JP2019024035A - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ペロブスカイト構造化合物を含む光吸収層を有し、変換効率の高い光電変換素子の製造方法を提供する。【解決手段】構造化合物を含む光吸収層6を形成する工程では、BX2溶液の塗布膜にAX溶液を塗布し、BX2とAXとを反応させる。この反応工程を、AX溶液を溜めた塗工槽において行い、前記塗布膜を備えた円筒形状の基体2を塗工槽に浸漬させ、最下点にて静止させた後、塗工槽から引き上げ、基体の外表面にペロブスカイト構造化合物を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、ペロブスカイト構造化合物を含む光吸収層を有する光電変換素子の製造方法に関する。
光電変換素子は、各種光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。特に、太陽電池は、再生可能エネルギー利用の代表として本格的に普及しつつある。太陽電池としては、シリコン系太陽電池、CIGS系太陽電池、CdTe系太陽電池等が普及してきている。
一方、太陽電池に使用されるような無機系材料に替えて、有機系材料を光電変換材料として用いる研究が行われ、有機薄膜太陽電池や色素増感太陽電池の開発も進められている。このような太陽電池は、真空プロセスを使用せず塗布プロセスによって製造することができるため、製造コストを大幅に削減できる可能性があることから、次世代の太陽電池として期待されている。
しかし、有機薄膜太陽電池および色素増感太陽電池は、無機系材料を用いた太陽電池に比べ、光電変換効率が十分ではなく、耐久性も低いという現状がある。近年では、光電変換材料としてペロブスカイト型結晶構造を有する鉛錯体と電解液とを用いて、スピンコート法又はロールトゥロール法と呼ばれる塗布プロセスによって製造する太陽電池も提案されている(特許文献1、2等参照)。
例えば、特許文献1では、電極を形成した平板状の基板にペロブスカイト構造の前駆体化合物と有機溶媒とを含む塗布液を前記塗布プロセスによって塗布し、形成した塗膜を乾燥させて光電変換層を形成する光電変換素子の製造方法が開示されている。
特開2016−195147号公報 特開2016−178857号公報
前記塗布プロセスを用いた光電変換層の形成方法では、塗布プロセスを経た基板を乾燥容器に挿入することが提案されており、容器中における基板の移動制御が複雑となったり、製造設備が大型化したりするという問題点がある。
また、スピンコート法等では、溶剤蒸気濃度を均一化し、溶媒乾燥時間を好適に制御することが困難となることから、ペロブスカイト型結晶構造の結晶サイズにばらつきを生じやすく、製品安定性に欠けるという問題点もあった。
そこで本発明は、上記のような問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、ペロブスカイト構造化合物を含む光吸収層を備えた光電変換素子を製造するにあたり従来方法の問題点を解決して、光電変換効率を高め、耐久性に優れた光電変換素子の製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、一般式A−B−X3(ただし、Aは有機分子、Bは金属原子、Xはハロゲン原子である。)で表されるペロブスカイト構造化合物を含む光吸収層を有する光電変換素子の製造方法を対象としており、この製造方法としてBX2溶液の塗布膜にAX溶液を塗布し、BX2とAXとを反応させてペロブスカイト構造化合物を形成する光吸収層形成工程を備えている。そして、前記光吸収層形成工程では、AX溶液を溜めた塗工槽に、前記塗布膜を備えた円筒形状の基体を浸漬させることを特徴としている。
この特定事項により、塗工槽での浸漬過程でペロブスカイト型結晶構造を効率よく成長させることができ、ペロブスカイト構造化合物の形成反応を促進し、光吸収層を備えて変換効率の高い光電変換素子を精度よく形成することができる。
光電変換素子の製造方法における、より具体的な構成として、前記光吸収層形成工程では、前記塗工槽から前記基体を垂直方向に引き上げることが好ましい。これにより、表面に形成される光吸収層等の平滑性および均一性を保つことができ、前記基体にペロブスカイト構造化合物を良好に形成することができる。また、浸漬塗布法による場合に円筒形状の基体の外周面を選択的に塗布するように処理することが可能となり、後工程での処理作業も軽減される。
前記光吸収層形成工程では、前記塗布膜を備えた基体を塗工槽に対して下降させ、該基体の全体が浸漬する最下点において静止させることが好ましい。
また、前記光吸収層形成工程では、前記塗布膜を備えた基体を塗工槽に対して下降させる漬け込み速度より、前記塗布膜を備えた基体を塗工槽から上昇させる引き上げ速度を遅くすることが好ましい。
かかる構成とすることにより、前記光吸収層形成工程でのペロブスカイト構造化合物の形成反応を促進することができ、光吸収層を良好に形成することができる。
また、前記光電変換素子の製造方法において、ホール輸送材料を有機溶媒に溶解して塗布液を調整し、この塗布液を満たした塗工槽に前記光吸収層を備えた基体を浸漬塗布し、前記光吸収層上にホール輸送層を形成することが好ましい。これにより、効率よくホール輸送層を備えさせることができ、光電変換素子としての変換効率を高めることが可能となる。
