JP2019018262A - 削り加工装置および削り加工方法 - Google Patents

削り加工装置および削り加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 工具および被加工物に係る加工負荷を抑制し、加工不良を低減するとともに加工効率を向上させることが可能な、削り加工装置および削り加工方法を提供する。【解決手段】 削り加工装置1は、被加工物Wを保持する治具5と、被加工物Wの削り取りを行う工具7と、工具7と被加工物Wを削り方向に相対移動させて被加工物Wの一部を削り取る駆動手段9と、被加工物Wに対して工具7を所望の送り方向に移動させるべく、工具7又は被加工物Wを移動させる送り駆動手段25と、送り駆動手段25による実際の送り量に対して、工具7と被加工物Wの間の相対的な送り量が減少する方向に、被加工物Wまたは工具7を退避移動させる退避移動機構21と、退避移動機構21により被加工物Wまたは工具7が退避移動する際、退避移動する被加工物Wまたは工具7を復帰移動方向に付勢する付勢機構23と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックス、結晶材料、超硬合金などに固定砥粒やダイヤモンド工具で切削や研削などを行う削り加工装置および削り加工方法に関する。
従来より、被加工物の形状(外形状)を変化させる削り加工として切削加工や研削加工があり、使用する工具としては例えば、固定工具(バイト)や回転工具(カッター類)などの刃物を用いる加工や、砥粒(固定砥粒または遊離砥粒)を用いる加工が良く知られている。
固定砥粒を用いる切削または研削加工の代表的な方法として、研削盤やグラインディングセンタ、マシニングセンタ等を用いて、高速回転する工具(砥石)を被加工物に押圧して砥石を崩し、砥粒により被加工物を削る方法や、超音波振動させた工具(砥石)を被加工物に直接押圧して砥石を崩し、砥粒により被加工物を削る方法などがある。
また、ダイヤモンド工具を用いる切削では、焼結した多結晶ダイヤモンド、若しくはダイヤモンドコートされた工具を被加工物に押圧して微細に削り落としながら削る方法がある。
また、遊離砥粒を用いる研削加工の代表的な方法としては、超音波振動させた工具を加工物に近づけ、両者間に遊離砥粒を供給して、超音波エネルギーを受けた砥粒を被加工物に衝突させることで削る方法が一般的に知られている。
特開2013−53019号公報
しかしながら、例えば、研削盤等を用いた固定砥粒による削り加工(超音波振動加工を含む)は、機械剛性を求める力の加工であり、工具を強い押圧力で被加工物に当接させて砥石を崩して加工するため、目詰まりし易い問題がある。目詰まりによって加工すべりを起こすと、所望する形状(指定加工量(切り込み))に届かない状態での加工が続くと工具や被加工物に係る負荷が蓄積してしまう。この結果、本来の削り加工ではない状態での砥石の崩れや工具の破損が生じやすくなりる。
また、工具の径が大径の場合、工具を被加工物に当接させた場合の反力も大きくなり、工具がすべりやすくなる。従って、被加工物への切込みを良好にするために小径の工具や幅の薄い砥石でしか加工ができない場合も多いため、加工効率が悪いといった問題があった。
一方、超音波振動を利用した遊離砥粒による削り加工は、固定砥粒の場合と比較して工具や被加工物に係る加工負荷は軽減できるが、加工効率が低いため指令値に対する実加工量が未達である状態が続くと工具や被加工物に係る負荷が蓄積してしまう。そして、加工負荷が上がると、超音波振動が効率よく砥粒に伝わらなくなるため、更に工具の押圧力を高めることとなり、結果として加工負荷が更に増加するといった悪循環を引き起こしやすい。
このように、従来ではいずれの方法においても、大きい加工負荷が工具や被加工物に蓄積し易く、工具の破損や被加工物の破損などといった加工不良を引き起こしたり、加工効率を向上できないといった問題があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、工具および被加工物に係る加工負荷を抑制し、加工不良を低減するとともに加工効率を向上させることが可能な、削り加工装置および削り加工方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の手段によって、上記課題を解決したものである。
(1)本発明は、被加工物の一部を削り取って所望の形状に変化させる削り加工装置であって、前記被加工物を保持する治具と、前記被加工物の削り取りを行う工具と、前記工具と前記被加工物を削り方向に相対移動させて該被加工物の一部を削り取る駆動手段と、前記被加工物に対して前記工具を所望の送り方向に移動させるべく、前記工具又は前記被加工物を移動させる送り駆動手段と、前記送り駆動手段による実際の送り量に対して、前記工具と前記被加工物の間の相対的な送り量が減少する方向に、前記被加工物または前記工具を退避移動させる退避移動機構と、前記退避移動機構により前記被加工物または前記工具が退避移動する際、退避移動する前記被加工物または前記工具を復帰移動方向に付勢する付勢機構と、を備える、ことを特徴とする削り加工装置である。
(2)本発明はまた、前記被加工物と前記工具による削り加工が進展するにつれて、前記退避移動機構及び前記付勢機構により、前記退避移動した前記被加工物または前記工具が復帰方向に移動する、ことを特徴とする上記(1)に記載の削り加工装置である。
(3)本発明はまた、前記退避移動機構による退避状態を検出する退避状態検出手段と、前記送り駆動手段による実際の送り状態を検出する検出する送り状態検出手段と、前記退避状態と前記送り状態の相対差から、前記工具と前記被加工物の前記相対的な送り量を算出する計算手段と、を備える、ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の削り加工装置である。
(4)本発明はまた、前記付勢機構による付勢力が、前記退避移動機構による退避量に連動する、ことを特徴とする上記(1)乃至請(3)のいずれかに記載の削り加工装置である。
(5)本発明はまた、前記退避量が所定の閾値を超えないように、前記送り駆動手段による送り量を制御する、ことを特徴とする上記(4)に記載の削り加工装置である。
(6)本発明はまた、前記退避移動機構による前記退避量が略ゼロとなる際に、削り加工を終了させる、あるいは次の削り加工に移行するように制御する、ことを特徴とする上記(4)または(5)に記載の削り加工装置である。
(7)本発明はまた、前記付勢力が、所望量を超えない範囲に制御する、ことを特徴とする上記(4)乃至(6)のいずれかに記載の削り加工装置である。
(8)本発明はまた、前記治具が、前記退避移動機構および前記付勢機構を備える、ことを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の削り加工装置である。
(9)本発明はまた、前記駆動手段は、前記工具と前記被加工物を削り方向に相対回転させる回転駆動手段である、ことを特徴とする上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の削り加工装置である。
(10)本発明はまた、前記工具は、切削工具または研削工具である、ことを特徴とする上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の削り加工装置である。
(11)本発明はまた、被加工物の一部を削り取って所望の形状に変化させる削り加工方法であって、前記被加工物を治具により保持し、工具と前記被加工物を削り方向に相対移動させて該被加工物の一部を削り取る工程と、前記被加工物に対して前記工具を所望の送り方向に移動させるべく、前記工具または前記被加工物を移動させる工程と、前記工具または前記被加工物の実際の送り量に対して、前記工具と前記被加工物の間の相対的な送り量が減少する方向に、前記被加工物または前記工具を退避移動させる工程と、前記被加工物または前記工具が退避移動する際、退避移動する前記被加工物または前記工具を復帰移動方向に付勢する工程と、を備える、ことを特徴とする削り加工方法である。
(12)本発明はまた、前記被加工物と前記工具による削り加工が進展するにつれて、前記退避移動した前記被加工物または前記工具が復帰方向に移動する、ことを特徴とする上記(11)に記載の削り加工方法である。
