがガス発生器100に付加された場合、点火器40のみが作動する。すなわち、電流が図2(c)の信号パターンでガス発生器100に付加された場合、点火器41における抵抗体は、点火楽の燃焼を開始させるのに十分なジュール熱を発生することができないので、点火器41を作動させないようにすることができる。
本実施の形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。すなわち、点火器40および点火器41のうち、端子ピン81、82を介して第1の信号を受信しただけの場合、点火器40だけが作動する。また、点火器40および点火器41は、端子ピン81、82を介して第2の信号を受信しただけの場合、点火器40および点火器41どちらも作動する。また、点火器40および点火器41は、端子ピン81、82を介して、最初に第1の信号を受信し、その後、第2の信号を受信した場合、点火器40、点火器41の順に点火タイミングが遅れて作動する。したがって、1つの信号のパターンに、第1の信号のみ、第2の信号のみ、または、第1の信号および第2の信号を含ませることで、点火器40および点火器41の点火タイミングを可変することができる。これにより、点火器40および点火器41の作動について、従来のようなダイオードを使う必要がないガス発生器100を提供できる。すなわち、寸法、重量、および複雑さを低減することができるとともに、部品数および製造プロセス数を減少させ、さらにコスト削減を達成することが可能なガス発生器100を提供することができる。
以上、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限定されるものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。たとえば、伝火薬61の代わりに、ガス発生剤62,63と同じガス発生剤を適宜用いてもよい。
例えば、上記実施の形態においては、カップ状部材50、51を用いて2つの燃焼室を形成しているが、カップ状部材50、51の代わりに、収容空間60を板部材等で仕切って、2つの燃焼室を形成してもよい。
10 下部側シェル
11 底板部
12 周壁部
13 突状筒部
14 窪み部
15 開口部
20 上部側シェル
21 天板部
22 周壁部
23 ガス噴出口
24 シールテープ
25 固定部
30 保持部
31 内側被覆部
32 外側被覆部
33 連結部
34 雌型コネクタ部
35 被覆部
36 下部側環状被覆部
37 上部側環状被覆部
40、41 点火器
42、43、44、45、81、82 端子ピン
46、47 スクイブカップ
50、51 カップ状部材
60、64、65 収容空間
61 伝火薬
62、63 ガス発生剤
66 バイパス防止部材
66a 凹部
70 フィルタ材
80 プリント基板
100 ガス発生器

Claims (3)

  1. 下部側シェルと上部側シェルとを有し、ガス噴出口を含むハウジングと、
    前記ガス噴出口を前記ハウジングの内側において閉塞するシール状の閉塞部材と、
    前記ハウジングの内側に周方向にわたって設けられたフィルタ材と、
    前記フィルタ材の内壁とで囲まれる空間から形成された燃焼室と、
    前記燃焼室に収容され燃焼によりガスを発生するガス発生剤と、
    点火薬組成物を有し、第1のエネルギー以上のエネルギーを有した第1の信号を受信した場合に着火する第1の点火器と、
    点火薬組成物を有し、前記第1のエネルギーよりも大きい第2のエネルギー以上のエネルギーを有した第2の信号を受信した場合に着火する第2の点火器と、
    前記第1の点火器および前記第2の点火器の少なくとも一部を包含し固定するように一体成形され、かつ、前記下部側シェルの基底部分に形成された開口部に装着された保持部と、
    を備え、
    前記第1の点火器および前記第2の点火器は、前記第1の信号または/および前記第2の信号を同時受信するものであることを特徴とするガス発生器。
  2. 前記保持部は、前記下部側シェルの前記開口部を囲む部分が挿入されるように成形されているとともに、前記第1の点火器および前記第2の点火器と電気作動上連携する単一のコネクタとして機能するコネクタ部を有し、
    前記第1の点火器と前記第2の点火器とは、前記コネクタ部を介して前記第1の信号または/および前記第2の信号を同時受信可能なように電気的に並列接続されていることを特徴とする請求項1に記載のガス発生器。
  3. 前記第1の信号のエネルギーおよび前記第2の信号のエネルギーは、電流制御による電流エネルギーまたは電圧制御による電気エネルギーであることを特徴とする請求項1または2に記載のガス発生器。
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