また、前記光電変換素子の製造方法においては、円筒形状の第1導電層上に電子輸送層を積層し、この電子輸送層上に前記光吸収層形成工程により光吸収層を積層し、前記光吸収層上にホール輸送層を積層し、前記ホール輸送層上に第2導電層を積層して、円筒形状の光電変換素子を形成することが好ましい。これにより、光電変換素子として、第1導電層、電子輸送層、光吸収層、ホール輸送層、および第2導電層を順に積層して備えた光電変換素子を形成することができる。
さらに、前記光電変換素子の製造方法において用いる前記塗工槽は保温性を有することが好ましい。これにより、塗工槽内の塗布液の温度管理を容易に行うことが可能となる。
本発明では、光吸収層を浸漬塗布法により形成することから、ペロブスカイト構造化合物を含んで光電変換効率に優れ、耐久性を向上させた光電変換素子を、容易かつ安定的に製造することが可能となる。
図1(a)および図1(b)は、本発明の実施の形態に係る製造方法により製造される光電変換素子を模式的に示しており、図1(a)は斜視図、図1(b)は図1(a)におけるS部拡大断面図である。 ペロブスカイト構造化合物の基本単位格子の一例を示す模式図である。 実施の形態に係る光電変換素子の製造方法に用いられる塗布装置の一例を示す模式図である。 実施の形態に係る製造方法により製造された光電変換素子の使用例を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態に係る光電変換素子の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
図1(a)は、実施の形態に係る製造方法により製造される光電変換素子を模式的に示す斜視図である。図1(b)は、この光電変換素子のS部拡大断面図であり、光電変換素子の構成例を模式的に示している。
図1(b)に示すように、光電変換素子1は、陰極である第1導電層3および陽極である第2導電層8を備え、第1導電層3と第2導電層8の間に電子輸送層4(緻密酸化チタン層51および多孔質酸化チタン層52)、光吸収層6およびホール輸送層7を備えている。
第1導電層3と第2導電層8の間には、電子輸送層4として、緻密酸化チタン層51および多孔質酸化チタン層52を備え、さらに、光吸収層6およびホール輸送層7を備えている。光電変換素子1には、さらに基体2が備えられてもよく、この場合、第1導電層3が基体2上に形成される。
(基体)
基体2は、略円筒形状であり、例えば、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、鉄、錫、チタン、金、銀、銅、タングステン、あるいはこれらの合金、ステンレスなどの金属、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等の透明ガラス、又はセラミック等の材質からなることが好ましい。
(第1導電層)
第1導電層3は、光電変換素子1の陰極として作用する層であり円筒形状の基体2の外側(図1(b)における図中上側)に形成される。
第1導電層3は、例えば、ヨウ化銅(CuI)、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO2)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等の導電性透明材料、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−酸化アルミニウム(Al/Al23)混合物、アルミニウム−フッ化リチウム(Al/LiF)混合物等の陰極材料により形成される。これらの材料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
第1導電層3の膜厚は特に限定されず、0.4μm以上であることが好ましい。第1導電層3の膜厚が0.4μm未満であると、第1導電層3を構成する陰極材料の種類等によっては十分な導電性を付与することが難しくなる場合がある。
なお、基体2が金属性基体であれば、基体2において第1導電層3を兼ねることができる。
(電子輸送層)
電子輸送層4は、光吸収層6において光励起により発生した電子を第1導電層3に輸送する層である。そのため、電子輸送層4は、光吸収層6で発生した電子が第1導電層3に容易に移動することができる材料で構成される。
本形態に係る電子輸送層4には酸化チタンが用いられており、第1導電層3上に設けられた緻密酸化チタン層51と、緻密酸化チタン層51上に設けられた多孔質酸化チタン層52とを備えている。
緻密酸化チタン層51は、多孔質酸化チタン層52とともに電子輸送層4を構成する。緻密酸化チタン層51は、起電力低下の原因となる第1導電層3と第2導電層8との接触を防止する層としても機能する。緻密酸化チタン層51は、空隙が非常に少なく、光電変換材料が積層された場合にその光電変換材料が浸潤しない作用を有する。