(13)本発明はまた、前記被加工物または前記工具の退避状態を検出する工程と、前記被加工物または前記工具の実際の送り状態を検出する工程と、前記退避状態と前記送り状態の相対差から、前記工具と前記被加工物の相対的な送り量を算出する工程と、を有する、ことを特徴とする上記(11)または(12)に記載の削り加工方法である。
(14)本発明はまた、前記復帰移動方向への付勢する付勢力を、前記退避移動の退避量に連動させる、ことを特徴とする上記(11)乃至(13)のいずれかに記載の削り加工方法である。
(15)本発明はまた、前記退避量が所定の閾値を超えないように、前記送り量を制御する、ことを特徴とする上記(14)に記載の削り加工方法である。
(16)本発明はまた、前記退避量が略ゼロとなる際に、削り加工を終了させる、あるいは次の削り加工に移行する、ことを特徴とする上記(14)または(15)に記載の削り加工方法である。
(17)本発明はまた、前記付勢力を、所望量を超えない範囲に制御する、ことを特徴とする上記(14)乃至(16)のいずれかに記載の削り加工方法である。
(18)本発明はまた、前記被加工物の削り取りは、切削または研削である、ことを特徴とする上記(11)乃至(17)のいずれかに記載の削り加工方法である。
(19)本発明はまた、前記被加工物の削り取りは、前記工具または前記被加工物を回転駆動させて前記被加工物の削り取りを行う、ことを特徴とする上記(11)乃至(18)のいずれかに記載の削り加工方法である。
(20)本発明はまた、被加工物の一部を削り取って所望の形状に変化させる削り加工方法であって、工具が前記被加工物を押圧する際に該被加工物にかかる過剰圧力を緩衝させながら削り加工を進行させて、前記所望の形状になるまで前記被加工物の削り取りを行う、ことを特徴とする削り加工方法である。
(21)本発明はまた、前記工具または前記被加工物の一方を、削り加工を進行させる他方の送り方向と同方向に退避させながら削り加工を進行させる、ことを特徴とする上記(20)に記載の削り加工方法である。
(22)本発明はまた、前記工具が前記被加工物を押圧する際の圧力を削り加工が効率よく進行する所定範囲内に維持する制御を行う、ことを特徴とする上記(20)または(21)に記載の削り加工方法である。
(23)本発明はまた、前記被加工物の削り取りは、切削または研削である、ことを特徴とする上記(20)乃至(22)のいずれかに記載の削り加工方法である。
本発明によれば、工具および被加工物に係る加工負荷を抑制し、加工不良を低減するとともに加工効率を向上させることが可能な、削り加工装置および削り加工方法を提供することが可能となる。
本発明の実施形態の(a)削り加工装置を示す側面概要図、(b)治具を示す上面図、(c)治具を示す側面図である。 本発明の実施形態の削り加工装置による削り加工を示す側面概要図である。 本発明の他の実施形態の削り加工装置を示す側面概要図である。 本発明の他の実施形態の削り加工装置を示す側面概要図である。 本発明の他の実施形態の削り加工装置を示す側面概要図である。 本発明の削り加工による加工および加工結果の外観写真である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る削り加工装置1および削り加工方法について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の削り加工装置1を示す概要図であり、図1(a)が削り加工装置1の全体の側面概要図であり、同図(b)が治具5の一例を示す上面図であり、同図(c)が同図(b)の側面図である。
まず、図1(a)を参照して、本実施形態の削り加工装置1は、テーブル3と、治具5と、退避移動機構21と、付勢機構23と、被加工物(ワーク)Wの削り取りを行う工具(加工具)7と、工具7の駆動手段9と、送り駆動手段25と、工具7を支持する工具支持部17と制御手段などを有する。なお、以下の実施形態では、削り加工装置1が、例えばドリルなどの工具7を回転駆動するフライス盤などの装置であり、被加工物(ワーク)Wが超硬合金の場合を例に説明する。
テーブル3は例えば、被加工物(ワーク)Wを水平なX−Y面内で移動させるX−Yテーブル(ステージ)である。
治具5は、テーブル3上に設けられて被加工物Wを保持(支持)する手段であり、同図(b)、同図(c)に示すように例えば、基台51と、保持部52と、支持部53などを有する。また、本実施形態の治具5は、被加工物Wを退避移動させる退避移動機構21と被加工物Wを復帰移動方向に付勢する付勢機構23を有する。退避移動機構21と付勢機構23については後に詳述する。
基台51には例えば、適宜の位置に支持部53が立設され、支持部53の上端部には例えば平板状の保持部52が設けられる。この例では、保持部52は平面視において矩形状(正方形状)であり、支持部53は、保持部52の外周付近の四隅に対応する位置の4箇所に設けられる場合を説明する。なお、保持部52の形状は、この例に限らず、長辺と短辺を有する長方形状や円形状であってもよい。いずれの場合も保持部52は、被加工物Wより大きい例えば矩形状を有し、その上面が被加工物Wを当接保持(支持)する保持面521となる。また、支持部53の配置およびその数は、保持部52の形状に応じて、保持部52の両端に対応する2箇所でもよいし、中央に対応する1箇所でもよい。
また、後に詳述するが、本実施形態の治具5は、保持部52が基台51に対して、工具7の主軸の延在方向(この例では、鉛直方向(図示のZ軸方向)に相対的に移動可能に構成されている。
工具7は、例えば超硬合金を削り取るなどして所望の形状を得る(形状を創生する)機械加工(切削加工または研削加工)が可能な固定砥粒工具(砥石)またはダイヤモンド工具であり、例えばダイヤモンド砥石である。また、本実施形態の工具7は、一例としてドリル、エンドミル、多角錐工具(バイト)等の切削工具または研削工具である。
駆動手段9は、工具7と被加工物Wを削り方向に相対移動させて工具7によって被加工物Wの一部を削り取るように駆動させる手段である。この例の駆動手段9は工具7と被加工物Wを削り方向に相対回転させる回転駆動手段であり、例えば、工具7あるいは工具7の主軸(例えば、ドリルのシャンクなど)を回転駆動するモータである。駆動手段9により、工具支持部17に支持された工具7は、鉛直なZ軸を中心にスピンドルにより回転駆動される。
工具支持部17は、被加工物Wに対して工具7を所望の送り方向に移動させるべく、工具7を移動させる送り駆動手段25を備え、工具7を支持(保持)する。送り方向は、この例では、工具7の主軸の延在方向、すなわち鉛直方向(図示のZ軸方向、治具5の保持部52の面に垂直な方向)である。工具支持部17は一例として、Z軸方向に移動するZ軸送りステージである。
また、本実施形態の削り加工装置1は、計測手段11を備えている。計測手段11は例えば、退避移動機構21による退避状態を検出する退避状態検出手段111と、送り駆動手段25による実際の送り状態を検出する検出する送り状態検出手段113と、退避状態と送り状態の相対差から、工具7と被加工物Wの相対的な送り量を算出する計算手段115などを有している。計測手段11については、後に詳述する。
これら削り加工装置1の各部は、制御手段(不図示)によって統括的に制御される。制御手段は、CPU、RAM、及びROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
制御手段は、テーブル(X−Yテーブル)3と工具支持部(Z軸送りステージ)17とを数値制御する不図示の数値制御手段(数値制御装置)を含む。数値制御装置により、工具(砥石)7をスピンドルによりZ軸を中心に高速回転させるとともに回転トルク等が制御され、被加工物Wを水平なX−Y面内で移動させて回転する工具7に接触させることにより、被加工物Wを所望の形状に加工(研削または切削)することができる。
本実施形態の削り加工装置1は、工具7が被加工物Wの被加工部位を押圧する際に当該被加工部位にかかる過剰圧力を緩衝させながら削り加工を進行させて、所望の形状になるまで被加工物Wの削り取りを行うものである。換言すると、工具7が被加工物Wの被加工部位を押圧する際の圧力を、削り加工が進行する所定範囲内に維持しながら、所望の形状になるまで被加工物Wの削り取りを行うものである。
