JP2019015103A - 建具用フレーム材および建具 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、本発明の建具用フレーム材によれば、断熱部材の屋外面部や屋内面部に金属部材を固定し、断熱部材と金属部材とを屋内外方向に配置してビスや接着剤などで固定した補強材を用いたので、建具用フレーム材の断熱性および剛性を向上できる。すなわち、補強材を金属材のみで構成した場合に比べ、断熱部材が介在されているので、補強材全体が熱橋となることを防止でき、その分、建具用フレーム材の断熱性能を向上できる。
また、補強材は、断熱部材だけでなく金属材も備えているので、補強材を断熱部材のみで構成した場合に比べて、建具用フレーム材の剛性を向上できる。
さらに、フレーム本体部のホロー部内に配置された補強材は、フレーム本体部に固定されるため、補強材をホロー部内に配置可能に構成すれば、ネジやリベット等の固定手段でフレーム本体部に固定できる。このため、ホロー部と補強材との形状を一致させる必要はない。したがって、ホロー部内に補強材を嵌合させることでフレーム本体部に固定せずに補強材を配置する場合に比べて、ホロー部や補強材の形状の自由度を高めることができ、建具用フレーム材のスリム化を実現しやすくなったり、補強材における金属部材の配置位置や形状の自由度を向上できる。したがって、建具用フレーム材を適切に補強できる。
補強材は、建具用フレーム材の長手方向の全長に渡って配置することが好ましく、そのため、前記長手方向に沿って複数箇所でネジ留めすることになる。この際、ネジ留め作業を自動化するために、ドリルネジを用いてネジ留めすることが好ましい。ドリルネジを用いた場合に切り粉が発生する。補強材の金属部材にドリルネジをねじ込むと、金属製の切り粉が発生し、切り粉の除去作業を行っても除去できなかった切り粉が建具用フレーム材内に残ってしまうと、建具の使用環境によっては、切り粉による錆水や傷が発生する可能性がある。このため、金属製の切り粉の除去作業を念入りに行う必要があり、ネジ留め時の作業性が低下し、建具用フレーム材の生産性も低下する。
一方、本発明では、補強材の金属部材ではなく断熱部材とフレーム本体部とをネジで固定しているため、樹脂製の切り粉が発生するだけであり、金属製の切り粉の発生を防止できる。したがって、切り粉の除去作業で除去できなかった切り粉が残留しても、樹脂製の切り粉であるため、切り粉による錆水や傷の発生も防止できる。
断熱部材の屋外面部および屋内面部に屋外側金属部材、屋内側金属部材をそれぞれ固定して補強材を構成しているので、屋内外の金属部材間に断熱部材を配置でき、屋内外の金属部材同士が接触していないので熱橋が発生せず、断熱性能の低下を軽減できる。また、屋内外の金属部材は別体であるため、材質及び形状、板厚等が異なる金属部材を配置できる。したがって、補強材としての設計自由度を向上でき、フレーム本体部のホロー部の形状や必要な強度に応じて屋内外の金属部材を設定することができる。
補強材の断熱部材として、金属材に比べて断熱性が高く、合成樹脂材に比べて耐火性、強度に優れ、さらに合成樹脂材や金属材に比べて線膨張係数が小さく温度変化に対する伸縮量を小さくできる繊維強化プラスチック(fibre reinforced plastic、以下「FRP」と表記する場合がある)を用いたので、断熱性能、耐火性能、強度、低伸縮性に優れた建具用フレーム材を提供できる。
また、合成樹脂材にドリルネジをねじ込む場合には、ホロー部を介して2箇所でねじ込まれるようにするなど、構造的な工夫が必要となる。これに対し、FRP製の断熱部材とすれば、ホロー部を介すなどの構造的な工夫を行わずにドリルネジをねじ込むことができ、断熱部材の形状を簡略化でき、生産性も向上できる。
本発明によれば、補強材の金属部材に予め加工されたネジ穴を用いて機能部品をネジ留めできるため、機能部品の位置精度を向上できる。また、金属部材のネジ穴は、補強材をフレーム本体部に取り付ける前に加工できるため、建具用フレーム材内に切り粉が残留することも防止できる。なお、機能部品とは、建具における各種機能を実現するために用いられる部品であり、例えば建具の施錠を行うクレセントおよびクレセント受け等である。