一方、多孔質酸化チタン層52は、空隙率が大きく、光電変換材料が浸潤しやすく、光吸収層6との接触面積を拡大する作用を有する。多孔質酸化チタン層52は、多孔質である層中の細孔内に光吸収層6やホール輸送層7の一部が形成される。細孔内に光吸収層6が形成されることにより、多孔質酸化チタン層52と光吸収層6との接触面積を増加させることができ、光吸収層6における光励起により発生した電子を効率よく多孔質酸化チタン層52に移動させることができる。また、細孔内にホール輸送層7の一部が形成されることにより、光吸収層6とホール輸送層7との接触面積を増加させることができ、光吸収層6における光励起により発生したホールを効率よくホール輸送層7に移動させることができる。
緻密酸化チタン層51の厚みは、5〜200nm程度であることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましい。多孔質酸化チタン層の厚みは、100〜20000nm程度であることが好ましく、200〜1500nmであることがさらに好ましい。
なお、電子輸送層4は、酸化チタン以外の材料で構成された緻密層と、緻密層上に設けられ、酸化チタン以外の材料で構成された多孔質層とを有するものであってもよい。
(光吸収層)
光吸収層6は、光吸収材料(光電変換材料)を含み、図1(a)に示すように、光電変換素子1に入射した光を吸収し、電子およびホールを発生させる層である。光吸収層6では、この光吸収層6に含まれる光吸収材料のより低いエネルギーの電子が入射光により光励起され、より高いエネルギーの電子とホールとが発生する。このうち、電子は電子輸送層4に移動し、ホールはホール輸送層7に移動することによって電荷分離が行われる。
光吸収材料には、有機無機ハイブリッド化合物が含まれる。有機無機ハイブリッド化合物は、無機系材料と有機系材料とで構成される結晶である。この有機無機ハイブリッド化合物が光励起されることにより、光吸収層6において電子とホールとを発生させる。例示する光電変換素子1は、かかる光吸収層6を備え、有機無機ハイブリッド光電変換素子ということもできる。
光吸収材料は、有機無機ハイブリッドペロブスカイト結晶構造を有する化合物(以下、単に「ペロブスカイト構造化合物」とも言う)を含むことがより好ましい。なお、光吸収層6は、ペロブスカイト構造化合物(光吸収材料)単独で構成される層であってもよい。
図2は、ペロブスカイト構造化合物の基本単位格子(ペロブスカイト型結晶構造)を示す模式図である。図示するように、光吸収層6に使用可能なペロブスカイト構造化合物は、立方晶系の基本単位格子を有している。この単位格子は、各頂点に配置された有機基(有機分子)Aと、体心に配置された金属原子Bと、各面心に配置されたハロゲン原子Xとを備えており、一般式A−B−X3によって表される。
一般式A−B−X3において、有機基A(有機分子アルキルアミン)の具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾール、イミダゾリン、カルバゾールおよびこれらのイオン(例えば、メチルアンモニウム(CH3NH3)等)やフェネチルアンモニウム等が挙げられる。これらの有機基は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
これらのうち、有機基Aとして、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミンおよびこれらのイオンやフェネチルアンモニウムが好ましく、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンおよびこれらのイオン(例えば、メチルアンモニウム(CH3NH3)等)が特に好ましい。
また、一般式A−B−X3において、金属原子Bの具体例としては、鉛、スズ、亜鉛、チタン、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム等が挙げられる。これらの元素は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、金属原子Bは鉛であることにより、光吸収層6の特性がより良好になる。
さらに、一般式A−B−X3において、ハロゲン原子Xの具体例としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。これらの元素は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、エネルギーバンドギャップが狭くなることから、ハロゲン原子Xの少なくとも1つがヨウ素であることが好ましい。
実施の形態に係る光電変換素子1においては、ペロブスカイト構造化合物がCH3NH3PbX3(ただし、Xはハロゲン原子である)で表される化合物であることが好ましく、該式CH3NH3PbX3において、Xはヨウ素原子である化合物(すなわち、CH3NH3PbI3で示される化合物)であることがより好ましい。これにより、光吸収層6において、電子とホールとをより高効率で発生させることが可能となる。その結果、より高い光電変換効率を有する光電変換素子1を得ることが可能となる。
(ホール輸送層)