より具体的には、工具7または被加工物Wのうち一方を、削り加工を進行させるための他方の送り方向と同方向に退避させながら削り加工を進行させることで工具7が被加工部位を押圧する際に被加工部位にかかる過剰圧力を緩衝させるものであり、これにより工具7と被加工部位が当接する圧力(押圧力)を削り加工が効率よく進行する所定範囲内に維持しながら削り加工を行うことができる。
従来の削り加工、特に、所望の形状を得る(形状を創生する)切削加工または研削加工は、運動制御(転写)方式の砥粒加工法であり、特に固定砥粒による切削加工または研削加工においては、被加工物(特に超硬合金など)を削り加工の進行方向へは移動しない治具に強固に固定し、且つ、工具を被加工物に強力に押し付けた状態で、工具の1回の送り量(1回の走査)における削り量と、最終の削り量までの送り(走査)回数を設定し、削り取りを行うことが一般的であった。また、加工途中においては工具の運動制御(回転速度や送り速度の制御)が行われることが一般的であった。
しなしながら、このような方法では、工具(砥石)や被加工物の意図しない破損が進み、目詰まりなどを起こし易い問題があった。そして例えば目詰まりなどで加工すべりが生じ、最終の削り量に到達する以前に加工が終了してしまうなど、加工効率が落ちる問題があった。またそもそも砥石が激しく磨耗する加工方法であるため、微細な砥石を用いる(作る)ことに意味は無く、ミクロン単位の制御が困難であるといった問題があった。
また、形状創生よりむしろ固体の表面を平滑にする場合等に用いられる従来の研磨加工(例えば、鏡面加工)に用いられるロードセルは、研磨を停止する際に工具を退避するよう移動可能に構成されるのみで、工具のZ軸方向のミクロン単位までの制御は行うことができない。
そして、切削加工や研削加工においては、上述のように削り量と工具の運動制御を行い、所望の形状に到達したか否かを検出しており、工具の押圧力の検出やその制御は行われてはいなかった。
本願出願人は、研削加工や研磨加工においても工具7が被加工物W(の被加工部位)に当接する(押圧する)圧力に着目し、鋭意努力の結果、当該圧力(押圧力)について最も効率よく加工が進行する所定範囲が存在することを見出した。
そして、研削加工や研磨加工においても当該圧力(押圧力)を、最も効率よく加工が進行する所定範囲に維持すべく、工具7または被加工物Wの一方を、削り加工を進行させるための他方の送り方向と同方向に退避させながら削り加工を行うことで工具7が被加工部位を押圧する際に被加工部位にかかる過剰圧力を緩衝させながら、削り加工を進行させる本願発明をなし得た。
具体的には、図1に示すように、本発明の実施形態の削り加工装置1は、治具5または工具支持部17の一方が、緩衝機構20を有しており、これにより被加工物Wに加わる工具7の過剰圧力を緩衝し(吸収し)、被加工物Wおよび工具7への加工負荷を軽減させるように構成した。この緩衝機構20とは、例えば、工具7または被加工物Wを退避移動させる退避移動機構21と、工具7または被加工物Wを復帰移動方向に付勢する付勢機構23を含む機構である。
同図(b)、同図(c)を参照してより詳細に説明する。本実施形態では一例として、治具5が、緩衝機構20すなわち、退避移動機構21と付勢機構23とを備えている場合である。
退避移動機構21は、この例では、保持部52(保持面521)を基台51に対して垂直(この例では鉛直)方向上下に移動可能に保持する支持部53である。より具体的には、支持部53は、外筒531と、外筒531の内側で外筒531に対して進退可能に保持される内筒532とを有している。
また、付勢機構23は例えば、支持部53の例えば外周に設けられて上下両端が保持部52と基台51とに固定れた弾性部材533である。弾性部材533は例えば、外筒531の外周に巻回され、上下両端が保持部52と基台51とに固定されたばね(コイルばね)である。
支持部53(退避移動機構21)は、工具7の実際の送り方向(加工を進行させる場合に送り駆動手段25によって工具7が送られる方向、この例ではZ軸の下方に向かう方向)と同方向に保持部52を退避移動可能に構成されており、これにより保持部52上の被加工物Wは工具7の実際の送り方向と同方向に退避移動可能となっている。
付勢機構23は、退避移動機構21により被加工物Wが退避移動する際、退避移動する被加工物Wを復帰移動方向に付勢する。復帰移動方向は、退避移動方向とは逆方向であり、Z軸の上方に向かう方向である。
また、保持部52の上面にはストッパー535が設けられる。ストッパー535は、付勢機構23(弾性部材533)によってZ方向上方へ付勢される保持部52のZ軸上方への移動が所定高さに規制する。
これにより、保持部52およびこれに保持される被加工物Wは、削り加工が行われている間は工具7によって押圧され、退避移動機構21によって付勢機構23の付勢力に抗いながら工具7の実際の送り方向(Z軸下方)に退避移動するが、被加工物Wと工具7による削り加工が進展するにつれて、退避移動機構21及び付勢機構23によって、退避移動した被加工物W(保持部52)が工具7に押圧されながらも初期の位置に復帰する方向に移動する。
さらに、計測手段11は例えば、退避移動機構21による退避状態を検出する退避状態検出手段111と、送り駆動手段25による実際の送り状態を検出する検出する送り状態検出手段113と、退避状態と送り状態の相対差から、工具7と被加工物Wの相対的な送り量を算出する計算手段115を有している。
ここで、退避移動機構21が検出する退避状態は、例えば、工具7に押圧されることによる退避移動の量(以下「退避量ΔN」と称する。)である。
また、送り駆動手段25が検出する実際の送り状態は、例えば、削り加工を行うための目標となる(削り加工を行う場合に設定する)実際の(絶対的な)送り量(以下、「絶対的な送り量ΔT1」と称する。)である。
また、計算手段115が算出する相対的な送り量とは、絶対的な送り量ΔT1と退避量ΔNの差(ΔT1−ΔN)であり、以下、「相対的な送り量ΔT2」と称する。工具7と被加工物Wの相対的な送り量ΔT2(=ΔT1−ΔN)は、加工の進展量ともいえる。
本実施形態の退避移動機構21は、保持部52に被加工物Wを載置すると、送り駆動手段25によって工具7を被加工物Wを押圧してはいない状態であっても被加工物Wの重量に応じた所定量で退避移動方向に移動する(付勢機構23がそのように設定されている)。しかし、本実施形態では一例として、退避状態検出手段111が検出する退避量ΔNは、送り駆動手段25によって工具7を被加工物Wを押圧する(送り出す)ことによって、被加工物WがZ軸下方に退避移動した変化量(加工開始時では保持部52に被加工物Wを載置した状態から更に工具7の押圧によって退避移動した変化量)を検出するものとする。
なお、後に述べる付勢機構23の付勢力の設定によっては、保持部52に被加工物Wを載置したのみでは、保持部52はZ軸下方に移動しない場合もあり、そのように構成されていてもよい。
そして、退避移動機構21は、削り加工の進行中(工具7によって押圧されている間)は、付勢機構23によって付勢されることにより、送り駆動手段25による工具7の絶対的な送り量ΔT1に対して、工具7と被加工物Wの間の相対的な送り量ΔT2が減少する方向に、被加工物Wを退避移動させる。なお、本実施形態における「相対的な送り量ΔT2が減少する方向に、被加工物Wを退避移動する」とは、換言すれば、初期位置に復帰する方向への移動ではあるが、初期位置からは依然として退避しているような移動である。
そして削り加工装置1は、退避移動機構21による退避量ΔNが(略)ゼロとなる際に、削り加工(の1ステップ)を終了させるように制御される。
具体的には、例えば、2mmの削り加工を行う場合、送り駆動手段25による工具7の絶対的な送り量ΔT1(退避量ΔN)を2mmとし、退避量ΔN(2mm)が(略)ゼロとなる際に削り加工を終了する。あるいは、例えば、2mmの削り加工を行う場合、複数ステップの削り加工を行うようにしても良く、例えば1ステップ目において送り駆動手段25による工具7の絶対的な送り量ΔT1(退避量ΔN)を0.2mmとして、退避量ΔN(0.2mm)が(略)ゼロとなる際に削り加工の1ステップ目を終了し、次のステップ(2ステップ目)に進み、これを繰り返して削り加工を行うようにしてもよい。この場合10ステップ目が終了した場合に、削り加工が完了する。
付勢機構23の付勢力(弾性部材533の弾性力)は、退避状態検出手段111が検出した退避量ΔNに連動するように設定され、上記のような退避移動と復帰移動が可能となるような所望量を超えない範囲に設定されている。