本発明によれば、引違い窓の召合せ框のように、強度および断熱性が必要な部分には前記建具用フレーム材を用いることで、召合せ框などにおいて断面形状の自由度を高くでき、断熱性および剛性を向上できる。また、戸先框や上框等のように、召合せ框に比べて必要な強度が小さい建具用フレーム材には、断熱部材のみの補強材を用いることができ、その分、断熱性能を向上できる。
本実施形態の建具である引違い窓1は、図1〜3に示すように、建物の躯体5の開口部に設けられる窓枠2と、窓枠2で囲まれた内部に左右方向に引き違い可能に配置された外障子3Aおよび内障子3Bと、網戸4とを備えている。
窓枠2は、上枠21、下枠22および左右の縦枠23、24を枠組みして構成されている。窓枠2は、建物の開口部に配置されて建物の躯体5に固定されている。
外障子3Aおよび内障子3Bは、上框31、下框32および左右の縦框33、34を枠組みした障子枠30と、障子枠30内に組み込まれる面材である複層ガラス50とを備えて構成されている。複層ガラス50は、図4にも示すように、網入りガラス等の防火ガラスで構成された屋外ガラス51と、LOW−Eガラス等で構成された屋内ガラス52とを備える。
各障子3A,3Bの縦框33は、外障子3A、内障子3Bを閉めた際に、縦枠23、24に当接する戸先框であり、縦框34は、外障子3A、内障子3Bを閉めた際に、屋内外方向に重なって配置される召合せ框である。
また、図2,3において、上枠21、下枠22、縦枠23、24や、上框31、下框32、縦框33、34は、断面を示すが、図を見やすくするためにハッチングを省略している。
補強材25は、繊維強化プラスチック(fibre reinforced plastic、以下「FRP」と表記する場合がある)によって形成され、各枠21〜24の略全長に渡って配置された長尺材である。補強材25のように、一定断面形状の長尺材をFRPで成形する場合、長尺の繊維強化材を引張機で引っ張りながら、樹脂等を纏わせて、型の中で樹脂を硬化させて引抜材として成形する引張成形法が用いられる。本実施形態では、繊維強化材としてグラスファイバーを用い、樹脂としてポリウレタンを用いている。なお、FRPの繊維強化材や熱硬化性樹脂は、補強材25として求められる強度や断熱性能、耐火性能などを満たすものであれば、前述の材質に限定されない。例えば、繊維強化材としては、カーボンファイバーなどを用いてもよく、樹脂としてはエステル等を用いてもよい。
補強材25は、補強材25の長手方向に沿って複数設けられたドリルネジ250によって枠21〜24に固定されている。
下枠22の下面および躯体5の屋外面には、断面略L字状の金属製支持材26が固定されている。金属製支持材26は、下枠22の屋外側が下方に垂れることを防止している。
下枠22には、アルミ押出形材等で構成された内レール22Aおよび外レール22Bが取り付けられ、前記各障子3A、3Bを案内している。
上框31、下框32、戸先框33は、同一の構成とされ、押出成形された合成樹脂製の框本体311,321,331と、框本体311,321,331に取り付けられた合成樹脂製の押縁312,322,332と、框本体311,321,331のホロー部内に取り付けられた補強材313,323,333と、框本体311,321,331の外周側に開口する凹溝部に取り付けられた補強材314,324,334とを備える。
押縁312,322,332は、框本体321に形成された係合溝に係合されている。そして、押縁312,322,332と、押縁312,322,332に対向する框本体311,321,331との間に、凹溝状のガラス保持溝が区画形成されている。このガラス保持溝には、複層ガラス50の端部および複層ガラス50の脱落を防止する脱落防止部材40が配置されている。脱落防止部材40は、短尺のピース材であり、各框31〜34の端部近傍にそれぞれ固定されている。
補強材313,323,333は、ドリルネジ41によって框本体311,321,331に取り付けられている。なお、脱落防止部材40が配置された箇所では、ドリルネジ41は、脱落防止部材40の取り付けにも兼用されている。