ホール輸送層7は、光吸収層6で生じたホールを捉えて、陽極である第2導電層8に輸送する層である。光電変換素子1においては、ホール輸送層7はホール輸送材料を主材料として構成される。具体的には、ホール輸送層7は、ホール輸送材料を70wt%以上含有することが好ましく、85〜100wt%含有することがより好ましい。ホール輸送層7は、有機バインダ樹脂や可塑剤等を含むことなく、このホール輸送材料単独で構成されてもよい。
ホール輸送層7の膜厚(多孔質酸化チタン層52の細孔内に入り込んだ部分を除く部分の膜厚)は、20〜500nm程度であることが好ましく、より好ましくは50〜150nm程度であることとされる。かかる膜厚のホール輸送層7であれば、光吸収層6で発生したホールを円滑かつ高効率で第2導電層8に移動させることができる。このホール輸送層7は非晶質層であってもよい。
これにより、ホール輸送層7は、高い電荷輸送能、すなわちホール輸送能を発揮することが可能なものとなる。なお、光電変換素子1は、構造簡略化のために、ホール輸送層7を設けない構造とされてもよい。
(第2導電層)
第2導電層8は、光電変換素子1の陽極として作用する層である。第2導電層8に使用可能な陽極材料は特に限定されず、例えば、金、銀、白金等の金属、ヨウ化銅(CuI)、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO2)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等の導電性透明材料、銀ナノワイヤー、カーボンナノファイバーなど導電性微粒子、PEDOT/PSSなどの導電性ポリマー等を好適に用いることができる。これらの材料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
図1(a)および図1(b)に示されるように、第2導電層8は、円筒形状の光電変換素子1における外面側に配置されている。光電変換素子1は、第2導電層8側から光が入射するものであり、この第2導電層8は透明電極あるいは半透明電極とされることが好ましい。
第2導電層8を金電極とする場合、第2導電層8の膜厚は、50〜60nm程度であることが好ましい。第2導電層8の陽極材料には、導電性透明材料、導電性透明ポリマー等が用いられてもよい。
(保護層)
第2導電層8の外側には保護層9が設けられてもよい。保護層9は、第2導電層8を覆う樹脂化合物、シュリンクフィルム、ラップフィルム、又はクリア塗料等のガスバリア性の高い材料からなり、空気中の水分や酸素などによる光電変換素子1内部の劣化を防止する。保護層9が設けられることで、光電変換素子1を設置等する際には、光電変換素子1の外面を衝撃や傷から保護することができる。光電変換素子1が密閉容器に収容される使用形態である場合には、保護層9は特に設けられなくともよい。
(光電変換素子の製造方法)
本発明の実施の形態に係る光電変換素子の製造方法は、ペロブスカイト構造化合物を含む光吸収層6の形成工程に特徴を有する。第1導電層3、第2導電層8、電子輸送層4、およびホール輸送層7等については、材料や製造方法に特に制限はなく、以下の説明はその一例としての工程を示す。
まず、基体2に第1導電層3を形成する(電極形成工程)。基体2は、中心部が空洞とされた円筒形状を有する。絶縁材料からなる基体2であれば、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法等の適宜の方法によって、陰極材料膜を基体2上に形成する。基体2が導電性材料からなる場合には、電極形成工程を省略することができる。
次いで、第1導電層3の上に電子輸送層4を形成する(電子輸送層形成工程)。電子輸送層4のうち、先に緻密酸化チタン層51を第1導電層3上に形成する。例えば、チタンキレート化合物を含む塗布液を調製し、この塗布液を第1導電層3上に塗布後、焼成することにより緻密酸化チタン層51を形成する。塗布液を第1導電層3に塗布する製膜方法としては、浸漬塗布法、ロールコート法、スプレーパイロリシス法、スロットダイ法等が好ましい。前記焼成後に、緻密酸化チタン層51を4塩化チタン水溶液に浸漬してもよい。これにより、緻密酸化チタン層51の緻密性をより向上させることができる。
緻密酸化チタン層51を形成するのに使用可能なチタンキレート化合物としては、例えば、DuPont社製、TYZOR(登録商標)AAシリーズ等の市販品のほか、アセト酢酸エステルキレート基を持つ化合物やβ−ジケトンキレート基を持つ化合物等が挙げられる。
緻密酸化チタン層51の形成に使用できるチタンキレート化合物のうち、アセト酢酸エステルキレート基を持つ化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジイソプロポキシチタニウムビス(メチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシチタニウムビス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシチタニウムビス(プロピルアセトアセテート)、ジイソプロポキシチタニウムビス(ブチルアセトアセテート)、ジブトキシチタニウムビス(メチルアセトアセテート)、ジブトキシチタニウムビス(エチルアセトアセテート)、トリイソプロポキシチタニウム(メチルアセトアセテート)、トリイソプロポキシチタニウム(エチルアセトアセテート)、トリブトキシチタニウム(メチルアセトアセテート)、トリブトキシチタニウム(エチルアセトアセテート)、イソプロポキシチタニウムトリ(メチルアセトアセテート)、イソプロポキシチタニウムトリ(エチルアセトアセテート)、イソブトキシチタニウムトリ(メチルアセトアセテート)、イソブトキシチタニウムトリ(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