具体的には、付勢機構23の付勢力は、送り駆動手段25が工具7を絶対的な送り量ΔT1で送り出した場合、緩衝機構20(退避移動機構21および付勢機構23)によって、工具7と被加工物Wの間の相対的な送り量ΔT2が減少する方向に退避移動することが可能となるように設定されている。より具体的な現象で説明すると、例えば、送り駆動手段25の送り動作(それによる退避移動機構21による退避量ΔN)に対応して、被加工物WのZ軸方向の位置(治具5の保持部52のZ軸方向位置)の微小な変位を許容しつつ、例えば僅かな範囲で被加工物Wが振動可能となるように、付勢機構23の付勢力が設定されている。
例えば、付勢機構23が弾性部材(コイルばね)533の場合、退避移動機構21による退避量ΔNに連動して伸縮が可能なばね定数が適宜選択される。弾性部材533は、送り駆動手段25による押圧力を受けて送り駆動手段25の送り方向(Z軸下方)に圧縮されながらも、当該押圧力に抗って、工具7の実際の送り量(絶対的な送り量)ΔT1に対して、工具7と被加工物Wの間の相対的な送り量ΔT2が減少する方向に被加工物W(保持部52)を移動させることが可能な程度に伸張するようなばね定数が選択される。
換言すると、被加工物Wと工具7による削り加工が進展するにつれて、Z方向下方に退避移動した被加工物W(保持部52)が復帰方向に移動するようなばね定数が選択される。
ただし、この付勢機構23の付勢力は、加工する被加工物Wの材質、形状、加工方法、使用する工具7などの加工条件により異なる。従って、付勢機構23の付勢力は、加工条件に応じて、上記の退避移動と復帰移動が可能となるような所望量を超えない範囲に制御される。つまり、付勢機構23が弾性部材533の場合は、上記の退避移動と復帰移動が可能となるような所望量を超えない範囲のばね定数が適宜選択される。
また、送り駆動手段25は、被加工物W(保持部52)の退避量ΔNが所定の閾値を超えないように、絶対的な送り量ΔT1を制御する。具体的には、退避量ΔNが所定の閾値(例えば、目標とする加工量)を超える状態となった場合は、工具7の絶対的な送り量ΔT1を減少させ、退避量ΔNが所定の閾位置に満たない場合(押し込みが少なく工具7が空転状態またはそれに近い状態となる場合)は、工具7の絶対的な送り量ΔT1を増加させる制御を行う。
なお、送り駆動手段25による削り加工中の送り制御は行わなくても良く、送り駆動手段25による制御に代えて、あるいはこれと併用して、工具7の駆動手段9による制御(回転制御、回転トルクの制御)などによって、退避量ΔNが所定の閾値を超えないように制御してもよい。
また、弾性部材522は、コイルばねに限らず、例えば空気ばねや、スポンジ等であってもよく、また、付勢機構23は、磁力、油圧、空圧などにより付勢する機構(弾性力を有する機構)であってもよい。
図2を参照して、削り加工装置1における削り加工方法について時系列に説明する。
まず、同図(a)に示すように、治具5の保持部52上に被加工物W(例えば、超硬合金)を載置し、治具5によって保持する。この例では、治具5の保持部52上に被加工物Wを載置し、且つ工具7によって押圧される前の状態では、被加工物Wの重量により付勢機構23(弾性部材533)は所定量圧縮され、保持部52は、退避移動機構21と付勢機構23によって被加工物Wの載置前の位置(破線で示す)よりもZ方向下方に移動する。なお、付勢機構23の付勢力の設定によっては、保持部52に被加工物Wを載置したのみでは、保持部52はZ軸下方に移動しない場合もあり、そのように構成されていてもよい。この例では、被加工物Wの重量のみによる移動は、退避量ΔNに含まないものとする。また、被加工物W表面の破線の領域を削り加工するものとする。
そしてこのときの(加工前の被加工物Wを載置した状態の)保持部52の保持面521の位置(床面などの基準面からの高さ)を復帰位置P0とする。
次に、同図(b)に示すように、テーブル3を移動させて被加工部位W1を工具7の下方になるように調整し、被加工物Wに対して工具7を所望の送り方向に移動させる。すなわち、工具支持部17の送り駆動手段25によって、工具7をZ軸下方に移動させて被加工部位W1の加工開始部位に工具7を当接させる。このとき、送り駆動手段25は、削り加工が可能な程度の押圧力で工具7を被加工物Wに当接(押圧)させるように工具7を移動する。被加工物Wはこの押圧力を受け、退避移動機構21は、或る退避量ΔNでZ方向下方に退避移動する。退避量ΔNは例えば、目標とする最終的な削り取りの全体量(総加工量)であってもよいし、目標とする最終的な削り取りの全体量(総加工量)よりも小さい値(総加工量)を複数に等分割した値)であってもよい。
次に、同図(c)に示すように、工具7と被加工物Wを削り方向(この場合は、X−Y方向)に相対移動させて被加工部位W1の一部を削り取る。本実施形態ではこの削り加工において、送り駆動手段25が、工具7を絶対的な送り量ΔT1で送り方向(Z軸下方)に移動させて被加工物Wを押圧する一方で、付勢機構23は、退避移動する被加工物Wを復帰移動方向(復帰位置P0に向かって移動する方向)に付勢し、退避移動機構21は、工具7の実際の送り量ΔT1に対して、工具7と被加工物Wの間の相対的な送り量ΔT2が減少する方向(この場合は下方)に、被加工物W(保持部52)を退避移動させる。付勢機構23の付勢力は退避移動機構21による退避量ΔNに連動し、所望量を超えない範囲に設定されている。
具体的には、退避状態検出手段111が検出した退避移動機構21による退避状態(退避量ΔN)と、送り状態検出手段113が検出した送り駆動手段25による実際の送り状態(絶対的な送り量ΔT1)に基づき、計算手段115が両者の相対差(ΔT1−ΔN)から、工具7と被加工物Wの相対的な送り量ΔT2を算出する。また、送り駆動手段25は、退避量ΔNが所定の閾値を超えないように、絶対的な送り量ΔT1を制御する。
そして、同図(c)に示すように、退避移動機構21は、工具7と被加工物Wの間の相対的な送り量ΔT2が減少する方向に、被加工物Wを退避移動させる。被加工物Wと工具7による削り加工が進展するにつれて、退避移動機構21及び付勢機構23によって退避移動した被加工物Wが復帰位置P0方向に移動し、退避量ΔNは減少するように加工が進行する。なお、この場合は、送り駆動手段25によって工具7が送られることで削られる削り量に対して、相対的削り量が減少する方向に被加工物W(保持部52)を退避移動するともいえる。
つまり、現象的に一例を挙げると、被加工物Wはテーブル3に対してZ軸方向の位置が固定されず、Z軸方向において所定範囲内での移動(位置の変動)が許容された状態で加工が進行する。被加工物Wは工具7によってZ軸下方に押されながらも、上下に振動するようにして、治具5(被加工物W)が徐々に復帰位置P0に戻りながら削り加工が進行する。
そして、同図(d)に示すように被加工部位W1の形状が所望の最終形状となり(総加工量に到達し)退避量ΔNが(略)ゼロとなった際に、削り加工を終了させる。
なお、複数のステップに分割して削り加工を実行する場合は、1ステップの退避量ΔNが(略)ゼロとなった場合に、当該ステップの削り加工を終了し、次ステップの削り加工に進む。
なお、削り加工が完了する直前において、退避量ΔNに対して相対的な送り量ΔTが不足し、目標値に僅かに満たずに工具7が空転する可能性がある場合には、それらを考慮して絶対的な送り量ΔT1,退避量ΔNおよび相対的な送り量ΔT2を適宜制御するとよい。
また、計測手段11は、最終の加工量に達し、所望の形状が得られているか否かを検出する測定手段を備え、削り加工の終了後に最終の加工形状を確認可能とするようにしてもよい。
このような構成によれば、保持部52に載置した被加工物Wおよび工具7に対して、削り加工が最も効率よく進行する圧力範囲を超えるような過剰な圧力が加わった場合であってもそれを緩衝(吸収)しつつ、削り加工を進行させることができる。
また、退避量ΔNを所望の値(最終加工量、あるいはそれを等分割にした値)に設定し、退避量ΔNが(略)ゼロになった場合に(1ステップ分の)削り加工を終了するように制御すればよいため、従来の研削や切削では困難であったミクロン単位での加工量の制御が可能となる。