ただし、召合せ框34は、框本体341が煙返しなどを備えていたり、クレセント71やクレセント受け72等の機能部品を召合せ框34に取り付けるためなどで、召合せ框34に適した断面形状とされている点で戸先框33と形状、構成が相違する。
屋外側金属部材352は、断面L字状に形成されたスチール材である。屋内側金属部材353は、平板状に形成されたスチール材である。これらの屋外側金属部材352、屋内側金属部材353は、断熱部材351と同じ寸法とされた長尺部材であり、断熱部材351の屋外面部351Aおよび屋内面部351Bに固定されて一体化されている。なお、断熱部材351に屋外側金属部材352、屋内側金属部材353を固定する手段としては、ビス、リベット、接着剤、嵌合構造など、補強材350A,350Bとして機能させるために必要な強度を確保できる固定構造であればよい。
補強材350A,350Bは、召合せ框34のガラス保持溝からねじ込まれたドリルネジ43で框本体341に取り付けられている。ドリルネジ43は、召合せ框34の長手方向つまり上下方向に沿って所定間隔で複数本設けられており、脱落防止部材40が配置されている箇所では脱落防止部材40の取り付けも兼ねている。また、ドリルネジ43は、補強材350A,350Bの断熱部材351にねじ込まれており、スチール製の屋外側金属部材352、屋内側金属部材353にはねじ込まれていない。このため、ドリルネジ43をねじ込む際に金属製の切り粉は発生しない。なお、補強材350A,350Bを、フレーム本体部である框本体341に固定する構造としては、ドリルネジ43に限定されず、ネジ、リベット、接着剤など、框本体341に加わる力を補強材350A,350Bに伝えて框本体341の強度を向上できる固定構造であればよい。
クレセント受け72は、召合せ框34の屋内面側からクレセント受け72、召合せ框34を介して、屋内側金属部材353および断熱部材351にねじ込まれるネジ75で召合せ框34に取り付けられる。
裏板360、補強材350Bの屋外側金属部材352には、クレセント71の取付位置に合わせてネジ穴が加工されている。このネジ穴の加工も、補強材350Bを召合せ框34のホロー部341Aに配置する前に実施され、このため、金属製の切り粉がホロー部341A内に残留することはない。クレセント71は、召合せ框34の見込み面から裏板360、屋外側金属部材352のネジ穴にネジ76をねじ込むことで取り付けられる。
また、補強材350A,350Bにおいては、断熱部材351と、屋外側金属部材352、屋内側金属部材353とを組み合わせているので、屋外側金属部材352と屋内側金属部材353とを同一の金属材料や肉厚に形成する必要が無い。すなわち、屋外側金属部材352や屋内側金属部材353は、金属材料の種類、肉厚等の寸法、形状などを自由に設定できる。したがって、補強材350A,350Bを設ける部位毎のホロー形状や必要強度に合わせて屋外側金属部材352、屋内側金属部材353を別々に設定でき、補強材350A,350Bとしての設計自由度を向上できる。
さらに、補強材350A,350Bは、断熱部材351を挟んで屋外側金属部材352、屋内側金属部材353を屋内外に離して配置することで、I値(断面二次モーメント)を向上できる。したがって、金属材料の使用量を少なくしても補強材350A,350Bの剛性を確保でき、断熱性能をさらに向上できる。
また、ドリルネジ43,361は、補強材350A,350Bの断熱部材351にねじ込み、屋外側金属部材352、屋内側金属部材353にはねじ込まないため、金属製の切り粉が召合せ框34間に残留することを防止でき、金属製の切り粉の除去作業を不要にでき、金属製の切り粉が残留することも無いため、赤錆水や切り粉キズによる不具合の発生も防止できる。
枠21〜24に設けた補強材25や、召合せ框34以外の框31〜33に設けた補強材313,323,333もFRP材としているので、ドリルネジ41,42,250をねじ込んだ際に金属製の切り粉が発生することを防止でき、これらにおいても金属製の切り粉の除去作業を不要にでき、赤錆水や切り粉キズによる不具合の発生も防止できる。