β−ジケトンキレート基を持つ化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジイソプロポキシチタニウムビス(アセチルアセトネート)、ジイソプロポキシチタニウムビス(2,4−ヘプタンジオネート)、ジブトキシチタニウムビス(アセチルアセトネート)、ジブトキシチタニウムビス(2,4−ヘプタンジオネート)、トリイソプロポキシチタニウム(アセチルアセトネート)、トリイソプロポキシチタニウム(2,4−ヘプタンジオネート)、トリブトキシチタニウム(アセチルアセトネート)、トリブトキシチタニウム(2,4−ヘプタンジオネート)、イソプロポキシチタニウムトリ(アセチルアセトネート)、イソプロポキシチタニウムトリ(2,4−ヘプタンジオネート)、イソブトキシチタニウムトリ(アセチルアセトネート)、イソブトキシチタニウムトリ(2,4−ヘプタンジオネート)等が挙げられる。
次いで、多孔質酸化チタン層52を形成する。例えば、多孔質酸化チタン層52は、酸化チタン粒子を含む塗布液を調製し、この塗布液を緻密酸化チタン層51上に塗布後、焼成することによって形成する。塗布液を緻密酸化チタン層51上に塗布する製膜方法としては、浸漬塗布法、ロールコート法、スプレーパイロリシス法、スロットダイ法等が好ましい。前記塗布液中に有機バインダが含まれる場合は、この有機バインダを焼成処理にて消失させることが好ましい。
多孔質酸化チタン層52の細孔径や空孔率は、酸化チタン粒子の粒子径を変更したり、有機バインダの種類や添加量を変更したりすることによって調整することができる。
酸化チタンには、いくつかの結晶型が存在するが、多孔質酸化チタン層52の形成にはアナターゼ型の酸化チタン粒子を用いることが好ましい。多孔質酸化チタン層52の形成に用いる塗布液は、例えば、酸化チタン粒子(日本アエロジル社製P−25など)をアルコール(エタノールなど)に分散したり、酸化チタンペースト(日揮触媒化成社製PST−18NRなど)をアルコール(エタノールなど)で希釈したりすることで調製することができる。
前記塗布液に使用可能な有機バインダとしては、特に限定されないが、エチルセルロースやアクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂は、低温分解性に優れ、低温焼成を行う場合でも有機残渣量が少ないため、特に好ましい。アクリル樹脂は、300℃程度の低温で分解するものが好ましく、好適な具体例として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートおよびポリオキシアルキレン構造を有する(メタ)アクリルモノマーからなる群より選択される少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーを重合してなる重合体が挙げられる。
次いで、電子輸送層4の外側に光吸収層6を形成する(光吸収層形成工程)。光吸収層6に使用可能なペロブスカイト構造化合物は、前記一般式A−B−X3に対して、AXで示される化合物とBX2で示される化合物とを用いることによって合成することができる。具体的には、AX溶液とBX2溶液とを混合して加熱撹拌することによってペロブスカイト型結晶を合成する1段階法や、BX2溶液を電子輸送層4上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜上にAX溶液を塗布し、BX2とAXを反応させることでペロブスカイト型結晶を合成する2段階法等によることが可能である。
実施の形態に係る光電変換素子1の製造方法としては、後者の2段階法を採用することが好ましく、多孔質酸化チタン層52上にBX2溶液による塗布膜を形成する。形成したBX2塗布膜にAX溶液を塗布するために、次のような浸漬塗布法を用いる。
図3は、光吸収層形成工程において、例示の形態に係る浸漬塗布法に用いる塗布装置の一例を示す模式図である。この塗布装置10は、塗布液102を貯留する塗工槽101を備える。塗工槽101は、電子輸送層形成工程を経た塗布対象の円筒体103の外径よりも大きい直径の有底円筒体であり、円筒体103をその軸方向に収容するのに十分な深さを有している。塗工槽101は塗布液102の温度を保持する保温機能を有することが好ましい。なお、塗工槽101は必ずしも有底円筒体でなくともよく、有底であって塗布液102を貯留可能な形状であればどのような形状であってもよい。
光吸収層形成工程では、AX溶液を調整し、塗布装置10の塗工槽101に満たす。次いで、円筒体103の軸方向を鉛直方向に向けるとともに円筒体103の上端を保持し、塗工槽101の溶液中に円筒体103を鉛直方向に浸漬させていく。円筒体103の全体が浸漬する最下点において、円筒体103の下降を停止し、円筒体103を静止させる。塗工槽101への円筒体103の下降速度(漬け込み速度)は、2〜10mm/secとし、最下点での静止時間は2〜60秒間とすることが好ましい。