さらに、本実施形態では、被加工物Wおよび工具7への加工負荷(加工圧)が小さい場合、その表面(加工目)は、磨き(研磨)に近い加工目となり、研磨レベルの目の細かい削り加工が可能となる。本実施形態の削り加工では、被加工物Wおよび工具7への加工負荷(加工圧)は随時変化しているが、削り加工処理の全体を通した被加工物Wおよび工具7への加工負荷(加工圧)は、大まかに、加工の初期は加工負荷(加工圧)が高く、加工の終期(終了直前)では加工負荷(加工圧)が低くなる。つまり、加工の終期(終了直前)において、研磨レベルの目の細かい削り加工によって、その表面(加工目)は、磨き(研磨)に近い加工目の削りを行うことができる。
<他の実施形態>
図3から図5を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。
上記の例では、削り加工装置1がドリルなどの工具7を回転駆動するフライス盤による装置の場合であって、治具5が緩衝機構20(退避移動機構21および付勢機構23)を備える例を示した。
これに対し、図3に示す実施形態では、削り加工装置1が円柱状の被加工物Wを回転させる旋盤加工等の装置の場合であって、工具支持部17が緩衝機構20(退避移動機構21および付勢機構23)を備える例を示す。
同図(a)に示すようにこの場合、被加工物Wは円柱状であり、駆動手段9は、被加工物Wを保持する治具(チャックなど)5を回転駆動するモータなどである。工具7は例えば、バイトなどであり、工具支持部17を介してテーブル3に取り付けられる。テーブル3は、少なくとも2軸方向(例えば、図示のY軸およびZ軸に沿う方向)に移動可能となっている。
駆動手段9によって治具5が回転駆動すると被加工物Wが円柱状の軸中心に回転する。そして被加工物Wに工具7を当接して工具7と被加工物Wを削り方向に相対移動(回転)させて被加工物Wの一部を削り取る。
送り駆動手段25は、この例では治具5に設けられ、治具5(被加工物W)を工具7に対して移動させる。すなわち、同図(b)に示すように、送り駆動手段25は、被加工物Wを工具7に対して所望の送り方向(この例では、図示のX軸の右方向)に相対的に移動させる。
一方、退避移動機構21は工具支持部17に設けられ、送り駆動手段25による実際の送り量ΔT1に対して、工具7と被加工物Wの間の相対的な送り量ΔT2が減少する方向(この場合は送り駆動手段25の送り方向と同方向、X軸の右方向)に、工具7を退避移動させる。
また、付勢機構23は、例えばテーブル3と工具支持部17の間に設けられ、退避移動機構21により工具7が退避移動する際、退避移動する工具7を復帰移動方向(送り駆動手段25の送り方向と逆方向、この例では、X軸の左方向)に付勢する。
この場合は、被加工物Wと工具7による削り加工が進展するにつれて、退避移動機構21及び付勢機構23により、退避移動した工具7が復帰方向(X軸左方)に移動する。
また、退避移動機構21による退避状態を検出する退避状態検出手段111と、送り駆動手段25による実際の送り状態を検出する検出する送り状態検出手段113と、退避状態と送り状態の相対差から、工具7と被加工物Wの相対的な送り量ΔT2を算出する計算手段115等を有する計測手段11を備える。計測手段11の具体的構成については、上記実施例と同様である。
また、上記実施形態と同様に付勢機構23による付勢力が、退避移動機構21による退避量ΔNに連動し、付勢力は、所定量を超えない範囲に制御される。送り駆動手段25は、退避量ΔNが所定の閾値を超えないように、絶対的な送り量ΔT1を制御する。
これにより、工具7は、削り加工が行われている間は治具5およびこれに保持される被加工物Wによって押圧され、退避移動機構21によって付勢機構23の付勢力に抗いながら被加工物Wの実際の送り方向(X軸右方)に退避移動するが、被加工物Wと工具7による削り加工が進展するにつれて、退避移動機構21及び付勢機構23によって、退避移動した工具7が被加工物W(治具5)に押圧されながらも復帰方向(X軸左方)に移動する。そして、退避移動機構21による退避量ΔNが略ゼロとなる際に、削り加工を終了させるように制御する。
つまりこの場合も、工具7または被加工物Wの一方(例えば、工具7)を、削り加工を進行させるための他方(例えば、被加工物W)の送り方向(この場合は、送り駆動手段25による実際の送り方向)と同方向に退避させながら削り加工を行うことで工具7が被加工部位を押圧する際に被加工部位にかかる過剰圧力を緩衝させながら、削り加工を進行させることができる。
また、退避量ΔNを所望の値(最終加工量、あるいはそれを等分割にした値)に設定し、退避量ΔNが(略)ゼロになった場合に(1ステップ分の)削り加工を終了するように制御すればよいため、従来の研削や切削では困難であったミクロン単位での加工量の制御が可能となる。
また、図4は、削り加工装置1が円柱状の被加工物Wを回転させる旋盤加工等の装置の場合であって、工具支持部17が送り駆動手段25によって移動可能であるとともに、緩衝機構20(退避移動機構21および付勢機構23)を備える他の例である。
同図(a)に示すように、被加工物Wは円柱状であり、駆動手段9は、被加工物Wを保持する治具(チャックなど)5を回転駆動するモータなどである。工具7は例えば、バイトなどであり、工具支持部17を介して送り駆動手段25に取り付けられる。送り駆動手段25は、例えば、図示のX軸およびZ軸に沿う方向に工具7を移動させる。
退避移動機構21は、工具支持部17側(例えば送り駆動手段25と工具支持部17の間)に設けられ、送り駆動手段25による実際の送り量ΔT1に対して、工具7と被加工物Wの間の相対的な送り量ΔT2が減少する方向(この場合は、送り駆動手段25の送り方向と逆方向)に、工具7を退避移動させる。
また、付勢機構23は、工具支持部17側(例えば送り駆動手段25と工具支持部17の間)に設けられ、退避移動機構21により工具7が退避移動する際、退避移動する工具7を復帰移動方向(送り駆動手段25の送り方向)に付勢する。
駆動手段9によって治具5が回転駆動すると被加工物Wが円柱状の軸中心に回転する。そして被加工物Wに工具7を当接して工具7と被加工物Wを削り方向に相対移動(回転)させて被加工物Wの一部を削り取る。
例えば、同図(b)に示すように、送り駆動手段25は、被加工物Wに対して工具7を所望の送り方向に相対的に移動させる(この例では、図示のZ軸の下方向に移動させる)。この場合、退避移動機構21は、送り駆動手段25による実際の送り量ΔT1に対して、工具7と被加工物Wの間の相対的な送り量ΔT2が減少する方向(送り駆動手段25の送り方向と逆方向、この例では、Z軸の上方向)に、工具7を退避移動させる。
また、付勢機構23は、退避移動機構21により工具7が退避移動する際、退避移動する工具7を復帰移動方向(送り駆動手段25の送り方向、この例では、Z軸の下方向)に付勢する。
この場合は、被加工物Wと工具7による削り加工が進展するにつれて、退避移動機構21及び付勢機構23により、退避移動した工具7が復帰方向(Z軸下方)に移動する。
また、同図(c)に示すように、送り駆動手段25は、被加工物Wに対して工具7を所望の送り方向に相対的に移動させる(この例では、図示のX軸の左方向に移動させる)と、退避移動機構21は、送り駆動手段25による実際の送り量ΔT1に対して、工具7と被加工物Wの間の相対的な送り量ΔT2が減少する方向(送り駆動手段25の送り方向と逆方向、この例では、X軸の右方向)に、工具7を退避移動させる。
また、付勢機構23は、退避移動機構21により工具7が退避移動する際、退避移動する工具7を復帰移動方向(送り駆動手段25の送り方向、この例では、X軸の左方向)に付勢する。
この場合は、被加工物Wと工具7による削り加工が進展するにつれて、退避移動機構21及び付勢機構23により、退避移動した工具7が復帰方向(X軸左方)に移動する。
なお、この例では、送り駆動手段25は、X軸方向とZ軸方向に同時に工具7を移動させることが可能であり、その場合同図(b)と同図(c)に示す処理が同時並列的に行われる。
また、退避移動機構21による退避状態を検出する退避状態検出手段111と、送り駆動手段25による実際の送り状態を検出する検出する送り状態検出手段113と、退避状態と送り状態の相対差から、工具7と被加工物Wの相対的な送り量ΔT2を算出する計算手段115等を有する計測手段11を備える。計測手段11の具体的構成については、上記実施例と同様である。
また、上記実施形態と同様に付勢機構23による付勢力が、退避移動機構21による退避量ΔNに連動し、付勢力は、所定量を超えない範囲に制御される。送り駆動手段25は、退避量ΔNが所定の閾値を超えないように、絶対的な送り量ΔT1を制御する。