例えば、図5に示すように、補強材350Aの屋外側金属部材352や屋内側金属部材353にドリルネジ43をねじ込んで、補強材350Aを框本体341に固定してもよい。補強材350Bにおいても同様である。この場合、ドリルネジ43をFRP製の断熱部材351ではなく、金属部材352,353にねじ込むため、補強材350A,350Bの固定強度を向上できる。この際、金属製の切り粉が発生しても、切り粉を除去したり、あるいは、使用環境において水に触れない場所の建具として用いればよい。
また、クレセント71やクレセント受け72等の機能部品もドリルネジを用いて取り付けてもよい。
また、補強材350A,350Bは、断熱部材351の屋外面部351Aおよび屋内面部351Bの両面に金属部材352、353を設けていたが、屋外面部351Aおよび屋内面部351Bのいずれか一方のみに金属部材を設けてもよい。
さらに、断熱部材351および金属部材352,353で構成される補強材350A,350Bは、召合せ框34のみに設けていたが、戸先框33や、上框31、下框32に設けてもよいし、窓枠2の上枠21、下枠22、縦枠23、24に設けてもよい。
また、本発明の建具は、引違い窓1に限定されず、片引き窓、縦すべり出し窓、横すべり出し窓、内倒し窓、外倒し窓、上げ下げ窓、内開き窓、外開き窓、FIX窓等の各種サッシ窓として用いることができる。したがって、建具用フレーム材に取り付けられる補強材の形状、構成なども建具の種類に応じたものを選択すればよい。
Claims (6)
- ホロー部を有する樹脂製のフレーム本体部と、前記ホロー部内に配置された補強材とを備える建具用フレーム材であって、
前記補強材は、断熱部材と、前記断熱部材の屋外面部または屋内面部の少なくとも一方に固定された金属部材とを備えて構成され、前記フレーム本体部に固定されている
ことを特徴とする建具用フレーム材。 - 請求項1に記載の建具用フレーム材において、
前記補強材の前記断熱部材と、前記フレーム本体部とは、ネジで固定されている
ことを特徴とする建具用フレーム材。 - 請求項1または請求項2に記載の建具用フレーム材において、
前記断熱部材は、断面矩形枠状に形成され、
前記金属部材は、前記断熱部材の前記屋外面部に固定される屋外側金属部材と、前記断熱部材の前記屋内面部に固定される屋内側金属部材とを備える
ことを特徴とする建具用フレーム材。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の建具用フレーム材において、
前記断熱部材は、繊維強化プラスチック製である
ことを特徴とする建具用フレーム材。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の建具用フレーム材において、
前記金属部材には、前記フレーム本体部に取り付けられる機能部品を固定するためのネジ穴が予め加工されており、
前記フレーム本体部に形成された穴を介して前記金属部材の前記ネジ穴にねじ込まれるネジによって、前記機能部品が前記フレーム本体部に取り付けられている
ことを特徴とする建具用フレーム材。 - ホロー部を有する樹脂製のフレーム本体部を備える複数の建具用フレーム材を枠組みして構成される建具であって、
前記複数の建具用フレーム材のうち、少なくとも一部の建具用フレーム材は、前記請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の建具用フレーム材で構成されている
ことを特徴とする建具。
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JP7399051B2 (ja) | 2020-08-27 | 2023-12-15 | 三協立山株式会社 | 建具 |
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JP6878180B2 (ja) | 2021-05-26 |
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