その後、塗工槽101から円筒体103を引き上げる。前記と同様、円筒体103の軸方向を鉛直方向に向けるとともに円筒体103の上端を保持し、塗工槽101の溶液中から円筒体103を鉛直方向に引き上げて上昇させる。このときの円筒体103の上昇速度(引き上げ速度)は、0.5〜10mm/secとすることが好ましい。この光吸収層形成工程では、円筒体103を塗工槽101に対して下降させる漬け込み速度よりも、円筒体103を塗工槽101から上昇させる引き上げ速度を遅くする。塗工槽101からの円筒体103の引き上げが完了すると、円筒体103の塗布膜の色が変化していることが視認できる。これにより、円筒体103の外面にペロブスカイト構造化合物が形成され、光吸収層6が形成されたことが確認される。
かかる浸漬塗布法により、円筒体103の外表面のBX2塗布膜にAX溶液を塗布することができるとともに、BX2とAXとを反応させてペロブスカイト構造化合物を合成することができる。また、浸漬塗布法を用いることで、均一な塗布膜を形成することが可能となり、効率よく確実にペロブスカイト構造化合物を含む光吸収層6を形成することができる。
また、浸漬塗布法によって、塗布液中の粘性力、表面張力および重力による力と速度を調整して引き上げ、所定の膜厚を簡便に得ることが可能となる。膜厚は、引き上げ速度が速いと厚い膜になり、遅いと薄い膜になる。
円筒体103は内側が中空であるが、上端を蓋材等で閉止して塗工槽101に浸漬することで、円筒体103の内側にはAX溶液が回り込まず、円筒体103の外表面にだけ、必要な塗布膜が形成されることになる。そのため、平板状の基板を浸漬する場合と比べて、塗布膜の必要のない基板裏面(円筒体103の内周面に対応)に塗布膜が形成されるという不都合が解消され、不要な塗布膜の除去工程が発生しないという利点もある。
なお、塗布装置10は、第1導電層3、電子輸送層4、後述するホール輸送層7、第2導電層8、および保護層9の各形成工程においても好適に使用することができる。
次いで、光吸収層6の外側にホール輸送層7を形成する(ホール輸送層形成工程)。
ホール輸送層7は、ホール輸送材料を有機溶媒に溶解させて調製した塗布液を、光吸収層6上に塗布後、有機溶媒を除去することによって形成する。
ホール輸送材料としては、Spiro−MeOTAD、ピラゾリン化合物、アリールアミン化合物、スチルベン化合物、エナミン化合物、ポリピロール化合物、ポリビニルカルバゾール化合物、ポリシラン化合物、ブタジエン化合物、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン化合物、ポリアニリン化合物、ポリフェニレンビニレン化合物、ポリチエニネンビニレン化合物、ポリチオフェン化合物などを用いることができる。このようなホール輸送材料を用いることで、高い光電変換効率を有する光電変換素子1を得ることができる。
ホール輸送材料は、結晶化を起こし難い化合物であることが好ましいが、ホール輸送材料の結晶化を確実に防止するためにホール輸送層7に有機バインダ樹脂又は可塑剤等を含ませた構成とされてもよい。ただし、有機バインダ樹脂や可塑剤等の添加量は、ホール輸送層7のホール輸送能が極端に低下しないように少量に設定される。
有機溶媒は、光吸収層6上に塗布するため、光吸収材料(有機無機ハイブリッド化合物)の結晶構造を乱さない溶剤であることが好ましい。具体的には、クロロベンゼンやトルエン等が好適である。また、塗布方法は特に限定されないが、例えば、浸漬塗布法、スプレー塗布法、スライドホッパー塗布法等が好ましい。
次いで、ホール輸送層7の外側に第2導電層8を形成する(電極形成工程)。第2導電層8は、第1導電層3を形成したのと同様に、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法等の適宜の方法によって、陽極材料膜をホール輸送層7上に形成することで得られる。
さらに、必要性に応じて、第2導電層8の外側に保護層9を形成する(保護層形成工程)。ハロゲン化合物、無機酸化物、有機低分子材料、高分子材料等のガスバリア性の高い材料で第2導電層8の外表面を覆う。
このように、実施の形態に係る光電変換素子の製造方法によれば、光電変換効率が高く、耐久性に優れる円筒形状の有機無機ハイブリッド光電変換素子を安定的に製造することが可能となる。特に、光吸収層形成工程においては、浸漬塗布法により光吸収層を形成することから、効率よく確実にペロブスカイト構造化合物を合成することができ、安定的に精度の高い製品を効率よく製造でき、生産性を向上させることも可能となる。
得られた光電変換素子1は、太陽電池に好適に利用可能であり、例えば、大規模な太陽光発電システム(メガソーラー)に特に好適なものとなる。光電変換素子1は、円筒形状であることから、多様なメリットを有しており、屋外設置にも適している。図4に例示するように、太陽電池401を農地402の上に設置して発電しつつ、その太陽光により農地402を照らして農作物403を栽培するソーラーシェアリングとしても好適に活用することができる。このソーラーシェアリングでは、農地402の日照を確保しつつ発電することが可能となるとともに、円筒形状の光電変換素子1を太陽電池401に用いることで、太陽の日中移動によっても、発電と農作物403への日射との多方向から得ることが可能となる。