これにより、工具7は、削り加工が行われている間は治具5およびこれに保持される被加工物Wによって押圧され、退避移動機構21によって付勢機構23の付勢力に抗いながら被加工物Wの相対的な送り方向(同図(b)ではZ軸上方、同図(c)ではX軸右方)に退避移動するが、被加工物Wと工具7による削り加工が進展するにつれて、退避移動機構21及び付勢機構23によって、退避移動した工具7が被加工物W(治具5)に押圧されながらも復帰方向(同図(b)ではZ軸下方、同図(c)ではX軸左方)に移動する。そして、退避移動機構21による退避量ΔNが略ゼロとなる際に、削り加工を終了させるように制御する。
つまりこの場合も、工具7または被加工物Wの一方(例えば工具7)を、削り加工を進行させるための他方(例えば被加工物W)の送り方向(この場合は、送り駆動手段25に対する相対的な送り方向)と同方向に退避させながら削り加工を行うことで工具7が被加工部位を押圧する際に被加工部位にかかる過剰圧力を緩衝させながら、削り加工を進行させることができる。
また、退避量ΔNを所望の値(最終加工量、あるいはそれを等分割にした値)に設定し、退避量ΔNが(略)ゼロになった場合に(1ステップ分の)削り加工を終了するように制御すればよいため、従来の研削や切削では困難であったミクロン単位での加工量の制御が可能となる。
図5に示す実施形態では、削り加工装置1がエンドミルなどの工具7を回転駆動するフライス盤による加工等の装置の場合であって、治具5を支持するテーブル3が緩衝機構20(退避移動機構21および付勢機構23)を備える例を示す。
この場合、工具7は例えば、エンドミルなどであり、駆動手段9に取り付けられる。駆動手段9は、工具7をその主軸(Z軸)を中心に回転駆動するモータなどである。治具5は、テーブル3に対して相対移動可能に配置され、被加工物Wは治具5の保持部52上に載置される。
駆動手段9は、工具7と被加工物Wを削り方向に相対移動させて工具7によって被加工物Wの一部を削り取るように駆動させる。この例の駆動手段9は工具7と被加工物Wを削り方向に相対回転させる回転駆動手段であり、例えば、工具7あるいは工具7の主軸を回転駆動するモータである。これにより、工具7は、鉛直なZ軸を中心にスピンドルにより回転駆動される。
送り駆動手段25は、この例ではテーブル3に設けられる。送り駆動手段25は、被加工物Wに対して工具7を所望の送り方向(この例では、図示のX軸右方向)に移動させる。すなわち、送り駆動手段25がテーブル3を例えば図示のX軸の左方向へ移動させると、治具5に保持された被加工物Wが工具7に対してX軸の左方向に移動し、工具7は、図示のX軸右方向に相対的に移動する。
退避移動機構21は治具5に設けられ、送り駆動手段25による絶対的な送り量ΔT1に対して、工具7と被加工物Wの間の相対的な送り量ΔT2が減少する方向(送り駆動手段25の送り方向と逆方向、この例では、X軸の右方向)に、治具5を退避移動させる。
また、付勢機構23は、例えばテーブル3と治具5の間に設けられ、退避移動機構21により治具5およびその上の被加工物Wが退避移動する際、退避移動する治具5(被加工物W)を復帰位置(同図(a)に示すテーブル3上における治具5の復帰位置P0)に移動する復帰移動方向(送り駆動手段25の送り方向、この例では、X軸の左方向)に付勢する。
この場合は、被加工物Wと工具7による削り加工が進展するにつれて、退避移動機構21及び付勢機構23により、退避移動した治具5(被加工物W)が復帰位置P0に向かって移動する。
また、退避移動機構21による退避状態を検出する退避状態検出手段111と、送り駆動手段25による実際の送り状態を検出する検出する送り状態検出手段113と、退避状態と送り状態の相対差から、工具7と被加工物Wの相対的な送り量ΔT2を算出する計算手段115等を有する計測手段11を備える。計測手段11の具体的構成については、上記実施例と同様である。
また、上記実施形態と同様に付勢機構23による付勢力が、退避移動機構21による退避量ΔNに連動し、付勢力は、所定量を超えない範囲に制御される。送り駆動手段25は、退避量ΔNが所定の閾値を超えないように、絶対的な送り量ΔT1を制御する。
これにより、被加工物Wは、削り加工が行われている間は工具7よって押圧され、退避移動機構21によって付勢機構23の付勢力に抗いながら被加工物Wの実際の送り方向と逆方向(X軸右方)に退避移動するが、被加工物Wと工具7による削り加工が進展するにつれて、退避移動機構21及び付勢機構23によって、退避移動した被加工物W(治具5)が工具7に押圧されながらも復帰位置P0の方向(X軸左方)に移動する。そして、退避移動機構21による退避量ΔNが略ゼロとなる際に、削り加工を終了させるように制御する。
つまりこの場合も、工具7または被加工物Wの一方(被加工物W)を、削り加工を進行させるための他方(工具7)の送り方向(送り駆動手段25に対する相対的な送り方向、X軸右方向)と同方向に退避させながら削り加工を行うことで工具7が被加工部位を押圧する際に被加工部位にかかる過剰圧力を緩衝させながら、削り加工を進行させることができる。
また、退避量ΔNを所望の値(最終加工量、あるいはそれを等分割にした値)に設定し、退避量ΔNが(略)ゼロになった場合に(1ステップ分の)削り加工を終了するように制御すればよいため、従来の研削や切削では困難であったミクロン単位での加工量の制御が可能となる。
<変形例>
以上、本実施形態では、退避移動機構21と付勢機構23とを別の構成とする例を示したが、退避移動機構21と付勢機構23は、緩衝機構20として一体的なものであってもよい。例えば、図1に示す例において、治具5自体を緩衝機能を有する弾性体(ゴムやスポンジ状の樹脂材料など)で構成してもよいし、図3に示す例において、例えば工具7の主軸またはシャンク自体を緩衝機能を有する弾性体(ゴムやスポンジ状の樹脂材料など)で構成してもよい。
また、本実施形態では駆動手段9によって工具(砥石)7または被加工物Wを高速回転させて両者を直接接触させる(押圧する)削り加工(研削加工または切削加工)の例を説明したが、これに限らず、超音波振動させた工具(砥石)7を被加工物Wに直接接触させる(押圧する)削り加工(研削加工または切削加工)であっても同様に適用可能である。
さらに、遊離砥粒を用いる削り加工(特に、超音波振動させた工具を加工物に近づけ、両者間に遊離砥粒を供給する削り加工)であっても同様に適用可能である。
超音波振動を用いる削り加工(固定砥粒、遊離砥粒のいずれも)では、超音波による音圧及び振動と、工具7への加圧によって加工するものであり、この場合であっても、最も効率よく加工が進行する圧力(押圧力)の範囲が存在する。この場合は、音圧も当該圧力(押圧力)に関与するため、この音圧を考慮して送り駆動手段25、退避移動機構21および付勢機構23等の制御を行う。
また、本実施形態の工具7としては、砥石(固定砥粒)に限らず、ドリル、エンドミル、多角錐工具(バイト)等やグラインダー(研削盤)またはフライス盤などの切削工具又は研削工具を採用できる。
また、本実施形態の削り加工は、例えば、ミーリング加工(マシニング加工、フライス加工)である正面フライス削り、エンドミル削り、平フライス削り、平面切削、側面切削、溝削りや、旋削加工(外丸削り、面削り、テーパ削り、ねじ切り、突切り等)、穴開け、中ぐり等の加工に適用可能である。
また、固定砥粒による研削(円筒研削、平面研削(角テーブル型、回転テーブル型)、内面研削、芯無し研削等)や、遊離砥粒による研削にも適用可能である。
また、緩衝手段10は、コイルばねによらず他のばねであってもよいし、スポンジや樹脂などの弾性部材であってもよい。また、油圧や空圧などで緩衝させるものであってもよい。また、治具5が緩衝手段10を備える場合、治具5の材質をスポンジや樹脂などの弾性体で構成するものであってもよい。
以上、本実施形態について説明したが、本発明の削り加工装置1および削り加工方法は、例えば、工具7が被加工物Wの被加工部位W1を押圧する際に被加工物Wにかかる過剰圧力を緩衝させる緩衝機構20を有するなどし、緩衝機構20によって過剰圧力を緩衝させながら(吸収しながら)削り加工を進行させて、所望の形状になるまで被加工物Wの削り取りを行うものであればよい。