(実施例1)
本発明に係る光電変換素子の製造方法の実施例として、図1(a)および図1(b)に示される構造の光電変換素子1を以下の工程により作製した。
実施例1に係る光電変換素子1の製造方法では、基体2として、外径30mm、軸方向長さ340mm、円筒部の厚さ1mmのアルミニウム円筒体を使用した。この基体2をエタノール中で超音波洗浄処理した。この場合、基体2は第1導電層を兼ねることから、電極形成工程を省略した。
電子輸送層形成工程として、チタンキレート化合物であるジイソプロポキシチタニウムビス(アセチルアセトネート)を75質量%で含有する1−ブタノール溶液(Sigma−Aldrich社製)を、1−ブタノールで希釈した。これにより、チタンキレート化合物の濃度が0.02mol/Lである緻密酸化チタン層用溶液(塗布液)を調製した。これを塗布液として、浸漬塗布用の塗布装置10における塗工槽101に満たし、基体2に塗布層を形成した。塗布層を450℃にて15分間加熱し、基体2に、膜厚50nmの緻密酸化チタン層51を形成した。
次いで、酸化チタン(日本アエロジル社製、商品名P−25)が43%、α−テルピネオールが21%、エチルセルロースが2%、2−(2−n−ブトキシエトキシ)エタノールが1%、エタノールが33%の組成で混合し、ペイントシェーカーで分散して多孔質酸化チタン層塗布液を作製した。これを塗布液として、浸漬塗布法により緻密酸化チタン層51上に多孔質酸化チタン層塗布液を塗布し、450℃で1時間、焼成した。これにより膜厚300nmの多孔質酸化チタン層52を形成した。
光吸収層形成工程として、PbI2(東京化成製)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に加熱しつつ溶解させて、塗布液を調製した。これを塗布液として、保温機能を有する塗工槽101に満たし、浸漬塗布法により多孔質酸化チタン層52上に塗布膜を形成した後、冷却して常温においた。なお、PbI2塗布膜の色は、塗布液の色と同じ黄色であった。
次いで、CH3NH3I(和光純薬社製)をイソプロピルアルコールに溶解し、その溶液を塗工槽101に満たし、浸漬塗布法によりPbI2塗布膜上にCH3NH3I溶液を浸漬塗布した。このとき、浸け込み速度を10mm/secとし、最下点で1秒間静止させ、引き上げ速度を2mm/secとして引き上げた。塗布膜は、黄色から黒色に変化した。これにより、CH3NH3PbI3で表されるペロブスカイト構造化合物の形成が確認された。これにより、膜厚200nmの光吸収層6を形成した。
次いで、ホール輸送層形成工程として、ホール輸送材料である下記式:
Figure 2019024035
で表される、1,1−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンを、トルエンに溶解し、塗布液としてホール輸送層用溶液を調製した。この溶液を浸漬塗布法の塗工槽101に満たし、光吸収層6上に浸漬塗布した。得られた塗布膜を加熱乾燥させて、有機溶媒のトルエンを除去した。これにより、膜厚100nmのホール輸送層7を形成した。
電極形成工程として、前記ホール輸送層形成後の積層体を真空蒸着装置のチャンバー内に入れ、真空引きを行った後、積層体を回転させつつ金を蒸着した。これにより、ホール輸送層7上に約60nmの半透明電極を作製した。なお、この膜厚は、積層体上にセットしたガラス板に蒸着された金の膜厚より求めた。可視光の透過率は約10%であった。
最後に保護層形成工程として、円筒形状のシュリンクフィルムで全体を覆い、加熱収縮させて保護層9を形成し、光電変換素子1を封止した。
(実施例2)
実施例2に係る光電変換素子1の製造方法では、光吸収層形成工程において、塗工槽101への浸け込み速度を10mm/secとし、最下点で1秒間静止させ、塗工槽101からの引き上げ速度を5mm/secとして、浸漬塗布法によりペロブスカイト構造化合物を形成した。他の工程においては実施例1と同様として、光電変換素子1を作製した。
(実施例3)
実施例3に係る光電変換素子1の製造方法では、光吸収層形成工程において、塗工槽101への浸け込み速度を10mm/secとし、最下点で1秒間静止させ、塗工槽101からの引き上げ速度を8mm/secとして浸漬塗布法によりペロブスカイト構造化合物を形成した。他の工程においては実施例1と同様として、光電変換素子1を作製した。
(実施例4)
実施例4に係る光電変換素子1の製造方法では、ホール輸送層形成工程において、ホール輸送材料として下記式:
Figure 2019024035
で表されるSpiro−MeOTAD(Sigma−Aldrich社製)を使用した。他の工程においては実施例1と同様として、光電変換素子1を作製した。
(実施例5)
実施例5に係る光電変換素子1の製造方法では、光吸収層形成工程の後、ホール輸送層形成工程を経ずに保護層形成工程を行った。他の工程においては実施例1と同様として、ホール輸送層7を有しない光電変換素子1を作製した。