そして、過剰圧力の緩衝によって、結果的に工具7が被加工物Wを押圧する際の圧力を削り加工が効率よく進行する所定範囲内に維持する制御を行うものであればよい。
この場合の緩衝機構20の一例としては、工具7または被加工物Wの一方を、削り加工を進行させる他方の送り方向と同方向に退避させながら削り加工を進行させる機構であれば上記の例に限らない。
また、例えば、被加工物Wの基準となる部位の位置を、計測手段11の測定手段(例えば、マイクロメータやダイヤルゲージなど)によって適宜のタイミング(例えば、加工開始時、加工途中、加工終了時などのタイミング)で計測することによって、加工量(削り取り量)を適宜(随時)検出し、制御手段にフィードバックして送り駆動手段25、退避移動機構21および付勢機構23等を適宜制御することにより、当該圧力を加工が効率よく進行する所定の範囲に維持しながら削り加工を行うものであってもよい。
また、工具7と被加工物Wの当接する圧力を適宜のタイミングで検出し、制御手段にフィードバックして送り駆動手段25、退避移動機構21および付勢機構23等を適宜制御することによって、当該圧力を加工が効率よく進行する所定の範囲に維持しながら削り加工を行うものであってもよい。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
本実施形態の削り加工装置1を用いて、超微粒超硬合金の加工を行った。工具7は、φ50(50mm)のダイヤモンド電鋳工具(ダイヤモンド砥石)を用い、Z方向の切り込み量(削る際の切り込み深さ、ピッチ)を10μm、切削送り量を600mm/minでフライス加工(穴あけ、上面側面切削等)を行った。工具接触エリアは、工具底面部の全領域が被加工物に接触する全当たりである。
この結果、従来では反力が大きいために加工すべりが生じ易かったφ50の工具7を用いても、工具7または被加工物Wの一方を、削り加工を進行させるための他方の送り方向と同方向に退避させながら削り加工を行うことで工具7が被加工物Wを押圧する際に被加工物Wにかかる過剰圧力を緩衝させながら、削り加工を進行させることができた。
結果として、削り加工が最も効率よく進行する圧力範囲内に維持して加工を進行させることができ、異音や加工スベリを起すことなく、工具(砥石)7や被加工物Wの磨耗、や意図しない欠損を防ぎつつ長時間安定した加工が行えた。
本実施形態の削り加工装置1を用いて、炭化タングステン(Tungsten carbide:WC)および炭化珪素(Silicon Carbide:SiC)の加工を行った。いずれも工具7は、φ6(6mm)のダイヤモンド電鋳工具(ダイヤモンド砥石)を用い、Z方向の切り込み量(削る際の切り込み深さ、ピッチ)を10μm、切削送り量を600mm/minでフライス加工(穴あけ、上面側面切削等)を行った。工具接触エリアは、工具底面部の全領域が被加工物に接触する全当たりである。
この結果を図6に示す。図6は加工に用いた被加工物の外観写真であり、同図(a)〜同図(c)は炭化タングステン、同図(d)〜同図(f)は炭化珪素である。また、同図(a)、同図(b)、同図(d)および同図(e)が削り加工装置1および被加工物Wの外観写真であり、同図(c)および同図(f)が加工後の被加工物Wの外観写真である。
炭化珪素はセラミックスの中でも高い硬度を有し、炭化タングステンは金型に使用される高硬度材であって、いずれも加工性が悪い材料であるが、本実施形態によれば、全くストレス(工具破損、ワーク破損など)無く加工をすることができた。
具体的には、超音波加工も含めて従来の切削(研削)加工で削り加工を行った場合、加工後の工具の磨耗量は、0.3mm〜0.5mmは発生する、しかしながら、本実施形態によれば、加工後の工具7の磨耗量は、炭化タングステンの場合が約27μm、炭化珪素の場合が約9μmと、圧倒的に磨耗量を減少させることができた。
また、図6(c)及び同図(f)に示すように、加工面を観察すると、研削加工の目ではなく研磨加工(磨き)に近い加工目になっており、研磨レベルの目の細かい削り加工ができているといえる。
1 加工装置
3 テーブル
5 治具
7 工具
9 駆動手段
10 場合
10 緩衝手段
11 計測手段
17 工具支持部
20 緩衝機構
21 退避移動機構
23 付勢機構
25 駆動手段
51 基台
52 保持部
53 支持部
111 退避状態検出手段
113 状態検出手段
115 計算手段
521 保持面
531 外筒
532 内筒
533 弾性部材
535 ストッパー
P0 復帰位置
W 被加工物
(1)本発明は、被加工物の一部を削り取って所望の形状に変化させる削り加工装置であって、前記被加工物を保持する治具と、前記被加工物の削り取りを行う工具と、前記工具と前記被加工物を削り方向に相対移動させて該被加工物の一部を削り取る駆動手段と、前記被加工物に対して前記工具を所望の送り方向に移動させるべく、前記工具および前記被加工物の一方を移動させる送り駆動手段と、前記送り駆動手段による実際の送り量に対して、前記工具と前記被加工物の間の相対的な送り量が減少するように、前記工具および前記被加工物の他方を前記送り方向に退避移動させる退避移動機構と、前記退避移動機構により前記被加工物または前記工具が退避移動する際、退避移動する前記被加工物または前記工具を復帰移動方向に付勢する付勢機構と、を備える、ことを特徴とする削り加工装置である。
(2)本発明はまた、前記被加工物と前記工具による削り加工が進展するにつれて、前記退避移動機構及び前記付勢機構により、退避移動した前記被加工物または前記工具が前記送り方向とは逆の復帰方向に移動する、ことを特徴とする上記(1)に記載の削り加工装置である。
(3)本発明はまた、前記退避移動機構による退避状態を検出する退避状態検出手段と、前記送り駆動手段による実際の送り状態を検出する送り状態検出手段と、前記退避状態と前記送り状態の相対差から、前記工具と前記被加工物の前記相対的な送り量を算出する計算手段と、を備える、ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の削り加工装置である。
(5)本発明はまた、前記退避量が所定の閾値を超えないように、前記送り駆動手段による前記実際の送り量を制御する、ことを特徴とする上記(4)に記載の削り加工装置である。
(8)本発明はまた、前記工具が、前記送り駆動手段によって前記送り方向に移動され、前記治具が、前記退避移動機構および前記付勢機構を備える、ことを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の削り加工装置である。
(11)本発明はまた、被加工物の一部を削り取って所望の形状に変化させる削り加工方法であって、前記被加工物を治具により保持し、工具と前記被加工物を削り方向に相対移動させて該被加工物の一部を削り取る工程と、前記被加工物に対して前記工具を所望の送り方向に移動させるべく、前記工具および前記被加工物の一方を移動させる工程と、前記工具または前記被加工物の実際の送り量に対して、前記工具と前記被加工物の間の相対的な送り量が減少するように、前記工具および前記被加工物の他方を前記送り方向に退避移動させる工程と、前記被加工物または前記工具が退避移動する際、退避移動する前記被加工物または前記工具を復帰移動方向に付勢する工程と、を備える、ことを特徴とする削り加工方法である。
(12)本発明はまた、前記被加工物と前記工具による削り加工が進展するにつれて、退避移動した前記被加工物または前記工具が前記送り方向とは逆の復帰方向に移動する、ことを特徴とする上記(11)に記載の削り加工方法である。
(13)本発明はまた、前記被加工物または前記工具の退避状態を検出する工程と、前記被加工物または前記工具の実際の送り状態を検出する工程と、前記退避状態と前記送り状態の相対差から、前記工具と前記被加工物の前記相対的な送り量を算出する工程と、を有する、ことを特徴とする上記(11)または(12)に記載の削り加工方法である。
(14)本発明はまた、前記復帰移動方向への付勢する付勢力を、退避移動の退避量に連動させる、ことを特徴とする上記(11)乃至(13)のいずれかに記載の削り加工方法である。
(15)本発明はまた、前記退避量が所定の閾値を超えないように、前記実際の送り量を制御する、ことを特徴とする上記(14)に記載の削り加工方法である。