(比較例)
前記実施例1〜4に対し、比較例として次の工程により光電変換素子を製造した。この比較例に係る製造方法では、光吸収層形成工程において、多孔質酸化チタン層上に、PbI2塗布膜を形成し、CH3NH3I(和光純薬社製)をイソプロピルアルコールに溶解した塗布液をスプレー塗布により塗布した。他の工程においては実施例1と同様として、光電変換素子を作製した。
(光電変換素子の評価)
作製した実施例1〜5に係る光電変換素子(有機無機ハイブリッド光電変換素子)と、比較例の光電変換素子の各光電変換効率を測定した。測定は、ソーラーシミュレータ(ワコム電創社製)を用いて、作製した光電変換素子にAMフィルター(AM−1.5)を通じたキセノンランプからの100mW/cm2の疑似太陽光を照射し、金蒸着膜を陽極とし、アルミ基板を陰極として、光電変換素子の電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2019024035
実施例1〜5では、いずれも太陽電池として正常に作動するのに十分な光電変換効率であった。特に、塗工槽101への浸漬時間が長い実施例1では高い光電変換効率を示した。
これに対し、比較例では、太陽電池として作動するのに十分な光電変換効率を示さなかった。比較例では、DMF溶媒が蒸発するまでの時間が非常に短く、ペロブスカイト型結晶の生成が不十分となった結果、光電変換特性が悪化したと考えられる。
なお、表1に示すデータは、製造方法の違いによる光吸収層の特性を比較しやすいよう金電極の透過率で補正した。具体的には基体上にセットしたガラス板に蒸着した金の透過率で補正した。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記実施形態そのままに限定解釈されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の構成とすることができるものである。
本発明は、太陽電池に好適な光電変換素子の製造方法として好適に利用することができる。本発明は、特に、大面積の太陽光発電システム(メガソーラー)や小型携帯機器用の電源等に好適に使用可能な光電変換素子を提供することができる。
1 光電変換素子
2 基体
3 第1導電層(陰極)
4 電子輸送層
51 緻密酸化チタン層
52 多孔質酸化チタン層
6 光吸収層
7 ホール輸送層
8 第2導電層(陽極)
9 保護層
10 塗布装置
101 塗工槽
102 塗布液
103 円筒体

Claims (7)

  1. 一般式A−B−X3(ただし、Aは有機分子、Bは金属原子、Xはハロゲン原子である。)で表されるペロブスカイト構造化合物を含む光吸収層を有する光電変換素子の製造方法であって、
    BX2溶液の塗布膜にAX溶液を塗布し、BX2とAXとを反応させてペロブスカイト構造化合物を形成する光吸収層形成工程を含み、
    この光吸収層形成工程では、AX溶液を溜めた塗工槽に、前記塗布膜を備えた円筒形状の基体を浸漬させることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の光電変換素子の製造方法において、
    前記光吸収層形成工程では、前記塗工槽から前記基体を垂直方向に引き上げることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の光電変換素子の製造方法において、
    前記光吸収層形成工程では、前記塗布膜を備えた基体を塗工槽に対して下降させ、該基体の全体が浸漬する最下点において静止させることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の光電変換素子の製造方法において、
    前記光吸収層形成工程では、前記塗布膜を備えた基体を塗工槽に対して下降させる漬け込み速度より、前記塗布膜を備えた基体を塗工槽から上昇させる引き上げ速度を遅くすることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の光電変換素子の製造方法において、
    ホール輸送材料を有機溶媒に溶解して塗布液を調整し、この塗布液を満たした塗工槽に前記光吸収層を備えた基体を浸漬塗布し、前記光吸収層上にホール輸送層を形成することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の光電変換素子の製造方法において、
    円筒形状の第1導電層上に電子輸送層を積層し、この電子輸送層上に前記光吸収層形成工程により光吸収層を積層し、
    前記光吸収層上にホール輸送層を積層し、前記ホール輸送層上に第2導電層を積層して、円筒形状の光電変換素子を形成することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の光電変換素子の製造方法において、
    前記塗工槽は保温性を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
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