(20)本発明はまた、被加工物の一部を削り取って所望の形状に変化させる削り加工方法であって、工具および前記被加工物の一方を送り方向に移動し、前記工具および前記被加工物の他方を前記送り方向と同方向に退避移動させることにより前記工具が前記被加工物を押圧する際に該被加工物にかかる過剰圧力を緩衝させながら削り加工を進行させて、前記所望の形状になるまで前記被加工物の削り取りを行う、ことを特徴とする削り加工方法である。
(21)本発明はまた、前記工具による削り加工中が進行している期間において、退避移動が継続する、ことを特徴とする上記(20)に記載の削り加工方法である。
(23)本発明はまた、前記被加工物の削り取りは、切削または研削である、ことを特徴とする上記(20)乃至(22)のいずれかに記載の削り加工方法である。
(24)本発明はまた、前記工具による削り加工中が進行している期間において、前記退避移動機構による退避移動と前記付勢機構による付勢が継続する、ことを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の削り加工装置である。
25)本発明はまた、前記工具を前記送り方向に移動し、前記治具を、退避移動させる、ことを特徴とする上記(11)乃至(19)のいずれかに記載の削り加工方法である。
(26)本発明はまた、前記工具による削り加工中が進行している期間において、退避移動と付勢が継続する、ことを特徴とする上記(11)乃至(19)、(25)のいずれかに記載の削り加工方法である。

Claims (23)

  1. 被加工物の一部を削り取って所望の形状に変化させる削り加工装置であって、
    前記被加工物を保持する治具と、
    前記被加工物の削り取りを行う工具と、
    前記工具と前記被加工物を削り方向に相対移動させて該被加工物の一部を削り取る駆動手段と、
    前記被加工物に対して前記工具を所望の送り方向に移動させるべく、前記工具又は前記被加工物を移動させる送り駆動手段と、
    前記送り駆動手段による実際の送り量に対して、前記工具と前記被加工物の間の相対的な送り量が減少する方向に、前記被加工物または前記工具を退避移動させる退避移動機構と、
    前記退避移動機構により前記被加工物または前記工具が退避移動する際、退避移動する前記被加工物または前記工具を復帰移動方向に付勢する付勢機構と、を備える、
    ことを特徴とする削り加工装置。
  2. 前記被加工物と前記工具による削り加工が進展するにつれて、前記退避移動機構及び前記付勢機構により、前記退避移動した前記被加工物または前記工具が復帰方向に移動する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の削り加工装置。
  3. 前記退避移動機構による退避状態を検出する退避状態検出手段と、
    前記送り駆動手段による実際の送り状態を検出する検出する送り状態検出手段と、
    前記退避状態と前記送り状態の相対差から、前記工具と前記被加工物の前記相対的な送り量を算出する計算手段と、を備える、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の削り加工装置。
  4. 前記付勢機構による付勢力が、前記退避移動機構による退避量に連動する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の削り加工装置。
  5. 前記退避量が所定の閾値を超えないように、前記送り駆動手段による送り量を制御する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の削り加工装置。
  6. 前記退避移動機構による前記退避量が略ゼロとなる際に、削り加工を終了させる、あるいは次の削り加工に移行するように制御する、
    ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の削り加工装置。
  7. 前記付勢力が、所望量を超えない範囲に制御する、
    ことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の削り加工装置。
  8. 前記治具が、前記退避移動機構および前記付勢機構を備える、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の削り加工装置。
  9. 前記駆動手段は、前記工具と前記被加工物を削り方向に相対回転させる回転駆動手段である、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の削り加工装置。
  10. 前記工具は、切削工具または研削工具である、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の削り加工装置。
  11. 被加工物の一部を削り取って所望の形状に変化させる削り加工方法であって、
    前記被加工物を治具により保持し、工具と前記被加工物を削り方向に相対移動させて該被加工物の一部を削り取る工程と、
    前記被加工物に対して前記工具を所望の送り方向に移動させるべく、前記工具または前記被加工物を移動させる工程と、
    前記工具または前記被加工物の実際の送り量に対して、前記工具と前記被加工物の間の相対的な送り量が減少する方向に、前記被加工物または前記工具を退避移動させる工程と、
    前記被加工物または前記工具が退避移動する際、退避移動する前記被加工物または前記工具を復帰移動方向に付勢する工程と、を備える、
    ことを特徴とする削り加工方法。
  12. 前記被加工物と前記工具による削り加工が進展するにつれて、前記退避移動した前記被加工物または前記工具が復帰方向に移動する、
    ことを特徴とする請求項11に記載の削り加工方法。
  13. 前記被加工物または前記工具の退避状態を検出する工程と、
    前記被加工物または前記工具の実際の送り状態を検出する工程と、
    前記退避状態と前記送り状態の相対差から、前記工具と前記被加工物の相対的な送り量を算出する工程と、を有する、
    ことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の削り加工方法。
  14. 前記復帰移動方向への付勢する付勢力を、前記退避移動の退避量に連動させる、
    ことを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれかに記載の削り加工方法。
  15. 前記退避量が所定の閾値を超えないように、前記送り量を制御する、
    ことを特徴とする請求項14に記載の削り加工方法。
  16. 前記退避量が略ゼロとなる際に、削り加工を終了させる、あるいは次の削り加工に移行する、
    ことを特徴とする請求項14または請求項15に記載の削り加工方法。
  17. 前記付勢力を、所望量を超えない範囲に制御する、
    ことを特徴とする請求項14乃至請求項16のいずれかに記載の削り加工方法。
  18. 前記被加工物の削り取りは、切削または研削である、
    ことを特徴とする請求項11乃至請求項17のいずれかに記載の削り加工方法。
  19. 前記被加工物の削り取りは、前記工具または前記被加工物を回転駆動させて前記被加工物の削り取りを行う、
    ことを特徴とする請求項11乃至請求項18のいずれかに記載の削り加工方法。
  20. 被加工物の一部を削り取って所望の形状に変化させる削り加工方法であって、
    工具が前記被加工物を押圧する際に該被加工物にかかる過剰圧力を緩衝させながら削り加工を進行させて、前記所望の形状になるまで前記被加工物の削り取りを行う、
    ことを特徴とする削り加工方法。
  21. 前記工具または前記被加工物の一方を、削り加工を進行させる他方の送り方向と同方向に退避させながら削り加工を進行させる、
    ことを特徴とする請求項20に記載の削り加工方法。
  22. 前記工具が前記被加工物を押圧する際の圧力を削り加工が効率よく進行する所定範囲内に維持する制御を行う、
    ことを特徴とする請求項20または請求項21に記載の削り加工方法。
  23. 前記被加工物の削り取りは、切削または研削である、
    ことを特徴とする請求項20乃至請求項22のいずれかに記載の削り加工方法。
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